説明

遊技機

【課題】遊技球を貯留する球受け皿を備えた遊技機において、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることができる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ機10には、外枠11と、外枠11に対して回動可能に支持されている本体枠と、本体枠に対して回動可能に支持されている前扉枠14とが備えられている。前扉枠14の前面側には、それぞれ上方に開口した上皿33と下皿34とが配設されており、払出装置から払い出された遊技球はそれら上皿33又は下皿34に貯留される。下皿34には、遊技機前方からの操作が可能な下皿レバー36が設けられており、下皿レバー36に対して球抜き操作が行われると、下皿34に貯留されていた遊技球がその下皿34から下方に排出される。また、下皿34には、下皿レバー36に対して球抜き操作が実行されたことを検出する下皿レバーセンサ37が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機には、遊技状態に応じて遊技球を払い出す払出装置と、払出装置から払い出された遊技球を貯留する下皿などの球受け皿とが備えられている。例えば、パチンコ機の前面側に設けられた遊技領域の入賞口に遊技球が入賞することで、遊技者に対する賞球として所定数の遊技球が払出装置から球受け皿に払い出される。また、パチンコ機に、球受け皿が遊技球で満杯になったことを検出する満杯検出センサが備えられていれば、球受け皿の満杯状態が満杯検出センサにより検出された場合に、遊技球の払い出しが停止される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、所定の入賞口への入賞に伴って行われる抽選の結果、遊技状態が大当たり状態に移行した場合、遊技状態が通常状態にある場合に比べて多量の遊技球が払出球として払い出される。ここで、球受け皿が満杯状態になっているにもかかわらず遊技球の払い出しが継続されると、払い出しを行うために駆動する駆動部に遊技球が詰まるなどの異常が払出装置等にて発生するおそれがある。これに対して、上記のように、球受け皿が満杯状態となっている場合には遊技球の払い出しが停止される構成では、前記異常の発生が抑制される。また、遊技球の払い出しに関する払出情報が記憶装置などに記憶される構成であれば、払い出しが途中で停止されても所定数の遊技球が遊技者に確実に付与されることになる。
【0004】
さらに、遊技ホールに設置されているホールコンピュータに対して払出情報が出力される構成であれば、その払出情報の集計結果に基づいてパチンコ機の設定がきめ細かく調節される。例えば、遊技状態が大当たり状態にある期間での平均の払出球の数が遊技ホール内の他のパチンコ機に比べて少ないパチンコ機については、その大当たり期間での払出球が増加するように設定が調節されるとよく、遊技状態が通常状態にある期間での平均の払出球の数が多いパチンコ機については、その通常期間での払出球が減少するように設定が調節されるとよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−130335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、大当たり期間中に球受け皿が満杯状態となった場合に払出装置からの遊技球の払い出しが停止されると、大当たり状態に対応した払出球が大当たり期間中終了後に払い出される可能性がある。図44(a)に示すように、遊技状態がタイミングt10〜t20の大当たり期間で大当たり状態にあり、タイミングt20〜t30の通常期間で通常状態にある場合、大当たり状態に対応した払い出しが大当たり期間中に終了すると、図44(b)に示すように大当たり期間終了後には払出球の数が減少する。これに対して、例えば、大当たり期間中であるタイミングt11で払い出しが停止されると、その払い出しが大当たり期間中に終了しないため、図44(c)に示すように、払い出しを再開したタイミングt21で払出球の数が増加する。この場合、実際の払出球の数は、本来の払出球の数に比べて大当たり期間中で減少する一方で通常期間中で増加することになり、球受け皿が満杯状態にある期間の長さに応じた誤差が払出情報に含まれるといった不都合が発生するおそれがある。
【0007】
また、誤差が含まれた払出情報に基づいてパチンコ機の設定が調節されてしまうと、その調節内容は球受け皿が満杯状態にある期間の長さに大きな影響を受け、パチンコ機の設定が適切ではない状態になってしまうおそれがある。例えば、本来は設定調節が必要ないパチンコ機に対して、大当たり期間中での払出球が増加するような設定調節が行われたり、通常期間中での払出球が減少するような設定調節が行われたりすると、パチンコ機の設定が適切な状態になっているとは言えないことになる。
【0008】
なお、払出情報に誤差が含まれるなどの不都合は、パチンコ機に限って発生するものではなく、遊技球を貯留する球受け皿を少なくとも1以上有する他の遊技機にも同様に発生する可能性がある。
【0009】
本発明は、遊技球を貯留する球受け皿を備えた遊技機において、球受け皿からの遊技球の排出を促進可能とすることができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、遊技結果に応じて遊技球を払い出す払出手段と、
前記払出手段から払い出された遊技球を貯留する球受け皿と、
前記球受け皿における前記遊技球の貯留状態を検出可能な貯留状態検出手段と、
前記球受け皿に貯留されている遊技球を該球受け皿から排出させるべく遊技者により排出操作が行なわれる排出操作手段と、
前記排出操作手段の操作状態を検出する操作状態検出手段と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技球を貯留する球受け皿を備えた遊技機において、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図。
【図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図。
【図4】パチンコ機の構成を示す背面図。
【図5】前扉枠の構成を示す背面図。
【図6】本体枠の構成を示す正面図。
【図7】遊技盤の構成を示す正面図。
【図8】本体枠の構成を示す背面図。
【図9】遊技盤の背面構成を示す斜視図。
【図10】遊技盤から主制御装置ユニットを取り外した状態を示す背面図。
【図11】主制御装置ユニットの構成を示す斜視図。
【図12】裏パックユニットの構成を示す正面図。
【図13】裏パックユニットの分解斜視図。
【図14】払出装置の構成を説明するための説明図。
【図15】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。
【図16】図柄表示装置の表示内容を示す説明図。
【図17】遊技制御に用いる各種カウンタの概要を示す説明図。
【図18】主制御回路のCPUによるタイマ割込み処理を示すフローチャート。
【図19】タイマ割込み処理を示すフローチャート。
【図20】始動入賞処理を示すフローチャート。
【図21】メイン処理を示すフローチャート。
【図22】通常処理を示すフローチャート。
【図23】下皿満杯判定処理を示すフローチャート。
【図24】コマンド設定処理を示すフローチャート。
【図25】第1特定ランプ部制御処理を示すフローチャート。
【図26】変動開始処理を示すフローチャート。
【図27】大当たり図柄決定処理を示すフローチャート。
【図28】遊技状態移行処理を示すフローチャート。
【図29】可変入賞装置開閉処理を示すフローチャート。
【図30】信号出力処理を示すフローチャート。
【図31】払出制御基板のCPUによる入力時割込み処理を示すフローチャート。
【図32】メイン処理を示すフローチャート。
【図33】タイマ割込み処理を示すフローチャート。
【図34】コマンド判定処理を示すフローチャート。
【図35】満杯コマンド処理を示すフローチャート。
【図36】賞球制御処理を示すフローチャート。
【図37】貸出球制御処理を示すフローチャート。
【図38】音声ランプ制御装置のCPUによる下皿満杯判定処理を示すフローチャート。
【図39】大当たり表示処理を示すフローチャート。
【図40】開放時処理を示すフローチャート。
【図41】高確率状態処理を示すフローチャート。
【図42】報知音制御処理を示すフローチャート。
【図43】別のパチンコ機における音声ランプ制御装置のCPUによる報知音制御処理を示すフローチャート。
【図44】背景技術を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0014】
手段1.遊技結果に応じて遊技球を払い出す払出手段(払出装置224)と、
前記払出手段から払い出された遊技球を貯留する球受け皿(上皿33、下皿34)と、
前記球受け皿における前記遊技球の貯留状態を検出可能な貯留状態検出手段(遊技球検知センサ57)と、
前記球受け皿に貯留されている遊技球を該球受け皿から排出させるべく遊技者により排出操作が行われる排出操作手段(下皿レバー36)と、
前記排出操作手段の操作状態を検出する操作状態検出手段(下皿レバーセンサ37)とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0015】
手段1によれば、払出手段からは遊技結果に応じて遊技球が払い出され、払い出された遊技球は球受け皿に貯留される。球受け皿に貯留された遊技球は、排出操作手段に対して排出操作が実行されることで球受け皿から排出されるため、球受け皿からの遊技球の排出を容易に行うことが可能となる。また、球受け皿における遊技球の貯留状態は貯留状態検出手段により検出可能となっている。したがって、球受け皿が、例えば遊技球を排出させる必要がある貯留状態となった場合に、その旨を遊技者に察知させることが可能となる。
