説明

連続的エステル交換方法

本発明の対象は、エステルを連続的に製造する方法であり、この方法では、少なくとも1種の式(I)のポリオールエステル:(R−COO)[式中、Rは、水素または1〜50個の炭素原子を有する置換されていてもよい炭化水素基を表し、Rは、2〜10個の炭素原子を有する置換されていてもよい炭化水素基を表し、mは、2〜10の数を表し、R中の炭素原子の数以下である]を、少なくとも1種の式(II)の一価アルコール:R−OH[式中、Rは、1〜30個のC原子を有する置換されていてもよい炭化水素基を表す]と、マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させて、少なくとも1種の式(III)のエステル:R−COO−R[式中、RおよびRは、上記の意味を有する]にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的規模で、マイクロ波の照射下で多価アルコールの脂肪酸エステルをエステル交換することによって、脂肪酸エステルを製造するための連続的な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機酸のエステルは、例えば化学的原料として、例えば、非イオン性の生分解性界面活性剤を製造するために、または再生可能燃料(バイオディーゼル)としても多様に使用される工業的に重要な物質群である。エステルを製造するための慣用の方法は、あるエステルを、酸基に結合しているアルコール基の交換によって、別のエステルに変換するエステル交換反応である。
【0003】
最近では、トリグリセリドから脂肪酸メチルエステルを製造する方法およびバイオディーゼルとしてのその使用が、特に関心を集めている。一方では環境の維持という関心事と、他方では長期的で安全かつ持続的なエネルギー供給に対する要求とによって、その種のエネルギー担体に対する要求は著しく高まっている。それに加えて、世界的には、一定して大量の廃棄脂質が、例えば(ファストフードの)レストランおよび食料品工業で生じている。これらの使用済み脂質をバイオディーゼルに変換した後には、これらを燃料として使用することができ、そのことによって、使用済み脂質に関する廃棄経費が削減される。しかし、他の油脂も同様に、バイオディーゼルに変換することができる。
【0004】
油脂をバイオディーゼルに変換する際には通常、主にはトリグリセリドからなる油脂のグリセリンを一価の、好ましくは例えばメタノールまたはエタノールなどの低級アルコールに変換するエステル交換を行う。エステル交換は、通常は反応成分を混合することによって既に起きる平衡反応である。しかし、反応はゆっくりと進行するので、商業的な目的のためには、反応を促進するために長時間の加熱および触媒の添加が必要である。比較的最近の出版物には、高温および/または高圧下で操作する方法が多く開示されている。エステル交換の際に遊離されるグリセリンは、相分離によって除去され、過剰のアルコールは、留去の後に再循環される。最後に、得られたエステルを例えば、水での洗浄、真空乾燥および/または濾過によって後処理する。慣用的に使用されるアルカリアルコキシドでのアルカリ触媒作用は、可能な限り十分に水不含であるように留意すべきである。それというのも、水は、エステル加水分解を、したがって、それに伴って、触媒との石けん形成をもたらすためである。また、使用されるトリグリセリドは、非常に僅かな含有率の遊離脂肪酸しか有してはならない。それというのも、さもないと生じる石けんがその後に、グリセリンの分離を、さらにはさらなる精製ステップも困難にするためである。
【0005】
特許文献1は、ほぼ臨界または超臨界条件下、耐圧容器中で脂肪酸アルキルエステルを製造する方法を開示している。その場合、反応混合物の加熱を容器の壁を介して行う。
【0006】
特許文献2は、反応管中、260〜420℃、高圧下、好ましくはメタノールが超臨界状態になるような90バール超、固定化触媒の存在下で、トリグリセリドを連続的にエステル交換する方法を開示している。ほぼ定量の変換率を達成するためには、少なくとも10分の反応管中での滞留時間が必要である。
【0007】
工業的に重要な規模へスケールアップするために、特許文献2に記載されているような方法では、種々の可能性が存在する。一方では、反応管における流速を高めることができるが、このことは、急速な加熱速度を達成するために、高いジャケット温度を必要とする。それに加えて、この場合には、反応温度で高い変換率を達成するために必要な反応物の滞留時間は通常、反応管の延長も必要とする。他方では、一定の流速で、反応管の直径を広げることができるが、このことも同様に、必要な反応温度を保証するためには、ジャケット温度の上昇を必要とする。管の壁が高温であると、いずれの場合にも、これらの加熱面における局所的な過熱によって多くの場合に、脂肪酸の脱カルボキシル化などの分解反応、ポリオールの脱水および/または特にトリグリセリドの不飽和成分の制御外の重合が生じ、したがって、収率が低くなる。これに対して、穏やかなジャケット温度は、目的温度を達成するために反応管中での長い滞留時間を、したがって、低い流速および/または対応する長い管を必要とする。そのようにゆっくりと加熱している間に、多くの反応では、同様に望ましくない副反応が観察される。それに加えて、いずれの場合にも、反応体積が著しく大きくなるが、このことは、そのような方法を実施する場合に、大がかりな安全上の対策を必要とする。
【0008】
トリグリセリドをエステル交換するためのより新しいアプローチは、反応を促進することができるマイクロ波によって支援されるトリグリセリドとメタノールなどの低級アルコールとの反応である。
【0009】
Mazzocchiaら(C.R.Chemie、2004、7、601〜605頁)(非特許文献1)は、ゼオライトによる不均一系触媒作用下、メタノールでのトリグリセリドのマイクロ波支援エステル交換を開示している。その場合、密閉容器中、170℃および2時間の照射でも、中程度の変換率しか達成されない。
【0010】
Saifuddinら(Malaysian J. Chem. 2004、Vol. 6、77〜82頁)(非特許文献2)は、エタノールでトリグリセリドをエステル交換することによって脂肪酸エチルエステルを製造する方法を開示している。この場合、マイクロ波照射によって、純粋に熱による反応に対して、エステル交換の明らかな促進が達成され、その場合、平衡位置に対する影響は見いだされなかった。過熱による分解を回避するために、反応温度は60℃までに限られた。
【0011】
Leadbeaterら(Energy & Fuels、2006、Vol. 20、2281〜2283頁)(非特許文献3)は、マイクロ波照射およびKOHによる触媒作用下で脂肪酸メチルエステルを製造する実験を開示しており、その際、5lまでの大きな体積の不連続エステル交換を、マルチモードマイクロ波アプリケータ中、大気圧で還流下で実施する。
【0012】
特許文献3は、触媒の存在下および/またはマイクロ波エネルギーの影響下で、トリグリセリドをアルコールでエステル交換するプロセスを開示している。その場合、特定の一実施形態では、先に投入したものの中に存在する反応物を連続的にポンプ循環させ、マイクロ波アプリケータ中に存在する撹拌容器によって実施する。マイクロ波アプリケータに複数回通過させると、高いエステル交換レベルが達成される。
【0013】
しかしながら、実験室規模から工業的規模へのこのようなマイクロ波支援エステル交換のスケールアップ、およびそれに伴う、工業的に大規模に適用するのに有意な空時収率で1年当たり数トン、例えば、数十トン、数百トンまたは数千トンを生産するのに適したプラントの開発は、今日まで実現できていない。その理由は一つには、通常は数ミリメートルから数センチメートルに限られる反応物へのマイクロ波の侵入深さであり、このためとりわけバッチ法で実施される反応は小さな容器に限定されるか、または撹拌反応器では、反応時間が非常に長くなる。大量の物質にマイクロ波を照射するのに望ましい場の強度の増大は、とりわけ化学反応のスケールアップのために従来は好まれて使用されていたマルチモード装置では、放電プロセスの発生(プラズマ形成)によって、狭い範囲に制限される。さらに、マイクロ波炉に入射されたマイクロ波のその壁面および反応混合物での多かれ少なかれ制御されない反射によって引き起こされ、このマルチモードマイクロ波装置中で反応物の局所的な過熱をもたらすマイクロ波フィールドの不均一性が、規模の拡大の際に問題となる。加えてここで、反応中にしばしば変化する反応混合物のマイクロ波吸収係数が、信頼できる再現可能な反応の実施に関して困難をもたらす。
【0014】
Brecciaら(J. Microwave Power Elecromag. Energy 1999、34、3〜8頁)(非特許文献4)は、種々の触媒の存在下、マイクロ波照射下で、連続的に植物油をエステル交換することを開示している。この場合、反応混合物を、マルチモードマイクロ波炉に取り付けられているガラススパイラルに通すが、その際、反応混合物は、2分のマイクロ波フィールド中での滞留時間で、溶媒の沸騰温度に達する。
【0015】
特許文献4は、マイクロ波照射下でトリグリセリドおよびメタノールから脂肪酸メチルエステルを製造する方法ならびにその方法を連続的に実施するための装置を開示しており、その方法では、エステル交換を、長さ約120cmの撹拌される鋼製シリンダー中で行うが、その際、マイクロ波放射線は、多数のマグネトロンおよび導波管によって反応容器に結合される。
【0016】
特許文献5は、連続実験室用マイクロ波反応器内で例えばエステル交換のような種々の化学反応を連続的に実施する方法を開示している。しかし、マルチモードで駆動されるマイクロ波は、工業的大規模領域へのスケールアップを可能にするものではない。マルチモードマイクロ波アプリケータではマイクロ波エネルギーがアプリケータ室に多かれ少なかれ均一に分布し、管コイルに収束されないため、反応物のマイクロ波吸収に関してこの効率は低い。入射されるマイクロ波出力を著しく高めると、望ましくないプラズマ放電、またはいわゆる熱暴走作用が生じ得る。さらに、ホットスポットとも称される、経時的に変化するマイクロ波場の空間的な不均一性によって、信頼でき再現可能な反応の実施は大規模では不可能である。
