説明

遊技機の入球装置

【課題】遊技球が進退部材と開閉機構との間に挟まることによって、進退部材と開閉機構とが移動不能となる、いわゆる「球噛み」の状態が発生することを防止することができる入球装置を提供する。
【解決手段】遊技機1の始動入賞装置100において、開閉部材193を有する開閉機構190は、前記開閉部材193の閉塞方向への移動により開放状態から閉塞状態へと切り替える際に、遊技球を入球させる入賞口111内で前記開閉部材193の開放方向への移動を許容する開放移動許容手段を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機において遊技領域を転動する遊技球を所定の条件に応じて入球させる入球装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機において遊技領域を転動する遊技球を所定の条件に応じて入球させる入球装置の技術が公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の入賞装置(入球装置)は、遊技領域を転動する遊技球を入球させるための入球口と、遊技球を受けるための球受け部を有して入球口内から外側へ出没可能に移動する下ベロ部材(進退部材)と、駆動源により前後方向へ移動し、連動機構を介して進退部材と連動連結される上ベロ部材(開閉機構)とを備える。
この技術によれば、所定の条件に応じて駆動源により開閉機構を後方へ移動させ、連動機構を介して進退部材を入球口内から外側へ進出させて、入球口の外側へ進出した球受け部により遊技球を受け、球受け部に受けた遊技球を入球装置に入球させることができる。そして、駆動源により開閉機構を前方へ移動させ、連動機構を介して進退部材を入球口内へ退避させることにより、球受け部が入球口内に没入して遊技球を受けることができないようにすることができる。また、進退部材が入球口内に退避している状態では、連動機構を介して開閉機構が前後方向の移動範囲のうち最前部、つまり入球口内であって且つ入球口近傍位置に配置されるので、入球口が閉塞されることとなり、進退部材によらない方法(例えば、不正の方法)での遊技球の入球やその他の不本意な遊技球の入球を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−195638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、進退部材が入球口の外側に進出された位置から後方へ移動(退避)する場合に、進退部材の球受け部により受けた遊技球が、この進退部材と、(進退部部材の後方への移動に伴い)前方へ移動する開閉機構と、の間に挟まることがあった。すなわち、遊技球が進退部材と開閉機構との間に挟まることによって、該進退部材と該開閉機構とが移動不能となる、いわゆる「球噛み」の状態が発生することがあった。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、遊技球が進退部材と開閉機構との間に挟まることによって、進退部材と開閉機構とが移動不能となる、いわゆる「球噛み」の状態が発生することを防止することができる入球装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、遊技盤の遊技領域を転動する遊技球を入球させる入球口と、遊技球を受ける球受け部を有し、前記入球口に対して進退移動することにより前記遊技領域内に前記球受け部を出没可能とする進退部材と、前記入球口を遊技球が入球可能な開放状態と入球不能な閉塞状態のいずれかの状態に切り替えるように閉塞方向および開放方向に移動する開閉部材を有する開閉機構と、前記開閉機構を駆動する駆動手段と、前記駆動手段により前記開閉機構が駆動され、前記入球口が開放されて前記開放状態となった場合に前記進退部材が前進位置となり、前記入球口が閉塞されて前記閉塞状態となった場合に前記進退部材が後進位置となるように、前記開閉機構と前記進退部材とを連動する連動機構と、を備える遊技機の入球装置であって、前記開閉機構は、前記開閉部材を前記閉塞方向へ移動することにより前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材が前記開放方向へ移動することを許容する開放移動許容手段を備えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記開放移動許容手段は、前記開閉部材を前記開閉部材の基部で回動自在に軸支するものであって、前記進退部材が前記前進位置の場合に前記開閉部材の先端部が前記進退部材から離隔移動して前記開放状態とし、前記進退部材が前記後進位置の場合に前記開閉部材の先端部が前記進退部材に近接移動して前記閉塞状態とし、前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材の自重により前記閉塞方向へ回動するとともに、外力に応じて前記開放方向へ回動自在となるように前記開閉部材を軸支するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、入球装置において、開放状態から閉塞状態へと切り替わる際に、進退部材の受ける面が遊技球を受けた場合であっても、その遊技球が進退部材と開閉機構との間に挟まることによって、進退部材と開閉機構とが移動不能となる、いわゆる「球噛み」の状態が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る始動入賞装置を備える遊技機の全体的な構成を示す正面図。
【図2】遊技盤および始動入賞装置を示す正面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る始動入賞装置を示す正面図。
【図4】同じく、始動入賞装置を示す側面図。
【図5】同じく、左ガイド板と右ガイド板との高さが異なる場合の遊技球の転動を示す模式図。
【図6】同じく、左ガイド板と右ガイド板との角度が異なる場合の遊技球の転動を示す模式図。
【図7】同じく、閉塞状態における始動入賞装置を示す斜視図。
【図8】同じく、閉塞状態における始動入賞装置を示す、図3におけるA−A線矢視断面図。
【図9】同じく、連結部材を示す斜視図。