【0016】
特に、排出操作手段の操作状態が操作状態検出手段により検出されるため、遊技者により排出操作手段に対する排出操作が実行されたことを検出することが可能となる。したがって、球受け皿が、遊技球を排出させる必要がある貯留状態となった場合に、排出操作手段に対する排出操作が実行されたことが操作状態検出手段により検出されなければ、排出操作を実行するように遊技者に対して促すことが可能となる。すなわち、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0017】
手段2.遊技を統括管理する主制御手段(主制御装置162)と、該主制御手段の補助的な役割を果たす副制御手段(音声ランプ制御装置143)とを備え、
前記操作状態検出手段は、前記操作状態に関する検出結果を前記副制御手段に対して出力し、
前記副制御手段は、前記排出操作手段に対する前記排出操作が行われたか否かの判定を前記検出結果に基づいて行う排出操作判定手段(音声ランプ制御装置143の下皿満杯判定処理におけるS2103、及び開放時処理におけるS2307)を有することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
【0018】
手段2によれば、排出操作手段の操作状態に関する検出結果が操作状態検出手段から副制御手段に対して出力される。このため、仮に操作状態検出手段に代わって不正基板から不正信号が出力されたとしても、その不正信号は主制御手段ではなく副制御手段に入力されることになり、主制御手段が不正に制御されるといった不都合の発生を抑制することが可能となる。また、排出操作手段に対する排出操作が行われたか否かの判定が排出操作判定手段により行われ、その排出操作判定手段は副制御手段に設けられている。このため、遊技を統括管理する主制御手段の処理負荷の増加を抑制しつつ、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0019】
手段3.あらかじめ定められた特定情報を報知する報知手段(スピーカ部26)と、
前記球受け皿、又は該球受け皿に遊技球を案内する案内通路(前扉側下皿通路52)にて遊技球を検出する遊技球検出手段(遊技球検知センサ57)と、
前記遊技球検出手段の検出結果に基づいて、前記球受け皿又は前記案内通路における特定位置まで遊技球が貯留されているか否かを判定する貯留判定手段(主制御装置162の下皿満杯判定処理)と、
前記特定位置まで遊技球が貯留されていると前記貯留判定手段により判定され、且つ前記排出操作手段に対する前記排出操作が行われていない場合に、前記報知手段による報知を実行させる報知制御手段(音声ランプ制御装置143の報知音制御処理)と
を備えたことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
【0020】
手段3によれば、球受け皿や案内通路に貯留されている遊技球が特定位置に達しており、且つ排出操作手段に対する排出操作が行われていない場合に、報知手段による特定情報の報知が実行される。ここで、球受け皿や案内通路に貯留されている遊技球が特定位置まで達した場合、払出手段から球受け皿への遊技球の払い出しが正常に行われなくなる可能性が生じるとすれば、球受け皿から遊技球が排出されることが好ましい。これに対して、この場合、排出操作手段に対する排出操作が行われていなければ報知手段により特定情報が報知されるため、排出操作手段に対する排出操作を行うように遊技者に促すことが可能となり、遊技球の払い出しが正常に行われないといった不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0021】
手段4.前記報知制御手段は、前記排出操作手段に対する前記排出操作が行われている場合に、前記報知手段による報知の実行を停止させることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
【0022】
手段4によれば、排出操作手段に対する排出操作が行われている場合、報知手段により実行されている特定情報の報知が停止される。例えば、遊技者により排出操作が実行されて球受け皿から遊技球が排出されているにもかかわらず報知手段による報知が継続されていると、遊技者に違和感を与えるおそれがある。これに対して、本構成では排出操作手段に対する排出操作の実行に伴って報知手段による報知が停止されるため、遊技者に違和感を与えるといった不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0023】
手段5.通常遊技状態、又は該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる移行手段(主制御装置162の遊技状態移行処理)と、
前記移行手段により前記通常遊技状態に移行された場合に前記特定情報を通常情報に設定する通常情報設定手段(音声ランプ制御装置143の報知音制御処理におけるS2504)と、
前記移行手段により前記特別遊技状態に移行された場合に前記特定情報を特別情報に設定する特別情報設定手段(音声ランプ制御装置143の報知音制御処理におけるS2505)と
を備えたことを特徴とする手段3又は4に記載の遊技機。
【0024】
手段5によれば、通常遊技状態にある場合は、報知手段にて報知される特定情報が通常情報設定手段により通常情報に設定され、特別遊技状態にある場合は、前記特定情報が特別情報設定手段により特別情報に設定される。通常、特別遊技状態にある場合は、遊技者に付与される特典として払出装置から払い出される遊技球が通常遊技状態にある場合と比べて多量になるため、球受け皿や案内通路に貯留されている遊技球が特定位置に達し易くなると考えられる。そこで、特別情報を通常情報に比べて排出操作手段に対する排出操作の実行を遊技者により一層促す内容とすれば、特別遊技状態にある場合でも、払出手段から球受け皿への遊技球の払い出しが適正に行われないなどの不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0025】
手段6.前記排出操作手段に対する前記排出操作が継続して行われている継続期間が特定期間に達したか否かを判定する特定期間判定手段(音声ランプ制御装置143の報知音制御処理におけるS2707)と、
前記継続期間が前記特定期間に達したと前記特定期間判定手段により判定され、且つ前記特定位置まで遊技球が貯留されていると前記貯留判定手段により判定された場合に、前記特定情報を異常情報に設定する異常情報設定手段(音声ランプ制御装置143の報知音制御処理におけるS2708)と
を備えたことを特徴とする手段3乃至5のいずれか1に記載の遊技機。
【0026】
手段6によれば、排出操作手段に対する排出操作が継続して行われている継続期間が特定期間に達しており、且つ球受け皿や案内通路に貯留されている遊技球が特定位置まで達している場合、報知手段にて報知される特定情報が異常情報に設定される。例えば、排出操作の継続期間が特定期間に達した場合、遊技球が特定位置に達していなければ球受け皿からの遊技球の排出が正常に行われていると考えられ、遊技球が特定位置に達していれば球受け皿からの遊技球の排出が正常に行われていないと考えられる。この場合、報知手段から異常情報を報知させることで、遊技球が特定位置に達していることを遊技機での異常発生として遊技者等に察知させることが可能となる。
【0027】
手段7.前記払出手段から払い出させる遊技球の払出数を遊技結果に応じて所定数に設定するとともに、該所定数を記憶する払出設定手段(払出制御装置242のコマンド判定処理におけるS1714)と、
前記払出手段に前記所定数の遊技球を払い出させる払出制御手段(払出制御装置242の賞球制御処理におけるS2001)と、
前記特定位置まで遊技球が貯留されていると前記貯留判定手段により判定された場合に前記払出手段による遊技球の払い出しを不許可とする払出不許可手段(払出制御装置242のフラグ処理におけるS1803)と、
前記特定位置まで遊技球が貯留されていないと前記貯留判定手段により判定された場合に前記払出手段による遊技球の払い出しを許可する払出許可手段(払出制御装置242のフラグ処理におけるS1806)と
を備えたことを特徴とする手段3乃至6のいずれか1に記載の遊技機。
【0028】
手段7によれば、球数情報に基づいて払出手段から所定数の遊技球を払い出させる払出制御が払出制御手段により実行される。また、遊技球が特定位置に達している場合、払出不許可手段により払出手段による遊技球の払い出しが不許可とされ、遊技球が特定位置に達していない場合、払出許可手段により払出手段による遊技球の払い出しが許可される。ここで、遊技結果に応じて設定された遊技球の払出数は払出設定手段にて記憶されているため、所定数の遊技球が払い出されている途中で遊技球の払い出しが不許可とされても、その不許可期間の前後に分けて所定数の遊技球が払い出されることになる。さらに、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能な構成となっているため、遊技球の払出数が設定された後、所定数の遊技球を速やかに払い出すことが可能となっている。
【0029】
手段8.通常遊技状態、又は該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる移行手段(主制御装置162の遊技状態移行処理)と、
入力された情報の集計を行う管理装置(ホールコンピュータ430)に対して、前記特別遊技状態にある期間を示す信号を出力する期間信号出力手段(主制御装置162の信号出力処理におけるS1306,S1309)と、
前記払出装置から払い出された遊技球を検出する遊技球検出手段(カウントセンサ259)と、
前記管理装置に対して、前記遊技球検出手段により検出された遊技球の払い出しに関する情報を出力する払出情報出力手段(主制御装置162の信号出力処理におけるS1302)と
