遊技機用監視システム
【課題】既存の設備を改造することなく、非常に容易に、かつ、安価に導入することが可能な遊技機用の監視システムを提供する。
【解決手段】監視システムSにおいては、各設置台203,203・・にパチンコ機1,1・・が設置されており、各設置台203,203・・の各パチンコ機1,1・・と隣接した上方に通信ユニット33,33・・が設置されている。そして、それらの通信ユニット33,33・・には、パチンコホールの店員が監視態様を「認証モード」に切り替えるための店員カード用アンテナと、店員が不正監視に関する情報を入手するための中継タグと、遊技者が遊技に関する情報を入手するための遊技者カード用アンテナとが内蔵されている。
【解決手段】監視システムSにおいては、各設置台203,203・・にパチンコ機1,1・・が設置されており、各設置台203,203・・の各パチンコ機1,1・・と隣接した上方に通信ユニット33,33・・が設置されている。そして、それらの通信ユニット33,33・・には、パチンコホールの店員が監視態様を「認証モード」に切り替えるための店員カード用アンテナと、店員が不正監視に関する情報を入手するための中継タグと、遊技者が遊技に関する情報を入手するための遊技者カード用アンテナとが内蔵されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に対する不正行為の有無を監視するための監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機においては、作動内容を制御するROM等の制御素子を偽造されたものにすり替える不正行為が行われることがある。また、前面に開閉自在に取り付けられたガラス枠やミドル枠等を無理矢理開放して遊技盤面上の入賞装置内に多くの遊技球を入賞させる不正行為が行われることもある。
【0003】
そのような不正行為を防止するために、出願人は、制御基板収納ボックスの分割式収納ケースにICタグとアンテナとを設置するとともに、監視制御装置を利用してそれらのICタグとアンテナとの間で無線通信を短時間の周期で繰り返し実行させることによって、制御基板収納ボックスの不正開放の有無を監視する監視システムについて提案した(特許文献1)。
【0004】
さらに、出願人は、上記の如きICタグとアンテナとを利用した遊技機の自動監視システムにおいて、パチンコホールの店員がパチンコ機のメンテナンス作業を実行する際に警報の発生を一時的に停止させることを可能とすべく、店員が有するカードに内蔵された認証用タグと無線通信可能な認証用アンテナをパチンコ機の前面に設置し、カード内の認証用タグと認証用アンテナとの無線通信において所定の条件が充足された場合に、監視制御装置による監視態様を非報知態様に切り替える技術についても提案した(特願2003−276164)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−65801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した認証用タグと認証用アンテナとの通信を利用した不正監視システムによれば、制御基板収納ボックスに対する不正行為を効率的に監視することができる上、パチンコホールの店員が、誤警報を発生させることなく、容易にパチンコ機のメンテナンス作業を行うことが可能となる。しかしながら、上記の如き認証用タグと認証用アンテナとの通信を利用した不正監視システムは、パチンコホールに新規に導入しようとすると、既存のパチンコ機を改造して認証用アンテナを設置しなければならないため、設備改造に多大な手間とコストを要してしまう。また、パチンコ機の種類によっては、そのような認証用アンテナを設置することができない場合もある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の不正監視システムが有する問題点を解消し、遊技機に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、既存の設備に非常に容易に、かつ、安価に導入することが可能な遊技機用の監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明の構成は、遊技機に設置された監視用ICタグと、監視用アンテナを介して前記監視用ICタグと無線通信を実行する監視制御装置と、所定のID情報を記憶した認証用ICタグと、その認証用ICタグとの無線通信を行って前記認証用ICタグから前記ID情報を読み取る認証用アンテナと、前記認証用ICタグのID情報が予め記憶されている管理装置と、前記監視制御装置から送信された監視履歴情報を記憶する中継用ICタグと、中継用アンテナを介して前記中継用ICタグから前記監視履歴情報を読み取る携帯用端末とを有しており、前記監視制御装置が、前記監視用アンテナを介して、前記遊技機に設置された前記監視用ICタグとの間の無線通信を周期的に繰り返し実行し、その無線通信状態が変化した場合に、第一監視情報を外部に出力するとともに、前記認証用アンテナが前記認証用ICタグから読み取ったID情報が、予め管理装置内に記憶されているID情報と一致した条件の下では、前記監視用アンテナと前記監視用ICタグとの間の無線通信状態が変化した場合に、前記監視制御装置が前記第一検知情報とは異なる第二監視情報を外部に出力する一方、前記中継用ICタグが、前記携帯用端末と無線通信することにより、前記監視履歴情報を外部に出力する遊技機用監視システムであって、前記認証用アンテナと前記中継用ICタグとを内蔵した通信ユニットが、前記遊技機とは別の位置に設置されていることにある。
【0009】
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、監視制御装置が第二監視情報を外部に出力していることを報知するための認証状態報知手段が通信ユニットに設置されていることにある。
【0010】
請求項3に記載された発明の構成は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、中継用ICタグが監視履歴情報を外部に出力していることを報知するための情報出力状態報知手段が通信ユニットに設置されていることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された遊技機用監視システムによれば、遊技機に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、遊技ホールに設置された既存の遊技機に改造等を施すことなく、非常に容易に不正監視システムを導入することが可能となる。すなわち、通信ユニットという単一の装置内に認証用アンテナと中継用ICタグとが内蔵されているため、認証用アンテナ用の配線と中継用ICタグ用の配線とを設置台に別々に設ける必要がないので、非常に効率的に不正監視システムを導入することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載された遊技機用監視システムによれば、監視制御装置が第二監視情報を外部に出力している場合には、認証状態報知手段によりその旨が報知されるため、遊技ホールの店員が遊技機のメンテナンス作業等をする際に、認証状態となっていることを確認した上で作業を行うことができるので、誤警報を発生させる事態を高い精度で防止することができる。また、遊技ホール店員以外の者が認証用ICタグを悪用して、監視制御装置が第一監視情報を外部に出力する状態を解除する事態を防止することができる。
【0013】
請求項3に記載された遊技機用監視システムによれば、中継タグが監視履歴情報を外部に出力している場合には、情報出力状態報知手段によりその旨が報知されるので、遊技ホール店員以外の者が携帯用端末を悪用して、監視履歴情報を入手したり改竄したりする事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るパチンコ機用の監視システムについて、以下の目次の順序にしたがい、図面に基づいて詳細に説明する。
(1)監視システムの概要
(2)監視システムの各要素の構成
(3)監視システムの動作内容
(4)監視システムの効果
(5)監視システムの変更例
【0015】
(1)監視システムの概要
図1は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機用の監視システムを示すブロック図であり、図2は、監視システムSを導入したパチンコホールの外観を示す説明図である。パチンコホールの各設置台(設置島)203,203・・には、パチンコ機1,1・・が、背中合わせに2列に並べられて設置されている。また、各設置台203,203・・には、各パチンコ機1,1・・と隣接した上方に、遊技者が遊技に関する個人情報を入手したり、店員が不正監視に関する情報を入手したりするための通信ユニット33,33・・が設置されており、それらの各通信ユニット33,33・・の上側に、遊技者が個々のパチンコ機1の遊技内容に関する情報を入手するための情報表示器201,201・・が設置されている。さらに、各設置台203,203・・の内部には、各パチンコ機1,1・・を監視するための監視制御装置であるRW(リーダライタ)66,66・・が内蔵されており、各RW66,66・・は、パチンコ機1の主制御基板37および通信ユニット33と接続された状態になっている。加えて、各RW66,66・・は、LANケーブル等の配線を介して、設置台203の端部に設置された警報表示器45、およびパチンコホール全体を管理するホールコンピュータである管理装置300に接続されている。
