説明

遊技機の制御装置

【課題】遊技を行うことができる者の年齢に制限が設けられている遊技機において、正規に許可を受けた者以外の者が遊技を行うことを禁止する遊技機の制御装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に記録された内容を読み取り、読み取り信号を生成する読取手段と、記録媒体に記録された内容が所定情報を含むことを検知した場合に遊技動作を可能とする手段と、遊技機の操作入力の不在期間が第1所定期間を経過した後、第2所定期間内に読み取り信号の発生若しくは記録媒体の内容が所定情報を含むことを検知しない場合、遊技機の遊技動作を禁止する禁止手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証データを記録した記録媒体との通信により、遊技の許可を受けていない遊技者が遊技を行うことを禁止する遊技機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの遊技場において、予め支払った金銭の額に応じた価値を示すデータが記録されたプリペードカードを使用することにより、遊技者は金銭を所持していなくても遊技を行うことが可能となっている。
【0003】
ゲームセンター等の遊技場においては、遊技者がカード発行装置に金銭を投入することにより、該発行装置が投入された金額に応じたゲームトークン(ゲームの実行権)を記録したICカードを発行する。遊技者がICカードの読み込み/書き込み手段を備えたゲーム機に該ICカードを挿入すると、ゲーム機はICカード内に記録された所定情報により認証処理を行い、ICカード内に記録されたゲームトークンを減算するとともに、ゲームの実行を許可するようになっている。
【0004】
また、パチンコ機やパチスロ機等の遊技機が設けられた遊技場においては、遊技者が券売機から希望金額のプリペードカードを購入し、カードユニットにプリペードカードを挿入した後、遊技機に設けられた玉貸しボタンを押下することにより、遊技球が供給され、遊技を開始することができるようになっている。
【特許文献1】特開平11−253652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
18歳未満の者がパチンコ機やパチスロ機が設置された遊技場に入店することは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)により禁止されている。しかしながら、このような遊技場では遊技者に対して身分証明書等で年齢確認を行っているものの、遊技者一人一人に対して厳格な年齢確認を行うことはなく、実際には現金若しくは上記した如きプリペードを所持していれば、誰もが遊技を行うことが可能であり、このような違法行為を効果的に防止する措置がとられていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、パチンコ機やパチスロ機の如き、遊技を行うことができる者の年齢に制限が設けられている遊技機において、正規に許可を受けた者以外の者が遊技を行うことを禁止する遊技機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による遊技機の制御装置は、記録媒体に記録された内容を読み取り、読み取り信号を生成する読取手段と、該記録媒体に記録された内容が所定情報を含むことを検知した場合に該遊技機の遊技動作を可能とする手段と、該遊技機の操作入力の不存在期間が第1所定期間を経過した後、第2所定期間内に該読み取り信号の発生若しくは該記録媒体の内容が所定情報を含むことを検知しない場合、該遊技機の遊技動作を禁止する禁止手段と、を含むことを特徴とすることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施例は、本発明をパチスロ機に適用した場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
図1は、本発明によるパチスロ機1の外観を示す図である。パチスロ機1のキャビネット2の内部には、3つのリール3、4、5が回転自在に設けられている。各リール3〜5の表面には、複数種の識別図柄が描かれており、その前面にはガラス等の透明部材からなる表示窓6が設けられ、遊技者がこれらの識別図柄を視認できるようにするとともに、リール3〜5を外部から隔てることにより保護している。
【0010】
