説明

通信装置、通信装置の制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】 ネットワークに参加中の複数の機器が提供装置として起動した場合でも、ネットワークの安全性や提供装置の使い勝手を損なうこと無く、ネットワークへ新規に機器を追加できるようにする。
【解決手段】 他の通信装置から受信した、通信パラメータ提供装置としての動作に関する状態通知の内容に応じて、通信パラメータの提供装置として起動または提供装置としての動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間で通信パラメータの設定処理を実行する通信装置、通信装置の制御方法、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANに代表される無線通信では、使用前に設定しなければならない設定項目が数多く存在する。例えば、設定項目として、ネットワーク識別子としてのSSID(Service Set Identifier)、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータがある。これら全てをユーザが手入力により設定するのは非常に煩雑である。
【0003】
そこで、様々なメーカーから、通信パラメータを簡単に無線機器に設定するための自動設定方法が考案されている。これら自動設定方法は、接続する機器間で予め定められた手順、及びメッセージにより、一方の機器から他方の機器に通信パラメータを提供し、通信パラメータの設定を自動的に行っている。
【0004】
特許文献1には、無線LANアドホックネットモードの通信(以下、アドホック通信)における通信パラメータの自動設定の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信パラメータの自動設定を用いて構築されたアドホックネットワークへ、通信パラメータの自動設定により新規に機器を追加する場合を考える。この場合、当該ネットワークに参加中の機器はパラメータを提供する機器(以下、提供装置)として起動し、新規に追加される機器(以下、受信装置)へ当該ネットワークの通信パラメータを提供する。
【0007】
ここで、複数のユーザが当該ネットワークに参加している複数の機器を同時期に操作することで、複数の提供装置が起動したとする。この場合、受信装置は起動した提供装置の中のいずれか一台とのみ通信パラメータの自動設定を行うため、当該受信装置へ通信パラメータを提供しない提供装置が生じる。受信装置へ通信パラメータを提供しない提供装置は、タイムアウト等が発生するまで、他の機器へ通信パラメータを提供可能な状態のまま存在し続ける。
【0008】
そのため、当該提供装置は他の意図しない受信装置との間で通信パラメータの自動設定を行うことが考えられ、通信パラメータを誤って提供してしまう可能性があり、ネットワークの安全性に問題があった。また、当該提供装置は通信パラメータの自動設定機能をアクティブにすると、該アクティブ状態を終了するまで他の操作を行うことができず、使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、ネットワークに参加中の複数の機器が提供装置として起動した場合でも、ネットワークの安全性や提供装置の使い勝手を損なうことを無く新規に機器を追加できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、通信パラメータの提供を受ける受信装置に、通信パラメータを提供する提供装置として動作する提供手段と、他の通信装置から、通信パラメータ提供装置としての動作に関する状態通知を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した状態通知の内容に応じて、前記提供手段による提供装置としての動作を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ネットワークに参加中の複数の機器が提供装置として起動した場合でも、比較的に安全性に、また、提供装置の使い勝手を損なうことを無く、ネットワークへ新規に機器を追加できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】装置を構成するブロック図
【図2】本発明の実施形態における提供装置内のソフトウェア機能ブロック図
【図3】本発明の実施形態における受信装置内のソフトウェア機能ブロック図
【図4】本発明の実施形態におけるネットワーク構成図
【図5】提供装置の状態通知受信時の動作を表すフローチャート図
【図6】装置A、装置B、装置Cの開始通知送信時の動作を表すシーケンス図
【図7】装置A、装置B、装置Cの完了通知送信時の動作を表すシーケンス図
【図8】提供装置の状態通知受信時の第二の動作を表すフローチャート図
【図9】提供装置の設定ボタン操作時の動作を表すフローチャート図