【0017】
Leadbeaterら(Energy & Fuels、2007、21、(3)、1777〜1781頁)(非特許文献5)は、マルチモードマイクロ波アプリケータ内に取り付けられていて、4lまでの体積を有する連続運転撹拌容器中、大気圧下、7.2l/分までの流速で、メタノールでトリグリセリドをエステル交換することを開示している。その場合、従来の加熱エステル交換と比較して少ないエネルギー要求量が報告されている。しかし、そうして製造されたメチルエステルは、反応容器中でグリセリンが富化するのを防ぐために必要な撹拌およびそれに関連した、反応容器中での反応物の逆混合により、バイオディーゼルに関してDIN EN 14214において規定された限界値をかなり超えている未だ比較的多い量のジ−およびトリグリセリドを保持する。対応して、これらは、バイオディーゼルとして市販することはできない。それに加えて、この方法は、大きな反応体積によって、安全性に関して問題があり、加えて、反応物への限られたマイクロ波侵入深さおよびモノモードマイクロ波炉への限られたエネルギー投入によって、任意に拡大することができない。
【0018】
さらに、ただ一つの空間方向にのみ伝播し、正確な寸法の導波管(Wellenleiter)によって反応容器上に集束される、単一の波動モードで駆動されるモノモードまたは単一モードのマイクロ波アプリケータが公知である。この装置によって確かにより高い局所的な場の強さが可能であるが、従来は、幾何的要件(例えば電場の強さはその波頂で最大であり、節点(Knotenpunkten)ではほぼ0になる)によって、実験室規模の小さな反応体積(≦50ml)に限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2009/002880号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1884559号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0274065号
【特許文献4】国際公開第03/014272号
【特許文献5】国際公開第90/03840号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Mazzocchiaら(C.R.Chemie、2004、7、601〜605頁)
【非特許文献2】Saifuddinら(Malaysian J. Chem. 2004、Vol. 6、77〜82頁)
【非特許文献3】Leadbeaterら(Energy & Fuels、2006、Vol. 20、2281〜2283頁)
【非特許文献4】Brecciaら(J. Microwave Power Elecromag. Energy 1999、34、3〜8頁)
【非特許文献5】Leadbeaterら(Energy & Fuels、2007、21、(3)、1777〜1781頁)
【非特許文献6】K. Lange、K.H. Loecherer、「Taschenbuch der Hochfrequenztechnik」、第2巻、K21頁から
【非特許文献7】D. Bogdal、Microwave-assisted Organic Synthesis、Elsevier 2005
【非特許文献8】「Microwave Synthesis」、B. L. Hayes著、CEM Publishing 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、工業的規模でもマイクロ波照射下でカルボン酸ポリオールエステルを一価アルコールと反応させて、カルボン酸および一価アルコールからなるエステルにすることができる、エステルをエステル交換する方法が探し求められていた。その際、可能な限り短い反応時間で、可能な限り高い、即ち、定量までの転化率が達成されるべきである。さらにその方法は、可能な限りエネルギーを節約してカルボン酸および一価アルコールからエステルを製造することを可能にすべきであり、即ち、使用されるマイクロ波出力は可能な限り定量的に反応物に吸収されるべきであり、したがってその方法は、高いエネルギー効率を示すべきである。その場合、ポリオールの他には、副生成物は生じないか、または僅かな量でのみ生じるべきである。その方法はさらに、高い遊離脂肪酸割合を有する油脂の処理も可能にすべきである。カルボン酸および一価アルコールから製造されるエステルはさらに、僅かな固有色を有すべきである。加えてその方法は、信頼でき、再現可能な反応の実施を保証すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
意外にも、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で、マイクロ波を照射して短時間だけ加熱することで、ポリオールエステルをアルコールと連続的な方法で反応させることにより、ポリオールエステルのエステル交換を工業的に重要な量で実施することができることが判明した。その場合、使用されるポリオールエステル中に含まれる遊離脂肪酸の割合も、特に酸性触媒作用下では、対応するエステルに移行される。その場合、マイクロ波アプリケータに入射されるマイクロ波エネルギーは、実質的に定量的に反応物によって吸収される。加えて、本発明による方法は、実施の際に高い信頼性を有し、調節される反応条件の高い再現性を示す。本発明による方法に従って製造されたエステルは、従来の製法と比較して、従来の製法では追加の方法ステップなしには得られない高い純度および低い固有色を示す。
【0023】
本発明の目的は、エステルを製造するための連続的な方法であるが、この方法では、少なくとも1種の式(I)のポリオールエステルを
(R−COO) (I)
[式中、
は、水素、あるいは1〜50個の炭素原子を有する、場合により置換されている炭化水素基を表し、
は、2〜10個の炭素原子を有する、場合により置換されている炭化水素基を表し、
mは、2〜10の数を表し、R中の炭素原子の数以下である]
少なくとも1種の式(II)の一価アルコールと
−OH (II)
[式中、
は、1〜30個のC原子を有する、場合により置換されている炭化水素基を表す]、マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させて、少なくとも1種の式(III)のエステルにする
−COO−R (III)
[式中、RおよびRは、上記の意味を有する]。
【0024】
本発明で好ましい式(I)のエステルは、式(IV)のカルボン酸
COOH (IV)
および式(V)のポリオール
(OH) (V)
に由来し
[式中、R、Rおよびmは、上記の意味を有する]、
これらから、例えば縮合などの公知の方法に従って製造することができるか、または生化学的方法で生じさせることができる。
【0025】
カルボン酸IVとは、ここでは一般的に、1〜50個のC原子を有し場合によっては置換された炭化水素基上に少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物、およびギ酸と理解される。好ましい一実施形態では、炭化水素基Rは、脂肪族炭化水素基および特には非置換アルキル−またはアルケニル基である。さらなる好ましい一実施形態では、脂肪族炭化水素基は1個または複数、例えば、2個、3個、4個以上のさらなる置換基を有する。適切な置換基は例えば、ハロゲン原子、C〜C−アルコキシ−、例えば、メトキシ−、ポリ(C〜C−アルコキシ)アルキル−、ケト−、アミド−、シアノ−、ニトリル−、ニトロ−および/または5〜20個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基であるが、ただし、これらの置換基は、反応条件下で安定であり、どのような副反応にも、例えば、脱離反応に加わらないことを条件とする。C〜C20アリール基はそれ自体がやはり、例えばハロゲン原子、C〜C20−アルキル−、C〜C20−アルケニル−、C〜C−アルコキシ−、例えば、メトキシ−、アミド−、シアノ−、ニトリル−および/またはニトロ基などの置換基を有してもよい。しかしながら、炭化水素基は多くても、その有する価と同じ数の置換基を有する。
【0026】
本発明によれば、2〜40個のC原子を有する、とりわけ6〜30個のC原子を有する、例えば、8〜24個のC原子を有する、場合により置換されている脂肪族炭化水素基Rを有する脂肪族カルボン酸(IV)に由来する式(I)のカルボン酸エステルが特に好ましい。それらは、合成であってよいか、または好ましくは天然由来であってもよい。脂肪族炭化水素基はまた、例えば酸素、窒素、リンおよび/または硫黄などのヘテロ原子を含有してもよいが、しかし好ましくはC原子2個当たりヘテロ原子1個以下、とりわけC原子3個当たりヘテロ原子1個以下である。
【0027】
脂肪族炭化水素基Rは、直鎖、分岐または環式であってよい。好ましくは、直鎖である。分岐である場合には、その分岐は好ましくは、カルボニル基に隣接しているC原子または鎖末端に位置している。エステル基は、第一級、第二級または第三級C原子に結合していてよい。好ましくは、第一級C原子に結合している。炭化水素基は飽和していてよいか、またその炭化水素基Rが少なくとも2個の炭素原子を含む場合には、不飽和であってもよい。好ましい不飽和炭化水素基は好ましくは、1つまたは複数のC=C二重結合を、特に好ましくは1つ、2つまたは3つのC=C二重結合を有する。さらに好ましくは、これらは、エステル基と共役するC=C二重結合を有さない。したがって、本発明による方法は特に、1個または複数の多重不飽和カルボン酸を含有するポリオールエステルをエステル交換するのに有効であることが判明している。それというのも、不飽和カルボン酸の二重結合は、本発明による方法の反応条件下で攻撃されないからである。好ましい環式脂肪族炭化水素基は、4個、5個、6個、7個または8個以上の環原子を有する少なくとも1個の環を有する。
【0028】
