説明

通信装置

【課題】 複数種類の通信方式を利用して、外部デバイスと通信を実行し得る状況において、通信装置のユーザが外部デバイスの送信先情報を取得して、通信装置に記憶させなくても、外部デバイスが利用可能な通信方式を利用して、外部デバイスにデータを送信し得る技術を提供する。
【解決手段】 多機能機10は、送信先情報を含む開封確認メールを、多機能機100から受信すると、受信された第1の送信先情報を、多機能機100の名前「BBB」に対応付けて、宛先テーブル50に記憶させる。多機能機10は、多機能機100に、新たにデータを送信すべき際に、宛先テーブル50に記憶されている第1の送信先情報を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、外部デバイスと通信可能に接続される通信装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部デバイスのファックス番号が記憶されている相手先番号テーブルを備えるファクシミリ装置が開示されている。ファクシミリ装置は、操作者によって指定されたファクシミリ番号を、相手先番号テーブルから選択する。次いで、ファクシミリ装置は、選択されたファクシミリ番号を送信先として、外部デバイスにデータを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−167825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数種類の通信方式を利用して、通信装置と通信を実行可能なデバイスが増加している。この種のデバイスにデータを送信する場合に、送信先として指定すべき送信先情報が、通信方式の種類によって異なる場合がある。即ち、1個のデバイスについて、複数個の送信先情報が存在する場合がある。
【0005】
外部デバイスが利用可能な複数個の通信方式のうち、特定の通信方式に対応する特定の送信先情報が通信装置に記憶されていない場合、ユーザに上記の特定の送信先情報が通信装置に入力されない限り、通信装置は、上記の特定の通信方式を利用して、外部デバイスにデータを送信することができない。例えば、外部デバイスが、新たに上記の特定の通信方式を利用可能となった状況において、通信装置のユーザが上記の状況を知らない場合がある。この場合、通信装置は、外部デバイスと、上記の特定の通信方式を利用した通信を試行せず、当然、ユーザは、上記の特定の通信方式に対応する特定の送信先情報を、通信装置に入力したり記憶させたりすることもない。つまり、外部デバイスが新たな通信方式を利用可能となっただけでは、通信装置は、その外部デバイスに、新たな通信方式を利用してデータを送信しない。
【0006】
本明細書では、複数種類の通信方式を利用して、外部デバイスと通信を実行し得る状況において、外部デバイスが利用可能な通信方式を利用して、外部デバイスにデータを送信し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される技術は、通信装置である。通信装置は、メモリと通信部と記憶制御部とを備える。メモリは、外部デバイスにデータを送信するための送信先情報を記憶するためのものである。通信部は、第1の通信方式を利用して、外部デバイスと通信を実行する。記憶制御部は、通信部が、第1の通信方式を利用して、特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、通信装置が、第2の通信方式を利用して、上記の特定の外部デバイスにデータを送信するための第1の送信先情報が、上記の特定の外部デバイスから受信される場合に、上記の特定の外部デバイスにデータを送信するための送信先情報として、前記第1の送信先情報を、メモリに記憶させる。通信部は、第1の送信先情報が前記メモリに記憶された後に、上記の特定の外部デバイスに第2のデータを送信すべき際に、メモリ内の第1の送信先情報を送信先として、第2の通信方式を利用して、上記の特定の外部デバイスに第2のデータを送信する。
【0008】
上記の通信装置は、第1のデータの通信を実行する際に、第1の送信先情報が受信される場合に、ユーザによる操作なしに、上記の特定の外部デバイスにデータを送信するための送信先情報として第1の送信先情報を、メモリに記憶させる。上記の通信装置は、第2のデータを送信する際に、メモリ内の第1の送信先情報を送信先として、第2の通信方式を利用して、上記の特定の外部デバイスに第2のデータを送信する。この構成によれば、外部デバイスから受信した第1の送信先情報を、上記の特定の外部デバイスにデータを送信するための送信先情報として記憶するために、通信装置は、第2の通信方式を利用して、外部デバイスにデータを送信することができる。これにより、複数種類の通信方式を利用して、新たに外部デバイスと通信を実行し得る状況において、外部デバイスが利用可能な通信方式を利用して、外部デバイスにデータを送信し得る。
【0009】
記憶制御部は、さらに、第2の送信先情報を、メモリに記憶させてもよい。第2の送信先情報は、通信部が、第1の通信方式を利用して、上記の特定の外部デバイスにデータを送信するための情報であってもよい。通信装置は、さらに、上記の特定の外部デバイスに第3のデータを送信すべき際に、予め決められた条件に従って、メモリ内の第1の送信先情報及び第2の送信先情報のうちの一方の送信先情報を選択する選択部を備えていてもよい。通信部は、上記の一方の送信先情報が第1の送信先情報である場合に、第2の通信方式を利用して、第1の送信先情報を送信先として、上記の特定の外部デバイスに前記第3のデータを送信してもよい。通信部は、上記の一方の送信先情報が第2の送信先情報である場合に、第1の通信方式を利用して、第2の送信先情報を送信先として、外部デバイスに前記第3のデータを送信してもよい。上記の構成によれば、予め決められた条件に従って、外部デバイスにデータを送信する際に利用する通信方式を、適切に選択することができる。
【0010】
通信部は、第1の通信方式を利用して、上記の特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、上記の特定の外部デバイスが、第2の通信方式を利用して、通信装置にデータを送信するための第3の送信先情報を、第1の通信方式を利用して外部デバイスに送信する送信部を備えていてもよい。上記の構成によれば、通信装置は、通信装置が利用可能な通信方式の送信先情報を、上記の特定の外部デバイスに利用させ得る。
【0011】
送信部は、第1のデータの通信が実行される前のネゴシエーション中に、第3の送信先情報を上記の特定の外部デバイスに送信してもよい。上記の構成によれば、通信装置は、第3の送信先情報を送信するために、第1のデータの通信とは別に、上記の特定の外部デバイスと通信しなくて済む。
【0012】
通信部は、上記の特定の外部デバイスから第1のデータを受信することによって、上記の特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行してもよい。送信部は、上記の特定の外部デバイスから第1のデータが受信された後に、第1のデータが受信されたことを示す応答データであって、第3の送信先情報を含む応答データを送信してもよい。上記の構成によれば、通信装置は、第3の送信先情報を送信するためだけに、上記の特定の外部デバイスと通信しなくて済む。
