説明

遊技機

【課題】表示領域内における図柄表示領域を違和感なく把握させつつ変化に富んだ演出画像表示を実現できる遊技機を提供する。
【解決手段】液晶表示装置200の表示領域201内において、図柄Pを横スクロール表示する際に、変動領域203Bと背景画像との境界部分に表示される図柄Pの一部が透明遊技盤100上の遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、始動口に遊技球が入賞する等による始動開始操作が行なわれることによって抽選が行われ、その抽選結果に応じて多くの遊技媒体の獲得を可能とする遊技機に用いられ、遊技の進行状況に応じて画像表示装置に図柄を表示する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記遊技機の1つとして、大型表示器を備えた全面表示パチンコ機が提案されている。この全面表示パチンコ機は、遊技盤を構成する部材が透明であり、当該透明の遊技盤の裏面側に遊技盤とほぼ同一外形の表示器を配設することで、遊技を進行している遊技者から見ると、遊技盤全体が表示画面となり、これにオーバラップ(overlap、即ち重なり合う状態を形成)するようにパチンコ球が透明遊技盤面に配設された複数の遊技釘や風車等に跳ね返りながら落下していく。
【0003】
このような大型表示器を搭載したパチンコ機では、演出表示のスケールが拡大し、より一層の演出効果を期待することができる。
【0004】
従来、大きな表示領域を有するパチンコ機においては、遊技盤の遊技領域のほぼ中央付近の釘やステージ等の障害物のない領域を図柄変動領域として定義し、少なくとも通常変動時においては、この図柄変動領域内において図柄を変動表示させてその表示停止の際の状況により当り/外れを表示するようにしている。
【0005】
例えば、特許文献1には、遊技状態に応じた映像をプロジェクタで投射し、当該プロジェクタから投射される映像を遊技者側に表示する遊技盤を設けると共に、遊技盤上には映像のうち図柄変動ゲームが投射される主表示領域を設け、かつ当該主表示領域を避けて遊技釘を配することが提案されている。
【0006】
また、引用文献2には、透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に表示手段を配設して透明遊技盤に演出表示可能領域を形成するとともに、この演出表示可能領域内において釘や入賞口等が配置されていない部位に、複数の識別情報を変動表示及び停止表示する可変表示領域を形成することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−57467公報
【特許文献2】特開2005−270455公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記各特許文献では、図柄変動領域には釘や入賞口が配置されていないものの、背景画像との違和感を生じさせないようにするために、図柄変動領域と他の領域との境界を示す線等は表示されず、図柄変動領域の境界が明確に把握できないため、例えば、図柄がスクロール(scroll)変動する表示が行なわれた場合、変動図柄が移動中に背景画像内の画面の途中で突如として消えてしまい、違和感を表ずるおそれがある、という問題点があった。
【0008】
また、この現象により、遊技者は図柄がどの範囲内を移動するのかが把握できず、図柄を揃える有効ラインがどの位置であるかが正確に認識できないおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、図柄を大きく表示しつつ表示領域内における図柄表示領域や抽選結果を違和感なく把握させることができる遊技機を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、主として遊技者に対向する表面側の遊技領域に遊技球の流下方向を制限及び案内する複数の遊技盤構成物が設けられ、所定の透過度の光透過性材質で形成された遊技盤と、前記遊技盤の裏面側に配設され、前記遊技盤の前記遊技領域に対応する領域を含む表示領域を有し、停止表示の状態により遊技の抽選結果に対応する報知を行なう図柄を表示するための画像表示装置と、前記画像表示装置の表示領域の一部を前記図柄を変動表示するための図柄表示領域として構成し、前記図柄表示領域内において変動表示される前記図柄を前記表示領域に表示される背景画像の前面に重ね合わせるように表示させるように制御する表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記図柄を水平方向に移動させるように表示する際に、前記図柄表示領域と背景画像との水平方向の境界部分に表示される図柄の一部が前記遊技盤上の前記遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御することを特徴としている。
