説明

通気式注入アクセス装置

注入容器と接続する通気式注入アクセス装置100,200,300を備えた有毒物質にアクセスする装置である。アクセス装置100,200,300には、注入容器と接続する複数の管腔のスパイク、注入容器にアクセスするコネクタ手段102,202,302、及び通気手段208,308が設けられている。装置には、アクセス中、有毒物質への暴露を防止するか又は排除する一方で、注入容器の有毒物質を安全に提供及び/又は注入容器の有毒物質に安全にアクセスする一方向のチェック弁320が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有毒物質を収容することができる注入容器にアクセスするための装置に関するものである。その装置は、注入容器と接続する通気式注入アクセス装置(vented infusion access device)を備えている。その装置には、注入容器と接続するスパイク(spike)が設けられている。そのスパイクは、流体にアクセスし、流体を送達し、通気するために少なくとも二つの管腔を備えている。
【背景技術】
【0002】
医療産業では、医療要員は細胞障害性の薬物(cytotoxic drugs)を日常的に取り扱うことが必要とされている。ある細胞障害性の薬物は、化学療法の細胞増殖抑制剤(cytostatic chemotherapy agents)である。もし、細胞増殖抑制剤及び抗生物質(antibiotics)が吸い込まれたり、肌に晒されたりしたならば、健康問題を引き起こすかもしれないと一般には信じられている。暴露及び吸飲は、細胞増殖抑制剤の取り扱いの間、作業環境の中での漏れや、エアロゾル化、気化を通じて行われるかもしれない。
【0003】
注入セットによって薬物を投与するときには、注入容器の内容物にアクセスするのにスパイクを使用するのが習慣である。多くの場合では、スパイクが注入容器の隔膜に穴を開ける時、スパイクがシールを十分に作り出す前に、流体が漏洩する。このため、ほとんどの注入容器の使用によって、床が滑りやすくなる。そして、もし内容物が有毒であるならば実行者に深刻な健康リスクをもたらすだろう。この問題に対処するために、有毒な薬物をスパイクのアクセスポートを通じて注入内容物に加えることができるように、ポートがあるスパイク(ported spike)が、通常、注入容器の中の有毒な溶液にアクセスするのに利用されている。しかしながら、注入容器へのアクセス中の、有毒物質に対するヘルスケア提供者の予防は、適切に対処されていない。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態においては、通気式注入アクセス装置が提供されている。その装置は、開口末端と、注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている突出する開口前端とを有するハウジングを備えている。アクセス管腔、送達管腔及び通気管腔がスパイクの内部に位置し、管腔のそれぞれが、スパイクの末端と近接した開口を備えている。コネクタ手段が、ハウジングに位置し、コネクタ手段及びアクセス管腔は、第1流路を提供している。送達管腔及び開口末端は、第2流路を提供している。チェック弁がハウジングに位置し、チェック弁及び通気管腔は、第3流路を提供している。第1流路、第2流路及び第3流路は互いにそれぞれ隔離されている。
【0005】
別の実施形態においては、有毒物質を注入容器へ送達及び/又は注入容器から有毒物質にアクセスする方法も提供されている。その方法は、注入容器に送達され、又は注入容器からアクセスされる有毒物質を提供すること及び通気式注入アクセス装置を提供することを備えている。その注入アクセス装置は、開口末端及び注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている前端とを有するハウジングを備えている。アクセス管腔、送達管腔及び通気管腔がスパイクの内部に位置し、管腔のそれぞれがスパイクの末端と近接した開口を備えている。コネクタ手段が、ハウジングに位置し、コネクタ手段及びアクセス管腔は、第1流路を提供している。送達管腔及び開口末端は、第2流路を提供している。チェック弁がハウジングに位置し、チェック弁及び通気管腔は、第3流路を提供している。第1流路、第2流路及び第3流路は互いにそれぞれ隔離されている。スパイクによる注入容器の貫通により、管腔の開口は注入容器の内部にある。アクセス管腔及び/又は送達管腔により、有毒物質を注入容器へ送達及び/又は注入容器から有毒物質にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明にかかる注入アクセス装置の斜視図。