【図10】同じく、開放状態における始動入賞装置を示す斜視図。
【図11】同じく、開放状態における始動入賞装置を示す、図3におけるA−A線矢視断面図。
【図12】(a)同じく、閉塞状態における遊技球の流れを示す側面断面図。(b)同じく、開放状態における遊技球の流れを示す側面断面図。
【図13】同じく、開閉部材が、遊技球に該遊技球の半径よりも低い位置にて当接した場合の遊技球の流れを示す模式図。
【図14】同じく、開閉部材が、遊技球に該遊技球の半径よりも高い位置にて当接した場合の遊技球の流れを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の第一実施形態に係る始動入賞装置100を備える遊技機1の全体構成について、図1を用いて説明する。
なお、以下の説明において、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、遊技機1の前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、遊技機1の左右方向を規定する。
【0013】
遊技機1には、機体の外郭を成す外枠10が設けられる。外枠10は、前後面が開口される略四角筒状の枠体である。外枠10は、パチンコホール等の遊技場に設けられる台島に設置される。外枠10の前側の開口部には、略四角形状の枠体である中枠20が、ヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠20には、遊技領域58が形成される遊技盤50が着脱自在に取り付けられる(図2参照)。また、中枠20には、略平板状の枠体である窓枠30と、下皿ユニット40とが、ヒンジ等の軸支部材を介してそれぞれ回動可能に支持される。
【0014】
窓枠30の略中央には、正面視で略円形状の窓枠開口部31が開口される。窓枠開口部31には、透明板34が被覆されて、中枠20に支持された遊技盤50の遊技領域58を前方から視認することができる。また、窓枠30の窓枠開口部31の下方には、発射前の遊技球が貯溜される上皿32が配設される。また、窓枠30の窓枠開口部31の左右上方には、スピーカ33がそれぞれ配設される。
【0015】
下皿ユニット40は、窓枠30の下方に配置される。下皿ユニット40の略中央には、上皿32から溢れた遊技球が貯溜される下皿41が配設される。また、下皿ユニット40の右側部には、図示せぬ遊技球発射装置に連結され、上皿32に貯溜された遊技球を遊技領域58へ向けて発射可能に構成される発射ハンドル42が配設される。
【0016】
次に、遊技盤50の構成について、図2を用いてさらに詳細に説明する。
【0017】
遊技盤50は、基体51と、図柄表示手段52と、ガイドレール53と、一般入賞口54と、大入賞装置55と、可動役物装置56と、アウト口57と、始動入賞装置100とを備える。
【0018】
基体51は、遊技盤50の主たる構造体を成す部材である。基体51は、略平板状の部材であり、遊技盤50の各構成部材が取り付けられる。基体51の略中央には、図柄表示手段52を取り付けるための図柄表示開口部61が正面視で略矩形状に開口される。
【0019】
図柄表示手段52は、図柄や数字を変動表示する液晶画面62を備える装置である。図柄表示手段52は、液晶画面62を前方へ向けた状態で、基体51の後面側に取り付けられる。液晶画面62は、図柄表示開口部61を通じて前方を臨むように配置され、基体51の前方から視認可能となっている。また、液晶画面62は、基体51の前面よりも若干後方に配置されて基体51の前面との間に可動役物装置56が配設される隙間が形成される。
【0020】
ガイドレール53は、外ガイドレール63aと、内ガイドレール63bとを備える。
外ガイドレール63aおよび内ガイドレール63bは、正面視で略円弧状に形成される金属製の帯状の部材である。外ガイドレール63aは、基体51の左側および上側の外周を周回するように配置される。内ガイドレール63bは、外ガイドレール63aよりも基体51の内側であって、基体51の左側および下側の外周を周回するように配置される。外ガイドレール63aおよび内ガイドレール63bは、短手方向を前後方向として基体51の前面側から前方へ突出される。
なお、基体51の略中央の外ガイドレール63aと内ガイドレール63bとにより略円形状に区画形成された領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域58とされる。また、基体51の左側部の外ガイドレール63aと内ガイドレール63bとの間に略円弧形状に区画形成された領域が、前記遊技球発射装置により発射された遊技球が通過する領域である発射通路59とされる。そして、発射ハンドル42の回動操作に応じて、遊技球が発射通路59を通過して遊技領域58へ放出されることとなる。
【0021】
一般入賞口54は、上面が開口するポケット状に形成され、遊技球を入賞可能とする部材である。一般入賞口54に遊技球が入賞すると、図示せぬ賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)が払い出される。一般入賞口54は、基体51における遊技領域58の下部に複数個が配置される。
【0022】
大入賞装置55は、大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口65を開放して遊技球を入賞可能とする装置である。大入賞口65に遊技球が入賞すると、前記賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)が払い出される。大入賞装置55は、基体51における遊技領域58の中央下部に配置される。
【0023】
可動役物装置56は、所定の場合に遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与えるためのものである。可動役物装置56は、正面視(図2)において液晶画面62の前方に配置される。
【0024】
アウト口57は、発射通路59を通過して遊技領域58へ放出された遊技球が、一般入賞口54や大入賞口65等の各入賞口に入賞しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口57に流入した遊技球は、パチンコホール等の遊技場側に回収される。アウト口57は、基体51における遊技領域58の最下部に配置される。