各リール3〜5は、その回転が停止した状態において、表示窓6により形成される図柄表示エリア内に、縦3列×横3行に亘って識別図柄を表示せしめる。上記の如き配列をなす識別図柄は、横方向若しくは対角方向において一列に並び得る。このように識別図柄が横方向若しくは対角方向において一列に並ぶ配列は、有効ラインと称されており、図1に示す如く、横方向に3つの有効ライン(L1、L2、L3)と対角方向に2つの有効ライン(L4、L5)を有している。
【0011】
表示窓6の下方右側には遊技媒体であるメダルを投入するためのメダル投入口7が設けられている。遊技者が、メダル投入口7にメダルを1枚投入すると、メダルセンサ42(図3参照)で検知され、表示窓6の左方に設けられた有効ラインを示すランプR1が点灯し、表示窓6の中央部の横方向の有効ラインL1が有効となる。また、メダルが2枚投入されるとランプR2およびR3が点灯し、表示窓6の上方部および下方部の横方向の有効ラインL2およびL3が有効となる。また、メダルが3枚投入されるとランプR4およびR5が点灯し、表示窓6の対角方向の有効ラインL4およびL5が有効となる。また、クレジット機能がオン状態のときは4枚目以降に投入されたメダルは、例えば50枚を限度にパチスロ機1の内部に貯留される。
【0012】
1BETボタン8は、パチスロ機1にメダルのクレジットが存在するときに、1回押下する毎に、メダルが1枚ずつ投入される。MAX BETボタン9は、これを1回押下することにより、一挙にメダル3枚がパチスロ機1に投入される。これらの操作により投入された分のメダルはクレジットから逐次減算されることとなる。
【0013】
スタートレバー10は、前方に突出形成されたレバーであり、パチスロ機1にメダルが投入され少なくとも1つの有効ラインが有効となった状態で、スタートレバー10を押し下げる操作を行うと、各リール3〜5が一斉に回転を開始する。
【0014】
ストップボタン11、12、13は、それぞれリール3〜5の回転を停止させるためのボタンであり、各リール3〜5に対応して設けられている。ストップボタンの操作により、停止した各リールの識別図柄が有効ライン上に所定の当選パターンを形成すると、メダル払出口15から所定枚数のメダルが払い出される。また、例えば所定の識別図柄「7」等が有効ライン上に並ぶと、大当たりが確定し、ビッグボーナスゲーム(B.B.)と称される遊技者にとって有利な遊技状態に移行し、遊技者は多数のメダルを獲得することが可能となる。
【0015】
画像表示装置14は、液晶表示パネル等により形成され、画面上に遊技と連動したアニメーション等を表示させて遊技の演出を行うとともに、必要に応じて遊技者に対して、各種メッセージを表示する。
【0016】
メダル払出口15は、遊技機から払い出されるメダルの出口であり、払い出されたメダルは、メダル受け皿16に蓄積される。
【0017】
上記した如き、小役の当選や大当たり当選等を含む遊技全体の制御は、パチスロ機1の内部に設けられたCPU、ROM、RAMからなる主制御装置90によって行われる。すなわち、主制御装置90は、スタートレバー10の操作を契機としてROMに格納された乱数抽選プログラムを実行し、内部抽選を行う。内部抽選の結果、複数種類の当選役のいずれかが選択された場合、有効ラインのいずれかに識別図柄によってその当選役を形成するべく各リール3〜5の停止制御を行う。一方、内部抽選の結果、いずれの当選役も選択されない場合、すなわちはずれの場合には、有効ラインのいずれにも当選役を形成しないように各リール3〜5の停止制御を行う。
【0018】
また、主制御装置90は、パチスロ機1によるICカード20を利用した認証処理の制御を行い、認証の結果に基づいて、遊技可能状態又は遊技不能状態に移行するべくパチスロ機1の制御を行う制御装置として動作する。
【0019】
ストップボタン11〜13の右側には、ICカード20とパチスロ機1がデータの送受信を行う際に、ICカード20から発せられる認証データ信号を読み取る読取手段として、リーダ/ライタ30が設けられている。リーダ/ライタ30は、ICカード20に電力の供給を行うとともに、ICカード20とデータの送受信を行い、ICカード20から送信される認証データ信号に基づき、提示されたICカード20が正規に発行されたものかどうかの認証処理を行う。本実施例のICカード20と、リーダ/ライタ30は、電磁波を介してデータ通信を行う電磁誘導方式であり、ICカード20をリーダ/ライタ30の近傍にかざすことによりデータの送受信を行うことができるいわゆる非接触タイプのものである。このタイプの場合、遊技機にカードの搬送部を設ける必要がなく、コスト面やデザイン面において好適である。
