連結具及びそれを用いたコンクリート部材の連結装置
【課題】連結部材、シールドセグメント間の目開きをできる限り小さくする連結具およびそれを用いたコンクリート部材の連結装置を提供する。
【解決手段】ケーシング3内に先端部が開口する収納室4を設け、収納室4内に、先方が縮径するテーパ穴5を形成し、該テーパ穴5内に雌型係止部材12を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材12の内面に係止部12bを刻設し、前記雌型係止部材12を付勢手段15で先方へ付勢した雌型連結部材1と、係止部23bを刻設した雄型係止部材23を先部に設けた雄型連結部材2とで構成され、前記雄型係止部材23を前記雌型係止部材12間に挿入することにより、係止穴が拡径した後に、付勢手段15により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材12の係止部と、前記雄型係止部材23の係止部とが噛合するようにし、前記雌型係止部材12のケーシング3の奥部への軸方向移動量を規制する規制部材17を設ける。
【解決手段】ケーシング3内に先端部が開口する収納室4を設け、収納室4内に、先方が縮径するテーパ穴5を形成し、該テーパ穴5内に雌型係止部材12を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材12の内面に係止部12bを刻設し、前記雌型係止部材12を付勢手段15で先方へ付勢した雌型連結部材1と、係止部23bを刻設した雄型係止部材23を先部に設けた雄型連結部材2とで構成され、前記雄型係止部材23を前記雌型係止部材12間に挿入することにより、係止穴が拡径した後に、付勢手段15により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材12の係止部と、前記雄型係止部材23の係止部とが噛合するようにし、前記雌型係止部材12のケーシング3の奥部への軸方向移動量を規制する規制部材17を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具及びそれを用いたコンクリート部材の連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部材相互の連結具として、図14に示すような、雌型連結部材100と雄型連結部材101が知られている。
【0003】
前記雌型連結部材100は、内部にテーパ穴102を形成するとともに、そのテーパ穴102の内面に軸方向に沿った摺動案内突条を周方向に分割して複数形成したケーシング103と、外面を前記テーパ穴102に沿うテーパ面104に形成するとともに内面に雌ねじ105を形成した雌型係止部材(楔ナット)106と、この楔ナット106を押圧する圧縮バネ107を有する。
【0004】
また、前記雄型連結部材101は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材108内に連結体109を設け、該連結体109の先部に雄型係止部材110を設け、該雄型係止部材110の外周部には、前記雌型連結部材100の雌ねじ105と噛合する雄ねじ111が刻設されている。
【0005】
前記連結体109の後部には、アンカーバー112が螺着して固設され、該アンカーバー112の後端には抜け止め部が設けられ、アンカーバー112の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ113が設けられている。空間保持用のパイプ113の前側端部は、調整部材108の後側に係止し、後側端部は、アンカーバー112の抜け止め部に設けられたゴム等の弾性材からなる座部材に係止している。アンカーバー112と空間保持用のパイプ113との間には空隙114が設けられている。
【0006】
そして、この連結具における連結に際しては、その雌型連結部材100を回転することなく該雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通することにより、分割された楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に係合してその楔ナット106が圧縮バネ107に抗して大径側へ押され、複数個の楔ナット106で形成される雌ねじ穴の内径が拡径して雄型係止部材110を雌型連結部材100の所定位置まで挿通でき、その挿通が終ると、圧縮バネ107の付勢力によって楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合し、雌型連結部材100と雄型連結部材101の連結が行われるようになっている。
【0007】
前記のように構成された連結具を用いて、例えば、トンネルに用いるコンクリート製のシールドセグメント相互を連結する要望がある。この場合、図15に示すように、前記連結具の雌型連結部材100を一方のシールドセグメント120に設け、雄型連結部材101を他方のシールドセグメント121に設ける。
【0008】
雌型連結部材100の軸芯と雄型連結部材101の軸芯とが、図16に示すように、相互に非同芯状態(目違い状態)で雌型連結部材100と雄型連結部材101とを連結することがあり、この際においても、雄型連結部材101は、調整部材108と空隙保持用パイプ113と空隙114により、アンカーバー112の抜け止め部を中心として、雌型連結部材100が位置する側の方向に回動することができるため、前記雌型連結部材100に前記雄型係止部材110が挿通し、両連結部材100、101を連結することが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、連結部材100、101は、相互に非同芯状態(目違い状態)においても、連結することができる。しかし、図16に示すように、雄型係止部材110が、雌型連結部材100が位置する側の方向に大きく傾いた状態で、雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通すると、雄型係止部材110の先端が、一方の側に位置する雌型係止部材106を、図16に示すように、他方の雌型係止部材106よりも後方に大きく押し下げ、他方の雌型係止部材106は一方の雌型係止部材106よりも前方に位置する状態が生じることがある。
【0010】
このような状態となった後に、雌型係止部材106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合すると、径方向の一方の側に位置する雌型係止部材106と他方の側に位置する雌型係止部材106の雄型係止部材109に対する前後方向の噛合位置が大きく異なる虞がある。
【0011】
このような状態において、シールドセグメント間に連結を外す方向に大きな外力が加わると、シールドセグメント間の目開きが大きくなり、漏水する虞がある。
【0012】
そこで本発明は、連結部材が、相互に非同芯状態(目違い状態)において連結する部品、例えば、シールドセグメントを連結させた後に、シールドセグメント間に連結を外す方向に大きな外力が作用した状態においても、シールドセグメント間の目開きをできる限り小さくする連結具およびそれを用いたコンクリート部材の連結装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けたことを特徴とする連結具である。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の連結具において、前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の連結具において、前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けた連結具を使用し、
前記雌型連結部材を、連結すべき一方のコンクリート部材に固設し、前記雄型連結部材を連結すべき他方のコンクリート部材に固設したことを特徴とするコンクリート部材の連結装置である。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載のコンクリート部材の連結装置において、前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とするものである。
【0023】
請求項11記載の発明は、請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0024】
請求項12記載の発明は、請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0025】
請求項13記載の発明は、請求項7乃至12項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記コンクリート部材が、シールドセグメントであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、規制部材により雌型係止部材のケーシング奥部への軸方向移動量を規制することにより、径方向の一方の側に位置する雌型係止部材と他方の側に位置する雌型係止部材の雄型係止部材に対する前後方向の噛合位置のズレを小さくすることができる。
【0027】