【0025】
次に、始動入賞装置100の構成について説明する。
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、主として閉塞状態における始動入賞装置100を示す図面を用いて説明するものとする。
【0026】
始動入賞装置100は、図3および図4に示すように、遊技球が入賞すると、前記賞球払出装置によって所定数の賞球(遊技球)が払い出されと共に、図示せぬ抽選装置によって大当たり抽選が始動される装置である。始動入賞装置100は、所定の作動条件に応じて、遊技球が入賞可能な開放状態または入賞不能な閉塞状態に切り替えられる。始動入賞装置100は、図2に示すように、遊技領域58において液晶画面62の下方であって、大入賞装置55の上方に配置される。
なお、始動入賞装置100は、本発明に係る「入球装置」の一実施形態である。
始動入賞装置100は、図3、図4および図7に示すように、入賞装置取付板110と、遊技球案内部120と、本体支持部130と、本体部140と、ソレノイド収納部材150と、ソレノイド160と、進退部材170と、連結部材180と、開閉機構190とを備える。
【0027】
入賞装置取付板110は、図3および図4に示すように、始動入賞装置100を遊技領域58に取り付けるための略板状部材である。入賞装置取付板110は、遊技領域58において液晶画面62の下方であって、大入賞装置55の上方に配置される。入賞装置取付板110は、遊技盤50を前後方向に貫通して形成された始動入賞装置100の取り付け用の開口部(不図示)を前方から被覆した状態で、遊技領域58に取り付けられる。
【0028】
入賞装置取付板110には、図3および図8に示すように、遊技領域58を転動する遊技球を入賞させるための入賞口111が開口される。入賞口111は、正面視で入賞装置取付板110の略中央に配置される。入賞口111は、入賞装置取付板110を前後方向に貫通して正面視で略矩形状に形成される。入賞口111は、遊技球が通過可能となるように、上下および左右方向の開口幅が遊技球の直径よりも大きく形成される。
なお、入賞口111は、本発明に係る「入球口」の一実施形態である。
【0029】
遊技球案内部120は、図3および図4に示すように、遊技領域58を転動する遊技球を入賞口111の前方へ案内するためのものである。遊技球案内部120は、入賞装置取付板110の前方(遊技領域58側)に配置される。
遊技球案内部120は、左右ガイド板121L・121Rと、前飾り板122とを備える。
【0030】
遊技球案内部120の左右ガイド板121L・121Rは、図3および図4に示すように、その上面で遊技球を転動させ、入賞口111の前方へ案内するためのものである。左右ガイド板121L・121Rは、略板状に形成されて、入賞装置取付板110の前面側から前方へ向けて突出し、正面視で入賞口111を中心とした略左右対称となる位置にそれぞれ配置される。また、左右ガイド板121L・121Rは、正面視で内側(入賞口111に近い側)よりも外側(入賞口111から遠い側)の高さ位置が若干高くなるようにそれぞれ形成される。つまり、左右ガイド板121L・121Rの上面は、正面視で内側へ向けて下降するように緩やかに傾斜した状態にそれぞれ形成される。また、左右ガイド板121L・121Rの内側端部の間の幅は、入賞口111の左右の開口幅と略同一に形成される。また、左右ガイド板121L・121Rの上面の内側端部の高さ位置は、入賞口111の上下方向中途部に位置するようにそれぞれ形成される。
【0031】
遊技球案内部120の前飾り板122は、略板状に形成されて、左右ガイド板121L・121Rの前方であって、前飾り板122の上端部が左右ガイド板121L・121Rの上面よりも上方となる位置に配置される。前飾り板122は、左右ガイド板121L・121Rの前端面に当接される。前飾り板122には、該前飾り板122を入賞装置取付板110に取り付けるための左右取付ステー123L・123Rが設けられる。左右取付ステー123L・123Rは、前飾り板122の上端部から後方へ向けて延出して、入賞装置取付板110の上端部に当接される。また、左右取付ステー123L・123Rは、それぞれ左右方向に相互に離間して配置される。左右取付ステー123L・123Rの間の幅は、入賞口111の左右の開口幅と略同一に形成される。
【0032】
このような遊技球案内部120の構成により、遊技領域58を転動する遊技球が始動入賞装置100の入賞口111の前方へ案内される経路として、2通りの経路が設定されている。すなわち、左右ガイド板121L・121R上に落下した遊技球が、左右ガイド板121L・121Rの傾斜に沿って該左右ガイド板121L・121Rの内側方へ向けて転動し、その転動した左右ガイド板121L・121Rの内側端部から落下することにより入賞口111の前方に案内される経路と、前飾り板122の左右取付ステー123L・123Rの間から落下することにより入賞口111の前方に案内される経路とである。このように、2通りの経路を経て入賞口111の前方へ案内された遊技球は、後述する進退部材170を介して入賞口111内(始動入賞装置100内)へと入賞されることとなる。
【0033】
なお、遊技球案内部120の左右ガイド板121L・121Rは、これらの上面の内側端部の高さ位置を相互に異なる高さ位置に形成することができる。より詳細には、図5に示すように、右ガイド板121Rの上面の内側端部の高さ位置が、左ガイド板121Lの上面の内側端部の高さ位置よりも高く形成される。これは、従来のように、左右ガイド板121L・121Rの上面の内側端部の高さ位置が、同一に形成されると、次に示すような問題があるからである。
【0034】
つまり、左右ガイド板121L・121Rの上面の内側端部の高さ位置が同一に形成される場合、左右ガイド板121L・121R上にそれぞれ遊技球が同時に落下すると、左右の遊技球は、それぞれ同時に内側方向への転動を開始し、左右の遊技球は、転動する速度が同一となって、左右ガイド板121L・121Rの間の中心位置にて衝突する場合がある。かかる場合、左右の遊技球の衝突面(左右遊技球の接点における接平面)は鉛直方向の面となる(衝突した左右の遊技球の高さ位置が同じとなる)ので、それぞれの遊技球の転動が相互に規制し合うこととなる。つまり、左右の遊技球が、左右ガイド板121L・121Rから落下することなく、該左右ガイド板121L・121R上に残ったままとなる、いわゆる「球留り」となることがあった。