【0011】
請求項1記載の発明によれば、図柄表示領域内において図柄を水平方向に移動させるように表示する際に、図柄表示領域と背景画像との水平方向の境界部分に表示される図柄の一部が遊技盤上の遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御しているので、抽選結果の報知に必要な図柄の表示演出に支障ない範囲で可能な限り図柄を大きく表示しつつ遊技者に見易い表示演出を実現する遊技機を提供することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記表示制御手段は、前記遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置には、前記抽選結果に対応する図柄が停止表示されないように制御することを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、抽選結果に対応する図柄は、遊技盤構成物が設けられていない領域に表示されるので、図柄を大きく表示しつつ表示領域内における図柄表示領域や抽選結果を違和感なく把握させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記表示制御手段は、前記図柄表示領域内に複数の図柄を表示し、前記抽選結果に対応する表示を行う図柄は図柄全体を前記図柄表示領域内に停止表示させる一方、前記抽選結果に対応する表示を行わない図柄は、一部が前記仕切り画像の背後に表示されているように表示することを特徴としている。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、抽選結果に対応しない図柄は、一部が欠けた状態で表示されることになり、図柄を大きく表示しつつ表示領域内における図柄表示領域や抽選結果を違和感なく把握させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、画像表示装置内において、図柄を水平方向に移動させるように表示する際に、図柄表示領域と背景画像との水平方向の境界部分に表示される図柄の一部が遊技盤上の遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御しているので、抽選結果の報知に必要な図柄の表示演出に支障のない範囲で可能な限り図柄を大きく表示しつつ遊技者に見易い表示演出を実現する遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10は、パチンコ機10の外郭を構成するとともにホールの島設備に設置される矩形状の外枠12を備えている。外枠12の前面には矩形額縁状の内枠14が配置されており、内枠14は、外枠12に設けられた一対のヒンジ部16、18に左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。また外枠12の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り20が取り付けられている。
【0018】
内枠14の前面上部には、ガラス板22を装着したガラスフレーム24を窓部25に備えるガラス枠26が配置されており、ガラス枠26は左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられている。また、ガラスフレーム24に装着されたガラス板22は、図1の紙面奥行き方向に所定の間隔で互いに平行に配置された一対のガラス板からなる二重構造となっている。このガラス枠26の裏面側となる内枠14の上部には、矩形状の開口部28が設けられている。開口部28には、交換可能とされた遊技盤100(図2参照)がセットされており、遊技盤100は、ガラス枠26を内枠14に閉塞した状態でガラス枠26(ガラス板22)に覆われるようになっている。
【0019】
ガラス枠26の前面には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の表示灯142がガラス板22を取り囲むように配置されており、さらに左上隅及び右上隅には、賞球払出エラー及び払出状態エラー等の各種エラーを報知するエラー用の表示灯144が配置されている。また、各エラー用の表示灯144の内側には、遊技の効果音をステレオ出力するスピーカ146L、146Rが配設されている。
【0020】
内枠14の前面下部には、一般的な上皿及び下皿の機能を兼ね備える打球供給皿としての一体皿30が配置されている。一体皿30は、パネル部材32の左側端部が内枠14に軸支されて開閉可能に取り付けられており、パネル部材32の前面には、上部に遊技球を貯える球皿部34が形成された球皿本体36が突設されている。