【0016】
かかる監視システムSにおいては、各RW66,66・・が、各パチンコ機1,1・・に設置された監視用ICタグ(ガラス枠タグ40)と監視用アンテナ(ガラス枠アンテナ41)とを利用して、各パチンコ機1,1・・に対する不正行為の有無を監視する。また、パチンコホールの店員が、通信ユニット33の所定の部位にICタグである店員カードをかざして、通信ユニット33に内蔵された認証用アンテナ(店員カード用アンテナ206)と近接させることによって、監視用ICタグと監視用アンテナとによる監視状態を非報知態様(後述する「認証モード」)に切り替えて、パチンコ機1のメンテナンス作業を実行する際の警報の発生を停止させるとともに、そのメンテナンス作業の間において「作業履歴情報」(後述する)を管理する。さらに、パチンコホールの店員が、携帯用端末(以下、PDAという)を各通信ユニット33,33・・の所定の部位に向けて、通信ユニット33に内蔵された中継用ICタグ(中継タグ76)と無線通信を行うことによって、監視用ICタグと監視用アンテナとによる監視動作に関する監視情報をPDAに取り込むことができる。さらに、遊技者が、通信ユニット33の所定の部位にICタグである遊技者カードを挿入し、通信ユニット33に内蔵された遊技者カード用アンテナと近接させた状態でパチンコ機1で遊技を行うことにより、RW66を介してパチンコ機1の遊技内容に関する情報を入手することができる。
【0017】
(2)監視システムの各要素の構成
[パチンコ機の構成]
図3〜図5は、パチンコ機1を示したものである。パチンコ機1は、その周囲を機枠2によって支持されており、機枠2の前面には、金属板を折り曲げ形成したミドル枠10が、左端縁を軸として着脱自在に蝶着されている。そして、ミドル枠10の前面上側には、略正方形の遊技盤9が設けられているとともに、その遊技盤9を覆うように、ガラス板を嵌め込んだガラス枠4が、左端縁を軸として片開き自在に蝶着されている。
【0018】
また、遊技盤9の盤面には、液晶画面に種々の動画やメッセージ等を表示可能な図柄表示装置14が設けられている。また、図柄表示装置14の下側には、図柄始動口16が設けられており、その図柄始動口16の下側には、扉部材61を開閉させる大入賞装置17が設けられている。さらに、遊技盤9の盤面には、遊技球の落下に変化をもたせるための多数の障害釘や、風車等の遊技部材が設けられている。加えて、遊技盤9の下端際には、入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口5が設けられている。
【0019】
さらに、ガラス枠4の開放側の裏面には、監視用ICタグであるガラス枠タグ40が固着されており、遊技盤9の右上方であってガラス枠4を閉じた際にガラス枠タグ40と対峙する部位には、ガラス枠タグ40との間でRF送受信を行う監視用アンテナであるガラス枠アンテナ41が固着されている。
【0020】
ガラス枠タグ40は、CEM3等のガラスコンポジット基板上に、RF回路、EEPROM等の記憶手段、および送受信回路等を設けたものであり、記憶手段の上書消去禁止区域には、ガラス枠タグ40を他のICタグと識別するための識別情報が記憶されている。
【0021】
一方、ガラス枠アンテナ41は、CEM3等のガラスコンポジットで形成された薄い板状の基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。かかるガラス枠アンテナ41は、ケーブルを介して、設置台203内のRW66に接続されている。
【0022】
ガラス枠タグ40は、ガラス枠アンテナ41との間で、所定の周波数(たとえば、13.56MHz)を利用して、RF(Radio Frequency)送受信を行うことが可能であり、呼出波を受信すると、予め記憶されている識別情報を含む反射波を、所定の通信範囲(約3mm)内に出力(返信)するように設定されている。
【0023】
一方、パチンコ機1の裏面には、合成樹脂製の機構板36が設けられており、その機構板36には、作動内容を制御するための主制御基板37を収納した主制御基板ボックス38、賞品球や貸球を払い出すための遊技球払出装置63等が設置されている。
【0024】
[RWの構成]
図6は、監視制御装置であるRW66の制御機構を示したものである。RW66は、CPU68、RAM69、ROM70、EEPROM71、タイマ72、RF回路73、I/Oインタフェイス74等を有している。そして、RF回路73が、パチンコ機1に設置されたガラス枠アンテナ41のケーブルと接続された状態になっている。なお、EEPROM71には、パチンコ機1のガラス枠タグ40に登録されている識別情報が予め記憶されている。
【0025】
[通信ユニットの構成]
図7は、設置台203の表側に設置された通信ユニット33を示したものである。通信ユニット33は、合成樹脂によって扁平な直方体状に形成された収納ケース34の内部に、中継用ICタグである中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、認証用アンテナである店員カード用アンテナ206を設置したものである。
【0026】
中継タグ76は、アンテナとRF通信するためのRF回路およびアンテナ回路を有している。また、パチンコ機1に設置されたガラス枠タグ40とは異なり、各種の演算を実行するためのCPUを有しているとともに、RF通信とは別にケーブルを介した有線による通信により信号の送受信をするための入出力ポートを有している。かかる中継タグ76は、アンテナ回路を捲回させた面を収納ケース34のフロントパネルの裏側に当接させた状態で固定されており、I/Oケーブル30によってRW66のI/Oインタフェイス74と接続されている。
【0027】
遊技者カード用アンテナ78は、ガラス枠アンテナ41と同様なものであり、ガラスコンポジット製の薄い基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。遊技者カード用アンテナ78は、送受信回路を捲回させた面を、収納ケース34の略中央に鉛直に設けられたカード挿入用スリット35の前板に当接させた状態で接着剤等によって固定されており、アンテナケーブル31aによってRW66のRF回路73に接続されている(図7(c)参照)。
【0028】
店員カード用アンテナ206も、遊技者カード用アンテナやガラス枠アンテナ41と同様なものであり、ガラスコンポジット製の薄い基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。かかる遊技者カード用アンテナは、送受信回路を捲回させた面を収納ケース34のフロントパネルの裏側に当接させた状態で固定されており、アンテナケーブル31bによってRW66のRF回路73に接続されている(図7(d)参照)。
【0029】
また、通信ユニット33の収納ケース34のフロントパネルには、内蔵された中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、店員カード用アンテナ206の上方に相当する位置に、報知ランプ32a,32b,32cが並設されており、内蔵された中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、店員カード用アンテナ206の位置を示唆した状態になっている。なお、後述するように、報知ランプ32aは、情報出力状態報知手段として機能するものであり、報知ランプ32cは、認証状態報知手段として機能するものである。
【0030】
[管理装置の構成]
図8は、管理装置300の制御機構を示したものである。管理装置300は、CPU292、RAM,ROM,EEPROM等からなる記憶手段291、タイマ297、警告ランプ295、表示器296、通信回路294、I/Oインタフェイス293等を有している。そして、CPU292が、I/Oインタフェイス293を介して警告ランプ295および表示器296と接続された状態になっている。また、CPU292が、I/Oインタフェイス293を介して通信回路294と接続されている。そして、各RW66,66・・は、LANケーブル等の配線を介して、設置台203の警報表示器45を経由して、管理装置300のCPU292に接続された状態になっている。また、記憶手段内291には、図9の如く、後述する各店員カードの「店員カードID」がパチンコホールの店員名と対応付けられた状態で記憶されている。すなわち、パチンコホールの“○○一郎”店員が保持すべきNO.1の店員カードの「店員カードID」としては、“4852・・・79AX”が記憶されており、パチンコホールの“△△二郎”店員が保持すべきNO.2の店員カードの「店員カードID」としては、“6957・・・31HY”が記憶されている。
【0031】
e.携帯用端末の構成
図10は、中継タグ76からパチンコホールの店員が情報を読み取るためのPDAの外観を示す斜視図である。PDA94は、上部に、アンテナおよびRF回路を内蔵したRFモジュール93が設けられており、正面に、受信した「監視履歴情報」等を表示する表示画面95、各種の指令信号を入力するための操作キー96等が備えられている。また、PDA94は、受信した「監視履歴情報」等を記憶するためのフラッシュメモリ(図示せず)や、「監視履歴情報」等のデータの送受信を行うためのI/Oインタフェイス(図示せず)等を備えている。
【0032】
f.遊技者カードおよび店員カードの構成
