説明

遊技機

【課題】不正行為や遊技機の異常を検出できる遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技球が転動する遊技面と、前記遊技面の側から前記遊技面上を撮像し、画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段により時系列的に取得した画像データに基づき、前記遊技面上に存在する物体の軌跡データを作成する軌跡データ作成手段と、前記軌跡データ作成手段により作成した軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断し、前記異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する報知信号出力手段と、を備えることを特徴とする遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、遊技者がハンドルを操作することにより遊技球を遊技面上に発射する。遊技面上には、遊技釘、風車等の多数の遊技部材や、入賞口が設けられている。遊技球は、遊技釘や遊技部材に衝突しながら遊技面上を転動し、いずれかの入賞口に入賞すると、所定数の賞球が払い出される。遊技機は、遊技に対する意欲を遊技者に継続して持たせるために、様々な演出を備える(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機に対しては、その内部に針金等を挿入したり、磁石で遊技球の速度や軌道を変えたりする等、不正行為が行われることがある。また、遊技機には、遊技面上を転動する遊技球が遊技釘や遊技部材に嵌まり込む等して、止まってしまうこと(いわゆる球詰まり)や、遊技釘が折れる等、異常が発生することがある。これらの不正行為や異常があると、正常に遊技を行うことができなくなってしまうため、早期にそれらを検出し、報知等を行う必要がある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、不正行為や遊技機の異常を検出できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1の発明は、
遊技球が転動する遊技面と、前記遊技面の側から前記遊技面上を撮像し、画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段により時系列的に取得した画像データに基づき、前記遊技面上に存在する物体の軌跡データを作成する軌跡データ作成手段と、前記軌跡データ作成手段により作成した軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断し、前記異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する報知信号出力手段と、を備えることを特徴とする遊技機を要旨とする。
【0007】
本発明の遊技機は、画像データ取得手段により、遊技面上を転動する遊技球や、不正行為により遊技機内に挿入された異物(例えば針金等)等が含まれる画像データを取得することができる。
【0008】
また、本発明の遊技機は、時系列的に取得された画像データに基づき、遊技面上に存在する物体(例えば遊技球や上述した異物)の軌跡データを作成することができる。
そして、本発明の遊技機は、軌跡データ作成手段により作成した軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断し、異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する。
【0009】
よって、本発明の遊技機は、例えば、不正行為、球詰まり、遊技機の異常等により、遊技球の軌跡が通常と異なり、その軌跡データが、異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する。そのことにより、不正行為、球詰まり、遊技機の異常等を早期に検出することができる。
【0010】
また、本発明の遊技機は、例えば、不正行為により異物が遊技機内に挿入され、その軌跡データが、異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する。そのことにより、異物を遊技機内に挿入する不正行為を早期に検出することができる。
【0011】
前記軌跡データとは、時系列的に複数取得された画像データに現れる同一の物体の座標をつなげたものである。
前記異常パターンとしては、例えば、不正行為が行われた場合、又は遊技機に異常が生じた場合に生じる遊技球の軌跡データとすることができる。また、他の異常パターンとしては、不正行為により遊技機内に挿入された異物(針金等)の軌跡データが挙げられる。
(2)請求項2の発明は、