を備えたことを特徴とする手段7に記載の遊技機。
【0030】
手段8によれば、入力された情報の集計を行う管理装置に対して、特別遊技状態にある期間を示す信号が期間信号出力手段により出力されるとともに、払出装置における遊技球の払い出しに関する情報が払出情報出力手段により出力される。したがって、特別遊技状態にある期間における払出装置から払い出された遊技球の数に関する情報や、通常遊技状態にある期間における払出装置から払い出された遊技球の数に関する情報などを、管理装置において集計することが可能となっている。ここで、払出不許可手段により遊技球の払い出しが不許可とされた場合、特別遊技状態にある期間に設定された所定数の遊技球が、実際には特別遊技状態の終了後である通常遊技状態の期間中に払い出されるといった不都合が発生するおそれがある。これに対して、球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能な構成となっているため、前記不都合の発生を抑制することが可能となる。これにより、管理装置において、遊技状態の種類と、その遊技状態に対応する実際の遊技球の払出数との関係が適正になっている情報を集計することが可能となる。
【0031】
手段9.遊技機前面部を構成する遊技機前面体(前扉枠14)を備え、
前記球受け皿は、該球受け皿における遊技球の貯留状態が遊技機前面側から視認可能となるように前記遊技機前面体の前面側に設けられ、
前記排出操作手段は、遊技機前面側からの排出操作の実行が可能となるように前記遊技機前面体の前面側に設けられたことを特徴とする手段1乃至8のいずれか1に記載の遊技機。
【0032】
手段9によれば、球受け皿における遊技球の貯留状態が視認可能となっているとともに、遊技機前面側から排出操作手段に対する排出操作を実行することが可能となっている。したがって、遊技者は、球受け皿の貯留状態を確認しつつ排出操作手段に対する排出操作を実行することが可能となり、必要に応じて適正なタイミングにて球受け皿からの遊技球の排出を行うことが可能となる。
【0033】
手段10.前記排出操作手段は前記球受け皿の前面側に設けられていることを特徴とする手段9に記載の遊技機。
【0034】
手段10によれば、排出操作手段が球受け皿の前面側に設けられているため、球受け皿の貯留状態と排出操作手段とを同時に視認することが可能となる。これにより、球受け皿の貯留状態を視認しつつ排出操作手段に対する排出操作を実行することが容易なものとなる。
【0035】
手段11.前記球受け皿として、遊技球の貯留及び排出が可能な第1球受け皿(上皿33)と、
前記第1球受け皿にて余剰となった遊技球を貯留する第2球受け皿(下皿34)を備え、
遊技に使用する遊技球を前記第1球受け皿から取り込む遊技機であって、
前記排出操作手段は、前記第2球受け皿に貯留されている遊技球を該第2球受け皿から排出させるための排出操作が実行されることを特徴とする手段1乃至10のいずれか1に記載の遊技機。
【0036】
手段11によれば、遊技に使用する遊技球は第1球受け皿から取り込まれ、その第1球受け皿にて余剰となった遊技球は第2球受け皿にて貯留される。したがって、遊技中において、第2球受け皿が遊技球を排出させる必要がある貯留状態になった場合は第1受け皿には十分な量の遊技球が貯留されていると考えられるため、遊技に使用する遊技球が不足するといった不都合の発生を抑制しつつ、第2球受け皿からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0037】
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
【0038】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内,外レール部101,102)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の入球部(各種スイッチ152〜155)に遊技球が入球した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0039】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【0040】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0041】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0042】
遊技機主部12は、ベース体としての本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
【0043】
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0044】
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面図である。
【0045】
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
【0046】
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。
【0047】
上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留するとともに、それら遊技球を一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有している。上側膨出部31には、押圧操作が可能な上皿ボタン(図示略)が設けられており、上皿ボタンが押圧操作されると遊技球が球抜き通路を介して上皿33から下皿34に排出され、押圧操作が解除されると上皿33から下皿34への貯留球の排出が停止される。
【0048】
下皿34は、上皿33にて余剰となった遊技球を貯留球として貯留する機能を有している。すなわち、上皿33が遊技球によって満たされて満杯状態となった場合、払出装置から払い出された遊技球は下皿34にて貯留される。下皿34では所定量の遊技球の貯留が可能となっており、下皿34は、遊技球の貯留状態が遊技機前方から視認可能となるように配置されている。下皿34の底部には遊技球の通過が可能な大きさ及び形状の球抜き孔が形成されており、下側膨出部32の前面側には遊技機前方からの操作が可能な下皿レバー36が設けられている。
【0049】
下皿レバー36は、開位置及び閉位置への移動が可能となっており、球抜き操作が行われることで開位置に移動され、球抜き操作が行われない場合は閉位置にある。より詳しくは、下皿レバー36は、バネなどの付勢部材により閉位置側に付勢されており、その付勢力に抗して遊技者等により外力が加えられることで開位置に移動するようになっている。下皿34の球抜き孔は、下皿レバー36の移動に伴って閉鎖及び開放されるようになっており、球抜き孔が閉鎖及び僅かに開放(遊技球の外径より小さく開放)されている場合は下皿レバー36が閉位置に移動したことになるとともに、球抜き孔が大きく開放(遊技球の外径より大きく開放、すなわち遊技球1個分以上に開放)されている場合は下皿レバー36が開位置に移動したことになる。したがって、下皿レバー36が閉位置にある場合は下皿34からの遊技球の排出は行われず、下皿レバー36が開位置にある場合は下皿34からの遊技球の排出が可能となる。なお、遊技者等により行われる下皿レバー36を開位置に移動させる操作を球抜き操作とする。
【0050】
下皿レバー36に対して球抜き操作が行われている場合、下皿34に貯留されている遊技球は球抜き孔から順に排出されるため、下皿レバー36に対する球抜き操作が継続して行われている期間が長いほど下皿34からは多くの遊技球が排出される。したがって、例えば下皿34が遊技球で満たされていても、下皿レバー36に対する球抜き操作が所定時間(例えば5秒)以上継続して行われる(以下、継続球抜き操作ともいう)ことで、下皿34に貯留されていた遊技球のほぼ全てを排出することも可能となる。この場合、下皿34は、再び所定量の遊技球の貯留が可能となる。
【0051】
下皿レバー36には、その下皿レバー36が開位置に移動していること(下皿34から遊技球が排出されていること)、すなわち球抜き操作が行われていることを検出する下皿レバーセンサ37が設けられている。下皿34の球抜き孔が閉鎖及び僅かに開放されている場合は、下皿レバーセンサ37では球抜き操作が検出されず、下皿34からの遊技球の排出も行われない。一方、下皿34の球抜き孔が大きく開放されている場合は、下皿レバーセンサ37により球抜き操作が検出され、下皿34に貯留されている遊技球はその下皿34から排出されていることになる。
【0052】
上側膨出部31の前面側には、遊技者により操作可能なプッシュ式の選択スイッチ38が設けられている。この選択スイッチ38は押圧操作が可能となっており、押圧操作されることで、後述する図柄表示装置91の表示内容が選択される選択操作が行われるようになっている。選択スイッチ38には、その選択スイッチ38に対して選択操作が行われたことを検出する選択スイッチセンサ39が設けられている。また、選択スイッチ38には、図示しないランプが内蔵されており、選択操作が有効とされる状況下ではランプが点灯表示され、選択操作が無効とされる状況下では消灯されるようになっている。
【0053】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
【0054】
前扉枠14の背面には、図2及び図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
【0055】
