説明

通信装置及び通信装置のためのカプラー

【課題】電気信号を、電力線を介して送信する。
【解決手段】高周波電力線通信用装置は、送信機、受信機、モデム14、およびカプラー16を、電力線18に沿う二カ所あるいは複数の場所のそれぞれに有する。カプラー(16はエアコア型あるいは誘電コア型変圧器と直列に接続した容量性回路を有する。容量性回路は、事前選択した周波数において変圧器と共振する。変圧器は、少なくとも1つのトランジスタを用いて構成されたソリッドステート変圧器である。カプラーは雑音を消去し、事前選択した周波数において電力線の特性インピーダンスに整合する。これにより、電力線上の通信が線形化され、長距離区間にわたって高速のデータ通信と音声通信が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電力システム通信、とくに、電力線と電力線変圧器、さらに、交流、直流、同軸ケーブルおよびツイストペア線を介して高速、かつ長距離にわたるデジタルデータ信号を同時に送受する能力を持つ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「電力線キャリア」は、電力システム通信の分野では周知である。この電力線キャリアの主要な要素は、送受信ターミナル(ひとつあるいは複数のライントラップを含む)、ひとつあるいは複数のカプリングキャパシタ、および、チューニングとカプリング用装置を含む。従来型電力線キャリアの説明および代表的構成に関する詳細情報は、書籍「電気/コンピュータ工学の基礎的ハンドブック、第II巻、通信制御装置とシステム」(John Wiley & Sons、1983、617−627ページ)に掲載されており、同書の内容は本文書に参考文献として添付してある。従来技術の電力線キャリアに関連する重要な問題は、ひとつあるいは複数のライントラップ、ひとつあるいは複数のキャパシタ、ひとつあるいは複数のカプリング変圧器あるいは搬送(キャリア)周波数ハイブリッド回路、および、周波数接続ケーブルに対する要件である。
【0003】
従来型のカプラーは、すべて、フェライトあるいは鉄心コア変圧器を組み込んでおり、したがって、送信カプラーと受信カプラーの間の伝送関数の位相特性が非線形になるため信号歪みが発生する。この歪みが発生するのは、ヒステリシスを示す磁気コア材料が存在するためである。分布型電力線キャリアの場合、この歪みがとくに重大となるが、その理由は、少なくとも3つの非線形装置を通過して信号を伝送しなければならないためである。すなわち、分布変圧器とふたつの電力線カプラーであり、これらはフェライトコア変圧器を使用している。これらの非線形性装置により発生する歪みにより、包絡線遅延歪みが発生し、これが通信速度を制限する。
【0004】
従来の設計の大きな欠点は、信号カプラー中に、フェライトコア変圧器あるいは鉄心変圧器を使用していることが原因である。1次側巻線インダクタンスL1が、コアの非線形性により、ある不定値に変化する。これにより、希望搬送周波数にチューニング誤りが発生する。加えて、希望搬送周波数における1次側巻線のインピーダンスが、電力線特性インピーダンスと整合しなくなる。この事実を認識し、別の設計方法として、電力線に信号を結合するに当たり、大容量のカプリングキャパシタ(約0.5マイクロファラッド)を使用して、低いトランシーバ入力インピーダンスを使用する。この結果、搬送周波数において最大20dBという大きなカプリング損失が発生する。
【0005】
われわれから出願中である米国特許出願No.09/344,258(以下、‘258出願と略記)は、送信受信の双方に対して、新方式の位相シフト線形電力、電話、ツイストペアおよび同軸の線のカプラーを開示している。位相シフト線形カプラーは、新方式のエアコア(空芯)変圧器あるいは誘電体コア変圧器で構成されており、電力線変圧器を介した電話線、同軸、LANおよび電力の線による通信に使用できる。
【0006】
さらに、ほぼ最小の既知の値を持つライン特性インピーダンスと抵抗型整合を実現し、ライン上で安定した信号伝送を最大にすることを目的として、位相シフト線形カプラーは、対応するカプリングキャパシタネットワークも含んでいる。この共振により、搬送周波数において帯域通過フィルタを効率的に形成できる。‘258出願の開示は、参考として本文書に全文を掲載する。
【0007】
‘258出願に示す設計により、電力線特性インピーダンスと共振するフェライトカプラーあるいは鉄心カプラーを使用することにより電力線などの各種ライン上の通信にノッチ(切り欠き部)、サックアウト(吸収部)および非線形性媒体が発生するという従来型設計に存在した多数の問題が解決された。‘258出願の位相シフト線形カプラーは、通信帯域に切り欠き部が発生しないため、広範な周波数にわたり線形通信を可能とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ただし、電力線通信システムは高周波数(たとえば、200MHz−500GHz)を使用してデジタルデータ信号の送受信を同時に実施する必要があり、これにより交流、直流、同軸ケーブル、ツイストペア線を含む電力線および電力線変圧器を介して、高帯域を使用して長距離にわたる通信が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の実施例に基づいて簡単に述べると、本発明は、ある特性インピーダンスを有するひとつあるいは複数の電力線を介して電気信号の通信を行う通信装置である。本通信装置は下記を含む:
電気信号を変調して、200MHzあるいはそれ以上の事前選択した周波数を有する電気信号を発生する変調器;
前記変調器に電気的に接続され、出力インピーダンスを有する送信機であり、この送信機が被変調搬送信号を送出する;
電力線と送信機の間に接続されるカプラーであり、このカプラーは送信機手段の出力インピーダンスを電力線の特性インピーダンスに整合させ、被変調搬送信号を電力線に大きな位相歪み無く伝送する。
【0010】
第2の実施例によると、本発明は、ある特性インピーダンスを有するひとつあるいは複数の電力線を介して電気信号の通信を行う通信装置であり、下記を含む: 電気信号を変調して200MHzあるいはそれ以上の第1の事前選択された周波数をもつ被変調搬送信号を発生する変調器;
前記変調器に電気的に接続され出力インピーダンスを有する送信機であり、この送信機は被変調搬送信号を送信する;
電力線と送信機の間に接続される第1のカプラーであり、このカプラーは送信機の出力インピーダンスを電力線の特性インピーダンスに整合させ、被変調搬送信号を大きな位相歪み無く電力線に送出する;
入力インピーダンスをもつ受信機であり、この受信機は被変調搬送信号を受信する;