【0013】
通信部は、上記の特定の外部デバイスから第1のデータを含む特定の電子メールを受信することによって、上記の特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行してもよい。送信部は、上記の特定の電子メールが開封された後に、上記の特定の電子メールが開封されたことを示す開封確認メールを前記外部デバイスに送信してもよい。応答データは、開封確認メールであってもよい。上記の構成によれば、通信装置は、第3の送信先情報を送信するためだけに、上記の特定の外部デバイスと通信しなくて済む。
【0014】
送信部は、第1のデータと第3の送信先情報とを含む画像データを、上記の特定の外部デバイスに送信してもよい。上記の構成によれば、第3の送信先情報を送信するためだけに、上記の特定の外部デバイスと通信しなくて済む。
【0015】
なお、上記の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ネットワークシステムの構成を示す。
【図2】データ送信処理のフローチャートを示す。
【図3】データ受信処理のフローチャートを示す。
【図4】通信方式が電子メール通信である場合の2個の多機能機の動作を示すシーケンスを示す。
【図5】通信方式がPSTNを介した通信である場合2個の多機能機の動作を示すシーケンスを示す。
【図6】通信方式がSIPを利用した通信である場合の2個の多機能機の動作を示すシーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、ネットワークシステム2は、複数個(図1では2個)の多機能機10,100と、メールサーバ200と、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ300と、を備える。
【0018】
多機能機10,100のそれぞれは、LAN4を介して、メールサーバ200とSIPサーバ300のそれぞれと通信可能に接続される。また、多機能機10は、PSTN(Public Switched Telephone Networks)6を介して、多機能機100と通信可能に接続される。なお、多機能機10は、多機能機100と、メールサーバ200と、SIPサーバ300と、のそれぞれと、インターネットを介して接続されていてもよい。
【0019】
(多機能機10の構成)
図1に示すように、多機能機10は、印刷実行部12と、スキャン実行部14と、表示部15と、操作部16と、PSTNインターフェイス18と、LANインターフェイス20と、制御部30と、を備える。
【0020】
多機能機10は、LANインターフェイス20を介して、LAN4に接続される各装置100〜300と通信する。また、多機能機10は、PSTNインターフェイス18を介して、PSTN6に接続される多機能機100と通信する。
【0021】
印刷実行部12は、制御部30の指示に従って、データによって表わされる画像を、印刷媒体に印刷する。スキャン実行部14は、制御部30の指示に従って、スキャン実行部14にセットされた原稿を読み取って、原稿を表わすスキャンデータを生成する。表示部15は、制御部30の指示に従って、様々な情報を表示する。操作部16は、ユーザによって操作される複数個のキー(スタートキー、テンキー等)を備える。
【0022】
制御部30は、CPU32とメモリ40とを備える。CPU32は、メモリ40に記憶されているプログラム42に従って、様々な処理を実行する。これにより、通信部60と記憶制御部64と選択部66との各機能が実現される。通信部60は、送信部68備える。メモリ40は、プログラム42を記憶する。メモリ40は、送信先情報記憶領域44を備える。
【0023】
送信先情報記憶領域44には、外部デバイス(例えば多機能機100)が、多機能機10にデータを送信する際に、送信先として指定される送信先情報と、名称と、が関連付けて記憶されている。外部デバイス(例えば多機能機100)は、PSTN6を介して多機能機10にデータを送信する場合(通信方式がPSTNを介した通信である場合)、ファックス番号「111−1111」を送信先として、データを送信する。また、外部デバイス(例えば多機能機100)は、メールサーバ200を介して多機能機10にデータを送信する場合(通信方式が電子メール通信である場合)、メールアドレス「aaa@mail.co.jp」を送信先として、データを送信する。さらに、外部デバイス(例えば多機能機100)は、SIPサーバ300を介して多機能機10にデータを送信する場合(通信方式がSIPを利用した通信である場合)、SIP URI(Uniform Resource Identifier)「222−2222@sip−xyz.co.jp」を送信先として、データを送信する。名称は、送信先情報に対応するユーザ又はデバイスを識別するための識別情報であり、例えば、多機能機10を識別するための識別情報(デバイス名、デバイスID)と、多機能機10を使用するユーザの識別情報(ユーザ名、ユーザID等)と、を含む。なお、送信先情報記憶領域44は、さらに、複数個の送信先情報のそれぞれについて、当該送信先情報の種類を示す情報が関連付けて記憶されている。例えば、「111−1111」には、FAX番号を示す情報が関連付けられている。
【0024】
メモリ40は、さらに、宛先テーブル50を記憶する。宛先テーブル50には、外部デバイス(例えば多機能機100)にデータを送信するための送信先情報(即ち外部デバイスにデータを送信する際に、送信先として指定される情報)と、名称と、が関連付けて記憶されている。宛先テーブル50は、名称に関連付けて、FAX番号とメールアドレスとSIP URIとの複数種類の送信先情報を記憶することができる。多機能機10から外部デバイス(例えば多機能機100)にデータが送信される場合、多機能機10は、宛先テーブル50に、名称に関連付けて記憶されている1種類以上の送信先情報のうちの1個の送信先情報を送信先として、データを送信する。
【0025】
なお、多機能機10は、PSTNを介した通信と、電子メール通信と、SIPを利用した通信と、の3種類の通信方式のうち、いずれの通信方式を利用して、外部デバイスと通信を実行することができる。そのため、送信先情報記憶領域44および宛先テーブル50には、上記の3種類の通信方式で通信を実行するための送信先情報を記憶される。
【0026】
(多機能機100の構成)
多機能機100は、上記の多機能機10と同様の構成を備える。なお、多機能機100は、各サーバ200,300を介さずに、外部デバイスと通信可能である。多機能機100には、メールサーバ(SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)との機能とSMTPクライアントの機能とを実現するための、SMTPサーバプログラムと、SMTPクライアントプログラムと、を含む。
【0027】
例えば、多機能機100は、SMTPクライアントプログラムを用いて、メールサーバ200を介さずに、電子メールを外部デバイスのSMTPサーバ(即ちSMTPサーバプログラムに従って動作する外部デバイス)に直接に送信する。また、多機能機100は、SMTPサーバプログラムを用いて、メールサーバ200を介さずに、SMTPクライアントプログラムに従って動作する外部デバイスから、電子メールを受信する。なお、このような電子メールの通信は、「ダイレクトSMTP」と呼ばれることがある。なお、多機能機10は、ダイレクトSMTPを利用することができない。