図11は、店員カードを示したものであり、店員カード249は、送受信回路252、RF回路267およびEEPROM等の記憶手段266を内蔵したICチップ253を合成樹脂によってコーティングしてカード状にしたものである。なお、記憶手段266内には、各店員カード249に固有のIDである「店員カードID」が記憶されている。
【0033】
また、遊技者カードは、店員カード249と同様なものであり、送受信回路、RF回路およびEEPROM等の記憶手段を内蔵したICチップを合成樹脂によってコーティングしてカード状にしたものである。なお、遊技者カードの記憶手段内には、各遊技者カードに固有のIDである「遊技者カードID」が記憶されている。
【0034】
(3)監視システムの動作内容
[パチンコ機の作動内容]
各パチンコ機1,1・・は、主制御基板37に記憶されたプログラムにしたがって、主たる遊技動作を実行する。そして、所定の条件が充足された場合(たとえば、図柄始動口16へ遊技球が入賞した場合)には、主制御基板37において「抽選」を実行し、その「抽選」において「大当たり」となった場合には、予め設定された「大当たり図柄」を図柄表示装置14に表示するとともに、「大当たり状態」を生起させて、大入賞装置17の扉部材61を所定回数だけ断続的に開放させる。また、扉部材61の内部の大入賞口や各種の入賞装置に遊技球が入賞した場合には、遊技球払出装置63の作動によって賞品球として所定数の遊技球を払い出す。
【0035】
[不正行為の監視動作]
図12は、監視システムSにおけるRW66、通信ユニット33、管理装置300等の各要素の制御機構を示すブロック図である。RW66は、パチンコ機1に設置されたガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との間におけるRF送受信を利用して、パチンコ機1においてガラス枠4の監視動作を実行する。すなわち、RW66が、ガラス枠アンテナ41を介して、ガラス枠タグ40へ呼出波を送信すると、ガラス枠タグ40は、直ちに、記憶された「識別情報」を含めた反射波を返信する。RW66は、ガラス枠アンテナ41によって、その反射波を受信すると、ガラス枠タグ40からの反射波に含まれる「識別情報」が、EEPROM71に予め記憶されているものと一致するか否かを判断し、記憶されたものと同一であると確認した場合には、再度、直ちに呼出波を送信する。しかしながら、呼出波を送信してから所定時間(たとえば、50ms)内に反射波を受信しなかった場合や、ガラス枠タグ40からの反射波に含まれる「識別情報」が、予めEEPROM71に登録されているものと一致しなかった場合には、異常である(ガラス枠40が不正に開放された可能性がある)と判断し、反射波を受信した時刻等を「異常検知情報」としてEEPROM71に記憶するとともに、後述する「認証モード」で監視動作を実行している場合を除いて「異常信号」を外部へ出力する。
【0036】
RW66は、上記の如き監視動作を、短時間(約数十ms)の周期で24時間繰り返し実行する。なお、ガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とは、間隔が約3mm以内となっている場合にのみRF送受信ができるように設定されている。したがって、ほんの少しの時間、わずかにガラス枠4が開放されたとしても、異常であると判断される。
【0037】
警報表示器45は、RW66が出力した「異常信号」を受信すると、表示器46に所定のメッセージを表示するとともに、警報ランプ47を所定の態様で発光させる。かかる警報ランプ47の発光によって、パチンコホールの店員の注意が促されることになる。また、警報表示器45は、RW66が出力した「異常信号」を受信すると、管理装置300へ「異常信号」を送信する。管理装置300は、警報表示器45から送信された「異常信号」を受信すると、その受信時刻や発信元の「識別記号」(パチンコ機1の機台番号)を、「異常検知情報」として表示器296に表示する。
【0038】
[店員作業時における認証および作業履歴管理動作]
店員カード249が通信ユニット33の店員カード用アンテナ206に近づけられると、店員カード用アンテナ206と店員カード249との間のRF送受信が可能となる。そして、RW66のCPU68の指令により、店員カード用アンテナ206から呼出波を送信すると、その呼出波を受信した店員カード249は、その店員カード240に固有の「店員カードID」を含む射波波を店員カード用アンテナ206に送信する(なお、店員カード用アンテナ206は、常時、呼出波を送信している)。送信された反射波は、店員カード用アンテナ206からRW66へ伝達される。
【0039】
RW66は、管理装置300と同様に、各店員カード249,249・・に記憶された「店員カードID」を、有効なすべての店員カード249,249・・の種類別(番号別)に、RAM69内に記憶している(図9参照)。店員カード249からの反射波を受信したRW66は、その反射波に含められた「店員カードID」が、RAM69内に記憶されたものであるかどうかを判断する。
【0040】
そして、RW66は、店員カード249から受信した反射波に含められた「店員カードID」がEEPROM71内に記憶されたものであると判断した場合には、それ以降、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とが送受信不能になったとしても、警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」を送信しないように制御する。そのように制御することによって、パチンコホールの店員がメンテナンス作業等のためにパチンコ機1のガラス枠4を開放した場合に、警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」が送信される事態を回避して、不要な警報を行わないようにすることができる。
【0041】
また、RW66は、店員カード249から送信された反射波に含められた「店員カードID」がEEPROM71内に記憶されたものであると判断した場合には、その反射波を受信した時刻および「店員カードID」を、「アクセス履歴情報」としてEEPROM71に記憶する。かかる動作によって、何時にどの店員カード249によって「店員カードID」の照合があったかを把握することが可能となる。なお、このような「店員カードID」の照合があった場合におけるRW66、警報表示器45、および管理装置300によるパチンコ機1の監視態様を「認証モード」といい、それ以外のときの監視態様を「通常モード」という。また、監視態様が「認証モード」になっている間は、通信ユニット33に設けられている認証状態報知手段である報知ランプ32cが点灯する。
【0042】
さらに、RW66は、監視態様を「認証モード」に切り替えた後、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との送受信が切断された場合には、その切断された時刻を、認証された「店員カードID」と対応させて「作業履歴情報」としてEEPROM71に記憶するとともに、その「作業履歴情報」を管理装置300へ送信する。RW66から「作業履歴情報」を受信した管理装置300は、それらの「作業履歴情報」を、パチンコ機1の機台別に、記憶手段291内に記憶させる。
【0043】
なお、監視態様を「認証モード」に切り替えた後、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との送受信が復旧した場合(すなわち、メンテナンス作業等の後にガラス枠4が閉じられてから所定の時間だけ継続して正常な送受信が行われた場合)には、監視態様を再び「通常モード」に切り替えて、それ以降、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とが送受信不能になった場合に警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」を送信するように制御する。
【0044】
[監視履歴情報の提供動作]
一方、監視システムSにおいては、PDA94を用いて、RW66のEEPROM71に記憶された「監視履歴情報」を、中継タグ76を介して取り出し、外部で管理することができる。すなわち、PDA94のRFモジュール93が、通信ユニット33の中継タグ76の方へ向けられると、PDA94と中継タグ76とがRF送受信可能な状態となる。そして、その状態で、操作キー96を操作することによって、新しい「監視履歴情報」を取り寄せるために「監視履歴送信要求信号」を含む呼出波を送信したり、不要になった「監視履歴情報」を消去するために取り寄せるために「監視履歴クリア信号」を含む呼出波を送信したりすることができる。
【0045】
PDA94から送信された呼出波が「監視履歴送信要求信号」を含む場合には、中継タグ76は、RW66のEEPROM71に記憶されている「監視履歴情報」を読み出して、その「監視履歴情報」を反射波にのせてPDA94へと返信する。中継タグ76から「監視履歴情報」を含む反射波が返信されると、PDA94の表示画面95に、その「監視履歴情報」が表示される。
【0046】
