説明

遊技機、及びそのシンボルの表示方法

【課題】遊技者を惹きつけるには、見えるシンボルに加えられる視覚効果を柔軟に、かつ多様な変化させることが望ましい。
【解決手段】遊技機は、コンピュータグラフィックスを利用してビデオリールを表示する表示部を含む。シンボルは各ビデオリールの上で移動して停止する。シンボルの種類と配列とをランダムに選択し、そのシンボルの配列のうち、あるペイラインに役が現れ、かつそのペイラインに対して遊技者が賭け金を入力していれば賞を与える。各ビデオリール上でシンボルを移動させ上記配列でシンボルを停止させる。表示制御部は更に表示部により、シンボルを移動させている間に、選択された種類のシンボルを特殊シンボルへと変化させる。特殊シンボルは、その背景色が他のシンボルの背景色の補色である、金属色である、又は、点滅し、パッと光り、若しくはきらめく等、目立つ形態で現れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カジノ等に設置される遊技機に関し、特にスロットゲームを行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
カジノでは一般に、スロットマシン、ポーカーマシン、フルーツマシン等の遊技機が遊技者にとても親しまれている。そのような遊技機は、前面にシンボルの配列を表示し、その配列の中でシンボルの種類をランダムに変化させる。遊技者は、その配列の中でシンボルが変化する前に、その配列のうち、いずれのペイラインに役が現れるかを推測して、所望のペイラインに対して賭け金を入力する。もし、遊技者が賭け金を入力したペイラインに役が現れれば、その遊技者には、賭け金の量及び役の種類に応じた量の賞金が当たる。
【0003】
この種類の遊技機は一般に機械的リールを備えている。それらのリールは同軸に配置され、個別のモータで独立に回転可能である。シンボルは永久的に表示される。例えば各リールの外周面に所定の順序で印刷されている。機械的リールは回転と停止とを繰り返すことにより、見えるシンボルをランダムに変化させる。その他に、この種類の遊技機がディスプレイ装置を備え、シンボルがそのディスプレイ装置の画面にグラフィックで配置され、すなわち、ビデオリールとして再生されてもよい。ビデオリールは、回転と停止とを繰り返す機械的リールに見えるように変化することにより、見えるシンボルをランダムに変化させる。機械的リールの中には、その外周面上にディスプレイ装置を一つ以上搭載したものもある。シンボルはそのディスプレイ装置の画面にグラフィックで表示される。
【0004】
ほとんどの遊技者は、賞金の量がより大きい遊技機を好む。賞金の上限は一般に、リール上に見えるシンボルの配列に現れ得る役の総数に依存する。機械的リールでは、主にそのサイズによってシンボルの種類の数に限りがある。機械的リールを備えた遊技機は、賞金の上限を増やす目的で、停止位置に見えるシンボルに加えられる視覚効果を変化させる。例えば、シンボルの種類の数を増やす目的でその照明の色やパターンを変化させる。それはまた、遊技者に当たりへの期待を膨らませることにより、彼等を興奮させることができる。一方、ビデオリールでは原理的に、シンボルの種類の数には限りがない。しかし、ビデオリールはしばしば、停止位置に見えるシンボルの種類を変化させることによって遊技者に当たりへの期待を膨らませる目的で、そのシンボルに加えられる視覚効果を変化させる。ビデオリール上ではシンボルがグラフィックであるので、見えるシンボルの照明の色やパターンの他に、視覚効果を更に柔軟に、かつ多様に変化させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような遊技機により多くの遊技者を惹きつけるには、見えるシンボルに加えられる視覚効果を更に柔軟に、かつ多様に変化させ得ることが望ましい。しかし、従来の遊技機は、シンボルに対する視覚効果の変化を見分けることができるようにする目的で、視覚効果の変化を、停止位置に見えるシンボルに対するものに限っている。しかし、リールが停止した後でのその変化は、一回のゲームラウンド当たりの時間を増大させやすい。一回のゲームラウンド当たりの時間が長すぎるのは遊技者にとって魅力的でないので、上記の変化を更に柔軟に、かつ多様にすることができない。
【0006】