【0028】
多機能機100の送信先情報記憶領域102は、名称「BBB」と、ファックス番号「333−4444」と、メールアドレス「bbb@mail.co.jp」と、SIP URI「333−333@sip−xyz.co.jp」と、ダイレクトSMTPのためのIPアドレス「111.xxx.xxx.xxx」と、を記憶している。なお、送信先情報記憶領域102は、さらに、複数個の送信先情報のそれぞれについて、当該送信先情報の種類を示す情報が関連付けて記憶されている。また、多機能機100が記憶する宛先テーブルは、FAX番号とメールアドレスとSIP URIとに加えて、IPアドレスを記憶することができる。多機能機100は、宛先テーブル50に記憶されているIPアドレスを送信先として、ダイレクトSMTPを用いた通信方式を利用して、多機能機100以外のデバイスに、データを送信することができる。
【0029】
(メールサーバ200の構成)
メールサーバ200は、LAN4に接続されている。メールサーバ200は、POPサーバとSMTPサーバとを備える。SMTPサーバは、外部デバイス(例えば多機能機10)から送信された電子メールを受信し、受信した電子メールの送信先として指定されているメールアドレスを用いて、送信先のメールサーバ又はデバイス(例えば多機能機100)に、受信した電子メールを送信する。
【0030】
(SIPサーバ300の構成)
SIPサーバ300は、LAN4に接続されている。例えば、SIPサーバ300は、多機能機10から特定のSIP URIを送信先とするコマンド(例えばINVITE)を受信すると、SIP URIで特定される外部デバイスに、コマンドを送信する。そして、多機能機10と外部デバイスとは、SIPサーバ300を介して、コマンドの送信及び受信を実行することによって、通信セッションを確立する。この結果、多機能機10と外部デバイスとは、SIPサーバを介さずに、データの通信を実行することが可能となる。
【0031】
(多機能機10が実行する処理)
図面を参照して、多機能機10が実行する処理を説明する。最初に、図2を参照して、データ受信処理の内容を説明する。本処理は、多機能機10の電源がONにされると開始される。
【0032】
(データ受信処理)
S12では、通信部60は、PSTN6を介して、外部デバイス(例えば多機能機100)から着呼を受信することを監視している。着呼が受信されない場合(S12でNO)、S18に進む。一方、着呼が受信される場合(S12でYES)、外部デバイスとの間でネゴシエーションが開始される。ネゴシエーションでは、最初に、通信部60は、外部デバイスから、多機能機10が実行可能な機能(例えば多機能機10がデータを受信する際の受信速度等)を示す能力情報の要求を受信する。通信部60は、能力情報の要求に対する応答として、能力情報(DIS(デジタル識別信号)とNSF(非標準機能識別信号)とを含む)を、外部デバイスに送信する(図5参照)。
【0033】
次いで、能力情報を受信した外部デバイスは、多機能機10の送信先情報を要求するために、送信先要求を多機能機10に送信する。S14では、通信部60が、送信先要求を受信すると、S16において、送信部68は、送信先情報記憶領域44に記憶されている名称(即ち「aaa」)と、複数個の送信先情報のそれぞれについて、当該送信先情報と当該送信先情報の種類を示す情報とが関連付けられた情報(以下では、単に「送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報」と呼ぶ)と、を外部デバイスに送信して、S18に進む。なお、送信部68は、1個以上の送信先情報のそれぞれについて、当該送信先情報の種類を示す情報を、当該送信先情報に関連付けて、外部デバイスに送信する。
【0034】
S18では、通信部60は、外部デバイスから、特定のデータを受信することを監視している。第2の通信部62は、PSTN6を介して、データを受信する場合、あるいは、メールサーバ200から電子メールを受信する場合、S18でYESと判断する。一方、通信部60は、SIPサーバ300から特定のデータを受信する場合、S18でYESと判断する。
【0035】
上記の特定のデータには、外部デバイスに記憶されている送信先情報と名称とが含まれる場合がある。上記の特定のデータがPSTN6を介して受信されたデータ又はSIPサーバ300を介して受信されたデータである場合、送信先情報を示すマトリックス型の2次元コードあるいは送信先情報を示す文字列データが、特定のデータ内に含まれる場合がある。上記の特定のデータがメールサーバ200を介した電子メールである場合、送信先情報が添付ファイルあるいはヘッダ部分に含まれる場合がある。
【0036】
S20において、最初に、記憶制御部64は、上記の特定のデータに1個以上の送信先情報が含まれるのか否かを判断する。送信先情報が含まれない場合(S20でNO)、S32に進む。また、S20において、上記の特定のデータに送信先情報が含まれる場合に、記憶制御部64は、当該送信先情報に関連する名称が、宛先テーブル50に記憶されているのか否かを判断する。名称が宛先テーブル50に記憶されていない場合(S20でNO)、S32に進む。名称が宛先テーブル50に記憶されている場合、S20において、記憶制御部64は、さらに、上記の特定のデータに含まれる送信先情報の中に、上記の特定のデータに含まれる名称に関連付けて宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が含まれているのか否かを判断する。宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が含まれている場合(S20でYES)、S22に進む。一方、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が含まれていない場合(S20でNO)、即ち、上記の特定のデータに含まれている全ての送信先情報が、既に宛先テーブル50に記憶されている場合、S32に進む。
【0037】
次いで、S22では、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が、多機能機10が利用不可能な通信方式の送信先情報のみであるのか否かを判断する。多機能機10は、ダイレクトSMTPを利用することができない。従って、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が、IPアドレスを示す情報が関連付けられている送信先情報のみである場合、S22でYESと判断され、S32に進む。宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報が、IPアドレス以外である場合(S22でNO)、S24において、記憶制御部64は、宛先テーブル50を更新する。具体的には、記憶制御部64は、S22でNOと判断された送信先情報を、上記の特定のデータに含まれている名称と一致する名称に関連付けて、宛先テーブル50に記憶させる。記憶制御部64は、送信先情報に関連付けられている送信先情報の種類を示す情報に応じて、当該送信先情報をFAX番号とメールアドレスとSIP URIとのいずれかを分類して、宛先テーブル50に記憶する。この構成では、送信先情報の受信(S18)から宛先テーブル50への記憶(S24)までの間に、ユーザは、例えば操作部16を操作することによって、多機能機10に指示をしなくて済む。