また、係止穴の拡径量を雄型係止部材が挿通できる必要最小限に抑え、かつ、雌型係止部材の軸方向移動量を最小限とした場合、雄型係止部材と雌型係止部材の噛合状態において、雌型係止部材をできる限りケーシングの前方に位置させることが出来、雄型係止部材と雌型係止部材の係止状態を強固なものとすることができる。
【0028】
これにより、雄型連結部材と雌型連結部材とが、相互に非同芯状態(目違い状態)において、連結する部品、例えば、シールドセグメント同士を連結させた後に、シールドセグメント同士の連結を外す方向に大きな外力が作用した場合においても、連結する部品間の目開きを最小限に抑えることが出来る。
【0029】
また、シールドセグメント間の連結に適用した場合、シールドセグメント間に設けるシール材を小さくすることもできる。
【0030】
そのため、本発明の連結具を、シールドセグメント間の連結に適用した場合、シールドセグメント間の目開きを必要最小限に抑えることが出来、シールドセグメントを有効に連結することが出来る。
【0031】
また、請求項2、8記載の発明によれば、更に、雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことにより、付勢手段が底付する前に、雌型係止部材の移動が規制されるために、付勢手段が破損することを防止できる。
【0032】
また、請求項3、9記載の発明によれば、更に、従来の雌型連結部材100を用いて、付勢手段(圧縮バネ107)を変更し、規制部材である円筒状のパイプを追加するのみで対応することができ、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0034】
図1乃至図7は、本発明の実施例1を示す。
図1は、本実施例1の雌型連結部材1の半面を断面とした部分断面図を示し、図2は、前記雌型連結部材1と連結する雄型連結部材2の半面を断面とした部分断面図を示すものである。
【0035】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、該ケーシング3は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室4が形成されている。該収納室4の先部は、その内周面を先端部4a側から後方(奥部)にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面5aにしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の中間部は付勢手段収納部6に形成されている。
【0036】
ケーシング3の後部の内周面には雌ねじ3aが刻設されている。また、収納室4の先部には挿入口(開口部)4bが開口形成されている。
【0037】
前記テーパ穴5内には、軸方向に沿った摺動案内突条11が、図4に示すように周方向に分割して複数形成されている。
【0038】
また、前記テーパ穴5内には、図4に示すように周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材12が、前記摺動案内突条11相互間においてケーシング3の軸方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材12の数を、本実施例においては、図4に示すように3個としたが、任意に設定する。
【0039】
更に、該楔状の雌型係止部材12の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、先端部4a側から後方にかけて外径が徐々に拡大するテーパ面12aに形成されている。更に、各雌型係止部材12の内周面には、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雌ねじ)12bが、ケーシング3の軸芯X−Xを中心とする円弧でかつ軸芯X−Xに沿った方向に刻設されている。この螺旋状の係止部12bとして、例えば図6に示すような、螺旋状で、かつ、軸方向断面がのこぎり刃形状の係止山12d及び係止溝12eからなる係止部(雌ねじ)12bを用いることができる。
【0040】
なお、以下において、雌型係止部材12を楔ナット12という。
上記により、複数個の楔ナット12により、図4に示すように、係止穴(雌ねじ穴)12cが形成され、各楔ナット12がテーパ面に沿って後退することにより、その雌ねじ穴12cが拡径され、先方へ移動することにより、その雌ねじ穴12cが縮径するようになっている。
【0041】
また、前記楔ナット12の後端には、各楔ナット12に共通して係合する付勢手段受け(バネ受け)13が配置されている。
【0042】
前記ケーシング3の後部の雌ねじ3aには、中心部にねじ穴14aを形成した蓋板14が螺着されている。前記付勢手段収納部6内の前記付勢手段受け13と蓋板14の間には付勢手段15が収納されている。該付勢手段15は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1ではコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。該付勢手段15の付勢力により各楔ナット12は、常時先端部4a方向へ付勢されている。
【0043】
前記付勢手段15の外周縁と、付勢手段収納部6の内周面との間には隙間16が設けられ、該隙間16には規制部材17が設けられている。本実施例においては、規制部材17を遊嵌して設けたが、規制部材17をケーシング3に固定しても良いし、付勢手段受け13に固定しても良いし、蓋体14に固定しても良いし、付勢手段15に固定しても良い。
【0044】
該規制部材17は、各楔ナット12が後方(ケーシング3の奥部方向)へ一定量以上に移動しないように規制するものである。本実施例1においては、規制部材17を、図5に示すような、円筒状のパイプで形成した。
【0045】
該規制部材17である円筒状のパイプの内径は、付勢手段15の外側で形成される径よりも若干大きく設定し、その外径は、付勢手段収納部6の内周面で形成される内径よりも若干小さく設定されている。
【0046】
また、規制部材17である円筒状のパイプの前後方向の長さは、付勢手段15の軸方向における最大変位量、すなわち、付勢手段15が前後方向における最小に圧縮された長さよりも大きく設定されている。
【0047】
また、各楔ナット12が規制部材17により後方への移動が規制された状態、すなわち、楔ナット12の最大限後方へ移動した状態における楔ナット12で形成されるねじ穴12cの内径は、後述する雄型係止部材23の係止部23bの外径よりも若干大きく設定することが望ましい。
【0048】
前記蓋体14には、蓋体14から後方向に突出するアンカーバー18が螺着して固設されている。アンカーバー18の後側には、抜け止め部18aが外周側へ突出して設けられている。
【0049】
前記の雌型連結部材1は、一方の連結する部品、例えば、図3に示すようなコンクリート部材であるシールドセグメント19に、ケーシング3の先端部4a側の面がシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されている。
【0050】
次に、雄型連結部材2について説明する。
雄型連結部材2は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材21内に、内周に雌ねじ22aを刻設した連結体22を設け、該連結体22の先部に雄型係止部材23の基部側に形成した雄ねじ体23aを螺着して構成されている。
【0051】
前記雄型係止部材23は、前記連結体22の先端より突出しており、その先部(前側)には、先部が縮径するドーム状の案内部24が形成されている。すなわち、前記雌型係止部材12を誘導する曲面が形成され、その後部、かつ、雄ねじ体23aより先部には、例えば図6に示すような、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雄ねじ)23bが刻設されている。この螺旋状の係止部23bとして、例えば図6に示すような、螺旋状で、かつ、のこぎり刃形状の係止山23d及び係止溝23eからなる係止部(雄ねじ)23bを用いることができる。前記雄ねじ23bの直径は、前記各楔ナット12が最前進した場合に、これらで形成されるねじ穴12cの直径よりも若干大径に設定されている。雄ねじ23bと雄ねじ体23aとの間には、円筒状の円筒部23cが形成されている。
【0052】
前記連結体22の後部には、図2に示すように、アンカーバー30が螺着して固設されている。該アンカーバー30の後端には抜け止め部30aが設けられている。また、アンカーバー30の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ31が設けられている。空間保持用のパイプ31の前側端部は、調整部材21の後側の係止部21aに係止し、後側端部は、アンカーバー30の抜け止め部30aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材32に係止している。アンカーバー30と空間保持用のパイプ31との間には空隙33が設けられている。
【0053】
なお、空隙33を設けることなく、アンカーバー30の外面に沿ってゴム等の弾性材により形成して調整部材21としても良い。
【0054】