【0021】
パネル部材32の前面の右側上部には、パチンコ機10内に設けられた払出装置(図示省略)から払い出された賞球が排出される球排出口46が形成されている。この球排出口46から排出された賞球は球皿部34に貯留され、球皿部34内を左方向へ流下し整列通路により1列に整列されて球送り装置に送り込まれる。
【0022】
図示を省略するが、球皿部34の底面は双方向に傾斜しており、一方は図1の正面視にて左側から右側に下る傾斜を手前側に配置し、他方は右側から左側に下る傾斜を奥側に配置し、両傾斜は正面視にて右側で円滑に連続形成されている。
【0023】
手前側の傾斜は遊技機間に設けられた現金用遊技球貸出機(図示省略)を球皿部34の正面視、左側から受け入れて、右側に転動案内する一方、奥側の傾斜は球皿部34に受け入れた遊技球、後述する賞品球、あるいはカード式貸出機を介した貸出球などを球排出口46から受け入れて正面視、右側から左側に向かって転動案内する。
【0024】
この奥側の傾斜は、当該傾斜に沿って幅寸法を漸次、狭く形成されており、これにより、球皿部34にある遊技球がパネル部材32の裏面に配置された球送り装置(図示省略)に一列に整列させながら送り込まれる。
【0025】
また、パネル部材32の前面における左側下部には灰皿38が設けられ、右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル39が取り付けられている。
【0026】
(遊技盤の構成)
図2には本実施の形態に係る遊技盤100が示されている。
【0027】
遊技盤100は、基板として透明の平板状合成樹脂材が適用されている(以下、透明遊技盤100という)。
【0028】
透明遊技盤100は、その表面が盤面100Aとなっており、盤面100Aの外周端部付近に、円弧状の外レール102、逆流防止弁103及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102、逆流防止弁103及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置(図示省略)から発射されて、逆流防止弁103で仕切られた放出口105を飛び出して打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域101とされている。
【0029】
前記透明遊技盤100の裏面側には、少なくとも遊技領域101のほぼ全域に亘って表示面が対向する大型の液晶表示装置200が配設されている。すなわち、遊技領域101が、液晶表示装置200の表示領域201となっていて、遊技者の視野のほぼ全域が覆われる。
【0030】
遊技領域101には、遊技領域101の中心部を基準として図2の左側に、通過ゲート(スルー・チャッカー)118が配置されている。また、遊技領域101の中心部を基準として図2の下部には、特別図柄始動入賞口(スタート・チャッカー)108が配設されており、この特別図柄始動入賞口108のさらにその下方には、遊技領域101の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0031】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられており、当該開閉扉116が開放又は閉塞することによって開口又は閉口するようになっている。開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球が開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0032】
一方、遊技領域101には、ガイド部材125が配設されており、遊技球PBを遊技領域101の中央部分を流下しないように案内すると共に、透明遊技盤100の裏面側通路と前面側通路とに遊技球PBの通路が設けられたステージになっており、遊技球PBは、風車122や遊技釘123等によりステージ上に案内される。なお、このステージ上に案内された遊技球PBは、特別図柄始動入賞口108に入賞しやすくなる。
【0033】
また、遊技領域101のガイド部材125の周囲には、風車122や、遊技領域101内を自重落下する遊技球を所定の経路に誘導する多数の遊技釘123が設けられている。
【0034】
透明遊技盤100の最下位置には、外れ球を透明遊技盤100の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0035】
なお、同図に破線で示される画像は、液晶表示装置200の表示領域201に表示される画像の一例である。
【0036】
