説明

遊技媒体貸出装置および紙幣搬送システム

【課題】入金禁止状態を最小限の期間に止めることが可能な遊技媒体貸出装置、およびそれを備えた紙幣搬送システムを提供すること。
【解決手段】サブコントローラ30と台間機2との間でオフラインになると、その後台間機2の制御部200は自己判断によって、当該台間機2を入金許可状態または入金禁止状態に設定する(図に示すシーケンス番号[6])。制御部200は、台間機2に紙幣ジャム等のトラブルが発生している場合には台間機2の入金禁止状態を続行するが、台間機2にトラブルが発生していない場合には、台間機2を入金許可状態にする。また、制御部200は、台間機2に発生していたトラブルが解消した場合、その解消後直ちに、台間機2を入金許可状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技媒体貸出装置および、それを備えた紙幣搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技店舗には、複数の遊技台および複数の遊技媒体貸出装置を所定方向に交互に並べて配置することによって遊技島が形成されている。遊技媒体貸出装置は、紙幣を受け付けて遊技媒体を貸し出す。遊技島内における遊技台および遊技媒体貸出装置の背面側の空間には、遊技媒体貸出装置に入金された紙幣を、所定の紙幣回収部まで搬送するための紙幣搬送装置が設けられている(たとえば特許文献1および2参照)。
【0003】
特許文献1および2では、紙幣搬送装置は、サブコントローラ等の上位機によって制御されている。各遊技媒体貸出装置は、対応する上位機と通信可能に設けられている。上位機は、遊技媒体貸出装置に対し、入金許可状態または入金禁止状態を指示するための入金状態制御信号を送出する。遊技媒体貸出装置は上位機から送られる入金状態制御信号に従って、遊技媒体貸出装置の動作状態を、入金許可状態または前記入金禁止状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−17049号公報
【特許文献2】特開2008−206799号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、上位機が故障した場合や、上位機と遊技媒体貸出装置との間の通信線が断線した場合には、上位機と遊技媒体貸出装置との間の通信が中断される状態になる(この明細書では、上位機と遊技媒体貸出装置との間で通信が可能な状態をオンラインといい、上位機と遊技媒体貸出装置との間で通信不能な状態をオフラインという)。
たとえば、上位機と遊技媒体貸出装置との間でオフラインになった場合には、遊技媒体貸出装置の動作状態を、オフラインになる直前に遊技媒体貸出装置が受信した入金状態制御信号に従った状態にすることが考えられる。また、この遊技媒体貸出装置の動作状態は、上位機と遊技媒体貸出装置との間がオンライン復帰して、次の入金状態制御信号が上位機から送られてくるまで続行される。
【0006】
したがって、上位機と遊技媒体貸出装置との間がオフラインになる直前に、入金禁止状態を指示する旨の入金状態制御信号を遊技媒体貸出装置が受信したとき、その後、オンライン復帰して入金許可状態を指示する旨の入金状態制御信号を受けるまでの期間、遊技媒体貸出装置の入金禁止状態が続行される。この場合、遊技媒体貸出装置においてエラーやトラブルが無く、入金処理を受けることが可能な状態であっても、上位機と遊技媒体貸出装置との間がオンライン復帰しない限り、遊技媒体貸出装置は入金禁止状態が続行される。換言すると、不必要な入金禁止状態が遊技媒体貸出装置に設けられることになる。遊技媒体貸出装置が入金禁止状態になる頻度が高くなると、この遊技媒体貸出装置に対応する遊技台の稼働率が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の目的は、入金禁止状態を最小限の期間に止めることが可能な遊技媒体貸出装置、およびそれを備えた紙幣搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、入金された紙幣に基づいて遊技媒体を貸し出し、前記の紙幣を紙幣搬送機構(10;120)に受け渡すとともに、前記の紙幣搬送機構を制御する上位機(30;132,140)に通信可能に接続された遊技媒体貸出装置(2;102)であって、前記遊技媒体貸出装置の動作状態を前記入金許可状態または前記入金禁止状態のいずれかに設定する動作状態設定手段(200;300)を含み、前記動作状態設定手段は、前記上位機から送信される入金状態制御信号に従って前記動作状態を設定する第1の設定手段(200;300)と、前記上位機との間で通信不能状態であるときに、前記遊技媒体貸出装置の制御により前記動作状態を設定する第2の設定手段(200;300)とを含むことを特徴とする、遊技媒体貸出装置である。
【0009】
この構成によれば、上位機と遊技媒体貸出装置との間がオンラインであれば、上位機から送信される入金状態制御信号に従って、遊技媒体貸出装置の動作状態が入金許可状態または入金禁止状態に設定される。一方、上位機と遊技媒体貸出装置との間で通信不能状態であれば、遊技媒体貸出装置の制御(自己判断)によって、入金許可状態であるか入金禁止状態であるかが設定される。したがって、通信不能状態になる直前に、入金禁止状態を指示する旨の入金状態制御信号を遊技媒体貸出装置が受信していた場合であっても、通信不能状態中にこの遊技媒体貸出装置を入金許可状態にすることが可能である。これにより、不必要な入金禁止状態をなくすことができる。したがって、入金禁止状態を最小限の期間に止めることができ、ゆえに、遊技台の稼働率の低下を効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、紙幣を搬送するための紙幣搬送機構(10;120)を制御するための上位機(30;132,140)と、この上位機に通信可能に接続され、入金された紙幣に基づいて遊技媒体を貸し出すとともに、前記の紙幣を紙幣搬送機構に受け渡す遊技媒体貸出装置(2;102)とを含む紙幣搬送システムであって、前記上位機に設けられ、前記遊技媒体貸出装置の動作状態を指示するための入金状態制御信号を前記遊技媒体貸出装置に送信する入金状態制御信号送信手段と、前記遊技媒体貸出装置に設けられ、前記遊技媒体貸出装置の動作状態を前記入金許可状態または前記入金禁止状態のいずれかに設定する動作状態設定手段(200;300)を含み、前記動作状態設定手段は、前記上位機から送信される前記入金状態制御信号に従って前記動作状態を設定する第1の設定手段(200;300)と、前記上位機との間が通信不能状態であるときに、前記遊技媒体貸出装置の制御により前記動作状態を設定する第2の設定手段(200;300)とを含むことを特徴とする、紙幣搬送システムである。
【0011】
