速度規制値通知装置及び速度規制値通知システム
【課題】自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることを可能にする。
【解決手段】位置情報取得部13で取得した位置方向情報と地図データ取得部14で取得した地図データとをもとに、速度規制標識を検出した位置から所定距離内に分岐点が存在するか否かを判定し、この判定結果に応じて、速度規制値推定部12で推定した速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断しなかった場合に、通知部18での推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更を行う。
【解決手段】位置情報取得部13で取得した位置方向情報と地図データ取得部14で取得した地図データとをもとに、速度規制標識を検出した位置から所定距離内に分岐点が存在するか否かを判定し、この判定結果に応じて、速度規制値推定部12で推定した速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断しなかった場合に、通知部18での推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度規制値通知装置及び速度規制値通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両が走行している道路の速度規制値を推定し、推定した速度規制値を当該車両のドライバに通知する技術が知られている。例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して検出した車両の現在位置と、速度規制値を道路のデータとして含む地図データとをもとに、車両の走行中の道路の速度規制値を推定する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、この方法では、車両の現在位置の検出誤差によっては、実際に走行中の道路以外の道路を走行中と判断され、実際に走行中の道路以外の速度規制値が誤って推定される問題点があった。また、地図データ中の道路のデータに誤りがあった場合に走行中の道路の速度規制値が誤って推定されたり、地図データ中の道路のデータに不足があった場合に、走行中の道路の速度規制値の推定を行うことができなかったりする問題点もあった。
【0004】
そこで、この問題を解決する手段として、車載カメラによって撮像された画像から制限速度の道路標識や道路標示を画像認識によって検出することで、車両の走行中の道路の速度規制値を推定する技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、自車線から隣接車線までを含む路面の画像を路面カメラによって撮像して、撮像した画像から路面に設けられた制限速度の道路標示を画像認識することで複数車線道路中の自車線の速度規制値を推定する技術が開示されている。また、推定した自車線の速度規制値の表示を行うことが開示されている。さらに、特許文献1には、自車線の速度規制値と隣接車線の速度規制値との推定結果が異なっている場合に、その旨の注意表示及び隣接車線の速度規制値の表示を行う技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−187166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、路面に制限速度の道路標示が存在する場合は限られている。よって、特許文献1に開示の技術では、路面に制限速度の道路標示が存在しない場合には、車両が走行中の道路の速度規制値を推定して通知することができない。
【0008】
これに対して、道路の傍らに立てられた制限速度の道路標識を車両前方の画像から画像認識して検出することで、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知することが考えられるが、この場合には、走行中の道路の速度規制値を乗員に誤認識させてしまう問題があった。詳しくは、上述の道路標識を画像認識する場合、分岐先の道路の道路標識(図1(a)及び図1(b)の破線で囲った領域を参照)や並行する道路の道路標識や先行車両の道路標識マークのステッカーといった自車両にとって対象外の道路標識や道路標識類似物を画像認識することで、走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう。そして、誤って推定した速度規制値を通知することによって、乗員に速度規制値を誤認識させてしまう。なお、先行車両の道路標識マークのステッカーとしては、例えばトラックの背面に貼られているものが知られている。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることを可能にする速度規制値通知装置及び速度規制値通知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の速度規制値通知装置によれば、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に分岐路や並行道路があり、その分岐路や並行道路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう場合といった、速度規制値の道路標識を誤って推定しやすい道路の敷設状況の場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知を保留したり、通知内容を変更したりできる。例えば保留する場合には、誤って推定した速度規制値を通知しないので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。また、通知内容を変更する場合には、通知内容を変更することで、誤って推定した速度規制値であることを乗員に認識させることが可能になるので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。従って、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0011】
請求項2の構成においては、制限速度の道路標識を検出した位置から所定距離内に分岐点が存在することをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に分岐路があり、その分岐路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0012】
請求項3の構成においては、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が小さいほど、推定した速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、推定した速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定をさらに防ぐことが可能になる。
【0013】
分岐点を通過後は、通過後の進路に応じて、車両の走行中の道路の速度規制値をより適切に判断することが可能になる。よって、請求項4のように、直進路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の速度規制値を通知する一方、分岐路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断手段で走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合は速度規制値推定手段で推定した速度規制値を分岐路の速度として通知し、対象速度規制値判断手段で走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合は地図データ取得手段で取得した分岐路速度値を通知することで、走行中の道路の速度規制値をより適切に通知することが可能になる。
【0014】
なお、地図データに誤りがあったり不足があったりするため、地図データに含まれる速度規制値をただ用いただけでは、走行中の道路の適切な速度規制値を判断して通知することはできない。しかしながら、請求項4の構成においては、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断した上で処理を行っているので、より信頼性の高い速度規制値を通知することが可能となっている。
【0015】
詳しくは、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でない(つまり、分岐路の速度規制値である)と判断するので、推定した速度規制値に値が近いことによって、上述の分岐路についての地図データから得られる速度規制値の信頼性が高いことも確認されていることになる。従って、分岐路に進んだと判断した場合には、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値を通知しても、より信頼性の高い速度規制値を通知することができる。
【0016】
請求項5の構成においては、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在する側に検出されたか分岐路の存在しない側に検出されたかを判定し、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することになる。画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出された場合には、走行中の道路の制限速度の道路標識を検出した可能性が高い。よって、以上の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0017】
請求項6の構成においては、制限速度の道路標識を検出した位置から所定距離内に並行道路が存在することをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に並行道路があり、その並行道路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0018】
請求項7の構成においては、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在する側に検出されたか並行道路の存在しない側に検出されたかを判定し、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することになる。画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出された場合には、走行中の道路の制限速度の道路標識を検出した可能性が高い。よって、以上の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0019】
請求項8の構成においては、地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であった場合には、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が小さいほど、推定した速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、推定した速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定をさらに防ぐことが可能になる。
【0020】
請求項9の速度規制値通知装置においては、画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いに応じて、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することになる。
【0021】
路上に設けられた道路標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高い。よって、画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いによって、道路標識なのか先行車両の道路標識マークのステッカーなのかを精度良く判別することが可能である。よって、自車両の走行中の道路の速度規制値を精度良く推定することが可能になる。
【0022】
そして、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更するので、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。例えば保留する場合には、誤って推定した速度規制値を通知しないので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。また、通知内容を変更する場合には、通知内容を変更することで、誤って推定した速度規制値であることを乗員に認識させることが可能になるので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。
【0023】
請求項10の構成においては、画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いが、当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判断する静止判断手段を備え、静止判断手段で当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判断しなかったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。
【0024】
路上に設けられた道路標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高いので、請求項10の構成によれば、先行車両の道路標識マークのステッカーを画像認識手段で検出していた場合には、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を、車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って推定することを防ぐことが可能になる。
【0025】
請求項11の構成においては、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。本線を走行中において速度規制値が急激に切り替わることは一般的にはない。よって、走行中の道路の速度規制値であると判断していたそれまでの速度規制値から速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が急激に変化していた場合には、新たに推定した速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。
【0026】
請求項11の構成によれば、上述の直近の過去の速度規制値に対して、新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の速度規制値の急激な切り替わりの有無に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0027】
請求項12の構成においては、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度検出手段で検出した他車両速度(車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度)とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することになる。自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両速度が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両速度と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との乖離が小さい場合には、推定した速度規制値が走行中の道路のものである可能性が高い一方、乖離が大きい場合には、推定した速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。
【0028】
請求項12の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の乖離に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0029】
請求項12のようにする場合は、請求項13のように、他車両速度検出手段で検出した他車両速度が速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に近かった場合に、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、他車両速度が直近の過去の速度規制値よりも速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することが好ましい。
【0030】
前述したように、自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両速度が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両速度が上述の新たに推定した速度規制値よりも上述の直近の過去の速度規制値に近かった場合には、新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でない可能性が高い。また、他車両速度が上述の直近の過去の速度規制値よりも上述の新たに推定した速度規制値に近かった場合には、新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値である可能性が高い。従って、請求項13の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0031】
請求項14の速度規制値通知装置においては、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、請求項11と同様に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0032】
また、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になるので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0033】
請求項15の速度規制値通知装置においては、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度検出手段で検出した他車両速度(車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度)とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することになる。よって、請求項12と同様に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0034】
また、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になるので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0035】
請求項16の構成によれば、請求項13のように、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0036】
請求項17の速度規制値通知システムによれば、車両に搭載されて当該車両の前方を撮像する撮像装置と、前記のいずれかの速度規制値通知装置とを含むので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)及び(b)は本線側から見た分岐路の速度規制標識の一例を示す図である。
【図2】速度規制値通知システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は自車両を左方向から見た模式図であって、(b)は自車両を上から見た模式図である。
【図4】速度規制値通知装置1の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は分岐路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図であって、(b)はT1〜T3bの各タイミングにおける推定速度規制値、地図データから得られる自車線や分岐路の速度規制値、乗員に通知する速度規制値の一例を示す表である。
【図7】GPSの誤差によって自車両の現在位置が精度良く検出できない場合の例を示す模式図である。
【図8】(a)は過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったか否かに応じた速度規制値の通知の例を示す表であって、(b)は他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかに応じて行われる速度規制値の通知の例を示す表である。
【図9】速度規制値通知システム200の概略的な構成を示すブロック図である。
【図10】速度規制値通知装置1aの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図11】速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図12】並行道路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。
【図13】並行道路が存在する場合の速度規制標識の配置の例を示す模式図である。
【図14】速度規制値通知システム300の概略的な構成を示すブロック図である。
【図15】速度規制値通知装置1bの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図16】速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図17】先行車両の道路標識マークのステッカーが存在する場合の例を示す模式図である。
【図18】速度規制値通知システム400の概略的な構成を示すブロック図である。
【図19】速度規制値通知装置1cの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図20】速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図2は、本発明が適用された速度規制値通知システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示す速度規制値通知システム100は、車両に搭載されるものであり、速度規制値通知装置1、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4、ディスプレイ5、スピーカ6、インジケータ7、エンジンECU8、及びブレーキECU9を含んでいる。なお、速度規制値通知システム100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0039】
速度規制値通知装置1は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1は、図1に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、位置情報取得部13、地図データ取得部14、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、進路判断部17、及び通知部18を備えている。
【0040】
車載カメラ2は、図3(a)及び図3(b)に示すように、自車両において例えばルームミラー近傍に取り付けられ、自車両の前方の所定範囲を逐次撮影する。図3(a)は自車両を左方向から見た模式図であって、図3(b)は自車両を上から見た模式図である。他にも車載カメラ2を車両のフロント等に設ける構成としてもよい。例えば車載カメラ2としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。なお、車載カメラ2が請求項の撮像装置に相当する。
【0041】
位置検出器3は、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ、自車両の加速度を検出する加速度センサ、車輪速センサ、及び人工衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機といった各センサから得られる情報をもとに、定期的に自車両の現在位置及び進行方向の検出を行う。これらの各センサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、位置検出器3は上述した内の一部で構成してもよく、さらに、図示しない地磁気センサやステアリングの回転センサ等を用いてもよい。
【0042】
地図データ記憶部4は、例えばCD−ROM、DVD−ROM、HDD、フラッシュメモリ等によって構成されており、地図データが記憶されている。地図データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンク方位、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、一方通行属性、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、及び速度規制値等の各データから構成される。
