説明

遊技機用フィルム、および遊技機用化粧板シート材

【課題】帯電を防止する遊技機用フィルム、遊技機用化粧板シート材を提供すること。
【解決手段】可塑剤を1〜20重量%含有する、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂からなる樹脂成分100重量部に対して、帯電防止剤を1〜20重量部、さらに必要に応じて安定剤を0.1〜5.0重量部含有する樹脂組成物からなる遊技機用フィルム、この遊技機用フィルムの一方の面に接着剤を介して貼り付けられた紙からなる遊技機用化粧板シート材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用フィルム、および遊技機用化粧板シート材に関するものであり、さらに詳しくは、パチンコやスマートボールあるいはスロットマシンなどの遊技機の遊技盤に使用できるフィルムおよびシート材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコやスマートボールあるいはスロットマシンなどの遊技機の遊技盤は、通常、ベニア合板に、一方向の面に絵柄が印刷された合成樹脂フィルムに紙が接着された化粧シートが重ねられている。図1にその断面図を示す。aは合成樹脂フィルム、bは紙、cはベニア合板である。合成樹脂フィルムの片面(bとの接着側)には、オフセット印刷、シルク印刷などによって絵柄が印刷され、接着剤によって紙と貼り合わされている。合成樹脂フィルムに紙を貼り合わせた化粧シートの紙の面は、接着剤を介しベニア合板が貼り合わされている。化粧シート表面、a側から、必要な場所に、球を受ける球受け入孔が設けられ、また、玉を案内し、そして弾く釘が多数打たれている。このような化粧シートとしては、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂またはセルロース・アセテート・プロピオネート樹脂またはセルロース・アセテート樹脂から作られている合成樹脂フィルムを用いたものが知られている(特許文献1)。これらの樹脂は、繊維素(セルロース)をベースにした高分子材料であり、その湿度や温度による伸縮性が、紙、ブナ板合板の伸縮性と近いので、紙、ブナ板合板と同様の伸縮を示し、釘との密着性(抱き)もよいとされ、長い間使用されている。ベニア合板の裏側、すなわちC側には、遊技機の遊技性を制御する制御盤が設置されている。この制御盤は、精密で繊細なものであり、静電気によるノイズで誤動作の危険性がある。上記のような合成樹脂は、摩擦により極めて容易に静電気が発生し、蓄積しやすく、制御盤の誤動作の原因にもなりうる。しかしながら、帯電を防止するようなシート材は得られていない。
【特許文献1】特開昭58−145446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、帯電を防止するフィルムおよびシート材、特に遊技機用化粧シートに好適な遊技機用フィルム、および遊技機用化粧板シート材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、可塑剤を1〜20重量%含有する、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂および/またはセルロース・アセテート・プロピオネート樹脂からなる樹脂成分100重量部に対して、帯電防止剤を1〜20重量部含有する樹脂組成物からなる遊技機用フィルムに関する。
ここで、帯電防止剤は、下記式(1)で表されるカチオン系界面活性剤であることが好ましい。
【0005】
【化2】

【0006】
〔ただし、式(1)において、R1は炭素数6〜22のアルキル基、またはアルケニル基、R2はCH、またはCHCH、(CO)H(nは1〜10の整数である)、XはCl、ClO、NO、CHSO、またはCHCHSOを表す。〕
さらに、上記の樹脂組成物には、樹脂成分100重量部に対し、さらに安定剤が0.1〜5.0重量部添加されていることが好ましい。
上記安定剤としては、亜リン酸エステル化合物が好ましい。
次に、本発明は、上記本発明の遊技機用フィルムと、その遊技機用フィルムの一方の面に接着剤を介して貼り付けられた紙からなる遊技機用化粧板シート材に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機用フィルムや遊技機用化粧板シート材は、静電気による帯電がなく、従って、パチンコ遊技機の化粧板シートに用いた場合、パチンコ遊技機のノイズを防止することができ、さらに、帯電防止効果が長期間維持される。また、帯電防止剤のブリードもなく、印刷性能もよく、従来の特性も維持しているものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂は、通常、入手可能などのようなものを用いてもよい。
【0009】
