説明

通信装置の保守方法、およびゲートウェイ

【課題】複数の通信装置に対する保守作業の負担を軽減することのできる保守技術を提供する。
【解決手段】ゲートウェイ1に、LAN2に接続された通信装置4〜6に対する保守機能を持たせる。ゲートウェイ1は、LAN2に通信装置4〜6が新たに接続されると、この通信装置4〜6から装置情報を取得する。そして、この装置情報に基づいて、この通信装置4〜6に対する保守作業に必要な保守プログラムを特定し、この特定した保守プログラムを保守プログラムサーバ8からダウンロードする。それから、この取得した保守プログラムを実行することにより、この通信装置4〜6に対する保守作業を実施して、その結果を保守端末9に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置の保守技術に関し、特に遠隔操作によりゲートウェイ配下の複数の通信装置を保守する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、保守対象装置のメインプログラムの変更、障害発生時の復旧および診断等の保守作業を、より迅速、柔軟かつ低コストで実現する技術が開示されている。この技術において、保守対象装置は、外部機器から変更プログラムをダウンロードするとともに、現行プログラムをバックアップし、その後、実行対象のプログラムを現行プログラムから変更プログラムに変更する。そして、変更プログラムに障害が発生した場合には、バックアップしたプログラムを用いて復旧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−69511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、遠隔地からWANを利用して、社内、宅内等に構築されたLANに接続し、LAN上のリソースにアクセスすることを可能とするリモートアクセス対応のゲートウェイが普及している。特許文献1に記載の保守対象装置に、NIC(Network Interface Card)を搭載して遠隔地の保守端末とのインターフェースを持たせた場合、リモートアクセス対応のゲートウェイを用いることにより、保守対象装置に対する保守作業を遠隔から行うことも可能である。
【0005】
しかし、ゲートウェイ配下の複数の保守対象装置に対して保守作業を行う場合、保守端末の操作者は、それぞれの保守対象装置について、保守作業に必要な保守プログラムを予め調べておき、この保守プログラムを保守対象装置にインストールして実行させる必要があり、作業が煩雑で操作者の負担が大きい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の通信装置に対する保守作業の負担を軽減することのできる保守技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、ゲートウェイに、配下のネットワークに接続された通信装置に対する保守機能を持たせる。ゲートウェイは、配下のネットワークに通信装置が新たに接続されると、この通信装置から装置情報を取得して、この装置情報に基づいてこの通信装置に対する保守作業に必要な保守プログラムを特定し、この保守プログラムを所定のサーバからダウンロードする。それから、この取得した保守プログラムを実行することにより、この通信装置に対する保守作業を実施して、その結果を保守端末に通知する。
【0008】
例えば、本発明は、配下のネットワークに接続されている通信装置に対する保守機能を備えたゲートウェイであって、
装置情報毎に、当該装置情報により特定される保守対象装置の保守作業に必要な保守プログラムの識別情報が記憶された識別情報記憶手段と、
前記通信装置から装置情報を取得する装置情報取得手段と、
前記装置情報取得手段により取得した装置情報に対応付けられて前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報により特定される保守プログラムを、所定のサーバから取得する保守プログラム取得手段と、
前記保守プログラム取得手段により取得した保守プログラムを実行して、前記通信装置に対する保守作業を実施する保守プログラム実行手段と、
前記保守プログラムによる保守作業の実施結果を所定の保守端末に通知する作業結果通知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲートウェイが、自動的に、配下のネットワークに接続されている通信装置から装置情報を取得して、この通信装置の保守作業に必要な保守プログラムを認識するとともに、この保守プログラムをサーバから取得し実行するので、配下のネットワークに接続されている複数の通信装置に対する保守作業の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るゲートウェイ1を含む通信システムの概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す通信システムの保守作業に関する動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、図1に示すゲートウェイ1の概略機能構成図である。
【図4】図4(A)は、プログラムID記憶部108の登録内容例を模式的に表した図であり、図4(B)は、設定項目記憶部110の登録内容例を模式的に表した図である。