【0020】
図2は、パチスロ機1のリーダ/ライタ30の回路機能ブロックを示す図である。制御部36は、ICカード20とのデータ通信を制御するための制御信号の生成および、ICカード20から受信した認証データ信号に基づき認証処理を行い、その結果をパチスロ機1の主制御装置90に送信する。搬送波生成部32は、所定の搬送周波数の搬送波を生成し、変調部33にこれを供給する。変調部33は、制御部36から供給される制御信号に基づき、搬送波生成部32から受信した搬送波を例えばASK変調し、これを電力増幅部35に供給する。電力増幅部35は、ASK変調された搬送波のレベルを増幅して、アンテナコイル31に供給する。アンテナコイル31は、ICカード20から発せられる認証データ信号を受信するループアンテナとして動作するとともに、制御信号を重畳した搬送波としての電磁波を生成し、これをICカードに向けて送信する。また、この電磁波は、ICカード20の駆動電源として利用される。
【0021】
また、ICカード20がこの制御信号に応答して発する認証データ信号がアンテナコイル31により受信され、復調部34はこれを復調し、これを制御部36に供給する。制御部36は、メモリ37に格納されたユーザIDテーブルを参照し、ICカード20から受信した認証データとユーザIDテーブルとを照合することにより認証処理を行い、その結果を主制御装置90に送信する。メモリ37は追記可能なメモリであり、ユーザIDテーブルが格納される。ユーザIDは、遊技を行うことが許可された、すなわち18歳以上の者に対して付与される遊技者固有のIDであり、認証データとしてICカード20に記録される。メモリ37に格納されたユーザIDテーブルは、遊技を行うことが許可された全ての遊技者のユーザIDの一覧により構成される。
【0022】
本実施例のパチスロ機1は、リーダ/ライタ30がICカード20から受信した認証データ信号により、ICカード20が不正に発行されたものであると判断場合、若しくは遊技可能状態において、パチスロ機1に対する操作入力がなく、遊技が進行されず、且つ所定期間内にICカード20の提示がない場合に、遊技不能状態となる禁止手段を有している。すなわち、禁止手段は、メダル投入口7に投入されたメダルを受け付けることなく、メダル払出口15からそのまま排出することにより、遊技者が遊技を行うことを実質的に不可能にするものである。以下にその具体的な態様について説明する。
【0023】
図3は、パチスロ機1の内部においてメダル投入口7と連通して設けられ、投入されたメダルの流下経路を振り分けるメダルセレクタ40の構造を示す図である。メダル投入口7から投入されたメダルMはメダル通路41を流下し、メダル通路41上に設けられたメダルセンサ42によって、メダルMが通過したことが検出される。このメダルセンサ42は、メダルMの通過を検知する光センサであり、複数のセンサを所定距離離して並べて設置することにより、双方のセンサの検知間隔を制御装置(図示せず)が監視して、正規のメダルとは大きさの異なるメダルやメダルの通過によらないいわゆるゴト行為によるセンシングを発見できるように形成されている。パチスロ機1は、このメダルセンサ42が正規のメダルの通過を検知した場合にのみ、メダルの投入を許可し、上記した有効ラインが有効化され、遊技を行うことが可能となる。メダルセンサ41を通過したメダルMは、パチスロ機1の内部に設けられた貯留タンク(図示せず)に導かれる。
【0024】
また、メダル通路41には、振り分け装置43が設けられており、通常時においては、投入されたメダルは、この振り分け装置43を経由して、メダル通路41を流下し、メダルセンサ42に至りメダルMの投入が検出される。一方、投入されたメダルがメダルセンサ42により正規のメダルとは大きさの異なるメダルであることが検出された場合や、クレジット機能によりパチスロ機1内に貯留されたメダルの枚数が50枚を超過した場合には、主制御装置90から供給される制御信号に基づきソレノイド(図示せず)が駆動され、振り分け装置43が突出方向に移動する。これにより、投入されたメダルMは、振り分け装置43に衝突し、落下するため、メダルセンサ41を通過することなく、メダル払出口15から排出されることとなる。すなわち、パチスロ機1は、メダルの投入を受付けないのである。
【0025】