【0035】
これに対して、左右ガイド板121L・121Rの上面の内側端部の高さ位置が相互に異なって形成される場合、図5(a)に示すように、左右ガイド板121L・121R上にそれぞれ遊技球(以下、説明の便宜上、左ガイド板121Lを転動する遊技球を「遊技球L1」とし、右ガイド板121Rを転動する遊技球を「遊技球R1」とする)が落下して、それぞれ内側方への転動を開始して左右ガイド板121L・121Rの間の中心位置(図中における符号P)にて衝突したとしても、図5(b)に示すように、遊技球L1と遊技球R1との衝突面(遊技球L1と遊技球R1との接点における接平面であり、図中における符号X)は、鉛直方向の面となることがない(衝突した遊技球L1と遊技球R1との高さ位置は異なる)。かかる場合、図5(c)に示すように、遊技球L1と遊技球R1との転動は、相互に規制し難くなるので、遊技球L1と遊技球R1とが衝突したとしても、左右ガイド板121L・121R上に残ったままとなることがない(落下することとなる)。つまり、遊技球L1と遊技球R1とが、左右ガイド板121L・121R上に残ったままとなる、いわゆる「球留り」となり難くなる、という効果がある。
【0036】
なお、本実施形態において、遊技球L1と遊技球R1とが、左右ガイド板121L・121R上に残ったままとなる、いわゆる「球留り」となり難くするために、遊技球案内部120の左右ガイド板121L・121Rは、これらの上面の内側端部の高さ位置を相互に異なる高さ位置に形成しているが、この構成に限定するものではない。
例えば、図6(a)に示すように、左ガイド板121Lの上面の傾斜角度を、右ガイド板121Rの上面の傾斜角度よりも大きくすることができる。かかる場合、図6(b)に示すように、左ガイド板121Lを転動する遊技球L1と右ガイド板121Rを転動する遊技球R1との転動速度が異なることとなり(左ガイド板121Lを転動する遊技球L1の転動速度が速くなり)、これらの遊技球L1・R1は衝突したとしても、これらの遊技球L1・R1の転動を相互に規制し難くなり、図6(c)に示すように、遊技球L1・R1は左右ガイド板121L・121Rから落下することとなる。よって、左ガイド板121Lを転動する遊技球L1と右ガイド板121Rを転動する遊技球R1とが、左右ガイド板121L・121R上に残ったままとなる、いわゆる「球留り」となり難くなる、という効果がある。
【0037】
本体支持部130は、図4に示すように、本体部140を支持するためのものである。本体支持部130は、略四角筒状に形成され、入賞装置取付板110の後面側から後方へ向けて突設される。本体支持部130の左右内側面の下部には、後述する進退部材170が進退移動するためのガイド溝(不図示)が、前後方向に向けて形成される。
【0038】
本体部140は、図4、図7および図8に示すように、その内部に、進退部材170と、連結部材180と、開閉機構190とを収納するためのものである。本体部140は、略四角筒状に形成されて、筒心方向を前後方向として、本体支持部130の後方に配置される。また、本体部140の下面には、その下面を上下方向に貫通する開口部141が形成される。本体部140は、始動入賞装置100内(入賞口111内)へ入賞した遊技球を、該始動入賞装置100外に排出するためのものである。また、本体部140の下面には、遊技球センサ142が取り付けられる。遊技球センサ142は、本体部140を通過する遊技球を検出することによって、始動入賞装置100内へ入賞した遊技球の個数を検出することができる。
【0039】
ソレノイド収納部材150は、図4、図7および図8に示すように、その内部に、ソレノイド160を収納するためのものである。ソレノイド収納部材150は、略四角筒状に形成され、筒心方向を上下方向として、本体部140の後方に配置される。ソレノイド収納部材150の前面には、その前面を前後方向に貫通する開口部151が形成される。
【0040】
ソレノイド160は、図7および図8に示すように、開閉機構190を駆動させるためのものである。ソレノイド160は、前後方向へ往復動可能に設けられるプランジャ161と、該プランジャ161を前方へ向けて付勢するスプリング162とを備える。ソレノイド160は、非通電時にはプランジャ161がスプリング162の付勢力により前方へ向けて移動する一方、通電時には該ソレノイド160の吸引力によりプランジャ161がスプリング162の付勢力に抗して後方へ向けて移動するように構成される。ソレノイド160は、ソレノイド収納部材150にプランジャ161を前方へ向けた状態で収納される。プランジャ161は、軸心方向を前後方向として配置されて、ソレノイド収納部材150の開口部151および本体部140の後側の開口部を通じて前方へ突出され、該プランジャ161の先端部が本体部140内に配置される。
なお、ソレノイド160は、本発明に係る「駆動手段」の一実施形態である。
【0041】
進退部材170は、図7および図8に示すように、ソレノイド160の駆動力により進退移動して、遊技領域58を転動する遊技球を入賞口111内(始動入賞装置100内)へ受け入れるためのものである。進退部材170は、平面視で中央に中央開口部171が開口された細長い四角枠状に形成される。なお、中央開口部171の左右方向の開口幅は、遊技球の直径よりも大きく形成される。進退部材170は、長手方向を前後方向として、主として本体支持部130内および本体部140内の下部に、前後方向に渡って配置される。
【0042】
