説明

進行性の脊髄の奇形に抵抗する非毒性架橋試薬の直接的なアプリケーション

本発明に従った、機械的悪化に対するコラーゲン組織の抵抗を改善する方法は、コラーゲン組織の少なくとも一部に効果的な量の架橋試薬を接触させる工程を備えてなる。脊柱側湾の及び他の進行性奇形の脊柱における椎間板を安定させる体自体の試みを高める方法及び装置。この安定性を高めることは、潜在的な若しくは進行している奇形の屈曲によって生じる凸側の中に非毒性架橋試薬を注入して、屈曲ヒステリシスを減らし、進行している奇形の脊柱の弾性及び曲げ剛性を増加して生じる。また、該細胞と架橋試薬とを接触することは、ターゲット組織の中に若しくはその上に直接徐放性輸送システムを置くことでもたらされる。椎間板の浸透性を増加し、該椎間板の流体流動を改善し、該椎間板内の細胞の生物学的生存能力を増加する架橋剤を用いる方法及び装置は提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2004年2月24日にファイルされた、整理番号10/786,861の一部継続出願であり、これは、2002年8月28日にファイルされた整理番号60/498,790の米国仮出願の利益を求め且つ2002年2月29日にファイルされた整理番号10/230,671の一部継続出願であり、これは、2001年8月31にファイルされた整理番号60/316,287の米国仮出願の利益を求める。
【0002】
本発明は、組織、例えば、有害な機械的負荷の環境がコラーゲン組織の悪化の一因となるコラーゲン組織の処理方法に関する。第一実施形態に於いて、本発明は、疲労抵抗を改善する、変性椎間板の処理方法と、効果的な疲労抑制剤である非毒性架橋試薬とに関する。
【0003】
第二実施形態に於いて、本発明は、継続的に変形させる力に抵抗し、脊髄側弯症における進行と、峡部の脊柱(これは、部分的に破裂された椎間板を少なくとも1つ有する)等のその他進行性の脊髄の奇形とに抵抗する、椎間板及び周辺組織を取り扱う方法及び装置に関し、これらは、椎弓切除等の神経の復元処置後、若しくは脊髄の器具の取り付け後のものである。後者の例は、多段レベルの融合構築に隣接する進行性の後湾奇形である。
【0004】
第三実施形態に於いて、本発明は、浸透性、より具体的には、椎間板の外側領域における水及び高分子の浸透性及び拡散性を増加することによって、椎間板の中央領域における生物学的活動のための環境を改善する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0005】
有害な機械的負荷の環境は、様々な方法でのコラーゲン組織の悪化の一因となる。例えば、疲労は、反復的に加えられたストレスによる物質の弱化である。疲労障害は、反復的なストレスが物質を弱める単なる障害であり、その結果、その物質は、元々の根本的なストレスレベルの下で衰える。骨に於いては、二つのプロセス−生物学的修復及び疲労−が対立するが、一般に修復が優位に立つ。椎間板に於いては、後部のアニュラスの機械的悪化の普及(Osti 1992)は、疲労が峡部における主なプロセスであることを示唆する。活性組織の反応(順応、修復)は、成熟した椎間板環状物質において、強い役割を果たさない。椎間板は、3つの部分:髄核(NP)若しくは核、繊維輪(AF)若しくはアニュラス、及び軟骨の運動終板を含む。内部アニュラス及び外部核の特徴は、継続的な悪化に調和することであり、該核がより線維になり、該核の水含有量が減少する。同様に、外部核と内部アニュラスとの境界は、弱まることが知られ、継続的な悪化と共にぼやける。原理的に血管のない構造として、椎間板は、限られた数の生存能力のある細胞における栄養素の拡散に依存する。年齢に関連した変化は、細胞の生存能力及び生合成機能を減少するのに恐らく貢献する拡散を干渉する(Buckwalter et al. 1993, Buckwalter 1995)。年齢に関連した、細胞の数及び細胞の機能の減衰は、マトリックスへの機械的損傷を修復する細胞の能力を傷つける。酵素の悪化に続く、核のマトリックスの再生は、一貫性がないが、成し遂げられる(Deutman 1992)。機能性の環状の物質の再生は、まだ解明されていない。
【0006】
修復若しくは再生のためのこのような限られたポテンシャルに組み合わされて、研究は、後部の椎間板組織が、非外傷性の生理学的で周期的な負荷を受けた時に悪化及び疲労障害に対して弱いことを示した。先行研究は、緩やかで生物学的で周期的な負荷を受けた後部の椎間板組織における弾塑性(Hedman 99)及び粘弾性(Hedman 00)物質特性における劣化を示した。根本的で伸張性のある強さの30%の周期的な負荷の大きさは、2000サイクルほどで物質的な特性への重大な劣化を引き起こした。Green (1993)は、外部アニュラス試料の同等のペアにおける根本的で伸張性のある強さ及び疲労生活を調査した。それらは、鉛直の伸張性のある周期的なピークが同等のペアコントロールにおける根本的な伸張性のあるストレスの45%を上回った時に、疲労障害が10,000サイクル未満で生じ得ることを示した。加えて、Panjabi et al (1996)は、サブ障害が膝の十字靱帯前方に負荷をかけるという一のサイクルが、靱帯の弾性特性(負荷変形)を変えることを発見した。Osti (1992)は、環状の裂傷及び亀裂が、椎間板の後側部のあたりで主に見られることを発見した。Adams (1982)は、過度に屈曲させた時、且つ外部及び後部のアニュラスが屈曲に関して激しく負荷される間に鉛直方向に過度に伸ばされるように疲労障害が腰部の椎間板で生じ得ることを示した時に、少し変性された椎間板の傾向を明示した。分析的な研究に於いて、層間のズレストレスは、層間剥離を引き起こし得るが、椎間板の後側部の部分おいてもっとも高いところで観察された(Goel 1995)。これら先行のデータは、1)後部の椎間板及び後部長手方向の靱帯が退化性の変化のリスクにあることと、2)悪化のメカニズムが屈曲疲労を含み得ることとを示す。
【0007】
コラーゲン組織における様々なタイプの機械的悪化が、脊柱側弯症、及びその他進行性の脊髄の奇形で生じる。脊柱側弯症は、脊柱における屈曲若しくは奇形、すなわち、異常な側面の若しくは他の屈曲若しくは奇形を主に示すが、それはしばしば原因不明である。また、進行性の脊髄の奇形は、添付の脊髄の器具を用いて若しくは用いずに外科における骨の除去後に、例えば、神経の復元処置に於いて、若しくは椎骨障害の後に於いて生じ得る。骨質の椎骨障害自体は、骨粗しょう症若しくは骨減少症に関連した、外傷若しくは年齢の結果として生じ得る。フラットバックシンドロームとしても知られている、脊柱の腰部における後湾の奇形(外部の凹面のロス、若しくは外部の凸面の増加)は、特に長い外科の構築の場合における、脊髄の融合、又は脊髄器具の取り付けでしばしば起こる続発症である。厳しい屈曲及び継続的なカーブの進行は、多くの他の健康障害を導き得るが、その健康障害は、傷付けられた呼吸器官の機能に限られず含む。加えて、人のライフスタイルは悪影響を与えられ、コスメシスのロスが生じ得る。人口の大部分は、脊柱側弯によって影響され、それは、女性の約2%、男性の約0.5%である。脊柱側弯症の80%以上が、原因不明(例えば、特発性)である。特発性の脊柱側弯症の約80%は、若い年ごろの大人に発症する。奇形の発現率は年齢とともに増加する。外部の支え等の、カーブの進行を制限する既存の控えめなアプローチは、扱い難い若しくは制限があり、そして、価値が疑われている。厳しいカーブの外科矯正は、長い回復期間とともに激しくなり、術後の支えを必要とし、そして、他の術後の問題を多くはらんでいるかもしれない。
【0008】
脊柱側弯症、及び進行性の脊髄の奇形に対する現在の処置は、支え及び外科手術で構成される。整形外科の固定具の目的は、脊髄の奇形の増加を抑制することであり、存在する奇形を修正することではない。固定具は、一般に、骨格成長することが期待できる子供達に用いられるが、彼らは、25〜40度の範囲のカーブの大きさを有する。外部の固定具は、カーブの基準として通常用いられる。しかるに、外部の支えの効果について論争がある。胴に適用された固定具負荷に対応する脊柱に送られる力の程度は、直接的に定量化され得ない。また、胴に適用されたより大きな力は、固定具に接触する組織への、固定具に引き起こされた病状の結果かもしれない。いくつかの研究は、固定具が、苦しめられる子供達の約80パーセントにおいて、不完全なカーブの進行に効果的であることを示唆している。しかし、カーブの進行を観察するほかは何もすることがないという選択肢は不適切であるため、カーブ自体若しくは他のファクターによる進行を止め得るこれらの屈曲が一般に受け入れられる割合はない。
【0009】
天然のコラーゲン架橋結合は、コラーゲン組織、特に、椎間板を安定するのに重要な役割を果たす。変形可能な(新たに形成される)架橋結合の統計的にかなり高い量は、脊柱側湾の椎間板の凹側よりも凸側に見られた(Duance, et al. 1998)。同様に、Greve, et al. (1988)は、鶏の脊柱側湾の椎間板における変形可能な架橋結合の量が、屈曲が増加されると同時に統計的に増加されたことを見つけた。このことは、細胞調整された自然の架橋結合の増加の形成が、脊柱側湾の椎間板の凸側における高められた伸縮性のある環境に応じて生じることを示す。また、Greveは、脊柱側湾の鶏の軟骨において発達のとても早いステージでより少ない変形可能な架橋結合があることを見つけた。彼らは、発達のより遅いステージでより少ない架橋数がないことから、コラーゲン架橋の違いが原因であるようには思われないと結論付けた。実際には、後に、脊柱側湾の屈曲が進行した時に、おそらく屈曲に反応して統計的に重要なより多くの数のコラーゲン架橋結合があった。Greveの結論ではないが、これは、通常レベルの架橋結合よりも多く生産する細胞の反応によって後に修復された脊柱側湾の屈曲の進行を引き起こすのに十分長い持続時間での発展的なプロセスにおける架橋結合の十分な減少として解釈され得る。これらの研究は、天然コラーゲン架橋結合の存在が、継続的な悪化を避け脊柱側湾の脊柱における椎間板組織の機械的安定性をもたらすことに対して批判的であることを示唆する。
【0010】