【0043】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、及び交差点種類等の各データから構成される。
【0044】
ディスプレイ5は、車載用の小型ディスプレイであり、速度規制値通知装置1から出力された画像データを取得し、当該画像データの示す画像を表示する。画像の表示に関しては、例えば車載ナビゲーション装置で利用するディスプレイを用いる構成としてもよいし、車載用のヘッドアップディスプレイを用いることとしてもよい。
【0045】
スピーカ6は、車載用の小型スピーカであり、速度規制値通知装置1から出力された音声信号を取得し、当該音声信号の示す音声を出力する。音声の出力に関しては、例えば車載ナビゲーション装置で利用するスピーカを用いる構成としてもよいし、車載オーディオのスピーカを用いる構成としてもよい。インジケータ7は、例えばLEDであり、速度規制値通知装置1から出力される信号を取得すると点灯する。なお、LEDの点灯の代わりに、LEDを点滅させる構成としてもよい。
【0046】
エンジンECU8は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することでエンジン出力の制御に関する各種の処理を実行する。ブレーキECU9は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の制動に関する各種の処理を実行する。
【0047】
続いて、図4を用いて、速度規制値通知装置1の動作フローについての説明を行う。図4は、速度規制値通知装置1の動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0048】
まず、ステップS1では、画像処理部11が車載カメラ2から入力される撮像画像を取得して画像認識処理を行い、ステップS2に移る。画像認識処理では、エッジ検出などの公知の画像処理を撮像画像に対して行い、画像処理後の撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識(以下、速度規制標識)を検出する。よって、画像処理部11が請求項の画像認識手段に相当する。画像認識処理では、速度規制標識を検出する際に速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報も得られるものとする。速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報とは、例えば速度規制標識の撮像画像中での縦横のピクセル数などがある。
【0049】
画像認識は、パターンマッチングやハフ変換等の公知の方法を用いて行う構成とすればよい。例えば、ハフ変換で規制標識の外形を検出し、パターンマッチングによって数字を検出することで速度規制標識の速度規制値まで検出する等の構成とすればよい。また、画像処理としては、エッジ検出の他にも、例えば鏡像に変換する鏡像変換やレンズの特性で画像周辺部に生じる歪みを補正する歪み補正等も行う構成としてもよい。
【0050】
ステップS2では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS3に移る。よって、速度規制値推定部12が請求項の速度規制値推定手段に相当する。ステップS3では、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置及び進行方向の情報(位置方向情報)を位置検出器3から位置情報取得部13が取得するとともに、地図データ取得部14が地図データ記憶部4から地図データを取得し、ステップS4に移る。よって、位置情報取得部13が請求項の検出位置情報取得手段に相当し、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置の情報が請求項の検出位置情報に相当する。また、地図データ取得部14が請求項の地図データ取得手段に相当する。
【0051】
速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置とは、速度規制標識の検出時点に位置検出器3で検出された自車両の現在位置に限るものではなく、速度規制標識の検出時点に前後する時点において位置検出器3で検出された自車両の現在位置まで含むものとする。また、地図データ取得部14は、位置情報取得部13が取得した自車両の現在位置の情報をもとに、地図データ記憶部4に記憶されている地図データのうち、自車両の現在位置周辺の地図のみを取得する構成とすればよい。
【0052】
ステップS4では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS5に移る。なお、対象速度規制値判断部16が請求項の対象速度規制値判断手段に相当する。ここで、図5のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1での対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図5は、速度規制値通知装置1での対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS41では、ステップS2で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS42に移る。ステップS42では、ステップS3で位置情報取得部13が取得した位置方向情報と地図データ取得部14が取得した地図データとを取得し、この位置方向情報と地図データのうちのノードデータとをもとに、自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かを判定する。
【0054】
そして、現在位置と分岐点との距離が所定値以下と判定した場合(ステップS42でYES)には、ステップS43に移る。また、現在位置と分岐点との距離が所定値以下と判定しなかった場合(ステップS42でNO)には、ステップS53に移る。ここで言うところの所定値は、例えば分岐路の速度規制標識が分岐点の手前から離れて設けられている距離に相当する程度の値であって、任意に設定可能な値である。
【0055】
ステップS43では、地図データのうちの上記分岐点からの分岐路(以下、対象分岐路)の速度規制値とステップS41で取得した推定速度規制値とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。例えば、両者の差の絶対値が所定値以下であった場合に両者が一致すると判定する構成とすればよい。ここで言うところの所定値とは、例えば0km/hであってもよいし、10km/hなどの比較的小さな値であってもよい。本実施形態では、例えば0km/hであるものとする。
【0056】
そして、両者が一致すると判定した場合(ステップS43でYES)には、ステップS44に移る。また、両者が一致すると判定しなかった場合(ステップS43でNO)には、ステップS53に移る。
【0057】
ステップS44では、前述の画像認識処理によって検出された速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS45に移る。例えば、画像認識処理によって検出された速度規制標識が撮像画像の中央を境にして左右のどちら側に検出されたかによって、速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0058】
ステップS45では、地図データをもとに対象分岐路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS46に移る。例えば、自車両が走行中の道路のリンク方向やリンク方位と対象分岐路のリンク方向やリンク方位とから、対象分岐路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0059】
ステップS46では、ステップS44での判定結果とステップS45での判定結果とをもとに、画像認識処理によって検出された速度規制標識(標識)と対象分岐路(分岐路)とが自車線から見て同じ側に存在するか否かを判定する。そして、標識と分岐路とが同じ側に存在すると判定した場合(ステップS46でYES)には、ステップS47に移る。また、標識と分岐路とが同じ側に存在すると判定しなかった場合(ステップS46でNO)には、ステップS53に移る。
【0060】
ステップS47では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS48に移る。ステップS48では、ステップS41で取得した推定速度規制値とステップS47で取得した過去速度規制値とをもとに、推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。ここで言うところの所定値とは、本線を走行中において速度規制値が切り替わる場合の一般的な速度規制値の差よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。本実施形態では例えば50km/hとする。
【0061】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS48でYES)には、ステップS49に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS48でNO)には、ステップS53に移る。
【0062】
ステップS49では、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS50に移る。よって、他車両速度情報取得部15が請求項の他車両速度情報取得手段に相当する。ここで言うところの他車両とは、自車両の走行中の道路の前方や後方を走行中の車両を示している。他車両速度情報取得部15は、図示しない通信端末による他車両との公知の車車間通信によって他車両の車速の情報を取得する構成としてもよいし、図示しない通信端末による路側機との公知の路車間通信によって他車両の車速の情報を取得する構成としてもよい。また、図示しないミリ波レーダや超音波ソナー等の障害物センサで検出した他車両の距離の経時的な変化から求めた他車両の車速の情報を取得する構成としてもよい。
【0063】
ステップS50では、ステップS41で取得した推定速度規制値とステップS49で取得した他車両の車速とをもとに、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。ここで言うところの所定値とは、制限速度が設定された道路を走行する場合における一般的な車両の車速とその道路の速度規制値との差を考慮して設定されるものであって、任意に設定可能な値である。
【0064】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS50でYES)には、ステップS51に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS50でNO)には、ステップS52に移る。なお、ステップS41で取得した推定速度規制値が請求項の新たに推定した速度規制値に相当する。
【0065】
ステップS51では、ステップS41で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、分岐路の推定速度規制値と判断)し、ステップS52に移る。
【0066】
ステップS52では、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS5に移る。ここで言うところの非自車線用通知を行うための情報には、例えば前述の過去速度規制値を表示させる画像データや過去速度規制値と前述の推定速度規制値との両方を表示させない画像データといった推定速度規制値の表示の保留を行うための情報がある。他にも、非自車線用通知を行うための情報として、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させるための画像データといった表示の内容の変更を行うための情報を出力する構成としてもよい。過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させる場合、過去速度規制値と推定速度規制値とのうちの一方について、表示の色や大きさや濃さを変えるといった強調表示も行わせる構成としてもよい。
【0067】
ステップS53では、ステップS41で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS54に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0068】
ステップS54では、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS5に移る。ここで言うところの自車線用通知を行うための情報とは、例えばステップS41で取得した推定速度規制値を表示させる画像データである。
【0069】
図3に戻って、ステップS5では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従って、通知部18が通知を行い、ステップS6に移る。なお、通知部18が請求項の通知手段に相当する。非自車線用通知を行う構成としては、以下のパターンがある。例えば、過去速度規制値を表示させる画像データが出力された場合に、自車両の走行中の道路の速度規制値(以下、走行中道路速度規制値)として、過去速度規制値をディスプレイ5に表示させる。また、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させない画像データが出力された場合には、ディスプレイ5に走行中道路速度規制値を表示させない。さらに、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させるための画像データが出力された場合には、走行中道路速度規制値として、過去速度規制値と推定速度規制値との両方をディスプレイ5に表示させる。
【0070】
また、自車線用通知を行う構成としては、対象速度規制値判断部16から出力された推定速度規制値を表示させる画像データに従って、走行中道路速度規制値として推定速度規制値をディスプレイ5に表示させることになる。
【0071】
なお、非自車線用通知及び自車線用通知は、速度規制標識の速度規制値を示すアイコン画像やテキストをディスプレイ5に表示させることによって行ってもよいが、他の方法によって行ったり、他の方法を併用して行ったりする構成としてもよい。例えば、速度規制標識の速度規制値を示す音声案内をスピーカ6から出力させてもよいし、速度規制標識の速度規制値に応じたインジケータ7を点灯や点滅させたりしてもよい。
【0072】
ステップS6では、ステップS5で非自車線用通知を行った場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。また、ステップS5で自車線用通知を行った場合(ステップS6でNO)には、フローを終了する。
【0073】
ステップS7では、ステップS42で対象とした分岐点を自車両が越えたか否かを、位置情報取得部13を介して取得した位置方向情報と、地図データ取得部14を介して取得したノードデータとをもとに、進路判断部17が判断する。詳しくは、分岐点のノード座標を自車両の現在位置が越えた場合に、分岐点を自車両が越えたと判断する構成とすればよい。そして、分岐点を自車両が越えたと判断した場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に移る。また、分岐点を自車両が越えたと判断しなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS7のフローを繰り返す。
【0074】
ステップS8では、位置情報取得部13を介して取得した位置方向情報と地図データ取得部14を介して取得した道路データとをもとに、自車両が直進路に進んだか否かを進路判断部17が判断する。よって、進路判断部17が請求項の進路判断手段に相当する。詳しくは、分岐点の接続リンクIDに対応するリンクのうち、直進路に該当するリンクに自車両の現在位置がある場合に、自車両が直進路に進んだと判断し、分岐路に該当するリンクに自車両の現在位置がある場合に、自車両が直進路に進まなかった(つまり、分岐路に進んだ)と判断する。そして、自車両が直進路に進んだと判断した場合(ステップS8でYES)には、ステップS9に移る。また、自車両が直進路に進んだと判断しなかった場合(ステップS8でNO)には、ステップS10に移る。
【0075】
なお、ここで言うところの「直進路」とは、自車両がそれまで走行していた道路からの道路変更のない「道なり」の道路を示している。
【0076】
ステップS9では、直進路用通知処理を行って、フローを終了する。直進路用通知処理では、前述の過去速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として過去速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0077】
ステップS10では、分岐路用通知処理を行って、フローを終了する。分岐路用通知処理では、ステップS4の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合には、地図データ取得部14で取得した対象分岐路の速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として、地図データ取得部14で取得した対象分岐路の速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0078】
一方、ステップS4の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、分岐路の推定速度規制値と判断)されていた場合には、推定速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として、推定速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0079】
なお、直進路用通知処理及び分岐路用通知処理は、速度規制標識の速度規制値を示すアイコン画像やテキストをディスプレイ5に表示させることによって行ってもよいが、他の方法によって行ったり、他の方法を併用して行ったりする構成としてもよい。例えば、速度規制標識の速度規制値を示す音声案内をスピーカ6から出力させてもよいし、速度規制標識の速度規制値に応じたインジケータ7を点灯や点滅させたりしてもよい。
【0080】
また、自車線用通知を行う場合、直進路用通知処理や分岐路用通知処理において速度規制値の通知を行う場合のように、確定した速度規制値を通知する場合には、図示しない速度センサからのセンサ信号をもとに、確定した速度規制値に対して自車両の車速が所定値以上となった場合に、エンジンECU8に駆動力を低減させたり、ブレーキECU9に制動力を増加させたりして、自車両を減速させる構成としてもよい。
【0081】
以上の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に分岐路があり、その分岐路の速度規制標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0082】
地図データから得られる分岐路の速度規制値と推定速度規制値とが一致すると判定されるほど両者の値が近い場合には、推定速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い。以上の構成では、地図データから得られる分岐路の速度規制値と推定速度規制値との差の絶対値が所定値以内であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、推定速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定を防ぐことができる。
【0083】
また、分岐点を通過後は、通過後の進路に応じて、自車両の走行中の道路の速度規制値をより適切に判断することが可能になる。以上の構成によれば、直進路に進んだと判断した場合には、過去の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された過去速度規制値を通知する一方、分岐路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合は推定速度規制値を分岐路の速度として通知し、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合は地図データから得た分岐路の速度規制値を通知することで、走行中の道路の速度規制値をより適切に通知することが可能になる。
【0084】
ここで、以上の例を具体的に図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。図6(a)は分岐路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。図6(a)のT1、T2、T3a、T3bはT1〜T3bの各タイミングにおける自車両を示している。T1のタイミングでは、自車両は分岐点から前述の所定値よりも距離が離れており、T2のタイミングでは、自車両は分岐点から前述の所定値以下の距離にあるものとする。また、T2のタイミングでは、非自車線用通知が行われるものとする。さらに、T3aのタイミングでは、分岐点を通過後に自車両が直進路に進んでいるものとし、T3bのタイミングでは、分岐点を通過後に自車両が分岐路に進んでいるものとする。
【0085】
図6(b)は、T1〜T3bの各タイミングにおける推定速度規制値、地図データから得られる自車線や分岐路の速度規制値、乗員に通知する速度規制値の一例を示す表である。本例では、自車線の速度規制値は100km/hであって、分岐路の速度規制値は40km/hであり、地図データの速度規制値も同様であるものとする。
【0086】
まず、T1のタイミングにおいては、画像認識処理によって自車線の速度規制標識が検出され、100km/hが推定速度規制値となる。T1のタイミングにおいては、分岐点から前述の所定値よりも距離が離れているため、自車両の走行中の道路の速度規制値と判断され、速度規制値100km/hが乗員に通知されることになる。
【0087】
続いて、T2のタイミングでは、画像認識処理によって分岐路の速度規制標識が検出され、40km/hが推定速度規制値となる。そして、T2のタイミングでは、非自車線用通知が行われる。非自車線用通知の一例としては、図6(b)に示すように、T1のタイミングにおいて自車両の走行中の道路の速度規制値と判断された速度規制値100km/hを過去速度規制値として乗員に通知したり、推定速度規制値40km/hと過去速度規制値100km/hとの両方を乗員に通知したりする。
【0088】
T3aのタイミングでは、自車両が分岐点を通過後に直進路に進んだので、過去速度規制値100km/hが乗員に通知されることになる。一方、T3bのタイミングでは、自車両が分岐点を通過後に分岐路に進んだので、地図データから得られる分岐路の速度規制値40km/hが乗員に通知されることになる。
【0089】
しかしながら、GPSの誤差が数十メートルあるなど位置検出器3の検出誤差が大きい場合には、図7の模式図に示すように、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置が精度良く検出できない。このような場合には、自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かの判定結果だけでは、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0090】
この問題に対して、本実施形態では、速度規制標識と対象分岐路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0091】
詳しくは、以下の通りである。画像認識処理で検出した速度規制標識が分岐路の存在しない側に検出された場合には、自車両の走行中の道路の制限規制標識を検出した可能性が高い。本実施形態の構成によれば、画像認識処理で検出した速度規制標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断するので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0092】
しかしながら、速度規制標識と対象分岐路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行った場合でも、画像認識処理で検出した速度規制標識が対象分岐路と同じ側に存在する自車線用の速度規制標識であった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0093】
そこで、この問題に対しては、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0094】
詳しくは、以下の通りである。本線を走行中において速度規制値が急激に切り替わることは一般的にはない。よって、過去速度規制値から推定速度規制値が急激に変化していた場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。本実施形態の構成によれば、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の速度規制値の急激な切り替わりの有無に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0095】
