説明

遊技機

【課題】停電後に図柄を再表示することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】電源再入時にバックアップエリア13bにデータが有効に記憶されている場合には、主制御基板Cは、表示用制御基板Dへ電源復帰コマンド40、左又は右図柄指定コマンド34〜37、客待ちコマンド41の順番で制御用コマンドを送信する。その際、表示用制御基板Dは、図柄制御のコマンドを受信しても電源復帰フラグ23dがオンされているので、エラー信号を出力する処理がスキップされる。その後、客待ちコマンド41を受信することにより、電源断前にオンされていた左又は右図柄フラグ23b,23cに対応する左又は右図柄LED7a,7bを点灯することができる。更に、全図柄停止コマンド38を受信していないので、外部(コネクタ20等)に試射試験情報を出力することなく、電源断前に表示されていた図柄を電源再入時に再表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどに代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコ機は、停電した場合を考慮してバックアップ手段が設けられている。かかるバックアップ手段は、主に、パチンコ機の遊技を制御する主制御基板や、球の払い出しを管理する払出制御基板等に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図柄等の識別情報の変動表示を管理する表示用制御基板は、パチンコ機のコスト削減のためにバックアップ手段が設けられていない。また、主制御基板から表示用制御基板へ送信されるコマンドのうち、図柄の変動表示(図柄の指定または指示)を実行させるコマンドは、パチンコ機の停電後の復電処理時には送信されない。従って、停電後に電源を再投入(復電処理を実行)しても、停電前に表示されていた図柄を再表示することができないという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、停電後に図柄を再表示することができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、識別情報を表示する表示装置と、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、前記主制御手段から送信される制御用コマンドに基づいて前記表示装置により識別情報の動的表示を行わせる表示用制御手段とを備えており、前記主制御手段は、電源入時の復電処理において、前記バックアップ記憶手段に記憶されているデータに基づいて前記表示用制御手段へ制御用コマンドを送信し、前記表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を再表示させるものである。
この請求項1記載の遊技機によれば、主制御手段は、停電が発生すると、バックアップ記憶手段に電源断前のデータを保持させて、電源入時の復電処理において、表示用制御基板にバックアップ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御用コマンドを送信して、表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を再表示させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の遊技機によれば、主制御手段は、バックアップ手段に記憶されているデータに基づいて表示用制御手段に制御用コマンドを送信し、電源断前に表示装置に表示されていた識別情報を再表示させることができる。よって、停電後も遊技者に違和感を与えることなく、遊技を再開することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】主制御基板から表示用制御基板へ送信される制御用コマンドのコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。(a)は、変動パターン指定コマンドを示した図であり、(b)は、左および右図柄指定コマンドを示した図であり、(c)は、全図柄停止コマンドを示した図であり、(d)は、その他のコマンドを示した図である。
【図4】表示用制御基板のエラー出力パターンのエラー表を示した図である。
【図5】主制御基板で実行されるNMI割込処理のフローチャートである。
【図6】主制御基板で実行される立ち上げ処理のフローチャートである。
【図7】主制御基板で実行される表示用制御基板チェック処理のフローチャートである。
【図8】表示用制御基板で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。
【図9】表示用制御基板で実行される普通図柄表示処理のフローチャートである。
【図10】第2実施例の表示用制御基板で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。
【図11】第3実施例の主制御基板で実行される表示用制御基板チェック処理のフローチャートである。
【図12】第3実施例の表示用制御基板で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0008】
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」と略す)3が設けられている。このLCD3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向へスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0009】
LCD3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が配設され、球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCD3の変動表示が開始される。この図柄作動口4の両脇には、開閉弁4aが配設されている。この開閉弁4aは、後述する普通図柄表示装置7の左図柄LED(マル図柄)7aが点灯された状態(普通図柄当たり状態)になると、球が図柄作動口4へ入賞し易いように所定時間(例えば、約0.3秒または約1.9秒)経過するまで、及び、所定回数(例えば、1回または3回)開放されるものである。
【0010】
図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞し易いように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0011】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
【0012】