【図5】図5(A)は、装置情報記憶部111の登録内容例を模式的に表した図であり、図5(B)は、保守プログラム記憶部113の登録内容例を模式的に表した図である。
【図6】図6(A)は、ゲートウェイ1の装置情報取得動作を説明するためのフロー図であり、図6(B)は、ゲートウェイ1の保守プログラム更新動作を説明するためのフロー図であり、図6(C)は、ゲートウェイ1の保守プログラム実行動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係るゲートウェイ1を含む通信システムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係るゲートウェイ1は、配下のLAN2に接続されている呼制御サーバ4、IP電話機5等をWAN(IP網)3に接続する一般的なゲートウェイとしての機能、ISDNあるいはアナログの電話機7を収容する主装置6をWAN3に接続するVoIP(Voice over IP)ゲートウェイとしての機能、およびDHCP(Dynamic Host Configration Protocol)サーバとしての機能に加え、配下の通信装置(呼制御サーバ4、IP電話機5、主装置6)の保守機能を有する。この保守機能により、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6毎に、WAN3を介して保守プログラムサーバ8から、その通信装置4〜6を保守対象とする保守プログラムをダウンロードして実行し、その実行結果を、WAN3を介して保守端末9に通知する。なお、主装置6は、ゲートウェイ1による保守作業を受けるために、LAN2に接続されている。
【0014】
図2は、図1に示す通信システムの保守作業に関する動作を説明するためのシーケンス図である。
【0015】
呼制御サーバ4、IP電話機5および主装置6は、電源投入、再起動等によりLAN2に接続されると、DHCPサーバとして機能するゲートウェイ1にIPアドレス要求を送信する(S101)。これを受けて、ゲートウェイ1は、IPアドレス要求に対する応答として、未使用のIPアドレスをIPアドレス要求の送信元4〜6に通知する(S102)。呼制御サーバ4、IP電話機5および主装置6は、ゲートウェイ1から通信されたIPアドレスを自通信装置4〜6のIPアドレスに設定する。
【0016】
つぎに、ゲートウェイ1は、IPアドレスの通知先4〜6にログイン要求を送信する(S103)。呼制御サーバ4、IP電話機5および主装置6は、ゲートウェイ1からログイン要求を受信すると、このログイン要求に対する応答として、自通信装置4〜6の機種情報(例えば、機器種別、製品名)をゲートウェイ1に通知する(S104)。
【0017】
つぎに、ゲートウェイ1は、ログイン要求の送信先4〜6から機種情報を受信すると、この機種情報に基づいて、ログイン要求の送信先4〜6に要求する設定情報の項目(回線種別、メディア種別、回線数等)を決定し(S105)、決定項目の指定を伴う設定情報要求をログイン要求の送信先4〜6に送信する(S106)。呼制御サーバ4、IP電話機5および主装置6は、ゲートウェイ1から設定情報要求を受信すると、この設定情報要求に対する応答として、この設定情報要求で指定されている項目の設定情報をゲートウェイ1に通知する(S107)。
【0018】
以上により、ゲートウェイ1は、LAN2に新規接続された呼制御サーバ4、IP電話機5、あるいは主装置6の装置情報(機種情報および設定情報)を取得する。
【0019】
さて、保守端末9は、操作者からゲートウェイ1の保守プログラムの更新操作を受け付けると(S108A)、ゲートウェイ1に保守プログラム更新指示を送信する(S108)。これを受けて、ゲートウェイ1は、配下の通信装置(呼制御サーバ4、IP電話機5および主装置6)のそれぞれについて、配下の通信装置4〜6から取得した装置情報に基づき、配下の通信装置4〜6の保守作業のために使用する保守プログラムを特定し、これを取得候補プログラムに決定する(S109)。それから、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6のそれぞれについて決定した取得候補プログラムの指定を伴う更新情報要求を保守プログラムサーバ8に送信する(S110)。
【0020】
保守プログラムサーバ8は、ゲートウェイ1から更新情報要求を受信すると、この更新情報要求に対する応答として、この更新情報要求で指定されている各取得候補プログラムの更新情報(最新プログラムの更新日時、バージョン等)をゲートウェイ1に送信する(S111)。これを受けて、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6のそれぞれについて、保持している保守プログラムの有無をチェックし、保持している保守プログラムがあるならば、この保守プログラムと保守プログラムサーバ8から受信した取得候補プログラムの更新情報との比較に基づいて、取得候補プログラムを、保守プログラムサーバ8から取得する取得対象プログラムにするか否かを決定する(S112)。
【0021】
