説明

遊技機

【課題】複数種類の識別情報を変動表示可能な表示手段を備えたパチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図る。
【解決手段】パチンコ機1には遊技盤が設けられている。遊技盤には作動口、大入賞口等が設けられるとともに、その中央部には表示部を備えた特別図柄表示装置が組込まれている。表示部では複数種類の識別図柄が複数の図柄表示領域において変動表示される。そして、これらの識別図柄が特定の組合せで停止した場合には、大当たり状態が付与される。その後、大当たり図柄を表示したまま、大当たり図柄が停止表示されていない図柄表示領域において、確変モードが付与されるか否かに関する抽選表示が行われる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数種類の識別情報を変動表示可能な表示手段を備えた遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、遊技機の一種として、複数の図柄表示領域を設けると共に、各図柄表示領域において複数種類の識別図柄を変動表示可能な表示装置等の表示手段を備えたパチンコ機が知られている。
【0003】この種のパチンコ機では、停止表示された識別図柄の組合せ(停止図柄の組合せ)に応じて、様々な遊技状態が導出されるようになっている。例えば、複数の識別図柄が特定の組み合わせで停止表示された場合に、遊技者に有利な特別遊技価値いわゆる大当たり状態が付与されるようになっている。ここで、特定の組合せで最終的に停止表示される識別図柄を大当たり図柄という。そして、大当たり状態が付与されると、大入賞口が開放されること等によって、遊技者は大量の景品球を獲得することが可能となる。
【0004】さて、最近では、高確率モード(以下、確変モードという)の設定されてなるパチンコ機が知られるようになってきている。当該確変モードというのは、大当たり状態終了後の遊技に際し、大当たり状態の付与される確率が高められるものである。確変モードが付与されるか否かは、大当たり図柄の種類に応じて決定されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、表示演出の演出効果を高めるために、一旦、特定の組合せで停止表示された識別図柄を再び変動表示させることにより、大当たり図柄の種類を変更するいわゆる再抽選演出を行うものも見受けられる。
【0006】ところが、上記再抽選演出では、一旦停止表示されたすべての識別図柄が再び変動表示されるため、遊技者は、大当たり状態が付与されたのかどうか判断しづらかった。かかる意味で、遊技者にとっての興趣の向上が妨げられるおそれがあった。
【0007】本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数種類の識別情報を変動表示可能な表示装置等の表示手段を備えた遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等についても説明する。
【0009】手段1.複数種類の識別情報を複数の情報表示領域において変動表示可能な表示手段を備え、前記表示手段の表示部において、所定数の前記情報表示領域が列状に配列された表示領域列が複数列表示されるよう構成され、少なくとも1つの前記表示領域列において、前記識別情報が特定の組合せで停止表示された場合には、遊技者に有利な特別遊技価値が付与され、特定条件が成立した場合には、前記特別遊技価値が付与された後段階において所定の付加価値が付与されるような構成であって、前記識別情報が前記特定の組合せで停止表示された後段階に、該特定の組合せが成立している前記表示領域列以外の前記情報表示領域のうちの少なくとも1つにおいて、前記付加価値が付与されるか否かに関する抽選表示を行うことを特徴とする遊技機。
【0010】上記手段1によれば、所定数の情報表示領域が列状に配列された表示領域列が複数列表示され、少なくとも1つの表示領域列において、識別情報が特定の組合せで停止表示された場合には、遊技者に有利な特別遊技価値が付与される。また、特定条件が成立した場合には、特別遊技価値が付与された後段階において所定の付加価値が付与されるように構成されている。本手段では、識別情報が特定の組合せで停止表示された後段階に、該特定の組合せが成立している表示領域列以外の情報表示領域のうちの少なくとも1つにおいて、付加価値が付与されるか否かに関する抽選表示が行われる。このようにすれば、特定の組合せで停止表示された識別図柄を再び変動表示することなく、付加価値が付与されるか否かに関する抽選表示を行うことができる。結果として、遊技者は、特別遊技価値が付与されたことを確認しつつ、前記抽選表示を楽しむことができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。なお、上記「列状」に代えて、「略直線状に」としてもよい。
【0011】手段2.手段1において、前記特定の組合せで停止表示された識別情報を停止表示したまま、前記抽選表示を行うことを特徴とする遊技機。
【0012】上記手段2によれば、特定の組合せで停止表示された識別情報を表示したままにすることによって、より明確に遊技者に特別遊技価値が付与されたことを示しつつ、前記抽選表示を行うことができる。
【0013】手段3.手段1又は手段2において、前記特定の組合せは、前記識別情報の同種の組合せであって、前記抽選表示は、前記識別情報の変動表示であって、前記抽選表示が行われる情報表示領域において停止表示される識別情報が、前記特定の組合せを構成する識別情報と同種の識別情報であることにより、前記特定条件が成立し、前記付加価値の付与が確定することを特徴とする遊技機。
【0014】上記手段3によれば、前記抽選表示として識別情報の変動表示が行われ、その情報表示領域に前記特定の組合せで停止表示された識別情報と同種の識別情報が停止表示された場合には、前記特定条件が成立し、付加価値の付与が確定する。つまり、特定の組合せで停止表示される識別情報やその停止態様、又は、その停止態様を導出する前段階の表示演出等と、より明確に関連した前記抽選表示を行うことができるため、表示演出全体に繋がりを持たせ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0015】手段4.手段3において、前記抽選表示は、一旦停止表示された前記識別情報を再び変動表示させることにより行われるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0016】上記手段4によれば、前記抽選表示として、停止表示された識別情報を再び変動表示させる。結果として、表示演出が多様化され、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0017】手段5.手段3又は手段4において、前記抽選表示が、前記識別情報が特定の組合せで停止表示された表示領域列以外で、前記特定の組合せを構成する識別情報と同種の識別情報が停止表示されていない全ての前記情報表示領域において行われるよう構成され、前記表示部における全ての前記情報表示領域において、同種の前記識別情報が停止表示されることにより、前記特定条件が成立するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0018】上記手段5によれば、前記抽選表示が、前記識別情報が特定の組合せで停止表示された表示領域列以外で、特定の組合せを構成する識別情報と同種の識別情報が停止表示されていない全ての情報表示領域において行われるよう構成されている。そして、前記表示部における全ての情報表示領域において、同種の識別情報が停止表示されることにより、前記特定条件が成立し、付加価値の付与が確定する。つまり、停止表示された識別情報の種類によらず、全ての情報表示領域に停止表示される識別情報の全体的な停止態様によって、付加価値の付与の有無が決定される。このような、付加価値の付与の抽選演出は、遊技者にとって新鮮で面白味のある表示演出になり、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0019】手段6.手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記各情報表示領域における前記識別情報の変動表示は、前記複数種類の識別情報が所定順序で配列された情報配列に基づいて行われるよう構成され、少なくとも同じ前記表示領域列に含まれない複数の異なる前記情報表示領域において、前記識別情報の変動表示が所定の前記情報配列に基づいて関連するように行われるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0020】上記手段6によれば、複数の異なる情報表示領域における識別情報の変動表示が、所定の情報配列に基づいて関連するように行われることにより、複数の情報表示領域における変動表示制御の簡素化を図ることができる。
