説明

通水試験装置

【課題】通水試験の作業効率を高め、労力の軽減を図り、配管への給水量を正確に把握し、設備工事の信頼性を高める。
【解決手段】本発明は、検査対象の配管内に通水して該配管からの漏水の有無を検査するための通水試験装置10であって、水を貯留する貯水タンク13と、貯水タンク13内の水を圧送して前記配管内に給水するポンプ14と、ポンプ14からの給水量を検出する流量センサー27と、ポンプ14からの給水量を所定量に設定するリモートコントローラ17と、流量センサー27により検出された給水量がリモートコントローラ17により設定された所定量に達すると判断した時にポンプ14を停止させる制御器42とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の配管内に通水して該配管からの漏水の有無を検査するための通水試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の空調設備工事や給排水衛生設備工事の最終施工段階において、空調機のドレン配管や衛生設備の排水管からの漏水の有無を検査するために通水試験が行われる。
【0003】
従来のこの種の通水試験を行うための装置としては、例えば、空調機の側面に接続された排水接続口の開口にロート状の給水口を装着し、ペットボトル等の容器内に入れた水をこの給水口から注いでドレン管の通水試験を行う容器給水方式の通水試験装置や(例えば、特許文献1参照)、或いは貯水容器に設置したバスポンプ等によって該貯水容器内の水を圧送して空調機に注ぎ、該空調機のドレン管の通水試験を行うポンプ給水方式の通水試験装置などが知られている。
【特許文献1】特開平5−79652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の容器給水方式の通水試験装置では、水を入れた容器を複数用意し、各容器内の水をそれぞれ給水口からドレン管内に注ぐ必要があるため、作業効率が悪いと共に、多大な労力が掛かるといった問題があった。特に、天井内等の高所に設置されたドレン管に対して通水試験を行う場合には、作業員が脚立等の足場を何度も登り降りする必要があるため、この問題は深刻であった。
【0005】
また、上記した従来のポンプ給水方式の通水試験装置においても、通水試験を行う際に、バスポンプを操作する作業員と空調機に水を注ぐ作業員の少なくとも2人の作業員が必要となるため、同様に、作業効率が悪く、多大な労力が掛かるといった問題があった。
【0006】
さらに、通水試験の仕様書では、所定流量の水を試験対象の配管内に流すように規定されているが、容器給水方式の通水試験装置では、通水量を正確に把握するのが難しく、また、上記した従来のポンプ給水方式の通水試験装置では、バスポンプからの給水量を把握することができないため、作業員の経験や感覚によって配管内に通水せざるを得ず、通水作業が作業員の熟練度に依存しがちであった。したがって、仕様書に準拠した通水試験を確実に行うことが難しく、設備工事の信頼性を高めることができないといった問題があった。
【0007】
本発明は上記した課題を解決すべくなされたものであり、通水試験の作業効率を高め、労力の軽減を図り、配管への給水量を正確に把握することができ、設備工事の信頼性を高めることのできる通水試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、検査対象の配管内に通水して該配管からの漏水の有無を検査するための通水試験装置であって、水を貯留する貯水タンクと、該貯水タンク内の水を圧送して前記配管内に給水するポンプと、前記ポンプからの給水量を検出する流量センサーと、前記ポンプからの給水量を所定量に設定するリモートコントローラと、前記流量センサーにより検出された給水量が前記リモートコントローラにより設定された所定量に達すると判断した時に前記ポンプを停止させる制御器とを備えていることを特徴とする。
【0009】
そして、前記貯水タンクは2つの貯水容器をホース及びワンタッチカプラで連結することにより一体に設けられているのが好ましい。
【0010】
また、前記制御器と、前記ポンプを駆動するためのバッテリーと、該バッテリーを充電するための充電器と、前記バッテリーの電圧を変換するためのコンバータとを一体に収納する制御ボックスを備えているのが好ましい。
【0011】
さらに、前記流量センサーは前記ポンプの吐出管に取り付けられ、該吐出管と前記ポンプ及び流量センサーによりポンプユニットが構成されているのが好ましい。
【0012】
さらにまた、前記流量センサーの下流側には所定の長さを有するホースが着脱可能に設けられ、該ホースの先端に開閉バルブ及びノズルが取り付けられ、前記ホースと前記開閉バルブ及びノズルにより注水ユニットが構成されているのが好ましい。
【0013】
さらに、前記リモートコントローラは前記制御器に有線接続されており、前記ポンプからの実際の給水量を目視で確認可能な実際給水量表示部と、前記ポンプを始動させるための運転操作部と、前記ポンプからの給水量を設定するための給水量設定部とを備えているのが好ましい。
【0014】