つぎに、ゲートウェイ1は、取得対象プログラム(保守プログラム)の指定を伴う保守プログラム取得要求を保守プログラムサーバ8に送信する(S113)。これを受けて、保守プログラムサーバ8は、保守プログラム取得要求に対する応答として、この保守プログラム取得要求で指定されている取得対象プログラムをゲートウェイ1に送信する(S114)。ゲートウェイ1は、保守プログラムサーバ8から取得した取得対象プログラムを、この取得対象プログラムによる保守対象装置4〜6に対応付けて登録する。あるいは、この取得対象プログラムによる保守対象装置4〜6に対応付けられて登録されている保守プログラムを、この取得対象プログラムに更新する。
【0022】
その後、ゲートウェイ1は、保守プログラムの更新結果を保守端末9に通知する(S115)。これを受けて、保守端末9は、ゲートウェイ1から受け取った保守プログラムの更新結果を表示する。
【0023】
つぎに、保守端末9は、操作者からゲートウェイ1の保守プログラムの実行操作を受け付けると(S116A)、ゲートウェイ1に保守プログラム実行指示を送信する(S116)。これを受けて、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6のそれぞれについて、配下の通信装置4〜6に対応付けて保持している保守プログラムを実行して、配下の通信装置4〜6に対する保守作業を行う(S117)。具体的には、設定情報の更新(データ、ファームウェア更新)、状態監視(状態情報あるいは履歴情報の取得)などを保守作業として行う。どのような内容の保守作業を行うかは、保守プログラムに依存する。
【0024】
それから、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6のそれぞれについて実行した保守プログラムの実行結果を保守端末9に通知する(S118)。これを受けて、保守端末9は、ゲートウェイ1から受信した保守プログラムの実行結果を表示する。
【0025】
つぎに、ゲートウェイ1の詳細について説明する。なお、図1に示すその他の装置4〜9には、既存の装置を使用することができるので、その詳細な説明を省略する。ただし、ゲートウェイ1の配下の通信装置4〜6は、ゲートウェイ1からの遠隔操作を受け付けるための機能を備えているものとする。
【0026】
図3は、図1に示すゲートウェイ1の概略機能構成図である。
【0027】
図示するように、ゲートウェイ1は、WANインターフェース部101と、LANインターフェース部102と、主装置インターフェース部103と、ISDN・アナログ電話/IP電話変換処理部104と、ルーティング処理部105と、DHCPサーバ機能部106と、遠隔操作受付部107と、プログラムID記憶部108と、装置情報取得部109と、設定項目記憶部110と、装置情報記憶部111と、保守プログラム取得部112と、保守プログラム記憶部113と、保守プログラム実行部114と、を有する。
【0028】
WANインターフェース部101は、WAN3に接続するためのインターフェースである。LANインターフェース部102は、LAN2に接続するためのインターフェースである。そして、主装置インターフェース部103は、主装置6に接続するためのインターフェース(ISDNあるいはアナログ電話回線インターフェース)である。
【0029】
ISDN・アナログ電話/IP電話変換処理部104は、主装置インターフェース部103を介して主装置6から受信したISDN・アナログ電話データをVoIPパケットに変換して、このVoIPパケットをルーティング処理部105に渡す。また、ルーティング処理部105から受け取ったVoIPパケットをISDN・アナログ電話データに変換して、このISDN・アナログ電話データを、主装置インターフェース部103を介して主装置6に送信する。
【0030】
ルーティング処理部105は、WANインターフェース部101、LANインターフェース部102、およびISDN・アナログ電話/IP電話変換処理部104間で中継されるIPパケットのルーティング処理を行う。
【0031】
DHCPサーバ機能部106は、DHCPサーバとしての機能を実現するための処理部であり、この機能により、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6の各々にIPアドレスを付与する。
【0032】
遠隔操作受付部107は、WANインターフェース部101を介して、保守端末9から遠隔操作を受け付け、その結果を保守端末9に通知する。
【0033】
プログラムID記憶部108には、装置情報(機種情報と設定情報との組み合わせ)毎に、この装置情報により特定される保守対象装置の保守作業に必要な保守プログラムの識別情報であるプログラムIDが記憶されている。
【0034】
図4(A)は、プログラムID記憶部108の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、プログラムID記憶部108には、装置情報1084毎にレコード1080が記憶されている。レコード1080は、機種情報が登録されたフィールド1081と、設定情報(回線種別、メディア種別、回線数等)が登録されたフィールド1082と、保守プログラムのプログラムIDが登録されたフィールド1083と、を有する。また、フィールド1081は、機器種別が登録されたフィールド10811と、製品名が登録されたフィールド10812と、を有する。
【0035】
