通信装置および通信方法
【課題】次世代ネットワーク等において、ファクシミリ通信中などに会話予約がなされたときに、ファクシミリ通信に影響を与えずに通話に適した帯域を使用して通話することができる通信装置および通信方法を提供する。
【解決手段】 通信装置20は、ファクシミリ通信が開始されると、SIPサーバ2に対して、データ用メディアストリーム8内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話が開始されると、SIPサーバ2に対して、音声用メディアストリーム6内の通話用帯域を確保するように要求する。
【解決手段】 通信装置20は、ファクシミリ通信が開始されると、SIPサーバ2に対して、データ用メディアストリーム8内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話が開始されると、SIPサーバ2に対して、音声用メディアストリーム6内の通話用帯域を確保するように要求する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等の送受信および通話可能な通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ通信中に送信者が会話予約をすることで、ファクシミリ通信中または通信後に、受信者側と通話回線を接続するファクシミリ通信装置がある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ファクシミリ通信などの1の通信が一定帯域幅を占有している場合、電話などの別の通信が開始されるとき、この一定帯域幅から一部の帯域をこの別の通信に自動的に割り当てる通信装置が開示されている。この通信装置は、この別の通信が終了した後に、継続中の1の通信に当該一部の帯域を開放する。
【0004】
特許文献2には、ISDN(Integrated Services Digital Network)端末が開示されている。この端末では、ファクシミリ通信中に会話予約されたとき、送信側の通信装置からの指示により、受信側の通信装置と同時に、ファクシミリ通信で使用されている通信パスを通話用に切り替える。すなわち、この端末は、同一通信パスで、ファクシミリ通信と通話を切り替えながら行う。
【0005】
特許文献3には、ファクシミリ通信中に送信者が会話予約した場合、送信される画像データのページの切れ目で通話を割り込ませる電話呼出方式が開示されている。この方式によると、通話が終了したときに、通話が割り込まれたことで中断されたファクシミリ通信が自動的に再開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−309663号公報
【特許文献2】特開平3−195166号公報
【特許文献3】特開平3−267853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の通信装置では、ファクシミリ通信が一定帯域幅を占有しているときに、この一定帯域内から一部の帯域が通話などの別の通信に割り当てられるので、この別の通信が行われる間、ファクシミリ通信のデータ通信速度が低下するといった問題があった。
【0008】
特許文献3の電話呼出方式では、ファクシミリ通信中に通話が割り込まれるとファクシミリ通信は一旦中断するので、ファクシミリ通信と通話が同時に行われなくなるといった問題があった。さらに、ファクシミリ通信にエラーが発生し、通信回線が切断されてしまうと、受信側との通話ができなくなるといった問題があった。
【0009】
また、近年、次世代ネットワーク(NGN…New Generation Network)を利用した通信装置が開発されている。本明細書における次世代ネットワークとは、インターネットで利用されているIP(Internet Protocol)と呼ばれる通信規約を使って電話回線やデータ通信等を構築した統合ネットワークのことであって、我が国では、2008年3月に商用サービスが開始された通信網のことをいう。この次世代ネットワークでは、通常、SIP(Session Initiation Protocol)サーバが両端末間の呼制御を行うことで、両端末間のファクシミリ通信や通話などが行われる。
【0010】
特許文献2に開示されている通信機器等がこの次世代ネットワークに適用された場合、以下のような問題点が生じた。
【0011】
通常、ファクシミリ通信に適した帯域は、通話に適した帯域よりも広帯域である。特許文献2では、ファクシミリ通信と通話は同一通信パスで行われるので、通話においては、ファクシミリ通信で使用される帯域が過剰性能となる問題があった。また、次世代ネットワークにおいては、使用される帯域の広さによって料金が決められているので、ファクシミリ通信終了後の通話のみに広帯域が使用されると、コストが嵩むといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するために、次世代ネットワーク等において、ファクシミリ通信中などに会話予約がなされたときに、ファクシミリ通信に影響を与えずに通話に適した帯域を使用して通話することができる通信装置および通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0014】
[1]ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信部と、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話部と、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記通話部による前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付部と、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定部と、
を有し、
前記使用帯域設定部は、前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、
前記使用帯域設定部は、前記会話予約受付部が前記会話予約を受け付けた場合、前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する
ことを特徴とする通信装置。
【0015】
上記発明では、通信装置は、ファクシミリ通信の呼接続において、ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話の呼接続において、受信側に対して、通話回線内の通話用帯域を確保するように要求する。
【0016】
これにより、ファクシミリ通信中などにユーザによって会話予約がなされた場合、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【0017】
ネットワークとは、ファクシミリ通信用帯域と通話用帯域を別々に確保することができるものであればよく、たとえば、上記次世代ネットワークが挙げられる。
【0018】
ファクシミリ通信用回線と通話回線は、互いに別個の回線であってもよい。また、次世代ネットワークの場合、データの送信側および受信側の通信装置間に確立された1のSIPセッション内に複数のメディアストリームが存在するが、これら複数のメディアストリームのうち1のメディアストリームがファクシミリ通信用回線として使用され、他のメディアストリームが通話回線として使用されてもよい。
【0019】
[2]前記通話用帯域は、前記ファクシミリ通信用帯域よりも狭い
ことを特徴とする[1]に記載の通信装置。
【0020】
通常、通話に適した帯域は、ファクシミリ通信に適した帯域よりも狭いことが多い。上記発明では、通話用帯域をファクシミリ通信用帯域よりも狭く設定することで、この通話用帯域が通話にとって過剰性能とならない。さらに、次世代ネットワーク等においては、一般的に、確保される帯域が広いほど、ネットワークの使用料金が高くなる。そこで、上記発明では、通話用帯域をファクシミリ通信用帯域よりも狭く設定しているので、会話予約による通話にかかるコストを下げることができる。
【0021】
[3]前記通話部は、VoIP機能を有する電話機である
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の通信装置。
【0022】
[4]前記通話部は、自機側のVoIPアダプタを有する電話に接続する接続部を有する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の通信装置。
【0023】
[5]さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得部を有し、
前記使用帯域設定部は、前記通話先接続情報取得部によって取得された前記通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続を行う
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0024】
上記発明では、通話先接続情報取得部が受信側の通話先接続情報を取得するので、送信側の通信装置のユーザは、受信側の通話先接続情報を調べる必要がなくなる。また、送信側の通信装置のユーザは、この通信装置に受信側の通話先接続情報を入力せずに、受信側の通話先との通話を行うことができる。
【0025】
受信側の通話先は、受信側の通信装置の通話部だけでなく、送信側から会話予約がなされたときに、送信側と通話による音声データの送受信を行うことができる、受信側の通信装置とは別個の電話等の通話機器も含む。
【0026】
通話先接続情報とは、IP電話の電話番号やIPアドレスなど、通話の呼接続において通話先の電話機等を識別するための番号等である。
【0027】
[6]前記通話先接続情報取得部は、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする[5]に記載の通信装置。
【0028】
受信側の応答とは、たとえば、送信(発呼)側からのITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合電気通信標準化セクタ)勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるRFC(Request for Comments)3261に準拠したINVITEに対する応答コード200OKなど、呼接続において必要なプロトコル信号であって、受信(被呼)側から送信されるもののうち、受信(被呼)側の通話先接続情報を載せることができる応答のことをいう。
【0029】
[7]さらに、自機の通話先接続情報を登録する通話先情報登録部と、
前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する前記送信側への応答に、前記通話先情報登録部に登録されている前記自機の通話先接続情報を載せる通話先接続情報付与部と、
を有する
ことを特徴とする[5]または[6]に記載の通信装置。
【0030】
自機の通話先は、自機の通話部だけでなく、送信側から会話予約がなされたときに、送信側と通話による音声データの送受信を行うことができる、自機とは別個の電話等の通話機器も含む。
【0031】
送信側への応答とは、たとえば、送信(発呼)側からのITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるRFC3261に準拠したINVITEに対する応答コード200OKなど、呼接続において必要なプロトコル信号であって、送信(発呼)側へ送信されるもののうち、自機の通話先接続情報を載せることができる応答のことをいう。
【0032】
[8]さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先接続情報変更部を有する
ことを特徴とする[5]に記載の通信装置。
【0033】
ネットワークのサーバとは、送信側と受信側の通信装置との間の通信回線を確立するためのネットワーク上に存在するサーバのことであり、次世代ネットワークの場合には、たとえば、SIPサーバなどが挙げられる。
【0034】
ファクシミリ通信用接続情報とは、ファクシミリ通信用電話番号やIPアドレスなど、ファクシミリ通信の呼接続において、画像データの送信先のファクシミリ通信機器等を識別するための番号等である。
【0035】
[9]前記通話先接続情報変更部は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、前記ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする[8]に記載の通信装置。
【0036】
PRI−Q信号とは、ITU−T勧告T.30等に準拠したプロトコル信号であって、PPS−PRI−MPS信号やPPS−PRI−EOP信号など、画像データを送信した後に、または、画像データの1のページを送信した後にオペレータの介在を要求する信号の総称である。
【0037】
[10]さらに、前記画像データの送信が完了してから、前記使用帯域設定部が前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するまでの時間を調整する接続開始調整部を有し、
前記接続開始調整部は、前記画像データの送信が完了してから前記時間が経過した後に、前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するように前記使用帯域設定部を制御する
ことを特徴とする[8]または[9]に記載の通信装置。
【0038】
[11]さらに、自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とを比較する接続情報比較部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とが同一であると前記接続情報比較部が判断したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機の通話先接続情報を変更するように指示しない
ことを特徴とする[8]乃至[10]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0039】
[12]さらに、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができるか否かを判定する通話可否判定部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができると前記通話可否判定部が判定したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機のファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に変更するように指示しない
ことを特徴とする[8]乃至[11]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0040】
[13]前記通信装置は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したとき、このPRI−Q信号をPRIがない信号として処理し、オペレータの呼び出し処理を行なわない
ことを特徴とする[5]乃至[12]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0041】
PRI−Q信号をPRIがない信号として処理するとは、たとえば、PPS−PRI−MPS信号の場合、通信装置は、当該信号をPPS−MPS信号として処理し、PPS−PRI−EOP信号の場合、通信装置は、当該信号をPPS−EOP信号として処理することである。
【0042】
[14]さらに、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報を作成する履歴情報作成部を有する
ことを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0043】
[15]前記履歴情報作成部は、前記ファクシミリ通信における通信時間に基づいて通信料金を算出し、前記通話における通話時間に基づいて通話料金を算出し、前記算出された通信料金と通話料金を前記履歴情報に含める
ことを特徴とする[14]に記載の通信装置。
【0044】
[16]ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信ステップと、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話ステップと、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付ステップと、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定ステップと、
前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求するファクシミリ通信用帯域要求ステップと、
前記会話予約が受け付けられたことによって実行される前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する通話用帯域要求ステップと、
を有する
ことを特徴とする通信方法。
【0045】
上記発明では、ファクシミリ通信の呼接続において、ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話の呼接続において、ネットワークに対して、通話回線内の通話用帯域を確保するように要求する。
【0046】
これにより、ファクシミリ通信中などにユーザによって会話予約がなされた場合、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【0047】
[17]さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得ステップを有し、
前記通話用帯域要求ステップでは、前記取得された通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続が行われる、
ことを特徴とする[16]に記載の通信方法。
【0048】
上記発明では、通話先接続情報取得ステップにおいて受信側の通話先接続情報を取得するので、送信側のユーザは、受信側の通話先接続情報を調べる必要がなくなる。また、送信側のユーザは、受信側の通話先接続情報を入力せずに、受信側の通話先との通話を行うことができる。
【0049】
[18]前記通話先接続情報取得ステップでは、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする[17]に記載の通信方法。
【0050】
[19]さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先情報変更ステップを有する
ことを特徴とする[17]に記載の通信方法。
【0051】
[20]前記通話先情報変更ステップでは、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによってPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする[19]に記載の通信方法。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係る通信装置および通信方法によれば、次世代ネットワーク等において、ファクシミリ通信中などに会話予約がなされたときに、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】次世代ネットワークにおけるSIPセッションを示す説明図である。
【図2】次世代ネットワークにおいて、発端末のユーザがSIPセッション内のメディアストリームを利用するときに課金される料金例を示す表である。
【図3】本実施形態に係る通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。
【図5】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図7】(a)は、ITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるINVITEの記述例であり、(b)は、(a)に示されたINVITEに対する応答コード200OKの記述例であり、(c)は、通話の呼接続のためのINVITEの記述例である。
【図8】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。
【図9】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図11】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信および通話に関する第3の手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の手順において、ファクシミリ通信中に実行される通話処理を示すフローチャートである。
【図13】第3の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図14】ファクシミリ通信と通話による通信時間や料金等を履歴情報として示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
図1は、次世代ネットワークにおけるSIPセッションを示す説明図である。図1では、次世代ネットワーク1上にSIPサーバ2が存在している。このSIPサーバ2を介して、SIPと呼ばれるプロトコルに従って、発端末3と着端末4との間にSIPセッション5が確立される。本実施形態では、発端末3および着端末4として、後述する通信装置20が使用される。
【0056】
SIPセッション5には、種別の異なるメディアセッションが、最大5本存在する。各メディアセッションの帯域の上限は、1Mbpsである。図1の例では、SIPセッション5には、音声用メディアストリーム6と、映像用メディアストリーム7とデータ用メディアストリーム8が存在する。
