説明

通信装置、通信システム、および通話装置

【課題】複数の回線の中から1の回線をユーザが選定したものの、他の回線を使用せざるを得ない状況が生じた場合に、当該他の回線の使用が相手側装置のユーザに知られる不都合を防止できる通信装置、通信システムおよび通話装置を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、最初に選択した1の通信制御装置へのデータ送信が何らかの原因で不成功になった場合には、他の通信制御装置を、第1の通信制御装置に替わる第2の通信制御装置として選択して使用するが、相手側装置を特定する所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加したものが、制御手段によって当該他の通信制御装置へ送信される。よって、相手側装置には、代替的に使用した他の通信制御装置の識別情報が回線の中継装置から通知されず、第2の通信制御装置の識別情報が相手側装置のユーザに知られる不都合を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、および通話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファクシミリ装置と無線接続可能な構内回線を収容すると共に、複数の電話回線に接続される構内交換機(PBX)が記載されている。特許文献1には、この構内交換機が、無線接続されているファクシミリ装置から発呼が選択された場合に、複数の電話回線の中から空いている回線を探し、見つかった空き回線を介して発呼してファクシミリデータを送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−25040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される構内交換機は、空き回線を介して発呼を行うので、ファクシミリ装置のユーザは、発呼のために使用する回線として、複数の電話回線の中から、所望する回線番号に対応付けられた1の回線を選ぶことはできない。また、発呼のために使用した回線の回線番号は、例えば、ナンバーディスプレイ情報などによって発呼先の相手側装置に通知されるので、特許文献1の構成によれば、構内交換機が選定した空き回線の回線番号が相手側装置に通知される。よって、ファクシミリ装置のユーザが、複数の電話回線のうち、特定の回線以外の回線の使用を相手側装置のユーザに知らせたくない状況があったとしても、その状況に対応することができない。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、複数の回線の中から1の回線をユーザが選定したものの、他の回線を使用せざるを得ない状況が生じた場合に、当該他の回線の使用が相手側装置のユーザに知られる不都合を防止できる通信装置、通信システム、および通話装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の通信装置は、回線を介した相手側装置との通信を制御する通信制御装置にネットワーク接続可能に構成され、その通信制御装置および回線を介して相手側装置に画像データを送信するものであって、所定の識別情報により特定される相手側装置への画像データの送信を指示する送信指示手段と、各々に識別情報が対応付けられている複数台の通信制御装置が存在する場合に、これら複数台の通信制御装置の中から、1の通信制御装置を第1通信制御装置として選定する選定手段と、前記選定手段による第1通信制御装置の選定と、前記送信指示手段による画像データの送信指示とが行われた場合に、前記第1通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第1通信制御装置へ送信する第1の送信手段と、その第1の送信手段による送信が不成功であった場合には、前記複数台の通信制御装置の中から、他の通信制御装置を前記第1通信制御装置に替わる第2通信制御装置として選定し、前記第2通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第2通信制御装置へ送信する第2の送信手段と、その第2の送信手段により送信される前記所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加する制御手段とを備えている。
【0007】
なお、本発明は、通信装置、該通信装置を制御する制御装置、通信方法、通信装置を制御する制御プログラム、該制御プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の通信装置によれば、最初に選択した1の通信制御装置(第1の通信制御装置)へのデータ送信が何らかの原因で不成功になった場合には、他の通信制御装置を、第1の通信制御装置に替わる第2の通信制御装置として選択して使用するが、その場合には、相手側装置を特定する所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加したものが、制御手段によって当該他の通信制御装置へ送信される。よって、相手側装置には、代替的に使用した他の通信制御装置(第2の通信制御装置)の識別情報が回線の中継装置から通知されることがなく、第2の通信制御装置の識別情報が相手側装置のユーザに知られる不都合を防止できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の通信装置によれば、請求項1の奏する効果に加え、実際には第2の通信制御装置が画像データの発信元であるにもかかわらず、その第2の通信制御装置を介して第1の情報記憶手段に記憶されている情報(即ち、第1の通信制御装置を示す情報)が画像データの発信元情報として相手側装置に送信されるので、第2の通信制御装置を示す情報が相手側装置のユーザに知られる不都合を防止できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の通信装置によれば、請求項1又は2の奏する効果に加え、実際には第2の通信制御装置が画像データの発信元であるにもかかわらず、第2の情報記憶手段に記憶されている情報(即ち、第1の通信制御装置を示す情報)が付加された画像データが、当該第2の通信制御装置を介して相手側装置に送信されるので、相手側装置から出力される画像から、第2の通信制御装置を示す情報が相手側装置のユーザに知られてしまう不都合を防止できるという効果がある。なお、請求項3の「第2の情報記憶手段」は、請求項2の「第1の情報記憶手段」と同じものであっても異なるものであってもよい。
【0011】
