説明

造粒物

【課題】口腔内でのザラツキ感がなく、優れた口溶けを有しながら、薬物の苦味を抑制した造粒物を提供する。
【解決手段】苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤(サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等)及び結合剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン等)を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物。造粒物は更に賦形剤を含有していてもよい。また、造粒物に清涼剤(メントール、シネロール、カンフル、ハッカ油等)及び流動化剤(含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム等)を含有する混合物を添加、混合することにより、散剤とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苦味を有する薬物を含有する造粒物、これを用いる散剤及びこれらの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
苦味を有する薬物については、薬物の味を抑制する方法が、種々検討されており、例えば、次のようなものが知られている。
(1)苦味を有する薬物と水不溶性高分子である製剤用担体とからなる、噴霧乾燥されてなる平均粒子径約50〜約250μm、見かけ比重約0.1〜約1.2の薬物含有粒子(特許文献1)
(2)エカベトナトリウムを含有する芯物質の表面にコーティングフィルム層が設けられたコーティング製剤とl−メントールとからなる経口投与用製剤(特許文献2)
(3)不快な味を有する成分を含有する粒子と、甘味物質を含有する粒子とを含み、甘味物質を含有する粒子の溶解速度が不快な味を有する成分の粒子より明らかに大きい経口固形組成物(特許文献3)
(4)エカベトナトリウムに、苦味隠蔽剤として塩化アルカリ金属を配合する経口投与用製剤(特許文献4)
また、服用時の口腔内でのザラツキ感を抑制するためには、粒子径を250μm以下にすることが望ましいとされており(特許文献1)、このような粒子の製法として、流動している平均粒子径10μm以下の難溶性及び/又は難吸収性薬効成分を含む微粉化体の表面にバインダー、又はバインダー及び界面活性剤を含む水溶液を噴霧しながら造粒する方法(特許文献5)、薬物粉末及び溶媒を保持する性質を有する賦形剤粉末を含む混合物に結合剤溶液を加えて高速転動造粒する方法(特許文献6)が知られている。
【0003】
しかしながら、これらの何れにも、口腔内でのザラツキ感がなく、優れた口溶けを有しながら、薬物の苦味を抑制する造粒物については記載がない。
【0004】
【特許文献1】特許第3415835号公報
【特許文献2】特許第3505734号公報
【特許文献3】特開2005−8640号公報
【特許文献4】特許第2809301号公報
【特許文献5】特許第3492688号公報
【特許文献6】WO00/24379パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物に関し、これを用いる散剤、及びこれらの製法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の造粒物は、苦味を有する薬物を含有し、平均粒子径及び見かけ比重を一定範囲に調整することにより、口腔内でのザラツキがなく、口溶けに優れるにも拘わらず、塩化アルカリ金属、甘味料及び結合剤を配合することにより、口腔内で溶けた後も苦味が効果的に抑制されており、これを用いることにより、服用感に優れた散剤を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記造粒物に、清涼剤及び流動化剤を含有する混合物を添加、混合して得られる散剤に関する。
【0009】
更に、本発明は、上記造粒物及び上記散剤の製法に関する。
【0010】
本発明の造粒物は、唾液との効率的な接触が可能となるよう比表面積を大きくするために、平均粒子径は80〜500μmとされており、口腔内でのザラツキを抑制する場合には、平均粒子径は100〜250μm、好ましくは150〜200μmに調整される。また、造粒物の内部まで速やかに唾液が浸透し、速やかな口溶けが得られるよう、みかけ比重は0.3〜0.7g/ml、より好ましくは0.4〜0.6g/mlの範囲に調整されている。
【0011】
ここに、平均粒子径は、粒子を目開きの異なる複数の乾式篩を用いて分級後、それぞれの粒子径範囲における粒子の重量を測定し、その重量の粒子全量が粒子径範囲の中心値に相当する粒子径を有するとして、平均粒子径を算定することができる。また、見かけ比重は、粒子を容器に入れたときに占める体積及び容器内の粒子重量に基づいて算定することができ、構成成分が同じであれば、見かけ比重が小さい程、粒子内の空隙が大きいか又は粒子が多孔性であることを示唆する。
【0012】
本発明の造粒物は、更に、賦形剤を含有していてもよく、賦形剤としては、水溶性糖類、他の有機賦形剤、無機賦形剤から選ばれる1種又は2種以上をあげることができる。
【0013】
また、本発明の造粒物は、苦味を有する薬物100重量部に対して、賦形剤10〜50重量部、塩化アルカリ金属0.5〜10重量部、甘味剤0.1〜3重量部、結合剤1〜25重量部を含むものであり、賦形剤20〜40重量部、塩化アルカリ金属1〜7重量部、甘味剤0.3〜2.5重量部、結合剤3〜20重量部を含むものが好ましい。
【0014】
本発明の造粒物における苦味を有する薬物としては、次のような薬物をあげることができる。
(1)解熱鎮痛消炎剤(例えば、ジクロフェナックナトリウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン、アセトアミノフェノン、フルフェナム酸、エトドラク、エピリドール、ピロキシカムなど);
(2)ステロイド系抗炎症剤(例えば、プレドニゾロンなど);
(3)抗潰瘍剤(例えば、エカベトナトリウム、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジンなど);
(4)冠血管拡張剤(例えば、塩酸ジルチアゼム、ジピリダモールなど);
(5)末梢血管拡張剤(例えば、塩酸トドララジン、ニセリトロールなど);
(6)抗生物質(例えば、塩酸バカンピシリン、クラリスロマイシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシンなど);
(7)合成抗菌剤(例えば、エノキサシンなど);
(8)抗ウイルス剤(例えば、アシクロビルなど);
(9)鎮けい剤(例えば、臭化プロパンテリン、メチル硫酸N-メチルスコポラミンなど);