また、本発明において、樹脂成分である、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂に使用される可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノリルフタレート、ジイソノリルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、n−オクチルn−デシルフタレート等のフタル酸エステル可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクロルエチルホスフェート、トリ(ジクロルプロピル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスファートなどのリン酸エステル可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、n−オクチルn−デシルアジぺート、n−ヘプチルn−ノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジデシルアジペートなどのアジピン酸エステル可塑剤;ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジイソオクチルセバケート、ブチルベンジルセバケートなどのセバチル酸エステル可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル;クエン酸トリエステル、アセチルクエン酸トリエステル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシルなどのクエン酸エステル可塑剤;メチルフタリルエチレングリコール、エチルフタリルエチレングリコール、ブチルフタリルエチレングリコール、トリエチレングリコール−ビス(2−エチルヘキサノエート)などのグリコール酸エステル可塑剤;トリブチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソテシルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレートなどのリシノール酸エステル可塑剤;ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセパケートなど2価のカルボン酸とポリプロピレングリコールを結合させたポリエステル型可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ系可塑剤などが挙げられる。
なお、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂には、ジ−2−エチルヘキシルアジペートが、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂には、トリエチレングリコール−ビス(2−エチルヘキサノエート)が好ましい。
【0010】
可塑剤の添加量は、樹脂に対して1〜20重量%で、樹脂がセルロース・アセテート・ブチレート樹脂の場合は、5〜15重量%が好ましく、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂の場合は、8〜18重量%が好ましい。添加量が1重量%未満の場合は、耐衝撃性が著しく劣り、一方、添加量が20重量%を超える場合は、可塑剤が表面にブリードしてきて印刷性や接着性が悪くなる。可塑剤入りの市販品としては、例えば、イーストマン・ケミカル社のTenite ButyrateやTenite Propionateなどが挙げられる。
【0011】
本発明に用いられる帯電防止剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム過塩素酸塩、ポリオキシエチレンステアリルジメチルアンモニウム過塩素酸塩、ステアリルジメチル2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、オレイルアミノプロピルジメチル2−ヒドロキシエチルアンモニウム過塩素酸塩、ステアリルオレイルアミノプロピルジメチル2−ヒドロキシエチルアンモニウム過塩素酸塩、オレイルエチルジメチルアンモニウムエチル硫酸塩などの4級アンモニウム塩;アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルサルフェートナトリウムナトリウム塩、アルキルエーテルサルフェートナトリウム塩、アルキルエーテルサルフェートトリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートトリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アシルメチルタウリン酸ナトリウム、アルキルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックポリマー、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリエチレングリコールアルキルアミン、ポリエチレングリコールアルケニルアミンなどの非イオン活性剤;ジメチルアルキルアミン、アルキルジアミノエチルグリシンナトリウムなどの両性活性剤などで、好ましくは、下記式(1)に示すカチオン活性剤である。
【0012】
【化3】

【0013】
〔ただし、式(1)において、R1は炭素数6〜22のアルキル基、またはアルケニル基、R2はCH、CHCH、または(CO)H(nは1〜10の整数である、XはCl、ClO、NO、CHSO、またはCHCHSOを表す。〕
【0014】
帯電防止剤の添加量は、上記の樹脂成分100重量部に対し、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2〜5重量部である。帯電防止剤が1重量部未満では帯電防止効果が充分ではなく、一方、20重量部を超えると、表面にブリードして、べたついたり、あるいはフィルムどうしがブロッキングしたり、フィルムの透明性が悪くなると共にシート化時の印刷の密着性が著しく悪くなる。