LCD3の両側には、普通図柄変動始動口6が設けられている。この普通図柄変動始動口6を球が通過すると、普通図柄表示装置7が変動表示を開始するように構成されている。普通図柄表示装置は、LCD3の上方に配設されており、この普通図柄表示装置7には、マルの図柄が表示された左図柄LED7aと、バツの図柄が表示された右図柄LED7bとが設けられている。球が普通図柄変動始動口6のいずれかを通過すると、普通図柄表示装置7の変動表示が開始され、その変動表示が終了したときに左図柄LED7aのマル表示が点灯されると、上記したように、図柄作動口4の開閉弁4aが所定時間および所定回数開放される。
【0013】
図2は、かかるパチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置であるMPU11と、そのMPU11により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM12と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM13とが搭載されている。図5から図7に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM12内に記憶されている。
【0014】
RAM13は、送信バッファ13aと、バックアップエリア13bとを備えていると共に、バックアップ用のコンデンサ(電池)18が接続されてバックアップ可能に構成されている。送信バッファ13aは、LCD3の変動表示の制御のために、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドを記憶するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されているので、この送信バッファ13aも2バイトで構成される。送信バッファ13aへセット(書き込み)された制御用コマンドは、タイマ割込処理によって1バイトずつ表示用制御基板Dへ送信される。
【0015】
バックアップエリア13bは、コンデンサ(電池)18によってバックアップされ、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機Pの状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア13bへの書き込みは、電源断時に行われるNMI割込処理の中で実行され(図5のS1〜S3参照)、逆にバックアップエリア13bに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の立ち上げ処理の中でバックアップが有効と判断された場合に実行される(図6のS13〜S15参照)。
【0016】
図2に示すように、これらMPU11、ROM12、RAM13は、バスライン14を介して互いに接続されており、バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。この入出力ポート15は表示用制御基板Dや他の入出力装置16と接続されている。主制御基板Cは、入出力ポート15を介して、表示用制御基板Dや他の入出力装置16へ各種コマンドを送信し、それら各装置を制御する。なお、主制御基板Cと表示用制御基板Dとの接続は、入力および出力が固定的な2つのバッファ(インバータゲート)17,28を介して行われている。よって、主制御基板Cから表示用制御基板Dへの一方向にのみ行われ、表示用制御基板Dから主制御基板Cへ制御用コマンド等を送信することはできない。
【0017】
表示用制御基板Dは、MPU21と、プログラムROM22と、ワークRAM23と、ビデオRAM24と、キャラクタROM25と、画像コントローラ26と、出力ポート27と、入出力ポート29とを備えている。入出力ポート29にはインバータゲート28の出力が接続される他、MPU21、プログラムROM22、ワークRAM23を接続するバスラインと、この表示用制御基板Dを試験機19と接続するためのコネクタ20と、普通図柄表示装置7の左図柄LED7a(マル図柄)及び右図柄LED7b(バツ図柄)とが接続されている。
【0018】
試験機19は、パチンコ機Pの生産販売前に、パチンコ機Pが設計値通りに動作するか否がを調べるためのものである。試験機19は、コネクタ20を介して表示用制御基板Dに接続されており、適切な制御用コマンドの受信や普通図柄の変動表示を試験するために設けられている。
【0019】
表示用制御基板DのMPU21は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、プログラムROM22には、このMPU21により実行される各種の制御プログラムが記憶されている。図8及び図9に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてプログラムROM22内に記憶されている。
【0020】
ワークRAM23は、MPU21による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、受信バッファ23aと、左図柄フラグ23bと、右図柄フラグ23cと、電源復帰フラグ23dとを備えている。受信バッファ23aは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドを受信するためのバッファである。制御用コマンドは2バイトで構成されるので、受信バッファ23aも同様に2バイトで構成される。
【0021】
左図柄フラグ23b及び右図柄フラグ23cは、図3(b)に示す左および右図柄2指定コマンド35,37を受信するとオンされるフラグである。この左図柄フラグ23bがオンされると、普通図柄表示装置7の左図柄LED7aが点灯され、左図柄フラグ23bがオフされている場合は、左図柄LED7aが消灯されるように構成されている。同様に、右図柄フラグ23cがオンされると、右図柄LED7bが点灯され、右図柄フラグ23cがオフされている場合は、右図柄LED7bが消灯されるように構成されている。なお、左または右図柄フラグ23b,23cは、表示用制御基板Dが主制御基板Cから左図柄2指定コマンド35または右図柄2指定コマンド37を受信したタイミングでオンされる。
【0022】
電源復帰フラグ23dは、通常の処理においてはオフされており、停電等により電源が切断された後の電源再投入時に主制御基板Cから電源復帰コマンド40を受信した場合にオンされるフラグである。電源復帰フラグ23dがオンされると、図8に示すエラー信号を出力する処理がスキップされる(図8、S38〜S40参照)。一旦オンされた電源復帰フラグ23dは、表示用制御基板Dが全図柄停止コマンド38を受信してコネクタ20に図柄確定時の試射試験情報を出力した場合や(図8、S41〜S43参照)、図9に示す普通図柄表示処理(S47)において、客待ちコマンドを受信した場合に(図9、S51及びS52)、オフされる。