請求項4記載の通信装置によれば、請求項1から3のいずれかの奏する効果に加え、相手側装置記憶手段に識別情報が記憶されていない相手側装置に画像データを送信する場合に、最初に選択した第1の通信制御装置へのデータ送信が不成功であったときには、第2の通信制御装置へのデータ送信を禁止するので、その都度、送信先の相手側装置に応じた適切な対処ができるという効果がある。また、報知が行われるので、通信装置のユーザは、その旨を早々に認識できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の通信装置によれば、請求項1から4のいずれかの奏する効果に加え、相手側装置記憶手段は、相手側装置の識別情報と、付加情報が付加された識別情報の送信を行うことを示す第1情報、又は、付加情報が付加された識別情報の送信を行わないことを示す第2情報のいずれかとを対応付けて記憶できるように構成されているので、相手側装置への通知内容を自在に設定できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の通信装置によれば、請求項1から5のいずれかの奏する効果に加え、電話回線を介して相手側装置に画像データを送信する場合に、最初に選択した第1の通信制御装置へのデータ送信が不成功であったときには、送信元の識別情報が交換機から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を、相手側装置の識別番号に付加するので、代替的に使用した第2の通信制御装置の識別情報が相手側装置のユーザに通知される不都合を防止できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の通信システムによれば、請求項1記載の通信装置と同様の効果を奏する。また、請求項8記載の通話装置によれば、請求項1記載の通信装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の通信システムの一実施形態である通信システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(d)は、それぞれ、BOX情報メモリ、電話帳メモリ、発信履歴メモリ、および受信履歴メモリの内容を示す模式図である。
【図3】MFPのCPUによって実行されるFAX送信処理を示すフローチャートである。
【図4】BOXのCPUによって実行される通信制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の通信システムの一実施形態である通信システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、通信システム1は、本発明の通信装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP」と称す)10と、通信制御装置(以下、「BOX」と称す)30とから構成される。
【0017】
本実施形態では、1台のMFP10に対し、1又は複数台のBOX30を接続できるように構成されている。図1には、1台のMFP30と、3台のBOX30とから構成された通信システム1を例示している。1台のBOX30には1の回線番号が対応づけられている。よって、MFP10は、相手側装置500へ画像データを送信する際に使用するBOX30を適宜選ぶことにより、画像データの送信を異なる回線番号の回線から行うことができる。
【0018】
MFP10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能などの各種機能を有する。MFP10は、FAXとして機能する場合に、相手側装置500へ送信する画像データ(以下、「FAX送信データ」と称す)を作成し、そのFAX送信データをBOX10へ送信する。
【0019】
詳細は後述するが、本実施形態のMFP10は、FAX送信データの発信元として最初に選定されたBOX30との間で通信エラー(例えば、MFP10とBOX30との間の接続の不具合)が生じた場合に、他のBOX30を替わりに使用してFAX送信データの送信を行う。そして、替わりのBOX30を使用してFAX送信データの送信を行う場合には、MFP10は、代替的に使用したBOX30が相手側装置500のユーザに特定されることを防ぐための制御を行う。
【0020】
MFP10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、EEPROM14と、無線LAN通信制御回路15と、プリンタ16と、スキャナ17と、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」と称す)18と、ボタン入力部19とを有する。これらの構成要素は、入出力ポート20を介して互いに接続されている。
【0021】
CPU11は、ROM12等に記憶される固定値やプログラムに従って、各機能の制御や、入出力ポート20を介して接続されている各部を制御する。
【0022】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであって、図3を参照して後述するFAX送信処理を実行するプログラムなどが格納されている。
【0023】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、相手先番号バッファ13aと、発信元情報バッファ13bと、BOX番号メモリ13cと、BOX台数カウンタ13dとが設けられている。
【0024】
相手先番号バッファ13aは、FAX送信処理(図3参照)において、ユーザがFAX送信データの送信先として入力した相手先番号(即ち、相手側装置500の回線番号)を格納する領域である。発信元情報バッファ13bは、FAX送信処理において、FAX送信データの発信元として最初に選定された1台のBOX30の発信元情報を格納する領域である。
【0025】
BOX番号メモリ13cは、FAX送信処理において、FAX送信データの発信元として使用するBOX30を特定する変数(以下、この変数を「BOX番号」と称す)を格納する領域である。BOX台数カウンタ13dは、FAX送信処理において、FAX送信データの発信元として使用するBOX30の探索を行う場合に、探索済みのBOX30の台数を計数するためのカウンタである。
【0026】
EEPROM14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、BOX情報メモリ14aと、電話帳メモリ14bと、発信履歴メモリ14cと、受信履歴メモリ14dとが設けられている。
【0027】
BOX情報メモリ14aは、MFP10が接続可能なBOX30に関する情報(この情報を「BOX情報」と称す)を、1台のBOX30毎に記憶する領域である。このBOX情報メモリ14aの詳細構成については、図2(a)を参照して後述する。
【0028】
電話帳メモリ14bは、ユーザによって登録された相手側装置500に関する情報(この情報を「相手先情報」と称す)を記憶する領域である。この電話帳メモリ14bの詳細構成については、図2(b)を参照して後述する。
