通信装置、通信方法及び通信プログラム
【課題】接続性を高めつつ、NGNを含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置等を提供すること。
【解決手段】本発明に係る通信装置は、接続形態がセッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態である場合、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信しエラーレスポンスを受信したとき、複数の候補帯域の中から第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し宣言受託メッセージを受信したとき、通信帯域を第2の帯域と決定する。
【解決手段】本発明に係る通信装置は、接続形態がセッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態である場合、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信しエラーレスポンスを受信したとき、複数の候補帯域の中から第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し宣言受託メッセージを受信したとき、通信帯域を第2の帯域と決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及び通信プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、これまでのアナログ電話回線を利用していたFAXをIP化することにより、IP網を経由してFAXデータを送受信するIP−FAXが普及している。
【0003】
図1は、IP−FAX構成例1を示す。図に示されるように、IP−FAX装置(例えば複合機)はLAN(又はWAN)で相互に接続されており、送信先のFAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、LANを介してFAXデータをパケットとして送受信する。また送信先のFAX装置が外部(外線)のアナログFAX装置である場合には、FAXデータをVoIP−GW(VoIP gateway:電話網とIPネットワークの間の中継機器)と送受信し、VoIP−GWからは公衆電話網を介してアナログ音声データを送受信する。
【0004】
さて、2010年6月より日本電信電話株式会社(NTT)は、NGN(Next Generation Network)を利用したデータコネクトサービスをスタートさせた(例えば特許文献1参照)。このNGNサービスは、QoSやセキュリティを向上させた統合IP網を構築し、電話網を代替できる次世代の通信インフラとして、音声/映像/画像(IP-FAXなど)のようなリアルタイム指向のデータをNGN網の公衆回線で転送するサービスである。従来のIP−FAXでは、不特定多数者が利用するインターネットを利用することによるセキュリティの問題から、特に企業ではこれまでIP−FAXの利用をイントラネットだけに限定して使用されることも多かった。しかしこのNGNにIP−FAXを接続することで、従来のアナログ電話回線と同様、安全に公衆回線(NGN網)上の任意のIP−FAX装置同士を接続できるようになった。NGNサービスの利用には加入が必要であり、装置毎にNGN番号(電話番号のようなもの)が与えられるので、網内に接続される装置は身元が明らかであるからである。
【0005】
図2は、IP−FAX構成例2を示す。図に示されるように、IP−FAX装置(例えば複合機)はNGNで相互に接続されており、送信先のFAX装置が外部(外線)のIP−FAX装置である場合には、NGN網を介して安全にFAXデータをパケットとして送受信する。また送信先のFAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、LANを介してFAXデータをパケットとして送受信する。
【0006】
NGNを利用するに際しては、上述の如く装置毎にNGN番号が与えられているので、送信元のIP−FAX装置はFAXを送信するときには、送信先のIP−FAX装置のNGN番号に対して送信(発呼)する。一方、FAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、そのIP−FAX装置に対し与えられている内線番号(IPアドレスに変換される)に対して送信する。このときNGN網又はイントラネット内への振り分けは、NGN−HGW(NGN homegateway)が行う。
【0007】
図3は、伝送レート毎の料金体系の一例を示す。NGNサービスの利用に際しては、NGN網を使用する伝送レートに応じて通信料金が設けられている。つまりNGNサービスは、通信で利用する帯域が網により保証され、利用する帯域に応じて単位時間あたりの通信料金が課金されるようになっている。そのためIP−FAX装置は、FAX通信に際しNGN網を使用する帯域(伝送レート)を決定する必要があるが、その帯域はIP−FAX装置同士(発呼機及び着呼機)のネゴシエーションにより決定されることが規定されている。
【0008】
具体的に、帯域のネゴシエーションは、オファー側(例えば発呼機)が利用したい帯域を宣言し、アンサー側(例えば着呼機)は、自身の状況を加味しオファー側で宣言された帯域を受託するという手順行われ、その後アンサー側で宣言受託された帯域で通信が行われる。そしてこのとき、NGN網はアンサー側で宣言されたその帯域を参照することで使用する伝送レートの情報(課金情報)を取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の如く、NGN網を使用する帯域(伝送レート)は、IP−FAX装置同士のネゴシエーションにより決定されるが、このネゴシエーションにより帯域が決定すればその決定された帯域でもってIP−FAX装置同士の通信が行われることになる。しかし一方、オファー側が利用したい帯域を宣言し、アンサー側がオファー側で宣言された帯域を受託できない場合には、アンサー側は宣言された帯域は利用できない旨を表すエラーレスポンスをアンサー側に返答し、オファー側はエラーレスポンスを受け取った場合には、帯域を変更しての再度のオファー(フォールバック)を行うことが推奨されている。
【0010】
しかしながら、あくまで推奨はされているものの、具体的な帯域変更方法については何ら規定されていないため、NGN対応すべくIP−FAX装置にネゴシエーション機能を実装させる場合には、課金との兼ね合いもあることから具体的にどのように再度のオファー(フォールバック)を行うべきかが問題となる。
【0011】
またIP−FAX装置にネゴシエーション機能を実装したとしても、NGN網を利用しない接続形態(例えば図1)も存在しうることもあり、従来のIP−FAXにおいては帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。
【0012】
本発明は上記のような問題に鑑み提案されたものであり、接続性を高めつつ、NGN(Next Generation Network)を含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを本発明により提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置であって、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶した記憶手段と、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手段と、前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手段と、前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手段と、対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手段と、を有し、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定することを特徴とする。
【0014】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異ならない又は該IPネットワークを利用するに課金されないIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介して接続された第2の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定することを特徴とする。
【0015】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、前記第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、該第2のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したときであって、該第2の帯域が前記複数の候補帯域の中で最も低い帯域である場合には、対向通信装置との通信を中止することを特徴とする。
【0016】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、対向通信装置との通信を中止することを特徴とする。
【0017】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する宣言設定手段を有し、前記宣言設定手段により宣言しないと設定され、且つ前記接続形態が、前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないことを特徴とする。
【0018】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、接続性を高めつつ、NGN(Next Generation Network)を含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】IP−FAX構成例1を示す。
【図2】IP−FAX構成例2を示す。
【図3】伝送レート毎の料金体系の一例を示す。
【図4】本実施形態に係るシステム構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る複合機1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】候補帯域例を示す。
【図8】宣言帯域の設定画面例である。
【図9】ルートAにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【図10】NGN用のHWGを介した外線接続構成(ルートA)におけるフォールバック仕様である。
【図11】ルートBにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【図12】ルートCにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。なお本実施形態においては、本発明に係る通信装置の一例としてFAX機能を備えた複合機に本発明を適用した例を以下に示す。
【0022】
[システム概要]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図4は、本実施形態に係るシステム構成図である。図4は上述の図1、2のIP−FAX構成例を踏まえ、FAXを行う際の送信先への接続構成パターンを網羅し、1つの図に模式的に纏めたものである。つまり、本実施形態に係る複合機1は、それぞれ接続構成の異なる複合機2〜5に対しFAX送信する際、その接続構成毎に応じて通信を行う帯域のネゴシエーションに係る制御を行うため、接続構成としてルートA〜Dからなる4つのパターンを示した。また図中の複合機1〜5は、コピー、スキャナ、プリンタ、ファックス(アナログFAX及びIP−FAX)などの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置である。
【0023】
(ルートA)
ルートAは、NGN用のHGWを介した外線接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機2は、イントラネットであるLAN及びNGN網を介し相互に接続されている。複合機1が外部FAX送信先の複合機2にFAXする場合には、複合機2の「外線番号(NGN番号)」を指定しNGN−HGW10にFAXデータパケットを転送すると、NGN−HGW10はNGN網(ひいては対向するNGN−HGW11)にそのFAXデータパケットを転送し、NGN−HGW11は複合機2にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0024】
(ルートB)