前記受信機に電気的に接続された復調器であり、この復調器は、被変調搬送信号を復調することにより、200MHzあるいはそれ以上の第2の事前選択した周波数をもつ復調搬送信号を作成する;
電力線と受信機の間に接続され、受信機の入力インピーダンスを電力線の特性インピーダンスに整合させ、被変調搬送信号を大きな位相歪み無く受信機に伝送するための第2のカプラー。
【0011】
第3の実施例によると、本発明は、ある特性インピーダンスを有するひとつあるいは複数の電力線を介して電気信号の通信を行う通信装置であり、下記を含む: 200MHzあるいはそれ以上の第1の事前選択された周波数をもつ第1の被変調搬送信号を生成し、200MHzあるいはそれ以上の第2の事前選択した周波数をもつ第2の被変調搬送信号を復調する第1のモデム;
出力インピーダンスを有する第1の送信機であり、この送信機は第1のモデムに接続され、第1の被変調搬送信号を送信する;
入力インピーダンスを有する第1の受信機であり、この受信機は第1のモデムに接続され、第2の被変調搬送信号を受信する;
電力線と第1の送信機及び第1の受信機との間に接続される第1のカプラーであり、この第1のカプラーは第1の送信機の出力インピーダンスと第1の受信機の入力インピーダンスとを電力線の特性インピーダンスに整合させ、第1および第2の被変調搬送信号を大きな位相歪み無く送信する;
第2の被変調搬送信号を生成し、第1の被変調搬送信号を復調する第2のモデム;
出力インピーダンスを有する第2の送信機であり、この送信機は第2のモデムに接続され、第2の被変調搬送信号を送信する;
入力インピーダンスをもつ第2の受信機であり、この受信機は第2のモデムに接続され、第1の被変調搬送信号を受信する;
電力線と、第2の送信機および第2の受信機の間に接続される第2のカプラーであり、この第2のカプラーは第2の送信機の出力インピーダンスと第2の受信機の入力インピーダンスを電力線の特性インピーダンスに整合させ、第1と第2の被変調搬送信号を大きな位相歪み無く伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のカプラーの電力線に対する特性インピーダンスを図示したものである。
【図2】図2は、本発明に基づく、電力線通信広帯域ネットワークのブロックダイヤグラム図である。
【図3】図3は、本発明に基づく、半2重電力線モデムを図示したものである。
【図4】図4は、本発明に基づく、全2重電力線モデムを図示したものである。
【図5】図5は、本発明に基づく、電力線通信装置のブロックダイヤグラム図である。
【図6】図6は、図5の電力線通信装置中に使用される第1の周波数における変調器を図示したものである。
【図7】図7は、図5の電力線通信装置中に使用される第2の周波数における変調器を図示したものである。
【図8】図8は、図5の電力線通信装置中に使用される第1の周波数における復調器を図示したものである。
【図9】図9は、図5の電力線通信装置に使用される第2の周波数における復調器を図示したものである。
【図10】図10は、図5の電力線通信装置に使用されるイーサネット(登録商標)インタフェースを図示したものである。
【図11】図11は、第1のセットの周波数における図5の電力線通信装置に使用されるカプラーを図示したものである。
【図12】図12は、第2のセットの周波数における図5の電力線通信装置に使用されるカプラーを図示したものである。
【図13】図13は、図5の電力線通信装置に使用される電源装置を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述の要約と後述する本発明の望ましい実施例の詳細説明は、添付図面と併せて読むと理解が容易である。本発明を分かりやすく説明する目的のため、現在望まれる実施例を図示する。ただし、本発明はここで示されるものと完全に一致する配置や機器構成に限定されないと解すべきである。図面中、全体を通じて同一の要素を示すために同一の番号が使用される。
【0014】
本発明は、‘258出願の位相シフト線形カプラーに対する改善を示す。高周波(1−500GHz)をエアコアカプラーあるいは誘電体コアカプラーとともに使用すると、高帯域を有するため良好な結果が生じ、伝送距離も伸びることはすでに発見されている。高周波数信号は各種ワイヤの周囲に磁界を発生し、電力線表面に沿って磁気波のように伝送され、変圧器を通過する。したがって、このような高周波信号は、広帯域にわたり長距離の伝送が可能である。
【0015】
同軸ケーブルのように制御された環境では、1GHz以上の高周波信号の伝送区間は短距離に限られ、減衰してしまう。これは、同軸ケーブルの一定の直列インダクタンスLと並列容量Cが大きいため、強い低域通過フィルタを形成し、各周波数の信号が一定距離で減衰するためである。さらに、同軸ケーブルが中央導体の周囲に発生する磁界は、接近してシールドされているため小さい。
【0016】
単純に1点から別の点に伝送されるのでなく、スター構成を有する異なった環境が、電力線を使用することにより得られる。電力線はLとCの固定値を持たず、したがって、電力線が形成する低域通過フィルタは同軸ケーブルに比べて弱い。電力線はシールドされていないため、電力線導体は同軸ケーブルに比べ、ワイヤの周囲に強い磁界を発生する。さらに、電力線の特性インピーダンスZoは時間と場所により変化し、相互に接続されるワイヤ数も電力分布ネットワーク上の各点で異なる。したがって、デジタル信号から電力線方向への電磁界の伝搬は減衰せず、各信号は同軸ケーブル中に比べ遠距離に伝送できる。
【0017】
本文書に示すように、本発明に基づく電力線との整合を使用する場合、高周波信号は、大型の並列キャパシタとみなせる電力線変圧器も通過し、信号強度は大きく減衰しない。
【0018】
本発明によるカプラーが重要であるのは、本カプラーが電力線特性インピーダンスとの整合装置となるためである。‘258出願に示すように、本発明によるカプラーは、エアコア変圧器あるいは誘電体コア変圧器、および、カプリングキャパシタCeqを含む。変圧器の1次側巻線のインピーダンスが変化しても、変圧器の2次側巻線には大きな影響を与えず、この逆の場合も正しい。したがって、電力線からみえるインピーダンスは、キャパシタCeqに共振する1次側巻線のみである。このような直列共振により発生するインピーダンスは低く、1オームに近い値を取る。周波数が増加すると、電力線特性インピーダンスにもっともよく整合するにはどのインピーダンスが最適であるか、さらに、どの位の帯域が必要かにより、インピーダンスも約100−200オームに増加する。
【0019】