特に好ましい一実施形態では、ポリオールエステル(I)は、脂肪酸に由来する。この場合、Rは、6〜50個のC原子を有する、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基を表す。この場合、特に好ましくは、これらは、7〜30個のC原子を有する、とりわけ8〜26個のC原子を有する、例えば、10〜22個のC原子を有する脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸に由来する。好ましい一実施形態では、脂肪酸の炭化水素基は、非置換アルキル−またはアルケニル基である。さらなる好ましい一実施形態では、脂肪酸の炭化水素基は、1個または複数、例えば、2個、3個、4個以上のさらなる置換基を有する。
【0029】
本発明による方法によってエステル交換するのに適しているポリオールエステル(I)は例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ピバル酸、クロトン酸、フェニル酢酸、(メトキシフェニル)酢酸、(ジメトキシフェニル)酢酸、2−フェニルプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、ヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ネオノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ネオウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、12−メチルトリデカン酸、ペンタデカン酸、13−メチルテトラデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、ヘキサデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イソオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸およびテトラコサン酸、ミリストレイン酸、パルミトオレイン酸、ヘキサデカジエン酸、デルタ−9−cis−ヘプタデセン酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、ゴンド酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、鯨油酸、エルカ酸、ドコサジエン酸およびテトラコセン酸、ならびにそれらの混合物のエステルである。さらに、例えば綿実油、ヤシ油、ラッカセイ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、パーム油、パーム核油、ナタネ油、オリーブ油、カラシ油、ダイズ油、ヒマワリ油ならびに獣脂油、骨油、魚油およびそれらの混合物などの天然油脂から得られるカルボン酸エステル混合物(IV)のエステルが適している。
【0030】
好ましい一実施形態では、式(I)のエステルは、場合により置換されている炭化水素基Rが脂肪族基を表す式(V)のポリオールに由来する。これは好ましくは、2〜8個、特に好ましくは3〜6個、特に3個のC原子を有する。脂肪族基は、直鎖であってよいか、または少なくとも4個のC原子を含む場合には、分岐または環式であってよい。これはさらに、飽和していてよいか、または、少なくとも3個のC原子を有する場合には、不飽和であってよい。好ましくは、脂肪族基Rは、飽和している。場合によって、炭化水素基Rは、例えばC〜C20−アリール基などの置換基を有してよいか、かつ/または例えば酸素および/または窒素などのヘテロ原子で中断されていてよい。
【0031】
さらに好ましくは、式(I)のエステルは、その脂肪族基Rが2、3、4、5、6個またはそれ以上のヒドロキシル基を有する式(V)のポリオールに由来する。ヒドロキシル基は、隣接するC原子に、またはさらに離れた炭化水素基の炭素原子にも結合していてよいが、炭素原子1個当たり最高で1個のOH基である。その場合、エステル(I)のベースとなるポリオール(V)のOH基は全部、または一部だけでもエステル化されていてよい。好ましくは、OH基は、完全に、または少なくともほぼ完全にエステル化されている。ほぼ完全にエステル化されているとは、使用されるポリオールエステル(I)のヒドロキシル価が、最高で50mgKOH/g、好ましくは0.1〜30mgKOH/g、とりわけ1〜10mgKOH/g、例えば、2〜5mgKOH/gであることを意味する。ポリオール(V)のヒドロキシル基は、同じか、または異なるカルボン酸(IV)でエステル化されていてよい。
【0032】
本発明による方法はとりわけ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリトリトール、フルクトースおよびグルコースなどのポリオールに由来するポリオールエステルを反応させるために適している。特に好ましい一実施形態では、ポリオール(V)は、グリセリンである。
【0033】
本発明で特に適した式(I)のポリオールエステルの例は、6〜30個のC原子を有する脂肪族カルボン酸および3〜5個のC原子を有するポリオールからなるエステル、とりわけ、例えばトリオレイン、トリステアリンおよび生物起源の油脂などの脂肪酸のトリグリセリドである。同様に、例えば綿実油、ヤシ油、ラッカセイ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、ジャトロファ油、パーム核油、ナタネ油、オリーブ油、カラシ油、ダイズ油、ヒマワリ油ならびに獣脂油、骨油および魚油などの天然油脂が、本発明による方法での反応に特に適している。
【0034】
好ましい一実施形態では、炭化水素基Rは、脂肪族基である。好ましくは、この脂肪族基は、1〜24個、特に好ましくは2〜18個、殊に3〜6個のC原子を有する。脂肪族基は、直鎖、分岐、環式であってよい。これはさらに、飽和であるか、または少なくとも3個のC原子を有する場合には不飽和であってよい。好ましくは、飽和している。炭化水素基は例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、メトキシ−、C〜C−アルコキシアルキル−、シアノ−、ニトリル−、ニトロ−および/または例えばフェニル基などのC〜C20−アリール基などの置換基を有してよい。C〜C20−アリール基はそれ自体が場合によっては、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、C〜C20−アルキル−、C〜C20−アルケニル−、例えばメトキシ−などのC〜C−アルコキシ−、アミド−、シアノ−、ニトリル−および/またはニトロ基で置換されていてもよい。
【0035】
さらなる好ましい一実施形態では、Rは、ヘテロ原子で中断されているアルキル基を表す。しかしその場合、Rは、2個のC原子当たり最高でも1個のヘテロ原子を有する。好ましいヘテロ原子は、酸素および窒素である。特に好ましいヘテロ原子は、酸素である。基Rが窒素原子を有する場合には、この窒素原子は、酸性プロトンを有さない。
【0036】
さらなる好ましい一実施形態では、Rは、5〜12員の環員を有する、場合により置換されているC〜C12−アリール基または場合により置換されている複素芳香族基を表す。適切な置換基の例は、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基ならびにアルキル−、アルケニル−、アルコキシ−、アミド−、ニトリル−およびニトロ基である。
【0037】
好ましい脂肪族基Rの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルならびにそれらの混合物である。適切な式IIのアルコールの例は、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ネオペンタノール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールおよびそれらの混合物である。
【0038】
特に好ましい一実施形態では、式(II)のアルコールとして、例えばメタノール、エタノールおよびプロパノールなどの1〜6個のC原子を有する、とりわけ1〜3個のC原子を有する非置換低級脂肪族アルコールを使用する。種々のアルコール(II)の混合物も、本発明には適している。アルコール(II)として、メタノールおよびエタノールがとりわけ好ましい。
【0039】
式(I)のポリオールエステルとアルコール(II)との反応を好ましくは、ポリオール(V)中のヒドロキシル基の数に対して少なくとも等モル量のアルコール(II)を用いて行う。特に好ましくは、反応を、1.1:1〜50:1、とりわけ1.5:1〜15:1、特に2:1〜10:1、例えば3:1〜8:1などのアルコール(I)とポリオール(V)中のヒドロキシル基とのモル比で行う。過剰のアルコールは、反応を行った後に、例えば、蒸留またはフラッシュなどによる慣用の分離法によって分離除去する。
【0040】