ルートBは、NGN用のHGWを介したイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機3は、NGN−HGW10を介しイントラネットであるLAN(例えば社内LAN)を介し相互に接続されている。複合機1が内部FAX送信先の複合機3にFAXする場合には、複合機3の「内線番号」を指定しNGN−HGH10にFAXデータパケットを転送すると、NGN−HGH10はその「内線番号」に対応付けされて登録されている複合機3のIPアドレスを特定し、複合機3にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0025】
(ルートC)
ルートCは、NGN用のHGWを介さずに、ルータ(Network Router)を介しイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機4は、ルータ12を介しイントラネットであるLANを介し相互に接続されている。複合機1が内部FAX送信先の複合機4にFAXする場合には、複合機4の「IPアドレス」(又はホスト名やエイリアス名、所定の内線番号等)を指定しルータ12にFAXデータパケットを転送すると、ルータ12は複合機4にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0026】
なおルートBとは、FAX送信先がイントラネットであるLANを介し接続されている点は同じであるが(例えば社内LAN)、NGN用のHGWを介していない点で異なる。また複合機1が複合機4にFAXする場合には、複合機4の「IPアドレス」を指定するものとしたが、仮にホスト名やエイリアス名、内線番号等であった場合には、何らかの変換手段(ホストファイルや変換サーバ等)により、結局は最終的に複合機4のIPアドレスが特定されればよい。
【0027】
(ルートD)
ルートDは、VoIP−GW13を介し外線接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機5は、イントラネットであるLAN及びVoIP−GW13を経由した公衆電話網を介し相互に接続されている。複合機1が外部FAX送信先の複合機5にFAXする場合には、複合機5の「電話番号」を指定しVoIP−GW13にFAXデータパケットを転送すると、VoIP−GW13は複合機5の電話番号に対し発呼し、FAXデータパケットをアナログ音声データに変換し、公衆電話網を介してそのアナログ音声データを転送する(逆も同様)。
【0028】
以下、ルートA〜Dからなる4つの接続構成パターン毎に、本実施形態に係る複合機1の通信帯域のネゴシエーションに係る制御を説明していく。なおいうまでもなくルートA〜Dを想定したのはあくまで説明の便宜上でためであり、実際にはユーザの都合や必要に応じて実現されうる。典型的に例えば、FAXに外線、及び内線(社内LAN)を利用するユーザであって、外線をNGNサービスのみを利用するユーザであれば、ルートA、Bを構築すればよい。ルートC、Dは不要である。また例えば、FAXに外線、及び内線(社内LAN)を利用するユーザであって、外線にNGNサービスのみならず、公衆電話網を残して利用するユーザであれば、ルートA、B、D、もしくはルートA、C、Dを構築すればよい。ここで、ルートB、CはいずれもFAX送信先がイントラネットであるLAN(例えば社内LAN)を介し接続されているため、いずれか1のルートを構築しさえすれば足りる。
【0029】
(ハードウェア)
ここで、本実施形態に係る複合機1(及び複合機2〜5)のハードウェア構成について簡単に説明しておく。図5は、本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る複合機1は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0030】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、複合機1に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、LCD(液晶ディスプレイ)などで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、複合機1をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェースである。HDD17は、複合機1で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データなどの各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0031】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0032】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、複合機1が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
【0033】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0034】
このように、本実施形態に係る複合機1では、上記ハードウェア構成により、コピー、プリンタ、ファクシミリ(FAX)、スキャナなどの複数の機能を実現している。
【0035】
なお、NGN−HGW10、NGN−HGW11、ルータ12、VoIP−GW13については、従来のものを適用可能であるため、これらハードウェア構成についての説明は割愛する。
【0036】
(機能)
図6は、本実施形態に係る複合機1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、接続形態判定部101、帯域登録部102、記憶部103、帯域選択部104、SIP制御部105、帯域決定部106、宣言設定部107を含み構成される。
【0037】
接続形態判定部101は、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する。具体的に、対向通信装置である複合機2〜5とのネットワークの接続形態を判定する。そしてここでいう接続形態は、例えば上述のルートA〜Dに相当する。よって例えば、複合機2と通信を行う際には、ルートA:NGN用のHGWを介した外線接続構成であることを判定する。
【0038】
帯域登録部102は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を予め記憶部103に登録する。本実施形態においては接続形態がルートA用、ルートB用の2種類を登録しておく。なお接続形態がルートAの場合に用いられる複数の候補帯域の一例として、図3の伝送レート例が挙げられる。この場合、ルートA用の候補帯域として3つの候補帯域が登録される。
【0039】
記憶部103は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶したメモリである。候補帯域は、接続形態がルートA用、ルートB用を用意しておく。ルートA用のものは、NGNサービス提供者(NTT)に提供された課金範囲毎の帯域を候補帯域として登録され、ルートB用のものは、複合機1固有に定められた帯域が例えば工場出荷時から記憶される。これら具体例は再度後述する。
【0040】
帯域選択部104は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する。ここで選択された帯域がネゴシエーションメッセージによる宣言帯域となる。
【0041】
SIP制御部105は、接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行う。両通信装置間でセッションを確立するためである。特に、接続形態がNGNに関するルートA又はルートBである場合には、ネゴシエーションメッセージを通じて両通信装置間で通信を行う帯域が決定される。
【0042】
帯域決定部106は、対向通信装置との通信を行う帯域を決定する。特に、接続形態がNGNに関するルートA又はルートBである場合には、ネゴシエーションメッセージに基づき帯域を決定する。即ち、帯域を宣言したネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、その帯域を対向通信装置との通信を行う帯域と決定する。
【0043】
宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する。宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートC又はルートDであると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しない。
【0044】
以上これらの機能は、実際には装置のCPU13cが実行するプログラムによりコンピュータに実現させるものである。
【0045】
(候補帯域)
図7は、候補帯域例を示す。図中の(a)はルートA用の候補帯域例、(b)はルートB用の候補帯域例である。いずれも通信に先立って予め記憶部103に登録・記憶されている。
【0046】
(a)は、ルートA用として、NGN網を介して通信を行う際に使用する帯域の候補(複数)である。上述したようにNGNサービスの利用に際しては、NGN網を使用する伝送レートに応じて通信料金が設けられている。そのためルートAつまりNGN網を利用する場合には、使用する帯域の候補として課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用する。よってここでは3つの候補帯域が登録される。勿論、通信料金(課金単位)が変更されればそれに伴いルートA用の候補帯域も変更される。
【0047】
(b)は、ルートB用として、NGN−HGW10は介するがNGN網を介さず通信を行う際に使用する帯域の候補(複数)である。NGN網を介さないので通信料金は発生せず、ルートA用のように使用する帯域の候補として課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用する必要はない。たとえどの帯域を使用して通信したとしても課金されないからである。このためルートB用の帯域候補には、任意・所定の帯域を適用する。ここでは例えば複合機1の仕様に応じて例えば5つの候補帯域を登録した(例えば工場出荷時)。
【0048】
なお、候補帯域は次のように利用される。ルートA又はルートBであれ、NGN−HGW10を経由する限り、通信のセッションを確立する際、両装置間で利用する帯域を決定することが規定されている(NGN仕様)。ルートBの場合、NGN網を介さないもののNGN−HGW10を経由する構成であるので、NGN仕様に従う必要がある。NGN−HGW10はNGN仕様のゲートウェイであるからである。
【0049】
帯域のネゴシエーションは、オファー側(例えば発呼機)が利用したい帯域を宣言し、アンサー側(例えば着呼機)は、自身の状況を加味しオファー側で宣言された帯域を受託するという手順行われ、その後アンサー側で宣言された帯域で通信が行われる。よって、オファーを行う複合機1がオファーを行う場合、接続形態がルートAのときには(a)ルートA用の候補帯域の中から1つ帯域を選択し、選択した帯域をアンサー側(例えば複合機2)に宣言する。帯域の選択は、後述するように複合機1の操作パネル11からユーザが選択してもよいし、予め設定されている帯域として例えば最速帯域である1Mbpsが自動的に選択されてもよい。
【0050】
同様に、接続形態がルートBのときには(b)ルートA用の候補帯域の中から1つ帯域を選択し、選択した帯域をアンサー側(例えば複合機3)に宣言する。帯域の選択は、後述するように複合機1の操作パネル11からユーザが選択してもよいが、ルートBの場合、ルートA(NGN網利用)の場合と異なり使用する帯域によって通信料金が発生する訳ではないので、通常は予め設定されている帯域として例えば最速帯域である1Mbps(デフォルト値)が自動的に選択されるとよい。
【0051】
宣言した帯域がアンサー側に受託されれば、その帯域でもって以後の通信が実施されるが、仮に宣言した帯域がアンサー側に受託されず、その旨を示すエラーレスポンスを行った複合機1が受信した場合、候補帯域の中から他の帯域を再宣言する。より具体的には、候補帯域の中から他のより低い帯域を再宣言する。エラーレスポンスの原因は様々であるが、より低い帯域であれば今後は受託される可能性が高いからである。
【0052】
なお上述の如く、(a)ルートA用の候補帯域は、使用する帯域の候補としてNGN課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用したものであった。従って、1Mbpsでの宣言が受託されなかった場合には、次の帯域範囲の境目、つまり帯域範囲(64Kbps〜512Mbps)における最速帯域である512Kbpsで再宣言を行う。最速帯域である512Kbpsで宣言するのは、帯域範囲(64Kbps〜512Mbps)であれば通信料金は同一なので、あえて例えば256Kbpsで宣言する必要性に乏しいからである。また逆に同一の帯域範囲に属する帯域速度を候補帯域として用意していない(例えば512Kbps、256Kbpsのそれぞれを候補帯域としない)。
【0053】
[情報処理]
以下、本実施形態に係る複合機1の情報処理について説明していく。
