説明

通信装置

【課題】ユーザが通信装置から離れている場合でも主要動到達までの予測時間を視認することができる視認性の高い表示手段を備えた通信装置を提供する。
【解決手段】本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信し、通信装置が設置されている地域の予測震度及び主要動が到達するまでの予測時間を算出する地震情報算出部を備えている。また、操作ボタン群を含む入力部と、操作ボタン群の背後に配設されたLED等の発光部材を含む発光部とを備えている。さらに、主要動到達までの予測時間を入力部に表示するため、操作ボタン群の背後に設置されたバックライトの点灯/消灯を指示するバックライト制御部を備えている。これにより、操作ボタン群を用いた予測時間の表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NTT等の通信業者が提供する電話回線に接続される通信装置に関するものであり、特に気象庁が配信する緊急地震速報を受信し、地震の主要動が到達するまでの予測時間を通知可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラの発達により、通信に関する様々な付加サービスが普及するようになってきた。特に電話装置においては、一般電話回線以外に、IP電話網やインターネット等の広域通信網に接続して、様々なサービスを受けることが可能な電話装置が普及している。
【0003】
このような電話装置が備える機能の一つとして、地震発生時に気象庁が配信する緊急地震速報の受信機能が存在する。緊急地震速報とは、西暦2007年10月1日より実施が開始される情報配信サービスである。ユーザは緊急地震速報に対応する電話装置を購入し、且つ緊急地震速報の配信サービス会社と契約することにより、このサービスを利用することができる。
【0004】
地震発生時に緊急地震速報を受信した電話装置は、電話装置に予め記録されている地域情報、例えば電話装置が設置されている場所の緯度情報や経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
【0005】
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに通知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したり等の避難活動を行うことができる。
【0006】
上記のような緊急地震速報を受信可能な装置として特許文献1においては、地震による火災等の二次災害の発生可能性を従来よりも低く抑えることができる画像処理装置が開示されている。この画像処理装置は、外部機器との通信を行う通信制御手段と、装置内部の通電状態を変更する電源制御手段とを備えている。
【0007】
そして通信制御手段が外部機器から緊急地震速報を受け取った際に、通電状態を変更するよう電源制御手段を制御する。このように外部からの情報によって電源制御を行うことで、近くで工事をしていたり、装置に偶然何かがぶつかったりといった地震以外の振動による地震の誤検知を防止し、利便性を損なわずに安全を確保することができる。
【0008】
また上記に関連して特許文献2においては、緊急地震速報の配信契約者の携帯電話またはパソコン等の情報端末機器に文字情報にて地震発生を迅速に知らせることができる、地震予知情報提供システムが開示されている。
【0009】
この地震予知情報提供システムは、地震予知情報配信契約者の情報端末機器において、地震予知情報配信用の特定発信番号による受信を行う。これにより、当該情報端末機器のメモリに蓄積された地震警報メッセージデータベースを参照し、特定発信番号に該当する地震警報メッセージを文字情報としてディスプレイに表示する。
【特許文献1】特開2007−72917号公報
【特許文献2】特開2006−260497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記の特許文献1及び特許文献2おいては、緊急地震速報を受信することにより二次災害を防止したり、特定発信番号に対応した複数種の警報メッセージを通知したりすることはできるが、ユーザが端末機器や情報処理装置からある程度離れた場所に存在する場合に、緊急地震速報を示す情報を視認することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、ユーザと通信装置とが離れた場所に存在している場合であっても、ユーザが通信装置に近づくことなく主要動到達までの予測時間を視認することができる視認性の高い表示手段を備えた通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の通信装置は、通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信して主要動到達までの予測時間及び予測震度を算出する地震情報算出手段と、操作ボタン群を含む入力部と、前記操作ボタン群の背後に配設された発光部材を含む発光手段とを備えた通信装置において、前記予測時間の値に応じて前記発光部材の点灯/消灯を行うように前記発光手段を制御する予測時間表示手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、本発明の通信装置は、通信網に接続可能なネットワークカードや無線LAN装置等を含む第一通信部(=第一通信手段)を備えている。また第一通信部を用いてインターネット等の広域通信網から気象庁の配信する緊急地震速報を受信し、通信装置が設置されている地域の予測震度、及び主要動が到達するまでの予測時間を算出する地震情報算出部(=地震情報算出手段)を備えている。
【0014】