ここで、以上の例を、具体的に図8(a)を用いて説明する。図8(a)は、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったか否かに応じた速度規制値の通知の例を示す表である。本例では、過去速度規制値は100km/hであったものとする。
【0096】
例えば、推定速度規制値が90km/hであった場合には、過去速度規制値と推定速度規制値との速度差は10km/hとなる。本実施形態の例では所定量は50km/hであるので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する。そして、直進路を進んだ場合に推定速度規制値90km/hが通知され、分岐路を進んだ場合には例えば地図データから得られる分岐路の速度規制値が通知される。
【0097】
一方、推定速度規制値が40km/hであった場合には、過去速度規制値と推定速度規制値との速度差は60km/hとなる。本実施形態の例では所定量は50km/hであるので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でない(つまり、分岐路の速度規制値)と判断する。そして、直進路を進んだ場合に過去速度規制値100km/hが通知され、分岐路を進んだ場合には例えば分岐路の速度規制値と判断した推定速度規制値40kn/hが通知される。
【0098】
しかしながら、定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの判定をさらに行った場合でも、分岐路の速度規制値と過去速度規制値との速度差が小さい場合や工事等で自車線に臨時の速度規制標識が設けられていた場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0099】
そこで、この問題に対しては、本実施形態では、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0100】
詳しくは、以下の通りである。自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両の車速が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両の車速と推定速度規制値との乖離が小さい場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものである可能性が高い一方、乖離が大きい場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。本実施形態の構成によれば、推定速度規制値と他車両の車速とをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の乖離に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0101】
なお、本実施形態では、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0102】
例えば、ステップS50において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS51に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS50において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS53に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0103】
前述したように、自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両の車速が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でない可能性が高い。また、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値である可能性が高い。従って、以上の構成によっても、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0104】
ここで、以上の例を、具体的に図8(b)を用いて説明する。図8(b)は、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかに応じて行われる速度規制値の通知の例を示す表である。本例では、過去速度規制値は100km/hであったものとする。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする。
【0105】
例えば、推定速度規制値が90km/hであり、他車両の車速が80km/hであった場合には、他車両の車速は推定速度規制値90km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断される。そして、推定速度規制値90km/hが通知される。また、推定速度規制値が40km/hであり、他車両の車速が50km/hであった場合には、他車両の車速は推定速度規制値40km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断される。そして、推定速度規制値40km/hが通知される。
【0106】
一方、推定速度規制値が40km/hであり、他車両の車速が100km/hであった場合には、他車両の車速は過去速度規制値100km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されない。そして、過去速度規制値100km/hが通知される。
【0107】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図9は、本発明が適用された速度規制値通知システム200の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
速度規制値通知システム200は、速度規制標識を検出した位置周辺の道路の敷設状況に応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するという点においては速度規制値通知システム100と同様である。しかしながら、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置周辺の分岐路でなく並行道路の存在の有無に応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する構成である点が、速度規制値通知システム100とは異なっている。速度規制値通知システム200は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1aを含んでいる点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0109】
速度規制値通知装置1aは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1aは、図9に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、位置情報取得部13、地図データ取得部14、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、及び通知部18を備えている。
【0110】
続いて、図10を用いて、速度規制値通知装置1aの動作フローについての説明を行う。図10は、速度規制値通知装置1aの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0111】
ステップS101では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS102に移る。ステップS102では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS103に移る。ステップS103では、ステップS3と同様にして位置方向情報を取得するとともに地図データを取得し、ステップS104に移る。
【0112】
ステップS104では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS105に移る。ここで、図11のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図11は、速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、ステップS141では、ステップS102で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS142に移る。ステップS142では、ステップS103で取得した位置方向情報と地図データとを取得し、この位置方向情報と地図データのうちのリンクデータとをもとに、自車両の現在位置と自車両が走行中の道路に並行する道路である並行道路との距離が所定値以下か否かを判定する。自車両の現在位置と並行道路との距離は、並行道路のリンクのうちの自車両の現在位置の座標から最も近いリンクのリンク座標と自車両の現在位置の座標との距離とすればよい。
【0114】
そして、現在位置と並行道路との距離が所定値以下と判定した場合(ステップS142でYES)には、ステップS143に移る。また、現在位置と並行道路との距離が所定値以下と判定しなかった場合(ステップS142でNO)には、ステップS153に移る。ここで言うところの所定値は、例えば並行道路の速度規制標識が自車両の走行中の道路からも見える範囲に設けられる程度に並行道路が接近している場合を想定して設定される値であって、任意に設定可能な値である。
【0115】
ステップS143では、地図データのうちの並行道路の速度規制値とステップS141で取得した推定速度規制値とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。例えば、両者の差の絶対値が所定値以下であった場合に両者が一致すると判定する構成とすればよい。ここで言うところの所定値とは、例えば0km/hであってもよいし、10km/hなどの比較的小さな値であってもよい。本実施形態では、例えば0km/hであるものとする。
【0116】
そして、両者が一致すると判定した場合(ステップS143でYES)には、ステップS144に移る。また、両者が一致すると判定しなかった場合(ステップS143でNO)には、ステップS153に移る。
【0117】
ステップS144では、ステップS44と同様にして、画像認識処理によって検出された速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS145に移る。ステップS145では、地図データをもとに並行道路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS146に移る。例えば、自車両の現在位置の座標及び進行方向と並行道路のリンク座標とから、並行道路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0118】
ステップS146では、ステップS144での判定結果とステップS145での判定結果とをもとに、画像認識処理によって検出された速度規制標識(標識)と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かを判定する。そして、標識と並行道路とが同じ側に存在すると判定した場合(ステップS146でYES)には、ステップS147に移る。また、標識と並行道路とが同じ側に存在すると判定しなかった場合(ステップS146でNO)には、ステップS153に移る。
【0119】
ステップS147では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS148に移る。ステップS148では、ステップS141で取得した推定速度規制値とステップS147で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0120】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS148でYES)には、ステップS149に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS148でNO)には、ステップS153に移る。
【0121】
ステップS149では、ステップS49と同様にして、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS150に移る。ステップS150では、ステップS141で取得した推定速度規制値とステップS149で取得した他車両の車速とをもとに、ステップS50と同様にして、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0122】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS150でYES)には、ステップS151に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS150でNO)には、ステップS152に移る。
【0123】
ステップS151では、ステップS141で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、並行道路の推定速度規制値と判断)し、ステップS152に移る。ステップS152では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS105に移る。
【0124】
ステップS153では、ステップS141で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS154に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0125】
ステップS154では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS105に移る。
【0126】
図10に戻って、ステップS105では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0127】
以上の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に並行道路があり、その並行道路の速度規制標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0128】
ここで、以上の例を、具体的に図12を用いて説明する。図12は並行道路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。図12のAは自車両の走行中の道路の速度規制標識であって速度規制値は100km/hであり、Bは並行道路の速度規制標識であって速度規制値は40km/hである。
【0129】
例えば、並行道路が自車両の走行中の道路に近く、並行道路の速度規制標識Bを画像認識処理で検出してしまう場合には、並行道路の速度規制標識Bの速度規制値40km/hを自車両の走行中の道路の速度規制値と誤って判断してしまう。これに対して、本実施形態の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に並行道路があった場合には、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0130】
地図データから得られる並行道路の速度規制値と推定速度規制値とが一致すると判定されるほど両者の値が近い場合には、推定速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い。以上の構成では、地図データから得られる並行道路の速度規制値と推定速度規制値との差の絶対値が所定値以内であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、推定速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定を防ぐことができる。
【0131】
また、本実施形態では、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成となっている。
【0132】
しかしながら、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置と並行道路との距離が所定値以下であるが、検出した速度規制標識が自車線用のもの(図13のC参照)であった場合には、推定速度規制値を自車両の走行中の道路の速度規制値でないと誤って判断してしまうことになる。
【0133】
この問題に対して、本実施形態では、速度規制標識と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0134】
詳しくは、以下の通りである。画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路の存在しない側に検出された場合には、自車両の走行中の道路の制限規制標識を検出した可能性が高い。本実施形態の構成によれば、画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断するので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0135】
しかしながら、速度規制標識と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行った場合でも、画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路と同じ側に存在する自車線用の速度規制標識(図13のD参照)であった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0136】
そこで、この問題に対して、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否か、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かといった判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。なお、本実施形態においても、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0137】
例えば、ステップS150において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS151に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS150において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS153に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0138】
これらの判定をさらに行うことによる効果については、速度規制値通知システム100の説明において示したのと同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0139】
以上、本発明の他の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、さらに次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図14は、本発明が適用された速度規制値通知システム300の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
速度規制値通知システム300は、画像認識処理で逐次検出した同一の速度規制標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する構成である点が、速度規制値通知システム100とは異なっている。速度規制値通知システム300は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1bを含んでいる点と位置検出器3及び地図データ記憶部4の代わりに車速センサ10を含んでいる点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0141】
速度規制値通知装置1bは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、車速センサ10から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1bは、図14に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、通知部18、サイズ情報取得部19、及び自車両速度情報取得部20を備えている。車速センサ10は、自車両の車速(走行速度)を検出する公知のセンサである。
【0142】
続いて、図15を用いて、速度規制値通知装置1bの動作フローについての説明を行う。図15は、速度規制値通知装置1bの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0143】
ステップS201では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS202に移る。ステップS202では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS203に移る。
【0144】
ステップS203では、画像認識処理で速度規制標識を検出する際に得られた速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報をサイズ情報取得部19が取得し、ステップS204に移る。よって、サイズ情報取得部19が請求項のサイズ取得手段に相当する。ステップS204では、車速センサ10で検出された自車両の車速の情報を自車両速度情報取得部20が取得し、ステップS205に移る。
【0145】
ステップS205では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS206に移る。ここで、図16のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図16は、速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0146】
まず、ステップS251では、ステップS202で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS252に移る。ステップS252では、ステップS203でサイズ情報取得部19が取得した速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報(以下、現在サイズ情報)を取得し、ステップS253に移る。
【0147】
ステップS253では、直近の過去の対象速度規制値判断処理においてサイズ情報取得部19が取得した当該速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報(以下、過去サイズ情報)を取得し、ステップS254に移る。現在サイズ情報と過去サイズ情報との対象となる速度規制標識は同一のものであるものとする。ステップS254では、ステップS204で自車両速度情報取得部20が取得した自車両の車速の情報を取得し、ステップS255に移る。
【0148】
ステップS255では、速度規制標識静止判定処理を行って、ステップS256に移る。速度規制標識静止判定処理では、ステップS252で取得した現在サイズ情報、ステップS253で取得した過去サイズ情報、及びステップS254で取得した自車両の車速の情報をもとに、当該速度規制標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合い(例えば単位時間あたりの変化率とする)が、当該速度規制標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判定する。詳しくは、以下の通りである。
【0149】
路上等に設置された速度規制標識は静止しているため、撮像画像中の速度規制標識のサイズは時間を追うごとに大きくなる。また、撮像画像中の速度規制標識の単位時間あたりの変化率(以下、静止物サイズ変化率)は、自車両の車速が大きくなるほど大きくなる関係にある。本実施形態では、自車両の車速に応じた静止物サイズ変化率を求めることができる関数やテーブルを対象速度規制値判断部16が予め保持しているものとする。
【0150】
速度規制標識静止判定処理では、この予め保持していた関数やテーブルを用いて、自車両の車速に応じた静止物サイズ変化率を求める。また、過去サイズ情報と現在サイズ情報と車載カメラ2の撮像間隔の情報とをもとに、過去サイズ情報が示すサイズに対する現在サイズ情報が示すサイズの単位時間あたりの変化率(以下、検出物サイズ変化率)を求める。車載カメラ2の撮像間隔の情報は、対象速度規制値判断部16が予め保持している構成としてもよいし、車載カメラ2から取得する構成としてもよい。