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。図3に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0037】
主制御部150には、特別図柄始動入賞口108への入賞球を検出する始動入賞センサ180、通過ゲート118への入賞球を検出する通過ゲート入賞センサ184、アタッカー112への入賞球を検出する大入賞センサ186がそれぞれ接続されており、これらの各センサは、入賞球の検出時にその検出信号を主制御部150へ出力する。なお、必要に応じて、アタッカー112内には、大当たり処理のラウンドを継続するきっかけとなるVゾーンが設けられる。アタッカー112内にVゾーンが設けられている場合には、このVゾーンを通過したことを検出するVゾーンセンサ228が配設される。
【0038】
さらに、主制御部150には、アタッカー112の開閉扉116を開放/閉塞させるソレノイド175及び保留ランプ176がそれぞれ接続されている。
【0039】
また、遊技球PBが特別図柄始動入賞口108に入賞すると、これを始動入賞センサ180で検出することで特別図柄の当たり/外れの抽選(以下「特図抽選」と呼ぶ)が主制御部150にて実行され、この特図抽選の結果が当たり(大当たり)となった場合は通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態が移行するように主制御部150にて制御する。なお、この大当たりについては、通常の当たりと、特別遊技状態の終了後に次の当たり確率がアップする確変モード、或いは図柄変動パターン時間を短縮する時短モードが付加される場合がある。
【0040】
また、主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0041】
さらに、主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とがそれぞれ接続されており、これらの制御部は主制御部150からのコマンド送信により制御される。
【0042】
演出制御部152には、図柄制御部156を介して液晶表示装置200が接続されている。また、演出制御部152は、透明遊技盤100の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子126、並びに、ガラス枠26に設けられた照明演出用の表示灯142及びエラー用の表示灯144の点灯、消灯、及び点滅を制御し、さらに、ガラス枠26前面に設けられたスピーカ146L、146Rを作動させて効果音等の出力を制御する。
【0043】
この演出制御部152に制御される液晶表示装置200には、特図抽選の結果を報知するための図柄変動パターンの演出映像が表示され、スピーカ146L、146Rからはその図柄変動パターン演出時のBGMが出力される。これにより、遊技者は、視覚及び聴覚を通じて、特図抽選の結果に対応した演出図柄による演出を楽しむことができる。なお、保留ランプ176による表示内容は、この液晶表示装置200で表示するようにしてもよい。
【0044】
図柄変動パターンには、特別図柄変動パターン及び演出図柄変動パターンがあり、双方共に特図抽選の結果を報知するものであるが、特別図柄変動パターンは予め定められた変動及び停止を行い特図抽選の結果を所定時間経過後に正式に報知する性質のものであるのに対し、演出図柄変動パターンはその特図抽選の結果を報知するまでの過程に演出を加味し、当たり/外れかに一喜一憂させながら報知する性質のものである。
【0045】
ここで、特図抽選の結果が「大当たり」となり、液晶表示装置200における図柄変動パターン演出並びにスピーカ146L、146RからのBGM出力によって、そのことを報知し終えると、特別遊技状態である大当たり処理が実行される。
【0046】
この大当たり処理は、アタッカー112が所定回数(ラウンド)開放するものであり、1ラウンドの開放時間は約30秒とされ、この間に最大10個の遊技球PBが入賞可能となる。すなわち、時間制限である30秒、或いは数制限である10個の何れか一方が先に満足されると、そのラウンドは終了となり、次ラウンドに移行する。
【0047】
このため、特別遊技状態では、通常遊技状態よりも短期間で多くの入賞が期待され、遊技者にとって有利な遊技状態とすることができる。
【0048】
また、前述したように、液晶表示装置200において、図柄変動パターン演出を実行中に新たに特別図柄始動入賞口108に入賞した場合、並びに大当たり処理中に特別図柄始動入賞口108に入賞した場合、保留ランプ176の点灯数がその入賞数に応じて最大4個まで増える。
【0049】
一方、前回の図柄変動パターン演出が終了する、或いは大当たり処理が終了すると、液晶表示装置200では、保留分の特図抽選結果を報知するために、新たな図柄変動パターン演出が開始される。これに伴い、保留ランプ176が1個消灯し、保留分の消化を遊技者に報知する。