前記調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31は、他方の連結する部品、例えば、コンクリート部材であるシールドセグメント35に、連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材21、空隙保持用パイプ31、抜け止め部30aの外部にはコンクリート35bが打設されている。
【0055】
また、前記一方のシールドセグメント19における接合面19aには、図示しないシール材が突出して設けられ、他方のシールドセグメント35における接合面35aには、図示しないシール材が突出して設けられている。
【0056】
他方の連結する部品35に設けられた雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として、その軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようになっている。
【0057】
前記楔ナット12の係止部(雌ねじ)12bと、雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bとして、二等辺三角形状の係止山が軸方向に連続してなる係止部や、例えば、特開2006−144956号公報に記載のような不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることができるが、不等辺三角形状の係止山が軸方向に連続してなる係止部を用いることが好ましく、その一例を図6に示す。
【0058】
次に、前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bの係止山間の間隔(ねじピッチ)Pについて、図6により説明する。
【0059】
前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPは所望に形成するもので、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチとしてもよく、また、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さくしてもよい。
【0060】
例として、呼び径がM24(mm)の場合には、前記JIS B 0207のメートル細目ねじではねじピッチを2mm又は1.5mm又は1mmに形成するが、本発明では、ねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0061】
また、呼び径がM30(mm)の場合もねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0062】
次に本発明をシールドセグメントに適用した例に基づいて連結操作を説明する。
先ず、雌型連結部材1の軸芯X−Xと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯Y−Yとが略同軸上に位置した状態で、一方のシールドセグメント19と他方のシールドセグメント35を相対的に近接させ、雄型係止部材23を雌型係止部材1の挿入口4bより挿入する。
【0063】
雄型係止部材23が、雌型連結部材1における挿入口4bから進入し、その後、雄型係止部材23が各楔ナット12を付勢手段15の付勢力に抗して後退させて各楔ナット12で形成されるねじ穴12cを拡径し、各楔ナット12の係止山を乗り越えつつ挿入する。
【0064】
その後、楔ナット12の後端が、付勢手段受け13の前端に当接し、付勢手段受け13の後端が、規制部材17の前端に当接し、規制部材17の後端が、蓋板14の前面に当接することにより、ねじ穴12cは、所定の最大拡径量以上に拡径せず、かつ、楔ナット12は所定量以上後方へ移動することを規制される。
【0065】
雌型連結部材1におけるケーシング3の先端面、すなわち、一方のシールドセグメント19の接合面19aと、雄型連結部材2における連結体22の先端面、すなわち他方のシールドセグメント35の接合面35aが接して雄型連結部材2の挿入が停止されると、各楔ナット12は、付勢手段15の付勢力によって先端面4a側へ押戻されるとともにテーパ面10によって各楔ナット12で形成されるねじ穴12c径が縮径し、各楔ナット12の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bに噛合する。
【0066】
本実施例1の雌型連結部材1、雄型連結部材2は、前記のような構造を有しているため、次のような作用、効果を奏する。
【0067】
雌型連結部材1の軸芯X−Xと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯Y−Yとが相互に非同芯状態(目違い状態)となっている場合においても、雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雄型係止部材23はその軸芯Y−Yと直交する方向に変位でき、雄型係止部材23を、雌型連結部材1のねじ穴12c内に挿入することが出来る。
【0068】
また、上記の目違い状態により、雄型係止部材23が、雌型連結部材1が位置する側の方向に大きく傾いた状態において、径方向の一方における楔ナット12のみを雄型係止部材23が後方へ押し下げたとしても、図7に示すように、規制部材17を設けたことにより、一方の楔ナット12の後方への移動量が最小限に抑えられ、軸方向における一方の楔ナット12と他方の楔ナット12の位置は大きく異なることを防止できる。
【0069】
また、各楔ナット12と雄型係止部材23の噛合状態における、楔ナット12の位置をできる限りケーシング3の前方に位置することが出来る。
【0070】
これにより、連結後において、シールドセグメント19、35間にこれらを離間する方向に大きな外力が作用したとしても、シールドセグメント19、35間の目開きを最小限に抑えることが出来、漏水することを防止できる。また、目開きを小さくすることができるため、シールドセグメント19、35間に設けるシール材を小さくすることができ、製造コストを低減できる。
【0071】
また、規制部材17により、楔ナット12の軸方向における最大移動量を、付勢手段15の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことにより、付勢手段15が底付する前に、楔ナット12の移動が停止されるため、付勢手段が破損することを防止できる。
【0072】
更に、従来の雌型連結部材100を用いて、付勢手段(圧縮バネ107)を本実施例における付勢手段15へ置換し、規制部材17を追加するのみで対応することができるため、製造コスト等を低減できる。
【実施例2】
【0073】
図8は、実施例2を示す。
前記実施例1においては、雄型係止部材23の係止部23b及び雌型係止部材12の係止部12bを螺旋状の係止山及び係止溝で形成したが、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bを、軸心X−X、Y−Yに対して直交、かつ、平行な環状に形成された複数の係止山及び係止溝を軸心方向に連続させて形成したものとしてもよい。
【0074】
この環状の係止部37b、38bとして、例えば、図8に示すような、軸心X−X、Y−Yに対して直交し、かつ、平行な環状で、かつ、のこぎり刃形状の係止山37c、38cを軸心方向に連続して形成したものを用いることができる。
【0075】
なお、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bの係止山及び係止溝は、図8に示すような、のこぎり状に限定されるものではなく、二等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部や、例えば、特開2006−144956号公報に記載のような不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることができるが、不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることが好ましい。
【0076】
係止山間の間隔(ピッチ)Pの寸法は、前記実施例1に示したねじピッチの寸法に相当する値に設定する。
【0077】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0078】
また、本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例3】
【0079】
図9は、実施例3を示す。
前記実施例1、2においては、前記ケーシング3とテーパ面5aを有する円錐状のテーパ穴5を構成するテーパ部とを一体に形成したものであるが、図9に示すように、ケーシング43と蓋体44を一体に形成し、ケーシング43の前端部から前部にかけて雌ねじ43aを刻設し、該雌ねじ43aには、内面に後方に向うほど拡径するテーパ面45aを有する円錐状のテーパ穴45を構成するテーパ部46を螺着するようにしてもよい。
【0080】
前記蓋体44の中央部には雌ねじが刻設され、蓋体44から後方向に突出するアンカーバー18が螺着して固設されている。
【0081】
その他の部材については、前記実施例1、2と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例1、2と同様の符号を付す。
【0082】