さらに、上記した各部品が台車に取り付けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通水試験の作業効率を高めると共に、労力の軽減を図ることができる。また、通水試験において配管への給水量を正確に把握することができるため、設備工事の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る通水試験装置を示す模式図、図2は同実施の形態に係る通水試験装置を示す斜視図、図3は同実施の形態に係る通水試験装置の貯水タンクを示す平面図、図4は同実施の形態に係る通水試験装置のポンプユニットを示す正面図、図5は同実施の形態に係る通水試験装置のポンプの給水性能を示す図、図6は同実施の形態に係る通水試験装置の注水ユニットを示す平面図、図7は同実施の形態に係る通水試験装置の制御ボックス(蓋を開放した状態)を示す平面図、図8は同実施の形態に係る通水試験装置のリモートコントローラを示す平面図である。
【0017】
この通水試験装置10は、台車11上に支持フレーム12を介して載置される貯水タンク13と、貯水タンク13内の水を圧送して検査対象の配管内に給水するポンプ14を有するポンプユニット15と、ポンプ14を制御する制御器42を有する制御ボックス16と、制御器42を操作するためのリモートコントローラ17とを備えて構成されている。
【0018】
支持フレーム12は、例えばアルミ製で、貯水タンク13の載置部18の下方に制御ボックス16を収容可能なように形成されており、台車11上に固定されている。
【0019】
貯水タンク13は、図3に良く示されているように、例えば合成樹脂製の雨水タンクから成る2つの貯水容器19,20をホース21及びワンタッチカプラ22で連結することにより一体に形成されている。そして、貯水容器19,20の容量は、それぞれ50リットル程度の同一容量にしたり、或いはそれぞれ異なる容量にしたりしてもよく、いずれか一方又は両方のタンクを変更することにより貯水量を任意に増減させることができる。また、いずれか一方の貯水容器19には水位計23が設置されており、水位計23は貯水タンク13の外部から貯水タンク13の水位を目視可能なように取り付けられている。
【0020】
図4に示すように、ポンプ14はいずれか一方の貯水容器19の内部において架台24上に搭載された水中ポンプであり、例えば図5に示すような給水性能を備えている。そして、このポンプ14の吐出管25にはポンプ14側から順次、逆止弁26、流量センサー27が取り付けられ、この逆止弁26及び流量センサー27が、ポンプ14の電源ケーブル28や流量センサー27の制御ケーブル29と共に、架台24上に立設された棒状部材30に支持されてポンプユニット15が構成されている。
【0021】
流量センサー27の下流側(図4では上方)には、所定の長さを有するホース31(例えば、内径10mm、外径16mm)が着脱可能に設けられ、このホース31の先端に開閉バルブ32及びなまし銅管製ノズル33(例えば、内径6mm、外径8mm)が取り付けられ、図6に示されているように、ホース31と開閉バルブ32及びノズル33によって注水ユニット34が構成されている。
【0022】
図7に示されているように、制御ボックス16には、制御器42であるマイコンの他に、ポンプ14を駆動するためのバッテリー35と、バッテリー35を充電するための充電器36と、バッテリー35の電圧を変換するためのAC/DCコンバータ37、ACコードリール43とが一体に収納されており、制御ボックス16は貯水タンク13の載置部18の下方において台車11上に固定される。また、制御ボックス16には、バッテリー35の電圧を監視し、この電圧が所定値以下に低下した時に警報を発する機能を備えており、これにより過放電によるバッテリー35の破損を防止することができる。
【0023】
リモートコントローラ17は、制御器42に有線接続されており、図8に良く示されているように、縦方向に順次、実際給水量表示部38、運転操作部39、給水量設定部40、及びリセット操作部41が配設されて構成されている。実際給水量表示部38は、10個のLED(Light-Emitting Diode)が連続して並設されることにより構成され、ポンプ14からの実際の給水量を目視で確認可能となっている。また、運転操作部39は赤色釦により構成され、押下することによりポンプ14を始動可能となっている。さらに、給水量設定部40はダイヤル方式であり、予め設定された流量(例えば、0.5,1,3,5リットル)にダイヤルを合わせることによりポンプ14からの給水量を設定可能となっており、リセット操作部41は白色釦により構成され、押下することによりポンプ14を再起動可能となっている。
【0024】
次に、上記した本発明の実施の形態に係る通水試験装置10の作用について説明する。
【0025】
先ず、通水試験の作業員が台車11を手押しして通水試験装置10を検査対象の配管の工事場所に移動させる。そして、リモートコントローラ17の給水量設定部40を所望な流量に合わせた上で、注水ユニット34のホース31を流量センサーの下流側に装着し、作業員はリモートコントローラ17を保持しながらノズル33の先端を前記配管の給水箇所に挿入し、開閉バルブ32を開放する。
【0026】