【0038】
なお、変形例では、上記の特定のデータには、さらに、外部デバイスに記憶されている送信先情報に対応付けて、当該送信先情報を送信先とした場合に利用される通信方式を示す情報が含まれてもよい。この場合、記憶制御部64は、送信先情報と、通信方式を示す情報とを対応付けて、宛先テーブル50に記憶してもよい。
【0039】
この構成によれば、多機能機10は、ユーザによる操作部16の操作なしに、宛先テーブル50に、送信先情報を記憶させることができる。また、上記の特定のデータに送信先情報が含まれている場合であっても、宛先テーブル50に記憶されている名称と一致する名称が上記の特定のデータに含まれていない場合、送信先情報は、宛先テーブル50に記憶されない。これにより、ユーザが意図していない送信先情報が、宛先テーブル50に記憶される事態を回避することができる。
【0040】
S26では、選択部66は、ユーザに通信方式を選択させるための特定の画面を、表示部15に表示させる。特定の画面は、S24で宛先テーブル50に記憶された送信先情報に関連付けられている名称と、当該名称に関連付けられている送信先情報と、を、含む。ユーザは、操作部16を操作することによって、表示部15に表示されている1個以上の送信先情報の中から、1個の送信先情報を選択することがすることができる。
【0041】
ユーザによって送信先情報が選択された場合(S26でYES)、S28において、選択部66は、選択された送信先情報に対応付けて、利用フラグ「1」を設定して、S32に進む。一方、上記の特定の画面の表示から所定の期間が経過しても、ユーザによる送信先情報の選択がない場合(S26でNO)、S30において、選択部66は、予め設定されている優先度情報に従って、送信先情報を選択し、選択された送信先情報に対応付けて、利用フラグ「1」を設定して、S32に進む。
【0042】
なお、優先度情報は、コスト優先と、セキュリティ優先と、速度優先と、の3種類の優先度情報を含む。コスト優先の場合、SIP URI、メールアドレス、FAX番号の順に、優先的に選択される。セキュリティ優先の場合、SIP URI、FAX番号、メールアドレスの順に、優先的に選択される。速度優先の場合、SIP URI、FAX番号、メールアドレスの順に、優先的に選択される。ユーザは、操作部16を操作することによって、3種類の優先度情報の中から、1種類の優先度情報を設定することできる。なお、ユーザは、予め優先度情報を設定してもよい。この場合、S26では、予めユーザによって設定された優先度情報に従って、送信先情報を選択してもよい。この場合、送信先情報を選択すべき際に、ユーザの操作を必要としないので、データを受信したタイミングでユーザが多機能機10の近くにいなくても、選択部66は、次回以降の通信方式を自動で決定することができる。
【0043】
S32では、制御部30は、上記の特定のデータ(即ちS18で受信されたデータ)が、多機能機10が送信した元データの応答として、デバイスから送信された確認データであるのか否かを判断する。確認データは、外部デバイスがデータを受信したこと(多機能機10が送信したデータが電子メールである場合、当該電子メールが開封されたこと)を示す情報を含む。上記の特定のデータが確認データである場合、多機能機10が元データを送信した送信時刻が含まれている。制御部30は、上記の特定のデータに、送信時刻が含まれており、かつ、当該送信時刻が、多機能機10が元データを送信した送信時刻と一致するのか否かを判断する。送信時刻が一致する場合(S32でYES)、制御部30は、上記の特定のデータが確認データであると判断し、S12に戻る。なお、制御部30は、表示部15に確認データを受信したことを示す情報を表示させる。
【0044】
一方、上記の特定のデータに送信時刻が含まれていない場合(S32でYES)、制御部30は、上記の特定のデータが印刷対象となるデータであると判断する。この場合、S34において、制御部30は、印刷実行部12に、上記の特定のデータによって表わされる画像を、印刷媒体に印刷させる。このとき、制御部30は、S20において、上記の特定のデータに含まれると判断された送信先情報を、印刷実行部12に印刷させなくてもよい。
【0045】
次いで、S36において、制御部30は、上記の特定のデータの通信に利用された通信方式を判断する。制御部30は、上記の特定のデータを、PSTNインターフェイス18を介して受信した場合、通信方式がPSTNを介した通信であると判断して、S38に進む。制御部30は、上記の特定のデータを、メールサーバ200からLANインターフェイス20を介して受信した場合、通信方式が電子メール通信であると判断して、S40に進む。制御部30は、上記の特定のデータを、SIPサーバ300からLANインターフェイス20を介して受信した場合、通信方式がSIPを利用した通信であると判断して、S48に進む。
【0046】
S38(即ち通信方式がPSTNを介した通信)では、送信部68は、上記の特定のデータを受信したことを示す確認データを生成し、上記の特定のデータの送信元のFAX番号を送信先として指定して、確認データを送信する。通信方式がPSTNを介した通信の場合、ネゴシエーション中に、多機能機10の送信先情報は既に送信されているため(S16)、確認データに、アドレス情報は含まれない。
【0047】
S40〜S46では(即ち通信方式が電子メール通信)、上記の特定のデータ(即ち電子メール)の応答として開封確認メールが生成され、送信される。なお、S34において、制御部30は、電子メールを開封し、電子メールに含まれる上記の特定のデータによって表わされる画像が印刷される。S40では、通信部60は、送信先情報が記述されたデータファイルを、開封確認メールに添付するのか、送信先情報を開封確認メールのヘッダ部分に記述するのか、を判断する。ユーザは、操作部16を操作することによって、送信先情報が記述されたデータファイルを、開封確認メールに添付させるのか、送信先情報を開封確認メールのヘッダ部分に記述させるのか、を予め選択しておく。
【0048】
送信先情報のデータファイルを添付する設定が選択されている場合(S40でYES)、S42において、送信部68は、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報が記述されたデータファイルを生成する。次いで、S44において、送信部68は、データファイルが添付されている開封確認メールを生成する。さらに、S44において、送信部68は、上記の特定のデータ(電子メール)の送信元のメールアドレスを送信先として指定して、開封確認メールを送信して、S12に戻る。
【0049】
一方、送信先情報をヘッダ部分に記述する設定が選択されている場合(S40でNO)、S46において、送信部68は、ヘッダ部分に送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報が記述された開封確認メールを生成する。さらに、S46において、送信部68は、上記の特定のデータ(電子メール)の送信元のメールアドレスを送信先として指定して、開封確認メールを送信して、S12に戻る。