上記の問題点を考慮すれば、見えるシンボルに加えられる視覚効果を、更に柔軟にかつ多様に変化させるだけでなく、遊技者にとってより魅力的に変化させることができるように改良された遊技機が要求されていることは、この開示内容から当業者には明らかであろう。本発明は、当該技術分野におけるこの要求に、この開示内容から当業者には明らかになるであろう他の要求と共に応える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による遊技機は、表示部、操作部、遊技制御部、及び表示制御部を有する。表示部はコンピュータグラフィックスを利用してシンボルを表示する。シンボルは複数の列に並べられ、列ごとに移動して停止する。尚、表示部はシンボルの列、すなわちビデオリールを全て、単一の画面に表示してもよい。その他に、シンボルの各列を、一つの機械的リールの外周面に巻かれた画面に表示してもよい。操作部は遊技者から、賭け金を入力するための金銭データと命令とを受け付ける。遊技制御部はゲームプログラムを実行することによって次の機能を制御する:上記の命令に応じて上記の金銭データを賭け金として利用する機能;シンボルの種類をランダムに選択する機能;シンボルの配列をランダムに決定する機能;そのシンボルの配列から役を検索する機能;そのシンボルの配列から検索された役と上記の賭け金とに応じて、遊技者に賞を与える機能。表示制御部は表示部により、シンボルを列ごとに移動させ、遊技制御部によって選択された配列にシンボルを停止させる。表示制御部は表示部に更に、シンボルを移動させている間に、遊技制御部によって選択された種類のシンボルを特殊シンボルへと変化させる。
【0008】
この遊技機はシンボルの種類をランダムに選択し、シンボルが移動している間に、その選択された種類のシンボルを特殊シンボルに変化させる。それにより、シンボルの種類の数が増えて賞金の上限が増えるだけなく、シンボルが移動している間、好ましくはリールが回転している間、当たりへの期待が膨らむことによって遊技者が興奮する。
【0009】
遊技制御部は好ましくは、特殊シンボルをワイルドカードシンボルとして解釈する。この場合、上記の選択された種類のシンボルを特殊シンボルに変化させることは、当たりの可能性が増すので、遊技者にとって実際に有利である。
【0010】
表示制御部は好ましくは、表示部により、シンボルを移動させている間に、特殊シンボルの背景色を他のシンボルの背景色の補色に変化させる。それにより、上記の選択された種類のシンボルを特殊シンボルへと、容易に見分けがつくように変化させることができる。その他に、表示制御部は表示部により、シンボルを移動させている間、特殊シンボルだけを金属色で表示させてもよい。表示制御部は表示部により、シンボルを移動させている間、特殊シンボルを点滅させ、パッと光らせ、又はきらめかせてもよい。
【0011】
表示制御部は好ましくは、表示部がシンボルを移動させている間、特殊シンボルに変化するシンボルの種類の候補が互いに近隣に表示される確率を、他のシンボルよりも高くする。この場合、シンボルが移動している間、特殊シンボルの集団が見える位置に現れる可能性が高い。それにより、選択されたシンボルが特殊シンボルに変化したことを、遊技者に更に確実に気付かせることができる。
【0012】
表示部は好ましくは、特殊シンボルに変化するシンボルの種類の候補を、静止したグラフィック画像で表示する領域を含む。この場合、表示制御部は好ましくは、表示部がシンボルを移動させている間に、表示部に上記の領域内で、遊技制御部によって選択された候補を特殊シンボルに変化させる。遊技者はその領域内の表示を通して、特殊シンボルの出現及び種類を確認できる。
【0013】
遊技制御部は好ましくは二種類以上のシンボルをランダムに選択する。この場合、表示制御部は好ましくは、表示部に、シンボルを移動させている間に、遊技制御部によって選択された種類のシンボルを順番に特殊シンボルに変化させる。この視覚効果により、シンボルが移動している間、当たりへの期待が徐々に膨らむので、遊技者が興奮する。
【0014】
本発明のこれらの目的、特徴、観点、及び利点は、他のものと併せて、以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。その詳細な説明は、添付の図面と共に、本発明の好ましい実施形態を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の選ばれた実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明のこの実施形態についての以下の記載が例示のみを目的とするものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される発明及びその均等の範囲の限定を目的としないことは、当業者にはこの開示内容から明らかであろう。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、好ましくはカジノに設置されたビデオゲーム機である。図1を参照すると、その遊技機は、開閉可能なフロントパネル2を備えた箱形の筐体1を有する。三台の表示部3A、3B、3Cがそれぞれ、フロントパネル2の上部、中央部、下部に取り付けられている。コインスロット5、紙幣スロット6、及び様々な押しボタン8が、中央の表示部3Bと下部の表示部3Cとの間に取り付けられている。コインシュート9、コイントレイ10、及びスピーカ11が、下部の表示部3Cの下に設置されている。