【図2】図1の注入アクセス装置の別の角度から見た斜視図。
【図3】図1の注入アクセス装置の断面図。
【図4】本発明にかかる注入アクセス装置の斜視図。
【図5】図4の注入アクセス装置の断面図。
【図6】本発明にかかる注入アクセス装置の斜視図。
【図7】図6の注入アクセス装置の断面図。
【図8】図6の注入アクセス装置の別の角度から見た断面図。
【図9】取り付けられたメスの針無し弁及び通気チェック弁を備えた図6の注入アクセス装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
通気式注入アクセス装置は、注入容器への接続と注入容器の内容物へのアクセスができるようにする。そのアクセス装置は、環境での薬物の暴露を防止するか、又は排除する。
【0008】
ここで開示された通気式注入アクセス装置は、有害な薬物を送達することが意図された注入バッグ及び注入ボトルに対する解決策を提供する。通気式注入アクセス装置は、薬物を加える前に最初に注入容器の中に挿入される。その装置は、例えば、濃縮された形では、有害な薬物の安全な取り扱いを提供する。流体が注入容器から漏洩するおそれがある一方で、注入容器の隔膜に穴が開けられるとき、薬物が存在しない注入流体は、一般には、毒性はない。有害な薬物への暴露を防止するか又は排除する一方で、通気式注入アクセス装置の針無し弁(needle-free valve)を通じて、有害物質を注入バッグ又は注入ボトルに加えることができる。
【0009】
有毒な薬物を注入容器の中に混合した後、I.V.投与セット(注入キット)のような第2装置を通気式注入アクセス装置のハウジングの末端の中に挿入してもよい。第2装置が通気式注入アクセス装置のハウジングの内部の膜に穴を開ける前に、通気式注入アクセス装置先端の入口の環状リングシールにより、第2装置のシール係合が得られる。このようにして、通気式注入アクセス装置のハンドルの膜に穴が開けられると、有毒な流体は通気式注入アクセス装置のハウジングの内側に収容されて残留する。
【0010】
ある実施形態においては、通気式注入アクセス装置は、二つの管腔を備えるスパイクを包含する。一つは患者に流すための送達管腔であり、もう一つは、注入容器(特に、壊れない注入ボトルの場合)からより高速に流すことができるようにするために通気し、注入容器に薬物を加えるためのアクセス管腔である。アクセス管腔は、薬物が患者に送達されるときに、薬物を注入容器の内側の空気と置換できるようにする疎水性フィルター膜付きチェック弁アセンブリと流体連通していてもよい。二つの管腔は、装置の内部で二つの隔離された流路を提供する。
【0011】
別の実施形態においては、通気式注入アクセス装置は、三つの管腔を備えるスパイクを包含する。管腔は、患者に流すための送達管腔、注入容器に薬物を加えるためのアクセス管腔及び任意のフィルター付き管内チェック弁を備えた通気管腔を包含している。通気管腔は、メスの針無し弁があるポートを通じてアクセス管腔に薬物を注入することによって発生する高圧のスパイクが、疎水性フィルター及びチェック弁が過剰に高圧になって漏洩することを引き起こしうる弁/フィルターに直接感じないことを確実にするために、コネクタ手段/アクセス管腔流路から疎水性フィルター/チェック弁ポートを分離している。三つの管腔は装置の内部で三つの隔離された流路を提供する。
【0012】
ここで使用される“流体(fluid)”という用語は、気体、液体又は気体と液体が組み合わさったものについて言及するものである。
【0013】
“注入容器(infusion container)”という用語は、I.V.バッグ、I.V.ボトル、血液バッグ及び同等の物について言及するものである。“注入容器(infusion container)”は、流体のくも膜下腔投与用の容器も包含している。
【0014】
“注入コネクタ(infusion connector)”という用語は、注入容器にアクセスする装置について言及するものであり、例えば、スパイク、先が尖っていないカニューレ、オスのルアーコネクタ及びメスのルアーコネクタを包含している。
【0015】
ハウジングを備える通気式注入アクセス装置が提供されている。そのハウジングは、プラスチック構造であるか、又は、細胞障害性の薬物及び他の有害材料のような物質からの化学的攻撃に耐えるように設計された一つ以上の材料から加工されていてもよい。材料は、例えば、熱可塑性物質、エンジニアリング熱可塑性物質、充填剤入り又は充填剤なし、及び複合材料を包含する。熱可塑性物質は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、環状オレフィン系共重合体(COC’s)、及びポリカーボネート(PC)のような材料を包含する。ハウジングは、疎水性フィルター媒体付きチェック弁アセンブリを介して通気式で、かつ、一方向の流れポートを組み込んでいる。その通気口によってのみ、フィルターを通過した空気をそのシステムの中へ入れることができ、注入容器から移された薬物と置換することができる。これにより、より高速な流れになる。このことは、バッグに対抗するような注入ボトルを使用するときに、特に役に立つ。