また、操作ボタン群を含む入力部と、操作ボタン群の背後に配設されたLED等の発光部材を含む発光部(=発光手段)とを備えている。さらに、主要動到達までの予測時間を入力部に表示するため、操作ボタン群の背後に設置された発光部材であるバックライトの点灯/消灯を制御するバックライト制御部(=予測時間表示手段)を備えている。これにより、電光パネルと同様の手法により、操作ボタン群を用いて予測時間の表示を行うことが可能である。
【0015】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記発光手段を用いて0から9の数字を表示するために点灯/消灯すべき発光部材を示した発光部材情報を記録した記録部を備え、前記予測時間表示手段が、前記予測時間に応じて点灯/消灯を行う発光部材を前記発光部材情報を用いて判定して前記発光手段を制御することを特徴としている。
【0016】
この構成によると、本発明の通信装置は、メモリ等の記録部を備えている。記録部には、発光部により0から9の数字を入力部に表示するために、どの操作ボタンのバックライトを点灯/消灯すればよいかを数字ごとに示した情報(=発光部材情報)を記録している。バックライト制御部は、各数字の表示を行う際に、記録部から発光部材情報を読み出して参照することにより、表示する数字に応じて点灯/消灯するバックライトの種別を判定する。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段と、前記地震情報算出手段と、前記入力部と、前記発光手段と、前記予測時間表示手段と、前記地震情報算出手段により算出された主要動到達までの予測時間及び予測震度を含む地震情報を前記第一通信手段を用いて送信する地震情報送信手段とを備えた主通信装置と、前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて受信する情報から前記地震情報を取得する地震情報取得手段と、前記入力部と、前記発光手段と、前記予測時間表示手段とを備えた副通信装置とを含むことを特徴としている。
【0018】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機(=主通信装置)と子機(=副通信装置)とを含むように構成されている。親機は、前述の第一通信部、地震情報算出部、入力部、発光部、及びバックライト制御部を備えている。また、地震情報算出部により算出された地震情報を子機に送信する地震情報送信部(=地震情報送信手段)を備えている。
【0019】
さらに子機は、親機と通信可能な第二通信部(=第二通信手段)と、第二通信部により受信する各情報から、親機より送られてきた地震情報を抽出する地震情報取得部(=地震情報取得手段)とを備えている。また子機は、前述の入力部、発光部、及びバックライト制御部を備えている。これにより、親機側及び子機側の両方において、操作ボタン群を用いた予測時間の表示を行うことが可能である。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震情報送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記地震情報を前記副通信装置へ送信し、前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、前記地震情報取得手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて受信する情報から前記地震情報を取得することを特徴としている。
【0021】
この構成によると、本発明の通信装置は、親機及び子機が、無線通信網に接続可能なアンテナ装置を含む無線通信部を備えている。親機の地震情報送信部は、算出した地震情報を無線通信部を用いて子機に送信する。また子機の地震情報取得部は、無線通信部を用いて、親機から送られてくる地震情報を受信する。このため、親機と子機とを有線通信網で接続する必要がなく、従ってユーザが子機を移動させて使用している場合においても、予測時間の通知を行うことができる。
【0022】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記予測時間表示手段が、時間の経過に応じて前記予測時間の更新を行うとともに、更新の実施ごとに、更新後の予測時間を示す数字を前記発光部材を用いて表示するように前記発光手段を制御することを特徴としている。
【0023】
この構成によると、バックライト制御部は、与えられた予測時間を一時的にメモリに記録すると共に、所定時間の経過ごと、例えば一秒ごとに、予測時間の更新を行う。そして更新を行うたびに、更新後の予測時間を示す値を操作ボタン群の背後に設置されたバックライトにより表示するように、発光部を制御する。このため、親機は子機に対して予測時間の送信を一回行うだけで、子機側で時間経過に応じた予測時間の更新及びカウントダウン表示を行うことができる。
【0024】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記地震情報送信手段が、時間の経過に応じて前記予測時間の更新を行うとともに、更新の実施ごとに、更新後の予測時間を前記第一通信手段を用いて前記副通信装置へ送信することを特徴としている。
【0025】
この構成によると、親機の地震情報送信部は、所定時間の経過ごと、例えば一秒ごとに、予測時間の更新を行う。そして更新を行うたびに、更新後の予測時間を示す値を第一通信部により子機へ送信する。このため子機は、受信した予測時間を表示する機能を最低限保持しているだけであっても、予測時間のカウントダウン表示を行うことが可能である。
【0026】
