説明

通話録音システム

【課題】 同一の呼における同一内線への通話が複数回発生する通話パターンの場合においても、正しく通話ログを生成することを可能とする通話録音システムを提供する。
【解決手段】 通話録音システムは、ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音サーバ5と、IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、録音サーバからの録音データを録音ログとして通話ログに対応付けて記録するデータベースサーバ6とを備える。データベースサーバ6は、IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に、通話ログを検索し、検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致し、かつ通話終了日時が受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは、通話ログを新規登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されたIP電話機の通話を録音し、その通話ログと録音ログを対応付けて記録する通話録音システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コールセンタに代表される電話受付応対業務などにおいて、電話応対するオペレータの通話内容を録音し情報管理する通話録音システムは、コンプライアンス管理等を目的として普及してきている。また、録音されたデータに付加情報を対応付けることにより、以降の情報検索・抽出といった情報管理を容易にすることが可能である。
【0003】
録音データの生成方法としては、例えば音声パケットを抽出する方法があり、録音データの基本情報として録音の開始・終了日時、内線番号等とともに録音ログとして管理する。録音データに対応付ける付加情報としては、例えば交換機からの呼制御情報を利用する方法があり、通話の開始・終了日時、内線番号、通話先電話番号等の情報を通話ログとして管理する。上記の録音ログと通話ログを、日時と内線番号などにより対応付けを行うことにより、呼制御情報に含まれる項目から録音データの検索・抽出を行うことが可能である。この種の技術は例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−98905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、転送・三者通話等の操作による複数の関連する通話を、1つの通話単位として識別可能なIDを呼制御情報から取得して通話ログに含めることにより、通話単位による録音データの検索・抽出が可能である。ここで、1つの通話単位のことを「呼」、1つの通話単位を識別可能なIDのことを「呼識別ID」と呼ぶ。交換機からの呼制御情報は、一般的に電話に対する通話開始・通話終了等のイベントごとに発行される。イベントごとに発行される呼制御情報を、呼識別IDと内線番号などにより一元化して通話ログを生成する。しかし、この通話ログの生成法では、同一の呼における同一内線への通話が複数回発生する通話パターンの場合、例えば転送した通話が転送先から再転送されて戻ってくるような場合については考慮されていない。
【0006】
本発明は、同一の呼における同一内線への通話が複数回発生する通話パターンの場合においても、正しく通話ログを生成することを可能とする通話録音システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音手段と、前記IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、前記録音手段からの録音データを録音ログとして前記通話ログに対応付けて記録する記録手段とを備えた通話録音システムであって、前記記録手段は、前記IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に、前記通話ログを検索し、前記検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致し、かつ通話終了日時が前記受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは、通話ログを新規登録する通話録音システムにより、達成される。前記通話ログの検索は、通話ログの通話終了日時が前記通話開始のイベント日時に最も近い1件のみを対象とすることができる。
【0008】