【0016】
装置のハウジングは、スパイクとして終端となっている前端を包含する。そのスパイクは、ハウジングと一体化し、かつ、薬物容器と連通する開口を提供してもよい。スパイクは、それらの両方が、スパイクの先端と近接して開口し、互いに独立して機能する少なくとも二つの管腔を包含してもよい。それらの管腔の開口は、スパイクの先端やスパイクの側面にあってもよいし、あるいは、一つの管腔の開口がスパイクの先端にあり、かつ、別の管腔の開口がスパイクの側面にあってもよい。スパイクの先端と近接する管腔の開口の相対的な位置は、同じであってもよいし、あるいは、異なっていてもよい。スパイクは、プラスチック、金属又は複合材料で構成されてもよい。スパイクは、注入容器の外枠に容易に穴が開けられるように設計されていてもよい。スパイクの開口端は、外枠又は他の注入容器のアクセス部材への挿入を容易にするように先が尖っており、及び/又は、斜めになっていてもよい。
【0017】
スパイクの管腔は複数の流路を提供する。少なくとも一つの流路は、大気と一方向の連通を提供する。一方向の流体連通は、チェック弁のような流体の流れを制限できるいかなる手段によって達成してもよい。有毒な物質の漏れを防止する一方で、流路は、装置及び注入容器の中に空気の一方向の流れを提供する管腔の一つと協働関係をもって配置されたチェック弁と連通していてもよい。
【0018】
装置の使用中、圧力が増加するのを防止するか又は排除するように、チェック弁が低圧のクラッキング圧(cracking pressure)を有することが好ましい。クラッキング圧は、2psi未満、1psi未満あるいは0.5psi未満であることが好ましい。チェック弁は、有毒な媒体が環境に放出されることを防止するために、逆方向に僅かに漏れる特性を有していてもよい。チェック弁は、例えば、“ダックビル(duck bill)”型又は“アンブレラ(umbrella)”型を包含する。他の様々な型のチェック弁は、例えば、“トップハット(top hat)”型、“ダブルダックビル(double duck bill)”型、“アンブレラ(umbrella)”型、“フラットディスク(flat disc)”型等を使用してもよい。例えば、ガラス製の注入ボトルとともに使用されるときには、チェック弁フィルターの使用により、通気式注入アクセス装置を通じて流速が大きく改善されるかもしれない。通気無しで、流体が流出する同一の管腔を通じて流体を置換するボトルの中へ空気が引き込まれなければならない。このことは、流速を大幅に減少させ、かつ、患者に薬物を送達するのに必要な時間を増加させる。例として、ここで開示された3つの管腔の設計は、注射器ポート及びその流路とは隔離されている通気管腔を利用するものである。これにより、薬物のバッグへの注入によって疎水性フィルター/チェック弁アセンブリが過剰な圧力状態になる可能性を減少させる。
【0019】
流路とチェック弁の連通は、薬物容器の内容物の汚染を回避するためにフィルターを通してもよい。この配置では、注入容器の内容物が汚染のない大気圧条件下でアクセスされ、かつ/又は回収されてもよい。フィルターをチェック弁と協働関係をもって配置してもよい。フィルターは、装置又はその構成要素の全体の大きさと釣り合いがとれる大きさにする。フィルターは、チェック弁と協働するような大きさに形成されたディスク型又は他の大きさのものであってもよい。ディスクは、その一面又は両面に疎水性の表面を有していてもよい。フィルターは、1.0、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1ミクロンの大きさの小さな孔を有していてもよい。しかしながら、より大きい、又はより小さい大きさの孔を有するフィルターを使用してもよい。通気式フィルターは、スパイクの流路及びフィルター媒体が湿るのを防止する周辺領域と連通した疎水性の表面を包含してもよい。この通気式フィルターは、装置の使用中、圧力を均一にする適切な能力を確保する。複数のフィルターを使用してもよい。フィルターの型及び大きさの選択により、適切な表面領域を与え、かつ、通常使用下で装置に迅速で効果的に通気することを直ちに決定してもよい。
【0020】