【0021】手段7.手段6において、前記情報配列には、同種の前記識別情報が連続して配列された部分が含まれるよう構成され、前記識別情報の変動表示が関連するように行われる複数の情報表示領域において、同種の前記識別情報が同時期に停止表示されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0022】上記手段7によれば、前記情報配列に、同種の識別情報が連続して配列された部分が含まれることによって、複数の異なる情報表示領域における識別情報の変動表示が所定の情報配列に基づいて関連するように行われたとしても、前記複数の情報表示領域において同時期に同種の識別情報を停止表示させることが可能となる。結果として、変動表示制御の簡素化を図るとともに、識別情報の停止態様を多様化し、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0023】手段8.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記複数の表示領域列は、所定の情報表示領域を共有して交差した構成となっていることを特徴とする遊技機。
【0024】上記手段8によれば、複数の表示領域列は、所定の情報表示領域を共有して交差した構成となっているため、各表示領域列の共有部分や非共有部分を利用した多彩な表示演出を行うことができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0025】手段9.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記複数の表示領域列は、前記所定数の情報表示領域が前記表示部に対して縦方向に配列された縦表示領域列と、前記所定数の情報表示領域が前記表示部に対して横方向に配列された横表示領域列とにより構成され、前記縦表示領域列と横表示領域列とが所定の前記情報表示領域を共有して十字形に交差した構成となっていることを特徴とする遊技機。
【0026】上記手段9によれば、複数の表示領域列は、所定数の情報表示領域が表示部に対して縦方向に配列された縦表示領域列と、横方向に配列された横表示領域列とにより構成されている。また、縦表示領域列と横表示領域列とが所定の情報表示領域を共有して十字形に交差した構成となっている。各表示領域列の共有部分や非共有部分を利用した多彩な表示演出を行うことができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0027】手段10.手段8又は手段9において、少なくとも前記共有される所定の情報表示領域において前記識別情報が変動中の一時期において、前記識別情報が特定の組合せで停止表示される前段階には、少なくとも1つの前記表示領域列において、同種かつ複数の前記識別情報が仮想的なラインを形成させるように並んで停止表示されることを条件として特定表示態様が成立するよう構成され、前記交差した複数の表示領域列に、それぞれ前記同種かつ複数の識別情報が並んで停止表示されることにより、前記仮想的なラインが複数本形成されるような前記特定表示態様が成立するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0028】上記手段10によれば、前記仮想的なラインが複数本形成された特定表示態様が成立することで、特別遊技価値の付与される表示上の確率がさらに高まるような演出効果がもたらされる。なお、前記特定表示態様は、「識別情報が前記特定の組合せで停止表示される前段階にあたる」ものであって、必ずしもその後「識別情報が前記特定の組合せで停止表示され」なくともよい。前記特定表示態様は、いわゆるリーチ態様を含むものであり、前記仮想的なラインはリーチラインを含むものである。
【0029】手段11.手段1乃至手段10のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であること。中でも、パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示手段における識別情報の変動が開始すること、又、特別遊技価値としての特別遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込む等も含む)が付与されること等が挙げられる。上記パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0030】手段12.手段1乃至手段10のいずれかにおいて、遊技機はスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を停止表示する表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、停止表示された識別情報の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0031】手段13.手段1乃至手段10のいずれかにおいて、遊技機は少なくとも複数種類の表示手段を備えたスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の第1の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に前記第1の識別情報を停止表示する第1の表示手段と、少なくとも前記第1の識別情報とは異なる複数の第2の識別情報を遊技状態に応じて可変表示可能とする第2の表示手段と、少なくとも始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して前記第1の識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより前記第1の識別情報の変動が停止され、停止表示された識別情報の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。なお、このスロットマシンでは、手段1乃至手段10のいずれかにおいて行われる表示制御を主として第2の表示手段において行うような構成となっている。すなわち、ここにいう第2の表示手段が手段1乃至手段10のいずれかの表示手段に相当し、ここにいう第2の識別情報が手段1乃至手段10のいずれかの識別情報に相当する。
【0032】手段14.手段13において、少なくとも前記第1の表示手段において、前記第1の識別情報が特定の組合せとなって停止表示される前段階において、前記第2の表示手段において、少なくとも前記第2の識別情報が特定の組合せで停止表示されることにより、前記特別遊技価値が付与されるようにしたことを特徴とするスロットマシン。
【0033】上記手段14によれば、第1の表示手段及び第2の表示手段において、それぞれの識別情報がそれぞれ特定の組合せで停止表示される。このため、遊技内容に厚みができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0034】手段15.手段1乃至手段10のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を停止表示する表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、停止表示された識別情報の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技価値が付与された際には多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0035】手段16.手段1乃至手段10のいずれかにおいて、遊技機は少なくとも複数種類の表示手段を備えたパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の第1の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に前記第1の識別情報を停止表示する第1の表示手段を備え、少なくとも前記第1の識別情報とは異なる複数の第2の識別情報を遊技状態に応じて可変表示可能とする第2の表示手段と、少なくとも始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して前記第1の識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより前記第1の識別情報の変動が停止され、停止表示された識別情報の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記第1の識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技価値が付与された際には多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。なお、前記融合させた遊技機では、手段1乃至手段10のいずれかにおいて行われる表示制御を主として第2の表示手段において行うような構成となっている。すなわち、ここにいう第2の表示手段が手段1乃至手段10のいずれかの表示手段に相当し、ここにいう第2の識別情報が手段1乃至手段10のいずれかの識別情報に相当する。