また本発明に係る通話録音システムにおける記録手段で実行させるためのプログラムは、ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音手段と、前記IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、前記録音手段からの録音データを録音ログとして前記通話ログに対応付けて記録する記録手段とを備え、コンピュータに、前記IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に前記通話ログを検索する手順と、前記検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致しかつ通話終了日時が前記受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは通話ログを新規登録する手順と、を実行させるためのプログラムである。前記通話ログの検索は、通話ログの通話終了日時が前記通話開始のイベント日時に最も近い1件のみを対象とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一の呼における同一内線への通話が複数回発生する通話パターンの場合においても、正しく通話ログを生成することを可能とする通話録音システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る通話録音システムを用いたネットワークシステムの一実施例を示す図である。
【図2】データベースサーバの構成例を示す図である。
【図3】IP電話機の通話における、データベースサーバに対する通話情報および録音情報の受信フローの一例を示す図である。
【図4】IP電話機により通話を開始してから終了するまでの基本的な通話パターンにおける、データベースサーバでの通話ログの記録・管理方法の一例を示す図である。
【図5】同一の呼における同一内線の通話が2回発生する通話パターンの一例を示す図である。
【図6】「通話開始」を示す通話情報を受信した場合における、通話ログの生成方式の一例を示す図である。
【図7】「通話終了」を示す通話情報を受信した場合における、通話ログの生成方式の一例を示す図である。
【図8】「通話開始」および「通話開始」を示す通話情報を受信した場合における、通話ログの生成方式の一例を示すフロー図である。
【図9】同一の呼における同一内線の通話が2回発生する通話パターンにおける通話ログのデータ生成方式の一例を示す図である。
【図10】データベースサーバにおける各種テーブルのフォーマットの一例を示す図で、(a)は通話ログ、(b)は録音ログを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る通話録音システムの実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る通話録音システムを用いたネットワークシステムの一実施例を示す図である。本ネットワークシステムは、図1に示すように、交換機1と、交換機1からの呼制御情報から内線番号・オペレータ番号等を抽出し通話情報を作成する呼制御情報処理サーバ2と、ネットワーク(例えばLAN)3上を流れる情報の中から音声パケットを抽出する音声パケット抽出手段(例えばパケットフィルタ装置)4と、抽出した一通話の音声パケットを音声データに変換して音声データを含む録音情報を作成する録音手段(例えば録音サーバ)5と、通話情報および録音情報を記録する記録手段(例えばデータベースサーバ)6と、通話を行うための複数のIP電話機7aおよびIP電話機7bと、録音情報の検索および再生を行う検索用クライアントPC8と、ISDN等の公衆網10と接続されるVoIPゲートウェイ9とを備えて構成されている。公衆網10には電話機11が接続され、IP電話機7aまたはIP電話機7bと通話可能とされる。
【0013】
図1において、交換機1は、IP電話機7aまたはIP電話機7bの通話開始・通話終了などのイベント毎の情報を呼制御情報としてLAN3上に流す。呼制御情報処理サーバ2は、交換機1からの呼制御情報より呼識別ID・内線番号・イベント(通話開始・通話終了)日時等を抽出して通話情報を作成する。パケットフィルタ装置4は、LAN3上を流れる情報の中から、IP電話機7aまたはIP電話機7bの通話内容である音声パケットを抽出する。録音サーバ5は、抽出した音声パケットを音声データへ変換し、音声データを含む録音情報を作成する。データベースサーバ6は、呼制御情報処理サーバ2から受信した通話情報から通話ログを生成し、通話ログ601に記録する。また、録音サーバ5から受信した録音情報から録音ログを生成し、録音ログ602に通話ログ601と対応付けて記録する。
【0014】
図2は、データベースサーバ6の構成例を示す図である。呼制御情報処理サーバ2から送信された通話情報は、LAN3からLANアダプタ608を経由してメモリ606上に通話ログ601として記録される。また、録音サーバ5から送信された録音情報は、LAN3からLANアダプタ608を経由してメモリ606上に録音ログ602として記録される。CPU(コンピュータ)605は、記憶装置607内のプログラム603に記録された処理手順に従い、通話ログ601と録音ログ602の対応付けを行い、通話ログ601と録音ログ602を対応付けされた結果とともに記憶装置607内のデータベース604に格納する。
【0015】
図3は、IP電話機の通話における、データベースサーバ6に対する通話情報および録音情報の受信フローの一例を示す図である。図示のように、交換機1はIP電話機の通話の開始により呼制御情報101aを発行する。呼制御情報処理サーバ2は、発行された呼制御情報101aを受信し通話情報201aを作成して、データベースサーバ6の通話ログ601に記録する。また、交換機1はIP電話機の通話の終了により呼制御情報101bを発行する。呼制御情報処理サーバ2は、発行された呼制御情報101bを受信し通話情報201bを作成して、データベースサーバ6の通話ログ601に記録する。