【0029】
発信履歴メモリ14cは、MFP10から発信(送信)したFAX送信データの発信履歴を記憶する領域であり、受信履歴メモリ14dは、相手側装置500から受信した画像データの履歴(即ち、受信履歴)を記憶する領域である。発信履歴メモリ14cの詳細構成については、図2(c)を参照して、受信履歴メモリ14dの詳細構成については、図2(d)を参照して、それぞれ後述する。
【0030】
無線LAN通信制御回路15は、IEEE802.11b/gの規格に準拠した無線LANにより、2.4GHz帯を利用した無線通信50を行うための回路である。この無線LAN通信制御回路15により、MFP10とBOX30との間に無線LAN接続が形成される。無線LAN通信制御回路15にはアンテナ部(図示せず)が接続されており、このアンテナ部を介して、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する。
【0031】
プリンタ16は印刷を実行するものであり、スキャナ17は原稿の読み取りを実行するものである。LCD18は、MFP10の各種機能情報を表示するものであり、ボタン入力部19は、MFP10の各機能を実行するために使用するキー群である。ボタン入力部19は、相手先番号を入力するためのテンキーや、各種機能における動作の開始を指示するスタートキーを含んでいる。
【0032】
BOX30は、電話回線網100を使用した通信の制御を行う通信制御装置である。上述した通り、本実施形態では、1台のMFP10に対し、1又は複数台のBOX30を接続できるように構成されており、1台のBOX10毎に、1の回線番号が対応づけられている。図1に示す例では、MFP10に接続可能な3台のBOX30には、それぞれ、回線番号「052−824−1111」、回線番号「052−824−2222」、および回線番号「052−824−3333」に対応付けられている。以下の説明では、便宜上、回線番号「052−824−1111」に対応付けられたBOX30を「BOX30a」と称し、回線番号「052−824−2222」に対応付けられたBOX30を「BOX30b」と称し、回線番号「052−824−3333」に対応付けられたBOX30を「BOX30c」と称することがある。
【0033】
BOX30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、無線LAN通信制御回路34と、モデム35と、NCU36とを有する。これらの構成要素は、入出力ポート37を介して互いに接続されている。
【0034】
CPU31は、ROM32等に記憶される固定値やプログラムに従って、入出力ポート37を介して接続されている各部を制御する。ROM32は、書換不能なメモリであって、図4を参照して後述する通信制御処理を実行するためのプログラムなどが格納されている。RAM33は、書換可能な揮発性のメモリである。
【0035】
無線LAN通信制御回路34は、上述した無線LAN通信制御回路15と同様に構成される回路であり、MFP10との間に無線LAN接続を形成する。なお、無線LAN通信制御回路34にはアンテナ部(図示せず)が接続されており、このアンテナ部を介して、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する。
【0036】
モデム35は、FAX機能によって送信するFAX送信データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調して電話回線接続部(以下、「NCU」と称す)36を介して送信したり、電話回線網100からNCU36を介して入力された信号を受信し、画像データへ復調するものである。NCU36は、BOX30と電話回線網100との間を接続するものであり、回線を閉結または開放することにより、電話回線網100を介した相手側装置500との間の接続または切断を可能とする。
【0037】
図2(a)は、上述したBOX情報メモリ14aの内容を示す模式図である。BOX情報メモリ14aには、BOX情報が、通信システム1内に設定されたBOX30の数に応じた数だけ記憶される。1のBOX情報は、BOX番号14a1と、BOX使用者14a2と、回線番号14a3とから構成される。1のBOX情報(これらの情報14a1〜14a3)は、ユーザが通信システム1にBOX30を追加するために所定の設定操作を行うことによってBOX情報メモリ14aに追加される。
【0038】
BOX番号14a1は、通信システム1内に設けられたBOX30を個々に特定するBOX番号(変数)である。BOX使用者14a1は、BOX番号14a1により特定されるBOX30のユーザ(個人、グループ、会社名など)を示す情報である。回線番号14a3は、BOX番号14a1により特定されるBOX30に対応付けられている回線番号である。
【0039】
図2(a)によれば、回線番号が「052−824−1111」であるBOX30a(図1参照)は、BOX番号14a1が「1」であり、BOX使用者14a2が「山田太朗」である。同様に、BOX30bは、BOX番号14a1が「2」であり、BOX使用者14a2が「山田歯科」である。また、BOX30cは、BOX番号14a1が「3」であり、BOX使用者14a2が「山田一郎」である。
【0040】
図2(b)は、上述した電話帳メモリ14bの内容を示す模式図である。電話帳メモリ14bには、ユーザによって登録された相手先情報が記憶される。1の相手先情報は、相手先名14b2と、相手先番号14b2と、BOX番号14b3と、184フラグ14b4とから構成される。1の相手先情報(これらの情報14b1〜14b4)は、ユーザが所定の登録操作を行うことによって電話帳メモリ14bに適宜追加される。
【0041】
相手先名14b1は、1の相手側装置500のユーザ(個人、グループ、会社名など)を示す情報である。相手先番号14b2は、相手先名14b1をユーザとする相手側装置500の回線番号である。
【0042】
BOX番号14b3は、相手先番号14b2により特定される相手側装置500との通信を行う場合に発信元として使用するBOX30(30a〜30c)を特定するBOX番号であり、使用するBOX30(即ち、使用する回線番号)に応じたBOX番号が設定される。このように、電話帳メモリ14bは、1の相手先情報毎にBOX番号14b3を設定できるように構成されているので、相手側装置500(より詳細には、そのユーザ)に応じたBOX30を発信元として容易に選定することができる。
【0043】
184フラグ14b4は、BOX番号14a3により特定されるBOX30が通信エラーによって使用できず、他のBOX30を替わりに使用する場合に、相手先番号14b2の先頭に「184」を付加するか否かを規定するフラグである。この184フラグ14b4の値が「1」であれば、相手先番号14b2の先頭に「184」を付加することを示し、「0」であれば、相手先番号14b2の先頭に「184」を付加しないことを示す。