本実施例ではこのメダルセレクタ40の機構を利用し、ICカード20から送信され、リーダ/ライタ30で読み取った認証データ信号が所定の内容を含んでいない場合、若しくは、遊技可能状態において、パチスロ機1に対する操作入力がなく、遊技が進行されず、且つ後述する所定期間内にICカード20の提示がない場合に、主制御装置90は制御信号を発し、メダルセレクタ40のソレノイド(図示せず)を駆動させ、振り分け装置43を突出方向に移動させる。従って、このような場合にはメダルセレクタ40はメダルの投入を受け付けないため遊技者は遊技を行うことができない。すなわち、このメダルセレクタ40の振り分け装置のポジションにより遊技可能状態又は遊技禁止状態がもたらされる。
【0026】
次に、遊技者がパチスロ機1で遊技を行うことが許可された者かどうかの認証処理を行うために利用される記録媒体としてのICカード20について説明する。ICカード20は、少なくとも遊技者の生年月日を含む個人情報を遊技場に提示することを条件として、遊技者に発行されるものであり、18歳に未満の者には発行されない。
【0027】
図4はICカードの構造を示す図である。ICカード20は、表面シート21、厚み調整シート22、機能シート23、裏面シート24からなる4層のPCV(ポリ塩化ビニール)シートが貼り合わされて形成される。機能シート23にはICチップ23aとアンテナコイル23bが搭載されている。アンテナコイル23bは印刷又はエッチングにより形成され、ICチップ23aの電極と結線される。厚み調整シート22は、ICチップに応力を与えないようにするための開口部22aが設けられている。
【0028】
図5は、ICチップ23aおよびアンテナコイル23bにより構成される回路の機能ブロックを示す図である。アンテナコイル23bは、リーダ/ライタ30から送信される制御信号が重畳された搬送波を受信する。検波部52は受信した搬送波をエンベロープ検波し、これを復調部54に供給するとともに、電源生成部53に供給する。電源生成部53は、これを整流しICチップ23aを駆動させるための電源電力を生成する。クロック抽出部56は、コイルアンテナ23bより受信した搬送波に基づきクロック信号を生成し、これを制御部58に供給する。復調部54は受信した搬送波を復調し、これを制御部58に供給する。制御部58は復調部54より供給された復調された制御信号に基づき所定の応答処理を行う。すなわち、制御部58は、リーダ/ライタ30から供給された認証データを送信すべき制御信号を受けて、これに応答してメモリ57から認証データを抽出し、これをリーダライタ30に向けて送信する処理を行う。
【0029】
メモリ57は、電源の供給がなくなった場合でもデータを保持することができる不揮発性メモリであり、ここには少なくとも認証データとしてのユーザIDが格納される。ユーザIDは、例えば、遊技者が18歳未満ではないことや、過去に不正行為を行ったことがないことを条件として遊技場から付与されるIDであり、そのICカード固有の識別情報である。尚、遊技場は、ユーザIDに対応付けて遊技者から提示される個人情報をデータベースとして保管することも可能となる。また、ICカード20をプリペードカードとして使用する場合には、メモリ57には、ユーザID以外に遊技者が支払った金額に相当する金額データが記録される。
【0030】
変調部54は、制御部58が制御信号に応答してメモリ57から抽出した認証データに基づき、アンテナコイル23bの等価的な負荷を変動させる。この負荷変動は、パチスロ機1のリーダ/ライタ30のコイルアンテナ31により受信され、パチスロ機1は認証データ信号を読み取る。
【0031】
次にパチスロ機1が実行する認証処理について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
パチスロ機1の初期状態は、メダル投入口7と連通するメダルセレクタ40の振り分け装置43のポジションがソレノイド(図示せず)により、突出位置となっており、メダルの投入を受け付けない遊技禁止状態となっている。すなわち、この状態で遊技者がメダル投入口7からメダルを投入しても、そのメダルはメダル払出口15からそのまま排出され、遊技を行うことができない。また、この状態において、主制御装置90の制御信号に基づき、画像表示装置14には、「ICカードを提示してください」等のメッセージが表示表され、遊技者にICカード20を提示すべきことを報知する(ステップS1)。すなわち、この時点において、ICカード20を所有していない者は、遊技を行うことができない。尚、遊技者へのメッセージの通知方法としては、画像表示装置14によらず、音声や発光表示等により行うこととしてもよい。