前扉側下皿通路52には、遊技球を検知する遊技球検知センサ57が設けられており、その遊技球検知センサ57は下皿34の上流側に位置していることになる。遊技球検知センサ57は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内での磁界の変化状況に基づいて遊技球を検知するようになっている。本実施の形態における遊技球検知センサ57では、遊技球が検知された場合に遊技球検知信号が生成される。
【0056】
例えば下皿34が遊技球で満たされている場合、前扉側下皿通路52における上流側から流下してくる遊技球が下皿34に排出されず、それら遊技球は前扉側下皿通路52に滞留することになり、遊技球検知センサ57により遊技球が継続して検知される。したがって、この場合は下皿34が満杯状態にあると言えることになる。これに対して、下皿34が遊技球によって満たされてはいない場合、前扉側下皿通路52において遊技球は滞留することなく流下し、遊技球検知センサ57による遊技球の検知は継続されない。したがって、この場合は下皿34が満杯状態にないと言えることになる。以上の結果、遊技球検知センサ57の検知結果に基づいて下皿34が満杯状態にあるか否かの判定が可能となる。また、下皿34が満杯状態になった後に下皿レバー36に対する球抜き操作が行われた場合、その球抜き操作がしばらくの間だけ継続されることで、前扉側下皿通路52に滞留していた遊技球の流下が始まって下皿34の満杯状態が解消されることになる。この場合における下皿レバー36に対する球抜き操作の継続時間を満杯解消時間とする。
【0057】
なお、遊技球検知センサ57として、遊技球を検知したことを示す信号と検知しないことを示す信号とを生成するタイプや、周辺に遊技球が滞留していることを検知するタイプのものが設けられていてもよい。
【0058】
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
【0059】
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面図である。
【0060】
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0061】
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
【0062】
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。
【0063】
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
【0064】
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,作動口84,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82は、左右にそれぞれ2個ずつ合計4個設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84に遊技球が入ると、それが後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0065】
可変表示ユニット86には、作動口84への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0066】
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
【0067】
第1特定ランプ部93では、作動口84への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には遊技状態が大当たり状態に移行する。より詳細には、第1特定ランプ部93には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDが配設されている。そして、作動口84への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部93には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たり発生となると共にそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行し、青色が停止表示された場合には、大当たり発生とならず大当たり状態に移行しない。
【0068】
また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85の通過をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には作動口84に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となる。
【0069】
可変入賞装置83は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0070】
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
【0071】
遊技球発射機構110は、図6に示すように、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
【0072】
発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方には前扉枠14の通路形成ユニット50に形成されたファール球通路55が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路55内に入る。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は下皿34に排出される。
【0073】
樹脂ベース71において発射レール112の左方には、樹脂ベース71を前後方向に貫通させて通路形成部121が設けられている。通路形成部121には図8に示すように本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とが形成されている。本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
【0074】
樹脂ベース71において通路形成部121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸125により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を本体枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
【0075】
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
【0076】
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、施錠装置131が設けられており、シリンダ錠75におけるキー操作に対して施錠装置131が連動し、本体枠13及び前扉枠14の解錠が行われる。
【0077】
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
【0078】
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図9は遊技盤81を後方より見た斜視図、図10は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
【0079】
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
【0080】
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
【0081】
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
【0082】
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84の遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
【0083】
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の各一般入賞口82と対応する位置にそれぞれ入賞口スイッチ152a〜152dが設けられている。また、可変入賞装置83と対応する位置にカウントスイッチ153が設けられ、作動口84に対応する位置に作動口スイッチ154が設けられている。これらスイッチ152〜154により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。また、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の右側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートスイッチ155が設けられている。
【0084】
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図11を用いて説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
【0085】
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
【0086】
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
【0087】
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0088】
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