【0036】手段17.手段16において、少なくとも前記第1の表示手段において、前記第1の識別情報が特定の組合せとなって停止表示される前段階において、前記第2の表示手段において、少なくとも前記第2の識別情報が特定の組合せで停止表示されることにより、前記特別遊技価値が付与されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0037】上記手段17によれば、第1の表示手段及び第2の表示手段において、それぞれの識別情報がそれぞれ特定の組合せで停止表示される。このため、遊技内容に厚みができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】図1に示すように、パチンコ機1は、外枠2と、その前部に設けられた前面枠3とを備えている。前面枠3は外枠2の一側部にて開閉可能に装着されている。前面枠3の前面側には、一側部にて開閉可能に装着されたガラス扉枠4と、ガラス扉枠4の下側において遊技球B(図2参照)を貯留するための上皿5及び下皿6とが設けられている。
【0040】前面枠3の前面側の下皿6側方には操作手段としてのハンドル7が設けられており、ハンドル7は図示しない遊技球発射装置に連結されている。
【0041】前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤8(図2参照)が着脱可能に装着されている。遊技球発射装置は、遊技者がハンドル7を回転させることにより、遊技盤8の上部に向けて遊技球Bを発射可能とするものである。
【0042】前面枠3内部(上皿5の側方)には、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態等を音声にて報知するためのスピーカ9が埋設されている。
【0043】図2に示すように、遊技盤8の一側部には、遊技球発射装置によって発射された遊技球Bを遊技盤8の上部に案内する内レール10a及び外レール10bが設けられている。
【0044】遊技盤8の下部には、作動口11及び大入賞口12が設けられている。作動口11は遊技球B用の通路を備え、その通路入口には羽根13が開閉可能に支持されている。大入賞口12の奥にはシーソー14が設けられているとともに、シーソー14の側部においてVゾーン15及び入賞通路16が設けられている。
【0045】大入賞口12の前部には、大入賞口12を開閉するシャッタ17が設けられている。シャッタ17は大入賞口12の側部に設けられた大入賞口用ソレノイド18により作動する。詳しくは、大入賞口ソレノイド18が励磁状態となると、シャッタ17が略水平状態となり大入賞口12が開かれる。また、大入賞口ソレノイド18が非励磁状態となると、シャッタ17が略垂直状態となり大入賞口12が閉鎖される。
【0046】大入賞口12の一側部には、シーソー用ソレノイド19が設けられている。通常、シーソー用ソレノイド19は非励磁状態となっている。このとき、シーソー14はVゾーン15の方へ傾いた状態となっている。また、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となると、シーソー14は入賞通路16の方へ傾いた状態となる。つまり、遊技球Bが大入賞口12に入賞した場合、遊技球Bはシーソー14の傾きにより、Vゾーン15又は入賞通路16のどちらか一方へ導かれるようになっている。なお、本実施の形態では、シャッタ17の開状態において、遊技球Bが1つでもVゾーン15を通過すると、シーソー用ソレノイド19が励磁状態となる。そして、シャッタ17が閉じられると再び非励磁状態にもどるように構成されている。
【0047】遊技盤8の中央部には、表示手段としての特別図柄表示装置20が組込まれている。特別図柄表示装置20は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部20aを備えており、識別情報としての識別図柄や、情報表示領域としての図柄表示領域等を表示可能とする。
【0048】本実施の形態では、表示部20aに5つの図柄表示領域が表示され、各図柄表示領域において複数種類の識別図柄が変動表示される。5つの図柄表示領域は、十字形に配列された上図柄表示領域D1、左図柄表示領域D2、下図柄表示領域D3、右図柄表示領域D4及び中図柄表示領域D5によって構成されている。
【0049】そして、各図柄表示領域D1〜D5に停止表示される識別図柄の組合せによって、各種遊技状態が導出される。各種遊技状態としては、大当たり状態、リーチ状態、外れ状態等が例として挙げられる。なお、大当たり状態は、本実施の形態における特別遊技価値、特別遊技状態に相当する。
【0050】ここで、大当たり状態とは、遊技者に比較的不利な状態である通常遊技状態(遊技球Bが徐減する状態)から所定条件が成立することに基づいて発生する遊技者に有利な状態をいう。本実施の形態では、複数の識別図柄が特定の組合せで停止表示されることにより、大当たり状態の発生が確定する(特別遊技価値が付与される)ようになっている。なお、大当たり状態が導出される際に停止表示される識別図柄を大当たり図柄という。
【0051】リーチ状態とは、大当たり状態に至る過程にある一状態をいい、表示部20aにおいて、複数の識別図柄が特定の組合せで停止表示される前段階にあたる特定表示態様としてのリーチ態様が成立した状態を指す。また、識別図柄の変動表示とともに、種々のリーチ演出に代表される様々な表示演出も行われるようになっている。
【0052】なお、識別図柄の変動表示は、遊技球Bが作動口11へ入賞することに基づいて行われるようになっている。但し、変動表示中に遊技球Bが新たに作動口11に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われるようになっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。
【0053】表示部20aの上方には、前述したような識別図柄の変動表示の保留回数を示す保留ランプ24a,24b,24c,24dが組み込まれている。保留ランプ24a〜24dは、変動表示の保留毎に点灯し、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯するようになっている。
【0054】特別図柄表示装置20上部には、普通図柄表示装置31が併設されている。普通図柄表示装置31は、保留ランプ32と、7セグ表示部33とを有している。また、特別図柄表示装置20の左右両側方には、一対の通過ゲート34が配設されている。遊技球Bが通過ゲート34を通過すると普通図柄表示装置31が作動するようになっている。普通図柄表示装置31は、7セグ表示部33において「0」から「9」までの数字を可変表示する。その数字が所定値で停止した場合には、作動口11の羽根13が所定秒数開放する。普通図柄表示装置31は、遊技球Bの通過ゲート34の通過回数を記憶することができ、保留ランプ32でその保留数を表示する。従って、すべての保留ランプ32が点灯している状態では、遊技球Bが通過ゲート34を通過してもカウントされない。また、保留ランプ32が点灯している限り、遊技球Bが通過ゲート34を通過しなくとも保留数に応じた回数だけ普通図柄表示装置31は作動する。
【0055】また、遊技盤8には、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するための各種スイッチが設けられている。例えば、本実施の形態においては、スルースイッチ40、作動口用スイッチ41、Vゾーン用スイッチ42及びカウントスイッチ43が設けられている。ここで、スルースイッチ40は、遊技球Bが通過ゲート34を通過したことを検出するものである。作動口用スイッチ41は、遊技球Bが作動口11へ入賞したことを検出するものである。Vゾーン用スイッチ42は、遊技球Bが大入賞口12内のVゾーン15へ入賞したこと検出するものである。カウントスイッチ43は、遊技球Bが大入賞口12へ入賞したことを検出するものである。
【0056】また、パチンコ機1各部には、遊技効果を高めるための図示しない各種演出用ランプや電飾部材等が取付けられている。これらの演出用ランプや電飾部材等(以下単に「ランプ」と称する)は、遊技の進行に応じて点灯状態(消灯、点灯、点滅等)が変えられる。なお、これらランプは、ランプ制御基板120(図3参照)により制御される。
【0057】次に、パチンコ機1の裏側に装着された各種制御装置(制御基板)について図3を参照しつつ説明する。図3は、各制御装置の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機1の裏側には、遊技価値付与手段としての主制御装置(主基板)50、表示制御基板110、ランプ制御基板120、音声制御基板130、発射制御基板140等の各種制御基板が設けられている。但し、表示制御基板110は特別図柄表示装置20内に組み込まれている。