また、本実施例3においても、前記実施例1、2と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0083】
図10は、実施例4を示す。
前記実施例3においては、前記ケーシング3と規制部材17を別体に形成したが、図10に示すように、ケーシング53と規制部材54とを一体に形成してもよい。
【0084】
規制部材54は、前記実施例3における規制部材17の後端を蓋体44の前面に当接した状態における位置と同様の位置となるように設定されている。
【0085】
その他の部材については、前記実施例3と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例3と同様の符号を付す。
【0086】
また、本実施例3においても、前記実施例3と同様の作用、効果を奏する。
【実施例5】
【0087】
図11、12は、実施例5を示す。
前記実施例1乃至3においては、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けることにより、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雄型係止部材2をその軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けず、雌型連結部材1に、雄型連結部材2における調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等と同様の効果を奏する部材を設けることにより、アンカーバーの抜け止め部を中心として雌型連結部材61をその軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようにしてもよい。
【0088】
雌型連結部材61は、ケーシング3の外周に変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材62を設け、調整部材62の後側には後方に突出する係止部62aが形成されている。
【0089】
アンカーバー18の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ63が設けられている。空間保持用のパイプ63の前側端部は、調整部材62の係止部62aに係止し、後側端部は、アンカーバー18の抜け止め部18aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材64に係止している。アンカーバー18と空間保持用のパイプ63との間には空隙65が設けられている。
【0090】
なお、空隙65を設けることなく、アンカーバー18の外面に沿ってゴム等の弾性材により形成して調整部材62としても良い。
【0091】
前記調整部材62、アンカーバー18、空間保持用パイプ63は、一方の連結部材、例えば、シールドセグメント19に、ケーシング3の前端面がシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材62、空隙保持用パイプ63、抜け止め部18aの外部にはコンクリート19bが打設されている。
【0092】
一方の連結部材19に設けられた雌型連結部材61は、変形できる部材からなる調整部材62と空隙65と空隙保持用パイプ63と座部材64の相互作用により、アンカーバー18の抜け止め部18aを中心として雌型係止部材61はその軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようになっている。
【0093】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例1と同様の符号を付す。
【0094】
また、本実施例5においても、前記実施例1乃至4と同様の作用、効果を奏する。
【実施例6】
【0095】
前記実施例1乃至5の実施例においては、雌型連結部材又は雄型連結部材のいずれか一方のみをその軸芯X−X又はY−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雌型連結部材及び雄型連結部材の双方をその軸芯X−X及びY−Yと直交する方向に変位できるように、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設け、雌型連結部材1、61に調整部材62、空隙65、空隙保持用パイプ63等を設けても良い。
【0096】
その他の部材については、前記実施例1乃至5と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0097】
また、本実施例6においても、前記実施例1乃至5と同様の作用、効果を奏する。
【実施例7】
【0098】
前記実施例1乃至6においては、テーパ5内に摺動案内突条を設けたが、摺動案内突条11を設けなくてもよい。
【0099】
また、前記実施例1乃至6においては、楔ナット12を複数個設けたが、例えば図13に示すように、1個としてもよい。
【0100】
また、前記実施例1乃至6においては、雌型連結部材1、61の先端部4a側面をシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設し、雄型連結部材2の連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一となるように埋設したが、接合面19a、35aより、先端部4a側面と前端面22bのいずれか一方を突出させ、他方を前方が開口するように埋没させてもよい。
【0101】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施例1における雌型連結部材の半面を断面とした部分断面図。
【図2】本発明の実施例1における雄型連結部材の半面を断面とした部分断面図。
【図3】本発明の実施例1における雌型連結部材と雄型連結部材の連結状態を示す半面を断面とした部分断面図。
【図4】図1のA−A線断面図。
【図5】本発明の実施例1における規制部材を示すもので、(a)は軸方向断面図、(b)は斜視図。
【図6】本発明の実施例1における雌型係止部材及び雄型係止部材の係止部の拡大側面図。
【図7】本発明の実施例1における、雄型連結部材と雌型連結部材との軸芯が異なる状態における連結操作を説明するための半面を断面とした部分断面図。
【図8】本発明の実施例2における雌型係止部材及び雄型係止部材の係止部の拡大側面図。
【図9】本発明の実施例3における雌型連結部材の側断面図。
【図10】本発明の実施例4における雌型連結部材の側断面図。
【図11】本発明の実施例5における雌型連結部材の側断面図。
【図12】図11のB−B線断面図。
【図13】本発明の実施例7における雌型係止部材を1個使用した例で、図1のA−A線断面図に相当する図。
【図14】従来の雄形連結部材と雌型連結部材の拡大側断面図。
【図15】従来の連結具をシールドセグメントの連結に適用した状態を示す側断面図。
【図16】従来の連結具における、雄型連結部材と雌型連結部材との軸芯が異なる状態における連結操作を説明するため側断面図。
【符号の説明】
【0103】
1、61 雌型連結部材
2 雄型連結部材
3 ケーシング
4 収納室
5、45 テーパ穴
5a、45a テーパ面
12、38 雌型係止部材
12b、38b 雌型係止部材の係止部
15 付勢手段
17、54 規制部材
23、37 雄型係止部材
23b、37b 雄型係止部材の係止部
19、35 シールドセグメント
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具及びそれを用いたコンクリート部材の連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部材相互の連結具として、図14に示すような、雌型連結部材100と雄型連結部材101が知られている。
【0003】
前記雌型連結部材100は、内部にテーパ穴102を形成するとともに、そのテーパ穴102の内面に軸方向に沿った摺動案内突条を周方向に分割して複数形成したケーシング103と、外面を前記テーパ穴102に沿うテーパ面104に形成するとともに内面に雌ねじ105を形成した雌型係止部材(楔ナット)106と、この楔ナット106を押圧する圧縮バネ107を有する。
【0004】
また、前記雄型連結部材101は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材108内に連結体109を設け、該連結体109の先部に雄型係止部材110を設け、該雄型係止部材110の外周部には、前記雌型連結部材100の雌ねじ105と噛合する雄ねじ111が刻設されている。
【0005】
前記連結体109の後部には、アンカーバー112が螺着して固設され、該アンカーバー112の後端には抜け止め部が設けられ、アンカーバー112の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ113が設けられている。空間保持用のパイプ113の前側端部は、調整部材108の後側に係止し、後側端部は、アンカーバー112の抜け止め部に設けられたゴム等の弾性材からなる座部材に係止している。アンカーバー112と空間保持用のパイプ113との間には空隙114が設けられている。
【0006】