一方、PDA94から送信された呼出波が「監視履歴クリア信号」を含む場合には、中継タグ76からその呼出波がRW66に送信されると、RW66のEEPROM71に記憶されている「監視履歴情報」がクリアされる。RW66のEEPROM71内の「監視履歴情報」がクリアされると、その旨が中継タグ76を介してPDA94へと送信され、PDA94の表示画面95に、その「監視履歴情報」をクリアした旨が表示される。なお、PDA94が、上記の如く、中継タグ76と信号の送受信をしている間は、通信ユニット33に設けられている情報出力状態報知手段である報知ランプ32aが点灯する。そのようにPDAを使用することにより、各パチンコ機1,1・・の付近で、個々のパチンコ機1に関する監視情報を入手することができるので、パチンコホールの店員は、入手した監視情報に基づいて迅速に対処することができる。
【0047】
[遊技情報の提供動作]
一方、監視システムSにおいては、パチンコ機1の遊技者は、遊技者カード80を利用して、パチンコ機1の遊技内容に関する情報を取り出すことができる。すなわち、遊技者カード80が、通信ユニット33のカード挿入用スリット35に挿入されると、遊技者カード80と遊技者カード用アンテナ78とがRF送受信可能な状態となる。
【0048】
そして、RW66のCPU68の指令により、遊技者カード用アンテナ78から呼出波を送信すると、その呼出波を受信した遊技者カードは、その遊技者カードに固有の「遊技者カードID」を含む射波波を遊技者カード用アンテナ78に送信する(なお、遊技者カード用アンテナ78は、常時、呼出波を送信している)。送信された反射波は、遊技者カード用アンテナ78からRW66へ伝達される。
【0049】
遊技者カード80からの反射波を受信したRW66は、それ以降、パチンコ機1の主制御基板37から受信している遊技情報に基づいて、遊技者カード80の記憶手段(EEP−ROM等)への遊技情報(たとえば、「大当たり回数」、「スタート回数」、「消費遊技球数」)の書き込みを実行する。そして、所定のタイミングで(たとえば、5秒毎)、それらの遊技情報を更新する。なお、遊技者カード80の記憶手段に記憶されている最新の遊技情報は、パチンコホールに設けられた図示しないデータ提供装置によって任意のタイミングで確認することができる。また、その遊技情報の経時変化も、データ提供装置によって任意のタイミングで確認することができる。
【0050】
(4)監視システムの効果
監視システムSは、上記の如く、認証用アンテナである店員カード用アンテナ206と中継用ICタグである中継タグ76とを内蔵した通信ユニット33が、パチンコ機1とは別の位置に設置されるものである。したがって、監視システムSによれば、パチンコ機1,1・・に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、パチンコホールに設置された既存のパチンコ機に改造等を施すことなく、非常に容易に不正監視システムを導入することが可能となる。すなわち、通信ユニット33という単一の装置内に店員カード用アンテナ206と中継タグ76とが内蔵されているため、店員カード用アンテナ206のための配線と中継タグ76のための配線とを設置台203に別々に設ける必要がないので、非常に効率的に不正監視システムSを導入することが可能となる。
【0051】
また、監視システムSは、認証状態報知手段である報知ランプ32cが通信ユニット33に設置されているため、監視状態が「認証モード」になっている場合には、報知ランプ32cによりその旨が報知されるため、パチンコホールの店員がパチンコ機1,1・・のメンテナンス作業等をする際に、「認証モード」となっていることを確認した上で作業を行うことができるので、誤警報を発生させる事態を高い精度で防止することができる。また、パチンコホール店員以外の者が店員カード249を悪用して、監視状態を「認証モード」に切り替える事態を防止することができる。
【0052】
さらに、監視システムSは、情報出力状態報知手段である報知ランプ32aが通信ユニット33に設置されているため、中継用ICタグである中継タグ76が「監視履歴情報」を外部に出力している場合には、報知ランプ32aによりその旨が報知されるので、パチンコホール店員以外の者がPDA94を悪用して、「監視履歴情報」を入手したり改竄したりする事態を防止することができる。
【0053】
(5)実施例の監視システムの変更例
なお、本発明の監視システムの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、遊技機、監視制御装置(RW)、認証用アンテナ、認証用ICタグ、監視用ICタグ、監視用アンテナ、中継用ICタグ、携帯用端末、通信ユニット、警報表示器、管理装置等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0054】
たとえば、監視システムは、パチンコ機の前面に開閉自在に取り付けられたガラス枠にICタグとアンテナとを設けたものに限定されず、パチンコ機の周囲を覆う機枠や、パチンコ機の主制御基板ボックスの収納ケース、あるいは大入賞装置の扉部材等の部位に監視用ICタグと監視用アンテナとを設けたものでも良い。
【0055】
また、通信ユニットは、上記実施形態の如く、中継用ICタグ、遊技者カード用アンテナ、認証用アンテナを内蔵したものに限定されず、中継用ICタグと認証用アンテナのみを内蔵したものでも良い。なお、通信ユニットを、中継用ICタグ、遊技者カード用アンテナ、認証用アンテナを内蔵したものとした場合には、通信ユニットの利便性が一層向上する、というメリットがある。
【0056】
一方、監視システムは、パチンコ機の主制御基板と監視制御装置と警報表示器と管理装置とを有線によって接続したものに限定されず、それらの装置を無線によって接続したものに変更することも可能である。また、監視システムは、インターネット等の回線を通じてパチンコホールの外部に監視履歴情報を送信するもの等でも良い。さらに、監視システムは、監視制御装置を介してパチンコ機の主制御基板と警報表示器あるいは管理装置とを接続したものに限定されず、パチンコ機の主制御基板を直接に警報表示器あるいは管理装置と接続したものに変更することも可能である。加えて、監視システムは、必ずしも警報表示器を有するものに限定されず、パチンコ機の主制御基板あるいは監視制御装置を管理装置に直接的に接続したものでも良い。
【0057】
なお、本発明の監視システムは、上記実施形態の如くパチンコ機を監視するものに限定されず、スロットマシーン、スロットマシーン型パチンコ機等の他の遊技機を監視するものに変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の遊技機用監視システムは、各種の遊技機用の監視システムとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】監視システムの概要を示すブロック図である。
【図2】監視システムを導入したパチンコホールの外観を示す説明図である。
【図3】パチンコ機の正面図である。
【図4】ガラス枠およびミドル枠を開放したパチンコ機の前方斜視図である。
【図5】パチンコ機の背面図である。
【図6】RWの制御機構を示すブロック図である。
【図7】(a)は通信ユニットの前方斜視図であり、(b)は通信ユニットの正面図であり、(c)は(b)におけるA−A線断面を示す説明図であり、(d)は(b)におけるB−B線断面を示す説明図である。
【図8】管理装置の制御機構を示すブロック図である。
【図9】管理装置に「店員カードID」が記憶されている状態を示す説明図である。
【図10】PDAの前方斜視図である。
【図11】店員カードの制御機構を示すブロック図である。
【図12】監視システムの各要素の制御機構を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・パチンコ機、32a・・報知ランプ(情報出力状態報知手段)、32c・・報知ランプ(認証状態報知手段)、33・・通信ユニット、40・・ガラス枠タグ(監視用ICタグ)、41・・ガラス枠アンテナ(監視用アンテナ)、66・・RW(監視制御装置)、76・・中継タグ(中継用ICタグ)、94・・PDA(携帯用端末)、206・・店員カード用アンテナ(認証用アンテナ)、300・・管理装置、S・・監視システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に対する不正行為の有無を監視するための監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機においては、作動内容を制御するROM等の制御素子を偽造されたものにすり替える不正行為が行われることがある。また、前面に開閉自在に取り付けられたガラス枠やミドル枠等を無理矢理開放して遊技盤面上の入賞装置内に多くの遊技球を入賞させる不正行為が行われることもある。
【0003】
そのような不正行為を防止するために、出願人は、制御基板収納ボックスの分割式収納ケースにICタグとアンテナとを設置するとともに、監視制御装置を利用してそれらのICタグとアンテナとの間で無線通信を短時間の周期で繰り返し実行させることによって、制御基板収納ボックスの不正開放の有無を監視する監視システムについて提案した(特許文献1)。
【0004】