ハウジングは、スパイクの流路のうち少なくとも一つを介して注入容器にアクセスするコネクタ手段を包含する。コネクタ手段は、流路とスパイクの管腔との2方向での連通を与えてもよい。注入容器とシール可能に連通する一方で、注入容器からシリンジや他の装置を使用して流体の導入又は回収をすることができる。コネクタ手段と流路や管腔との流体連通は、フィルターを通してもよい。コネクタ手段は、注入容器への一方向の流体の導入のみができるようにするチェック弁を含めてもよい。コネクタ手段は、シールされた隔膜又は、注入容器に流体を導入する装置を受け入れることができるように同様に構成された弁を備えるハウジングに組み込まれていてもよい。導入装置は、針、スパイク、先が尖っていないカニューレ、オスのルアーコネクタ又は同様の装置であってもよい。コネクタ手段は、例えば針、カニューレ、先の尖っていない針又はスパイクによって貫通できる隔膜を含むコネクタを備えていてもよい。例として、コネクタ手段は、針無しアダプタ、予めスリットが設けられた隔膜(pre-slit septum)又は貫通できる隔膜を包含する。針無しアダプタは、メスのルアーを機能させる二方向のアダプタ又はオスのルアーアダプタであってもよい。針無しアダプタをハウジングに固定してもよい。技術分野で公知の様々な針無しアダプタは、例えば、CLAVE(登録商標)、SMARTSITE(登録商標)、POSIFLOW(登録商標)、BIONECTOR(登録商標)及びCLEARLINK(登録商標)等のような通気式注入アクセス装置ハウジングに適合させることができる。ここで述べた注入アクセス装置と組み合わせた針無しアダプタは、注入容器の外枠を通しての流体の導入及び/又は回収のための注入容器へのアクセスを提供する。従って、針無しアダプタの自己シールによってアクセス及び/又は回収するための有害物質事故への暴露を排除すること又は減少させることができ、さらに、無針の操作を提供する。コネクタ手段は、直ちに利用できるほとんどのシリンジや他のオスのルアー装置と互換性があることが好ましい。メスの針無し弁は、ハウジングと直接一体化していてもよく、構成要素を除去できるようにしたり、製造が簡単にできるようになっていてもよい。
【0021】
ハウジングはハンドルからなっていてもよい。ハンドルは、使用者にグリップ固定を容易にする人間工学的機構を含めてもよい。ハウジングは、1品構成物であっても多物品構成物であってもいずれでもよい。スナップ式の機構や干渉要素と対となるようなハウジングの組み立て手段を与えてもよい。
【0022】
ハウジングは、末端に内側の環状リングのようなプレアクセスシール(pre-access seal)を含めてもよい。プレアクセスシールは、対になる注入コネクタと締まり嵌めがなされてもよい。
【0023】
ハウジングは、膜を含めてもよい。膜は、ハウジングの開口末端と前端の間に位置していてもよい。膜は、膜に穴を開ける注入スパイクのような第2装置より先に、漏れの防止又は排除を提供してもよい。
【0024】
ハウジングはハウジングの末端に位置する一体化したキャップを含めてもよい。キャップは、ハウジングの末端で接触汚染を防止するか又は排除してもよく、そして/又は、例えば、注入セットがハウジングの末端と対になるまで、ハウジングの末端を覆った状態にしてもよい。ハウジングの末端において、リビングヒンジがついたカバー(living hinged cover)と一緒にプレアクセスシールを使用すれば、システムにおいて有毒流体が環境に漏れる可能性は、減少するか又は排除されるだろう。チェック弁フィルターとここで開示された装置のメスのルアーポートと接続されたメスの針無し弁とを連結すれば、環境に漏れる有毒流体は減少するか又は排除されるだろう。
【0025】
図を参照して様々な実施形態を説明する。図1は、注入容器(例えば、バッグやボトル)からの流出のためのアクセス管腔101と、送達管腔105を経由して注入容器に薬物を加えることができるハウジング111のコネクタ手段(例えば、メスのポート)102とからなるここで開示された装置の実施形態を示す。ハンドル112にはグリップ領域(grip areas)103と、使用する前の接触汚染を排除するか又は防止するために、リビングヒンジ(living hinge)119によってハウジングと接続されたキャップ104を織り込んでいる。ハンドルは、内部傾斜機構(internal ramp features)114を有するハウジングに固定して取り付けられてもよい。キャップ104は、ハンドル112と接続されたリビングヒンジ119において、可逆的に曲がる。
【0026】
図2は、前述した実施形態の別の角度から見た図を示す。この図では、針無し弁(図示せず)からスパイク(spike)を介して注入容器に薬物を注入するための送達管腔105を示す。キャップ104は、滅菌用の通気口(vents)113を備えていてもよい。
【0027】
