説明

通信装置

【課題】規格等で定められた通信路の伝送レートを変更することなくデータの伝送能力を向上できる通信装置を提供する。
【解決手段】ソース側の通信装置において一のデータストリームが複数のデータストリームに分割され、分割されたデータストリームがそれぞれ別のチャンネルで伝送され、シンク側の通信装置において各チャンネルのデータストリームが1本に結合される。これにより、1つのチャンネルのみでデータストリームが伝送される従来の方式に比べて、全体の伝送能力を高めることができる。例えば、一のデータストリームをN本のデータストリームに分割してNチャンネルで伝送する場合、各チャンネルの帯域を広げることなく、データストリームの伝送レートを標準のN倍にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイソクロナス転送等の方式により所定の伝送レートでデータを伝送する通信装置に係り、特に、規格等で定められた通信路の伝送レートを変更することなくデータの伝送能力を向上できる通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバによる高速なインターネット接続環境の整備や、地上デジタルテレビジョン放送の開始など、デジタル・コンテンツの流通拡大に向けた動きが加速している。デジタル・コンテンツは、流通過程で劣化を生じないという優れたメリットがある一方で、不正なコピーや配信により著作権を侵害され易いため、その保護が課題となっている。
【0003】
家庭内などの機器ネットワークにおけるデジタル・コンテンツの著作権保護に関する規格として、DTCP(digital transmission content protection)が知られている(非特許文献1を参照)。DTCPは、接続機器の認証と暗号鍵の交換、コピー制御に関わる情報の設定、デジタル・コンテンツの暗号化、不正な機器の排除などに関する仕組みを規定しており、IEEE1394やUSB(universal
serial bus)などの各種の通信規格に対応している。
【0004】
IEEE1394は、高速なシリアルバス規格としてビデオカメラやパーソナルコンピュータなどの各種電子機器に広く採用されている。IEEE1394は、所望の帯域を確保できるアイソクロナス転送モードを備えており、各種のAV(audio and visual)データを扱うための上位プロトコルが定義されていることから、AVデータのリアルタイム転送に適した規格となっている。
IEC61883は、IEEE1394のアイソクロナス転送を利用する上位プロトコルの一つであり、データストリームのフォーマットや、アイソクロナス転送のコネクション形成手順、機器間で制御コマンドを交換する手順などを規定している。
AV/C(Audio/video control)は、IEEE1394に関する業界団体であるIEEE1394TA(IEEE1394
Trade Association)において認められたAV機器の制御と探索のための方法であり、IEC61883に準拠したCTS(command
transaction sets)を規定している。
【0005】
IEEE1394プロトコルスタックに適用されたDTCPにおいては、認証と鍵交換の仕組みが上述したAV/Cのセキュリティコマンドによって実現されており、また、コンテンツの暗号化と必要なコピー制御情報等の伝送に関わる仕組みがIEC61883に準拠する形で実現されている。
【非特許文献1】斉藤健,磯崎宏、「家庭ネットワークにおける著作権保護」、東芝レビュー、株式会社 東芝、2003年、58巻、6号、p.12−15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MPEG動画データ等のデジタル・コンテンツをIEEE1394にて転送する場合、上述したDTCPに従った著作権保護を行い、アイソクロナス・ストリームによって転送するのが一般的である。
以下、IEEE1394バスによってテレビジョン装置から録画再生装置へ放送コンテンツを転送する場合の一般な構成例について、図20,図21を参照して説明する。
【0007】
図20は、IEEE1394の通信ポートを備えたテレビジョン装置の一例を示す図であり、受信した放送プログラムをIEEE1394のシリアルバスへ送信する部分の一般的な構成を示す。
デジタル衛星放送等の放送波がアンテナ501において受信され、選局部502に入力される。選局部502では、受信された放送波から目的の放送プログラムが選局され、そのMPEGトランスポートストリーム(以下、「TS」と記す場合がある)が抽出される。抽出されたTSは受信制御部503に入力される。受信制御部503では、ユーザのコンテンツ転送命令に応じて、TSのコンテンツ情報の置き換えやSI(service information)の修正などのパーシャル化処理が行われる。パーシャル化されたTSは一旦バッファに蓄えられ、タイミングを計りながらパラレルデータ若しくはシリアルデータとしてIEEE1394デバイス504に入力される。TSのパーシャル化処理はIEEE1394デバイス504において行われる場合もある。
【0008】
IEEE1394デバイス504には、HSDI(High Speed Data
Interface)と呼ばれるアイソクロナス転送専用の通信ポート505が設けられている。
受信制御部503から通信ポート505に入力されたTSは、暗号処理モジュール506において、M6と呼ばれるDTCPに準拠したブロック暗号方式により暗号化される。暗号化されたデータストリームは、一旦FIFOメモリ507に格納される。
IEEE1394のアイソクロナス転送モードでは、125μ秒毎にアイソクロナス・パケットの送信が許されている。FIFOメモリ507に格納されたデータストリームは、この125μ秒毎にFIFOメモリ507から読み出されて、パケッタイザ508によりパケット化される。パケッタイザ508においては、アイソクロナス転送に関わる情報(CIP:common isochronous packet)や、通信ポート505への入力時刻に関するタイムスタンプ情報(SPH:source
packet header)が付加される。パケッタイザ508において生成されたパケットは、更にリンクレイヤ部509において所定のヘッダ(アイソクロナス・ヘッダ)と誤り検出符号(ヘッダCRC、データCRC)を付加され、IEEE1394のアイソクロナス・パケットとして物理レイヤ部510からIEEE1394バスに出力される。
【0009】
図21は、IEEE1394の通信ポートを備えた録画再生装置の一例を示す図であり、IEEE1394バスを介してデータストリームを受信する部分の一般的な構成を示す。
テレビジョン装置からの伝送信号がIEEE1394のシリアルバスを介してIEEE1394デバイス601の物理レイヤ部602に受信されると、その伝送信号からアイソクロナス・パケットが抽出されてリンクレイヤ部603に入力される。リンクレイヤ部603では、アイソクロナス・パケットのヘッダCRCとデータCRCがチェックされ、問題がなければそれらのCRCが削除されるとともにアイソクロナス・パケットのヘッダが削除される。リンクレイヤ部603で処理されたパケットは、パケッタイザ605において更にCIP情報とSPH情報を検査され、問題がなければそれらの情報を削除されて、MPEGトランスポートストリームに再構成される。ただしSPH情報は、対応するパケットが通信ポート607より出力されるまで保持される。再構成されたMPEGトランスポートストリームは、FIFO605を介して暗号処理モジュール606に入力され、事前に取得された鍵により復号化される。復号化されたMPEGトランスポートストリームは、元のMPEGトランスポートストリームS53における相対的なパケット間隔が再現されるように、SPH(タイムスタンプ情報)に基づいて各パケットの出力タイミングを調節しながら通信ポート607より出力される。
【0010】
IEEE1394デバイス601から出力されたMPEGトランスポートストリームS62は、データ処理部608において誤り訂正符号などの情報を付加され、一旦バッファリングされた後、記録装置609の記録媒体(ハードディスク、光ディスク等)に記録される。また、これと並行して、データ処理部608においてはMPEG復号化や復調処理などの画像信号処理によってMPEGトランスポートストリームからビデオ信号が生成され、このビデオ信号がビデオ出力端子610を介してテレビジョン装置611に供給されて、放送コンテンツの画像や音声が再生される。
【0011】
図22は、上述したテレビジョン装置から記録再生装置へ転送されるMPEGトランスポートストリームについて説明するためのタイミングチャートである。
図22(A)はテレビジョン装置に受信される放送波を示しており、「A1,A2…」、「B1,B2,…」、「C1,C2,…」、「D1,D2,…」はそれぞれ異なる放送プログラムのMPEGトランスポートストリームを示す。放送波を受信した選局部502において、例えば「A1,A2…」が選局される(図22(B))。選局されたMPEGトランスポートストリーム「A1,A2…」は、受信制御部503により適当なタイミングを図った上でIEEE1394デバイス504に入力される(図22(C))。IEEE1394デバイス504に入力されたMPEGトランスポートストリームは、通信ポート505においてタイムスタンプ情報(SPH)を付加され(図22(D))、暗号処理モジュール506により暗号化され、FIFOメモリ507に一旦格納される。その後、MPEGトランスポートストリームは、パケッタイザ508にてCIPを付けてパケット化され、リンクレイヤ部510において所定のヘッダと誤り検出符号を更に付加され、アイソクロナス・ストリームとしてIEEE1394バスに出力される(図22(E))。IEEE1394バスでは、125μ秒ごとにサイクルスタート・パケットCSP(Cycle Start Packet)が発生しており、アイソクロナス・パケットはこのパケットのタイミングに同期してバスに出力される。シンク側の記録再生装置では、IEEE1394バスを介して伝送されるアイソクロナス・ストリームに対して上記と逆の受信処理を施すことにより、元のMPEGトランスポートストリームが再構成される(図22(F))。
【0012】
次に、ソース側の記録再生装置からシンク側の記録再生装置へコンテンツをダビングする場合について、図23,図24を参照して説明する。図23は、ソース側の記録再生装置の構成例を示す図である。図24は、図23に示す記録再生装置から伝送されるMPEGトランスポートストリームについて説明するためのタイミングチャートである。
【0013】
この場合、ソース側の記録再生装置では、記録装置505に記録されたMPEGトランスポートストリーム(図24(A))が通常再生の際の標準速度で読み出される。例えばHD画質のMPEGトランスポートストリームの場合、約20Mbpsのビットレートで読み出される。MPEGトランスポートストリームの各パケットの間隔は、この標準速度に合うように、読み出し制御部506において適切に調節される(図24(B))。記録装置505から読み出されたMPEGトランスポートストリームS56は、図20に示すテレビジョン装置と同様にIEEE1394デバイス504においてアイソクロナス・ストリームに変換され、シンク側の記録再生装置に伝送される(図24(C)〜(E))。