(接続形態の判定処理)
まず複合機1が複合機2〜5いずれかに対し、FAX通信を行う場合、ユーザは複合機1の操作パネル11を操作し、送信先(発呼先)を指定又は入力する。すると複合機1の接続形態判定部101は、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する。本実施形態においては、対向通信装置である複合機2〜5とのネットワークの接続形態として上述のルートA〜Dのいずれであるかを判定する。
【0054】
具体的な判定方法としては、例えば単純には、予め複合機2〜5と、それぞれに対応するルートA〜Dとを対応付けて登録しておけば、複合機2〜5が指定されたときには容易にネットワークの接続形態を判定することができる。
【0055】
またもしくは、例えば送信先(発呼先)として指定・入力された複合機2〜5の宛先情報(外線番号、内線番号、IPアドレス、ホスト名、エイリアス名等)によって、これを解析し、ルートA〜Dのいずれかの接続形態に対応するものであるかを判定することもできる。
【0056】
より具体的に、指定・入力された宛先情報が、数字番号である場合(但し例えば2、3桁)には、ルートA、ルートBがありうる。ルートA、ルートBの場合、ルートAのNGN網経由の外線番号と、ルートBのイントラLAN経由の内線番号とを併用できるようにするためNGN−HGW10を経由する構成になっているからである。そしてNGN番号は3桁であるので3桁ならばルートA、そうでなければルートBとなる(ルートBのものは2桁以外で設定する)。
【0057】
また、指定・入力された宛先情報が、IPアドレス(数字及びドット)、ホスト名(英数字)、エイリアス名(英数字)等である場合には、ルートCである。ルートBとは、FAX送信先がイントラネットであるLANを介し接続されているからである(例えば社内LAN)。
【0058】
また、指定・入力された宛先情報が、数字番号であり電話番号である場合ルートDである。
【0059】
なお結局、宛先情報はユーザの運用次第でルール化、決定、管理されるものであるから、その解析もまたユーザの運用に従って解析され、その結果最終的に接続形態が判定されればよい。
【0060】
(宣言する帯域の選択処理)
上述したように、接続形態がルートA、ルートBの場合には、オファー側(例えば発呼機)とアンサー側(例えば着呼機)で帯域のネゴシエーションを行う必要があるが、特に接続形態がルートAのときにはNGN網を利用し通信料金が発生するので、ネゴシエーションで宣言する帯域を複合機1の操作パネル11からユーザが選択することができる。
【0061】
図8は、宣言帯域の設定画面例である。「ホームゲートウェイ 外線利用時」とは、接続形態がルートAであることを示し、このときユーザは操作パネルから、例えば「低速」、「中速」、「高速」のいずれか1を選択できる。ここでこれら選択肢は図7(a)の候補帯域に対応しており、具体的に「低速」は「〜64Kbps」、「中速」は「〜512Kbps」、「高速」は「〜1Mbps」に対応している。
【0062】
なお操作パネル11の選択肢表記として、「64Kbps」、「512Kbps」、「1Mbps」とすることも可能であるが、「低速」、「中速」、「高速」と選択肢表記すると、仮にNGNサービスの仕様変更(帯域変更)があったとき、図7(a)の候補帯域の情報のみ更新すればよく、設定画面の選択肢表記を変更する手間を省くことができるからである。
【0063】
本実施形態においては、「ホームゲートウェイ 外線利用時」の速度を「高速」と設定されたものとし、従って宣言帯域は「〜1Mbps」と設定されたものとする。
【0064】
なおまた、ルートBの場合にも、オファー側とアンサー側で帯域のネゴシエーションを行う必要があるので、宣言帯域を設定する必要があるが、特に通信料金は発生しないので、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているのとする。
【0065】
(SIP制御処理)
次に、接続形態(ルートA〜D)が判定されると、SIP制御部105は、接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行う。以下説明する。
【0066】
<ルートA>
ルートAは、NGN用のHGWを介した外線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。そのため複合機1が外部FAX送信先の複合機2にFAXする場合には、まず通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションを行う通信を行う帯域を決定する必要がある。
【0067】
図9は、ルートAにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0068】
S1:SIP制御部105は、ルートA用の選択候補の中から選択された帯域範囲の最大帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、「ホームゲートウェイ 外線利用時」の速度を「高速」と設定されたため、宣言帯域範囲は「〜1Mbps」と設定されている。よって帯域範囲512Kbps〜1Mbpsの最大帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機2に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機2の宛先情報に基づき、NGN−HGW10、NGN網を介して送信される。そして複合機2は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0069】
S2:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機2に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS3へ進む。
【0070】
S3:宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定する。再宣言するための他の帯域範囲がさらに存在するかどうかを確認するためである。本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜1Mbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜1Mbps」よりも低い帯域範囲は存在するので、S4へ進む。
【0071】
S4:ルートA用の選択候補の中から選択された帯域範囲より低い帯域範囲の最大帯域を選択し、その最大帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信する。具体的に、選択された帯域範囲は「〜1Mbps」であるので、これよりも一段階低い帯域範囲「〜512Kbps」の最大帯域512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機2に対し再送信する。
【0072】
S5:再び宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機2に対し、512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(512Kbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合には再びS3へ進む。
【0073】
S3では、宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜512Kbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜512Kbps」よりも低い帯域範囲「〜64Kbps」は存在するので、同様にS4へ進む。
【0074】
そしてS4で、さらに一段階低い帯域範囲「〜64Kbps」の最大帯域64Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機2に対し再送信する。S5で受託されれば、S6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(64Kbps)での通信を実施する。一方宣言非受託された場合、この場合には再びS3へ進む。
【0075】
S3では、宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜64Kbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜64Kbps」よりも低い帯域範囲は存在しないため、S7へ進む。
【0076】
S7:複合機1は複合機2との通信を中止する。複合機1には、これ以上宣言すべき帯域は存在しないからである。
【0077】
図10は、NGN用のHWGを介した外線接続構成(ルートA)におけるフォールバック仕様である。上述したように、オファーで宣言した帯域が受託されずエラーレスポンスと受信した場合には、より低い帯域での宣言を行うようになっている。またより低い帯域が存在しない場合には、再宣言を行わないようになっている。
【0078】
以上のように本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートAである場合、課金単位毎の帯域範囲(図7(a))の最大帯域を宣言帯域として複合機2とのネゴシエーションを行う。そして宣言が非受託されたときには、該帯域範囲を下げ、その低い帯域範囲の最大帯域を宣言帯域として複合機2とのネゴシエーションを再び行う。従って複合機1は一旦宣言した非受託された場合であっても、受託される可能性の高い下の帯域を宣言して再び複合機2とのネゴシエーションを行うので、複合機2との接続性を高めることができる。
【0079】
<ルートB>
ルートBは、NGN用のHGWを介した内線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。そのため複合機1がイントラLAN内の複合機3にFAXする場合には、まず通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションを行う通信を行う帯域を決定する必要がある。NGN−HGW10を経由する限り、通信のセッションを確立する際、両装置間で利用する帯域を決定することが規定されている(NGN仕様)からである。
【0080】
図11は、ルートBにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0081】
S21:SIP制御部105は、ルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているため、宣言帯域は「1Mbps」と設定されている。よって帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機3に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機3の宛先情報に基づき、NGN−HGW10、イントラLANを介して送信される。そして複合機3は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0082】
S22:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機3に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS23へ進む。
【0083】
S23:宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域より低い帯域はあるか否か判定する。再宣言するための他の帯域がさらに存在するかどうかを確認するためである。本実施形態では、選択された帯域は「1Mbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「1Mbps」よりも低い帯域範囲は存在するので、S24へ進む。
【0084】
S24:ルートB用の選択候補の中から選択された帯域より低い帯域を選択し、その帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信する。具体的に、選択された帯域は「1Mbps」であるので、これよりも一段階低い帯域512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機3に対し再送信する。
【0085】
S25:再び宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機3に対し、512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(512Kbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合には再びS23へ進む。
【0086】