【0057】
発端末3と着端末4との間にSIPセッション5が確立されるときに、発端末3は、音声データや映像データなどのメディアの種類と、データ通信に使用される帯域をSIPサーバ2に通知する。SIPサーバ2は、発端末3からの通知に基づいて、通知されたメディアの種類に対応するメディアストリーム内の上記帯域を確保する。各メディアストリームでは、確保された帯域内で、データが発端末3から着端末4へとルータ9を介して送信される。
【0058】
図2は、次世代ネットワークにおいて、発端末3のユーザがSIPセッション内のメディアストリームを利用するときに課金される料金例を示す表である。
【0059】
通常、次世代ネットワークでは、メディアストリームを利用する際に課金される料金は、送信されるデータ量によって決定されるのではなく、データ送信に使用される帯域の広狭と、当該帯域を確保する時間によって決定される。図2の例では、確保される帯域が64kbps以下である場合、課金される料金は30秒あたり1円であり、確保される帯域が512kbps〜1Mbpsである場合、料金は30秒あたり2円である。
【0060】
送信されるデータの量およびネットワークの利用料金を考慮すると、ファクシミリ通信における画像データの送信に使用される帯域は、通常、64kbps〜1Mbpsであることが好ましい。一方、通話で使用される帯域は、通常、64kbps以下であることが好ましい。したがって、本実施形態では、発端末3が着端末4とのファクシミリ通信を行う場合、発端末3は、ファクシミリ通信用帯域として500kbpsを設定し、ファクシミリ通信に使用されるデータ用メディアストリーム8内の設定帯域(500kbps)を確保するようにSIPサーバ2に要求する。また、発端末3において、ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に着端末4側との会話予約が行われる場合、発端末3は、通話用帯域として64kbpsを設定し、通話に使用される音声用メディアストリーム6内の設定帯域(64kbps)を確保するようにSIPサーバ2に要求する。
【0061】
図3は、本実施形態に係る通信装置20の概略構成を示すブロック図である。通信装置20は、この通信装置20の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)21と、このCPU21に接続されたROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、電源制御部24と、通信制御部25と、通話部26と、ネットワーク通信部27と、表示部28と、操作部29と、読取部30と、記憶部31と、画像処理部32と、プリンタ部33とを備えている。
【0062】
CPU21は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU21は、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間等の履歴情報を作成し、記憶部31に保存する。
【0063】
ROM22には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU21が各種処理を実行することで通信装置20の各機能が実現される。
【0064】
RAM23は、CPU21がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0065】
電源制御部24は、通信装置20の各部への電力供給を制御し、通信装置20の全部分へ電力供給する通常モードと、ユーザ操作の開始や着呼を検出する部分以外への電力供給を停止させた待機モード(省電力モード)との切り替え制御などを行う。
【0066】
通信制御部25は、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合電気通信標準化セクタ)勧告T.30で規定されたファクシミリ伝送手順に関するプロトコル制御を実行し、ファクシミリ通信における画像データの送受信を行う。特に、通信制御部25は、ファクシミリ通信時にT.30制御信号であるPRI−Q信号の送受信を行い、さらに、この信号に対して後述の応答処理を行う。
【0067】
通話部26は、受話器26aと接続部26bを有し、音声データの送受信を行うことにより相手側との通話を実現する。受話器26aは、VoIP(Voice over Internet Protocol)機能を内蔵する電話機であって、たとえば、受話器26aには、ハンドセット型やヘッドセット型のものがある。接続部26bは、VoIPアダプタ内蔵電話を通信装置20に接続するための接続ユニットである。VoIPアダプタ内蔵電話と接続部26bとの間の接続は、有線、無線を問わない。受話器26aによる通話の場合においては、受話器26aがIP電話の制御を実行し、接続部26bに接続されたVoIPアダプタ内蔵電話による通話の場合においては、VoIPアダプタ内蔵電話がIP電話の制御を実行する。また、通話部26は通常、受話器26aと接続部26bのうち何れか1のみを有している。
【0068】
ネットワーク通信部27は、次世代ネットワーク1を利用してデータ通信を行う場合、データ通信に使用すべき帯域を設定し、そのデータの受信側との呼接続の制御を行う。次世代ネットワーク1を利用してファクシミリ通信を行う場合、ネットワーク通信部27は、ITU−T勧告T.38で規定されたファクシミリ通信手順に関するプロトコル制御を実行する。
【0069】
また、ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に画像データの送信側から会話予約がなされたが、この画像データの受信側の通信装置20(以下、「着端末4」という)が音声データの送受信を行えない場合、着端末4のネットワーク通信部27は、受信側の外部のIP電話の電話番号を送信側に通知する。この電話番号の通知方法については後述する。
【0070】
さらに、画像データの受信側から外部のIP電話の電話番号が通知されたとき、この画像データの送信側の通信装置20(以下、「発端末3」という)のネットワーク通信部27はこの電話番号を取得する。
【0071】
表示部28は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。また、ネットワーク通信部27が相手側の通話先の電話番号を取得した場合には、表示部28はその電話番号を表示する。さらに、ネットワーク通信部27が相手側の通話先の電話番号を取得できなかった場合には、表示部28はその旨を表示する。
【0072】
操作部29は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、表示部28の表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが通信装置20に対して行う各種の操作を受け付ける。また、操作部29は、受信側のファクシミリ通信用の電話番号や通話用IP電話番号の入力を受け付ける。さらに、操作部29は、ファクシミリ通信中などに画像データの受信側への会話予約を受け付ける。
【0073】
読取部30は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。読取部30は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0074】
記憶部31は、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)で構成されており、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。記憶部31内には、画像データを保存するための内部保存用のBOX(フォルダ)が作成される。また、記憶部31には、操作部29から入力された受信側のファクシミリ通信用の電話番号および通話用IP電話番号や、CPU21が作成したファクシミリ通信および通話に関する上記履歴情報が保存される。
【0075】
画像処理部32は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0076】
プリンタ部33は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって記録紙上に画像を形成するレーザー方式のプリンタエンジンとして構成されている。
【0077】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信後に受信側との通話を行う第1の手順について説明する。第1の手順では、着端末4の通話部26の故障等により、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4の近くに設置されているIP電話(以下、「着端末4側のIP電話」という)の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信の呼接続の際に、着端末4からの応答コード200OKに追記された着端末4側のIP電話の電話番号を取得する。さらに、第1の手順では、発端末3は、ファクシミリ通信終了後に、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0078】
図4および図5は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。図6は、第1の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0079】
図4において、まず、ファクシミリ通信が開始されるとき、発端末3は、ファクシミリ通信に使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に対して着端末4へのファクシミリ通信の呼接続を要求する(ステップS101)。具体的には、図6のように、発端末3は、RFC(Request for Comments)3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P1)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号「0123−45−6789」と、送信されるべきデータは画像データである旨と、ファクシミリ通信用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。
【0080】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4に到達すると(ステップS201;Yes)、図6のように、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P2)。続いて、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P3)。
【0081】
着端末4が画像データを受信することができる状態にあると着端末4のCPU21が判断したとき、このCPU21は、自機に通話用のIP電話番号が登録されているか否かを判断する(ステップS202)。着端末4の記憶部31などに着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていると着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS202;Yes)、着端末4のネットワーク通信部27は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、登録されている電話番号を追記し(ステップS203)、ステップS204へ進む。一方、着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていないと着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS202;No)、ステップS204へ進む。図6では、着端末4にはIP電話の電話番号「0123−45−9999」が予め登録されており、着端末4は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、この予め登録された電話番号を追記する。
【0082】
ステップS204では、着端末4は、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(P4)。
【0083】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS102;Yes)、発端末3のCPU21は、発端末3のネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得したか否かを判断する(ステップS103)。
【0084】
発端末3のネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得したことを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS103;Yes)、このCPU21は、記憶部31等にこの着端末4側のIP電話の電話番号を格納し(ステップS104)、ステップS105へ進む。一方、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得しなかったことを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS103;No)、ステップS105へ進む。
【0085】
その後、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4にメソッドACKを送信する(P5)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、ファクシミリ通信によって画像データを送信するためのデータ用メディアストリーム8内のファクシミリ通信用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が開始される(ステップS105およびS205)。
【0086】
このファクシミリ通信が実行されている間に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS106;Yes)、図6のように、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−PRI−EOP信号を着端末4に送信する(ステップS107、P6)。
【0087】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS106;No)、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−EOP信号を着端末4に送信する(ステップS108)。そして、ファクシミリ通信による画像データの送信が終了する。
【0088】
着端末4がファクシミリ通信において画像データの最終頁を受信したときに、着端末4のCPU21は、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−EOP信号)を受信したか否かを判断する(ステップS206)。
【0089】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS206;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS207)。具体的には、図6のように、発端末3から(PPS)−PRI−EOP信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P7)。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し(P8)、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS208)。
【0090】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS206;No)、着端末4は、(PPS)−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS208)。
【0091】
ステップS109およびS209では、上記ファクシミリ通信が終了したことにより、発端末3と着端末4は、ファクシミリ通信の呼切断を行う。具体的には、図6のように、発端末3がSIPサーバ2を介して着端末4にBYEを送信する(P9)。また、着端末4は、このBYEの応答として、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(P10)。
【0092】
ファクシミリ通信の呼切断が終了したのち、発端末3のCPU21は、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたか否かを判断する(ステップS110)。発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS110;No)、着端末4側との通話を行わず、上記第1の手順が終了する。
【0093】
発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS110;Yes)、このCPU21は、記憶部31等に着端末4側のIP電話の電話番号を格納したか否かを判断する(ステップS111)。
【0094】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS111;No)、発端末3の表示部28は、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得できず、着端末4側への通話の呼接続ができない旨を表示する(ステップS112)。その後、上記第1の手順が終了する。
【0095】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS111;Yes)、このCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS113;No)。
【0096】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS113;Yes)、発端末3は、通話で使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS114)。具体的には、図6のように、発端末3は、RFC3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P11)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、ステップS104で取得された着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」と、送受信されるべきデータは音声データである旨と、通話用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。このとき、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い帯域に設定される。すなわち、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも利用料金が低い帯域に設定される。
【0097】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS210;Yes)、図6のように、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P12)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P13)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS211、P14)。
【0098】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS115;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P15)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、通話のための音声用メディアストリーム6内に設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0099】
図7(a)は、ITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信に用いる呼接続のためのINVITEのSDP(Session Description Protocol)記述例である。図7(b)は、図7(a)に示されたINVITEに対する応答コード200OKのSDP記述例である。図7(c)は、通話の呼接続のためのINVITEのSDP記述例である。SDPの記述は、IETF(Internet Engineering Task Force)による技術仕様の保存・公開形式であるRFC2327等で定義されている。
【0100】
図7(a)では、リクエスト行のURI(Uniform Resource Identifier)に、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号「0123−45−6789」とその他必要な情報が記載される。ボディでは、送信されるべきメディアの種類(T.38に準拠したファクシミリ通信の場合、applicationとなる)がパラメータ”m”に記載される。また、ファクシミリ通信用帯域(本実施形態では、最大500kbps)がパラメータ”b”に記載される。ここで、変更子ASは最大帯域を表す。
【0101】
図7(b)では、ボディにおいて、自機(本実施形態では、着端末4)の通話用電話番号「0123−45−9999」がパラメータ”p”に記載される。
【0102】