【0014】
テレビジョン装置において受信した放送コンテンツを録画再生装置に転送する場合、放送コンテンツの受信レートが固定されているため、伝送レートもこれと同じ速度に設定される。また、ソース側の機器が比較的低速なテープ機器などの場合も、伝送レートは標準速度に設定される。
ところが、シンク側とソース側の機器が共に高速な読み書きを行える装置(ハードディスク装置、DVD装置、ブルーレイ・ディスク(登録商標)装置など)であっても、DTCPに準拠したIEEE1394のアイソクロナス転送を使用する限り、従来は標準速度で転送を行っている。すなわち、N倍速の再生・録画といった高速な読み書き能力を備えているにもかかわらず、DTCPに準拠したIEEE1394のアイソクロナス転送を行うために標準速度で転送を行わなければならないので、記録装置の能力が無駄になってしまう。例えば、3時間のコンテンツを録画再生装置間でダビングするのに3時間を要することになり、利便性に欠ける。近年、IEEE1394で伝送されるコンテンツの著作権保護に関してはDTCPがデファクトスタンダードとなっているため、上述したダビング速度の問題を回避できなくなっている。
【0015】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、規格等で定められた通信路の伝送レートを変更することなくデータの伝送能力を向上できる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の観点に係る通信装置は、供給される若しくは記録媒体に記録される一のデータストリームをN本(Nは1より大きい整数を示す)のデータストリームに分割する分割部と、通信相手との間でN本の通信路を確立する制御部と、上記N本のデータストリームを上記N本の通信路によりそれぞれ所定の伝送レートで上記通信相手へ送信する通信部とを有する。
上記第1の観点に係る通信装置によれば、一のデータストリームを通信相手へ送信するためにN本の通信路が使用されるため、一の通信路のみを使用する場合に比べてデータの伝送能力が向上する。
【0017】
好適に、上記制御部は、通信相手に対して、一のデータストリームをN本の通信路により送信可能である旨を通知し、当該通知に応じて当該通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により受信可能である旨の応答を受けると、N又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定してよい。
また好適に、上記制御部は、通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により受信可能である旨を通知を受けると、N又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定し、当該決定の内容を当該通信相手に通知してよい。
上記の構成によれば、通信相手との間で一のデータストリームの転送に使用可能な通信路の数を確認し合うことにより、通信仕様が様々に異なる通信相手とも確実に通信を行うことが可能になる。
【0018】
また、上記分割部は、上記一のデータストリームの異なる部分から並行に若しくは時分割で上記N本のデータストリームを抽出してよい。
例えば、上記分割部は、供給される上記一のデータストリームの異なる部分から時分割で部分データストリームをそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶した部分データストリームを並行に若しくは時分割でそれぞれ出力するN個の記憶部を有してよい。
また、上記分割部は、記録媒体に記録される上記一のデータストリームの異なる部分から並行に若しくは時分割で上記N本のデータデータストリームを読み出す読み出し部を有してよい。
【0019】
本発明の第2の観点に係る通信装置は、通信相手との間でL本(Lは1より大きい整数を示す)の通信路を確立する制御部と、それぞれ所定の伝送レートで上記通信相手から送信されたL本のデータストリームを上記L本の通信路により受信する通信部と、上記L本のデータストリームを結合して一のデータストリームを再構成する結合部とを有する。
上記第2の観点に係る通信装置によれば、一のデータストリームを通信相手から受信するためにL本の通信路が使用されるため、一の通信路のみを使用する場合に比べてデータの伝送能力が向上する。
【0020】
好適に、上記制御部は、通信相手に対して、一のデータストリームをL本の通信路により受信可能である旨を通知し、当該通知に応じて当該通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により送信可能である旨の応答を受けると、L又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定してよい。
また好適に、上記制御部は、通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により送信可能である旨の通知を受けると、L又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定し、当該決定の内容を当該通信相手に通知してよい。
上記の構成によれば、通信相手との間で一のデータストリームの転送に使用可能な通信路の数を確認し合うことにより、通信仕様が様々に異なる通信相手とも確実に通信を行うことが可能になる。
【0021】
また、上記結合部は、上記通信部において受信される上記L本のデータストリームをそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶したデータストリームを時分割で共通のデータラインに出力するL個の記憶部を有してよい。
あるいは、上記結合部は、上記通信部において受信される上記L本のデータストリームをそれぞれ一のデータストリームの異なる部分として並行に若しくは時分割で記録媒体に書き込む書き込み部を有してよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一のデータストリームの転送に使用するチャンネル数を増やすことにより、規格等で定められた通信路の伝送レートを変更することなくデータの伝送能力を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る通信装置では、ソース側(送信側)において一のデータストリームから複数のデータストリームが分割され、当該分割されたデータストリームがそれぞれ独立した通信路により所定の伝送レートでシンク側(受信側)に転送される。シンク側においては、転送された複数のデータストリームから一のデータストリームが再構成される。この動作は、例えば図1に示すように、複数組の仮想的な再生ヘッドと記録ヘッドのペアをそれぞれ独立の通信路により結合する通信モデルを用いて説明できる。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置の動作を説明するための概念図を示す。
図1の例において、ソース側の通信装置は仮想的なAVトラック1と、このAVトラック1を走査してAVデータを読み出す2つの仮想的な再生ヘッド4,5を有する。シンク側の通信装置は、仮想的なAVトラック2と、このAVトラック2を走査してAVデータを書き込む2つの仮想的な記録ヘッド6,7を有する。AVトラック1,2は、例えばハードディスク等の記録媒体に記録されるデータストリームや、他の装置より供給されるデータストリームを表す。2つの通信装置は、例えばIEEE1394等の通信手段3によってAVデータストリームを伝送する。通信手段3は、2つの独立したチャンネル8,9を備えており、チャンネル8は再生ヘッド4と録画ヘッド6を結合し、チャンネル9は再生ヘッド5と録画ヘッド7を結合する。
再生ヘッド4及び5は、AVトラック1の異なる部分を走査する。記録ヘッド6,7は、それぞれ再生ヘッド4,5に連動してAVトラック2を走査する。2つのチャンネル8,9が標準の伝送レートによりAVデータを転送すれば、全体として標準の2倍の伝送レートによりAVデータを転送することができる。
【0025】
図1に示す通信モデルは、例えばIEEE1394とその上位プロトコルに準拠した通信を行う機器へ容易に適用可能である。
IEEE1394のAV/Cでは、ハードディスク等のディスク機器におけるAVデータの転送に関して、「ディスク・サブユニット」と呼ばれる仮想的なAV機器のプロトコルを規定している。ディスク・サブユニットは、仮想的なヘッドによりディスク上のトラックを走査することでAVデータの読み書きを行うAV機器のモデルを提示する。ディスク・サブユニットは、例えば、ヘッドの位置をジャンプさせることによってランダムアクセスが可能であり、また、記録と再生を並行して行えるようにするため記録ヘッドと再生ヘッドを別々にコントロールできる。ディスク・サブユニット同士でデータを転送する場合には、ソース側ディスク・サブユニットの再生ヘッドによって再生されたAVデータストリームを、シンク側ディスク・サブユニットの記録ヘッドによって記録すればよい。
一方、IEC61883では、IEEE1394においてデータストリームをアイソクロナス転送する際のプラグ・コネクションの確立手順を規定している。すなわち、アイソクロナス転送を行う各機器のノードに仮想的なプラグを定義し、ソース側機器のプラグとシンク側機器のプラグとを論理的なチャンネルによって接続する。チャンネルにおいては一定の帯域が保証されるので、チャンネルを占有するようにデータストリームを伝送することにより、データストリームの伝送レートを所望の帯域に管理できる。ソース側機器とシンク側機器において張られるチャンネルの数は、それぞれのプラグ数に応じて任意に設定可能である。
したがって、図1に示す通信モデルは、例えばAV/Cのディスク・サブユニットに従ってソース側機器に複数の再生ヘッドを定義するとともにシンク側機器に複数の記録ヘッドを定義し、これらの仮想ヘッドの間をIEC61883に従って複数のチャンネルで結合することにより実現可能である。この場合、IEEE1394によりアイソクロナス転送されるデータストリームには、DTCPに準拠した著作権保護を施すことが可能である。
【0026】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。
図2に示す通信装置100は、記録装置101と、読み出し制御部102と、FIFOメモリ103,104と、通信処理部105と、システム制御部116とを有する。
読み出し制御部102及びFIFOメモリ103,104を含むユニットは、本発明における分割部の一実施形態である。
FIFOメモリ103,104は、本発明におけるN個の記憶部の一実施形態である。
システム制御部は、本発明における制御部の一実施形態である。
通信処理部105は、本発明における通信部の一実施形態である。