【0016】
一方、パケットフィルタ装置4は、LAN3上を流れる全てのパケットの中から音声パケット401aを抽出する。録音サーバ5では、パケットフィルタ装置4から音声パケット401aを受信すると、音声パケット401aを音声データに変換する処理を開始する。この後通話が終了するまでは継続して音声パケット401aが流れるため、録音サーバ5は音声パケット401aの音声データへの変換を繰り返すことで録音データを作成する。IP電話機の通話の終了により音声パケット401aが流れなくなるため、この時点で録音データの作成を終了し、録音データを含む録音情報501aを作成して、データベースサーバ6の録音ログ602に記録する。その後対応付け処理により、通話ログ601と録音ログ602が、内線番号と通話時間などの情報を元に対応付けされる。
【0017】
図4は、IP電話機により通話を開始してから終了するまでの基本的な通話パターンにおける、データベースサーバ6での通話ログ601の記録・管理方法の一例を示す図である。IP電話機の通話開始(例えば10:00)により、呼制御情報処理サーバ2でイベント種別が「通話開始」である通話情報201aが作成される。通話情報201aの内容には、例えば呼識別ID、内線番号、イベント種別、イベント日時等を含む。データベースサーバ6では、通話情報201aを受信した際に、通話情報201aの呼識別IDおよび内線番号と等しい通話ログのデータが存在しないため、通話ログのデータ601aとして新規登録する。このとき通話情報201aのイベント種別は「通話開始」となっているため、通話情報201aに含まれるイベント日時(例えば10:00)は通話ログのデータ601aの通話開始日時として記録する。
【0018】
また、IP電話機の通話終了(例えば10:30)により、呼制御情報処理サーバ2でイベント種別が「通話終了」である通話情報201bが作成される。通話情報201bの内容には、例えば呼識別ID、内線番号、イベント種別、イベント日時等を含む。データベースサーバ6では、通話情報201bを受信した際に、通話情報201bの呼識別IDおよび内線番号と等しい通話ログのデータ601aがすでに存在するため、通話ログのデータ601aを更新する。このとき通話情報201bのイベント種別は「通話終了」となっているため、通話情報201bに含まれるイベント日時(例えば10:30)は通話ログのデータ601aの通話終了日時として記録する。
【0019】
図5は、従来の方式では考慮されていない、同一の呼における同一内線の通話が2回発生する通話パターンの一例を示す図である。図5に示す通話パターンは、T1で外線(電話機11)から内線番号A(IP電話機7a)に着信し通話を開始後、T2で内線番号A(IP電話機7a)から内線番号B(IP電話機7b)に転送を行い、T3で外線(電話機11)と内線番号B(IP電話機7b)の通話を行い、T4で内線番号B(IP電話機7b)から内線番号A(IP電話機7a)に再転送を行い、T5で外線(電話機11)と内線番号A(IP電話機7a)の通話を行うものである。
【0020】
これらの通話は一連の通話であるため、呼識別IDは同一となる。このとき、T1とT2の通話が内線番号A(IP電話機7a)に対する1回目の通話で、T4とT5の通話が内線番号A(IP電話機7a)に対する2回目の通話であり、同一の呼における同一内線の通話が2回発生する。上記通話パターンの例のように、従来の方式では考慮されていない、同一の呼における同一内線への通話が複数回発生する通話パターンの場合において、データベースサーバ6での通話ログのデータ生成方式について以下説明する。
【0021】
図6は、データベースサーバ6において、イベント種別が「通話開始」である通話情報を受信した場合の通話開始日時を示すイベント日時と、登録されている通話ログの通話開始日時および通話終了日時のパターンの組み合わせによる、通話ログの生成方式の一例を示す図である。この図では、同一の呼における同一内線への複数回通話の問題解決の説明のため、同一の呼であることを示す通話情報の呼識別ID、および、内線番号は全て等しいものとする。また、データベースサーバ6での通話情報の登録順について、イベント種別が「通話開始」である通話情報の後に「通話終了」である通話情報を受信するのが時系列的に自然であることから、通常時においては図の通話ログのパターン(C)により通話ログが生成される。パターン(C)以外のパターン(A)および(B)は、データベースサーバ6での通話情報の登録順が時系列順ではなかった場合を考慮したものである。
【0022】
図6の通話ログのパターン(A)は、通話開始日時は未設定で通話終了日時だけが設定済みのパターンで、通話終了日時以前のイベント日時の通話情報を受信した場合である。受信した通話情報のイベント日時は通話開始日時を示すものであることから、受信した通話情報のイベント日時と通話ログのパターン(A)の通話終了日時の組み合わせは時系列的に自然である。これより、通話ログの通話開始日時を通話情報のイベント日時に更新する。
【0023】
また、通話ログのパターン(B)は、通話開始日時と通話終了日時が設定済みであるパターンで、通話開始日時と通話終了日時の間にあるイベント日時の通話情報を受信した場合である。受信した通話情報のイベント日時は通話開始日時を示すものであることから、通話ログの通話開始日時より通話情報のイベント日時のほうが、通話ログの通話終了日時に近く、通話情報のイベント日時と通話ログの通話終了日時の組み合わせが時系列的に最も自然である。これより、通話ログの通話開始日時を通話情報のイベント日時に更新し、更新前の通話ログの通話開始日時は、対応する通話情報が後に受信されることを想定して、新規通話ログとして追加登録する(通話ログ分割)。