(10)鎮咳剤(例えば、塩酸メチルエフェドリン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジメモルファンなど);
(11)去たん剤(例えば、塩酸エチルシステインなど);
(12)気管支拡張剤(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、ジプロフィリンなど);
(13)強心剤(例えば、ドカルパミン、カフェインなど);
(14)利尿剤(例えば、アセタゾラミド、ヒドロクロロチアジド、アゾセミドなど);
(15)筋弛緩剤(例えば、メトカルバモール、メシル酸プリジノールなど);
(16)脳代謝改善剤(例えば、塩酸メクロフェノキセート、ホパンテン酸カルシウムなど);
(17)マイナートランキライザー(例えば、ジアゼパム、クロルジアゼポキシドなど);
(18)メジャートランキライザー(例えば、クロルプロマジンなど);
(19)β−ブロッカー(例えば、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロールなど);
(20)抗不整脈剤(例えば、硫酸キニジンなど);
(21)痛風治療剤(例えば、プロベネシド、ブコロームなど);
(22)血液凝固阻止剤(例えば、塩酸チクロピジンなど);
(23)偏頭痛剤(例えば、無水カフェイン、酒石酸エルゴタミンなど);
(24)抗てんかん剤(例えば、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンなど);
(25)抗アレルギー剤(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、メキタジン、ジフェンヒドラミン、ベシル酸ベポタスチンなど);
(26)鎮吐剤(例えば、メシル酸ベタヒスチン、マレイン酸トリメブチンなど);
(27)降圧剤(例えば、インダパミドなど);
(28)高脂血症用剤(例えば、プラバスタチンナトリウムなど);
(29)交感神経興奮剤(例えば、塩酸エチレフリンなど);
(30)アルツハイマー痴呆治療剤(例えば、塩酸ドネペジルなど);
(31)経口抗癌剤(例えば、テガフールなど);
(32)アルカロイド系麻薬(例えば、コデインなど);
(33)ビタミン剤(例えば、塩酸フルスルチアミン、硝酸チアミン、塩酸ピリドキシン、アスコルビン酸カルシウムなど);
(34)頻尿治療剤(例えば、塩酸フラボキサートなど);
(35)アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、アラセプリルなど);
(36)勃起不全治療剤(例えば、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、アバナフィル)。
【0015】
本発明の造粒物は、口溶けに優れるため、食道、胃において治療効果を有する薬物(例えば、抗潰瘍剤)に好適に適用することができ、エカベトナトリウムに適用するのが好ましい。また、造粒物の気管支等への誤った導入を抑制できると共に、迅速に薬物が吸収されることが好ましい呼吸器疾患に対する治療効果を有する薬物(例えば、鎮咳剤、気管支拡張剤)にも好適に適用することができる。
【0016】
賦形剤の1つである水溶性糖類は、1mlの水(25°C)に20mg以上溶解する糖類であり、水溶性糖類としては、例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクトース、シュクロース、マルトース及びトレハロースから選ばれる1種又は2種以上をあげることができる。
【0017】
これら糖類のうち、吸熱溶解性糖類は、口腔内での溶解時に清涼感を与える点で好ましく、吸熱量が15cal/g以上のもの、とりわけ、吸熱量が20〜50cal/gのものが好ましく、例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトールをあげることができ、とりわけ、マンニトールを使用するのが好ましい。
【0018】
他の有機賦形剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上をあげることができ、無機賦形剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上をあげることができる。
【0019】
塩化アルカリ金属としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムから選ばれる1種又は2種をあげることができ、塩化ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0020】
甘味剤としては、砂糖の150倍以上の甘味(甘味を感じる最小水溶液濃度を砂糖の甘味を感じる最小水溶液濃度と比較するか又は一定濃度の砂糖水溶液と同じ甘さを示す甘味剤水溶液の濃度を砂糖水溶液の濃度と比較して算定)を口腔内にもたらすものであり、天然及び人工の成分を使用することができ、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム(味の素製1−メチルN−L−α−アスパルチル−L−フェニルアラニン)、アセスルファムカリウム、スクラロース等の人工甘味剤、ステビア、ソーマチン等の天然甘味剤から選ばれる1種又は2種以上をあげることができ、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビアから選ばれる1種又は2種以上を使用するのが好ましく、特に、アスパルテームを使用するのが好ましい。
【0021】
結合剤としては、水1ml(25°C)に20mg以上溶解し、かつ、5w/w%水溶液(20°C)が5mm/秒以上の動粘度を有するものをあげることができ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[例えば、信越化学製ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 TC−5EW]、ヒドロキシプロピルセルロース[例えば、日本曹達製HPC−SL]、デキストリン[例えば、日澱化学製アミコール5L]等の多糖類結合剤、ポリエチレングリコール[例えば、三洋化成工業製マクロゴール6000]、ポリビニルピロリドン[例えば、BASF製プラスドン、BASF武田製コリドンK−30]等の合成結合剤を使用することができ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンを使用するのが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用するのがとりわけ好ましい。
【0022】
