説明

通報システム、転送制御装置及び通報方法

【課題】警察への通報を要請するための非常ボタンの押下を契機として、警備サーバを介して警察に通報を行った場合、警察からの逆電を、警備サーバに対する通報元に接続可能な通報技術を提供する。
【解決手段】警備サーバ60は、非常ボタンが押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を通報端末53から受信すると、警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを転送制御装置61に送信する。転送制御装置61は、指示データを受信すると、警察電話端末を発呼して、警察への通報を行う。また、転送制御装置61は、指示データによって示される警備先識別情報に対応付けられた電話番号を特定し、警察から逆電が行われることにより警察電話端末から発呼された場合に、特定した電話番号が割り当てられた電話端末54を発呼して、警察電話端末と電話端末54とを接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報システム、転送制御装置及び通報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、警備先となるコンビニエンスストアなどの店舗では、異常の発生時に非常ボタンの押下により警備会社の監視センタに設置された警備サーバへ自動的に通報する通報システムが導入されていることが多い。このような通報システムを活用して、強盗事件などの重大事件が発生した可能性がある場合には、店舗からの通報を受けて監視センタの警備サーバから警察に自動的に110番通報することが考えられている。警察に110番通報した場合には、通常、警察から通報元に折り返し電話をかける逆電が行われる。異常の発生したコンビニエンスストアなどの店舗から直接警察に110番通報した場合は、逆電が行われると警察からの電話は通報元のコンビニエンスストアに接続される。ところが、通報システムを活用して監視センタに設置された警備サーバを介して110番通報した場合は、逆電が行われると警察からの電話は警備サーバに接続される。同様の問題に対する従来技術として、例えば、ダイアルインの内線電話からの110番通報や119番通報に対する逆電が行われた場合、通報を行った内線電話に接続する技術(特許文献1参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−069540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、警察からの逆電が行われた場合に、内線電話に接続させるのではなく、警備サーバから外部のコンビニエンスストアなどの通報元に警察からの電話を接続させることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、警察への通報を要請するための非常ボタンの押下を契機として、警備サーバを介して警察に通報を行った場合、警察からの逆電を、警備サーバに対する通報元に接続可能な通報システム、転送制御装置及び通報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、通報システムであって、警察への通報を要請するための非常ボタンが接続されて警備先に設置された通報端末と、監視センタに設置された警備サーバと、転送制御装置とが接続され、前記通報端末は、前記非常ボタンが押下された場合、前記非常ボタンが押下された旨を示すと共に前記警備先を識別するための警備先識別情報を示す非常信号を前記警備サーバに送信する信号送信手段を有し、前記警備サーバは、前記信号送信手段が送信した前記非常信号を受信する信号受信手段と、前記信号受信手段が受信した前記非常信号に応じて、前記警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを前記転送制御装置に送信するデータ送信手段とを有し、前記転送制御装置は、前記データ送信手段が送信した前記指示データを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報手段と、前記警備先識別情報と、前記警備先の電話番号とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて前記記憶手段に記憶されている前記電話番号を特定する特定手段と、前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、転送制御装置であって、監視センタに設置された警備サーバから、警察への通報を要請するための非常ボタンが警備先で押下された場合に送信されるデータであって、前記警備先を識別するための警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報手段と、前記警備先識別情報と、前記警備先の電話番号とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて前記記憶手段に記憶されている電話