【0027】
記録装置101は、例えばハードディスク装置や光ディスク装置など、記録媒体にアクセスしてデータの読み出しや書き込みを行う装置であり、少なくともデータの読み出しが可能である。
【0028】
読み出し制御部102は、記録装置101からデータを読み出す速度や、読み出したデータをFIFOメモリ103,104へ出力するタイミングなど、記録装置101におけるデータの読み出しに関する制御を行う。
例えば、読み出し制御部102は、記録装置101に記録されているMPEGトランスポートストリーム(TS)をその標準の再生速度に対して2倍の速度で読み出し、読み出したTSを時分割で2つのFIFOメモリ103,104に振り分ける。すなわち、FIFOメモリ103とFIFOメモリ104を交互に選択し、選択した方のメモリにデータを出力する。このとき、2つのFIFOメモリ103,104へほぼ等分にパケットを振り分ける。
【0029】
また、読み出し制御部102は、通信処理部105における送信可能な伝送レートに合わせて、記録装置101からの読み出し速度を設定することも可能である。例えば、通信処理部105における1チャンネル当たりのTSの伝送レートが最大60Mbpsである場合、読み出し制御部102は、記録装置101から120MbpsでTSを読み出し、これを2つのFIFOメモリ103,104へ等分に振り分ける。これにより、FIFOメモリ103,104を介して通信処理部105に入力されるTSの伝送レートはそれぞれ平均的に60Mbps程度となり、2つのチャンネルにおいてそれぞれ最大の伝送レートでの送信が可能となる。
【0030】
FIFOメモリ103,104は、読み出し制御部102において振り分けられたデータストリームを入力して一時的に記憶する。すなわち、FIFOメモリ103,104は、読み出し制御部102から出力されるデータストリームS11の異なる部分から時分割で部分データストリームをそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶した部分データストリームを並行に若しくは時分割でそれぞれ通信処理部105に出力する。
【0031】
通信処理部105は、FIFOメモリ103,104から入力したデータストリームを2つのチャンネルにより所定の伝送レートで通信相手へ送信する。通信処理部105は、例えばDTCPによる著作権保護に対応したIEEE1394の通信デバイスであり、入力した2本のデータストリームをそれぞれ暗号化し、IEEE1394のアイソクロナス・パケットを形成してバスに送出する。
【0032】
通信処理部105は、例えば図2に示すように、入力ポート部106,107と、暗号処理部108,109と、FIFOメモリ110,111と、パケッタイザ112,113と、リンクレイヤ部114と、物理レイヤ部115とを有する。
【0033】
入力ポート部106,107は、例えばHSDIなどの高速なインターフェイス回路を備えており、パラレルデータまたはシリアルデータとしてFIFOメモリ103,104からデータを入力する。また、入力ポート部106,107は、データの正確な入力タイミングを計測してそのタイムスタンプ・データを取得し、このタイムスタンプ・データを含んだSPH(source packet header)を1TSパケット(トランスポートストリーム・パケット)ごとに作成する。
入力ポート部106はFIFOメモリ103からデータストリームS12を入力し、入力ポート部107はFIFOメモリ104からデータストリームS13を入力する。
【0034】
暗号処理部108,109は、データストリームの暗号化を行う回路であり、例えばDTCPの規定に従った方式(M6)によりデータストリームを暗号化する。暗号処理部108,109は、SPH等の付属情報を除いたデータ本体を暗号化する。
暗号処理部108は入力ポート部106からデータストリームを入力し、暗号処理部109は入力ポート部107からデータストリームを入力する。
【0035】
FIFOメモリ110,111は、後段のパケッタイザ112,113における周期的なパケット化処理のタイミングを確保するために、暗号処理部108,109において暗号化されたデータストリームを一時的に記憶する。
FIFOメモリ110は暗号処理部108からデータストリームを入力し、FIFOメモリ111は暗号処理部109からデータストリームを入力する。
【0036】
パケッタイザ112,113は、アイソクロナス転送を実現するため、一定周期ごとに送信パケットを生成する。例えばパケッタイザ112,113は、IEEE1394のアイソクロナス転送において規定されている125μ秒の周期でFIFOメモリ110,111からデータを取得し、パケットを生成する。パケットには、AV/Cにおいて規定されたCIP(common isochronous packet)情報が付加され、必要に応じてSPH(source packet header)が付加される。SPHは、入力ポート部106,107において取得されたタイムスタンプ・データに基づいて生成される。
パケッタイザ112はFIFOメモリ110からデータを取得し、パケッタイザ113はFIFOメモリ111からデータを取得する。
【0037】
リンクレイヤ部114は、パケッタイザ112,113において生成されたパケットに対して更に必要な情報を追加して、アイソクロナス転送用のパケット(アイソクロナス・パケット)を生成する。例えばリンクレイヤ部114は、IEEE1394において規定されたアイソクロナス・パケットのヘッダや、このヘッダの誤り検出を行うためのCRC符号(ヘッダCRC)、アイソクロナス・パケットのデータ領域の誤り検出を行うためのCRC符号(データCRC)などを付加する。
また、リンクレイヤ部114は、例えばAV/Cの制御コマンドなど、IEEE1394のアシンクロナス転送モードを利用して送信されるデータについてのパケット(アシンクロナス・パケット)も生成する。制御コマンドのアシンクロナス・パケットは、例えばシステム制御部116の指示に応じて生成する。
【0038】
物理レイヤ部115は、リンクレイヤ部114において生成されるパケットを、IEEE1394等の通信規格に適合する伝送信号S16に変換してバスに出力する。また物理レイヤ部115は、例えばIEEE1394において規定される物理レイヤの処理として、バス使用権限の調停(アービトレーション)や、バスの初期化、ノードIDの割り当てなどを行う。
以上が、通信処理部105の説明である。
【0039】
システム制御部116は、通信装置100における全体的な動作を制御するためのユニットであり、例えばIEEE1394の上位プロトコル(AV/C,IEEE61883DTCP)に関わる処理として、接続する機器の認証や暗号鍵の交換、アイソクロナス転送のチャンネル数の決定、プラグ・コネクションの確立などを行う。
【0040】
次に、シンク側の通信装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。
図3に示す通信装置200は、通信処理部201と、FIFOメモリ212,213と、書き込み制御部214と、記録装置215と、システム制御部216とを有する。
システム制御部216は、本発明における制御部の一実施形態である。
通信処理部201は、本発明における通信部の一実施形態である。
書き込み制御部214及びFIFOメモリ212,213を含むユニットは、本発明における結合部の一実施形態である。
FIFOメモリ212,213は、本発明におけるL個の記憶部の一実施形態である。
【0041】
通信処理部201は、通信相手の機器(例えば図1に示す通信装置100)から所定の伝送レートで送出される2本のデータストリームを2つのチャンネルにより受信する。通信処理部201は、例えばDTCPによる著作権保護に対応したIEEE1394の通信デバイスであり、2つのチャンネルによって送信されるIEEE1394のアイソクロナス・パケットを処理し、暗号化されたデータストリームを復号化し、2本のデータストリームS22,S23を再生する。
【0042】
通信処理部201は、例えば図3に示すように、物理レイヤ部202と、リンクレイヤ部203と、パケッタイザ204,205と、FIFOメモリ206,207と、暗号処理部208,209と、出力ポート部210,211とを有する。
【0043】
物理レイヤ部202は、IEEE1394バスを介して伝送される信号S21のアイソクロナス・パケットやアシンクロナス・パケットなどを受信する。また物理レイヤ部202は、例えばIEEE1394において規定される物理レイヤの処理として、バス使用権限の調停や、バスの初期化、ノードIDの割り当てなどを行う。
【0044】
リンクレイヤ部203は、物理レイヤ部202において受信されたアイソクロナス・パケットの誤り検査符号(ヘッダCRC、データCRC)をチェックし、問題がなければこれらの検査符号やヘッダ(アイソクロナス・パケットのヘッダ)を受信パケットから削除して、パケッタイザ204,205に出力する。またリンクレイヤ部203は、アシンクロナス転送されるAV/Cの制御コマンド等についても誤り検出等の処理を施し、不要な情報を削除してシステム制御部216に出力する。
【0045】
パケッタイザ204,205は、リンクレイヤ部203において処理された受信パケットを検査・処理し、不要な情報を削除して、FIFOメモリ206,207に出力する。例えばパケッタイザ204,205は、IEEE1394のアイソクロナス転送モードにより受信されたパケットに付属する情報(CIP,SPH)をチェックし、問題がなければ不要な情報を受信パケットから削除して、FIFOメモリ206,207に出力する。なお、SPHのタイムスタンプ情報は、これに対応するデータが出力ポート部210,211より出力されるまで保持される。
【0046】
FIFOメモリ206,207は、パケッタイザ204,205から入力されるデータを一時的に記憶し、暗号処理部208,209へ出力する。FIFOメモリ206,207は、前段のパケッタイザ204,205からデータが出力されるタイミングと、後段の暗号処理部208,209においてデータが処理されるタイミングとの違いを調節する。
FIFOメモリ206はパケッタイザ204からデータストリームを入力し、FIFOメモリ207はパケッタイザ205からデータストリームを入力する。
【0047】
暗号処理部208,209は、暗号化されたデータストリームの復号化を行う回路であり、例えばDTCPの規定に従った方式(M6)によりデータストリームを復号化する。暗号処理部208,209は、SPH等の付属情報を除いたデータ本体を復号化する。
暗号処理部208はFIFOメモリ206からデータストリームを入力し、暗号処理部209はFIFOメモリ207からデータストリームを入力する。
【0048】
出力ポート部210,211は、例えばHSDIなどの高速なインターフェイス回路を備えており、暗号処理部208,209において復号化された2本のデータストリームをパラレルデータまたはシリアルデータとしてFIFOメモリ212,213に出力する。このとき、出力ポート部210,211は、データストリームS22,S23の出力タイミングをSPHのタイムスタンプ・データに応じて調節する。このタイミング調節により、出力ポート部210,211から出力されるデータストリームS22,S23の相対的タイミングは、ソース側の通信装置100において入力ポート部106,107に入力されるデータストリームS12,S13の相対的タイミングとほぼ等しくなる。