進退部材170の前端部には、図7および図8に示すように、落下してくる遊技球を受けるための球受け部172が前方へ向けて突設される。球受け部172は、略三角板状であって、その上面が先端方へ行くに従い緩やかに上昇して形成される。また、球受け部172の上面の高さ位置は、遊技球案内部120の左右ガイド板121L・121Rの上面の内側端部の高さ位置よりも低くなるように形成される。このような構成により、球受け部172は、遊技球案内部120により案内されて落下してくる遊技球を受けたならば、その遊技球を球受け部172の上面の傾斜に沿って後方へ案内することができる。そして、後方へ案内された遊技球は、中央開口部171を通じて進退部材170から落下し、本体支持部130内および本体部140内の下面へと案内される。また、進退部材170の左右側端面には、それぞれ外側方へ向けて左右の回動軸部173・173が突設される。左右の回動軸部173・173は、略円柱状に形成されて、軸心方向を左右方向として配置される。左右の回動軸部173・173には、後述する連結部材180が相対回動自在に連結される。
【0043】
また、進退部材170は、本体支持部130内および本体部140内の下面に載置され、本体支持部130に形成されたガイド溝等を介して前後方向へ向けて摺動自在に支持される。そして、進退部材170は、図11に示すように、最大限に前側に移動した位置(以下、「前進位置」とする)においては、球受け部172が入賞装置取付板110の入賞口111を通じて前方へ移動して、遊技領域58側に進出した状態となる。つまり、進退部材170は、遊技領域58において、前述したような2通りの経路を経て始動入賞装置100の入賞口111の前方へ案内された(落下した)遊技球を、球受け部172により受けることができる。他方、図8に示すように、進退部材170は最大限に後側に摺動した位置(以下、「後進位置」とする)においては、球受け部172が入賞装置取付板110の入賞口111を通じて後方へ移動して、反遊技領域58側(入賞口111内)に退避した状態となる。つまり、進退部材170は、遊技領域58において、始動入賞装置100の入賞口111の前方へ案内された(落下した)遊技球を、球受け部172により受けることができない。
このように、進退部材170は、入賞口111に対して前後方向に進退移動して遊技領域58内に球受け部172を出没可能とすることにより、球受け部172が遊技球を受けるか否かを切り替えることができる。
なお、進退部材170は、本発明に係る「進退部材」の一実施形態である。また、球受け部172は、本発明に係る「遊技球の受ける面」の一実施形態である。
【0044】
連結部材180は、図7から図9に示すように、開閉機構190と進退部材170とを連動連結するものである。連結部材180は、正面視で下側が開口された略コの字状に形成されて、本体部140内の概ね中央部であって、進退部材170の上方に配置される。
さらに詳細には、連結部材180においては、長尺部材にて形成された連結部材回動軸181が長手方向を左右方向として本体部140内の左右内側面に横架される。連結部材回動軸181の左右側端面には、それぞれ外側方へ向けて左右の回動軸部182・182が突設される。左右の回動軸部182・182は、略円柱状に形成されて、軸心方向を左右方向として配置される。左右の回動軸部182・182は、本体部140の左右側面に開口された左右の受け孔183・183に、相対回動自在に支持される(図4参照)。これにより、連結部材180は、側面視で左右の回動軸部182・182を中心として、左右回りに回動自在とされる。
【0045】
また、連結部材回動軸181の左右側端部には、細長いアーム状に形成された左右のアーム部184・184が、先端部を概ね下方へ向けて延設される。左右のアーム部184・184の先端部には、側面視で略U字状に形成されたU字部186・186が、開口部を先端側へ向けて配設される。左右のU字部186・186には、進退部材170の左右の回動軸部173・173がそれぞれ相対回動自在に連結される。
また、連結部材回動軸181の左右中途部には、略板状に形成された係止部185が、先端部を概ね上方へ向けて突設される。すなわち、係止部185は、左右のアーム部184・184と側面視で左右の回動軸部182・182を中心とした略正反対方向に配置される。係止部185は、後述する開閉機構190の駆動伝達部材191に、相対回動自在に連結される。
なお、連結部材180は、本発明に係る「連結機構」の一実施形態である。
【0046】
開閉機構190は、図7から図9に示すように、始動入賞装置100内(入賞口111内)において、入賞口111に遊技球が入賞可能な開放状態または入賞不能な閉塞状態のいずれかの状態に切り替えるものである。開閉機構190は、連結部材180の上方であって、本体部140内の主として上部に前後方向に渡って配置される。
なお、開閉機構190は、本発明に係る「開閉機構」の一実施形態である。
開閉機構190は、駆動伝達部材191と、連動部192と、開閉部材193とを備える。
【0047】
開閉機構190の駆動伝達部材191は、図7および図8に示すように、ソレノイド160の駆動力を、連動部192を介して開閉部材193に伝達するためのものである。駆動伝達部材191は、略棒状に形成されて、長手方向を前後方向として、本体部140内の概ね上部中央であって、ソレノイド160のプランジャ161の前方に配置される。駆動伝達部材191は、本体部140内の左右内側面に前後方向へ向けて摺動自在に支持される。駆動伝達部材191の前端部には、側面断面視で下側が開口された略コの字状の鍵部194が形成される。鍵部194は、後述する開閉機構190の連動部192に相対回動自在に連結される。つまり、駆動伝達部材191の前端部における下面には、連結部材180の係止部185と嵌合可能な凹陥部となる鍵部194が形成されており、係止部185が鍵部194に嵌合することで、駆動伝達部材191と連動部192とが連結される。
駆動伝達部材191の後端部は、プランジャ161の前端部に嵌合される。駆動伝達部材191は、プランジャ161の前後方向へ向けての移動とともに、前後方向へ向けて摺動移動することとなる。
【0048】
開閉機構190の連動部192は、図7から図9に示すように、駆動伝達部材191を介して伝達されたソレノイド160の駆動力を開閉部材193に伝達するためのものである。なお、連動部192は、連結部材180の一部位が、開閉機構190の連動部192として駆動伝達部材191を介して伝達されたソレノイド160の駆動力を開閉部材193に伝達するものである。開閉機構190の連動部192は、連結部材180の連結部材回動軸181の左右端部から突出した突起状に形成され、基端部から先端部方向を概ね前後方向としている。また、連動部192の基端部から先端部方向は、左右のアーム部184・184の長手方向および係止部185の突出方向とそれぞれ略直角方向となるように形成される。