たとえば、図1は電力線に対するカプラーの特性インピーダンスを示す。電力線インピーダンスがF1において100オームである場合、カプラーからの6dB整合は50オーム(F4)から200オーム(F3)となり、これはF3からF4までの広帯域をカバーする。これとは逆に、電力線特性インピーダンスが10オームしか無い場合、6dB整合は5オームから20オームとなり、帯域は狭くなる。カプラーインピーダンスを小さくすると、小さい特性インピーダンスをもつ(たとえば10オーム)電力線中でより広い帯域整合を得ることができる。
【0020】
‘258出願中で議論したように、本発明によるカプラーの大きな利点は位相の線形性が得られることである。電力線は、異なった周波数に対し、数フィートごとにローカルインピーダンスを有する。電力線に対する最適整合は、フェライトコアと鉄心を含まないインダクタ(L)コンポーネントとキャパシタ(C)コンポーネントを使用することにより得られる。これは、電力線が多数のLとCから構成されるためである。さらに、無終端ラインの端において反射が発生する。フェライトコアあるいは鉄心を使用したカプラーも、対象とする通信帯域の周辺で自己共振を起こす。電力線の自己共振と反射により、各種の帯域ノッチ(切り欠き)が発生する。逆に、本発明によるエアコアあるいは誘電体コアカプラーによれば、自己共振が発生する周波数、したがって、対象となる周波数帯域が高くなり、したがって対象となる周波数帯域においてエアコアカプラーは電力線のローカル特性インピーダンスに整合する。反射によるノッチ(切り欠き特性)は発生しない。
【0021】
本発明によるカプラーを使用すると6−10dBの平坦帯域が得られ、電力線との整合をとることができる。この整合が得られるのは、電力線特性インピーダンスがカプラーの1次側インピーダンスの半分とカプラーの1次側インピーダンスの2倍の範囲にある場合である。たとえば、カプラーの1次側インピーダンスは、周波数帯域18−30MHzに対して1−100オームを取る。電力線インピーダンスが22MHzにおいて50オーム、20MHzにおいて10オームであると想定すると、20MHzを中心に25−100オームの整合が得られ、これはほぼ21−30MHzの間の周波数をカバーする。20MHzにおけるカプラーの1次側インピーダンスが約20オームであると想定すると、整合は18MHzから約22MHzの範囲で得られる。総合的整合として18−30MHzの範囲で10dB帯域が得られ、ノッチ(切り欠き特性)は発生しない。
【0022】
通常の電力線インピーダンスは、地中線の場合50−100オームであり、高架線の場合100−500オームである。ただし、サーキットブレーカと多数のフィーダーをもつ地下変電所がその場所において形成する電力線特性インピーダンスは1オームと低い。カプラーは、電力線のもっとも一般的なローカルインピーダンスを収容するように設計される。たとえば、電力線特性インピーダンスが80オームの場合、40−160オームをもつ本発明によるエアコアカプラーにより、6dB整合が各位置において得られる。電力線のローカルインピーダンスは数フィートごとに変化するため、電力線にはローカルの整合が必要である。120V電力線の特性インピーダンスは、たとえば、80オームを有することが知られているため、80オームは各位置における適切な整合を示す。
【0023】
2次側インピーダンスは、電力線特性インピーダンスの変化により大きく変動しないため、送信機と受信機の整合は、50オーム近辺で得られる。変圧器の両側の整合は、電力線のインピーダンス変化にかかわらず、得られる。変圧器の2次側は、送信機あるいは受信機により整合をとる。変圧器の1次側のインピーダンス変化は、2次側に影響しない。したがって、45−50オーム整合は、電力線のインピーダンス変化に関係なく、送信機と受信機に対して常に得られる。
【0024】
高周波数(たとえば、200MHz−500MHz)の場合、エアコアあるいは誘電体コア変圧器の構造は、‘258出願のものと異なる。カプラーは、磁気ワイヤを巻き付けた径の異なるふたつの同軸ソレノイドあるいはエアコイルではなく、小型となり、たとえば樹脂、接着材料、セラミック、あるいは他の硬い非導電性材料(チップ材料)などのプラスチックあるいは非導電性材料を充填したチップに似た形状となる。カプラーは、チップ材料により区分される非常に薄い導電性プレートにより構成するのが望ましい。能動性あるいは受動性にかかわらず、プレートは銅製が望ましいが、銀、金あるいは他の導電性材料であってもよい。プレートは任意形状を取ることができるが(たとえば、方形、三角形、丸形)、環状が望ましい。この層状エアコア変圧器のサイズは、使用周波数により決まる。たとえば、30GHzカプラーの1次側直径は1ミリメートル未満、層の厚さは約0.1ミリメートル未満であり、これによりインダクタンスは0.3nHとなる。
【0025】
同様に、方形の薄型銅プレートのサイズはほぼ数ミリメートルであり、厚さは0.1ミリメートル、1次側および2次側インダクタは、その最上部が互いに約0.5mm離れている。したがって、この装置は非常に小さなキャパシタのように見える。ただし、本発明はエンドツーエンドのインダクタ値を使用してキャパシタを共振させ、電力線特性インピーダンスに整合させる。
【0026】
あるいは代替案として、金属層の蒸着あるいはドーピングシリコンにより、チップ中に直接プレートを形成することもできる。ドーピングされたシリコンは、アクティブ状態中は(たとえば、電圧の直流レベルがトランジスタを起動してアクティブデバイスにした場合)導電性を有する。したがって、ドーピングされたシリコンにより形成されるプレートは、トランジスタやダイオードのようなある種の能動デバイス形状を取る場合がある。もちろん、本発明の目的あるいは範囲を逸脱することなく、エアコアあるいは誘電体コア変圧器を使用することが好ましい。たとえば、一片の同軸ケーブルをエアコア変圧器として使用できる。同軸ケーブルのシールドは、変圧器の1次側であり、内部導体が変圧器の2次側になる。この同軸型をとるエアコア変圧器は、500MHzを超える非常に高い周波数の通信に使用することができる。同様に、ふたつの銅パイプあるいは鉄パイプ(あるいは、アルミニウム箔あるいは銅箔)を互いの内部に取付けることができる。外部のパイプあるいは箔が、エアコア変圧器の1次側であり、内部のパイプあるいは箔が2次側となる。この設計は、100MHz以上にも使用可能である。
【0027】
さらに、最近実施された研究により、直流対直流変換を行うスイッチングレギュレーターに使用されるものと類似の技術を使用して、7.6kVから120VACのオーダーで中間交流電圧の変換を行うソリッドステート変圧器が作成された。ソリッドステート変圧器に使用されるこの技術は、トランジスタゲートドライブのゲートドライブ制御と呼ばれる周知の技術であり、ここで詳細を説明する必要はない。これらの変圧器はいわゆる「ソリッドステート」技術により設計される。すなわち、従来型の変圧器に使用される大量の銅線コイルや鉄コイルの代わりにトランジスタや集積回路などの半導体コンポーネントを主として使用する。このようなソリッドステート変圧器は本発明のカプラーにも適用できる。従来技術を使用して、さらに簡単な他の集積回路を使用して本発明によるカプラーに使用する変圧器を作成可能である。能動トランジスタを使用する現在の集積回路により、必要なインダクタンスとキャパシタンスの値を有し、通常のエアコア変圧器として正確に動作するエアコア変圧器のシミュレーション、作成あるいは双方が可能となる。
