説明

連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための改善された方法

本発明は、連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための方法であって、(a)第1のモノマー組成を含む反応容器を提供する段階と;(b)第2のモノマー組成を含むフィード容器を提供する段階と;(c)該反応容器内の重合反応を開始する段階と;(d)該フィード容器から該反応容器への該第2のモノマー組成の段階的添加の間に重合反応を継続する段階であって、連続的に変動性の組成のコポリマーが達成されるように第2のモノマー組成の段階的添加を行う、段階と;(e)全モノマー組成の少なくとも90%がコポリマーに転化されるまで該重合を維持する段階と、を含み;該コポリマーが10,000〜1,000,000の質量平均分子量を有し;該コポリマーが潤滑油に可溶であり、該第1のモノマー組成により反応容器内に提供されたモノマーが、該コポリマーを製造するために使用された全モノマーの少なくとも50質量%を構成することを特徴とする、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合方法中のモノマー組成の段階的変化を行うことによって、連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための改善された方法に関する。この方法の適用例としては、従来の手段により作製された関連のポリマー添加剤と比較した際、例えば流動点降下剤又は粘度指数向上剤として潤滑油添加剤特性が改善されたポリ(メタ)アクリレートコポリマーの製造がある。
【0002】
低温流動条件下の石油配合物の作用は、冷却すると前記油から結晶するパラフィン(蝋状材料)の存在により非常に影響され;これらのパラフィンは、低温条件で前記油の流動率を著しく低下させる。流動点降下剤として知られているポリマー流動性向上剤は、特定の条件下の油の「流動点」又は凝固点(即ち配合油が流体のままである最低温度)を効果的に低下させるために開発された。流動点降下剤は、非常に低濃度、例えば油の0.05〜1質量%で効果がある。流動点降下剤材料は、それ自体、成長するパラフィン結晶構造に入り込み、結晶の更なる成長と拡大した結晶凝集体の形成とを効果的に遅らせ、それにより他で可能なものより低温で前記油が流体のままとなる。
【0003】
流動点降下剤ポリマーの使用の一つの限界は、異なる原料由来の石油基油が様々な種類の蝋状材料又はパラフィン材料を含有し、全てのポリマー流動点降下剤が異なる石油の流動点の低下に等しく効果的であるわけではない、即ち、あるポリマー流動点降下剤は、ある種類の油には効果的であり得るが、別のものには効果的ではないということである。単一の流動点降下剤ポリマーが多種多様な石油に有用であれば、それは望ましいことである。
【0004】
この問題を解決するための一つの方法は、"Depression Effect of Mixed Pour Point Depressants for Crude Oil"by B.Zhao,J.Shenyang,Inst.Chem.Tech.,8(3),228−230(1994)に開示されており、ここで、油に流動点降下剤を個別に使用する場合と比較した際、2種の異なる従来の流動点降下剤の物理的混合物を使用することにより2種の異なる原油試料に対する流動点性能の改善が得られた。同様に、U.S.5,281,329及び欧州特許出願EP140,274においては、潤滑油に各ポリマー添加剤を単独で使用する場合と比較した際に流動点特性の改善を達成するための異なるポリマー添加剤の物理的混合物の使用が開示されている。
【0005】
U.S.4,048,413においては、従来の重合中の組成の「変動」に通常つながる個々のモノマーの反応度の天然の差を相殺するためにモノマーの重合混合物に添加されるモノマーの添加の比及び割合を制御することにより均一の組成のコポリマーを製造するための方法が開示されている。U.S.4,048,413において、組成が連続的に変化する又は連続的に変化し得るコポリマーを提供するために重合混合物にモノマーの添加の比及び割合を制御することについては、開示がない。
【0006】
文献WO2006/015751には、モノマー混合物を高温に加熱し、開始剤の添加割合が後半のステップでより大きくなるように多数のステップに亘って開始剤を滴下するフリーラジカル重合のための方法が示されている。
【0007】
これらの過去のアプローチのいずれも、広範囲に亘る潤滑油配合物に単独のポリマー添加剤を使用する場合、良好な低温流動性を提供しない。
【0008】
更に、US6,140,431においては、各混合物が重合フリーラジカル反応開始剤を含有する2種の異なる反応混合物を形成し、(a)反応混合物「B」を混合物「A」に添加し、混合容器の含有物を反応容器にフィードすると共に混合容器に反応混合物「A」の段階的添加を行うか、又は、(b)異なるフィードプロファイルで反応混合物「B」を反応器に添加すると共にあるフィードプロファイルで反応器への反応混合物「A」の段階的添加を行うかのいずれかにより、連続的に変動性の組成のメタクリレートコポリマーを製造するための方法が示されている。US6,140,431においては、別のモノマー混合物の添加を開始する前に反応容器に多量の特定のモノマー混合物を提供することは開示されていない。
【0009】
US6,140,431により得ることができるコポリマーは、流動点降下剤として良好な効率性を示す。しかしながら、前記方法は、制御が困難で、高い投資が必要である。方法の複雑性に基づき、過誤のリスクが高い。
【0010】
連続的に変化し得る組成を有するコポリマーを製造するための改善された方法を提供することが、本発明の目的である。本発明の更なる目的は、制御が容易な方法を提供することにある。更に、前記方法は、低過誤リスクで行わなければならない。更に、本発明の目的は、連続的に変化し得る組成を有するコポリマーを製造するための簡単且つ安価な方法を提供することにある。
【0011】
これらの課題、並びに、他の明確に言及されなかったものの冒頭の部分から容易に誘導され得る、又は、展開され得る課題は、本請求項1に記載の連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための方法により達成される。本発明による方法の好都合な修飾は、従属請求項に記載される。
【0012】
本発明は、連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための方法を提供するものであって、
(a)第1のモノマー組成物を含む反応容器を提供する段階と;
(b)第2のモノマー組成物を含むフィード容器を提供する段階と;
(c)該反応容器内の重合反応を開始する段階と;
(d)該フィード容器から該反応容器への該第2のモノマー組成物の段階的添加を行う間に重合反応を継続する段階であって、連続的に変動性の組成のコポリマーが達成されるように第2のモノマー組成物の段階的添加を行う段階と;
(e)全モノマー組成物の少なくとも90%がコポリマーに転化されるまで該重合を維持する段階と、を含み;
該コポリマーが10,000〜1,000,000の質量平均分子量を有し;該コポリマーが潤滑油に可溶であり、該第1のモノマー組成物により反応容器内に提供されたモノマーが、該コポリマーを製造するために使用された全モノマーの少なくとも50質量%を構成する、方法を提供する。
【0013】
本発明の方法は、連続的に変化し得る組成を有するコポリマーを製造するための改善された方法を提供する。本発明の方法は、容易に制御され得る。故に、前記方法は、低過誤リスクで行うことができる。更に、連続的に変化し得るポリマー組成を製造するための方法は、非常に簡単且つ安価である。このことは、投資の収益と、前述のコポリマーの製造用プラントの規模の拡大とに関して、非常に重要である。更に、本発明の方法においては、使用する開始剤の量を低減することが必要とされる。その上、本発明は、方法温度の制御の改善と、方法の信頼性の増加とを提供する。更に、本発明の方法により製造されるコポリマーにおいては、単独ポリマー添加剤における潤滑油特性の組み合わせが上述の所望のものとなる。
【0014】
本発明の方法によれば、第1のモノマー組成物は、反応容器内で提供される。更に、第2のモノマー組成物は、フィード容器内で提供される。「反応容器」という表現は、重合反応が起こる反応器を意味する。有用な反応容器は、当該技術分野で周知である。「フィード容器」という用語は、第2のモノマー混合物が反応容器に添加される貯蔵器を表す。
【0015】
第1のモノマー組成は、第2のモノマー組成とは異なる。例えば、第1のモノマー組成物は、第2のモノマー組成物に存在しないモノマーを含んでよく、或いは、第2のモノマー組成物は、第1のモノマー組成物に存在しないモノマーを含んでよい。更に、両方のモノマー組成物は、同じモノマーを含んでよい。しかしながら、前記モノマーは、異なる量で存在する。
【0016】
好ましい一実施態様によれば、第1のモノマー組成物は、A1、B1、C1...X1と同定される1種又は多種の重合性モノマーを含有することが可能であり、各重合性モノマーの質量百分率の合計は100になる。第2のモノマー組成物もまた、A2、B2、C2...Xnと同定される1種又は多種の重合性モノマーを含有することが可能であり、各重合性モノマーの質量百分率の合計は100になる。同様に、更なるモノマー組成物は、更なるフィード組成として使用され得る。このように、連続的に変化し得るポリマー組成は、最初のポリマー組成が、A1、B1、C1...X1と同定される第1のモノマー組成物と同等であるように製造され得る。次いで、ポリマー組成は、平均組成が、方程式:
avg=Σ(An*n)/ΣWn
avg=Σ(Bn*n)/ΣWn
avg=Σ(Cn*n)/ΣWn....