【0017】
三台の表示部3A、3B、3Cはそれぞれ、好ましくはフラットディスプレイ、更に好ましくは液晶ディスプレイを含む。表示部3A、3B、3Cは、ゲーム開発企業のロゴ等の装飾/広告用画像、ゲームの視覚効果用画像、配当表/ゲームコンテンツのイラスト/ジャックポット値等のゲームに関する視覚的情報など、様々な画像を再現する。特に、中央の表示部3Bは好ましくは、五つのビデオリールすなわち五つのシンボル列、遊技者の利用可能なクレジット数、賭け金の量、及び、遊技者の獲得した賞金の量を表示する。
【0018】
遊技者はコインスロット5にはコインを投入し、紙幣スロット6には紙幣を投入できる。投入されたコインと紙幣とはカウンタによってカウントされ、アクセプタによって認証される。カウンタとアクセプタとは筐体1の中に設置されている。認証されたコインと紙幣との総額は、遊技者に利用可能なクレジットとして中央の表示部3Bに表示される。筐体1の中に設置されたコインホッパは、遊技者によって投入されたコインと紙幣と共に、多数のコインと紙幣とを貯えている。コインホッパはコインシュート9を通してコイントレイ10の中に、遊技者がゲームで獲得したクレジットと等価なコインを排出する。ここで、この遊技機はチケットイン/チケットアウトシステムに対応していてもよく、すなわち、バーコードを含む紙製のチケットを受け付け、かつ印刷してもよい。そのチケットに印刷されたバーコードが遊技者の利用可能な金銭データを示す。
【0019】
遊技者は押しボタン8によって遊技機を操作できる。遊技者は押しボタン8を利用することで、例えば、ビデオリールからペイラインを一本以上選択でき、選択された各ペイラインに対して所望の量の賭け金を入力できる。遊技者は更に、押しボタン8に含まれるスピンボタンを押して、ビデオリールに回転を開始させ、すなわち、シンボルを垂直方向に移動させる。もし、停止したシンボルの配列が、選択されたペイラインのいずれかに役を含めば、賭け金の量とその役の種類とに応じた賞が遊技者に当たる。遊技者は、押しボタン8に含まれる払い出しボタンを押して、その遊技者のクレジットと等価なコインをコインシュート9から受け取ることができる。押しボタン8は好ましくはランプボタンであり、それぞれが発光素子を含み、遊技者によって押されたとき、又は遊技中の照明効果に利用されるときに光る。
【0020】
スピーカ11は筐体1の中に設置され、遊技中、音声アナウンスや音響効果を生成する。
【0021】
遊技機の上記の構成要素は好ましくは、筐体1の中に設置された遊技制御部によって制御される。その他に、遊技制御部は筐体1から分離され、ネットワークを通して筐体1の構成要素に接続されてもよい。
【0022】
図2を参照すると、遊技制御部は、CPU21、ROM22、RAM23、クレジット制御部24、操作部25、払い出し制御部26、乱数生成部28、照明制御部29、音響制御部30、及び表示制御部31を含む。
【0023】
CPU21は様々なプログラムを実行し、それにより、操作部25によって受理された命令及びデータに従って遊技制御部の他の構成要素を制御する。ROM22は、CPU21によって利用されるプログラムやデータベースを格納する。RAM23は、CPU21によって利用される変数やパラメータなどを一時的に格納する。
【0024】
クレジット制御部24は遊技者のクレジットの量を管理する。その量は、カウンタ/アクセプタ24Aによってカウントされて認証されたコインと紙幣との総額に等しい。操作部25は押しボタン8を監視し、それらの押しボタン8から様々な命令やデータを受け取る。払い出し制御部26はコインホッパ26A等を利用して遊技者のクレジットを、コイン、紙幣、又は他の金銭データに変換する。
【0025】
乱数生成部28は乱数を一つ以上生成してCPU21に出力する。その乱数は、停止したシンボルの配列や、特殊シンボルに変わるべきシンボルの種類をランダムに選択するのに利用される。
【0026】
照明制御部29は、遊技中、三台の表示部3A、3B、3C、押しボタン8、及び、筐体1に取り付けられた他のランプの中に設置された照明器具29Aを制御する。それにより、照明制御部29は照明効果を与える目的で、照明器具29Aを点滅させたり、その明るさや色を特定のパターンで変化させたりする。音響制御部27はスピーカ11を制御して、遊技中、音声アナウンスや音響効果を出力させる。