【0015】
また、本発明のフィルムやシート材に用いられる樹脂組成物には、さらに安定剤を添加することが好ましい。
本発明に用いられる安定剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−第3ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロオキシ−3’,5’−ジ−第3ブチルフェノール)プロピオネート、スチレン化フェノール、4−ヒドロキシ−メチル−2,6−ジ−第3ブチルフェノール、2,5−ジ−第3ブチル−ハイドロキノン、シクロヘキシルフェノール、ブチルヒドロキシアニゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4‘−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロオキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−第3ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロオキシ−3’−第3ブチル−5’−メチルベンジル)4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス〔β−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアネート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸エステル系酸化防止剤などの酸化防止剤で、中でも、亜リン酸エステル系酸化防止剤が好ましく、特にテトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイトがより好ましい。
【0016】
安定剤の添加部数は、上記樹脂成分100重量部に対し、0.1〜5.0重量部が好ましい。0.1重量部未満では、変色などをきたして安定効果が乏しく、一方、5重量部を超えると、フィルム物性の低下や印刷適性に劣る。さらに好ましくは、0.1〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
【0017】
上記の範囲の量の帯電防止剤、さらにはこれに安定剤を添加した樹脂フィルムから得られる本発明の遊技機用化粧板シート材は、従来の特性を維持して、しかも帯電防止効果が満足できるものである。
また、上記組成物には、色調調整のために、染料や顔料を併用しても良い。
【0018】
また、帯電防止剤や安定剤を合成樹脂に練り込む方法については、従来公知の方法が使用される。例えば、合成樹脂と帯電防止剤や安定剤とを混合攪拌機で充分に混合し、カレンダーロールや押出機などでフィルムに成型すればよい。
【0019】
本発明の遊技機用フィルムは、上記の樹脂成分、帯電防止剤、さらに必要に応じて安定剤を配合した樹脂組成物を、常法に従い、カレンダー法、押出法、などによりフィルム化することによって得られる。
本発明の遊技機用フィルムの厚さは、0.3mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.3mmである。
【0020】
紙と貼り合せたシート材としたときのフィルム表面は、裏面に印刷を施した場合、印刷絵柄が鮮明に表現できるよう、また、パチンコ遊技盤として用いる場合にはパチンコ玉が抵抗なく流れるように艶仕上げをすることができる。
【0021】
また、必要に応じて、フィルムの紙との接着側、すなわち、印刷を施す場合の印刷側に、印刷適性を最適にするために均一な艶消し仕上げを施してもよい。また、この面はフィルムの紙との貼り合せ面となるので、艶消し仕上げにより接着剤との結合がよくなるという利点もある。艶消し仕上げを行う場合、凹凸の深さは0.1〜10μmが好ましい。
【0022】
本発明の遊技機用フィルムには、必要に応じて、紙との接着面側に印刷が施される。印刷は、オフセット印刷、シルク印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などによって行うことができる。
【0023】
本発明の遊技機用化粧板シート材は、上記のような遊技機用フィルムに、接着剤を介して紙を貼り合せたものであるが、紙は、植物繊維で作られた普通の紙でも、合成紙でも、どのようなものであってもよい。
また、接着剤は、従来使用されているものでよく、例えば、酢酸ビニル−MMA共重合体などの接着剤を使用できる。
このようにして得られる本発明の遊技機用化粧板シート材は、帯電することがなく、従来の特性も維持しており、紙の面をベニア合板に貼り合わせてパチンコなどの遊技盤の化粧シートに好適に用いられる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0025】
実施例1〜4、比較例1〜2
樹脂として、可塑剤であるジ−2−エチルヘキシルアジペート8%含有のセルロース・アセテート・ブチレート樹脂(イーストマン・ケミカル社製)を用い、この樹脂成分100部に、帯電防止剤として、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルジメチルアンモニウム過塩素酸塩、アルキル(C14)スルホン酸ナトリウム、あるいはグリセリンモノステアレートを用い、添加量は、各々3部とした。なお、実施例2では、安定剤として、テトラ(トリデシル)−4,4’イソプロピリデンジフェニルジホスファイトを用い、添加量は、0.15部とした。このようにして得られた樹脂組成物を用い、押出加工法で、フィルム(厚さ:0.22mm)を作製した。