S23では、宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域は「512Kbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「512Kbps」よりも低い帯域「64Kbps」は存在するので、同様にS24へ進む。
【0087】
そしてS24で、さらに一段階低い帯域64Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機3に対し再送信する。S25で受託されれば、S26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(64Kbps)での通信を実施する。一方宣言非受託された場合、この場合には再びS23へ進む。
【0088】
S23では、宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域より低い帯域はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域は「64Kbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「64Kbps」よりも低い帯域は存在しないため、S27へ進む。
【0089】
S27:複合機1は複合機2との通信を中止する。複合機1には、これ以上宣言すべき帯域は存在しないからである。
【0090】
以上のように本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートBである場合、課金単位毎の帯域範囲とは関係のない複合機1仕様の帯域を宣言帯域として複合機3とのネゴシエーションを行う。そして宣言が非受託されたときには、該帯域範囲を下げ、その低い帯域を宣言帯域として複合機3とのネゴシエーションを再び行う。従って複合機1は一旦宣言した非受託された場合であっても、受託される可能性の高い下の帯域を宣言して再び複合機3とのネゴシエーションを行うので、複合機3との接続性を高めることができる。
【0091】
<ルートC>
ルートCは、NGN用のHGWを介さずに、ルータ(Network Router)を介しイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。複合機1及び複合機4は、ルータ12を介しイントラネットであるLANを介し相互に接続されている。このような従来のIP−FAXにおいては帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。
【0092】
また、従来のNGN用のHWGを介さないイントラ接続(内線接続)では、ネゴシエーションを行う場合には着呼機側(例えば複合機4)から帯域を宣言する方式が主流である。従って、発呼機側(例えば複合機1)が帯域を宣言し、着呼機側からエラーレスポンスを受け取った場合、フォールバックする術がない(着呼機側から再発呼する手順はない)。よって、本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートCである場合、着呼機側からエラーレスポンスを受け取ったときは、発呼機側(例えば複合機1)が帯域を宣言するネゴシエーション方式は不可と判断し、一旦FAX送信を中止するようにする。以下説明する。
【0093】
図12は、ルートCにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0094】
S31:SIP制御部105は、ルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているため、宣言帯域は「1Mbps」と設定されている。よって帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機4に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機4の宛先情報(例えばIPアドレス等)に基づき、ルータ12、イントラLANを介して送信される。そして複合機4は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0095】
なおルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としてそのまま使用しているのは、ルートB、ルートCの場合もイントラLANを介した内線接続であり、NGN利用時と異なり特段通信料金は発生しないため、ルートCの場合も複合機仕様の帯域で宣言すればよいからである。
【0096】
S32:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機4に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS24へ進み、複合機1は複合機4とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS33へ進む。
【0097】
S33:複合機1は複合機4との通信を中止する。複合機1が帯域を宣言するネゴシエーション方式は不可(複合機4が未対応)と判断し、一旦FAX送信を中止するようにする。その後は、従来の帯域を宣言しない方式や、着呼機側から帯域を宣言する方式等によってFAX送信を実施すればよい。
【0098】
なお、接続形態がルートCと判定された場合、このルートCは従来型の接続形態つまり例えば社内LANを経由したイントラ接続(内線接続)であるので、そもそも従来の帯域を宣言しない方式でFAX通信を行えば、通常の接続性を確保できる。
【0099】
よって管理者は、上述の宣言設定部107により対向通信装置との通信を行う帯域を宣言しないと設定しておく。宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定し、宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートC(又はルートD)であると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないようになる。
【0100】
<ルートD>
ルートDは、VoIP−GW13を介し外線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。複合機1及び複合機5は、イントラネットであるLAN及びVoIP−GW13を経由した公衆電話網を介し相互に接続されている。
【0101】
このような従来のアナログFAXにおいてもまた帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。また、そもそも公衆電話網を経由するため、アナログ回線では1Mbps等の比較的高速帯域を利用できない。
【0102】
よって、接続形態がルートDと判定された場合、このルートDは従来型の接続形態つまり例えば社内LAN経由及びVoIP−GW13を経由したいわゆるイントラ外線接続であるので、そもそも従来の帯域を宣言しない方式でFAX通信を行えば、通常の接続性を確保できる。
【0103】
よって管理者は、上述の宣言設定部107により対向通信装置との通信を行う帯域を宣言しないと設定しておく。宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定し、宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートD(又はルートC)であると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないようになる。
【0104】
[総括]
以上のように、本実施形態に係る複合機1は、NGN対応のネゴシエーション機能を実装し、オファー側はエラーレスポンスを受け取った場合には、課金を考慮のうえの帯域を変更しての再度のオファー(フォールバック)を行う。また、NGN網を利用する・しない接続形態も存在しうるので、様々な接続形態に応じて動的にSIP制御を行う。
【0105】
従って本発明によれば、接続性を高めつつ、NGNを含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置等を提供することが可能となる。
【0106】
本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば本実施形態においては通信装置の一例として、複合機に対して本発明を適用しFAX通信を通じて説明したものであるが、例えばその他の装置においても広く適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
1―5 複合機
11 操作部(操作パネル)
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ(部)
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
101 接続続形態判定部
102 帯域登録部
103 記憶部
104 帯域選択部
105 SIP制御部
106 帯域決定部
107 宣言設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2010−219656号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及び通信プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、これまでのアナログ電話回線を利用していたFAXをIP化することにより、IP網を経由してFAXデータを送受信するIP−FAXが普及している。
【0003】
図1は、IP−FAX構成例1を示す。図に示されるように、IP−FAX装置(例えば複合機)はLAN(又はWAN)で相互に接続されており、送信先のFAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、LANを介してFAXデータをパケットとして送受信する。また送信先のFAX装置が外部(外線)のアナログFAX装置である場合には、FAXデータをVoIP−GW(VoIP gateway:電話網とIPネットワークの間の中継機器)と送受信し、VoIP−GWからは公衆電話網を介してアナログ音声データを送受信する。
【0004】
さて、2010年6月より日本電信電話株式会社(NTT)は、NGN(Next Generation Network)を利用したデータコネクトサービスをスタートさせた(例えば特許文献1参照)。このNGNサービスは、QoSやセキュリティを向上させた統合IP網を構築し、電話網を代替できる次世代の通信インフラとして、音声/映像/画像(IP-FAXなど)のようなリアルタイム指向のデータをNGN網の公衆回線で転送するサービスである。従来のIP−FAXでは、不特定多数者が利用するインターネットを利用することによるセキュリティの問題から、特に企業ではこれまでIP−FAXの利用をイントラネットだけに限定して使用されることも多かった。しかしこのNGNにIP−FAXを接続することで、従来のアナログ電話回線と同様、安全に公衆回線(NGN網)上の任意のIP−FAX装置同士を接続できるようになった。NGNサービスの利用には加入が必要であり、装置毎にNGN番号(電話番号のようなもの)が与えられるので、網内に接続される装置は身元が明らかであるからである。
【0005】
図2は、IP−FAX構成例2を示す。図に示されるように、IP−FAX装置(例えば複合機)はNGNで相互に接続されており、送信先のFAX装置が外部(外線)のIP−FAX装置である場合には、NGN網を介して安全にFAXデータをパケットとして送受信する。また送信先のFAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、LANを介してFAXデータをパケットとして送受信する。
【0006】
NGNを利用するに際しては、上述の如く装置毎にNGN番号が与えられているので、送信元のIP−FAX装置はFAXを送信するときには、送信先のIP−FAX装置のNGN番号に対して送信(発呼)する。一方、FAX装置がイントラネット内のIP−FAX装置である場合には、そのIP−FAX装置に対し与えられている内線番号(IPアドレスに変換される)に対して送信する。このときNGN網又はイントラネット内への振り分けは、NGN−HGW(NGN homegateway)が行う。
【0007】
図3は、伝送レート毎の料金体系の一例を示す。NGNサービスの利用に際しては、NGN網を使用する伝送レートに応じて通信料金が設けられている。つまりNGNサービスは、通信で利用する帯域が網により保証され、利用する帯域に応じて単位時間あたりの通信料金が課金されるようになっている。そのためIP−FAX装置は、FAX通信に際しNGN網を使用する帯域(伝送レート)を決定する必要があるが、その帯域はIP−FAX装置同士(発呼機及び着呼機)のネゴシエーションにより決定されることが規定されている。
【0008】