【0151】
また、速度規制標識静止判定処理では、例えば静止物サイズ変化率と検出物サイズ変化率との差の絶対値が所定値以下であった場合に、当該速度規制標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定する。ここで言うところに所定値とは、任意に設定可能な値であって、0としてもよいが、静止物サイズ変化率や検出物サイズ変化率の算出誤差を考慮した値とすることが好ましい。
【0152】
そして、静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定した場合(ステップS256でYES)には、ステップS257に移る。また、静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定しなかった場合(ステップS256でNO)には、S261に移る。
【0153】
ステップS257では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS258に移る。ステップS258では、ステップS251で取得した推定速度規制値とステップS257で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0154】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS258でYES)には、ステップS259に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS258でNO)には、ステップS263に移る。
【0155】
ステップS259では、ステップS49と同様にして、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS260に移る。ステップS260では、ステップS251で取得した推定速度規制値とステップS259で取得した他車両の車速とをもとに、ステップS50と同様にして、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0156】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS260でYES)には、ステップS261に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS260でNO)には、ステップS262に移る。
【0157】
ステップS261では、ステップS251で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、先行車両の道路標識マークのステッカーにおける速度規制値と判断)し、ステップS262に移る。ステップS262では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS206に移る。
【0158】
ステップS263では、ステップS251で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS264に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0159】
ステップS264では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS206に移る。
【0160】
図15に戻って、ステップS206では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0161】
路上に設けられた速度規制標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高い。以上の構成によれば、先行車両の道路標識マークのステッカー(図17のE参照)を画像認識処理で検出していた場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断するので、先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を、自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って推定することを防ぐことが可能になる。
【0162】
しかしながら、道路標識マークのステッカーが付された先行車両が停車中であった場合には、その先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を自車両の走行中の道路の速度規制値と誤って判断してしまうことになる。
【0163】
そこで、この問題に対して、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否か、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かといった判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。なお、本実施形態においても、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0164】
例えば、ステップS260において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS261に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS260において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS263に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0165】
これらの判定をさらに行うことによる効果については、速度規制値通知システム100の説明において示したのと同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0166】
前述の実施形態では、速度規制値通知システム100、速度規制値通知システム200、及び速度規制値通知システム300を示したが、お互い共通する構成については併用することでこれらを組み合わせる構成としてもよい。
【0167】
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、さらに次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図18は、本発明が適用された速度規制値通知システム400の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0168】
速度規制値通知システム400は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1cを含んでいる点と位置検出器3及び地図データ記憶部4を含んでいない点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0169】
速度規制値通知装置1cは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1cは、図18に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、対象速度規制値判断部16、及び通知部18を備えている。
【0170】
続いて、図19を用いて、速度規制値通知装置1cの動作フローについての説明を行う。図19は、速度規制値通知装置1cの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0171】
ステップS301では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS302に移る。ステップS302では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS303に移る。
【0172】
ステップS303では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS304に移る。ここで、図20のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図20は、速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0173】
まず、ステップS331では、ステップS302で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS332に移る。ステップS332では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS333に移る。
【0174】
なお、過去速度規制値が対象速度規制値判断部16に未だ保持されていない状態にある場合には、仮の過去速度規制値として、例えば地図データから得られた自車両が走行中の道路の速度規制値や図示しない通信手段を用いて車車間通信や路車間通信で得られた自車両が走行中の道路の速度規制値等を取得してステップS333に移る構成としてもよい。
【0175】
ステップS333では、ステップS331で取得した推定速度規制値とステップS332で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0176】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS333でYES)には、ステップS334に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS333でNO)には、ステップS336に移る。
【0177】
ステップS334では、ステップS331で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断し、ステップS335に移る。ステップS335では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS304に移る。
【0178】
ステップS336では、ステップS331で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS337に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0179】
ステップS337では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS304に移る。
【0180】
図19に戻って、ステップS304では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0181】
以上の構成によれば、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、速度規制値通知システム100の説明中にも述べたように、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0182】
また、速度規制値通知システム400において、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの代わりに、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成としてもよい。この場合には、速度規制値通知装置1cに他車両速度情報取得部15をさらに備える構成とすればよい。また、ステップS332の代わりにステップS49と同様の処理を行い、ステップS333の代わりにステップS50と同様の処理を行う構成とすればよい。
【0183】
これによれば、推定速度規制値と他車両の車速とをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、速度規制値通知システム100の説明中にも述べたように、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0184】
また、速度規制値通知システム400において、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かに加え、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成としてもよい。この場合には、速度規制値通知装置1cに他車両速度情報取得部15をさらに備え、ステップS333の後にステップS49およびステップS50と同様の処理を追加する構成とすればよい。
【0185】
さらに、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定の代わりに、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行う構成としてもよい。例えば、ステップS50と同様の処理の代わりに、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS334に移る一方、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS336に移る構成とすればよい。
【0186】
この場合において、過去速度規制値が対象速度規制値判断部16に未だ保持されていない状態にある場合には、仮の過去速度規制値として、例えば地図データから得られた自車両が走行中の道路の速度規制値や図示しない通信手段を用いて車車間通信や路車間通信で得られた自車両が走行中の道路の速度規制値等を取得して用いる構成としてもよい。
【0187】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0188】
1・1a・1b・1c 速度規制値通知装置、2 車載カメラ(撮像装置)、3 位置検出器、4 地図データ記憶部、5 ディスプレイ、6 スピーカ、7 インジケータ、8 エンジンECU、9 ブレーキECU、11 画像処理部(画像認識手段)、12 速度規制値推定部(速度規制値推定手段)、13 位置情報取得部(検出位置情報取得手段)、14 地図データ取得部(地図データ取得手段)、15 他車両速度情報取得部(他車両速度情報取得手段)、16 対象速度規制値判断部(対象速度規制値判断手段)、17 進路判断部(進路判断手段)、18 通知部(通知手段)、19 サイズ情報取得部(サイズ取得手段)、20 自車両速度情報取得部、100・200・300・400 速度規制値通知システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、速度規制値通知装置及び速度規制値通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両が走行している道路の速度規制値を推定し、推定した速度規制値を当該車両のドライバに通知する技術が知られている。例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して検出した車両の現在位置と、速度規制値を道路のデータとして含む地図データとをもとに、車両の走行中の道路の速度規制値を推定する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、この方法では、車両の現在位置の検出誤差によっては、実際に走行中の道路以外の道路を走行中と判断され、実際に走行中の道路以外の速度規制値が誤って推定される問題点があった。また、地図データ中の道路のデータに誤りがあった場合に走行中の道路の速度規制値が誤って推定されたり、地図データ中の道路のデータに不足があった場合に、走行中の道路の速度規制値の推定を行うことができなかったりする問題点もあった。
【0004】
そこで、この問題を解決する手段として、車載カメラによって撮像された画像から制限速度の道路標識や道路標示を画像認識によって検出することで、車両の走行中の道路の速度規制値を推定する技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、自車線から隣接車線までを含む路面の画像を路面カメラによって撮像して、撮像した画像から路面に設けられた制限速度の道路標示を画像認識することで複数車線道路中の自車線の速度規制値を推定する技術が開示されている。また、推定した自車線の速度規制値の表示を行うことが開示されている。さらに、特許文献1には、自車線の速度規制値と隣接車線の速度規制値との推定結果が異なっている場合に、その旨の注意表示及び隣接車線の速度規制値の表示を行う技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−187166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、路面に制限速度の道路標示が存在する場合は限られている。よって、特許文献1に開示の技術では、路面に制限速度の道路標示が存在しない場合には、車両が走行中の道路の速度規制値を推定して通知することができない。
【0008】
これに対して、道路の傍らに立てられた制限速度の道路標識を車両前方の画像から画像認識して検出することで、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知することが考えられるが、この場合には、走行中の道路の速度規制値を乗員に誤認識させてしまう問題があった。詳しくは、上述の道路標識を画像認識する場合、分岐先の道路の道路標識(図1(a)及び図1(b)の破線で囲った領域を参照)や並行する道路の道路標識や先行車両の道路標識マークのステッカーといった自車両にとって対象外の道路標識や道路標識類似物を画像認識することで、走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう。そして、誤って推定した速度規制値を通知することによって、乗員に速度規制値を誤認識させてしまう。なお、先行車両の道路標識マークのステッカーとしては、例えばトラックの背面に貼られているものが知られている。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることを可能にする速度規制値通知装置及び速度規制値通知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の速度規制値通知装置によれば、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に分岐路や並行道路があり、その分岐路や並行道路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう場合といった、速度規制値の道路標識を誤って推定しやすい道路の敷設状況の場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知を保留したり、通知内容を変更したりできる。例えば保留する場合には、誤って推定した速度規制値を通知しないので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。また、通知内容を変更する場合には、通知内容を変更することで、誤って推定した速度規制値であることを乗員に認識させることが可能になるので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。従って、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0011】
請求項2の構成においては、制限速度の道路標識を検出した位置から所定距離内に分岐点が存在することをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に分岐路があり、その分岐路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0012】
請求項3の構成においては、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が小さいほど、推定した速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、推定した速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定をさらに防ぐことが可能になる。
【0013】
分岐点を通過後は、通過後の進路に応じて、車両の走行中の道路の速度規制値をより適切に判断することが可能になる。よって、請求項4のように、直進路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の速度規制値を通知する一方、分岐路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断手段で走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合は速度規制値推定手段で推定した速度規制値を分岐路の速度として通知し、対象速度規制値判断手段で走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合は地図データ取得手段で取得した分岐路速度値を通知することで、走行中の道路の速度規制値をより適切に通知することが可能になる。
【0014】
なお、地図データに誤りがあったり不足があったりするため、地図データに含まれる速度規制値をただ用いただけでは、走行中の道路の適切な速度規制値を判断して通知することはできない。しかしながら、請求項4の構成においては、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断した上で処理を行っているので、より信頼性の高い速度規制値を通知することが可能となっている。
【0015】
詳しくは、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でない(つまり、分岐路の速度規制値である)と判断するので、推定した速度規制値に値が近いことによって、上述の分岐路についての地図データから得られる速度規制値の信頼性が高いことも確認されていることになる。従って、分岐路に進んだと判断した場合には、地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値を通知しても、より信頼性の高い速度規制値を通知することができる。
【0016】
請求項5の構成においては、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在する側に検出されたか分岐路の存在しない側に検出されたかを判定し、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することになる。画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出された場合には、走行中の道路の制限速度の道路標識を検出した可能性が高い。よって、以上の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0017】
請求項6の構成においては、制限速度の道路標識を検出した位置から所定距離内に並行道路が存在することをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、制限速度の道路標識を検出した位置周辺に並行道路があり、その並行道路の制限速度の道路標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0018】
請求項7の構成においては、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在する側に検出されたか並行道路の存在しない側に検出されたかを判定し、画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することになる。画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出された場合には、走行中の道路の制限速度の道路標識を検出した可能性が高い。よって、以上の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0019】
請求項8の構成においては、地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であった場合には、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が小さいほど、推定した速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い。よって、以上の構成によれば、推定した速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定をさらに防ぐことが可能になる。
【0020】
請求項9の速度規制値通知装置においては、画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いに応じて、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することになる。
【0021】
路上に設けられた道路標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高い。よって、画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いによって、道路標識なのか先行車両の道路標識マークのステッカーなのかを精度良く判別することが可能である。よって、自車両の走行中の道路の速度規制値を精度良く推定することが可能になる。