番号を特定する特定手段と、前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、警察への通報を要請するための非常ボタンが接続されて警備先に設置された通報端末と、監視センタに設置された警備サーバと接続される転送制御装置で実行される通報方法であって、前記転送制御装置は、受信手段と、通報手段と、特定手段と、逆電接続手段とを備え、前記受信手段が、監視センタに設置された警備サーバから、警察への通報を要請するための非常ボタンが警備先で押下された場合に送信されるデータであって、前記警備先を識別するための警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを受信する受信ステップと、前記通報手段が、前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報ステップと、前記特定手段が、前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて記憶手段に記憶されている電話番号を特定する特定ステップと、前記逆電接続手段が、前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、警察への通報を要請するための非常ボタンの押下を契機として、警備サーバを介して警察に通報を行った場合、警察からの逆電を、警備サーバに対する通報元に接続可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施の形態に係る通報システムの概要を例示する図である。
【図2】図2は、転送制御装置61の機能的構成を例示する図である。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる通報システムの行う通報処理の手順の概要を示すフローチャートである。
【図4】図4は、転送制御装置61の行う転送制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、一変形例に係る通報処理の手順の概要を示すフローチャートである。
【図6】図6は、転送制御装置61が行う転送制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、一変形例に係る通報処理の手順の概要を示すフローチャートである。
【図8】図8は、転送制御装置61が行う転送制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる通報システム、転送制御装置及び通報方法の一実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施の形態に係る通報システムの概要について図1を用いて説明する。コンビニエンスストアなどの警備先には、警察通報用の非常ボタン50と、これが接続される通報端末53と、電話端末54とが設置される。警察通報用の非常ボタン50は、異常の発生を通報するためのものであり、特に警察への通報を要請するためのものである。通報端末53は警備会社の監視センタに設置される警備サーバ60とネットワークを介して接続され、通信を行う。ネットワークとは、例えば、LAN(Local Area Network)、イーサネット(登録商標)又はインターネットなどである。非常ボタン50が押下されると、通報端末53は、ネットワークを介した通信により、警備サーバ60へ通報を行う。電話端末54は、警備サーバ60に接続される転送制御装置61と電話回線を介して接続され、転送制御装置61から発呼される。警備サーバ60は、通報端末53からの通報を受けて、転送制御装置61を介して警察への通報を行う。転送制御装置61は、警察の有する電話端末(警察電話端末)と電話回線を介して接続され、転送制御装置61から警察への通報は、電話回線を介して行う。尚、同図においては、警備先は1つしか図示していないが、複数の警備先が存在して、各警備先に設置された複数の通報端末53が警備サーバ60に接続され得る。この場合、複数の警備先には、各々を識別するための警備先識別情報が付与される。
【0013】
ここで、通報端末53、警備サーバ60及び転送制御装置61のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の通報端末53、警備サーバ60及び転送制御装置61は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disk)ドライブ装置等の補助記憶部と、これらを接続するバスとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。尚、CPUは、現在時刻を計る計時機能を有する。また、通報端末53及び警備サーバ60には、情報を表示する表示部と、ユーザの指示入力を受け付けるキーボードやマウス等の操作入力部と、外部装置の通信を制御する通信I/F(interface)とが有線又は無線により各々接続される。転送制御装置61には、電話端末54と接続される電話回線と、警察電話端末に接続される電話回線との2系統の電話回線が接続されており、これらの電話回線を介して通話や音声メッセージの発信や着信が可能である。尚、説明の便宜上、前者の電話回線を警備先電話回線といい、後者の電話回線を警察電話回線という。