内因性の(自然発生−酵素で生成された、及び年齢で増加した非酵素の)及び外因性の架橋結合が、負荷を支えるコラーゲン組織における強さ及び剛性を増加することがよく確認された(Wang 1994, Chachra 1996, Sung 1999a, Zeeman 1999, Chen 2001)。Sung (1999b)は、天然架橋剤たるジェニピンが、他の架橋試薬と比較した時により大きく根本的に伸張性のある強さ及びタフさをもたらすことを見つけた。また、ジェニピンは、架橋剤としてより一般的に用いられる他のものと比して、細胞毒性がかなり少ないことを示した。粘弾性特性に関しては、Lee (1989)は、アルデヒド固定が牛心膜における圧縮緩和及びクリープを減らすことを見つけた。近年、天然コラーゲン架橋結合は、細胞を保護し且つエネルギーを浪費する“犠牲的な結合”を提供するとして記述されていた。近年、ヒステリシスの粘弾性特性を減少するため、又はエネルギーを貯蔵するコラーゲン組織の能力を増加するための外因性の架橋結合の能力について、文献における言及は知られていない。従って、ニーズは、コラーゲン架橋結合を増加することによって、脊柱側湾の、及び他の進行性奇形の脊柱における椎間板を安定させる体自体の試みを高める生化学的方法を見出すことにある。
【0011】
また、椎間板の中央部分における生物学的活動のための環境が乏しい場合には、コラーゲン組織の機械的悪化が生じ得る。細胞エンジニアリングは、細胞と、サイトカインという特別なタンパク質と、悪化させられ、損傷され、若しくはそうでなければ衰えさせられた組織の修復及び再生における合成及び天然のマトリックス若しくは骨格とを利用し、急成長しているフィールドである。椎間板に関して、細胞エンジニアリングのような生物学的解決策は、緩やかな変性椎間板において低酸素であり(酸素欠乏であり)血管のない(ある直接的な血液供給があったとしても、ほとんどない)厳しい環境によって妨げられる。椎間板は、主に、線維輪を介し、及びよく血管が新生された、骨質の且つ脊髄の椎骨に椎間板を接触させる軟骨の運動終板を介して、流体の流れ及び拡散に導かれた日周期的な圧力によって、栄養素を受け取り、そして細胞廃棄物を廃棄することが知られている。椎間板における軟骨の運動終板は、椎間板自体が、悪化させられたマトリックス分子、及び細胞廃棄物の濃縮で詰まらせられ、石灰化によって浸透性を失う。このような椎間板の浸透性のロスは、椎間板の内部の中央部分たる髄核において、細胞への栄養素の流れと、細胞からの廃棄物の流れとを減少する。このような栄養素の細胞への流れのロスは、細胞の機能性のロス、即ち、細胞の老化を生じ、細胞の機能をさらに損傷するレベルにpHが下がるのを生じてしまい、細胞の死を生じ得る(Buckwalter 1995, Horner and Urban 2001)。Horner and Urbanは、グルコース供給の減少が、生存能力のある細胞の減少を導くので、生存能力のある細胞の密度が栄養の制限により調整されることを示した。Boyd- White and Williams (1996)は、基礎膜の架橋が、血清アルブミン、架橋結合されたアルブミン、及び4つの異なる分子サイズのフルオレセインイソチオシアネートデキストラン系等の高分子の膜の浸透性を増加させることを示した。椎間板の線維輪及び/又は運動終板において増加された架橋は、グルコース及び他の栄養の高分子が細胞に流れ、廃棄物が椎間板の内部域における細胞から流れるのを促進し、そしてそれらの生存能力を改善する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、今までは、コラーゲン組織への機械的悪化を減らすことができる処置は、現在存在しない。実際には、コラーゲン組織の疲労抑制剤は他には示唆されていない。従って、人間の体におけるコラーゲン組織の抵抗を改善し、そうでなければ、人間のコラーゲン組織、特に、椎間板における後部のアニュラス部分の機械的悪化を抑制する方法に対するニーズが存在する。加えて、影響された椎間板の伸縮性側(凸側)における適切な部分の処理によって脊柱側湾のカーブの進行及び他の進行性の脊髄の奇形に対する抵抗を増加するニーズや、浸透性、特に、椎間板の外側領域における水及び高分子の浸透性及び拡散性を改善し、椎間板アニュラスの全体若しくは部分及び椎間板の軟骨の運動終板を通して、アニュラス及び椎間板の中央部分における細胞へのグルコース及び他の栄養の高分子等の栄養素の流れ及び該細胞からの廃棄物の流れを改善するニーズがある。
【0013】
椎骨の圧縮破損に伴う後湾の奇形を含む、椎骨破損に伴う脊髄の奇形は、奇形を減少する、椎骨の高さ復元処置(後湾形成)に時々伴う椎骨内の空間にセメントのような物質を注入すること(椎骨形成)によって時々処置される。また、影響される椎間板の伸張性がある側の弾性特性を増加し改善することによって緊張バンド抑制を増加する補完的な処置は、奇形の進行と同様に奇形の発現を抑制するのに有益であり得る。この方法における緊張バンド特性の改善は、脊柱の支えを安定させてなり、内部における自然の支えの手段の1つである。
【0014】
この発明のさらなる利点及び新規の特徴は、後述されており、後述の明細書の試験によって当業者には理解されるであろうし、若しくは本発明を実施することで理解されるであろう。本発明の利点は、添付の請求項に特に記載された手段、組み合わせ、構成、方法、装置、及びアプリケーショントレイによって、理解され、そして達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的の1つは、人間の体のコラーゲン組織の悪化への対抗を、その組織を架橋組織に接触させることで、改善する方法を提供する。
【0016】
本発明の他の目的は、コラーゲン架橋結合を増加することにより、老化した椎間板を安定させる体自体の試みを高めることで、椎間板の組織の進行性の機械的悪化を抑える方法を提供する。
【0017】
本発明の他の目的は、生きている人間の体の組織にこれらの試薬を直接接触することを促進するための通常のアルデヒド固化剤に比して細胞毒性が物質的に少ない架橋試薬を用いる方法を提供する。
【0018】
本発明の他の目的は、ジェニピン(ジェニポサイド)、若しくはプロアントシアニジン(バイオフラボノイド)等の非毒性架橋試薬(若しくは架橋試薬の混合物)を適切な濃度で生きた人間の椎間板組織に直接接触させることで椎間板環状組織の架橋を増加する。
【0019】
本発明の他の目的は、脊柱の屈曲若しくは起こり得る屈曲によって生じる椎間板の凸側へ針を用いて直設選択組織に注入すること、又は直接ターゲット組織の中に若しくはターゲット組織の上にキャリアゲル若しくは軟膏、若しくは処理されたメンブレン若しくはパッチ等の徐放性輸送システムを設置すること等の非細胞毒性架橋試薬の最小限に侵襲的な輸送の処理方法を提供する。
【0020】
本発明の他の目的は、効果的な疲労抑制剤として用いられ得る非毒性架橋試薬を備える構成である。
【0021】
本発明に従って、有害な機械的負荷環境が組織の悪化の一因となるところの組織の処置方法が提供される。有害な機械的負荷環境は、疲労として知られている通常の生物学的反復負荷、又はクリープとして知られ通常保持される姿勢負荷で構成されてなり、また、それは、性質的には典型に反復的なものであり、疲労の形である。本発明は、疲労抵抗を改善する、変性された椎間板の処置の方法を提供する。また、本発明は、効果的な疲労抑制剤である非毒性架橋組成物を提供する。
【0022】
本発明に従った、機械的悪化に対するコラーゲン組織の抵抗を改善する方法は、コラーゲン組織の少なくとも一部に効果的な量の架橋試薬を接触する工程を備えてなる。該架橋試薬は、ジェニピン及び/又はプロアントシアニジン又はリボース若しくはトレオース等の糖、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の代謝副産物及び糖化最終産物(AGE)、又はリシルオキシダーゼ(LO)酵素(精製された態様若しくは組み換えされた態様)等の酵素、又はトランスグルタミナーゼ(Tgase)、又はLO若しくはTgaseプロモーター、又はエポキシ若しくはカルボジイミド等の架橋剤を含む。さらに、架橋試薬は、輸送媒体にある架橋剤を備え得る。架橋試薬に接触され得るコラーゲン組織は、好ましくは、椎間板若しくは関節軟骨の部分である。組織と架橋試薬との接触は、注射針を用いて選択組織へ直接注入することで効果的になる。代わりに、組織と架橋試薬との接触は、ゲル若しくは軟骨、若しくは処理されたメンブレン若しくはパッチ等の徐放性輸送システムをターゲット組織の中に若しくはターゲット組織の上に設置することで効果的になる。また、接触は、例えば、浸すこと若しくは吹き付けによって効果的になる。
【0023】
本発明の他の目的は、コラーゲン架橋結合を増加することによって、脊柱側湾椎間板及び機械的に不十分な脊柱を安定させる体自体の試みを高める生化学的方法を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、脊柱側湾の若しくは機械的に不十分な脊柱における変形された関節の角度を増加する屈曲ヒステリシス(完全な負荷−非負荷のサイクルにおけるエネルギー損失)を減らすことによってこの安定性を高めることであり、脊柱側湾のカーブ、潜在的な奇形、若しくは進行中の奇形によって生じる椎間板の凸側の若しくは伸張性側に非毒性架橋試薬を注入することで、奇形増加負荷から“回復する”特性を増加することである。
【0025】
本発明の他の目的は、潜在的な若しくは進行性の奇形によって生じる椎間板の凸側の中に非毒性架橋試薬を注入することで、脊柱側湾の、機械的不十分な、潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における、屈曲弾性エネルギーの貯蔵及び返却(弾性)を増加することによってこの安定性を高めることである。
【0026】
本発明の他の目的は、潜在的若しくは進行性の奇形によって生じる椎間板の凸側の中に非毒性架橋試薬を注入することで、脊柱側湾の、機械的不十分な、潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における、屈曲剛性(奇形増加屈曲に対する抵抗)を増加することによって、この安定性を高めることである。
【0027】
奇形増加屈曲において失われたより少ないエネルギー、又は存在する若しくは潜在的な奇形を増加の方向での屈曲サイクルにおけるより少ないヒステリシスは、より多くのエネルギーが、貯蔵され、曲がる前の形の迅速な回復の形態で回復され得る。より多くのヒステリシスは、負荷前の形へのより緩やかな回復を反映し、従って、変形された関節における奇形のモーメント(奇形を増加する奇形の増加モーメント)を増加するより大きな傾向を反映し、そして、従って、増加された奇形の増加傾向を反映する。