前記異常パターンは、下記(a)〜(e)のいずれか1以上であることを特徴とする請求項1記載の遊技機を要旨とする。
(a)前記軌跡データにおいて、前記物体が所定時間以上停止している。
(b)前記軌跡データにおいて、前記物体が、前記遊技面のうち、予め設定された領域を通過する。
(c)前記軌跡データにおいて、前記物体の速度が、予め設定された範囲から外れる。
(d)前記軌跡データにおいて、前記物体の移動方向が、予め設定された範囲から外れる。
(e)前記軌跡データにおいて、前記物体の形状又は大きさが、予め設定された範囲から外れる。
【0012】
本発明は、異常パターンを例示する。上記(a)は、球詰まりが生じた場合の、遊技球の軌跡データが該当する。よって、上記(a)を異常パターンとして記憶しておけば、球詰まりを検出することができる。上記(a)は、例えば、軌跡データのうち、最後の時点でも物体が停止し続けているものとすることができる。
【0013】
上記(b)では、例えば、本来は遊技球が通過できない領域(例えば遊技釘が設けられている領域)を、予め設定された領域とすることができる。この場合、上記(b)は、異常が発生した(例えば遊技釘が折れた)ことにより、本来は遊技釘が通過できない領域を遊技球が通過した場合の軌跡データに該当する。よって、上記(b)を異常パターンとして記憶しておけば、本来は遊技球が通過できない領域を遊技球が通過したという異常(例えば、遊技釘が折れているという異常)を検出することができる。
【0014】
上記(c)、及び(d)は、例えば、磁石等により不正に遊技球の軌道、速度を変化させた場合の、遊技球の軌跡データに該当する。よって、上記(c)、(d)を異常パターンとして記憶しておけば、磁石等により不正に遊技球の軌道、速度を変化させる行為を検出することができる。上記(c)において、物体の速度が予め設定された範囲から外れるとは、例えば、物体(遊技球)の速度が、予め設定された範囲の上限を超える、又はその下限未満であることが挙げられる。また、上記(d)において、物体(遊技球)の移動方向が、予め設定された範囲から外れるとは、例えば、物体の移動方向が上向き、又は斜め上向きであることが挙げられる。
【0015】
上記(e)では、例えば、遊技球と同一又は類似する形状、大きさを、予め設定された範囲とすることができる。この場合、上記(e)は、遊技球とは形状、大きさが異なる物体の軌跡データに該当する。よって、上記(e)を異常パターンとして記憶しておけば、遊技球以外の物体(例えば不正行為に用いる針金等)が遊技機内に挿入されたという異常を検出することができる。
(3)請求項3の発明は、
前記軌跡データを出力する軌跡データ出力手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機を要旨とする。
【0016】
本発明の遊技機は、軌跡データを出力することができるので、外部でその軌跡データを見て、不正行為、遊技機の異常、球詰まりの発生を確認することができる。
(4)請求項4の発明は、
前記軌跡データに基づく画像を表示する軌跡表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機を要旨とする。
【0017】
本発明の遊技機は軌跡データに基づく画像を表示するので、遊技者は、遊技機の異常、球詰まりの発生を確認することができる。また、不正行為を行うと、その不正行為を反映した画像が表示されるので、遊技者は不正行為を行い難くなる。
【0018】
前記軌跡データに基づく画像とは、例えば、軌跡を表示する画像をいう。軌跡表示手段としては、例えば、遊技面に設けられた画像表示装置が挙げられる。
(5)請求項5の発明は、
前記軌跡データを記憶する軌跡データ記憶手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊技機を要旨とする。
【0019】
本発明の遊技機は、軌跡データを記憶しておき、所定のタイミングで軌跡データを出力したり、軌跡データに基づく画像を表示したりできる。
(6)請求項6の発明は、
画像データ取得手段は、前記遊技面に入射する光を検出する光素子を、前記遊技面上にマトリックス状に配列したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の遊技機を要旨とする。
【0020】
本発明は、画像データ取得手段を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】遊技機1の正面図である。
【図2】液晶表示装置15の構成を表す説明図である。
【図3】遊技機1が実行する異常検出処理を表すフローチャートである。
【図4】軌跡データの作成方法を表す説明図である。
【図5】異常パターンに該当する軌跡データの例を表す説明図である。
【図6】異常パターンに該当する軌跡データの例を表す説明図である。