【0014】
次に、このようなハードウェア構成において、通報端末53の機能的構成について説明する。通報端末53のHDDなどの補助記憶部には、通報端末53が設置されている警備先を識別するための警備先識別情報が記憶されている。警備先識別情報は、例えば警備先に付与されている管理番号や警備先の名称(例えばコンビニエンスストアやガソリンスタンドの店舗名)などである。通報端末53は、警察通報用の非常ボタン50が押下されたとき、警察通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を警備サーバ60に送信する。
【0015】
次に、警備サーバ60の機能的構成について説明する。警備サーバ60は、通報端末53から非常信号を受信すると、当該非常信号によって示される警備先識別情報を示し警察への通報を指示する通報指示データを転送制御装置61に送信する。
【0016】
次に、転送制御装置61の機能的構成について図2を用いて説明する。転送制御装置61は、指示受信部62と、通報処理部63と、逆電接続部64と、警備先情報記憶部65と、警察通報情報記憶部66とを有する。指示受信部62と、通報処理部63とは、警備サーバ60のCPUのプログラム実行時にRAMなどの主記憶部上に生成されるものである。警備先情報記憶部65と、警察通報情報記憶部66とは、警備サーバ60のHDDなどの補助記憶部に記憶されるものである。
【0017】
警備先情報記憶部65は、警備サーバ60に接続される通報端末53が設置された警備先に関する警備先情報を記憶する。警備先情報は、上述した警備先識別情報と、警備先の住所や、警備先の電話端末54に割り当てられた電話番号とを対応付けて示す。警察通報情報記憶部66は、通報先となる警察の電話番号や、通報の際の音声を示す音声メッセージを記憶する。
【0018】
指示受信部62は、警備サーバ60から送信された指示データを受信する。通報処理部63は、指示受信部62が受信した指示データによって示される警備先識別情報によって特定される警備先情報を警備先情報記憶部65から検索して、該当の警備先情報を取得すると、当該警備先情報の示す警備先の名称及び住所を音声として、警察通報情報記憶部66に記憶された音声メッセージに合成し、警察の電話番号として予め記憶した電話番号を用いて警察電話回線を介して警察電話端末を発呼して、当該電話端末が着呼して通話可能状態になったときに当該音声メッセージを出力することで、警察への通報を行う。尚、通報処理部63が取得した警備先情報によって、非常信号を送信した通報端末53が設置された警備先の電話端末54に割り当てられた電話番号が特定されることになる。
【0019】
逆電接続部64は、通報処理部63が警察への通報を行った結果、警察電話端末から警察電話回線を介して逆電が行なわれることにより発呼された場合、通報処理部63が取得した警備先情報によって示される警備先の電話番号を用いて警備先電話回線を介して当該警備先の有する電話端末54を発呼して、当該電話端末54が着呼したとき、警備先電話回線及び警察電話回線を介して当該電話端末54と警察電話端末とを接続させる。この結果、当該警備先と警察とが直接通話可能になる。
【0020】
次に、本実施の形態にかかる通報システムの行う通報処理の手順の概要について図3を用いて説明する。警備先で警察通報用の非常ボタン50が押下されると、警察通報用の非常ボタン50が押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を通報端末53が警備サーバ60に送信する(ステップS1)。警備サーバ60は、ステップS1で送信された非常信号を受信すると、当該非常信号によって示される警備先識別情報を示し警察への通報を指示する通報指示データを転送制御装置61に送信する(ステップS2)。転送制御装置61は、ステップS2で送信された指示データを受信すると、当該指示データによって示される警備先識別情報を示す警備先情報を警備先情報記憶部65から取得し、当該警備先情報を用いて、警察電話回線を介して警察電話端末を発呼し、当該警察電話端末が着呼したときに音声メッセージを出力することにより、警察への通報を行う(ステップS3)。警察では、警察電話端末が転送制御装置61からの発呼を受けて着呼すると(ステップS4)、その後、転送制御装置61を発呼することにより、逆電を行う(ステップS5)。転送制御装置61は、ステップS5の結果、警察電話端末から発呼されると、警備先の電話端末54を発呼して、警備先電話回線及び警察電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させる(ステップS6)。電話端末54が着呼すると(ステップS7)、警備先の人員及び警察官が直接通話可能になる。
【0021】