本発明の造粒物においては、苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属及び甘味剤等が結合剤によって比較的緩やかに結合されることにより、見かけ比重0.3〜0.7g/mlとなり、唾液との接触時に速やかな口溶けが生じる。
【0023】
また、本発明の造粒物の構成成分が保存時に凝集しやすい場合には、工業的な製造を行うに際しては、凝集し易い成分に、適宜、滑沢剤を添加することにより、構成成分の凝集を抑制して生産性を向上させることができる。
【0024】
滑沢剤としては、構成成分と反応せず、凝集を効果的に抑制することができるものであればよく、タルク、軽質無水ケイ酸[例えば、日本アエロジル製アエロジル#200]、含水二酸化ケイ素[例えば、塩野義製薬製カープレックスCS−500、FPS−500]、ステアリン酸アルカリ土類金属(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム)、ショ糖高級脂肪酸エステル(例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステル)、グリセリン高級脂肪酸エステル(例えば、グリセリンベヘン酸エステル)等慣用の滑沢剤から選ばれる1種又は2種以上を適宜選択の上、使用することができ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムから選ばれる1種又は2種を使用するのが好ましい。
【0025】
滑沢剤は、苦味を有する薬物100重量部に対して、0.2重量部以下の範囲で使用することができ、0.05〜0.15重量部以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0026】
また、本発明の造粒物は、苦味を有する薬物、賦形剤、塩化アルカリ金属、甘味剤、結合剤、滑沢剤以外に、添加剤等を含んでいてもよく、薬物100重量部に対して、5重量部以下の範囲で配合することができる。添加剤としては、着色剤(例えば、食用赤色2号、3号、食用黄色4号、5号、食用緑色3号、食用青色1号、2号、これらのアルミニウムレーキ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄)、嬌味剤(例えば、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、重曹)、溶解補助剤(例えば、シクロデキストリン、アルギニン、リジン、トリスアミノメタン)を必要に応じて使用することができる。
【0027】
こうして得られる造粒物に、清涼剤、流動化剤を含有する混合物を添加、混合することにより、散剤とすることができる。
【0028】
清涼剤としては、少量で口腔内に清涼感を与える成分であり、天然及び人工成分を含むものである。例えば、メントール、シネロール、カンフル、ハッカ油、ミント油(ペパーミント油、スペアミント油)、ミントパウダー、オレンジ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、テレピン油、ユーカリ油等から選ばれる1種又は2種以上をあげることができ、メントール、ハッカ油等を使用するのが好ましい。清涼剤は苦味を有する薬物100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲で、造粒物に添加、混合することができ、0.05〜0.5重量部の範囲で添加、混合するのが好ましい。
【0029】
流動化剤としては、経口投与用製剤に通常用いられる製剤添加物粉体であって、平均粒子径が10〜200μmのものを使用することができ、10〜100μmのものを使用するのが好ましい。粉体は、注入法により測定した安息角が60゜以下、好ましくは40゜以下のものを使用することができる。かかる流動化剤の具体例としては、例えば、含水二酸化ケイ素[例えば、DSL.ジャパン製]、軽質無水ケイ酸[例えば、日本アエロジル製アエロジル#200]、ケイ酸カルシウム[例えば、エーザイフードケミカル製フローライトRE]、合成ケイ酸アルミニウム[例えば、協和化学工業製]、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ノイシリン等から選ばれる1種又は2種以上をあげることができ、含水二酸化ケイ素、炭酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種を使用するのが好ましい。
【0030】
流動化剤は苦味を有する薬物100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲で、造粒物に添加、混合することができ、1〜7重量部の範囲で添加、混合するのが好ましい。
【0031】
清涼剤は、口腔内で清涼感を生じることにより、苦味を有する薬物を含有する造粒物が口腔内で溶ける際、更に、服用感を向上させることができ、流動化剤は、包装段階及び流通過程において造粒物が相互に付着するのを抑制し、長期にわたって散剤の安定性を保つものであり、散剤の安息角が35〜45°となるように添加するのが好ましく、37〜42°となるように添加するのがとりわけ好ましい。
【0032】
本発明の造粒物の特に好ましい態様としては、エカベトナトリウム;マンニトール、キシリトール及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上;塩化ナトリウム;アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、ステビアから選ばれる1種又は2種以上並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物をあげることができる。
【0033】
また、本発明の散剤の特に好ましい態様としては、エカベトナトリウム;マンニトール、キシリトール及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上;塩化ナトリウム;アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム及びステビアから選ばれる1種又は2種以上並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物に、メントール、ハッカ油から選ばれる1種又は2種及び含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ノイシリン
から選ばれる1種又は2種以上を含有する混合物を添加、混合して製造される散剤をあげることができる。
【0034】
本発明の造粒物は、慣用の造粒法により、製造することができ、例えば、攪拌造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法によって製造することができる。
【0035】