【図7】異常パターンに該当する軌跡データの例を表す説明図である。
【図8】異常パターンに該当しない軌跡データの例を表す説明図である。
【図9】異常パターンに該当した場合の報知方法を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0023】
1.遊技機1の全体構成
遊技機1の全体構成を図1に基づいて説明する。遊技機1は、図示しない遊技場に来場した遊技者にパチンコ遊技を提供するものであって、図示しない遊技島に取り付けられる外枠3と、外枠3に開閉可能に取り付けられた内枠5と、内枠5に取り付けられ、遊技者に対面して配置された遊技盤7と、遊技者が遊技行為を行うために遊技盤7上に遊技球8を発射するためのハンドル9と、遊技盤7における遊技行為の結果として提供される賞品、ここでは遊技球8(賞品として払い出される遊技球8を賞品球と言う。)を貯留する上受け皿11と、上受け皿11から排出される遊技球8を受ける下受け皿13を備えている。また、内枠5は、その正面側にガラス扉14を備えている。ガラス扉14は、遊技盤7との間に所定の間隔をおいて、遊技盤7をカバーしている。
【0024】
遊技者に対面する遊技盤7の正面側の表面(以下、遊技面7aとする)には、全面にわたって、液晶表示装置15が設置されている。液晶表示装置15については後述する。また、遊技盤7は、遊技球8が通過すると、普通図柄遊技用の普通図柄始動信号を出力する機能を有する普通図柄始動ゲート17と、普通図柄始動信号が出力されると、普通図柄を所定時間変動表示してから、所定の普通図柄を確定表示する普通図柄表示装置19と、普通図柄遊技の保留数を表示する普通図柄記憶表示装置20とを備えている。
【0025】
また、遊技盤7は、普通電動役物(電動チューリップ)21を備えている。普通電動役物21は、開閉動作が可能な一対の開閉板22、22を備えている。この開閉板22、22は、互いの間隔を狭くした状態(以下、閉止状態とする)と、互いの間隔を広くした状態(以下、開放状態とする)とのいずれかの状態となることができる。
【0026】
普通電動役物21は、上述した開閉板22、22の間に始動口23を備えており、開閉板22、22が閉止状態のときは、始動口23への経路が狭められ、始動口23への入賞が困難になる。一方、開閉板22、22が開放状態のときは、始動口23への経路が広がり、始動口23への入賞が容易になる。普通電動役物21は、普通図柄表示装置19に当りの普通図柄が確定表示されると、6秒間、開閉板22、22を開放状態とし、その後、閉止状態に戻る。
【0027】
液晶表示装置15の中央部には、始動口23に遊技球8が入賞した場合、特別図柄の変動表示が所定時間行われ、その後、所定の特別図柄が確定表示される(特別図柄遊技)。また、遊技盤7は、特別図柄遊技の結果(確定表示される特別図柄)を表示する特別図柄表示装置25を備えている。
【0028】
遊技盤7は、特別電動役物27と、大入賞口29とを備えている。特別図柄表示装置25に確定表示される特別図柄が、所定の大当り図柄である場合、特別電動役物27は、大入賞口29を開放する。大入賞口29に遊技球8が入賞すると、賞品球が提供される。それ以外の場合、特別電動役物27は、大入賞口29を閉じている。
【0029】
また、遊技面7a上には、多数の遊技釘30が取り付けられている。遊技釘30は、遊技球8と衝突し、その進路を様々に変更する。また、遊技機1は、上記各構成を制御し、後述する処理を実行する主制御基板31及び演出制御基板33を備えている。主制御基板31又は演出制御基板33は、後述する画像データや軌跡データ等を記憶するRAM等の記憶手段(図示略)を備えている。
【0030】
2.液晶表示装置15の構成
液晶表示装置15の構成を図2に基づいて説明する。液晶表示装置15は、画像を表示可能な画像表示領域15aと、それを囲む額縁部15bとから構成される。遊技面7aのうち、遊技者から見える部分には、画像表示領域15aが設けられている。額縁部15bは、遊技盤7の外縁部分であって、遊技者から見えない部分に設けられている。
【0031】
画像表示領域15aの表面には、画素35が規則正しく(マトリックス状に)配列している。また。画素35はそれぞれ、フォトダイオードを用いる光センサ(図示略)を内蔵している。額縁部15bには、上述した光センサを駆動する光センサ駆動回路37、液晶ソースドライバ39、液晶ゲートドライバ41等が設けられている。
【0032】
液晶表示装置15は、主制御基板31又は演出制御基板33から入力する表示信号に基づき、画素35を用いて、所定の画像(例えば特別図柄の変動表示、確定表示等)を表示することができる。液晶表示装置15は、上述したように、遊技面7aを覆っているので、画像は遊技面7a上に表示される。
【0033】