【0058】主基板50は、各スイッチ40〜43の検出結果に基づいて、各ソレノイド18,19、特別図柄表示装置20、各保留ランプ24a〜24d、普通図柄表示装置31、羽根13等を駆動制御するものである。表示制御基板110は、特別図柄表示装置20における表示制御を行うものである。ランプ制御基板120はランプ等を制御するものである。音声制御基板130はスピーカ9等を制御するものである。発射制御基板140は前記遊技球発射装置を制御するものである。
【0059】主基板50は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMには所定の制御プログラムや初期データが予め記憶されており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。CPUによる演算結果はRAMに一時的に記憶される。
【0060】また、主基板50には各種カウンタが設定されている。具体的には、大当たり状態を決定する内部乱数カウンタ、大当たり図柄を決定する大当たり図柄乱数カウンタ、各図柄表示領域D1〜D5における停止図柄等を決定するための各図柄乱数カウンタ、及びリーチパターンを決定するためのリーチ種別決定乱数カウンタ等の各種乱数カウンタが設定されている。また、後述するような大当たり中のラウンド回数をカウントするラウンドカウンタ、大入賞口12への遊技球Bの入賞個数をカウントする入賞カウンタ、変動表示の保留回数をカウントする保留カウンタ等の各種計数カウンタが設定されている。
【0061】上記各乱数カウンタは、それぞれ所定時間(例えば「2ms」)毎に値を所定範囲内で更新される。各カウンタの各値は所定の条件に従って乱数として読み出され、各カウンタに対応した乱数バッファに格納されるようになっている。例えば、作動口11に入賞した遊技球Bが作動口用スイッチ41によって検出されたとき、読み出された内部乱数カウンタの値が特定値であれば大当たり状態の発生が決定される。また、各カウンタにおいて、カウンタの値がそれぞれ特定の値になった場合には初期値に戻るようになっている。
【0062】上記CPU、ROM及びRAMは、バスを介して互いに接続されている。このバスにはインターフェイス50aも接続されている。インターフェイス50aは表示制御基板110のインターフェイス61や各種スイッチ等に接続されている。ここで、主基板50は、インターフェイス50aを介して作動口スイッチ41等から入賞信号等を入力できるようになっている。また、主基板50は、表示制御基板110や他の入出力装置(他の制御基板を含む)へ制御データ等の各種動作コマンドを送信し、各ソレノイドや各制御基板等を制御できるようになっている。
【0063】また、本実施の形態においては、主基板50による制御の1つとして、遊技モードの切換制御がある。この遊技モードとして、本実施の形態においては2つのモードが用意されている。例えば300分の1程度の低確率で大当たり状態を発生させる通常モードと、その約5倍である60分の1程度の高確率で大当たり状態を発生させる高確率モード(以降、便宜上「確変モード」と称する)とがある。確変モードは、本実施の形態における所定の付加価値に相当する。なお、本実施の形態では、パチンコ機1の電源投入時においては、通常モードに設定されるようになっており、その後は、特別条件の成立に応じて大当たり状態終了後にモードの切換が行われる。
【0064】一般的に、確変モードの概念としては、(1)7セグ表示部33に所定の数字が表示される確率を通常時に比べて高め、作動口11の羽根13を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部33における数字の変動時間を短くすること、(3)羽根13の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(4)特別図柄表示装置20の表示部20aの識別図柄の変動時間を短くすること、(5)大当たり確率が通常モードに比べて高くなること等が挙げられるが、本実施の形態における確変モードにおいては、(5)に加えて、(1)〜(4)の全ての事項が実行される。
【0065】さて、本実施の形態では、特別図柄表示装置20の表示部20aにおける各種表示制御は、主たる制御を行う主基板50ではなく、主として特別図柄表示装置20の表示制御基板110において行われるように構成されている。
【0066】ここで、特別図柄表示装置20における表示態様を制御する表示制御基板110の電気的構成について説明する。図3に示すように、表示制御基板110は、主基板50から送られてくるコマンドを順次受信するインターフェイス61と、プログラムROM62に記憶された制御プログラム及び各種の情報に基づいて、各種遊技状態において表示される表示画像の画面構成情報を生成するCPU63と、CPU63での処理結果等を一時的に記憶するワークRAM64と、各種画像データを記憶した画像データROM65と、CPU63で生成された画面構成情報に基づいて画像データROM65から画像データを取り出し、そのデータや画面構成情報に基づいて各種遊技状態における表示画像を生成するVDP66と、VDP66が生成した表示画像を記憶するビデオRAM67とを備えている。そして、生成された表示画像は表示部(液晶ディスプレイ)20aへ出力される。
【0067】インターフェイス61は、主基板50から送信されてくるコマンド(指令)を受信する。また、それらのコマンドは、CPU63によってワークRAM64に記憶される。
【0068】CPU63は、プログラムROM62に記憶された制御プログラムに従って動作する。具体的に、CPU63は、前記コマンドを監視して該コマンドに応じたタスクを生成し、それをワークRAM64に記憶する。CPU63はそのタスクを実行することで、各種遊技状態において表示される表示画像の画面構成情報を生成し、それをワークRAM64に記憶する。なお、画面構成情報は、表示部(液晶ディスプレイ)20aの垂直操作信号(VSYNC)ごとに生成される。
【0069】ワークRAM64には、主基板50からのコマンドを記憶するための前記コマンドバッファ領域をはじめ、生成されたタスクが記憶されるタスクバッファ領域や、画像構成情報(通常変動時やリーチ状態時の図柄画像の指示や、その配置位置や表示優先順位等)を一括して書き込むためのスプライトチェーン領域等が設定されている。
【0070】画像データROM65は、表示部20aに表示される識別図柄や背景画像等の各種画像データを記憶するメモリである。前記画像データには、識別図柄や背景画像等を生成するために必要な各種情報(例えば形状、サイズ、模様、配色、色調等を指定する各種情報)が含まれている。
【0071】VDP66は、表示画像の画像生成処理を行う画像データプロセッサである。つまり、VDP66は、画像構成情報に基づいて、画像データROM65に記憶されている画像データを読み出すとともに、前記画像データに含まれる情報をビデオRAM67に書き込むことによって、ビデオRAM67に表示画像を生成する。そして、VDP66は、ビデオRAM67に記憶した表示画像を表示部20aに出力する。
【0072】ビデオRAM67は、VDP66で生成される表示画像のデータを記憶するメモリである。ビデオRAM67には、表示部20aに表示される一画面分の表示画像のデータを記憶する記憶領域である第1フレームメモリ67aと第2フレームメモリ67bが設けられている。そのため、VDP66で生成される表示画像のデータを交互に記憶することができるような構成となっている。
【0073】次に、VDP66の構成について図4を参照しつつ詳しく説明する。VDP66は、CPU63から送られてくる各種コマンドやデータを受信するインターフェイス66aと、インターフェイス66aから送られる各種コマンドやデータに基づいてワークRAM64に記憶された画像構成情報を読み出し、該画像構成情報に基づいて表示画像を生成する画像生成部66bと、表示画像のカラー情報を格納するパレットRAM66cとから構成されている。
【0074】インターフェイス66aから各種コマンドやデータを受け取った画像生成部66bは、CPU63を介してワークRAM64に記憶された画像構成情報を読み出す。画像生成部66bは、その画像構成情報に基づいて画像データROM65から画像データを読み出し、前記画像データに含まれる各種情報に基づいて表示画像を生成する。同時に、前記画像データに対応するカラー情報をパレットRAM66cから取得し、前記表示画像に加える。これにより、カラー情報に基づく配色を施した表示画像が生成される。
【0075】同時に、画像生成部66bは、前記書き込みが行われていない第1フレームメモリ67a又は第2フレームメモリ67bに記憶されている表示画像のデータを読み出し、表示部(液晶ディスプレイ)20aに出力する。この際、表示画像のデータはRGB信号で出力され、このRGB信号に基づいて、色調(色、彩度、輝度、コントラストなど)等が制御されて表示部(液晶ディスプレイ)20aに表示される。また、表示画像のデータが出力され、何もデータが記憶されていない第1フレームメモリ67a又は第2フレームメモリ67bには、新たに生成された表示画像が書き込まれる。なお、表示画像は識別図柄や背景画像等を個々に描画した複数のレイヤによって構成されており、これらをを重ね合わせることにより1画面分の表示画像として生成されるようになっている。