そして、この連結具における連結に際しては、その雌型連結部材100を回転することなく該雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通することにより、分割された楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に係合してその楔ナット106が圧縮バネ107に抗して大径側へ押され、複数個の楔ナット106で形成される雌ねじ穴の内径が拡径して雄型係止部材110を雌型連結部材100の所定位置まで挿通でき、その挿通が終ると、圧縮バネ107の付勢力によって楔ナット106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合し、雌型連結部材100と雄型連結部材101の連結が行われるようになっている。
【0007】
前記のように構成された連結具を用いて、例えば、トンネルに用いるコンクリート製のシールドセグメント相互を連結する要望がある。この場合、図15に示すように、前記連結具の雌型連結部材100を一方のシールドセグメント120に設け、雄型連結部材101を他方のシールドセグメント121に設ける。
【0008】
雌型連結部材100の軸芯と雄型連結部材101の軸芯とが、図16に示すように、相互に非同芯状態(目違い状態)で雌型連結部材100と雄型連結部材101とを連結することがあり、この際においても、雄型連結部材101は、調整部材108と空隙保持用パイプ113と空隙114により、アンカーバー112の抜け止め部を中心として、雌型連結部材100が位置する側の方向に回動することができるため、前記雌型連結部材100に前記雄型係止部材110が挿通し、両連結部材100、101を連結することが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、連結部材100、101は、相互に非同芯状態(目違い状態)においても、連結することができる。しかし、図16に示すように、雄型係止部材110が、雌型連結部材100が位置する側の方向に大きく傾いた状態で、雌型連結部材100に前記雄型係止部材110を挿通すると、雄型係止部材110の先端が、一方の側に位置する雌型係止部材106を、図16に示すように、他方の雌型係止部材106よりも後方に大きく押し下げ、他方の雌型係止部材106は一方の雌型係止部材106よりも前方に位置する状態が生じることがある。
【0010】
このような状態となった後に、雌型係止部材106の雌ねじ105が雄型係止部材110の雄ねじ111に噛合すると、径方向の一方の側に位置する雌型係止部材106と他方の側に位置する雌型係止部材106の雄型係止部材109に対する前後方向の噛合位置が大きく異なる虞がある。
【0011】
このような状態において、シールドセグメント間に連結を外す方向に大きな外力が加わると、シールドセグメント間の目開きが大きくなり、漏水する虞がある。
【0012】
そこで本発明は、連結部材が、相互に非同芯状態(目違い状態)において連結する部品、例えば、シールドセグメントを連結させた後に、シールドセグメント間に連結を外す方向に大きな外力が作用した状態においても、シールドセグメント間の目開きをできる限り小さくする連結具およびそれを用いたコンクリート部材の連結装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けたことを特徴とする連結具である。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の連結具において、前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の連結具において、前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けた連結具を使用し、
前記雌型連結部材を、連結すべき一方のコンクリート部材に固設し、前記雄型連結部材を連結すべき他方のコンクリート部材に固設したことを特徴とするコンクリート部材の連結装置である。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載のコンクリート部材の連結装置において、前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とするものである。
【0023】
請求項11記載の発明は、請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0024】
請求項12記載の発明は、請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0025】
請求項13記載の発明は、請求項7乃至12項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置において、前記コンクリート部材が、シールドセグメントであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、規制部材により雌型係止部材のケーシング奥部への軸方向移動量を規制することにより、径方向の一方の側に位置する雌型係止部材と他方の側に位置する雌型係止部材の雄型係止部材に対する前後方向の噛合位置のズレを小さくすることができる。
【0027】
また、係止穴の拡径量を雄型係止部材が挿通できる必要最小限に抑え、かつ、雌型係止部材の軸方向移動量を最小限とした場合、雄型係止部材と雌型係止部材の噛合状態において、雌型係止部材をできる限りケーシングの前方に位置させることが出来、雄型係止部材と雌型係止部材の係止状態を強固なものとすることができる。
【0028】
これにより、雄型連結部材と雌型連結部材とが、相互に非同芯状態(目違い状態)において、連結する部品、例えば、シールドセグメント同士を連結させた後に、シールドセグメント同士の連結を外す方向に大きな外力が作用した場合においても、連結する部品間の目開きを最小限に抑えることが出来る。
【0029】
また、シールドセグメント間の連結に適用した場合、シールドセグメント間に設けるシール材を小さくすることもできる。
【0030】
そのため、本発明の連結具を、シールドセグメント間の連結に適用した場合、シールドセグメント間の目開きを必要最小限に抑えることが出来、シールドセグメントを有効に連結することが出来る。
【0031】
また、請求項2、8記載の発明によれば、更に、雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことにより、付勢手段が底付する前に、雌型係止部材の移動が規制されるために、付勢手段が破損することを防止できる。
【0032】
また、請求項3、9記載の発明によれば、更に、従来の雌型連結部材100を用いて、付勢手段(圧縮バネ107)を変更し、規制部材である円筒状のパイプを追加するのみで対応することができ、コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
発明を実施するための最良の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0034】
図1乃至図7は、本発明の実施例1を示す。
図1は、本実施例1の雌型連結部材1の半面を断面とした部分断面図を示し、図2は、前記雌型連結部材1と連結する雄型連結部材2の半面を断面とした部分断面図を示すものである。
【0035】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、該ケーシング3は、筒状、例えば円筒状に形成され、その内部に収納室4が形成されている。該収納室4の先部は、その内周面を先端部4a側から後方(奥部)にかけて内径が徐々に拡大するテーパ面5aにしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の中間部は付勢手段収納部6に形成されている。
【0036】
ケーシング3の後部の内周面には雌ねじ3aが刻設されている。また、収納室4の先部には挿入口(開口部)4bが開口形成されている。
【0037】
前記テーパ穴5内には、軸方向に沿った摺動案内突条11が、図4に示すように周方向に分割して複数形成されている。
【0038】
また、前記テーパ穴5内には、図4に示すように周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材12が、前記摺動案内突条11相互間においてケーシング3の軸方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材12の数を、本実施例においては、図4に示すように3個としたが、任意に設定する。
【0039】
更に、該楔状の雌型係止部材12の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、先端部4a側から後方にかけて外径が徐々に拡大するテーパ面12aに形成されている。更に、各雌型係止部材12の内周面には、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雌ねじ)12bが、ケーシング3の軸芯X−Xを中心とする円弧でかつ軸芯X−Xに沿った方向に刻設されている。この螺旋状の係止部12bとして、例えば図6に示すような、螺旋状で、かつ、軸方向断面がのこぎり刃形状の係止山12d及び係止溝12eからなる係止部(雌ねじ)12bを用いることができる。