この構成によれば、請求項1に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態に係る紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す台間機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】モータまたは紙幣回収部にトラブルが発生した場合に、サブコントローラおよび台間機間で行われる通信処理を説明するためのシーケンス図である。
【図4】台間機によって紙幣ジャムが検知された場合に、サブコントローラおよび台間機間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。
【図5】オフライン時およびオンライン復帰時において、サブコントローラおよび台間機間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係る紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平面図である。
【図7】図6に示す台間機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】モータまたは紙幣収納装置にトラブルが発生した場合に、搬送制御装置、島コントローラおよび台間機間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。
【図9】台間機によって紙幣ジャムが検知された場合に、搬送制御装置、島コントローラおよび台間機間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。
【図10】オフライン時およびオンライン復帰時において、搬送制御装置、島コントローラおよび台間機間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平面図である。
パチンコ店等の遊技店舗には、複数の遊技島が配置されている。遊技島は、たとえば、図1に示すように、複数の遊技台1および複数の台間機(遊技媒体貸出装置)2が所定方向に交互に並べて配置された第1の列L1と、第1の列L1に平行に、複数の遊技台1および複数の台間機2が交互に並べて配置された第2の列L2とから構成されている。第1の列L1の遊技台1と第2の列L2の遊技台1とは、背中合わせとなるように配置されている。
【0014】
各台間機2は、その正面から見てその右隣にある遊技台1に対する専用機である。各台間機2は、遊技客によって入金された紙幣に基づいて対応する遊技台1で遊技するための遊技媒体を貸し出す処理を行う機能を備えている。また、台間機2は、一般カードや会員カード等のカードに関連付けられた有価価値を用いて遊技媒体を貸し出す処理を行う機能も備えている。
【0015】
遊技島の一端部には、島端ボックス20が設けられている。遊技島を構成する第1の
列L1と第2の列L2との間に、各台間機2に入金された紙幣を、島端ボックス20まで搬送するための紙幣搬送装置(紙幣搬送機構)10が設けられている。
紙幣搬送装置10は、台間機2に連結され、台間機2から送り出された紙幣を取り込む複数の紙幣取込ユニット11と、紙幣取込ユニット11に連結され、紙幣取込ユニット11によって取り込まれた紙幣を島端ボックス20に向かう方向に搬送する複数の紙幣搬送ユニット12とを備えている。紙幣取込ユニット11と紙幣搬送ユニット12とは、交互に配置されている。各紙幣取込ユニット11と各紙幣搬送ユニット12とには、紙幣搬送部(図示しない)が設けられている。1つの紙幣取込ユニット11には、その両側に配置された、第1の列L1内の1つの台間機2および第2の列L2内の1つの台間機2が連結されている。各紙幣取込ユニット11には、当該紙幣取込ユニット11と当該紙幣取込ユニット11の下流側に連結された紙幣搬送ユニット12とに設けられた紙幣搬送部を駆動するためのモータ13が設けられている。各紙幣搬送ユニット12には、紙幣の搬送を適切に行うための紙幣通過センサ14が設けられている。
【0016】
第1の列L1内の隣接する2台の台間機2とそれに対応する第2の列L2内の隣接する2台の台間機2とからなる4台の台間機2毎に、1つのサブコントローラ(上位機)30が設けられている。各サブコントローラ30は、対応する4台の台間機2と、それらの台間機2に連結された2つの紙幣取込ユニット11と、これらの紙幣取込ユニット11の下流側に連結された紙幣搬送ユニット12とを制御する。
【0017】
島端ボックス20には、紙幣回収部21と、メインコントローラ22とが設けられている。各サブコントローラ30は、RS−485通信線31を介してメインコントローラ22に接続されている。また、サブコントローラ30同士は、RS−485通信線31を介して互いに接続されている。さらに、各サブコントローラ30は、RS−485通信線35を介して対応する台間機2に接続されている。
【0018】
各サブコントローラ30には、対応する紙幣搬送ユニット12に設けられた紙幣通過センサ14の出力信号が入力される。各サブコントローラ30は、対応する紙幣取込ユニット11に設けられたモータ13を制御する。また、各サブコントローラ30は、紙幣通過センサ14の出力信号等に基づいて、台間機2から紙幣取込ユニット11に紙幣を送り出すタイミング等を調整する。また、各サブコントローラ30は、紙幣検出センサ14の出力信号等に基づいて、紙幣ジャムが発生したか否かを監視し、紙幣ジャムが発生した場合には、台間機2を入金禁止状態にするといった制御を行う。また、各サブコントローラ30は、紙幣搬送に関する情報を、メインコントローラ22に送信する。この紙幣搬送システムでは、複数のサブコントローラ30が紙幣搬送装置10を制御しており、メインコントローラ22は、専ら紙幣搬送に関する情報等を管理している。メインコントローラ22は、紙幣回収部21の動作を制御している。
【0019】
図2は、台間機2の電気的構成を示すブロック図である。台間機2は、制御部(動作設定手段)200、紙幣取込返却部201、紙幣判別部202、紙幣搬出部203、カードR/W部204、表示部205、操作部206、台I/F部207等を備えている。制御部200は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ等)等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。
【0020】
紙幣取込返却部201は、台間機2に挿入された紙幣を取り込んだり、取り込んだ紙幣を返却したりするためのものである。紙幣判別部202は、台間機2に挿入された紙幣の真偽を判定するものである。紙幣搬出部203は、紙幣判別部202によって正規の紙幣であると識別された紙幣を、台間機2から紙幣搬送装置10側に送り出すためのものである。なお、紙幣判別部202によって正規の紙幣ではないと識別された紙幣は、紙幣取込返却部201によって返却される。
【0021】