【0028】
カプラーの構造は上述のように‘258出願により開示したものとは異なるが、カプラーの機能は同一である。本発明によるカプラーのプレート(あるいはパイプあるいは箔)は、誘導性結合あるいは静電性結合によりエアコアあるいは誘電体コアの変圧器が作成される。ただし、変圧器の1次側と2次側の結合は、周波数により変動する。1次側と2次側は、100MHz以下の周波数において磁気的および電気的にほぼ等しく結合され(すなわち、容量性結合および誘導性結合)、100MHzを超える周波数においては誘導的に結合される(磁気的結合)。100GHzのオーダーの周波数において、変圧器の1次側と2次側はほとんど誘導的に結合される。
【0029】
‘258出願に詳細を示すように、‘258出願による通信装置は多数の用途をもつ。本発明による高周波カプラーは、データ伝送速度を向上することにより、この機能を拡張している。たとえば、本発明により、200MHz−50GHzのオーダーの高周波搬送波を使用して電力線上の伝送が可能になる。本発明によるエアコアあるいは誘電体コアのカプラーを使用すれば、少なくとも最大1Gbpsの通信速度を電力線上で実現できる。
【0030】
幾つかの図面の各々を通して同じ数字は同様のまたは対応する部分を表わしている図を参照し、図2に本発明による電力線通信広域通信網(WAN)が示されている。
【0031】
イーサネット(登録商標)ルーター12は、製品の通信網周辺のNuWave3層線のようなHUBすなわちスイッチを使用するインターネットまたはイントラネットのような通信網基幹回線に接続される。ルーター12はまた電力線モデム14に接続され、電力線モデム14は次に変電所20においてモデム14からの信号を11KV電力線18に結合する中電圧電力線カプラー16に接続される。
【0032】
この技術に習熟した人々は、イーサネット(登録商標)ルーター12が本発明の意図または範囲から逸脱することなしに他の応用分野の、他のデバイスにも接続できるであろう、ということを認識するであろう。例えば他の応用分野には、(1)基幹回線が別の通信網に接続されている他のサーバーとのイーサネット(登録商標)広域通信網、(2)基幹回線が、電話センターと、電力線を通じて多重電話回線を確立するであろう時分割マルチプレクサとに接続されている電話サービス応用分野、並びに(3)基幹回線が電力線を通じて幾つかのTVステーションをデジタル的に送信するであろうTV放送ステーションに接続されているテレビジョン応用分野を含む。
【0033】
イーサネット(登録商標)ルーター12は、標準イーサネット(登録商標)ルーターである。電力線モデム14は、中電圧電力線カプラー16を通してイーサネット(登録商標)信号を11KV電力線18上で変調しおよび復調する。電力線モデム14の設計は、以下に詳細に議論される。中電圧電力線カプラー16は高さ約0.5mおよび直径約0.2mであり、セラミック絶縁物中に置かれ、かつ樹脂で固められることが好ましい。誘電体コア変圧器が、上に説明したように高周波動作にについて互いの上部に静電容量的に横たわる2つの小さなプレート片の形式を取ることができるカプラーとして使用されることが好ましい。勿論、上に議論したような他の如何なる高周波変圧器設計も、本発明の意図または範囲から逸脱することなしに中電圧電力線カプラー16に使用することができるであろう。
【0034】
好ましくは100Mbpsイーサネット(登録商標)信号である高周波信号は、電力線18を通じ、かつ磁気波によって1つ以上の配電変圧器22、24を通して110−220V低電圧電力線26に伝搬する。この信号は低電圧カプラー28を通し1つ以上の電力線モデム14によってピックアップされる。低電圧カプラー28および電力線モデム14は、ビルディング30に入る電力計(図示せず)の手前で低電圧電力線26上に置かれることが好ましい。電力線モデム14は、電力線18に結合された電力線モデム14と同一である。低電圧カプラー28は出願‘258に記述されたように設計でき、かつ中電圧電力線カプラー16よりも小さい。低電圧カプラー28は、上記のように高周波のエアコアまたは誘電体コア変圧器を使用する。
【0035】
イーサネット(登録商標)スイッチ(HUBs)32は、電力線モデム14に結合される。イーサネット(登録商標)スイッチ32は下記するように、イーサネット(登録商標)データを本発明による電力線通信構内通信網(LAN)を使用して電力線を通じてビルディング30に分配する。
【0036】
電力線モデム14は総て、送信および受信の両方に1.35GHz周波数を使用することが好ましい。この搬送周波数は、配電変圧器22、24を通じて中電圧電力線18からビルディング30への低電圧電力線26(110から240V)へ通信するであろう。100Mbpsまたは10Mbpsイーサネット(登録商標)データは、この搬送周波数を使用して送信できる。この技術に習熟した人々は、2.7GHzまたは3.5GHzのような他の搬送周波数も本発明の意図または範囲から逸脱せずに使用できる、ということを認識するであろう。
【0037】
代案実施例において、30GHz以上の搬送周波数が10Mbps、100Mbpsまたは1Gpbsのイーサネット(登録商標)データを送信するために使用できる。この大きさの搬送周波数が使用される時、本発明の電力線通信広域通信網(WAN)は、ビルディング30の外部の電力計を停止することを必要とせずに変電所20からビルディング30内への総ての径路に通信することができる。従って、電力線モデム14と低電圧カプラー28はビルディング30に入る電力計(図示せず)の手前で低電圧電力線26上に置かれる必要がない。むしろ、電力線モデム14と低電圧カプラー28は、ビルディング30の内部に置くことができる。
【0038】
この技術に習熟した人々はまた、本実施例はデータを送信および受信するためのイーサネット(登録商標)プロトコルを使用して記述されるけれども、本発明の意図または範囲から逸脱せずに他の如何なるプロトコルも本発明の電力線通信広域通信網(WAN)と共に使用できる、ということを理解するであろう。
【0039】