さらに、出願人は、上記の如きICタグとアンテナとを利用した遊技機の自動監視システムにおいて、パチンコホールの店員がパチンコ機のメンテナンス作業を実行する際に警報の発生を一時的に停止させることを可能とすべく、店員が有するカードに内蔵された認証用タグと無線通信可能な認証用アンテナをパチンコ機の前面に設置し、カード内の認証用タグと認証用アンテナとの無線通信において所定の条件が充足された場合に、監視制御装置による監視態様を非報知態様に切り替える技術についても提案した(特願2003−276164)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−65801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した認証用タグと認証用アンテナとの通信を利用した不正監視システムによれば、制御基板収納ボックスに対する不正行為を効率的に監視することができる上、パチンコホールの店員が、誤警報を発生させることなく、容易にパチンコ機のメンテナンス作業を行うことが可能となる。しかしながら、上記の如き認証用タグと認証用アンテナとの通信を利用した不正監視システムは、パチンコホールに新規に導入しようとすると、既存のパチンコ機を改造して認証用アンテナを設置しなければならないため、設備改造に多大な手間とコストを要してしまう。また、パチンコ機の種類によっては、そのような認証用アンテナを設置することができない場合もある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の不正監視システムが有する問題点を解消し、遊技機に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、既存の設備に非常に容易に、かつ、安価に導入することが可能な遊技機用の監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明の構成は、遊技機に設置された監視用ICタグと、監視用アンテナを介して前記監視用ICタグと無線通信を実行する監視制御装置と、所定のID情報を記憶した認証用ICタグと、その認証用ICタグとの無線通信を行って前記認証用ICタグから前記ID情報を読み取る認証用アンテナと、前記認証用ICタグのID情報が予め記憶されている管理装置と、前記監視制御装置から送信された監視履歴情報を記憶する中継用ICタグと、中継用アンテナを介して前記中継用ICタグから前記監視履歴情報を読み取る携帯用端末とを有しており、前記監視制御装置が、前記監視用アンテナを介して、前記遊技機に設置された前記監視用ICタグとの間の無線通信を周期的に繰り返し実行し、その無線通信状態が変化した場合に、第一監視情報を外部に出力するとともに、前記認証用アンテナが前記認証用ICタグから読み取ったID情報が、予め管理装置内に記憶されているID情報と一致した条件の下では、前記監視用アンテナと前記監視用ICタグとの間の無線通信状態が変化した場合に、前記監視制御装置が前記第一検知情報とは異なる第二監視情報を外部に出力する一方、前記中継用ICタグが、前記携帯用端末と無線通信することにより、前記監視履歴情報を外部に出力する遊技機用監視システムであって、前記認証用アンテナと前記中継用ICタグとを内蔵した通信ユニットが、前記遊技機とは別の位置に設置されていることにある。
【0009】
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、監視制御装置が第二監視情報を外部に出力していることを報知するための認証状態報知手段が通信ユニットに設置されていることにある。
【0010】
請求項3に記載された発明の構成は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、中継用ICタグが監視履歴情報を外部に出力していることを報知するための情報出力状態報知手段が通信ユニットに設置されていることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された遊技機用監視システムによれば、遊技機に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、遊技ホールに設置された既存の遊技機に改造等を施すことなく、非常に容易に不正監視システムを導入することが可能となる。すなわち、通信ユニットという単一の装置内に認証用アンテナと中継用ICタグとが内蔵されているため、認証用アンテナ用の配線と中継用ICタグ用の配線とを設置台に別々に設ける必要がないので、非常に効率的に不正監視システムを導入することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載された遊技機用監視システムによれば、監視制御装置が第二監視情報を外部に出力している場合には、認証状態報知手段によりその旨が報知されるため、遊技ホールの店員が遊技機のメンテナンス作業等をする際に、認証状態となっていることを確認した上で作業を行うことができるので、誤警報を発生させる事態を高い精度で防止することができる。また、遊技ホール店員以外の者が認証用ICタグを悪用して、監視制御装置が第一監視情報を外部に出力する状態を解除する事態を防止することができる。
【0013】
請求項3に記載された遊技機用監視システムによれば、中継タグが監視履歴情報を外部に出力している場合には、情報出力状態報知手段によりその旨が報知されるので、遊技ホール店員以外の者が携帯用端末を悪用して、監視履歴情報を入手したり改竄したりする事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るパチンコ機用の監視システムについて、以下の目次の順序にしたがい、図面に基づいて詳細に説明する。
(1)監視システムの概要
(2)監視システムの各要素の構成
(3)監視システムの動作内容
(4)監視システムの効果
(5)監視システムの変更例
【0015】
(1)監視システムの概要
図1は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機用の監視システムを示すブロック図であり、図2は、監視システムSを導入したパチンコホールの外観を示す説明図である。パチンコホールの各設置台(設置島)203,203・・には、パチンコ機1,1・・が、背中合わせに2列に並べられて設置されている。また、各設置台203,203・・には、各パチンコ機1,1・・と隣接した上方に、遊技者が遊技に関する個人情報を入手したり、店員が不正監視に関する情報を入手したりするための通信ユニット33,33・・が設置されており、それらの各通信ユニット33,33・・の上側に、遊技者が個々のパチンコ機1の遊技内容に関する情報を入手するための情報表示器201,201・・が設置されている。さらに、各設置台203,203・・の内部には、各パチンコ機1,1・・を監視するための監視制御装置であるRW(リーダライタ)66,66・・が内蔵されており、各RW66,66・・は、パチンコ機1の主制御基板37および通信ユニット33と接続された状態になっている。加えて、各RW66,66・・は、LANケーブル等の配線を介して、設置台203の端部に設置された警報表示器45、およびパチンコホール全体を管理するホールコンピュータである管理装置300に接続されている。
【0016】
かかる監視システムSにおいては、各RW66,66・・が、各パチンコ機1,1・・に設置された監視用ICタグ(ガラス枠タグ40)と監視用アンテナ(ガラス枠アンテナ41)とを利用して、各パチンコ機1,1・・に対する不正行為の有無を監視する。また、パチンコホールの店員が、通信ユニット33の所定の部位にICタグである店員カードをかざして、通信ユニット33に内蔵された認証用アンテナ(店員カード用アンテナ206)と近接させることによって、監視用ICタグと監視用アンテナとによる監視状態を非報知態様(後述する「認証モード」)に切り替えて、パチンコ機1のメンテナンス作業を実行する際の警報の発生を停止させるとともに、そのメンテナンス作業の間において「作業履歴情報」(後述する)を管理する。さらに、パチンコホールの店員が、携帯用端末(以下、PDAという)を各通信ユニット33,33・・の所定の部位に向けて、通信ユニット33に内蔵された中継用ICタグ(中継タグ76)と無線通信を行うことによって、監視用ICタグと監視用アンテナとによる監視動作に関する監視情報をPDAに取り込むことができる。さらに、遊技者が、通信ユニット33の所定の部位にICタグである遊技者カードを挿入し、通信ユニット33に内蔵された遊技者カード用アンテナと近接させた状態でパチンコ機1で遊技を行うことにより、RW66を介してパチンコ機1の遊技内容に関する情報を入手することができる。
【0017】
(2)監視システムの各要素の構成
[パチンコ機の構成]
図3〜図5は、パチンコ機1を示したものである。パチンコ機1は、その周囲を機枠2によって支持されており、機枠2の前面には、金属板を折り曲げ形成したミドル枠10が、左端縁を軸として着脱自在に蝶着されている。そして、ミドル枠10の前面上側には、略正方形の遊技盤9が設けられているとともに、その遊技盤9を覆うように、ガラス板を嵌め込んだガラス枠4が、左端縁を軸として片開き自在に蝶着されている。
【0018】
また、遊技盤9の盤面には、液晶画面に種々の動画やメッセージ等を表示可能な図柄表示装置14が設けられている。また、図柄表示装置14の下側には、図柄始動口16が設けられており、その図柄始動口16の下側には、扉部材61を開閉させる大入賞装置17が設けられている。さらに、遊技盤9の盤面には、遊技球の落下に変化をもたせるための多数の障害釘や、風車等の遊技部材が設けられている。加えて、遊技盤9の下端際には、入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口5が設けられている。
【0019】