【0044】
よって、1の相手先(相手先名14b1、相手先番号14b2)に対応付けられているBOX番号14b3以外のBOX番号のBOX30が使用された場合に、その回線番号を相手側装置500へ通知するか否かを184フラグ14b4によって予め設定することができるので、相手側装置500への通知内容を自在に設定できる。また、特定のBOX30の回線番号以外の通知/非通知を、相手先情報の登録者(MFP10のユーザ)の都合に応じて適切かつ容易に制御することができる。
【0045】
図2(c)は、上述した発信履歴メモリ14cの内容を示す模式図である。発信履歴メモリ14cには、FAX送信データの送信が行われる毎に、発信履歴として、相手先番号(送信先番号)14c1と、BOX番号14c2とから構成される発信履歴データが記憶される。
【0046】
相手先番号(送信先番号)14c1は、FAX送信データの送信先とした相手側装置500の相手先番号である。BOX番号14c2は、FAX送信データを送信する際に発信元として最初に選定したBOX30(30a〜30c)を特定するBOX番号であり、使用するBOX30に応じたBOX番号が設定される。
【0047】
本実施形態のMFP10は、発信履歴メモリ14cに発信履歴データとして記憶されている相手先番号14c1の中から、FAX送信データの送信先とする相手側装置500を選ぶことができるように構成されており、送信先の相手側装置500を発信履歴データから選んだ場合には、選択された相手先番号14c1に対応するBOX番号14c2により特定されるBOX30(30a〜30c)が、発信元のBOXとして最初に選定されるように構成されている。一般的に、同じ相手側装置500へは、同じ回線番号からFAX送信データを送信する傾向にあるので、相手側装置500に対して適切な回線番号のBOX30を発信元のBOXとして容易に選定することができる。
【0048】
図2(d)は、上述した受信履歴メモリ14dの内容を示す模式図である。受信履歴メモリ14dには、相手側装置500から画像データ(FAX受信データ)を受信する毎に、受信履歴として、相手先番号(発信元番号)14d1と、BOX番号14d2とから構成される受信履歴データが記憶される。
【0049】
相手先番号(発信元番号)14d1は、画像データの発信元である相手側装置500の相手先番号である。BOX番号14d2は、画像データを受信したBOX30(30a〜30c)を特定するBOX番号であり、使用するBOX30に応じたBOX番号が設定される。
【0050】
本実施形態のMFP10は、受信履歴メモリ14dに受信履歴データとして記憶されている相手先番号14d1の中から、FAX送信データの送信先とする相手側装置500を選ぶことができるように構成されており、送信先の相手側装置500を受信履歴データから選んだ場合には、選択された相手先番号14d1に対応するBOX番号14d2により特定されるBOX30(30a〜30c)が、発信元のBOXとして最初に選定されるように構成されている。一般的に、相手側装置500から画像データを受信した場合には、その相手側装置500が使用した回線番号からFAX送信データを送信する傾向にあるので、相手側装置500に対して適切な回線番号のBOX30を発信元のBOXとして容易に選定することができる。
【0051】
図3は、MFP10のCPU11が実行するFAX送信処理を示すフローチャートである。このFAX送信処理は、送信先の相手側装置500へFAX送信データを送信するために、その発信元とする1台のBOX30へFAX送信データを送信する処理であり、ユーザが所定のFAX送信操作を行った場合に起動する。
【0052】
なお、本実施形態では、FAX送信処理を実行する契機となるFAX送信操作として、相手先番号の入力方法に応じた4種類の方法がある。第1の方法は、相手先番号をテンキー(ボタン入力部19の一部)から入力する方法である。具体的には、ユーザが、まず、送信先として所望する相手側装置500の相手先番号をテンキーから直接入力し、次に、発信元として使用するBOX30(即ち、FAX送信データを送信するために使用する回線番号)を所定の操作によって選択した後、スタートキー(ボタン入力部19の一部)を操作する方法である。
【0053】
第2の方法は、電話帳メモリ14bに記憶されている相手先番号14b2の中から相手先番号を入力する方法である。具体的には、まず、MFP10が、電話帳メモリ14bの内容をLCD18に表示し、次に、ユーザが、表示内容に基づいて1の相手先情報を選択する操作を行った後、スタートキーを操作する方法である。かかる方法では、選択された相手先情報に含まれる相手先番号14b2が送信先の相手先番号として入力され、BOX番号14b3が発信元として使用するBOX30として選定される。
【0054】
第3の方法は、発信履歴メモリ14cに記憶されている相手先番号14c1の中から相手先番号を入力する方法である。具体的には、まず、MFP10が、発信履歴メモリ14cの内容をLCD18に表示し、次に、ユーザが、表示内容に基づいて1の発信履歴データを選択する操作を行った後、スタートキーを操作する方法である。かかる方法では、選択された発信履歴データに含まれる相手先番号14c1が送信先の相手先番号として入力され、BOX番号14c2が発信元として使用するBOX30として選定される。
【0055】
第4の方法は、受信履歴メモリ14dに記憶されている相手先番号14d1の中から相手先番号を入力する方法である。具体的には、まず、MFP10が、受信履歴メモリ14dの内容をLCD18に表示し、次に、ユーザが、表示内容に基づいて1の受信履歴データを選択する操作を行った後、スタートキーを操作する方法である。かかる方法では、選択された受信履歴データに含まれる相手先番号14d1が送信先の相手先番号として入力され、BOX番号14d2が発信元として使用するBOX30として選定される。
【0056】
ユーザが所定のFAX送信操作を行ったことによりFAX送信処理が起動すると、まず、CPU11は、相手先番号の入力方法を判断する(S301)。CPU11は、相手先番号の入力方法がテンキーによるものであると判断した場合には(S301:テンキー)、テンキーから入力された相手先番号を相手先番号バッファ13aにセットする(S302)。次に、CPU11は、ユーザにより選択されたBOXに対応するBOX番号(BOX番号14a1)を、BOX情報メモリ14aを参照して取得し、そのBOX番号をBOX番号メモリ13cにセットし(S303)、処理をS308へ移行する。
【0057】