【0027】
表示制御部31は三台の表示部3A、3B、3Cを制御して、好ましくはコンピュータグラフィックスを利用して、画面に様々な画像を表示させる。表示制御部31はコンピュータグラフィックスを利用して、特に中央の表示部3Bに表示されたビデオリールを制御する。図3は、中央の表示部3Bに表示されたゲーム画面40の一例を示す。好ましくは五つのビデオリール41A−41Eがゲーム画面40に配置される。尚、ビデオリールの数は5以外の数、例えば3に変更されてもよい。各ビデオリール41A−41Eでは、好ましくは三つ以上のシンボル42が垂直方向の移動と停止とを繰り返す。移動中、異なる種類のシンボル42がランダムに、又は所定の順序で現れる。シンボル42のこの動作はしばしば「ビデオリールのスピン」と呼ばれる。所定時間の経過後、シンボル42は、各ゲームラウンドの開始時に遊技制御部によってランダムに選択された配列に停止する。停止位置ではシンボル42は好ましくは三本の水平線の一つに並ぶ。この場合、好ましくは、全ての水平線と斜線とがペイラインとして選択可能である。その他に、シンボルは蜂巣型の配列に停止してもよい。例えば、同種のシンボルが三つ以上、選択されたペイラインに並べば、そのペイラインに対して入力された賭け金、及び、そのペイラインに並んだシンボルの種類と数とに応じた賞が遊技者に当たる。ゲーム画面40はまた、利用可能なクレジット数、あるゲームラウンドで入力された賭け金の量、及びそのゲームラウンドで当たった賞金の量を含む。
【0028】
その他に、ゲーム画面40は、好ましくは四つの小領域を含む。それらには、特殊シンボルに変わり得るシンボルの種類の候補43A−43Dが四つ、静止したグラフィック画像で表示される。尚、候補43A−43Dの数は4以外の数に変更されてもよい。遊技制御部はゲームラウンドごとに、特殊シンボルに変わるべき候補43A−43Dを0以上、ランダムに選択する。特殊シンボルは好ましくはワイルドカードシンボルとして解釈される。特殊シンボルは別の機能、例えば、停止したシンボルの配列の中に現れたときに、ボーナスゲームや、遊技者に与えられる賞金の追加を示す機能を持っていてもよい。候補43A−43Dのうち、特殊シンボルに変わるべきものとして選択された一つ以上のものは、各小領域に目立つ形態で表示される。更に、選択された候補と同じ種類のシンボルがビデオリール41A−41Eに目立つ形態で現れる。図4を参照すると、三つの候補、すなわち、十字形シンボル43A、円形シンボル43B、及び星形シンボル43Cが特殊シンボル44A、44B、44Cとして選択される。特殊シンボル44A−44Cがワイルドカードシンボルとして解釈される場合、図4に示されている、停止したシンボル42の配列は、図3に示されている、特殊シンボルを含まないときの同じ配列とは異なり、二番目の水平線に「7」シンボル42Dが五つ並んだ役を含む。このように、特殊シンボルに変わるべきものとして選択された候補が多いほど、遊技者にとって当たりの可能性が増える。
【0029】
表示制御部31は中央の表示部3Bにより、シンボル42を垂直方向に移動させている間に、選択された候補43A−43Cを特殊シンボル44A−44Cへと変化させる。好ましくは、これらの特殊シンボル44A−44Cの背景色を他の通常のシンボル42の背景色の補色に変化させる。例えば、通常のシンボル42の背景色が、白、緑、又は青紫である場合、特殊シンボル44A−44Cの背景色はそれぞれ、黒、赤、又は黄である。特殊シンボル44A−44C自体の色を補色に変化させてもよい。更に好ましくは、特殊シンボルの色とその背景色とを金属色に変化させる。CGアニメーションを利用して、特殊シンボルを点滅させ、パッと光らせ、又はきらめかせてもよい。シンボルの色やパターンをこれらのように目立つ形態で変化させることにより、ビデオリール41A−41Eでシンボル42を移動させている間に、特殊シンボル44A−44Cの出現を遊技者に容易に気付かせることができる。尚、表示制御部31は好ましくは、回転中のビデオリール41A−41Dで、四つの候補43A−43Dと同じ種類のシンボル42A−42Dを近隣に表示する確率を、他の種類のシンボルよりも高くする。それによっても、特殊シンボル44A−44Cの出現を遊技者に容易に気付かせることができる。
【0030】