【図10】装置A、装置B、装置Cの起動通知送信時の動作を表すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
以下、本実施形態に係る通信装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LANシステムを用いた例について説明するが、通信形態は必ずしもIEEE802.11準拠の無線LANには限らない。本実施形態に好適な事例におけるハードウェア構成について説明する。
【0014】
図1は本発明を適用できる実施形態に係る、後述の各装置の構成の一例を表すブロック図である。101は装置全体を示す。102は、記憶部103に記憶される制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する制御部である。制御部102は、他の装置との間で通信パラメータの設定制御も行う。103は制御部102が実行する制御プログラムと、通信パラメータ等の各種情報を記憶する記憶部である。後述する各種動作は、記憶部103に記憶された制御プログラムを制御部102が実行することにより行われる。
【0015】
104は無線通信を行うための無線部である。105は各種表示を行う表示部でありLCDやLEDのように視覚で認知可能な情報の出力、あるいはスピーカなどの音出力が可能な機能を有する。106は通信パラメータ設定処理を開始するトリガを与える設定ボタンである。制御部102は、ユーザによる設定ボタン106の操作を検出すると、後述する通信パラメータの自動設定機能をアクティブにし、通信パラメータの提供処理または受信処理を実行する。なお、自動設定機能には、提供機能と受信機能があり、提供機能により提供処理を実行し、受信機能により受信処理を実行する。107はアンテナ制御部、そして108はアンテナである。109は、ユーザが各種入力を行うための入力部である。
【0016】
図2は、通信パラメータ設定動作において、通信パラメータを提供する装置(以下、提供装置)が実行するソフトウェア機能ブロックの構成の一例を表すブロック図である。201は装置全体を示している。202は通信パラメータの自動設定機能ブロックである。本実施形態では、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータの自動設定を行う。203は各種通信にかかわるパケットを受信するパケット受信部である。ビーコン(報知信号)の受信は、パケット受信部203によって行われる。204は各種通信にかかわるパケットを送信するパケット送信部である。ビーコンの送信は、パケット送信部204によって行われる。なおビーコンには、送信元の機器の各種情報(自己情報)が付加される。
【0017】
205はプローブリクエストなどの機器検索信号の送信を制御する検索信号送信部である。なお、プローブリクエストは、所望のネットワークを検索するためのネットワーク検索信号ということもできる。プローブリクエストの送信は、検索信号送信部205により行われる。また、受信したプローブリクエストに対する応答信号であるプローブレスポンスの送信も検索信号送信部205により行われる。206は他の装置からのプローブリクエストなどの機器検索信号の受信を制御する検索信号受信部である。プローブリクエストの受信は、検索信号受信部206により行われる。また、プローブレスポンスの受信も検索信号受信部206により行われる。なお機器検索信号、及びその応答信号には、送信元の機器の各種情報(自己情報)が付加される。機器は通信パラメータの提供機能をアクティブにすると提供装置して動作し、自身が提供装置であることを示す自己情報をビーコンおよびプローブ信号に付加して送信する。また、機器は通信パラメータの提供装置としての動作を停止すると、自身が提供装置であることを示す自己情報をビーコンおよびプローブ信号から除去する。
【0018】
207は、ネットワーク接続を制御するネットワーク制御部である。無線LANアドホックネットワークへの接続処理などは、ネットワーク制御部207により実施される。通信パラメータ自動設定機能ブロックにおいて、208は、通信パラメータ自動設定における各種プロトコルを制御する自動設定制御部である。209は相手機器に通信パラメータを提供する通信パラメータ提供部である。後述の通信パラメータ自動設定の提供処理は、自動設定制御部208の制御に基づいて、通信パラメータ提供部209により行われる。また、通信パラメータの提供機能をアクティブにし、提供装置になってからの経過時間が制限時間を越えたか否かの判定も、自動設定制御部208で行われる。また、当該制限時間を超えたと判定した場合には、自動設定制御部208の制御により、提供装置としての動作を中止する。210は、通信パラメータ自動設定機能の状態の通知に関する処理を制御する状態通知制御部である。
【0019】