【0050】
S48(即ち通信方式がSIPを利用した通信)では、通信部60は、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報を示すマトリックス型の2次元コードを生成する。S50では、通信部60は、2次元コードと、上記の特定のデータを受信したことを示す情報と、を含む画像データである確認データを生成する。S50では、さらに、通信部60は、上記の特定のデータの送信元のSIP URIを送信先として指定して、確認データを送信して、S12に戻る。変形例では、S48において、通信部60は、送信先情報を示す文字列データを生成してもよい。この場合、S50において、通信部60は、文字列データと、上記の特定のデータを受信したことを示す情報と、を含む画像データである確認データを生成してもよい。
【0051】
(データ送信処理)
図3を参照して、データ送信処理の内容を説明する。制御部30は、ユーザによって、操作部16に所定の操作が為されると、スキャン実行部14にセットされた原稿を、操作部16にスキャンさせて、画像データを生成させる。制御部30は、さらに、上記の所定の操作に応じて、宛先テーブル50に記憶されている1個以上の名称を、表示部15に表示させる。本処理は、表示部15に、宛先テーブル50に記憶されている1個以上の名称が表示されると開始する。
【0052】
ユーザは、操作部16を操作することによって、表示部15に表示されている1個以上の名称の中から、画像データの送信先として、1個の名称を選択することができる。S62では、制御部30は、送信先が選択されることを監視している。
【0053】
送信先の名称が選択されると(S62でYES)、S64において、選択部66は、図2のS28又はS30で設定された利用フラグ「1」に対応付けられている送信先情報を、宛先テーブル50から選択する。S66において、制御部30は、S64で選択された送信先情報に対応する通信方式を判断する。
【0054】
制御部30は、S64で選択された送信先情報がFAX番号である場合、利用される通信方式がPSTNを介した通信であると判断して、S68に進む。制御部30は、S64で選択された送信先情報がメールアドレスである場合、利用される通信方式が電子メール通信である判断して、S78に進む。制御部30は、S64で選択された送信先情報がSIP URIである場合、利用される通信方式がSIPを利用した通信であると判断して、S86に進む。
【0055】
S68(即ち通信方式がPSTNを介した通信)では、通信部60は、S64で選択されたFAX番号を送信先として指定して、発呼を送信し、ネゴシエーションを開始する。S70において、通信部60は、ネゴシエーション中に、外部デバイスの送信先情報を要求するために、送信先要求を外部デバイスに送信する。次いで、S72において、通信部60は、外部デバイスから送信先情報を受信して、図2のS20〜S30と同様の処理を実行して、S74に進む。
【0056】
S74では、通信部60は、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報を示すマトリックス型の2次元コードを生成する。S76では、送信部68は、S74で生成された2次元コードと、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータと、を含む画像データを、生成する。さらに、S76では、送信部68は、S64で選択されたFAX番号を送信先として指定して、生成された画像データを送信して、処理を終了する。
【0057】
S78では(即ち通信方式が電子メール)、通信部60は、図2のS40と同様に、ユーザの選択に応じて、送信先情報が記述されたデータファイルを、電子メールに添付するのか、送信先情報を電子メールのヘッダ部分に記述するのか、を判断する。送信先情報のデータファイルを添付する設定が選択されている場合(S78でYES)、S80において、送信部68は、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報が記述されたデータファイルを生成する。次いで、S82において、送信部68は、S80で生成されたデータファイルと、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータを含むデータファイルと、が添付されている電子メールを生成する。さらにS82において、送信部68は、S64で選択されたメールアドレスを送信先として指定して、生成された電子メールを送信して、処理を終了する。
【0058】
一方、送信先情報をヘッダ部分に記述する設定が選択されている場合(S78でNO)、S84において、送信部68は、ヘッダ部分に送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報が記述された電子メールを生成する。なお、送信部68は、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータを含むデータファイルを、電子メールに添付する。さらに、S84において、送信部68は、S64で選択されたメールアドレスを送信先として指定して、生成された電子メールを送信して、処理を終了する。
【0059】
S86(即ち通信方式がSIPを利用した通信)では、通信部60は、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報を示すマトリックス型の2次元コードを生成する。S88では、通信部60は、2次元コードと、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータと、を含む画像データを、生成する。さらに、S88では、通信部60は、S64で選択されたSIP URIを送信先として指定して、生成された画像データを送信して、処理を終了する。
【0060】
(第1のケース:通信方式が電子メール通信である場合)
第1のケースでは、多機能機10の宛先テーブル50は、多機能機100に対応する名称(即ち多機能機100のユーザ名、多機能機100のデバイス名等)「BBB」に関連付けて、メールアドレス「bbb@mail.co.jp」のみを記憶している。また、多機能機100の宛先テーブルは、多機能機10に対応する名称「AAA」に関連付けて、メールアドレス「aaa@mail.co.jp」のみを記憶している。
【0061】
図4に示すように、送信部68は、メールアドレス「bbb@mail.co.jp」が選択されると(図3のS64)、送信先情報記憶領域44に記憶されている名称「AAA」と、送信先情報、即ち、ファックス番号「111−1111」と、メールアドレス「aaa@mail.co.jp」と、SIP URI「222−2222@sip−xyz.co.jp」と、送信先情報の種類を示す情報と、が記述されたデータファイルが添付された電子メールを、メールサーバ200を介して、多機能機100に送信する(図3のS80,S82)。なお、電子メールには、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータを含むファイルが添付されている。