【0028】
本発明は、ジェニピン若しくはプロアントシアニジン、バイオフラボノイド、又はリボース若しくはトレオース等の糖、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の代謝副産物及び糖化最終産物(AGE)、又はリシルオキシダーゼ(LO)酵素(精製された態様若しくは組み換えされた態様)等の酵素、又はトランスグルタミナーゼ(Tgase)、LO若しくはTgaseプロモーター、又はエポキシ若しくはカルボジイミド等の非細胞毒性架橋試薬に導かれ、脊柱側湾の、若しくは他の機械的に不十分な、若しくは潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における椎間板の安定性を改善して、外部の支えの必要性を取り除く若しくは増大する。注入の適切な場所は、当業者にとって可能である、影響された組織の三次元復元を用い、起こり得る若しくは進行する奇形、又は継続的な脊柱側湾のカーブの進行に影響を与えるようにこれらの試薬を適切な位置に提言するアリゴリズムを用いてこれらの復元を組み合わせて決定され得る。架橋剤アプリケーションの好ましい位置のこれらの3次元記述は、利用できる、患者の医用画像を組み入れるコンピューターソフトウェアーで形成されるのがもっとも好ましく、デスクトップコンピューター等のディスプレイ装置若しくは専用装置に導かれたコンピューターで表示されるのがもっとも好ましい。導くことができる、関節鏡視下の追加のタイプの装置は、椎間板、又は隣接する骨質の、カプセル状の、若しくは靱帯の組織における適切な部分に試薬のアプリケーション促すのに、用いられ、発展され、又は修正され得る。
【0029】
本発明の他の目的は、コラーゲン架橋結合を増加することにより、椎間板の外側領域、線維輪、及び/又は軟骨の運動終板における浸透性、特に水及び高分子の浸透性及び拡散性を増加し、これにより、流体、溶質、及び浮遊粒子のフラックスを改善し、アニュラスにおける、及び椎間板の中央部分若しくは髄核における細胞へのグルコース及び他の栄養高分子等の栄養素のフラックス、及び細胞からの廃棄物のフラックスを改善することである。
【0030】
本発明の他の目的は、コラーゲン架橋結合を増加することにより、椎間板の中央部分の細胞の生物学上の生存能力を増加することである。
【0031】
また、本発明は、運動終板をおそらく含む椎間板の外側領域の浸透性を改善して、椎間板の中央部分へ若しくはこの部分からの流体及び溶質の増加したフラックスをもたらし、この中央部分における細胞への栄養素及びこの部分からの廃棄物の排出を改善すべく、ジェニピン若しくはプロアントシアニジン、バイオフラボノイド、又はリボース若しくはトレオース等の糖、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の代謝副産物及び糖化最終産物(AGE)、又はリシルオキシダーゼ(LO)酵素(精製された態様若しくは組み換えされた態様)等の酵素、又はトランスグルタミナーゼ(Tgase)、又はLO若しくはTgaseプロモーター、又はエポキシ若しくはカルボジイミド等の非細胞毒性架橋試薬の使用に関する。これらの試薬は、好ましくは、注入され、そうでなければ、椎間板の外部環状部分の大部分、並びに椎間板の上面及び下面における運動終板に適用される。導くことができる関節鏡視下の追加のタイプの装置は、椎間板における適切な部分に試薬のアプリケーション促すのに発展され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、コラーゲン組織の少なくとも一部に効果的な量の架橋試薬を接触させる工程を備え、人間の体のコラーゲン組織が機械的悪化するのに抵抗することを改善する方法を提供する。また、本発明の第一実施形態に於いて、本発明の方法は、コラーゲン架橋結合によって老化した椎間板を安定させる、体自体の試みを高めることにより、進行性の機械的悪化を抑制する方法である。この実施形態に於いて、この機械的悪化は、反復的な負荷の生理学的なレベルに対応し得る。
【0033】
本発明の第二実施形態に於いて、本発明の方法は、コラーゲン架橋結合の増加によって脊柱側湾の、若しくは機械的に不十分な、若しくは潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における椎間板を安定させる。脊柱側弯における、並びに峡部脊柱などの進行性の脊髄の奇形における脊柱湾曲の進行、及び椎骨の圧縮破損に伴うもの若しくは脊髄の器具の取り付けに伴うものは、脊柱の部分における増加され負荷のない屈曲を含む。この増加された屈曲とともに、重力に引き起こされた曲げモーメントの関連された増加があり、もうすでに影響された関節の屈曲を増加するように振る舞う。また、それは、ある与えられた期間における垂直な活動期間と等しい負荷の期間で、保持された若しくは静的なタイプの負荷として考えられるが、脊柱湾曲進行に関連した“反復的な”若しくは疲労による負荷は、日常の重力負荷、受動的及び受動的筋肉及び接続組織に作動される負荷、多くの日数の間に脊髄の支えに適用されたそれらのモーメント効果的なモーメントを含む。奇形の増加に伴って、奇形のモーメントは、“モーメント腕”−適用された力がモーメントを生み出す距離−が増加されて増加する。本発明は、脊柱の継続的な屈曲を抑制し、矯正外科手術の付属物として、矯正のロス対向する残りの椎間板を安定させるのに用いられ得る。それは、単独で、若しくは外部の支えとして用いられ得る。
【0034】
本発明の第3の実施形態において、本発明の方法は、椎間板の浸透性、及び椎間板への栄養素の流れを増加する。椎間板の中央部分への減少された拡散は、椎間板若しくは椎間板悪化における細胞機能のロスに強く関連されている。このような拡散能力のロスは、椎間板における軟骨の運動終板(上方及び下方)と、椎間板の外側領域たる繊維輪とに影響を与える。本発明は、椎間板の外側領域たる線維輪及び/又は軟骨の運動終板の増加された架橋によって供された椎間板における中央部分若しくは髄核への及び中央部分若しくは髄核からの増加された流体の流れを明示する方法において、椎間板の様々な部分の水和反応における変化を増加する。
【0035】
本発明の架橋試薬は、特に限定されるものではない。物質的に非毒性で、コラーゲン物質に効果的な架橋剤として知られている如何なる架橋試薬も用いられ得る。架橋試薬は、生きている人間の体の組織に架橋剤を直接接触させるのを促進するように、物質的に細胞毒性がないことが求められる。好ましくは、架橋試薬は、一般のアルデヒド固化材に比して物質的に細胞毒性が少ないことを示す。より好ましくは、非細胞毒性架橋試薬が用いられる。
【0036】
適切な細胞毒性試験は、人に用いる前に、対象架橋試薬の最小限の細胞毒性を変化させることで用いられる。マウス結合細胞に適用される標準形態における試験管内の細胞毒性試験における細胞の仕様書(F895-84(2001)el Standard Test Method for Agar Diffusion Cell Culture Screening for Cytotoxicity)、又は椎間板における線維及びゲル状の組織に近い組織からの細胞株を好ましく用いるChinese Hamster Ovaries (ASTM E1262-88(1996) Standard Guide for Performance of the Chinese Hamster Ovary Cell/Hypoxanthine Guanine Phosphoribosyl Transferase Gene Mutation Assay)は、最小の細胞毒性を有することで知られている架橋試薬のある特定の組み合わせの毒性レベルを評価するのに用いられるべきである。試験管内試験におけるこれらは、人間への使用の前にインビボの動物試験によって同様に行われるべきである。
【0037】
架橋試薬は、少なくとも架橋剤を含んでなる。本発明に従って選ばれる架橋剤は、コラーゲン物質に効果的に架橋結合するものである。架橋試薬で用いられる場合に、効果的な架橋剤は、該架橋剤がコラーゲン組織の部分に接触させられたときに、コラーゲン組織における架橋結合の数を増加させるものである。効果的な架橋剤は、処理された組織の疲労抵抗を改善し、反復的な生物学的負荷からもたらされる物質特性の悪化を減少し、又は疲労負荷のための処理された組織の粘弾性特性の増加を減少する。同様に、効果的な架橋剤は、処理された組織の疲労負荷のための弾塑性特性における増加を減少させ得る。本発明の一実施形態に於いて、架橋剤は、物質的に非毒性天然架橋剤たるジェニピンである。ジェニピンは、その親化合物たるジェニポサイドから得られ、それは、クチナシのジャスミノイドの果物から分離される。ジェニピンは、Challenge Bioproducts Co., Ltd.(住所: 7 Alley 25, Lane 63, TzuChiang St. 404 Taichung Taiwan R.O.C., 電話: 886-4-3600852)から販売され得る。本発明の他の実施形態に於いて、架橋剤は、バイオフラボノイドであり、より具体的には、該バイオフラボノイドは、プロアントシアニジンである。プロアントシアニジンを含む混合物は、MegaNatural.TM. Gold(Polyphenolics, Inc製、住所:22004 Rd. 24, Medera, Calif. 93638、電話:559-637-5961)として得られる。1以上の架橋剤が用いられ得る。また、架橋試薬は、リボース若しくはトレオース等の糖、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の代謝副産物及び糖化最終産物(AGE)、又はリシルオキシダーゼ(LO)酵素(精製された態様若しくは組み換えされた態様)等の酵素、又はトランスグルタミナーゼ(Tgase)、又はLO若しくはTgaseプロモーター、又はエポキシ若しくはカルボジイミドを含む。
【0038】