後述する通信パラメータ提供機能の状態を示す状態通知メッセージの送信は、状態通知制御部210により実施される。また、後述する提供装置における状態通知メッセージの受信処理も、状態通知制御部210により実施される。なお、状態通知メッセージの具体的な送信方法としては、例えばビーコン信号やプローブ信号の中に通信パラメータ提供機能の状態に関する情報を含めてブロードキャスト送信しても良い。また、無線LAN通信を用いて送信可能な他の信号を用いて状態を通知しても良いことは言うまでも無い。
【0020】
また、通知する状態の内容としては、例えば提供機能がアクティブであり、提供装置として起動中であることを示す起動通知や、受信装置とのメッセージ交換の開始を示す開始通知、また提供処理の完了を示す完了通知などが含まれる。つまり、状態通知メッセージを受信した装置は、通信パラメータの提供装置として作起動している(又は起動していた(完了した))装置が存在することを認識できる。
【0021】
図3は、後述の通信パラメータ設定動作において、通信パラメータを受信する装置(以下、受信装置)が実行するソフトウェア機能ブロックの構成の一例を表すブロック図である。301は装置全体を示している。302は通信パラメータの自動設定機能ブロックである。本実施形態では、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線通信を行うために必要な通信パラメータの自動設定を行う。303は各種通信にかかわるパケットを受信するパケット受信部である。ビーコン(報知信号)の受信は、パケット受信部303によって行われる。304は各種通信にかかわるパケットを送信するパケット送信部である。ビーコンの送信は、パケット送信部304によって行われる。なおビーコンには、送信元の機器の各種情報(自己情報)が付加される。
【0022】
305はプローブリクエストなどの機器検索信号の送信を制御する検索信号送信部である。なお、プローブリクエストは、所望のネットワークを検索するためのネットワーク検索信号ということもできる。プローブリクエストの送信は、検索信号送信部305により行われる。また、受信したプローブリクエストに対する応答信号であるプローブレスポンスの送信も検索信号送信部305により行われる。306は他の装置からのプローブリクエストなどの機器検索信号の受信を制御する検索信号受信部である。プローブリクエストの受信は、検索信号受信部306により行われる。また、プローブレスポンスの受信も検索信号受信部306により行われる。なお機器検索信号、及びその応答信号には、送信元の機器の各種情報(自己情報)が付加される。
【0023】
受信装置は機器検索信号を送信し、提供装置から自身が提供装置であることを示す自己情報が付加された応答信号を受信することで、受信装置が提供装置の存在を検出する。また、自身が提供装置であることを示す自己情報が付加されたビーコンを提供装置が送信し、受信装置が当該ビーコンを受信することで、受信装置が提供装置の存在を検出することも可能である。307は、ネットワーク接続を制御するネットワーク制御部である。無線LANアドホックネットワークへの接続処理などは、ネットワーク制御部307により実施される。
【0024】
通信パラメータ自動設定機能ブロックにおいて、308は相手機器より通信パラメータを受信する通信パラメータ受信部である。309は、通信パラメータ自動設定における各種プロトコルを制御する自動設定制御部である。受信装置は提供装置の存在を検出すると、受信装置は自動設定制御部309の制御に基づいて、ネットワーク制御部307により提供装置のネットワークへ参加する。参加後、受信装置は自動設定制御部309の制御に基づいて、通信パラメータ受信部308により提供装置との間で通信パラメータを受信するためのメッセージを交換し、提供装置から通信パラメータを受信する。
【0025】
また、通信パラメータ自動設定機能をアクティブにし、受信装置になってからの経過時間が制限時間を越えたか否かの判定も、自動設定制御部309で行われる。また、当該制限時間を超えたと判定した場合には、自動設定制御部309の制御により、受信装置としての動作を中止する。
【0026】
図4は、通信装置A401(以下、装置A)、通信装置B402(以下、装置B)、通信装置C403(以下、装置C)、およびネットワーク404を示した図である。装置Aと装置Bは通信パラメータを提供する機能を備え、提供装置として先に説明した図1、図2の構成を有している。装置Cは通信パラメータを受信する機能を備え、受信装置として図1、図3の構成を有している。装置Aと装置Bは、ネットワーク404へ参加している。
【0027】
ここで、装置Aと装置Bから構成されるアドホックネットワーク404へ装置Cが参加する際に、装置A、装置B、装置Cの設定ボタンが操作された場合を考える。装置Aと装置Bは、設定ボタンが操作されると通信パラメータ自動設定機能をアクティブにし、通信パラメータを提供するための提供装置として起動する。また装置Cは、設定ボタンが操作されると通信パラメータ自動設定機能をアクティブにし、通信パラメータの受信装置として起動する。