次に、ステップS3,S6で転送制御装置61の行う転送制御処理の手順について図4を用いて説明する。転送制御装置61は、図3のステップS2で警備サーバ60から送信された指示データを受信すると(ステップS10:YES)、警備先情報記憶部65にアクセスして、当該指示データによって示される警備先識別情報によって特定される警備先情報を検索して、該当の警備先情報の取得を試みる。該当の警備先情報を取得できた場合(ステップS11:YES)、当該警備先情報の示す警備先の名称及び住所を音声として、警察通報情報記憶部66に記憶された音声メッセージに合成し、警察の電話番号として予め記憶した電話番号を用いて警察電話回線を介して警察電話端末を発呼する(ステップS12)。当該警察電話端末が着呼して通話可能状態になった場合(ステップS13:YES)、転送制御装置61は、当該音声メッセージを当該警察電話端末に対して出力することで、警察への通報を行う。そして、転送制御装置61は、音声メッセージの出力後、警察電話回線を介した警察電話端末との通話可能状態を一端解除して、当該警察電話回線を非活性化する(ステップS14)。その後、転送制御装置61は、警察電話回線が活性化され、当該警察電話回線を介して警察電話端末から発呼されることにより警察から逆電が行われた場合(ステップS15:YES)、ステップS11で取得した警備先情報によって示される警備先の電話番号を用いて警備先電話回線を介して当該警備先の電話端末54を発呼する(ステップS16)。これに対して電話端末54が着呼すると(ステップS17:YES)、転送制御装置61は、警備先電話回線及び警察電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させる(ステップS18)。これにより、当該警備先の人員及び警察官が直接通話可能になる。そして、電話端末54及び警察電話端末のうち少なくとも一方が接続を切断させて通話を終了させた後に、所定時間が経過すると(ステップS19:YES)、転送制御装置61は、警備先電話回線及び警察電話回線を各々非活性化して接続を切断させる(ステップS20)。
【0022】
尚、ステップS10の後、警備先情報記憶部65にアクセスできず、該当の警備先情報を取得できない場合(ステップS11:NO)、転送制御装置61は、リトライ処理を行う(ステップS21)。具体的には、転送制御装置61は、警備先情報記憶部65へのアクセスを再度試みて、該当の警備先情報の取得を試みる。このような試みを複数回行っても該当の警備先情報を取得できない場合、転送制御装置61は、該当の警備先情報を取得できない旨を示すエラーメッセージを警備サーバ60に送信して、転送制御処理を終了する。尚、警備サーバ60は、当該エラーメッセージを受信すると、当該エラーメッセージを表示部に表示させる。
【0023】
また、ステップS12の後、警察電話端末が着呼しない場合(ステップS13:NO)、転送制御装置61は、リトライ処理を行う(ステップS22)。具体的には、転送制御装置61は、警察電話回線を一端休止状態にさせて、警察が応答しない旨を示すエラーメッセージを警備サーバ60に送信して、一定時間後改めて当該警察電話端末を再発呼する。尚、警備サーバ60は、当該エラーメッセージを受信すると、当該エラーメッセージを表示部に表示させる。このような再発呼を1回又は複数回繰り返した結果、警察電話端末が着呼した場合は、転送制御装置61は、ステップS14〜S20と同様の処理を行う。一方、複数回再発呼しても、警察電話端末が着呼しない場合には、転送制御装置61は、警察電話端末の発呼を中止して、警察への発呼を中止する旨を示すメッセージを警備サーバ60に送信して、転送制御処理を終了する。尚、警備サーバ60は、当該エラーメッセージを受信すると、当該エラーメッセージを表示部に表示させる。当該エラーメッセージを見た監視センタのセンタ員は適宜対応を行うことが可能になる。
【0024】
また、ステップS16の後、電話端末54が着呼しない場合(ステップS17:NO)、転送制御装置61は、リトライ処理を行う(ステップS23)。具体的には、転送制御装置61は、警備先電話回線を一端休止状態にさせて、警備先が応答しない旨を示す音声メッセージを、警察電話回線を介して警察電話端末に対して出力し、一定時間後改めて当該警備先の電話端末54を再発呼する。このような再発呼を1回又は複数回繰り返した結果、電話端末54が着呼した場合は、転送制御装置61は、ステップS18〜S20と同様の処理を行う。一方、再発呼しても、電話端末54が着呼せず、更に、警察電話端末から警察電話回線の接続を切断された場合には、転送制御装置61は、電話端末54の発呼を中止する。
【0025】
以上のような構成によれば、監視センタの警備サーバ60を介して警察への通報を行った場合であっても、警察から逆電が行われた際には、警備サーバ60へ通報を行った警備先の電話端末54に警察電話端末を接続させることができ、警備先の人員と警察官との直接の通話を可能にすることができる。
【0026】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0027】
上述した実施の形態において、警備サーバ60で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0028】