一方、CPU11は、相手先番号の入力方法が電話帳メモリ14bの内容に基づくものであると判断した場合には(S301:電話帳)、電話帳メモリ14bから選択された相手先情報の相手先番号14b2を相手先番号バッファ13aにセットする(S304)。次に、選択された相手先情報のBOX番号14b3をBOX番号メモリ13cにセットし(S305)、処理をS308へ移行する。
【0058】
また、CPU11は、相手先番号の入力方法が発信履歴メモリ14c又は受信履歴メモリ14dの内容に基づくものであると判断した場合には(S301:発信/受信履歴)、発信履歴メモリ14c又は受信履歴メモリ14dから選択された履歴データ(発信履歴データ又は受信履歴データ)の相手先番号14c1又は相手先番号14d1を相手先番号バッファ13aにセットする(S306)。次に、選択された履歴データのBOX番号14c2又はBOX番号14d2をBOX番号メモリ13cにセットし(S307)、処理をS308へ移行する。
【0059】
S308において、CPU11は、相手先番号バッファ13a及びBOX番号メモリ13cの内容を、発信履歴データとして、発信履歴メモリ14cに追加する(S308)。かかる処理により、相手先番号バッファ13aの内容を相手先番号14c1とし、BOX番号メモリ13cの内容をBOX番号14c2とする発信履歴データが、発信履歴メモリ14cに追加される。
【0060】
S308の処理後、CPU11は、BOX台数カウンタ13dの0クリアを行う(S309)。次いで、CPU11は、BOX番号メモリ13cにセットされているBOX番号に対応する発信元情報を発信元情報バッファ13bにセットする(S310)。具体的に、BOX情報メモリ14aを参照し、BOX番号メモリ13cにセットされているBOX番号に対応するBOX使用者14a2及び回線番号14a3を発信元情報として取得し、取得した発信元情報を発信元情報バッファ13bにセットする。
【0061】
詳細は後述するが、FAX送信データを相手側装置500へ出力する場合には、発信元情報バッファ13bにセットされていた発信元情報が、TSI信号として相手側装置500に出力される。S310において発信元情報バッファ13bにセットされた発信元情報は、その後に、発信元として最初に選定されたBOX30との間で通信エラーが生じ、他のBOX30を替わりに使用することになったとしても、変更されることはないので、代替的に使用したBOX30を示す識別情報が、TSI信号により相手側装置500のユーザに知られることを防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、BOX使用者14a2と回線番号14a3との組を発信元情報としたが、BOX使用者14a2だけを発信元情報としても、回線番号14a3だけを発信元情報としてもよい。また、BOX使用者及び回線番号以外にも、BOX番号メモリ13cにセットされているBOX番号により特定されるBOX30を示す情報であれば、発信元情報として使用することができる。
【0063】
次に、CPU11は、スキャナ17による原稿の読み取りを実行し(S311)、得られた画像データに、発信元情報バッファ13bにセットされている発信元情報をヘッダとして付加してFAX送信データを生成する(S312)。
【0064】
ここで、発信元情報バッファ13bにセットされている発信元情報は、S303、S305、またはS307においてBOX番号メモリ13cにセットされたBOX番号に対応する発信元情報、即ち、発信元として最初に選定されたBOX30(30a〜30c)の発信元情報である。よって、S312において生成されたFAX送信データを受信した相手側装置500から出力されるファクシミリ画像には、発信元として最初に選定されたBOX30の発信元情報(本実施形態では、BOX使用者及び回線番号)とが表示される。
【0065】
よって、発信元として最初に選定されたBOX30との間で通信エラーが生じ、替わりに他のBOX30を使用することになったとしても、相手側装置500から出力されたファクシミリ画像には、最初に選定されたBOX30の発信元情報しか表示されないので、代替的に使用したBOX30を示す識別情報が相手側装置500のユーザに知られることを防止することができる。
【0066】
S312の処理後、CPU11は、BOX番号メモリ13cにセットされているBOX番号のBOX30へ、相手先番号バッファ13aの内容と、発信元情報バッファ13bにセットされている発信元情報と、S312にて生成したFAX送信データとを送信する(S313)。詳細は後述するが、S313の処理により送信された各データを受信したBOX30は、相手先番号バッファ13aの内容に基づいて相手側装置500を発呼(接続要求)し、発信元情報バッファ13bにセットされていた発信元情報をTSI信号として相手側装置500に出力し、FAX送信データを相手側装置500に送信する。
【0067】
次に、CPU11は、S313による各データの送信が正常に終了したか否かを判断し(S314)、正常に終了したと判断すれば(S314:Yes)、FAX送信処理を終了する。
【0068】
その一方で、例えば、MFP10とBOX30との間の無線LAN接続の不具合などの原因により、S313による各データの送信が正常に終了しなかったとCPU11が判断した場合には(S314:No)、CPU11は、相手先番号の入力方法を判断する(S315)。
【0069】
CPU11は、相手先番号の入力方法が電話帳メモリ14bの内容に基づくものであると判断すると(S315:電話帳)、後述するS316〜S323の処理を実行し、通信システム1内に設定されている他のBOX30へのデータ送信を試行する。
【0070】
具体的に、CPU11は、まず、BOX台数カウンタ13dの値に1を加算し(S316)、BOX台数カウンタ13dの値が、通信システム1内に設定されているBOX30の台数から1を減算した値より大きいか否かを判断する(S317)。なお、S317において、「通信システム1内に設定されているBOX30の台数」は、例えば、BOX情報メモリ14aにおけるBOX番号14a1の最大値から求めることができる。BOX30が通信システム1に追加される毎に、通信システム1内に設定されているBOX30の台数を計数又は記憶するカウンタやメモリを設け、その値を参照する構成としてもよい。
【0071】
CPU11は、BOX台数カウンタ13dの値が、通信システム1内に設定されているBOX30の台数から1を減算した値以下であると判断すると(S317:No)、データ送信を未だ試行していないBOX30が存在するので、次のBOX30を選択するために、BOX番号メモリ13cの値に1を加算する(S318)。
【0072】
S318の処理後、CPU11は、BOX番号メモリ13cの値が、通信システム1内に設定されているBOX30の台数より大きな値であるか否かを判断する(S319)。このとき、BOX番号メモリ13cの値が、通信システム1内に設定されているBOX30の台数より大きな値であれば(S319:Yes)、BOX番号メモリ13cの値を1に設定する(S320)。