【0024】
通話ログのパターン(C)は、通話ログのパターン(A)および(B)以外のパターンである。データベースサーバ6での通話情報の登録順が時系列的に自然である通常時には、このパターンにより通話ログが生成される。この場合は、受信した通話情報のイベント日時と組み合わせられる通話ログの通話終了日時が存在しないため、通話情報により新規通話ログとして追加登録する。
【0025】
図7は、データベースサーバ6において、イベント種別が「通話終了」である通話情報を受信した場合の通話終了日時を示すイベント日時と、登録されている通話ログの通話開始日時および通話終了日時のパターンの組み合わせによる、通話ログの生成方式の一例を示す図である。この図では、図6の場合と同様に、同一の呼における同一内線への複数回通話の問題解決の説明のため、同一の呼であることを示す通話情報の呼識別ID、および、内線番号は全て等しいものとする。また、データベースサーバ6での通話情報の登録順についても図6の場合と同様に、通常時においては図の通話ログのパターン(D)により通話ログが生成される。パターン(D)以外のパターン(E)および(F)は、データベースサーバ6での通話情報の登録順が時系列順ではなかった場合を考慮したものである。
【0026】
図の通話ログのパターン(D)は、通話終了日時は未設定で通話開始日時だけが設定済みのパターンで、通話開始日時以降のイベント日時の通話情報を受信した場合である。データベースサーバ6での通話情報の登録順が時系列的に自然である通常時には、このパターンにより通話ログが生成される。受信した通話情報のイベント日時は通話終了日時を示すものであることから、通話ログのパターン(D)の通話開始日時と、受信した通話情報のイベント日時の組み合わせは時系列的に自然である。これより、通話ログの通話終了日時を通話情報のイベント日時に更新する。
【0027】
また、通話ログのパターン(E)は、通話開始日時と通話終了日時が設定済みであるパターンで、通話開始日時と通話終了日時の間にあるイベント日時の通話情報を受信した場合である。受信した通話情報のイベント日時は通話終了日時を示すものであることから、通話ログの通話終了日時より通話情報のイベント日時のほうが、通話ログの通話開始日時に近く、通話ログの通話開始日時と通話情報のイベント日時の組み合わせが時系列的に最も自然である。これより、通話ログの通話終了日時を通話情報のイベント日時に更新し、更新前の通話ログの通話終了日時は、対応する通話情報が後に受信されることを想定して、新規通話ログとして追加登録する(通話ログ分割)。
【0028】
通話ログのパターン(F)は、通話ログのパターン(D)および(E)以外のパターンである。この場合は、受信した通話情報のイベント日時と組み合わせられる通話ログの通話開始日時が存在しないため、通話情報により新規通話ログとして追加登録する。
【0029】
図8は、図6および図7で説明した通話ログの生成方式の一例を示すフロー図である。まず、ステップ80で、通話情報を受信する。ステップ81で、受信した通話情報のイベント種別を判定する。ステップ81での判定結果が「通話開始」の場合は、ステップ82で、組み合わせの対象となる通話ログを検索する。このときの条件は、通話ログの呼識別IDおよび内線番号が通話情報と一致していること、および、通話ログの通話終了日時が通話情報のイベント日時以降であることである。また、上記条件で複数の通話ログが検索される場合を考慮し、通話ログの通話終了日時が通話情報のイベント日時に最も近い1件のみを組み合わせの対象とする条件を追加する。
【0030】
ステップ84で、検索結果がなし(NO)の場合は、通話情報により通話ログを「新規登録」する。ステップ84で、検索結果があり(YES)の場合は、ステップ85で、通話ログの通話開始日時が設定済みかどうかを判定する。ステップ85での判定結果が未設定(NO)の場合は通話情報により通話ログを「更新」する。ステップ85での判定結果が設定済(YES)の場合は、ステップ86で、通話情報のイベント日時が通話ログの通話開始日時と通話終了日時の間(通話開始日時がイベント日時以前)かを判定する。ステップ86での判定結果がNOの場合は通話ログと通話情報の関連はないため、通話情報により通話ログを「新規登録」する。ステップ86での判定結果がYESの場合は通話情報により通話ログを「分割」する。
【0031】
また、ステップ81での判定結果が「通話終了」の場合は、ステップ83で、組み合わせの対象となる通話ログを検索する。このときの条件は、通話ログの呼識別IDおよび内線番号が通話情報と一致していること、および、通話ログの通話開始日時が通話情報のイベント日時以前であることである。また、上記条件で複数の通話ログが検索される場合を考慮し、通話ログの通話開始日時が通話情報のイベント日時に最も近い1件のみを組み合わせの対象とする条件を追加する。ステップ87で、検索結果がなし(NO)の場合は、通話情報により通話ログを「新規登録」する。ステップ87で、検索結果があり(YES)の場合は、ステップ88で通話ログの通話終了日時が設定済みかどうかを判定する。