上述した実施の形態においては、警備先に警察通報用の非常ボタン50が設置され通報端末53に接続されるようにしたが、この他、警備会社通報用の非常ボタンが警備先に設置され通報端末53に接続されるようにしても良い。通報端末53は、警備会社通報用の非常ボタンが押下された場合、警備会社通報用の非常ボタンが押下された旨を示すと共に警備先識別情報を示す非常信号を警備サーバ60に送信する。警備サーバ60は、通報端末53から非常信号を受信すると、当該非常信号を用いて、警察通報用の非常ボタン50が押下されたか又は警備会社通報用の非常ボタンが押下されたかを判断し、警察通報用の非常ボタン50が押下されたと判断した場合、上述と同様にして警察への通報を行い、警備会社通報用の非常ボタンが押下されたと判断した場合、通常の発報処理として、例えば、非常信号を送信した通報端末53の設置された警備先への警備員の出動を促すメッセージを表示部に表示させる。
【0029】
上述した実施の形態においては、1つの転送制御装置61が警備サーバ60に接続される例について説明したが、これに限らず、複数の転送制御装置61が警備サーバ60に接続されるようにしても良い。そして、警備サーバ60は、通報端末53から非常信号を受信して、上述の指示データを転送制御装置61に送信した際に、当該転送制御装置61が指示データに従って上述の転送制御処理を行うことができず、busy状態である旨の応答データを当該転送制御装置61から受信した場合、ラウンドロビン方式で他の転送制御装置61に指示データを送信するようにしても良い。即ち、警備サーバ60は、当該他の転送制御装置61からもbusy状態である旨の応答データを受信した場合、更に他の転送制御装置61に指示データを送信する。当該他の転送制御装置61が指示データに従って転送制御処理を行うことが可能である場合には、その旨を示す応答データを警備サーバ60に送信して、上述と同様にして、転送制御処理を行う。一方、このようにラウンドロビン方式で複数の転送制御装置61に指示データを送信しても、転送制御処理を行うことが可能である旨を示す応答データを転送制御装置61から受信できない場合には、警備サーバ60は、複数の転送制御装置61がbusy状態であり警察への通報を行うことができない旨を示すメッセージを表示部に表示させる。
【0030】
上述した実施の形態においては、転送制御装置61は、警察電話端末から逆電が行われた際に電話端末54を発呼するようにしたが、これに限らず、警備サーバ60から指示データを受信した際に、警備先電話回線を介して当該警備先の電話端末54を発呼するようにしても良い。図5は、本変形例に係る通報処理の手順の概要を示すフローチャートである。ステップS1〜S2は第1の実施の形態と同様である。本変形例では、ステップS2の後、転送制御装置61は、ステップS3を行うと共に、ステップS30で、警備先情報記憶部65から取得した警備先情報によって示される警備先の電話番号を用いて警備先電話回線を介して当該警備先の電話端末54を発呼する。これに対して電話端末54が着呼すると(ステップS31)、転送制御装置61は、例えば、警察への通報を行っている旨を示す音声メッセージを電話端末54に対して出力する。この音声メッセージは例えば警察通報情報記憶部66に予め記憶されているものとする。その後、転送制御装置61は、ステップS5の結果、警察電話端末から発呼されると、警備先の電話端末54に対して音声メッセージを出力中か否かを判断して(ステップS32)、当該音声メッセージを出力中である場合(ステップS32:YES)、割り込みにより、警備先電話回線及び警察電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させる(ステップS33)。この結果、警備先では、転送制御装置61からの音声が出力されている途中で、警察と直接通話可能になる。一方、電話端末54に対する音声メッセージの出力が終了した場合、転送制御装置61は、警備先電話回線を非活性化する。これ以降に、ステップS32の判断を行った場合、ステップS32の判断結果は否定的となり(ステップS32:NO)、この場合、転送制御装置61は、当該警備先電話回線を活性化して電話端末54を発呼し、当該電話端末54が着呼すると(ステップS34)、警備先の人員及び警察官が直接通話可能になる。
【0031】