【0040】
なお、以下において、雌型係止部材12を楔ナット12という。
上記により、複数個の楔ナット12により、図4に示すように、係止穴(雌ねじ穴)12cが形成され、各楔ナット12がテーパ面に沿って後退することにより、その雌ねじ穴12cが拡径され、先方へ移動することにより、その雌ねじ穴12cが縮径するようになっている。
【0041】
また、前記楔ナット12の後端には、各楔ナット12に共通して係合する付勢手段受け(バネ受け)13が配置されている。
【0042】
前記ケーシング3の後部の雌ねじ3aには、中心部にねじ穴14aを形成した蓋板14が螺着されている。前記付勢手段収納部6内の前記付勢手段受け13と蓋板14の間には付勢手段15が収納されている。該付勢手段15は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1ではコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。該付勢手段15の付勢力により各楔ナット12は、常時先端部4a方向へ付勢されている。
【0043】
前記付勢手段15の外周縁と、付勢手段収納部6の内周面との間には隙間16が設けられ、該隙間16には規制部材17が設けられている。本実施例においては、規制部材17を遊嵌して設けたが、規制部材17をケーシング3に固定しても良いし、付勢手段受け13に固定しても良いし、蓋体14に固定しても良いし、付勢手段15に固定しても良い。
【0044】
該規制部材17は、各楔ナット12が後方(ケーシング3の奥部方向)へ一定量以上に移動しないように規制するものである。本実施例1においては、規制部材17を、図5に示すような、円筒状のパイプで形成した。
【0045】
該規制部材17である円筒状のパイプの内径は、付勢手段15の外側で形成される径よりも若干大きく設定し、その外径は、付勢手段収納部6の内周面で形成される内径よりも若干小さく設定されている。
【0046】
また、規制部材17である円筒状のパイプの前後方向の長さは、付勢手段15の軸方向における最大変位量、すなわち、付勢手段15が前後方向における最小に圧縮された長さよりも大きく設定されている。
【0047】
また、各楔ナット12が規制部材17により後方への移動が規制された状態、すなわち、楔ナット12の最大限後方へ移動した状態における楔ナット12で形成されるねじ穴12cの内径は、後述する雄型係止部材23の係止部23bの外径よりも若干大きく設定することが望ましい。
【0048】
前記蓋体14には、蓋体14から後方向に突出するアンカーバー18が螺着して固設されている。アンカーバー18の後側には、抜け止め部18aが外周側へ突出して設けられている。
【0049】
前記の雌型連結部材1は、一方の連結する部品、例えば、図3に示すようなコンクリート部材であるシールドセグメント19に、ケーシング3の先端部4a側の面がシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されている。
【0050】
次に、雄型連結部材2について説明する。
雄型連結部材2は、変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材21内に、内周に雌ねじ22aを刻設した連結体22を設け、該連結体22の先部に雄型係止部材23の基部側に形成した雄ねじ体23aを螺着して構成されている。
【0051】
前記雄型係止部材23は、前記連結体22の先端より突出しており、その先部(前側)には、先部が縮径するドーム状の案内部24が形成されている。すなわち、前記雌型係止部材12を誘導する曲面が形成され、その後部、かつ、雄ねじ体23aより先部には、例えば図6に示すような、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雄ねじ)23bが刻設されている。この螺旋状の係止部23bとして、例えば図6に示すような、螺旋状で、かつ、のこぎり刃形状の係止山23d及び係止溝23eからなる係止部(雄ねじ)23bを用いることができる。前記雄ねじ23bの直径は、前記各楔ナット12が最前進した場合に、これらで形成されるねじ穴12cの直径よりも若干大径に設定されている。雄ねじ23bと雄ねじ体23aとの間には、円筒状の円筒部23cが形成されている。
【0052】
前記連結体22の後部には、図2に示すように、アンカーバー30が螺着して固設されている。該アンカーバー30の後端には抜け止め部30aが設けられている。また、アンカーバー30の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ31が設けられている。空間保持用のパイプ31の前側端部は、調整部材21の後側の係止部21aに係止し、後側端部は、アンカーバー30の抜け止め部30aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材32に係止している。アンカーバー30と空間保持用のパイプ31との間には空隙33が設けられている。
【0053】
なお、空隙33を設けることなく、アンカーバー30の外面に沿ってゴム等の弾性材により形成して調整部材21としても良い。
【0054】
前記調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31は、他方の連結する部品、例えば、コンクリート部材であるシールドセグメント35に、連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材21、空隙保持用パイプ31、抜け止め部30aの外部にはコンクリート35bが打設されている。
【0055】
また、前記一方のシールドセグメント19における接合面19aには、図示しないシール材が突出して設けられ、他方のシールドセグメント35における接合面35aには、図示しないシール材が突出して設けられている。
【0056】
他方の連結する部品35に設けられた雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として、その軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようになっている。
【0057】
前記楔ナット12の係止部(雌ねじ)12bと、雄型係止部材23の係止部(雄ねじ)23bとして、二等辺三角形状の係止山が軸方向に連続してなる係止部や、例えば、特開2006−144956号公報に記載のような不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることができるが、不等辺三角形状の係止山が軸方向に連続してなる係止部を用いることが好ましく、その一例を図6に示す。
【0058】
次に、前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bの係止山間の間隔(ねじピッチ)Pについて、図6により説明する。
【0059】
前記楔ナット12の雌ねじ12bと、前記雄型係止部材23の雄ねじ23bのねじピッチPは所望に形成するもので、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチとしてもよく、また、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さくしてもよい。
【0060】
例として、呼び径がM24(mm)の場合には、前記JIS B 0207のメートル細目ねじではねじピッチを2mm又は1.5mm又は1mmに形成するが、本発明では、ねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0061】
また、呼び径がM30(mm)の場合もねじピッチPを0.3mm〜0.8mm、望ましくは0.5mmに設定する。
【0062】
次に本発明をシールドセグメントに適用した例に基づいて連結操作を説明する。
先ず、雌型連結部材1の軸芯X−Xと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯Y−Yとが略同軸上に位置した状態で、一方のシールドセグメント19と他方のシールドセグメント35を相対的に近接させ、雄型係止部材23を雌型係止部材1の挿入口4bより挿入する。
【0063】
雄型係止部材23が、雌型連結部材1における挿入口4bから進入し、その後、雄型係止部材23が各楔ナット12を付勢手段15の付勢力に抗して後退させて各楔ナット12で形成されるねじ穴12cを拡径し、各楔ナット12の係止山を乗り越えつつ挿入する。
【0064】
その後、楔ナット12の後端が、付勢手段受け13の前端に当接し、付勢手段受け13の後端が、規制部材17の前端に当接し、規制部材17の後端が、蓋板14の前面に当接することにより、ねじ穴12cは、所定の最大拡径量以上に拡径せず、かつ、楔ナット12は所定量以上後方へ移動することを規制される。
【0065】
雌型連結部材1におけるケーシング3の先端面、すなわち、一方のシールドセグメント19の接合面19aと、雄型連結部材2における連結体22の先端面、すなわち他方のシールドセグメント35の接合面35aが接して雄型連結部材2の挿入が停止されると、各楔ナット12は、付勢手段15の付勢力によって先端面4a側へ押戻されるとともにテーパ面10によって各楔ナット12で形成されるねじ穴12c径が縮径し、各楔ナット12の雌ねじ9bが雄型係止部材23の雄ねじ23bに噛合する。