【0089】
次に、裏パックユニット15について説明する。図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15の分解斜視図である。
【0090】
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
【0091】
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられており、外部端子板213には各種の出力端子が設けられている。例えば、払出装置224から払い出されている遊技球の数を示す信号を出力するための出力端子や、大当たりが発生したことや大当たり状態が終了したことを示す信号を出力するための各出力端子などが設けられている。これらの出力端子を通じてホールコンピュータ315(図15参照)などの遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0092】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。
【0093】
図14に、払出装置224の構成を説明するための説明図を示す。払出装置224はハウジング251を有しており、ハウジング251の上端には、ケースレール223から供給される遊技球が取り込まれる遊技球入口252が形成されており、下端には、取り込まれた遊技球が払い出される遊技球出口253が形成されている。遊技球入口252と遊技球出口253とは、遊技球の通過が可能な遊技球通路254により連通されている。また、払出装置224には、遊技球出口253から払い出される遊技球の数を調節する払出調節機構255が配設されている。
【0094】
払出調節機構255は駆動及び停止が可能となっており、払出調節機構255が駆動することで遊技球が払い出され、駆動が停止することで遊技球の払い出しが停止する。払出調節機構255には、図示しない払出モータ256と、その払出モータ256が駆動することで回転する回転体257とが備えられている。回転体257は、回転軸が遊技球通路254の長手方向に対して垂直に延びるようにその遊技球通路254内に配設されている。
【0095】
回転体257には、凸部257aと凹部257bとが形成されており、凹部257bは、遊技球が入り込むことが可能な大きさとなっている。遊技球通路254の壁部254aと凸部257aとの間隔は遊技球外径より小さくなっており、壁部254aと凹部257bとの間隔は遊技球の外径より大きくなっている。すなわち、壁部254aと凸部257aとの間には遊技球の収容が不可となっており、壁部254aと凹部257bとの間には遊技球の収容が可能となっている。ここで、凹部257bは、遊技球が凹部257bと壁部254aとの間に位置している場合に、その遊技球が凹部257bから離脱しない大きさ及び形状となっている。
【0096】
また、遊技球通路254には、回転体257の遊技球出口253側に、通過する遊技球を検知するカウントセンサ259が設けられており、カウントセンサ259には、遊技球の通過が可能な通過孔260が形成されている。カウントセンサ259は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、通過孔260を遊技球が通過したことによる磁界の変化に基づいて遊技球の通過を検知するようになっている。
【0097】
そして、遊技球が遊技球入口252から順次取り込まれている状態で、回転体257が回転している場合、遊技球通路254を流下することで回転体257に達した遊技球は、凹部257bに入り込んだ状態で壁部254aと回転体257の間を回転体257の回転に伴って通過する。その遊技球は、遊技球出口253側に達することで凹部257bから離脱し、遊技球通路254をさらに流下することで遊技球出口253から払い出される。この場合、遊技球出口253から払い出された遊技球は、カウントセンサ259により検知される。
【0098】
これに対して、回転体257の回転が停止している場合、遊技球が遊技球通路254を流下して回転体257に達しても、その遊技球は回転体257と壁部254aとの間を通過することができずに回転体257の遊技球入口252側にて停止する。したがって、この場合、遊技球は遊技球出口253から払い出されない。
【0099】
すなわち、払出モータ256が駆動されることで払出装置224が駆動した場合、払出装置224からの遊技球の払い出しが可能となり、払出モータ256の駆動が停止することで払出装置224の駆動が停止した場合、払出装置224からの遊技球の払い出しが停止される。そして、払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
【0100】
図12,13の説明に戻り、遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
【0101】
払出機構部202には、裏パック基板229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0102】
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0103】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源及び発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0104】
払出制御装置242には、基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0105】
電源及び発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0106】
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づいて説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0107】
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303(電断監視回路)とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU311が搭載されている。CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312(不揮発性情報記憶手段)と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313(揮発性情報記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
【0108】
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0109】
CPU311には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPU311の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322が接続されている。そして、停電監視回路303には電源及び発射制御基板321が接続されており、CPU311(主制御回路302)には停電監視回路303を介して電力が供給される。
【0110】
さらに、CPU311の入力側には、遊技球検知センサ57、払出装置224のカウントセンサ259や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。CPU311には、例えば、前扉側下皿通路52にて遊技球が検知された場合には遊技球検知信号が遊技球検知センサ57から入力され、払出装置224から実際に遊技球が払い出された場合には遊技球カウント信号がカウントセンサ259から入力される。
【0111】
一方、CPU311の出力側には、外部端子板213の各出力端子を介して遊技ホール側のホールコンピュータ315が接続されている。例えば、CPU311の出力側からは、CPU311に入力された遊技球カウント信号に基づいた管理用カウント信号が、その信号を出力するための出力端子を介してホールコンピュータ315に対して出力される。また、大当たりが発生したことを示す大当たり開始信号や、大当たり状態が終了したことを示す大当たり終了信号がそれぞれの信号を出力するための出力端子を介してCPU311からホールコンピュータ315に対して出力される。ホールコンピュータ315では、CPU311から出力された各種信号に基づいて各種情報に関する管理が行われる。
【0112】
さらに、CPU311の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
【0113】
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。
【0114】
払出制御基板322は、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。
【0115】
払出制御基板322のRAM333は、主制御回路302のRAM313と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板321からデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。
【0116】
払出制御基板322のCPU331には、入出力ポートが設けられている。CPU331の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、CPU331の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
【0117】