RFC2327によると、パラメータ”p”は、通話先の電話番号等の通知に使用されることが可能である。また、RFC2327によれば、パラメータ”p”の記載中に、関連するフリーのテキスト文字列を丸括弧で括ることで、当該テキスト文字列を付記することが可能である。本実施形態では、特定のキーワード(たとえば、(TEL_ADDR))を付記することで、この応答コード200OKを受信する発端末3は、会話予約先の電話番号と解釈する。
【0103】
図7(c)では、リクエスト行のURIに、着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」が記載される。ボディでは、送信されるべきメディアの種類(通話による音声データの場合、audioとなる)がパラメータ”m”に記載される。また、通話用帯域(本実施形態では、最大64kbps)がパラメータ”b”に記載される。
【0104】
上記第1の手順においては、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−EOP信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−EOP信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。この結果、発端末3と着端末4との間で、ファクシミリ通信の呼切断が行われ、データ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域が開放される。その後、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0105】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、その後、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0106】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0107】
また、上記第1の手順では、ファクシミリ通信の呼接続時に、着端末4は、発端末3へと送信されるべき応答コード200OKに、着端末4側のIP電話の電話番号を記載し、この応答コード200OKを送信する。これにより、発端末3は、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。さらに、発端末3は、この取得した電話番号を使用して着端末4側のIP電話への呼接続の要求を行うので、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0108】
一般的に、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合、着端末4のユーザは、発端末3側に当該IP電話の電話番号を通知するために、着端末4に当該IP電話の電話番号を登録する必要がある。一方、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4の通話用電話番号が同一である場合、着端末4は、発端末3側に当該通話用電話番号を通知する必要はない。しかしながら、上記電話番号が同一である場合にも、着端末4が自機の通話用電話番号を通知することにより、発端末3は、この通知された電話番号に基づいて、確実に、SIPサーバ2に対して通話用帯域の確保を要求することができる。
【0109】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信後に受信側との通話を行う第2の手順について説明する。第2の手順では、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信終了後に、SIPサーバ2から着端末4側のIP電話の電話番号を取得し、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0110】
図8および図9は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。図10は、第2の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0111】
まず、ファクシミリ通信が開始されるとき、発端末3は、ファクシミリ通信に使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4へのファクシミリ通信の呼接続を要求する(ステップS301、P21)。この呼接続の要求は、第1の手順中のステップS101と同様である。
【0112】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4に到達すると(ステップS401;Yes)、図10のように、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P22)。続いて、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P23)。
【0113】
着端末4が画像データを受信することができる状態にあると着端末4のCPU21が判断したとき、着端末4は、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(ステップS402、P24)。
【0114】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS302;Yes)、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4にメソッドACKを送信する(P25)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、ファクシミリ通信によって画像データを送信するためのデータ用メディアストリーム8内に設定されたファクシミリ通信用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が開始される(ステップS303およびS403)。
【0115】
このファクシミリ通信が実行されている間に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS304;Yes)、図10のように、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30等に準拠した(PPS)−PRI−EOPを着端末4に送信する(ステップS305、P26)。
【0116】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS304;No)、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30等に準拠した(PPS)−EOPを着端末4に送信する(ステップS306)。そして、ファクシミリ通信による画像データの送信が終了する。
【0117】
着端末4がファクシミリ通信において画像データの最終頁を受信したときに、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−EOP信号)を受信したか否かを着端末4のCPU21が判断する(ステップS404)。
【0118】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS404;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS405)。具体的には、図10のように、発端末3から(PPS)−PRI−EOP信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P27)。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し(P28)、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS406)。
【0119】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS404;No)、着端末4は、(PPS)−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS406)。
【0120】
ステップS307およびS407では、発端末3と着端末4との間のファクシミリ通信による画像データの送受信が終了したことにより、ファクシミリ通信の呼切断を行う。この呼切断は、第1の手順中のステップS109およびS209と同様である。
【0121】
その後、着端末4のCPU21は、着端末4の通信制御部25がファクシミリ通信中にPRI−Q信号を受信したか否かを判断する(ステップS408)。着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS408;No)、上記第2の手順が終了する。
【0122】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS408;Yes)、着端末4のCPU21は、IP電話が自機に内蔵されているか、または、外部のIP電話を自機の接続部26bに接続することが可能か、その外部のIP電話を制御することが可能かなど、着端末4が通話による音声データの送受信を適切に行うことができるか否かを判断する。着端末4が通話による音声データの送受信を行うことができることを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS409;Yes)、ファクシミリ通信に関する手順が終了し、発端末3との通話が開始される。
【0123】
着端末4が通話による音声データの送受信を行うことができないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS409;No)、着端末4のCPU21は、着端末4側のIP電話の電話番号が登録されているか否かを判断する(ステップS410)。着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていないと着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS410;No)、上記第2の手順が終了する。
【0124】
着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていると着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS410;Yes)、着端末4のネットワーク通信部27は、SIPサーバ2のリダイレクトサーバに、着端末4側のIP電話の電話番号を一時的に登録する(ステップS411)。具体的には、図10に示すように、PRI−Q信号の受信をトリガーとして、着端末4のネットワーク通信部27は、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を、ファクシミリ通信用電話番号「0123−45−6789」から着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」に一時的に変更する(P29)。これにより、ファクシミリ通信に関する手順が終了し、発端末3との通話が開始される。
【0125】
一方、発端末3側では、ファクシミリ通信の呼切断が終了したのち、発端末3のCPU21は、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたか否かを判断する(ステップS308)。発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS308;No)、着端末4側との通話を行わず、上記第2の手順が終了する。
【0126】
発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS308;Yes)、このCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS309;No)。
【0127】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS309;Yes)、発端末3は、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求するためのメソッドINVITEのSIPサーバ2への送信を所定時間待機する(ステップS310)。この所定時間とは、着端末4のネットワーク通信部27が、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を確実に変更するために必要な時間である。発端末3が上記メソッドINVITEの送信を所定時間待機することによって、着端末4に上記着信先の一時変更を確実に実行させる。また、発端末3のCPU21は、上記所定時間を、発端末3と着端末4との通信状況等に応じて調整することができる。
【0128】
上記所定時間経過後、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を使用することで、上記メソッドINVITEをSIPサーバ2に送信する(P30)。このとき、発端末3は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS311)。
【0129】
SIPサーバ2は、このメソッドINVITEに対する応答として、302レスポンスを発端末3に送信する(P31)。このとき、SIPサーバ2は、リダイレクトサーバに一時的に登録されている着端末4側のIP電話の電話番号を発端末3に通知する。
【0130】
発端末3は、SIPサーバ2によって通知された着端末4側のIP電話の電話番号を使用することで、メソッドINVITEをSIPサーバ2に送信する(P32)。このとき、発端末3は、再び、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS312)。
【0131】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS412;Yes)、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P33)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P34)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS413、P35)。
【0132】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS313;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P36)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、通話のための音声用メディアストリーム6内の設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0133】
発端末3と着端末4との間における通話が終了するとき、着端末4側のIP電話は、リダイレクトサーバに一時的に登録されている当該IP電話の電話番号を、元の着端末4のファクシミリ通信用電話番号に戻すようにリダイレクトサーバに指示してもよい。この場合、着端末4側のIP電話には、着端末4のファクシミリ通信用電話番号が登録されている必要がある。
【0134】
上記第2の手順においては、第1の手順と同様に、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−EOP信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−EOP信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。この結果、発端末3と着端末4との間で、ファクシミリ通信の呼切断が行われ、データ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域が開放される。その後、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0135】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、その後、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0136】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0137】
また、上記第2の手順では、着端末4は、PRI−Q信号の受信をトリガーとして、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を、ファクシミリ通信用電話番号から着端末4側のIP電話の電話番号に一時的に変更する。これにより、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を使用して着端末4側のIP電話の電話番号への呼接続の要求を行うときに、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。従って、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合でも、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0138】
なお、第2の手順では、主に、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合について説明したが、これらの電話番号が同一である場合には、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先の一時変更を行わなくてもよい。具体的には、図10の点線で囲まれたP29、P30、P31の各信号の送受信が省略される。また、図8のステップS410において、着端末4に通話用電話番号が登録されている場合でも、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が同一であると着端末4のCPU21が判断したときには、着端末4は、上記着信先の一時変更を行わない。
【0139】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信中に受信側との通話を行う第3の手順について説明する。第3の手順では、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信の呼接続の際に、着端末4からの応答コード200OKに追記された着端末4側のIP電話の電話番号を取得する。さらに、第3の手順では、発端末3は、ファクシミリ通信中に、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0140】
図11は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信および通話に関する第3の手順を示すフローチャートである。図12は、ファクシミリ通信中に実行される通話処理を示すフローチャートである。図13は、第3の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0141】
図11のステップS501〜S505およびステップS601〜S605は、図4のステップS101〜S105およびステップS201〜S205と同様であるので、これらの説明を省略する。
【0142】
ファクシミリ通信中に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS506;Yes)、図13のように、ファクシミリ通信において画像データを着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠したPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−MPS信号)を着端末4に送信する(ステップS507、P41)。この(PPS)−PRI−MPS信号は、発端末3が会話予約を受け付けた直後に送信完了となる画像データのページのポストメッセージ信号として送信される。図13では、画像データの1ページ目の送信完了前に発端末3が会話予約を受け付けたので、発端末3は、この1ページ目のポストメッセージ信号として、(PPS)−PRI−MPS信号を送信する。
【0143】
発端末3が着端末4に(PPS)−PRI−MPS信号であるPRI−Q信号を送信すると、発端末3は、ファクシミリ通信と同時に、後述する通話処理を実行する(ステップS509)。
【0144】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS506;No)、ファクシミリ通信において画像データの各ページを着端末4に送信するときに、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−MPS信号を着端末4に送信する(ステップS508)。そして、発端末3による画像データの最終頁の送信が完了するまで、発端末3のCPU21は、操作部29が会話予約を受け付けたか否かを監視する(ステップS510;No)。
【0145】
着端末4では、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS606;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS607)。具体的には、図13のように、発端末3から(PPS)−PRI−MPS信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−MPS信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−MPS信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P42)。