図3を参照して、電力線モデム14についての現在の好ましい構成が示されている。物理的イーサネット(登録商標)インターフェース38は、電力線モデム14をイーサネット(登録商標)カードまたはHUBすなわち中継器(図示せず)に接続し、および撚り合わせ対接続を含む如何なる適当な接続も含むことができる。イーサネット(登録商標)データ(例えばマンチェスター符号化データ)は、インターフェース38から、平行バスインターフェース42へおよびそこから符号化データを変換するモトローラMPC855TのようなCPU40へ与えられる。メモリー44は、平行バスインターフェース42上のデータをバッファ処理するために使用される。
【0040】
XilinxVirtexXCV100−PG256が好ましいフィールド・プログラマプル・ゲートアレイ(FPGA)46は、平行バスインターフェース42に繋がり、および送信されかつ受信されるデータの変調と復調をそれぞれ同様に実施する電力線モデム14の制御を提供する。EPROM48はFPGA46とCPU40用のプログラム指令を記憶する。FPGA46は、データがそれを通じて電力線モデム14からのデータが搬送されるカプラー34および電力線48に接続される送信/受信スイッチ36を制御する。電力線48へのカプラー34のインターフェースおよびカプラー34の構造は、出願‘258に詳細に説明されている。しかしながら上記のように、本発明の高周波エアコアまたは誘電体コア変圧器は、カプラー34に使用されなければならない。
【0041】
信号をFPGA46へおよびそこからインターフェースする回路が設けられる。送信のために信号はFPGA46を離れ、そしてアナログ−デジタル(A/D)変換器50を通過する。搬送周波数への上方変換(アップコンバージョン)は、ミキサー58と局所発振器52によって実施される。増幅器56とフィルタ54は得られる信号をカプラー34とインターフェースするために使用される。同様に受信のために信号はフィルタ54と増幅器56を通過し、ミキサー58と局所発振器58によって下方変換(ダウンコンバート)される。
【0042】
自動利得制御はAGC回路62によって実施され、次いで信号はFPGA46への送信のためにアナログ−デジタル(A/D)変換器60によってデジタル化される。図3の電力線モデム14は半2重モデムであり、従って送信および受信について使用される搬送周波数は同じである。この技術に習熟した人々は、AGCおよびミキサー上方/下方変換は追加回路の必要性なしにFPGAによって実施できる、ということを認識するであろう。
【0043】
FPGA46は、望ましい如何なるタイプの変調も使用するようにプログラムすることができる。FM変調が使用されることが好ましいけれども、FPGA46は本発明の意図または範囲から逸脱することなしにFSK、QPSK、16QAM、CDMA、ADSLまたは他の如何なるタイプの変調も使用するようにプログラムすることができるであろう。FPGA46またはCPU40の特別のモデルは本発明から逸脱することなしに変更できる、ということもまた認識されるであろう。実際、FPGA46は出願‘258に記述されるように他のDSPプロセッサーのタイプによって置き換えることができる。
【0044】
図4は、電力線モデム14の全2重モデム14の実施を示す。モデム14の構造は、モデム14と電力線48間のインターフェースを除いて図3に示される半2重モデム14と殆ど同一である。図4に見られるように、送信/受信スイッチ36は取り除かれている。代わりに、第1の周波数F1で動作する1つのカプラー34が送信用に使用され、かつ第2の周波数F2で動作する第2のカプラー34が受信用に使用される。例えば、1.2および1.6GHzの周波数が、電力線48を通じて同時に送信しかつ受信するために使用できるであろう。モデム14における構造上の相違に加えて、FPGA46のためにEPROM48に記憶されるソフトウェアプログラムは、2つの異なる周波数において全2重動作をもたらすように変更される必要性も、またあるであろう。
【0045】
図5について、電力線通信構内通信網(LAN)に使用される本発明による電力線通信装置10のブロックが示されている。示された通信装置10は、1対の電力線48に結合される。通信装置10は一般に変調器64、復調器66、イーサネット(登録商標)インターフェース68、カプラー34および電源70を有する。通信装置10はイーサネット(登録商標)カード、HUBすなわちスイッチ(図示せず)に繋がり、かつイーサネット(登録商標)データを電力線48を通じて全2重で送信する。
【0046】
動作に当たって、主ユニットと指定される第1の通信装置10は電力線48に結合され、かつ第1の周波数F1で送信し、および第2の周波数F2で受信する。従属ユニットと指定される第2の通信装置10もまた電力線48に結合され、かつ第2の周波数F2で送信し、および第1の周波数F1で受信する。例示目的のためにのみ、下記の装置は10Mbpsイーサネット(登録商標)信号を電力線を通じて提供するように、F1として250MHzを、およびF2として350MHzを使用する。他の周波数が本発明の意図と範囲を逸脱せずに使用できるであろう、ということは勿論この技術に習熟した人々によって認識されるであろう。例えば通信について自由認可周波数帯域である2.44GHzおよび5.8GHz帯域中の周波数が、電力線を通じて100Mbpsイーサネット(登録商標)信号を提供するために使用できるであろう。
【0047】
主ユニット(例えば250MHzにおける送信)についての変調器64の詳細が、図6に示される。変調器64は、示されるように接続された発振器76、変調器74および関連コンデンサおよびインダクタを含むFM変調器であるであることが好ましい。変調器64はまた、イーサネット(登録商標)インターフェース68のアタッチメント・ユニット・インターフェース(AUI)ポートからインターフェースするために、示されるようなRF変圧器72および関連回路を含む。イーサネット(登録商標)入力信号は発振器/変調器回路74、76を通し、次いで変調された信号の出力用のLCフィルタ回路を通して変圧器から運ばれる。コンデンサおよびインダクタの値は、主ユニットの場合には250MHzである搬送周波数に基づいて選択される。
【0048】
図7は、従属ユニット(例えば350MHzにおける送信)についての変調器64を示す。従属変調器64は、LC回路におけるインダクタおよびコンデンサの値を除いて、主変調器64と同一である。従属変調器64におけるインダクタおよびコンデンサの値は、350MHzの搬送周波数に基づいて選択される。
【0049】
主ユニット(例えば350MHzにおける受信)についての復調器66に詳細が、図8に示される。FM変調入力信号は先ず、変調入力信号からノイズと他の搬送周波数を分離するために、2つのRF増幅器78と増幅器78間に示されるようなブリンチフィルタを含む関連回路を通して送られる。ブリンチフィルタのLC値は、通信装置10に使用される搬送周波数に基づいて選択される。フィルタされかつ変調された信号は、次いでRF変圧器80を通してFM検出器回路82に結合される。FM検出器回路82は、MC13155Dが好ましい。FM検出器回路82の出力は、次いで変調入力信号から回復されたイーサネット(登録商標)データの出力信号を発生するために、高速増幅器84とフィルタ86を通過する。