avg=Σ(Xn*n)/ΣWn
[式中、Xnは、各モノマー組成(n)における各個別のモノマー(X)の質量パーセントであり、Wnは、そのモノマー組成におけるモノマーの全質量である]により定義され得るように、第2のモノマー組成フィードが開始される時に開始する反応の経過を通じて変化する。
【0017】
製造された最終ポリマー組成は、全てのモノマーフィードが完了した時点で反応容器内に存在する未反応のモノマー組成と同等である。従って、最終ポリマーにおける組成の範囲は:
avg+[Aavg−A1]〜Aavg−[Aavg−A1
avg+[Bavg−B1]〜Bavg−[Bavg−B1
avg+[Cavg−C1]〜Cavg−[Cavg−C1]...
avg+[Xavg−X1]〜Xavg−[Xavg−X1
[式中、[Aavg−A1]は、モノマーAについての開始組成(A1)と平均組成(Aavg)との間の差の絶対値であり、他のモノマーについての定義も同様である]の間の範囲として推定され得る。
【0018】
好ましい実施態様によれば、第1のモノマー組成物における少なくとも1種のモノマー成分の濃度は、第2のモノマー組成物における同じモノマー成分の濃度から好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも5〜50%異なる。第1及び第2のモノマー組成の間の差は、各個別のモノマーの差の合計で定義することができ、
方程式:
Diff=Σ|X1−X2
[式中、X1は、第1のモノマー組成物における各個別のモノマーの質量パーセントであり、X2は、第2のモノマー組成物における各個別のモノマーの質量パーセントである]で定義することができる。好ましい実施態様において、XDiffの値は、5%〜200%の範囲、より好ましくは10%〜100%の範囲であり得る。
【0019】
標準的な重合動力学を用いて、瞬間的なコポリマー組成は、第1のモノマー組成及び第2のモノマー組成に基づくポリマー形成とフィード速度との関数として推定され得る。図1に、A1=LMA=30%及びB1=SMA=70%の71.4部の開始モノマー組成及びA2=LMA=100%の28.6部の第2のモノマー組成の場合のかかる推定値が示される。
注:LMA=ラウリルミリスチルメタクリレート、SMA=セチルステアリルメタクリレート
【0020】
この好ましい実施態様において、前記モノマーの内の少なくとも1つの組成の絶対値の範囲は、少なくとも5%、より好ましい範囲は5〜30%、最大範囲は100%と同じ程度である。
【0021】
本発明の連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するために使用されるモノマー数又はモノマー種に対する限定はない。本発明の方法を実施する際に使用するモノマーは、コモノマーによって重合することが可能で、且つ、形成するコポリマーに相対的に可溶ないかなるモノマーでもあってもよい。好ましくは、前記モノマーは、モノエチレン性不飽和モノマーである。重合中に架橋につながるポリエチレン性不飽和モノマーは、一般に望ましくない。架橋につながらないか、若しくは、小さい程度だけ架橋するポリエチレン性不飽和モノマー、例えばブタジエンはまた、充分なコモノマーである。
【0022】
適切なモノエチレン性不飽和モノマーの一種としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレンのビニル芳香族モノマーがある。ビニル芳香族モノマーとしてはまた、それらの対応する置換対応物、例えばハロゲン化誘導体、即ち、1個以上のハロゲン基を含有するもの(例えばフッ素、塩素又は臭素;ニトロ、シアノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルボアルコキシ、カルボキシ、アミノ及びアルキルアミノ誘導体)を挙げることができる。
【0023】
適切なモノエチレン性不飽和モノマーの別の一種としては、窒素含有環式化合物、例えば、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−3−エチル−5−ビニルピリジン、メチル置換キノリン及びイソキノリン、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、N−ビニルピロリドンがある。
【0024】
適切なモノエチレン性不飽和モノマーの別の一種としては、エチレンモノマー及び置換エチレンモノマー、例えば:プロピレン、イソブチレン、長鎖アルキルα−オレフィン(例えば(C10〜C20)アルキルα−オレフィン)等のα−オレフィン;ビニルアセテートやビニルステアレート等のビニルアルコールエステル;ビニルクロリド、ビニルフルオリド、ビニルブロミド、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド、ビニリデンブロミド等のビニルハライド;アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のビニルニトリル;(メタ)アクリル酸及び誘導体(例えば対応するアミドやエステル);マレイン酸及び誘導体(例えば対応する無水物、アミド、エステル);フマル酸及び誘導体(例えば対応するアミドやエステル);イタコン酸及びシトラコン酸及び誘導体(例えば対応する無水物、アミド、エステル)がある。
【0025】
(メタ)アクリル酸誘導体の好ましい一種は、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、置換(メタ)アクリレートモノマー及び置換(メタ)アクリルアミドモノマーに代表される。前記モノマーの各々は、単一のモノマー又はアルキル部分に異なる数の炭素原子を有する混合物であり得る。好ましくは、前記モノマーは、(C1〜C24)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(C2〜C6)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C2〜C6)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C2〜C6)アルキル(メタ)アクリルアミドから成る群から選択される。各モノマーのアルキル部分は、直鎖状又は分枝状であり得る。
【0026】
本発明の方法において有用な特に好ましいポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの重合から誘導されるポリ(メタ)アクリレートである。本明細書で用いられる「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、対応するアクリレートエステル又はメタクリレートエステルのいずれかを指し;同様に、「(メタ)アクリル」という用語は、対応するアクリル酸又はメタアクリル酸のいずれか及び誘導体を指す。アルキル基が1〜6個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(「ロー−カット」アルキル(メタ)アクリレートとも呼ばれる)の例としては、メチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレート及びエチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(BMA)及びブチルアクリレート(BA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)、ヘキシルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びそれらの組み合わせがある。好ましいロー−カットアルキルメタクリレートは、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートである。
【0027】
アルキル基が7〜15個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(「ミッド−カット」アルキル(メタ)アクリレートとも呼ばれる)の例としては、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート(IDMA、分枝状(C10)アルキル異性体混合物に基づく)、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレートとしても知られている)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート(ミリスチルメタクリレートとしても知られている)、ペンタデシルメタクリレート、それらの組み合わせがある。ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(DPMA)(ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート及びペンタデシルメタクリレートの直鎖状及び分枝状異性体の混合物);及びラウリル−ミリスチルメタクリレート(LMA)(ドデシルメタクリレートとテトラデシルメタクリレートとの混合物)も有用である。好ましいミッド−カットアルキルメタクリレートは、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート、及びイソデシルメタクリレートである。
【0028】
アルキル基が16〜24個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(「ハイ−カット」アルキル(メタ)アクリレートとも呼ばれる)の例としては、ヘキサデシルメタクリレート(セチルメタクリレートとしても知られている)、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート(ステアリルメタクリレートとしても知られている)、ノナデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、それらの組み合わせがある。セチルエイコシルメタクリレート(CEMA)(ヘキサデシルメタクリレートとオクタデシルメタクリレートとエイコシルメタクリレートとの混合物);及びセチルステアリルメタクリレート(SMA)(ヘキサデシルメタクリレートとオクタデシルメタクリレートとの混合物)もまた有用である。好ましいハイ−カットアルキルメタクリレートは、セチル−エイコシルメタクリレート及びセチル−ステアリルメタクリレートである。
【0029】