カードR/W部204は、一般カードまたは会員カードに対する情報の読取りおよび情報の書込みを行うものである。表示部205は、各種情報を表示するためのものである。操作部206は、台間機2を操作するためのものであり、各種キーを含んでいる。台I/F部207は、制御部200を対応する遊技台1に接続するためのインターフェイスである。
【0022】
また、台間機2には、紙幣検出センサ36が設けられている。紙幣検出センサ36は、紙幣取込ユニット11における各台間機102のすぐ下流側の位置に配置されている。紙幣検出センサ36の出力信号は、制御部200に入力されるようになっている。制御部200は、台間機2に接続された紙幣検出センサ36の出力信号が所定時間以上継続して検知されているときには、紙幣ジャムに関する情報(以下、「紙幣ジャム検知信号」という)を作成して、サブコントローラ30を介してメインコントローラ22に送信する。前記の所定時間は、たとえば、10秒に設定されている。
【0023】
台間機2がとりうる動作状態には、紙幣の入金が許可されている入金許可状態または紙幣の入金が禁止されている入金禁止状態がある。制御部200は、メインコントローラ22からサブコントローラ30を介して送られてくる入金許可/禁止制御信号(入金状態制御信号)に基づいて、台間機2の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態にさせるための機能処理手段を備えている。
【0024】
図1を再び参照し、島端ボックス20内のメインコントローラ22は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ等)等を備えたコンピュータによって構成されている。メインコントローラ22は、紙幣回収部21の動作の制御および監視をしている。
サブコントローラ30は、対応する2つの紙幣取込ユニット11にそれぞれ配設されたモータ13を制御する。また、サブコントローラ30は、紙幣回収部21またはモータ13にトラブルが発生したときに、対応する台間機2を入金禁止状態にさせるための処理を行う。この処理の詳細については、後述する。
【0025】
以下、この実施形態に係る紙幣搬送システムの動作について説明する。
ここでは、各紙幣取込ユニット11のモータ13が駆動されており、これにより、各紙幣取込ユニット11と各紙幣搬送ユニット12とに設けられた各紙幣搬送部(図示しない)が駆動しているものとする。遊技客が台間機2に紙幣を挿入すると、挿入された紙幣は紙幣取込返却部201によって台間機2内に取り込まれる。このとき、台間機2に挿入された紙幣の真偽が紙幣判別部202によって判別される。台間機2に挿入された紙幣が正規のものではないと判別された場合には、当該紙幣は紙幣取込返却部201によって返却される。
【0026】
一方、台間機2に挿入された紙幣が正規のものであると判別された場合には、台間機2の制御部200は、所定の遊技媒体貸出処理を行う。台間機2の制御部200は、紙幣を紙幣搬送装置10側に送り出してもよいタイミング(上流側から搬送されてくる紙幣と重なることのないタイミング)になると、紙幣搬出部203によって紙幣を紙幣搬送装置10側に搬出させる。
【0027】
台間機2から紙幣搬送装置10側に送り出された紙幣は、紙幣搬送装置10によって、島端ボックス20に向かう方向に搬送される。この際、紙幣検出センサ14によって紙幣が検知されると、その紙幣検出センサ14に対応するサブコントローラ30に紙幣の通過が通知される。そして、紙幣が島端ボックス20まで搬送されると、当該紙幣は紙幣回収部131の所定位置に収納されるようになっている。
【0028】
図3は、モータ13または紙幣回収部131にトラブルが発生した場合に、サブコントローラ30および台間機2間で行われる通信処理を説明するためのシーケンス図である。図1〜図3を参照して、モータ13または紙幣回収部131にトラブルが発生した場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
モータ13または紙幣回収部131にトラブルが発生した場合とは、具体的には、モータ13が故障した場合、紙幣回収部131に含まれる紙幣収納装置(図示しない)の駆動装置が故障した場合、紙幣回収部131に含まれる紙幣収納装置において紙幣ジャムが発生した場合等をいう。
【0029】
モータ13でのトラブルの発生は、サブコントローラ30によって検知される。このとき、サブコントローラ30は、他の全てのサブコントローラ30に対してその旨を通知する。
各サブコントローラ30は、トラブルが発生したモータ13の位置(いずれの紙幣取込ユニット11のモータ13であるか)に基づいて、対応する台間機2で入金禁止状態にさせるべきか否かを決定するとともに、入金禁止状態にさせるときにはその対象になる台間機2を決定する。そして、入金禁止状態にさせるべきであると決定した台間機2を入金禁止状態にさせるための処理を行う。
【0030】
具体的には、サブコントローラ30は、入金許可/禁止制御信号を作成する。入金許可/禁止制御信号は、台間機2を入金許可状態にするか入金禁止状態にするかを示す制御フラグを含んでいる。入金禁止状態の旨の入金許可/禁止制御信号に含まれる制御フラグは、台間機2を入金禁止状態にすることを表す値に設定される。入金許可状態の旨の入金許可/禁止制御信号に含まれる制御フラグは、台間機2を入金許可状態にすることを表す値に設定される。
【0031】
サブコントローラ30は、作成した入金許可/禁止制御信号を、対応する各台間機2に通信線35を介して送信する(図3に示すシーケンス番号[1])。各台間機2の制御部200は、サブコントローラ30から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている制御フラグに応じて、当該台間機2を入金許可状態または入金禁止状態にする。
【0032】
一方、紙幣回収部131でのトラブルの発生は、メインコントローラ22によって検知される。このとき、メインコントローラ30は、全てのサブコントローラ30に対してその旨を通知する。
各サブコントローラ30は、対応する全ての台間機2に対して、入金禁止状態の旨の入金許可/禁止制御信号を、通信線35を介して送信する(図3に示すシーケンス番号[1])。各台間機2の制御部200は、サブコントローラ30から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている制御フラグに基づいて、当該台間機2を入金禁止状態にする。
【0033】
図4は、台間機2によって紙幣ジャムが検知された場合に、サブコントローラ30および台間機2間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。図1、図2および図4を参照して、台間機2によって紙幣ジャムが検知された場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
前述したように、各台間機2の制御部200は、台間機2に接続された紙幣検出センサ36の出力信号が所定時間以上継続して検知されているときには、紙幣ジャム検知信号を作成して、サブコントローラ30に送信する。紙幣ジャム検知信号は、当該台間機2を表す識別子と、紙幣ジャムを検知したことを示す紙幣ジャム検知情報とを含んでいる。