攪拌造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法は何れも、(i)平均粒子径10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径10〜100μmの塩化アルカリ金属、平均粒子径10〜100μmの甘味剤及び平均粒子径10〜100μmの結合剤を含有する混合物並びに水又は水性アルコール、或いは(ii) 平均粒子径10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径10〜100μmの塩化アルカリ金属及び平均粒子径10〜100μmの甘味剤を含有する混合物並びに結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液を用いて製造することができ、流動層造粒法及び転動流動層造粒法の場合には、(i)の場合には水又は水性アルコールを、(ii)の場合には結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液をスプレーしながら造粒を行うことができる。
【0036】
また、これらの方法において、水溶性糖類、他の有機賦形剤、無機賦形剤等の賦形剤を使用する場合には、(i) 苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有する混合物又は(ii)苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属及び甘味剤を含有する混合物に、平均粒子径10〜100μmの賦形剤を添加、混合して造粒を行うことができる。
【0037】
結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液における結合剤の濃度は、5〜12w/w%であり、6〜10w/w%とするのが好ましい。水性アルコール溶液に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−メトキシエタノール(片山化学工業製メチルセロソルブ)等をあげることができ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i-プロパノール等の炭素数1〜4のアルコールを使用するのが好ましく、とりわけ、エタノールを使用するのが好ましい。水性アルコール溶液におけるアルコールの比率は80w/w%以下であればよく、50w/w%以下とするのが好ましい。
【0038】
このうち、流動層造粒法により造粒を行う場合には、平均粒子径10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径10〜100μmの塩化アルカリ金属及び平均粒子径10〜100μmの甘味剤を含有する混合物に、結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液を噴霧しながら造粒を行うのが好ましく、水溶性糖類、他の有機賦形剤、無機賦形剤等の賦形剤を使用する場合には、平均粒子径10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径10〜100μmの塩化アルカリ金属及び平均粒子径10〜100μmの甘味剤を含有する混合物に、平均粒子径10〜100μmの賦形剤を添加、混合して造粒を行うことができる。
【0039】
噴霧乾燥造粒法で調製する場合には、苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有する混合物を水又は水性アルコールに溶解、懸濁させた後、噴霧乾燥機を用い、造粒成分の溶液又は懸濁液を高温又は減圧気流中に噴霧し、乾燥させることにより、実施することができる。
【0040】
噴霧乾燥において、溶液又は懸濁液を霧状にする方法としては、回転円盤を用いる遠心噴霧法と圧力ノズルによる加圧噴霧法があるがいずれも使用することができ、所望の造粒物粒子径に応じ、溶液又は懸濁液における非溶媒成分含有率も考慮の上、霧状液滴の平均粒子径を調整するのが好ましく、通常、100〜300μm、好ましくは100〜150μmとなるように調整する。
【0041】
また、本発明の造粒物を製造するに際して、水溶性糖類、他の有機賦形剤、無機賦形剤等の賦形剤を使用する場合には、苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有する混合物を先に調製し、この混合物に、これら賦形剤を添加、混合することができる。
こうして得られる造粒物への清涼剤及び流動化剤を含有する混合物の添加、混合も、慣用の方法により実施することができる。清涼剤及び流動化剤を含有する混合物は、前記水溶性賦形剤等の賦形剤を少量含有していてもよい。
【0042】
造粒物への清涼剤及び流動化剤を含有する混合物の添加、混合の方法としては、例えば、次の方法により、実施することができる。
(a)平均粒子径10〜100μmの流動化剤に清涼剤を吸着させた後、生成物を造粒物に添加し、慣用の方法で混合する方法
(b)造粒物の一部に清涼剤を吸着させた後、生成物を残りの造粒物及び流動化剤に添加し、慣用の方法で混合する方法
(c)少量添加する賦形剤に清涼剤を吸着させた後、生成物及び流動化剤を造粒物に添加し、慣用の方法で混合する方法
【実施例】
【0043】
実施例1
【0044】
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)230重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)15重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)45重量部の混合物に、全成分100重量部当たり4重量部の水を添加して、攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。
【0045】
造粒物10.0gを分取し、目開きが710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、150μm、106μm、75μmの篩及び受け皿(目開き:0μm)を重ね合わせた容器の上段に入れ、上蓋をした後、ロータップシェイカーを用いて3分間振とうし、各篩及び受け皿の上の造粒物の重量を測り、各重量(重量i)の造粒物が受け皿と篩の目開きの中間値又は隣接する篩間の目開きの中間値(中間値i)に相当する粒子径を有するものとして、次の式により、平均粒子径を算出したところ、平均粒子径は260μmであった(以下、同様の方法で平均粒子径を算出)。
【0046】
平均粒子径(μm)=Σ[中間値i×(重量i÷10g)]。
【0047】
また、造粒物を100mlのメスシリンダーにいっぱいになるまで静かに充填し、その際の造粒物重量(g)を測定し、これを100mlで割ることにより、見かけ比重を算出したところ、見かけ比重:0.4g/mlであった(以下、同様の方法で見かけ比重を算出)。