上記のミッド−カット及びハイ−カットアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、一般に、工業規模の長鎖脂肪族アルコールを使用して標準的なエステル化手法により製造され、これらの市販のアルコールは、アルキル基中に10〜15個又は16〜20個の炭素原子を含有する様々な鎖長のアルコールの混合物である。従って、本発明の目的ために、アルキル(メタ)アクリレートは、挙げられた個々のアルキル(メタ)アクリレート生成物だけでなく、そのアルキル(メタ)アクリレートと支配的な量の挙げられた特定のアルキル(メタ)アクリレートとの混合物も含むものとする。(メタ)アクリレートエステルを製造するためのこれらの市販のアルコール混合物を使用することにより、上述のLMA、DPMA、SMA及びCEMAモノマー種が得られる。本発明の方法において有用な好ましい(メタ)アクリル酸誘導体は、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート、セチル−エイコシルメタクリレート、及びセチル−ステアリルメタクリレートである。
【0030】
本発明の目的のために、上述の種類のモノマーからのモノマーの組み合わせを示すコポリマー組成は、本発明の方法を使用して製造され得ることが理解される。例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマーとビニル芳香族モノマーとのコポリマー(例えばスチレン);アルキル(メタ)アクリレートモノマーと置換(メタ)アクリルアミドモノマーとのコポリマー(例えばN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド);アルキル(メタ)アクリレートモノマーと窒素含有環式化合物に基づくモノマーとのコポリマー(例えばN−ビニルピロリドン);フマル酸とのビニルアセテートのコポリマー及びその誘導体;並びに(メタ)アクリル酸と、マレイン酸とのその誘導体とのコポリマー、及びその誘導体である。
【0031】
本発明の方法は、重合中の重合媒体中への個々のモノマー又はモノマー種の導入を制御することにより単一の操作で多数のコポリマー組成の混合物を製造する手段を提供するものである。本明細書で用いられるように、「モノマー種」は、個々の密接に関連したモノマーの混合物、例えば、LMA(ラウリルメタクリレートとミリスチルメタクリレートとの混合物)、DPMA(ドデシルメタクリレートとトリデシルメタクリレートとテトラデシルメタクリレートとペンタデシルメタクリレートとの混合物)、SMA(ヘキサデシルとオクタデシルメタクリレートとの混合物)、CEMA(ヘキサデシルとオクタデシルとエイコシルメタクリレートとの混合物)を示すそれらのモノマーを指す。本発明の目的のために、これらの混合物の各々は、モノマー比及びコポリマー組成を記載する場合、単一のモノマー又は「モノマー種」を示す。例えば、70/30LMA/CEMA組成を有するとして記載されるコポリマーは、そのコポリマーが少なくとも5種の異なる個々のモノマー(ラウリル、ミリスチル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルメタクリレート)を含有すると理解されるにもかかわらず、70%の第1のモノマー又はモノマー種(LMA)と30%の第2のモノマー又はモノマー種(CEMA)とを含有すると考えられる。
【0032】
本明細書で用いられるように、示された全てのパーセンテージは、特記しない限り、含まれるポリマー又は組成の全質量に対する質量パーセント(%)で表現される。
【0033】
好ましくは、第2のモノマー組成物は、フィード容器から反応容器に直接に且つ段階的に添加される。前記表現は、更なる混合容器を使用することなく第2のモノマー組成物が反応容器に添加されることを直接意味する。
【0034】
好ましくは、第1のモノマー組成物は、少なくとも2種のモノマーを含み、及び/又は、第2のモノマー組成物は、少なくとも2種のモノマーを含む。本発明の好ましい一実施態様によれば、第1のモノマー組成物は、第2のモノマー組成物とは異なるモノマーを含み;とりわけ、第1のモノマー組成物は、少なくとも1種のモノマー、より好ましくは第2のモノマー組成物中に存在しない少なくとも2種のモノマーを含むことができる。
【0035】
本明細書で用いられるように、「コポリマー」又は「コポリマー材料」という用語は、2種以上のモノマー又はモノマー種の単位を含有するポリマー組成を指す。本明細書で用いられるように、「連続的に変化し得る組成」という用語は、コポリマー材料、即ち単一の重合方法から誘導されるコポリマー材料の中に単一組成コポリマーの分布があるコポリマー組成を指す。単一組成コポリマーの分布は、わずか50%、好ましくはわずか20%の任意の単一組成コポリマーがコポリマー材料における単一組成コポリマーの分布範囲内で表され、少なくとも4種、好ましくは少なくとも5種、より好ましくは少なくとも10種の異なる単一組成コポリマーが、連続的に変動性の組成のコポリマーを含むようなものでなければならない。
【0036】
本発明の目的のために、連続的に変化し得る組成を有するコポリマーは、わずか50%の任意の単一組成コポリマーがコポリマー材料に存在するという上述の要件を満たすと共に、コポリマー組成範囲の単一組成コポリマーのモノマー成分又はモノマー種成分の内の少なくとも1種において少なくとも5%、好ましくは5%〜30%の間の差を有するものと定義される。単一組成コポリマーは、その最も近くの最も類似したコポリマーとは、少なくとも1種のモノマー成分において少なくとも1%異なるコポリマーと定義される。
【0037】
例えば、70モノマーA/30モノマーB〜30モノマーA/70モノマーBの範囲の単一組成コポリマーを含有するコポリマー材料(最初の70A/30Bモノマー混合物を使用して重合し、モノマーフィードの終了時に30A/70BとなるまでモノマーBを重合するモノマー混合物に段階的に添加することによって製造される)において、61A/39B成分は、単一組成コポリマーと考えられ、62A/38B成分は、異なる単一組成コポリマーと考えられる。更に、連続的に変動性の組成のコポリマーの概念を示すためにこの例を用いて、上述のコポリマー組成は、少なくとも40の異なる単一組成コポリマーを理論的に含むが、それらの各々は、重合するモノマーフィードの組成がA/B組成の一方の極からA/B組成の他方の極までの重合方法に亘り連続的に調整されたと仮定した場合、重合中の各単一組成コポリマーの理論的形成量に対して70A/30B〜30A/70Bの間で1%異なる。この場合、コポリマー材料は、理論的に、40の異なる単一組成コポリマーの各々を約2.5%有するものと記載することが可能であり、各々は、1%のA及び1%のBの連続的増分だけ異なる。
【0038】
本明細書で用いられるように、「理論的形成量」は、利用可能なコポリマー組成の全範囲の内の一部分として形成される特定の単一組成コポリマーの組成及び量(質量%)に対応する。これは、形成された瞬間的なポリマーの組成が、コポリマーが形成される時に反応容器中に存在する未反応のモノマー組成と同等であるという仮定に基づく。従って、製造された最初の単一組成コポリマーは、A1、B1、C1...X1と同定され得るステップ(a)に記載された第1のモノマー組成と同等である。次いで、ステップ(d)に記載されるように第2のモノマー組成物の段階的添加を開始し、共重合が生じる際に利用可能なモノマーを反応容器から除去すると共に、反応容器中に存在する未反応のモノマー組成は変化する。本明細書で用いられるように、「段階的添加」という用語は、滴状又は流動状態での一定時間のモノマー、モノマー混合物又は複数のモノマーの連続的又は間欠的な添加を指す。本明細書で用いられるように、「間欠的」添加は、反応器又はインライン混合装置へのモノマーフィードの添加の短い中断を含むが、但し前記中断は、重合中に形成されたコポリマー組成の範囲内でほんの約50%の単一組成コポリマー(反応器中のモノマー比に基づく)の理論的形成に対応する。また、間欠的添加は、モノマー又はモノマー混合物の複数回の不連続的な添加を含み、ここで各々の不連続的な添加におけるモノマー混合物の組成は、モノマー混合物の1種以上の成分において、他の不連続的な添加の組成の内の少なくとも1種と少なくとも5%異なり、任意の不連続的なモノマー添加の最大寄与率は、重合中に形成されたコポリマー組成の範囲内で50%未満の単一組成コポリマー(反応器のモノマー比に基づく)に対応する。
【0039】
好ましくは、ステップ(d)における1種以上の更なるモノマー混合物の段階的添加は、50%の第1のモノマー混合物がコポリマーに転化される前に、好ましくは25%が転化される前に、最も好ましくは10%が転化される前に前記添加が開始するように行われる。前記1種以上の更なるモノマー混合物は、前記添加の最後に全モノマーの少なくとも50%がコポリマーに転化されるような、好ましくは少なくとも75%が転化されるような、最も好ましくは少なくとも90%が転化されるような速度で添加される。
【0040】
本明細書で用いられるように、「重合条件下」は、コポリマー内に存在するいずれかのモノマーの実質的な含有を生じるのに十分な重合反応器中の条件を指し;即ち、例えば、温度、フリーラジカル反応開始剤の種類、いずれかの任意の促進剤の組み合わせにより、開始剤系の半減期が約2時間未満、好ましくは1時間未満、より好ましくは10分間未満、最も好ましくは約5分間未満である環境が得られる。
【0041】
ステップ(c)において、反応容器中の重合反応は、通常、フリーラジカル反応開始剤により開始される。開始反応は、例えば、開始剤が反応容器中に存在する場合には温度を高めることにより達成され得る。好ましくは、開始反応は、反応容器へのフリーラジカル反応開始剤の段階的添加により、又は、所望の反応温度が達成された後の第2のモノマー組成物内へのフリーラジカル反応開始剤の含有により達成される。
【0042】
前記方法は、単一組成コポリマーの物理的混合物を製造するために次いで化合される異なるコポリマーの(別々の重合における)製造とは対照的に、単一の連続的に変動性の組成のコポリマーを製造することを目的とするものである(U.S.5,281,329及び欧州特許出願EP140,274参照)。このようにして、コポリマーは、化合添加剤組成を提供するための多くの重合反応や異なるコポリマーの単離及び保存を必要とすることなく、そのコポリマーに求められる特定の最終用途に合わせて都合よく調整され得る。
【0043】
本発明の方法によって製造されて得られたコポリマー材料の中の個々の組成の範囲の両極に対する限定はない。例えば、50A/50Bの全体的平均的組成を有するコポリマー材料は、100A/0B〜0A/100Bの範囲又は55A/45B〜45A/55Bだけの範囲の個々の単一組成コポリマーから構成され得る。同様に、80A/10B/10C(Cは第3のモノマーを表す)の全体的平均的組成を有するコポリマー材料は、例えば、100A/0B/0C〜60A/20B/20Cの範囲又は75A/20B/5C〜85A/0B/15Cだけの範囲の個々の単一組成コポリマーから構成され得る。