さらに、ガラス枠4の開放側の裏面には、監視用ICタグであるガラス枠タグ40が固着されており、遊技盤9の右上方であってガラス枠4を閉じた際にガラス枠タグ40と対峙する部位には、ガラス枠タグ40との間でRF送受信を行う監視用アンテナであるガラス枠アンテナ41が固着されている。
【0020】
ガラス枠タグ40は、CEM3等のガラスコンポジット基板上に、RF回路、EEPROM等の記憶手段、および送受信回路等を設けたものであり、記憶手段の上書消去禁止区域には、ガラス枠タグ40を他のICタグと識別するための識別情報が記憶されている。
【0021】
一方、ガラス枠アンテナ41は、CEM3等のガラスコンポジットで形成された薄い板状の基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。かかるガラス枠アンテナ41は、ケーブルを介して、設置台203内のRW66に接続されている。
【0022】
ガラス枠タグ40は、ガラス枠アンテナ41との間で、所定の周波数(たとえば、13.56MHz)を利用して、RF(Radio Frequency)送受信を行うことが可能であり、呼出波を受信すると、予め記憶されている識別情報を含む反射波を、所定の通信範囲(約3mm)内に出力(返信)するように設定されている。
【0023】
一方、パチンコ機1の裏面には、合成樹脂製の機構板36が設けられており、その機構板36には、作動内容を制御するための主制御基板37を収納した主制御基板ボックス38、賞品球や貸球を払い出すための遊技球払出装置63等が設置されている。
【0024】
[RWの構成]
図6は、監視制御装置であるRW66の制御機構を示したものである。RW66は、CPU68、RAM69、ROM70、EEPROM71、タイマ72、RF回路73、I/Oインタフェイス74等を有している。そして、RF回路73が、パチンコ機1に設置されたガラス枠アンテナ41のケーブルと接続された状態になっている。なお、EEPROM71には、パチンコ機1のガラス枠タグ40に登録されている識別情報が予め記憶されている。
【0025】
[通信ユニットの構成]
図7は、設置台203の表側に設置された通信ユニット33を示したものである。通信ユニット33は、合成樹脂によって扁平な直方体状に形成された収納ケース34の内部に、中継用ICタグである中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、認証用アンテナである店員カード用アンテナ206を設置したものである。
【0026】
中継タグ76は、アンテナとRF通信するためのRF回路およびアンテナ回路を有している。また、パチンコ機1に設置されたガラス枠タグ40とは異なり、各種の演算を実行するためのCPUを有しているとともに、RF通信とは別にケーブルを介した有線による通信により信号の送受信をするための入出力ポートを有している。かかる中継タグ76は、アンテナ回路を捲回させた面を収納ケース34のフロントパネルの裏側に当接させた状態で固定されており、I/Oケーブル30によってRW66のI/Oインタフェイス74と接続されている。
【0027】
遊技者カード用アンテナ78は、ガラス枠アンテナ41と同様なものであり、ガラスコンポジット製の薄い基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。遊技者カード用アンテナ78は、送受信回路を捲回させた面を、収納ケース34の略中央に鉛直に設けられたカード挿入用スリット35の前板に当接させた状態で接着剤等によって固定されており、アンテナケーブル31aによってRW66のRF回路73に接続されている(図7(c)参照)。
【0028】
店員カード用アンテナ206も、遊技者カード用アンテナやガラス枠アンテナ41と同様なものであり、ガラスコンポジット製の薄い基板の表面に送受信回路を渦巻き状に形成したものである。かかる遊技者カード用アンテナは、送受信回路を捲回させた面を収納ケース34のフロントパネルの裏側に当接させた状態で固定されており、アンテナケーブル31bによってRW66のRF回路73に接続されている(図7(d)参照)。
【0029】
また、通信ユニット33の収納ケース34のフロントパネルには、内蔵された中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、店員カード用アンテナ206の上方に相当する位置に、報知ランプ32a,32b,32cが並設されており、内蔵された中継タグ76、遊技者カード用アンテナ78、店員カード用アンテナ206の位置を示唆した状態になっている。なお、後述するように、報知ランプ32aは、情報出力状態報知手段として機能するものであり、報知ランプ32cは、認証状態報知手段として機能するものである。
【0030】
[管理装置の構成]
図8は、管理装置300の制御機構を示したものである。管理装置300は、CPU292、RAM,ROM,EEPROM等からなる記憶手段291、タイマ297、警告ランプ295、表示器296、通信回路294、I/Oインタフェイス293等を有している。そして、CPU292が、I/Oインタフェイス293を介して警告ランプ295および表示器296と接続された状態になっている。また、CPU292が、I/Oインタフェイス293を介して通信回路294と接続されている。そして、各RW66,66・・は、LANケーブル等の配線を介して、設置台203の警報表示器45を経由して、管理装置300のCPU292に接続された状態になっている。また、記憶手段内291には、図9の如く、後述する各店員カードの「店員カードID」がパチンコホールの店員名と対応付けられた状態で記憶されている。すなわち、パチンコホールの“○○一郎”店員が保持すべきNO.1の店員カードの「店員カードID」としては、“4852・・・79AX”が記憶されており、パチンコホールの“△△二郎”店員が保持すべきNO.2の店員カードの「店員カードID」としては、“6957・・・31HY”が記憶されている。
【0031】
e.携帯用端末の構成
図10は、中継タグ76からパチンコホールの店員が情報を読み取るためのPDAの外観を示す斜視図である。PDA94は、上部に、アンテナおよびRF回路を内蔵したRFモジュール93が設けられており、正面に、受信した「監視履歴情報」等を表示する表示画面95、各種の指令信号を入力するための操作キー96等が備えられている。また、PDA94は、受信した「監視履歴情報」等を記憶するためのフラッシュメモリ(図示せず)や、「監視履歴情報」等のデータの送受信を行うためのI/Oインタフェイス(図示せず)等を備えている。
【0032】
f.遊技者カードおよび店員カードの構成
図11は、店員カードを示したものであり、店員カード249は、送受信回路252、RF回路267およびEEPROM等の記憶手段266を内蔵したICチップ253を合成樹脂によってコーティングしてカード状にしたものである。なお、記憶手段266内には、各店員カード249に固有のIDである「店員カードID」が記憶されている。
【0033】
また、遊技者カードは、店員カード249と同様なものであり、送受信回路、RF回路およびEEPROM等の記憶手段を内蔵したICチップを合成樹脂によってコーティングしてカード状にしたものである。なお、遊技者カードの記憶手段内には、各遊技者カードに固有のIDである「遊技者カードID」が記憶されている。
【0034】
(3)監視システムの動作内容
[パチンコ機の作動内容]
各パチンコ機1,1・・は、主制御基板37に記憶されたプログラムにしたがって、主たる遊技動作を実行する。そして、所定の条件が充足された場合(たとえば、図柄始動口16へ遊技球が入賞した場合)には、主制御基板37において「抽選」を実行し、その「抽選」において「大当たり」となった場合には、予め設定された「大当たり図柄」を図柄表示装置14に表示するとともに、「大当たり状態」を生起させて、大入賞装置17の扉部材61を所定回数だけ断続的に開放させる。また、扉部材61の内部の大入賞口や各種の入賞装置に遊技球が入賞した場合には、遊技球払出装置63の作動によって賞品球として所定数の遊技球を払い出す。
【0035】
[不正行為の監視動作]
図12は、監視システムSにおけるRW66、通信ユニット33、管理装置300等の各要素の制御機構を示すブロック図である。RW66は、パチンコ機1に設置されたガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との間におけるRF送受信を利用して、パチンコ機1においてガラス枠4の監視動作を実行する。すなわち、RW66が、ガラス枠アンテナ41を介して、ガラス枠タグ40へ呼出波を送信すると、ガラス枠タグ40は、直ちに、記憶された「識別情報」を含めた反射波を返信する。RW66は、ガラス枠アンテナ41によって、その反射波を受信すると、ガラス枠タグ40からの反射波に含まれる「識別情報」が、EEPROM71に予め記憶されているものと一致するか否かを判断し、記憶されたものと同一であると確認した場合には、再度、直ちに呼出波を送信する。しかしながら、呼出波を送信してから所定時間(たとえば、50ms)内に反射波を受信しなかった場合や、ガラス枠タグ40からの反射波に含まれる「識別情報」が、予めEEPROM71に登録されているものと一致しなかった場合には、異常である(ガラス枠40が不正に開放された可能性がある)と判断し、反射波を受信した時刻等を「異常検知情報」としてEEPROM71に記憶するとともに、後述する「認証モード」で監視動作を実行している場合を除いて「異常信号」を外部へ出力する。