【0066】
本実施例1の雌型連結部材1、雄型連結部材2は、前記のような構造を有しているため、次のような作用、効果を奏する。
【0067】
雌型連結部材1の軸芯X−Xと雄型連結部材2の雄型係止部材23の軸芯Y−Yとが相互に非同芯状態(目違い状態)となっている場合においても、雄型連結部材2は、変形できる部材からなる調整部材21と空隙33と空隙保持用パイプ31と座部材32の相互作用により、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雄型係止部材23はその軸芯Y−Yと直交する方向に変位でき、雄型係止部材23を、雌型連結部材1のねじ穴12c内に挿入することが出来る。
【0068】
また、上記の目違い状態により、雄型係止部材23が、雌型連結部材1が位置する側の方向に大きく傾いた状態において、径方向の一方における楔ナット12のみを雄型係止部材23が後方へ押し下げたとしても、図7に示すように、規制部材17を設けたことにより、一方の楔ナット12の後方への移動量が最小限に抑えられ、軸方向における一方の楔ナット12と他方の楔ナット12の位置は大きく異なることを防止できる。
【0069】
また、各楔ナット12と雄型係止部材23の噛合状態における、楔ナット12の位置をできる限りケーシング3の前方に位置することが出来る。
【0070】
これにより、連結後において、シールドセグメント19、35間にこれらを離間する方向に大きな外力が作用したとしても、シールドセグメント19、35間の目開きを最小限に抑えることが出来、漏水することを防止できる。また、目開きを小さくすることができるため、シールドセグメント19、35間に設けるシール材を小さくすることができ、製造コストを低減できる。
【0071】
また、規制部材17により、楔ナット12の軸方向における最大移動量を、付勢手段15の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことにより、付勢手段15が底付する前に、楔ナット12の移動が停止されるため、付勢手段が破損することを防止できる。
【0072】
更に、従来の雌型連結部材100を用いて、付勢手段(圧縮バネ107)を本実施例における付勢手段15へ置換し、規制部材17を追加するのみで対応することができるため、製造コスト等を低減できる。
【実施例2】
【0073】
図8は、実施例2を示す。
前記実施例1においては、雄型係止部材23の係止部23b及び雌型係止部材12の係止部12bを螺旋状の係止山及び係止溝で形成したが、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bを、軸心X−X、Y−Yに対して直交、かつ、平行な環状に形成された複数の係止山及び係止溝を軸心方向に連続させて形成したものとしてもよい。
【0074】
この環状の係止部37b、38bとして、例えば、図8に示すような、軸心X−X、Y−Yに対して直交し、かつ、平行な環状で、かつ、のこぎり刃形状の係止山37c、38cを軸心方向に連続して形成したものを用いることができる。
【0075】
なお、雄型係止部材37の係止部37b及び雌型係止部材38の係止部38bの係止山及び係止溝は、図8に示すような、のこぎり状に限定されるものではなく、二等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部や、例えば、特開2006−144956号公報に記載のような不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることができるが、不等辺三角形状の係止山が連続してなる係止部を用いることが好ましい。
【0076】
係止山間の間隔(ピッチ)Pの寸法は、前記実施例1に示したねじピッチの寸法に相当する値に設定する。
【0077】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0078】
また、本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例3】
【0079】
図9は、実施例3を示す。
前記実施例1、2においては、前記ケーシング3とテーパ面5aを有する円錐状のテーパ穴5を構成するテーパ部とを一体に形成したものであるが、図9に示すように、ケーシング43と蓋体44を一体に形成し、ケーシング43の前端部から前部にかけて雌ねじ43aを刻設し、該雌ねじ43aには、内面に後方に向うほど拡径するテーパ面45aを有する円錐状のテーパ穴45を構成するテーパ部46を螺着するようにしてもよい。
【0080】
前記蓋体44の中央部には雌ねじが刻設され、蓋体44から後方向に突出するアンカーバー18が螺着して固設されている。
【0081】
その他の部材については、前記実施例1、2と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例1、2と同様の符号を付す。
【0082】
また、本実施例3においても、前記実施例1、2と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0083】
図10は、実施例4を示す。
前記実施例3においては、前記ケーシング3と規制部材17を別体に形成したが、図10に示すように、ケーシング53と規制部材54とを一体に形成してもよい。
【0084】
規制部材54は、前記実施例3における規制部材17の後端を蓋体44の前面に当接した状態における位置と同様の位置となるように設定されている。
【0085】
その他の部材については、前記実施例3と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例3と同様の符号を付す。
【0086】
また、本実施例3においても、前記実施例3と同様の作用、効果を奏する。
【実施例5】
【0087】
図11、12は、実施例5を示す。
前記実施例1乃至3においては、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けることにより、アンカーバー30の抜け止め部30aを中心として雄型係止部材2をその軸芯Y−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設けず、雌型連結部材1に、雄型連結部材2における調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等と同様の効果を奏する部材を設けることにより、アンカーバーの抜け止め部を中心として雌型連結部材61をその軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようにしてもよい。
【0088】
雌型連結部材61は、ケーシング3の外周に変形できる部材、例えば、発泡スチロール、ゴム等の弾性材、樹脂、ダンボールで形成された円筒状の調整部材62を設け、調整部材62の後側には後方に突出する係止部62aが形成されている。
【0089】
アンカーバー18の外周には、ゴム等の弾性材もしくは金属からなる空間保持用のパイプ63が設けられている。空間保持用のパイプ63の前側端部は、調整部材62の係止部62aに係止し、後側端部は、アンカーバー18の抜け止め部18aに設けられたゴム等の弾性材からなる座部材64に係止している。アンカーバー18と空間保持用のパイプ63との間には空隙65が設けられている。
【0090】
なお、空隙65を設けることなく、アンカーバー18の外面に沿ってゴム等の弾性材により形成して調整部材62としても良い。
【0091】
前記調整部材62、アンカーバー18、空間保持用パイプ63は、一方の連結部材、例えば、シールドセグメント19に、ケーシング3の前端面がシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設して固設されるもので、その前記調整部材62、空隙保持用パイプ63、抜け止め部18aの外部にはコンクリート19bが打設されている。
【0092】
一方の連結部材19に設けられた雌型連結部材61は、変形できる部材からなる調整部材62と空隙65と空隙保持用パイプ63と座部材64の相互作用により、アンカーバー18の抜け止め部18aを中心として雌型係止部材61はその軸芯X−Xと直交する方向に変位できるようになっている。
【0093】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略し、同様の部材については前記実施例1と同様の符号を付す。
【0094】
また、本実施例5においても、前記実施例1乃至4と同様の作用、効果を奏する。
【実施例6】
【0095】
前記実施例1乃至5の実施例においては、雌型連結部材又は雄型連結部材のいずれか一方のみをその軸芯X−X又はY−Yと直交する方向に変位できるようにしたが、雌型連結部材及び雄型連結部材の双方をその軸芯X−X及びY−Yと直交する方向に変位できるように、雄型連結部材2に、調整部材21、アンカーバー30、空間保持用パイプ31等を設け、雌型連結部材1、61に調整部材62、空隙65、空隙保持用パイプ63等を設けても良い。
【0096】
その他の部材については、前記実施例1乃至5と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0097】