【0044】
本発明の方法の利点は、単一重合方法の中で形成される異なる単一組成コポリマーの数を容易に変化させることができるということである。更に、上記のように同じ範囲の個々の単一組成コポリマーを有するコポリマーについては、重合方法の中で形成される単一組成コポリマーの絶対数及び分布は、反応温度、開始剤フィード速度、及び/又は第2及び次のモノマー混合物のフィード速度等、反応の間のパラメータを変化させることにより変化させ得る。標準的重合動力学を用いて、第2のモノマー組成のための異なるフィード速度を用いる第1のモノマー組成及び第2のモノマー組成に対するポリマー形成の関数として瞬間的なコポリマー組成を推定することが可能である。図1においては、A1=30%及びB1=70%の71.4部の開始モノマー組成並びにA2=100%の28.6部の第2のモノマー組成の場合のかかる推定値が示されている。これは、50A/50Bの全体的平均組成及び30A/70B〜70A/30Bの間の全体的組成と同等である。図2で示されるように、共重合方法によって製造された瞬間的なポリマー組成は、重合反応器への第2のモノマーのフィード速度の関数として変化する。同様の変化は、開始剤添加の速度及び/又は量を変化させることにより、及び、重合温度を変化させることにより、観察される。
【0045】
本発明の方法は、(メタ)アクリル酸エステルやスチレン誘導体等、著しく異なる反応度のモノマーの取り込みを制御するために、異なるフィード速度を有し得る多くのモノマーフィードを有してよい。所望により、コポリマー組成の制御は、モノマー反応性比の使用に基づく周知のコポリマー式の適用から誘導され得る(Textbook of Polymer Science by F.W.Billmeyer,Jr.,pp310−325(1966))。米国特許第4,048,413号においては、モノマー反応性比の使用と、組成が一定のコポリマーを達成するための重合中の所望のコポリマーの、増加量のより反応性のモノマー成分の添加とが開示されている。米国特許第4,048,413号の教示及び目的とは対照的に、本発明の方法は、単一重合方法中に、組成が連続的に変化する、又は、連続的に変動性の組成のコポリマーを提供することを目的とする。
【0046】
好ましくは、本発明の方法は、多くの個々の単一組成コポリマーを有するコポリマー材料を製造するために実施され、前記範囲は、モノマーフィード条件及びモノマー比によって確立されたコポリマー組成における両極により表される。重合中のモノマーフィードの組成の変化は、特定の最終組成に向かって進行する最初の組成からの一様の増加又は減少に限定されるものではない。必要なことは、連続的に変動性の組成のコポリマーの製造を定義する要件の全てが満たされることである:
(1)単一組成コポリマーの組成は、コポリマー材料を定義する単一組成コポリマーの範囲の中でコポリマー材料の50%超を示し得ない、
(2)前記コポリマー材料は、単一組成コポリマーのモノマー成分又はモノマー種成分の内の少なくとも1種の間に少なくとも5%の差を有する個々の単一組成コポリマーを含有しなければならない、
(3)前記コポリマー材料は、少なくとも4種の異なる単一組成コポリマーを含有しなければならない、及び
(4)単一組成コポリマーは、組成の少なくとも1種のモノマー成分においてその最も近くの最も類似した組成と少なくとも1%異なる組成を有すると定義される。
【0047】
潤滑油添加剤、例えば流動点降下剤、増粘剤、粘度指数(VI)向上剤、分散剤は、本発明の方法を用いて製造され得る。
【0048】
VI向上剤及び/又は流動点降下剤として有用な好ましいポリマーは、少なくとも1種のエチレン性不飽和基を有するアルキルエステルから誘導される単位を含む。これらのポリマーは、当該技術分野で周知である。好ましいポリマーは、特に(メタ)アクリレート、マレエート及びフマレートを重合することにより得ることができる。(メタ)アクリレートという用語には、メタクリレート及びアクリレート並びにその2つの混合物が含まれる。これらのモノマーは、当該技術分野で周知である。アルキル残基は、直鎖状、環状又は分枝状であり得る。
【0049】
アルキルエステルから誘導された単位を含む好ましいコポリマーを得るための組成は、式(I)
【化1】

[式中、R1は、水素又はメチルであり、R2は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル残基を意味し、R3及びR4は、独立して水素又は式−COOR’(式中、R’は、水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)の基を表す]の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物のモノマー混合物の全質量に対して0〜100質量%、好ましくは0〜90質量%、とりわけ0〜80質量%、より好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%を含有する。この好ましい実施態様において、R3及びR4は、水素である。
【0050】
式(I)によるモノマーの例は、上述されている。
【0051】
更に、アルキルエステルから誘導される単位を含む好ましいコポリマーを得るためのモノマー組成物は、式(II)
【化2】

[式中、R1は、水素又はメチルであり、R5は、7〜40個、とりわけ10〜30個、好ましくは12〜24個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル残基を意味し、R6及びR7は、独立して水素又は式−COOR"(式中、R"は、水素又は7〜40個、とりわけ10〜30個、好ましくは12〜24個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)の基である]の1種以上のエチレン性不飽和エステル化合物のモノマー混合物の全質量に対して0〜100質量%、好ましくは10〜99質量%、とりわけ20〜95質量%、より好ましくは30〜85質量%を含有する。
【0052】
エチレン性不飽和のエステル化合物の中で、マレエート及びフマレートよりも(メタ)アクリレートが特に好ましく、即ち、式(I)及び(II)のR3、R4、R6、R7は、特に好ましい実施態様において水素を表す。
【0053】
本発明の特定の一態様において、式(II)のエチレン性不飽和エステル化合物の混合物を使用することが好ましく、前記混合物は、アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートと、アルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートとを有する。アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートの分画は、好ましくはポリマーの製造用モノマー組成物の質量に対して20〜95質量%の範囲である。アルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートの分画は、好ましくはアルキルエステルから誘導される単位を含むポリマーの製造用モノマー組成物の質量に対して0.5〜60質量%の範囲である。アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートとアルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートとの質量比は、好ましくは10:1〜1:10の範囲、より好ましくは5:1〜1.5:1の範囲である。
【0054】
式(II)によるモノマーの例は、上述されている。
【0055】
更に、前記混合物は、式(I)及び/又は(II)のエチレン性不飽和エステル化合物と共重合し得るエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。これらのモノマーの例は、上述されている。
【0056】
これらの場合において、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート、セチル−エイコシルメタクリレート及びセチル−ステアリルメタクリレートの内の2種以上から選択されるモノマー単位を有する単一組成コポリマーを含む連続的に変動性の組成のコポリマーが好ましい。好ましくは、潤滑油添加剤として使用される連続的に変動性の組成のコポリマーは、40〜90%A及び10〜60%B、好ましくは50〜70%A及び30〜50%Bの全体的平均組成を有し、ここでAは、イソデシルメタクリレート(IDMA)、ラウリル−ミリスチルメタクリレート(LMA)及びドデシル−ペンタデシルメタクリレート(DPMA)の内の1種以上から選択されるモノマー単位を表し、Bは、セチル−エイコシルメタクリレート(CEMA)及びセチル−ステアリルメタクリレート(SMA)の内の1種以上のから選択されるモノマー単位を表す。好ましくは、潤滑油添加剤として使用される連続的に変動性の組成のコポリマーにおける単一組成コポリマーのモノマー単位組成範囲は、モノマー単位成分の内の少なくとも1種(A又はB)について、5〜100%、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜50%、最も好ましくは30〜40%であり;例えば、A及びBのモノマー単位についての上記と同じ定義を用いて、連続的に変動性の組成のコポリマーは、10LMA/90SMAコポリマーから90LMA/10SMAコポリマーまで(80%の範囲)又は25LMA/75SMAコポリマーから75LMA/25SMAコポリマーまで(50%の範囲)又は30LMA/70SMAコポリマーから70LMA/30SMAコポリマーまで(40%の範囲)を含有することが可能であり、各々の連続的に変化し得る組成は、50LMA/50SMAの全体的平均組成を有する。モノマー単位組成範囲は、連続的に変動性の組成のコポリマーの全体的平均組成について対称である必要はない。
【0057】
この手法の好ましい適用は、より大きな量の低溶解性モノマー(例えばメチルメタクリレート)をポリマー添加剤に使用することを可能にすることによりVI及び低温性能の改善をもたらすVI向上剤添加剤の製造である。この手法の別の好ましい適用は、種々の石油基油に使用される場合に低温流動性の改善をもたらすポリマー流動点降下剤添加剤の製造である。一般に、低温とは、約−20℃(−4Fに対応する)未満の温度を指すものとし;約−25℃(−13Fに対応する)未満の温度の流動性が、流動点降下剤添加剤の使用において特に目的とされる。