図3は、前述した実施形態の断面図を示す。この図では、送達管腔105及びアクセス管腔101の流路それぞれを示す。貫通可能膜(penetrable membrane)106は、ハウジングの末端と前端の間のハウジングの内側に位置している。テーパ領域(tapered area)107により、第2の貫通できる装置をシール可能に受け入れることができる。環状の締まり嵌め(annular interference)110は、ハンドル112とハウジング111の間のシールを作り出す。環状領域(annular area)115は、ハンドル112をハウジング111に固定して取り付ける手段を備えていてもよい。固定手段を備える環状の締まり嵌め110で接着剤又は他の固定剤を使用してもよい。
【0028】
図4は、通気式注入アクセス装置(vented infusion access device)200を示す。通気ポート(venting port)208は、アクセス管腔205と流体連通して提供される。アクセス管腔205と流体連通するコネクタ手段202を、注入容器に薬物を加えるのに使用してもよい。
【0029】
図5は、流路(channel)209が結合手段202と通気ポート208の両方に流体連通を提供する装置200の断面図を示す。貫通可能膜206は、ハウジングの末端と前端の間のハウジングの内側に位置している。環状の締まり嵌め210は、ハンドル212とハウジング211の間のシールを作り出す。環状領域215は、ハンドル212をハウジング211に固定して取り付ける手段を備えていてもよい。アクセス管腔205及びコネクタ手段202は、第1流路を規定している。送達管腔201及び貫通可能膜206は、第2流路を規定している。第1流路及び第2流路は、互いに隔離されている。
【0030】
図6乃至図8は、通気式注入アクセス装置300を示す。送達管腔301は、患者への薬物送達ができるようにする。アクセス管腔305は、注入容器へ薬物を加えることができるようにする。通気管腔316は、通気ができるようにする。疎水性フィルター325付きチェック弁320は、通気ポート308の中に位置している。
【0031】
アクセス管腔305及びコネクタ手段302は、第1流路を規定している。送達管腔301及び貫通可能膜306は、第2流路を規定している。チェック弁320を含む通気管腔316及び通気ポート308は、第3流路を規定している。第1流路、第2流路及び第3流路は互いに隔離されている。
【0032】
ハンドルの保持機構(retaining feature)315及びハウジングの保持傾斜部(retaining ramp)314は、組み立てのために提供される。キャップ304は、ハンドル312と接続されたリビングヒンジ319において可逆的に曲がる。キャップの内部テーパ317は、キャップを固定するハンドル312のハウジングの末端テーパ318にカチッと嵌め込む。
【0033】
図9は、ハウジング311と一体化した疎水性フィルター/チェック弁アセンブリ320a及びコネクタ手段302と接続されたメスの針無し弁321を有する装置300を示す。
【0034】
ここで開示したような通気式注入アクセス装置によって注入による投与をするときには、通気式注入アクセス装置は、注入流体を収容しているバッグやボトルのような注入容器に、通常は最初に接続される。ハウジングの開口末端及び膜の貫通を介した注入容器によるアクセスの際には、貫通可能膜及びその後の送達管腔によって規定された流路は、注入流体で満たされている。注入容器に投与される薬物を装填でき、対応して対になる手段を有する注射器(図示せず)は、コネクタ手段と接続されている。注射器はチェック弁によって適切に通気するとともに、注入容器の内容物へのアクセスを提供している。その後、注射器を、注入容器の内容物への暴露がほとんどないか又は全くないように回収してもよい。注入容器の内容物を混ぜ合わせ、例えば、注入キットを使用した通気式注入アクセス装置の末端と接続した後、注入を開始することができる。
【0035】
上述した通気式注入アクセス装置は、通常、組み立てられた形で、又はキットとして供給される。そして、通気式注入アクセス装置を滅菌することができる。ここで使用される“通気式注入アクセス装置(vented infusion access device)”という用語は、部分的又は完全に分解された形で、その範囲内で通気式注入アクセス装置の要素を包含することが意図されている。通気式注入アクセス装置又はキットは、針無しアダプタを含めてもよい。その針無しアダプタは、分離しているか、所望のコネクタ手段に固定されているか、あるいは、取り外せないように取り付けられていてもよい。
【0036】