【0023】
ビデオRAM24は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM24の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM25は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ26は、MPU21、ビデオRAM24、出力ポート27のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM24に記憶される表示データをキャラクタROM25を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。また、出力ポート27の入力には画像コントローラ26が接続され、その出力ポート27の出力にはLCD3が接続されている。
【0024】
次に、図3から図7を参照して、普通図柄表示装置7で行われる変動表示の制御のために、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドについて説明する。制御用コマンドは、変動パターン指定コマンド31〜33と、左図柄指定コマンド34,35と、右図柄指定コマンド36,37と、全図柄停止コマンド38と、電源投入コマンド39と、電源復帰コマンド40と、客待ちコマンド41とによって構成される。なお、制御用コマンドは2バイトで構成されるので、その1バイト目と2バイト目のコマンドコードを区別するために、1バイト目のコマンドコードは最上位ビットがセットされ、2バイト目のコマンドコードは最上位ビットがリセットされている。
【0025】
図3は、普通図柄に関する制御用コマンドのコマンドコードと、そのコマンド内容とを示した図である。なお、変動パターン指定コマンド31〜33、左および右図柄指定コマンド34〜37、及び、全図柄停止コマンド38は、図柄制御に関するコマンドである。
【0026】
図3(a)は、変動パターン指定コマンド31〜33のコマンドコードとコマンド内容とを示した図である。変動パターン指定コマンド31〜33は、変動表示を開始させると共に、変動表示の開始から終了までの変動時間を指定するためのコマンドである。1バイト目のコマンドコードは「CAH」とされており、図3(a)に示すように3種類の変動パターンが用意されている。
【0027】
図3(b)は、左図柄指定コマンド34,35と、右図柄指定コマンド36,37のコマンドコードとそのコマンド内容とを示した図である。左および右図柄指定コマンド34〜37は、変動パターン指定コマンド31〜33で指定された変動パターンの変動表示の終了時に、普通図柄表示装置7の左図柄LED7aまたは右図柄LED7bにそれぞれ停止表示される図柄を指定するためのコマンドである。左および右図柄指定コマンド34〜37は、変動パターン指定コマンド31〜33が送信され変動表示が開始された後に、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される。
【0028】
この左および右図柄指定コマンド34〜37は、変動パターン指定コマンド31〜33と同様に2バイトで構成されている。左図柄1または2指定コマンド34,35の1バイト目のコマンドコードは「9AH」とされている。2バイト目のコマンドコードが「10H」である場合は、左図柄1指定コマンド34が指定されているので、左図柄が停止するとき左図柄LED7aを消灯して「マル消灯」を表示する。一方、2バイト目のコマンドコードが「11H」である場合は、左図柄2指定コマンド35が指定されているので、左図柄が停止するとき左図柄LED7aを点灯させて「マル点灯」を表示する。なお、右図柄1または2指定コマンド36,37についても同様である。
【0029】
図3(c)は、全図柄停止コマンド38のコマンドコードとそのコマンド内容とを示した図である。全図柄停止コマンド38は、2バイトで構成され、左および右図柄LED7a,7bに指定した図柄を停止表示(確定表示)させるためのコマンドである。表示用制御基板Dが全図柄停止コマンド38を受信すると、左および右図柄指定コマンド34〜37のいずれかによりオンされている左または右図柄フラグ23b,23cによって、普通図柄表示装置7の左および右図柄LED7a,7bに停止図柄(確定図柄)が表示される。即ち、全図柄停止コマンド38により左および右図柄LED7a,7bの変動表示が終了する。全図柄停止コマンド38によって左および右図柄LED7a,7bの図柄が確定すると、変動パターン指定コマンド31〜33によって開始された一連の変動表示が終了する。
【0030】
表示用制御基板Dは、全図柄停止コマンド38を受信すると、上述した試験機19(コネクタ20)に全図柄停止コマンド38を受信したことによる図柄確定時の試射試験情報(確定信号)を出力する。
【0031】
図3(d)は、上記したコマンド(図柄制御のコマンド31〜38)以外の制御用コマンドである電源投入コマンド39と、電源復帰コマンド40と、客待ちコマンド41とのコマンドコードとそのコマンド内容とを示した図である。電源投入コマンド39は、主制御基板Cが初期化処理(図6のS8参照)を実行した後、表示用制御基板Dを初期化するために、その表示用制御基板Dへ送信されるコマンドである。表示用制御基板Dはこの電源投入コマンド39を受信すると、RAMクリア等の初期化処理を実行する(図8のS48参照)。
【0032】
電源復帰コマンド40は、何らかの原因(停電等)で主制御基板Cの電源が断たれてしまった場合において、主制御基板Cのバックアップエリア13bに記憶されているデータが有効であったとき、後述する表示用制御基板チェック処理(S13)で、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ最初に送信される制御用コマンドである。表示用制御基板Dがこの電源復帰コマンド40を受信すると、RAMクリア等の復電時コマンド処理を実行すると共に、電源復帰フラグ23dをオンする(図8のS45及びS46参照)。
【0033】
客待ちコマンド41は、主制御基板Cの復電処理(図7に示す表示用制御基板チェック処理)時に全図柄停止コマンド38の代わりに主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信されるコマンドである。この客待ちコマンド41は、全図柄停止コマンド38を受信していなくても、表示用制御基板Dに停電前にオンされていた図柄フラグ23b,23cに基づいて普通図柄表示装置7の左または右図柄LED7a,7bを点灯させるものである。また、表示用制御基板Dは、図8に示すように、この客待ちコマンド41を受信した場合には、エラー信号を出力しないと共に、コネクタ20に図柄確定時の試射試験情報を出力することなく、電源断前に普通図柄表示装置7に表示されていた図柄を再表示する。なお、エラー信号とは、図柄制御に関するコマンド31〜38が適切な順番で受信しなかった場合等に、外部(試験機19等)に異常があったことを示す信号のことである。