【0028】
図5は、提供装置が他の提供装置から状態通知メッセージを受信した際の動作を説明するフローチャート図である。提供装置において無線LAN通信によりメッセージを受信すると、図5に示す処理は開始される。
【0029】
処理開始後、提供装置は受信したメッセージが状態通知メッセージか否かを確認する(S501)。ここで、受信メッセージが状態通知メッセージ以外のメッセージである場合は、処理を終了する。受信メッセージが状態通知メッセージである場合は、通信パラメータの提供装置として起動している(又は通信パラメータの提供処理を完了して終了する)装置が存在すると判定し、自身が通信パラメータの提供装置として起動しているか否かを確認する(S502)。
【0030】
提供装置として起動していない場合は、処理を終了する。提供装置として起動している場合は、提供装置として起動中(又は通信パラメータの提供処理を完了した)の他の装置が存在するので、自身は提供装置としての動作を停止して(S503)処理を終了する。このように、提供装置は他の装置が提供装置として起動中であることを状態通知メッセージにより検知した場合には、自身の提供装置としての動作を停止する。これにより、他の提供装置が受信装置へ通信パラメータを提供した際に、自身が提供装置として無駄に動作し続けることを防止することが可能となる。
【0031】
図6と図7は、本実施形態における各装置の動作を説明するシーケンス図である。図6では、提供装置が受信装置との間でメッセージ交換を開始したことを通知する開始通知メッセージを状態通知メッセージとして送信する場合の動作を示す。
【0032】
ユーザにより装置Aと装置Bの設定ボタンが操作されると、装置Aおよび装置Bは通信パラメータの提供装置としての動作を起動する(F601、F602)。続いてユーザにより装置C設定ボタンが操作されると、装置Cは通信パラメータの受信装置としての動作を起動し、提供装置の存在を検出するための検索信号を送信する(F603)。装置Bは装置Cから送信された検索信号を受信すると、自身が提供装置であることを示す自己情報が付加された検索応答信号を装置Cに対して送信する(F604)。
【0033】
装置Cは装置Bから検索応答信号を受信すると、検索応答信号の内容を参照することとで、装置Bが提供装置であることを検出する。検出後、装置Cはネットワーク404へ参加し、装置Bとメッセージを交換することで、装置Bからネットワーク404の通信パラメータを受信する(F605)。装置Bは、装置Cへ通信パラメータを提供するためのメッセージ交換を開始した際に、ネットワーク404に参加中の他の機器へ開始通知メッセージを送信する(F606)。開始通知メッセージを受信した装置Aは、図5で説明した状態通知受信処理を実施することで、通信パラメータの提供装置としての動作を停止する(F607)。
【0034】
次に図7では、提供装置が受信装置への通信パラメータの提供が完了したことを通知する完了通知メッセージを状態通知メッセージとして送信する場合の動作を示す。
【0035】
ユーザにより装置Aと装置Bの設定ボタンが操作されると、装置Aおよび装置Bは通信パラメータの提供装置としての動作を起動する(F701、F702)。続いてユーザにより装置C設定ボタンが操作されると、装置Cは通信パラメータの受信装置として起動し、提供装置の存在を検出するための検索信号を送信する(F703)。装置Bは装置Cから送信された検索信号を受信すると、自身が提供装置であることを示す自己情報が付加された検索応答信号を装置Cに対して送信する(F704)。
【0036】
装置Cは装置Bから検索応答信号を受信すると、検索応答信号の内容を参照することとで、装置Bが提供装置であることを検出する。検出後、装置Cはネットワーク404へ参加し、装置Bとメッセージを交換することで、装置Bからネットワーク404の通信パラメータを受信する(F705)。装置Bは、装置Cへの通信パラメータの提供が完了した際に、ネットワーク404に参加中の他の機器へ完了通知メッセージを送信する(F706)。開始通知メッセージを受信した装置Aは、図5で説明した状態通知受信処理を実施することで、通信パラメータの提供装置としての動作を停止する(F707)。
【0037】
このように本実施の形態によれば、ネットワークに参加中の複数の提供装置が存在する場合であっても、通信パラメータを提供する提供装置が状態通知メッセージを送信することで、他の装置の提供装置としての動作を停止することができる。そのため、他の装置は無駄に提供装置としての動作を続ける事無く、従来よりも速やかに提供装置としての動作を停止することが可能となる。これにより、意図しない受信装置へ通信パラメータを提供する危険性を低減することが可能となり、また、他の提供装置のユーザは速やかに他の操作を行うことが可能となる。
【0038】