二以上の候補を特殊シンボルとして選択した場合、シンボル42を移動させている間に、選択された候補を同時に特殊シンボルに変化させてもよい。更に好ましくは、シンボル42を移動させている間に、選択された候補を順番に特殊シンボルに変化させる。図5A−5Cを参照すると、三つの候補43A−43Cが予め選択され、順番に特殊シンボル44A−44Cに変化する。まず、シンボル42の移動開始、すなわちビデオリール41A−41Eのスピン開始から所定時間が経過した時、図5Aに示されているように、第1の候補すなわち十字形シンボル43Aが第1の特殊シンボル44Aに変化する。次に、第1の候補43Aが第1の特殊シンボル44Aに変化してから別の所定時間が経過した時、図5Bに示されているように、第2の候補すなわち円形シンボル43Bが第2の特殊シンボル44Bに変化する。最後に、第2の候補43Bが第2の特殊シンボル44Bに変化してから更に別の所定時間が経過した時、図5Cに示されているように、第3の候補すなわち星形シンボル43Cが第3の特殊シンボル44Cに変化する。特に遊技者は、ビデオリール41A-41Eだけでなく、小領域に表示された候補43A−43Dを通して、特殊シンボル44A−44Cの種類の増加に容易に気付くことができる。尚、特殊シンボルの種類を増やすごとに、シンボル42の移動速度を落としてもよい。それにより、遊技者は特殊シンボル44A−44Cの種類の増加に気付く度に、興奮の度合いを徐々に高める。
【0031】
以下、図6A、図6Bを参照しながら、遊技機の動作をゲームラウンドの流れの順に説明する。
【0032】
ステップS1:遊技者が、コインスロット5にコインを投入し、又は紙幣スロット6に紙幣を投入する。そのとき、カウンタ/アクセプタ24Aがそのコイン及び紙幣を認証し、正当なコイン及び紙幣をカウントする。遊技制御部はそのカウントを読み出して、そのカウントに対応する数だけ遊技者のクレジットを増やすように、RAM23に格納されたクレジットのデータを更新する(図2参照)。その後、遊技者はボタン8を使って所望のペイラインに対して所望の賭け金を入力できる。操作部25は、その所望のペイラインに対して入力された賭け金を受け付ける。次に、遊技制御部は操作部25を、ボタン8の一つであるスピンボタンからビデオリール41A−41Eのスピン開始の合図を受け付け可能な状態にする。スピンボタン8を押した遊技者からその合図を操作部25が受け付けた時、遊技制御部は、RAM23に格納されたクレジットのデータを更新して、そのクレジットの数を賭け金の総量だけ減らす。
【0033】
ステップS2:遊技制御部は好ましくは乱数生成部28に乱数を一つ生成させて、その乱数に応じて特殊シンボルの候補を0以上選択する。遊技制御部は好ましくは、その乱数に応じて、特殊シンボルに変化すべきシンボルの種類の数を決める。その数を0と決めた場合、いずれの候補も特殊シンボルに変化すべきものとはしない。その数を1と決めた場合、第1の候補すなわち十字形シンボル43Aを特殊シンボル44Aに変化すべきものとする。その数を2と決めた場合、第1の候補43Aに加え、第2の候補すなわち円形シンボル43Bを特殊シンボル44Bに変化すべきものとする。その数を3と決めた場合、第1の候補43Aと第2の候補43Bとに加え、第3の候補すなわち星形シンボル43Cを特殊シンボル44Cに変化すべきものとする。その数を4と決めた場合、第1の候補43Aから第3の候補43Cまでに加え、第4の候補すなわち「7」シンボル43Dを特殊シンボルに変化すべきものとする。このように、遊技制御部は、特殊シンボルに変化すべきシンボルの種類を0以上ランダムに選択する。好ましくは、RAM23が、シンボルの各種類に関連付けられたフラグを予め格納し、遊技制御部が、選択されたシンボルの種類に関連付けられたフラグだけを立てる。
【0034】
ステップS3:遊技制御部は乱数生成部28に乱数を、好ましくは五つ生成させる。それら五つの乱数は一つずつ、異なるビデオリール41A−41Eに割り当てられる。遊技制御部は次に、それら五つの乱数に関連付けられたビデオリール41A−41Eの停止位置を、好ましくはROM22に格納されたそれぞれの停止位置テーブルから検索する。各停止位置テーブルはビデオリール41A−41Eに一つずつ割り当てられ、乱数とそのビデオリールの停止位置、すなわちそのビデオリールに静止したグラフィック画像で表示されるべきシンボル列の種類との間の関係を表す。こうして、遊技制御部はビデオリール41A−41Eの停止位置をランダムに選択し、その停止位置を表すデータを、好ましくはRAM23に格納する。
【0035】
遊技制御部はまた、遊技者に賞を与えるか否かを、以下のようにランダムに決める。遊技制御部は上記五つの乱数を、ROM22に格納された役テーブルから検索する。役テーブルは五つの乱数と賞との間の関係を表す。ここで、それら五つの乱数はそれぞれ、ビデオリール41A−41Eの停止位置に関連付けられている。従って、賞は、停止したビデオリールに配置されたシンボルの役に割り当てられる。役は好ましくは、三つ以上連続するビデオリールに同種のシンボル(又はワイルドカードシンボル)が停止した配列に割り当てられる。賞の種類は、各役に繰り返し含まれるシンボルの種類に依存する。尚、特殊シンボルの種類ごとに異なる種類の役テーブルがROM22に格納されていてもよい。遊技制御部は予め、好ましくはシンボルの種類に関連付けられたフラグに応じて、役テーブルの種類を一つ選択する。遊技制御部がその選択された役テーブルから、上記五つの乱数の組み合わせに関連付けられた賞を読み出せた場合、遊技制御部は遊技者にその賞を与えることにする。