【0034】
図4は、表示用制御基板Dのエラー出力パターンのエラー表42を示した図である。表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信される制御用コマンドが適切(正常)な順番で受信されない場合や、その受信の時期(タイミング)が適切でない場合や、制御用コマンドの値が予め定められた範囲外の値である場合、更には、制御用コマンドに欠落がある場合等に、受信した制御用コマンドが適正でないと判断してエラー信号を出力する。なお、制御用コマンドの適切な順番(正常)とは、変動表示を行う場合に、変動パターン指定コマンド31〜33を受信し、その後、左または右図柄指定コマンド34〜37を受信して、その後、全図柄停止コマンド38を受信する順番である。
【0035】
「No.1」は、表示用制御基板Dが、変動パターン指定コマンド31〜33、図柄指定コマンド34〜37及び全図柄停止コマンド38を全て適切(正常)な順番で受信し、普通図柄表示装置7が正常に図柄を表示する一方、エラー信号は出力しないパターンである。「No.2」は、変動パターン指定コマンド31〜33を受信した後に全図柄停止コマンド38を受信して、全図柄停止コマンド38受信時にエラー信号を出力するパターンである。このパターンでは、変動パターン指定コマンド31〜33受信後に図柄指定コマンド34〜37を受信せずに、全図柄停止コマンド38を受信する。よって、図柄指定コマンド34〜37が欠落しているので、全図柄停止コマンド38受信時にエラー信号を出力する。
【0036】
「No.3」は、変動パターン指定コマンド31〜33および図柄指定コマンド34〜37を受信した後に、全図柄指定コマンド38を受信しないため、変動パターン指定コマンド31〜33で指定された変動時間経過後にエラー信号を出力するパターンである。「No.4」は、変動パターン指定コマンド31〜33を受信した後に、図柄指定コマンド34〜37および全図柄停止コマンド38を受信しないため、変動パターン指定コマンド31〜33で指定された変動時間経過後にエラー信号を出力するパターンである。通常、図柄指定コマンド34〜37および全図柄停止コマンド38は、変動パターン指定コマンド31〜33が指定した変動時間内に受信されるよう構成されている。しかし、上記した「No.3」および「No.4」のパターンにおいては、表示用制御基板Dは全図柄停止コマンド38を受信しないため、変動表示を停止することができない。よって、変動パターン指定コマンド31〜33が指定した変動時間が経過するまで待機し、指定された変動時間が過ぎてその間に全図柄指定コマンド38を受信していなければ、エラー信号を出力するのである。
【0037】
「No.5」は、変動パターン指定コマンド31〜33を受信せずに図柄指定コマンド34〜37および全図柄停止コマンド38を受信するため、図柄指定コマンド34〜37受信時にエラー信号を出力するパターンである。「No.6」は、変動パターン指定コマンド31〜33および図柄指定コマンド34〜37を受信せずに全図柄停止コマンド38を受信するため、全図柄指定コマンド38受信時にエラー信号を出力するパターンである。「No.7」は、図柄指定コマンド34〜37のみを受信するため、その図柄指定コマンド34〜37受信時にエラー信号を出力するパターンである。上記した「No.5」、「No.6」および「No.7」は、いずれも変動パターン指定コマンド31〜33を受信していないため、変動表示のパターンが指定されていない。その状態で図柄指定コマンド34〜37および全図柄停止コマンド38を受信しても、変動表示は開始されない。よって、これら「No.5」〜「No.7」のパターンでは、図柄指定コマンド34〜37または全図柄停止コマンド38受信時にエラー信号を出力するのである。
【0038】
次に、図5から図9に示すフローチャートを参照して、主制御基板C及び表示用制御基板Dで行われる各処理について説明する。図5は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア13bに記憶される。
【0039】
停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が断されると、図示しない停電信号が主制御基板CのMPU11のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。MPU11は、NMI端子に停電信号が入力されると、実行中の制御を中断して、図5のNMI割込処理を開始する。停電信号が出力されたあと所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように、電源回路(図示せず)からは制御系の電力が供給されており、この所定時間内に図5のNMI割込処理が実行される。
【0040】
NMI割込処理では、まず、スタックポインタの値をバックアップエリア13bへ書き込み(S1)、更に、各レジスタ及びI/O等の値をバックアップエリア13bへ書き込んで(S2)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。そして、その他停電処理を実行し(S3)、その後は、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
【0041】
図6は、パチンコ機Pの電源再入時に主制御基板Cで実行される立ち上げ処理(復電処理)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア13bに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ(図示せず)が押下された場合には、初期化処理を実行する。
【0042】
まず、割込を禁止し(S4)、次に、本来のスタック領域に記憶されているデータを壊さないために、仮のスタックポインタを設定する(S5)。そして、バックアップが有効であるか否かを確認する(S6)。この確認は、RAM13の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S6:Yes)、処理をS13へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源の断前の状態に復帰させる復電処理を実行する。一方、バックアップが有効でなければ(S6:No)、処理をS7へ移行して初期化処理を実行する。
【0043】