【0146】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS606;No)、着端末4による画像データの最終頁の受信が完了するまで、着端末4のCPU21は、通信制御部25がPRI−Q信号を受信しているか否かを監視する(ステップS608;No)。
【0147】
ファクシミリ通信による画像データの送受信が完了すると(ステップS510;YesおよびS608;Yes)、ステップS511およびS609では、発端末3と着端末4は、ファクシミリ通信の呼切断を行う。このファクシミリ通信の呼切断は、第1の手順中のステップS109およびS209と同様である。
【0148】
次に、第3の手順における通話処理(ステップS509)について詳細に説明する。
【0149】
発端末3の操作部29が会話予約を受け付けたことにより発端末3がPRI−Q信号を着端末4へ送信した後、発端末3のCPU21は、記憶部31等に着端末4側のIP電話の電話番号を格納したか否かを判断する(ステップS701)。
【0150】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS701;No)、発端末3の表示部28は、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得できず、着端末4側との通話の呼接続ができない旨を表示する(ステップS702)。その後、上記第3の手順が終了する。
【0151】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS701;Yes)、発端末3のCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS703;No)。
【0152】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS703;Yes)、発端末3は、通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS704)。具体的には、図13のように、発端末3は、RFC3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P43)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、ステップS504で取得された着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」と、送受信されるべきデータは音声データである旨と、通話用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。このとき、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い帯域に設定される。すなわち、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも利用料金が低い帯域に設定される。
【0153】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS801;Yes)、図13のように、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P44)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P45)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS802、P46)。
【0154】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS705;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P47)。その結果、通話のための音声用メディアストリーム6内に設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0155】
図13では、紙面の都合上、通話の呼接続と、ファクシミリ通信における画像データの2ページ目の送信が上下に並べられて記載されているが、実際には、通話の呼接続と画像データの2ページ目の送信は、同時に行われている。
【0156】
上記第3の手順においては、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、この会話予約の直後に送信完了となる画像データのページのポストメッセージ信号として、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−MPS信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−MPS信号を(PPS)−MPS信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。また、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0157】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0158】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0159】
また、上記第3の手順では、第1の手順と同様に、ファクシミリ通信の呼接続時に、着端末4は、発端末3へと送信されるべき応答コード200OKに、着端末4側のIP電話の電話番号を記載し、この応答コード200OKを送信する。これにより、発端末3は、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。さらに、発端末3は、この取得した電話番号を使用して着端末4側のIP電話への呼接続の要求を行うので、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0160】
また、上記第3の手順では、発端末3が着端末4側への会話予約を受け付けると、発端末3は、ファクシミリ通信中に、通話用帯域を設定し、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。これにより、発端末3は、ファクシミリ通信による画像データの送信をデータ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域で行い、同時に、通話による音声データの送受信を音声用メディアストリーム6の通話用帯域で行うことができる。
【0161】
なお、上記第3の手順では、主に、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合について説明したが、これらの電話番号が同一である場合にも上記第3の手順を適用することができる。この場合、着端末4へのファクシミリ通信の呼接続の要求時に、着端末4は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を記載すればよい。
【0162】
図14は、ファクシミリ通信と通話による通信時間や料金等を履歴情報として示した表である。この表は、CPU21が作成したファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報等を基に、プリンタ部33によって印刷されたものである。また、表の欄外には、データ通信時に確保される帯域毎の通信料金が示される。さらに、CPU21は、上記通信時間に基づいて、ファクシミリ通信料金を算出し、上記通話時間に基づいて通話料金を算出する。これら算出されたファクシミリ通信料金等は、上記通信時間等とともに表に示される。
【0163】
発端末3が会話予約を受け付けたファクシミリ通信については、上記表の備考欄に「会話予約」が示されている。また、通話の履歴において、宛先欄の矢印は、この通話の履歴の直上に記載されるファクシミリ通信が行われている間に通話用電話番号が取得されたことを示す。
【0164】
たとえば、No.002に記載されているファクシミリ通信では、経理部の通信装置20に、通話用の電話番号「0123−45−1111」が登録されており、この電話番号がファクシミリ通信中に送信側の通信装置20に通知されている。送信側の通信装置20が会話予約を受け付けたときに、送信側の通信装置20は、通知された電話番号を使用して、経理部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。また、経理部の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と、この通信装置20に登録されている通話用電話番号が異なるので、経理部の通信装置20は、通話による音声データの送受信を行うことができないことが分かる。
【0165】
また、No.004に記載されているファクシミリ通信では、秘書室の通信装置20に、通話用の電話番号「0123−45−0110」が登録されており、この電話番号がファクシミリ通信中に送信側の通信装置20に通知されている。送信側の通信装置20が会話予約を受け付けたときに、送信側の通信装置20は、通知された電話番号を使用して、秘書室の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。また、秘書室の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と、この通信装置20に登録されている通話用電話番号が同一であるので、秘書室の通信装置20は、通話による音声データの送受信を行うことができることが分かる。
【0166】
また、宛先欄の矢印がない通話の履歴は、この通話の履歴の直上に記載されるファクシミリ通信が行われている間に通話用電話番号が取得されなかったことを示す。さらに、宛先欄の(S)は、リダイレクトサーバから取得された通話用電話番号であることを示す。
【0167】
たとえば、No.005に記載されている通話用電話番号には、矢印が記載されていないが、(S)が表示されている。このNo.005のファクシミリ通信において、送信側の通信装置20は、外販部の通信装置20から通話用電話番号を取得することができなかったので、ファクシミリ通信後に、送信側の通信装置20は、外販部の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号を使用して、外販部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っている。その後、送信側の通信装置20は、通話の呼接続の要求時にリダイレクトサーバから外販部の通信装置20の通話用電話番号を取得したので、この通話用電話番号を使用して、外販部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。
【0168】
また、No.007に記載されている通話用電話番号には、宛先欄に矢印も(S)も表示されていない。このNo.007のファクシミリ通信において、送信側の通信装置20は、営業2課の通信装置20から通話用電話番号を取得することができなかったので、ファクシミリ通信後に、送信側の通信装置20は、営業2課の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号を使用して、営業2課の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っている。また、営業2課の通信装置20は、リダイレクトサーバで登録されている自機の着信先を変更していない。従って、営業2課の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と通話用電話番号が同一であり、この通信装置20は、通話による音声データの送受信を適切に行うことができることがこの履歴から分かる。
【0169】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0170】
本実施形態では、次世代ネットワークを利用した場合について説明したが、本実施形態に係る通信装置20は、次世代ネットワークに限らず、ファクシミリ通信用帯域と通話用帯域を別々に確保することができるネットワークにでも適用可能である。
【0171】
また、本実施形態に係る通信装置20は、ファクシミリ通信中に会話予約を受け付けていたが、発端末3のネットワーク通信部27がSIPサーバ2に対してファクシミリ通信用帯域を確保するように要求する前、すなわち、ファクシミリ通信前に会話予約を受け付けてもよい。たとえば、送信されるべき画像データの原稿が通信装置20の読取部30にセットされるときに、通信装置20は会話予約を受け付けてもよい。
【0172】
また、ファクシミリ通信用帯域や通話用帯域は、画像データや音声データのデータ量などを考慮して、適宜設定されてもよい。
【0173】
本実施形態では、画像データの送信先接続情報や受信側の通話先接続情報として、電話番号が使用されたが、電話番号に限らず、たとえばIPアドレスなどでもよい。
【0174】
また、本実施形態に係る通信装置20は、画像データの送信側からのファクシミリ通信の呼接続のためのINVITEに対する応答コード200OKに自機の通話用電話番号を記載した。しかしながら、この電話番号が記載される応答コードは、応答コード200OKに限られず、画像データの送信側へ送信されるべき応答コードであって、自機の通話用電話番号を記載したときに、送信側が当該電話番号を認識することができる応答コードであればよい。また、自機の通話用電話番号の記載方法についても、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0175】
1…次世代ネットワーク(NGN)
2…SIPサーバ
3…発端末
4…着端末
5…SIPセッション
6…音声用メディアストリーム
7…映像用メディアストリーム
8…データ用メディアストリーム
9…ルータ
20…通信装置
21…CPU
22…ROM
23…RAM
24…電源制御部
25…通信制御部
26…通話部
26a…受話器
26b…接続部
27…ネットワーク通信部
28…表示部
29…操作部
30…読取部
31…記憶部
32…画像処理部
33…プリンタ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ等の送受信および通話可能な通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ通信中に送信者が会話予約をすることで、ファクシミリ通信中または通信後に、受信者側と通話回線を接続するファクシミリ通信装置がある。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ファクシミリ通信などの1の通信が一定帯域幅を占有している場合、電話などの別の通信が開始されるとき、この一定帯域幅から一部の帯域をこの別の通信に自動的に割り当てる通信装置が開示されている。この通信装置は、この別の通信が終了した後に、継続中の1の通信に当該一部の帯域を開放する。
【0004】
特許文献2には、ISDN(Integrated Services Digital Network)端末が開示されている。この端末では、ファクシミリ通信中に会話予約されたとき、送信側の通信装置からの指示により、受信側の通信装置と同時に、ファクシミリ通信で使用されている通信パスを通話用に切り替える。すなわち、この端末は、同一通信パスで、ファクシミリ通信と通話を切り替えながら行う。
【0005】
特許文献3には、ファクシミリ通信中に送信者が会話予約した場合、送信される画像データのページの切れ目で通話を割り込ませる電話呼出方式が開示されている。この方式によると、通話が終了したときに、通話が割り込まれたことで中断されたファクシミリ通信が自動的に再開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−309663号公報
【特許文献2】特開平3−195166号公報
【特許文献3】特開平3−267853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の通信装置では、ファクシミリ通信が一定帯域幅を占有しているときに、この一定帯域内から一部の帯域が通話などの別の通信に割り当てられるので、この別の通信が行われる間、ファクシミリ通信のデータ通信速度が低下するといった問題があった。
【0008】
特許文献3の電話呼出方式では、ファクシミリ通信中に通話が割り込まれるとファクシミリ通信は一旦中断するので、ファクシミリ通信と通話が同時に行われなくなるといった問題があった。さらに、ファクシミリ通信にエラーが発生し、通信回線が切断されてしまうと、受信側との通話ができなくなるといった問題があった。
【0009】
また、近年、次世代ネットワーク(NGN…New Generation Network)を利用した通信装置が開発されている。本明細書における次世代ネットワークとは、インターネットで利用されているIP(Internet Protocol)と呼ばれる通信規約を使って電話回線やデータ通信等を構築した統合ネットワークのことであって、我が国では、2008年3月に商用サービスが開始された通信網のことをいう。この次世代ネットワークでは、通常、SIP(Session Initiation Protocol)サーバが両端末間の呼制御を行うことで、両端末間のファクシミリ通信や通話などが行われる。
【0010】
特許文献2に開示されている通信機器等がこの次世代ネットワークに適用された場合、以下のような問題点が生じた。
【0011】
通常、ファクシミリ通信に適した帯域は、通話に適した帯域よりも広帯域である。特許文献2では、ファクシミリ通信と通話は同一通信パスで行われるので、通話においては、ファクシミリ通信で使用される帯域が過剰性能となる問題があった。また、次世代ネットワークにおいては、使用される帯域の広さによって料金が決められているので、ファクシミリ通信終了後の通話のみに広帯域が使用されると、コストが嵩むといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するために、次世代ネットワーク等において、ファクシミリ通信中などに会話予約がなされたときに、ファクシミリ通信に影響を与えずに通話に適した帯域を使用して通話することができる通信装置および通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0014】
[1]ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信部と、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話部と、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記通話部による前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付部と、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定部と、
を有し、
前記使用帯域設定部は、前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、
前記使用帯域設定部は、前記会話予約受付部が前記会話予約を受け付けた場合、前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する
ことを特徴とする通信装置。
【0015】
上記発明では、通信装置は、ファクシミリ通信の呼接続において、ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話の呼接続において、受信側に対して、通話回線内の通話用帯域を確保するように要求する。
【0016】
これにより、ファクシミリ通信中などにユーザによって会話予約がなされた場合、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【0017】
ネットワークとは、ファクシミリ通信用帯域と通話用帯域を別々に確保することができるものであればよく、たとえば、上記次世代ネットワークが挙げられる。
【0018】
ファクシミリ通信用回線と通話回線は、互いに別個の回線であってもよい。また、次世代ネットワークの場合、データの送信側および受信側の通信装置間に確立された1のSIPセッション内に複数のメディアストリームが存在するが、これら複数のメディアストリームのうち1のメディアストリームがファクシミリ通信用回線として使用され、他のメディアストリームが通話回線として使用されてもよい。
【0019】
[2]前記通話用帯域は、前記ファクシミリ通信用帯域よりも狭い
ことを特徴とする[1]に記載の通信装置。
【0020】
通常、通話に適した帯域は、ファクシミリ通信に適した帯域よりも狭いことが多い。上記発明では、通話用帯域をファクシミリ通信用帯域よりも狭く設定することで、この通話用帯域が通話にとって過剰性能とならない。さらに、次世代ネットワーク等においては、一般的に、確保される帯域が広いほど、ネットワークの使用料金が高くなる。そこで、上記発明では、通話用帯域をファクシミリ通信用帯域よりも狭く設定しているので、会話予約による通話にかかるコストを下げることができる。
【0021】
[3]前記通話部は、VoIP機能を有する電話機である
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の通信装置。
【0022】
[4]前記通話部は、自機側のVoIPアダプタを有する電話に接続する接続部を有する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の通信装置。
【0023】
[5]さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得部を有し、
前記使用帯域設定部は、前記通話先接続情報取得部によって取得された前記通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続を行う