【0050】
また、払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置40が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者による発射ハンドル39(図1参照)の操作により発射装置40を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、発射ハンドル39の操作量に応じた発射力を制御する。
【0051】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータへ送信するようになっている。
【0052】
ここで、本実施の形態では、図柄変動パターン演出として、液晶表示装置200の一部の変動領域内において、複数列の図柄をスクロール表示し、その後に停止表示する演出を行っている。そして、当該演出により停止表示した図柄の組み合わせによって特図抽選の結果を報知するようにしている。
【0053】
図4には、図柄変動パターン演出実行時の液晶表示装置200の表示状態の一例が示されている。同図に示されるように、本実施の形態では、上記変動領域(図柄表示領域)203を明確にすべく、背景画像と変動領域203との境界に対応する位置に、視覚的に明確な区切りあるいは仕切りとなるように差異をもたせた仕切り画像を配置して、図柄Pのスクロール方向の変動領域203の境界部分が明確になるようにしている。なお、同図では、図柄Pは、背景画像が表示されている表示領域201の中の変動領域203内を矢印Sで示すスクロール方向に移動するようになっている。
【0054】
同図に示す例では、変動領域203のスクロール方向S上流側の境界には、仕切り画像としてヤシの木の葉の画像310を配置し、スクロール方向S下流側の境界には、仕切り画像として道路の画像320を配置している。
【0055】
このように背景画像を構成することにより、表示領域201の背景画像と変動図柄とを違和感なく、かつ、変動領域203の境界を把握可能に表示することができる。
【0056】
図5には、一例として、図4に示される画像の構成が示されている。同図に示されるように、背景206Aに図柄Pが縦方向にスクロールする変動画面206Bを重ねて表示し、更に変動領域203の上下方向の境界を示す画像を含んで構成されたフレーム206Cを重ねて表示したように見える。
【0057】
なお、実際には、3枚の画像が重ねて表示されているのではなく、フレーム206Cとして示した画像は背景画像206Aに含まれており、この背景画像に、図柄Pが変動領域203内をスクロールする変動画像が重ねて表示されている。
【0058】
また、本実施の形態では、変動領域の形状、大きさや位置を、演出の内容に応じて異ならせるようにしている。
【0059】
図6には、一例として、図4に示した演出画像が液晶表示装置200に表示されたときの遊技領域101のほぼ全体像が示されている。なお、図6以下図8までの各図において、図2と同じ構成部品については同一の番号を付し、各実施形態において特段の理由がないものについては、明細書中での説明は省略している。同図に示す例では、スクロール方向S上流側の仕切り画像310の位置は、遊技球PBの流れをガイドするガイド部材125に対応する部位よりも下方に表示するようにしている。また、スクロール方向S下流側の仕切り画像320の位置は、ガイド部材のステージ125S上に案内されて、その中央部の最頂部125Tに載置された際の遊技球PBの中心よりも上方に表示するようにしている。
【0060】
すなわち、透明遊技盤100上の変動領域203Aに対応する位置、言い換えれば変動領域203Aと面法線上で対面する領域には、風車122、遊技釘123、ガイド部材125等の遊技盤構成物を配設しないようにして、遊技球PBが通過できないように構成し、変動領域203Aを遊技球PBが遮ることがないようにしている。
【0061】
なお、図6に示す変動領域203Aは図4に示す変動領域203と同一のものであるが、後述する他の実施形態との比較上、別の記号203Aを使用している。そのため、図4に示した境界部分203a、203b、203c、203dについてもそれぞれ境界部分203Aa、203Ab、203Ac、203Adと記載しているが、同一のものである。
【0062】
このようにして、図柄Pの変動領域203Aの図柄スクロール方向Sの上下双方における視認性を確保し、図柄の変動表示をより違和感なく認識することができるようにしている。
【0063】
また、図7には、一例として、スクロール方向Sが液晶表示装置200の左右方向(横方向)である場合の演出画像が液晶表示装置200に表示されたときの遊技領域101が示されている。
【0064】