【0062】
多機能機100は、電子メールを受信する(図2のS18)と、電子メールに添付されているデータファイルに記述されている送信先情報のうち、多機能機100の宛先テーブルに記憶されていない送信先情報を、メールアドレス「aaa@mail.co.jp」に関連付けられている名称(即ち多機能機10に対応する名称)に関連付けて、多機能機100の宛先テーブルに記憶させる(図2のS24)。
【0063】
多機能機100は、電子メールを開封し、添付されているファイルに含まれるスキャンデータを印刷する(図2のS34)。多機能機100の送信部は、送信先情報記憶領域102に記憶されている名称「BBB」と、送信先情報、即ち、ファックス番号「333−4444」と、メールアドレス「bbb@mail.co.jp」と、SIP URI「333−3333@sip−xyz.co.jp」と、IPアドレス「111.XXX.XXX.XXX」が記述されたデータファイルが添付された開封確認メールを、メールサーバ200を介して、多機能機10に送信する(図2のS42,S44)。なお、多機能機100の送信部は、受信された電子メールに含まれる送信元メールアドレスを、開封確認メールの送信先として指定する。
【0064】
多機能機10の通信部60が開封確認メールを受信すると(図2のS18でYES)、記憶制御部64は、電子メールに添付されているデータファイルに記述されている送信先情報のうち、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報(即ち、FAX番号とSIP URI)を、メールアドレス「bbb@mail.co.jp」に関連付けられている名称「BBB」に関連付けて、宛先テーブル50に記憶させる(図2のS24)。なお、多機能機10は、ダイレクトSMTPを利用することができないため、記憶制御部64は、データファイルに記述されている送信先情報のうち、IPアドレス「111.XXX.XXX.XXX」を、宛先テーブル50に記憶させない。この構成によれば、多機能機10が利用不可能な通信方式の送信先情報を記憶しなくて済む。
【0065】
第1のケースでは、多機能機100は、多機能機10からの電子メールを受信することによって、多機能機10が利用可能な通信方式の送信先情報を、取得することができる。多機能機10は、多機能機100からの開封確認メールを受信することによって、多機能機100が利用可能な通信方式の送信先情報を、取得することができる。また、多機能機10,100は、自身の送信先情報を送信するために、電子メール(又は開封確認メール)の通信とは別に、新たに通信を実行しなくて済む。
【0066】
(第2のケース:通信方式がPSTNを介した通信である場合)
第2のケースでは、多機能機10の宛先テーブル50は、多機能機100に対応する名称「BBB」に関連付けて、FAX番号「333−4444」のみを記憶している。また、多機能機100の宛先テーブルは、多機能機10に対応する名称に関連付けて、FAX番号「111−1111」のみを記憶している。
【0067】
図5に示すように、通信部60は、FAX番号「333−4444」が選択されると(図3のS64)、多機能機100とネゴシエーションを開始する(図3のS68)。ネゴシエーションでは、通信部60は、能力情報の要求を多機能機100に送信し、多機能機100から応答(NSF,DIS)を受信する。次いで、通信部60は、送信先要求を多機能機100に送信する(図3のS70)。なお、送信先要求は、NSC(非標準機能命令信号)に含まれる。
【0068】
多機能機100の送信部は、送信先要求が受信されると(図2のS14)、送信先情報記憶領域102に記憶されている名称「BBB」と送信先情報と送信先情報の種類を示す情報とを、多機能機10に送信する(図2のS16)。記憶制御部64は、多機能機100から送信先情報を受信すると(図3のS72)、受信された送信先情報のうち、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報(即ち、メールアドレスとSIP URI)を、名称「BBB」に関連付けて宛先テーブル50に記憶させる(図2のS24)。なお、第1のケースと同様に、IPアドレス「111.XXX.XXX.XXX」は、宛先テーブル50に記憶されない。
【0069】
通信部60は、ネゴシエーションが終了すると、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報を示すマトリックス型の2次元コードを生成する(図3のS74)。送信部68は、2次元コードと、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータと、を含む画像データを生成し、当該画像データを含むファクシミリデータを多機能機100に送信する(図3のS76)。多機能機100は、ファクシミリデータを受信すると、印刷実行部に、ファクシミリデータに含まれる画像データに対する印刷処理を実行させる(図2のS34)。多機能機100の記憶制御部は、受信された画像データ内の2次元コードによって示される送信先情報のうち、多機能機100の宛先テーブルに記憶されていない送信先情報(即ち、メールアドレスとSIP URI)を、多機能機10に対応する名称に関連付けて宛先テーブルに記憶させる(図2のS24)。多機能機100の通信部は、受信されたファクシミリデータの送信元FAX番号を送信先として指定して、多機能機10に確認データを送信する(図2のS38)。
【0070】
この構成によれば、多機能機10,100は、自身の送信先情報を多機能機10に送信するために、画像データの通信とは別の通信を実行しなくてもよい。
【0071】
(第3のケース:通信方式がSIPを利用した通信である場合)
第3のケースでは、多機能機10の宛先テーブル50は、多機能機100に対応する名称「BBB」に関連付けて、SIP URI「222−2222@sip−xyz.co.jp」のみを記憶している。また、多機能機100の宛先テーブルは、多機能機10の名称に関連付けて、SIP URI「333−3333@sip−xyz.co.jp」のみを記憶している。
【0072】
図6に示すように、通信部60は、SIP URI「222−2222@sip−xyz.co.jp」が選択されると(図3のS64)、送信先情報記憶領域44内の送信先を示す情報を示す2次元コードを生成する(図3のS86)。次いで、通信部60は、2次元コードと、スキャン実行部14で生成されたスキャンデータと、を含む画像データを生成し、SIPサーバ300を介して、多機能機100に送信する(図3のS88)。
【0073】
多機能機100は、画像データを受信すると、印刷実行部に、画像データに対する印刷処理を実行させる(図2のS34)。多機能機100の記憶制御部は、受信された画像データ内の2次元コードによって示される送信先情報のうち、多機能機100の宛先テーブルに記憶されていない送信先情報(即ち、FAX番号とメールアドレス)を、多機能機10の名称に関連付けて宛先テーブルに記憶させる(図2のS24)。
【0074】