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0024】
上記発明では、通話先接続情報取得部が受信側の通話先接続情報を取得するので、送信側の通信装置のユーザは、受信側の通話先接続情報を調べる必要がなくなる。また、送信側の通信装置のユーザは、この通信装置に受信側の通話先接続情報を入力せずに、受信側の通話先との通話を行うことができる。
【0025】
受信側の通話先は、受信側の通信装置の通話部だけでなく、送信側から会話予約がなされたときに、送信側と通話による音声データの送受信を行うことができる、受信側の通信装置とは別個の電話等の通話機器も含む。
【0026】
通話先接続情報とは、IP電話の電話番号やIPアドレスなど、通話の呼接続において通話先の電話機等を識別するための番号等である。
【0027】
[6]前記通話先接続情報取得部は、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする[5]に記載の通信装置。
【0028】
受信側の応答とは、たとえば、送信(発呼)側からのITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合電気通信標準化セクタ)勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるRFC(Request for Comments)3261に準拠したINVITEに対する応答コード200OKなど、呼接続において必要なプロトコル信号であって、受信(被呼)側から送信されるもののうち、受信(被呼)側の通話先接続情報を載せることができる応答のことをいう。
【0029】
[7]さらに、自機の通話先接続情報を登録する通話先情報登録部と、
前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する前記送信側への応答に、前記通話先情報登録部に登録されている前記自機の通話先接続情報を載せる通話先接続情報付与部と、
を有する
ことを特徴とする[5]または[6]に記載の通信装置。
【0030】
自機の通話先は、自機の通話部だけでなく、送信側から会話予約がなされたときに、送信側と通話による音声データの送受信を行うことができる、自機とは別個の電話等の通話機器も含む。
【0031】
送信側への応答とは、たとえば、送信(発呼)側からのITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるRFC3261に準拠したINVITEに対する応答コード200OKなど、呼接続において必要なプロトコル信号であって、送信(発呼)側へ送信されるもののうち、自機の通話先接続情報を載せることができる応答のことをいう。
【0032】
[8]さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先接続情報変更部を有する
ことを特徴とする[5]に記載の通信装置。
【0033】
ネットワークのサーバとは、送信側と受信側の通信装置との間の通信回線を確立するためのネットワーク上に存在するサーバのことであり、次世代ネットワークの場合には、たとえば、SIPサーバなどが挙げられる。
【0034】
ファクシミリ通信用接続情報とは、ファクシミリ通信用電話番号やIPアドレスなど、ファクシミリ通信の呼接続において、画像データの送信先のファクシミリ通信機器等を識別するための番号等である。
【0035】
[9]前記通話先接続情報変更部は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、前記ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする[8]に記載の通信装置。
【0036】
PRI−Q信号とは、ITU−T勧告T.30等に準拠したプロトコル信号であって、PPS−PRI−MPS信号やPPS−PRI−EOP信号など、画像データを送信した後に、または、画像データの1のページを送信した後にオペレータの介在を要求する信号の総称である。
【0037】
[10]さらに、前記画像データの送信が完了してから、前記使用帯域設定部が前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するまでの時間を調整する接続開始調整部を有し、
前記接続開始調整部は、前記画像データの送信が完了してから前記時間が経過した後に、前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するように前記使用帯域設定部を制御する
ことを特徴とする[8]または[9]に記載の通信装置。
【0038】
[11]さらに、自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とを比較する接続情報比較部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とが同一であると前記接続情報比較部が判断したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機の通話先接続情報を変更するように指示しない
ことを特徴とする[8]乃至[10]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0039】
[12]さらに、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができるか否かを判定する通話可否判定部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができると前記通話可否判定部が判定したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機のファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に変更するように指示しない
ことを特徴とする[8]乃至[11]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0040】
[13]前記通信装置は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したとき、このPRI−Q信号をPRIがない信号として処理し、オペレータの呼び出し処理を行なわない
ことを特徴とする[5]乃至[12]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0041】
PRI−Q信号をPRIがない信号として処理するとは、たとえば、PPS−PRI−MPS信号の場合、通信装置は、当該信号をPPS−MPS信号として処理し、PPS−PRI−EOP信号の場合、通信装置は、当該信号をPPS−EOP信号として処理することである。
【0042】
[14]さらに、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報を作成する履歴情報作成部を有する
ことを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1項に記載の通信装置。
【0043】
[15]前記履歴情報作成部は、前記ファクシミリ通信における通信時間に基づいて通信料金を算出し、前記通話における通話時間に基づいて通話料金を算出し、前記算出された通信料金と通話料金を前記履歴情報に含める
ことを特徴とする[14]に記載の通信装置。
【0044】
[16]ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信ステップと、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話ステップと、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付ステップと、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定ステップと、
前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求するファクシミリ通信用帯域要求ステップと、
前記会話予約が受け付けられたことによって実行される前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する通話用帯域要求ステップと、
を有する
ことを特徴とする通信方法。
【0045】
上記発明では、ファクシミリ通信の呼接続において、ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内のファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、ファクシミリ通信中などに会話予約を受け付けた場合、通話の呼接続において、ネットワークに対して、通話回線内の通話用帯域を確保するように要求する。
【0046】
これにより、ファクシミリ通信中などにユーザによって会話予約がなされた場合、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【0047】
[17]さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得ステップを有し、
前記通話用帯域要求ステップでは、前記取得された通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続が行われる、
ことを特徴とする[16]に記載の通信方法。
【0048】
上記発明では、通話先接続情報取得ステップにおいて受信側の通話先接続情報を取得するので、送信側のユーザは、受信側の通話先接続情報を調べる必要がなくなる。また、送信側のユーザは、受信側の通話先接続情報を入力せずに、受信側の通話先との通話を行うことができる。
【0049】
[18]前記通話先接続情報取得ステップでは、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする[17]に記載の通信方法。
【0050】
[19]さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先情報変更ステップを有する
ことを特徴とする[17]に記載の通信方法。
【0051】
[20]前記通話先情報変更ステップでは、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによってPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする[19]に記載の通信方法。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係る通信装置および通信方法によれば、次世代ネットワーク等において、ファクシミリ通信中などに会話予約がなされたときに、通話に使用される帯域を、ファクシミリ通信で使用される帯域とは別個に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】次世代ネットワークにおけるSIPセッションを示す説明図である。
【図2】次世代ネットワークにおいて、発端末のユーザがSIPセッション内のメディアストリームを利用するときに課金される料金例を示す表である。
【図3】本実施形態に係る通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。
【図5】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図7】(a)は、ITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信の、呼接続に用いるINVITEの記述例であり、(b)は、(a)に示されたINVITEに対する応答コード200OKの記述例であり、(c)は、通話の呼接続のためのINVITEの記述例である。
【図8】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。
【図9】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図11】発端末と着端末との間におけるファクシミリ通信および通話に関する第3の手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の手順において、ファクシミリ通信中に実行される通話処理を示すフローチャートである。
【図13】第3の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【図14】ファクシミリ通信と通話による通信時間や料金等を履歴情報として示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
図1は、次世代ネットワークにおけるSIPセッションを示す説明図である。図1では、次世代ネットワーク1上にSIPサーバ2が存在している。このSIPサーバ2を介して、SIPと呼ばれるプロトコルに従って、発端末3と着端末4との間にSIPセッション5が確立される。本実施形態では、発端末3および着端末4として、後述する通信装置20が使用される。
【0056】
SIPセッション5には、種別の異なるメディアセッションが、最大5本存在する。各メディアセッションの帯域の上限は、1Mbpsである。図1の例では、SIPセッション5には、音声用メディアストリーム6と、映像用メディアストリーム7とデータ用メディアストリーム8が存在する。
【0057】
発端末3と着端末4との間にSIPセッション5が確立されるときに、発端末3は、音声データや映像データなどのメディアの種類と、データ通信に使用される帯域をSIPサーバ2に通知する。SIPサーバ2は、発端末3からの通知に基づいて、通知されたメディアの種類に対応するメディアストリーム内の上記帯域を確保する。各メディアストリームでは、確保された帯域内で、データが発端末3から着端末4へとルータ9を介して送信される。
【0058】
図2は、次世代ネットワークにおいて、発端末3のユーザがSIPセッション内のメディアストリームを利用するときに課金される料金例を示す表である。
【0059】
通常、次世代ネットワークでは、メディアストリームを利用する際に課金される料金は、送信されるデータ量によって決定されるのではなく、データ送信に使用される帯域の広狭と、当該帯域を確保する時間によって決定される。図2の例では、確保される帯域が64kbps以下である場合、課金される料金は30秒あたり1円であり、確保される帯域が512kbps〜1Mbpsである場合、料金は30秒あたり2円である。
【0060】
送信されるデータの量およびネットワークの利用料金を考慮すると、ファクシミリ通信における画像データの送信に使用される帯域は、通常、64kbps〜1Mbpsであることが好ましい。一方、通話で使用される帯域は、通常、64kbps以下であることが好ましい。したがって、本実施形態では、発端末3が着端末4とのファクシミリ通信を行う場合、発端末3は、ファクシミリ通信用帯域として500kbpsを設定し、ファクシミリ通信に使用されるデータ用メディアストリーム8内の設定帯域(500kbps)を確保するようにSIPサーバ2に要求する。また、発端末3において、ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に着端末4側との会話予約が行われる場合、発端末3は、通話用帯域として64kbpsを設定し、通話に使用される音声用メディアストリーム6内の設定帯域(64kbps)を確保するようにSIPサーバ2に要求する。
【0061】
図3は、本実施形態に係る通信装置20の概略構成を示すブロック図である。通信装置20は、この通信装置20の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)21と、このCPU21に接続されたROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、電源制御部24と、通信制御部25と、通話部26と、ネットワーク通信部27と、表示部28と、操作部29と、読取部30と、記憶部31と、画像処理部32と、プリンタ部33とを備えている。
【0062】
CPU21は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU21は、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間等の履歴情報を作成し、記憶部31に保存する。
【0063】
ROM22には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU21が各種処理を実行することで通信装置20の各機能が実現される。
【0064】
RAM23は、CPU21がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0065】
電源制御部24は、通信装置20の各部への電力供給を制御し、通信装置20の全部分へ電力供給する通常モードと、ユーザ操作の開始や着呼を検出する部分以外への電力供給を停止させた待機モード(省電力モード)との切り替え制御などを行う。
【0066】
通信制御部25は、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合電気通信標準化セクタ)勧告T.30で規定されたファクシミリ伝送手順に関するプロトコル制御を実行し、ファクシミリ通信における画像データの送受信を行う。特に、通信制御部25は、ファクシミリ通信時にT.30制御信号であるPRI−Q信号の送受信を行い、さらに、この信号に対して後述の応答処理を行う。
【0067】
通話部26は、受話器26aと接続部26bを有し、音声データの送受信を行うことにより相手側との通話を実現する。受話器26aは、VoIP(Voice over Internet Protocol)機能を内蔵する電話機であって、たとえば、受話器26aには、ハンドセット型やヘッドセット型のものがある。接続部26bは、VoIPアダプタ内蔵電話を通信装置20に接続するための接続ユニットである。VoIPアダプタ内蔵電話と接続部26bとの間の接続は、有線、無線を問わない。受話器26aによる通話の場合においては、受話器26aがIP電話の制御を実行し、接続部26bに接続されたVoIPアダプタ内蔵電話による通話の場合においては、VoIPアダプタ内蔵電話がIP電話の制御を実行する。また、通話部26は通常、受話器26aと接続部26bのうち何れか1のみを有している。
【0068】
ネットワーク通信部27は、次世代ネットワーク1を利用してデータ通信を行う場合、データ通信に使用すべき帯域を設定し、そのデータの受信側との呼接続の制御を行う。次世代ネットワーク1を利用してファクシミリ通信を行う場合、ネットワーク通信部27は、ITU−T勧告T.38で規定されたファクシミリ通信手順に関するプロトコル制御を実行する。
【0069】
また、ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に画像データの送信側から会話予約がなされたが、この画像データの受信側の通信装置20(以下、「着端末4」という)が音声データの送受信を行えない場合、着端末4のネットワーク通信部27は、受信側の外部のIP電話の電話番号を送信側に通知する。この電話番号の通知方法については後述する。
【0070】
さらに、画像データの受信側から外部のIP電話の電話番号が通知されたとき、この画像データの送信側の通信装置20(以下、「発端末3」という)のネットワーク通信部27はこの電話番号を取得する。
【0071】
表示部28は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。また、ネットワーク通信部27が相手側の通話先の電話番号を取得した場合には、表示部28はその電話番号を表示する。さらに、ネットワーク通信部27が相手側の通話先の電話番号を取得できなかった場合には、表示部28はその旨を表示する。
【0072】
操作部29は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、表示部28の表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが通信装置20に対して行う各種の操作を受け付ける。また、操作部29は、受信側のファクシミリ通信用の電話番号や通話用IP電話番号の入力を受け付ける。さらに、操作部29は、ファクシミリ通信中などに画像データの受信側への会話予約を受け付ける。
【0073】
読取部30は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。読取部30は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0074】
記憶部31は、ハードディスク装置(Hard Disk Drive;HDD)で構成されており、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。記憶部31内には、画像データを保存するための内部保存用のBOX(フォルダ)が作成される。また、記憶部31には、操作部29から入力された受信側のファクシミリ通信用の電話番号および通話用IP電話番号や、CPU21が作成したファクシミリ通信および通話に関する上記履歴情報が保存される。
【0075】
画像処理部32は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0076】
プリンタ部33は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって記録紙上に画像を形成するレーザー方式のプリンタエンジンとして構成されている。