【0058】
潤滑油添加剤を製造するために本発明の方法を用いる場合、重合中に用いられる典型的な最大[Ai−AT]又は[Bi−BT]絶対値は、5〜100%、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜50%であり、ここでAi、AT、Bi及びBTは、初期(Ai及びBi)及び重合後のいずれかの時点(AT及びBT)において反応器に添加される任意の2種のA及びBモノマーの瞬間的質量パーセントを表す。例えば、[Ai−AT]又は[Bi−BT]値が30〜40%である組成が変化し得る製造コポリマーに基づく流動点降下剤添加剤は、広範囲にわたる基油での使用が好ましい。
【0059】
単一組成ポリマー添加剤又は別々に製造された単一組成ポリマー添加剤の組み合わせと比較した場合、本発明の方法により製造されるコポリマーによって、異なる原料に由来する基油の処理におけるより広い適用性が得られる。幾つかの場合において、本発明の連続的に変動性の組成のコポリマーは、同等の単一組成ポリマー添加剤又はそれらの混合物の低温性能と等しいか又はそれを上回り;全ての場合において、連続的に変動性の組成のコポリマーによって、種々の基油における良好な性能を達成するために異なる単一組成ポリマーを別々に製造し、次いで化合することを必要とすることなく、異なる基油へのより幅広い適用性の利点が得られる。
【0060】
好ましくは、本発明の方法は、連続的に変動性の組成のコポリマーをセミバッチ法により製造するために用いられる。本明細書で用いられるように、セミバッチとは、重合反応器に反応物を添加し、前記反応の経過に亘ってその反応物の内の1種以上を添加することが可能であり、重合の完了後、仕上げ処理をされたコポリマーを最終生成物として除去する方法を指す。バッチ重合とは、反応物を全て最初に反応器に添加し、重合の完了後、仕上げ処理をされたポリマーを最終生成物として除去する方法を指す。本発明の実施において有用な反応器の種類の中では、例えば、パイプ(プラグフロー)型反応器、リサイクル−ループ型反応器、連続フィード撹拌槽(CFSTR)型反応器がある。
【0061】
本方法の好ましい一実施態様によれば、反応容器に第2のモノマー組成物を添加する間、反応混合物は激しく撹拌される。好ましくは、反応容器内の撹拌速度は、10〜1000rpm、より好ましくは50〜500rpmの範囲である。反応混合物の良好な混合を達成するための有用な装置は、当該技術分野で周知である。例えば、これらの装置としては、傾斜翼タービンが挙げられる。
【0062】
好ましくは、本発明の方法は、組み合わせたコフィード−ヒール方法として行うことが可能である。ヒール方法とは、反応物又は希釈剤の内の1種以上の一部が重合反応器中に存在し、次いで、後のある時点で、残留する反応物及び希釈剤を反応器に添加するものである。
【0063】
ヒールとコフィードとを組み合わせた方法とは、反応物又は希釈剤の内の1種以上の一部が重合反応器中に存在し、一定時間に亘り反応器内に1種以上の反応物又は希釈剤の残りを計量(個々のモノマーフィード速度の変化を含む)又はフィードするものである。
【0064】
本発明の方法によれば、第1のモノマー組成物により反応容器中で得られるモノマーは、該コポリマーを製造するために用いる全モノマーの少なくとも50質量%、好ましくは該コポリマーを製造するために用いる全モノマーの少なくとも60質量%、より好ましくは該コポリマーを製造するために用いる全モノマーの少なくとも70質量%を構成する。好ましくは、該第2のモノマー組成物に対する該第1のモノマー組成物の質量比は、20:1〜1:1、最も好ましくは12:1〜1:1の範囲内である。
【0065】
2種以上の異なるモノマーフィードは、第1のモノマー混合物を含む反応容器に添加することが可能である。しかしながら、更なるモノマーフィードにより、コポリマー組成及び重合方法を制御する作業がより多く必要になる。更に、かかる方法を実施し得るプラントを建設するためには、より大きな投資が必要となる。従って、前記反応系は、好ましくはちょうど1つのフィード容器を含み、そこから第2のモノマー組成物が反応容器に添加される。更に、該第1のモノマー組成物及び該第2のモノマー組成物のモノマーの合計は、該コポリマーを製造するために用いる全モノマーの好ましくは少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも95質量%を構成する。本発明の好ましい一態様によれば、反応容器に、ちょうど1種の第2のモノマー組成物が添加される。
【0066】
反応容器への添加の間、第2のモノマー組成物の添加速度は、一定の状態に保持されるか、低下又は増加されるかのいずれかが可能である。この好ましい実施態様において、反応容器への添加の間、第2のモノマー組成物の添加速度は、一定の状態に保持される。
【0067】
好ましい一実施態様によれば、反応容器への第2のモノマー組成物の添加速度は、反応容器中に存在するモノマー組成物の転化速度に応じて適合される。例えば、転化速度は、開始剤フィード及び/又は反応温度により制御され得る。好ましくは、添加速度は、ほとんど転化速度に対応する。例えば、添加速度と転化速度の比は、3:1〜1:3、好ましくは2:1〜1:2の範囲内であり得る。
【0068】
本発明の方法は、バルク重合又は溶液重合の手法によるコポリマーの製造に適用可能である。
【0069】
本発明の方法は、溶液重合によるポリマーの製造に特に適用可能である。好ましくは、本発明の方法は、重合開始剤、希釈剤及び場合により連鎖移動剤の存在下で選択モノマーを混合することにより溶液(溶媒)重合に適用される。
【0070】
より高い温度が用いられる場合には圧力下で重合を行うことができるが、一般に、重合の温度は、系の沸点まで、例えば約60〜150℃、好ましくは85〜130℃、より好ましくは110〜120℃が可能である。反応温度は、モノマーフィードの終了時、一定の状態に保持されるか、低下されるかのいずれかである。好ましい一実施態様によれば、反応温度は、第2のモノマー組成物の添加の完了後、0℃〜20℃、より好ましくは5℃〜15℃低下させることが可能である。重合(モノマーフィード及び保持時間を含む)は、一般に約4〜10時間、好ましくは2〜3時間、又は所望の重合度が達されるまで、例えば共重合性モノマーの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%がコポリマーに転化されるまで行われる。当業者により認識されているように、反応の時間及び温度は、開始剤及び標的分子量の選択に依存しており、従って変化し得る。
【0071】
本発明の方法を溶媒(非水性)重合のために用いる場合、使用に適切な開始剤は、ペルオキシ開始剤、ヒドロペルオキシ開始剤、アゾ開始剤等の周知のフリーラジカル生成化合物の内のいずれかであって、そのフリーラジカル生成化合物としては、例えば、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、カプロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、アゾビスイソブチロニトリル、tert−ブチルペルオクトエート(tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートとしても知られている)が挙げられる。開始剤の総量は、モノマーの全質量に対して、典型的には0.025〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、より好ましくは0.1〜0.4質量%、最も好ましくは0.2〜0.3質量%の間である。
【0072】
本発明の好ましい実施態様において、開始剤は、重合反応の過程に亘る別々のフィードとして添加される。その特定実施態様によれば、反応容器への開始剤の添加は、2つ以上のステップで実施することが可能である。好ましくは、開始剤の添加速度は、その後のステップと共に増加させることができる。第2のモノマー組成物の添加前に重合反応に添加される開始剤の量は、開始剤の総量に対して好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5%の範囲である。第2及びその後のモノマーの添加と共に添加される開始剤の量は、開始剤の総量に対して好ましくは20%〜99.8%の範囲である。より好ましくは、第2及びその後のモノマーの添加と共に添加される量は、20%〜50%の範囲である。
【0073】
第1及び/又は第2及びその後のステップにおいて、重合開始剤は、段階的に、好ましくは一定の適用速度で添加することが可能であり、それにより、第2及びその後のステップの平均適用速度は、第1又は以前のステップの平均適用速度より高い。第1のステップの平均適用速度に対する第2のステップの平均適用速度の比は、好ましくは1.2:1超、特に1.2:1〜10:1の範囲、特には1.5:1超、最も特には2:1超、とりわけ3:1である。
【0074】
開始剤の添加は、20%〜80%の範囲、より好ましくは40〜70%の範囲で添加される開始剤の量でモノマーフィードの完了後に継続される。或いは、開始剤は、フィードとして添加する代わりに、モノマーフィードの完了時に単一の添加として添加することが可能である。
【0075】
好ましい一実施態様によれば、開始剤は、第1のモノマー組成物を含有する反応容器が所望の反応温度に達する時に開始する別々の連続フィードの流れとして反応容器に添加され得る。
【0076】
重合開始剤の添加は、溶媒の有無にかかわらず行うことができる。溶液における重合開始剤の添加は好ましく、特に少なくとも1種の鉱油における3〜25質量%溶液の形態のものが好ましい。
【0077】
重合開始剤の残留量は、公知の方法において、又は、例えば分解速度、重合中の温度プロファイル、添加プロファイル等の公知の値に基づいて推定することが可能である。
【0078】
一定温度での一定速度による添加については、以下の方程式:
ss/IΣ=1/(KdΣ
[式中、比Iss/IΣは、第1のステップにおいて添加される重合開始剤の総量に対するまだ消費されていない重合開始剤の部分を指し、Kdは重合開始剤の分解定数であり、tΣは添加時間である]が近似的に成立する。
【0079】
この好ましい実施態様において、重合開始剤の添加は、3つのステップで行うことができるが、ここで第3のステップでは、第2のステップよりも多くの開始剤が添加され、第1のステップよりも多くの開始剤が第2のステップにおいて添加される。この好ましい実施態様において、第3の添加ステップは、第2のモノマー組成物の添加の終了時に開始される。
【0080】