【0022】
そして、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更するので、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。例えば保留する場合には、誤って推定した速度規制値を通知しないので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。また、通知内容を変更する場合には、通知内容を変更することで、誤って推定した速度規制値であることを乗員に認識させることが可能になるので、乗員に速度規制値を誤認識させずに済む。
【0023】
請求項10の構成においては、画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いが、当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判断する静止判断手段を備え、静止判断手段で当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判断しなかったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。
【0024】
路上に設けられた道路標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高いので、請求項10の構成によれば、先行車両の道路標識マークのステッカーを画像認識手段で検出していた場合には、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。よって、先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を、車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って推定することを防ぐことが可能になる。
【0025】
請求項11の構成においては、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することになる。本線を走行中において速度規制値が急激に切り替わることは一般的にはない。よって、走行中の道路の速度規制値であると判断していたそれまでの速度規制値から速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が急激に変化していた場合には、新たに推定した速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。
【0026】
請求項11の構成によれば、上述の直近の過去の速度規制値に対して、新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の速度規制値の急激な切り替わりの有無に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0027】
請求項12の構成においては、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度検出手段で検出した他車両速度(車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度)とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することになる。自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両速度が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両速度と速度規制値推定手段で推定した速度規制値との乖離が小さい場合には、推定した速度規制値が走行中の道路のものである可能性が高い一方、乖離が大きい場合には、推定した速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。
【0028】
請求項12の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の乖離に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0029】
請求項12のようにする場合は、請求項13のように、他車両速度検出手段で検出した他車両速度が速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に近かった場合に、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、他車両速度が直近の過去の速度規制値よりも速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することが好ましい。
【0030】
前述したように、自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両速度が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両速度が上述の新たに推定した速度規制値よりも上述の直近の過去の速度規制値に近かった場合には、新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でない可能性が高い。また、他車両速度が上述の直近の過去の速度規制値よりも上述の新たに推定した速度規制値に近かった場合には、新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値である可能性が高い。従って、請求項13の構成によれば、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0031】
請求項14の速度規制値通知装置においては、対象速度規制値判断手段で車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、請求項11と同様に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0032】
また、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になるので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0033】
請求項15の速度規制値通知装置においては、速度規制値推定手段で推定した速度規制値と他車両速度検出手段で検出した他車両速度(車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度)とをもとに、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することになる。よって、請求項12と同様に、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0034】
また、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になるので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【0035】
請求項16の構成によれば、請求項13のように、速度規制値推定手段で推定した速度規制値が車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0036】
請求項17の速度規制値通知システムによれば、車両に搭載されて当該車両の前方を撮像する撮像装置と、前記のいずれかの速度規制値通知装置とを含むので、自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する場合に、誤った速度規制値の通知による乗員の速度規制値に対する誤認識をより抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)及び(b)は本線側から見た分岐路の速度規制標識の一例を示す図である。
【図2】速度規制値通知システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は自車両を左方向から見た模式図であって、(b)は自車両を上から見た模式図である。
【図4】速度規制値通知装置1の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)は分岐路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図であって、(b)はT1〜T3bの各タイミングにおける推定速度規制値、地図データから得られる自車線や分岐路の速度規制値、乗員に通知する速度規制値の一例を示す表である。
【図7】GPSの誤差によって自車両の現在位置が精度良く検出できない場合の例を示す模式図である。
【図8】(a)は過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったか否かに応じた速度規制値の通知の例を示す表であって、(b)は他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかに応じて行われる速度規制値の通知の例を示す表である。
【図9】速度規制値通知システム200の概略的な構成を示すブロック図である。
【図10】速度規制値通知装置1aの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図11】速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図12】並行道路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。
【図13】並行道路が存在する場合の速度規制標識の配置の例を示す模式図である。
【図14】速度規制値通知システム300の概略的な構成を示すブロック図である。
【図15】速度規制値通知装置1bの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図16】速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図17】先行車両の道路標識マークのステッカーが存在する場合の例を示す模式図である。
【図18】速度規制値通知システム400の概略的な構成を示すブロック図である。
【図19】速度規制値通知装置1cの動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図20】速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図2は、本発明が適用された速度規制値通知システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示す速度規制値通知システム100は、車両に搭載されるものであり、速度規制値通知装置1、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4、ディスプレイ5、スピーカ6、インジケータ7、エンジンECU8、及びブレーキECU9を含んでいる。なお、速度規制値通知システム100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0039】
速度規制値通知装置1は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1は、図1に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、位置情報取得部13、地図データ取得部14、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、進路判断部17、及び通知部18を備えている。
【0040】
車載カメラ2は、図3(a)及び図3(b)に示すように、自車両において例えばルームミラー近傍に取り付けられ、自車両の前方の所定範囲を逐次撮影する。図3(a)は自車両を左方向から見た模式図であって、図3(b)は自車両を上から見た模式図である。他にも車載カメラ2を車両のフロント等に設ける構成としてもよい。例えば車載カメラ2としては、CCDカメラを用いる構成とすればよい。なお、車載カメラ2が請求項の撮像装置に相当する。
【0041】
位置検出器3は、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ、自車両の加速度を検出する加速度センサ、車輪速センサ、及び人工衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機といった各センサから得られる情報をもとに、定期的に自車両の現在位置及び進行方向の検出を行う。これらの各センサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、位置検出器3は上述した内の一部で構成してもよく、さらに、図示しない地磁気センサやステアリングの回転センサ等を用いてもよい。
【0042】
地図データ記憶部4は、例えばCD−ROM、DVD−ROM、HDD、フラッシュメモリ等によって構成されており、地図データが記憶されている。地図データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンク方位、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、一方通行属性、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、及び速度規制値等の各データから構成される。
【0043】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、及び交差点種類等の各データから構成される。
【0044】
ディスプレイ5は、車載用の小型ディスプレイであり、速度規制値通知装置1から出力された画像データを取得し、当該画像データの示す画像を表示する。画像の表示に関しては、例えば車載ナビゲーション装置で利用するディスプレイを用いる構成としてもよいし、車載用のヘッドアップディスプレイを用いることとしてもよい。
【0045】
スピーカ6は、車載用の小型スピーカであり、速度規制値通知装置1から出力された音声信号を取得し、当該音声信号の示す音声を出力する。音声の出力に関しては、例えば車載ナビゲーション装置で利用するスピーカを用いる構成としてもよいし、車載オーディオのスピーカを用いる構成としてもよい。インジケータ7は、例えばLEDであり、速度規制値通知装置1から出力される信号を取得すると点灯する。なお、LEDの点灯の代わりに、LEDを点滅させる構成としてもよい。
【0046】
エンジンECU8は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することでエンジン出力の制御に関する各種の処理を実行する。ブレーキECU9は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の制動に関する各種の処理を実行する。
【0047】
続いて、図4を用いて、速度規制値通知装置1の動作フローについての説明を行う。図4は、速度規制値通知装置1の動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0048】
まず、ステップS1では、画像処理部11が車載カメラ2から入力される撮像画像を取得して画像認識処理を行い、ステップS2に移る。画像認識処理では、エッジ検出などの公知の画像処理を撮像画像に対して行い、画像処理後の撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識(以下、速度規制標識)を検出する。よって、画像処理部11が請求項の画像認識手段に相当する。画像認識処理では、速度規制標識を検出する際に速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報も得られるものとする。速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報とは、例えば速度規制標識の撮像画像中での縦横のピクセル数などがある。
【0049】
画像認識は、パターンマッチングやハフ変換等の公知の方法を用いて行う構成とすればよい。例えば、ハフ変換で規制標識の外形を検出し、パターンマッチングによって数字を検出することで速度規制標識の速度規制値まで検出する等の構成とすればよい。また、画像処理としては、エッジ検出の他にも、例えば鏡像に変換する鏡像変換やレンズの特性で画像周辺部に生じる歪みを補正する歪み補正等も行う構成としてもよい。
【0050】
ステップS2では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS3に移る。よって、速度規制値推定部12が請求項の速度規制値推定手段に相当する。ステップS3では、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置及び進行方向の情報(位置方向情報)を位置検出器3から位置情報取得部13が取得するとともに、地図データ取得部14が地図データ記憶部4から地図データを取得し、ステップS4に移る。よって、位置情報取得部13が請求項の検出位置情報取得手段に相当し、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置の情報が請求項の検出位置情報に相当する。また、地図データ取得部14が請求項の地図データ取得手段に相当する。
【0051】
速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置とは、速度規制標識の検出時点に位置検出器3で検出された自車両の現在位置に限るものではなく、速度規制標識の検出時点に前後する時点において位置検出器3で検出された自車両の現在位置まで含むものとする。また、地図データ取得部14は、位置情報取得部13が取得した自車両の現在位置の情報をもとに、地図データ記憶部4に記憶されている地図データのうち、自車両の現在位置周辺の地図のみを取得する構成とすればよい。
【0052】
ステップS4では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS5に移る。なお、対象速度規制値判断部16が請求項の対象速度規制値判断手段に相当する。ここで、図5のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1での対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図5は、速度規制値通知装置1での対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS41では、ステップS2で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS42に移る。ステップS42では、ステップS3で位置情報取得部13が取得した位置方向情報と地図データ取得部14が取得した地図データとを取得し、この位置方向情報と地図データのうちのノードデータとをもとに、自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かを判定する。
【0054】
そして、現在位置と分岐点との距離が所定値以下と判定した場合(ステップS42でYES)には、ステップS43に移る。また、現在位置と分岐点との距離が所定値以下と判定しなかった場合(ステップS42でNO)には、ステップS53に移る。ここで言うところの所定値は、例えば分岐路の速度規制標識が分岐点の手前から離れて設けられている距離に相当する程度の値であって、任意に設定可能な値である。
【0055】
ステップS43では、地図データのうちの上記分岐点からの分岐路(以下、対象分岐路)の速度規制値とステップS41で取得した推定速度規制値とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。例えば、両者の差の絶対値が所定値以下であった場合に両者が一致すると判定する構成とすればよい。ここで言うところの所定値とは、例えば0km/hであってもよいし、10km/hなどの比較的小さな値であってもよい。本実施形態では、例えば0km/hであるものとする。
【0056】
そして、両者が一致すると判定した場合(ステップS43でYES)には、ステップS44に移る。また、両者が一致すると判定しなかった場合(ステップS43でNO)には、ステップS53に移る。
【0057】
ステップS44では、前述の画像認識処理によって検出された速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS45に移る。例えば、画像認識処理によって検出された速度規制標識が撮像画像の中央を境にして左右のどちら側に検出されたかによって、速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0058】
ステップS45では、地図データをもとに対象分岐路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS46に移る。例えば、自車両が走行中の道路のリンク方向やリンク方位と対象分岐路のリンク方向やリンク方位とから、対象分岐路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0059】
ステップS46では、ステップS44での判定結果とステップS45での判定結果とをもとに、画像認識処理によって検出された速度規制標識(標識)と対象分岐路(分岐路)とが自車線から見て同じ側に存在するか否かを判定する。そして、標識と分岐路とが同じ側に存在すると判定した場合(ステップS46でYES)には、ステップS47に移る。また、標識と分岐路とが同じ側に存在すると判定しなかった場合(ステップS46でNO)には、ステップS53に移る。
【0060】
ステップS47では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS48に移る。ステップS48では、ステップS41で取得した推定速度規制値とステップS47で取得した過去速度規制値とをもとに、推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。ここで言うところの所定値とは、本線を走行中において速度規制値が切り替わる場合の一般的な速度規制値の差よりも大きい値であって、任意に設定可能な値である。本実施形態では例えば50km/hとする。
【0061】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS48でYES)には、ステップS49に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS48でNO)には、ステップS53に移る。
【0062】
ステップS49では、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS50に移る。よって、他車両速度情報取得部15が請求項の他車両速度情報取得手段に相当する。ここで言うところの他車両とは、自車両の走行中の道路の前方や後方を走行中の車両を示している。他車両速度情報取得部15は、図示しない通信端末による他車両との公知の車車間通信によって他車両の車速の情報を取得する構成としてもよいし、図示しない通信端末による路側機との公知の路車間通信によって他車両の車速の情報を取得する構成としてもよい。また、図示しないミリ波レーダや超音波ソナー等の障害物センサで検出した他車両の距離の経時的な変化から求めた他車両の車速の情報を取得する構成としてもよい。
【0063】
ステップS50では、ステップS41で取得した推定速度規制値とステップS49で取得した他車両の車速とをもとに、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。ここで言うところの所定値とは、制限速度が設定された道路を走行する場合における一般的な車両の車速とその道路の速度規制値との差を考慮して設定されるものであって、任意に設定可能な値である。
【0064】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS50でYES)には、ステップS51に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS50でNO)には、ステップS52に移る。なお、ステップS41で取得した推定速度規制値が請求項の新たに推定した速度規制値に相当する。
【0065】
ステップS51では、ステップS41で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、分岐路の推定速度規制値と判断)し、ステップS52に移る。
【0066】