【0076】パレットRAM66cは、複数種類のカラー情報を設定した複数種類のカラーパレットを保持しており、画像データに含まれるカラー情報に応じたカラーパレットを画像生成部66bに与えるものである。ここで、カラーパレットを与えるとは、例えば、パレットRAM66cに格納されたカラーパレットの格納アドレスを画像生成部66bに与えることを意味している。なお、カラー情報は、原色例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の基本色情報を組み合わせた配合割合等によって、定められているものである。
【0077】次に、上記のように構成されたパチンコ機1の作用について説明する。まず、主基板50は、作動口用スイッチ41からの検出信号に基づき遊技球Bが作動口11へ入賞した旨を検出すると、その検出結果に基づいて対応する保留ランプ24a〜24dを点灯させる。例えば、それまで2つの保留ランプ24a及び24bが点灯されていた場合には3つ目の保留ランプ24cを点灯させる。但し、保留ランプ24a〜24dが全て点灯している場合は除かれる。そして、主基板50は保留カウンタの値を「1」だけ加算する。
【0078】そして、主基板50は各乱数バッファに格納された各カウンタの各値に基づいた図柄変動コマンドを表示制御基板110に出力する。同時に、主基板50は図柄変動コマンドに対応した各種コマンドを各種制御基板(表示制御基板110、ランプ制御基板120、音声制御基板130等)へ出力する。そして、コマンドを受け取った表示制御基板110等では、各コマンドに対応した制御が行われる。
【0079】ここで、表示制御基板110は、図柄変動に関する一群のコマンド(1回の図柄変動に際して送られてくるデータ群)を受信すると、識別図柄が変動する表示画像を順次生成し表示部20aに表示する。このとき、表示制御基板110は、図柄変動コマンドに含まれるパターン情報に基づいて種々のリーチ演出パターンを実行する。これらリーチ演出パターンは、識別図柄の変動開始から停止表示までの間、又は別途設定された時間データの秒数分だけ実行される。また、表示制御基板110の表示制御に同期するように、ランプ制御基板120や音声制御基板130もランプ演出や音声演出等を制御する。
【0080】詳しくは、表示制御基板110では、CPU63が主基板50から送られてくる図柄変動に関するコマンドを順次受信して、受け取ったコマンドをワークRAM64に設けたコマンドバッファ内に記憶する。CPU63は、コマンドバッファ内に記憶したコマンドを順次呼び出す。このコマンドに応じた図柄変動パターン等の表示プログラムをプログラムROM62内から選択し、その表示プログラムを実行する。
【0081】また、CPU63は、識別図柄の変動表示処理を実行するとともに、各種リーチパターン、すべり変動、再変動、リーチ予告又はリーチ移行等の表示演出処理等を適宜実行する。
【0082】具体的に、CPU63は、受信したコマンドに基づいて所定のテーブルを参照して何らかの表示演出処理を実行するか否かを決定する。まず、CPU63は、コマンドに今回が大当たり時である旨の情報が含まれているか否かを判定したり、今回が外れリーチ時である旨の情報が含まれているか否かを判定したりする。
【0083】CPU63は、その判定結果に基づき参照するテーブルを選択し、それに対応する演出パターンを決定し、多様な遊技演出を実行する。CPU63は、受信したコマンドのなかに、例えば今回が大当たり時である旨の情報が含まれている場合と、今回が外れリーチ時である旨の情報が含まれている場合とで、異なるテーブルを参照する。こうすることにより、大当たり状態が導出される時には「リーチ予告」、「リーチ移行」に関する演出が行われやすくしたり、外れリーチ時には、リーチ予告等が行われにくくしたりすることができる。ここで、「予告」とあるのは、演出によって、所定の遊技状態が発生しやすくなることを示唆可能であればよい、或いは、演出によって所定の遊技状態の発生率に影響が生じるという趣旨であって、所定の遊技状態が発生しない場合があっても差し支えない。
【0084】CPU63は、リーチ予告演出やリーチ移行演出等を行う場合には、上述したような図柄変動表示用のプログラムを実行するとともに、それぞれリーチ予告演出やリーチ移行演出等を行うためのプログラムを実行する。
【0085】続いて、表示部20aでは、各図柄表示領域D1〜D5において変動表示されている識別図柄がその変動速度を徐々に減速するように表示され、識別図柄の変動が順次停止させられる。本実施の形態においては、指定された所定の停止図柄が上・左図柄表示領域D1,D2において停止表示された後、下・右図柄表示領域D3,D4において停止表示される。
【0086】このとき、CPU63は、現在リーチ状態が発生しているか否かを確認する。具体的には、上・左・下・右図柄表示領域D1〜D4において停止表示された停止図柄が少なくとも1つのライン(縦ライン又は横ライン)上において同種であるか否かを確認する。そして、リーチ状態とならない場合には、中図柄表示領域D5において識別図柄の変動を停止し、指定された停止図柄を停止表示する。一方、リーチ状態となる場合には、CPU63は、上記コマンドに基づいた各種リーチ動作処理を行う。
【0087】その後、主基板50は、自身が有するタイマに基づき、所定時間に応じたタイミングで表示制御基板110に対し確定コマンドを出力する。表示制御基板110は、その確定コマンドを受け取ると、図柄変動コマンドの時間情報に基づく変動を完了した時点で図柄情報に応じた識別図柄を停止表示させる。例えば、大当たり状態が発生する場合には、内部図柄カウンタによって決定された大当たり図柄の図柄情報を含んだコマンドが、リーチ演出の最終段階で送信され、大当たり図柄が中図柄表示領域D5に停止表示される。
【0088】主基板50は、表示制御基板110に確定コマンドを送信した後、停止表示された識別図柄の組合せが大当たりの組合せであるか否かを確認する。そして、識別図柄の組合せが大当たりの組合せでない場合には、主基板50は、図柄変動が保留されていること確認すると、上述した図柄変動処理を繰り返し行う。ここで、図柄変動が保留されていないことが確認されると、主基板50は、作動口用スイッチ41から新たな検出信号が入力されるまで待機する。
【0089】また、識別図柄の組合せが大当たりの組合せである場合には、主基板50は、ラウンドカウンタを「0」にクリヤするとともに、大当たり状態を報知する旨のコマンドを表示制御基板110等に出力する。これにより、表示部20aでは大当たり報知表示が行われる。
【0090】次に、主基板50は、入賞カウンタを「0」にクリヤするとともに、入賞判定用の所定フラグを「0」に設定する。ラウンドカウンタを「1」だけ加算する。続いて、主基板50は、大入賞口用ソレノイド18を励磁させることで、シャッタ17を倒して略水平状態とし大入賞口12を開放する。これにより、遊技球BがVゾーン15及び入賞通路16へ入賞するようになり、遊技者が多数個のパチンコ球を取得できるような大当たり状態となる。
【0091】この大当たり状態中に、主基板50は、入賞カウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを適宜判定する。この判定条件が満たされている場合には、主基板50は、未だ大入賞口12の閉鎖予定時期が到来していないか否かを判定する。そして、閉鎖予定時期が到来していない場合には、主基板50は、継続してこの判定処理を繰り返す。従って、大入賞口12の開放開始後に所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口12が開放され続ける。所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来すれば、主基板50は、大入賞口用ソレノイド18を消磁する。これにより、シャッタ17が起こされて略垂直状態となり、大入賞口12が閉鎖される。
【0092】その後、主基板50は、ラウンドカウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを判定する。そして、ラウンドカウンタの値が所定値よりも小さい場合には、主基板50は、入賞があるか否かを判定する。ここで、入賞がある場合には、主基板50は、この処理を繰り返し行う。従って、一旦大当たり遊技状態が発生すると、遊技球BがVゾーン15に入賞することによる継続条件が、所定回数満たされるまでは、大入賞口12が開閉のサイクルを繰り返すこととなる。例えば、ここで入賞カウンタの所定値を「10」、大入賞口4の開放時間を「約29.5秒」、ラウンドカウンタの所定値を「16」に設定したとする。このような場合には、大入賞口12の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口12へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口12が閉鎖される。この大入賞口12の開閉のサイクルが遊技球BのVゾーン15への入賞を条件に最大で16回繰り返されることとなる。