装置情報取得部109は、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6の各々から装置情報を取得する。
【0036】
設定項目記憶部110は、機器種別毎に、配下の通信装置4〜6から取得すべき設定情報の項目が記憶されている。
【0037】
図4(B)は、設定項目記憶部110の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、設定項目記憶部110には、機器種別毎にレコード1100が記憶されている。レコード1100は、機種種別が登録されたフィールド1101と、設定情報の項目(回線種別、メディア種別、回線数等)が登録されたフィールド1102と、を有する。
【0038】
装置情報記憶部111には、装置情報取得部109により、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6の各々から取得された装置情報が記憶される。
【0039】
図5(A)は、装置情報記憶部111の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、装置情報記憶部111には、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6毎にレコード1110が記憶される。レコード1110は、IPアドレスを登録するフィールド1111と、機種情報を登録するフィールド1112と、設定情報(回線種別、メディア種別、回線数等)を登録するフィールド1113と、を有する。また、フィールド1112は、機器種別を登録するフィールド11121と、製品名を登録するフィールド11122と、を有する。
【0040】
保守プログラム取得部112は、保守プログラムサーバ8から、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6各々の保守作業に必要な保守プログラムを取得する。
【0041】
保守プログラム記憶部113には、保守プログラム取得部112により保守プログラムサーバ8から取得された保守プログラムが、この保守プログラムによる保守対象装置に対応付けられて記憶される。
【0042】
図5(B)は、保守プログラム記憶部113の登録内容例を模式的に表した図である。
【0043】
図示するように、保守プログラム記憶部113には、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6毎にレコード1130が記憶される。レコード1130は、IPアドレスを登録するフィールド1131と、保守プログラムを登録するフィールド1132と、保守プログラムのプログラムIDを登録するフィールド1133と、保守プログラムの更新情報(バージョン、更新日時等)を登録するフィールド1134と、を有する。なお、フィールド1132には、保守プログラムそのものを登録する代わりに、保守プログラムの格納先へのパスを登録するようにしてもよい。
【0044】
保守プログラム実行部114は、保守プログラム記憶部113に記憶されている保守プログラムを実行して、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6各々に対する保守作業を実施する。
【0045】
図6(A)は、図1に示すゲートウェイ1の装置情報取得動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ゲートウェイ1が、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6のいずれかからIPアドレス要求を受信することにより開始される。
【0046】
まず、DHCPサーバ機能部106は、LANインターフェース部102を介して受信したIPアドレス要求の送信元4〜6に割り当てる未使用のIPアドレスを決定する(S201)。そして、IPアドレス要求に対する応答として、LANインターフェース部102を介してIPアドレス要求の送信元4〜6に、この決定したIPアドレスを送信する(S202)。
【0047】
つぎに、装置情報取得部109は、この決定したIPアドレスを用いて、LANインターフェース部102を介してIPアドレス要求の送信元4〜6に、ログイン要求を送信する(S203)。そして、このログイン要求に対する応答として、LANインターフェース部102を介してログイン要求の送信先4〜6から、機種情報および製品名を含む機種情報を受信する(S204)。
【0048】
つぎに、装置情報取得部109は、ログイン要求の送信先4〜6から受信した機種情報に含まれている機種種別に対応付けられて設定項目記憶部110に記憶されている設定情報の項目を、ログイン要求の送信先4〜6から取得する設定情報の項目に決定する(S205)。
【0049】
それから、装置情報取得部109は、LANインターフェース部102を介してログイン要求の送信先4〜6に、この決定した設定情報の項目の指定を伴う設定情報要求を送信する(S206)。そして、この設定情報要求に対する応答として、LANインターフェース部102を介してログイン要求の送信先4〜6から、設定情報を受信する(S207)。
【0050】