ステップS52では、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS5に移る。ここで言うところの非自車線用通知を行うための情報には、例えば前述の過去速度規制値を表示させる画像データや過去速度規制値と前述の推定速度規制値との両方を表示させない画像データといった推定速度規制値の表示の保留を行うための情報がある。他にも、非自車線用通知を行うための情報として、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させるための画像データといった表示の内容の変更を行うための情報を出力する構成としてもよい。過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させる場合、過去速度規制値と推定速度規制値とのうちの一方について、表示の色や大きさや濃さを変えるといった強調表示も行わせる構成としてもよい。
【0067】
ステップS53では、ステップS41で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS54に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0068】
ステップS54では、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS5に移る。ここで言うところの自車線用通知を行うための情報とは、例えばステップS41で取得した推定速度規制値を表示させる画像データである。
【0069】
図3に戻って、ステップS5では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従って、通知部18が通知を行い、ステップS6に移る。なお、通知部18が請求項の通知手段に相当する。非自車線用通知を行う構成としては、以下のパターンがある。例えば、過去速度規制値を表示させる画像データが出力された場合に、自車両の走行中の道路の速度規制値(以下、走行中道路速度規制値)として、過去速度規制値をディスプレイ5に表示させる。また、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させない画像データが出力された場合には、ディスプレイ5に走行中道路速度規制値を表示させない。さらに、過去速度規制値と推定速度規制値との両方を表示させるための画像データが出力された場合には、走行中道路速度規制値として、過去速度規制値と推定速度規制値との両方をディスプレイ5に表示させる。
【0070】
また、自車線用通知を行う構成としては、対象速度規制値判断部16から出力された推定速度規制値を表示させる画像データに従って、走行中道路速度規制値として推定速度規制値をディスプレイ5に表示させることになる。
【0071】
なお、非自車線用通知及び自車線用通知は、速度規制標識の速度規制値を示すアイコン画像やテキストをディスプレイ5に表示させることによって行ってもよいが、他の方法によって行ったり、他の方法を併用して行ったりする構成としてもよい。例えば、速度規制標識の速度規制値を示す音声案内をスピーカ6から出力させてもよいし、速度規制標識の速度規制値に応じたインジケータ7を点灯や点滅させたりしてもよい。
【0072】
ステップS6では、ステップS5で非自車線用通知を行った場合(ステップS6でYES)には、ステップS7に移る。また、ステップS5で自車線用通知を行った場合(ステップS6でNO)には、フローを終了する。
【0073】
ステップS7では、ステップS42で対象とした分岐点を自車両が越えたか否かを、位置情報取得部13を介して取得した位置方向情報と、地図データ取得部14を介して取得したノードデータとをもとに、進路判断部17が判断する。詳しくは、分岐点のノード座標を自車両の現在位置が越えた場合に、分岐点を自車両が越えたと判断する構成とすればよい。そして、分岐点を自車両が越えたと判断した場合(ステップS7でYES)には、ステップS8に移る。また、分岐点を自車両が越えたと判断しなかった場合(ステップS7でNO)には、ステップS7のフローを繰り返す。
【0074】
ステップS8では、位置情報取得部13を介して取得した位置方向情報と地図データ取得部14を介して取得した道路データとをもとに、自車両が直進路に進んだか否かを進路判断部17が判断する。よって、進路判断部17が請求項の進路判断手段に相当する。詳しくは、分岐点の接続リンクIDに対応するリンクのうち、直進路に該当するリンクに自車両の現在位置がある場合に、自車両が直進路に進んだと判断し、分岐路に該当するリンクに自車両の現在位置がある場合に、自車両が直進路に進まなかった(つまり、分岐路に進んだ)と判断する。そして、自車両が直進路に進んだと判断した場合(ステップS8でYES)には、ステップS9に移る。また、自車両が直進路に進んだと判断しなかった場合(ステップS8でNO)には、ステップS10に移る。
【0075】
なお、ここで言うところの「直進路」とは、自車両がそれまで走行していた道路からの道路変更のない「道なり」の道路を示している。
【0076】
ステップS9では、直進路用通知処理を行って、フローを終了する。直進路用通知処理では、前述の過去速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として過去速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0077】
ステップS10では、分岐路用通知処理を行って、フローを終了する。分岐路用通知処理では、ステップS4の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合には、地図データ取得部14で取得した対象分岐路の速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として、地図データ取得部14で取得した対象分岐路の速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0078】
一方、ステップS4の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、分岐路の推定速度規制値と判断)されていた場合には、推定速度規制値を表示させる画像データを進路判断部17が通知部18に出力する。そして、通知部18が走行中道路速度規制値として、推定速度規制値をディスプレイ5に表示させる。
【0079】
なお、直進路用通知処理及び分岐路用通知処理は、速度規制標識の速度規制値を示すアイコン画像やテキストをディスプレイ5に表示させることによって行ってもよいが、他の方法によって行ったり、他の方法を併用して行ったりする構成としてもよい。例えば、速度規制標識の速度規制値を示す音声案内をスピーカ6から出力させてもよいし、速度規制標識の速度規制値に応じたインジケータ7を点灯や点滅させたりしてもよい。
【0080】
また、自車線用通知を行う場合、直進路用通知処理や分岐路用通知処理において速度規制値の通知を行う場合のように、確定した速度規制値を通知する場合には、図示しない速度センサからのセンサ信号をもとに、確定した速度規制値に対して自車両の車速が所定値以上となった場合に、エンジンECU8に駆動力を低減させたり、ブレーキECU9に制動力を増加させたりして、自車両を減速させる構成としてもよい。
【0081】
以上の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に分岐路があり、その分岐路の速度規制標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0082】
地図データから得られる分岐路の速度規制値と推定速度規制値とが一致すると判定されるほど両者の値が近い場合には、推定速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い。以上の構成では、地図データから得られる分岐路の速度規制値と推定速度規制値との差の絶対値が所定値以内であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、推定速度規制値が分岐路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定を防ぐことができる。
【0083】
また、分岐点を通過後は、通過後の進路に応じて、自車両の走行中の道路の速度規制値をより適切に判断することが可能になる。以上の構成によれば、直進路に進んだと判断した場合には、過去の対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された過去速度規制値を通知する一方、分岐路に進んだと判断した場合には、対象速度規制値判断処理で自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合は推定速度規制値を分岐路の速度として通知し、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合は地図データから得た分岐路の速度規制値を通知することで、走行中の道路の速度規制値をより適切に通知することが可能になる。
【0084】
ここで、以上の例を具体的に図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。図6(a)は分岐路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。図6(a)のT1、T2、T3a、T3bはT1〜T3bの各タイミングにおける自車両を示している。T1のタイミングでは、自車両は分岐点から前述の所定値よりも距離が離れており、T2のタイミングでは、自車両は分岐点から前述の所定値以下の距離にあるものとする。また、T2のタイミングでは、非自車線用通知が行われるものとする。さらに、T3aのタイミングでは、分岐点を通過後に自車両が直進路に進んでいるものとし、T3bのタイミングでは、分岐点を通過後に自車両が分岐路に進んでいるものとする。
【0085】
図6(b)は、T1〜T3bの各タイミングにおける推定速度規制値、地図データから得られる自車線や分岐路の速度規制値、乗員に通知する速度規制値の一例を示す表である。本例では、自車線の速度規制値は100km/hであって、分岐路の速度規制値は40km/hであり、地図データの速度規制値も同様であるものとする。
【0086】
まず、T1のタイミングにおいては、画像認識処理によって自車線の速度規制標識が検出され、100km/hが推定速度規制値となる。T1のタイミングにおいては、分岐点から前述の所定値よりも距離が離れているため、自車両の走行中の道路の速度規制値と判断され、速度規制値100km/hが乗員に通知されることになる。
【0087】
続いて、T2のタイミングでは、画像認識処理によって分岐路の速度規制標識が検出され、40km/hが推定速度規制値となる。そして、T2のタイミングでは、非自車線用通知が行われる。非自車線用通知の一例としては、図6(b)に示すように、T1のタイミングにおいて自車両の走行中の道路の速度規制値と判断された速度規制値100km/hを過去速度規制値として乗員に通知したり、推定速度規制値40km/hと過去速度規制値100km/hとの両方を乗員に通知したりする。
【0088】
T3aのタイミングでは、自車両が分岐点を通過後に直進路に進んだので、過去速度規制値100km/hが乗員に通知されることになる。一方、T3bのタイミングでは、自車両が分岐点を通過後に分岐路に進んだので、地図データから得られる分岐路の速度規制値40km/hが乗員に通知されることになる。
【0089】
しかしながら、GPSの誤差が数十メートルあるなど位置検出器3の検出誤差が大きい場合には、図7の模式図に示すように、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置が精度良く検出できない。このような場合には、自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かの判定結果だけでは、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0090】
この問題に対して、本実施形態では、速度規制標識と対象分岐路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0091】
詳しくは、以下の通りである。画像認識処理で検出した速度規制標識が分岐路の存在しない側に検出された場合には、自車両の走行中の道路の制限規制標識を検出した可能性が高い。本実施形態の構成によれば、画像認識処理で検出した速度規制標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断するので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0092】
しかしながら、速度規制標識と対象分岐路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行った場合でも、画像認識処理で検出した速度規制標識が対象分岐路と同じ側に存在する自車線用の速度規制標識であった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0093】
そこで、この問題に対しては、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0094】
詳しくは、以下の通りである。本線を走行中において速度規制値が急激に切り替わることは一般的にはない。よって、過去速度規制値から推定速度規制値が急激に変化していた場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。本実施形態の構成によれば、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の速度規制値の急激な切り替わりの有無に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0095】
ここで、以上の例を、具体的に図8(a)を用いて説明する。図8(a)は、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったか否かに応じた速度規制値の通知の例を示す表である。本例では、過去速度規制値は100km/hであったものとする。
【0096】
例えば、推定速度規制値が90km/hであった場合には、過去速度規制値と推定速度規制値との速度差は10km/hとなる。本実施形態の例では所定量は50km/hであるので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する。そして、直進路を進んだ場合に推定速度規制値90km/hが通知され、分岐路を進んだ場合には例えば地図データから得られる分岐路の速度規制値が通知される。
【0097】
一方、推定速度規制値が40km/hであった場合には、過去速度規制値と推定速度規制値との速度差は60km/hとなる。本実施形態の例では所定量は50km/hであるので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でない(つまり、分岐路の速度規制値)と判断する。そして、直進路を進んだ場合に過去速度規制値100km/hが通知され、分岐路を進んだ場合には例えば分岐路の速度規制値と判断した推定速度規制値40kn/hが通知される。
【0098】
しかしながら、定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの判定をさらに行った場合でも、分岐路の速度規制値と過去速度規制値との速度差が小さい場合や工事等で自車線に臨時の速度規制標識が設けられていた場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0099】
そこで、この問題に対しては、本実施形態では、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0100】
詳しくは、以下の通りである。自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両の車速が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両の車速と推定速度規制値との乖離が小さい場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものである可能性が高い一方、乖離が大きい場合には、推定速度規制値が走行中の道路のものでない可能性が高い。本実施形態の構成によれば、推定速度規制値と他車両の車速とをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、上述の乖離に応じて当該判断を行うことが可能になる。従って、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0101】
なお、本実施形態では、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0102】
例えば、ステップS50において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS51に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS50において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS53に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0103】
前述したように、自車両の前方や後方の車両は、自車両の走行中の道路の速度規制値に従って走行している可能性が高いので、他車両の車速が自車両の走行中の道路の速度規制値に近い可能性が高い。よって、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でない可能性が高い。また、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値である可能性が高い。従って、以上の構成によっても、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かをより精度良く判断することが可能になる。
【0104】
ここで、以上の例を、具体的に図8(b)を用いて説明する。図8(b)は、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかに応じて行われる速度規制値の通知の例を示す表である。本例では、過去速度規制値は100km/hであったものとする。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする。
【0105】
例えば、推定速度規制値が90km/hであり、他車両の車速が80km/hであった場合には、他車両の車速は推定速度規制値90km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断される。そして、推定速度規制値90km/hが通知される。また、推定速度規制値が40km/hであり、他車両の車速が50km/hであった場合には、他車両の車速は推定速度規制値40km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断される。そして、推定速度規制値40km/hが通知される。
【0106】
一方、推定速度規制値が40km/hであり、他車両の車速が100km/hであった場合には、他車両の車速は過去速度規制値100km/hに近いものと判定され、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断されない。そして、過去速度規制値100km/hが通知される。
【0107】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図9は、本発明が適用された速度規制値通知システム200の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
速度規制値通知システム200は、速度規制標識を検出した位置周辺の道路の敷設状況に応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するという点においては速度規制値通知システム100と同様である。しかしながら、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置周辺の分岐路でなく並行道路の存在の有無に応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する構成である点が、速度規制値通知システム100とは異なっている。速度規制値通知システム200は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1aを含んでいる点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0109】
速度規制値通知装置1aは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、位置検出器3、地図データ記憶部4から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1aは、図9に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、位置情報取得部13、地図データ取得部14、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、及び通知部18を備えている。
【0110】
続いて、図10を用いて、速度規制値通知装置1aの動作フローについての説明を行う。図10は、速度規制値通知装置1aの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0111】
ステップS101では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS102に移る。ステップS102では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS103に移る。ステップS103では、ステップS3と同様にして位置方向情報を取得するとともに地図データを取得し、ステップS104に移る。
【0112】
ステップS104では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS105に移る。ここで、図11のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図11は、速度規制値通知装置1aでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0113】
まず、ステップS141では、ステップS102で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS142に移る。ステップS142では、ステップS103で取得した位置方向情報と地図データとを取得し、この位置方向情報と地図データのうちのリンクデータとをもとに、自車両の現在位置と自車両が走行中の道路に並行する道路である並行道路との距離が所定値以下か否かを判定する。自車両の現在位置と並行道路との距離は、並行道路のリンクのうちの自車両の現在位置の座標から最も近いリンクのリンク座標と自車両の現在位置の座標との距離とすればよい。
【0114】
そして、現在位置と並行道路との距離が所定値以下と判定した場合(ステップS142でYES)には、ステップS143に移る。また、現在位置と並行道路との距離が所定値以下と判定しなかった場合(ステップS142でNO)には、ステップS153に移る。ここで言うところの所定値は、例えば並行道路の速度規制標識が自車両の走行中の道路からも見える範囲に設けられる程度に並行道路が接近している場合を想定して設定される値であって、任意に設定可能な値である。
【0115】
ステップS143では、地図データのうちの並行道路の速度規制値とステップS141で取得した推定速度規制値とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。例えば、両者の差の絶対値が所定値以下であった場合に両者が一致すると判定する構成とすればよい。ここで言うところの所定値とは、例えば0km/hであってもよいし、10km/hなどの比較的小さな値であってもよい。本実施形態では、例えば0km/hであるものとする。
【0116】
そして、両者が一致すると判定した場合(ステップS143でYES)には、ステップS144に移る。また、両者が一致すると判定しなかった場合(ステップS143でNO)には、ステップS153に移る。
【0117】
ステップS144では、ステップS44と同様にして、画像認識処理によって検出された速度規制標識が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS145に移る。ステップS145では、地図データをもとに並行道路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定し、ステップS146に移る。例えば、自車両の現在位置の座標及び進行方向と並行道路のリンク座標とから、並行道路が自車線の左右どちら側に存在するかを判定する。
【0118】
ステップS146では、ステップS144での判定結果とステップS145での判定結果とをもとに、画像認識処理によって検出された速度規制標識(標識)と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かを判定する。そして、標識と並行道路とが同じ側に存在すると判定した場合(ステップS146でYES)には、ステップS147に移る。また、標識と並行道路とが同じ側に存在すると判定しなかった場合(ステップS146でNO)には、ステップS153に移る。