【0093】ラウンドカウンタの値が所定値以上となるか、入賞がない場合には、主基板50は、大当たり状態が終了したものとして、その旨を報知するコマンドを表示制御基板110に出力する。そして、表示部20aには大当たり状態が終了した旨の表示がなされる。同時に、ランプ制御基板120や音声制御基板130もランプ演出、音声演出等を停止する。
【0094】なお、本実施の形態では、大当たり確定時に各図柄表示領域D1〜D5において停止表示された停止図柄が全て同種の識別図柄である場合には、上述したような確変モードの付与が大当たり状態終了後に行われる。但し、大当たり確定時に図柄表示領域D1〜D4のうちの少なくとも1つで、異なる識別図柄が停止表示されている場合には、その図柄表示領域D1〜D4において再び識別図柄の変動表示が行われる。そして、最終的に停止表示される識別図柄が決定される。ここで、他の図柄表示領域D1〜D4において停止表示されている識別図柄と同種の識別図柄が停止表示された場合には、大当たり終了後に確変モードの付与が行われる。つまり、図柄表示領域D1〜D4のうちのいずれかにおいて、確変モードが付与されるか否かに関連する抽選表示が行われる。
【0095】次に、表示部20aにおいて表示される図柄表示領域D1〜D5、識別図柄の変動表示等の各種表示態様ついて詳細に説明する。
【0096】図5に示すように、表示部20aには、略矩形状の図柄表示領域D1〜D5が上述したように十字形に並んで表示される。具体的には、表示部20aの略中央部に中図柄表示領域D5が配置されている。中図柄表示領域D5の上側には上図柄表示領域D1が配置され、左側には左図柄表示領域D2が配置され、下側には下図柄表示領域D3が配置され、右側には右図柄表示領域D4が配置されている。
【0097】すなわち、上・中・下図柄表示領域D1,D5,D3が縦方向に列状(略直線状)に並び、縦表示領域列L1を形成している。また、左・中・右図柄表示領域D2,D5,D4が横方向に列状(略直線状)に並び、横表示領域列L2を形成している。つまり、中図柄表示領域D5を共有するように縦表示領域列L1と横表示領域列L2が交差した状態となっている。
【0098】次に、各図柄表示領域D1〜D5において変動表示される識別図柄及びその図柄配列について説明する。なお、図柄配列は、本実施の形態における情報配列に相当する。図6に示すように、識別図柄は、それぞれ「0」〜「9」の数字、及び「A」、「B」、「C」の文字によって構成されている。但し、識別図柄は、これに限らず、各種絵柄、文字又は数字と絵柄が組み合わさったものでもよい。
【0099】各図柄表示領域D1〜D5では、図柄配列Z1,Z2,Z3に基づいて、各識別情報が順次循環して表示される。図柄配列Z1は、数字「0」〜「9」が2個づつ昇順に並ぶとともに、その後に文字「A」、「B」、「C」が2個づつ順に並んだ構成となっている。図柄配列Z2は、文字「C」、「B」、「A」がこの順序で2個づつ並び、その後に数字「0」〜「9」が降順に2個づつ並んだ構成となっている。すなわち、図柄配列Z2は、図柄配列Z1の順序を反転させた配列となっている。図柄配列Z3は、数字「0」〜「9」が1個づつ昇順に並ぶとともに、その後に文字「A」、「B」、「C」が1個づつ順に並んだ構成となっている。
【0100】上・左図柄表示領域D1,D2では、同じ図柄配列Z1に基づいた識別図柄が相互に関連するように表示される。具体的に、上・左図柄表示領域D1,D2においては、図柄配列Z1の識別図柄が両図柄表示領域D1,D2の並びに沿って(表示部20aに対して斜めに)スクロール変動するように表示される。そして、変動表示が停止する際には、図柄配列Z1のうちの隣り合った2つの識別図柄が同時期に両図柄表示領域D1,D2に停止表示されるよう構成されている。つまり、上・左図柄表示領域D1,D2は、図柄配列Z1の識別図柄が仮想的にスクロール変動する同じ変動領域上にあり、両図柄表示領域D1,D2の部分だけが遊技者に視認されるような構成となっている。
【0101】同様に、下・右図柄表示領域D3,D4では、同じ図柄配列Z2に基づいた識別図柄が相互に関連するように表示される。つまり、下・右図柄表示領域D3,D4においては、図柄配列Z2の識別図柄が両図柄表示領域D3,D4の並びに沿って(表示部20aに対して斜めに)スクロール変動するように表示される。そして、変動表示が停止する際には、図柄配列Z2のうちの隣り合った2つの識別図柄が同時期に両図柄表示領域D3,D4に停止表示されるよう構成されている。
【0102】また、中図柄表示領域D5においては、上述した図柄表示領域D1〜D4における変動表示と同様に、図柄配列Z3の識別図柄が斜めにスクロール変動するように表示される。
【0103】但し、上・左図柄表示領域D1,D2の関連性と、下・右図柄表示領域D3,D4の関連性は、あくまでも仮想的なものであるため、上・左図柄表示領域D1,D2及び下・右図柄表示領域D3,D4において、別々に識別図柄の変動表示が開始されたり、停止されたりするように表示することができる。
【0104】上述したように識別図柄の変動表示は、所定時間経過後、まず上・左図柄表示領域D1,D2において停止する。そして、下・右図柄表示領域D3,D4において停止し、最後に中図柄表示領域D5において停止する。但し、これはあくまでも1例にすぎず、別の順序で停止するようにしてもよい。
【0105】このようにして識別図柄が停止することにより、又は、停止する過程において、表示部20aには停止した識別図柄の組合せによって、上述したような各種遊技状態が示されることとなる。
【0106】次に、表示部20aで示される各種遊技状態、及び、その表示態様等について図7乃至図12を参照しつつ詳しく説明する。なお、図7乃至図12では便宜上、表示部20aの外形を省略し図柄表示領域D1〜D5のみを示している。
【0107】全ての図柄表示領域D1〜D5において変動表示が停止されたとき、所定の表示領域列L1,L2に同種の識別図柄が並んでいる場合がある。例えば、図7R>7では、識別図柄「7」が縦表示領域列L1に並んでいる。なお、図7では便宜上、左・右図柄表示領域D2,D4の識別図柄が省略されている。このような組合せを構成する識別図柄は上述した「大当たり図柄」に相当する。大当たりの組合せが成立すると、大入賞口12が開かれるなど各種特別電動役物が作動して、遊技者にとって有利な大当たり状態が到来する。すなわち、遊技者は、より多くの景品球を獲得することが可能となる。
【0108】また、大当たり直前の状態をいう(もちろん大当たり状態に至らない場合もある)リーチ状態には、上図柄表示領域D1の停止図柄と、下図柄表示領域D3の停止図柄とが同種の識別図柄である場合、又は、左図柄表示領域D2の停止図柄と、右図柄表示領域D4の停止図柄とが同種の識別図柄である場合がある。つまり、リーチ状態とは、縦表示領域列L1及び横表示領域列L2上の少なくとも一方に、同種の識別図柄によって仮想的なラインとしてのリーチラインが形成され、リーチ態様が成立している状態である。
【0109】例えば、図8では、上図柄表示領域D1、左図柄表示領域D2及び下図柄表示領域D3において識別図柄「7」が停止表示され、右図柄表示領域D4には識別図柄「8」が停止表示されている。中図柄表示領域D5では識別図柄が未だ変動中の状態を示している。つまり、縦表示領域列L1上でリーチラインが形成され、リーチ態様が成立している。このような場合において、中図柄表示領域D5における停止図柄が、上・下図柄表示領域D1,D3に停止した識別図柄(この場合は識別図柄「7」)と同種の識別図柄であることを必要条件に、大当たり状態が発生させられる。つまり、識別図柄が特定の組合せで停止表示される前段階には、複数の識別図柄がリーチラインを成立させるように並んで停止表示されることを条件としてリーチ態様が成立するよう構成されている。
【0110】なお、リーチラインは、上・下図柄表示領域D1,D3及び左・右図柄表示領域D2,D4の停止図柄によって形成されるラインを概念的に示した仮想的なラインであるため、本実施の形態においては実際には表示されていない。しかし、リーチラインが、仮想的なラインとして予め表示されていたり、表示領域列L1,L2上に同種の識別図柄が停止するとともに表示されるようにしてもよい。
【0111】また、本実施の形態では、各図柄表示領域D1〜D5の配置構成や、各図柄配列Z1〜Z3の配列構成等により、様々なリーチ態様(例えば一時期に複数のリーチラインが成立するようなリーチ態様等)が成立するようになっている。
【0112】ここで、複数のリーチラインが形成されるようなリーチ態様の例を図9及び図10を参照しつつ説明する。なお、リーチ状態中、中図柄表示領域D5では識別図柄が変動表示されているが、図9及び図10では便宜上、中図柄表示領域D5の識別図柄を省略している。
【0113】図9では、図柄表示領域D1〜D4において識別図柄「7」が停止表示されている。つまり、上・下図柄表示領域D1,D3に停止表示された識別図柄「7」によって、縦表示領域列L1上にリーチラインが形成されるとともに、左・右図柄表示領域D2,D4に停止表示された識別図柄「7」によって、横表示領域列L2上にリーチラインが形成されたダブルリーチ態様が成立している。