また上記目的を達成するために本発明の通信装置は、前記予測時間表示手段が、前記地震情報に含まれる予測震度の値に応じて発光部材の点灯色を変更するように、前記発光手段を制御することを特徴としている。
【0027】
この構成によると、バックライト制御部は、算出された予測震度の値に応じて、予測時間を表示する際のバックライト点灯色を変更して予測時間を表示する。これにより例えば、通常は白色による点灯を行い、予測震度が震度5を超える場合に赤色による点灯を行う等、大まかな震度の大きさを予測時間と併せて通知することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の構成によれば、主要動到達までの予測時間が算出された際に、バックライト制御部が、操作ボタン群の背後に設置されたバックライトの点灯/消灯を制御する。これにより、電光パネルと同様の手法で、操作ボタン群を用いた予測時間の表示を行うことが可能である。このため、通信装置が備える液晶パネルよりも大きいサイズで予測時間を表示することができ、視認性が高まる。従ってユーザは、通信装置からある程度離れた距離に位置する場合でも予測時間の確認を行うことができ、利便性が向上する。
【0029】
また本発明の構成によれば、発光部により0から9の数字を入力部に表示するために、どの操作ボタンのバックライトを点灯/消灯すればよいかを数字ごとに示した発光部材情報が予め記録されている。従ってバックライト制御部は、各数字を表示するためのバックライト制御を、発光部材情報を参照することにより容易且つ確実に行うことができる。
【0030】
また本発明の構成によれば、親機及び子機の両方において、主要動到達までの予測時間を操作ボタン群を用いて表示することが可能である。このため、ユーザが親機の近くに存在しない場合でも、子機を用いて予測時間の確認を行うことができるため、利便性が向上する。
【0031】
また本発明の構成によれば、親機及び子機が無線通信部を備えており、無線通信網を介して予測時間の送受信を行う。このため、ユーザが子機を移動させて使用している場合においても、予測時間の通知を行うことができる。従ってユーザは、例えば主要動到達に備えて机の下に避難しながら予測時間の確認を行う等の利用ができるため、利便性が向上する。
【0032】
また本発明の構成によれば、バックライト制御部が、所定時間の経過ごとに予測時間の更新を行い、更新後の予測時間を表示する。このため例えば、親機は子機に対して予測時間の送信を一回行うだけで、子機側で時間経過に応じた予測時間の更新及びカウントダウン表示を行うことが可能である。従って本発明の実施にあたって、親機側に新たな機能追加を行うことなく、子機側の機能追加のみによって実施することが可能である。
【0033】
また本発明の構成によれば、親機の地震情報送信部が、所定時間の経過ごとに予測時間の更新を行い、更新の実施ごとに予測時間を子機に送信する。このため、複数の子機間で表示される予測時間にズレが生じ、どれが正しい予測時間であるかをユーザが判断できず混乱するのを防ぐことができる。また子機側に持たせる機能を削減することができるため、例えば子機の数が極端に多い場合において、コストの削減及びメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0034】
また本発明の構成によれば、予測震度の値に応じてバックライトの点灯色を変更して予測時間を表示する。これにより大まかな予測震度を示すことができるため、ユーザに通知する情報量を増やすことができ、ユーザにとっての利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明のコードレス電話装置(=通信装置)を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0036】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。
【0037】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0038】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0039】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0040】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0041】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0042】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0043】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0044】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
〈1−2.親機の内部構成について〉
図2は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12(=記録部)、表示部13、入力部14、通信制御部15(=第一通信手段)、アンテナ装置16(=無線通信部)、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19、及び発光部20(=発光手段)を含むように構成されている。
【0045】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震情報算出部11a(=地震速報算出手段)、地震情報送信部11b(=地震情報送信手段)、及びバックライト制御部11c(=予測時間表示手段)を備えている。