つぎに、装置情報取得部109は、ログイン要求の送信先4〜6のIPアドレスに対応付けられて装置情報記憶部111に記憶されている機種情報および設定情報を、ログイン要求の送信先から取得した機種情報および設定情報に更新する。ここで、ログイン要求の送信先4〜6のIPアドレスが装置情報記憶部111に記憶されていないならば、ログイン要求の送信先4〜6から取得した機種情報および設定情報をログイン要求の送信先4〜6のIPアドレスに対応付けて、装置情報記憶部111に新たに記憶する(S208)。
【0051】
図6(B)は、図1に示すゲートウェイ1の保守プログラム更新動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ゲートウェイ1が、WAN3を介して保守端末9から保守プログラム更新指示を受信することにより開始される。
【0052】
まず、保守プログラム取得部112は、装置情報記憶部111に記憶されている装置情報のレコード1110毎に、このレコード1110に登録された装置情報(機種情報および設定情報の組み合わせ)に対応付けられてプログラムID記憶部108に記憶されているプログラムIDを特定し、このプログラムIDにより特定される保守プログラムを取得候補プログラムに決定する(S221)。
【0053】
つぎに、保守プログラム取得部112は、WANインターフェース部101を介して保守プログラムサーバ8に、各取得候補プログラムのプログラムIDの指定を伴う更新情報要求を送信する(S222)。そして、この更新情報要求に対する応答として、WANインターフェース部101を介して保守プログラムサーバ8から、取得候補プログラム各々の更新情報(バージョン、更新日時等)を受信する(S223)。
【0054】
つぎに、保守プログラム取得部112は、装置情報記憶部111に記憶されている装置情報のレコード1110毎に、レコード1110に登録されたIPアドレスに対応付けられて保守プログラム記憶部113に記憶されているプログラムIDおよび更新情報と、レコード1110に登録された装置情報に対応付けられてプログラムID記憶部108に記憶されているプログラムID、およびこのプログラムIDにより保守プログラムサーバ8から受信した取得候補プログラムの更新情報と、を比較する。プログラムIDが一致しない場合、あるいは、プログラムIDは一致するが更新情報が一致しない場合は、レコード1110に登録された装置情報に対応付けられてプログラムID記憶部108に記憶されているプログラムIDにより特定される取得候補プログラムを、取得対象プログラムに決定する(S224)。また、レコード1110に登録されたIPアドレスが保守プログラム記憶部113に記憶されていない場合も、レコード1110に登録された装置情報に対応付けられてプログラムID記憶部108に記憶されているプログラムIDにより特定される取得候補プログラムを取得対象プログラムに決定する。
【0055】
つぎに、WANインターフェース部101を介して保守プログラムサーバ8に、各取得対象プログラムのプログラムIDの指定を伴う保守プログラム取得要求を送信する(S225)。そして、この更新情報要求に対する応答として、WANインターフェース部101を介して保守プログラムサーバ8から取得対象プログラム各々を受信する(S226)。
【0056】
つぎに、保守プログラム取得部112は、取得対象プログラム毎に、取得対象プログラムのプログラムIDに対応付けられてプログラムID記憶部108に記憶されている装置情報(機種情報および設定情報の組み合わせ)を特定し、さらに、この装置情報に対応付けられて装置情報記憶部111に記憶されているIPアドレスを特定する。そして、このIPアドレスが登録されているレコード1130を保守プログラム記憶部113から検索し、このレコード1130に、取得対象プログラムのプログラム本体、プログラムID、および更新情報を登録する。この特定したIPアドレスが登録されているレコード1130が存在しない場合は、保守プログラム記憶部113に新たなレコード1130を追加し、このレコード1130に、この特定したIPアドレス、取得対象プログラムのプログラム本体、プログラムID、および更新情報を登録する(S227)。
【0057】
その後、遠隔操作受付部107は、WANインターフェース部101を介して保守端末9に、保守プログラム取得部112による保守プログラム記憶部113の更新結果を通知する(S228)。
【0058】
図6(C)は、ゲートウェイ1の保守プログラム実行動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ゲートウェイ1が、WAN3を介して保守端末9から保守プログラム実行指示を受信することにより開始される。
【0059】
まず、保守プログラム実行部114は、保守プログラム記憶部113から未選択のレコード1130を一つ選択する。このレコード1130のフィールド1131に登録されているIPアドレスにより特定される配下の通信装置4〜6を選択装置とする(S241)。
【0060】
つぎに、保守プログラム実行部114は、選択装置に対して、この選択したレコード1130のフィールド1132に登録されている保守プログラムを実行して、保守作業を開始する(S242)。具体的には、選択装置に対して、設定情報の更新(データ、ファームウェア更新)、状態監視(状態情報あるいは履歴情報の取得)などを行う。どのような内容の保守作業を行うかは、保守プログラムに依存する。
【0061】