出力ポート部210は暗号処理部208からデータストリームを入力し、出力ポート部211は暗号処理部209からデータストリームを入力する。
以上が、通信処理部201の構成要素の説明である。
【0049】
FIFOメモリ212,213は、通信処理部201から出力される2本のデータストリームS22,S23をそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶したデータストリームを時分割で共通のデータラインに出力する。2本のデータストリームS22,S23は、共通のデータラインに出力されることで一のデータストリームS24に結合される。
【0050】
書き込み制御部214は、記録装置215へのデータの書き込みに関する制御を行う。すなわち、FIFOメモリ212,213からデータを読み出して一のデータストリームS24に結合するための制御や、データストリームS24を記録装置215へ書き込む制御などを行う。
例えば、書き込み制御部214は、ソース側の通信装置100におけるFIFOメモリ103,104へのデータの振り分け順序と同じ順序でFIFOメモリ212,213を交互に選択し、選択したメモリからデータを出力させる。これにより、書き込み制御部204は、シンク側の通信装置100における元のデータストリームS11(図2)と同じデータストリームS24を、FIFOメモリ212,213の共通のデータラインにおいて再構成させる。
また、書き込み制御部214は、シンク側の通信装置100における記録装置101からの読み出し速度と同じ速度で、記録装置215への書き込みを行う。すなわち、シンク側の通信装置100において一定の伝送レートでTSが読み出される場合、書き込み制御部214はこれと同じ伝送レートでTSの書き込みを行う。
【0051】
記録装置215は、例えばハードディスク装置や光ディスク装置など、記録媒体にアクセスしてデータの読み出しや書き込みを行う装置であり、少なくともデータの書き込みが可能である。
【0052】
ここで、上述した構成を有する通信装置100,200の動作を説明する。
【0053】
先ず、通信を行う2つの機器の間で、通信条件を決定する。例えば、データストリームの伝送に使用するチャンネル数や、データストリームの分割方式、記録媒体の読み出し・書き込み速度等を決定する。相手方の機器が本実施形態の手法(一のデータストリームを複数のチャンネルで転送する方式)に対応していないことが考えられるので、通信条件の決定に際しては、互いの通信仕様を確認し合う必要がある。以下では一例として、AV/Cのコマンドを利用して通信条件を決定する方法について述べる。
【0054】
AV/Cの仕様書(「AV/C Interface Command Set
General Specification」)は、ベンダ依存コマンド(vendor dependent command)を規定している。ベンダ依存コマンドは、機器ベンダ毎に任意に定義することが許されたコマンドである。図4は、ベンダ依存コマンドを説明するための図である。
【0055】
ベンダ依存コマンドは、図4(A)に示すようなデータ構造を持つ。すなわち、先頭を示すコード(「0000」)、コマンドのタイプを示すデータ(ctype)、サブユニットのタイプを示すデータ(subunit_type)、サブユニットの識別番号(subunit_ID)、オペコード、オペランド[0]〜オペランド[n]という順序でデータが配列されている。
1バイトのオペコードは、機器ベンダによって任意に定義されるコマンドを示す。また、先頭の3バイトのオペランド[0]〜[2]は、予め登録された機器ベンダの識別番号(カンパニーID)を示し、残りのオペランド[3]〜[n]は、機器ベンダによって任意に定義されるデータを示す。
【0056】
ベンダ依存コマンドは、図4(C)に示すように、IEC61883において規定されたFCP(functional control protocol)と称されるプロトコルに従って交換される。一方の機器がベンダ依存コマンド(FCPコマンド)を送信すると、他方の機器はこれに対する応答(FCPレスポンス)を返す。
ベンダ依存コマンドを受け取った機器は、オペコードやカンパニーIDなどに基づいて、そのコマンドに対応しているか否かを判定する。判定の結果、そのベンダ依存コマンドに対応している場合は、「IMPLEMENTED/STABLE:Ch」のレスポンス・コードを持つFCPレスポンスを返送し、対応していない場合は「NOT IMPLEMENTED:8h」のレスポンス・コードを持つFCPレスポンスを返送する。このFCPレスポンスは、図4(B)に示すベンダ依存コマンドと同様なデータ構造を有しており、上記のレスポンス・コードは例えば「ctype」に記載される。
【0057】
ベンダ依存コマンドの送信は、ソース側の通信装置100が行ってもよいし、シンク側の通信装置200が行ってもよい。以下では、それぞれの場合について、ベンダ依存コマンドを用いた通信条件の確認手順を説明する。
【0058】
(1)ソース側の通信装置100がベンダ依存コマンドを送信する場合
【0059】
この場合、通信装置100のシステム制御部116がベンダ依存コマンドを生成する。
システム制御部116は、通信の仕様に関する情報として、例えばデータストリームの伝送に使用可能なチャンネルの数(図2の例では2チャンネル)や、データストリームの分割方法に関する情報、記録媒体の読み出し速度・書き込み速度に関する情報などを、ベンダ依存コマンドのオペランド([3]〜[n])に記載する。
【0060】
データストリームの分割方法に関する情報には、例えば、1つのデータストリームを断片に分けて2つのデータストリームへ振り分ける際の各断片のサイズ(TS数)に関する情報や、データの振り分け方に関する情報、1アイソクロナス・パケットに含めるデータのサイズ(TS数)に関する情報などが含まれる。
また、記録媒体の読み出し速度・書き込み速度に関する情報には、例えば、データストリームの標準のビットレートに対して何倍のレートで読み出し・書き込みが可能であるかを示す情報や、標準のビットレートとは無関係な固定のレートでデータの読み出し・書き込みを行うことが可能である場合にはその固定レートの値に関する情報などが含まれる。
【0061】
システム制御部116において生成されたベンダ依存コマンドは、リンクレイヤ部114においてアシンクロナス・パケットに変換され、物理レイヤ部115からバスを介してシンク側の通信装置200に伝送される。通信装置200では、物理レイヤ部202で受信されたアシンクロナス・パケットがリンクレイヤ部203においてベンダ依存コマンドとして展開され、システム制御部216に入力される。
【0062】
システム制御部216は、受信したベンダ依存コマンドに含まれるオペコードやカンパニーIDなどの情報に基づいて、予め登録されているコマンドの中に該当するものがあるかどうか調べる。通信装置100のベンダ依存コマンドは予め登録されたコマンドなので、システム制御部216はベンダ依存コマンドのオペランドに含まれる通信条件の情報を参照し、通信装置100との間に張るチャンネルの数やデータストリームの分割方法、データの読み出し・書き込み速度などの通信条件を決定する。
【0063】
例えばシステム制御部216は、ベンダ依存コマンドによって通知される相手方の送信可能なチャンネル数と、自身の通信装置200における受信可能なチャンネル数とを比較し、何れか少ない方のチャンネル数を、通信に使用するチャンネル数として決定する。
また、システム制御部216は、1つのデータストリームを断片に分けて2つのデータストリームへ振り分ける際の各断片のサイズ(TS数)や、1アイソクロナス・パケットに含めるデータのサイズ(TS数)、データの読み出し・書き込み速度などについても、双方の仕様が満たされるように、何れか能力の低い方に合わせて条件を決定する。
【0064】
システム制御部216は、通信条件を決定すると、その決定の内容をオペランド([3]〜[n])に記載したFCPレスポンスを生成する。このとき、FCPレスポンスのレスポンス・コードには、ベンダ依存コマンドに対応している旨を示す「IMPLEMENTED/STABLE:Ch」を記載する。
【0065】
システム制御部216において生成されたFCPレスポンスは、リンクレイヤ部203においてアシンクロナス・パケットに変換され、物理レイヤ部202からバスを介してソース側の通信装置100に伝送される。通信装置100では、物理レイヤ部115で受信されたアシンクロナス・パケットがリンクレイヤ部114においてFCPレスポンスとして展開され、システム制御部116に入力される。
【0066】
システム制御部116は、FCPレスポンスのレスポンス・コードが「IMPLEMENTED/STABLE:Ch」であることを確認すると、このFCPレスポンスのオペランド([3]〜[n])に含まれる情報に基づいて、通信装置200との通信条件(チャンネル数、データストリームの分割方式、読み出し速度等)を決定する。
【0067】
以上は、相手方の機器が本手法に対応している場合である。本手法に対応していない場合、相手方の機器はその旨を示すFCPレスポンスを返信する。すなわち、ベンダ依存コマンドが予め登録されているコマンドの中に存在しない場合、相手方の機器は「NOT IMPLEMENTED:8h」のレスポンス・コードを持つFCPレスポンスを通信装置100へ返送する。通信装置100のシステム制御部116は、相手方の機器から返送されたFCPレスポンスのレスポンス・コードが「NOT IMPLEMENTED/STABLE:8h」であることを確認すると、この機器との間では通常の条件(一のデータストリームを分割せずに1つのチャンネルで伝送する方式)で通信することを決定する。
【0068】
(2)シンク側の通信装置200がベンダ依存コマンドを送信する場合
この場合、シンク側の通信装置200におけるシステム制御部216は、通信の仕様に関する情報として、データストリームの伝送に使用可能なチャンネル、データストリームの分割方法、記録媒体の読み出し速度・書き込み速度などの情報を、ベンダ依存コマンドのオペランド([3]〜[n])に記載する。システム制御部216において生成されたベンダ依存コマンドは、バスを通じてソース側の通信装置100に伝送される。
【0069】
ベンダ依存コマンドを受信した通信装置100では、システム制御部116がベンダ依存コマンドに含まれるオペコードやカンパニーIDなどの情報に基づいて、予め登録されているコマンドの中に該当するものがあるかどうか調べる。通信装置200のベンダ依存コマンドは予め登録されたコマンドなので、システム制御部116はベンダ依存コマンドのオペランドに含まれる通信条件の情報を参照し、通信装置100との間に張るチャンネルの数やデータストリームの分割方法、データの読み出し・書き込み速度などの通信条件を決定する。