【0114】図10では、上・下図柄表示領域D1,D3において識別図柄「7」が停止表示され、左・右図柄表示領域D2,D4において識別図柄「8」が停止表示されている。つまり、上、下図柄表示領域D1,D3に停止表示された識別図柄「7」によって、縦表示領域列L1上にリーチラインが形成されるとともに、左・右図柄表示領域D2,D4に停止表示された識別図柄「8」によって、横表示領域列L2上にリーチラインが形成されたダブルリーチ態様が成立している。
【0115】また、上記リーチ状態には、中図柄表示領域D5における識別図柄の変動が、最終的に上・下図柄表示領域D1,D3、又は、左・右図柄表示領域D2,D4の停止図柄に対応した図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、対応しない図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。
【0116】上記リーチ状態が成立すると、種々のリーチ演出のうちのいずれかが行われるようになっている。リーチパターンとしては、中図柄表示領域D5の識別図柄が単にスクロール変動する「ノーマルリーチ」の外に、種々のリーチパターンが設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっていることとしてもよい。
【0117】さて、本実施の形態においては、すべての図柄表示領域D1〜D5において停止表示された識別図柄が同種の識別図柄である場合、例えば図9に示したリーチ状態で中図柄表示領域D5に識別図柄「7」が停止表示されて、図11に示した状態となった場合には、特定条件が成立し、上述したような確変モードが大当たり状態終了後に付与されるようになっている。
【0118】但し、例えば図8に示したリーチ状態で中図柄表示領域D5に識別図柄「7」が停止表示されて、図12に示した状態となった場合には、一旦縦表示領域列L1に識別情報「7」が並ぶことにより大当たり状態の発生が確定し、その後、右図柄表示領域D4において、図13に示すように停止表示された識別図柄「8」が再び変動し始め、確変モードが付与されるか否かに関する抽選表示が行われる。なお、このときの下・右図柄表示領域D3,D4における識別図柄の変動表示は関連して行われないようになっている。
【0119】ここで、右図柄表示領域D4に識別図柄「7」が停止表示された場合には、すべての図柄表示領域D1〜D5において、同種の識別図柄が停止表示されたこととなり、大当たり終了後に確変モードが付与されることが確定する。
【0120】また、図10に示したダブルリーチ状態で中図柄表示領域D5に識別図柄「7」が停止表示された場合には、一旦縦表示領域列L1に識別情報「7」が並ぶことにより大当たり状態の発生が確定し、その後、左・右図柄表示領域D2,D4において、停止表示された識別図柄「8」が再び変動し始め、確変モードが付与されるか否かに関する抽選表示が行われる。
【0121】ここで、左・右両図柄表示領域D2,D4に、識別図柄「7」が停止表示された場合には、すべての図柄表示領域D1〜D5において、同種の識別図柄が停止表示されたこととなり、大当たり終了後に確変モードが付与されることが確定する。
【0122】上述したように、大当たり図柄が停止表示された後段階に、大当たり図柄が停止表示された状態のままで、大当たり図柄が停止表示されている縦表示領域列L1又は表示領域列L2以外の図柄表示領域D1〜D4において、確変モードが付与されるか否かの抽選表示が行われる。なお、両表示領域列L1,L2で特定の組合せが成立している場合は除く。すなわち、前記図柄表示領域D1〜D4のいずれかにおいて、停止表示されている識別図柄が再び変動を開始し、大当たり図柄と同種の識別図柄が停止表示されることにより、大当たり状態の終了後において、確変モードが付与されるようになっている。このようにすれば、大当たり図柄を停止表示したままで、遊技者に大当たり状態が付与されたことを示しつつ、前記抽選表示を行うことができる。結果として、遊技者は、大当たり状態が付与されたことを確認しつつ、前記抽選表示を楽しむことができ、さらなる興趣の向上を図ることができる。また、大当たり図柄やその停止態様、又は、その停止態様を導出する前段階の表示演出等との関連性を持たせ、確変モードが付与されるか否かに関する抽選表示を行うことができるため、表示演出全体に繋がりを持たせ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0123】加えて、全ての図柄表示領域D1〜D5において、同種の識別図柄が停止表示されることにより、確変モードの付与が確定する。つまり、停止表示された識別図柄の種類によらず、全ての図柄表示領域D1〜D5に停止表示される識別図柄の全体的な停止態様によって確変モードの付与の有無が決定される。このような、確変モードの付与に関する抽選演出は、遊技者にとって新鮮で面白味のある表示演出になり、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0124】また、上・左図柄表示領域D1,D2における識別図柄の変動表示は図柄配列Z1に基づいて相互に関連するように行われ、下・右図柄表示領域D3,D4における識別図柄の変動表示は図柄配列Z2に基づいて相互に関連するように行われるため、各図柄表示領域D1〜D5における識別図柄の変動表示制御の簡素化が図られる。
【0125】ここで、図柄配列Z1,Z2には、同種の識別図柄が連続して配列された部分が含まれている。このため、上述したように上・左図柄表示領域D1,D2及び下・右図柄表示領域D3,D4における識別図柄の変動表示を、図柄配列Z1,Z2に基づいて関連するように行ったとしても、上・左図柄表示領域D1,D2又は下・右図柄表示領域D3,D4において、同時期に同種の識別図柄を停止表示させることが可能となる。結果として、識別図柄の変動表示制御の簡素化を図るとともに、識別図柄の停止態様を多様化させ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0126】さらに、縦表示領域列L1と横表示領域列L2とが中図柄表示領域D5を共有して十字形に交差した構成となっていることから、共有部分である中図柄表示領域D5や非共有部分である各図柄表示領域D1〜D4を利用した多彩な表示演出を行うことができる。例えば、中図柄表示領域D5における識別図柄の変動表示を最後に停止することにより、その前段階に図柄表示領域D1〜D4に停止表示させた識別図柄によってダブルリーチ態様を成立させ、大当たり状態や確変モードが付与される表示上の確率がさらに高まるような演出効果を出すこともできる。
【0127】尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0128】(a)上記実施の形態では、通常モード、確変モードといった遊技モードを採用し、確変モードの概念として、大当たり確率が高められることに加えて、(1)7セグ表示部33に所定の数字が表示される確率を通常時に比べて高め、作動口11の羽根13を開放させる機会を増やすこと、(2)7セグ表示部33における数字の変動時間を短くすること、(3)羽根13の開放時間を長くすること(及び/又は入賞個数を多くすること)、(4)特別図柄表示装置20の表示部20aの識別図柄の変動時間を短くすること、の全ての事項が実行されることとした。これに対し、大当たり確率が高められることに加えて、(1)〜(4)のいずれか1つを満たすことを、確変モードとしてとらえてもよい。また、所定の付加価値としては、確変モードではなく、時間短縮モード(時短モード)を採用してもよい。時短モードとしては、(1)〜(4)の任意の組合せ(例えば(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(2)と(3)、(2)と(4)、(3)と(4)、(1)と(2)と(3)、(1)と(2)と(4)、(1)と(3)と(4)、(2)と(3)と(4))を採用できる。
【0129】(b)時短モード、確変モードとしては、次回の大当たり時まで継続されるようにしてもよいし、識別図柄の予め定められた所定回転変動回数だけ継続され、その後通常モードに切り替えられるようにしてもよい。また、時短モード、確変モードが選択された場合には、大当たり状態が2回又はそれ以上発生するまで、当該特別モードが継続されるようにしてもよい。併せて、結果的に、大当たり図柄に応じて、確変モードや時短モードの継続回数(大当たり状態の継続発生回数)を可変とするようにしてもよい。