この状態で、作業員がリモートコントローラ17の運転操作部39を押下すると、ポンプ14が始動する。ポンプ14は、貯水タンク13内の水を圧送し、所定量の水を吐出管25、ホース31及びノズル33を介して前記配管内に供給する。この時、制御器42は流量センサー27により検出された給水量が給水量設定部40により設定された流量に達すると判断した時にポンプ14を停止させる。また、この時、作業員はポンプ14から実際に給水されている流量を実際給水量表示部38によって目視で確認しながら通水することも可能である。
【0027】
このように上記した本発明の実施の形態に係る通水試験装置10によれば、作業員の熟練度に拘らず、仕様書に規定されている所定流量の水を前記配管内に正確に供給することができるため、仕様書に準拠した通信試験を確実に実施することができ、設備工事の信頼性を高めることができる。
【0028】
また、上記した一連の通水作業を1人の作業員で一度に行うことができるため、作業効率を高めることができると共に、通水作業の労力を大幅に軽減することができるといった効果を得ることができる。そして、このような効果は、前記配管が天井内等の高所に設置されている場合には特に顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る通水試験装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通水試験装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通水試験装置の貯水タンクを示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通水試験装置のポンプユニットを示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る通水試験装置のポンプの給水性能を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る通水試験装置の注水ユニットを示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る通水試験装置の制御ボックスを示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る通水試験装置のリモートコントローラを示す平面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 通水試験装置
11 台車
13 貯水タンク
14 ポンプ
15 ポンプユニット
16 制御ボックス
17 リモートコントローラ
19,20 貯水容器
21 ホース
22 ワンタッチカプラ
25 吐出管
27 流量センサー
31 ホース
32 開閉バルブ
33 ノズル
34 注水ユニット
35 バッテリー
36 充電器
37 コンバータ
42 制御器
38 実際給水量表示部
40 給水量設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の配管内に通水して該配管からの漏水の有無を検査するための通水試験装置であって、
水を貯留する貯水タンクと、
該貯水タンク内の水を圧送して前記配管内に給水するポンプと、
前記ポンプからの給水量を検出する流量センサーと、
前記ポンプからの給水量を所定量に設定するリモートコントローラと、
前記流量センサーにより検出された給水量が前記リモートコントローラにより設定された所定量に達すると判断した時に前記ポンプを停止させる制御器と、
を備えていることを特徴とする通水試験装置。
【請求項2】
前記貯水タンクは2つの貯水容器をホース及びワンタッチカプラで連結することにより一体に設けられている請求項1に記載の通水試験装置。
【請求項3】
前記制御器と、前記ポンプを駆動するためのバッテリーと、該バッテリーを充電するための充電器と、前記バッテリーの電圧を変換するためのコンバータとを一体に収納する制御ボックスを備えている請求項1又は2に記載の通水試験装置。
【請求項4】
前記流量センサーは前記ポンプの吐出管に取り付けられ、該吐出管と前記ポンプ及び流量センサーによりポンプユニットが構成されている請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の通水試験装置。
【請求項5】
前記流量センサーの下流側には所定の長さを有するホースが着脱可能に設けられ、該ホースの先端に開閉バルブ及びノズルが取り付けられ、前記ホースと前記開閉バルブ及びノズルにより注水ユニットが構成されている請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の通水試験装置。
【請求項6】
前記リモートコントローラは前記制御器に有線接続されており、前記ポンプからの実際の給水量を目視で確認可能な実際給水量表示部と、前記ポンプを始動させるための運転操作部と、前記ポンプからの給水量を設定するための給水量設定部とを備えている請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の通水試験装置。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の部品が台車に取り付けられていることを特徴とする通水試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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