【0033】
遊技者がICカード20をパチスロ機1のリーダ/ライタ30の近傍にかざすと(ステップS02 Yes)、リーダ/ライタ30は、ICカード20に認証データとしてのユーザIDを送信すべき制御信号を送信する。この制御信号は搬送波に重畳され、リーダ/ライタ30のアンテナコイル31から送信され、ICカード20は、アンテナコイル23bによりこれを受信する。ICカード20は受信した制御信号に基づき、メモリ27に保持しているユーザIDを示すデータ信号を搬送波に重畳させて、アンテナコイル21からリーダ/ライタ30に向けて送信する。リーダ/ライタ30は認証データ信号を受信し、メモリ37に保持しているユーザIDテーブルを参照し、受信したユーザIDと一致するIDがメモリ37内に存在するか照合を行う(ステップS03)。
【0034】
照合の結果、ICカード20から受信したユーザIDがユーザIDテーブルに含まれていない場合又は、ユーザIDに該当するデータがICカード20から読み取れない場合は、リーダ/ライタ30の制御部36は、パチスロ機1の主制御装置90に不正なカードが使用されたことを示す制御信号を送信する。これを受信した主制御装置90は、画像表示装置14に「このカードは使用することができません。」等のメッセージを表示させ、当該カードの受付を拒否する。(ステップS04)。
【0035】
一方、ユーザIDの照合の結果、ICカード20から受信したユーザIDがユーザIDテーブルに記録されたIDのいずれかと一致した場合(ステップS03 Yes)、リーダ/ライタ30の制御部36は、パチスロ機1の主制御装置90に適正なカードが使用されたことを示す制御信号を送信する。これを受信した主制御装置90は、メダルセレクタ40の振り分け装置43に設けられたソレノイド(図示せず)を駆動して、振り分け装置43のポジションを突出位置から通常位置に移動させ、メダルの通過を許容する(ステップS05)。すなわち、提示されたICカード20が適正であると判断されると、主制御装置90はメダルの投入を許容し、パチスロ機1は遊技可能状態となる。
【0036】
尚、ICカード20をプリペードカードとして使用する場合には、リーダ/ライタ30がICカードに記録された金額データを読み取り、貸し出したメダルの枚数に応じてICカードの金額テータの減算処理を行う。貸し出すメダルは、メダル払出口15から払い出されるか若しくはクレジットに加算される。
【0037】
次に、主制御装置90は、パチスロ機1に対して操作入力がなされない状態が所定期間(第1所定期間)を経過したか否かの判断を行う(ステップS06)。すなわち、操作入力が何もなされない状態とは、メダル投入、BETボタン8、9の押下、スタートレバー10の操作、ストップボタン11〜13の押下等の操作が行われず、遊技が進行していない状態を指し、主制御装置90はこのような操作入力がない状態のまま、例えば5分間の所定期間(第1所定期間)が経過したかどうかの判断を行う。
【0038】
所定期間(第1所定期間)を経過する前に遊技者が何らかの操作入力を行い、遊技が進行した場合(ステップS06 No)、主制御装置90はパチスロ機1を遊技可能状態に保持する。
【0039】
一方、パチスロ機1に対する操作入力がなされず、遊技が進行していない状態が所定機期間(第1所定期間)を経過すると(ステップS06 Yes)、主制御装置90は、遊技状態がビッグボーナスゲーム(B.B.)中か否かの判断を行う(ステップS07)。遊技状態がビッグボーナスゲーム中である場合(ステップS07 Yes)、主制御装置90はパチスロ機1を遊技可能状態に保持する。
【0040】
遊技状態がビッグボーナスゲーム(B.B.)中でない場合(ステップS07 No)、主制御装置90は、更にパチスロ機1内にメダルのクレジットが存在するか否かの判断を行う(ステップS08)。パチスロ機1内にメダルのクレジットが存在する場合(ステップS08 Yes)、主制御装置90は、パチスロ機1を遊技可能状態に保持する。一方、パチスロ機1内にメダルのクレジットが存在しない場合(ステップS08 No)、主制御装置90は、画像表示装置14に「ICカードを提示してください」等のメッセージを表示させ、遊技者に対してICカード20の提示を要求する(ステップS09)。
【0041】