具体的に、帯域のネゴシエーションは、オファー側(例えば発呼機)が利用したい帯域を宣言し、アンサー側(例えば着呼機)は、自身の状況を加味しオファー側で宣言された帯域を受託するという手順行われ、その後アンサー側で宣言受託された帯域で通信が行われる。そしてこのとき、NGN網はアンサー側で宣言されたその帯域を参照することで使用する伝送レートの情報(課金情報)を取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の如く、NGN網を使用する帯域(伝送レート)は、IP−FAX装置同士のネゴシエーションにより決定されるが、このネゴシエーションにより帯域が決定すればその決定された帯域でもってIP−FAX装置同士の通信が行われることになる。しかし一方、オファー側が利用したい帯域を宣言し、アンサー側がオファー側で宣言された帯域を受託できない場合には、アンサー側は宣言された帯域は利用できない旨を表すエラーレスポンスをアンサー側に返答し、オファー側はエラーレスポンスを受け取った場合には、帯域を変更しての再度のオファー(フォールバック)を行うことが推奨されている。
【0010】
しかしながら、あくまで推奨はされているものの、具体的な帯域変更方法については何ら規定されていないため、NGN対応すべくIP−FAX装置にネゴシエーション機能を実装させる場合には、課金との兼ね合いもあることから具体的にどのように再度のオファー(フォールバック)を行うべきかが問題となる。
【0011】
またIP−FAX装置にネゴシエーション機能を実装したとしても、NGN網を利用しない接続形態(例えば図1)も存在しうることもあり、従来のIP−FAXにおいては帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。
【0012】
本発明は上記のような問題に鑑み提案されたものであり、接続性を高めつつ、NGN(Next Generation Network)を含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを本発明により提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置であって、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶した記憶手段と、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手段と、前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手段と、前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手段と、対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手段と、を有し、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定することを特徴とする。
【0014】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異ならない又は該IPネットワークを利用するに課金されないIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介して接続された第2の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定することを特徴とする。
【0015】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、前記第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、該第2のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したときであって、該第2の帯域が前記複数の候補帯域の中で最も低い帯域である場合には、対向通信装置との通信を中止することを特徴とする。
【0016】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、対向通信装置との通信を中止することを特徴とする。
【0017】
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する宣言設定手段を有し、前記宣言設定手段により宣言しないと設定され、且つ前記接続形態が、前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないことを特徴とする。
【0018】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、接続性を高めつつ、NGN(Next Generation Network)を含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】IP−FAX構成例1を示す。
【図2】IP−FAX構成例2を示す。
【図3】伝送レート毎の料金体系の一例を示す。
【図4】本実施形態に係るシステム構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る複合機1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】候補帯域例を示す。
【図8】宣言帯域の設定画面例である。
【図9】ルートAにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【図10】NGN用のHWGを介した外線接続構成(ルートA)におけるフォールバック仕様である。
【図11】ルートBにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【図12】ルートCにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。なお本実施形態においては、本発明に係る通信装置の一例としてFAX機能を備えた複合機に本発明を適用した例を以下に示す。
【0022】
[システム概要]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図4は、本実施形態に係るシステム構成図である。図4は上述の図1、2のIP−FAX構成例を踏まえ、FAXを行う際の送信先への接続構成パターンを網羅し、1つの図に模式的に纏めたものである。つまり、本実施形態に係る複合機1は、それぞれ接続構成の異なる複合機2〜5に対しFAX送信する際、その接続構成毎に応じて通信を行う帯域のネゴシエーションに係る制御を行うため、接続構成としてルートA〜Dからなる4つのパターンを示した。また図中の複合機1〜5は、コピー、スキャナ、プリンタ、ファックス(アナログFAX及びIP−FAX)などの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置である。
【0023】
(ルートA)
ルートAは、NGN用のHGWを介した外線接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機2は、イントラネットであるLAN及びNGN網を介し相互に接続されている。複合機1が外部FAX送信先の複合機2にFAXする場合には、複合機2の「外線番号(NGN番号)」を指定しNGN−HGW10にFAXデータパケットを転送すると、NGN−HGW10はNGN網(ひいては対向するNGN−HGW11)にそのFAXデータパケットを転送し、NGN−HGW11は複合機2にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0024】
(ルートB)
ルートBは、NGN用のHGWを介したイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機3は、NGN−HGW10を介しイントラネットであるLAN(例えば社内LAN)を介し相互に接続されている。複合機1が内部FAX送信先の複合機3にFAXする場合には、複合機3の「内線番号」を指定しNGN−HGH10にFAXデータパケットを転送すると、NGN−HGH10はその「内線番号」に対応付けされて登録されている複合機3のIPアドレスを特定し、複合機3にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0025】
(ルートC)
ルートCは、NGN用のHGWを介さずに、ルータ(Network Router)を介しイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機4は、ルータ12を介しイントラネットであるLANを介し相互に接続されている。複合機1が内部FAX送信先の複合機4にFAXする場合には、複合機4の「IPアドレス」(又はホスト名やエイリアス名、所定の内線番号等)を指定しルータ12にFAXデータパケットを転送すると、ルータ12は複合機4にそのFAXデータパケットを転送する(逆も同様)。
【0026】
なおルートBとは、FAX送信先がイントラネットであるLANを介し接続されている点は同じであるが(例えば社内LAN)、NGN用のHGWを介していない点で異なる。また複合機1が複合機4にFAXする場合には、複合機4の「IPアドレス」を指定するものとしたが、仮にホスト名やエイリアス名、内線番号等であった場合には、何らかの変換手段(ホストファイルや変換サーバ等)により、結局は最終的に複合機4のIPアドレスが特定されればよい。
【0027】
(ルートD)
ルートDは、VoIP−GW13を介し外線接続構成によりFAX通信を行うルートを示す。複合機1及び複合機5は、イントラネットであるLAN及びVoIP−GW13を経由した公衆電話網を介し相互に接続されている。複合機1が外部FAX送信先の複合機5にFAXする場合には、複合機5の「電話番号」を指定しVoIP−GW13にFAXデータパケットを転送すると、VoIP−GW13は複合機5の電話番号に対し発呼し、FAXデータパケットをアナログ音声データに変換し、公衆電話網を介してそのアナログ音声データを転送する(逆も同様)。
【0028】
以下、ルートA〜Dからなる4つの接続構成パターン毎に、本実施形態に係る複合機1の通信帯域のネゴシエーションに係る制御を説明していく。なおいうまでもなくルートA〜Dを想定したのはあくまで説明の便宜上でためであり、実際にはユーザの都合や必要に応じて実現されうる。典型的に例えば、FAXに外線、及び内線(社内LAN)を利用するユーザであって、外線をNGNサービスのみを利用するユーザであれば、ルートA、Bを構築すればよい。ルートC、Dは不要である。また例えば、FAXに外線、及び内線(社内LAN)を利用するユーザであって、外線にNGNサービスのみならず、公衆電話網を残して利用するユーザであれば、ルートA、B、D、もしくはルートA、C、Dを構築すればよい。ここで、ルートB、CはいずれもFAX送信先がイントラネットであるLAN(例えば社内LAN)を介し接続されているため、いずれか1のルートを構築しさえすれば足りる。
【0029】
(ハードウェア)
ここで、本実施形態に係る複合機1(及び複合機2〜5)のハードウェア構成について簡単に説明しておく。図5は、本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る複合機1は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0030】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、複合機1に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、LCD(液晶ディスプレイ)などで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、複合機1をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェースである。HDD17は、複合機1で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データなどの各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0031】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0032】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、複合機1が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
【0033】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0034】
このように、本実施形態に係る複合機1では、上記ハードウェア構成により、コピー、プリンタ、ファクシミリ(FAX)、スキャナなどの複数の機能を実現している。
【0035】
なお、NGN−HGW10、NGN−HGW11、ルータ12、VoIP−GW13については、従来のものを適用可能であるため、これらハードウェア構成についての説明は割愛する。
【0036】
(機能)