【0032】
ステップ88での判定結果が未設定(NO)の場合は通話情報により通話ログを「更新」する。ステップ88での判定結果が設定済(YES)の場合は、ステップ89で、通話情報のイベント日時が通話ログの通話開始日時と通話終了日時の間(通話終了日時がイベント日時以降)かを判定する。ステップ89での判定結果がNOの場合は通話ログと通話情報の関連はないため、通話情報により通話ログを「新規登録」する。ステップ89での判定結果がYESの場合は通話情報により通話ログを「分割」する。
【0033】
図9は、同一の呼における同一内線の通話が2回発生する通話パターンにおける通話ログのデータ生成方式の一例を示す図である。図において、通話91がIP電話機7a(内線番号A)の1回目の通話であり、通話93がIP電話機7a(内線番号A)の2回目の通話である。通話91の終了前の部分と通話93の開始後の部分に、IP電話機7b(内線番号B)の通話72が重複する。以下、データベースサーバ6における通話ログの新規登録、更新等について説明する。
【0034】
図9の例において、データベースサーバ6は、時刻10:00に、IP電話機7aにおいて、通話91の通話開始を示す通話情報201cを受信した場合、図8のステップ84における「通話ログあり?」の判定がNOであるため、通話ログ601bを新規に登録する。時刻10:10において、IP電話機7bにおいて、通話92の通話開始を示す通話情報201dを受信した場合、同様に図8のステップ84における「通話ログあり?」の判定がNOであるため、通話ログ601cを新規に登録する。時刻10:20に、IP電話機7aにおいて、通話91の通話終了を示す通話情報201eを受信した場合、図8のステップ87における「通話ログあり?」の判定がYESであり、続くステップ88における「通話ログの通話終了日時が設定済み?」の判定がNOであるため、通話ログ601bに通話終了日時を登録し更新する。時刻10:30に、IP電話機7aにおいて、通話93の通話開始を示す通話情報201fを受信した場合、図8のステップ84における「通話ログあり?」の判定がNOであるため、通話ログ601dを新規に登録する。時刻10:40に、IP電話機7bにおいて、通話92の通話終了を示す通話情報201gを受信した場合、図8のステップ87における「通話ログあり?」の判定がYESであり、続くステップ88における「通話ログの通話終了日時が設定済み?」の判定がNOであるため、通話ログ601cに通話終了日時を登録し更新する。時刻10:50に、IP電話機7aにおいて、通話93の通話終了を示す通話情報201hを受信した場合、図8のステップ87における「通話ログあり?」の判定がYESであり、続くステップ88における「通話ログの通話終了日時が設定済み?」の判定がNOであるため、通話ログ601dに通話終了日時を登録し更新する。
【0035】
このようにデータベースサーバ6は、従来とは異なり、2回目の通話である通話93の通話開始を示す通話情報201fにより、通話ログの通話終了日時が通話情報201fのイベント日時以降の通話ログを検索し、検索結果が存在しないため通話ログ601dを新規に登録する。これにより通話93の通話ログ601dは、通話91の通話ログ601bとは別管理となり、正しく通話ログを生成することが可能である。また、同一の呼における同一内線の通話が3回以上発生する通話パターンの場合においても同様に、図8に示すフローによる処理を行うことで正しく通話ログを生成することが可能である。
【0036】
図10は、データベースサーバ6における各種テーブルのフォーマットの一例を示す図で、(a)は通話ログ、(b)は録音ログを示す図である。通話ログ601としては、図10(a)に示すように、呼を示す呼識別ID、通話開始日時、通話終了日時、内線番号、発信または着信の種別、通話先電話番号が記録される。録音ログ602としては、図10(b)に示すように、録音ファイル名(録音データ)、録音開始日時、録音終了日時、内線番号が記録される。
【0037】
このように本発明では、同一の呼における同一内線の通話が複数回発生する通話パターンの場合においても、通話ログを正しく生成することが可能であり、内線番号と通話日時などの情報による録音ログとの対応付けにおいて、より正確に行うことが可能である。
【0038】
以上の処理は、データベースサーバ(記録手段)6のコンピュータ(CPU)に実行させることができる。この場合、データベースサーバ6は、ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音手段と、IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、録音手段からの録音データを録音ログとして通話ログに対応付けて記録する記録手段とを備えた通話録音システムにおける記録手段で実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に通話ログを検索する手順と、検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致しかつ通話終了日時が受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは通話ログを新規登録する手順と、を実行させるためのプログラムを備える。通話ログの検索は、通話ログの通話終了日時が通話開始のイベント日時に最も近い1件のみを対象とすることができる。