多機能機100の通信部は、送信先情報記憶領域102内の名称「BBB」と送信先情報と送信先情報の種類を示す情報とを示す2次元コードを生成する(図2のS48)。次いで、多機能機100の通信部は、受信された画像データの送信元SIP URIを送信先として指定して、多機能機10に確認データを送信する(図2のS50)。記憶制御部64は、多機能機100から確認データを受信すると(図2のS18でYES)、2次元コードによって示される送信先情報のうち、宛先テーブル50に記憶されていない送信先情報(即ち、FAX番号とメールアドレス)を、名称「BBB」に関連付けて宛先テーブル50に記憶させる(図2のS24)。なお、第1のケースと同様に、IPアドレス「111.XXX.XXX.XXX」は、宛先テーブル50に記憶されない。
【0075】
第3のケースでは、多機能機100は、多機能機10からの画像データを受信することによって、多機能機10が利用可能な通信方式の送信先情報を、取得することができる。多機能機10は、多機能機100からの確認データを受信することによって、多機能機100が利用可能な通信方式の送信先情報を、取得することができる。また、多機能機10,100は、自身の送信先情報を送信するために、画像データ及び確認データの通信とは別に、新たに通信を実行しなくて済む。
【0076】
(本実施例の効果)
多機能機10は、データ通信の際に、多機能機100で利用可能な通信方式の送信先情報を受信することができる。これにより、複数種類の通信方式のいずれかを利用して、新たに多機能機100と通信を実行し得る状況において、多機能機100が利用可能な通信方式を利用して、多機能機100にデータを送信し得る。
【0077】
また、新たに多機能機100にデータを送信すべき際に、宛先テーブル50の多機能機100の名称「BBB」に関連付けられている送信先情報の中から、優先度情報に従って選択された(図3のS64)送信先情報を送信先として利用することができる。多機能機10は、多機能機100のデータを送信すべき際に、多機能機100が利用可能な最適な通信方式を利用して、データを送信することができる。
【0078】
上記の構成によれば、例えば、多機能機100が利用可能な通信方式の種類が増加する場合に、多機能機10は、増加した通信方式を利用して、多機能機100にデータを送信するための送信先情報を、ユーザの操作なしに取得することができる。多機能機100が利用可能な通信方式の種類が増加する場合とは、例えば、多機能機100は、当初は、PSTN6に接続されている一方、LAN4に接続されておらず、電子メール通信及びSIPを利用した通信を実行することができなかった。その後、多機能機100にLAN4に接続されたことによって、多機能機100は、電子メール通信及びSIPを利用した通信を利用可能となった場合である。あるいは、多機能機100が新たに多機能機に取り替えられた場合である。この場合において、多機能機100は、新たに利用可能となった通信方式を利用するための送信先情報を、多機能機10に送信することができる。多機能機10は、多機能機100が新たに利用可能となった通信方式を利用するために、多機能機100の送信先情報を、多機能機100から取得することができる。
【0079】
(対応関係)
多機能機10が「通信装置」の一例であり、多機能機100が「外部デバイス」の一例である。PSTNを介した通信及び電子メール通信が「第1の通信方式」の一例であり、SIPを利用した通信が「第2の通信方式」の一例である。スキャン実行部14で生成されたスキャンデータが「第1〜3のデータ」の一例である。多機能機100のSIP URIが「第1の送信先情報」であり、多機能機100のFAX番号とメールアドレスとが「第2の送信先情報」の一例である。多機能機10のSIP URIが「第3の送信先情報」であり、多機能機10のFAX番号とメールアドレスとが「第4の送信先情報」の一例である。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0081】
(変形例)
(1)多機能機10は、SIPを利用し、多機能機100と通信を実行する場合(図2のS36又は図3のS66でSIP)、多機能機10の送信先情報を送信する。一般的に言うと、通信部60は、第1の通信方式(即ちSIP)を利用して、外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、外部デバイスが第2の通信方式(例えばPSTN)を利用して、多機能機10にデータを送信するための送信先情報(例えばFAX番号)を、外部デバイスに送信する。これに代えて、多機能機10は、SIPを利用し、多機能機100と通信を実行する場合、多機能機10の送信先情報を送信しなくてもよい。SIPを利用した通信方式を例にしたが、多機能機10は、他の通信方式でデータ通信を行う場合に送信先情報を送信しないようにしてもよい。送信先情報を送信しない通信方式を優先度の高い通信方式としてもよい。一般的に言うと、通信部60は、第1の通信方式を利用して、外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、外部デバイスが第2の通信方式(例えばPSTNを介した通信方式)を利用して、多機能機10にデータを送信するための送信先情報(例えばFAX番号)を、外部デバイスに送信しなくてもよい。
【0082】
(2)上記の実施例では、多機能機10の送信部68は、外部デバイスと通信を実行する毎に、多機能機10の送信先情報を送信している。しかしながら、送信部68は、送信先情報を送信した場合、送信先情報の送信先として指定した情報(FAX番号)と、既に送信先情報が送信済みであることを示す特定の情報と、を対応付けて、メモリ40に記憶していてもよい。送信部68は、送信先情報を送信すべき際に、送信先情報の送信先として指定すべき情報が、上記の特定の情報と対応付けて、メモリ40に記憶されているのか否かを判断する。上記の特定の情報と対応付けて、メモリ40に記憶されている場合、送信部68は、送信先情報を送信しなくてもよい。あるいは、送信部68は、多機能機10と特定の外部デバイスとのデータの通信が、所定回数実行される毎に、送信先情報を送信してもよく、前回に送信先情報を送信してから所定時間経過している場合に、送信先情報を送信するようにしてもよい。
【0083】
(3)上記の実施例では、送信部68は、ネゴシエーション中に送信先情報を送信する。しかしながら、送信部68は、ネゴシエーション中に送信先情報を送信しなくてもよい。この場合、送信部68は、送信先情報を示す2次元コードを含む確認データを、外部デバイスに送信してもよい。また、ネゴシエーション中にデータを受信する側のデバイス(図5における多機能機100)が送信先情報の要求を行い、送信する側のデバイス(図5における多機能機10)が送信先情報を送信してもよい。この場合、多機能機10は、ファクシミリデータを送信する際に、画像データに2次元コードを含まなくてもよい。また、多機能機10と外部デバイスとは、SIPを利用した通信方式の場合に、セッションを確立する際に行われるSIPサーバ300を介した通信中に、互いの送信先情報を送信してもよい。
【0084】