電源及び発射制御基板321は、電源部321aと発射制御部321bとを備えている。電源部321aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路302や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。その概要としては、電源部321aは、裏パック基板229を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。
【0118】
発射制御部321bは、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
【0119】
また、電源及び発射制御基板321には、データ記憶保持用コンデンサ321cが搭載されている。データ記憶保持用コンデンサ321cは、電源部321aが接続されており、パチンコ機10の電源がON状態の場合には蓄電される。また、データ記憶保持用コンデンサ321cは主制御回路302におけるCPU311のVBB端子に接続されており、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時等といった電源遮断状態では、データ記憶保持用コンデンサ321cから放電されRAM313に対してデータ記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、データ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されている間はRAM313に記憶されたデータが消去されることなく保持される。ちなみに、データ記憶保持用コンデンサ321cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
【0120】
なお、電源及び発射制御基板321には、上記データ記憶保持用コンデンサ321cとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられている。電源及び発射制御基板321では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用コンデンサから放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路302などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0121】
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
【0122】
音声ランプ制御基板324のCPU341には入出力ポートが設けられており、CPU341の入力側には中継端子板323に中継されて主制御回路302が接続されている。また、CPU341の入力側には、下皿レバーセンサ37や選択スイッチセンサ39などが接続されている。CPU341には、例えば、下皿レバー36に対する球抜き操作が行われた場合には下皿レバー信号が下皿レバーセンサ37から入力され、選択スイッチ38に対して選択操作が行われた場合には選択スイッチ信号が選択スイッチセンサ39から入力される。
【0123】
CPU341の出力側には、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325が接続されており、CPU341は、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。また、表示制御装置325には図柄表示装置91が接続されており、CPU341は、表示制御装置325を制御することで図柄表示装置91の表示内容を制御する。例えば、下皿34が満杯状態であることを示す下皿満杯コマンドが主制御回路302から出力された場合、CPU341はスピーカ部26から報知音を出力させるとともに、その下皿満杯コマンドに基づいて図柄表示装置91の表示内容を制御するべく表示制御装置325を制御する。
【0124】
次に、図柄表示装置91の表示内容について、図16に基づいて説明する。
【0125】
図柄表示装置91には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列を構成する図柄は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の図柄が備えられている。そして、図柄表示装置91には、各図柄列毎に20個の図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示され、各図柄列毎に上・中・下の3段の図柄が表示されるようになっている。従って、図柄表示装置91には、3段×3列の計9個の図柄が停止表示される。また、図柄表示装置91には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組み合わせ(本実施の形態では、同一の主図柄の組み合わせ)が揃えば大当たりとして大当たり動画(演出)が表示されるようになっている。
【0126】
ここで、大当たりとしては、大当たり状態の終了後に遊技状態が高確率状態に移行する特定大当たりと、大当たり状態の終了後に遊技状態が通常状態(低確率状態)に移行する非特定大当たりとがある。特定大当たりの発生時は、主図柄のうち奇数番号(1,3,5,7,9)の付された「特定図柄」により大当たり図柄の組み合わせが有効ライン上に停止表示される。一方、非特定大当たりの発生時は、主図柄のうち偶数番号(2,4,6,8)の付された「非特定図柄」により大当たり図柄の組み合わせが有効ライン上に停止表示される。また、特定大当たりの発生時でも、非特定図柄により大当たり図柄の組み合わせが有効ライン上に停止表示される場合がある。この場合は、大当たり中の演出の一部として、特定大当たりであることが大当たり状態下で報知される昇格演出の表示が可能となる。
【0127】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0128】
本実施の形態では、主制御装置162内のCPU311は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部93の発光色の設定や、図柄表示装置91の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図17に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特定大当たりや非特定大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置91が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、特定大当たりの際の昇格抽選等に使用する昇格乱数カウンタC4と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置91の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
【0129】
このうち、カウンタC1〜C4,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU311内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM313の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM313には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納バッファが設けられており、これらの各エリアには、作動口84への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、昇格乱数カウンタC4及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
【0130】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納
バッファに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、通常状態と高確率状態とで2種類設定されており、通常状態下で大当たりとなる乱数の値の数は2個で、高確率状態下で大当たりとなる乱数の値の数は10個である。このため、高確率状態では通常状態に比べて大当たり抽選に当選する確率が高確率となる。
【0131】
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たり状態の終了後の遊技状態が高確率状態になるか否か(通常状態になるか否か)の決定をすることとしている。すなわち、特定大当たりと非特定大当たりとを抽選することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納バッファに格納される。
【0132】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納バッファに格納される。
【0133】
昇格乱数カウンタC4は、例えば0〜104の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり104)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、特定大当たりが発生した場合に、昇格乱数カウンタC4によって、昇格演出を行うか否かを決定することとしている。昇格乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84に入賞したタイミングでRAM313の保留球格納エリアに格納される。
【0134】