図6は、本実施形態に係る複合機1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、接続形態判定部101、帯域登録部102、記憶部103、帯域選択部104、SIP制御部105、帯域決定部106、宣言設定部107を含み構成される。
【0037】
接続形態判定部101は、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する。具体的に、対向通信装置である複合機2〜5とのネットワークの接続形態を判定する。そしてここでいう接続形態は、例えば上述のルートA〜Dに相当する。よって例えば、複合機2と通信を行う際には、ルートA:NGN用のHGWを介した外線接続構成であることを判定する。
【0038】
帯域登録部102は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を予め記憶部103に登録する。本実施形態においては接続形態がルートA用、ルートB用の2種類を登録しておく。なお接続形態がルートAの場合に用いられる複数の候補帯域の一例として、図3の伝送レート例が挙げられる。この場合、ルートA用の候補帯域として3つの候補帯域が登録される。
【0039】
記憶部103は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶したメモリである。候補帯域は、接続形態がルートA用、ルートB用を用意しておく。ルートA用のものは、NGNサービス提供者(NTT)に提供された課金範囲毎の帯域を候補帯域として登録され、ルートB用のものは、複合機1固有に定められた帯域が例えば工場出荷時から記憶される。これら具体例は再度後述する。
【0040】
帯域選択部104は、対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する。ここで選択された帯域がネゴシエーションメッセージによる宣言帯域となる。
【0041】
SIP制御部105は、接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行う。両通信装置間でセッションを確立するためである。特に、接続形態がNGNに関するルートA又はルートBである場合には、ネゴシエーションメッセージを通じて両通信装置間で通信を行う帯域が決定される。
【0042】
帯域決定部106は、対向通信装置との通信を行う帯域を決定する。特に、接続形態がNGNに関するルートA又はルートBである場合には、ネゴシエーションメッセージに基づき帯域を決定する。即ち、帯域を宣言したネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、その帯域を対向通信装置との通信を行う帯域と決定する。
【0043】
宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する。宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートC又はルートDであると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しない。
【0044】
以上これらの機能は、実際には装置のCPU13cが実行するプログラムによりコンピュータに実現させるものである。
【0045】
(候補帯域)
図7は、候補帯域例を示す。図中の(a)はルートA用の候補帯域例、(b)はルートB用の候補帯域例である。いずれも通信に先立って予め記憶部103に登録・記憶されている。
【0046】
(a)は、ルートA用として、NGN網を介して通信を行う際に使用する帯域の候補(複数)である。上述したようにNGNサービスの利用に際しては、NGN網を使用する伝送レートに応じて通信料金が設けられている。そのためルートAつまりNGN網を利用する場合には、使用する帯域の候補として課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用する。よってここでは3つの候補帯域が登録される。勿論、通信料金(課金単位)が変更されればそれに伴いルートA用の候補帯域も変更される。
【0047】
(b)は、ルートB用として、NGN−HGW10は介するがNGN網を介さず通信を行う際に使用する帯域の候補(複数)である。NGN網を介さないので通信料金は発生せず、ルートA用のように使用する帯域の候補として課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用する必要はない。たとえどの帯域を使用して通信したとしても課金されないからである。このためルートB用の帯域候補には、任意・所定の帯域を適用する。ここでは例えば複合機1の仕様に応じて例えば5つの候補帯域を登録した(例えば工場出荷時)。
【0048】
なお、候補帯域は次のように利用される。ルートA又はルートBであれ、NGN−HGW10を経由する限り、通信のセッションを確立する際、両装置間で利用する帯域を決定することが規定されている(NGN仕様)。ルートBの場合、NGN網を介さないもののNGN−HGW10を経由する構成であるので、NGN仕様に従う必要がある。NGN−HGW10はNGN仕様のゲートウェイであるからである。
【0049】
帯域のネゴシエーションは、オファー側(例えば発呼機)が利用したい帯域を宣言し、アンサー側(例えば着呼機)は、自身の状況を加味しオファー側で宣言された帯域を受託するという手順行われ、その後アンサー側で宣言された帯域で通信が行われる。よって、オファーを行う複合機1がオファーを行う場合、接続形態がルートAのときには(a)ルートA用の候補帯域の中から1つ帯域を選択し、選択した帯域をアンサー側(例えば複合機2)に宣言する。帯域の選択は、後述するように複合機1の操作パネル11からユーザが選択してもよいし、予め設定されている帯域として例えば最速帯域である1Mbpsが自動的に選択されてもよい。
【0050】
同様に、接続形態がルートBのときには(b)ルートA用の候補帯域の中から1つ帯域を選択し、選択した帯域をアンサー側(例えば複合機3)に宣言する。帯域の選択は、後述するように複合機1の操作パネル11からユーザが選択してもよいが、ルートBの場合、ルートA(NGN網利用)の場合と異なり使用する帯域によって通信料金が発生する訳ではないので、通常は予め設定されている帯域として例えば最速帯域である1Mbps(デフォルト値)が自動的に選択されるとよい。
【0051】
宣言した帯域がアンサー側に受託されれば、その帯域でもって以後の通信が実施されるが、仮に宣言した帯域がアンサー側に受託されず、その旨を示すエラーレスポンスを行った複合機1が受信した場合、候補帯域の中から他の帯域を再宣言する。より具体的には、候補帯域の中から他のより低い帯域を再宣言する。エラーレスポンスの原因は様々であるが、より低い帯域であれば今後は受託される可能性が高いからである。
【0052】
なお上述の如く、(a)ルートA用の候補帯域は、使用する帯域の候補としてNGN課金単位に沿った帯域(帯域範囲)を適用したものであった。従って、1Mbpsでの宣言が受託されなかった場合には、次の帯域範囲の境目、つまり帯域範囲(64Kbps〜512Mbps)における最速帯域である512Kbpsで再宣言を行う。最速帯域である512Kbpsで宣言するのは、帯域範囲(64Kbps〜512Mbps)であれば通信料金は同一なので、あえて例えば256Kbpsで宣言する必要性に乏しいからである。また逆に同一の帯域範囲に属する帯域速度を候補帯域として用意していない(例えば512Kbps、256Kbpsのそれぞれを候補帯域としない)。
【0053】
[情報処理]
以下、本実施形態に係る複合機1の情報処理について説明していく。
(接続形態の判定処理)
まず複合機1が複合機2〜5いずれかに対し、FAX通信を行う場合、ユーザは複合機1の操作パネル11を操作し、送信先(発呼先)を指定又は入力する。すると複合機1の接続形態判定部101は、対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する。本実施形態においては、対向通信装置である複合機2〜5とのネットワークの接続形態として上述のルートA〜Dのいずれであるかを判定する。
【0054】
具体的な判定方法としては、例えば単純には、予め複合機2〜5と、それぞれに対応するルートA〜Dとを対応付けて登録しておけば、複合機2〜5が指定されたときには容易にネットワークの接続形態を判定することができる。
【0055】
またもしくは、例えば送信先(発呼先)として指定・入力された複合機2〜5の宛先情報(外線番号、内線番号、IPアドレス、ホスト名、エイリアス名等)によって、これを解析し、ルートA〜Dのいずれかの接続形態に対応するものであるかを判定することもできる。
【0056】
より具体的に、指定・入力された宛先情報が、数字番号である場合(但し例えば2、3桁)には、ルートA、ルートBがありうる。ルートA、ルートBの場合、ルートAのNGN網経由の外線番号と、ルートBのイントラLAN経由の内線番号とを併用できるようにするためNGN−HGW10を経由する構成になっているからである。そしてNGN番号は3桁であるので3桁ならばルートA、そうでなければルートBとなる(ルートBのものは2桁以外で設定する)。
【0057】
また、指定・入力された宛先情報が、IPアドレス(数字及びドット)、ホスト名(英数字)、エイリアス名(英数字)等である場合には、ルートCである。ルートBとは、FAX送信先がイントラネットであるLANを介し接続されているからである(例えば社内LAN)。
【0058】
また、指定・入力された宛先情報が、数字番号であり電話番号である場合ルートDである。
【0059】
なお結局、宛先情報はユーザの運用次第でルール化、決定、管理されるものであるから、その解析もまたユーザの運用に従って解析され、その結果最終的に接続形態が判定されればよい。
【0060】
(宣言する帯域の選択処理)
上述したように、接続形態がルートA、ルートBの場合には、オファー側(例えば発呼機)とアンサー側(例えば着呼機)で帯域のネゴシエーションを行う必要があるが、特に接続形態がルートAのときにはNGN網を利用し通信料金が発生するので、ネゴシエーションで宣言する帯域を複合機1の操作パネル11からユーザが選択することができる。
【0061】
図8は、宣言帯域の設定画面例である。「ホームゲートウェイ 外線利用時」とは、接続形態がルートAであることを示し、このときユーザは操作パネルから、例えば「低速」、「中速」、「高速」のいずれか1を選択できる。ここでこれら選択肢は図7(a)の候補帯域に対応しており、具体的に「低速」は「〜64Kbps」、「中速」は「〜512Kbps」、「高速」は「〜1Mbps」に対応している。
【0062】
なお操作パネル11の選択肢表記として、「64Kbps」、「512Kbps」、「1Mbps」とすることも可能であるが、「低速」、「中速」、「高速」と選択肢表記すると、仮にNGNサービスの仕様変更(帯域変更)があったとき、図7(a)の候補帯域の情報のみ更新すればよく、設定画面の選択肢表記を変更する手間を省くことができるからである。
【0063】
本実施形態においては、「ホームゲートウェイ 外線利用時」の速度を「高速」と設定されたものとし、従って宣言帯域は「〜1Mbps」と設定されたものとする。
【0064】
なおまた、ルートBの場合にも、オファー側とアンサー側で帯域のネゴシエーションを行う必要があるので、宣言帯域を設定する必要があるが、特に通信料金は発生しないので、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているのとする。
【0065】
(SIP制御処理)
次に、接続形態(ルートA〜D)が判定されると、SIP制御部105は、接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行う。以下説明する。
【0066】
<ルートA>
ルートAは、NGN用のHGWを介した外線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。そのため複合機1が外部FAX送信先の複合機2にFAXする場合には、まず通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションを行う通信を行う帯域を決定する必要がある。
【0067】
図9は、ルートAにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0068】
S1:SIP制御部105は、ルートA用の選択候補の中から選択された帯域範囲の最大帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、「ホームゲートウェイ 外線利用時」の速度を「高速」と設定されたため、宣言帯域範囲は「〜1Mbps」と設定されている。よって帯域範囲512Kbps〜1Mbpsの最大帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機2に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機2の宛先情報に基づき、NGN−HGW10、NGN網を介して送信される。そして複合機2は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0069】