(4)多機能機10は、ダイレクトSMTPを利用可能であってもよい。即ち、多機能機10は、SMTPクライアントプログラムを用いて、メールサーバ200を介さずに、電子メールを外部デバイスのSMTPサーバ(即ちSMTPサーバプログラムに従って動作する外部デバイス)に直接に送信してもよい。また、多機能機10は、SMTPサーバプログラムを用いて、メールサーバ200を介さずに、SMTPクライアントプログラムに従って動作する外部デバイスから、電子メールを受信してもよい。この場合、記憶制御部64は、多機能機100のIPアドレスを、多機能機100の名称「BBB」に関連付けて、宛先テーブル50に記憶させてもよい。また、この場合、送信部68は、ダイレクトSMTPを利用して、通信方式が電子メールである場合と同様に、送信先情報を、多機能機100に送信してもよい。また、優先度情報にダイレクトSMTPが含まれていてもよい。例えば、速度優先の場合、SIP URIよりIPアドレス(ダイレクトSMTP)の優先度が高くなり、セキュリティ優先の場合、SIP URI、IPアドレス、FAX番号、メールアドレスの順に優先度が高くてもよい。
【0085】
(5)上記の実施例では、CPU32がプログラム42に従って処理を実行することによって、各部60〜68が実現されるが、各部60〜68の少なくとも1個は、論理回路等のハードウェアで実現されてもよい。
【0086】
(6)「通信装置」は、多機能機でなくてもよく、PC、プリンタ、サーバ、PDA等の通信装置であってもよい。
【0087】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0088】
2:ネットワークシステム、10,100:多機能機、30:制御部、40:メモリ、42:プログラム、44:送信先情報記憶領域、50:宛先テーブル、60:通信部、64:記憶制御部、66:選択部、68:送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
外部デバイスにデータを送信するための送信先情報を記憶するためのメモリと、
第1の通信方式を利用して、前記外部デバイスと通信を実行する通信部と、
前記通信部が、前記第1の通信方式を利用して、特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、前記通信装置が、第2の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスにデータを送信するための第1の送信先情報が、前記特定の外部デバイスから受信される場合に、前記特定の外部デバイスにデータを送信するための送信先情報として、前記第1の送信先情報を、前記メモリに記憶させる記憶制御部と、を備え、
前記通信部は、前記第1の送信先情報が前記メモリに記憶された後に、前記特定の外部デバイスに第2のデータを送信すべき際に、前記メモリ内の前記第1の送信先情報を送信先として、前記第2の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスに前記第2のデータを送信する、通信装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、さらに、第2の送信先情報を、前記メモリに記憶させ、
前記第2の送信先情報は、前記通信部が、前記第1の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスにデータを送信するための情報であり、
前記通信装置は、さらに、
前記特定の外部デバイスに第3のデータを送信すべき際に、予め決められた条件に従って、前記メモリ内の前記第1の送信先情報及び前記第2の送信先情報のうちの一方の送信先情報を選択する選択部を備え、
前記通信部は、
前記一方の送信先情報が前記第1の送信先情報である場合に、前記第2の通信方式を利用して、前記第2の送信先情報を送信先として、前記特定の外部デバイスに前記第3のデータを送信し、
前記一方の送信先情報が前記第2の送信先情報である場合に、前記第1の通信方式を利用して、前記第1の送信先情報を送信先として、前記外部デバイスに前記第3のデータを送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記第1の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスと前記第1のデータの通信を実行する際に、前記特定の外部デバイスが、前記第2の通信方式を利用して、前記通信装置にデータを送信するための第3の送信先情報を、前記第1の通信方式を利用して前記外部デバイスに送信する送信部を備える、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記第1のデータの通信が実行される前のネゴシエーション中に、前記第3の送信先情報を前記特定の外部デバイスに送信する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記特定の外部デバイスから前記第1のデータを受信することによって、前記特定の外部デバイスと前記第1のデータの通信を実行し、
前記送信部は、前記特定の外部デバイスから前記第1のデータが受信された後に、前記第1のデータが受信されたことを示す応答データであって、前記第3の送信先情報を含む前記応答データを送信する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記特定の外部デバイスから前記第1のデータを含む特定の電子メールを受信することによって、前記特定の外部デバイスと前記第1のデータの通信を実行し、
前記送信部は、前記特定の電子メールが開封された後に、前記特定の電子メールが開封されたことを示す開封確認メールを前記外部デバイスに送信し、
前記応答データは、前記開封確認メールである、請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記第1のデータと前記第3の送信先情報とを含む画像データを、前記特定の外部デバイスに送信する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置は、外部デバイスにデータを送信するための送信先情報を記憶するためのメモリを備え、
前記コンピュータプログラムは、前記通信装置に搭載されるコンピュータに、
第1の通信方式を利用して、前記外部デバイスと通信を実行する通信処理と、
前記第1の通信方式を利用して、特定の外部デバイスと第1のデータの通信を実行する際に、前記通信装置が、第2の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスにデータを送信するための第1の送信先情報が、前記特定の外部デバイスから受信される場合に、前記特定の外部デバイスにデータを送信するための送信先情報として、前記第1の送信先情報を、前記メモリに記憶させる記憶制御処理と、
前記第1の送信先情報が前記メモリに記憶された後に、前記特定の外部デバイスに第2のデータを送信すべき際に、前記メモリ内の前記第1の送信先情報を送信先として、前記第2の通信方式を利用して、前記特定の外部デバイスに前記第2のデータを送信するデータ送信処理と、を実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253403(P2012−253403A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122109(P2011−122109)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】