また、液晶表示装置15は、各画素35に内蔵された光センサにより、遊技面7aの側から、遊技面7a上を撮像することができる。すなわち、遊技面7aから見て、正面方向(遊技者がいる方向)の画像を撮像することができる。液晶表示装置15が画像を撮像できる範囲は、遊技面7aの全面にわたる。撮像した画像の信号(読み取り信号)は、主制御基板31又は演出制御基板33へ出力することができる。
【0034】
なお、上記の液晶表示装置15は、例えば、シャープ株式会社等が販売している。
3.遊技機1が実行する異常検出処理
遊技機1(特に主制御基板31及び演出基板33)は、異常検出処理を実行することができる。この異常検出処理を図3のフローチャート及び図4の説明図に基づいて説明する。この異常検出処理は、遊技機1の電源投入後、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0035】
図3のステップ10では、液晶表示装置15により遊技面7a上を撮像し、画像データを取得する。
ステップ20では、前記ステップ10で取得した画像データに映っている物体を認識する。物体が複数映っている場合は、それぞれを認識する。認識され得る物体としては、遊技面7a上に存在する遊技球8、遊技面7a上に挿入された異物(針金等)がある。なお、物体の認識は、周知の画像認識技術を用いることができる。このとき、遊技釘30、各種遊技部材(例えば、普通図柄始動ゲート17、普通電動役物21、特別電動役物27)等、遊技機1に固定されている物体については、予め認識の対象から外しておく。
【0036】
ステップ30では、これまでに取得した画像データの累積数が2以上であるか否かを判断する。2以上である場合はステップ40に進み、1のみである場合はステップ10に戻る。
【0037】
ステップ40では、直近のステップ10で取得した画像データを用いて、軌跡データを延長(又は新たに作成)する。ここで、軌跡データとは、時系列的に複数取得された画像データに現れる同一の物体の座標(遊技面7aでの位置)をつなげたものである。
【0038】
具体的には、以下のようにして、軌跡データを延長(又は新たに作成)する。直近に取得された画像データをdnとし、その前に取得された画像データをdn-1とする。図4 (a)に示すように、画像データdn-1において座標Aに物体Mn-1が認識されていたとする。なお、図4(a)において、kn-1は、画像データdn-1を取得した時点までにおける物体Mn-1の軌跡データである。そして、図4(b)に示すように、画像データdnにおいて、座標A‘に物体Mnが認識されたとする。画像データdnで認識された物体のうち、物体Mnが座標Aに最も近い物体であって、且つ座標Aと座標A’との距離が所定範囲内(画像データdn-1を取得した時点から画像データdnを取得する時点までに、遊技球8が通常移動できる距離に基づいて設定された範囲内)であるならば、物体Mn-1と物体Mnとは同一であると認識する(すなわち、画像データdn-1を取得した時点で座標Aにあった物体Mn-1が、画像データdnを取得した時点では座標A‘に移動していたと認識する)。そして、物体Mn-1の軌跡データを、画像データdnを取得した時点で、座標A‘にあったというところまで延長する。すなわち、画像データdnを取得した時点での物体Mn-1の軌跡データは、kn-1に、座標Aから座標A’までの区間を加えたものになる。
【0039】
なお、画像データdn-1を取得した時点において、物体Mn-1の軌跡データkn-1が未だ存在していなかった場合は、画像データdnを用いて、新たな軌跡データ(座標Aから座標A‘までの区間)が作成されたということになる。また、画像データdnで認識された物体の中に、物体Mn-1と同一であると認識できるものがなければ、物体Mn-1の軌跡データは、kn-1のままである。
【0040】
画像データdn-1において、複数の物体が認識されていれば、それぞれの物体について、上と同様にして、軌跡データの延長(又は新たな作成)を行う。延長が行われた軌跡データは、主制御基板31の記憶手段において、延長前の軌跡データに上書きされる。また、新たに作成された軌跡データは、新規に記憶される。
【0041】
図3に戻り、ステップ50では、前記ステップ40において、延長(又は新たに作成)された軌跡データが存在するか否かを判断する。延長(又は新たに作成)された軌跡データが存在する場合はステップ60に進み、存在しない場合はステップ10に戻る。
【0042】
ステップ60では、延長(又は新たに作成)された軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断する。延長(又は新たに作成)された軌跡データが複数ある場合は、それぞれについて、異常パターンに該当するか否かを判断する。軌跡データのうち、1つでも異常パターンに該当する場合はステップ70に進み、いずれも異常パターンに該当しない場合はステップ10に戻る。