【0036】
RW66は、上記の如き監視動作を、短時間(約数十ms)の周期で24時間繰り返し実行する。なお、ガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とは、間隔が約3mm以内となっている場合にのみRF送受信ができるように設定されている。したがって、ほんの少しの時間、わずかにガラス枠4が開放されたとしても、異常であると判断される。
【0037】
警報表示器45は、RW66が出力した「異常信号」を受信すると、表示器46に所定のメッセージを表示するとともに、警報ランプ47を所定の態様で発光させる。かかる警報ランプ47の発光によって、パチンコホールの店員の注意が促されることになる。また、警報表示器45は、RW66が出力した「異常信号」を受信すると、管理装置300へ「異常信号」を送信する。管理装置300は、警報表示器45から送信された「異常信号」を受信すると、その受信時刻や発信元の「識別記号」(パチンコ機1の機台番号)を、「異常検知情報」として表示器296に表示する。
【0038】
[店員作業時における認証および作業履歴管理動作]
店員カード249が通信ユニット33の店員カード用アンテナ206に近づけられると、店員カード用アンテナ206と店員カード249との間のRF送受信が可能となる。そして、RW66のCPU68の指令により、店員カード用アンテナ206から呼出波を送信すると、その呼出波を受信した店員カード249は、その店員カード240に固有の「店員カードID」を含む射波波を店員カード用アンテナ206に送信する(なお、店員カード用アンテナ206は、常時、呼出波を送信している)。送信された反射波は、店員カード用アンテナ206からRW66へ伝達される。
【0039】
RW66は、管理装置300と同様に、各店員カード249,249・・に記憶された「店員カードID」を、有効なすべての店員カード249,249・・の種類別(番号別)に、RAM69内に記憶している(図9参照)。店員カード249からの反射波を受信したRW66は、その反射波に含められた「店員カードID」が、RAM69内に記憶されたものであるかどうかを判断する。
【0040】
そして、RW66は、店員カード249から受信した反射波に含められた「店員カードID」がEEPROM71内に記憶されたものであると判断した場合には、それ以降、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とが送受信不能になったとしても、警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」を送信しないように制御する。そのように制御することによって、パチンコホールの店員がメンテナンス作業等のためにパチンコ機1のガラス枠4を開放した場合に、警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」が送信される事態を回避して、不要な警報を行わないようにすることができる。
【0041】
また、RW66は、店員カード249から送信された反射波に含められた「店員カードID」がEEPROM71内に記憶されたものであると判断した場合には、その反射波を受信した時刻および「店員カードID」を、「アクセス履歴情報」としてEEPROM71に記憶する。かかる動作によって、何時にどの店員カード249によって「店員カードID」の照合があったかを把握することが可能となる。なお、このような「店員カードID」の照合があった場合におけるRW66、警報表示器45、および管理装置300によるパチンコ機1の監視態様を「認証モード」といい、それ以外のときの監視態様を「通常モード」という。また、監視態様が「認証モード」になっている間は、通信ユニット33に設けられている認証状態報知手段である報知ランプ32cが点灯する。
【0042】
さらに、RW66は、監視態様を「認証モード」に切り替えた後、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との送受信が切断された場合には、その切断された時刻を、認証された「店員カードID」と対応させて「作業履歴情報」としてEEPROM71に記憶するとともに、その「作業履歴情報」を管理装置300へ送信する。RW66から「作業履歴情報」を受信した管理装置300は、それらの「作業履歴情報」を、パチンコ機1の機台別に、記憶手段291内に記憶させる。
【0043】
なお、監視態様を「認証モード」に切り替えた後、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41との送受信が復旧した場合(すなわち、メンテナンス作業等の後にガラス枠4が閉じられてから所定の時間だけ継続して正常な送受信が行われた場合)には、監視態様を再び「通常モード」に切り替えて、それ以降、パチンコ機1のガラス枠タグ40とガラス枠アンテナ41とが送受信不能になった場合に警報表示器45および管理装置300へ「異常信号」を送信するように制御する。
【0044】
[監視履歴情報の提供動作]
一方、監視システムSにおいては、PDA94を用いて、RW66のEEPROM71に記憶された「監視履歴情報」を、中継タグ76を介して取り出し、外部で管理することができる。すなわち、PDA94のRFモジュール93が、通信ユニット33の中継タグ76の方へ向けられると、PDA94と中継タグ76とがRF送受信可能な状態となる。そして、その状態で、操作キー96を操作することによって、新しい「監視履歴情報」を取り寄せるために「監視履歴送信要求信号」を含む呼出波を送信したり、不要になった「監視履歴情報」を消去するために取り寄せるために「監視履歴クリア信号」を含む呼出波を送信したりすることができる。
【0045】
PDA94から送信された呼出波が「監視履歴送信要求信号」を含む場合には、中継タグ76は、RW66のEEPROM71に記憶されている「監視履歴情報」を読み出して、その「監視履歴情報」を反射波にのせてPDA94へと返信する。中継タグ76から「監視履歴情報」を含む反射波が返信されると、PDA94の表示画面95に、その「監視履歴情報」が表示される。
【0046】
一方、PDA94から送信された呼出波が「監視履歴クリア信号」を含む場合には、中継タグ76からその呼出波がRW66に送信されると、RW66のEEPROM71に記憶されている「監視履歴情報」がクリアされる。RW66のEEPROM71内の「監視履歴情報」がクリアされると、その旨が中継タグ76を介してPDA94へと送信され、PDA94の表示画面95に、その「監視履歴情報」をクリアした旨が表示される。なお、PDA94が、上記の如く、中継タグ76と信号の送受信をしている間は、通信ユニット33に設けられている情報出力状態報知手段である報知ランプ32aが点灯する。そのようにPDAを使用することにより、各パチンコ機1,1・・の付近で、個々のパチンコ機1に関する監視情報を入手することができるので、パチンコホールの店員は、入手した監視情報に基づいて迅速に対処することができる。
【0047】
[遊技情報の提供動作]
一方、監視システムSにおいては、パチンコ機1の遊技者は、遊技者カード80を利用して、パチンコ機1の遊技内容に関する情報を取り出すことができる。すなわち、遊技者カード80が、通信ユニット33のカード挿入用スリット35に挿入されると、遊技者カード80と遊技者カード用アンテナ78とがRF送受信可能な状態となる。
【0048】
そして、RW66のCPU68の指令により、遊技者カード用アンテナ78から呼出波を送信すると、その呼出波を受信した遊技者カードは、その遊技者カードに固有の「遊技者カードID」を含む射波波を遊技者カード用アンテナ78に送信する(なお、遊技者カード用アンテナ78は、常時、呼出波を送信している)。送信された反射波は、遊技者カード用アンテナ78からRW66へ伝達される。
【0049】
遊技者カード80からの反射波を受信したRW66は、それ以降、パチンコ機1の主制御基板37から受信している遊技情報に基づいて、遊技者カード80の記憶手段(EEP−ROM等)への遊技情報(たとえば、「大当たり回数」、「スタート回数」、「消費遊技球数」)の書き込みを実行する。そして、所定のタイミングで(たとえば、5秒毎)、それらの遊技情報を更新する。なお、遊技者カード80の記憶手段に記憶されている最新の遊技情報は、パチンコホールに設けられた図示しないデータ提供装置によって任意のタイミングで確認することができる。また、その遊技情報の経時変化も、データ提供装置によって任意のタイミングで確認することができる。
【0050】
(4)監視システムの効果
監視システムSは、上記の如く、認証用アンテナである店員カード用アンテナ206と中継用ICタグである中継タグ76とを内蔵した通信ユニット33が、パチンコ機1とは別の位置に設置されるものである。したがって、監視システムSによれば、パチンコ機1,1・・に対する不正行為を効率的に防止することができるのみならず、パチンコホールに設置された既存のパチンコ機に改造等を施すことなく、非常に容易に不正監視システムを導入することが可能となる。すなわち、通信ユニット33という単一の装置内に店員カード用アンテナ206と中継タグ76とが内蔵されているため、店員カード用アンテナ206のための配線と中継タグ76のための配線とを設置台203に別々に設ける必要がないので、非常に効率的に不正監視システムSを導入することが可能となる。
【0051】