システム制御部116は、通信条件を決定すると、その決定の内容をオペランド([3]〜[n])に記載し、レスポンス・コードに「IMPLEMENTED/STABLE:Ch」を記載したFCPレスポンスを生成する。
システム制御部116において生成されたFCPレスポンスは、バスを通じてシンク側の通信装置200に伝送される。
【0070】
通信装置200のシステム制御部216は、受信したFCPレスポンスのレスポンス・コードにおいて「IMPLEMENTED/STABLE:Ch」が記載されていることを確認すると、このFCPレスポンスのオペランド([3]〜[n])に含まれる情報に基づいて、通信装置100との通信条件(チャンネル数、データストリームの分割方式、読み出し速度等)を決定する。
【0071】
一方、相手方の機器が本手法に対応していない場合、相手方の機器は「NOT IMPLEMENTED:8h」のレスポンス・コードを持つFCPレスポンスを通信装置200へ返送する。通信装置200のシステム制御部216は、相手方の機器から返送されたFCPレスポンスのレスポンス・コードが「NOT IMPLEMENTED/STABLE:8h」であることを確認すると、この機器との間では通常の条件で通信することを決定する。
以上が、AV/Cのベンダ依存コマンドを利用した通信条件の決定手順についての説明である。
【0072】
以上のようにして通信条件が決まったら、次に、2つの通信装置の間で決められた数のチャンネルを形成する手順が遂行される。
【0073】
IEC61883は、アイソクロナス転送を管理するための特別なレジスタとして、MPR(master
plug register)とPCR(plug control register)を定義する。MPRは複数のプラグの全体的な管理情報を保持し、PCRは個々のプラグの管理情報(接続先など)を保持する。MPRとPCRは、出力用(oMPR,oPCR)と入力用(iMPR,iPCR)とで別に設けられる。ソース機器の1つのoPCRとシンク機器の1つのiPCRを関連付けることによって、あたかも2つのプラグを結合する1本のケーブルのように、1つのチャンネルが規定される。
【0074】
図5、図6は、プラグ・コネクションによるチャンネルの形成を説明するための図である。
この図の例において、通信装置100及び通信装置200はIEEE1394のアイソクロナス通信バス20により接続されている。シンク側の通信装置200は入力用と出力用にそれぞれ2つの仮想的なプラグを備えており、その入力用プラグはiMPR23及びiPCR27,28によって管理され、出力用プラグはoMPR24及びoPCR29,30によって管理される。また、ソース側の通信装置100も入力用と出力用にそれぞれ2つの仮想的なプラグを備えており、その入力用プラグはiMPR25及びiPCR31,32によって管理され、出力用プラグはoMPR26及びoPCR33,34によって管理される。
【0075】
図5の例において、ソース側の通信装置100における出力用プラグ(oPCR34)と、シンク側の通信装置200における入力用プラグ(iPCR27)とがチャンネル35によって結合されている。このように、ソース機器の出力用プラグとシンク機器の入力用プラグを関連付けることによって、1方向にデータストリームを流すチャンネルが形成される。ソース側通信装置100のシステム制御部116とシンク側通信装置200のシステム制御部216とがIEC61883に従ってプラグ・コネクションを確立することにより、この2つの通信装置の間に1又は2のチャンネルを形成することができる。
【0076】
本手法を用いない通常の通信においては、1つのデータストリームを流すために1つのチャンネルが使用される(図5)。一方、本手法を用いる通信においては、1つのデータストリームを流すために複数のチャンネルが使用される。図2,図3に示す通信装置100,200では2チャンネルを使用するので、図6に示すように、上述のチャンネル35に加えて、通信装置100の出力用プラグ(oPCR33)と通信装置200の入力用プラグ(iPCR28)とを結合するチャンネル36が形成される。データの伝送に使用するチャンネルの数を2倍にすることで、データの伝送能力は2倍になる。
【0077】
また通信装置100,200は、著作権保護に関する規格(DTCP)に従って、IEEE1394バスに流れるデータストリームを暗号化するための認証や鍵交換を行う。
【0078】
例えばソース側の通信装置100からシンク側の通信装置200へ暗号化されたデータストリームが伝送されると、シンク側の通信装置200はシンク側の通信装置100に対して、AKE(authentication key exchange)と呼ばれるDTCPで定められた鍵交換プロトコルを開始する。このプロトコルにより、送受信機器間において暗号化及び復号化のための鍵の交換とコンテンツ保護のための認証が行われる。AKEによる鍵の交換が成立すると、シンク側の通信装置200はデータストリームの暗号を解くことが可能になる。
【0079】
なお、暗号化・復号化に使用する鍵は、チャンネル毎に独立のものを使用してもよいし、複数のチャンネルで同じものを使用してもよい。
【0080】
次に、データストリームの転送動作について、図7に示すタイムチャートを参照しながら詳しく述べる。ここでは一例として、通信装置100の記録装置101からMPEGトランスポートストリーム(TS)を読み出し、これをIEEE1394バスにより通信装置100から通信装置200へ転送して、通信装置200の記録装置215に記録するものとする。
【0081】
読み出し制御部102は、通信装置200との間で予め決定した通信条件に従い、一定の読み出し速度で記録装置101からTSを読み出す。例えば読み出し制御部102は、当該TSの標準のレートに対して2倍のレートで読み出しを行う。標準レートが約20MbpsとなるHD画質のMPEGトランスポートストリームの場合、読み出し制御部102は、その2倍の40Mbpsで読み出しを行う。
図7(A)は、読み出し制御部102によって読み出されるTSを示す。図においてA1,A2,…はTSパケットを示す。
【0082】
読み出し制御部102は、記録装置101から2倍速で読み出したトランスポートストリームS11を時分割で2つのFIFOメモリ103,104へ振り分ける。例えば読み出し制御部102は、5つのTSパケットを単位ブロックとし、トランスポートストリームS11をこの単位ブロックに分けて交互にFIFOメモリ103,104へ振り分ける。単位ブロックのサイズは、例えば、通信装置200との間で予め決定した通信条件に従う。
【0083】
FIFOメモリ103,104は、トランスポートストリームS11から分割されたトランスポートストリームを一時的に記憶する。
【0084】
FIFOメモリ103,104に一時記憶された2本のトランスポートストリームS12,S13は、通信処理部105の2つの入力ポート部106,107に入力される。入力ポート部106,107は、トランスポートストリームS12,S13の各パケットの正確な入力タイミングを計測し、そのタイムスタンプ・データを含んだSPHを1TSパケットごとに作成する。
図7(B)は、入力ポート部106においてSPHが付加されたトランスポートストリームS14を示し、図7(C)は、入力ポート部107においてSPHが付加されたトランスポートストリームS15を示す。
【0085】
暗号処理部108,109は、入力ポート部106,107において入力されたトランスポートストリームS14,S15のデータ本体をそれぞれDTCPの規定に従った方式(M6)により暗号化し、FIFOメモリ110,111に一旦格納する。
【0086】
パケッタイザ112,113は、125μ秒ごとにFIFOメモリ110,111から所定サイズのデータをそれぞれ読み出してCIP情報を付加し、その各々を1つのパケットとしてリンクレイヤ部114に出力する。例えばパケッタイザ112,113は、トランスポートストリームS11を振り分ける際の単位ブロックと同じ数のTSパケット(5個)を取得し、これにCIP情報を付加して、1つのパケットを生成する。
【0087】
リンクレイヤ部114は、パケッタイザ112,113において生成されたパケットをもとに、アイソクロナス・パケットを生成する。すなわち、パケッタイザ112,113において生成されたパケットに所定のヘッダ(アイソクロナス・パケット・ヘッダ)を付加するとともに、ヘッダ部分とデータ部分のそれぞれについての誤り検出符号(ヘッダCRC、データCRC)を付加する。リンクレイヤ部114は、パケッタイザ112,113において生成されるパケットから、それぞれ別のチャンネルのアイソクロナス・パケットを生成する。リンクレイヤ部114は、生成したアイソクロナス・パケットを、125μ秒ごとに物理レイヤ部115へ出力する。物理レイヤ部115は、リンクレイヤ部114から入力されるアイソクロナス・パケットをIEEE1394の伝送信号に変換してバスに出力する。
【0088】
図7(D)は、通信装置100から通信装置200へ伝送されるIEEE1394のアイソクロナス・ストリームS21を示す。図7(D)に示すように、5個のTSパケット(例えばA1〜A5)から1つのアイソクロナス・パケットが生成されている。また、トランスポートストリームS14からはチャンネルX(chX)のアイソクロナス・パケットが生成され、トランスポートストリームS15からはチャンネルY(chY)のアイソクロナス・パケットが生成される。
【0089】
通信装置100から伝送された2チャンネルのアイソクロナス・ストリームS21は、通信装置200の物理レイヤ部202において受信され、リンクレイヤ部203に入力される。リンクレイヤ部203は、受信されたアイソクロナス・パケットの誤り検査符号(ヘッダCRC、データCRC)をチェックし、問題がなければこれらの検査符号とアイソクロナス・パケット・ヘッダを受信パケットから削除して、パケッタイザ204,205に出力する。このとき、Xチャンネルの受信パケットはパケッタイザ204へ出力し、Yチャンネルの受信パケットはパケッタイザ205へ出力する。
【0090】
パケッタイザ204,205は、リンクレイヤ部203において処理された受信パケットに付属するアイソクロナス転送の情報(CIP,SPH)をチェックし、問題がなければ不要な情報を受信パケットから削除して、FIFOメモリ206,207に一旦格納する。このとき、SPH情報については、これに対応するデータが出力ポート部210,211より出力されるまで保持される。
【0091】
暗号処理部208,209は、FIFOメモリ206,207に保持される暗号化されたトランスポートストリームを復号化する。出力ポート部210,211は、2本の復号化されたトランスポートストリームS22,S23をSPH情報に応じたタイミングでそれぞれ出力する。
【0092】
図7(E),(F)は、出力ポート部210,211から出力されるトランスポートストリームS22,S23を示す。図に示すように、出力ポート部210,211から出力されるトランスポートストリームS22,S23の相対的タイミングは、ソース側の通信装置100において入力ポート部106,107に入力されるトランスポートストリームS12,S13の相対的タイミングとほぼ等しくなる。