【0077】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信後に受信側との通話を行う第1の手順について説明する。第1の手順では、着端末4の通話部26の故障等により、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4の近くに設置されているIP電話(以下、「着端末4側のIP電話」という)の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信の呼接続の際に、着端末4からの応答コード200OKに追記された着端末4側のIP電話の電話番号を取得する。さらに、第1の手順では、発端末3は、ファクシミリ通信終了後に、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0078】
図4および図5は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信から通話までの第1の手順を示すフローチャートである。図6は、第1の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0079】
図4において、まず、ファクシミリ通信が開始されるとき、発端末3は、ファクシミリ通信に使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に対して着端末4へのファクシミリ通信の呼接続を要求する(ステップS101)。具体的には、図6のように、発端末3は、RFC(Request for Comments)3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P1)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号「0123−45−6789」と、送信されるべきデータは画像データである旨と、ファクシミリ通信用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。
【0080】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4に到達すると(ステップS201;Yes)、図6のように、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P2)。続いて、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P3)。
【0081】
着端末4が画像データを受信することができる状態にあると着端末4のCPU21が判断したとき、このCPU21は、自機に通話用のIP電話番号が登録されているか否かを判断する(ステップS202)。着端末4の記憶部31などに着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていると着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS202;Yes)、着端末4のネットワーク通信部27は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、登録されている電話番号を追記し(ステップS203)、ステップS204へ進む。一方、着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていないと着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS202;No)、ステップS204へ進む。図6では、着端末4にはIP電話の電話番号「0123−45−9999」が予め登録されており、着端末4は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、この予め登録された電話番号を追記する。
【0082】
ステップS204では、着端末4は、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(P4)。
【0083】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS102;Yes)、発端末3のCPU21は、発端末3のネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得したか否かを判断する(ステップS103)。
【0084】
発端末3のネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得したことを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS103;Yes)、このCPU21は、記憶部31等にこの着端末4側のIP電話の電話番号を格納し(ステップS104)、ステップS105へ進む。一方、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得しなかったことを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS103;No)、ステップS105へ進む。
【0085】
その後、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4にメソッドACKを送信する(P5)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、ファクシミリ通信によって画像データを送信するためのデータ用メディアストリーム8内のファクシミリ通信用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が開始される(ステップS105およびS205)。
【0086】
このファクシミリ通信が実行されている間に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS106;Yes)、図6のように、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−PRI−EOP信号を着端末4に送信する(ステップS107、P6)。
【0087】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS106;No)、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−EOP信号を着端末4に送信する(ステップS108)。そして、ファクシミリ通信による画像データの送信が終了する。
【0088】
着端末4がファクシミリ通信において画像データの最終頁を受信したときに、着端末4のCPU21は、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−EOP信号)を受信したか否かを判断する(ステップS206)。
【0089】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS206;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS207)。具体的には、図6のように、発端末3から(PPS)−PRI−EOP信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P7)。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し(P8)、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS208)。
【0090】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS206;No)、着端末4は、(PPS)−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS208)。
【0091】
ステップS109およびS209では、上記ファクシミリ通信が終了したことにより、発端末3と着端末4は、ファクシミリ通信の呼切断を行う。具体的には、図6のように、発端末3がSIPサーバ2を介して着端末4にBYEを送信する(P9)。また、着端末4は、このBYEの応答として、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(P10)。
【0092】
ファクシミリ通信の呼切断が終了したのち、発端末3のCPU21は、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたか否かを判断する(ステップS110)。発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS110;No)、着端末4側との通話を行わず、上記第1の手順が終了する。
【0093】
発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS110;Yes)、このCPU21は、記憶部31等に着端末4側のIP電話の電話番号を格納したか否かを判断する(ステップS111)。
【0094】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS111;No)、発端末3の表示部28は、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得できず、着端末4側への通話の呼接続ができない旨を表示する(ステップS112)。その後、上記第1の手順が終了する。
【0095】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS111;Yes)、このCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS113;No)。
【0096】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS113;Yes)、発端末3は、通話で使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS114)。具体的には、図6のように、発端末3は、RFC3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P11)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、ステップS104で取得された着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」と、送受信されるべきデータは音声データである旨と、通話用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。このとき、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い帯域に設定される。すなわち、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも利用料金が低い帯域に設定される。
【0097】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS210;Yes)、図6のように、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P12)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P13)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS211、P14)。
【0098】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS115;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P15)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、通話のための音声用メディアストリーム6内に設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0099】
図7(a)は、ITU−T勧告T.38に準拠したファクシミリ通信に用いる呼接続のためのINVITEのSDP(Session Description Protocol)記述例である。図7(b)は、図7(a)に示されたINVITEに対する応答コード200OKのSDP記述例である。図7(c)は、通話の呼接続のためのINVITEのSDP記述例である。SDPの記述は、IETF(Internet Engineering Task Force)による技術仕様の保存・公開形式であるRFC2327等で定義されている。
【0100】
図7(a)では、リクエスト行のURI(Uniform Resource Identifier)に、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号「0123−45−6789」とその他必要な情報が記載される。ボディでは、送信されるべきメディアの種類(T.38に準拠したファクシミリ通信の場合、applicationとなる)がパラメータ”m”に記載される。また、ファクシミリ通信用帯域(本実施形態では、最大500kbps)がパラメータ”b”に記載される。ここで、変更子ASは最大帯域を表す。
【0101】
図7(b)では、ボディにおいて、自機(本実施形態では、着端末4)の通話用電話番号「0123−45−9999」がパラメータ”p”に記載される。
【0102】
RFC2327によると、パラメータ”p”は、通話先の電話番号等の通知に使用されることが可能である。また、RFC2327によれば、パラメータ”p”の記載中に、関連するフリーのテキスト文字列を丸括弧で括ることで、当該テキスト文字列を付記することが可能である。本実施形態では、特定のキーワード(たとえば、(TEL_ADDR))を付記することで、この応答コード200OKを受信する発端末3は、会話予約先の電話番号と解釈する。
【0103】
図7(c)では、リクエスト行のURIに、着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」が記載される。ボディでは、送信されるべきメディアの種類(通話による音声データの場合、audioとなる)がパラメータ”m”に記載される。また、通話用帯域(本実施形態では、最大64kbps)がパラメータ”b”に記載される。
【0104】
上記第1の手順においては、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−EOP信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−EOP信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。この結果、発端末3と着端末4との間で、ファクシミリ通信の呼切断が行われ、データ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域が開放される。その後、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0105】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、その後、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0106】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0107】
また、上記第1の手順では、ファクシミリ通信の呼接続時に、着端末4は、発端末3へと送信されるべき応答コード200OKに、着端末4側のIP電話の電話番号を記載し、この応答コード200OKを送信する。これにより、発端末3は、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。さらに、発端末3は、この取得した電話番号を使用して着端末4側のIP電話への呼接続の要求を行うので、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0108】
一般的に、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合、着端末4のユーザは、発端末3側に当該IP電話の電話番号を通知するために、着端末4に当該IP電話の電話番号を登録する必要がある。一方、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4の通話用電話番号が同一である場合、着端末4は、発端末3側に当該通話用電話番号を通知する必要はない。しかしながら、上記電話番号が同一である場合にも、着端末4が自機の通話用電話番号を通知することにより、発端末3は、この通知された電話番号に基づいて、確実に、SIPサーバ2に対して通話用帯域の確保を要求することができる。
【0109】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信後に受信側との通話を行う第2の手順について説明する。第2の手順では、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信終了後に、SIPサーバ2から着端末4側のIP電話の電話番号を取得し、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0110】
図8および図9は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信から通話までの第2の手順を示すフローチャートである。図10は、第2の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0111】
まず、ファクシミリ通信が開始されるとき、発端末3は、ファクシミリ通信に使用される帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4へのファクシミリ通信の呼接続を要求する(ステップS301、P21)。この呼接続の要求は、第1の手順中のステップS101と同様である。
【0112】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4に到達すると(ステップS401;Yes)、図10のように、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P22)。続いて、着端末4は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P23)。
【0113】
着端末4が画像データを受信することができる状態にあると着端末4のCPU21が判断したとき、着端末4は、応答コード200OKを、SIPサーバ2を介して発端末3に送信する(ステップS402、P24)。
【0114】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS302;Yes)、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4にメソッドACKを送信する(P25)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、ファクシミリ通信によって画像データを送信するためのデータ用メディアストリーム8内に設定されたファクシミリ通信用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が開始される(ステップS303およびS403)。
【0115】
このファクシミリ通信が実行されている間に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS304;Yes)、図10のように、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30等に準拠した(PPS)−PRI−EOPを着端末4に送信する(ステップS305、P26)。
【0116】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS304;No)、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30等に準拠した(PPS)−EOPを着端末4に送信する(ステップS306)。そして、ファクシミリ通信による画像データの送信が終了する。
【0117】
着端末4がファクシミリ通信において画像データの最終頁を受信したときに、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−EOP信号)を受信したか否かを着端末4のCPU21が判断する(ステップS404)。
【0118】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS404;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS405)。具体的には、図10のように、発端末3から(PPS)−PRI−EOP信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P27)。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し(P28)、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS406)。
【0119】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS404;No)、着端末4は、(PPS)−EOP信号の応答として、発端末3にMCFを送信する。そして、発端末3は、着端末4にDCNを送信し、ファクシミリ通信による画像データの受信が終了する(ステップS406)。
【0120】
ステップS307およびS407では、発端末3と着端末4との間のファクシミリ通信による画像データの送受信が終了したことにより、ファクシミリ通信の呼切断を行う。この呼切断は、第1の手順中のステップS109およびS209と同様である。
【0121】