【0034】
ある1つの台間機2の制御部200によって紙幣ジャム検知信号が作成されて、対応するサブコントローラ30に信号線35を介して送信されたとする(図4に示すシーケンス番号[2])。このとき、紙幣ジャム検知信号を受信したサブコントローラ30は、他の全てのサブコントローラ30に、当該紙幣ジャム検知信号を通信線31を介して送信する。
【0035】
また、サブコントローラ30は紙幣ジャム検知信号を受信すると、当該紙幣ジャム検知信号に含まれている情報に基づいて、対応する台間機2のうち、入金禁止状態にすべき台間機2を決定する。具体的には、サブコントローラ30は、受信した紙幣ジャム検知信号に含まれている台間機2を表す識別子に基づいて、紙幣ジャム発生位置を特定し、対応する台間機2のうちジャム発生位置より上流側にある台間機2を、入金禁止状態にすべき台間機2として決定する。
【0036】
そして、サブコントローラ30は、入金禁止状態にすべきであると決定した台間機2を入金禁止状態にし、他の遊技媒体貸出装置を入金許可状態にするために入金許可/禁止制御信号を作成する。入金許可/禁止制御信号は、対応する台間機2を入金許可状態にするか入金禁止状態にするかを示す制御フラグを含んでいる。この場合には、入金禁止状態にすべきであると決定した遊技媒体貸出装置に対応する制御フラグは、当該台間機2を入金禁止状態にすることを表す値に設定され、それ以外の遊技媒体貸出装置に対応する制御フラグは、対応する台間機2を入金許可状態にすることを表す値に設定される。
【0037】
サブコントローラ30は、この入金許可/禁止制御信号を、対応する各台間機2に通信線35を介して送信する(図4に示すシーケンス番号[3])。
各台間機2(制御部200)は、サブコントローラ30から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている制御フラグに基づいて、当該台間機2を入金許可状態または入金禁止状態にする。
【0038】
図5は、サブコントローラ30と台間機2との間がオフライン(通信不能状態)になった場合、およびオフラインからオンライン復帰した場合に、サブコントローラ30および台間機2間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。図1、図2および図5を参照して、サブコントローラ30と台間機2との間がオフラインになった場合、およびオフラインからオンライン復帰した場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
【0039】
サブコントローラ30と台間機2との間がオフラインになる場合とは、具体的には、サブコントローラ30が故障した場合や、サブコントローラ30と台間機2との間の通信線(図示しない)が断線した場合等をいう。各台間機2は、対応するサブコントローラ30から信号が予め定める期間送られてこない場合、サブコントローラ30と台間機2との間がオフラインであると判断(オフライン検知)する。また、サブコントローラ30から信号送信がない期間が続いた後に、サブコントローラ30から信号が送られてきた場合、オンライン復帰したと判断(オンライン復帰検知)することができる。
【0040】
この実施形態の特徴は、サブコントローラ30と台間機2との間がオフラインである場合に、台間機2の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態のいずれに設定するのかを、台間機2の制御部200が自己判断するようにした点にある。
モータ13におけるトラブルの発生がサブコントローラ30によって検知された場合、紙幣回収部131におけるトラブルの発生がメインコントローラ22によって検知された場合、または台間機2によって紙幣ジャムが検知された場合には、図3および図4で説明したように、各サブコントローラ30は、遊技島内の対応する台間機2に、入金禁止状態に制御するための入金許可/禁止制御信号を通信線35を介して送信する(図3および図4に示すシーケンス番号[1]および[3]。図5では、シーケンス番号[4]で示す)。各台間機2(制御部200)は、対応するサブコントローラ30から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている自己宛の制御フラグに基づいて、当該台間機2を入金許可状態または入金禁止状態にする。以降の説明では、入金禁止状態にされた台間機2について検討する。
【0041】
サブコントローラ30と台間機2との間でオフラインになると、当該台間機2の制御部200は、台間機2の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態のいずれに設定するのかを自己判断する。具体的には、台間機2がオフラインであると判断すると(オフライン検知。図5に示すシーケンス番号[5])、その後台間機2の制御部200は、この制御部200に設定されているプログラムに従って、当該台間機2を入金許可状態または入金禁止状態に設定する(図5に示すシーケンス番号[6])。たとえば、制御部200は、台間機2に紙幣ジャム等のトラブルが発生している場合には当該台間機2の入金禁止状態を続行するが、台間機2にトラブルが発生していない場合には、台間機2を入金許可状態にする。また、制御部200は、台間機2に発生していたトラブルが解消した場合、その解消後直ちに、当該台間機2を入金許可状態にする。
【0042】
その後、サブコントローラ30と台間機2との間でオンライン復帰すると、当該台間機2の制御部200は、サブコントローラ30から送信される入金許可/禁止制御信号に従って、台間機2の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態に設定する。具体的には、当該台間機2の制御部200がオンライン復帰であると判断した後は(オンライン復帰検知。図5に示すシーケンス番号[7])、制御部200は、オンライン復帰後最初に送られてくる入金許可/禁止制御信号(図5に示すシーケンス番号[8])に従って、台間機2の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態に設定する。
【0043】