架橋試薬は、架橋剤に加え輸送媒体を含み得る。架橋剤は、架橋試薬を形成すべく輸送媒体に溶解若しくは浮遊され得る。第一実施形態に於いて、架橋剤は、非細胞毒性で生体適合性のある輸送媒体に溶解される。輸送媒体は、生きている人間の体の組織若しくは周辺の組織に物質的な損傷を与えずに、その組織に架橋剤を接触を調整すべく、物質的に細胞毒性がないことが求められる。選ばれる輸送媒体は、好ましくは、水であり、より好ましくは、食塩水である。輸送媒体のpHは、好ましくは、細胞の環境と同じ若しくは近くで調整される。さらにより好ましくは、輸送媒体は、バッファーの役割を果たす。本発明の第一実施形態に於いて、輸送媒体は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0039】
架橋剤が輸送媒体に溶解される場合には、輸送媒体における架橋剤の濃度は、特に限定されるものではない。この濃度は、如何なる値でも、組織の架橋を増加に効果的であり、同時に物質的に細胞毒性がないままである。
【0040】
本発明に従って、架橋試薬は、コラーゲン組織の部分に接触される。ここで用いられるように、コラーゲン組織は、物質的な量のコラーゲンを含む体における構造的な組織若しくは負荷を支える組織と定義される。例は、椎間板、関節軟骨、線維軟骨、靱帯、腱、骨、皮膚を含み得る。一般に架橋試薬に接触されるコラーゲン組織の部分は、負荷にさらされている組織の部分である。さらに、コラーゲン組織のある悪化が少なくとも起きるところでは、架橋試薬に接触する組織の部分は、少なくとも、悪化された組織の部分である。好ましくは、負荷にさらされている部分全体、若しくは悪化された部分全体が、架橋試薬に接触される。さらに、負荷にさらされているコラーゲン組織の部分に隣接する組織も、架橋試薬に接触される。
【0041】
本発明に従った使用に特に影響を受けやすいコラーゲン組織は、椎間板、及び間接軟骨、若しくは膝半月板等の線維軟骨を含む。コラーゲン組織が椎間板であるところでは、架橋試薬に好ましくは接触される椎間板の部分は、後部、及び後側部の繊維輪である。
【0042】
コラーゲン組織の選ばれた部分は、効果的な量の非毒性架橋試薬に接触される必要がある。“効果的な量”とは、取り扱われる組織の部分での機械的効果を有するのに十分な架橋試薬の量のことである。特に架橋試薬の“効果的な量”とは、取り扱われる組織の疲労抵抗を改善するのに、結果的に反復的で生物学的な負荷を引き起こす物質的な特性悪化を減少させるのに、又は疲労負荷による、取り扱われる組織の粘弾性特性の増加を減少させるのに、若しくは疲労負荷による、取り扱われる組織の弾塑性特性の増加を減少させるのに十分な量のことである。効果的な量は、実施例1及び実施例2においてここで記載されている粘弾性テスト及び/又は弾塑性テストに従って決定され得る。
【0043】
本発明の方法は、コラーゲン組織の少なくとも一部を効果的な量の架橋試薬に接触させることを含む。この接触は、様々な方法においてもたらされ得る。好ましくは、コラーゲン組織の接触は、非細胞毒性架橋試薬の最小限に侵襲的な輸送に対する手段によってもたらされる。好ましくは、組織と架橋試薬との間の接触は、針を用いて選択された組織の中に直接注入することによってもたらされる。好ましくは、組織と架橋試薬との間の接触は、1つ若しくは最小限の注入箇所から注入することによってもたらされる。好ましくは、架橋溶液は、針及びシリンジを用いてターゲット組織の中に直接注入される。好ましくは、取り扱われるべきコラーゲン組織の部分が完全にカバーされるように、十分な注入量は、取り扱われるべきコラーゲン組織の部分に従って決められる。
【0044】
また、組織と架橋試薬との間の接触は、徐放性輸送システムによるターゲット組織の中へ若しくはその組織の上に直接的に設置することによってもたらされる。用いられ得る徐放性輸送システムの1つは、取り扱われるメンブレン若しくはパッチである。試薬含有パッチは、シリンダーの中で巻かれカニューレを通して組織部位へ経皮的に入れられ、又は巻かれずにターゲット組織表面に付けられた、生物学的に粘着性がある若しくは再吸収可能な固定装置(縫合若しくは仮縫い)を用い得る。
【0045】
他の用いられ得る徐放性輸送システムは、ゲル若しくは軟膏である。ゲル若しくは軟膏は、ターゲット組織の外部に適用され得る分解性、粘性キャリアである。
【0046】
また、接触は、浸すこと若しくは吹き付けによって、具体的には、架橋溶液がカプセル状の若しくは滑液の袋の中に注入されるところでの、カプセル内での浸すこと若しくは吹き付けによってもたらされ得る。
【0047】
注目すべきことは、ここで取り扱われる方法と構成とが、機械的悪化に対する人間の体のコラーゲン組織の抵抗を恒久的に改善することである。人が1日に2〜20の垂直な前屈屈曲を経験することを想定すると、架橋試薬にコラーゲン組織を接触させることに関連した疲労への増大した抵抗は、時間とともに減少し得る。しかしながら、好ましくは、疲労への増大した抵抗は、生理学的な機械的悪化なしに数ヶ月間から数年まで持続する。そのような状況のもとでは、前記処理は、疲労抵抗への増加した抵抗を保持するのに十分な期間で繰り返され得る。前記想定を用いると、接触は、疲労への増大した抵抗を保持するのに周期的に繰り返され得る。いくつかの処理にとって、接触の間の時間は、個人にとって約1年に対応すると想定される。それ故に、単一の処理で、若しくは繰り返される注入/処理によって、本発明の方法は、長期にわたってコラーゲン組織の機械的悪化を最小限にする。
【0048】
本発明の第二実施形態は、コラーゲン架橋結合を増加することによって、脊柱側湾の、若しくは他の機械的に不十分な、若しくは潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における椎間板を安定させる、体自体の試みを高める方法及び装置を提供する。椎間板への機械的悪化の形は、脊柱の進行性の屈曲の部分として生じる。例えば、脊柱側弯における脊柱湾曲の進行は、脊柱の部分における負荷がなく増加された屈曲を含む。この増加された屈曲に伴い、脊柱における重力に引き起こされた屈曲モーメントの関連した増加があり、これらのすでに影響された関節の屈曲を増加するように振る舞う。また、それは、ある与えられた日の間の垂直活動の期間に等しい負荷期間で、保持された若しくは静的なタイプの負荷として考えられるが、脊柱側弯の屈曲進行に関連した“反復的な”若しくは疲労の負荷は、日常の重力負荷、受動的及び能動的筋肉及び結合細胞に作動させられた負荷、及び多くの日数の間脊髄の支えに適用されたモーメントを含み得る。増加した奇形とともに、奇形のモーメントは、“モーメントアーム”−適用された力がモーメントを生む距離−が増加するに伴い増加する。脊柱側湾の支えの基本原理は、これらの変形させる力及びモーメントに抵抗して、骨の細胞及び結合細胞における負荷環境に影響を与えること及び屈曲進行に抵抗することである。本発明は、脊柱の継続的な屈曲を抑制する控えめのアプローチで、そして矯正のロスに対向して残っている椎間板を安定させる矯正外科手術の付属物として用いられ得る。それは、単独で、又は外部の支えとともに用いられ得る。
【0049】
この実施形態の一面は、非毒性架橋試薬に椎間板組織を接触することによって、脊柱側湾の、若しくは他の機械的に不十分な、若しくは潜在的に奇形の、若しくは奇形の脊柱における椎間板組織の安定性を改善し、屈曲の伸張性のある(凸の)側におけるコラーゲン架橋結合を増加する細胞の試みを補助する方法を提供する。この方法は、生きている人間の体における組織に架橋試薬を直接接触するのを促進すべく、通常のアルデヒド固化剤に比して物質的に細胞毒性が小さい架橋試薬の使用形態を利用し得る。バイオフラボノイド及びジェニポサイドは、最小の細胞毒性を有する効果的な架橋剤として示される。同様に、糖(例えば、リボース若しくはトレオース)溶液、及び代謝副産物、及びグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の最終産物(AGE)は、非酵素の糖化生成架橋結合(天然に生成された架橋結合、ペントシジンが一例である)の数を増加するのに示される。リシルオキシダーゼは、非成熟及び成熟した内因性(天然)のコラーゲン架橋結合の形態で含まれる天然に生成された酵素である。椎間板環状の組織における架橋を増加するのに用いられる方法は、ジェニピン若しくはプロアントシアニジン、バイオフラボノイド、又はリボース若しくはトレオース等の糖、又はグリオキサル若しくはメチルグリオキシル等の代謝副産物及び糖化最終産物(AGE)、又はリシルオキシダーゼ(LO)酵素(精製された態様若しくは組み換えされた態様)等の酵素、又はトランスグルタミナーゼ(Tgase)、又はLO若しくはTgaseプロモーター、又はエポキシ若しくはカルボジイミド等の最小限の細胞毒性の架橋試薬を適切な濃度で生きている人間の椎間板組織に直接接触させることを含む。
【0050】
この実施形態に於いては、架橋試薬の効果的な量は、少なくとも以下の効果が到達されるように、ターゲット組織において、好ましくは、脊柱湾曲若しくは潜在的な脊柱湾曲の1つの頂点若しくはいくつかの頂点における、又は1つの頂点若しくはいくつかの頂点の近くの前記椎間板の凸側において架橋結合が到達される量であり、その効果は、ヒステリシスに結びついた奇形の増加が減少され、弾性エネルギーの貯蔵と返還とが増加され、変形を増加する曲げ剛性が増加されることである。
【0051】
好ましくは、この実施形態に従った方法は、適切な濃度の非毒性の架橋試薬で適切な組織に接触すべく、影響された椎間板の伸長性のある(凸の)に、又は隣接骨、カプセルの若しくは靱帯の組織に注入するようなもの等の非毒性架橋試薬を最小限に侵襲的な輸送するものを用いる。適切な注入の位置は、考えられる既存の技術である、影響された組織の3次元復元を用い、そして、継続的な脊柱湾曲の進行をもっとも抑制しうるようにこれらの試薬の最適な位置を提言するアリゴリズムとこれらの復元とを組み合わせて決定される。架橋アプリケーションにとって好ましい位置のこのような3次元記述は、患者の医用画像を組み入れる通常のコンピューターソフトウェアで形成されることが最も好ましく、ラップトップコンピューター等のディスプレイ装置若しくは専用装置で導かれたコンピューターで表示されることが好ましい。本発明のこの面は、脊柱側湾の若しくは他の進行する奇形の脊柱の継続的な屈曲を抑制する控えめのアプローチで、そして矯正のロスに対向して残っている椎間板を安定させる矯正外科手術の付属物として用いられる。それは、単独で若しくは外部の支えとともに用いられる。
【0052】