【0049】
開閉機構190の開閉部材193は、図7および図8に示すように、駆動伝達部材191および連動部192を介して伝達されたソレノイド160の駆動力により入賞口111を該入賞口111内で開閉するためのものである。開閉部材193は、平面視で後側が開口された略コの字状に形成される。開閉部材193は、本体部140内の概ね前上部に、連動部192の上方であって、駆動伝達部材191の前方に配置される。
さらに詳細には、開閉部材193においては、略細長い板状に形成された左右の長板部195・195が長手方向を概ね前後方向として本体部140内の概ね前上部の左右に配置される。左右の長板部195・195の先端部には、略細長い板状に形成された横長板部196が左右方向に横架される。横長板部196の前端部の左右方向中途部には、爪部198が斜め下方へ傾斜して形成される。
また、左右の長板部195・195の基端部には、それぞれ外側方へ向けて左右の回動軸部197・197が突設される。左右の回動軸部197・197は、略円柱状に形成されて、軸心方向を左右方向として配置される。左右の回動軸部197・197は、本体部140の左右側面に開口された左右の受け孔199・199に、相対回動自在に支持される(図4参照)。これにより、開閉部材193は、側面視で左右の回動軸部197・197を中心として、左右回りに回動自在とされる。
【0050】
なお、開閉部材193は、その自重により回動自在とされる。つまり、図7および図8に示すように、開閉部材193が、その自重により先端部(爪部198)を下方(図8における側面視で左回り)へ向けて回動して、開閉部材193の左右の長板部195・195が連動部192・192にそれぞれ上方から当接することによって、自重による開閉部材193の下方(側面視で左回り)への回動が規制されるように構成される。換言すれば、開閉部材193の回動方向(傾斜方向)は、連動部192・192の回動方向(傾斜方向)に応じて決定されることとなる。また、開閉部材193は、上方から連動部192・192に当接している以外は、上下方(図8における側面視で左右回り)への回動が他の部材により干渉等されるものではない。したがって、開閉部材193は、外力に応じて反連動部192・192方向、つまり上方(右回り)へ回動自在に構成される。そして、開閉部材193が、上方(側面視で右回り)へ回動する範囲は、本体部140の上面に当接するまでの範囲となる。すなわち、図8に示すように、閉塞状態においては、開閉部材193から本体部140の上面までの間隔hが、開閉部材193が外力により自在に回動することができる範囲、いわゆる「遊び」の範囲となる。
なお、開閉部材193を上述の通り回動自在に軸支する構成は、本発明に係る「開放移動許容手段」の一実施形態である。
【0051】
次に、始動入賞装置100の動作態様について説明する。
【0052】
始動入賞装置100においては、前述したように、入賞口111に遊技球が入賞可能な開放状態と入賞不能な閉塞状態との、主に二つの動作態様を有する。
【0053】
先ず、閉塞状態における始動入賞装置100の構成について、図7および図8を用いて説明する。
【0054】
閉塞状態の始動入賞装置100においては、ソレノイド160は非通電状態となっている。したがって、ソレノイド160のプランジャ161は、スプリング162の付勢力によって前方へ移動して最大限に前側に移動した位置に配置される。そして、プランジャ161により駆動伝達部材191は、該プランジャとともに最大限に前側に移動した位置に配置される。そして、連結部材180が駆動伝達部材191により回動されて、係止部185を前側とし左右のU字部186・186を後側とした、側面視で左側に傾斜した状態で配置される。そして、連結部材180により進退部材170が最大限に後側に移動した位置、つまり後進位置に配置される。
【0055】
また、連結部材180が駆動伝達部材191により回動されて、係止部185を前側とし左右のU字部186・186を後側とした、側面視で左斜め方向に傾斜した状態で配置される場合、連動部192・192が先端部を斜め下方に傾斜した状態に配置される。そして、開閉部材193が連動部192・192の傾斜方向に応じて、先端部(爪部198)を斜め下方に傾斜した状態に配置される。つまり、連結部材180が前側に傾斜して、連動部192・192が先端部を斜め下方に傾斜した状態に配置されることにより、開閉部材193は連動部192・192による支持がなされなくなるので自重により下方回動して、先端部(爪部198)が斜め下方に傾斜した姿勢となる。
【0056】
このように閉塞状態において、進退部材170は、後進位置に配置される。つまり、進退部材170は、球受け部172を入賞装置取付板110の入賞口111を介して後方へ移動して、反遊技領域58側(入賞口111内)に退避させているので、図12(a)に示すように、始動入賞装置100の入賞口111の前方へ案内された(落下してきた)遊技球を、球受け部172により受けることができない。また、かかる場合、開閉部材193は、その先端部(爪部198)を進退部材170に近接移動して入賞口111を該入賞口111内で閉塞している。これによって、閉塞状態において、遊技球が進退部材170によらない方法(例えば、不正の方法)により入賞口111に入賞することを防止することができる。
【0057】
なお、この閉塞状態において、進退部材170と爪部198との間の幅(進退部材170から爪部198までの高さ位置)は、遊技球の半径よりも小さくなることが望ましい。すなわち、開閉部材193は、外力により図12(a)における側面視で右回りに回動自在に構成されている。つまり、開閉部材193は、爪部198が上下回動自在に構成されている。したがって、進退部材170から爪部198までの高さ位置が遊技球の半径よりも高い場合には、遊技球の転動により爪部198を上方へ押圧する外力が作用して、爪部198を介して開閉部材193が図12(a)における側面視で右回りに回動する(爪部198が上方回動する)こととなり、開閉部材193による入賞口111の閉塞が解除され、閉塞状態にもかかわらず遊技球が入賞口111内へ入賞するおそれがある。他方、進退部材170から爪部198までの高さ位置が遊技球の半径よりも低い場合には、遊技球の転動により爪部198を下方へ押圧する外力が作用して、爪部198を介して開閉部材193による入賞口111の閉塞が解除されることがない。したがって、このような構成によって、閉塞状態にもかかわらず遊技球が入賞口111内へ入賞することを防止することができる。