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、主図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置91の表示態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。また、この切替表示時間は、図柄表示装置91の図柄の変動時間に相当する。従って、当該第2変動種別カウンタCS2によって、図柄表示装置91においてリーチが発生した後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様も決定されることとなる。つまり、図柄表示装置91に関しては、これらの両変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置91による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0135】
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列図柄、中列図柄、右列図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
【0136】
本実施の形態では、CPU311に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM313の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
【0137】
なお、図示は省略するが、第2特定ランプ部94の抽選には第2特定ランプ乱数カウンタが用いられる。第2特定ランプ乱数カウンタは、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2特定ランプ乱数カウンタは定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球がスルーゲート85を通過したことが検知された時に取得される。
【0138】
次に、主制御回路302のCPU311により実行される各制御処理を図18〜図30のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU311の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理を説明し、その後メイン処理を説明する。
【0139】
図18は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路303からCPU311のNMI端子に出力され、CPU311は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM313に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
【0140】
次に、タイマ割込み処理について図19のフローチャートを用いて説明する。
【0141】
先ずステップS201では、各種スイッチや払出制御基板322などからの信号読み込み処理を実行する。その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238,104)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行する。
【0142】
始動入賞処理では、図20のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、RAM313の作動口フラグ格納バッファに作動口フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口84に入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口84に入賞したと判定すると、続くステップS302において、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口84への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1加算する。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4の各値を、RAM313の保留球格納バッファの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU311は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
【0143】
なお、図示による説明は省略するが、タイマ割込み処理では、スルーゲート85の通過に対応したゲート通過処理を実行する。ゲート通過処理では、RAM313のゲートフラグ格納バッファにゲートフラグが格納されているか否かを判定し、ゲートフラグが格納されている場合にはゲート保留球数を上限値の範囲内で1加算する。この際、ゲートフラグをクリアする。また、役物用乱数カウンタの値を取得する。
【0144】
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
【0145】
先ずステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板322等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS402では、RAM313のアクセスを許可する。
【0146】
その後、ステップS403では、電源及び発射制御装置243に設けたRAM消去スイッチ247がオンされているか否かを判定し、続くステップS404ではRAM313の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS405ではRAM判定値を算出し、続くステップS406では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM313の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM313の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
【0147】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ247を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ247が押されていれば、ステップS409〜S411の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS409〜S411の処理に移行する。
【0148】
ステップS409では、従側の制御基板となる払出制御基板322等を初期化するために、払出初期化コマンド等を出力する。続くステップS410ではRAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS411ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0149】
一方、RAM消去スイッチ247が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS407にて停電フラグ格納バッファに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS408にて従側の制御基板を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
【0150】
次に、通常処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS01〜S510の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS513,S514のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0151】
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、後述するコマンド設定処理にてセットされたコマンドを払出制御装置242等に対して出力する。例えば、下皿満杯コマンドや下皿満杯解消コマンドなどを出力する。また、図柄表示装置91による図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンド等を音声ランプ制御装置143に出力する。
【0152】
次に、ステップS502では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS503では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
【0153】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判定し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、重複することなく1回の通常処理で1つずつ順に更新され、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組み合わせである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組み合わせである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組み合わせである場合には、その組み合わせがそれぞれに対応したバッファ内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせである場合には、そのまま更新処理を終了する。