【0048】
更に、造粒物の安息角は、コニシFK型安息角測定器を用い、高さ10cmから造粒物を落下させて測定し、形成される円すい底面の半径と、高さから安息角を測定したところ、38°であった(以下、同様の方法で安息角を測定)。
【0049】
得られた造粒物全量に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(l−メントールを加温溶解後、炭酸マグネシウムの半量を加えて吸着後、残りの炭酸マグネシウムを加えて混合し、目開き355μmの篩で篩過することにより調製、以下同様)を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0050】
実施例2
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)207.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)22.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)60重量部の混合物に、全成分100重量部当たり4重量部の水を添加して、攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:270μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0051】
得られた造粒物全量に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(平均粒子径:100μm以下)を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0052】
実施例3
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)260重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)22.5重量部の混合物に、全成分100重量部当たり4重量部の水を添加して、攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:260μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0053】
得られた造粒物全量に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(平均粒子径:100μm以下)を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0054】
実施例4
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)275重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)3.75重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)11.25重量部の混合物に、全成分100重量部当たり4重量部の水を添加して、攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:260μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0055】
得られた造粒物全量に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(平均粒子径:100μm以下)を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0056】
実施例5
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)380重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)37.5重量部の混合物400gを転動流動造粒コーティング乾燥機(パウレック製MP−01)に仕込み、流動層内で流動させた。流動層内に8w/w%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 TC−5EW)水溶液150gを噴霧添加し、20分間流動層造粒した。その後、スプレーを止め、同流動層中、60〜70°Cで乾燥し、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:250μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:37°。
【0057】
得られた造粒物1485重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた含水二酸化ケイ素(DSL.ジャパン製)15重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:37°。
【0058】
実施例6
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)372.5重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)45重量部の混合物400gを転動流動造粒コーティング乾燥機(パウレック製MP−01)に仕込み、流動層内で流動させた。流動層内に8w/w%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 TC−5EW)水溶液150gを噴霧添加し、20分間流動層造粒した。その後、スプレーを止め、同流動層中、60〜70°Cで乾燥し、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:250μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:37°。
【0059】
得られた造粒物1485重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた含水二酸化ケイ素(DSL.ジャパン製 )15重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:37°。
【0060】
実施例7
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)252.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)30重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0061】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0062】