【0073】
次に、CPU11は、電話帳メモリ14bにおいて、相手先番号バッファ13aにセットされている相手先番号(即ち、送信先として選択されている相手先番号)に対応付けられている184フラグ14b4の値を取得し(S321)、取得した184フラグ14b4の値が1であるか否かを判断する(S322)。
【0074】
CPU11は、184フラグ14b4の値が1であると判断すると(S322:Yes)、相手先番号バッファ13aにセットされている相手先番号の先頭に「184」を付加し(S323)、処理をS313へ移行する。この後、S313において、代替的に選定された次のBOX30へのデータ送信が実行され、データ送信が成功した場合には、その送信先となったBOX30は、先頭に「184」が付加された相手先番号を発呼する。電話回線網100の中継装置である交換機(図示せず)は、相手先番号の先頭に「184」が付加されている場合には、発信元の回線番号を非通知とするので、代替的に使用したBOX30の回線番号が相手側装置500のナンバーディスプレイ機能によって表示されることがない。
【0075】
その一方で、CPU11は、184フラグ14b4の値が0であると判断すると(S322:No)、S323の処理をスキップして、処理をS313へ移行する。かかる場合には、データの送信先となったBOX30は、先頭に「184」を付加することなく相手先番号の発呼を行うので、相手側装置500にナンバーディスプレイ機能が設定されていれば、そのBOX30の回線番号は、相手側装置500のLCDに表示される。
【0076】
また、CPU11は、S317において、BOX台数カウンタ13dの値が、通信システム1内に設定されているBOX30の台数から1を減算した値より大きいと判断した場合には(S317:Yes)、通信システム1内に設定されている全てのBOX30についてデータ送信が成功しなかったので、LCD18にエラーを表示し(S324)、FAX送信処理を終了する。
【0077】
また、CPU11は、S315において、相手先番号の入力方法が電話帳メモリ14bの内容に基づく方法以外の方法であると判断すると(S315:電話帳以外)、かかる場合もまた、処理をS324へ移行し、LCD18にエラーを表示し(S324)、FAX送信処理を終了する。
【0078】
このように、相手先番号の入力方法が電話帳メモリ14bの内容に基づく方法以外である場合に、代替的に使用したBOX30の回線番号を通知してよいか否かは、MFP10のユーザ(FAXの送信者)や相手側装置500のユーザが誰であるかによって異なることがある。本実施形態のMFP10は、184フラグ14b4を含む電話帳メモリ14bの内容に基づく方法以外の入力方法で相手先番号が入力された場合には、発信元として最初に選定されたBOX30へのデータ送信が不成功であれば、FAX送信処理を終了するように構成されているので、その都度、送信先の相手側装置500に応じた適切な対処ができる。また、エラー表示が行われるので、MFP10のユーザは、その旨(即ち、発信元として最初に選定されたBOX30へのデータ送信が不成功であったこと)を早々に認識できる。
【0079】
図4は、BOX30のCPU31が実行する通信制御処理を示すフローチャートである。この通信制御処理は、電話回線網100を介して相手側装置500との通信を行うための処理であり、その一部として、MFP10から受信したFAX送信データを相手側装置500へ送信する処理を含む。この通信制御処理は、BOX30に電源が投入されると起動する。
【0080】
まず、CPU31は、BOX30を待機状態とする(S401)。次に、CPU31は、相手先番号、発信元情報、およびFAX送信データを、MFP10から受信したか否かを判断する(S402)。CPU31は、MFP10からこれらのデータを受信していないと判断すると(S402:No)、処理をS403へ移行する。
【0081】
一方で、CPU31は、MFP10からこれらのデータを受信したと判断すると(S402:Yes)、受信した相手先番号を発呼する(S404)。このとき、MFP10から受信した相手先番号が、その先頭に「184」が付加されている番号であれば、このBOX30に対応付けられている回線番号は、電話回線網100の交換機(図示せず)から相手側装置500に送信されない。
【0082】
S404の処理後、G3FAXのプロトコルに基づき、相手側装置500から呼を確立するCED信号や、相手側装置500の受信能力を示す信号(NSF信号、DIS信号)を受信すると、CPU31は、MFP10から受信した発信元情報をTSI信号(送受信端末信号)として送信する(S405)。ここで、本実施形態では、発信元情報は、それを受信したBOX30(例えば、BOX30b)が代替的に使用されるものであっても、送信元として最初に選定されたBOX30(例えば、BOX30a)を示す発信元情報とされるので、代替的に使用したBOX30を示す識別情報が、TSI信号により相手側装置500のユーザに知られることを防止できる。
【0083】
続いて、G3FAXのプロトコルに基づくいくつかの信号の送受信を行った後、相手側装置500から受信準備の完了を示す信号(CFR信号)を受信すると、CPU31は、MFP10から受信したFAX送信データを相手側装置500へ送信する(S406)。このとき、FAX送信データのヘッダには、発信元として最初に選定されたBOX30(例えば、BOX30a)の発信元情報が付加されているので、替わりのBOX30(例えば、BOX30b)が使用された場合であっても、その替わりのBOX30を示す識別情報が相手側装置500のユーザに知られることを防止することができる。
【0084】
S406の処理後、FAX送信データの送信が終了すると、CPU31は、処理をS403へ移行する。S403において、CPU31は、各処理として、例えば、相手側装置500から画像データを受信した場合に、ファクシミリの受信処理を実行する(S403)。その後、CPU31は、処理をS401へ移行する、BOX30を待機状態とする。なお、S403において実行すべき処理がない場合には、CPU31は、処理をS401へ移行する。
【0085】
以上説明した通り、本実施形態によれば、MFP10は、FAX送信データの発信元として最初に選定されたBOX30との間で通信エラーが生じた場合には、他のBOX30を替わりに使用してFAX送信データの送信を行うので、BOX30を介した相手側装置500へのFAX送信データ(画像データ)の送信の成功確率を高めることができる。そして、MFP10は、替わりのBOX30を使用してFAX送信データの送信を行う場合には、相手先番号の先頭に「184」を付加したり、最初に選定されたBOX30の識別情報を発信元情報とするので、代替的に使用したBOX30を特定する識別情報が相手側装置500のユーザに知られる不都合を防止できる。
