説明

連結具

【課題】野縁受けに接する他の部材の配置等を良好に保ちつつ、複数の野縁受けを連結する連結具を実現する。
【解決手段】連結具10は、2本の野縁受け30を連結するために用いられる。一方の野縁受け30は、本体板と第1の挟持部14によって挟持され、他方の野縁受けは、本体板と第2の挟持部15によって挟持される。連結具10には、側壁板16の表面16Sから突出する突出部20が、端面20Sと野縁受け30の外面30Oとが同一平面上にあるように設けられている。このため、例えばダブル野縁40が、野縁受け30の外面30Oおよび連結具10に接する場合においても、ダブル野縁40は野縁受け30と平行な状態で保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の野縁受けを連結するための連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井下地部材として、通常、互いに平行に配置される複数の野縁と、野縁に交差する野縁受け等が使用される。そして、複数の野縁受けを一直線状に連結するために、連結具を用いることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の野縁受けが連結具により連結されると、野縁がその連結位置で交差する場合がある。この場合、野縁は、野縁受けとではなく連結具に接することとなる。そして、野縁の寸法および配置は、野縁受けと交差することを前提として定められていることから、野縁の表面が、形成されるべき天井面に対して傾いてしまうといった問題が生じ得る。
【0004】
本発明は、野縁受けに接する他の部材の配置等を良好に保ちつつ、複数の野縁受けを連結する連結具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の連結具は、第1および第2の野縁受けを連結する連結具である。連結具は、本体板との間で第1の野縁受けの端部を挟持する板状の第1の挟持部と、本体板との間で第2の野縁受けの端部を挟持する板状の第2の挟持部と、連結される第1および第2の野縁受けの幅方向の端部に接するように、本体板の両端に設けられた一対の側壁板と、連結される第1および第2の野縁受けの間で、一対の側壁板のそれぞれの表面から突出する突出部とを備える。そして、突出部の側壁板からの突出量が、第1および第2の野縁受けの板厚と実質的に等しいことを特徴とする。
【0006】
突出部の周辺部分における表面が曲面であり、また、中心部分における表面が平面であることが好ましい。
【0007】
突出部は、側壁板と一体的に形成されていることが好ましい。また、突出部の側面および断面は、半円形、あるいは三角形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、野縁受けに接する他の部材の配置等を良好に保ちつつ、複数の野縁受けを連結する連結具を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における連結具10を示す斜視図である。
【0010】
連結具10は、2本の野縁受け(図示せず)を連結するために用いられる。連結具10は、本体板12と、第1および第2の挟持部14、15とを含む。第1および第2の挟持部14、15は、いずれも板状であって、本体板12の外面12O側に設けられている。第1および第2の挟持部14、15は、本体板12の上面12Oから上方に延びる連結部18を介して本体板12に連結されている。
【0011】
連結具10の使用時には、野縁受けの長手方向の端部が、本体板12と第1の挟持部14との間の第1の隙間14Sに嵌め込まれる。さらに、他の野縁受けの長手方向の端部が、本体板12と第2の挟持部15との間の第2の隙間15Sに嵌め込まれる。そしてこれらの野縁受けが、本体板12と第1の挟持部14、もしくは本体板12と第2の挟持部15によってそれぞれ挟持されることにより、互いに連結される。第1および第2の挟持部14、15には、野縁受けを固定するための第1および第2の固定穴14H、15Hがそれぞれ設けられている。
【0012】
連結具10は、さらに、一対の側壁板16と突出部20とを有する。側壁板16は、連結具10の幅方向の両端に設けられている。突出部20は、側壁板16と同様に一対設けられている。突出部20の周辺部分における表面は曲面であり、中心部分の表面は、側壁板16の表面16Sにほぼ平行な平面である。そして突出部20は、側壁板16の表面16Sから、後述する所定の量だけ突出している。
【0013】
図2は、連結具10を示す平面図である。図3は、連結具10を示す正面図であり、図4は、連結具10を示す側面図である。
【0014】