実施例8
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)245重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)37.5重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0063】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0064】
実施例9
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)237.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)45重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0065】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0066】
実施例10
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)250重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)10重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)30重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0067】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0068】
実施例11
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)242.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)10重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)37.5重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0069】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0070】
実施例12
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)235重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)10重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)45重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0071】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0072】
実施例13
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)255重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)12.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)22.5重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0073】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0074】
実施例14
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)247.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)12.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)30重量部の混合物500gに精製水20gを添加し攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0075】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0076】
実施例15
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)240重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)12.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)37.5重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0077】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0078】
実施例16
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)232.5重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)180重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)12.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)45重量部の混合物500gに精製水20gを添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分間乾燥後、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:100〜250μm)を得た。見かけ比重:0.4g/ml、安息角:38°。
【0079】
得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:38°。
【0080】
実施例17
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)1000重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)7.5重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)37.5重量部の混合物400gを転動流動造粒コーティング乾燥機(パウレック製MP−01)に仕込み、流動層内で流動させた。流動層内に8w/w%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 TC−5EW)水溶液150gを噴霧添加し、20分間流動層造粒した。その後、スプレーを止め、同流動層中、60〜70°Cで乾燥し、目開き500μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物を得た。平均粒子径:180μm、見かけ比重:0.4g/ml、安息角:37°。
【0081】
得られた造粒物1485重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させた含水二酸化ケイ素(DSL.ジャパン製 )15重量部を添加し、混合することにより、散剤を得た。安息角:37°。
【0082】
実施例18
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)667重量部、D−マンニトール(粒子径:100μm以下)173重量部、アスパルテーム(粒子径:50μm以下)10重量部、塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)30重量部及び酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径100μm以下)120重量部の混合物を高速攪拌造粒機[深江パウテック製ハイスピードミキサーLFS−GS−IJ]に仕込み、精製水40重量部添加して攪拌造粒した。生成物を箱型乾燥機中40°Cで60分乾燥後、目開き710μmの篩で粒子径を揃えることにより、造粒物(粒子径:250〜350μm)を得た。見かけ比重:0.5g/ml、安息角:40°。
【0083】
得られた造粒物に、l−メントール1.5重量部を添加して混合することにより散剤を得た。安息角:40°。
【0084】
実施例19〜28
対応造粒成分を実施例6と同様に造粒することにより、次の表に組成が記載された造粒物を得る。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】

実施例29
実施例1で得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させたD−マンニトール10重量部(粒子径:100μm以下、l−メントールを加温溶解後、D−マンニトールを加えて吸着後、目開き355μmの篩で篩過することにより調製する)及び炭酸マグネシウム20重量部を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0088】
実施例30
l−メントール1.5重量部を加温溶解し、実施例1で得られた造粒物 約500重量部を加えて吸着後、目開き500μmの篩で篩過後、実施例1で得られた残りの造粒物 約960重量部及び炭酸マグネシウム30重量部を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0089】
実施例31
実施例1で得られた造粒物1470重量部に、ミント油1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(ミント油に炭酸マグネシウムの半量を加えて吸着後、残りの炭酸マグネシウムを加えて混合し、目開き355μmの篩で篩過することにより調製、以下同様)を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0090】
実施例32
実施例1で得られた造粒物1470重量部に、ハッカ油1.5重量部を吸着させた炭酸マグネシウム30重量部(ハッカ油に炭酸マグネシウムの半量を加えて吸着後、残りの炭酸マグネシウムを加えて混合し、目開き355μmの篩で篩過することにより調製、以下同様)を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0091】
実施例33
実施例1で得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させたステアリン酸マグネシウム30重量部(l−メントールを加温溶解後、ステアリン酸マグネシウムの半量を加えて吸着後、残りのステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、目開き355μmの篩で篩過することにより調製、以下同様)を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0092】
実施例34
実施例1で得られた造粒物1470重量部に、l−メントール1.5重量部を吸着させたノイシリン30重量部(l−メントールを加温溶解後、ノイシリンの半量を加えて吸着後、残りのノイシリンを加えて混合し、目開き355μmの篩で篩過することにより調製、以下同様)を添加し、混合することにより、散剤を得る。
【0093】
比較例1
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)667重量部、D−マンニトール(平均粒子径:100μm以下)173重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)120重量部及びアスパルテーム(粒子径:50μm以下)10重量部を混合することにより、混合物(物理混合粉末)を得た。
【0094】
比較例2
エカベトナトリウム(粒子径:10〜250μm)667重量部、D−マンニトール(平均粒子径:100μm以下)173重量部、酵素変性デキストリン(日澱化学製アミコール5L;粒子径:100μm以下)120重量部及び塩化ナトリウム(粒子径:50μm以下)30重量部を混合することにより、混合物(物理混合粉末)を得た。
【0095】
実験例1(口溶け調査)
実施例1〜16で得られた散剤を1.5gずつ被験者が口に含んだところ、40秒以内に固形物を感じなくなった。
【0096】
実験例2(味覚調査)
実施例1、実施例3、実施例5、実施例6、比較例1及び比較例2で得られた散剤又は混合物につき、味に関する服用性調査を実施した。
【0097】
被験者5〜23名が、各散剤・混合物1.5gを口に含み、次の指標で苦味を評価し、平均値を算出した。結果を表1に示す。
苦味を感じない: 評価点1
殆ど苦味を感じない: 評価点2
やや苦い: 評価点3
苦い: 評価点4
極めて苦い: 評価点5
【0098】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物。
【請求項2】
平均粒子径が100〜250μmである請求項1記載の造粒物。
【請求項3】
更に、賦形剤を含有する請求項2記載の造粒物。
【請求項4】