同図に示されるように、本実施の形態では、横方向にスクロールする図柄Pの仕切り画像350、360として、潜水艦の窓枠を表示し、図柄Pを潜水艦の窓から見える海中を移動する魚等に見立てて演出表示している。仕切り画像350は、遊技球PBの流れをガイドするガイド部材125の左側の延長ガイド125Lの配設位置よりも外側、すなわち更に左側の通過ゲート118、風車122、釘123と対向する位置に表示されるようになっている。
【0065】
また、仕切り画像360の位置も図6の境界部分203Adの位置よりも更に右側に移動し、境界部分203Bdを右側の延長ガイド125Rの近傍に位置するように構成している。更に、横方向ほど大きくはないが、境界部分203Baも図6に示す境界部分203Aaよりも上方に位置させて液晶表示装置200の上辺200aの位置ぎりぎりまで変動領域203Bを拡大し、境界部分203Bbも図6に示す境界部分203Abよりも更に下方のステージ最頂部125T近傍又はその下方まで下げて変動領域203Bを拡大させている。
【0066】
これにより、変動領域203Bの面積が上記変動領域203A(図6参照)よりも大きくなるので、図柄Pを小さくすることなく、遊技領域101内を大きく使い、図柄Pを図7に示すように上中下段3段に配列した状態で横方向にスクロール表示させることができる。
【0067】
すなわち、横方向にスクロールする場合、もしも上記図6に示す例と同じ変動領域203A内で同じ大きさの図柄Pをスクロールさせようとすると、図柄Pを1列、しかも1つしか完全な形では表示できないことになり、スクロール方向Sが把握し難いだけでなく、前後の図柄Pが表示されないことで、遊技者の遊技に対する期待感が低下することにつながりかねない。
【0068】
なお、同図に示す横スクロール表示を行なう場合も、上述した図4乃至図6に示す例と同様に、図柄Pは、矢印Sで示すスクロール方向Sに沿って上中下段3段の図柄列が右から左へ移動表示されて変動表示領域203B内に表示されるように移動され、仕切り画像360のところで変動領域203Bと仕切り画像360との境目でもある境界部分203Bdを境に仕切り画像360の背後を通過して初めて画面上に現れ遊技者に目視されるように変動表示領域203B内に現れて表示される。また、変動表示領域203Bをスクロール方向Sに沿って移動表示された図柄Pは、仕切り画像350のところで変動領域203Bとの境目でもある境界部分203Bcを境に仕切り画像350の背後を通過して表示されながら消えるように表示される。
【0069】
また、図柄Pの横スクロール表示を停止表示させる場合、本実施形態では、図8に示すように、液晶表示装置200の表示領域201のほぼ中央部かつ図柄Pの変動領域203Bのほぼ中央部に上中下3段(3行)のほぼ中央に表示されている図柄P−C1、P−C2、P−C3がそれぞれ縦1列に並んで停止表示する。そして、この変動領域203Bのほぼ中央列に停止表示した上中下段の各図柄Pの組み合わせによって、3図柄とも種類が異なる「外れ」、3図柄の内2図柄が同一で他の1図柄が異なる外れの報知である「リーチ」、3図柄とも全て同一の図柄で揃う「大当たり」等、特図抽選の結果を報知するようにしている。なお、図8の実施形態は、上中下3段の図柄P−C1、P−C2、P−C3が「3−3−3」で揃って「大当たり」となった場合の表示形態の一例を示している。
【0070】
図8に示すように、本実施形態においては、変動表示領域203Bのほぼ中央部に図柄P−C1、P−C2、P−C3が停止した際、これらの3図柄は全て図柄の一部が欠けるようなことなく変動領域203B内に完全な形態が表示される。これに対し、左列側の図柄P−L1、P−L2、P−L3及び右列側の図柄P−R1、P−R2、P−R3はいずれも図柄の一部が欠けた状態で停止する。更に詳細には、図8に示されるように、右列側の図柄P−R1、P−R2、P−R3は、変動領域203Bの境界部分203Bdを境にして仕切り画像360の背後を通って表示領域201内に現れ始めるようにそれぞれの図柄の頭部が表示され、尾部は未表示の状態で停止表示されている。
【0071】
また、左列側の図柄P−L1、P−L2、P−L3は、変動領域203Bの境界部分203Bcを境にして仕切り画像350の背後を通って表示領域201内から消えて行くように各図柄の尾部が表示され、頭部が欠けた状態で停止表示されている。これら左右列の図柄は一部が欠けた状態で停止表示されることにより、遊技者はこれらの図柄は抽選結果の報知には無関係であることを認識し易くなる。しかも、左列側の図柄P−L1、P−L2、P−L3は、いずれも透明遊技盤100上の遊技盤構成物である通過ゲート118、風車122、遊技釘123、及びガイド部材125の左側の延長ガイド125Lの少なくともいずれかの位置と重なる位置に表示されており、これら端部の図柄Pは抽選結果の報知には無関係であることを更に遊技者に印象付けることができる。