S2:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機2に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS3へ進む。
【0070】
S3:宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定する。再宣言するための他の帯域範囲がさらに存在するかどうかを確認するためである。本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜1Mbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜1Mbps」よりも低い帯域範囲は存在するので、S4へ進む。
【0071】
S4:ルートA用の選択候補の中から選択された帯域範囲より低い帯域範囲の最大帯域を選択し、その最大帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信する。具体的に、選択された帯域範囲は「〜1Mbps」であるので、これよりも一段階低い帯域範囲「〜512Kbps」の最大帯域512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機2に対し再送信する。
【0072】
S5:再び宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機2に対し、512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(512Kbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合には再びS3へ進む。
【0073】
S3では、宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜512Kbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜512Kbps」よりも低い帯域範囲「〜64Kbps」は存在するので、同様にS4へ進む。
【0074】
そしてS4で、さらに一段階低い帯域範囲「〜64Kbps」の最大帯域64Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機2に対し再送信する。S5で受託されれば、S6へ進み、複合機1は複合機2とセッションを確立し、受託された帯域(64Kbps)での通信を実施する。一方宣言非受託された場合、この場合には再びS3へ進む。
【0075】
S3では、宣言非受託された場合、ルートA用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域範囲はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域範囲は「〜64Kbps」であるので、図7(a)を参照すると、この「〜64Kbps」よりも低い帯域範囲は存在しないため、S7へ進む。
【0076】
S7:複合機1は複合機2との通信を中止する。複合機1には、これ以上宣言すべき帯域は存在しないからである。
【0077】
図10は、NGN用のHWGを介した外線接続構成(ルートA)におけるフォールバック仕様である。上述したように、オファーで宣言した帯域が受託されずエラーレスポンスと受信した場合には、より低い帯域での宣言を行うようになっている。またより低い帯域が存在しない場合には、再宣言を行わないようになっている。
【0078】
以上のように本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートAである場合、課金単位毎の帯域範囲(図7(a))の最大帯域を宣言帯域として複合機2とのネゴシエーションを行う。そして宣言が非受託されたときには、該帯域範囲を下げ、その低い帯域範囲の最大帯域を宣言帯域として複合機2とのネゴシエーションを再び行う。従って複合機1は一旦宣言した非受託された場合であっても、受託される可能性の高い下の帯域を宣言して再び複合機2とのネゴシエーションを行うので、複合機2との接続性を高めることができる。
【0079】
<ルートB>
ルートBは、NGN用のHGWを介した内線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。そのため複合機1がイントラLAN内の複合機3にFAXする場合には、まず通信を行う帯域を宣言するためのネゴシエーションを行う通信を行う帯域を決定する必要がある。NGN−HGW10を経由する限り、通信のセッションを確立する際、両装置間で利用する帯域を決定することが規定されている(NGN仕様)からである。
【0080】
図11は、ルートBにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0081】
S21:SIP制御部105は、ルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているため、宣言帯域は「1Mbps」と設定されている。よって帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機3に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機3の宛先情報に基づき、NGN−HGW10、イントラLANを介して送信される。そして複合機3は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0082】
S22:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機3に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS23へ進む。
【0083】
S23:宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域より低い帯域はあるか否か判定する。再宣言するための他の帯域がさらに存在するかどうかを確認するためである。本実施形態では、選択された帯域は「1Mbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「1Mbps」よりも低い帯域範囲は存在するので、S24へ進む。
【0084】
S24:ルートB用の選択候補の中から選択された帯域より低い帯域を選択し、その帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信する。具体的に、選択された帯域は「1Mbps」であるので、これよりも一段階低い帯域512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機3に対し再送信する。
【0085】
S25:再び宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機3に対し、512Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを再送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(512Kbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合には再びS23へ進む。
【0086】
S23では、宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域範囲より低い帯域はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域は「512Kbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「512Kbps」よりも低い帯域「64Kbps」は存在するので、同様にS24へ進む。
【0087】
そしてS24で、さらに一段階低い帯域64Kbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを複合機3に対し再送信する。S25で受託されれば、S26へ進み、複合機1は複合機3とセッションを確立し、受託された帯域(64Kbps)での通信を実施する。一方宣言非受託された場合、この場合には再びS23へ進む。
【0088】
S23では、宣言非受託された場合、ルートB用の選択候補の中に、選択された帯域より低い帯域はあるか否か判定するが、この時点で本実施形態では、選択された帯域は「64Kbps」であるので、図7(b)を参照すると、この「64Kbps」よりも低い帯域は存在しないため、S27へ進む。
【0089】
S27:複合機1は複合機2との通信を中止する。複合機1には、これ以上宣言すべき帯域は存在しないからである。
【0090】
以上のように本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートBである場合、課金単位毎の帯域範囲とは関係のない複合機1仕様の帯域を宣言帯域として複合機3とのネゴシエーションを行う。そして宣言が非受託されたときには、該帯域範囲を下げ、その低い帯域を宣言帯域として複合機3とのネゴシエーションを再び行う。従って複合機1は一旦宣言した非受託された場合であっても、受託される可能性の高い下の帯域を宣言して再び複合機3とのネゴシエーションを行うので、複合機3との接続性を高めることができる。
【0091】
<ルートC>
ルートCは、NGN用のHGWを介さずに、ルータ(Network Router)を介しイントラ接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。複合機1及び複合機4は、ルータ12を介しイントラネットであるLANを介し相互に接続されている。このような従来のIP−FAXにおいては帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。
【0092】
また、従来のNGN用のHWGを介さないイントラ接続(内線接続)では、ネゴシエーションを行う場合には着呼機側(例えば複合機4)から帯域を宣言する方式が主流である。従って、発呼機側(例えば複合機1)が帯域を宣言し、着呼機側からエラーレスポンスを受け取った場合、フォールバックする術がない(着呼機側から再発呼する手順はない)。よって、本実施形態に係る複合機1は、接続形態がルートCである場合、着呼機側からエラーレスポンスを受け取ったときは、発呼機側(例えば複合機1)が帯域を宣言するネゴシエーション方式は不可と判断し、一旦FAX送信を中止するようにする。以下説明する。
【0093】
図12は、ルートCにおける帯域決定処理を説明するフローチャートである。図を参照しながら説明する。
【0094】
S31:SIP制御部105は、ルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信する。本実施形態では上述したように、図7(b)の候補帯域に従い、「1Mbps」(デフォルト値)と内部設定されているため、宣言帯域は「1Mbps」と設定されている。よって帯域1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージ(SIPメッセージ)を複合機4に対し送信する。なおネゴシエーションメッセージは、複合機4の宛先情報(例えばIPアドレス等)に基づき、ルータ12、イントラLANを介して送信される。そして複合機4は、ネゴシエーションメッセージに対する応答メッセージを複合機1に対し送信する。
【0095】
なおルートB用の選択候補の中から選択された帯域を宣言帯域としてそのまま使用しているのは、ルートB、ルートCの場合もイントラLANを介した内線接続であり、NGN利用時と異なり特段通信料金は発生しないため、ルートCの場合も複合機仕様の帯域で宣言すればよいからである。
【0096】
S32:宣言は受託されたか否か判定する。複合機1は複合機4に対し、1Mbpsを宣言帯域としたネゴシエーションメッセージを送信したので、その応答メッセージとして宣言受託を示すメッセージを受信した場合、受託されたと判定できる。この場合にはS24へ進み、複合機1は複合機4とセッションを確立し、受託された帯域(1Mbps)での通信を実施する。一方、応答メッセージとして宣言非受託を示すエラーレスポンスを受信した場合、受託されないと判定できる。この場合にはS33へ進む。
【0097】
S33:複合機1は複合機4との通信を中止する。複合機1が帯域を宣言するネゴシエーション方式は不可(複合機4が未対応)と判断し、一旦FAX送信を中止するようにする。その後は、従来の帯域を宣言しない方式や、着呼機側から帯域を宣言する方式等によってFAX送信を実施すればよい。
【0098】
なお、接続形態がルートCと判定された場合、このルートCは従来型の接続形態つまり例えば社内LANを経由したイントラ接続(内線接続)であるので、そもそも従来の帯域を宣言しない方式でFAX通信を行えば、通常の接続性を確保できる。
【0099】