本発明による方法は、例えばラウリン酸メチルエステル、ミリスチン酸メチルエステル、パルミチン酸メチルエステル、マルガリン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸メチルエステル、リノール酸メチルエステル、リノレン酸メチルエステル、アラキン酸メチルエステル、ベヘン酸メチルエステル、エルカ酸メチルエステル、ラウリン酸エチルエステル、ミリスチン酸エチルエステル、パルミチン酸エチルエステル、マルガリン酸エチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステル、リノール酸エチルエステル、リノレン酸エチルエステル、アラキン酸エチルエステル、ベヘン酸エチルエステル、エルカ酸エチルエステル、ラウリン酸プロピルエステル、ミリスチン酸プロピルエステル、パルミチン酸プロピルエステル、マルガリン酸プロピルエステル、ステアリン酸プロピルエステル、オレイン酸プロピルエステル、リノール酸プロピルエステル、リノレン酸プロピルエステル、アラキン酸プロピルエステル、ベヘン酸プロピルエステル、エルカ酸プロピルエステル、ラウリン酸ブチルエステル、ミリスチン酸ブチルエステル、パルミチン酸ブチルエステル、マルガリン酸ブチルエステル、ステアリン酸ブチルエステル、オレイン酸ブチルエステル、リノール酸ブチルエステル、リノレン酸ブチルエステル、アラキン酸ブチルエステル、ベヘン酸ブチルエステル、エルカ酸ブチルエステルなどの脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸プロピルエステルおよび脂肪酸ブチルエステルならびにそれらの混合物、例えばヤシ脂肪酸メチルエステル、ベニバナ脂肪酸メチルエステル、パーム脂肪酸メチルエステル、ナタネ脂肪酸メチルエステル、オリーブ脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ脂肪酸メチルエステル、ダイズ脂肪酸メチルエステル、獣脂脂肪酸メチルエステル、ジャトロファ脂肪酸メチルエステル、ヤシ脂肪酸エチルエステル、ベニバナ脂肪酸エチルエステル、パーム脂肪酸エチルエステル、ナタネ脂肪酸エチルエステル、オリーブ脂肪酸エチルエステル、ヒマワリ脂肪酸エチルエステル、ダイズ脂肪酸エチルエステル、獣脂脂肪酸エチルエステル、ジャトロファ脂肪酸エチルエステル、ヤシ脂肪酸プロピルエステル、ベニバナ脂肪酸プロピルエステル、パーム脂肪酸プロピルエステル、ナタネ脂肪酸プロピルエステル、オリーブ脂肪酸プロピルエステル、ヒマワリ脂肪酸プロピルエステル、ダイズ脂肪酸プロピルエステル、獣脂脂肪酸プロピルエステル、ジャトロファ脂肪酸プロピルエステル、ヤシ脂肪酸ブチルエステル、ベニバナ脂肪酸ブチルエステル、パーム脂肪酸ブチルエステル、ナタネ脂肪酸ブチルエステル、オリーブ脂肪酸ブチルエステル、ヒマワリ脂肪酸ブチルエステル、ダイズ脂肪酸ブチルエステル、獣脂脂肪酸ブチルエステルおよびジャトロファ脂肪酸ブチルエステルを製造するためにとりわけ適している。
【0041】
好ましい一実施形態では、反応を促進または完全なものにするために、本発明によるエステル交換反応を触媒の存在下で操作する。その場合に、均一系触媒、不均一系触媒、さらにそれらの混合物も使用することができる。
【0042】
好ましくはその場合に、塩基性触媒または複数種のこれらの触媒からなる混合物の存在下で操作する。塩基性触媒として、本発明の枠内で全く一般的に、カルボン酸エステルをアルコールでエステル交換することを促進するのに適した塩基性化合物を使用する。適切な触媒の例は、例えば金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはアルコキシドなどの無機および有機塩基である。好ましい一実施形態では、塩基性触媒を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩およびアルコキシドの群から選択する。この場合、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび炭酸カリウムが特に好ましい。シアニドイオンも触媒として適している。これらの物質は、固体で、または溶液として、例えばアルコール溶液などとして使用することができる。特に好ましい塩基性触媒は、例えばナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシドおよびカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリアルコキシドである。その場合、特に好ましくは、使用されるアルコール(II)に由来するアルカリアルコキシドを使用する。
【0043】
その場合、使用される塩基性触媒の量は、選択された反応条件下での触媒の活性および安定性によって左右され、それぞれの反応に合わせるべきである。使用されるカルボン酸エステル(I)およびアルコール(II)の量に対して好ましくは0.001〜10重量%の範囲、特に好ましくは0.01〜5重量%の範囲、例えば0.02〜2重量%などの触媒量で上記の反応促進作用性化合物を使用するのが特に好ましい。
【0044】
さらにその場合、酸性の無機、有機金属もしくは有機触媒または複数のこれらの触媒からなる混合物の存在下で、操作するのが好ましい。
【0045】
酸性無機触媒として、本発明の意味では例えば、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲルおよび酸性水酸化アルミニウムを挙げることができる。さらに例えば、一般式Al(OR15のアルミニウム化合物および一般式Ti(OR15のチタネートを酸性無機触媒として使用することができる[式中、基R15はそれぞれ同じか、または異なってよく、互いに独立に、C〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニルまたはn−デシル、C〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルから選択されるが、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである]。好ましくは、Al(OR15またはTi(OR15中の基R15はそれぞれ同じであり、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよび2−エチルヘキシルから選択される。
【0046】
好ましい酸性有機金属触媒は例えば、ジアルキルスズオキシド(R15SnO[式中、R15は、上記のとおりに定義される]から選択される。特に好ましい酸性有機金属触媒の代表は、いわゆるオキソ−スズとして、またはFascat(登録商標)ブランドとして市販されているジ−n−ブチルスズオキシドである。
【0047】
好ましい酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基またはホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。特に好ましいスルホン酸は、少なくとも1個のスルホン酸基と、少なくとも1個の、1〜40個のC原子、好ましくは3〜24個のC原子を有する飽和または不飽和、直鎖、分岐および/または環式炭化水素基とを含有する。脂肪族スルホン酸および芳香族スルホン酸、特に1個または複数のC〜C28−アルキル基を有するアルキル芳香族モノスルホン酸、とりわけC〜C22−アルキル基を有するものがとりわけ好ましい。好適な例は、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸;ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸である。酸性イオン交換体、例えば、約2モル%のジビニルベンゼンで架橋されているスルホン酸基を有するポリ(スチレン)樹脂も、酸性有機触媒として使用することができる。
【0048】
本発明による方法を実施するための特に好ましい酸性触媒は、ホウ酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸、メタンスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸およびポリスチレンスルホン酸である。一般式Ti(OR15のチタネート、特にチタンテトラブチレート(Titantetrabutylat)およびチタンテトライソプロピレート(Titantetraisopropylat)がとりわけ好ましい。
【0049】
酸性の無機、有機金属または有機触媒を使用することが望まれる場合、本発明では、カルボン酸エステルおよびアルコールの使用量に対して、好ましくは、0.001〜10重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%、例えば0.02〜2重量%の触媒を使用する。
【0050】
他の好ましい一実施形態では、マイクロ波照射を、固体触媒の存在下で実施する。この場合、固体触媒を、場合によって溶媒を加えられている出発物質または反応混合物に懸濁させるか、または有利には、場合によって溶媒を加えられている反応混合物を固定床触媒上に導き、マイクロ波照射に曝露する。適切な固体触媒は例えば、場合によって触媒活性な金属塩を含浸されていてよいゼオライト、シリカゲル、モンモリロナイトおよび(部分)架橋ポリスチレンスルホン酸である。
【0051】
エステル交換を、使用されるアルコール(II)が超臨界状態で存在する温度および圧力条件下で実施する場合には、エステル交換を、本発明による好ましい実施形態で触媒を添加せずに行う。
【0052】
本発明によるエステル交換を、カルボン酸エステル(I)およびアルコール(II)ならびに場合によって触媒を混合し、続いて、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で、反応混合物にマイクロ波を照射することによって行う。
【0053】
好ましくは、マイクロ波発生器と接続されている中空導波管(Hohlleiters)内に存在する十分にマイクロ波透過性の反応管中で、反応混合物へのマイクロ波の照射を行う。好ましくは、反応管は中空導波管の中心対称軸と軸方向に並んでいる。
【0054】
マイクロ波アプリケータとして機能する中空導波管を好ましくは、空洞共振器として構成する。空洞共振器の長さは好ましくは、定在波がその中で生じるような寸法である。さらに好ましくは、中空導波管内で吸収されなかったマイクロ波は、その末端で反射される。マイクロ波アプリケータを反射型の共振器として形成することによって、発生器から供給される同じ出力で電場の強さの局所的な上昇および高められたエネルギー活用が達成される。
【0055】
空洞共振器を好ましくは、E01nモードで稼働させる。ただし、nは整数を表し、共振器の中心対称軸に沿ったマイクロ波場の極大の数を示す。この操作に際して、電場を空洞共振器の中心対称軸の方向に向ける。空洞共振器は、中心対称軸の領域に1つの極大を有し、外側面に向かって値0へと減少する。この場の形状は、中心対象軸の周りで回転対称である。nが整数となる長さを有する空洞共振器を使用することにより、定在波の形成が可能である。反応管を通過する反応物の所望の流速、必要な温度、および共振器内での必要な滞留時間に応じて、使用されるマイクロ波放射線の波長に対する共振器の長さを選択する。好ましくは、nは1〜200、より好ましくは2〜100、特に3〜50、とりわけ4〜20、例えば、3、4、5、6、7、8、9または10などの整数である。