また、本実施例6においても、前記実施例1乃至5と同様の作用、効果を奏する。
【実施例7】
【0098】
前記実施例1乃至6においては、テーパ5内に摺動案内突条を設けたが、摺動案内突条11を設けなくてもよい。
【0099】
また、前記実施例1乃至6においては、楔ナット12を複数個設けたが、例えば図13に示すように、1個としてもよい。
【0100】
また、前記実施例1乃至6においては、雌型連結部材1、61の先端部4a側面をシールドセグメント19の接合面19aと面一になるように埋設し、雄型連結部材2の連結体22の前端面22bがシールドセグメント35の接合面35aと面一となるように埋設したが、接合面19a、35aより、先端部4a側面と前端面22bのいずれか一方を突出させ、他方を前方が開口するように埋没させてもよい。
【0101】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施例1における雌型連結部材の半面を断面とした部分断面図。
【図2】本発明の実施例1における雄型連結部材の半面を断面とした部分断面図。
【図3】本発明の実施例1における雌型連結部材と雄型連結部材の連結状態を示す半面を断面とした部分断面図。
【図4】図1のA−A線断面図。
【図5】本発明の実施例1における規制部材を示すもので、(a)は軸方向断面図、(b)は斜視図。
【図6】本発明の実施例1における雌型係止部材及び雄型係止部材の係止部の拡大側面図。
【図7】本発明の実施例1における、雄型連結部材と雌型連結部材との軸芯が異なる状態における連結操作を説明するための半面を断面とした部分断面図。
【図8】本発明の実施例2における雌型係止部材及び雄型係止部材の係止部の拡大側面図。
【図9】本発明の実施例3における雌型連結部材の側断面図。
【図10】本発明の実施例4における雌型連結部材の側断面図。
【図11】本発明の実施例5における雌型連結部材の側断面図。
【図12】図11のB−B線断面図。
【図13】本発明の実施例7における雌型係止部材を1個使用した例で、図1のA−A線断面図に相当する図。
【図14】従来の雄形連結部材と雌型連結部材の拡大側断面図。
【図15】従来の連結具をシールドセグメントの連結に適用した状態を示す側断面図。
【図16】従来の連結具における、雄型連結部材と雌型連結部材との軸芯が異なる状態における連結操作を説明するため側断面図。
【符号の説明】
【0103】
1、61 雌型連結部材
2 雄型連結部材
3 ケーシング
4 収納室
5、45 テーパ穴
5a、45a テーパ面
12、38 雌型係止部材
12b、38b 雌型係止部材の係止部
15 付勢手段
17、54 規制部材
23、37 雄型係止部材
23b、37b 雄型係止部材の係止部
19、35 シールドセグメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けたことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項5】
前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項6】
前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項7】
ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けた連結具を使用し、
前記雌型連結部材を、連結すべき一方のコンクリート部材に固設し、前記雄型連結部材を連結すべき他方のコンクリート部材に固設したことを特徴とするコンクリート部材の連結装置。
【請求項8】
前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とする請求項7記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項9】
前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とする請求項7又は8記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項10】
前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とする請求項7乃至9項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項11】
前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項12】
前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項13】
前記コンクリート部材が、シールドセグメントであることを特徴とする請求項7乃至12項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項1】
ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けたことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の連結具。
【請求項4】
前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項5】
前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項6】
前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項1乃至4項の何れか1項に記載の連結具。
【請求項7】
ケーシング内に先端部が開口する収納室を設け、該収納室内に、先方が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に周方向に分割された楔状の雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、該雌型係止部材の内面に連続する係止山からなる係止部を刻設し、前記雌型係止部材を付勢手段で先方へ付勢した雌型連結部材と、
連続する係止山からなる係止部を刻設した雄型係止部材を先部に設けた雄型連結部材とで構成され、
前記雄型係止部材を前記雌型係止部材間に挿入することにより、前記雌型係止部材により構成される係止穴が拡径した後に、付勢手段により前記係止穴が縮径し前記雌型係止部材の係止部と、前記雄型係止部材の係止部とが噛合するようにした連結具であって、
前記雌型係止部材のケーシングの奥部への軸方向移動量を規制する規制部材を設けた連結具を使用し、
前記雌型連結部材を、連結すべき一方のコンクリート部材に固設し、前記雄型連結部材を連結すべき他方のコンクリート部材に固設したことを特徴とするコンクリート部材の連結装置。
【請求項8】
前記雌型係止部材の軸方向における最大移動量を、前記付勢手段の軸方向における最大変位量よりも小さくしたことを特徴とする請求項7記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項9】
前記規制部材を、円筒状のパイプで構成し、前記規制部材を前記雌型係止部材の後方で、かつ、前記付勢手段の外周部に設けたことを特徴とする請求項7又は8記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項10】
前記雌型係止部材の係止部及び雄型係止部材の係止部を、のこぎり刃形状に形成したことを特徴とする請求項7乃至9項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項11】
前記雌型係止部材の係止部を雌ねじで形成し、雄型係止部材の係止部を前記雌ねじに係合する雄ねじで形成し、前記雌ねじと雄ねじにおける呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項12】
前記雌型係止部材の係止部を、周方向の環状の平行溝で形成し、前記雄型係止部材の係止部を、前記平行溝に嵌合する平行溝で形成し、前記平行溝における呼び径に対するピッチを、JISに規定する細目ねじの呼び径に対するねじピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項7乃至10項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【請求項13】
前記コンクリート部材が、シールドセグメントであることを特徴とする請求項7乃至12項の何れか1項に記載のコンクリート部材の連結装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−92165(P2009−92165A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264602(P2007−264602)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000144016)株式会社三ツ知 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000144016)株式会社三ツ知 (11)
【Fターム(参考)】
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