S7からの初期化処理では、まず、正規のスタックポインタを設定し、スタックの内容を整えた後(S7)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S8)、RAM13及びI/O等の各値を初期化する。その後、割込禁止状態のまま、電源投入コマンド39を表示用制御基板Dへ送信し(S9)、主制御基板Cで初期化処理が実行されたことを表示用制御基板Dへ報せる。表示用制御基板Dは、主制御基板Cに比べて処理が軽いので、主制御基板Cより先に立ち上げ処理(復電処理)が終了する。よって、表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信される電源投入コマンド39を確実に受信することができる。主制御基板Cは、電源投入コマンド39の送信後、その電源投入コマンド39を受信した表示用制御基板Dが初期化処理(S48)を完了するために充分な時間をウェイトするためにウェイト処理を実行して(S10)、次の処理への移行を所定時間待機する。ウェイト処理の実行後は、表示用制御基板Dも確実に立ち上がっているので、割込を許可し(S11)、処理をS12の各処理へ移行して、遊技の制御を開始する。
【0044】
S13からの復帰処理(復電処理)では、まず、表示用制御基板チェック処理を実行する(S13)。図7は、表示用制御基板チェック処理(S13)のフローチャートである。この表示用制御基板チェック処理(S13)では、まず、電源復帰コマンド39(S21)、左図柄指定コマンド34,35(S22)、右図柄指定コマンド36,37(S23)の順で各制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。その後、電源断前に普通図柄表示装置7で行われていた変動表示の状態をバックアップエリア13bを参照して確認する(S24)。
【0045】
確認の結果、電源断前(停電前)に普通図柄表示装置7で行われていた変動表示が、客待ち中(LED7a,7bのいずれかが点灯して普通図柄の変動表示が停止している状態)、及び、当たり動作中(左図柄LED7aが点灯されて普通図柄の変動表示が当たり状態となってその当たりが継続している状態)の場合は(S24:「客待ち中及び当たり動作中」)、客待ちコマンド41を表示用制御基板Dへ送信する(S25)。
【0046】
一方、電源断前(停電前)に普通図柄表示装置7で行われていた変動表示が変動中の場合は(S24:「変動中」)、その変動中が、変動表示と変動表示との間に所定時間設けられた目視時間(遊技者が普通図柄の変動表示の当たりハズレを確認する時間、停止図柄表示中)か否かを確認する(S26)。停止図柄表示中であれば(S26:Yes)、全図柄停止コマンド38を表示用制御基板Dへ送信し(S27)、停止図柄表示中でなければ(S26:No)、この表示用制御基板チェック処理を終了する。
【0047】
この表示用制御基板チェック処理(S13)の終了後は、処理を図6のS14の処理へと移し、図5のNMI割込処理でバックアップエリア13bへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア13bから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S14)。更に、バックアップエリア13bからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S15)。同様に、割込状態についても、停電発生時に実行される図5の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S16)。その後、NMI割込をリターンして、処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。これにより主制御基板Cでの復電処理を終了する。
【0048】
次に、図8及び図9を参照して、表示用制御基板Dで行われる各処理について説明する。図8は、表示用制御基板Dの割込処理で実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドが送信された場合に実行される。
【0049】
コマンド受信処理では、まず、主制御基板Cから送信されたコマンド(制御用コマンド)を受信して(S31)、その受信した制御用コマンドが範囲外のコマンドかコマンドチェック処理を行い(S32)、そのチェックにより制御用コマンドが正常であるか否かを確認する(S33)。コマンドチェック処理が正常に行われなければ(S33:No)、このコマンド受信処理を終了する。一方、コマンドチェック処理が正常に行われていれば(S33:Yes)、その制御用コマンドが電源投入コマンド39であるか否かを確認する(S34)。電源投入コマンド39を受信していれば(S34:Yes)、表示用制御基板Dの初期化処理を実行し(S48)、その後、このコマンド受信処理を終了する。
【0050】
一方、受信した制御用コマンドが電源投入コマンド39でなければ(S34:No)、その制御用コマンドが普通図柄に関するコマンドか否かを確認する(S35)。確認の結果、普通図柄に関する制御用コマンドでなく、例えば、LCD3に表示される特別図柄に関する制御用コマンドである場合は(S35:No)、その制御用コマンドに応じた各処理を実行し(S49)、このコマンド受信処理を終了する。一方、普通図柄に関するコマンドである場合は(S35:Yes)、次に、そのコマンドが図柄制御のコマンドであるか否かを確認する(S36)。このS36の処理を行うことにより、停電後に送信されてきた制御用コマンドと、通常の図柄制御のコマンドとを分けることができる。
【0051】
確認の結果、受信したコマンドが通常の図柄制御のコマンド31〜38であれば(S36:Yes)、次に、電源復帰フラグ23dがオフか否かを確認する(S37)。確認の結果、電源復帰フラグ23dがオフであれば(S37:Yes)、受信した制御用コマンドが適切な順番で受信されてきているかを確認するコマンド受信状況チェック処理を行う(S38)。コマンド受信状況チェック処理で適切な順番でコマンドが受信されていない場合は(S39:Yes)、エラー信号を試験機19(コネクタ20)に出力する(S40)。
【0052】
一方、S37の処理において、電源復帰フラグ23dがオンである場合は(S37:No)、S38からS40の処理をスキップする。この処理の詳細については後述する。更に、S39の処理において、適切な順番で制御用コマンドが受信されている場合は(S39:No)、S40の処理をスキップする。そして、受信した制御用コマンドが全図柄停止コマンド38であるか否かを確認し(S41)、確認の結果、全図柄停止コマンド38を受信していれば(S41:Yes)、コネクタ20に全図柄停止コマンド38を受信したことによる図柄確定時の試射試験情報を出力し(S42)、電源復帰フラグ23dがオンされている場合はオフする(S43)。その後、普通図柄表示処理を実行して(S47)、そのコマンド受信処理を終了する。なお、普通図柄表示処理(S47)については図9において詳細に説明する。
【0053】