【0046】
地震情報算出部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信する。緊急地震速報には、地震検知時刻、地震識別番号、震央地名コード、震源の緯度・経度、震源の深さ、マグニチュード、最大予測震度、データの正確性(測定に使用したシステムや処理手法等)等のデータが含まれている。ただし緊急地震速報に含まれる予測震度及び主要動到達までの予測時間は大まかなものであり、地域毎の詳細な予測震度等は受信装置側で算出する必要がある。
【0047】
算出処理には大きく分けて、単独観測点処理と、複数観測点処理との二つが存在する。単独観測点処理は、例えばP波検測やレベル法といった、観測点の近くで地震が発生したことを前提とした、局地的な一点型の測定処理である。複数観測点処理は、複数の単独測定点処理の結果を用いて、特定地の予測震度や主要動到達時刻を算出するためのものである。代表的な処理方法としては、テリトリー法やグリッドサーチ法が存在する。
【0048】
地震情報算出部11aは、緊急地震速報に含まれる単独観測点処理結果と、メモリ12に記録されている緯度・経度情報に基づき、複数観測点処理を行う。具体的には例えば、まず複数の単独観測点処理結果から地震の三要素(震央:X、Y、時間:T、大きさ:M )を求める。さらに特定地の震央距離(震央X、Yから特定地X0、Y0までの距離)D、及び地震の大きさMから有感半径Rを求める。なおここでいう特定地とは、親機1が存在する緯度・経度を意味する。
【0049】
地震情報算出部11aは、震央距離Dと、地震の大きさMと、震源の深さHとから、特定地での標準強度Sr を求める。そして地質状況などによる特定地における増幅係数Aを求め、標準強度Sr と増幅係数Aとを用いて主要動(S波)の予測強度、最大速度、最大加速度、最大変位、及び到達予測時刻等を求める。なお、地震情報算出部11aが用いる算出方法は上記内容に限定されるものではなく、運用の形態や緊急地震速報に含まれるデータ内容に応じて適宜変更可能である。
【0050】
さらに地震情報算出部11aは、到達予測時刻とタイマー(不図示)から通知される現在時刻とから、主要動到達までの予測時間、すなわちユーザが避難活動を行うことができる猶予時間を算出する。算出結果は次の地震情報送信部11b、及びバックライト制御部11cに与えられる。なお地震情報算出部11aは、新たな緊急地震速報を受信するたびに上記算出処理を行う。
【0051】
地震情報送信部11bは、地震情報算出部11aから算出結果を与えられた際に、算出された主要動到達予測時刻、予測震度、及び主要動到達までの予測時間を含む地震情報を、通信制御部15を用いて子機2へ送信する。
【0052】
バックライト制御部11cは、地震情報算出部11aから主要動到達までの予測時間を与えられた際に、発光部20に対して、入力部14が備える操作ボタン群の各バックライトのON/OFFを操作ボタンごとに指示する。これにより操作ボタン群は、電光パネルと同様の手法で、予測時間の値を表示する。
【0053】
またバックライト制御部11cは所定時間ごと、例えば一秒ごとに予測時間の更新を行う。そして更新を行うたびに、更新後の予測時間を表示するためのバックライトのON/OFF制御を、発光部20に対して指示する。なお、入力部14及び発光部20により表示される予測時間の具体例については後述する。
【0054】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。また、主要動到達予測時刻を算出するための緯度・経度情報を記録する役割を持つ。
【0055】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。
【0056】
入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。なお操作ボタンの背後には、後述する発光部20に含まれるLED等の発光部材を含むバックライトを備えている。
【0057】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0058】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0059】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0060】
発光部20は、LED等の発光部材を含む照明装置である。発光部20は例えば、入力部14が含む操作ボタンのバックライトや、着信時に点灯する着信ランプ等の部材を含むように構成されている。また発光部20は、バックライト制御部11cからの指示により、主要動到達までの予測時間に対応する数字を、操作ボタンのバックライトを点灯することにより表示する。なお、予測時間に応じた各ボタンの点灯例については後述する。
〈1−3.子機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22(=記録部)、表示部23、入力部24、通信制御部25(=第二通信手段)、アンテナ装置26(=無線通信部)、音声信号処理部27、スピーカ28、マイク29、発光部30(=発光手段)、及びバッテリ部31を含むように構成されている。
【0061】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震情報取得部21a(=地震情報取得手段)、及びバックライト制御部21b(=予測時間表示手段)を備えている。
【0062】
地震情報取得部21aは、親機1から受信する各種情報の中から、地震情報を抽出する。そして抽出した地震情報に含まれる各値を、バックライト制御部21bに与える。
【0063】