【0043】
異常パターンとは、下記(a)〜(e)であり、これらの1つでも該当すれば、異常パターンに該当すると判断する。
(a)軌跡データにおいて、物体が所定時間(例えば10秒間)以上停止し続けている。
(b)軌跡データにおいて、物体が、遊技面7aのうち、本来ならば遊技釘30が設けられているはずの領域(予め設定された領域)を通過した。
(c)軌跡データにおいて、物体の速度が、少なくともある時間帯において、予め設定された範囲から外れた。
(d)軌跡データにおいて、物体の移動方向が、少なくともある時間帯において、予め設定された範囲から外れた(例えば、上方向や斜め上方向に、所定距離以上移動する等)。
(e)軌跡データにおいて、物体の形状が遊技球の形状とは異なるか、物体の大きさが遊技球の大きさに応じて設定された範囲から外れた。
【0044】
上記(a)は、図5に示すように、遊技面7aにおいて球詰まり42が生じた場合の遊技球8の軌跡データKnに該当する異常パターンである。
また、上記(b)は、図6に示すように、ある位置における遊技釘30aが折れ、その折れた部分を通過した遊技球8の軌跡データKnに該当する異常パターンである。なお、遊技機1は、遊技釘30(遊技釘30aを含む)が設けられている領域を予め記憶しており、この領域が「予め設定された領域」に該当する。
【0045】
また、上記(c)、(d)は、磁石等で軌道や速度を変えられた遊技球8の軌跡データに該当する異常パターンである。なお、物体の速度は、画像データを取得する間隔と、ある画像データにおける座標から次の画像データにおける座標までの距離とから、算出できる。
【0046】
また、上記(e)は、図7に示すように、遊技機1の内部(ガラス扉14の内側)に挿入された異物(針金等)43の軌跡データKnに該当する異常パターンである。
なお、図8に示すような、通常の遊技球8の軌跡データKnは、上記(a)〜(e)のいずれにも該当しない。
【0047】
ステップ70では、外部のホールコンピュータに報知信号を出力する。なお、ホールコンピュータは、報知信号を受信すると、外部の報知機にて異常報知を行う。
ステップ80では、延長(又は新たに作成)された軌跡データをホールコンピュータに出力する。ホールコンピュータは、軌跡データを受信し、その記憶装置に記憶する。また、ホールコンピュータは、それが備える画像表示装置(図示略)に軌跡データの画像を表示する。
【0048】
ステップ90では、遊技機1の液晶表示装置15(報知手段)にて、異常があった旨の報知を行う。例えば、上記(a)の異常パターンに該当する場合は、図5に示すように、液晶表示装置15に、「球が詰まっています」との表示と、球詰まりの位置を指し示す矢印を表示する。その他の異常パターンの場合も、所定の形式で報知を行う。
【0049】
ステップ100では、遊技機1の液晶表示装置15において、軌跡データに基づく画像を表示する。例えば、異物43の軌跡データが作成された場合は、図9に示すように、その軌跡データ(すなわち、異物の形状をした軌跡データ)を液晶表示装置15に表示する。その後、ステップ10に戻る。
【0050】
なお、遊技機1は、いうまでもなく、通常の遊技処理を実行することができるが、本発明には直接関係がないので、その記載を省略する。
3.遊技機1が奏する効果
(1)遊技機1は、液晶表示装置15により、遊技面7a上を転動する遊技球8や、不正行為により遊技機1内に挿入された異物(例えば針金等)が含まれる画像データを取得することができる。また、遊技機1は、時系列的に取得された複数の画像データに基づき、遊技面7a上に存在する物体(例えば遊技球8や上述した異物)の軌跡データを作成することができる。そして、遊技機1は、作成した軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断し、異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する。
【0051】
ここで異常パターンは、不正行為、遊技機1の異常、球詰まりの発生等があった場合の遊技球8や異物の軌跡データである。よって、遊技機1において、不正行為、遊技機1の異常、球詰まりの発生等が生じた場合は、遊技球8や異物の軌跡データが異常パターンに該当し、報知信号が出力される。その結果、不正行為、遊技機1の異常、球詰まりの発生等を早期に検知することができる。
【0052】
(2)遊技機1は、報知信号を遊技機1の外部に出力する。その報知信号をホールコンピュータが受信し、外部の報知機にて異常報知を行う。この場合、ホール店員が、不正行為、遊技機1の異常、球詰まりの発生を認識することができる。
【0053】
(3)遊技機1は、軌跡データが異常パターンに該当する場合、軌跡データを遊技機1の外部に出力する。外部では、その軌跡データに基づく表示を行い、遊技機1で発生した異常等の内容を詳細に調べることができる。