【0058】
次に、開放状態における始動入賞装置100の構成について、図10および図11を用いて説明する。
【0059】
開放状態の始動入賞装置100においては、ソレノイド160は通電状態となっている。したがって、ソレノイド160のプランジャ161は、スプリング162の付勢力に抗って後方へ移動して最大限に後側に移動した位置に配置される。そして、プランジャ161により駆動伝達部材191は、該プランジャ161とともに最大限に後側に移動した位置に配置される。そして、連結部材180が駆動伝達部材191により回動されて、係止部185を後側とし左右のU字部186・186を前側とした、側面視で右側に傾斜した状態で配置される。そして、連結部材180により進退部材170が最大限に前側に移動した位置、つまり前進位置に配置される。
また、連結部材180が駆動伝達部材191により回動されて、係止部185を後側とし左右のU字部186・186を前側とした、側面視で右斜め方向に傾斜した状態で配置される場合、連動部192・192が先端部を斜め上方に傾斜した状態に配置される。そして、開閉部材193が連動部192・192の傾斜方向に応じて、先端部(爪部198)を斜め上方に傾斜した状態に配置される。つまり、連結部材180が後側に傾斜して、連動部192・192が先端部を斜め上方に傾斜した状態に配置されることにより、開閉部材193は連動部192・192により上方回動されて、先端部(爪部198)が斜め上方に傾斜した姿勢となる。
【0060】
このように開放状態において、進退部材170は、前進位置に配置される。つまり、進退部材170は、球受け部172を入賞装置取付板110の入賞口111を介して前方へ移動して、遊技領域58側に進出させる。つまり、進退部材170は、遊技領域58において、前述したような2通りの経路を経て始動入賞装置100の入賞口111の前方へ案内された(落下してきた)遊技球を、球受け部172により受けることができる。また、かかる場合、開閉部材193は、先端部を斜め上方へ向けた状態で配置される。換言すれば、開閉部材193の先端部(爪部198)は、進退部材170から離隔移動して入賞口111を該入賞口111内で開放している。
この場合、図12(b)に示すように、進退部材170の球受け部172により受けられた遊技球は、球受け部172によって後方へ案内されて、入賞口111を通過して本体支持部130内および本体部140内へ案内される。そして、進退部材170の中央開口部171を介して進退部材170から落下して、本体支持部130内および本体部140内の下面へと案内される。そして、本体部140の下面に形成された開口部141を介して、本体部140外、つまり始動入賞装置100外へと排出されることとなる。
【0061】
このような構成の始動入賞装置100において、開放状態から閉塞状態へと切り替わる途中に進退部材170の球受け部172が遊技球を受けた場合の動作態様について説明する。
【0062】
かかる場合、始動入賞装置100において、進退部材170は、入賞口111を介して遊技領域58側に進出させていた球受け部172を後方へ移動して、入賞口111内に退避させる。また、進退部材170の後方への移動とともに、開閉部材193が下方(側面視で左回り)へ回動して入賞口111を該入賞口111内で閉塞するように移動する。
進退部材170は前進位置から若干後方へ移動した位置においては、球受け部172の全てを入賞口111内に退避しておらず、遊技領域58側に球受け部172の一部が残った状態となっている。したがって、遊技球案内部120から落下してくる遊技球は、その遊技領域58側に残った一部の球受け部172によって受けることができる。しかしながら、開閉部材193は、進退部材170の後方への移動とともに、すでに下方(側面視で左回り)に回動を開始しているため、さらに進退部材170の後方への移動が進行した場合には、図13(a)および図14(a)に示すように、球受け部172が受けた遊技球(の後端部)に開閉部材193の先端部(爪部198)が当接することとなる。また、球受け部172が受けた遊技球は、球受け部172とともに後方へ移動しようとする。
【0063】
以下においては、開閉部材193の先端部(爪部198)が、遊技球に該遊技球の半径よりも低い位置にて当接したのか、あるいは該遊技球の半径よりも高い位置にて当接したかの場合に分けて、主に開閉部材193の動作態様について説明する。
【0064】
開閉部材193の先端部(爪部198)が、遊技球に該遊技球の半径よりも低い位置にて当接した場合、遊技球と当接した開閉部材193には、図13(a)に示すように、遊技球の後方への移動による押圧力によって、下方(側面視で左回り)に回動するように外力が作用することとなる。しかしながら、開閉部材193は、その下方に配置された連動部192・192に当接して下方(側面視で左回り)に回動が規制されており、さらに下方(側面視で左回り)へ向けて回動することはできない。したがって、図13(b)に示すように、遊技球は、球受け部172の先端方に行くに従い緩やかに上昇した形状にもかかわらず、開閉部材193の先端部(爪部198)により前方へ向けて押圧され、球受け部172の前方から落下することとなる。つまり、球受け部172に受けられた遊技球は、球受け部172が後方へ退避するにつれて、開閉部材193の先端部(爪部198)により前方へ押し出されることとなり、球受け部172の前端部から落下する。
【0065】
開閉部材193の先端部(爪部198)が、遊技球に該遊技球の半径よりも高い位置にて当接した場合、遊技球と当接した開閉部材193には、図14(a)に示すように、遊技球の後方への移動による押圧力によって、上方(側面視で右回り)に回動するように外力が作用することとなる。開閉部材193は、その下方に配置された連動部192・192に当接しているため下方(側面視で左回り)への回動が規制されており、さらに下方(側面視で左回り)へ向けて回動することはできないが、上方から連動部192・192に当接することによりそれ以上の下方回動が規制されている以外は、側面視で左右回りへの回動が他の部材により干渉等されるものではないので、外力に応じて上方(側面視で右回り)へ回動自在に構成されるものである。つまり、開閉部材193は、下方の連動部192・192に当接する位置から、上方の本体部140の上面に当接する位置までの範囲内で上下回動自在に構成されている。