ここで、選択装置からの応答なし、保守プログラムのプログラムエラー等の異常が発生した場合(S243でYES)、遠隔操作受付部107は、WANインターフェース部101を介して保守端末9に、異常内容を示すエラーメッセージを通知する(S244)。
【0062】
また、選択装置に対する保守作業が正常に終了した場合(S245でYES)、遠隔操作受付部107は、WANインターフェース部101を介して保守端末9に、保守作業の実行結果を通知する(S246)。
【0063】
つぎに、保守プログラム実行部114は、保守プログラム記憶部113に未選択のレコード1130が存在するか否かを調べる(S247)。未選択のレコード1130が存在するならば(S247でYES)、S241に戻り、すべてのレコード1130を選択済みならば(S247でNO)、このフローを終了する。
【0064】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0065】
本実施の形態では、ゲートウェイ1が、自動的に、LAN2に接続されている配下の通信装置4〜6から装置情報を取得して、配下の通信装置4〜6各々の保守作業に必要な保守プログラムを認識し、それらの保守プログラムを保守プログラムサーバ8から取得する。そして、配下の通信装置4〜6毎に、対象の保守プログラムを実行して、配下の通信装置4〜6に対する保守作業を行い、その結果を保守端末9に通知する。このため、本実施の形態によれば、保守作業前に通信装置4〜6毎に行う個別の作業(適切な保守プログラムの調査、インストール等)を省略することができるため、保守端末9の操作者の、配下の通信装置4〜6に対する保守作業の負担を軽減できる。
【0066】
また、本実施の形態において、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6毎に、配下の通信装置4〜6から取得した機種情報に応じて、この配下の通信装置4〜6に要求する設定情報の項目(回線種別、メディア種別、回線数等)を決定している。そして、この機種情報と設定情報との組み合わせを装置情報としている。このようにすることにより、同じ機種でも、設定情報の内容によって保守プログラムの内容を変えることができるので、配下の通信装置4〜6に対してより細やかな保守作業を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態において、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4〜6毎に、配下の通信装置4〜6から取得した装置情報に基づいて取得候補の保守プログラムを決定し、取得候補の保守プログラムの更新情報を保守プログラムサーバ8から入手する。そして、取得済みの保守プログラムがあるならば、この保守プログラムのプログラムIDおよび更新情報と、取得候補の保守プログラムのプログラムIDおよび更新情報とを比較して、取得候補の保守プログラムを取得対象に決定するか否かを判断し、取得対象に決定した保守プログラムのみを保守プログラムサーバ8から取得する。このようにすることで、取得済みの保守プログラムと同じ保守プログラムが保守プログラムサーバ8からゲートウェイ1に再度ダウンロードされる事態の発生を防止でき、無駄な通信トラヒックの発生を防止できる。
【0068】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0069】
例えば、上記の実施の形態において、ゲートウェイ1は、保守端末9からの保守プログラム更新指示に従い、すべての配下の通信装置4〜6について保守プログラム更新動作を行っている(図6(B)参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。装置情報記憶部111に記憶されている配下の通信装置4〜6の装置情報を保守端末9に表示して、保守端末9の操作者に、保守プログラム更新対象の配下の通信装置4〜6を選択させ、この通信装置4〜6に対してのみ保守プログラムの更新を行うようにしてもよい。
【0070】
また、上記の実施の形態において、ゲートウェイ1は、保守端末9からの保守プログラム実行指示に従い、すべての配下の通信装置4〜6について保守プログラム実行動作を行っている(図6(C)参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。装置情報記憶部111に記憶されている配下の通信装置4〜6の装置情報を保守端末9に表示して、保守端末9の操作者に、保守作業対象の配下の通信装置4〜6を選択させ、この通信装置4〜6に対してのみ保守プログラムを実行するようにしてもよい。
【0071】
また、上記の実施の形態では、WAN3側に保守端末9が接続されている場合を例に説明したが、保守端末9はLAN2に接続されていてもよい。同様に、保守プログラムサーバ8も、LAN2に接続されていてもよい。
【0072】
また、上記の実施の形態では、ゲートウェイ1にDHCPサーバ機能を持たせ、ゲートウェイ1が、IPアドレス要求の受信をトリガとして、このIPアドレス要求の送信元の配下の通信装置4〜6から装置情報を取得しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ゲートウェイ1が、LAN2側から受信したIPパケットの送信元アドレスを監視し、新たな送信元アドレスの検出をトリガとして、この送信元アドレスにより特定される配下の通信装置4〜6から装置情報を取得してもよい。この場合、ゲートウェイ1からDHCPサーバ機能を省略しても構わない。