【0072】
即ち、本実施形態では、変動領域203Bの端部には、図柄Pが表示されるものの、その表示位置の対向面(面法線上で対面する位置)には、透明遊技盤100上の遊技盤構成物である通過ゲート118、風車122、遊技釘123、ガイド部材125の左側の延長ガイド125L等の遊技盤構成物が配設されているので、遊技者には、これら端部の図柄Pは抽選結果の報知には無関係であることを印象付けることができる。しかも、本実施形態では、図柄Pを遊技球PBが通過する位置に対応する液晶表示装置200の表示領域201、言い換えれば遊技盤構成物の配置位置と面法線上で対面する表示領域201の一部位置に重なる形で表示させるので、抽選結果の報知演出を行なう特別図柄のデモ演出表示を中央付近の遊技者に見やすい位置で、より広範囲の表示領域を使って実行することができる。また、変動領域203Bの端部に表示される図柄Pは、それぞれその一部が欠けた状態で表示されることにより、これらの図柄は抽選結果の報知には無関係であることを更に遊技者に自然に認識させることができる。
【0073】
ただし、遊技者の誤解を避けるためには、両端部の図柄Pを一部が欠けた状態で表示するほか、上中下段の全図柄を同一図柄で揃える等特図抽選の結果当選したことを示す組合せは両端部には表示させないように制御することが好ましい。
【0074】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0075】
パチンコ機10による遊技では、遊技者が発射ハンドル39を操作すると、一体皿30の球皿部34に貯えられている遊技球は球送り装置により一球ずつ発射装置40に供給され、発射装置40によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って透明遊技盤100の遊技領域101に打ち込まれ、風車122、遊技釘123、ガイド部材125等の遊技盤構成物によって方向を変えながら遊技領域101内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域101の下端部に至った遊技球はアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0076】
また、遊技球PBが特別図柄始動入賞口108へ入賞すると、特別図柄の当たり/外れの抽選処理が実行され、その抽選結果は、液晶表示装置200の下部の一部の領域では、2個の特別図柄が所定のパターンで変動されその変動パターンを経た停止図柄の組み合わせによって表示される。また、この表示に伴い、液晶表示装置200のほぼ全域では、演出図柄が所定のパターンで変動されその変動パターンを経て停止表示される。この演出図柄変動パターンの演出映像には、例えば、リーチを経た当たり図柄の表示又は外れ図柄の表示、あるいはリーチなしの外れ図柄表示など、様々な演出や趣向を加味した数多くのパターンが用意されており、遊技者は、それらの演出を受け特別図柄の抽選結果を期待感も持って観察する。
【0077】
本実施の形態では、図柄変動パターンが表示領域201内の変動領域203を図柄Pがスクロールするものである場合には、変動領域203に応じて背景画像を予め設定すると共に、演出の内容に応じて、変動領域203の形状及び大きさを変更する。
【0078】
すなわち、図柄Pを縦方向にスクロール表示させる演出の場合には、図6に示されるように、変動領域203Aを略矩形状としており、背景画像の変動領域203Aの境界に相当する位置に、仕切り画像310として椰子の木の葉の画像を、仕切り画像320として道路の画像を表示する。
【0079】
また、図柄Pを横方向にスクロール表示させる演出の場合には、図7に示されるように、変動領域203Bを略円形状としており、背景画像の変動領域203Bの境界に相当する位置に、仕切り画像350、360として潜水艦の窓枠の画像を表示する。
【0080】
これにより、遊技者は、演出内容に応じて変化する変動領域203の形状や大きさを、背景画像と違和感なく、かつ容易に把握することができる。
【0081】
さらに、図6及び図7に示されるように、変動領域203の形状や大きさだけでなく、仕切り画像や図柄Pも異ならせることにより、演出パターンの違いを強調することで、より多種多様な演出画像表示が可能である。
【0082】
なお、本実施の形態では、通常は縦方向スクロール表示の演出パターンを表示させ、スーパーリーチ演出やノーマルリーチ演出に移行する可能性や確変モードや時短モードに移行する可能性を予告演出画像により報知し、確変モードでは横方向スクロール表示の演出パターンを表示させるなど、遊技状態によって演出パターンを選択する。
【0083】
ここで、特図抽選の結果を報知し終えると、大当たりの場合には、特別遊技状態である大当たり処理が実行される。