したがって、かかる場合には、開閉部材193は、遊技球による押圧力によって、上方(側面視で右回り)に回動するように作用する外力に応じて上方(側面視で右回り)へ回動することとなる。つまり、図14(b)に示すように、球受け部172の遊技球は、該球受け部172に対して相対的に後方へ移動することができ、該球受け部172の中央開口部171を通じて落下することができる。つまり、球受け部172に受けられた遊技球は、球受け部172が後方へ退避するにつれて後方へ移動して、開閉部材193を上方回動させることとなるため、入賞口111内に侵入して中央開口部171から落下することが可能となる。
【0066】
以上のように、遊技機1の始動入賞装置100は、遊技盤50の遊技領域58を転動する遊技球を入球させる入賞口111(入球口)と、遊技球を受ける球受け部172を有し、前記入賞口111(入球口)に対して進退移動することにより前記遊技領域58内に前記球受け部172を出没可能とする進退部材170と、前記入賞口111(入球口)を遊技球が入球可能な開放状態と入球不能な閉塞状態のいずれかの状態に切り替えるように閉塞方向および開放方向に移動する開閉部材193を有する開閉機構190と、前記開閉機構190を駆動するソレノイド160(駆動手段)と、前記ソレノイド160(駆動手段)により前記開閉機構190が駆動され、前記入賞口111(入球口)が開放されて前記開放状態となった場合に前記進退部材170が前進位置となり、前記入賞口111(入球口)が閉塞されて前記閉塞状態となった場合に前記進退部材170が後進位置となるように、前記開閉機構190と前記進退部材170とを連動する連結部材180(連動機構)と、を備える遊技機の入球装置であって、前記開閉機構190は、前記開閉部材193を前記閉塞方向へ移動することにより前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材193が前記開放方向へ移動することを許容する開放移動許容手段を備えるものである。
【0067】
また、遊技機1の始動入賞装置100において、前記開放移動許容手段は、前記開閉部材193を前記開閉部材193の基部で回動自在に軸支するものであって、前記進退部材170が前記前進位置の場合に前記開閉部材193の先端部が前記進退部材170から離隔移動して前記開放状態とし、前記進退部材170が前記後進位置の場合に前記開閉部材193の先端部が前記進退部材170に近接移動して前記閉塞状態とし、前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材193の自重により前記閉塞方向へ回動するとともに、外力に応じて前記開放方向へ回動自在となるように前記開閉部材193を軸支する構成である。
【0068】
このような構成により、始動入賞装置100において、開放状態から閉塞状態へと切り替わる際に進退部材170の球受け部172が遊技球を受けた場合であっても、遊技球が進退部材170と開閉部材193との間に挟まることによって、進退部材170と開閉部材193とが移動不能となる、いわゆる「球噛み」の状態が発生することを防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:遊技機,58:遊技領域,100:始動入賞装置,111:入賞口,160:ソレノイド,170:進退部材,172:球受け部,180:連結部材,190:開閉機構,192:開閉部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の遊技領域を転動する遊技球を入球させる入球口と、
遊技球を受ける球受け部を有し、前記入球口に対して進退移動することにより前記遊技領域内に前記球受け部を出没可能とする進退部材と、
前記入球口を遊技球が入球可能な開放状態と入球不能な閉塞状態のいずれかの状態に切り替えるように閉塞方向および開放方向に移動する開閉部材を有する開閉機構と、
前記開閉機構を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段により前記開閉機構が駆動され、前記入球口が開放されて前記開放状態となった場合に前記進退部材が前進位置となり、前記入球口が閉塞されて前記閉塞状態となった場合に前記進退部材が後進位置となるように、前記開閉機構と前記進退部材とを連動する連動機構と、
を備える遊技機の入球装置であって、
前記開閉機構は、
前記開閉部材を前記閉塞方向へ移動することにより前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材が前記開放方向へ移動することを許容する開放移動許容手段を備える遊技機の入球装置。
【請求項2】
前記開放移動許容手段は、
前記開閉部材を前記開閉部材の基部で回動自在に軸支するものであって、前記進退部材が前記前進位置の場合に前記開閉部材の先端部が前記進退部材から離隔移動して前記開放状態とし、前記進退部材が前記後進位置の場合に前記開閉部材の先端部が前記進退部材に近接移動して前記閉塞状態とし、前記開放状態から前記閉塞状態へと切り替える際に、前記開閉部材の自重により前記閉塞方向へ回動するとともに、外力に応じて前記開放方向へ回動自在となるように前記開閉部材を軸支するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の入球装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−34850(P2012−34850A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177940(P2010−177940)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式会社 (978)
【Fターム(参考)】