バックライト制御部21bは、地震情報取得部21aから地震情報を与えられた際に、地震情報に含まれる予測時間の値に基づく制御指示を発光部30に与える。指示を受けた発光部30は、入力部24が備える操作ボタン群の各バックライトのON/OFFを、操作ボタンごとに制御する。これにより操作ボタン群は、電光パネルと同様の手法で、予測時間の数値を表示する。
【0064】
またバックライト制御部21bは、所定時間ごと、例えば一秒ごとに予測時間の更新を行う機能を備えている形態であってもよい。この場合、更新を行うたびに、更新後の予測時間を表示するための制御指示を発光部30に与える。
【0065】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0066】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。
【0067】
入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。なお操作ボタンの背後には、後述する発光部30に含まれるLED等の発光部材を含むバックライトを備えている。
【0068】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線通信網42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して、PSTN網63を介した着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0069】
アンテナ装置26〜発光部30については、親機1のアンテナ装置16〜発光部20と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
バッテリ部31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
〈1−4.子機の外部構造について〉
図6は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の外部構造を示す外観図である。図6(a)は子機2を横方向から見た外観図、図6(b)は子機2を正面方向から見た外観図、図6(c)は子機2を下方向から見た外観図である。
【0071】
図6に示すように子機2は、その正面に表示部23、入力部24、アンテナ装置26、スピーカ28、及びマイク29を備えている。また底面部に充電可能なバッテリ部31を備えている。液晶パネルを含む表示部23の下部には、複数の操作ボタン群を備える入力部24が存在する。入力部24は図7に示すように、十字キー部24a及びテンキー部24bに分類される。
【0072】
図7は、入力部24の構成を模式的に表した模式図である。図7(a)は、発光部30によるバックライトの点灯が行われていない状態の入力部24を示している。また図7(b)〜(d)は、バックライト制御部21bからの指示により、主要動到達までの予測時間を示すためのバックライト点灯が行われている状態の入力部24を示している。
【0073】
図7(b)において、テンキー部24bに含まれるボタンのうち黒く塗りつぶされているボタンが、点灯中のボタンを示している。このように所定のボタンを点灯させることで、数字の「3」が示されている。これは、この時点における主要動到達までの予測時間が3秒であることを表している。
【0074】
この状態においてバックライト制御部21bによる予測時間の更新が行われると、図7(c)に示すように、予測時間として数字の「2」が表示される。さらにその一秒後にはまた更新処理が行われ、図7(d)に示すように、予測時間として数字の「1」が表示される。
【0075】
このように、バックライト制御部21bは一秒ごとに図7(b)から図7(d)の状態へ遷移を行うようにバックライト制御を行う。これにより、予測時間のカウントダウン表示を行うことが可能である。なお、親機1が備える入力部14も、図7に示す入力部24と同様の構成をしている。
〈1−5.予測時間通知処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における予測時間通知処理について、図1〜図3のブロック図と、図4及び図5のフロー図と、図7の模式図とを用いながら説明する。
【0076】
図4は、緊急地震速報の受信待機を行っている親機1の処理フローである。図4に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、地震情報算出部11aはステップS110において、通信制御部15によりインターネット62から緊急地震速報を受信したかどうかの判定を行う。
【0077】
緊急地震速報が受信されていないと判定された場合、再びステップS110に移行し、緊急地震速報が検知されるまで監視を継続して行う。緊急地震速報の受信を検知した場合、地震情報算出部11aはステップS120において、緊急地震速報に含まれる電文の解析処理を行う。これにより、電文に含まれる各種パラメータ、例えば予測震度算出用パラメータや、予測時間算出用パラメータが取得される。
【0078】
次に地震情報算出部11aはステップS130において、取得した上記パラメータと、メモリ12に予め記録されている緯度・経度情報とを用いた演算処理を行う。これにより、親機1が設置されている地域における予測震度と、主要動到達予測時刻とが算出される。
【0079】
次に地震情報算出部11aはステップS140において、音声及び画像による地震発生の報知処理を行う。例えば、表示部13を用いて地震発生を示すメッセージや、「震度5強」等の震度を表す文字画像を表示する。また例えば、スピーカ18を用いて地震発生を示す音声メッセージやアラーム音を出力する。具体的には例えば、「ピピピッ。震度5強。15秒前、14秒前、13秒前…」といったカウントダウン情報を含むガイダンス音声を出力する。