【0119】
ステップS147では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS148に移る。ステップS148では、ステップS141で取得した推定速度規制値とステップS147で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0120】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS148でYES)には、ステップS149に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS148でNO)には、ステップS153に移る。
【0121】
ステップS149では、ステップS49と同様にして、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS150に移る。ステップS150では、ステップS141で取得した推定速度規制値とステップS149で取得した他車両の車速とをもとに、ステップS50と同様にして、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0122】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS150でYES)には、ステップS151に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS150でNO)には、ステップS152に移る。
【0123】
ステップS151では、ステップS141で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、並行道路の推定速度規制値と判断)し、ステップS152に移る。ステップS152では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS105に移る。
【0124】
ステップS153では、ステップS141で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS154に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0125】
ステップS154では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS105に移る。
【0126】
図10に戻って、ステップS105では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0127】
以上の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に並行道路があり、その並行道路の速度規制標識を誤って検出してしまうことで走行中の道路の速度規制値を誤って推定してしまう可能性がある場合に、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0128】
ここで、以上の例を、具体的に図12を用いて説明する。図12は並行道路が存在する道路上を走行中の自車両の一例を示す模式図である。図12のAは自車両の走行中の道路の速度規制標識であって速度規制値は100km/hであり、Bは並行道路の速度規制標識であって速度規制値は40km/hである。
【0129】
例えば、並行道路が自車両の走行中の道路に近く、並行道路の速度規制標識Bを画像認識処理で検出してしまう場合には、並行道路の速度規制標識Bの速度規制値40km/hを自車両の走行中の道路の速度規制値と誤って判断してしまう。これに対して、本実施形態の構成によれば、画像認識処理によって速度規制標識を検出した位置周辺に並行道路があった場合には、推定速度規制値の通知の保留や通知内容の変更によって、乗員の速度規制値に対する誤認識を抑えることができる。
【0130】
地図データから得られる並行道路の速度規制値と推定速度規制値とが一致すると判定されるほど両者の値が近い場合には、推定速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い。以上の構成では、地図データから得られる並行道路の速度規制値と推定速度規制値との差の絶対値が所定値以内であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する。よって、推定速度規制値が並行道路の速度規制値である可能性が高い場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断せず、速度規制値の誤った推定を防ぐことができる。
【0131】
また、本実施形態では、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置と自車両手前の直近の分岐点との距離が所定値以下か否かをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成となっている。
【0132】
しかしながら、速度規制標識を検出したときの自車両の現在位置と並行道路との距離が所定値以下であるが、検出した速度規制標識が自車線用のもの(図13のC参照)であった場合には、推定速度規制値を自車両の走行中の道路の速度規制値でないと誤って判断してしまうことになる。
【0133】
この問題に対して、本実施形態では、速度規制標識と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。
【0134】
詳しくは、以下の通りである。画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路の存在しない側に検出された場合には、自車両の走行中の道路の制限規制標識を検出した可能性が高い。本実施形態の構成によれば、画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断するので、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であることを、より精度良く判断することが可能になる。
【0135】
しかしながら、速度規制標識と並行道路とが自車線から見て同じ側に存在するか否かの判定をさらに行った場合でも、画像認識処理で検出した速度規制標識が並行道路と同じ側に存在する自車線用の速度規制標識(図13のD参照)であった場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを精度良く判断することができなくなる。
【0136】
そこで、この問題に対して、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否か、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かといった判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。なお、本実施形態においても、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0137】
例えば、ステップS150において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS151に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS150において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS153に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0138】
これらの判定をさらに行うことによる効果については、速度規制値通知システム100の説明において示したのと同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0139】
以上、本発明の他の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、さらに次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図14は、本発明が適用された速度規制値通知システム300の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
速度規制値通知システム300は、画像認識処理で逐次検出した同一の速度規制標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する構成である点が、速度規制値通知システム100とは異なっている。速度規制値通知システム300は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1bを含んでいる点と位置検出器3及び地図データ記憶部4の代わりに車速センサ10を含んでいる点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0141】
速度規制値通知装置1bは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2、車速センサ10から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1bは、図14に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、他車両速度情報取得部15、対象速度規制値判断部16、通知部18、サイズ情報取得部19、及び自車両速度情報取得部20を備えている。車速センサ10は、自車両の車速(走行速度)を検出する公知のセンサである。
【0142】
続いて、図15を用いて、速度規制値通知装置1bの動作フローについての説明を行う。図15は、速度規制値通知装置1bの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0143】
ステップS201では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS202に移る。ステップS202では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS203に移る。
【0144】
ステップS203では、画像認識処理で速度規制標識を検出する際に得られた速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報をサイズ情報取得部19が取得し、ステップS204に移る。よって、サイズ情報取得部19が請求項のサイズ取得手段に相当する。ステップS204では、車速センサ10で検出された自車両の車速の情報を自車両速度情報取得部20が取得し、ステップS205に移る。
【0145】
ステップS205では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS206に移る。ここで、図16のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図16は、速度規制値通知装置1bでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0146】
まず、ステップS251では、ステップS202で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS252に移る。ステップS252では、ステップS203でサイズ情報取得部19が取得した速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報(以下、現在サイズ情報)を取得し、ステップS253に移る。
【0147】
ステップS253では、直近の過去の対象速度規制値判断処理においてサイズ情報取得部19が取得した当該速度規制標識の撮像画像中でのサイズの情報(以下、過去サイズ情報)を取得し、ステップS254に移る。現在サイズ情報と過去サイズ情報との対象となる速度規制標識は同一のものであるものとする。ステップS254では、ステップS204で自車両速度情報取得部20が取得した自車両の車速の情報を取得し、ステップS255に移る。
【0148】
ステップS255では、速度規制標識静止判定処理を行って、ステップS256に移る。速度規制標識静止判定処理では、ステップS252で取得した現在サイズ情報、ステップS253で取得した過去サイズ情報、及びステップS254で取得した自車両の車速の情報をもとに、当該速度規制標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合い(例えば単位時間あたりの変化率とする)が、当該速度規制標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判定する。詳しくは、以下の通りである。
【0149】
路上等に設置された速度規制標識は静止しているため、撮像画像中の速度規制標識のサイズは時間を追うごとに大きくなる。また、撮像画像中の速度規制標識の単位時間あたりの変化率(以下、静止物サイズ変化率)は、自車両の車速が大きくなるほど大きくなる関係にある。本実施形態では、自車両の車速に応じた静止物サイズ変化率を求めることができる関数やテーブルを対象速度規制値判断部16が予め保持しているものとする。
【0150】
速度規制標識静止判定処理では、この予め保持していた関数やテーブルを用いて、自車両の車速に応じた静止物サイズ変化率を求める。また、過去サイズ情報と現在サイズ情報と車載カメラ2の撮像間隔の情報とをもとに、過去サイズ情報が示すサイズに対する現在サイズ情報が示すサイズの単位時間あたりの変化率(以下、検出物サイズ変化率)を求める。車載カメラ2の撮像間隔の情報は、対象速度規制値判断部16が予め保持している構成としてもよいし、車載カメラ2から取得する構成としてもよい。
【0151】
また、速度規制標識静止判定処理では、例えば静止物サイズ変化率と検出物サイズ変化率との差の絶対値が所定値以下であった場合に、当該速度規制標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定する。ここで言うところに所定値とは、任意に設定可能な値であって、0としてもよいが、静止物サイズ変化率や検出物サイズ変化率の算出誤差を考慮した値とすることが好ましい。
【0152】
そして、静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定した場合(ステップS256でYES)には、ステップS257に移る。また、静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定しなかった場合(ステップS256でNO)には、S261に移る。
【0153】
ステップS257では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS258に移る。ステップS258では、ステップS251で取得した推定速度規制値とステップS257で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0154】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS258でYES)には、ステップS259に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS258でNO)には、ステップS263に移る。
【0155】
ステップS259では、ステップS49と同様にして、他車両速度情報取得部15で取得した他車両の車速(つまり、走行速度)の情報を取得し、ステップS260に移る。ステップS260では、ステップS251で取得した推定速度規制値とステップS259で取得した他車両の車速とをもとに、ステップS50と同様にして、推定速度規制値と他車両の車速との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0156】
そして、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定した場合(ステップS260でYES)には、ステップS261に移る。また、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS260でNO)には、ステップS262に移る。
【0157】
ステップS261では、ステップS251で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断(つまり、先行車両の道路標識マークのステッカーにおける速度規制値と判断)し、ステップS262に移る。ステップS262では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS206に移る。
【0158】
ステップS263では、ステップS251で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS264に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0159】
ステップS264では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS206に移る。
【0160】
図15に戻って、ステップS206では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0161】
路上に設けられた速度規制標識は静止しているのに対して、先行車両の道路標識マークのステッカーは移動している可能性が高い。以上の構成によれば、先行車両の道路標識マークのステッカー(図17のE参照)を画像認識処理で検出していた場合には、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断するので、先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を、自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って推定することを防ぐことが可能になる。
【0162】
しかしながら、道路標識マークのステッカーが付された先行車両が停車中であった場合には、その先行車両の道路標識マークのステッカーの速度規制値を自車両の走行中の道路の速度規制値と誤って判断してしまうことになる。
【0163】
そこで、この問題に対して、本実施形態では、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否か、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かといった判定をさらに行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断することを可能にしている。なお、本実施形態においても、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行うことで、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かをより精度良く判断する構成としてもよい。
【0164】
例えば、ステップS260において、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS261に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する構成とすればよい。一方、ステップS260において、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS263に移り、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断する構成とすればよい。また、他車両の車速が過去速度規制値と推定速度規制値との中間であった場合には、より低い値の方に近かったものとする構成としてもよい。
【0165】
これらの判定をさらに行うことによる効果については、速度規制値通知システム100の説明において示したのと同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0166】
前述の実施形態では、速度規制値通知システム100、速度規制値通知システム200、及び速度規制値通知システム300を示したが、お互い共通する構成については併用することでこれらを組み合わせる構成としてもよい。
【0167】
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、さらに次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図18は、本発明が適用された速度規制値通知システム400の概略的な構成を示すブロック図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0168】
速度規制値通知システム400は、速度規制値通知装置1の代わりに速度規制値通知装置1cを含んでいる点と位置検出器3及び地図データ記憶部4を含んでいない点を除けば速度規制値通知システム100と同様の構成である。
【0169】
速度規制値通知装置1cは、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、車載カメラ2から入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで自車両の走行中の道路の速度規制値を推定して通知する処理を実行する。速度規制値通知装置1cは、図18に示すように、機能ブロックとして、画像処理部11、速度規制値推定部12、対象速度規制値判断部16、及び通知部18を備えている。
【0170】
続いて、図19を用いて、速度規制値通知装置1cの動作フローについての説明を行う。図19は、速度規制値通知装置1cの動作フローの一例を示すフローチャートである。例えば本フローは車載カメラ2から撮像画像が入力されたときに開始され、このフローは撮像画像が入力されるごとに逐次繰り返される。
【0171】
ステップS301では、ステップS1と同様にして画像認識処理を行い、ステップS302に移る。ステップS302では、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値を、自車両が走行中の道路の速度規制値であると速度規制値推定部12が推定し、ステップS303に移る。
【0172】
ステップS303では、対象速度規制値判断部16が対象速度規制値判断処理を行って、画像認識処理で検出された速度規制標識の速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断し、ステップS304に移る。ここで、図20のフローチャートを用いて、速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理の概略について説明を行う。図20は、速度規制値通知装置1cでの対象速度規制値判断処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【0173】
まず、ステップS331では、ステップS302で速度規制値推定部12が推定した速度規制値(以下、推定速度規制値)を取得し、ステップS332に移る。ステップS332では、過去の対象速度規制値判断処理において自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値(以下、過去速度規制値)を取得し、ステップS333に移る。
【0174】
なお、過去速度規制値が対象速度規制値判断部16に未だ保持されていない状態にある場合には、仮の過去速度規制値として、例えば地図データから得られた自車両が走行中の道路の速度規制値や図示しない通信手段を用いて車車間通信や路車間通信で得られた自車両が走行中の道路の速度規制値等を取得してステップS333に移る構成としてもよい。
【0175】
ステップS333では、ステップS331で取得した推定速度規制値とステップS332で取得した過去速度規制値とをもとに、ステップS48と同様にして推定速度規制値と過去速度規制値との差(詳しくは差の絶対値)が所定値以上か否かを判定する。
【0176】
そして、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定した場合(ステップS333でYES)には、ステップS334に移る。また、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上と判定しなかった場合(ステップS333でNO)には、ステップS336に移る。
【0177】
ステップS334では、ステップS331で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断し、ステップS335に移る。ステップS335では、ステップS52と同様にして、非自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS304に移る。
【0178】
ステップS336では、ステップS331で取得した推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断(つまり、直進路の推定速度規制値と判断)し、ステップS337に移る。また、自車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された推定速度規制値は、RAM等の揮発性のメモリに記憶するものとする。揮発性のメモリに記憶された推定速度規制値(過去速度規制値に該当する)は、例えばACC電源がオフになった場合に消去される構成とすればよい。