よって管理者は、上述の宣言設定部107により対向通信装置との通信を行う帯域を宣言しないと設定しておく。宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定し、宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートC(又はルートD)であると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないようになる。
【0100】
<ルートD>
ルートDは、VoIP−GW13を介し外線接続構成によりFAX通信を行うルートである(図4)。複合機1及び複合機5は、イントラネットであるLAN及びVoIP−GW13を経由した公衆電話網を介し相互に接続されている。
【0101】
このような従来のアナログFAXにおいてもまた帯域のネゴシエーションの実施は必須でない(規定されていない)ことから、送信先が帯域のネゴシエーションに対応していない場合には、ネゴシエーションによりときに接続できなくなる場合も想定される。また、そもそも公衆電話網を経由するため、アナログ回線では1Mbps等の比較的高速帯域を利用できない。
【0102】
よって、接続形態がルートDと判定された場合、このルートDは従来型の接続形態つまり例えば社内LAN経由及びVoIP−GW13を経由したいわゆるイントラ外線接続であるので、そもそも従来の帯域を宣言しない方式でFAX通信を行えば、通常の接続性を確保できる。
【0103】
よって管理者は、上述の宣言設定部107により対向通信装置との通信を行う帯域を宣言しないと設定しておく。宣言設定部107は、対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定し、宣言しないと設定され、且つ接続形態が、ルートD(又はルートC)であると判定された場合、SIP制御部105は対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないようになる。
【0104】
[総括]
以上のように、本実施形態に係る複合機1は、NGN対応のネゴシエーション機能を実装し、オファー側はエラーレスポンスを受け取った場合には、課金を考慮のうえの帯域を変更しての再度のオファー(フォールバック)を行う。また、NGN網を利用する・しない接続形態も存在しうるので、様々な接続形態に応じて動的にSIP制御を行う。
【0105】
従って本発明によれば、接続性を高めつつ、NGNを含む様々な送信先との接続形態に応じて、最適な帯域を利用しての通信を行う通信装置等を提供することが可能となる。
【0106】
本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば本実施形態においては通信装置の一例として、複合機に対して本発明を適用しFAX通信を通じて説明したものであるが、例えばその他の装置においても広く適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
1―5 複合機
11 操作部(操作パネル)
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ(部)
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
101 接続続形態判定部
102 帯域登録部
103 記憶部
104 帯域選択部
105 SIP制御部
106 帯域決定部
107 宣言設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2010−219656号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置であって、
対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶した記憶手段と、
対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手段と、
前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手段と、
前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手段と、
対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手段と、
を有し、
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異ならない又は該IPネットワークを利用するに課金されないIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介して接続された第2の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、前記第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、該第2のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したときであって、該第2の帯域が前記複数の候補帯域の中で最も低い帯域である場合には、対向通信装置との通信を中止すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、対向通信装置との通信を中止すること、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の通信装置。
【請求項5】
対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する宣言設定手段を有し、
前記宣言設定手段により宣言しないと設定され、且つ前記接続形態が、前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないこと、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の通信装置。
【請求項6】
ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置における通信方法であって、
対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶する記憶手順と、
対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手順と、
前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手順と、
前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手順と、
対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手順と、
を有し、
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手順は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手順は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手順は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手順は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手順は、前記SIP制御手順で該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項7】
請求項6記載の通信方法をコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【請求項1】
ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置であって、
対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶した記憶手段と、
対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手段と、
前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手段と、
前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手段と、
対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手段と、
を有し、
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異ならない又は該IPネットワークを利用するに課金されないIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介して接続された第2の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手段は、前記SIP制御手段が該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、前記第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、該第2のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したときであって、該第2の帯域が前記複数の候補帯域の中で最も低い帯域である場合には、対向通信装置との通信を中止すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークと前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、対向通信装置との通信を中止すること、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の通信装置。
【請求項5】
対向通信装置との通信を行う帯域を宣言するか、宣言しないかを設定する宣言設定手段を有し、
前記宣言設定手段により宣言しないと設定され、且つ前記接続形態が、前記IPネットワーク用GWを介さず接続された第3の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手段は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手段は、対向通信装置に対し、セッション制御において帯域を宣言しないこと、
を特徴とする請求項1ないし3何れか一項記載の通信装置。
【請求項6】
ネットワークを介し通信先である対向通信装置と接続された通信装置における通信方法であって、
対向通信装置との通信を行う帯域として宣言する帯域の候補である複数の候補帯域を記憶する記憶手順と、
対向通信装置とのネットワークの接続形態を判定する判定手順と、
前記複数の候補帯域の中から、1の帯域を選択する帯域選択手順と、
前記接続形態に応じて、対向通信装置との通信を行う前記1の帯域を宣言するためのネゴシエーションメッセージを含むSIPメッセージの制御を行うSIP制御手順と、
対向通信装置との通信を行う帯域を決定する帯域決定手順と、
を有し、
前記接続形態が、セッション制御においてSIPを利用するIPネットワークであって、該IPネットワークを利用する帯域範囲毎に課金金額が異なるIPネットワークと該IPネットワーク用GWを介して接続された第1の接続形態であると判定された場合、
前記帯域選択手順は、複数の候補帯域の中から第1の帯域を選択し、
前記SIP制御手順は、対向通信装置に対し、該第1の帯域を宣言した第1のネゴシエーションメッセージを送信し、該第1のネゴシエーションメッセージの応答としてエラーレスポンスを受信したとき、
前記帯域選択手順は、複数の候補帯域の中から、第1の帯域とは課金金額が異なる帯域範囲内の最も高い帯域であって、第1の帯域より低い帯域である第2の帯域を選択し、
前記SIP制御手順は、対向通信装置に対し、該第2の帯域を宣言した第2のネゴシエーションメッセージを送信し、
前記帯域決定手順は、前記SIP制御手順で該第2のネゴシエーションメッセージの応答として宣言受託メッセージを受信したとき、対向通信装置との通信を行う帯域を該第2の帯域と決定すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項7】
請求項6記載の通信方法をコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−160902(P2012−160902A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19135(P2011−19135)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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