ここで使用されるように、“からなる(comprising)”,“含む(including)”,“包含する(containing)”,“特徴とする(characterized by)”及び文法的にそれらと等しいものは、追加の、列挙されていない要素や方法工程を排除しない、包括的又は制約のない用語である。“からなる(comprising)”は、“で構成される(consist of)”及び“で本質的に構成される(consisting essentially of)”というさらに制限的な用語を包含するように解釈されるべきである。ここで使用されるように、“で構成される(consist of)”及び文法的にそれと等しいものは、請求項で特定されていないいかなる要素、工程又は成分も排除する。
【0037】
ここで使用されるように、“で本質的に構成される(consisting essentially of)”及び文法的にそれと等しいものは、特定された材料又は工程に対する請求項と、基本的かつ新規な特徴又は請求の範囲に記載されている発明の特徴に著しく影響を与えない請求項の範囲を限定する。
【0038】
本発明は、それの特徴的な実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更や改良がなされるのは当業者にとって明白であろう。
【符号の説明】
【0039】
101,205,305 アクセス管腔
102,202,302 コネクタ手段
103 グリップ領域
104,204,304 キャップ
105,201,301 送達管腔
106,206,306 貫通可能膜
107,207,307 テーパ領域
110,210 環状の締まり嵌め
111,211,311 ハウジング
112,212,312 ハンドル
113 通気口
114 内部傾斜機構
115,215 環状領域
119,219,319 リビングヒンジ
100,200,300 通気式注入アクセス装置
208,308 通気ポート
209 流路
314 保持傾斜部
315 保持機構
316 通気管腔
317 内部テーパ
318 末端テーパ
320 チェック弁
320a 疎水性フィルター/チェック弁アセンブリ
321 メスの針無し弁
325 疎水性フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口末端と、注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている前端とを有するハウジングと、
前記スパイクの内部に位置し、前記スパイクの末端と近接した開口を備えるアクセス管腔、送達管腔及び通気管腔と、
前記ハウジングに位置し、前記アクセス管腔とともに第1流路を提供するコネクタ手段と、
前記送達管腔と前記開口末端を備える第2流路と、
前記ハウジングに位置し、前記通気管腔とともに第3流路を提供するチェック弁と
を備え、
前記第1流路、前記第2流路及び前記第3流路が互いにそれぞれ隔離されていることを特徴とする通気式注入アクセス装置。
【請求項2】
前記ハウジングの開口末端と前端の間の前記ハウジングに位置する貫通可能膜をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項3】
前記コネクタ手段が隔膜を含むコネクタであることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項4】
前記コネクタ手段が針無し弁コネクタであることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項5】
前記開口末端が注入コネクタを受け入れることに適合していることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項6】
前記チェック弁が疎水性フィルターをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項7】
前記開口末端で接続され、前記開口末端を着脱可能に覆うキャップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項8】
前記キャップが前記開口末端で接続されていることを特徴とする請求項7に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項9】
前記ハウジングの末端で注入コネクタをシール可能に受け入れるシールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項10】
開口末端と、注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている前端とを有するハウジングと、
前記スパイクの内部に位置し、前記スパイクの末端と近接した開口を備えるアクセス管腔及び送達管腔と、
前記ハウジングに位置し、前記アクセス管腔とともに、通気を提供する前記ハウジングに位置するチェック弁と流体連通する第1流路を提供するコネクタ手段と、