ところで、仮に、サブコントローラ30と台間機2との間のオフライン中に、台間機2が自己の台間機2の動作状態を自己判断で設定しないとすると、オフライン中の台間機2の動作状態は、オフラインになる直前に台間機2が受信した入金許可/禁止制御信号に従うことになる。前述したように、受信した入金許可/禁止制御信号が、入金禁止状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号である場合には(図5に示すシーケンス番号[4])、台間機2は入金禁止状態になる。この場合、台間機2の入金禁止状態は、サブコントローラ30と台間機2との間がオンライン復帰し、かつサブコントローラ30から入金許可状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号が送られてくるまで続行される。台間機2が受信した入金禁止状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号が、台間機2のトラブル(たとえば台間機2に発生した紙幣ジャム)に起因しており、この台間機2のトラブルがオンライン復帰よりも早い段階で解消した場合、台間機2が受け付けることが可能な状態であるにも拘らず、当該台間機2の入金禁止状態が続行されることになる。換言すると、不必要な入金禁止状態が台間機2に設けられることになる。そして、台間機2が入金禁止状態になる頻度が高くなると、当該台間機2に対応する遊技台1の稼働率が低下するおそれがある。
【0044】
以上のようにこの実施形態によれば、サブコントローラ30と台間機2との間がオフラインであれば、台間機2の制御部200は、自己判断によって、入金許可状態であるか入金禁止状態であるかを設定する。そのため、オフライン中において、台間機2のトラブルが解消した後も入金禁止状態が続行されるのを防止することができ、これにより、不必要な入金禁止状態をなくすことができる。したがって、入金禁止状態を最小限の期間に止めることができ、ゆえに、遊技台1の稼働率の低下を効果的に抑制することができる。
【0045】
図6は、この発明の他の実施形態に係る紙幣搬送システムの概略的な構成を示す平面図である。
パチンコ店等の遊技店舗には、複数の遊技島が配置されている。遊技島は、たとえば、図6に示すように、複数の遊技台101および複数の台間機(遊技媒体貸出装置)102が所定方向に交互に並べて配置された第3の列L3と、第3の列L3に平行に、複数の遊技台101および複数の台間機102が交互に並べて配置された第2の列L4とから構成されている。第3の列L3の遊技台101と第2の列L4の遊技台101とは、背中合わせになるように配置されている。
【0046】
各台間機102は、その正面から見てその右隣にある遊技台101に対する専用機である。各台間機102は、遊技客によって入金された紙幣に基づいて対応する遊技台101で遊技するための遊技媒体を貸し出す処理を行う機能を備えている。また、台間機102は、一般カードや会員カード等のカードに関連付けられた有価価値を用いて遊技媒体を貸し出す処理を行う機能も備えている。
【0047】
遊技島の一端部には、島端ボックス130が設けられている。島端ボックス130には、紙幣回収部131と搬送制御装置(上位機)132とが設けられている。遊技島を構成する第3の列L3と第4の列L4との間に、各台間機102に入金された紙幣を島端ボックス130まで搬送するための紙幣搬送装置(紙幣搬送機構)120が設けられている。島端ボックス130内の紙幣回収部131には、紙幣搬送装置120によって搬送されてきた紙幣を紙幣回収部131内の所定位置に収納するための紙幣収納装置131Aが設けられている。
【0048】
紙幣搬送装置120は、一対の支持ローラ121,122と、紙幣搬送ベルト123と、複数のガイドローラ124と、モータ125とを備えている。紙幣搬送ベルト123と複数のガイドローラ124によって紙幣搬送路が形成されている。一対の支持ローラ121,122は、遊技島の両端部に設けられている。各支持ローラ121,122は縦長の円柱または円筒状であり、支持部材(図示しない)に、その中心軸を中心として回転自在に支持されている。紙幣搬送ベルト123は、無端状の平ベルトであり、両支持ローラ121,122間に掛け渡されている。
【0049】
複数のガイドローラ124は、紙幣搬送ベルト123との間で紙幣を挟持するための挟持部材であり、紙幣搬送ベルト123の外周面に沿って所定の間隔を空けて配置されている。隣り合うガイドローラ124の間隔は、紙幣の長手方向の長さより短い間隔に設定されている。各ガイドローラ124は、平面視で円形状であり、支持部材(図示しない)に、その中心軸を中心として回転自在に支持されている。各ガイドローラ124は、紙幣搬送ベルト123の外周面に圧接するように配置されている。なお、ガイドローラ124の代わりに、紙幣搬送ベルト123の外周面に接触する環状のエンドレスベルト等を用いることができる。
【0050】
モータ125は、一対の支持ローラ121,122のうちの一方の支持ローラ121を回転駆動させるためのものである。モータ125によって一方の支持ローラ121が回転されると、当該支持ローラ121が駆動ローラとして機能し、他方の支持ローラ22が従動ローラとして機能することにより、紙幣搬送ベルト123が矢印Aの方向に周回移動する。
【0051】
図示しないが、各台間機102の背面には、各台間機102の背面側から送り出される紙幣を紙幣搬送ベルト123の外周面側に案内するための案内部材が連結されている。また、紙幣搬送ベルト123と複数のガイドローラ124によって形成される紙幣搬送路には、各台間機102のすぐ下流側の位置に、紙幣検出センサ126が設けられている。つまり、紙幣搬送路上において、隣り合う台間機102の間と、最も下流側の台間機102と島端ボックス130との間とに、紙幣検出センサ126がそれぞれ配置されている。隣り合う台間機102の間に配置されている紙幣検出センサ126は、それらの台間機102のうち下流側にある台間機102の制御部(動作設定手段)300(図7参照)に接続されている。最も下流側の台間機102と島端ボックス130との間に配置されている紙幣検出センサ126は、島端ボックス130内の搬送制御装置132に接続されている。
【0052】
遊技島内の各台間機102の制御部200と島端ボックス130内の搬送制御装置132は、その遊技島に対応して設けられた島コントローラ(上位機)140に、RS−485通信線127を介して接続されている。島コントローラ140は、LAN(local Area Network)141を介して遊技店舗を管理するための管理装置(ターミナルコントローラ)150に接続されている。島コントローラ140は、遊技島内の遊技台101および各台間機102と管理装置150とを通信可能にするための中継装置である。
【0053】
図7は、台間機102の電気的構成を示すブロック図である。台間機102は、制御部300、紙幣取込返却部301、紙幣判別部302、紙幣搬出部303、カードR/W部304、表示部305、操作部306、台I/F部307等を備えている。制御部300は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ等)等を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。
【0054】