好ましくは、この実施形態に従った処理方法は、組み込みのペレット若しくは徐放性カプセル、若しくは処理されたメンブレン若しくはパッチ等の徐放性輸送システムを直接的にターゲット組織の中に若しくはその上に設置すること等の細胞非毒性の架橋試薬の最小限に侵襲的な輸送の手段を組み入れる。導くことができる、関節鏡視下の付加的なタイプの装置は、椎間板、又は隣接する骨質の、カプセル状の、若しくは靱帯の組織における適切な部分に試薬のアプリケーション促すのに、発展され得る。本発明のこの面は、継続的な脊柱の屈曲を抑制する控えめのアプローチで、そして残っている椎間板を安定させる矯正外科手術の付属物として用いられる。それは、単独で若しくは外部の支えとともに用いられる。
【0053】
本発明の第三実施形態は、コラーゲン架橋結合を増加することによって椎間板の浸透性を増加する方法及び装置を提供する。
【0054】
この実施形態の1つ目の面は、椎間板の外側領域、繊維輪、及び/又は軟骨の運動終板の浸透性を増加させ、これによって、コラーゲン架橋接合による椎間板の中央領域若しくは髄核までの又は中央領域若しくは髄核からの流体流動を改善する方法を提供する。
【0055】
この実施形態の第2の面は、コラーゲン架橋結合を増加することにより、外部椎間板の浸透性を増加しそして椎間板の中央部分の流体流動を増加して中央部分の細胞の栄養素の流れを増加し、また、細胞廃棄物及び悪化させるマトリックス分子の椎間板の中央部分からの流れを増加する方法を提供する。
【0056】
この実施形態の第3の面は、コラーゲン架橋結合を増加することにより、細胞の生物学上の生存能力又はサイトカイン等の細胞刺激剤の効果、及び椎間板の中央部分の成長ファクターを増加する方法を提供する。
【0057】
この実施形態は、椎間板の中央領域への栄養素の流れを改善し、また、この中央領域からの廃棄物の流出を改善する方法を提供する。この流れの改善は、椎間板の外部領域への架橋試薬の適用により生み出された、椎間板の外部領域の増加した浸透性によっておおよそもたらされる。
【0058】
この実施形態に従った方法は、注入すること等の非細胞毒性の架橋試薬の最小限に侵襲的な輸送、又は組み込みのペレット若しくは徐放性カプセル、若しくは処理されたメンブレン若しくはパッチ等の徐放性輸送システムをターゲット組織の中への若しくはターゲット組織の上への設置を用いる。導くことができる、関節鏡視下の追加のタイプの装置は、適切なターゲット部分に試薬のアプリケーション促すのに発展され得る。これらの輸送方法は、椎間板の外側領域若しくはアニュラスにおける架橋処理によって、流体の流れ、溶質の輸送、栄養素の供給、及び廃棄物の除去を増加する控えめのアプローチで用いられる。これらの輸送方法は、移植され若しくはそうでなければ処理されていない細胞の生存能力を改善し、そして椎間板の生物学的活動における増加に効果を与える、椎間板の組織エンジニアリング処置にとって本質的な付属物として機能する。細胞エンジニアリング処置及び細胞若しくはサイトカインベースの方法は、誘導の幹細胞(自己生成の、若しくは自己移植の、初期の、若しくは非初期の、生成された筋肉、生成された血、生成された骨髄、若しくは生成された脂肪等)の移植、成長ファクターの遺伝子−治療輸送、添付された成長ファクターとともにするマトリックスの移植、成長ファクターの直接のアプリケーション、移植された組織若しくは細胞の移植、異種移植片組織若しくは細胞の移植であり、椎間板における増加された生物学上の活動を促進する。加えて、これらの輸送方法は、処理の組織エンジニアリングタイプが、核の中央部分への拡散を増加する目的で適用されない場合に用いられる。
【0059】
本発明の他の面は、椎間板の安定性を改善すべく、機械的悪化へのコラーゲン組織の抵抗を改善すべく、椎間板まで若しくは椎間板からの流体流動性を改善すべく、及び椎間板における細胞の生物学上の生存能力を高めるべく、装置、又は“試薬及びアプリケーショントレイ”として前記架橋剤を使用することに関する。
【0060】
“試薬及びアプリケーショントレイ”は、無菌であり、無菌のパッケージ内に収容される。必要で適切で事前に測定された試薬、溶媒、及び使い捨てできる輸送装置すべては、適切に包装され殺菌された“試薬及びアプリケーショントレイ”を含む外部のパッケージ内に一緒に包装される。試薬、溶媒、及び輸送装置を備えるこの殺菌されたトレイは、内部表面上が殺菌された塑性の囲い内に収容される。このトレイは、適切なアプリケーション位置を提案するのに必要とされ、パッケージ化されたコンピューターハードウェアー及びソフトウェアーから分けられて利用できるように形成され得る。
【実施例】
【0061】
(試験例1、2)
33個の腰部の椎間関節は、生後14ヶ月の子牛の脊柱から得られた。この椎間関節は、未処理コントロールの12試料、ジェニピン処理1(G1)の6試料、ジェニピン処理2(G2)の13試料の3つのグループに任意に分けられた。G1処理は、濃度0.033%のジェニピンのPBSに全試料を72時間浸すことを含んだ。同様に、G2処理は、濃度0.33%のジェニピンのPBSに全試料を72時間浸すことを含んだ。PBSにおける0.33%のジェニピンは、50mLの10倍希釈で作製される。500ml(500gm)とジェニピン1.65グラムの混合物とを与えて、PBSを蒸留水で10倍希釈。心膜及び腱の組織サンプルでの前のテストは、組織を架橋することから生じる組織の膨張(組織内への水の浸透流入)の抑制を示した。いくつかのコントロールは、疲労テストより前には浸されなかった。他のものは、食塩水に72時間浸された。水の質量の減少実験は、ジェニピンに浸されたコントロールと浸された0.9%食塩水に浸されたコントロールとの間の外部のアニュラス水和反応に等価のものを構築するように実施された。処理の選択は、脊柱及びレベルによって任意抽出された。試料の椎骨の端は、機械的テストを促進するのにポリウレタンに漬けられた。
【0062】
圧入テスト及び圧縮/屈曲疲労サイクルは、表1に示す順序で実施された。
【0063】
【表1】


【0064】
負荷レジメンにおける所定のポイントでは、圧入テストが、以下に示すように粘弾性特性を検出すべく用いられた。圧力緩和データは、直径3mm半球状圧子を10Nで傾斜負荷し60秒間その表示で保持してもたらされたストレスの減少を記録して集められ、圧力緩和として参照された。また、圧入テストは、傾斜負荷データから硬さインデックス(圧入への抵抗)を計算することにより弾塑性特性を決定するのに利用された。硬さ測定を記録する前に、組織は、繰り返し10回(60秒/回、初期負荷10Nの表示で)圧入される。
【0065】
このテストの手順は、二つの原理を基礎としている。第一に、粘弾性の効果は、繰り返された負荷によって漸近的に減少する。第二に、硬度測定は、組織の負荷の経歴に反応する。しかしながら、この効果は、10回の負荷のサイクルに従って無視される。この効果を最小限にすべく、粘弾性データ(圧力緩和)は、以前に圧入されていない組織から収集される。一方で、弾塑性データ(硬度)は、繰り返し負荷された(前もって調整された)組織から収集される。この場合、反復的な圧入は、硬度測定における粘弾性特性の変化の望ましくない効果、言い換えれば再現性の欠乏を減らすことが意図される。これらのテストの手順は、負荷の経歴及び位置の変化に伴う測定の再現性におけるいくつかの初期実験から導かれた。
【0066】
初期圧入テストに従って、試料は0.25Hzの速度で3000回のサイクルで200Nの屈曲・圧縮で反復的に負荷された。この負荷は、横断面における試料の中央ポイントから40mm前方で、横断面に垂直に適用された。圧入テストデータの第2セットは、疲労後に採取される。この手順は、二つの疲労負荷に対して行われた。全てのテストの間、これらの試料は、これらの水分量を保持するように食塩水で湿ったガーゼに包まれた。疲労サイクル及び非破壊圧入テストは、MTS Test Star data acquisition systemとともに、MTS 858.02 biaxial, table-top, 10 kN capacity servo-hydraulic materials test station (MTS, Eden Prairie, Minn.)で実施された。いくつかの統計量は、結果の有意性を評価すべく計算された。ネスト化した双方向分散分析(ANOVA)は、疲労サイクルの処理及び回数による影響を確認すべく用いられた。データの非パラメトリックの性質により、マンホイットニー非パラメトリック順位和検定は、処理が、1)組織のサイクル前の機械的パラメータ、又は、2)疲労負荷による弾塑性及び粘弾性の機械的パラメータにおける変化(悪化)の量に影響しないという帰無仮説を検定すべく用いられた。統計学的有意性のための有意水準をp<0.05とした。
【0067】
ネスト化した双方性ANOVA分析は、粘弾性及び弾塑性の両方(硬度)の機械的パラメータが疲労サイクルによって及び処理のタイプによって独立的に影響されることを示した。これらの統計学的結果は、表2に示されている。
【0068】
緩和テストの結果は、図1に図示されている。
【0069】
架橋処理によって生じる緩和カーブの初期下方移動があった。これは、より高い圧力緩和としての有益な効果がより激しく悪化された組織に関連し得ることを示し得る(Lee 1989)。この初期のG1及びG2処理グループの事前の疲労緩和は、コントロールの事前の疲労緩和よりもそれぞれ26%、19%低かった(p=0.009、及びp=0.026)。また、非外傷性の負荷サイクル6000回後の緩和における変化によって明示されるように、疲労抵抗における劇的な改善があった。G2処理された椎間板に対する疲労サイクル6000による緩和における変化は、コントロールにおける変化の1/3よりも小さかった(p=0.044)。しかしながら、ジェニピンのより少ない濃度は、疲労抵抗における同様の改善を引き起こさなかった。
【0070】
硬度テストの結果は図2に図示されている。G2架橋処理によって生じた硬度データの初期の上方移動がある。これは、硬度のロスが、組織の構造的完全性の単なるロスであり得るというような有益な効果を示し得る。G2処理グループの初期の事前の疲労硬度は、コントロールグループのものよりも17%大きかった(p=0.026)。しかしながら、この有益な効果は、3000疲労サイクルより前に破壊し、3000〜6000サイクルにおける硬さの変化は、2グループにとって基本的に同じである(G2−0.94、コントロール=−1.01)。
【0071】
【表2】


【0072】