次に、本変形例に係る転送制御装置61が行う転送制御処理の手順について図6を用いて説明する。ステップS10〜S12は第1の実施の形態と同様である。但し、転送制御装置61は、ステップS12と共に、ステップS16の処理を行う。ステップS13〜S14も第1の実施の形態と同様である。ステップS16の処理の結果、警備先の電話端末54が着呼した場合(ステップS17:YES)、転送制御装置61は、警察への通報を行っている旨を示す音声メッセージを電話端末54に対して出力する(ステップS50)。その後、ステップS15で警察から逆電が行われた際に、転送制御装置61は、警備先の電話端末54に対して音声メッセージを出力中か否かを判断して(ステップS51)、当該判断結果が肯定的である場合(ステップS51:YES)、割り込みにより、警備先電話回線及び警察電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させる(ステップS52)。一方、ステップS51の判断結果が否定的である場合(ステップS51:NO)、警備先電話回線は非活性化されている。この場合、転送制御装置61は、当該警備先電話回線を活性化して電話端末54を発呼し(ステップS53)、当該電話端末54が着呼すると(ステップS54:YES)、転送制御装置61は、警備先電話回線及び警察電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させる(ステップS18)。ステップS54で電話端末54が着呼しない場合には(ステップS54:NO)、ステップS23に進む。ステップS21〜23は第1の実施の形態と同様である。
【0032】
以上のような構成によれば、警察から逆電が行われる前に、警察への通報元である警備先の電話端末54を発呼して、警備先電話回線の接続を保持することが可能である。このため、警察からの逆電が行なわれた際に、警察電話回線及び警備先電話回線を介して電話端末54及び警察電話端末を接続させることをより迅速に行うことが可能になる。
【0033】
上述した実施の形態においては、転送制御装置61が警察からの逆電に応じて、電話端末54を発呼したときに、電話端末54が着呼しない場合、監視センタに設置される内線電話への発呼に切り替えるようにしても良い。この場合、転送制御装置61は、監視センタに設置された内線電話の電話番号をHDDなどの補助記憶部に予め記憶しておく。図7は、本変形例に係る通報処理の手順の概要を示すフローチャートである。ステップS1〜S6は第1の実施の形態と同様である。本変形例では、ステップS6の後、警備先の電話端末54が一定の時間内に着呼しない場合(ステップS41)、転送制御装置61は、電話端末54の発呼を中止する。そして、転送制御装置61は、監視センタに設置された内線電話の電話番号を用いて、当該内線電話を発呼して、内線電話回線及び警察電話回線を介して内線電話及び警察電話端末を接続させ、当該内線電話が着呼すると(ステップS42)、監視センタのセンタ員及び警察官が直接通話可能になる。
【0034】
次に、本変形例に係る転送制御装置61が行う転送制御処理の手順について図8を用いて説明する。ステップS10〜S17は第1の実施の形態と同様である。ステップS17で、警備先の電話端末54が一定の時間内に着呼しない場合(ステップS17:NO)、転送制御装置61は、電話端末54の発呼を中止して、警備先電話回線の接続を切断する(ステップS60)。そして、転送制御装置61は、監視センタの有する内線電話の電話番号を用いて、当該内線電話を発呼して、当該内線及び警察電話回線を介して内線電話及び警察電話端末を接続させる(ステップS61)。
【0035】
以上のように、警察から逆電が行われた際に、警察への通報元である警備先の電話端末54を発呼して、当該電話端末54が着呼しない場合、監視センタの内線電話を発呼することで、警備先の代わりに監視センタのセンタ員が警察官と直接通話をして、警備先での異常の発生に迅速に対応することが可能になる。
【符号の説明】
【0036】
50 非常ボタン
53 通報端末
54 電話端末
60 警備サーバ
61 転送制御装置
62 指示受信部
63 通報処理部
64 逆電接続部
65 警備先情報記憶部
66 警察通報情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警察への通報を要請するための非常ボタンが接続されて警備先に設置された通報端末と、監視センタに設置された警備サーバと、転送制御装置とが接続され、
前記通報端末は、
前記非常ボタンが押下された場合、前記非常ボタンが押下された旨を示すと共に前記警備先を識別するための警備先識別情報を示す非常信号を前記警備サーバに送信する信号送信手段を有し、
前記警備サーバは、
前記信号送信手段が送信した前記非常信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段が受信した前記非常信号に応じて、前記警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを前記転送制御装置に送信するデータ送信手段とを有し、
前記転送制御装置は、
前記データ送信手段が送信した前記指示データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報手段と、
前記警備先識別情報と、前記警備先の電話番号とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて前記記憶手段に記憶されている前記電話番号を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続手段とを有する
ことを特徴とする通報システム。
【請求項2】