前記送達管腔及び前記開口末端を備える第2流路と
を備え、
前記第1流路及び前記第2流路が互いにそれぞれ隔離されていることを特徴とする通気式注入アクセス装置。
【請求項11】
前記ハウジングの開口末端と前端の間の前記ハウジングに位置する貫通可能膜をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項12】
前記コネクタ手段が隔膜を含むコネクタであることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項13】
前記コネクタ手段が針無し弁コネクタであることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項14】
前記開口末端が注入コネクタを受け入れることに適合していることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項15】
前記チェック弁が疎水性フィルターをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項16】
前記開口末端で接続され、前記開口末端を着脱可能に覆うキャップをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項17】
前記キャップが前記開口末端で接続されていることを特徴とする請求項16に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項18】
前記ハウジングの末端で注入コネクタをシール可能に受け入れるシールをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の通気式注入アクセス装置。
【請求項19】
注入容器に送達され、又は注入容器からアクセスされる有毒物質を提供し、
前記注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている前端と、開口末端とを有するハウジングと、
前記スパイクの内部に位置し、前記スパイクの末端と近接した開口を備えるアクセス管腔、送達管腔及び通気管腔と、
前記ハウジングに位置し、前記アクセス管腔とともに第1流路を提供するコネクタ手段と、
前記送達管腔及び前記開口末端を備える第2流路と、
前記ハウジングに位置し、前記通気管腔とともに第3流路を提供するチェック弁と
を備え、
前記第1流路、前記第2流路及び前記第3流路が互いにそれぞれ隔離されている、通気式注入アクセス装置を提供し、
前記管腔の開口が前記注入容器の内部にあるように前記スパイクにより前記注入容器を貫通し、
前記アクセス管腔及び/又は前記送達管腔を介して、前記有毒物質を前記注入容器へ送達及び/又は前記注入容器から前記有毒物質にアクセスすることを特徴とする方法。
【請求項20】
注入容器に送達され、又は注入容器からアクセスされる有毒物質を提供し、
前記注入容器にアクセスすることができるスパイクとして終端となっている前端と、開口末端とを有するハウジングと、
前記スパイクの内部に位置し、前記スパイクの末端と近接した開口を備えるアクセス管腔及び送達管腔と、
前記アクセス管腔とともに前記アクセス管腔の通気を提供する前記ハウジングに位置するチェック弁と流体連通する第1流路を提供する前記ハウジングに位置するコネクタ手段と、
前記送達管腔及び前記開口末端を備える第2流路と
を備え、
前記第1流路及び前記第2流路が互いにそれぞれ隔離されている、通気式注入アクセス装置を提供し、
前記管腔の開口が前記注入容器の内部にあるように前記スパイクにより前記注入容器を貫通し、
前記アクセス管腔及び/又は前記送達管腔を介して、前記有毒物質を前記注入容器へ送達及び/又は前記注入容器から前記有毒物質にアクセスすることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−536085(P2009−536085A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510103(P2009−510103)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/068270
【国際公開番号】WO2007/131183
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507028619)インドゥストリー・ボルラ・ソシエタ・ペル・アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】Industrie Borla S.p.A.
【Fターム(参考)】