第1および第2の挟持部14、15は、同一の板状部材の両端に設けられている。このような連結具10は、長手方向に延びた一枚の区形状の材料板(図示せず)の端部を以下のように加工することにより、製造される。まず、材料板の所定の位置に、後に第1および第2の固定穴14H、15Hとなる穴を開け、後に側壁板16となる領域の一部を叩き出す加工により、一対の突出部20を設ける。
【0015】
その後、材料板の長辺側の両端を折り曲げる加工により、外面12Oの端部から延びる一対の側壁板16(図1、3および4参照)を形成する。このように、突出部20は、側壁板16と一体的に形成されている。さらに、材料板における一対の側壁板16同士の間の領域に切込みを入れ、切込みの内側部分を叩き出し、後に第1および第2の挟持部14、15となる板状部材を盛り上げる。この板状部材を折り曲げることにより、連結部18を中心とした一枚の板状部材の両端に、第1および第2の挟持部14、15を形成する。
【0016】
この結果、材料板における、第1および第2の挟持部14、15を含む板状部材と、一対の側壁板16とを除いた領域が本体板12となる。このように、本体板12、第1、第2の挟持部14、15、および連結部18は、いずれも一体的に形成されている。最終的に、上述の加工が施された材料板の端部を、幅方向に沿った線で切断することにより、連結具10が製造される。
【0017】
なお突出部20は、上述のように表面の周辺部分が曲面であり、さらに輪郭の隅部が曲線である(図3参照)ように成形されることから、突出部20に接触したユーザの指等に傷を付けることがなく、連結具10は安全である。また、以上のように、連結具10は、一枚の区形状の材料板から製造することができるため、製造のための加工が容易であり、かつ歩留まりが良好である。
【0018】
図5は、本実施形態の連結具10が、野縁受けの連結に使用されている状態を例示する平面図である。図6は、比較例の連結具が、野縁受けの連結に使用されている状態を例示する平面図である。なお、図6では、比較例の連結具に含まれる部材のうち、本実施形態の連結具10と同一、もしくは対応するものについては、連結具10の各部材を示す符号に40を加えた符号により示されている。
【0019】
連結具10は、天井下地材として使用される2本の野縁受け30同士を連結するために使用される。野縁受け30の連結位置は、連結具10の中心にある連結部18によって定められる。すなわち、2本の野縁受け30は、図示されたように、長手方向の端部である端面30Eが連結部18に接する位置で、連結具10により保持される。そして突出部20は、このように所定の連結位置で連結される2本の野縁受けの間に配置されている。
【0020】
なお、連結される野縁受け30は、第1および第2の挟持部14、15のみならず、野縁受け30の幅方向の端部にある内面30Sに接する一対の側壁板16(図1、3および4参照)によっても保持されているため、所定の連結位置からずれてしまうことが防止される。さらに、必要に応じて第1および第2の固定穴14H、15Hを介してビス(図示せず)によって野縁受け30を連結具10で固定することもできる。
【0021】
連結具10により連結された野縁受け30は、例えばダブル野縁40等の野縁と交差する。この場合、図示されたように、連結された野縁受け30の連結部、すなわち連結具10と、ダブル野縁40とが接する場合がある。本実施形態においては、突出部20の側壁板16からの突出量、すなわち側壁板16の表面16Sから、突出部20の中心にあって、最も突出している端面20Sまでの距離Wは、野縁受け30の内面30Sと外面30Oとの距離、すなわち野縁受け30の板厚Tに略等しい。
【0022】
端面20Sは、側壁板16の表面16Sに平行である。この端面20Sと野縁受け30の外面30Oとが、同一平面上にあるように、2本の野縁受け30が連結されることから、ダブル野縁40の外面40Sと、連結された野縁受け30の外面30Oとは平行である。従って、ダブル野縁40等が、天井表面(図示せず)に対して傾斜することは確実に防止できる。
【0023】
これに対し、比較例の連結具50(図6参照)においては、突出部20が設けられていないことから、連結具50の側壁板56の表面56Sとダブル野縁40とが直接接する。この場合、側壁板56が、野縁受け30の板厚T分だけ野縁受け30の外面30Oから陥没していることから、ダブル野縁40の外面40Sと、連結された野縁受け30とは平行にならない。
【0024】
このため、比較例の連結具50によって2本の野縁受け30がたとえ所定の位置で正しく連結されていたとしても、ダブル野縁40は、天井表面(図示せず)に対して傾いてしまうこととなり、この傾斜を補正する作業が必要となったり、あるいは天井下地の強度が低下するおそれがある。
【0025】
以上のように本実施形態によれば、連結の対象となる野縁受け30の形状に対応した突出部20を側壁板16の表面16S上に設けることにより、野縁受け30に接するダブル野縁40等の部材の配置を良好に保ちつつ、野縁受け30を連結することができる。