一方、S36の処理において、受信したコマンドが図柄制御のコマンド、即ち、変動パターン指定コマンド31〜33、左または右図柄指定コマンド34〜37および全図柄指定コマンド38でなく、停電後に送信された復電用の制御用コマンドであれば(S36:No)、その制御用コマンドが電源復帰コマンド40か否かを確認する(S44)。電源復帰コマンド40でなければ(S44:No)、残りの制御用コマンドである客待ちコマンド41が受信されているので、普通図柄表示処理を行い(S47)、このコマンド受信処理を終了する。一方、電源復帰コマンド40であれば(S44:Yes)、RAMクリア等の復電時コマンド処理を行い(S45)、その後、電源復帰フラグ23dをオンして(S46)、このコマンド受信処理を終了する。
【0054】
次に、図9において、上述した普通図柄表示処理(S47)について説明する。図9は、普通図柄表示処理(S47)を示したフローチャートである。この普通図柄表示処理(S47)は、まず、受信したコマンドが客待ちコマンド41か否かを確認する(S51)。確認の結果、客待ちコマンド41を受信していれば(S51:Yes)、オンされている電源復帰フラグ23dをオフする(S52)。そして、オンされている図柄フラグ23b,23cに対応するLED7a,7bを点灯させて(S53)、この普通図柄表示処理を終了する。
【0055】
一方、S51の処理において、客待ちコマンド41を受信していなければ(S51:No)、全図柄停止コマンド38を受信したか否かについて確認する(S54)。確認の結果、全図柄停止コマンド38を受信していれば(S54:Yes)、オンされている図柄フラグ23b,23cに対応するLED7a,7bを点灯させ(S63)、この普通図柄表示処理を終了する。
【0056】
一方、全図柄停止コマンド38を受信していなければ(S54:No)、変動パターン指定コマンド31〜33を受信したか否かについて確認する(S55)。確認の結果、変動パターン指定コマンドを受信していれば(S55:Yes)、普通図柄の変動表示を設定して(S64)、この普通図柄表示処理を終了する。
【0057】
一方、受信した制御用コマンドが変動パターン指定コマンド31〜33でなければ(S55:No)、受信した制御用コマンドは図柄指定のコマンドであるので、受信した図柄指定コマンド34〜37の種類を確認する(S56)。ここで、左図柄1指定コマンド34が受信していれば(S56:「左図柄」,S57:Yes)、左図柄フラグ23bをオフする(S58)。また、左図柄2指定コマンド35を受信していれば(S56:「左図柄」,S57:No)、左図柄フラグ23bをオンする(S59)。一方、右図柄1指定コマンド36を受信していれば(S56:「右図柄」,S60:Yes)、右図柄フラグ23cをオフする(S61)。また、右図柄2指定コマンド37を受信していれば(S56:「右図柄」,S60:No)、右図柄フラグ23cをオンする(S62)。S58〜S62の処理の終了後は、この普通図柄表示処理を終了する。
【0058】
ここで、停電発生後の電源入時に、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ最初に送信される制御用コマンドは、図7の表示用制御基板チェック処理(S13)で示したように、電源復帰コマンド40が送信される。そうなると表示用制御基板Dは、図8の、S35→S36→S44→S45→S46の経路の処理を実行する。この経路の処理を実行すると、電源復帰フラグ23dがオンされた状態で一旦コマンド受信処理を終了する。そして、次に表示用制御基板Dに送信される制御用コマンドは、左または右図柄指定コマンド34〜37であると共に電源復帰フラグ23dがオンされているので、図8の、S35→S36→S37→S41→S47の経路の処理を実行し、図9の、S51→S54→S55→S56→「S57又はS60」→「S58,S59,S61又はS62」の経路の処理を実行して、この普通図柄表示処理(S47)および図8のコマンド受信処理を終了する。
【0059】
この処理の後に表示用制御基板Dに送信される制御用コマンドは、客待ちコマンド41又は全図柄停止コマンド38である。客待ち中および当たり動作中であった場合には、客待ちコマンド41が表示用制御基板Dへ送信され、図8の、S35→S36→S44→S47の経路の処理を実行し、図9の、S51→S52→S53の経路の処理を実行して、この普通図柄表示処理(S47)およびコマンド受信処理を終了する。以上のことから、停電等による電源断後の電源再入時には、上記した経路の処理により、エラー信号を出力することなく、かつ、コネクタ20に図柄確定時の試射試験情報を出力することなく、電源断前に普通図柄表示装置7に表示されていた図柄を再表示することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施例のパチンコ機Pによれば、停電の発生等による電源断時には、その電源断前に普通図柄表示装置7に表示されていた図柄を主制御基板Cのバックアップエリア13bに書き込む。電源再入時にそのバックアップエリア13bにデータが有効に記憶されている場合には、主制御基板Cは、初期化処理を行わず、表示用制御基板Dへ電源復帰コマンド40、左または右図柄指定コマンド34〜37、客待ちコマンド41の順番で制御用コマンドを送信する。その際、表示用制御基板Dは図柄制御の制御用コマンドを受信しても、電源復帰フラグ23dがオンされているので、エラー信号を出力する処理をスキップさせる。その後、客待ちコマンド41を受信することにより、電源断前にオンされていた左または右図柄フラグ23b,23cに対応する左または右図柄LED7a,7bを点灯することができる。更に、全図柄停止コマンド38を受信していないので、外部(コネクタ20)に情報を出力することなく、電源断前に表示されていた図柄を電源再入時に再表示することができる。
【0061】
次に、図10を参照して、第2実施例について説明する。前記した第1実施例では、電源復帰フラグ23dをオンすることによりエラー信号出力手段(S38〜S40)をスキップしてエラー信号を出力しないように構成されていた。これに対し、第2実施例では、電源復帰フラグ23dを使用せず、エラー信号出力手段よりエラー信号が出力されるが、外部(コネクタ20)に図柄確定時の試射試験情報を出力することなく、電源再入時に図柄を再表示することができるよう構成されている。
【0062】