【0086】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0087】
例えば、上記実施形態では、BOX30は、G3FAXのプロトコルに基づいてFAX送信を行うものとして説明したが、G4FAXのプロトコルに基づいてFAX送信を行うものであってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、BOX30と相手側装置500とが電話回線網100を介して通信されるものとしたが、BOX30と相手側装置500との間はネットワーク回線であってもよい。即ち、BOX30は、IPFAXやInternetFAXによりFAX送信を行うものであってもよい。かかる場合には、代替的なBOX30を使用するときに、BOX30を特定する識別情報(例えば、IPアドレスやe−mailアドレス)が相手側装置500へ伝達されないように制御すればよい。例えば、回線の中継装置となるサーバ装置から、BOX30を特定する識別情報が相手側装置500へ通知されないように、相手側装置500を特定する識別情報(例えば、IPアドレスやe−mailアドレス)に所定の情報を付加するようにしてもよい。または、代替的なBOX30を使用する場合であっても、最初に選定されたBOX30を特定する識別情報を、相手側装置500に認識させる発信元情報とするように構成してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、MFP10とBOX30とを無線LAN接続するよう構成したが、有線LANにより接続するものとしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、相手先番号の入力方法が電話帳メモリ14bの内容に基づく方法以外の方法である場合には、MFP10からBOX30へのFAX送信データの送信が不成功であった場合に、次のBOX30を探すことなくエラー報知をして終了する構成としたが、相手先番号の入力方法にかかわらず、MFP10からBOX30へのFAX送信データの送信が不成功であった場合に、次のBOX30を探す構成としてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、MFP10がBOX30を介してファクシミリ送信データを相手側装置500へ送信する場合に、発信元として最初に選定されたBOX30へのファクシミリ送信データの送信が不成功であった場合に、相手先番号の先頭に「184」を付加する構成としたが、MFP10が送受話器を有すると共に、ボタン入力部19の1つとしてオフフックキーを有する通話装置である場合であっても適用可能である。即ち、例えば、電話帳メモリ14bに記憶されている相手先番号14b2の中から所望の相手先番号を選択した状態でオフフックキーを操作し、BOX30を介して、選択した相手先番号の相手側装置500と通話を行う場合に、発信元として最初に選定されたBOX30との通信が不成功であった場合(例えば、回線番号の送信が不成功であった場合)に、相手先番号の先頭に「184」を付加する構成としとしてもよい。かかる場合も、上記実施形態と同様、代替的に使用したBOX30の回線番号が相手側装置500に通知されず、相手側装置500のユーザに代替的に使用したBOX30の情報を知られることがない。
【0092】
また、上記実施形態では、通信システム1を、MFP10と、BOX30とか構成されるものとしたが、通信システム1が、BOX30と無線LAN又は有線LANにより接続され、BOX30を介して相手側装置500と通話可能な子機を有する構成としてもよい。かかる場合に、子機と、発信元として最初に選定されたBOX30との通信が不成功であった場合に、相手先番号の先頭に「184」を付加する構成としとしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 通信システム
10 MFP(通信装置の一例)
13b 発信元情報バッファ(第1の情報記憶手段の一例,第2の情報記憶手段の一例)
14b 電話帳メモリ(相手側装置記憶手段の一例)
19 ボタン入力部(送信指示手段の一例)
30 BOX(通信制御装置の一例)
100 電話回線網(回線の一例,電話回線の一例)
500 相手側装置
S302 選定手段の一例
S305 選定手段の一例
S307 選定手段の一例
S312 情報付加手段の一例
S313 第1の送信手段の一例,第2の送信手段の一例
S321 制御手段の一例
S324 報知手段の一例
S404 接続要求手段の一例
S406 画像データ送信手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線を介した相手側装置との通信を制御する通信制御装置にネットワーク接続可能に構成され、その通信制御装置および回線を介して相手側装置に画像データを送信する通信装置であって、
所定の識別情報により特定される相手側装置への画像データの送信を指示する送信指示手段と、
各々に識別情報が対応付けられている複数台の通信制御装置が存在する場合に、これら複数台の通信制御装置の中から、1の通信制御装置を第1通信制御装置として選定する選定手段と、
前記選定手段による第1通信制御装置の選定と、前記送信指示手段による画像データの送信指示とが行われた場合に、前記第1通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第1通信制御装置へ送信する第1の送信手段と、
その第1の送信手段による送信が不成功であった場合には、前記複数台の通信制御装置の中から、他の通信制御装置を前記第1通信制御装置に替わる第2通信制御装置として選定し、前記第2通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第2通信制御装置へ送信する第2の送信手段と、
その第2の送信手段により送信される前記所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加する制御手段とを備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記選定手段により第1通信制御装置が選定された場合に、その第1通信制御装置を示す情報を記憶する第1の情報記憶手段を備え
前記第2の送信手段は、前記所定の識別情報と画像データを前記第2通信制御装置へ送信すると共に、前記第2通信制御装置が相手側装置へ出力する発信元情報として、前記第1の情報記憶手段に記憶されている情報を該第2通信制御装置へ送信することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記選定手段により第1通信制御装置が選定された場合に、その第1通信制御装置を示す情報を記憶する第2の情報記憶手段と、