なお、通信パラメータの提供装置としての動作を停止する際に、表示部105を用いて他の提供装置の存在により提供装置しての動作を停止する旨をユーザへ通知しても良い。また、完了通知メッセージを受信した際に、通知表示部105を用いて受信装置への通信パラメータの提供が完了したことをユーザへ通知しても良い。また、提供装置は、提供装置としての動作の開始時、または完了時のいずれかに状態通知メッセージを送信してもよいし、両タイミングで送信してもよい。状態通知メッセージを送信するタイミングが複数あると、メッセージの受信エラーが発生しても、受信できる可能性が高まり、より確実に提供装置としての動作を停止することができる。
【0039】
上記説明では、通信パラメータを提供する提供装置が状態通知メッセージを送信する場合について説明した。次に、提供装置の設定ボタンが操作された際に、通信パラメータの提供装置としての動作の起動を通知する起動通知メッセージを状態通知メッセージとして送信する場合について、図8、図9、図110を用いて説明する。
【0040】
図8は、提供装置が他の提供装置から状態通知メッセージを受信した際の第二の動作を説明するフローチャート図である。提供装置において無線LAN通信によりメッセージを受信すると、図8に示す処理は開始される。
【0041】
処理開始後、提供装置は受信したメッセージが状態通知メッセージか否かを確認する(S801)。ここで、受信メッセージが状態通知メッセージ以外のメッセージである場合は、処理を終了する。受信メッセージが状態通知メッセージである場合は、受信した状態通知メッセージが、通信パラメータの提供装置として起動中であることを通知する起動通知メッセージか否かを確認する(S802)。
【0042】
受信した状態通知メッセージが起動通知メッセージである場合は、他の通信装置が提供装置として起動中であることを示す状態情報を記憶部103に記憶して(S803)処理を終了する。受信した状態通知メッセージが起動通知メッセージでは無い場合は、受信した状態通知メッセージが、通信パラメータの提供が完了したことを通知する完了通知メッセージか否かを確認する(S804)。ここで、受信した状態通知メッセージが完了通知メッセージである場合は、記憶部103に記憶されている状態情報を削除して(S805)処理を終了する。受信した状態通知メッセージが完了通知メッセージでは無い場合は、処理を終了する。
【0043】
図9は、提供装置にて設定ボタン106が操作された場合の動作を説明するフローチャート図である。
【0044】
設定ボタン106が操作されると、提供装置は記憶部103を参照し、他の通信装置が提供装置として起動中であることを示す状態情報が記憶されているか否かを確認する(S901)。状態情報が記憶されている場合は、提供装置として起動すること無く処理を終了する。なお、処理を終了する際に、表示部105を用いて他の装置が提供装置として起動中であることをユーザに通知しても良い。また、記憶部103に状態情報が記憶されていない場合は、通信パラメータの提供装置として起動する(S902)。
【0045】
図10は、起動通知メッセージを状態通知メッセージとして送信する場合の各装置の動作を説明するシーケンス図である。
【0046】
ユーザにより装置Aの設定ボタンが操作されると、装置Aは通信パラメータの提供装置として起動する(F1001)。起動後、装置Aはネットワーク404へ参加中の他の機器へ起動通知メッセージを送信する(F1002)。起動通知メッセージを受信した装置Bは、図8で説明した状態通知受信処理を実施することで、他の通信装置が提供装置としての動作を開始したことを示す状態情報を記憶する(F1003)。その後、ユーザにより装置Bの設定ボタンが操作されると、装置Bは図9で説明した処理を実施することで、通信パラメータ提供装置としての起動を無効とする(F1004)。
【0047】
続いてユーザにより装置C設定ボタンが操作されると、装置Cは通信パラメータの受信装置として起動し、提供装置の存在を検出するための検索信号を送信する(F1005)。装置Aは装置Cから送信された検索信号を受信すると、自身が提供装置であることを示す自己情報が付加された検索応答信号を装置Cに対して送信する(F1006)。装置Cは装置Aから検索応答信号を受信すると、検索応答信号の内容を参照することとで、装置Aが提供装置であることを検出する。検出後、装置Cはネットワーク404へ参加し、装置Aとメッセージを交換することで、装置Aからネットワーク404の通信パラメータを受信する(F1007)。
【0048】
装置Aは、装置Cへの通信パラメータの提供が完了した際に、ネットワーク404へ参加中の他の機器へ完了通知メッセージを送信する(F1008)。完了通知メッセージを受信した装置Bは、図8で説明した状態通知受信処理を実施することで、記憶されている状態情報を削除する(F1009)。
【0049】