上記データは、反復的な非外傷性の負荷による椎間板組織の弾性及び粘弾性の機械的悪化を定量化する。これらの実験結果は、非毒性の架橋試薬が、コラーゲン組織、即ち、椎間板における物質特性の疲労に関連した悪化を減らすことを示す。粘弾性の悪化における3倍以上の減少が、濃度0.33g/molのジェニピンに子牛椎間板組織を浸すことによってもたらされた。テストされた処方は、弾性の機械的特性(硬度)における改善を3000回のテストサイクルまで維持することはできなかった。
【0073】
脊髄の椎間板における摩耗及び裂傷の匹敵する量を平均的な人が経験する時間の長さを正確に見積もることは困難である。確実に、述べられたテストによって課される機械的悪化に加えて、テストする環境によってこれら死んだ組織の加わる“自然の”悪化がある。非負荷のコントロールは、物質的な特性の“自然の”悪化がわずかであることを示した。テストを通して試料の水分を保つことによって、及び負荷の頻度を促進することによって、この自然悪化を最小限にするように測定が実施された。同時に、負荷の頻度は、組織のオーバーヒートを避けるべく、生理学的な限界内にとどめた。これらの測定が、死体の組織の試験管内での機械的テストに対する標準的手順を構成することは注目すべきことである。人が1日に2〜20の垂直な前屈屈曲を経験することを想定すると、これらのデータは、生物学的な機械的悪化の数ヶ月から数年に概ね一致する。
【0074】
前記処理は、例えば、この負荷の大きさで3000回の疲労サイクルによって表される期間で繰り返される。上記の想定を用いると、このサイクルの数は、ある個人にとって凡そ1年に一致すると見積もられ得る。それ故に、単一処理、若しくは繰り返される注入/処理に伴い、個人は、長期間にわたり椎間板の機械的悪化を最小限にすることができ得る。別のオプションは、直接的に適用され取り扱われるパッチ、ゲル若しくは軟膏等の徐放性輸送システムを含み得る。
【0075】
(試験例3、及び3a)
実験は、前処理と比較して組織の側面の曲げ安定性に影響を与えるべく、最小限の知られた細胞毒性を備える架橋試薬の様々な処方で椎間板の環状の組織に一方的に適用することの有効性を評価して行われた。
【0076】
実験は、5つの子牛の脊柱部分を用い、各部分は、3つの腰部の椎間関節(運動分節)、4つの椎骨、及び介在する3つの椎間板を含んでいた。茎は切断され、後部のプロセスは取り除かれた。この部分は、質量で0.33%のジェニピンの架橋結合されたグループ、0.5%のジェニピングループ、0.66%のジェニピングループ、及び0.66%ジェニピン+0.1%プロアントシアニジングループにランダムに分けられた。各グループは、3つの運動分節を含んでいた。各前処理された脊柱は、それ自体のコントロールとなった。繰り返されたテストは、測定の再現性を決定すべく、いくつかの未処理の及び処理された試料において実施された。知られた最小限に細胞毒性のある架橋試薬の加えられる適切な濃度及び組み合わせは、特定の組織の確認された細胞毒性を元に選ばれ得る。この点で、糖溶液(リボース、及び1−トレオース等)、代謝副産物(メチルグリオキサル、及びグリオキサル等)、天然酵素(リシルオキシダーゼ、及びトランスグリタミナーゼ等)は、本質的に細胞毒性がないであろう。同様のテストは、細胞の悪化を抑制すべく、適切な殺菌手順、及び抗生物質とともに、フレッシュで非冷凍の動物の組織において実施され得る。糖溶液は、殺菌培養の期間に非酵素的糖化の架橋結合を引き起こすようにフレッシュの椎間板に一方的に投入され得る。
【0077】
4点側面屈曲テストは、カスタム固定具とともにMTS 858 materials testing systemを用いて実施され、負荷及び表示は、デジタルで記録された。まず、試料は筋肉及び非負荷の支える組織からはずされ、それから、末端の椎骨はそれらの半分の高さで四角の型でポリウレタンに浸された。それから、浸された脊柱部分は、脊柱の側部が鉛直面で置かれるように底部の二つのローラーに置かれた。屈曲負荷は、この部分の中央の2つの椎骨に接触するように2つの上方のローラーによって作動された。ローラー上の試料の処理前及び処理後の位置が同じであることを確保するように注意が払われた。4点屈曲の特性としては、2つの上部のローラーの間の中央の椎間板を含むテスト試料の中央部分は、同程度に分散したズレ負荷及び屈曲モーメントを有する。100N(0.5mm/s)までの傾斜負荷が、処理前及び架橋処理後に、各脊髄に右及び左の側面屈曲で適用された。
【0078】
架橋試薬は、脊柱の一側面側の中に2、3回注入することによって各脊柱試料における椎間板それぞれに輸送された。各注入は、1ccの試薬を含む。26ゲージの皮下注射針が用いられた。処理された部分は、最終テストの前の36時間、湿ったペーパータオルに包まれた閉鎖された容器に置かれた。テスト後、椎間板は、試薬に接触された組織の部分を視覚的に立証すべく横方向に切断された。
【0079】
側面の屈曲に対する抵抗、及び側面の屈曲安定性は、2つの測定によって検定され、一つが弾塑性であり、もう1つが粘弾性である。第一は、変形させる力0.1〜100Nの変形量による中立ゾーン(低負荷)屈曲剛性であった。第二は、組織によって失われる若しくは貯蔵されないヒステリシス若しくは屈曲エネルギーであった。より少ないヒステリシスは、変形された位置に留まるよりも屈曲から回復する能力がより大きいことに対応する。また、それは、より大きな粘性反応に比べて、より大きな弾性でばねのような反応を反映する。
【0080】
注入は、椎間板アニュラスの略半分、右若しくは左半分に架橋試薬を効果的に分配する。表3に結果を示す。屈曲剛性の中立ゾーンは、処理された側が緊張状態にあるときのみに、処理によって一貫して増加された。剛性の増加の平均の大きさは、12%であり、0.66%ジェニピン+0.1%プロアントシアニジンの処理で26%増加した。ヒステリシスは、処理された側が緊張状態にあるときのみに、処理によって一貫して減少した。ヒステリシスにおける減少の平均は、31%であり、0.66%ジェニピン+0.1%プロアントシアニジンの処理で37%減少した。
【0081】
【表3】


【0082】
これらの結果は、最小限に非毒性の架橋試薬での架橋結合の増加が、脊柱側湾の脊柱において予想されるように、変形させる力に対する椎間板の不安定性を効果的に減少させることを明示する。この安定性の効果は、0.66%ジェニピン+0.1%プロアントシアニジンの処理でより大きいことが観察された。結果的に、屈曲エネルギーの粘弾性の消失を減少させ、椎間板(より低いヒステリシス)の回復を増加させることにより、及び緊張状態における脊髄の処理された側を置く方向における屈曲剛性を増加させることにより、注入できる非毒性の架橋結合の増加は、脊柱側湾の湾曲の進行、及び他の進行する脊髄の奇形に効果的に抵抗する。
【0083】
(試験例4)
浸し、持続的に圧縮負荷を保持し、そして再度浸すことの期間前後における椎間板の様々な部分(脊髄、内部線維輪、外部線維輪)の水和における変化を測定することにより、様々な部分への及び様々な部分からの流体流動が検出され得る。コントロール椎間板と、最小限の細胞毒性を有することが知られた架橋試薬で処理された椎間板との間のこれらの測定を比較することによって、我々は、流体流動及び浸透性における架橋処理の効果を見る。
【0084】
24の子牛(生後4ヶ月の牛)の椎間板のすべてが、この実験に用いられた。椎間板組織の3つの異なる部分−髄核、内部線維輪、外部線維輪−の水分量がテストされた。水和変化は、マイクロ天秤(検出感度:0.1mg)を用いて試料を量ることで測定された。水分量は、下記式で算出された。
M=(湿重量−乾燥重量)/湿重量=gH2O/g湿重量
【0085】
乾燥の手順は、温度90℃にコントロールされたオーブンに試料を24時間置くことを含んでいた。
【0086】
試料は、4つのテストで分類された。
【0087】
1.グループA:3つの試料はこのグループだった。それは、コントロールグループとなった。試料は、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)に1日間浸され、それから、水和反応分析が行われた。
【0088】
2.グループB1:4つの試料がこのグループだった。1日間PBSに浸されたことに加え、この試料は、コントロールとして2日間以上PBSに浸され、それから、水和反応分析が行われた。
【0089】
グループB2:5つの試料がこのグループだった。1日間PBSに浸されたことに加え、試料は、0.33%のジェニピン溶液に2日間浸され、それから、水和反応分析が行われた。
【0090】
3.グループCにおいて、短時間における一定の圧縮負荷(クリープ)の量が、模擬実験された。
【0091】
C1:3つの試料がこのグループだった。試料は、3日間PBSに浸され、750Nの圧縮が、材料テストマシンによって1時間適用された。椎間板は、材料テストマシンの負荷ラムに取り付けられた2つのローラーによって、5度の屈曲姿勢で圧縮された。水和反応分析が、クリープ負荷後すぐに実施された。
【0092】
C2.3つの試料は、このグループである。この試料は、1日PBSに浸された後、2日間0.33%ジェニピン溶液に浸され、750Nの圧縮負荷で同等のクリープ負荷が行われた。水和反応分析が行われた。
【0093】
グループDでは、人があお向けの姿勢であるような通常夜に生じる圧縮負荷の期間に続く水の吸収が、模擬実験された。
【0094】
D1:試料は3日間PBS溶液に浸され、それから1時間の750Nのクリープ負荷が適用された。クリープ負荷後、試料は、1日間コンテナーにおいてPBS内に置かれ、続いて水和反応分析された。
【0095】
D2:3つの試料は、含まれ、1日PBSに浸された後、2日間0.33%ジェニピン溶液に浸された。1時間750Nのクリープ負荷が適用された。試料は、さらに1日間PBSに置かれ、続いて水和反応分析された。
【0096】
結果を表4に示す。一般に、クリープ負荷は、組織からの流体を追い出し、流体のクリープ再吸収が生じる。本発明における結果の付属物は、コントロールと比較して、ジェニピン架橋試薬処理された椎間板における中心核への及び該中心核からの流体の流れが合わせて64%増加されたことである。
【0097】
【表4】


【0098】
これらの結果は、椎間板組織の架橋の増加が、椎間板の中央部分への、及び該部分への増加された流体の流れを生じた。椎間板核へのこの増加された流体流動は、この処理が、椎間板の中央部分における細胞供給された栄養素の増加並びに細胞及びマトリックス廃棄物の増加された除去に影響を与えることを示す。