【0050】
図9は、従属ユニット(例えば250MHzにおける受信)についての復調器66を示す。従属ユニットは、変調入力信号に使用されるブリンチフィルタのインダクタおよびコンデンサの値を除いて、主復調器66と同一である。従属復調器66のインダクタおよびコンデンサの値は、変調入力信号の範囲外でフィルタされる、異なる搬送周波数の故に異なる。
【0051】
上記の復調器66の実施例は、MC13155DFM検出器回路と250MHzおよび350MHzの搬送周波数の使用の故に、10Mbpsのイーサネット(登録商標)速度に制限される。復調器66の帯域幅は、200MHzよりも高い周波数帯域において動作可能であり、かつ1GHzよりも高い搬送周波数を使用できるFM検出器回路82を使用することにより、100Mbpsのイーサネット(登録商標)速度に増加させることができる。
【0052】
図10について、主および従属の両ユニットについてのイーサネット(登録商標)インターフェース68の詳細が示されている。2つの代案インターフェースは、イーサネット(登録商標)インターフェース68に具体化されている。第1に、AUIインターフェースがコネクタ88を通してイーサネット(登録商標)HUBすなわちスイッチに与えられる。2つの配線90がコネクタ88から直接変調器64につながり、および復調器66の出力はRF変圧器92を使用してコネクタ88に結合される。あるいは、通信装置10は、撚り合わせ対イーサネット(登録商標)RJ−45コネクタ94を使用してイーサネット(登録商標)HUBすなわちスイッチに接続できる。RJ−45コネクタ94が使用される時、10ベース−Tトランシーバまたはイーサネット(登録商標)撚り合わせ対/AUIアダプタである集積回路96、好ましくはML4658CQであるが、この集積回路と示されるような関連する回路が、RJ−45コネクタ94をコネクタ88のAUIポートとインターフェースするために使用される。
【0053】
図11を参照して、主通信装置10に使用されるカプラー34が示されている。電力線48への送信のために、変調器64の出力は先ずRF増幅器96と低域通過フィルタ98を通過する。その信号は次いでエアコアまたは誘電体コア変圧器およびカップリングキャパシタ(Ceq)102を含む本発明の高周波エアコアまたは誘電体コア変圧器カプラーに送られる。変圧器100およびカップリングキャパシタ102は、その信号を電力線48に結合する。低域通過フィルタ98のLC値は、搬送周波数に基づいて選択される。カップリングキャパシタ(Ceq)102のコンデンサ値は、電力線48とRF増幅器96との間に50オームのインピーダンス整合を与えるように選択される。
【0054】
電力線48からの信号の受信のために、エアコアまたは誘電体コア変圧器104およびカップリングキャパシタ(Ceq)106を含む本発明の高周波エアコアまたは誘電コアカプラーは、先ず電力線48からの入力信号とつながる。入力信号は、次いで復調器66へ出力のためにRF増幅器108とブリンチフィルタ110を通して送られる。送信側では、ブリンチフィルタ110のLC値は、搬送周波数に基づいて選択される。カップリングキャパシタ(Ceq)106のコンデンサ値は、電力線48とRF増幅器108との間に50オームのインピーダンス整合を与えるように選択される。
【0055】
図12は、従属通信装置10についてのカプラー34を示す。従属カプラー34は、ブリンチフィルタ110と低域通過フィルタ98のインダクタおよびコンデンサの値、並びにカップリングキャパシタ(Ceq)102、106のコンデンサ値を除いて、主カプラー34と同一である。従属カプラー34におけるこれらのインダクタおよびコンデンサの値は、電力線48からの信号の送信用および受信用搬送周波数が主通信装置10から逆転されているので異なる。
【0056】
最後に、図13は通信装置10と共に使用される電源70を示す。AC電力は電力線48から取られ、および電力変圧器114のインピーダンスを電力線48のインピーダンスから絶縁するためにビーズを通過する。このことは、電力線を通じてより安定した帯域幅とより大きな信号レベルを提供するために為される。
【0057】
DC電力は電力変圧器114と整流器116を使用して作り出される。最後に通信装置10に必要とされる、異なる電圧のDC出力は、電圧調整器118を使用して作り出される。図13に見られるように、別々の電力変圧器114、整流器116および電圧調整器118が、通信装置10の送信側用および受信側用の電力を提供するために使用される。この仕方で、250MHzおよび350MHz搬送周波数が、互いから絶縁される。
【0058】
その広い発明思想から逸脱することなしに上記の実施例に変更がなされ得るであろう、ということがこの技術に習熟した人々には認識されるであろう。従って、この発明は開示された特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の意図とその範囲内の変更にも及ぶと解釈される。特に、本発明の新規のカプラーの使用の特定の事例が説明されてきたが、そのカプラーは本発明の意図とその範囲から逸脱することなしに電力線通信の他の如何なる形式にも使用できる、ということがこの技術に習熟した人々によって認識されるであろう。更に、本発明のカプラー技術は、例えば電話線、同軸線、撚り合わせ対線、如何なる銅線、トラックおよびバス、電気的ハーネスおよび/またはAC/DC電力線のような如何なる線路を通じても、通信するために使用できる。同様に、イーサネット(登録商標)プロトコルが好ましい実施例での送信プロトコルとして議論されてきたが、他の如何なる通信プロトコルも本発明の通信装置と共に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特性インピーダンスを持つ1つ以上の電線路を通して電気信号を通信する通信装置において、
200MHz以上の事前選択された周波数を持つ被変調搬送信号を作り出すためにその電気信号を変調する変調器、
その変調器に電気的に接続されかつ出力インピーダンスを持つ送信機、前記送信機はその被変調搬送信号を送信し、および
その電線路とその送信機との間に接続されたカプラーを有し、前記カプラーはその送信機のその出力インピーダンスをその電線路のその特性インピーダンスに整合させ、およびその被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしにその電線路に送信する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