【0080】
次に地震情報算出部11aはステップS150において、主要動到達までの予測時間の算出を行う。例えば、時計回路(不図示)から現在時刻を取得し、ステップS130で算出した主要動到達予測時刻との差分を計算することにより、予測時間を算出する。
【0081】
次に地震情報送信部11bはステップS160において、地震情報算出部11aが算出した予測震度、主要動到達予測時刻、及び主要動到達までの予測時間を含む地震情報を、通信制御部15及びアンテナ装置16を用いて、一または複数の子機2へ送信する。そして送信が完了することにより、本処理を終了する。
【0082】
次に、子機2における処理フローを、図5のフロー図を用いながら説明する。図5に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。本処理の開始後、地震情報取得部21aはステップS210において、アンテナ装置26により親機1より地震発生に関する地震情報を受信したかどうかの判定を行う。
【0083】
地震情報が受信されていないと判定された場合、再びステップS210に移行し、地震情報が検知されるまで監視を継続して行う。地震情報の受信を検知した場合、地震情報取得部21aはステップS220において、音声及び画像による地震発生の報知処理を行う。具体的には、表示部23を用いて予測震度を示す文字画像を表示したり、スピーカ28を用いて主要動到達予測時刻を示す音声メッセージやアラーム音を出力したりする。
【0084】
次に地震情報取得部21aはステップS230において、親機1より受信した地震情報の中から、予測震度及び主要動到達までの予測時間の抽出を行う。抽出された予測震度及び予測時間は、バックライト制御部21bに与えられる。
【0085】
次にバックライト制御部21bはステップS240において、地震情報取得部21aより与えられた予測時間の値が一桁、つまり0〜9のいずれかであるかどうかの判定を行う。一桁ではない場合、例えば予測時間が20秒であると判定された場合、後述するステップS270に移行する。
【0086】
ステップS240において予測時間が一桁であると判定された場合、バックライト制御部21bはステップS250において、地震情報取得部21aより与えられた予測震度が予め定められた所定値、例えば震度5を超えるかどうかを判定する。所定値を超えない場合は、ステップS260において、発光部30を用いたバックライトの調光を行う。
【0087】
これにより例えば、予測時間が3秒である場合、図7(b)に示すように、テンキー部24bが数字の「3」を示すように点灯する。なお、予測時間の値に応じてどのバックライトを点灯/消灯するかに関する情報(=発光部材情報)は、バックライト制御部21bのプログラム内部に組み込まれているか、或いはメモリ22等の記録媒体に記録されている。
【0088】
ステップS250において予測震度が所定値を超える場合、ステップS265において、ステップS260で用いられる通常の点灯色とは異なる点灯色により、発光部30を用いたバックライトの調光を行う。例えば通常の点灯色が白色である場合、よりユーザの注意を喚起しやすい赤色に変更して、バックライトの点灯を行う。なお、点灯色が異なることを除けば、ステップS260の調光処理と同様の処理を行う。
【0089】
次にバックライト制御部21bはステップS270において、予め定められた所定時間、例えば一秒が経過した時点で予測時間の更新を行う。なお、時間経過に伴い到達予測時刻を超過した場合、予測時間の値はマイナスになる。次にステップS280において、現在の予測時間が0以上であるかどうかの判定を行う。0以上である場合、再びステップS240に移行する。0未満、つまりマイナスである場合、本処理を終了する。
【0090】
次に、本発明の第二の実施形態ついて、図面を参照しつつ説明する。
[実施の形態2]
〈2−1.電話システムの構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.親機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、地震情報送信部11bの機能が実施の形態1と一部異なる。本実施形態の地震情報送信部11bは、地震情報算出部11aから与えられた主要動到達までの予測時間を、タイマー(不図示)を用いて所定の時間ごと、例えば一秒ごとに更新する。
【0091】
地震情報送信部11bは、予測時間が更新されるたびに、通信制御部15を用いて最新の予測時間を子機2へ送信する。ただし地震情報算出部11aにより新たな予測時間が算出された場合は、新しい予測時間に基づいて予想時間の更新処理を行う。この際、古い予測時間に関するデータは破棄される。また、新たな予想時間が算出されたことを示す信号を子機2へ送信することにより、予測時間の変更があったことをユーザに通知する形態であってもよい。
〈2−3.子機の内部構成について〉
構成部材は実施の形態1と同内容であるが、バックライト制御部21bの機能が実施の形態1と一部異なる。本実施形態のバックライト制御部21bは、実施の形態1とは異なり、所定時間ごとに予測時間の更新を行わない。従って、地震情報取得部21aから予測時間を与えられるたびに、発光部30に対して、テンキー部24bのバックライトのON/OFF制御を指示する。このため、実施の形態1と比較して、子機2における処理を簡略化することができる。
〈2−4.子機の外部構造について〉