具体的には、図10に示すコマンド受信処理において、電源復帰コマンド40を受信していれば(S44:Yes)、RAMクリア等の復電時コマンド処理を行い(S45)、一旦このコマンド受信処理を終了する。そして、次に主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドは左または右図柄指定コマンド34〜37であるので、再びコマンド受信処理を行い、S36の図柄制御のコマンドにおいて、左または右図柄指定コマンド34〜37は図柄制御のコマンドであるので(S36:Yes)、次にコマンド受信状況チェック処理を行う(S38)。この処理において、表示用制御基板Dは、電源再入後に、変動パターン指定コマンド31〜33を受信せずに左または右図柄指定コマンド34〜37を受信しているので、図4に示すエラー出力表42のNo.5若しくはNo.7に該当してしまい(S39:Yes)、エラー信号が出力される(S40)。その後、各処理を行ってこのコマンド受信処理を再び終了させる。そして、次に主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドは客待ちコマンドであるので(図9参照、S51:Yes)、オンされている図柄フラグ23b,23cに対応する左または右図柄LED7a,7bを点灯させる(図9参照、S53)。
【0063】
従って、停電後の電源再入時において、全図柄停止コマンド38を用いずに客待ちコマンド41を用いることにより、図柄確定時の試射試験情報を出力するS42の処理をスキップすることができ、たとえエラー信号を出力したとしても、外部(コネクタ20)に図柄確定時の試射試験情報を出力することなく、普通図柄表示処理(S47)により、電源断前に表示されていた図柄を、電源再入時に再表示することができるのである。
【0064】
次に、図11および図12を参照して、第3実施例について説明する。第3実施例では、客待ちコマンド41を使用せず、電源再入時に電源復帰フラグ23dをオンすることにより、復電時の全図柄停止コマンド38を状況において使い分けて、外部(コネクタ20)に図柄確定時の試射試験情報を出力することなく、電源再入時に図柄を再表示することができるように構成したものである。
【0065】
具体的には、図11に示す主制御基板Cで行われる表示用制御基板チェック処理において、電源復帰コマンド40、左図柄指定コマンド34,35、右図柄指定コマンド36,37の順番で制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。その後、バックアップエリア13bに記憶されているデータで、普通図柄の変動表示の状態が客待ち中及び当たり動作中(S24:「客待ち中及び当たり動作中」)、または、変動中の停止図柄表示中である場合には(S26:Yes)、全図柄停止コマンド38を表示用制御基板Dへ送信する(S27)。
【0066】
そして、図12に示すコマンド受信処理において、電源復帰コマンド40を受信することにより(S44:Yes)、電源復帰フラグ23dをオンして(S46)、一旦このコマンド受信処理を終了する。そして、次に表示用制御基板Dが受信する制御用コマンドは左図柄指定コマンド34,35であるので、S44の処理では、電源復帰コマンド40ではないので(S44:No)、次に電源復帰フラグ23dはオフか否かを確認する(S37)。ここで、電源復帰フラグ23dは先程の処理でオンされているので(S37:No)、S38〜S43の処理をスキップし、そのコマンドが変動パターン指定コマンド31〜33か否かを確認する(S71)。受信した制御用コマンドは左図柄指定コマンド34,35なので(S71:No)、S43の処理をスキップして、普通図柄表示処理(S47)を行う。
【0067】
次に、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ送信される制御用コマンドは右図柄指定コマンド36,37であるので、コマンド受信処理では左図柄指定コマンド34,35を受信した処理と同様の処理を実行する。その後、バックアップエリア13bに記憶されているデータで、普通図柄の変動表示の状態が客待ち中及び当たり動作中(S24:「客待ち中及び当たり動作中」)、または、変動中の停止図柄表示中である場合は(S26:Yes)、全図柄停止コマンド38が表示用制御基板Dへ送信される(S27)。この場合も、左または右図柄指定コマンド34〜37を受信した処理と同様の経路の処理が実行される。
【0068】
従って、復電時に電源復帰フラグ23dをオンすることにより、状況に応じて全図柄指定コマンド38を使い分けることができる。よって、エラー信号出力手段(S38〜S40)およびコネクタ20等の外部へ図柄確定時の試射試験情報を出力の処理をスキップすることができ、電源断前に普通図柄表示装置7に表示されていた図柄を電源再入時において再表示することができる。
【0069】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0070】
例えば、上記実施例では、普通図柄表示装置7を用いて、コネクタ20等に信号を出力することなく、停電後に普通図柄を再表示させるように構成した。これに代えて、LCD3を用いて、コネクタ20等に信号を出力することなく、停電後に特別図柄を再表示させるように構成しても良い。
【0071】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0072】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0073】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0074】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、前記主制御手段から受信した制御用コマンドが適正であるか否かを判断するコマンドチェック手段と、そのコマンドチェック手段により受信した制御用コマンドが適正でないと判断された場合にエラー信号を出力するエラー信号出力手段とを備えており、前記表示用制御手段は、電源入時の処理において、前記エラー信号出力手段からエラー信号を出力せずに前記表示装置に識別情報を再表示するものであることを特徴とする遊技機1。電源入時の処理において識別情報を再表示したい場合に、エラー信号出力手段からエラー信号を出力することなく、(停電等による)電源断前に表示装置に表示されていた識別情報を電源断後も表示することができる。なお、エラー信号を出力しない方法としては、例えば、フラグ等を使用して、電源断後の処理においてフラグをオンすることによりコマンドチェック手段およびエラー信号出力手段をスキップする方法や、電源入時に限りエラー信号の出力を禁止する方法等が例示される。
【0075】
遊技機1において、前記主制御手段から送信される制御用コマンドは、前記表示装置に識別情報を停止表示(確定表示)させるタイミングを指定する全図柄停止コマンドと、電源入時の処理で前記全図柄停止コマンドの代わりに識別情報(停止図柄)を前記表示装置へ停止表示(確定表示)させる客待ちコマンドとを備えており、前記表示用制御手段は、前記客待ちコマンドを受信した場合には、外部に信号を出力せずに前記表示装置に識別情報を再表示させることを特徴とする遊技機2。従来、表示用制御手段は全図柄停止コマンドを受信すると確定信号を外部(例えばコネクタ等)に出力する。また、電源入時の処理において、主制御手段は表示用制御手段に全図柄停止コマンドを送信して表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を表示するように構成されている。このため、電源入時の処理において、表示用制御手段が全図柄停止コマンドを受信すると、遊技状態を検査する試験機等に確定信号を出力してしまい、動的表示が行われていないにも拘わらず、外部に信号が出力されてしまう。そこで、電源入時の処理において、電源断前に表示装置に表示されていた識別情報を表示する場合、全図柄停止コマンドの代わりに客待ちコマンドを用いることにより、外部に信号を出力することなく表示装置に識別情報を再表示することができる。