その後、着端末4のCPU21は、着端末4の通信制御部25がファクシミリ通信中にPRI−Q信号を受信したか否かを判断する(ステップS408)。着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS408;No)、上記第2の手順が終了する。
【0122】
着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS408;Yes)、着端末4のCPU21は、IP電話が自機に内蔵されているか、または、外部のIP電話を自機の接続部26bに接続することが可能か、その外部のIP電話を制御することが可能かなど、着端末4が通話による音声データの送受信を適切に行うことができるか否かを判断する。着端末4が通話による音声データの送受信を行うことができることを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS409;Yes)、ファクシミリ通信に関する手順が終了し、発端末3との通話が開始される。
【0123】
着端末4が通話による音声データの送受信を行うことができないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS409;No)、着端末4のCPU21は、着端末4側のIP電話の電話番号が登録されているか否かを判断する(ステップS410)。着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていないと着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS410;No)、上記第2の手順が終了する。
【0124】
着端末4側のIP電話の電話番号が登録されていると着端末4のCPU21が判断した場合(ステップS410;Yes)、着端末4のネットワーク通信部27は、SIPサーバ2のリダイレクトサーバに、着端末4側のIP電話の電話番号を一時的に登録する(ステップS411)。具体的には、図10に示すように、PRI−Q信号の受信をトリガーとして、着端末4のネットワーク通信部27は、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を、ファクシミリ通信用電話番号「0123−45−6789」から着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」に一時的に変更する(P29)。これにより、ファクシミリ通信に関する手順が終了し、発端末3との通話が開始される。
【0125】
一方、発端末3側では、ファクシミリ通信の呼切断が終了したのち、発端末3のCPU21は、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたか否かを判断する(ステップS308)。発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS308;No)、着端末4側との通話を行わず、上記第2の手順が終了する。
【0126】
発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS308;Yes)、このCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS309;No)。
【0127】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS309;Yes)、発端末3は、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求するためのメソッドINVITEのSIPサーバ2への送信を所定時間待機する(ステップS310)。この所定時間とは、着端末4のネットワーク通信部27が、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を確実に変更するために必要な時間である。発端末3が上記メソッドINVITEの送信を所定時間待機することによって、着端末4に上記着信先の一時変更を確実に実行させる。また、発端末3のCPU21は、上記所定時間を、発端末3と着端末4との通信状況等に応じて調整することができる。
【0128】
上記所定時間経過後、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を使用することで、上記メソッドINVITEをSIPサーバ2に送信する(P30)。このとき、発端末3は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS311)。
【0129】
SIPサーバ2は、このメソッドINVITEに対する応答として、302レスポンスを発端末3に送信する(P31)。このとき、SIPサーバ2は、リダイレクトサーバに一時的に登録されている着端末4側のIP電話の電話番号を発端末3に通知する。
【0130】
発端末3は、SIPサーバ2によって通知された着端末4側のIP電話の電話番号を使用することで、メソッドINVITEをSIPサーバ2に送信する(P32)。このとき、発端末3は、再び、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS312)。
【0131】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS412;Yes)、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P33)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P34)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS413、P35)。
【0132】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS313;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P36)。その結果、発端末3と着端末4との間にセッションが確立され、通話のための音声用メディアストリーム6内の設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0133】
発端末3と着端末4との間における通話が終了するとき、着端末4側のIP電話は、リダイレクトサーバに一時的に登録されている当該IP電話の電話番号を、元の着端末4のファクシミリ通信用電話番号に戻すようにリダイレクトサーバに指示してもよい。この場合、着端末4側のIP電話には、着端末4のファクシミリ通信用電話番号が登録されている必要がある。
【0134】
上記第2の手順においては、第1の手順と同様に、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、ファクシミリ通信において画像データの最終頁を着端末4に送信するときに、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−EOP信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−EOP信号を(PPS)−EOP信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。この結果、発端末3と着端末4との間で、ファクシミリ通信の呼切断が行われ、データ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域が開放される。その後、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0135】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、その後、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0136】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0137】
また、上記第2の手順では、着端末4は、PRI−Q信号の受信をトリガーとして、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先を、ファクシミリ通信用電話番号から着端末4側のIP電話の電話番号に一時的に変更する。これにより、発端末3は、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を使用して着端末4側のIP電話の電話番号への呼接続の要求を行うときに、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。従って、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合でも、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0138】
なお、第2の手順では、主に、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合について説明したが、これらの電話番号が同一である場合には、リダイレクトサーバで登録されている着端末4の着信先の一時変更を行わなくてもよい。具体的には、図10の点線で囲まれたP29、P30、P31の各信号の送受信が省略される。また、図8のステップS410において、着端末4に通話用電話番号が登録されている場合でも、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が同一であると着端末4のCPU21が判断したときには、着端末4は、上記着信先の一時変更を行わない。
【0139】
次に、ファクシミリ通信中に画像データの送信側で会話予約がなされ、ファクシミリ通信中に受信側との通話を行う第3の手順について説明する。第3の手順では、着端末4のファクシミリ通信用の電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なり、発端末3は、ファクシミリ通信の呼接続の際に、着端末4からの応答コード200OKに追記された着端末4側のIP電話の電話番号を取得する。さらに、第3の手順では、発端末3は、ファクシミリ通信中に、着端末4側のIP電話の電話番号への通話の呼接続を行う。
【0140】
図11は、発端末3と着端末4との間におけるファクシミリ通信および通話に関する第3の手順を示すフローチャートである。図12は、ファクシミリ通信中に実行される通話処理を示すフローチャートである。図13は、第3の手順の通信シーケンスを示す説明図である。
【0141】
図11のステップS501〜S505およびステップS601〜S605は、図4のステップS101〜S105およびステップS201〜S205と同様であるので、これらの説明を省略する。
【0142】
ファクシミリ通信中に、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS506;Yes)、図13のように、ファクシミリ通信において画像データを着端末4に送信するときに、発端末3の通信制御部25は、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠したPRI−Q信号(本手順の場合、(PPS)−PRI−MPS信号)を着端末4に送信する(ステップS507、P41)。この(PPS)−PRI−MPS信号は、発端末3が会話予約を受け付けた直後に送信完了となる画像データのページのポストメッセージ信号として送信される。図13では、画像データの1ページ目の送信完了前に発端末3が会話予約を受け付けたので、発端末3は、この1ページ目のポストメッセージ信号として、(PPS)−PRI−MPS信号を送信する。
【0143】
発端末3が着端末4に(PPS)−PRI−MPS信号であるPRI−Q信号を送信すると、発端末3は、ファクシミリ通信と同時に、後述する通話処理を実行する(ステップS509)。
【0144】
一方、発端末3の操作部29が着端末4側への会話予約を受け付けていないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS506;No)、ファクシミリ通信において画像データの各ページを着端末4に送信するときに、ポストメッセージ信号として、ITU−T勧告T.30に準拠した(PPS)−MPS信号を着端末4に送信する(ステップS508)。そして、発端末3による画像データの最終頁の送信が完了するまで、発端末3のCPU21は、操作部29が会話予約を受け付けたか否かを監視する(ステップS510;No)。
【0145】
着端末4では、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信したことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS606;Yes)、着端末4は、PRIが存在しないポストメッセージ信号として、PRI−Q信号を処理する(ステップS607)。具体的には、図13のように、発端末3から(PPS)−PRI−MPS信号が送信されると、着端末4は、この送信された信号を(PPS)−MPS信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。さらに、着端末4は、(PPS)−PRI−MPS信号の応答として、発端末3にMCFを送信する(P42)。
【0146】
一方、着端末4の通信制御部25がPRI−Q信号を受信していないことを着端末4のCPU21が判断すると(ステップS606;No)、着端末4による画像データの最終頁の受信が完了するまで、着端末4のCPU21は、通信制御部25がPRI−Q信号を受信しているか否かを監視する(ステップS608;No)。
【0147】
ファクシミリ通信による画像データの送受信が完了すると(ステップS510;YesおよびS608;Yes)、ステップS511およびS609では、発端末3と着端末4は、ファクシミリ通信の呼切断を行う。このファクシミリ通信の呼切断は、第1の手順中のステップS109およびS209と同様である。
【0148】
次に、第3の手順における通話処理(ステップS509)について詳細に説明する。
【0149】
発端末3の操作部29が会話予約を受け付けたことにより発端末3がPRI−Q信号を着端末4へ送信した後、発端末3のCPU21は、記憶部31等に着端末4側のIP電話の電話番号を格納したか否かを判断する(ステップS701)。
【0150】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していないことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS701;No)、発端末3の表示部28は、ネットワーク通信部27が着端末4側のIP電話の電話番号を取得できず、着端末4側との通話の呼接続ができない旨を表示する(ステップS702)。その後、上記第3の手順が終了する。
【0151】
着端末4側のIP電話の電話番号を格納していたことを発端末3のCPU21が判断した場合(ステップS701;Yes)、発端末3のCPU21は、通話部26の受話器26aまたは通話部26の接続部26bに接続されているVoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされるか否かを監視する(ステップS703;No)。
【0152】
受話器26aまたは当該VoIPアダプタ内蔵電話がオフフックされることを発端末3のCPU21が判断すると(ステップS703;Yes)、発端末3は、通話用帯域を設定し、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する(ステップS704)。具体的には、図13のように、発端末3は、RFC3261に準拠したメソッドINVITEを発行し、SIPサーバ2を介して着端末4へ送信する(P43)。発端末3がこのメソッドINVITEを発行するとき、発端末3は、ステップS504で取得された着端末4側のIP電話の電話番号「0123−45−9999」と、送受信されるべきデータは音声データである旨と、通話用帯域として設定された帯域をメソッドINVITEに記載する。このとき、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも狭い帯域に設定される。すなわち、通話用帯域は、ファクシミリ通信用帯域よりも利用料金が低い帯域に設定される。
【0153】
発端末3からの呼接続の要求がSIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話に到達すると(ステップS801;Yes)、図13のように、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード100Tryingを返送する(P44)。続いて、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード180Ringingを送信する(P45)。さらに、着端末4側のIP電話が通話による音声データを送受信することができる状態にあるとき、着端末4側のIP電話は、SIPサーバ2を介して、発端末3に対して応答コード200OKを送信する(ステップS802、P46)。
【0154】
発端末3が応答コード200OKを受信すると(ステップS705;Yes)、発端末3は、応答コード200OKに対する応答として、SIPサーバ2を介して着端末4側のIP電話にメソッドACKを送信する(P47)。その結果、通話のための音声用メディアストリーム6内に設定された通話用帯域が確保される。そして、発端末3と着端末4との間で通話が開始される。
【0155】
図13では、紙面の都合上、通話の呼接続と、ファクシミリ通信における画像データの2ページ目の送信が上下に並べられて記載されているが、実際には、通話の呼接続と画像データの2ページ目の送信は、同時に行われている。
【0156】
上記第3の手順においては、ファクシミリ通信中に発端末3側で会話予約がなされた場合、発端末3は、この会話予約の直後に送信完了となる画像データのページのポストメッセージ信号として、PRI−Q信号の一つである(PPS)−PRI−MPS信号を送信する。着端末4は、受信した(PPS)−PRI−MPS信号を(PPS)−MPS信号として扱い、オペレータの呼び出しを行わない。また、発端末3は、発端末3と着端末4との間で音声用メディアストリーム6の通話用帯域が確保されるように、SIPサーバ2に対して、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。
【0157】
このことにより、発端末3と着端末4との間でファクシミリ通信が行われるときには、ファクシミリ通信に適した帯域が使用され、会話予約により発端末3と着端末4との間で通話が行われるときには、ファクシミリ通信用帯域よりも狭く、通話に適した帯域が使用される。一般的には、図2のように、通話に適した帯域(たとえば、64kbps)は、ファクシミリ通信に使用される帯域(たとえば、500kbps)よりも安価であるので、通話コストを下げることができる。
【0158】
ファクシミリ通信と通話ではそれぞれ別個の帯域が使用されるので、ファクシミリ通信の成否にかかわらず、発端末3と着端末4との間における通話が可能である。
【0159】
また、上記第3の手順では、第1の手順と同様に、ファクシミリ通信の呼接続時に、着端末4は、発端末3へと送信されるべき応答コード200OKに、着端末4側のIP電話の電話番号を記載し、この応答コード200OKを送信する。これにより、発端末3は、着端末4側のIP電話の電話番号を取得することができる。さらに、発端末3は、この取得した電話番号を使用して着端末4側のIP電話への呼接続の要求を行うので、発端末3のユーザは、着端末4側のIP電話の電話番号を調べる必要がなくなり、発端末3の電話をオフフックするだけで着端末4側との通話を行うことができる。
【0160】
また、上記第3の手順では、発端末3が着端末4側への会話予約を受け付けると、発端末3は、ファクシミリ通信中に、通話用帯域を設定し、着端末4側のIP電話への通話の呼接続を要求する。これにより、発端末3は、ファクシミリ通信による画像データの送信をデータ用メディアストリーム8のファクシミリ通信用帯域で行い、同時に、通話による音声データの送受信を音声用メディアストリーム6の通話用帯域で行うことができる。
【0161】
なお、上記第3の手順では、主に、着端末4のファクシミリ通信用電話番号と、着端末4側のIP電話の電話番号が異なる場合について説明したが、これらの電話番号が同一である場合にも上記第3の手順を適用することができる。この場合、着端末4へのファクシミリ通信の呼接続の要求時に、着端末4は、発端末3に送信すべき応答コード200OKに、着端末4のファクシミリ通信用電話番号を記載すればよい。
【0162】
図14は、ファクシミリ通信と通話による通信時間や料金等を履歴情報として示した表である。この表は、CPU21が作成したファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報等を基に、プリンタ部33によって印刷されたものである。また、表の欄外には、データ通信時に確保される帯域毎の通信料金が示される。さらに、CPU21は、上記通信時間に基づいて、ファクシミリ通信料金を算出し、上記通話時間に基づいて通話料金を算出する。これら算出されたファクシミリ通信料金等は、上記通信時間等とともに表に示される。
【0163】
発端末3が会話予約を受け付けたファクシミリ通信については、上記表の備考欄に「会話予約」が示されている。また、通話の履歴において、宛先欄の矢印は、この通話の履歴の直上に記載されるファクシミリ通信が行われている間に通話用電話番号が取得されたことを示す。
【0164】