その電線路は、高電圧電力線、中電圧電力線、低電圧電力線、同軸ケーブル、撚り合わせ対線および電話線を含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
そのカプラーは、非磁性コアを持つ変圧器、前記変圧器はその被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしにその電線路に通信し、およびその変圧器とその事前選択された周波数で共振するカップリングキャパシタを有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
その変圧器はエアコア変圧器であることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
その変圧器は、第1の直径を持つ1次コイル、
より小さな第2の直径を持つ2次コイル、前記2次コイルはその1次コイルとその2次コイルとの間に空気間隙が作り出されるようにその1次コイルの内部に同軸に伸び、および
その1次コイルとその電線路との間に接続されるように適合されたコンデンサを有し、ここでその1次コイルとそのコンデンサは事前選択された帯域幅においてその電線路のその特性インピーダンスに整合される、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
その変圧器は誘電体コア変圧器であることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
その変圧器のそのコアは樹脂材料で充填されることを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
その変圧器はソリッドステート変圧器であることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項9】
その変圧器は、
第1の導電性プレート、
その第1の導電性プレートの下に置かれかつそこから離隔配置された第2の導電性プレート、および
その第1の導電性プレートとその電線路との間に接続されるように適合されたコンデンサを有し、ここでその第1の導電性プレートとそのコンデンサは事前選択された帯域幅においてその電線路のその特性インピーダンスと整合される、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項10】
その第1の導電性プレートとその第2の導電性プレートはチップ材料によって分離されていることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
その第1の導電性プレートとその第2の導電性プレートは環状であることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項12】
その第1の導電性プレートとその第2の導電性プレートはそのチップ上への金属層の蒸着によって直接チップに形成されることを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
その第1の導電性プレートとその第2の導電性プレートはドーピングされたシリコンから形成されることを特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項14】
その変圧器は、第1の直径を持つ第1の金属パイプ、
より小さな第2の直径を持つ第2の金属パイプ、前記第2のパイプはその第1の金属パイプとその第2の金属パイプとの間に空気間隙が作り出されるようにその第1のパイプの内部に同軸に伸び、および
その第1のパイプとその電線路との間に接続されるように適合されたコンデンサを有し、ここでその第1のパイプとそのコンデンサは事前選択された帯域幅においてその電線路のその特性インピーダンスに整合される、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項15】
その電気信号はイーサネット(登録商標)信号であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
その電気信号は10Mbpsイーサネット(登録商標)信号、100Mbpsイーサネット(登録商標)信号および1Gbpsイーサネット(登録商標)信号を含むグループから選択されることを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
その事前選択された周波数は1GHz以上であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項18】
その電気信号はイーサネット(登録商標)HUB/スイッチを経て通信網基幹回線に接続されることを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項19】
その通信網基幹回線はそのインターネット、イーサネット(登録商標)広域通信網(WAN)、イーサネット(登録商標)構内通信網(LAN)、電話または遠距離通信センター、およびテレビジョン放送ステーションを含むグループから選択されることを特徴とする請求項18に記載の通信装置。
【請求項20】
特性インピーダンスを持つ1つ以上の電線路を通して電気信号を通信する通信装置において、
200MHz以上の事前選択された第1の周波数を持つ被変調搬送信号を作るためにその電気信号を変調する変調器、
その変調器に電気的に接続されかつ出力インピーダンスを持つ送信機、前記送信機はその被変調搬送信号を送信し、その電線路とその送信機との間に接続されたカプラー、前記カプラーはその送信機のその出力インピーダンスをその電線路のその特性インピーダンスに整合させ、かつその被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしにその電線路に通信し、
入力インピーダンスを持つ受信機、前記受信機はその被変調搬送信号を受信し、
その受信機に電気的に接続された変調器、前記変調器はその被変調搬送信号を復調することによって200MHz以上の事前選択された第2の周波数を持つ復調搬送信号を作り、および
その受信機のその入力インピーダンスをその電線路のその特性インピーダンスに整合させ、かつその被変調搬送信号を重大な位相歪みなしにその受信機に通信するためにその電線路とその受信機との間に接続された第2のカプラーを有する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項21】