次いで、上記のようにして得られた樹脂フィルムの片面に印刷を施し、接着剤を介して紙を貼りつけシート材を得た。(実施例1〜4)
従来品として、帯電防止剤を含まない上記と同様のフィルム(比較例1)、可塑剤であるジ−2−エチルヘキシルアジペート30%含有のセルロース・アセテート・ブチレート樹脂を用いたフィルム(比較例2)を上記の方法で作製し、得られた樹脂フィルムの片面に印刷を施し、接着剤を介して紙を貼り付けシート材を得た。上記のようにして得られたシート材について、表面固有抵抗値(Ω/□)、帯電圧半減期(秒)、透明性、印刷性、加工性(紙貼り性)、色調、釘打ち性を評価した。
配合処方、評価結果を併せて表1に示す。
【0026】
なお、これらの評価方法を以下に示す。
ここで、帯電圧半減期とは、シート材に電圧を加え飽和帯電圧状態とし、その飽和帯電圧の電圧が半分に下がるまでの時間いう。また、1年後の性能も調べたところ、1年後の性能も初期性能と同様の性能を維持していた。
印刷性の評価法であるクロスカット評価は、印刷面に碁盤目にカッターで切り込みを入れ、そこにセロハンテープを貼り付け一定の力で剥がし、インクの剥離状態を確認した。
なお、実施例で用いられた樹脂フィルムについて、オフセット印刷、シルク印刷を行なった結果、インクの密着性、色調などの印刷性は、帯電防止剤を配合していない比較例1と変わらなかった。
【0027】
評価方法
評価は、○、△、×で表示した。
1.表面固有抵抗値(Ω/□):ULTRA MEGOHOMMETERにより測定
アニーリング条件:温度23℃湿度55%恒温・恒湿で24時間
印加電圧:500V/10秒
○:1×1012未満
△:1×1012以上、1×1013以下
×:1×1013を超えるもの
2.帯電圧半減期(秒):STATIC HONESTMETERにより測定
14日後測定及び、1年後測定
印加電圧:10kV
○:5秒以下
△:60秒以下
×:2分以上
3.透明性(ヘイズ)値
○:1以下
△:2〜5
×:5を超える
4.印刷性:印刷密着性で、クロスカット評価
印刷インキ:オフセット用インキ(4色 黄・赤・黒・藍)
印刷:オフセット印刷機(2色機)
セロハンテープ:ニチバン(株)LP−18
○:剥離なし
△:一部剥離
×:密着せず
5.加工性:紙貼り
○:貼れる
×:貼れない
6.色調
色差ΔE評価
○:ΔEが、0.1未満
△:ΔEが、0.1以上、1.5以下
×:ΔEが、2を超えるもの
7.釘打ち性:釘を打ったときのシートの浮き
○:浮きなし
×:浮きあり
【0028】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の遊技機用フィルムや遊技機用化粧板シート材は、静電気による帯電がなく、従って、パチンコ遊技機の化粧シートに用いた場合、パチンコ遊技機のノイズを防止することができ、さらに、帯電防止効果が長期間維持される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の遊技盤の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
a 合成樹脂フィルム
b 紙
c ベニア合板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤を1〜20重量%含有する、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂および/またはセルロース・アセテート・プロピオネート樹脂成分100重量部に対して、帯電防止剤を1〜20重量部含有する樹脂組成物からなる遊技機用フィルム。
【請求項2】
帯電防止剤が下記式(1)で示されるカチオン系界面活性剤である請求項1記載の遊技機用フィルム。
【化1】

〔ただし、式(1)において、R1は炭素数6〜22のアルキル基、またはアルケニル基、R2はCH、CHCH、または(CO)H(nは1〜10の整数である)、XはCl、ClO、NO、CHSO、またはCHCHSOを表す。〕
【請求項3】
樹脂組成物中に、樹脂成分100重量部に対し、さらに安定剤を0.1〜5.0重量部添加した請求項1または2記載の遊技機用フィルム。
【請求項4】
安定剤が亜リン酸エステル化合物である請求項3に記載の遊技機用フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のフィルムと、そのフィルムの一方の面に接着剤を介して貼り付けられた紙からなる遊技機用化粧板シート材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−280850(P2006−280850A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108518(P2005−108518)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000203944)太平化学製品株式会社 (20)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】