また、出力ポート部210,211から出力されるトランスポートストリームS22,S23のビットレートは、ソース側の通信装置100におけるトランスポートストリームS12,S13と同じ2倍のレート、すなわち40Mbpsになっている。トランスポートストリームS22,S23は、この2倍のレートでFIFOメモリ212,213に一旦格納される。
【0093】
書き込み制御部214は、ソース側の通信装置100におけるFIFOメモリ103,104へのデータの振り分け順序と同じ順序でFIFOメモリ212,213を交互に選択し、選択したFIFOメモリから単位ブロック(5TSパケット)分のデータを2倍のレート(40Mbps)で読み出す。FIFOメモリ103,104から読み出される2本のトランスポートストリームS22,S23は、共通のデータラインに出力されることで一のトランスポートトリームS24に結合される。書き込み制御部204は、元のトランスポートストリームS11と同じ2倍のレートで、トランスポートストリームS24を記録装置215に書き込む。
【0094】
以上説明したように、本実施形態によれば、ソース側の通信装置において一のデータストリームが複数のデータストリームに分割され、分割されたデータストリームがそれぞれ別のチャンネルで伝送され、シンク側の通信装置において各チャンネルのデータストリームが1本に結合されることから、1つのチャンネルのみでデータストリームが伝送される従来の方式に比べて、全体の伝送能力を高めることができる。例えば、一のデータストリームをN本のデータストリームに分割してNチャンネルで伝送する場合、各チャンネルの帯域を広げることなく、データストリームの伝送レートを標準のN倍にすることができる。
このように、チャンネル数を増やして伝送能力を高める方式によれば、例えばDTCPを適用したIEEE1394によるアイソクロナス通信のように複数のチャンネルの使用が規定された通信規格において、その規格の要請(例えば1チャンネル当たりの帯域など)に違反することなく、全体の伝送能力を確実に高めることができる。
【0095】
また本実施形態によれば、ソース側の通信装置とシンク側の通信装置との間で使用チャンネル数などの仕様を予め確認し合った上で通信条件を決定するので、例えば通信の相手方が本実施形態の方式に対応していない旧仕様の機器(レガシー機器)の場合でも、使用するチャンネル数を1チャンネルにして従来通りの通信を行うことが可能である。
【0096】
更に本実施形態によれば、ソース側の通信装置の通信部(通信処理部105)において、分割された複数のデータストリームの相対的タイミングに関する情報(SPH,タイムスタンプ・データ)が取得される。そして、シンク側の通信装置の通信部(通信処理部201)においては、この取得されたタイミングの情報に基づいて、伝送された複数のデータストリームの相対的タイミングが、ソース側での相対的タイミングと等しくなるように調節される。従って、シンク側の通信装置では、通信部(通信処理部201)により受信された複数のデータストリームを結合する際、データの中身を参照するなどの複雑な処理が不要であり、ソース側における分割手順に合わせた結合手順によって、簡単に元のデータを再構成することができる。
【0097】
なお、一般にMPEGトランスポートストリームなどのAVデータの転送は、そのAVデータについて定められた標準のレートで行われるため、ハードディスク等の記録媒体からAVデータを読み出す場合も、通常はその標準レートに合わせて読み出し速度が調節される。近年のハードディスク装置等のアクセス速度は数百Mbps程度と高速であり、例えばHD画質のMPEGトランスポートストリームの標準レート(20Mbps)に対して10倍以上の速度で読み出し可能である。したがって、標準レートに合わせて読み出しを行う場合、通常は、ディジタルテレビジョン放送のデータストリームのように各TSパケットの間隔を広げるなどの調節を行っている。しかし、このようなパケットのタイミングの調節は、データストリームをリアルタイムで再生する際に必要となるのであって、ダビング等を行う場合には不要である。そこで、本実施形態では、上述のようなパケットのタイミング調節は行わず、チャンネルの帯域に合わせて読み出し・書き込み速度を設定してもよい。
【0098】
図8は、IEEE1394の1アイソクロナス・パケットに含めるTSパケットの数に対する伝送レート及び最少バッファサイズの関係を示す図である。図8に示すように、1アイソクロナス・パケットに含めるTSパケットの数は8分の1個から5個まで7種類規定されており、5個の場合の伝送レートは約60Mbpsとなる。
従って、例えば一のMPEGトランスポートストリームを2チャンネルで伝送する場合、1アイソクロナス・パケットに5個のTSパケットを含めるようにすれば、理論上、約120Mbps(60Mbps×2チャンネル)の伝送レートを実現できる。この場合、通信装置は、上述したパケットのタイミング調節を行わずに120Mbps程度の速度で読み出し・書き込みを行えばよい。標準レートが20MbpsのHD画質のMPEGトランスポートストリームであれば、約6倍の速さで転送が可能であり、3時間のコンテンツを30分程度で転送できる。
【0099】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2に示す通信装置100では、記録装置101の読み出しポートが1つであるため、2つのFIFOメモリ103,104へデータを振り分けることによって一のデータストリームを2つに分割している。また、図3に示す通信装置200では、記録装置215の書き込みポートが1つであるため、2つのFIFOメモリ212,213から共通のデータラインへデータを出力することによって2本のデータストリームを1つに結合している。
これに対し、本実施形態に係る通信装置は、複数のポートを備えた記録装置によってデータの読み出し・書き込みを行う。
【0100】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。図9に示す通信装置100Aは、記録装置101Aと、読み出し制御部102Aと、通信処理部105と、システム制御部116を有する。図2と図9の同一符号は同一の構成要素を示す。
また図10は、本発明の第2の実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。図10に示す通信装置200Aは、記録装置215Aと、書き込み制御部214Aと、通信処理部201と、システム制御部216を有する。図3と図10の同一符号は同一の構成要素を示す。
記録装置101A及び読み出し制御部102Aを含むユニットは、本発明における読み出し部の一実施形態である。
記録装置215A及び書き込み制御部214Aを含むユニットは、本発明における書き込み部の一実施形態である。
【0101】
記録装置101A,215Aは、ハードディスク装置や光ディスク装置など、記録媒体にアクセスしてデータの読み出しや書き込みを行う装置であり、2つの読み出し/書き込み用のポートを備える。
一つの例において、記録装置101A,215Aは、2つのポートにおける読み出しデータ/書き込みデータのビットレートに比べて十分高速に記録媒体にアクセスする1系統のヘッドを持つ。2つのポートが1つのヘッドを時分割で共有することにより、見かけ上、2つのポートにおいて並行にデータの読み出しや書き込みを行うことが可能である。
また他の例において、記録装置101A,215Aは、記録媒体に独立にアクセスする2系統のヘッドを持つ。この場合は、2つのヘッドがそれぞれ記録媒体にアクセスすることにより、2つのポートにおいて並行にデータの読み出しや書き込みを行うことが可能である。
【0102】
読み出し制御部102Aは、記録装置101Aの2つのポートにおけるデータの読み出しに関する制御を行う。例えば、読み出し制御部102Aは、記録媒体に記録される一のデータストリームの異なる部分から並行に若しくは時分割で2つのデータストリームを読み出すように、記録装置101Aの2つの読み出しポートを制御する。
【0103】
書き込み制御部214Aは、記録装置215Aの2つのポートにおけるデータの書き込みに関する制御を行う。例えば、書き込み制御部215Aは、通信処理部201により受信されたデータストリームS22,S23をそれぞれ一のデータストリームの異なる部分として並行に若しくは時分割で記録媒体に書き込むように、記録装置215Aの2つの書き込みポートを制御する。
【0104】
本実施形態に係る通信装置によれば、記録媒体に対して並行に若しくは時分割でアクセス可能な複数のポートを備える記録装置を用いることで、FIFOメモリなどを設けることなく、記録媒体に記録された一のデータストリームを容易に複数のデータストリームとして読み出すことが可能であり、また、複数のデータストリームを容易に一のデータストリームとして記録媒体に書き込むことができる。したがって、データストリームの分割や結合を行う部分の構成を簡易化できる。
【0105】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図7のタイミングチャートに示すデータストリームの分割方法では、記録媒体から読み出されたデータストリームが5パケット(5TSパケット)ずつの単位ブロックにまとめられ、この単位ブロックが交互に2つのデータストリームへ振り分けらる。これに対し、本実施形態に係る通信装置では、データストリームの各パケットが1つずつ交互に2つのデータストリームへ振り分けられる。
【0106】
図11は、第3の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの処理の一例を示すタイミングチャートである。本実施形態に係る通信装置は、例えば図2,図3に示す通信装置100,200と同様の構成を有している。
本実施形態において、ソース側通信装置の記録装置101から読み出されたMPEGトランスポートストリームS11(図11(A))は、読み出し制御部102により1TSパケットずつ交互に2つのFIFOメモリ103,104へ振り分けられる。例えば、「A1,A2,A3,A4、A5,A6,…」のようにTSパケットが並んだMPEGトランスポートストリームは、「A1,A3,A5,…」というデータストリームと「A2,A4,A6,…」というデータストリームに分割される。
分割された2つのデータストリームは、それぞれ通信処理部105において暗号化され、1アイソクロナス・パケット当たり5個のTSパケットを含んだアイソクロナス・ストリームに変換されて、それぞれ別チャンネルでバスに送信される(図11(D))。
2チャンネルのアイソクロナス・ストリームは、シンク側受信装置の通信処理部201においてパケットを展開されて復号化され、分割された時とほぼ同じ相対的タイミングを持った2つのデータストリームが再生される。2つのデータストリームはそれぞれFIFOメモリ212,213に一旦格納され、書き込み制御部214により1パケットずつ交互に読み出され、共通のデータラインに出力される。これにより、分割された2つのデータストリームは一のMPEGトランスポートストリームS24に結合される。