或いは、開始剤の添加は、バッチ式で行うことができる。更に、開始剤の第1の添加は、重合条件を確立するために第1のモノマー組成物へのバッチ添加として行ってよい。短時間の後、例えば0〜15分後、好ましくは5〜10分後、第2のモノマー組成物は、反応容器に段階的に添加される。第2のモノマー組成物は、重合開始剤を含んでよく、従って、第2のステップにおける重合開始剤の添加は、第2のモノマー組成物の添加を含む。更に、重合開始剤の第2の添加は、第2のモノマー組成物の添加の間のバッチとして行うことが可能であった。例えば、開始剤の第2のステップの添加は、10質量%、好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%の第2のモノマー組成物を重合反応器に添加した後で行うことができる。上記のように、第3のステップにおいて更なる開始剤を添加してよい。第3のステップの添加は、段階的に、又は、バッチとして行うことができる。例えば、開始剤の第3のステップの添加は、70質量%、好ましくは90質量%、より好ましくは100質量%の第2のモノマー組成物を重合反応器に添加した後で行うことができる。
【0081】
本発明の好ましい一実施態様によれば、重合開始剤は、第2のモノマーフィードの添加の完了後、反応容器に添加され得る。好ましくは、開始剤の添加は、約120分間、より好ましくは第2のモノマーの添加が完了した後60分間、最も好ましくは第2のモノマーの添加が完了した後30分間の時間内で完了させ得る。第2のモノマー組成物の添加の終了後の開始剤の添加は、バッチとして、又は、連続的に行うことができる。
【0082】
開始剤に加えて、1種以上の促進剤を使用してもよい。適切な促進剤としては、例えば、ベンジル(水素化牛脂)−ジメチルアンモニウムクロリドやアミン等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。好ましくは、促進剤は炭化水素に可溶である。これらの促進剤は、使用の際、開始剤の全質量に対して約1%〜50%、好ましくは約5%〜25%の濃度で存在する。
【0083】
ポリマーの分子量を制御するために、重合反応に連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい連鎖移動剤は、ラウリルメルカプタン(ドデシルメルカプタン(DDM)としても知られている)等のアルキルメルカプタンであり、使用する連鎖移動剤の濃度は、0〜約2質量%、好ましくは0〜1質量%である。
【0084】
連鎖移動剤は、使用される際、重合反応中及び/又は重合反応の開始前に添加され得る。好ましくは、第1のモノマー組成物は、少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%の連鎖移動剤を含み、及び/又は、第2のモノマー組成物は、少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%の連鎖移動剤を含む。好ましい一実施態様によれば、第1のモノマー組成物及び第2は、少なくとも1種の連鎖移動剤を含む。
【0085】
前記重合を、水以外の溶媒を使用する溶液重合として行う場合、前記反応は、全反応混合物に対して最高約100質量%(形成されるポリマーがそれ自身の溶媒としての役割を果たす場合)、最高約70質量%、好ましくは80〜95質量%の重合性モノマーで行うことができる。前記溶媒は、使用される場合、ヒールチャージとして反応容器に導入され得るか、又は、別々のフィード流としてか、反応器内にフィードされる他の成分の内の1種のための希釈剤としてかのいずれかとして反応器内にフィードされ得る。
【0086】
希釈剤は、モノマー混合物に添加され得るか、又は、モノマーフィードと共に反応器に添加され得る。希釈剤は、好ましくは非反応性の重合用溶媒ヒールを提供するために使用してもよい。好ましくは、希釈剤として選択される材料は、副反応(例えば連鎖移動)をできる限り小さく抑えるために、重合において開始剤又は中間体に対して実質的に非反応性であるべきである。希釈剤は、溶媒としての役割を果たし、さもなければ使用されるモノマー及び重合成分と相溶性である任意のポリマー材料であってもよい。
【0087】
前記希釈剤の中で、芳香族炭火水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、芳香族ナフサ)、塩素化炭化水素(例えばエチレンジクロリド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、エステル(例えばエチルプロピオネートやブチルアセテート)、(C6〜C20)脂肪族炭化水素(例えばシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン)、石油基油(例えばパラフィン油やナフテン油)又は合成基油(例えばオレフィンコポリマー(OCP)潤滑油、例えばポリ(エチレン−プロピレン)やポリ(イソブチレン))が、非水溶液重合のための本発明の方法の使用に適している。濃縮物を直接潤滑基油に混入する場合、より好ましい希釈剤は、最終潤滑基油と相溶性の任意の鉱油(例えば100〜150中性油(100N又は150N油))である。
【0088】
潤滑油添加剤ポリマーの製造において、重合の後に得られるポリマー溶液は、一般に、約50〜95質量%のポリマー含有量を有する。ポリマーが、潤滑油配合物中で直接単離されて使用され得るか、又は、ポリマー−希釈剤溶液が濃縮物形態で使用され得る。濃縮物形態で使用する場合、ポリマー濃度は、更なる希釈剤により望ましい任意の濃度に調整され得る。濃縮物におけるポリマーの好ましい濃度は、30〜70質量%である。本発明の方法により製造されたポリマーを基油流体に添加する場合、純粋なポリマーとして添加するにせよ、濃縮物として添加するにせよ、配合流体におけるポリマーの最終濃度は、特定の用途要件に応じて典型的には0.05〜20%、好ましくは0.2〜15%、好ましくは2〜10%である。例えば、連続的に変動性の組成のコポリマーが例えば流動点降下剤として潤滑油において低温流動性を維持するために使用される場合、配合流体における連続的に変動性の組成のコポリマーの最終濃度は、典型的には0.05〜3%、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.1〜1%であり;連続的に変動性の組成のコポリマーが潤滑油においてVI向上剤として使用される場合、配合流体における最終濃度は、典型的には1〜6%、好ましくは2〜5%であり;連続的に変動性の組成のコポリマーが作動油添加剤として使用される場合、配合流体における最終濃度は、典型的には5〜15%、好ましくは3〜10%である。
【0089】
連続的に変動性の組成のコポリマーは、潤滑油に可溶である。潤滑油は、当該技術分野で周知である。通常、これらの油は、石油基油(例えばパラフィン油やナフテン油)又は上記した通りの合成基油を含む。また、潤滑油は、作動油としても使用される。本明細書で用いられるように、「可溶」という用語は、上記した通りの有効量の本コポリマーの添加後、ある流体相が潤滑油により形成されることを意味する。
【0090】
潤滑油添加剤として有用なコポリマーの質量平均分子量は、10,000〜1,000,000であってよい。ポリマーの質量平均分子量が増加するにつれて、ポリマーは、より効率的な増粘剤になるが、ポリマーは、特定用途において機械的劣化を受ける可能性があり、この理由のために、約500,000超のMwを有するポリマー添加剤は、より高い使用温度で(例えば100℃で)増粘剤としての有効性の低下をもたらす分子量の低下による「低粘稠化」を受ける傾向があるので、適切でない。従って、所望のMwは、増粘効率、費用、用途の種類により最終的に左右される。一般に、本発明のポリマー流動点降下剤添加剤は、約30,000〜約700,000のMw(ポリ(アルキルメタクリレート)標準物質を用いたゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により決定される)を有し;好ましくは、Mwは、流動点降下剤としての特定の使用を満たすために60,000〜350,000の範囲である。70,000〜300,000の質量平均分子量が好ましい。
【0091】
本発明の方法により製造されるポリマーの多分散性指数は、1〜約15、好ましくは1.5〜約4であってよい。多分散性指数(Mw/Mn(GPCで測定される通り)、ここでMnは、数平均分子量である)は、分子量分布の狭さの測定値であり、より高い値は、いっそうより幅広い分布を表す。クランクケース及び作動油の用途においてVI向上剤として使用されるポリマーには、分子量分布ができるだけ狭いことが好ましいが、これは、一般に製造方法により限定される。狭い分子量分布(低Mw/Mn)を提供する幾つかのアプローチとしては、例えば、以下の方法:連続フィード撹拌槽型反応器(CFSTR);低転化率重合;重合中の温度又は開始剤/モノマー比の制御(例えば、一定の重合度を達成するためのEP561078に開示されているもの);及びポリマーの機械的剪断(例えば均質化)の内の1種以上が挙げられる。
【0092】
本明細書の全体に亘って記載される分子量が、分子量を決定する方法に関連するということは、当業者には理解されるであろう。例えば、GPCによって決定される分子量と、他の方法によって算出される分子量とは、異なる値を有する可能性がある。分子量それ自体ではなく、ポリマー添加剤の取り扱い適性及び性能(使用条件下での剪断安定性及び増粘性能)が重要である。一般に、剪断安定性は分子量に反比例する。良好な剪断安定性(低SSI値、下記参照)を有するVI向上添加剤は、高温で処理流体において同じ標的増粘効果を得るために低下した剪断安定性(高SSI値)を有する別の添加剤に対してより高い初期濃度で典型的に使用されるが、良好な剪断安定性を有する添加剤は、より高い使用濃度のため、低温で容認できない増粘を生じる可能性がある。
【0093】
故に、異なる流体を処理するために使用される流動点降下剤及びVI向上添加剤のポリマー組成、分子量、剪断安定性は、高温性能要件及び低温性能要件の両方を満たすために、特性のバランスを達成するように選択されなければならない。
【0094】
剪断安定性指数(SSI)は、ポリマー分子量と直接相関する可能性があり、機械的剪断によるポリマー添加剤が寄与する粘性の低下率の目安となり、例えばASTM D−2603−91(米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)により公開)に従って所与の時間量について音波剪断安定性を測定することにより決定され得る。潤滑油の最終用途に応じて、粘性は、SSI値を決定するために特定の時間剪断した前後で測定される。一般に、より高分子量のポリマーは、高剪断条件に供される場合に分子量の最も大きな相対的低下を受けるため、これらのより高分子量のポリマーもまた、最大のSSI値を示す。故に、ポリマーの剪断安定性を比較する場合、良好な剪断安定性は、低SSI値と関連しており、剪断安定性の低下は、より高いSSI値と関連する。