紙幣取込返却部301は、台間機102に挿入された紙幣を取り込んだり、取り込んだ紙幣を返却したりするためのものである。紙幣判別部302は、台間機102に挿入された紙幣の真偽を判定するものである。紙幣搬出部303は、紙幣判別部302によって正規の紙幣であると識別された紙幣を、台間機102から案内部材を介して紙幣搬送装置120(紙幣搬送ベルト123)側に送り出すためのものである。なお、紙幣判別部302によって正規の紙幣ではないと識別された紙幣は、紙幣取込返却部301によって返却される。
【0055】
カードR/W部304は、一般カードまたは会員カードに対する情報の読取りおよび情報の書込みを行うものである。表示部305は、各種情報を表示するためのものである。操作部306は、台間機102を操作するためのものであり、各種キーを含んでいる。台I/F部307は、制御部300を対応する遊技台101に接続するためのインターフェイスである。
【0056】
前述したように、最も上流側にある台間機102を除いて、各台間機102にはその上流側に隣接する台間機102との間に配置された紙幣検出センサ126の出力信号が入力している。各台間機102の制御部300は、台間機2に接続された紙幣検出センサ126の出力信号が所定時間以上継続して検知されているときには、紙幣ジャム検知信号を作成して、島コントローラ140を介して搬送制御装置132に送信する。前記の所定時間は、たとえば、10秒に設定される。
【0057】
台間機102がとりうる動作状態には、入金許可状態または入金禁止状態がある。制御部300は、搬送制御装置132から島コントローラ140を介して送られてくる制御信号(入金許可/禁止制御信号)に基づいて、前記の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態にさせるための機能処理手段を備えている。
図6を再び参照し、島端ボックス130内の搬送制御装置132は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリ等)等を備えたコンピュータによって構成されている。
【0058】
搬送制御装置132は、紙幣回収部131内の紙幣収納装置131Aを制御する。また、搬送制御装置132は、それに接続された紙幣検出センサ126(最も下流側に設けられた紙幣検出センサ126)の出力信号に基づいて、当該紙幣検出センサ126の設置位置付近において紙幣ジャムが発生したか否かを判別する。また、搬送制御装置132は、紙幣搬送装置120の駆動装置であるモータ125を制御する。また、搬送制御装置132は、紙幣回収部131(紙幣収納装置131A)またはモータ125にトラブルが発生したときに、全ての台間機102を入金禁止状態にさせるための処理を行う。この処理の詳細については、後述する。
【0059】
以下、この実施形態に係る紙幣搬送システムの動作について説明する。
ここでは、モータ125が駆動されており、紙幣搬送ベルト123が周回移動しているものとする。遊技客が台間機102に紙幣を挿入すると、挿入された紙幣は紙幣取込返却部301によって台間機102内に取り込まれる。このとき、台間機102に挿入された紙幣の真偽が紙幣判別部302によって判別される。台間機102に挿入された紙幣が正規のものではないと判別された場合には、当該紙幣は紙幣取込返却部301によって返却される。
【0060】
一方、台間機102に挿入された紙幣が正規のものであると判別された場合には、台間機102の制御部300は、所定の遊技媒体貸出処理を行う。また、台間機102の制御部300は、それに接続された上流側にある紙幣検出センサ126の出力信号に基づいて、前記の紙幣を紙幣搬送装置120側に送り出してもよいタイミング(上流側から搬送されてくる紙幣と重なることのないタイミング)であるか否かを判別し、送り出してもよいタイミングであると、紙幣搬出部303によって前記の紙幣を紙幣搬送装置120側に搬出させる。
【0061】
台間機102から紙幣搬送装置120側に送り出された紙幣は、紙幣搬送装置120によって、紙幣搬送路上を島端ボックス130に向かう方向に搬送される。この際、紙幣検出センサ126によって紙幣が検知されると、その紙幣検出センサ126が接続された台間機102または搬送制御装置132に紙幣の通過が通知される。そして、紙幣が島端ボックス130まで搬送されると、当該紙幣は紙幣収納装置131Aによって紙幣回収部131の所定位置に収納される。
【0062】
図8は、モータ125または紙幣回収部131内の紙幣収納装置131Aにトラブルが発生した場合に、搬送制御装置132、島コントローラ140および台間機102間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。図6〜図8を参照して、モータ125または紙幣回収部131内の紙幣収納装置131Aにトラブルが発生した場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
【0063】
モータ125または紙幣収納装置131Aにトラブルが発生した場合とは、具体的には、モータ125が故障した場合、紙幣収納装置131Aの駆動装置が故障した場合、紙幣収納装置131Aに紙幣ジャムが発生した場合等をいう。
モータ125または紙幣回収部131(紙幣収納装置131A)にトラブルが発生したことが搬送制御装置132によって検知されると、搬送制御装置132は、遊技島内の全ての台間機102を入金禁止状態にするための入金許可/禁止制御信号を作成する。入金許可/禁止制御信号は、各台間機102をそれぞれ表す宛先情報と、各宛先情報毎に対応する台間機102を入金許可状態にするか入金禁止状態にするかを示す制御フラグとから構成されている。この場合には、各宛先情報に対応する制御フラグは、対応する台間機102を入金禁止状態にすることを表す値に設定される。なお、宛先情報は、入金許可/禁止制御信号を通知すべき宛先を表す情報である。
【0064】
搬送制御装置132は、作成した入金許可/禁止制御信号を、通信線127を介して島コントローラ140に送る(図8に示すシーケンス番号[21])。島コントローラ140は、この入金許可/禁止制御信号を受信すると、受信した入金許可/禁止制御信号に含まれる宛先、すなわち、遊技島内の各台間機102に、当該入金許可/禁止制御信号を通信線127を介してブロードキャスト送信する(図8に示すシーケンス番号[22])。
【0065】
各台間機102の制御部300は、島コントローラ140から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている自己宛の制御フラグに基づいて、当該台間機102を入金許可状態または入金禁止状態にする。これにより、この遊技島内の全ての台間機102が、入金禁止状態となる。
なお、搬送制御装置132が、最も下流側に配置された紙幣検出センサ126の出力信号に基づいて、紙幣ジャムを検知した場合にも、同様な動作となる。具体的には、搬送制御装置132は、最も下流側に配置された紙幣検出センサ126によって紙幣が継続して所定時間以上検知され続けているときには、当該紙幣検出センサ126が存在する位置付近で、紙幣ジャムが発生したと判別する。前記の所定時間は、たとえば、10秒である。この場合には、搬送制御装置132は遊技島内の全ての台間機102を入金禁止状態にするための入金許可/禁止制御信号を、通信線127を介して島コントローラ140に送る。島コントローラ140は、この入金許可/禁止制御信号を、遊技島内の各台間機102にブロードキャスト送信する。これにより、この遊技島内の全ての台間機102は、入金禁止状態となる。