【0056】
空洞共振器のE01nモードはまた、英語でTM01nモードとも称される。例えば、K. Lange、K.H. Loecherer、「Taschenbuch der Hochfrequenztechnik」、第2巻、K21頁以下(非特許文献6)を参照されたい。
【0057】
マイクロ波アプリケータとして機能する中空導波管へのマイクロ波エネルギーの入射は、適切な寸法の穴またはスリットを通して行うことができる。本発明による特に好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移(koaxialem Uebergang)を伴う中空導波管内に存在する反応管中で行う。この方法にとって特に好ましいマイクロ波装置は、空洞共振器と、空洞共振器にマイクロ波場を結合するための結合装置と、2つの対向する端壁に位置し、反応管を共振器中を貫通させるための、それぞれ1つの開口部とから構成されている。空洞共振器中へのマイクロ波の結合は好ましくは、空洞共振器内に突出している結合ピンを介して行う。好ましくは、結合ピンは、結合アンテナとして機能する、好ましくは金属製の内部導体管として形成されている。特に好ましい一実施形態では、この結合ピンは、端面開口部の一方を通って、空洞共振器内に突出している。特に好ましくは、反応管は、同軸遷移の内部導体管に接続され、特に、その空洞を通って空洞共振器内に導かれている。好ましくは、反応管は、空洞共振器の中心対象軸と軸方向に並んでいる。このために、空洞共振器は好ましくは、2つの対向する端壁に位置し、反応管を貫通させるための、それぞれ1つの中心開口部を備えている。
【0058】
結合ピンへの、または結合アンテナとして機能する内部導体管へのマイクロ波の供給は例えば、同軸の接続線によって行うことができる。好ましい一実施形態では、マイクロ波場を中空導波管を介して共振器に供給するが、この場合、空洞共振器から中空導波管の壁面に存在する開口部内に突き出た結合ピンの端部が、中空導波管内に突き出し、中空導波管からマイクロ波エネルギーを取り出して、共振器内に結合する。
【0059】
特定の一実施形態において、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴うE01n丸形中空導波管内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行う。この場合、反応管は、結合アンテナとして機能する内部導体管の空洞を通って空洞共振器へと導かれる。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸入射を伴うE01n空洞共振器中を貫通するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大がn=2以上形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸入射を伴うE01n空洞共振器を貫通するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大をn=2以上有する定在波が形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴う円筒形E01n空洞共振器内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大がn=2以上形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴う円筒形E01n空洞共振器内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大をn=2以上有する定在波が形成されるように設定される。
【0060】
例えば、マグネトロン、クライストロンおよびジャイロトロンなどのマイクロ波発生器が当業者に公知である。
【0061】
本発明による方法を実施するために使用される反応管は好ましくは、十分にマイクロ波透過性の高融点材料から製造されている。特に好ましくは、非金属製の反応管を使用する。本明細書において十分にマイクロ波透過性とは、可能な限り僅かなマイクロ波エネルギーを吸収し、熱に変換する材料であると理解される。物質の、マイクロ波エネルギーを吸収し熱に変換する能力の尺度としてしばしば、誘電損率tanδ=ε’’/ε’が使用される。誘電損率tanδは、誘電損ε’’と比誘電率ε’の比として定義される。種々の材料のtanδ値の例は例えば、D. Bogdal、Microwave-assisted Organic Synthesis、Elsevier 2005(非特許文献7)に挙げられている。本発明に適した反応管としては、2.45GHzおよび25℃で測定して0.01未満、とりわけ0.005未満、特に0.001未満のtanδを有する材料が好ましい。好ましいマイクロ波透過性で熱に安定な材料としては、第一に、鉱物をベースとした材料、例えば石英、酸化アルミニウム、サファイア、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素などが該当する。とりわけフルオロポリマー、例えばテフロンなどの熱に安定なプラスチック、およびポリプロピレンやポリアリールエーテルケトン、例えばガラス繊維強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリング・プラスチックも、管材料として適している。反応中の温度条件に耐えるためには、これらのプラスチックでコーティングされた石英または酸化アルミニウムなどの鉱物が反応器材料としてとりわけ実証済みである。
【0062】
本発明による方法に特に適した反応管は、1mm〜約50cm、とりわけ2mm〜35cm、特に5mm〜15cm、例えば10mm〜7cmの内径を有する。反応管とは本明細書において、長さと直径の比が5より大きく、好ましくは10〜100000、特に好ましくは20〜10000、例えば30〜1000である容器であると理解される。その際、反応管の長さとは、マイクロ波照射が行われる反応管の区間であると理解される。反応管中に、バッフル(Stromstoerer)および/または他の混合要素を組み込んでもよい。
【0063】
本発明による方法に特に適したE01空洞共振器は好ましくは、使用されるマイクロ波放射線の波長の少なくとも半分に相当する直径を有する。好ましくは、空洞共振器の直径は、使用されるマイクロ波放射線の波長の半分の1.0〜10倍、特に好ましくは1.1〜5倍、とりわけ2.1〜2.6倍である。好ましくは、E01空洞共振器は円形の断面を有し、これは、E01丸形中空導波管とも称される。特に好ましくはこれは、筒形、特に円筒形を有する。
【0064】
反応管は通常、入口に計量ポンプおよび圧力計を、かつ出口に圧力維持装置および例えば熱交換器のような冷却装置を備えている。これによって、非常に広い圧力範囲および温度範囲での反応が可能となる。好ましい一実施形態では、反応物を、反応管から出た直後に可能な限り迅速に120℃未満、好ましくは100℃未満、特に60℃未満の温度に冷却する。これは例えば、熱交換器または断熱膨張によって行うことができる。通常、反応混合物の放圧を大気圧まで行うが、後続の方法ステップのために、または特殊な装置を使用する場合には、より高いまたはより低い圧力まで行うことができる。例えば、溶媒および/または未反応の出発物質を分離除去するために、反応混合物を、大気圧をかなり下回る圧力まで放圧することが有効であることが判明している。冷却は、反応する生成物の特性と、圧力を低下させる前、さらには後にも予定されているさらなる方法ステップとに応じて、またはそれらの間の圧力で行うことができる。
【0065】
特に好ましい一実施形態では、反応混合物を反応管に通した後にそのまま、即ち、中間冷却せずに、等温反応区間に移し、そこで、一定時間、反応温度に維持する。その反応区間から出た後に初めて、反応混合物を場合によって放圧し、冷却する。反応管から等温反応区間へそのまま移すとは、反応管と反応区間との間に、熱を供給する、そしてとりわけ熱を排出するための能動的な処置が無いと理解されたい。好ましくは、反応管の出口から反応区間への入口までの間の温度差は、±30℃未満、好ましくは±20℃未満、特に好ましくは±10℃未満、とりわけ±5℃未満である。特定の一実施形態では、反応区間への入口の所での反応物の温度は、反応管の出口の所での温度に対応する。これらの実施変形形態によって、部分的な過熱を伴うことなく、所望の反応温度まで反応物を迅速かつ目的に合わせて加熱することと、それに続いて、冷却する前に、規定の時間、この反応温度で滞留させることが可能になる。こうして、高められた空時収率、高められたエネルギー効率、さらに、信頼性があり再現可能な操作を達成することができる。
【0066】
等温反応区間として、反応管において設定された温度で反応混合物を滞留させることを可能にするあらゆる化学的に不活性な容器が該当する。等温反応区間では、反応区間中の反応物の温度は、入口温度に対して±30℃、好ましくは±20℃、特に好ましくは±10℃、とりわけ±5℃に一定に保持されると理解される。したがって、反応物は反応区間の出口の所で、反応区間の入口の所での温度に対して最大±30℃、好ましくは±20℃、特に好ましくは±10℃、とりわけ±5℃相違する温度を有する。
【0067】
連続運転撹拌容器および容器カスケードの他に、とりわけ管が等温反応区間として適している。これらの反応区間は、例えば金属、セラミック、ガラス、石英またはプラスチックなどの種々の材料からなっていてよいが、但し、選択された温度および圧力条件下で機械的に安定かつ化学的に不活性であることを条件とする。特にその場合、断熱容器が有効であることが判明している。反応区間における反応物の滞留時間は例えば、反応区間の体積を介して調節することができる。撹拌容器および容器カスケードを使用する場合にも同様に、容器の充填レベルを介して滞留時間を調節することが有効であることが判明している。