その第1のカプラーは非磁性コアを持つ第1の変圧器、前記変圧器はその被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしにその電線路に通信し、およびその変圧器とその事前選択された周波数で共振するカップリングキャパシタを有し、および
その第2のカプラーは、非磁性コアを持ちかつその被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしにその受信機に通信する第2の変圧器、およびその変圧器とその事前選択された周波数で共振するカップリングキャパシタを有する、
ことを特徴とする請求項20に記載の通信装置。
【請求項22】
その第1の変圧器およびその第2の変圧器はエアコア変圧器であることを特徴とする請求項21に記載の通信装置。
【請求項23】
その第1の変圧器およびその第2の変圧器は誘電体コア変圧器であることを特徴とする請求項21に記載の通信装置。
【請求項24】
その第1の変圧器およびその第2の変圧器はソリッドステート変圧器であることを特徴とする請求項21に記載の通信装置。
【請求項25】
事前選択されたその第1の周波数および事前選択されたその第2の周波数は1GHz以上であることを特徴とする請求項20に記載の通信装置。
【請求項26】
その電気信号はイーサネット(登録商標)信号であることを特徴とする請求項20に記載の通信装置。
【請求項27】
その電気信号は10Mbpsイーサネット(登録商標)信号、100Mbpsイーサネット(登録商標)信号および1Gbpsイーサネット(登録商標)信号を含むグループから選択されることを特徴とする請求項26に記載の通信装置。
【請求項28】
その電気信号はイーサネット(登録商標)HUB/スイッチを経て通信網基幹回線に接続されることを特徴とする請求項26に記載の通信装置。
【請求項29】
その通信網基幹回線はそのインターネット、イーサネット(登録商標)広域通信網(WAN)、イーサネット(登録商標)構内通信網(LAN)、電話または遠距離通信センター、およびテレビジョン放送ステーションを含むグループから選択されることを特徴とする請求項28に記載の通信装置。
【請求項30】
特性インピーダンスを持つ1つ以上の電線路を通して電気信号を通信する通信装置において、
200MHz以上の事前選択された第1の周波数を持つ第1の被変調搬送信号を作り、および200MHz以上の事前選択された第2の周波数を持つ第2の被変調搬送信号を復調する第1のモデム、
出力インピーダンスを持つ第1の送信機、前記送信機はその第1のモデムに接続されかつその第1の被変調搬送信号を送信し、
入力インピーダンスを持つ第1の受信機、前記受信機はその第1のモデムに接続されかつその第2の被変調搬送信号を受信し、
その電線路とその第1の送信機及びその第1の受信機との間に接続された第1のカプラー、前記第1のカプラーはその第1の送信機のその出力インピーダンスおよびその第1の受信機のその入力インピーダンスをその電線路のその特性インピーダンスに整合させ、かつその第1および第2の被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしに通信し、
その第2の被変調搬送信号を作り、およびその第1の被変調搬送信号を復調する第2のモデム、
出力インピーダンスを持つ第2の送信機、前記送信機はその第2のモデムに接続されかつその第2の被変調搬送信号を送信し、
入力インピーダンスを持つ第2の受信機、前記受信機はその第2のモデムに接続されかつその第1の被変調搬送信号を受信し、およびその電線路とその第2の送信機及びその第2の受信機との間に接続された第2のカプラーを有し、前記第2のカプラーはその第2の送信機のその出力インピーダンスおよびその第2の受信機のその入力インピーダンスをその電線路のその特性インピーダンスに整合させ、かつその第1および第2の被変調搬送信号を実質的な位相歪みなしに通信する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項31】
その第1および第2のカプラーはそれぞれ2つのLC回路を有することを特徴とする請求項30に記載の通信装置。
【請求項32】
そのLC回路の各々はその電線路および非磁性コアを持つ変圧器と直列に接続された少なくとも1つのコンデンサを有することを特徴とする請求項31に記載の通信装置。
【請求項33】
その変圧器はエアコア変圧器であることを特徴とする請求項32に記載の通信装置。
【請求項34】
その変圧器は誘電体コア変圧器であることを特徴とする請求項32に記載の通信装置。
【請求項35】
その事前選択された第1の周波数およびその事前選択された第2の周波数は1GHz以上であることを特徴とする請求項30に記載の通信装置。
【請求項36】
その電気信号はイーサネット(登録商標)信号であることを特徴とする請求項30に記載の通信装置。
【請求項37】
その電気信号は10Mbpsイーサネット(登録商標)信号、100Mbpsイーサネット(登録商標)信号および1Gbpsイーサネット(登録商標)信号を含むグループから選択されることを特徴とする請求項36に記載の通信装置。
【請求項38】
その電気信号はイーサネット(登録商標)HUB/スイッチを経て通信網基幹回線に接続されることを特徴とする請求項36に記載の通信装置。
【請求項39】
その通信網基幹回線はそのインターネット、イーサネット(登録商標)広域通信網(WAN)、イーサネット(登録商標)構内通信網(LAN)、電話または遠距離通信センター、およびテレビジョン放送ステーションを含むグループから選択されることを特徴とする請求項38に記載の通信装置。
【請求項40】
特性インピーダンスを持つ1つ以上の電線路を通して電気信号を通信する通信装置に使用されるカプラーであって、
1次側を持つソリッドステート変圧器、および
その1次側とその電線路との間に接続されるように適合されたコンデンサを有し、ここでその1次側とそのコンデンサは事前選択された帯域幅においてその電線路のその特性インピーダンスに整合される、
ことを特徴とするカプラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−188532(P2011−188532A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−133645(P2011−133645)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2001−586897(P2001−586897)の分割
【原出願日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願人】(502027488)サティウス・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】