【0036】
ステップS4:遊技制御部は表示制御部31に指示を出して、中央の表示部3Bでビデオリール41A−41Eのスピンを開始させる、すなわち、ビデオリール41A−41Eでシンボル42を垂直方向に連続的に移動させ始める。所定時間が経過するごとに、表示制御部31は中央の表示部3Bにより、ビデオリール41A−41Eを一つずつ、ステップS3で選択されたそれぞれの停止位置に停止させる。ステップS4の詳細については後述する。
【0037】
ステップS5:遊技制御部が遊技者に賞を与えることにした場合、遊技制御部は照明制御部29と音響制御部30とにコマンドを与えて視覚効果及び音響効果を制御する。照明制御部29はそのとき、そのコマンドによって表されるパターンで照明器具29Aを点滅させる。音響制御部30は、スピーカ11から再生される音声を、そのコマンドによって表される音響効果に変更する。その後、遊技制御部は、RAM23に格納されたクレジットのデータを更新して、遊技者のクレジットを、賞として与えられる金額だけ増やす。もし遊技者によって指示されれば、遊技制御部は払い出し制御部26を利用して、その遊技者に賞金を支払う。遊技制御部はその後、遊技者からの新たな指示を待つ。その他に、遊技制御部は、遊技者に賞として与えられるボーナスラウンドを開始してもよい。
【0038】
ステップS4では好ましくは、表示制御部31が中央の表示部3Bにビデオリール41A−41Eのスピンと停止とを、以下のように制御させる(図6B参照)。
【0039】
ステップS401:表示制御部31は、ビデオリール41A−41Eを制御するための様々なパラメータを初期化する。特に、整数値変数Nを0に設定し、時間変数TIMEを0に設定する。その他に、定数REEL_NUMが予め5に設定される。その定数はビデオリール41A−41Eの総数を表す。
【0040】
ステップS402:表示制御部31は、時間変数TIMEが定数REEL_STOP_TIME[N]よりも大きいか、確認する。その定数は、(N+1)番目のビデオリールのスピンが連続する期間の長さを表す。時間変数TIMEが定数REEL_STOP_TIME[N]よりも大きい場合、処理はステップS410に分岐する。その他の場合、処理はステップS403に進む。
【0041】
ステップS403:表示制御部31はまず、ビデオリール41A−41Eに「創出される」べき五種類のシンボルを選択する。ここで、シンボルの種類は、ランダムに選択されても、所定の順序で選択されてもよい。表示制御部31は次に、RAM23にアクセスして、選択されたシンボルの種類に関連付けられたフラグを確認する。いずれかのフラグが立っている場合、処理はステップS405に分岐する。その他の場合、処理はステップS404に進む。
【0042】
ステップS404:表示制御部31は、選択された五種類のシンボルをビデオリール41A−41Eに通常のグラフィック画像で「創出する」。より具体的には、表示制御部31は、選択された種類のシンボルの通常の画像データを、RAM23又は他のメモリ内の所定の領域に準備する。その画像データは、図3に示されている通常のシンボル42の画像を表す。
【0043】
ステップS405:選択されたシンボルの種類に関連付けられたフラグが一つ以上立っていた場合、選択されたシンボルの種類は、図3に示されている候補43A−43Dを一つ以上含む。表示制御部31は、時間変数TIMEが定数CHANGE_TIMEよりも大きいか、確認する。その定数は、ビデオリール41A−41Eのスピン開始から、選択された候補43A−43Cが図5A−5Cに示されているように特殊シンボル44A−44Cに変化するまでに要する時間を表す。定数CHANGE_TIMEは好ましくは候補43A−43Dごとに異なり、特に、第1の候補43Aから第4の候補43Dまでの順に増える。その他に、定数CHANGE_TIMEは候補43A−43Dの間で共通であってもよい。時間変数TIMEが、選択された候補43A−43Cのいずれかに対する定数CHANGE_TIMEよりも大きい場合、処理はステップS406に進む。その他の場合、処理はステップS404に戻る。
【0044】