【0068】
好ましい一実施形態では、反応区間として管を使用する。その場合、その管は、加熱ゾーンに続くマイクロ波透過性加熱管の延長部分であるか、または別の、加熱管と接続している同じか、または異なる材料からなる管であってもよい。管の長さおよび/またはその断面を介して、所定の流速で、反応物の滞留時間を決定することができる。反応区間として機能する管は、最も簡単には断熱されていて、反応物が反応区間へ入る際に支配的な温度が上記範囲内で保持されるようになっている。しかし、反応区間において例えば、熱担体または冷却媒体によって、狙い通りにエネルギーを反応物に供給するか、または反応物から排出することもできる。この実施形態は、方法を始動するためにとりわけ有効であることが判明している。反応区間は例えば、加熱浴または冷却浴中に存在するか、二重ジャケット管の形態で加熱媒体または冷却媒体を負荷されるコイル型管(Rohrschlange)または管束として形成されていてよい。反応区間は、反応物が再度マイクロ波で処理されるさらなるマイクロ波アプリケータ中に存在してもよい。その場合、モノモード作動性のアプリケータも、マルチモード作動性のアプリケータも使用することができる。
【0069】
等温反応区間での反応物の滞留時間は通常、1秒〜10時間、好ましくは10秒〜2時間、特に好ましくは20秒〜60分、例えば、30秒〜30分などである。等温反応区間から出した後に次いで、反応混合物を再び、120℃未満、好ましくは100℃未満、特に60℃未満の温度まで可能な限り迅速に冷却するが、この場合にも再び、上記の装置および手段が好ましい。
【0070】
エステル(I)、アルコール(II)および場合によっては触媒および/または溶媒からなる反応混合物の製造は、連続的、断続的、またはセミバッチ式プロセスで実施することができる。したがって反応混合物を、先行する(セミ)バッチ式プロセスで、例えば、撹拌容器中で製造することができる。好ましい一実施形態では、出発物質のポリオールエステル(I)およびアルコール(II)を、両方とも互いに独立に場合によっては溶媒で希釈し、反応管に入れる直前になって初めて混合する。例えば、とりわけ互いに無制限に混合可能ではない出発物質を使用する場合、ポリオールエステル(I)とアルコール(II)の混合を混合区域で行い、そこから、反応混合物を反応管へ搬送するのが有効である。さらに好ましくは、本発明による方法に、出発物質を液体の形態で供給する。このために、より高融点および/またはより高粘性の出発物質は、例えば溶融状態で、かつ/または溶媒を加えて例えば溶液、分散液もしくはエマルションとして使用することができる。使用する場合、触媒は、出発物質の1種または出発物質混合物に、反応管の入口より前で加えることができる。好ましくは、触媒は液体の形態で、例えば出発物質の1つ中または反応条件下で不活性な溶媒中の溶液として使用する。本発明による方法によれば、不均一系も転換することができるが、この場合、反応物を搬送するために、対応する工業設備が必要である。
【0071】
反応混合物は、反応管中に、内部導体管を貫通する端部においても、また反対側の端部においても供給することができる。
【0072】
管断面、照射ゾーンの長さ(これは、反応物がマイクロ波放射にさらされる反応管の長さであると理解される)、流速、空洞共振器の幾何形状、および入射されるマイクロ波出力を変えることによって、最大反応温度に可能な限り迅速に到達し、最大温度での滞留時間を短時間にとどめて、副反応または後続の反応の発生が可能な限り少なくなるように、好ましくは反応条件を調整する。反応をより完全なものにするために、場合によっては中間冷却し、かつ/または例えばポリオールなどの成分を分離除去し、かつ/または例えばアルコールおよび/または触媒などの反応成分を補充した後に、反応物を複数回、反応管中を貫流させることができる。その場合、同様の結果で、2個、3個またはそれ以上のマイクロ波アプリケータからなるカスケードも使用することができる。しばしば、反応生成物を、反応管から出た直後に、例えば、ジャケット冷却または減圧によって冷却することが有効である。
【0073】
好ましくは、マイクロ波照射による温度上昇を例えば、マイクロ波強度、流速の調節によって、かつ/または例えば窒素流による反応管の冷却によって、最大500℃までに制限する。温度は、例えば反応管の表面で測定することができるが、好ましくは、加熱ゾーンから出た直後の反応物で決定する。特に、80〜最大400℃、とりわけ100〜最大180℃、特に120〜最大170℃の温度で、例えば130〜160℃の温度で反応を実施することが有効である。
【0074】
マイクロ波照射の継続時間は、例えば反応管の幾何形状、入射されるマイクロ波エネルギー、使用反応物および所望の変換率などの様々な因子に左右される。通常、マイクロ波照射は、30分未満、好ましくは0.01秒〜15分、より好ましくは0.1秒〜10分、とりわけ1秒〜5分、例えば5秒〜2分の時間にわたって行う。その際、反応管を出るときに反応物が所望の最大温度を有するように、マイクロ波放射の強度(出力)を調整する。好ましい一実施形態では、反応生成物を、マイクロ波照射の終了直後に可能な限り迅速に、120℃未満、好ましくは100℃未満、特に60℃未満の温度に冷却する。さらなる好ましい一実施形態では、存在する場合には、触媒を、反応管から出た直後に中和する。
【0075】
好ましくは、反応を大気圧〜500バール、より好ましくは1.5バール〜150バール、とりわけ3バール〜100バール、特に5バール〜100バール、例えば10バール〜50バールの圧力で行う。出発物質、生成物、場合によっては存在する溶媒の沸点(標準圧力で)より上で、かつ/または反応中に生じるアルコールの沸点より上で操作する、高圧下の操作が特に有効である。特に好ましくは、反応混合物がマイクロ波照射中、液体状態にとどまり、沸騰しないような高い圧力に調整する。特定の一実施形態では、アルコール(II)が超臨界特性を示す条件下で操作する。例えば、メタノールでのエステル交換を、240℃超の温度および81バールの好ましい実施形態で実施する。
【0076】
副反応を回避し、かつ可能な限り純粋な生成物を製造するために、出発物質および生成物を、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性保護ガスの存在下で取り扱うことが有効である。
【0077】
使用されるアルコール(I)が溶媒として機能し得るが、例えば反応媒体の粘度を低下させ、かつ/または不均一系である場合には、反応混合物を流動化するために、さらなる溶媒の存在下で操作するのが有効であることがたびたび判明している。このために、原理的には、使用される反応条件下で不活性であり、出発物質または生じた生成物と反応しない、全ての溶媒を使用することができる。適切なさらなる溶媒を選択する際の重要な要因は、その極性であり、これは一方では溶解特性を、他方ではマイクロ波放射との相互作用の規模を決定する。適切なさらなる溶媒を選択する際の特に重要な要因は、その誘電損ε’’である。誘電損ε’’は、物質とマイクロ波放射線とが相互作用した場合に熱に変換されるマイクロ波放射の割合を示している。最後の値は、本発明による方法を実施するための溶媒の適合性にとって特に重要な判断基準であることが判明している。
【0078】
できるだけ最小のマイクロ波吸収を示し、したがって、反応系の加熱に僅かにしか寄与しないさらなる溶媒中で操作するのが特に有用である。本発明による方法にとって好ましいさらなる溶媒は、室温および2450MHzで測定して10未満、好ましくは1未満、例えば0.5未満の誘電損ε’’を有する。種々の溶媒の誘電損についての概観は例えば、「Microwave Synthesis」、B. L. Hayes著、CEM Publishing 2002(非特許文献8)に見出すことができる。本発明による方法に適しているのはとりわけ、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトンなどの10未満のε’’値を有する溶媒、とりわけ1未満のε’’値を有する溶媒である。1未満のε’’値を有する特に好ましい溶媒の例は、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、ペンタデカン、デカリンなどの芳香族および/または脂肪族炭化水素ならびにベンジン留分、灯油、ソルベントナフサ、Shellsol(登録商標)AB、Solvesso(登録商標)150、Solvesso(登録商標)200、Exxsol(登録商標)、Isopar(登録商標)およびShellsol(登録商標)タイプなどの市販の炭化水素混合物である。好ましくは10未満、特には1未満のε’’値を有する溶媒混合物は、本発明による方法を実施するのに同様に好ましい。
【0079】
さらなる好ましい一実施形態では、本発明による方法を、例えば5以上のより高いε’’値、とりわけ10以上のε’’値を有する溶媒中で実施する。それ自体で、即ち、溶媒および/または希釈剤が存在しなくても、非常に低いマイクロ波吸収しか示さない反応混合物を反応させる場合にはとりわけ、この実施形態が有効である。例えば、10未満、好ましくは1未満の誘電損ε’’を有する反応混合物の場合にとりわけ、この実施形態は有効である。しかしながら、溶媒添加によってしばしば観察される反応混合物の加熱の促進には、最大温度を維持するための対策が必要である。
【0080】
さらなる溶媒の存在下で操作する場合、反応混合物中のその割合は好ましくは、2〜95重量%、特に5〜90重量%、とりわけ10〜75重量%、例えば30〜60重量%である。特に好ましくは、方法を、さらなる溶媒を加えずに実施する。同様に特に好ましくは、方法を、溶媒としても機能するアルコール(II)を過剰に用いて実施する。
【0081】
さらなる好ましい一実施形態では、反応混合物に、そこにおいて不溶性の、高いマイクロ波吸収性を有する物質を加える。これらは、反応混合物の著しい局所的な加熱をもたらし、その結果、反応をさらに促進する。そのような適切な集熱体(Waermesammler)は例えば、グラファイトおよびボロカーバイドである。