【0099】
(試験例5)
人は、背痛に苦しみ、そして食塩水(0.15M)における400mMのL‐トレオース又は食塩水における200mMのメチルグリオキサルを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのリシルオキシダーゼを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのトランスグルタミナーゼを含む溶液等の効果的な量の架橋剤を影響された椎間板に注入することによって椎間板の悪化のMRI若しくはレントゲン写真のサインをおそらく示す患者における、初期における控えめの非外科的処理を実施し得る。この処理は、影響された椎間関節を安定させるべく、影響された椎間板組織の疲労抵抗を増加すべく、悪化させられた椎間板への影響の流れ及びその椎間板からの廃棄物の流れを改善すべく、椎間板の再水和反応及び次の椎間板高さでの増加を可能にすべく、さらなる椎間板への退化性の変化を抑制すべく、苦しめられた椎間板からの負荷の伝染を変えるべく、さらに椎間板への退化性の変化を抑制すべく、通常の負荷の影響にともなる椎間板物質におけるヘルニア形成を潜在的に抑制すべく、椎間板外部における神経の要素での圧力を潜在的に開放すべく、椎間板における神経末端での圧力を潜在的に開放すべく、及び背痛の発現率を減少させるべく実施され得る。架橋剤の注入は、医師によって適切であると考えられるなら鎮痛剤若しくはステロイドの標準的な注入が付きものであり得る。
【0100】
(試験例6)
人は、食塩水(0.15M)における400mMのL‐トレオース又は食塩水における200mMのメチルグリオキサルを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのリシルオキシダーゼを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのトランスグルタミナーゼを含む溶液等の効果的な量の架橋剤で、隣接する椎間板全体若しくは部分を処理することによって、結果として生じる奇形を最小限にする、脊髄の器具の取り付けを受ける患者を扱い得る。外科の器具の取り付け後すぐに若しくは外科後数日以内に、架橋剤は、機器を備えたレベル近くまで椎間板全体の中に注入され得る。蛍光透視鏡の、若しくはその他イメージングの手段は、選ばれた組織に架橋剤を輸送すべく用いられ得る。長くてマルチレベルの胸腰部の安定性の場合、下方近くの(尾側の)椎間板は、自然の脊柱前弯症のロスを抑制するように取り扱われ、上方近くの(頭側の)。
【0101】
(試験例7)
もし、患者が、従来の外科の選択肢が神経の構造の圧力を減らすべく椎弓切除を実施することを指示し得るところで、グレート1の脊椎すべり症(隣接する椎骨に比較した椎骨の25%以下の滑り)、脚における痛み若しくは衰弱を含む神経の問題、又は背痛に苦しむならば、人は、結果として生じる奇形の進行を最小限にする、椎間板の後部面若しくはアニュラス全体に対して、部分的に“すべった”椎間板の中に、食塩水(0.15M)における400mMのL‐トレオース又は食塩水における200mMのメチルグリオキサルを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのリシルオキシダーゼを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのトランスグルタミナーゼを含む溶液等の架橋試薬を注入することで組み合わされた同じ椎弓切除の手順でその患者を処置し得る。そのような場合に、医師が処置を施すことの選択に従って、圧力を復元処置(椎弓切除)と同時に若しくはその後に、好ましい非毒性の架橋剤の複数回の注入は、単一の若しくは複数の注入箇所を通じて実施され得る。患者は、数日間激しい運動を避けるように指示されるべきである。架橋剤処置によって供される内部の安定性は、医師の判断に従って外部の支え等の他の控えめな手段によって増大され得る。
【0102】
(試験例8)
これは、自己の幹細胞の移植及び架橋処置を含むハイブリッド処置のインビボにおける動物テストの例である。自己の幹細胞から導かれた筋肉細胞は、Sprague-Dawleyラットの4グループの、機械的に悪化された細長い椎間板の核の中に注入され得る。第一グループは、幹細胞の移植前にターゲット椎間板に注入される、食塩水(0.15M)における400mMのL‐トレオース又は食塩水における200mMのメチルグリオキサルを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのリシルオキシダーゼを含む溶液又はは食塩水における50〜100μgのトランスグルタミナーゼを含む溶液等の効果的な非毒性の架橋試薬を有し得る。第二グループは、幹細胞が移植されるのと略同時にターゲット椎間板に注入された架橋試薬を有し得る。第三グループは、幹細胞の移植に続き1日架橋で処置されたターゲット椎間板を有し得る。第四グループは、添付の架橋処置なしで移植された幹細胞を有し得る。処置前に、各対象椎間板は、前処理によって確認されるような椎間板を悪化させる反復的な機械的負荷(1.2MPaまでの圧縮屈曲)を1〜2週間受け得る。処置に続き、ラットは、犠牲になる前に、さらに2、4、8、若しくは16週間保持され得る。犠牲後に組織化学的な(コラーゲンI/II及びプロテオグリカンマトリックス、アポトーシス細胞、及び炎症の細胞を定量する)、機械的な、同化作用の(リアルタイムのPCR分析が、コラーゲン−1オール、コラーゲン−2オール、及びアグリガンの発現を定量する。)、及び異化作用の(MMP−3、MMP−13、ADAMT−4mRNAマーカー)アッセイは、4つの期間周期で架橋結合された及び非架橋結合のグループに対する細胞ベースの処理の有効性、生存能力、及び持続時間を立証し定量化すべく椎間板組織において実施され得る。椎間板の架橋結合の増加は、幹細胞生存能力及び効果の持続時間、悪化された細胞外の組織の再生及び修復、粘弾性及び弾塑性物質特性、並びに関節安定性を改善し得る。
【0103】
(試験例9)
人は、食塩水(0.15M)における400mMのL‐トレオース又は食塩水における200mMのメチルグリオキサルを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのリシルオキシダーゼを含む溶液又は食塩水における50〜100μgのトランスグルタミナーゼ等の架橋剤をターゲットエリア(人が、架橋剤と、椎間板の、軟骨の運動終盤との間の接触を促進すべく、椎間板核及び内部アニュラスの上面及び下面の注入を期待し得る)の中若しくは近傍に注入することによって、椎間板(好ましくは、運動終板及びアニュラスを含む)の付属物処理と共に、変性された椎間板の処置(限定されるものではないが、成長ファクターのある誘導の治療された輸送における幹細胞の移植、設置されて成長ファクター、成長ファクターの直接のアプリケーションへのマトリックスの移植、移植された組織若しくは細胞の移植、異種移植片組織若しくは細胞の移植)をベースとして細胞若しくはサイトカイン(成長ファクター)を受けた、若しくは受け得る患者を処置する。この処置は、椎間板の細胞への栄養素フローの増加に影響を与えるべく、廃棄物を細胞からの除去量を増加すべく、細胞の再生及び修復の能力を増加し、これにより処置に基づく細胞若しくはサイトカインの有効性を改善すべく、及び椎間板における細胞の生存能力を改善し、これにより増加された生物学上の活動を保持し有益な活動の持続時間を増加すべく処理され得る。
【0104】
(試験例10)
これは、架橋処理後の死体の椎間の関節を生化学的にテストすることの例である。
【0105】
個々の子牛及び人間の死体の胸腰部の椎間の関節の試料は、結合された、若しくは他の機器を備えた部分に隣接する無傷の脊髄の部分の後湾奇形を実験すべく、反復的で組み合わされた屈曲−圧縮−前方へのずれを受け得る。4つの処置グループは、非処置のコントロールと比較され得る。各グループは、胸腰部の脊柱の似たようなところから5以上の死体の試料を含み得る。第一処置グループは、食塩水(0.15M)中の400mLのトレースを含む溶液で注入することによってアニュラスの後部半分において処置され得る。このグループの各椎間板に注入される全量は、1mLであり得る。第二処置グループは、食塩水中の400mLのトレース溶液で注入することによって椎間板全体に渡って処置され得る。第三処置グループは、食塩水中の200mMメチルグリオキサルを含む溶液で注入することによって椎間板全体に渡って処置され得る。第四処置グループは、食塩水中の50〜100μgリシルオキシダーゼを含む溶液で注入することによって椎間板全体に渡って処置され得る。これらの椎間板に注入される全量は3mLであり得る。異なる架橋処置の妨害効果は、架橋結合処置及び奇形の負荷のアプリケーションの後で再生されていない変形の量を評価することによって比較され得る。組み合わされた負荷の1000サイクルは、永続的な変形が光電子工学の位置測定システムを用いることによって測定される後に適用され得る。ピークの負荷及びモーメントはグループ間で一定であり得る。ピークモーメントは、脊髄のレベル(例えば、胸髄上部は1Nmであり、腰部は3Nmである)に依存し1〜3Nmであり得る。腰部の椎間のレベルにおいて、ピークのずれ負荷は200Nであり、ピークの圧縮負荷は500Nであり得る。胸髄上部レベルにおいて、ピークのずれは100Nであり、ピークの圧縮は250Nであり得る。永続的な変形の測定は、処置されていない椎間板との比較で、架橋結合された試料の変形の平均における減少された量を明示し得る。
【0106】
本発明は、発明の基本コンセプトが実行され得る様々な方法のいくつかのみの典型であり、ある好ましく実施形態及び他の実施形態に関して述べられている。当業者にとって考えられ得る、発明のコンセプトの実施における修正及び変更は、添付した請求の範囲に定義されているように本発明及びその同等のものの範囲内である。
【0107】
次ぎの刊行物は、参照によってここで組み入れられている。
【0108】
<文献リスト>
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【0109】
Buckwalter, J A, Aging and degeneration of the human intervertebral disc, Spine, 20:1307-14, 1995.