【0107】
このように、一のデータストリームを複数のデータストリームに振り分けて分割する場合、その振り分け単位となるデータブロックのサイズは任意に設定可能である。
また、図7のタイミングチャートに示す分割方法では、振り分けの際の単位ブロックに含まれるパケットの数と1アイソクロナス・パケットに含まれるパケットの数とが等しくなっているのに対し(共に5TSパケット)、本実施形態では、振り分けの際の単位ブロックに1TSパケット、1アイソクロナス・パケットに5TSパケットが含まれており、両者は等しくない。このように、1のデータストリームを複数に振り分ける際の単位ブロックのサイズと、複数チャンネルに分割されたデータストリームを伝送する際のパケットのサイズは、必ずしも等しくなくてよい。
【0108】
なお、MPEGトランスポートストリームS11におけるTSパケットの間隔は、図11(A)に示すように等間隔であるとは限らず、図12(A)に示すようにばらついていてもよい。このようにパケット間隔のばらついたMPEGトランスポートストリームS11を複数に分割した場合、分割により生成されるデータストリームS12,S13においてもTSパケットの間隔はばらついている(図12(B),(C))。
本実施形態では、例えばIEEE1394の複数チャンネルのアイソクロナス転送を利用することによって、シンク側の通信装置から送信される複数のデータストリームの相対的タイミングと、ソース側の通信装置において受信される複数のデータストリームの相対的タイミングとがほぼ等しくなる。例えば図12(B),(C)に示すデータストリームS12,S13の相対的タイミングは、シンク側の受信装置においても保存される。従って、シンク側の通信装置においては、ソース側の通信装置と同じ順序で複数のデータストリームからパケットを選択することにより、元のデータストリームとほぼ同じパケット間隔を持ったデータストリームが再構成される。
【0109】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態では、図1の概念図に示す仮想ヘッドのモデルと関連付けて、データストリームの分割・結合方法の例を示す。
【0110】
図13は、第4の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの分割方法の一例を示す図であり、仮想的な再生ヘッド4,5の走査によってソース側のAVトラック1からデータストリームが読み出される様子を示す。図1と図13の同一符号は同一の構成要素を示す。
なお、特に図示していないが、記録ヘッド6,7によるシンク側のAVトラック2の走査は、再生ヘッド4,5によるソース側のAVトラック1の走査と連動している。
【0111】
まず図13(A)に示すように、再生ヘッド4はAVトラック1の時刻t=0にあり、再生ヘッド5は時刻t=tsにある。再生ヘッド4,5は、オフセットtsだけ離れている。ここで「時刻」とは、AVトラック1を標準速度で再生する場合においてAVトラック1上の特定のデータが読み出される時刻を示す。
【0112】
再生ヘッド4,5は標準速度でAVトラック1を走査し、両者の時刻差はオフセットtsに保たれる。例えば図13(B)に示すように、再生ヘッド4が時刻t=t1を走査しているとき、再生ヘッド5は時刻t=ts+t1を走査しており、両者の時刻の差はオフセットtsとなる。記録ヘッド6,7も同様に、オフセットtsの時刻差を保ったまま、再生ヘッド4,5と同じ標準速度でAVトラック2を走査する。これにより、AVトラック1に記録されたAVデータは同じデータ配列を保ったままAVトラック2にダビングされる。
【0113】
時刻t1からオフセットtsだけ経過したとき、再生ヘッド4は時刻t=tsに到達し、再生ヘッド5は時刻t=2tsに到達する。このとき、AVトラック1からAVトラック2へ2ts分のデータが転送される。すなわち、標準速度でダビングする場合に比べて伝送レートが2倍になっている(図13(C))。
【0114】
時刻t1において、再生ヘッド4は時刻t=3tsへジャンプする(図13(D))。これにより、AVトラック1における再生ヘッド4,5の前後関係は逆転するが、両者の時刻差はオフセットtsに保たれる。以降同様に、再生ヘッド4,5は標準速度でAVトラック1の走査を続け、オフセットtsが経過する度に、前側(時刻が小さい側)の再生ヘッドが後方へオフセットの2倍の時間(2ts)だけジャンプする。
【0115】
図13に示すデータストリームの分割・結合方法は、簡易的には、図9,図10に示すように2つ以上の読み出し/書き込み用ポートを持つ記録装置101A,215Aを用いて実現可能である。また、記録装置の読み出し/書き込み用ポートが1つの場合であっても、図2,図3に示すように複数のFIFOメモリを用いてデータを分割・結合することにより、上述した仮想的な再生ヘッド・記録ヘッドの動作を実現可能である。
【0116】
図14は、本実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの処理の一例を示すタイミングチャートであり、図13に示すデータストリームの分割・結合方法を図2,図3に示す通信装置100,200によって実現する例を示す。
ソース側の通信装置100において、読み出し制御部102は、標準速度の2倍のレートにより記録装置101からデータストリームS11を読み出す(図14(A))。データストリームS11は、図14(A)に示すように、標準速度におけるオフセットts分のデータをそれぞれ含んだデータブロックM1,M2,M3,…の列とみなすことができる。読み出し制御部102は、2つのFIFOメモリ103,104を上述した2つの再生ヘッド4,5と見なして、データブロックM1,M2,M3,…をこれらのメモリに書き込む。例えば、時刻t=0〜tsのデータブロックM1を再生ヘッド4に対応するFIFOメモリ103に書き込み、時刻t=ts〜3tsのデータブロックM2,M3を再生ヘッド5に対応するFIFOメモリ104に書き込む。一方のFIFOメモリへデータを書き込んでいるとき、他方のFIFOメモリへの書き込みは停止する。
【0117】
FIFOメモリ103,104にそれぞれ少なくとも1データブロック分のデータが格納されると、FIFOメモリ103,104から通信処理部105へデータの出力が同時に開始される。このとき、データの出力レートはそれぞれ標準速度に設定される。これによりFIFOメモリ103,104から出力されるデータストリームS12,S13は、再生ヘッド4,5によって読み出されるデータストリームと等価になる(図14(B),(C))。
【0118】
シンク側の通信装置200において通信処理部201からFIFOメモリ212,213へ出力されるデータストリームS22,S23は、ソース側の通信装置100において通信処理部205に入力されるデータストリームS12,S13とほぼ同等な相対的タイミングを有している(図14(D),(E))。書き込み制御部214は、FIFOメモリ212,213を上述した記録ヘッド6,7と見なして、これらのメモリからデータを読み出す。例えば、記録ヘッド6に対応するFIFOメモリ212から時刻t=0〜tsのデータブロックM1を読み出し、記録ヘッド7に対応するFIFOメモリ213から時刻t=ts〜3tsのデータブロックM2,M3読み出す。一方のFIFOメモリからデータを読み出しているとき、他方のFIFOメモリからの読み出しは停止する。
その結果、FIFOメモリ212,213から共通のデータラインに読み出されるデータストリームS24は、ソース側における分割前のデータストリームS11と等価になる(図14(F))。
【0119】
ところで、図13に示すデータストリームの分割方法では、オフセットts分のデータを走査する度に、前側にある再生ヘッド(記録ヘッド)が2tsだけ後方へジャンプすることによってデータストリームの分割(結合)を行っているが、仮想ヘッドのジャンプの方法はこれに限定されない。例えば図15に示す方法では、オフセットts分のデータを走査する度に、2つの再生ヘッド(記録ヘッド)が時間tsだけ後方へ同時にジャンプする。すなわち、時刻t=0〜2tsの読み出しが完了する時刻tsにおいて、再生ヘッド4が時刻t=tsから2tsへジャンプし、再生ヘッド5が時刻t=2tsから3tsへジャンプする(図15(C),(D))。このような方法でも、データストリームの分割(結合)は可能であり、伝送レートを高速化できる。
【0120】
また、上述した分割方法の例では、何れも2つの再生ヘッド(記録ヘッド)を同一方向へ走査させているが、例えば図16に示すように、両者を逆方向へ走査させてもよい。図16において、再生ヘッド4が時刻t=0から順方向へ走査し、再生ヘッド5が時刻t=teから逆方向へ走査する(図16(B))。両者の走査速度がともに標準速度であれば、時刻t=te/2において2つの再生ヘッドの走査位置が一致する。この場合、標準速度の半分の時間で時刻t=0〜teのデータ転送が完了するので、伝送レートは標準速度の2倍になる。
【0121】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
上述した実施形態では、一のデータストリームを2つのチャンネルで転送する例を挙げているが、さらに多数のチャンネルを用いて転送を行うことも可能である。本実施形態は一例として、一のデータストリームを6つのチャンネルで転送する例を示す。
【0122】
図17は、本発明の第5の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。また図18は、本実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。
【0123】
図17に示す通信装置100Bは、図2に示す通信装置100と同様の構成(記録装置101,読み出し制御部102,システム制御部116)を有するとともに、6個のFIFOメモリ121〜126と、通信処理部127及び128を有する。
読み出し制御部102は、記録装置101から読み出したデータストリームを6個のFIFOメモリ121〜126に振り分ける。通信処理部127,128における入力ポート部からパケッタイザまでの処理系統は、通信処理部105(図2)と比べて1つ多くなっている(3系統)。通信処理部127及び128の計6個の入力ポート部は、6個のFIFOメモリ121〜126の出力側と一対一に接続されている。通信処理部127,128の物理レイヤ部はカスケードに接続されており、共通のバスに伝送信号を送出する。
【0124】
図18に示す通信装置200Bは、図3に示す通信装置200と同様の構成(書き込み制御部214,記録装置215,システム制御部216)を有するとともに、通信処理部221及び222と、6個のFIFOメモリ223〜228を有する。
通信処理部221,222は、物理レイヤ部においてカスケードに接続されており、共通のバスから伝送信号を受信する。通信処理部221,222におけるパケッタイザから出力ポート部までの処理系統は、通信処理部201(図3)と比べて1つ多くなっている(3系統)。通信処理部221及び222の計6個の出力ポート部は、6個のFIFOメモリ223〜228の入力側と一対一に接続されている。書き込み制御部214は、6個のFIFOメモリ121〜126から出力されるデータストリームを一のデータストリームに結合して記録装置101に書き込む。