【0084】
この大当たり処理は、アタッカー112が所定回数(ラウンド)、所定時間、開放する。一般的には、1ラウンドの開放時間は約30秒、この間に最大10個の遊技球が入賞、或いは30秒経過、何れか一方が先に満足されると、そのラウンドは終了となり、次ラウンドに移行する。これが、約15ラウンド継続されるため、特別遊技状態では、通常遊技状態よりも短期間で多くの入賞が期待され、遊技者にとって有利な遊技状態とすることができる。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態によれば、液晶表示装置200の表示領域201内において、図柄Pを横スクロール表示する際に、変動領域203Bと背景画像との境界部分に表示される図柄Pの一部が透明遊技盤100上の遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御しているので、抽選結果の報知に必要な図柄Pの表示演出に支障のない範囲で可能な限り図柄Pを大きく表示しつつ遊技者に見易い表示演出を実現できる。
【0086】
なお、本実施の形態に係る遊技機10の構成(図1乃至図3参照)や演出画像(図4乃至図9参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施の形態に係る透明遊技盤を示す正面図である。
【図3】実施の形態に係るパチンコ機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】図柄変動パターンに基づく画像が表示された液晶表示装置の表示領域を示す図である。
【図5】図4に示される画像の構成を説明する図である。
【図6】液晶表示装置に図柄が縦方向にスクロールする演出画像の一例が表示された場合の遊技領域を示す図である。
【図7】液晶表示装置に図柄が横方向にスクロールする演出画像の一例が表示された場合の遊技領域を示す図である。
【図8】液晶表示装置に図柄が横方向にスクロールする演出画像の一例が停止表示された場合の遊技領域を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
PB 遊技球
10 パチンコ機
100 透明遊技盤(遊技盤)
101 遊技領域
118 通過ゲート(遊技盤構成物)
122 風車(遊技盤構成物)
123 遊技釘(遊技盤構成物)
125 ガイド部材(遊技盤構成物)
152 演出制御部(表示制御手段)
200 液晶表示装置(画像表示装置)
201 表示領域
203 変動領域(図柄表示領域)
310 仕切り画像
320 仕切り画像
330 仕切り画像
340 仕切り画像
350 仕切り画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として遊技者に対向する表面側の遊技領域に遊技球の流下方向を制限及び案内する複数の遊技盤構成物が設けられ、所定の透過度の光透過性材質で形成された遊技盤と、
前記遊技盤の裏面側に配設され、前記遊技盤の前記遊技領域に対応する領域を含む表示領域を有し、停止表示の状態により遊技の抽選結果に対応する報知を行なう図柄を表示するための画像表示装置と、
前記画像表示装置の表示領域の一部を前記図柄を変動表示するための図柄表示領域として構成し、前記図柄表示領域内において変動表示される前記図柄を前記表示領域に表示される背景画像の前面に重ね合わせるように表示させるように制御する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記図柄を水平方向に移動させるように表示する際に、前記図柄表示領域と背景画像との水平方向の境界部分に表示される図柄の一部が前記遊技盤上の前記遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置に表示されるように制御することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記遊技盤構成物が設けられている位置と面法線上で対面する位置には、前記抽選結果に対応する図柄が停止表示されないように制御することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記図柄表示領域内に複数の図柄を表示し、前記抽選結果に対応する表示を行う図柄は図柄全体を前記図柄表示領域内に停止表示させる一方、前記抽選結果に対応する表示を行わない図柄は、一部が前記仕切り画像の背後に表示されているように表示することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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