【0179】
ステップS337では、ステップS54と同様にして、自車線用通知を行うための情報を通知部18に出力し、ステップS304に移る。
【0180】
図19に戻って、ステップS304では、対象速度規制値判断処理の結果として出力された情報に従い、ステップS5と同様にして通知部18が通知を行い、フローを終了する。
【0181】
以上の構成によれば、過去速度規制値に対して推定速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、速度規制値通知システム100の説明中にも述べたように、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0182】
また、速度規制値通知システム400において、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かの代わりに、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成としてもよい。この場合には、速度規制値通知装置1cに他車両速度情報取得部15をさらに備える構成とすればよい。また、ステップS332の代わりにステップS49と同様の処理を行い、ステップS333の代わりにステップS50と同様の処理を行う構成とすればよい。
【0183】
これによれば、推定速度規制値と他車両の車速とをもとに、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断するので、速度規制値通知システム100の説明中にも述べたように、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値であると誤って判断することをより防ぐことが可能になる。
【0184】
また、速度規制値通知システム400において、推定速度規制値と過去速度規制値との差が所定値以上か否かに加え、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かに応じて、推定速度規制値が自車両の走行中の道路の速度規制値か否かを判断する構成としてもよい。この場合には、速度規制値通知装置1cに他車両速度情報取得部15をさらに備え、ステップS333の後にステップS49およびステップS50と同様の処理を追加する構成とすればよい。
【0185】
さらに、推定速度規制値と他車両の車速との差が所定値以上か否かの判定の代わりに、他車両の車速が推定速度規制値と過去速度規制値とのどちらにより近いかの判定を行う構成としてもよい。例えば、ステップS50と同様の処理の代わりに、他車両の車速が推定速度規制値よりも過去速度規制値に近かった場合には、ステップS334に移る一方、他車両の車速が過去速度規制値よりも推定速度規制値に近かった場合には、ステップS336に移る構成とすればよい。
【0186】
この場合において、過去速度規制値が対象速度規制値判断部16に未だ保持されていない状態にある場合には、仮の過去速度規制値として、例えば地図データから得られた自車両が走行中の道路の速度規制値や図示しない通信手段を用いて車車間通信や路車間通信で得られた自車両が走行中の道路の速度規制値等を取得して用いる構成としてもよい。
【0187】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0188】
1・1a・1b・1c 速度規制値通知装置、2 車載カメラ(撮像装置)、3 位置検出器、4 地図データ記憶部、5 ディスプレイ、6 スピーカ、7 インジケータ、8 エンジンECU、9 ブレーキECU、11 画像処理部(画像認識手段)、12 速度規制値推定部(速度規制値推定手段)、13 位置情報取得部(検出位置情報取得手段)、14 地図データ取得部(地図データ取得手段)、15 他車両速度情報取得部(他車両速度情報取得手段)、16 対象速度規制値判断部(対象速度規制値判断手段)、17 進路判断部(進路判断手段)、18 通知部(通知手段)、19 サイズ情報取得部(サイズ取得手段)、20 自車両速度情報取得部、100・200・300・400 速度規制値通知システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記道路標識を検出した位置の情報である検出位置情報を取得する検出位置情報取得手段と、
少なくとも道路の敷設状況のデータを含む地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記道路標識を検出した位置周辺の道路の敷設状況に応じて、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段とを備え、
前記通知手段は、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと前記対象速度規制値判断手段で判断した場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象速度規制値判断手段は、前記道路標識を検出した位置から所定距離内に道路の分岐点が存在することをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記地図データ取得手段は、道路のデータとして道路の速度規制値を含む地図データを取得するものであって、前記道路標識を検出した位置から前記所定距離内に道路の分岐点が存在する場合に、その分岐点からの分岐路の速度規制値を取得し、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
それら2つの速度規制値の差が所定値以内でなかった場合には、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記分岐点を通過後に直進路と分岐路とのうちのいずれに進んだかを判断する進路判断手段をさらに備え、
前記通知手段は、
前記進路判断手段で直進路に進んだと判断した場合には、前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値を通知する一方、
前記進路判断手段で分岐路に進んだと判断した場合には、前記対象速度規制値判断手段で前記走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合には前記速度規制値推定手段で推定した規制速度値を通知し、前記対象速度規制値判断手段で前記走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合には前記地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値を通知することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記車両の走行中の道路の左右いずれに前記分岐路が存在するかを判定するとともに、
前記画像認識手段での検出結果をもとに、前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が撮像画像中の左右いずれに検出されたかを判定することによって、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在する側に検出されたか分岐路の存在しない側に検出されたかを判定し、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記対象速度規制値判断手段は、前記道路標識を検出した位置から所定距離内に前記車両の走行中の道路に並行する道路である並行道路が存在することをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記車両の走行中の道路の左右いずれに前記並行道路が存在するかを判定するとともに、
前記画像認識手段での検出結果をもとに、前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が撮像画像中の左右いずれに検出されたかを判定することによって、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在する側に検出されたか並行道路の存在しない側に検出されたかを判定し、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記地図データ取得手段は、道路のデータとして道路の速度規制値を含む地図データを取得するものであって、
前記道路標識を検出した位置から前記所定距離内に前記並行道路が存在する場合に、その並行道路の速度規制値を取得し、
前記地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であった場合には、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項9】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの情報を取得するサイズ取得手段と、
前記サイズ取得手段で取得したサイズの情報をもとに、前記画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いを求め、求めた当該変化の度合いに応じて、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段とを備え、
前記通知手段は、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると前記対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いが、当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判定し、
当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定しなかったことをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度である他車両速度の情報を取得する他車両速度情報取得手段を備え、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値と前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値と、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値と、前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とに基づいて、
前記他車両速度が前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも前記直近の過去の速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記他車両速度が前記直近の過去の速度規制値よりも前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項14】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段を備え、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値が存在しない場合には、仮に設定した速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記直近の過去の速度規制値が存在する場合には、直近の過去の速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項15】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段を備え、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度である他車両速度の情報を取得する他車両速度情報取得手段を備え、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値と前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値が存在しない場合には、仮に設定した速度規制値を直近の過去の速度規制値として用いる一方、前記直近の過去の速度規制値が存在する場合には、当該直近の過去の速度規制値を用いるものであって、
前記直近の過去の速度規制値と、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値と、前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とに基づいて、
前記他車両速度が前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも前記直近の過去の速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記他車両速度が前記直近の過去の速度規制値よりも前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項17】
車両に搭載されて前記車両の前方を撮像する撮像装置と、
請求項1〜16のいずれかに記載の速度規制値通知装置とを含むことを特徴とする速度規制値通知システム。
【請求項1】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記道路標識を検出した位置の情報である検出位置情報を取得する検出位置情報取得手段と、
少なくとも道路の敷設状況のデータを含む地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記道路標識を検出した位置周辺の道路の敷設状況に応じて、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段とを備え、
前記通知手段は、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと前記対象速度規制値判断手段で判断した場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象速度規制値判断手段は、前記道路標識を検出した位置から所定距離内に道路の分岐点が存在することをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記地図データ取得手段は、道路のデータとして道路の速度規制値を含む地図データを取得するものであって、前記道路標識を検出した位置から前記所定距離内に道路の分岐点が存在する場合に、その分岐点からの分岐路の速度規制値を取得し、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値と前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
それら2つの速度規制値の差が所定値以内でなかった場合には、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記分岐点を通過後に直進路と分岐路とのうちのいずれに進んだかを判断する進路判断手段をさらに備え、
前記通知手段は、
前記進路判断手段で直進路に進んだと判断した場合には、前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値を通知する一方、
前記進路判断手段で分岐路に進んだと判断した場合には、前記対象速度規制値判断手段で前記走行中の道路の速度規制値でないと判断されていた場合には前記速度規制値推定手段で推定した規制速度値を通知し、前記対象速度規制値判断手段で前記走行中の道路の速度規制値であると判断されていた場合には前記地図データ取得手段で取得した分岐路の速度規制値を通知することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記車両の走行中の道路の左右いずれに前記分岐路が存在するかを判定するとともに、
前記画像認識手段での検出結果をもとに、前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が撮像画像中の左右いずれに検出されたかを判定することによって、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在する側に検出されたか分岐路の存在しない側に検出されたかを判定し、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が分岐路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記対象速度規制値判断手段は、前記道路標識を検出した位置から所定距離内に前記車両の走行中の道路に並行する道路である並行道路が存在することをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記検出位置情報取得手段で取得した検出位置情報と前記地図データ取得手段で取得した地図データとをもとに、前記車両の走行中の道路の左右いずれに前記並行道路が存在するかを判定するとともに、
前記画像認識手段での検出結果をもとに、前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が撮像画像中の左右いずれに検出されたかを判定することによって、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在する側に検出されたか並行道路の存在しない側に検出されたかを判定し、
前記画像認識手段で検出した制限速度の道路標識が並行道路の存在しない側に検出されたと判定した場合に、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記地図データ取得手段は、道路のデータとして道路の速度規制値を含む地図データを取得するものであって、
前記道路標識を検出した位置から前記所定距離内に前記並行道路が存在する場合に、その並行道路の速度規制値を取得し、
前記地図データ取得手段で取得した並行道路の速度規制値と前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値との差が所定値以内であった場合には、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項9】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記画像認識手段で逐次検出した制限速度の道路標識の撮像画像中でのサイズの情報を取得するサイズ取得手段と、
前記サイズ取得手段で取得したサイズの情報をもとに、前記画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いを求め、求めた当該変化の度合いに応じて、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段とを備え、
前記通知手段は、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると前記対象速度規制値判断手段で判断しなかった場合に、当該速度規制値の通知を保留または通知内容を変更することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記画像認識手段で逐次検出した同一の道路標識の撮像画像中でのサイズの経時的な変化の度合いが、当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当しているか否かを判定し、
当該道路標識が静止しているとした場合の変化の度合いに相当していると判定しなかったことをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1項において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度である他車両速度の情報を取得する他車両速度情報取得手段を備え、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値と前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値と、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値と、前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とに基づいて、
前記他車両速度が前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも前記直近の過去の速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記他車両速度が前記直近の過去の速度規制値よりも前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項14】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段を備え、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値が存在しない場合には、仮に設定した速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記直近の過去の速度規制値が存在する場合には、直近の過去の速度規制値に対して、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値の速度差が所定量以上であったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項15】
車両に搭載される撮像装置で前記車両の前方を逐次撮像した撮像画像から画像認識によって制限速度の道路標識を逐次検出する画像認識手段と、
前記画像認識手段での検出結果をもとにして前記車両の走行中の道路の速度規制値を推定する速度規制値推定手段と、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値を通知する通知手段とを備える速度規制値通知装置であって、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断する対象速度規制値判断手段を備え、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記車両の前方及び後方の少なくともいずれかの車両の走行速度である他車両速度の情報を取得する他車両速度情報取得手段を備え、
前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値と前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とをもとに、前記速度規制値推定手段で推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であるか否かを判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記対象速度規制値判断手段は、
前記対象速度規制値判断手段で前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断された直近の過去の速度規制値が存在しない場合には、仮に設定した速度規制値を直近の過去の速度規制値として用いる一方、前記直近の過去の速度規制値が存在する場合には、当該直近の過去の速度規制値を用いるものであって、
前記直近の過去の速度規制値と、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値と、前記他車両速度情報取得手段で取得した他車両速度の情報とに基づいて、
前記他車両速度が前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値よりも前記直近の過去の速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値でないと判断する一方、
前記他車両速度が前記直近の過去の速度規制値よりも前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値に近かったことをもとに、前記速度規制値推定手段で新たに推定した速度規制値が前記車両の走行中の道路の速度規制値であると判断することを特徴とする速度規制値通知装置。
【請求項17】
車両に搭載されて前記車両の前方を撮像する撮像装置と、
請求項1〜16のいずれかに記載の速度規制値通知装置とを含むことを特徴とする速度規制値通知システム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1】
【公開番号】特開2012−185076(P2012−185076A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49228(P2011−49228)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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