このように、他の装置が提供装置として起動したことを状態通知メッセージにより検知し、当該情報を記憶しておくことで、無駄に提供装置として起動することを防止できる。従って、ネットワークに参加中の複数の機器が提供装置として起動した場合でも、比較的に安全性にネットワークへ新規に機器を追加できる。また、提供装置の使い勝手を損なうことを無くネットワークへ新規に機器を追加できる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施例のみに限定する趣旨ではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で、実施形態は種々に変形することが可能である。
【0051】
また、上記説明はIEEE802.11準拠の無線LANを例に説明した。しかしながら、本発明は、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee等の他の無線媒体において実施してもよい。また、有線LAN等の有線通信媒体において実施してもよい。ここで、MBOAは、Multi Band OFDM Allianceの略である。また、UWBは、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。また、通信パラメータとしてネットワーク識別子、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵を例にしたが、他の情報であってもよいし、他の情報も通信パラメータには含まれるようにしてもよいことは言うまでも無い。
【0052】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0053】
201 提供装置
202 通信パラメータ自動設定機能ブロック
203 パケット受信部
204 パケット送信部
205 検索信号送信部
206 検索信号受信部
207 ネットワーク制御部
208 自動設定制御部
209 通信パラメータ提供部
210 状態通知制御部
301 受信装置
302 通信パラメータ自動設定機能ブロック
303 パケット受信部
304 パケット送信部
305 検索信号送信部
306 検索信号受信部
307 ネットワーク制御部
308 自動設定制御部
309 通信パラメータ受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
通信パラメータの提供を受ける受信装置に、通信パラメータを提供する提供装置として動作する提供手段と、
他の通信装置から、通信パラメータ提供装置としての動作に関する状態通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した状態通知の内容に応じて、前記提供手段による提供装置としての動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、他の通信装置が受信装置との間で通信パラメータを提供するためのメッセージ交換を開始したことを示す状態通知を受信した場合に、前記提供装置としての動作を停止することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、他の通信装置において受信装置への通信パラメータの提供が完了したことを示す状態通知を受信した場合に、前記提供装置としての動作を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、通信パラメータを提供する提供装置として他の通信装置が起動していることを確認すると、前記提供装置としては起動しないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
ネットワークへ参加している他の通信装置へ、前記提供装置としての起動状態又は前記提供装置としての通信パラメータ提供処理の状態を通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
通信装置の制御方法であって、
通信パラメータの提供を受ける受信装置に、通信パラメータを提供する提供装置として動作する提供工程と、
他の通信装置から、通信パラメータ提供装置としての動作に関する状態通知を受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した状態通知の内容に応じて、前記提供工程における提供装置としての動作を制御する制御工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の制御方法を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータにより読み取り可能であり、請求項7のプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−171929(P2010−171929A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234415(P2009−234415)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】