【0082】
約1cm〜1mの波長および約300MHz〜30GHzの周波数を有する電磁線をマイクロ波と称する。この周波数範囲が原理的に、本発明による方法に適している。好ましくは本発明による方法では、工業的、科学的、医学的、家庭用および類似の用途のために認められている周波数を有する、例えば、915MHz、2.45GHz、5.8GHzまたは24.12GHzなどの周波数を有するマイクロ波放射を使用する。
【0083】
本発明による方法を実施するために空洞共振器に入射されるマイクロ波出力はとりわけ、目的の反応温度に依存するが、しかし、反応管の幾何形状、およびしたがって反応体積ならびに反応管を通る反応物の流動速度および必要な照射の継続時間にも依存する。これは通常、200W〜数100kW、とりわけ500W〜100kW、例えば1kW〜70kWである。これは、1個または複数のマイクロ波発生器によって発生させることができる。
【0084】
好ましい一実施形態では、該方法を耐圧性で化学的に不活性な管中で実施するが、その際、場合によっては、出発物質および生成物ならびに、存在する場合には溶媒は圧力蓄積をもたらすことがあり得る。反応の終了後に、減圧することによって易揮発性成分および場合によっては溶媒を揮発および分離除去するために、かつ/または反応生成物を冷却するために、この過剰圧力を利用することができる。副生成物として形成されるポリオール(V)および過剰アルコール(II)を冷却および/または減圧の後に、慣用の方法、例えば相分離、蒸留、ストリッピング、フラッシュおよび/または吸収によって、分離することができる。
【0085】
特に高い転化率を達成するために、多くの場合、得られた反応生成物を、場合によっては生成物および/または副生成物を排出した後に再び、マイクロ波照射に掛けることが有効であるが、その際に、場合によっては、消費されたまたは不足している出発物質の分だけ、使用される反応体の割合を補充することができる。
【0086】
通常、本発明による方法によって製造されるエステルは、さらなる使用に十分な純度で生じるので、さらなる精製または後処理工程は必要ない。しかし、特殊な要求のために、通常の精製法、例えば蒸留、再結晶化、濾過またはクロマトグラフィー法に従って、さらに再精製することもできる。
【0087】
本発明による方法の利点は、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向に存在し、とりわけ、例えばマイクロ波の同軸移行を伴うE01空洞共振器内部に存在する反応管内で、対称マイクロ波場の中心で反応物が非常に均等に照射されることにある。本発明による反応器設計により、非常に高い圧力および/または温度でも反応を実施することが可能となる。温度上昇および/または圧力上昇によって、公知のマイクロ波反応器と比べても転化率および収率の明らかな上昇が観察され、その際、不所望な副反応および/または着色が生じることもない。その際、意外にも、空洞共振器に入射されるマイクロ波エネルギーを利用すると、非常に高い効率が達成され、これは通常、入射されるマイクロ波出力の50%超、しばしば80%超、一部では90%超、特殊な場合には95%超、例えば98%超であり、したがって、慣用の製法と比べて、また従来技術のマイクロ波法と比べても経済的で生態学的な利点を示す。
【0088】
加えて、本発明による方法によって、制御された信頼でき再現可能な反応の実施が可能となる。反応管中の反応物は、マイクロ波の伝播方向に対して平行に移動するので、例えば波頂および節点におけるマイクロ波場の強度変化によって局所的な過熱をもたらす可能性がある制御不可能な場の分布による公知の過熱現象は、反応物の流動によって解消される。さらに、反応管の長さおよび/または直径を拡大し、周波数の低下に伴って反応物への侵入深さが高まるマイクロ波放射線の波長を選択することを介して、反応物に伝播されるエネルギーを、したがって処理量(Durchsatz)を高めることができる。前記の利点によって、例えば10kW超、または100kW超の高いマイクロ波出力で操作することも可能となり、したがって、空洞共振器中での短時間のみの滞留時間とあいまって、1つのプラントで1年当たり100トン以上の大量の生産量を達成することが可能となる。
【0089】
その際、連続的に通過する流管中で、マイクロ波場での反応物の滞留時間が非常に短いにも関わらず、少量使用される成分を基準として、一般に80%超、多くの場合に90%超、およびとりわけ95%超、例えば98%超の転化率で、非常に十分なエステル交換が生じ、その際、言及すべき量の副生成物が形成されないことは意外であった。同じ寸法の流管中、熱ジャケット加熱下でのこれらの反応混合物の対応する反応では、適切な反応温度を達成するために、極めて高い壁体温度が必要であり、これは、着色した化学種の形成はもたらすが、同じ時間内で、僅かなエステル交換しかもたらさない。
【0090】
したがって、本発明による方法によって、非常に迅速で、エネルギーを節減する安価なカルボン酸エステルの製造が、高収率および高純度で工業的大規模量で可能となる。その場合、遊離脂肪酸を高い割合で有するポリオールエステルも使用することができる。この方法では、ポリオール(V)の他には、重大な量の副生成物は生じない。そのような迅速で選択的な反応は、従来の方法によっては達成することができず、かつ単に高温に加熱するだけでは期待できなかった。
【実施例】
【0091】
マイクロ波による反応混合物の照射を、円柱形空洞共振器(60×10cm)内に軸対称に存在するセラミック管(60×1cm)を反応管として有する装置で行った(照射ゾーン)。中空共振器の一方の端部で、セラミック管は、結合アンテナとして機能する内部導体管の空洞を通り抜けて延びていた。マグネトロンによって生じさせた周波数2.45GHzのマイクロ波場を結合アンテナによって、中空共振器内に結合し(E01空洞アプリケータ;モノモード)、そこで定在波が生じた。等温反応区間を使用する場合には、加熱された反応混合物を、反応管を出た直後に、断熱ステンレス鋼管(他に述べられていない限り3.0m×1cm)に供給した。反応管を出た後に、または等温反応区間を使用する場合には反応区間を出た後に、反応混合物を大気圧まで放圧し、直ちに強力熱交換器によって上記の温度まで冷却し、触媒を中和した。
【0092】
マイクロ波出力を実験期間にわたってそれぞれ、反応管の端部で反応物の所望の温度が一定に保持されるように調整した。したがって、実験の記載で述べられているマイクロ波出力は、入射されたマイクロ波出力の時間的な平均値を表している。反応混合物の温度測定は、反応管(断熱ステンレス鋼毛細管、直径1cm、約15cm区間)を出た直後に、および場合によっては反応区間を出た後に、Pt100温度センサによって行った。反応混合物によって直接吸収されなかったマイクロ波エネルギーは、結合アンテナとは反対側の空洞共振器の端面で反射され、反応混合物によって復路でも吸収されずに、マグネトロンの方向に反射されたマイクロ波エネルギーはプリズム系(サーキュレータ)によって、水を入れた容器内に導かれた。入射されたエネルギーと、損失出力(水負荷の加熱によって算出される)との差違から、反応物中に導入されたマイクロ波エネルギーを算出した。
【0093】
高圧ポンプおよび適切な減圧弁によって、装置中の反応混合物を、全ての出発物質および生成物または縮合生成物を常に液体の状態にしておくのに十分な作業圧力にした。反応混合物を一定の流率で、装置中をポンプ給送し、流速を変更することによって反応管(照射ゾーン)と反応区間における滞留時間を調節した。
【0094】
生成物の分析はH−NMR分光法によって、500MHz、CDCl中で行った。
【0095】
例1
ヤシ油脂肪酸メチルエステルの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、ヤシ油脂肪3.43kg(5mol/分子量686g/mol)を初めに投入し、55℃に加熱した。この温度で、メタノール1.23kg(40mol)および触媒としてナトリウムメチラート50gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0096】
こうして得られた反応混合物を30バールの操作圧で連続的に5l/時で、ポンプを用いて装置に通し、2.0kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの90%が反応物によって吸収された。反応管における反応混合物の滞留時間は、約34秒であった。反応管の端部で、反応混合物は220℃の温度を有した。反応管を出た直後に、反応混合物を50℃に冷却し、酢酸で中和した。
【0097】
反応生成物はやや黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のメタノールを分離した後に、ヤシ油脂肪酸メチルエステル3.4kgが純度98%で得られた。モノグリセリドおよびジグリセリドの含有量は1.2または0.2重量%であった。
【0098】
例2
ナタネ脂肪酸メチルエステルの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、ナタネ油4.39kg(5mol/分子量878g/mol)を初めに投入し、55℃に加熱した。この温度で、メタノール1.12kg(35mol)および触媒としてナトリウムエチラート50gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0099】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に4.5l/時で、ポンプを用いて装置に通し、1.95kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの92%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約38秒であった。反応管の出口の所で、反応混合物は205℃の温度を有し、これをそのままこの温度で、等温反応区間に移した。反応区間の端部で、反応混合物は195℃の温度を有した。反応区間を出た直後に、反応混合物を室温に冷却し、乳酸で中和した。
