説明

遊技機用コネクタ及び遊技機

【課題】遊技機の背面に取り付けられる基板収納ケースとコネクタの隙間から、制御基板への電気的に接触可能となっているため、その隙間から制御基板に不正なアクセスを行うことが可能であった。
【解決手段】基板収納ケースとコネクタとの隙間から制御基板に触れることをできなくするため、コネクタにつば部を設け、基板収納ケースとコネクタとの隙間を塞ぎ、さらに、コネクタの材料を透明樹脂にすることで不正部品取り付けを防止する効果を高めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ、パチスロ等の遊技機の技術分野に属し、特に制御基板の各種信号を電気的に接続するためのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロ等の遊技機に関連する事業は、遊技機の製造からホール(遊技場)へ設置され遊技客が遊技を興じるにいたるまで「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略称:風営法、風適法)」等の法律による規制が適用されている業界であり、健全な遊技を行うためにホールに設置後の遊技機についても部品の交換や追加を未承認で行うことはできないこととなっている。
【0003】
ところが、近年、夜間に店内に進入するなどして、遊技台の背面に取り付けられる遊技機制御用マイクロコンピュータを取り外し不正なプログラムを格納したマイクロコンピュータを取り付けたり、遊技機を制御する制御基板ごと不正な基板に取り替えたり、遊技機を制御する各種信号を電気的に接続するコネクタやハーネス等の部品に不正な部品を取り付けたりする不正がしばしば発見されることがあった。このような不正が行われた遊技機は出玉が異常に出る等の不公正な遊技を行うものであり、ホールや善良な一般客が不利益を被るため、社会問題となっている。
【0004】
そのため、このような不正に対してよりセキュリティ性の高い遊技機制御用マイクロコンピュータや、コネクタや基板収納ケース自体にセキュリティ性の高い機構を有するものが開発され、不正な部品への交換や不正な部品の取り付けの対策として採用されている。セキュリティ性の高い機構を取り入れたコネクタとしては、コネクタの挿入口から端子を目視できない位置に配置することで端子への不正を目的としたアクセス及び異物挿入による誤動作を防止したものや、コネクタの材料に透光性樹脂を使用し不正の発見を容易にしたものなどが特許出願され、一部既に実施されている。また、万が一、不正な部品への交換がなされた場合に対しては、ホールにて容易に不正品か否かの判定を行うことができる照合器も採用されている。しかし、このような不正対策にもかかわらず、不正を行う者はより巧妙な手口で不正を行うため、いたちごっこの様相を呈しているのが現状である。
【特許文献1】特許第3536011号公報
【特許文献2】特開平11−33194号公報
【特許文献3】実用新案登録第3063211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような不正がなされる状況を鑑みたとき、不正が行われる可能性がある要素は一つでも削除することが好ましい。図5に示すように、従来は、基板収納ケース311とコネクタ300との間に隙間dがあいているため、隙間に端子を挿入することで制御基板321への電気的な不正アクセスが可能となっていた。基板収納ケースの形状を修正し、この隙間を狭くすることは製造時の自由度が無くなるため好ましいものとは言えず、さらに隙間を完全になくすことは製造工程上、物理的に実現することが難しいものであった。そこで、基板収納ケースとコネクタの隙間から、制御基板への電気的に接触可能となっている点を本発明の解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板収納ケースに覆われた遊技機を制御する制御基板に実装され、基板収納ケースの外部から制御基板と各種信号を電気的に接続するコネクタにおいて、基板収納ケースとコネクタとの隙間から制御基板に触れることをできなくするつば部を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明のコネクタは、透光性樹脂からなることを特徴とし、前記つば部は、着脱可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明のコネクタは、制御基板が正規のものか否かを確認する照合器との電気的な接続を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明は、遊技機を制御するマイクロコンピュータを実装した制御基板と、該制御基板を覆う基板収納ケースと、前記制御基板に実装され各種信号を電気的に接続するコネクタとを有する遊技機において、前記コネクタはつば部を有し、基板収納ケースとコネクタとの隙間から制御基板に触れることをできなくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタは、基板収納ケースとコネクタの隙間から、制御基板への電気的な不正アクセスを防止することができる。基板収納ケースとコネクタの隙間から、制御基板に塵や埃等の異物が入り込み、誤動作の原因となることを防止することができる。また、コネクタにつば部を設けると、制御基板上に死角が生じ、コネクタ周辺の目視で確認しづらい部分に不正部品を取り付けられる可能性が出てくるが、コネクタの材料に透光性樹脂を採用することで、そのような事態を回避することができる。さらに、つば部を着脱可能とすることで、基板収納ケースのコネクタ部分の切り欠き形状が、遊技機メーカごとに若干異なっているような場合にも、上述同様の効果を有するコネクタを提供することが容易に実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