【0125】
図19は、通信装置100Bにおけるデータストリームの分割方法の一例を示す図であり、仮想的な6つの再生ヘッド8〜13の走査によってソース側のAVトラック1からデータストリームが読み出される様子を示す。図1と図13の同一符号は同一の構成要素を示す。
図19の例における再生ヘッドのジャンプの方法は、図15に示す方法と同様であり、一定の時間の走査を行う度に全てのヘッドが一斉に後方へジャンプするものである。すなわち、6つの再生ヘッド8,…,13がこの順序でAVトラック1上を順方向に並んでおり、標準速度で順方向に移動する。隣接する再生ヘッドの間隔は、常にオフセットtsに保持されている。各再生ヘッドがオフセットts分の連続したデータを読み出し終えたとき、6つの再生ヘッド8,…,13によって6ts分の連続したデータが読み出される(図19(A)〜(B))。このとき、再生ヘッド8,…,13は一斉に5tsだけ後方へジャンプする(図19(D))。再生ヘッド8〜13がこのような走査とジャンプを繰り返すことにより、各再生ヘッドからは標準速度でデータストリームが出力される。この6本のデータストリームを、再生ヘッド8〜13に連動する6個の記録ヘッドでシンク側のAVトラックに書き込むことで、標準速度の6倍の伝送レートを実現することができる。
【0126】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0127】
上述した実施形態では、ソース側の通信装置からのデータストリームを受け取るシンク側の通信装置が1台のみ場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シンク側の通信装置は複数台でもよい。
この場合、通信を開始する前に行う通信条件の決定手順においては、例えば、ソース側若しくはシンク側の何れか1つの通信装置がマスタとなり、他の通信装置(スレーブ)に対してベンダ依存コマンドなどにより通信仕様(使用可能なチャンネルの数、読み出し・書き込み速度、トータルの伝送レートなど)を問い合わせる。この問い合わせに対するスレーブからの応答を受信したマスタは、最も能力が低い通信装置に合わせて通信条件を決定する。例えば、全通信装置の中で使用可能なチャンネル数が最も小さい通信装置に合わせて、通信に使用するチャンネル数を決定する。
【0128】
「早送り再生」などのトリックプレーは、データを部分的に間引いて転送を行っており、実質的な伝送レートは標準速度と同じになっていることから、伝送レートを高める本実施形態の手法とは異なっている。ただし、本実施形態の手法により高速転送したデータストリームをシンク側において適当に間引くことにより、トリックプレーと同様な効果をもたらすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の実施形態に係る通信装置の動作を説明するための概念図である。
【図2】第1の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。
【図4】ベンダ依存コマンドを説明するための図である。
【図5】プラグ・コネクションによるチャンネルの形成を説明するための第1の図である。
【図6】プラグ・コネクションによるチャンネルの形成を説明するための第2の図である。
【図7】第1の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】1アイソクロナス・パケットに含めるTSパケットの数と伝送レート及び最少バッファサイズとの関係を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図12】パケット間隔がばらついているデータストリームを2つのデータストリームに分割する例を示すタイミングチャートである。
【図13】第4の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの分割方法の一例を示す第1の図である。
【図14】2つのFIFOメモリを用いて図13に示す分割方法を実現する場合のデータストリームの処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図15】第4の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの分割方法の一例を示す第2の図である。
【図16】第4の実施形態に係る通信装置におけるデータストリームの分割方法の一例を示す第3の図である。
【図17】第5の実施形態に係るソース側の通信装置の構成例を示す図である。
【図18】第5の実施形態に係るシンク側の通信装置の構成例を示す図である。
【図19】図17,図18に示す通信装置におけるデータストリームの分割方法の一例を示す図である。
【図20】IEEE1394の通信ポートを備えたテレビジョン装置の一例を示す図である。
【図21】IEEE1394の通信ポートを備えたシンク側の録画再生装置の一例を示す図である。
【図22】テレビジョン装置から記録再生装置へ転送されるMPEGトランスポートストリームについて説明するためのタイミングチャートである。
【図23】IEEE1394の通信ポートを備えたソース側の記録再生装置の構成例を示す図である。
【図24】図23に示す記録再生装置から転送されるMPEGトランスポートストリームについて説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0130】
1,2…AVトラック、3…通信手段、4,5,8〜13…再生ヘッド、5,6…記録ヘッド、101,101A,215,215A…記録装置、102,102A…読み出し制御部、103,104,110,111,121〜126,206,207,212,213,223〜228…FIFOメモリ、105,127,128,201,221,222…通信処理部、106,107,210,211…入力ポート部、108,109,208,209…暗号処理部、112,113,204,205…パケッタイザ、114,203…リンクレイヤ部、115,202…物理レイヤ部、116,216…システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される若しくは記録媒体に記録される一のデータストリームをN本(Nは1より大きい整数を示す)のデータストリームに分割する分割部と、
通信相手との間でN本の通信路を確立する制御部と、
上記N本のデータストリームを上記N本の通信路によりそれぞれ所定の伝送レートで上記通信相手へ送信する通信部と
を有する通信装置。
【請求項2】
上記制御部は、通信相手に対して、一のデータストリームをN本の通信路により送信可能である旨を通知し、当該通知に応じて当該通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により受信可能である旨の応答を受けると、N又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
上記制御部は、通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により受信可能である旨を通知を受けると、N又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定し、当該決定の内容を当該通信相手に通知する、
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
上記分割部は、上記一のデータストリームの異なる部分から並行に若しくは時分割で上記N本のデータストリームを抽出する、
請求項1、2又は3の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
上記分割部は、供給される上記一のデータストリームの異なる部分から時分割で部分データストリームをそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶した部分データストリームを並行に若しくは時分割でそれぞれ出力するN個の記憶部を有する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
上記分割部は、記録媒体に記録される上記一のデータストリームの異なる部分から並行に若しくは時分割で上記N本のデータデータストリームを読み出す読み出し部を有する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
通信相手との間でL本(Lは1より大きい整数を示す)の通信路を確立する制御部と、
それぞれ所定の伝送レートで上記通信相手から送信されたL本のデータストリームを上記L本の通信路により受信する通信部と、
上記L本のデータストリームを結合して一のデータストリームを再構成する結合部と
を有する通信装置。
【請求項8】
上記制御部は、通信相手に対して、一のデータストリームをL本の通信路により受信可能である旨を通知し、当該通知に応じて当該通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により送信可能である旨の応答を受けると、L又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定する、
請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
上記制御部は、通信相手から、一のデータストリームをM本(Mは1以上の整数を示す)の通信路により送信可能である旨の通知を受けると、L又はMの何れか小さい数に応じて、当該通信相手との間で確立する通信路の数を決定し、当該決定の内容を当該通信相手に通知する、
請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
上記結合部は、上記通信部において受信される上記L本のデータストリームをそれぞれ入力して一時的に記憶し、当該記憶したデータストリームを時分割で共通のデータラインに出力するL個の記憶部を有する、
請求項7、8又は9の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項11】
上記結合部は、上記通信部において受信される上記L本のデータストリームをそれぞれ一のデータストリームの異なる部分として並行に若しくは時分割で記録媒体に書き込む書き込み部を有する、
請求項7、8又は9の何れか一項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−10910(P2010−10910A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166023(P2008−166023)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】