【0026】
連結具10の形状等は、本実施形態に限定されない。例えば、第1および第2の挟持部14、15は、同一の板状部材ではなく、図6に示す比較例の連結具50と同様に、本体板12の中心付近から、互いに反対側の端部に向かって延びる別体の板状部材であっても良い。さらに、第1および第2の挟持部14、15の表面に、例えばビードを設けても良い。
【0027】
また、突出部20の形状および製法も、本実施形態におけるものには限定されない。例えば、側壁板16の切り抜き加工により突出部20を形成しても良い。この場合、図7に示される連結具10の第1の変形例のように、突出部20の側面および断面の形状は、例えば半円形である。この第1の変形例では、曲面のみで形成され、上述のように安全な突出部20(段落[0017]参照)を、容易な加工により形成することができる。
【0028】
また、図8に示される連結具10の第2の変形例のように、側面および断面の形状が三角形である突出部20を、側壁板16の切り抜き加工により設けても良い。この場合、突出部20とダブル野縁40(図5参照)等との接触面積が小さくなるものの、突出部20をさらに容易に製造できる。
【0029】
また、突出部20を製造するための加工を容易にすべく、上述のように、側壁板16の叩き出し加工、もしくは切り抜き加工により、側壁板16と一体的な突出部20を設けることが好ましいものの、側壁板16とは別の部材を側壁板16の表面16S(図1〜4等参照)に貼り付けることにより、突出部20を形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態における連結具を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における連結具を示す平面図である。
【図3】本実施形態における連結具を示す正面図である。
【図4】本実施形態における連結具を示す側面図である。
【図5】本実施形態の連結具が、野縁受けの連結に使用されている状態を例示する平面図である。
【図6】比較例の連結具が、野縁受けの連結に使用されている状態を例示する平面図である。
【図7】本実施形態の第1の変形例における連結具を示す側面図である。
【図8】本実施形態の第2の変形例における連結具を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 連結具
12 本体板
14 第1の挟持部
14H 第1の固定穴(固定穴)
15 第2の挟持部
15H 第2の固定穴(固定穴)
16 側壁板
18 連結部
20 突出部
30 野縁受け
30E 端面(端部)
30S 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の野縁受けを連結する連結具であって、
本体板との間で前記第1の野縁受けの端部を挟持する板状の第1の挟持部と、
前記本体板との間で前記第2の野縁受けの端部を挟持する板状の第2の挟持部と、
連結される前記第1および第2の野縁受けに接するように、前記本体板の両端に設けられた一対の側壁板と、
連結される前記第1および第2の野縁受けの間で、一対の前記側壁板のそれぞれの表面から突出する突出部とを備え、
前記突出部の前記側壁板からの突出量が、第1および第2の野縁受けの板厚と実質的に等しいことを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記突出部が、前記側壁板と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記突出部の周辺部分における表面が曲面であることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項4】
前記突出部の中心部分における表面が平面であることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項5】
前記突出部の側面および断面が半円形であることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項6】
前記突出部の側面および断面が三角形であることを特徴とする請求項1に記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−91783(P2009−91783A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262493(P2007−262493)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(397027743)株式会社サンユー (4)
【Fターム(参考)】