実施の形態1と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−5.予測時間通知処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態における親機1及び子機2を用いた、緊急地震速報受信時における予測時間通知処理について、図1〜図3のブロック図と、図8及び図9のフロー図と、図7の模式図とを用いながら説明する。なお、実施の形態1と同内容の処理については、同じステップ番号を付加することにより説明を省略する。
【0092】
図8は、緊急地震速報に備えた親機1の処理フローである。図8に示す処理フローは、親機1の電源が起動し、且つインターネット62との通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。なお、ステップS110〜ステップS160ついては、実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0093】
ステップS160において子機2へ地震情報を送信した後、バックライト制御部11cはステップS165において、与えられた予測時間の値が一桁、つまり0〜9のいずれかであるかどうかの判定を行う。一桁ではない場合、後述するステップS185に移行する。
【0094】
ステップS165において予測時間が一桁であると判定された場合、バックライト制御部11cはステップS170において、与えられた予測震度が予め定められた所定値、例えば震度5を超えるかどうかを判定する。所定値を超えない場合は、ステップS175において、発光部20を用いたバックライトの調光を行う。
【0095】
これにより例えば、予測時間が3秒である場合、図7(b)に示す子機の入力部24と同様に、テンキー部14bが数字の「3」を示すように点灯する。なお、予測時間の値に応じてどのバックライトを点灯/消灯するかに関する情報(=発光部材情報)は、バックライト制御部11cのプログラム内部に組み込まれているか、或いはメモリ12等の記録媒体に記録されている。
【0096】
ステップS170において予測震度が所定値を超える場合、ステップS180において、ステップS175で用いられる通常の点灯色とは異なる点灯色により、発光部20を用いたバックライトの調光を行う。例えば通常の点灯色が白色である場合、よりユーザの注意を喚起しやすい赤色に変更して、バックライトの点灯を行う。なお、点灯色が異なることを除けば、ステップS175の調光処理と同様の処理を行う。
【0097】
次にバックライト制御部11cはステップS185において、予め定められた所定時間が経過した時点で、予測時間の更新を行う。例えば一秒が経過するたびに、予測時間を一秒減らす更新を行う。なお、現在時刻が到達予測時刻を超過した場合、予測時間の値はマイナスになる。そしてステップS190において、現在の予測時間が0以上であるかどうかの判定を行う。0以上である場合、再びステップS160に移行する。0未満、つまりマイナスである場合、本処理を終了する。
【0098】
次に、子機2における処理フローを、図9のフロー図を用いながら説明する。図9に示す処理フローは、子機2が待機状態であり、且つ親機1との無線通信が可能な状態において任意のタイミングで開始可能である。図9に示すように、本実施形態の処理フローは、図5に示す実施の形態1の処理フローのうち、ステップS210〜ステップS260のみを抜き出した内容となっている。
【0099】
従って、バックライト制御部21bがステップS240において、予測時間の値が一桁であるかどうかの判定を行った結果、一桁ではない場合は本処理を終了する。一桁であった場合、ステップS260、或いはステップS265において発光部30によるバックライトの調光を行った後、本処理を終了する。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0100】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0101】
(A)本実施形態では、親機1が緊急地震速報を受信するための通信回線として、有線LAN41、及びインターネット62を使用しているが、これ以外の通信網、例えば専用回線やケーブルテレビ回線から緊急地震速報を受信する形態であってもよい。また、地上デジタル放送やBSデジタル放送のような、放送波から緊急地震速報を取得する形態であってもよい。
【0102】
(B)本実施形態では、予測時間通知処理に関わる各機能部が親機1及び子機2内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの機能部の一部が電話網やLAN等のネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、地震情報算出部11aが予測時間を算出するための緯度・経度情報が、ネットワーク上に存在する情報処理装置(ネットワークサーバ等)に記録されている形態であってもよい。これにより例えば、通信装置の設置場所が変更された場合に、複数の通信装置の緯度・経度情報を一括して変更することが可能である。
【0103】
(C)本実施形態では、本発明の緊急地震速報通知機能を備えた通信装置として、親機1及び子機2を含むコードレス電話機を例にあげているが、広域通信網に接続して緊急地震速報を受信可能な通信装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、無線ファクシミリ装置、無線LAN接続機能付き携帯電話、子機を備えたインターネット電話、IP通信が可能な子機を備えたIP電話装置、通信機能を備えたPDAやノートパソコン等の情報処理装置において実施する形態であってもよい。
【0104】
(D)本実施形態では、本発明の予測時間通知処理に関わる親機1及び子機2の各種機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0105】