苦味を有する薬物100重量部に対して、賦形剤10〜50重量部、塩化アルカリ金属0.5〜10重量部、甘味剤0.1〜3重量部及び結合剤1〜25重量部を含有する請求項3記載の造粒物。
【請求項5】
賦形剤が水溶性糖類である請求項4記載の造粒物。
【請求項6】
水溶性糖類が吸熱溶解性糖類であり、甘味剤が砂糖の150倍以上の甘味を口腔内にもたらす甘味剤であり、結合剤が多糖類結合剤である請求項5記載の造粒物。
【請求項7】
水溶性糖類がマンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクトース、シュクロース、マルトース及びトレハロースから選ばれる1種又は2種以上であり、塩化アルカリ金属が塩化ナトリウム及び塩化カリウムから選ばれる1種又は2種であり、甘味剤がサッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア及びソーマチンから選ばれる1種又は2種以上であり、結合剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上である請求項6記載の造粒物。
【請求項8】
更に、滑沢剤が配合されてなる請求項5〜7のいずれか1項記載の造粒物。
【請求項9】
苦味を有する薬物100重量部に対して、0.2重量部以下の滑沢剤を含有する請求項8記載の造粒物。
【請求項10】
滑沢剤がタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ステアリン酸アルカリ土類金属、ショ糖高級脂肪酸エステル、グリセリン高級脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である請求項9記載の造粒物。
【請求項11】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムから選ばれる1種又は2種である請求項10記載の造粒物。
【請求項12】
流動層造粒法により製造された請求項1〜11のいずれか1項記載の造粒物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の造粒物に清涼剤及び流動化剤を含有する混合物を添加、混合して得られる散剤。
【請求項14】
苦味を有する薬物100重量部に対して、清涼剤0.01〜1重量部、流動化剤0.5〜10重量部が添加、混合された請求項13記載の散剤。
【請求項15】
清涼剤がメントール、シネロール、カンフル、ハッカ油、ミント油(ペパーミント油、スペアミント油)、ミントパウダー、オレンジ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、テレピン油、ユーカリ油から選ばれる1種又は2種以上であり、流動化剤が含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ノイシリンから選ばれる1種又は2種以上である請求項14記載の散剤。
【請求項16】
清涼剤がメントール、ハッカ油から選ばれる1種又は2種であり、流動化剤が含水二酸化ケイ素、炭酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種である請求項15記載の散剤。
【請求項17】
苦味を有する薬物が食道、胃において治療効果を有する薬物である請求項13〜16のいずれか1項記載の散剤。
【請求項18】
苦味を有する薬物が呼吸器疾患に対する治療効果を有する薬物である請求項13〜16のいずれか1項記載の散剤。
【請求項19】
苦味を有する薬物が抗潰瘍作用を有する薬物である請求項17記載の散剤。
【請求項20】
苦味を有する薬物がエカベトナトリウムである請求項19記載の散剤。
【請求項21】
エカベトナトリウム;マンニトール、キシリトール及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上;塩化ナトリウム;アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム及びステビアから選ばれる1種又は2種以上並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物。
【請求項22】
エカベトナトリウム;マンニトール、キシリトール及びエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上;塩化ナトリウム;アスパルテーム、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム及びステビアから選ばれる1種又は2種以上並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は2種以上を含有し、かつ、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物に、メントール、ハッカ油から選ばれる1種又は2種及び含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ノイシリンから選ばれる1種又は2種以上を含有する混合物を添加、混合して製造される散剤。
【請求項23】
(i)平均粒子径が10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径が10〜100μmの塩化アルカリ金属、平均粒子径が10〜100μmの甘味剤及び平均粒子径10〜100μmの結合剤を含有する混合物並びに水又は水性アルコール、或いは(ii) 平均粒子径が10〜300μmの苦味を有する薬物、平均粒子径が10〜100μmの塩化アルカリ金属及び平均粒子径が10〜100μmの甘味剤を含有する混合物並びに結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液を用いて、攪拌造粒法、流動層造粒法又は転動流動層造粒法で造粒するか、或いは(iii)苦味を有する薬物、塩化アルカリ金属、甘味剤及び結合剤を含有する混合物を水又は水性アルコールに溶解、懸濁させた後、噴霧乾燥法で造粒することにより、見かけ比重が0.3〜0.7g/ml、平均粒子径が80〜500μmである造粒物を製造する方法。
【請求項24】
結合剤の水溶液又は水性アルコール溶液を用い、造粒を流動層造粒法により行う請求項23記載の方法。
【請求項25】
請求項24で得られる造粒物に、清涼剤及び流動化剤を含有する混合物を添加、混合することにより、散剤を製造する方法。


【公開番号】特開2008−7420(P2008−7420A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176449(P2006−176449)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】