ステップS406:表示制御部31はまず、選択された候補43A−43Cを一つ以上、それぞれに対する定数CHANGE_TIMEよりも時間変数TIMEが大きい間、「特殊な」グラフィック画像、すなわち、特殊シンボル44A−44Cとしての目立つグラフィック画像で創出する。表示制御部31は更に、他の選択された種類のシンボルを通常のグラフィック画像で創出する。表示制御部31は特殊シンボル44A−44C及び通常のシンボル42の画像データを、RAM23又は他のメモリ内の所定の領域に準備する。表示制御部31はまた、小領域での表示に利用される、選択された候補43A−43Cの画像データを、特殊シンボルの画像データに変更する。
【0045】
ステップS407:表示制御部31は、前のステップS404又はステップS406でRAM23又は他のメモリ内の所定領域に準備されたシンボルの画像データを利用して、シンボル42の画像がビデオリール41A−41Eの上をある距離だけ移動するアニメーションを中央の表示部3Bに表示させる。尚、表示制御部31は好ましくは、特殊シンボルの種類が増える度にシンボル42の移動速度を落とす。更に、後述のステップS410でいずれかのビデオリール41A−41Eの停止が決定された場合、そのビデオリールでのシンボル42の移動速度を徐々に落として、その後、シンボル42を停止させる。
【0046】
ステップS408:表示制御部31は時間変数TIMEを一段階進める。
【0047】
ステップS409:表示制御部31は、整数値変数Nが定数REEL_NUM(例えば、5)よりも小さいか、確認する。整数値変数Nが定数REEL_NUMよりも小さい場合、処理はステップS402からくり返される。その他の場合、処理はステップS5に進む。
【0048】
ステップS410:表示制御部31は(N+1)番目のビデオリール41A、…、41Eの停止を決める。そのとき、ステップS404又はステップS406が所定回数繰り返されてから、(N+1)番目のビデオリールの停止位置に表示されるべきシンボルが順番に創出される。その後、ステップS407で、それらのシンボルが(N+1)番目のビデオリールの停止位置に実際に表示される。
【0049】
ステップS411:表示制御部31は整数値変数Nを1だけ増やす。
【0050】
整数値変数Nが定数REEL_NUMすなわちビデオリール41A−41Eの総数、例えば5に達するまで、表示制御部31はステップS402−S410のループを繰り返す。こうして、中央の表示部3Bは一回のゲームラウンドの間、ビデオリール41A−41Eのスピンと停止とを表示する。特に図5A−5Bに示されているように、選択された候補43A−43Cが特殊シンボル44A−44Cに順番に、目立つ形態で変化する。
【0051】
用語の一般的な解釈
【0052】
本発明の範囲を理解するに当たり、この明細書で装置の構成要素、区画、又は部分の説明に用いられている「構成された」という用語は、所望の機能を実現するために構成され、及び/又はプログラムされた、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方を含む。本発明の範囲を理解するに当たり、この明細書で用いられている「有する」という用語及びその派生語は非制限的な用語であり、記載された特徴、要素、成分、グループ、数、及び/又は、ステップの存在を特定する一方、記載されていない他の特徴、要素、成分、グループ、数、及び/又はステップの存在を排除しないことを意図している。上述のことは、「含む」、「持つ」、及びそれらの派生語など、同様な意味を持つ語句にも当てはまる。また、「部」、「区画」、「部分」、「部材」、又は「要素」という用語は、単数形で使用されていても、単一の部分又は複数の部分という二重の意味を持ち得る。最後に、この明細書で用いられている、「実質的に」、「約」、及び「およそ」などの程度を示す用語は、それらで修飾された用語について、最終的な結果が重大には変化しない程度の誤差を意味する。例えば、もしそれらの用語で修飾された語句の意味が否定されなければ、それらの用語がその修飾された用語の少なくとも±5%の誤差を含むものとして解釈されてもよい。
【0053】
本発明の例示を目的として、限られた実施形態のみを選択したが、添付の請求の範囲で定義された本発明の範囲を逸脱することなく、この明細書の内容に様々な変更及び修正を加えられることは、当業者にはこの開示内容から明白であろう。更に、本発明による実施形態に関する上記の説明は例示のみを目的とするものであり、添付の請求の範囲、及びそれに均等な範囲によって定められた本発明の限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
この出願当初の開示内容の一部を成す添付の図面は、以下のとおりである、
【図1】本発明の一実施形態による遊技機の外観の斜視図
【図2】図1に示されている遊技機に含まれる遊技制御部のハードウェア構成のブロック図