監視センタに設置された警備サーバから、警察への通報を要請するための非常ボタンが警備先で押下された場合に送信されるデータであって、前記警備先を識別するための警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報手段と、
前記警備先識別情報と、前記警備先の電話番号とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて前記記憶手段に記憶されている電話番号を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続手段とを備える
ことを特徴とする転送制御装置。
【請求項3】
前記通報手段は、前記指示データに従って、第1電話回線を介して前記第1電話端末を発呼して、警察への通報を行い、
前記逆電接続手段は、第2電話回線を介して前記第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合、前記第1電話回線及び前記第2電話回線を介して前記第2電話端末と前記第1電話端末とを接続させる
ことを特徴とする請求項2に記載の転送制御装置。
【請求項4】
前記通報手段は、前記指示データに従って、前記第1電話端末を発呼して、当該第1電話端末が着呼した場合、当該第1電話端末に対して第1音声メッセージを出力することにより、警察への通報を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の転送制御装置。
【請求項5】
前記逆電接続手段は、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼されたときに、前記第2電話端末を発呼して、前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の転送制御装置。
【請求項6】
前記逆電接続手段は、前記第2電話端末を発呼して、当該第2電話端末が着呼した場合、当該第2電話端末に対して第2音声メッセージを出力し、当該第2音声メッセージを出力している間に、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼されたときに、前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の転送制御装置。
【請求項7】
前記逆電接続手段は、前記第2電話端末を発呼して、当該第2電話端末が着呼した場合、当該第2電話端末に対して第2音声メッセージを出力し、当該第2音声メッセージを出力した後に、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼されたときに、前記第2電話端末を発呼して、前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の転送制御装置。
【請求項8】
前記逆電接続手段は、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼されたときに、前記第2電話端末を発呼して、当該第2電話端末が一定の時間内に着呼しない場合、前記監視センタに設置された内線電話を発呼して、前記第1電話端末と前記内線電話とを接続させる
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の転送制御装置。
【請求項9】
警察への通報を要請するための非常ボタンが接続されて警備先に設置された通報端末と、監視センタに設置された警備サーバと接続される転送制御装置で実行される通報方法であって、
前記転送制御装置は、受信手段と、通報手段と、特定手段と、逆電接続手段とを備え、
前記受信手段が、監視センタに設置された警備サーバから、警察への通報を要請するための非常ボタンが警備先で押下された場合に送信されるデータであって、前記警備先を識別するための警備先識別情報を示し警察への通報を指示する指示データを受信する受信ステップと、
前記通報手段が、前記受信手段が受信した前記指示データに従って、警察の有する第1電話端末を発呼して、警察への通報を行う通報ステップと、
前記特定手段が、前記受信手段が受信した前記指示データによって示される前記警備先識別情報に対応付けられて記憶手段に記憶されている電話番号を特定する特定ステップと、
前記逆電接続手段が、前記特定手段が特定した前記電話番号が割り当てられた第2電話端末を発呼して、警察から逆電が行われることにより前記第1電話端末から発呼された場合に前記第1電話端末と前記第2電話端末とを接続させる逆電接続ステップとを含む
ことを特徴とする通報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60398(P2012−60398A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201346(P2010−201346)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【出願人】(509273112)綜警情報システム株式会社 (4)
【Fターム(参考)】