【0039】
このように本発明では、同一の呼における、同一内線への通話が複数回発生する場合において、それぞれの通話に対する通話ログを生成し管理するものである。このような通話パターンの場合においても、通話ログと録音ログを正しく対応付けして情報管理することができる。そのため、呼制御情報をサーバで受信し、動的に通話ログを生成する。呼制御情報をサーバで受信し、通話ログを生成して管理する。録音情報をサーバで受信し、録音ログを生成して管理する。通話ログと録音ログとを対応付ける。また、呼制御情報のサーバでの受信順が、システム障害等で時系列保証されない場合であっても、通話開始および通話終了を示す呼制御情報の正しい組み合わせにより通話ログを生成することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 交換機
2 呼制御情報処理サーバ
3 LAN
4 パケットフィルタ装置
5 録音サーバ
6 データベースサーバ
601 通話ログ
602 録音ログ
603 プログラム
604 データベース
605 CPU
606 メモリ
607 記憶装置
608 LANアダプタ
7a IP電話機
7b IP電話機
8 検索用クライアントPC8
9 ゲートウェイ
10 公衆網
11 電話機
101a 「通話開始」を示す呼制御情報
101b 「通話終了」を示す呼制御情報
201a 「通話開始」を示す通話情報
201b 「通話終了」を示す通話情報
201c IP電話機7aの1回目の「通話開始」を示す通話情報
201d IP電話機7bの「通話開始」を示す通話情報
201e IP電話機7aの1回目の「通話終了」を示す通話情報
201f IP電話機7aの2回目の「通話開始」を示す通話情報
201g IP電話機7bの「通話終了」を示す通話情報
201h IP電話機7aの2回目の「通話終了」を示す通話情報
401a 音声パケット
501a 録音情報
601a 通話ログのデータ
601b IP電話機7aの1回目の通話情報による通話ログのデータ
601c IP電話機7bの通話情報による通話ログのデータ
601d IP電話機7aの2回目の通話情報による通話ログのデータ
80 通話情報受信ステップ
81 イベント種別判定ステップ
82 通話開始の場合の通話ログ検索条件ステップ
83 通話終了の場合の通話ログ検索条件ステップ
84 通話開始の場合の通話ログ有無判定ステップ
85 通話開始の場合の通話ログの通話開始日時設定有無判定ステップ
86 通話開始の場合の通話ログの通話開始日時判定ステップ
87 通話終了の場合の通話ログ有無判定ステップ
88 通話終了の場合の通話ログの通話終了日時設定有無判定ステップ
89 通話終了の場合の通話ログの通話終了日時判定ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音手段と、前記IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、前記録音手段からの録音データを録音ログとして前記通話ログに対応付けて記録する記録手段とを備えた通話録音システムであって、前記記録手段は、前記IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に、前記通話ログを検索し、前記検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致し、かつ通話終了日時が前記受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは、通話ログを新規登録することを特徴とする通話録音システム。
【請求項2】
前記通話ログの検索は、通話ログの通話終了日時が前記通話開始のイベント日時に最も近い1件のみを対象とすることを特徴とする請求項1記載の通話録音システム。
【請求項3】
ネットワークに接続された複数のIP電話機の通話に係る録音データを作成する録音手段と、前記IP電話機の通話開始および通話終了の日時、内線番号、並びに呼識別IDを含む通話情報を通話ログとして記録し、前記録音手段からの録音データを録音ログとして前記通話ログに対応付けて記録する記録手段とを備えた通話録音システムにおける前記記録手段で実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、前記IP電話機の通話開始を示す通話情報を受信した場合に前記通話ログを検索する手順と、前記検索の結果、呼識別IDおよび内線番号が一致しかつ通話終了日時が前記受信した通話開始のイベント日時以降である通話ログが存在しないときは通話ログを新規登録する手順と、を実行させるためのプログラム。
【請求項4】
前記通話ログの検索は、通話ログの通話終了日時が前記通話開始のイベント日時に最も近い1件のみを対象とする請求項3記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−183238(P2010−183238A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23552(P2009−23552)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】