【図3】図1に示されている遊技機の画面に表示された、停止したシンボル配列の一例
【図4】図1に示されている遊技機の画面に表示された、停止したシンボル配列の別の例
【図5A】図1に示されている遊技機の画面に表示された、移動中のシンボルの第1状態の例
【図5B】図1に示されている遊技機の画面に表示された、移動中のシンボルの第2状態の例
【図5C】図1に示されている遊技機の画面に表示された、移動中のシンボルの第3状態の例
【図6A】図1に示されている遊技機で行われるゲームラウンドのフローチャートの前半部分
【図6B】図1に示されている遊技機で行われるゲームラウンドのフローチャートの後半部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータグラフィックスを利用してシンボルを表示し、そのシンボルを複数の列に並べ、列ごとに移動させて停止させる表示部、
遊技者から、賭け金を入力するための金銭データと命令とを受け付ける操作部、
ゲームプログラムを実行することにより、前記命令に応じて前記金銭データを賭け金として利用する機能、シンボルの種類を0以上ランダムに選択する機能、シンボルの配列をランダムに決定する機能、前記シンボルの配列から役を検索する機能、及び、前記シンボルの配列から検索された役と前記賭け金とに応じて、前記遊技者に賞を与える機能、を制御する遊技制御部、並びに、
前記表示部により、シンボルを列ごとに移動させ、シンボルを移動させている間に、前記遊技制御部によって選択された種類のシンボルを特殊シンボルへと変化させ、その後、前記遊技制御部によって選択された配列にシンボルを停止させる表示制御部、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記遊技制御部は、前記特殊シンボルをワイルドカードシンボルとして解釈する、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部により、シンボルを移動させている間に、前記特殊シンボルの背景色を他のシンボルの背景色の補色に変化させる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部により、シンボルを移動させている間、前記特殊シンボルを点滅させ、パッと光らせ、又はきらめかせる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部がシンボルを移動させている間、特殊シンボルに変化するシンボルの種類の候補が互いに近隣に表示される確率を、他のシンボルよりも高くする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項6】
前記表示部は、特殊シンボルに変化するシンボルの種類の候補を、静止したグラフィック画像で表示する領域を含み、
前記表示制御部は、前記表示部がシンボルを移動させている間に、前記表示部に前記領域内で、前記遊技制御部によって選択された候補を特殊シンボルに変化させる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項7】
前記遊技制御部が2種類以上のシンボルをランダムに選択したとき、前記表示制御部は前記表示部に、シンボルを移動させている間に、前記遊技制御部によって選択された種類のシンボルを順番に特殊シンボルに変化させる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項8】
遊技者から、賭け金を入力するための金銭データと命令とを受け付けるステップ、
前記命令に応じて前記金銭データを賭け金として利用するステップ、
シンボルの種類を0以上ランダムに選択するステップ、
シンボルの配列をランダムに決定するステップ、
前記シンボルの配列から役を検索するステップ、
コンピュータグラフィックスを利用してシンボルを表示し、そのシンボルを複数の列に並べ、列ごとに移動させるステップ、
シンボルを移動させている間に、選択された種類のシンボルを特殊シンボルへと変化させるステップ、
前記シンボルの配列にシンボルを停止させるステップ、及び、
前記シンボルの配列から検索された役と前記賭け金とに応じて、前記遊技者に賞を与えるステップ、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2009−45466(P2009−45466A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−211290(P2008−211290)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】