【0066】
図9は、台間機102によって紙幣ジャムが検知された場合に、搬送制御装置132、島コントローラ140および台間機102間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。図6、図7および図9を参照して、台間機102によって紙幣ジャムが検知された場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
前述したように、各台間機102の制御部300は、それに接続された紙幣検出センサ126の出力信号が所定時間以上継続して検知されているときには、紙幣ジャム検知信号を作成して、島コントローラ140に送信する。紙幣ジャム検知信号は、その信号を通知すべき宛先である宛先情報と、当該台間機102を表す識別子と、紙幣ジャムを検知したことを示す紙幣ジャム検知情報とを含んでいる。この場合、宛先情報は、搬送制御装置132を表す識別情報からなる。
【0067】
ある1つの台間機102の制御部300によって紙幣ジャム検知信号が作成されて、島コントローラ140に送信されたとする(図9に示すシーケンス番号[23])。島コントローラ140は、この紙幣ジャム検知信号を受信すると、受信した紙幣ジャム検知通知信号に含まれる宛先、すなわち、搬送制御装置132に、当該紙幣ジャム検知信号を通信線127を介して送信する(図9に示すシーケンス番号[24])。
【0068】
搬送制御装置132は、島コントローラ140から送られてきた紙幣ジャム検知信号を受信すると、当該紙幣ジャム検知信号に含まれている情報に基づいて、入金禁止状態にすべき台間機102を決定する。具体的には、搬送制御装置132は、受信した紙幣ジャム検知信号に含まれている台間機102を表す識別子に基づいて、紙幣ジャム発生位置を特定する。次に、搬送制御装置132は、特定した紙幣ジャム発生位置より上流側にある台間機102を、入金禁止状態にすべき台間機として決定する。
【0069】
そして、搬送制御装置132は、入金禁止状態にすべきであると決定した台間機102を入金禁止状態にし、他の台間機を入金許可状態にするために入金許可/禁止制御信号を作成する。入金許可/禁止制御信号は、各台間機102それぞれを表す宛先情報と、各宛先情報毎に対応する台間機102を入金許可状態にするか入金禁止状態にするかを示す制御フラグとから構成されている。この場合には、各宛先情報に対応する制御フラグのうち、入金禁止状態にすべきであると決定した台間機の宛先情報に対応する制御フラグは、当該台間機102を入金禁止状態にすることを表す値に設定され、それ以外の宛先情報に対応する制御フラグは、対応する台間機102を入金許可状態にすることを表す値に設定される。
【0070】
搬送制御装置132は、作成した入金許可/禁止制御信号を、通信線127を介して島コントローラ140に送る(図9に示すシーケンス番号[25])。島コントローラ140は、この入金許可/禁止制御信号を受信すると、受信した入金許可/禁止制御信号に含まれる宛先、すなわち、遊技島内の各台間機102に、当該入金許可/禁止制御信号を通信線127を介してブロードキャスト送信する(図9に示すシーケンス番号[26])。
【0071】
各台間機102(制御部300)は、島コントローラ140から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている自己宛の制御フラグに基づいて、当該台間機102を入金許可状態または入金禁止状態にする。これにより、紙幣ジャム発生位置より上流側にある台間機102が入金禁止状態となる。
図10は、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインになった場合、およびオフラインからオンライン復帰した場合に、搬送制御装置132、島コントローラ140および台間機102間で行われる通信処理の手順を説明するためのシーケンス図である。図6、図7および図10を参照して、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインになった場合、およびオフラインからオンライン復帰した場合における紙幣搬送システムの動作について説明する。
【0072】
搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインになる場合とは、具体的には、搬送制御装置132が故障した場合や、島コントローラ140が故障した場合、島コントローラ140と台間機102との間の通信線127が断線した場合、搬送制御装置132と島コントローラ140との間の通信線127が断線した場合等をいう。各台間機102は、島コントローラ140から信号が予め定める期間送られてこない場合、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインであると判断(オフライン検知)する。また、島コントローラ140から信号送信がない期間が続いた後に、島コントローラ140から信号が送られてきた場合、オンライン復帰したと判断(オンライン復帰検知)することができる。
【0073】
この実施形態の特徴は、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインである場合に、台間機102の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態のいずれに設定するのかを、台間機102の制御部300が自己判断するようにした点にある。
モータ125または紙幣収納装置131Aにおけるトラブルの発生が搬送制御装置132によって検知された場合、または台間機102によって紙幣ジャムが検知された場合には、図8および図9で説明したように、搬送制御装置132は、遊技島内の全ての台間機102に、入金禁止状態に制御するための入金許可/禁止制御信号を通信線127を介してブロードキャスト送信する(図8および図9に示すシーケンス番号[22]および[26]。図5では、シーケンス番号[27]で示す)。各台間機102(制御部300)は、島コントローラ140から送られてきた入金許可/禁止制御信号を受信すると、入金許可/禁止制御信号に含まれている自己宛の制御フラグに基づいて、当該台間機102を入金許可状態または入金禁止状態にする。以降の説明では、入金禁止状態にされた台間機102について検討する。
【0074】
搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間でオフラインになると、当該台間機102の制御部300は、台間機102の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態のいずれに設定するのかを自己判断する。具体的には、台間機102がオフラインであると判断すると(オフライン検知。図10に示すシーケンス番号[28])、その後台間機102の制御部300は、この制御部300に設定されているプログラムに従って、当該台間機102を入金許可状態または入金禁止状態に設定する(図10に示すシーケンス番号[29])。たとえば、制御部300は、台間機102に紙幣ジャム等のトラブルが発生している場合には当該台間機102の入金禁止状態を続行するが、台間機102にトラブルが発生していない場合には、台間機102を入金許可状態にする。また、制御部300は、台間機102に発生していたトラブルが解消した場合、その解消後直ちに、当該台間機102を入金許可状態にする。
【0075】
その後、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間でオンライン復帰すると、当該台間機102の制御部300は、島コントローラ140から送信される入金許可/禁止制御信号に従って、台間機102の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態に設定する。具体的には、当該台間機102の制御部300がオンライン復帰であると判断した後は(オンライン復帰検知。図10に示すシーケンス番号[30])、制御部300は、オンライン復帰後最初に送られてくる入金許可/禁止制御信号(図10に示すシーケンス番号[32])に従って、台間機102の動作状態を入金許可状態または入金禁止状態に設定する。この入金許可/禁止制御信号は、搬送制御装置132から島コントローラ140への入金許可/禁止制御信号の送信(図10に示すシーケンス番号[31])に応答して、島コントローラ140から遊技島内の各台間機102にブロードキャスト送信されるものである。
【0076】
ところで、仮に、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間のオフライン中に、台間機102の制御部300が台間機102の動作状態を自己判断で設定しないとすると、オフライン中の台間機102の動作状態は、オフラインになる直前に台間機102が受信した入金許可/禁止制御信号に従うことになる。前述したように、受信した入金許可/禁止制御信号が、入金禁止状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号である場合には(図10に示すシーケンス番号[27])、台間機102は入金禁止状態になる。この場合、台間機102の入金禁止状態は、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオンライン復帰し、かつ島コントローラ140から入金許可状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号が送られてくるまで続行される。台間機102が受信した入金禁止状態を指示する旨の入金許可/禁止制御信号が、台間機102のトラブル(たとえば台間機102に発生した紙幣ジャム)に起因しており、この台間機102のトラブルがオンライン復帰よりも早い段階で解消した場合、台間機102が受け付けることが可能な状態であるにも拘らず、当該台間機102の入金禁止状態が続行されることになる。換言すると、不必要な入金禁止状態が台間機102に設けられることになる。そして、台間機102が入金禁止状態になる頻度が高くなると、当該台間機102に対応する遊技台101で遊技をし難くなり、当該遊技台101の稼働率が低下するおそれがある。
【0077】
以上のようにこの実施形態によれば、搬送制御装置132または島コントローラ140と台間機102との間がオフラインであれば、台間機102の制御部300は、自己判断によって、入金許可状態であるか入金禁止状態であるかを設定する。そのため、オフライン中において、台間機102のトラブルが解消した後も入金禁止状態が続行されるのを防止することができ、これにより、不必要な入金禁止状態をなくすことができる。したがって、入金禁止状態を最小限の期間に止めることができ、ゆえに、遊技台101の稼働率の低下を効果的に抑制することができる。
【0078】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
2 台間機(遊技媒体貸出装置)
10 紙幣搬送装置(紙幣搬送機構)
30 サブコントローラ(上位機)
102 台間機(遊技媒体貸出装置)
120 紙幣搬送装置(紙幣搬送機構)
123 紙幣搬送ベルト
124 ガイドローラ
132 搬送制御装置(上位機)
140 島コントローラ(上位機)
200 制御部(動作設定手段)
300 制御部(動作設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金された紙幣に基づいて遊技媒体を貸し出し、前記の紙幣を紙幣搬送機構に受け渡すとともに、前記の紙幣搬送機構を制御する上位機に通信可能に接続された遊技媒体貸出装置であって、
前記遊技媒体貸出装置の動作状態を前記入金許可状態または前記入金禁止状態のいずれかに設定する動作状態設定手段を含み、
前記動作状態設定手段は、前記上位機から送信される入金状態制御信号に従って前記動作状態を設定する第1の設定手段と、前記上位機との間で通信不能状態であるときに、前記遊技媒体貸出装置の制御により前記動作状態を設定する第2の設定手段とを含むことを特徴とする、遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
紙幣を搬送するための紙幣搬送機構を制御するための上位機と、この上位機に通信可能に接続され、入金された紙幣に基づいて遊技媒体を貸し出すとともに、前記の紙幣を紙幣搬送機構に受け渡す遊技媒体貸出装置とを含む紙幣搬送システムであって、
前記上位機に設けられ、前記遊技媒体貸出装置の動作状態を指示するための入金状態制御信号を前記遊技媒体貸出装置に送信する入金状態制御信号送信手段と、
前記遊技媒体貸出装置に設けられ、前記遊技媒体貸出装置の動作状態を前記入金許可状態または前記入金禁止状態のいずれかに設定する動作状態設定手段を含み、
前記動作状態設定手段は、前記上位機から送信される前記入金状態制御信号に従って前記動作状態を設定する第1の設定手段と、前記上位機との間で通信不能状態であるときに、前記遊技媒体貸出装置の制御により前記動作状態を設定する第2の設定手段とを含むことを特徴とする、紙幣搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70744(P2013−70744A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210558(P2011−210558)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】