【0110】
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【0111】
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【0112】
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【0117】
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【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、後部の椎間板のストレス緩和における架橋処理(G1=0.33g/mol、G2=0.033g/mol)の効果を示す、緩和(N)とサイクル数との関係図。
【図2】図2は、浸透に対する後部の椎間板の硬さ若しくは抵抗における架橋処理(G1=0.33g/mol、G2=0.033g/mol)の効果を示す、Brinnellの硬さインデックスとサイクル数との関係図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板内のコラーゲン組織の少なくとも一部に効果的な量の架橋試薬を接触させる工程を備えてなる、継続的に変形させる力にさらされている脊柱の椎間板の安定性を改善する方法。
【請求項2】
(a)減少された屈曲ヒステリシス、(b)増加された屈曲剛性、又は(c)増加された屈曲弾性エネルギー貯蔵を1以上備え、脊柱の物質特性が、奇形増加屈曲への対抗を増加することに関係して改善される請求項1の方法。
【請求項3】
脊柱が、(a)脊柱側弯症、(b)腰椎すべり症、又は(c)脊柱後弯症を1以上含み且つ以前から存在する奇形を備えてなる請求項1の方法。
【請求項4】
脊柱が、(a)被られた椎骨圧縮破損を有すること、(b)脊髄の器具の取り付け、(c)添付の脊髄の器具なしでの外科の骨の除去、若しくは(d)添付の脊髄の器具を用いる外科の骨の除去の1以上の結果として継続的に変形させる力にさらされている請求項1の方法。
【請求項5】
架橋試薬が、脊柱における屈曲若しくは潜在的屈曲によって生じる椎間板の凸側の少なくとも一部分に接触する請求項1の方法。
【請求項6】
さらに、(a)前記椎間板を安定させる矯正外科手術を行うこと、及び/又は(b)前記椎間板を安定させる外部の固定具を摩擦させることを含む請求項1の方法。
【請求項7】
前記架橋試薬が、ジェニピン、プロアントシアニジン、リボース、トレオース、グリオキシル、メチルグリコール、リシルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リシルオキシダーゼプロモーター、Tgaseプロモーター、エポキシ、及びカルボジイミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項1の方法。
【請求項8】
さらに、前記椎間板に隣接する組織内のコラーゲン組織の少なくとも一部に効果的な量の架橋試薬を接触させる工程を備えてなる請求項1の方法。
【請求項9】
コラーゲン組織と架橋試薬との間の接触が、コラーゲン組織の部分の中に若しくは該部分の上に直接徐放性輸送システムを置くことによって発揮される請求項1の方法。
【請求項10】
前記架橋試薬に前記コラーゲン組織を接触させる場所を決定する、コラーゲン組織の三次元復元を用いることをさらに備えてなる請求項1の方法。
【請求項11】
コラーゲン架橋結合を増加することで細胞若しくはサイトカイン刺激剤の効果を増加すべく、椎間板の中央部分における細胞若しくはサイトカイン刺激剤と併せて用いられる請求項1の方法。
【請求項12】
細胞刺激剤の1種以上が、幹細胞の移植、成長ファクターの遺伝子−治療輸送、成長ファクターに添付されたマトリックスの移植、成長ファクターの直接的なアプリケーション、移植された組織若しくは細胞の移植、及び異種移植片組織若しくは細胞の移植を含むグループから選択される請求項11の方法。
【請求項13】
前記幹細胞が、自己生成の若しくは自己移植の、初期の若しくは非初期の、生成された筋肉、生成された血、生成された骨髄、若しくは生成された脂肪である請求項12の方法。
【請求項14】
物質的に非毒性の架橋試薬を含んでなる、あるがままの状態における(生きている体における)椎間板の安定性を改善する装置。
【請求項15】
椎間板の安定性が、(a)減少された屈曲ヒステリシス、(b)増加された屈曲剛性、(c)増加された屈曲弾性エネルギー貯蔵を1以上備える、奇形増加屈曲への対抗を増加することに関係して改善される請求項14の装置。
【請求項16】
脊柱が、(a)脊柱側弯症、(b)腰椎すべり症、又は(c)脊柱後弯症を1以上含み且つ前から存在する奇形を備える請求項14の装置。
【請求項17】
脊柱が、(a)被られた椎骨圧縮破損を有すること、(b)脊髄の器具の取り付け、(c)添付の脊髄の器具なしでの外科の骨除去、若しくは(d)添付の脊髄の器具を用いる外科の骨の除去の1以上の結果として継続的に変形させる力にさらされている請求項14の装置。
【請求項18】
さらに、(a)架橋試薬を注入するシリンジ及び注射針、又は(b)架橋試薬のための徐放性輸送システムのどちらかを備える請求項14に従った装置。
【請求項19】
装置が、脊柱の屈曲若しくは潜在的な屈曲によって生じる、椎間板の凸側の中に架橋試薬を注入するシリンジ及び注射針をさらに備えてなる請求項14に従った装置。
【請求項20】
架橋試薬が、ジェニピン、プロアントシアニジン、リボース、トレオース、グリオキシル、メチルグリコール、リシルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リシルオキシダーゼプロモーター、Tgaseプロモーター、エポキシ、及びカルボジイミドより選ばれた1種以上の化合物である請求項14に従った装置。
【請求項21】
装置が、組み込みのペレット、徐放性カプセル、処理されたメンブレン、パッチ、ゲル、及び軟膏より選ばれた1種以上の徐放性輸送システムをさらに備えてなる請求項14に従った装置。
【請求項22】
椎間板内のコラーゲン組織の少なくとも一部が、効果的な量の架橋試薬と接触するときに、コラーゲン架橋結合を増加することで細胞若しくはサイトカイン刺激剤の効果を増加すべく、椎間板の中央部分における細胞若しくはサイトカイン刺激剤と併せて用いられる請求項14の装置。
【請求項23】
細胞刺激剤の1種以上が、幹細胞の移植、成長ファクターの遺伝子−治療輸送、成長ファクターに添付されたマトリックスの移植、成長ファクターの直接的なアプリケーション、移植された組織若しくは細胞の移植、及び異種移植片組織若しくは細胞の移植を含むグループから選択される請求項22の装置。
【請求項24】
前記幹細胞が、自己生成の若しくは自己移植の、初期の若しくは非初期の、生成された筋肉、生成された血、生成された骨髄、若しくは生成された脂肪である請求項23の装置。
【請求項25】
効果的な量の架橋試薬を有するコンテナー;架橋試薬を溶解する、前もって測定された量の溶媒を有するコンテナー;架橋試薬を注入する針付きシリンジ若しくは他の手段;架橋試薬を放出する徐放性カプセル;架橋試薬の輸送を補助する徐放性カプセル挿入装置;架橋試薬を有するゲル若しくは軟膏のコンテナー;架橋試薬を適用するゲル若しくは軟膏アプリケーション装置;架橋試薬を有する処理されたパッチ;処理されたパッチ、ゲル、軟膏、徐放性カプセル若しくは注入物質を介した架橋試薬のアプリケーションの最小限に侵襲的な装置の少なくとも何れか一を備え、継続的な変形させる力にさらされている脊柱の椎間板の安定性を改善し、殺菌された内表面を有するパッケージに包まれた、殺菌された試薬及びアプリケーショントレイ。
【請求項26】
脊柱の物質特性が、(a)減少された屈曲ヒステリシス、(b)増加された屈曲剛性、(c)増加された屈曲弾性エネルギー貯蔵を1以上備える、奇形増加屈曲への対抗を増加することに関係して改善される請求項25のトレイ。
【請求項27】
脊柱が、(a)脊柱側弯症、(b)腰椎すべり症、又は(c)脊柱後弯症を1以上含んでなり前に存在する奇形を備えてなる請求項25のトレイ。
【請求項28】
脊柱が、(a)被られた椎骨圧縮破損を有すること、(b)脊髄の器具の取り付け、(c)添付の脊髄の器具なしでの外科の骨除去、若しくは(d)添付の脊髄の器具を用いる外科の骨の除去の1以上の結果として継続的に変形させる力にさらされている請求項25のトレイ。
【請求項29】
椎間板の中央部分若しくは髄核への又は該中央部分若しくは該髄核からの流体流動が改善されてなる、椎間板の外側領域を構成する線維輪及び/又は軟骨の運動終板における浸透性を増加する請求項1の方法。
【請求項30】
前記コラーゲン組織が、(a)アニュラスのみに、又は(b)アニュラスと両方の運動終板とに注入によって接触される請求項29の方法。
【請求項31】
椎間板の中央部分内の細胞への栄養素の流れが増加され、椎間板の中央部分内の細胞からの細胞廃棄物及び悪化されたマトリックス分子の流れが増加されてなり、椎間板の浸透性を増加し椎間板の中央部分への流体流動を増加する請求項1の方法。
【請求項32】
椎間板の中央部分の細胞の生物学上の生存能力を増加する請求項1の方法。
【請求項33】
(a)椎間板の中央部分若しくは髄核への、及び椎間板の中央部分若しくは髄核からの流体流動を改善する、椎間板の外側領域、線維輪、及び/又は軟骨の運動終板の浸透性、
(b)椎間板の中央部分内の細胞への栄養素の流れと、椎間板の中央部分内の細胞からの細胞廃棄物及び悪化させるマトリックス分子の流れとを増加する、椎間板の浸透性及び椎間板の中央部分への流体流動、又は
(c)試薬及び脊髄の椎間板内のコラーゲン組織へキャリア試薬を輸送する手段を備える、椎間板の中央部分の細胞の生物学的生存能力の少なくとも何れか一を増加する装置。
【請求項34】
脊髄の椎間板内のコラーゲン組織へキャリア試薬を輸送する手段が、(a)架橋試薬を注入するためのシリンジ及び注射針、又は(b)架橋試薬のための徐放性輸送システムを備えてなる請求項33に従った装置。
【請求項35】
(a)機械的悪化に対するコラーゲン組織の抵抗、
(b)椎間板の中央部分若しくは骨髄への、又は椎間板の中央部分若しくは骨髄からの流体流動を改善する、椎間板の外側領域、線維輪、及び/又は軟骨の運動終板の浸透性、
(c)椎間板の中央部分内の細胞への栄養素の流れ、並びに椎間板の中央部分内の細胞からの細胞廃棄物及び悪化されたマトリックス分子の流れを増加する、椎間板の中央部分への椎間板の浸透性及び流体流動、又は
(d)効果的な量の架橋試薬を有するコンテナー;架橋試薬を溶解する、前もって測定された量の溶媒を有するコンテナー;架橋試薬を注入する針付きシリンジ若しくは他の手段;架橋試薬を放出する徐放性カプセル;架橋試薬の輸送を補助する徐放性カプセル挿入装置;架橋試薬を有するゲル若しくは軟膏のコンテナー;架橋試薬を適用するゲル若しくは軟膏アプリケーション装置;架橋試薬を有する処理されたパッチ;処理されたパッチ、ゲル、軟膏、徐放性カプセル若しくは注入物質を介した架橋試薬のアプリケーションの最小限に侵襲的な装置の少なくとも何れか一を備えてなる、椎間板の中央部分における細胞の細胞学の生存能力の少なくとも何れか一を改善し若しくは増加してなり、殺菌した内表面を有するパッケージで包まれた、殺菌された試薬及びアプリケーショントレイ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−525327(P2009−525327A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553214(P2008−553214)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/003636
【国際公開番号】WO2007/089233
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508235210)
【氏名又は名称原語表記】HEDMAN,Tom
【住所又は居所原語表記】25665 Forst Lane,Stevenson Ranch,CA 91381(US)
【Fターム(参考)】