たとえば、No.002に記載されているファクシミリ通信では、経理部の通信装置20に、通話用の電話番号「0123−45−1111」が登録されており、この電話番号がファクシミリ通信中に送信側の通信装置20に通知されている。送信側の通信装置20が会話予約を受け付けたときに、送信側の通信装置20は、通知された電話番号を使用して、経理部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。また、経理部の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と、この通信装置20に登録されている通話用電話番号が異なるので、経理部の通信装置20は、通話による音声データの送受信を行うことができないことが分かる。
【0165】
また、No.004に記載されているファクシミリ通信では、秘書室の通信装置20に、通話用の電話番号「0123−45−0110」が登録されており、この電話番号がファクシミリ通信中に送信側の通信装置20に通知されている。送信側の通信装置20が会話予約を受け付けたときに、送信側の通信装置20は、通知された電話番号を使用して、秘書室の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。また、秘書室の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と、この通信装置20に登録されている通話用電話番号が同一であるので、秘書室の通信装置20は、通話による音声データの送受信を行うことができることが分かる。
【0166】
また、宛先欄の矢印がない通話の履歴は、この通話の履歴の直上に記載されるファクシミリ通信が行われている間に通話用電話番号が取得されなかったことを示す。さらに、宛先欄の(S)は、リダイレクトサーバから取得された通話用電話番号であることを示す。
【0167】
たとえば、No.005に記載されている通話用電話番号には、矢印が記載されていないが、(S)が表示されている。このNo.005のファクシミリ通信において、送信側の通信装置20は、外販部の通信装置20から通話用電話番号を取得することができなかったので、ファクシミリ通信後に、送信側の通信装置20は、外販部の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号を使用して、外販部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っている。その後、送信側の通信装置20は、通話の呼接続の要求時にリダイレクトサーバから外販部の通信装置20の通話用電話番号を取得したので、この通話用電話番号を使用して、外販部の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っていることがこの履歴から分かる。
【0168】
また、No.007に記載されている通話用電話番号には、宛先欄に矢印も(S)も表示されていない。このNo.007のファクシミリ通信において、送信側の通信装置20は、営業2課の通信装置20から通話用電話番号を取得することができなかったので、ファクシミリ通信後に、送信側の通信装置20は、営業2課の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号を使用して、営業2課の通信装置20への通話の呼接続の要求を行っている。また、営業2課の通信装置20は、リダイレクトサーバで登録されている自機の着信先を変更していない。従って、営業2課の通信装置20のファクシミリ通信用電話番号と通話用電話番号が同一であり、この通信装置20は、通話による音声データの送受信を適切に行うことができることがこの履歴から分かる。
【0169】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0170】
本実施形態では、次世代ネットワークを利用した場合について説明したが、本実施形態に係る通信装置20は、次世代ネットワークに限らず、ファクシミリ通信用帯域と通話用帯域を別々に確保することができるネットワークにでも適用可能である。
【0171】
また、本実施形態に係る通信装置20は、ファクシミリ通信中に会話予約を受け付けていたが、発端末3のネットワーク通信部27がSIPサーバ2に対してファクシミリ通信用帯域を確保するように要求する前、すなわち、ファクシミリ通信前に会話予約を受け付けてもよい。たとえば、送信されるべき画像データの原稿が通信装置20の読取部30にセットされるときに、通信装置20は会話予約を受け付けてもよい。
【0172】
また、ファクシミリ通信用帯域や通話用帯域は、画像データや音声データのデータ量などを考慮して、適宜設定されてもよい。
【0173】
本実施形態では、画像データの送信先接続情報や受信側の通話先接続情報として、電話番号が使用されたが、電話番号に限らず、たとえばIPアドレスなどでもよい。
【0174】
また、本実施形態に係る通信装置20は、画像データの送信側からのファクシミリ通信の呼接続のためのINVITEに対する応答コード200OKに自機の通話用電話番号を記載した。しかしながら、この電話番号が記載される応答コードは、応答コード200OKに限られず、画像データの送信側へ送信されるべき応答コードであって、自機の通話用電話番号を記載したときに、送信側が当該電話番号を認識することができる応答コードであればよい。また、自機の通話用電話番号の記載方法についても、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0175】
1…次世代ネットワーク(NGN)
2…SIPサーバ
3…発端末
4…着端末
5…SIPセッション
6…音声用メディアストリーム
7…映像用メディアストリーム
8…データ用メディアストリーム
9…ルータ
20…通信装置
21…CPU
22…ROM
23…RAM
24…電源制御部
25…通信制御部
26…通話部
26a…受話器
26b…接続部
27…ネットワーク通信部
28…表示部
29…操作部
30…読取部
31…記憶部
32…画像処理部
33…プリンタ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信部と、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話部と、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記通話部による前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付部と、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定部と、
を有し、
前記使用帯域設定部は、前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、
前記使用帯域設定部は、前記会話予約受付部が前記会話予約を受け付けた場合、前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通話用帯域は、前記ファクシミリ通信用帯域よりも狭い
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通話部は、VoIP機能を有する電話機である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通話部は、自機側のVoIPアダプタを有する電話に接続する接続部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得部を有し、
前記使用帯域設定部は、前記通話先接続情報取得部によって取得された前記通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通話先接続情報取得部は、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
さらに、自機の通話先接続情報を登録する通話先情報登録部と、
前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する前記送信側への応答に、前記通話先情報登録部に登録されている前記自機の通話先接続情報を載せる通話先接続情報付与部と、
を有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項8】
さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先接続情報変更部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通話先接続情報変更部は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、前記ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
さらに、前記画像データの送信が完了してから、前記使用帯域設定部が前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するまでの時間を調整する接続開始調整部を有し、
前記接続開始調整部は、前記画像データの送信が完了してから前記時間が経過した後に、前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するように前記使用帯域設定部を制御する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の通信装置。
【請求項11】
さらに、自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とを比較する接続情報比較部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とが同一であると前記接続情報比較部が判断したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機の通話先接続情報を変更するように指示しない
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
さらに、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができるか否かを判定する通話可否判定部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができると前記通話可否判定部が判定したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機のファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に変更するように指示しない
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したとき、このPRI−Q信号をPRIがない信号として処理し、オペレータの呼び出し処理を行なわない
ことを特徴とする請求項5乃至12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
さらに、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報を作成する履歴情報作成部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記履歴情報作成部は、前記ファクシミリ通信における通信時間に基づいて通信料金を算出し、前記通話における通話時間に基づいて通話料金を算出し、前記算出された通信料金と通話料金を前記履歴情報に含める
ことを特徴とする請求項14に記載の通信装置。
【請求項16】
ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信ステップと、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話ステップと、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付ステップと、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定ステップと、
前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求するファクシミリ通信用帯域要求ステップと、
前記会話予約が受け付けられたことによって実行される前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する通話用帯域要求ステップと、
を有する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項17】
さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得ステップを有し、
前記通話用帯域要求ステップでは、前記取得された通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続が行われる、
ことを特徴とする請求項16に記載の通信方法。
【請求項18】
前記通話先接続情報取得ステップでは、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする請求項17に記載の通信方法。
【請求項19】
さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先情報変更ステップを有する
ことを特徴とする請求項17に記載の通信方法。
【請求項20】
前記通話先情報変更ステップでは、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによってPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする請求項19に記載の通信方法。
【請求項1】
ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信部と、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話部と、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記通話部による前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付部と、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定部と、
を有し、
前記使用帯域設定部は、前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求し、
前記使用帯域設定部は、前記会話予約受付部が前記会話予約を受け付けた場合、前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通話用帯域は、前記ファクシミリ通信用帯域よりも狭い
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通話部は、VoIP機能を有する電話機である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通話部は、自機側のVoIPアダプタを有する電話に接続する接続部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得部を有し、
前記使用帯域設定部は、前記通話先接続情報取得部によって取得された前記通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通話先接続情報取得部は、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
さらに、自機の通話先接続情報を登録する通話先情報登録部と、
前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する前記送信側への応答に、前記通話先情報登録部に登録されている前記自機の通話先接続情報を載せる通話先接続情報付与部と、
を有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の通信装置。
【請求項8】
さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先接続情報変更部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通話先接続情報変更部は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、前記ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
さらに、前記画像データの送信が完了してから、前記使用帯域設定部が前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するまでの時間を調整する接続開始調整部を有し、
前記接続開始調整部は、前記画像データの送信が完了してから前記時間が経過した後に、前記ネットワークに対して前記通話用帯域を確保するように要求するように前記使用帯域設定部を制御する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の通信装置。
【請求項11】
さらに、自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とを比較する接続情報比較部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記自機のファクシミリ通信用接続情報と、前記自機の通話先接続情報とが同一であると前記接続情報比較部が判断したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機の通話先接続情報を変更するように指示しない
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
さらに、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができるか否かを判定する通話可否判定部を有し、
前記通話先接続情報変更部は、前記通話部が前記通話による音声データの送受信を行うことができると前記通話可否判定部が判定したとき、前記ネットワークのサーバに対して、前記自機のファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に変更するように指示しない
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置は、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによって前記画像データ通信部がPRI−Q信号を受信したとき、このPRI−Q信号をPRIがない信号として処理し、オペレータの呼び出し処理を行なわない
ことを特徴とする請求項5乃至12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
さらに、ファクシミリ通信における通信時間と通話における通話時間のそれぞれの履歴情報を作成する履歴情報作成部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記履歴情報作成部は、前記ファクシミリ通信における通信時間に基づいて通信料金を算出し、前記通話における通話時間に基づいて通話料金を算出し、前記算出された通信料金と通話料金を前記履歴情報に含める
ことを特徴とする請求項14に記載の通信装置。
【請求項16】
ファクシミリ通信において、ネットワークを通じて画像データを送受信する画像データ通信ステップと、
ネットワークを通じて音声データを送受信する通話ステップと、
ファクシミリ通信前またはファクシミリ通信中に、前記画像データの受信側との通話のための会話予約を受け付ける会話予約受付ステップと、
前記ファクシミリ通信に使用されるファクシミリ通信用帯域および前記通話に使用される通話用帯域を設定する使用帯域設定ステップと、
前記ファクシミリ通信の呼接続において、前記ネットワークに対して、ファクシミリ通信用回線内の前記ファクシミリ通信用帯域を確保するように要求するファクシミリ通信用帯域要求ステップと、
前記会話予約が受け付けられたことによって実行される前記通話の呼接続において、前記ネットワークに対して、通話回線内の前記通話用帯域を確保するように要求する通話用帯域要求ステップと、
を有する
ことを特徴とする通信方法。
【請求項17】
さらに、前記画像データの受信側の通話先接続情報を取得する通話先接続情報取得ステップを有し、
前記通話用帯域要求ステップでは、前記取得された通話先接続情報に基づいて、前記通話の呼接続が行われる、
ことを特徴とする請求項16に記載の通信方法。
【請求項18】
前記通話先接続情報取得ステップでは、前記ファクシミリ通信の呼接続の要求に対する受信側の応答に載せられた前記通話先接続情報を取得する
ことを特徴とする請求項17に記載の通信方法。
【請求項19】
さらに、前記ファクシミリ通信において、前記画像データの受信が完了したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する通話先情報変更ステップを有する
ことを特徴とする請求項17に記載の通信方法。
【請求項20】
前記通話先情報変更ステップでは、前記ファクシミリ通信において、送信側から前記会話予約がなされることによってPRI−Q信号を受信したときに、前記ネットワークのサーバに対して、ファクシミリ通信用接続情報を自機の通話先接続情報に一時的に変更するように指示する
ことを特徴とする請求項19に記載の通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−55612(P2013−55612A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194277(P2011−194277)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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