【0100】
反応生成物は、やや黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のメタノールを分離除去した後に、ナタネ脂肪酸メチルエステル4.4kgが純度>99%で得られた。生成物は、モノグリセリド0.6重量%およびジグリセリド<0.2重量%を含有した(検出限界)。
【0101】
例3
ナタネ脂肪酸エチルエステルの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、ナタネ油6.45kg(7mol/分子量878g/mol)を初めに投入し、55℃に加熱した。この温度でエタノール2.58kg(56mol)および触媒としてナトリウムエチラート50gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0102】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に5l/時で、ポンプを用いて装置に通し、2.2kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの90%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約34秒であった。反応管の出口の所で、反応混合物は207℃の温度を有し、これをそのままこの温度で、等温反応区間に移した。反応区間の端部で、反応混合物は198℃の温度を有した。反応区間を出た直後に、反応混合物を室温に冷却し、乳酸で中和した。
【0103】
反応生成物は、黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のエタノールを分離除去した後に、ナタネ脂肪酸エチルエステル6.47kgが純度96%で得られた。生成物は、モノグリセリド2.2重量%およびジグリセリド0.5重量%を含有した。
【0104】
例4
遊離脂肪酸を高い含有率で有するナタネ油からのナタネ脂肪酸メチルエステルの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、5重量%の遊離ナタネ油脂肪酸(280g/mol)含有率および10mgKOH/gの油の全酸価を有するナタネ油4.62kg(5mol/分子量878g/mol)を初めに投入し、55℃に加熱した。この温度で、メタノール1.12kg(35mol)および触媒としてメタンスルホン酸50gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0105】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に5l/時で、ポンプを用いて装置に通し、2.1kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの92%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約34秒であった。反応管の端部で、反応混合物は199℃の温度を有した。反応管を出た直後に、反応混合物を室温に冷却した。
【0106】
反応生成物はやや黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のメタノールを分離した後に、希釈炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄することによって、反応生成物から触媒残分を除去した。相分離は問題なく進行したが、このことは、強力乳化性の脂肪酸塩が存在しないことを証明していた。分離された上方有機相は、0.9mgKOH/gの残留酸価を有した。そうして製造されたナタネ脂肪酸メチルエステルは、モノグリセリド0.7重量%およびジグリセリド0.2重量%を含有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステルを製造するための連続的な方法であって、式(I):
(R−COO) (I)
[式中、
は、水素、または1〜50個の炭素原子を有し場合により置換されている炭化水素基を表し、
は、2〜10個の炭素原子を有し場合により置換されている炭化水素基を表し、
mは、2〜10の数を表し、R中の炭素原子の数以下である]
で表される少なくとも1種のポリオールエステルを、
式(II)
−OH (II)
[式中、
は、1〜30個のC原子を有し場合により置換されている炭化水素基を表す]
で表される少なくとも1種の一価アルコールと、マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させて、式(III):
−COO−R (III)
[式中、RおよびRは、上記の意味を有する]
で表される少なくとも1種のエステルにする方法。
【請求項2】
導波管を介してマイクロ波発生器に接続している中空導波管内部に存在する十分にマイクロ波透過性の反応管中で、マイクロ波による前記反応混合物の照射を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波アプリケータが空洞共振器として構成されている、請求項1および2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波アプリケータが、反射型の空洞共振器として構成されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記反応管が、中空導波管の中心対称軸と軸方向に並んでいる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記反応混合物の照射を、マイクロ波の同軸遷移(koaxialem Uebergang)を伴う空洞共振器内において行う、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記空洞共振器をE01nモード(ここで、nは1〜200の整数である)で動作させる、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記空洞共振器内で、定在波を生じさせる、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記反応物を前記マイクロ波照射によって、80〜500℃の温度に加熱する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
入射されるマイクロ波出力の調節を、反応物の目的の最大温度と実際に達成される最大温度との差違によって行う、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ波照射を大気圧より高い圧力で行う、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
マイクロ波によって反応温度まで加熱され、場合によって圧力下にある反応物を、反応管を出た後にそのまま、反応管に続く等温反応区間に移し、等温反応区間を出た後に冷却する、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
が、2〜40個のC原子を有し場合により置換されている脂肪族炭化水素基を表す、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
がアルキルまたはアルケニル基を表す、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
が、7〜30個のC原子を有する脂肪族炭化水素基を表す、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
が、場合により置換されている脂肪族炭化水素基を表す、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記ポリオールエステル(I)が、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリトリトール、フルクトースおよびグルコースのエステルから選択される、請求項1〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
が、1〜24個のC原子を有する脂肪族基を表す、請求項1〜17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
式(II)のアルコールが、メタノールおよびエタノールから選択される、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
が、ヘテロ原子で中断されているアルキル基を表す、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
が、5〜12員の環員を有し場合により置換されているC〜C12−アリール基または場合により置換されてるヘテロ芳香族基を表す、請求項1〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
カルボン酸エステル(I)およびアルコール(II)の重量に対して、0.001〜10重量%の塩基性触媒を使用する、請求項1〜21のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
カルボン酸エステル(I)およびアルコール(II)の重量に対して、0.001〜10重量%の酸性触媒を使用する、請求項1〜22のいずれか一つに記載の方法。

【公表番号】特表2013−505275(P2013−505275A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530147(P2012−530147)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005428
【国際公開番号】WO2011/035853
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】