【0095】
本発明の方法により製造される潤滑油添加剤(例えば:VI向上剤、増粘剤、流動点降下剤、分散剤)として有用なアルキル(メタ)アクリレートポリマーについてのSSI範囲は、約0〜約60%、好ましくは1〜40%、より好ましくは5〜30%であり、最終用途に応じて変化し、SSIについての値は、その値がパーセンテージであるにもかかわらず、通常は整数として表現される。ポリマーのための所望のSSIは、合成反応条件を変化させるか、公知の分子量生成物ポリマーを所望の値に機械的に剪断するかのいずれかにより達成され得る。
【0096】
異なるMwの従来の潤滑油添加剤について観察される剪断安定性の種類の代表的なものは、以下の通りである:それぞれ130,000、490,000及び880,000のMwを有する従来のポリ(メタクリレート)添加剤は、エンジンオイル配合物についての2000マイル道路剪断試験に基づいて、それぞれ、0、5及び20%のSSI値(210F)を有し;自動変速機油(ATF)配合物についての20,000マイル高速道路試験に基づいて、SSI値(210F)は、それぞれ0、35及び50%であり、作動油についての100時間ASTM D−2882−90ポンプ試験に基づいて、SSI値(100F)は、それぞれ18、68及び76%であった(Effect of Viscosity Index Improver on In−Service Viscosity of Hydraulic Fluids,R.J.Kopko and R.L.Stambaugh,Fuel and Lubricants Meeting,Houston,Tex.,Jun.3−5,1975,Society of Automotive Engineers)。
【0097】
ミニロータリー粘度計(MRV)で測定される通りの油の低温ポンパビリティーは、エンジン起動時の低剪断条件下での粘性に関連する。MRV試験はポンパビリティーの測定であることから、エンジン油は、適切な潤滑を提供するためにエンジン起動後に全てのエンジン部品にエンジン油がポンピングされ得るように、十分な流体でなければならない。ASTM D−4684−89は、−10〜−30℃の温度範囲における粘度測定を扱っており、TP−1MRV試験について記載している。SAE J300 Engine Oil Viscosity Classification(1995年12月)により、ASTM D−4684−89試験手順を用いてSAE5W−30油について−30℃で最高30パスカル*秒(pa*sec)又は300ポアズが可能になる。TP−1MRV試験で測定される低温性能の別の一態様は、降伏応力(パスカルで記録される)であり、35パスカル(機器の検出限界)未満のいずれの値も「0」降伏応力として記録されるが、降伏応力についての目標値は「0」パスカルである。35パスカルより大きい降伏応力値は、より望ましくない性能が増加する程度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、瞬間的なコポリマー組成を示すグラフである。
【図2】図2は、瞬間的なコポリマー組成に対するモノマーフィード時間の効果を示すグラフである。
【0099】
以下、本発明について、実施例及び比較例により更に詳細に示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
実施例1
465部のLMA、438部のSMA及び3.3部のDDMを配合することにより反応混合物を製造する。反応混合物を120℃に加熱し、3.8部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と19.3部の100N重合油とのフリーラジカル反応開始剤溶液を165分に亘り添加する。10%のこのフリーラジカル反応開始剤溶液を第1の時間添加し、その後20%を第2の時間添加し、残部を最後の0.75時間添加する。70部のLMAと0.26部のDDMとから成るモノマー添加混合物を1.92時間に亘り一定速度で添加するが、その添加は、開始剤溶液の添加の開始5分後に開始する。モノマー混合物の添加終了時、反応温度を105℃に低下させる。開始剤添加の完了後、反応混合物を1時間保持し、次いで1467.5部の100N油で希釈する。形成した材料の組成は、約52%のLMA及び48%のSMAで開始し、約59%のLMA及び41%のSMAで終了する。希釈ステップ前の生成物は、94.1%のポリマー固形分を含有し、ポリマーへのモノマーの転化率は99.0%を示した。製造したポリマーは、平均分子量が約124,000、多分散度が約3.35である。
【0101】
得られた連続的に変動性の組成のコポリマーを、異なる基油を使用することにより評価する。達成された結果を第1表に示す。
【0102】
比較例1
535部のLMAと4.22部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と0.95部のn−DDMとを配合することによりモノマー混合物「A」を製造する。438部のSMAと3.38部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と0.76部のn−DDMとを配合することによりモノマー混合物「B」を製造する。143.4部の100N重合油と0.95部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)とを反応容器に添加し、120℃に加熱する。52%のLMAの開始モノマー比及び59%のLMAの終了モノマー比を提供するように設計された速度で90分に亘りモノマー混合物「A」及びモノマー混合物「B」を反応器にフィードする。モノマーフィードの終了時、温度を110℃に低下させ、2.91部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)を、30分に亘り一定速度でフィードする。反応混合物を、開始剤添加の完了後30分間保持し、次いで1336部の100N油で希釈する。
【0103】
得られた連続的に変動性の組成のコポリマーを、異なる基油を使用することにより評価する。達成された結果を第1表及び第2表に示す。
【0104】
第1表:適用結果
【表1】

【0105】
実施例2
530部のLMA、582部のCEMA及び4.1部のn−DDMを配合することにより反応混合物を製造する。反応混合物を120℃に加熱し、5.2部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と30.3部の100N重合油とのフリーラジカル反応開始剤溶液を100分に亘り添加する。このフリーラジカル反応開始剤溶液の15%を最初の30分間添加し、その後25%を次の40分間添加し、残部を最後の30分間添加する。216部のLMAと0.8部のn−DDMとから成るモノマー添加混合物を65分に亘り一定速度で添加するが、その添加は、開始剤溶液の添加の開始5分後に開始する。モノマー混合物の添加終了時、反応温度を105℃に低下させる。開始剤添加の完了後、反応混合物を1時間保持し、次いで2006.2部の100N油で希釈する。形成した材料の組成は、約48%のLMA及び52%のCEMAで開始し、約65%のLMA及び15%のCEMAで終了する。希釈ステップ前の生成物は、94.6%のポリマー固形分を含有し、ポリマーへのモノマーの転化率は99.6%を示した。製造したポリマーは、平均分子量が約133,000、多分散度が約3.0である。
【0106】
実施例3
544.8部のLMA、230.3部のMMA、107.3部の100N重合油及び5.14部のn−DDMを配合することにより反応混合物を製造する。反応混合物を110℃に加熱し、4.6部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と69部の100N重合油とのフリーラジカル反応開始剤溶液を165分に亘り添加する。このフリーラジカル反応開始剤溶液の10%を第1の時間添加し、その後20%を第2の時間添加し、残部を最後の45分間添加する。389.2部のLMAと2.6部のn−DDMとから成るモノマー添加混合物を115分に亘り一定速度で添加するが、その添加は、開始剤溶液の添加の開始5分後に開始する。モノマー混合物の添加終了時、反応温度を100℃に低下させる。開始剤添加の完了後、反応混合物を30分間保持し、次いで245.6部の100N油で希釈する。形成した材料の組成は、約70%のLMA及び30%のMMAで開始し、約90%のLMA及び10%のMMAで終了する。ポリマーへのモノマーの転化率は99.6%が達成された。
【0107】
実施例4
522部のLMA、410部のSMA及び3.4部のDDMを配合することにより反応混合物を製造する。反応混合物を120℃に加熱し、5.20部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と27.61部の100N重合油とのフリーラジカル反応開始剤溶液を120分に亘り添加する。このフリーラジカル反応開始剤溶液の15%を第1の時間添加し、その後25%を次の半時間添加し、残部を最後の半時間添加する。270部のLMAと129部のSMAと1.46部のDDMとから成るモノマー添加混合物を1.5時間に亘り一定速度で添加するが、その添加は、開始剤溶液の添加の開始時に開始する。モノマー混合物の添加終了時、反応温度を105℃に低下させる。開始剤添加の完了後、反応混合物を1時間保持し、次いで2052.6部の100N油で希釈する。形成した材料の組成は、約56.5%のLMA及び43.5%のSMAで開始し、約63.5%のLMA及び36.5%のSMAで終了する。希釈ステップ前の生成物は、94.1%のポリマー固形分を含有し、ポリマーへのモノマーの転化率は99.0%を示した。製造したポリマーは、平均分子量が約101,000、多分散度が約2.27である。
【0108】
得られた連続的に変動性の組成のコポリマーを、異なる基油を使用することにより評価する。達成された結果を第2表に示す。
【0109】
第2表:適用結果
【表2】

【0110】
実施例5