【0076】
遊技機1において、前記主制御手段から送信される制御用コマンドは、前記表示装置に識別情報を停止表示(確定表示)させるタイミングを指定する全図柄停止コマンドと、電源が再投入された場合に処理を実行させる電源復帰コマンドとを備えており、前記表示用制御手段は、前記電源復帰コマンドを受信した後に前記全図柄停止コマンドを受信した場合は、外部に信号を出力せずに前記表示装置に識別情報を再表示させることを特徴とする遊技機3。従来、表示用制御手段は全図柄停止コマンドを受信すると確定信号を外部(例えばコネクタ等)に出力する。また、電源入時の処理において、主制御手段は表示用制御手段に全図柄停止コマンドを送信して表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を表示するように構成されている。このため、電源入時の処理において、表示用制御手段が全図柄停止コマンドを受信すると、遊技状態を検査する試験機等に信号を出力してしまい、動的表示が行われていないにも拘わらず、外部に信号が出力されてしまう。そこで、状況に応じて全図柄停止コマンドを使い分けることにより、外部に信号を出力することなく、電源入時に識別情報を再表示することができる。
【0077】
請求項1記載の遊技機において、前記表示用制御手段は、前記主制御手段から受信した制御用コマンドが適正であるか否かを判断するコマンドチェック手段と、そのコマンドチェック手段により受信した制御用コマンドが適正でないと判断された場合にエラー信号を出力するエラー信号出力手段とを備えており、前記表示用制御手段は、電源入時の処理において、前記エラー信号出力手段からエラー信号を出力すると共に、前記表示装置に識別情報を再表示するものであることを特徴とする遊技機4。エラー信号を出力しても、電源断前に表示されていた識別情報を表示することができる。
【0078】
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から4のいずれかにおいて、前記主制御手段から表示用制御手段へ送信される制御用コマンドは、電源断前に前記表示装置の表示状態(識別情報の表示態様)に応じて送信されるものであることを特徴とする遊技機5。電源断前に表示装置に表示状態(識別情報の表示態様)を、主制御手段が電源断時に記憶しておき、電源再入時に、主制御手段から表示用制御手段へ電源断前の表示装置の表示状態(識別情報の表示態様)に応じた制御用コマンドを送信することにより、表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を表示することができる。
【0079】
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記コマンドチェック手段は、前記制御用コマンドの受信の順番に誤りがある場合、前記制御用コマンドの受信の時期(タイミング)に誤りがある場合、前記制御用コマンドの値が予め定められた範囲外の値である場合、又は、前記制御用コマンドに欠落がある場合に前記受信した制御用コマンドを適正でないと判断し、前記エラー信号出力手段によりエラー信号を出力することを特徴とする遊技機6。
【0080】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6において、前記表示装置は普通図柄表示装置であることを特徴とする遊技機7。
【0081】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から6において、前記表示装置は特別図柄表示装置であることを特徴とする遊技機8。
【0082】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機9。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0083】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機10。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0084】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機11。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【符号の説明】
【0085】
3 LCD(表示装置)
7 普通図柄表示装置(表示装置)
7a 左図柄LED(表示装置)
7b 右図柄LED(表示装置)
13b バックアップエリア(バックアップ記憶手段)
38 全図柄停止コマンド(制御用コマンドの一部)
40 電源復帰コマンド(制御用コマンドの一部)
41 客待ちコマンド(制御用コマンドの一部)
C 主制御基板(主制御手段)
D 表示用制御基板(表示用制御手段)
P パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を表示する表示装置と、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、前記主制御手段から送信される制御用コマンドに基づいて前記表示装置により識別情報の動的表示を行わせる表示用制御手段とを備えた遊技機において、
前記主制御手段は、電源入時の復電処理において、前記バックアップ記憶手段に記憶されているデータに基づいて前記表示用制御手段へ制御用コマンドを送信し、前記表示装置に電源断前に表示されていた識別情報を再表示させるものであることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−227619(P2010−227619A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157531(P2010−157531)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2008−219351(P2008−219351)の分割
【原出願日】平成13年7月4日(2001.7.4)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】