次に、主制御装置90は、ステップS09におけるメッセージを表示してから所定期間(第2所定期間)内(例えば1分間以内)にICカード20の提示があったか否かの判断を行う(ステップS10)。遊技者により所定期間(第2所定期間)内にICカード20の提示があり、ステップS03と同様の処理により、リーダ/ライタ30がそのICカード20が適正なカードであると判断した場合(ステップS10 Yes)、主制御装置90はパチスロ機1を遊技可能状態に保持する。一方、所定期間(第2所定期間)内にICカード20が提示されなかった場合、又はリーダ/ライタ30が提示されたICカード20が不正なカードであると判断した場合(ステップS10 No)、主制御装置90はメダルセレクタ40の振り分け装置43に設けられたソレノイドを駆動して、振り分け装置43のポジションを通常位置から突出位置に移動させ、メダルの投入を受付けないようにする(ステップS11)。すなわち、主制御装置90は、パチスロ機1を遊技不能状態に移行する。
【0042】
つまり、パチスロ機1は、遊技可能状態のときにパチスロ機1に対する操作入力がなされず、遊技が進行していない状態が所定期間(第1所定期間)を経過すると、これまで遊技を行っていた遊技者が遊技を終了している可能性があるため、当該遊技者に遊技継続の意思確認を行うためにICカードの提示を要求する。この場合において、遊技状態がビッグボーナスゲーム中若しくは、パチスロ機1にメダルのクレジットが存在する場合には、当該遊技者による遊技はまだ継続中である可能性が高いため、パチスロ機1はカードの提示要求は行わない。また、ICカードの提示要求が発せられてから所定期間(第2所定期間)が経過するまでにICカードの提示がなされなければ、当該遊技者による遊技は終了したものと判断し、遊技禁止状態に移行する。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本発明によるパチスロ機は、正規に発行されたICカードを所有しない者に対しては、メダルの投入を拒否することにより遊技を行うことを禁止する。すなわち、18歳未満の者にはICカードの発行がなされないため、18歳未満の者が遊技を行うことを効果的に防止することが可能となる。
【0044】
また、ICカードには、ICカード毎に固有のユーザIDが記録され、パチスロ機はこれを認証データとして認証処理を行うので、提示されたICカードを特定することが可能である。遊技場において、ICカードを発行する際に遊技者の個人情報を取得することとすれば、ICカードを使用した遊技者を特定することも可能となる。すなわち、遊技場は、既存の遊技機の管理システムにユーザIDを用いて遊技機毎の管理を行うことにより、いつ誰がどの遊技機を使用したかを把握することができるため、いわゆるゴト行為を摘発し得る可能性が高くなり、ゴト防止の効果も期待できる。また、ユーザIDと遊技者の個人情報を対応付けてデータベースを構築し、遊技者毎の遊技履歴やメダル獲得枚数等をデータベースに記録することもでき、これまでにない顧客管理や顧客サービスを行うことも可能となる。
【0045】
また、本発明によるパチスロ機は、遊技状態がビッグボーナスゲーム(B.B.)中若しくはパチスロ機にメダルのクレジットが存在する場合を除き、遊技が進行していない状態が所定期間(第1所定期間)を経過すると、これまで遊技を行っていた遊技者が遊技を終了した可能性が高いため、ICカードの提示要求を発し、さらに所定期間(第2所定期間)が経過するまでの間にICカードの提示がなされなければ、遊技禁止状態となる。これにより、当該遊技者による遊技が終了したことが適切に判断され、当該遊技者による遊技を阻害することなく遊技禁止状態に移行することができる。
【0046】
また、上記した実施例は例示にすぎず、種々の変更を施すことが可能である。本実施例においては遊技者のユーザIDを記録する記憶媒体として電磁誘導による通信方式のICカードを利用することとしたが、例えば、カードとリーダとの間の通信を赤外線などの光を利用する光学的記憶媒体であってもよい。この場合、カードおよびリーダにはそれぞれ、信号に応じた光を発光させる発光源としてLEDが設けられ、また受光素子として高速応答性のよいホトダイオードが設けられる。また、記憶媒体として磁気ストライプの記憶トラックにデータを書き込んだ磁気的記憶媒体であってもよい。
【0047】