基板収納ケースとコネクタの隙間から不正な電気的アクセスや異物の入り込みを防止するという目的を、基板収納ケース側の設計変更や、遊技機製造工程の大きな変更を必要とせずに実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は、遊技機1の背面図である。遊技機1の背面には基板収納ケースに覆われた各種制御基板やモータ等の部品が取り付けられている。基板収納ケース11は、遊技機制御用のメインチップである遊技機制御用マイクロコンピュータ31を実装した制御基板21を覆う。制御基板21は、遊技機制御用マイクロコンピュータ31以外に、照合用コネクタ41、通信用コネクタ43〜44及びその他の電子部品(図示せず)を実装し、ハーネス51〜53を介して各種基板や部品と通信を行う。遊技機制御用マイクロコンピュータ31は、内部に遊技機製造メーカが作成したユーザプログラムを格納し、遊技の制御をつかさどるもので、ユーザプログラムが正しいか否かをチェックするセキュリティチェック機能や、照合用コネクタ41を介して遊技機外部の照合器と通信を行うことでチップ自体が正規品か否かをチップ固有のID番号等により照合する照合機能を有する。基板収納ケース12は、遊技機制御用マイクロコンピュータ31からの払出信号に基づき賞球を払い出す払出チップ32を実装した制御基板22を覆う。なお、基板収納ケースは透明樹脂製であるため、各制御基板を目視にて確認できるようになっている。
【0013】
図2は、本発明のコネクタ100を表す三面図である。コネクタ100は、つば部101を有する。なお、本発明のコネクタは透視可能な透光性樹脂を材料として使用しても良い。
【0014】
図3は、本発明のコネクタを制御基板21に実装し、基板収納ケース11で覆った図である。(A)に示すように遊技機制御用マイクロコンピュータ31や複数のコネクタを実装した制御基板21は、基板収納ケース11aと基板収納ケース11bによって挟み込むように覆われ、封印用ビス61によって封印された後、遊技機本体に取り付けられる。(B)は、制御基板21が封印された状態を示すもので、点線で示したつば部が基板収納ケースとコネクタの隙間からは制御基板に接触することができないようにしていることを表す。
【0015】
図4は、図5に示す従来のコネクタと基板収納ケースとの隙間を、本発明のコネクタのつば部201が塞ぐ様子を表す。基板収納ケースの外部から制御基板に触れることができないような構成となっている。また、コネクタの材料に透光性樹脂を使用した場合には、不正品の取り付け等が目視にて確認できる構成となる。
【0016】
本発明において、つば部の形状は図2のような形に限定されるものではない。図6に示すようにつば部401を傾斜するような形状にしてもよい。図7に示すように、コネクタ近接部に部品を配置する必要がある場合は、避けるような形状(例えば周辺部品を避けるe部分を設ける等)にしても良いし、つば部と基板収納ケースの隙間が大きい場合には適宜つば部の厚さや大きさを配慮した形状にすればよい。
【0017】
また、図8にはコネクタ本体600とつば部601を着脱可能にした例を示す。(A)はコネクタ本体600とつば部601が分離された状態で、(B)はコネクタ本体600につば部601を取り付けた状態を示す。取り付けはコネクタ本体600に係止部602等を設けることで実現できる。つば部601を取り外し可能にすることで、遊技機製造メーカごとに異なる形状の基板収納ケースに合わせるようにしてもよい。つば部601の材料に可撓性のものを採用して、基板収納ケースとつば部との密着性を高めるようにしてもよい。つば部自体の形状を、コネクタ本体に固定するための噛合部分を有するようにすることで、コネクタ本体の形状は従来品との互換性を保ちつつ、制御基板への不正な電気的接触を防止することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のコネクタは、基板収納ケースで覆われた遊技機の制御基板から各種信号の通信を行う際に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】遊技機の背面図である。
【図2】本発明のコネクタの三面図である。
【図3】本発明のコネクタを制御基板に実装し、基板収納ケースで覆った図である。
【図4】本発明のコネクタが基板収納ケースとの隙間を塞ぐことを示す図である。
【図5】従来のコネクタと基板収納ケースとの隙間を示す図である。
【図6】本発明のコネクタのつば部の別形状を示す三面図である。
【図7】本発明のコネクタのつば部の別形状を示す三面図である。
【図8】本発明のコネクタのつば部が取り外し可能である実施例を示す図である。
【図9】従来のコネクタの三面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 遊技機
11、12、211、311 基板収納ケース
21、22、221、321 制御基板
31 遊技機制御用マイクロコンピュータ
32 払出チップ
41、42 照合用コネクタ
43〜48 通信用コネクタ
51〜56 ハーネス
61 封印用ビス
100、200、400、500、600 本発明のコネクタ
101、201、401、501、601 つば部
602 係止部
700 従来のコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収納ケースに覆われた遊技機を制御する制御基板に実装され、基板収納ケースの外部から制御基板と各種信号を電気的に接続するコネクタにおいて、基板収納ケースとコネクタとの隙間から制御基板に触れることをできなくするつば部を設けたことを特徴とする遊技機用コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタは、透光性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の遊技機用コネクタ。
【請求項3】
前記つば部は、着脱可能であることを特徴とする請求項1または2記載の遊技機用コネクタ。
【請求項4】
前記コネクタは、前記制御基板が正規のものか否かを確認する照合器との電気的な接続を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の遊技機用コネクタ。
【請求項5】
遊技機を制御するマイクロコンピュータを実装した制御基板と、該制御基板を覆う基板収納ケースと、前記制御基板に実装され各種信号を電気的に接続するコネクタとを有する遊技機において、前記コネクタはつば部を有し、基板収納ケースとコネクタとの隙間から制御基板に触れることをできなくしたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−127806(P2006−127806A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311396(P2004−311396)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(591107481)株式会社エルイーテック (37)
【Fターム(参考)】