(E)本実施形態では、本発明の予測時間通知処理に関わる子機として無線通信機能を備えた子機2を例に説明しているが、無線通信機能を持たない有線通信のみ可能な子機において、本発明の予測時間通知処理を行う形態であってもよい。
【0106】
(F)本実施形態では、予測震度が震度5を超える場合に点灯色の変更を行っているが、予め震度を複数のカテゴリに分類しておき、カテゴリに応じて点灯色を変更する形態であってもよい。例えば震度1〜震度3の場合は緑色、震度4〜震度5の場合はオレンジ色、震度6以上の場合は赤色というように、点灯色を変化させる。これにより、予測震度をより細かく示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】は、本発明の電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の第一の実施形態に係る親機側の予測時間通知処理の処理フローを示すフロー図である。
【図5】は、本発明の第一の実施形態に係る子機側の予測時間通知処理の処理フローを示すフロー図である。
【図6】は、本発明の通信装置の子機の外観を示す外観図である。
【図7】は、本発明の通信装置の子機の入力部を示す模式図である。
【図8】は、本発明の第二の実施形態に係る親機側の予測時間通知処理の処理フローを示すフロー図である。
【図9】は、本発明の第二の実施形態に係る子機側の予測時間通知処理の処理フローを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0108】
1 親機(主通信装置)
11a 地震情報算出部(地震情報算出手段)
11b 地震情報送信部(地震情報送信手段)
11c バックライト制御部(予測時間表示手段)
12 メモリ(記録部)
14 入力部
15 通信制御部(第一通信手段)
16 アンテナ装置(無線通信部)
20 発光部(発光手段)
2 子機(副通信装置)
21a 地震情報取得部(地震情報取得手段)
21b バックライト制御部(予測時間表示手段)
22 メモリ(記録部)
24 入力部
25 通信制御部(第二通信手段)
26 アンテナ装置(無線通信部)
30 発光部(発光手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続可能な第一通信手段と、前記第一通信手段を用いて通信網より緊急地震速報を受信して主要動到達までの予測時間及び予測震度を算出する地震情報算出手段と、操作ボタン群を含む入力部と、前記操作ボタン群の背後に配設された発光部材を含む発光手段とを備えた通信装置において、
前記予測時間の値に応じて前記発光部材の点灯/消灯を行うように前記発光手段を制御する予測時間表示手段を備えていること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記発光手段を用いて0から9の数字を表示するために点灯/消灯すべき発光部材を示した発光部材情報を記録した記録部を備え、
前記予測時間表示手段が、前記予測時間に応じて点灯/消灯を行う発光部材を前記発光部材情報を用いて判定して前記発光手段を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第一通信手段と、前記地震情報算出手段と、前記入力部と、前記発光手段と、前記予測時間表示手段と、前記地震情報算出手段により算出された主要動到達までの予測時間及び予測震度を含む地震情報を前記第一通信手段を用いて送信する地震情報送信手段とを備えた主通信装置と、
前記主通信装置と通信可能な第二通信手段と、前記第二通信手段を用いて受信する情報から前記地震情報を取得する地震情報取得手段と、前記入力部と、前記発光手段と、前記予測時間表示手段とを備えた副通信装置と、
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第一通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震情報送信手段が、前記第一通信手段が備える無線通信部を用いて前記地震情報を前記副通信装置へ送信し、
前記第二通信手段が、無線通信網に接続可能な無線通信部を備え、
前記地震情報取得手段が、前記第二通信手段が備える無線通信部を用いて受信する情報から前記地震情報を取得すること
を特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記予測時間表示手段が、時間の経過に応じて前記予測時間の更新を行うとともに、更新の実施ごとに、更新後の予測時間を示す数字を前記発光部材を用いて表示するように前記発光手段を制御すること
を特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記地震情報送信手段が、時間の経過に応じて前記予測時間の更新を行うとともに、更新の実施ごとに、更新後の予測時間を前記第一通信手段を用いて前記副通信装置へ送信すること
を特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記予測時間表示手段が、前記地震情報に含まれる予測震度の値に応じて発光部材の点灯色を変更するように、前記発光手段を制御すること
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−77258(P2009−77258A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245574(P2007−245574)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】