前記第2の情報記憶手段に記憶されている情報を、送信すべき画像データに付加する情報付加手段とを備え、
前記第1の送信手段又は第2の送信手段は、前記第1通信制御装置又は第2通信制御装置へ送信する画像データとして、前記情報付加手段によって情報が付加された画像データを送信することを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
複数の相手側装置の各々について、相手側装置の識別情報を記憶可能な相手側装置記憶手段と、
前記第1の送信手段は、前記相手側装置記憶手段に記憶されている相手側装置の中から、1の相手側装置の識別情報が画像データの送信先として選択されて、前記送信指示手段による画像データの送信指示がされた場合には、その選択された識別情報を前記所定の識別情報として前記第1通信制御装置へ送信するものであり、
前記送信指示手段による画像データの送信先とされる相手側装置の識別情報が、前記相手側装置記憶手段に記憶されている識別情報以外の識別情報である場合に、前記第1の送信手段による送信が不成功であれば、前記第2の送信手段による送信を禁止して、報知を行う報知手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
複数の相手側装置の各々について、相手側装置の識別情報と、前記第2の送信手段による前記付加情報が付加された識別情報の送信を行うことを示す第1情報、又は、前記付加情報が付加された識別情報の送信を行わないことを示す第2情報のいずれかとを対応付けて記憶可能な相手側装置記憶手段と、
前記第1の送信手段は、前記相手側装置記憶手段に記憶されている相手側装置の中から、1の相手側装置の識別情報が画像データの送信先として選択されて、前記送信指示手段による画像データの送信指示がなされた場合には、その選択された識別情報を前記所定の識別情報として前記第1通信制御装置へ送信するものであり、
前記第2の送信手段は、前記相手側装置記憶手段に記憶されている相手側装置の中から1の相手側装置の識別情報が画像データの送信先として選択された場合には、その選択された識別情報に対して前記相手側装置記憶手段において前記第1情報が対応付けられている場合には、前記所定の付加情報が付加された前記選択された識別情報を、前記所定の番号として前記第2通信制御装置へ送信する一方で、前記第2情報が対応付けられている場合には、前記選択された識別情報を、前記所定の番号として前記第2通信制御装置へ送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記回線は、電話回線であり、
前記制御手段は、前記第2の送信手段により送信される前記所定の識別情報に、送信元の識別情報が交換機から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
回線を介した相手側装置との通信を制御する通信制御装置と、その通信制御装置にネットワーク接続可能に構成され、その通信制御装置および回線を介して相手側装置に画像データを送信する通信装置とから構成される通信システムであって、
前記通信装置は、
所定の識別情報により特定される相手側装置への画像データの送信を指示する送信指示手段と、
各々に識別情報が対応付けられている複数台の通信制御装置が存在する場合に、これら複数台の通信制御装置の中から、1の通信制御装置を第1通信制御装置として選定する選定手段と、
前記選定手段による第1通信制御装置の選定と、前記送信指示手段による画像データの送信指示とが行われた場合に、前記第1通信制御装置から電話回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第1通信制御装置へ送信する第1の送信手段と、
その第1の送信手段による送信が不成功であった場合には、前記複数台の通信制御装置の中から、他の通信制御装置を前記第1通信制御装置に替わる第2通信制御装置として選定し、前記第2通信制御装置から電話回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置へ画像データが送信されるように、前記所定の識別情報と画像データとを前記第2通信制御装置へ送信する第2の送信手段と、
その第2の送信手段により送信される前記所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加する制御手段とを備え、
前記通信制御装置は、
前記第1の送信手段又は前記第2の送信手段により前記通信装置から送信された前記所定の識別情報により特定される相手側装置に接続要求を行う接続要求手段と、
その接続要求手段による接続要求に基づいて相手側装置が回線に接続された場合に、前記第1の送信手段又は前記第2の送信手段により前記通信装置から送信された画像データを該相手側装置に送信する画像データ送信手段とを備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
回線を介した相手側装置との通話を制御する通信制御装置にネットワーク接続可能に構成され、その通信制御装置および回線を介して相手側装置との通話を行う電話装置であって、
所定の識別情報により特定される相手側装置との通話の開始を指示する通話指示手段と、
各々に識別情報が対応付けられている複数台の通信制御装置が存在する場合に、これら複数台の通信制御装置の中から、1の通信制御装置を第1通信制御装置として選定する選定手段と、
前記選定手段による第1通信制御装置の選定と、前記通話指示手段による通話の開始指示とが行われた場合に、前記第1通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置との通話を行うために、前記所定の識別情報を前記第1通信制御装置へ送信する第1の送信手段と、
その第1の送信手段による送信が不成功であった場合には、前記複数台の通信制御装置の中から、他の通信制御装置を前記第1通信制御装置に替わる第2通信制御装置として選定し、前記第2通信制御装置から回線を介して前記所定の識別情報により特定される相手側装置との通話を行うために、前記所定の識別情報を前記第2通信制御装置へ送信する第2の送信手段と、
前記第2の送信手段により送信される前記所定の識別情報に、送信元の識別情報が回線の中継装置から相手側装置に通知されないようにするための所定の付加情報を付加する制御手段とを備えていることを特徴とする通話装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−80197(P2012−80197A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221202(P2010−221202)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】