【0054】
(4)遊技機1は、軌跡データを記憶しておき、所定のタイミングで軌跡データを出力したり、軌跡データに基づく画像を表示したりできる。
(5)遊技機1は、軌跡データが異常パターンに該当する場合、液晶表示装置15(報知手段)にて報知を行う。こうすることにより、遊技者が、遊技機1の異常や球詰まりの発生を認識することができる。また、不正行為を行うと、遊技機1にて報知が行われるので、遊技者は不正行為を行い難くなる。
【0055】
(6)遊技機1は、軌跡データが異常パターンに該当する場合、液晶表示装置15において、軌跡データに基づく画像を表示する。遊技者は、その画像により、遊技機1にどのような異常が生じたのかを詳細に知ることができる。また、不正行為を行うと、その不正行為を反映した画像が表示されるので、遊技者は不正行為を行い難くなる。
【0056】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、液晶表示装置15は、その遊技面7aの全面にわたって画像を撮像できるものでなくてもよい。例えば、液晶表示装置15は、遊技面7aのうち、球詰まりが生じ易い所定の領域(例えば、普通電動役物21の周囲、特別電動役物27の周囲、普通図柄始動ゲート17の周囲等)のみにおいて、画像を撮像できるものであってもよい。
【0057】
また、遊技機1は、球詰まりや異常を検出した場合、液晶表示装置15における表示に代えて、又はそれに加えて、音声等で報知してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1・・・遊技機、3・・・外枠、5・・・内枠、7・・・遊技盤、7a・・・遊技面、
8・・・遊技球、9・・・ハンドル、11・・・上受け皿、13・・・下受け皿、
14・・・ガラス扉、15・・・液晶表示装置、15a・・・画像表示領域、
15b・・・額縁部、17・・・普通図柄始動ゲート、19・・・普通図柄表示装置、
20・・・普通図柄記憶表示装置、21・・・普通電動役物、22・・・開閉板、
23・・・始動口、25・・・特別図柄表示装置、27・・・特別電動役物、
29・・・大入賞口、30、30a・・・遊技釘、31・・・主制御基板、
33・・・演出制御基板、35・・・画素、37・・・光センサ駆動回路、
39・・・液晶ソースドライバ、41・・・液晶ゲートドライバ、
42・・・球詰まり、43・・・異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が転動する遊技面と、
前記遊技面の側から前記遊技面上を撮像し、画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段により時系列的に取得した画像データに基づき、前記遊技面上に存在する物体の軌跡データを作成する軌跡データ作成手段と、
前記軌跡データ作成手段により作成した軌跡データが、予め記憶しておいた異常パターンに該当するか否かを判断し、前記異常パターンに該当する場合は、報知信号を出力する報知信号出力手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記異常パターンは、下記(a)〜(e)のいずれか1以上であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
(a)前記軌跡データにおいて、前記物体が所定時間以上停止している。
(b)前記軌跡データにおいて、前記物体が、前記遊技面のうち、予め設定された領域を通過する。
(c)前記軌跡データにおいて、前記物体の速度が、予め設定された範囲から外れる。
(d)前記軌跡データにおいて、前記物体の移動方向が、予め設定された範囲から外れる。
(e)前記軌跡データにおいて、前記物体の形状又は大きさが、予め設定された範囲から外れる。
【請求項3】
前記軌跡データを出力する軌跡データ出力手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記軌跡データに基づく画像を表示する軌跡表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記軌跡データを記憶する軌跡データ記憶手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
画像データ取得手段は、前記遊技面に入射する光を検出する光素子を、前記遊技面上にマトリックス状に配列したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の遊技機。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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