また、監視システムSは、認証状態報知手段である報知ランプ32cが通信ユニット33に設置されているため、監視状態が「認証モード」になっている場合には、報知ランプ32cによりその旨が報知されるため、パチンコホールの店員がパチンコ機1,1・・のメンテナンス作業等をする際に、「認証モード」となっていることを確認した上で作業を行うことができるので、誤警報を発生させる事態を高い精度で防止することができる。また、パチンコホール店員以外の者が店員カード249を悪用して、監視状態を「認証モード」に切り替える事態を防止することができる。
【0052】
さらに、監視システムSは、情報出力状態報知手段である報知ランプ32aが通信ユニット33に設置されているため、中継用ICタグである中継タグ76が「監視履歴情報」を外部に出力している場合には、報知ランプ32aによりその旨が報知されるので、パチンコホール店員以外の者がPDA94を悪用して、「監視履歴情報」を入手したり改竄したりする事態を防止することができる。
【0053】
(5)実施例の監視システムの変更例
なお、本発明の監視システムの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、遊技機、監視制御装置(RW)、認証用アンテナ、認証用ICタグ、監視用ICタグ、監視用アンテナ、中継用ICタグ、携帯用端末、通信ユニット、警報表示器、管理装置等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0054】
たとえば、監視システムは、パチンコ機の前面に開閉自在に取り付けられたガラス枠にICタグとアンテナとを設けたものに限定されず、パチンコ機の周囲を覆う機枠や、パチンコ機の主制御基板ボックスの収納ケース、あるいは大入賞装置の扉部材等の部位に監視用ICタグと監視用アンテナとを設けたものでも良い。
【0055】
また、通信ユニットは、上記実施形態の如く、中継用ICタグ、遊技者カード用アンテナ、認証用アンテナを内蔵したものに限定されず、中継用ICタグと認証用アンテナのみを内蔵したものでも良い。なお、通信ユニットを、中継用ICタグ、遊技者カード用アンテナ、認証用アンテナを内蔵したものとした場合には、通信ユニットの利便性が一層向上する、というメリットがある。
【0056】
一方、監視システムは、パチンコ機の主制御基板と監視制御装置と警報表示器と管理装置とを有線によって接続したものに限定されず、それらの装置を無線によって接続したものに変更することも可能である。また、監視システムは、インターネット等の回線を通じてパチンコホールの外部に監視履歴情報を送信するもの等でも良い。さらに、監視システムは、監視制御装置を介してパチンコ機の主制御基板と警報表示器あるいは管理装置とを接続したものに限定されず、パチンコ機の主制御基板を直接に警報表示器あるいは管理装置と接続したものに変更することも可能である。加えて、監視システムは、必ずしも警報表示器を有するものに限定されず、パチンコ機の主制御基板あるいは監視制御装置を管理装置に直接的に接続したものでも良い。
【0057】
なお、本発明の監視システムは、上記実施形態の如くパチンコ機を監視するものに限定されず、スロットマシーン、スロットマシーン型パチンコ機等の他の遊技機を監視するものに変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の遊技機用監視システムは、各種の遊技機用の監視システムとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】監視システムの概要を示すブロック図である。
【図2】監視システムを導入したパチンコホールの外観を示す説明図である。
【図3】パチンコ機の正面図である。
【図4】ガラス枠およびミドル枠を開放したパチンコ機の前方斜視図である。
【図5】パチンコ機の背面図である。
【図6】RWの制御機構を示すブロック図である。
【図7】(a)は通信ユニットの前方斜視図であり、(b)は通信ユニットの正面図であり、(c)は(b)におけるA−A線断面を示す説明図であり、(d)は(b)におけるB−B線断面を示す説明図である。
【図8】管理装置の制御機構を示すブロック図である。
【図9】管理装置に「店員カードID」が記憶されている状態を示す説明図である。
【図10】PDAの前方斜視図である。
【図11】店員カードの制御機構を示すブロック図である。
【図12】監視システムの各要素の制御機構を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・パチンコ機、32a・・報知ランプ(情報出力状態報知手段)、32c・・報知ランプ(認証状態報知手段)、33・・通信ユニット、40・・ガラス枠タグ(監視用ICタグ)、41・・ガラス枠アンテナ(監視用アンテナ)、66・・RW(監視制御装置)、76・・中継タグ(中継用ICタグ)、94・・PDA(携帯用端末)、206・・店員カード用アンテナ(認証用アンテナ)、300・・管理装置、S・・監視システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に設置された監視用ICタグと、
監視用アンテナを介して前記監視用ICタグと無線通信を実行する監視制御装置と、
所定のID情報を記憶した認証用ICタグと、
その認証用ICタグとの無線通信を行って前記認証用ICタグから前記ID情報を読み取る認証用アンテナと、
前記認証用ICタグのID情報が予め記憶されている管理装置と、
前記監視制御装置から送信された監視履歴情報を記憶する中継用ICタグと、
中継用アンテナを介して前記中継用ICタグから前記監視履歴情報を読み取る携帯用端末とを有しており、
前記監視制御装置が、前記監視用アンテナを介して、前記遊技機に設置された前記監視用ICタグとの間の無線通信を周期的に繰り返し実行し、その無線通信状態が変化した場合に、第一監視情報を外部に出力するとともに、
前記認証用アンテナが前記認証用ICタグから読み取ったID情報が、予め管理装置内に記憶されているID情報と一致した条件の下では、前記監視用アンテナと前記監視用ICタグとの間の無線通信状態が変化した場合に、前記監視制御装置が前記第一検知情報とは異なる第二監視情報を外部に出力する一方、
前記中継用ICタグが、前記携帯用端末と無線通信することにより、前記監視履歴情報を外部に出力する遊技機用監視システムであって、
前記認証用アンテナと前記中継用ICタグとを内蔵した通信ユニットが、前記遊技機とは別の位置に設置されていることを特徴とする遊技機用監視システム。
【請求項2】
監視制御装置が第二監視情報を外部に出力していることを報知するための認証状態報知手段が通信ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用監視システム。
【請求項3】
中継用ICタグが監視履歴情報を外部に出力していることを報知するための情報出力状態報知手段が通信ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の遊技機用監視システム。
【請求項1】
遊技機に設置された監視用ICタグと、
監視用アンテナを介して前記監視用ICタグと無線通信を実行する監視制御装置と、
所定のID情報を記憶した認証用ICタグと、
その認証用ICタグとの無線通信を行って前記認証用ICタグから前記ID情報を読み取る認証用アンテナと、
前記認証用ICタグのID情報が予め記憶されている管理装置と、
前記監視制御装置から送信された監視履歴情報を記憶する中継用ICタグと、
中継用アンテナを介して前記中継用ICタグから前記監視履歴情報を読み取る携帯用端末とを有しており、
前記監視制御装置が、前記監視用アンテナを介して、前記遊技機に設置された前記監視用ICタグとの間の無線通信を周期的に繰り返し実行し、その無線通信状態が変化した場合に、第一監視情報を外部に出力するとともに、
前記認証用アンテナが前記認証用ICタグから読み取ったID情報が、予め管理装置内に記憶されているID情報と一致した条件の下では、前記監視用アンテナと前記監視用ICタグとの間の無線通信状態が変化した場合に、前記監視制御装置が前記第一検知情報とは異なる第二監視情報を外部に出力する一方、
前記中継用ICタグが、前記携帯用端末と無線通信することにより、前記監視履歴情報を外部に出力する遊技機用監視システムであって、
前記認証用アンテナと前記中継用ICタグとを内蔵した通信ユニットが、前記遊技機とは別の位置に設置されていることを特徴とする遊技機用監視システム。
【請求項2】
監視制御装置が第二監視情報を外部に出力していることを報知するための認証状態報知手段が通信ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用監視システム。
【請求項3】
中継用ICタグが監視履歴情報を外部に出力していることを報知するための情報出力状態報知手段が通信ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の遊技機用監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−55357(P2006−55357A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239965(P2004−239965)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]