【0130】(c)上記実施の形態では、5つの図柄表示領域D1〜D5が十字形に配列された構成となっている。図柄表示領域の数、配列構成等はこれに限らず、例えば複数の図柄表示領域を格子状に配列した構成としてもよい。なお、格子状に図柄表示領域を配列した場合には、縦方向、横方向及び斜め方向に複数の表示領域列が形成される。このため、各表示領域列は、それぞれ複数の表示領域列と交差するとともに、それらとそれぞれ共有する複数の図柄表示領域を含むこととなる。このようにすれば、表示態様がさらに多様化し、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0131】(d)上記実施の形態における抽選表示では、識別図柄の再変動が行われる全ての図柄表示領域D1〜D4に、大当たり図柄と同種の識別図柄が停止表示されることにより、確変モードの付与が確定するようになっている。抽選表示はこれに限らず、識別図柄の再変動が行われる少なくとも1つの図柄表示領域D1〜D4において、大当たり図柄と同種の識別図柄が停止表示されことにより、確変モードの付与が確定するようにしてもよい。また、大当たり図柄が表示されていない図柄表示領域D1〜D4のいずれか1つにおいて、「当たり」や「はずれ」といった文字を交互に表示し、「当たり」が停止表示されると、確変モードの付与が確定するといった抽選表示を行うようにしてもよい。
【0132】また、すべての図柄表示領域D1〜D5において識別図柄の変動表示が停止していない状態で前記抽選表示が行われるようにしてもよい。例えば、縦表示領域列L1又は表示領域列L2上に同種の識別図柄が停止表示され、大当たり状態の付与が確定した状態で、識別図柄の変動表示が行われている残りの図柄表示領域D1〜D5において、そのまま変動表示を継続して行い、そこに大当たり図柄と同種の識別図柄が停止表示されことにより、確変モードの付与が確定するようにしてもよい。
【0133】また、縦表示領域列L1又は表示領域列L2上に同種の識別図柄が停止表示され、大当たり状態の付与が確定した後段階に、大当たり図柄が停止表示された図柄表示領域D1〜D5において、大当たり図柄の代わりに、例えば「当たり」の文字を表示し、大当たり図柄が停止表示されていない図柄表示領域D1〜D5におい前記抽選表示を行うようにしてもよい。
【0134】(e)表示部20aとしては、上述した液晶ディスプレイ以外にも、CRT、ドットマトリックス、LED、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示菅等を用いてもよい。
【0135】(f)本発明は、上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等にも適用できる。例えば、大当たり図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよし、確変モードの代わりに上記時短モードが付与されるパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、雀球、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機等の各種遊技機として実施することも可能である。
【0136】スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を停止表示する表示手段としてのリールを備え、遊技者が始動用操作手段としてのスタートレバーを叩き、リールが回転することにより識別図柄が変動し、遊技者が停止用操作手段としてのストップボタンを押すことによって、又は、所定時間が経過することによってリールが停止し、停止表示された識別図柄の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値としての大当たり状態を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0137】また、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を停止表示する表示手段としてのリールを備え、遊技者が始動用操作手段としてのスタートレバーを叩き、リールが回転することにより識別図柄が変動し、遊技者が停止用操作手段としてのストップボタンを押すことによって、又は、所定時間が経過することによってリールが停止し、停止表示された識別図柄の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値としての大当たり状態を付与する遊技価値付与手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、識別図柄の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、大当たり状態が付与された際には多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。
【0138】さらに、上記スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機等において、複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示する表示手段とは別に、少なくとも前記識別図柄とは異なる複数の第2の識別図柄を遊技状態に応じて可変表示可能とする第2の表示手段を設け、上記実施の形態における様々な表示制御を行う場合には、前記第2の表示手段において行うようにしてもよい。また、少なくとも前記識別図柄が特定の組合せとなって停止表示される前段階に、前記第2の表示手段において、少なくとも前記第2の識別図柄が特定の組合せで停止表示されることにより、特別遊技価値としての大当たり状態の付与が確定するようにしてもよい。このようにすれば、少なくとも2種類の表示手段よって、それぞれの識別図柄がそれぞれ特定の組合せで停止表示される。このため、遊技内容に厚みができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
【図2】主として遊技盤を示すパチンコ機の正面図である。
【図3】表示制御基板等の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】VDP等の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】表示部における通常変動時の各種図柄の表示態様の一例を示す図である。
【図6】各図柄表示領域における図柄配列を説明するための図である。
【図7】大当たり状態の確定時の図柄の表示態様の一例を示す図である。
【図8】表示部におけるリーチ状態の一例を示す図である。
【図9】表示部におけるダブルリーチ状態の一例を示す図である。
【図10】表示部におけるダブルリーチ状態の一例を示す図である。
【図11】表示部における確変モードの付与確定時の表示態様の一例を示す図である。
【図12】大当たり状態の確定時の図柄の表示態様の一例を示す図である。
【図13】確変モードが付与されるか否かに関する抽選表示の表示態様の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…遊技機としてのパチンコ機、20…表示手段としての特別図柄表示装置、20a…表示部、D1…上図柄表示領域、D2…左図柄表示領域、D3…下図柄表示領域、D4…右図柄表示領域、D5…中図柄表示領域、L1…縦表示領域列,L2…横表示領域列、Z1〜Z3…情報配列としての図柄配列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の識別情報を複数の情報表示領域において変動表示可能な表示手段を備え、前記表示手段の表示部において、所定数の前記情報表示領域が列状に配列された表示領域列が複数列表示されるよう構成され、少なくとも1つの前記表示領域列において、前記識別情報が特定の組合せで停止表示された場合には、遊技者に有利な特別遊技価値が付与され、特定条件が成立した場合には、前記特別遊技価値が付与された後段階において所定の付加価値が付与されるような構成であって、前記識別情報が前記特定の組合せで停止表示された後段階に、該特定の組合せが成立している前記表示領域列以外の前記情報表示領域のうちの少なくとも1つにおいて、前記付加価値が付与されるか否かに関する抽選表示を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記特定の組合せで停止表示された識別情報を停止表示したまま、前記抽選表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】 前記特定の組合せは、前記識別情報の同種の組合せであって、前記抽選表示は、前記識別情報の変動表示であって、前記抽選表示が行われる情報表示領域において停止表示される識別情報が、前記特定の組合せを構成する識別情報と同種の識別情報であることにより、前記特定条件が成立し、前記付加価値の付与が確定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2003−299792(P2003−299792A)
【公開日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−142872(P2003−142872)
【分割の表示】特願2001−231272(P2001−231272)の分割
【出願日】平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】