また、本実施例においては遊技状態がビッグボーナスゲーム(B.B.)中若しくは、パチスロ機1にメダルのクレジットが存在する場合には、遊技禁止の状態に移行しないこととしたが、主制御装置90は、これらの遊技状態や遊技機の状態に応じて、上記した第1所定期間または第2所定期間を変化させることとしてもよい。具体的には、主制御装置90は、ICカードを提示すべきメッセージを表示した後(第1所定期間経過後)、メダルのクレジットがない場合にはメッセージ表示後、例えば1分間(第2所定期間)のうちにICカードの提示がない場合に遊技禁止状態に移行し、メダルのクレジットがある場合には、この期間(第2所定期間)を例えば5分間に変更し、この期間を経過するまでICカードの提示がない場合には遊技禁止状態に移行することとしてもよい。また、パチスロ機1にクレジットが存在するか否で、メッセージを表示させるまでの期間(第1所定期間)を変化させることとしてもよい。
【0048】
また、本実施例では、メダルセレクタ40の機構を利用して、遊技可能状態又は遊技禁止状態をもたらすこととしたが、これに限定されず、各種操作入力の機能をオン/オフすることにより行うこととしてもよい。例えば、スタートレバー10やストップボタン11〜13の操作入力を無効とするべく、これらの操作入力の検知機能を制御することにより実現することができる。
【0049】
また、本実施例では、本発明をパチスロ機に適用した場合について説明したが、パチンコ機に適用することも可能である。この場合、パチンコ機の適当な場所に上記した実施例と同様のリーダ/ライタを設け、これによりICカードとの通信を行う。ICカードの提示がない場合や不正なカードが使用された場合、遊技媒体である遊技球を発射する発射装置の駆動電源を停止し、遊技球を発射不能にすることにより遊技禁止手段が構成される。ICカードの認証処理の結果遊技可能となった後、遊技者が操作ハンドルの操作による遊技球の発射操作を所定期間(第1所定期間)行わない場合に、パチンコ機は、遊技盤に設けられた表示画面にメッセージを表示してICカードの提示を要求し、この表示があった後、所定期間(第2所定期間)内にICカードの提示がない場合に、遊技禁止状態に移行する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例であるパチスロ機の概略図である。
【図2】本発明の実施例であるパチスロ機に設けられたリーダ/ライタの回路機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例である認証処理に使用されるICカードの構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例であるパチスロ機のメダルセレクタの構造を示す図である。
【図5】ICカードに搭載されたICチップの回路機能ブロックを示す図である。
【図6】本発明の実施例であるパチスロ機が実行する認証処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 パチスロ機
2 キャビネット
3〜5 リール
6 表示窓
7 メダル投入口
11〜12 ストップボタン
14 画像表示装置
15 メダル払出口
20 ICカード
30 リーダ/ライタ
40 メダルセレクタ
90 主制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の制御装置であって、
記録媒体に記録された内容を読み取り、読み取り信号を生成する読取手段と、
前記記録媒体に記録された内容が所定情報を含むことを検知した場合に前記遊技機の遊技動作を可能とする手段と、
前記遊技機の操作入力の不存在期間が第1所定期間を経過した後、第2所定期間内に前記読み取り信号の発生若しくは前記記録媒体の内容が所定情報を含むことを検知しない場合、前記遊技機の遊技動作を禁止する禁止手段と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記所定情報は、前記記録媒体を特定する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1および第2所定期間の少なくとも1つの長さは、前記遊技機の状態若しくは遊技状態に応じて変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記記録媒体および前記読取り手段は、電磁的方式、磁気的方式若しくは光学的方式により通信を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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