447部のLMA、352部のSMA及び2.9部のDDMを配合することにより反応混合物を製造する。反応混合物を120℃に加熱する。344.5部のLMAと187部のSMAと1.95部のDDMと5.2部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)とから成るモノマー添加混合物を1.5時間に亘り一定速度で添加する。モノマー混合物の添加終了時、反応温度を105℃に低下させ、2.6部のt−ブチルペルオクトエート(無臭のミネラルスピリットにおいて50%)と25部の100N重合油とから成る開始剤溶液を30分に亘り一定速度でフィードする。開始剤添加の完了後、反応混合物を1時間保持し、次いで2052.6部の100N油で希釈する。形成した材料の組成は、約56.5%のLMA及び43.5%のSMAで開始し、約63.5%のLMA及び36.5%のSMAで終了する。製造したポリマーは、平均分子量が約105,000、多分散度が約2.35である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に変動性の組成のコポリマーを製造するための方法であって、
(a)第1のモノマー組成物を含む反応容器を提供する段階と;
(b)第2のモノマー組成物を含むフィード容器を提供する段階と;
(c)該反応容器内の重合反応を開始する段階と;
(d)該フィード容器から該反応容器への該第2のモノマー組成物の段階的添加を行う間に重合反応を継続する段階であって、第2のモノマー組成物の段階的添加を行って連続的に変動性の組成のコポリマーを得る段階と;
(e)全モノマー組成物の少なくとも90%がコポリマーに転化されるまで該重合を維持する段階と、を含み;
該コポリマーが10,000〜1,000,000の質量平均分子量を有し;該コポリマーが潤滑油に可溶であり、該第1のモノマー組成により反応容器内に提供されたモノマーが、該コポリマーを製造するために使用された全モノマーの少なくとも50質量%を構成することを特徴とする方法。
【請求項2】
重合反応温度が85〜130℃の範囲で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応システムがちょうど1つのモノマーフィード容器を含み、それから第2のモノマー組成物が反応容器に添加される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ちょうど1種の第2のモノマー組成が反応容器に添加される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該第1のモノマー組成と該第2のモノマー組成との質量比が20:1〜1:1の範囲内である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該第1のモノマー組成と該第2のモノマー組成とのモノマーの合計が、該コポリマーを製造するために使用される全モノマーの少なくとも80質量%を構成する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応容器への開始剤の添加が、2つ以上のステップで行われる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1のモノマー組成物を含有する反応容器が所望の反応温度に達する際に開始する別々の連続的なフィードの流れとして開始剤が反応容器に添加される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
開始剤のフィード速度が、重合反応の過程に亘る慎重なステップにおいて増加する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
開始剤の一部が第2のモノマー組成物に含まれる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
開始剤の総量が、コポリマーを製造するために使用されるモノマーの総量に対して0.05〜0.5質量%の範囲にある、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第2のモノマー組成物の添加前に重合反応に添加される開始剤の量が、開始剤の総量に対して0.2〜10質量%の範囲である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第2のモノマー組成物の添加速度が、反応容器への添加の間一定である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第2のモノマー組成物の添加速度を、反応容器への添加の間増加又は減少させる、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第2のモノマー組成物の添加の完了後、反応温度を0℃〜20℃だけ低下させる、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
反応容器中の撹拌速度が、50〜500rpmの範囲である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
反応容器が、1つ以上の傾斜翼タービンを使用することにより撹拌される、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
第1のモノマー組成物が、少なくとも2種のモノマーを含む、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
該反応容器中の重合反応の開始が、フリーラジカル反応開始剤の添加により達成される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
第1のモノマー組成物の少なくとも1種のモノマー成分の濃度が、第2のモノマー組成物における同じモノマー成分の濃度とは少なくとも5%だけ異なる、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
製造されたコポリマーの最初の組成が、第1のモノマー組成と同等であり、50%以下の又は全体のコポリマー組成を含む、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
製造されたコポリマーの瞬間的組成が、重合反応におけるその瞬間に存在する未反応のモノマーの組成と同等である、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
平均コポリマー組成が、方程式:Xavg=Σ(Xn*n)/ΣWn[式中、Xnは、各モノマー組成における各個別のモノマーの質量パーセントであり、Wnは、そのモノマー組成におけるモノマーの全質量である]により定義され得る、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
コポリマー組成の範囲が生じ、該コポリマーが、少なくとも1種のモノマー成分において少なくとも1%、その最も近くの最も類似したコポリマーと異なるものとして定義され得る、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
各個別のコポリマー組成の質量パーセントが、50%以下の又は全体のコポリマー組成を含む、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
各個別のコポリマー組成の質量パーセントが、20%以下の又は全体のコポリマー組成を含む、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
製造されたコポリマー組成の範囲が:
avg+[Xavg−X1]〜Xavg−[Xavg−X1
[式中、[Xavg−X1]は、モノマーXについての開始組成と平均組成との間の差の絶対値である]の間の範囲として推定され得る、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
該第1のモノマー組成物及び/又は該第2のモノマー組成物が、溶媒を含む、請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
溶媒が、石油基油又は合成油である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
該第1のモノマー組成物及び該第2のモノマー組成物が、連鎖移動剤を含む、請求項1から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
該第1のモノマー組成物が、少なくとも0.05質量%の連鎖移動剤を含む、請求項1から30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該第2のモノマー組成物が、少なくとも0.05質量%の連鎖移動剤を含む、請求項1から31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
反応容器への第2のモノマー組成物の添加速度が、反応容器中に存在するモノマー組成物の転化速度に従って適合される、請求項1から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
転化速度が、開始剤フィードにより制御される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
転化速度が、反応温度により制御される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
第1及び第2のモノマー組成物中に存在するモノマーが、ビニル芳香族モノマー、窒素含有環式化合物モノマー、α−オレフィン、ビニルアルコールエステル、ビニルハライド、ビニルニトライト、(メタ)アクリル酸誘導体、マレイン酸誘導体及びフマル酸誘導体の内の1種以上から選択される、請求項1から35までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
(メタ)アクリル酸誘導体が、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート、セチル−エイコシルメタクリレート及びセチル−ステアリルメタクリレートの内の1種以上から選択される、請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−532807(P2010−532807A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515435(P2010−515435)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055727
【国際公開番号】WO2009/007155
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】