【0073】
また、上記の実施の形態において、ゲートウェイ1は、LANインターフェース部102により主装置6から装置情報を取得したり、保守作業に関する情報を主装置6との間で送受したりしているが、本発明はこれに限定されない。主装置6がLAN2とのインターフェースを持っていない場合、ISDN回線のDチャネル、アナログ電話回線のインチャネル等を利用して、主装置インターフェース部103により主装置6から装置情報を取得したり、保守作業に関する情報を主装置6との間で送受したりしてもよい。
【0074】
また、上記の実施の形態において、図3に示すゲートウェイ1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0075】
1:ゲートウェイ、2:LAN、3:WAN、4:呼制御サーバ、5:IP電話機、6:主装置、7:電話機、8:保守プログラムサーバ、9:保守端末、101:WANインターフェース部、102:LANインターフェース部、103:主装置インターフェース部、104:ISDN・アナログ電話/IP電話変換処理部、105:ルーティング処理部、106:DHCPサーバ機能部、107:遠隔操作受付部、108:プログラムID記憶部、109:装置情報取得部、110:設定項目記憶部、111:装置情報記憶部、112:保守プログラム取得部、113:保守プログラム記憶部、114:保守プログラム実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートウェイを用いた通信装置の保守方法であって、
前記ゲートウェイは、
配下のネットワークに前記通信装置が新たに接続されると、前記通信装置から装置情報を取得し、
前記取得した装置情報を用いて、装置情報毎に保守プログラムの識別情報が記憶された記憶装置から、前記通信装置の保守作業に必要な保守プログラムの識別情報を特定し、当該識別情報により特定される保守プログラムを所定のサーバからダウンロードし、
前記ダウンロードした保守プログラムを実行することにより、前記通信装置に対する保守作業を実施して、当該保守作業の実施結果を所定の保守端末に通知する
ことを特徴とする通信装置の保守方法。
【請求項2】
配下のネットワークに接続されている通信装置に対する保守機能を備えたゲートウェイであって、
装置情報毎に、当該装置情報により特定される保守対象装置の保守作業に必要な保守プログラムの識別情報が記憶された識別情報記憶手段と、
前記通信装置から装置情報を取得する装置情報取得手段と、
前記装置情報取得手段により取得した装置情報に対応付けられて前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報により特定される保守プログラムを、所定のサーバから取得する保守プログラム取得手段と、
前記保守プログラム取得手段により取得した保守プログラムを実行して、前記通信装置に対する保守作業を実施する保守プログラム実行手段と、
前記保守プログラムによる保守作業の実施結果を所定の保守端末に通知する作業結果通知手段と、を有する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項3】
請求項2に記載のゲートウェイであって、
機種情報毎に、当該機種情報により特定される機種に対する設定項目が記憶された設定項目記憶手段をさらに有し、
前記装置情報は、機種情報および設定情報を含み、
前記装置情報取得手段は、
前記通信装置から前記機種情報を取得するとともに、当該取得した機種情報に対応付けられて前記設定項目記憶手段に記憶されている設定項目の設定情報を、前記通信装置から取得する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のゲートウェイであって、
前記保守対象装置の保守作業に必要な保守プログラムを記憶する保守プログラム記憶手段をさらに有し、
前記保守プログラム取得手段は、
前記装置情報取得手段により取得した装置情報に対応付けられて前記識別情報記憶手段に記憶されている識別情報により特定される保守プログラムが、前記保守プログラム記憶手段に記憶されていない場合、あるいは当該保守プログラムについて、前記保守プログラム記憶手段に記憶されているものより新しいバージョンのものが、前記所定のサーバに記憶されている場合に、当該保守プログラムを前記所定のサーバから取得して、前記保守プログラム記憶手段に記憶、あるいは前記保守プログラム記憶手段に記憶されているものを更新し、
前記保守プログラム実行手段は、
前記保守プログラム記憶手段に記憶されている保守プログラムを実行して、前記通信装置に対する保守作業を実施する
ことを特徴とするゲートウェイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147188(P2012−147188A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3218(P2011−3218)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】