【0154】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS504にて下皿満杯判定処理を実行する。下皿満杯判定処理について、図23のフローチャートを用いて説明する。
【0155】
下皿満杯判定処理において、ステップS601では、下皿34の上流側に位置する遊技球検知センサ57から遊技球検知信号が入力されているか否かを判定する。遊技球検知信号が入力されている場合、ステップS602に進み、遊技球検知信号が入力されない期間を計測するための非検知期間カウンタWC2を0にセットする。これにより、遊技球検知信号が検知されない期間を正確に計測することが可能となる。ステップS603では、遊技球検知信号が入力されている期間を計測するための検知期間カウンタWC1を1インクリメントする。
【0156】
ステップS604では、検知期間カウンタWC1が、所定の判定値N1より大きいか否かを判定する。本処理は4msec周期で行われるため、例えば判定値N1が「625」に設定されていると、遊技球検知信号の入力されている検知期間が2500msecに達しているか否かを判定することになる。検知期間カウンタWC1が判定値N1以下である場合、下皿34は満杯状態になっていないために遊技球が前扉側下皿通路52を流下しているとして、そのまま本処理を終了する。一方、検知期間カウンタWC1が判定値N1より大きい場合、ステップS605に進み、下皿34が満杯状態にあるために遊技球が前扉側下皿通路52に滞留しているとして、RAM313に設けられた下皿満杯フラグ格納エリアに下皿満杯フラグをセットする。ステップS606では、下皿34が満杯状態にあることを示す下皿満杯コマンドを、音声ランプ制御装置143及び払出制御装置242に対して出力するために設定する。
【0157】
ステップS601において遊技球検知信号が入力されていないと判定された場合、ステップS607にすすみ、検知期間カウンタWC1を0にセットする。これにより、遊技球検知信号が入力されていない期間を正確に計測することが可能となる。ステップS608では、非検知期間カウンタWC2を1インクリメントする。
【0158】
ステップS609では、非検知期間カウンタWC2が、所定の判定値N2より大きいか否かを判定する。例えば、判定値N2が「125」に設定されていると、遊技球検知信号の入力されていない非検知期間が500msecに達しているか否かを判定することになる。非検知期間カウンタWC2が判定値N2より大きい場合、ステップS610に進み、下皿34が満杯状態になっていないために前扉側下皿通路52に遊技球は滞留していないとして、下皿満杯フラグ格納エリアのデータをクリアする。これにより、下皿満杯フラグがセットされている場合はその下皿満杯フラグがクリアされ、下皿34の満杯状態が解消されたことになる。ステップS1610では、下皿34の満杯状態が解消されたことを示す下皿満杯解消コマンドを、音声ランプ制御装置143及び払出制御装置242に対して出力するために設定する。
【0159】
一方、ステップS609において、非検知期間カウンタWC2が判定値N2以下であると判定された場合、そのまま本処理を終了する。なお、非検知期間カウンタWC2が判定値N2より大きくなってから下皿満杯フラグをクリアすることで、実際には前扉側下皿通路52に遊技球が滞留している場合に、遊技球検知センサ57による遊技球の検知がノイズなどの影響で一時的に途絶えたとしても、下皿満杯フラグをクリアしてしまうといった不都合の発生が抑制される。
【0160】
下皿満杯判定処理の後は、ステップS505にてコマンド設定処理を実行する。コマンド設定処理について、図24のフローチャートを用いて説明する。
【0161】
コマンド設定処理では、先ずステップS701にてRAM313の払出異常フラグ格納エリアに払出異常フラグがセットされているか否かを判定する。払出異常フラグは、払出制御装置242から払出報知信号が入力されることによりセットされるフラグである。なお、払出報知信号は、払出機構部202に関して異常が発生した場合など報知する状態がある場合に払出制御装置242から出力される。払出異常フラグがセットされていない場合には、そのままステップS703に進む。一方、払出異常フラグがセットされていた場合には、ステップS702にてエラーコマンドをセットする。エラーコマンドは上述した外部出力処理にて音声ランプ制御装置143に対して出力されるコマンドであり、これにより音声ランプ制御装置143はエラー表示ランプ部24を所定の態様で点滅させる。なお、当該エラーコマンドをセットした際に払出異常フラグを消去する。
【0162】
その後、ステップS703では、RAM313の入賞フラグ格納エリアに入賞フラグがセットされているか否かを判定する。入賞フラグは、一般入賞口82、可変入賞装置83又は作動口84のいずれかに遊技球が入賞することによりセットされるフラグである。但し、当該入賞フラグは、一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84のそれぞれに対応して設定されている。入賞した箇所に応じて賞球数が異なるからである。入賞フラグがセットされていない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、入賞フラグがセットされている場合には、入賞フラグの種類に対応した賞球コマンドをセットする。賞球コマンドは上述した外部出力処理にて払出制御装置242に対して出力する。払出制御装置242は当該賞球コマンドに基づいて遊技球の払出を制御する。かかる制御については、後に詳細に説明する。なお、賞球コマンドをセットした際に、入賞フラグをクリアする。
【0163】
コマンド設定処理の後は、ステップS506にて、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理について、図25のフローチャートを用いて説明する。
【0164】
第1特定ランプ部制御処理において、ステップS801では、今現在の遊技状態が大当たり状態であるか否かを判別し、大当たり状態である場合にはそのまま本処理を終了する。大当たり状態でない場合には、ステップS802にて第1特定ランプ部93が切り替え表示中であるか否かを判別する。第1特定ランプ部93が切り替え表示中でない場合にはステップS803に進み、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。そして、作動保留球数Nが0である場合には、そのまま本処理を終了する。
【0165】
作動保留球数N>0であれば、ステップS804に進む。ステップS804では、作動保留球数Nを1減算する。ステップS805では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0166】
ステップS806では、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを開始する切り替え開始処理を実行する。具体的には、表示される色の切り替え時期を判断するためのタイマをリセットし、さらに第1特定ランプ部93に配設されたLEDのスイッチを全てオフ制御した上で、赤色光源のスイッチをオン制御した上で、赤色光源のスイッチをオン制御する。これにより、第1特定ランプ部93には、赤色が表示される。なお、大当たり終了後でない場合には、切り替え表示開始前は青色光源のスイッチがオンとなっており、大当たり終了後である場合には、赤色光源又は緑色光源のスイッチがオンとなっている。また、この切替開始処理においては、上記処理を行うのと共に、RAM313のカウンタ用バッファに格納されている第2変動種別カウンタCS2の値を確認し、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて第1特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間を決定する。なお、第2変動種別カウンタCS2の数値と表示される色の切替表示時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。
【0167】
その後、ステップS807では、図柄表示装置91による図柄の変動表示を開始させるための変動開始処理を実行し、本処理を終了する。変動開始処理について図26のフローチャートを用いて説明する。
【0168】
変動開始処理では、ステップS901において、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて、大当たり抽選に当選したか否かを判別する。例えば、通常状態下では、大当たりとなる2個の乱数の値に対して大当たり乱数カウンタC1の値が該当するか否かを判定し、高確率状態下では、大当たりとなる10個の乱数の値に対して大当たり乱数カウンタC1の値が該当するか否かを判定する。
【0169】
大当たり抽選に当選した場合にはステップS902に進み、特定大当たり抽選に当選したか否かを判定する。具体的には、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値が、特定大当たりとなる乱数の値に該当するか否かを判定する。特定大当たり抽選に当選した場合、ステップS903に進み、第1特定ランプ部93の最終表示色が赤色となるよう赤色表示フラグをセットし、ステップS904では特定フラグをセットする。また、ステップS905では、特定フラグがセットされていること(特定大当たりに当選していること)を示す特定コマンドを、音声ランプ制御装置143に対して出力するために設定する。
【0170】
続くステップS906では、大当たり図柄決定処理を行い、図柄の変動表示を終了させた際に図柄表示装置91に停止表示させる大当たり図柄の組み合わせを決定する。
【0171】
大当たり図柄決定処理を図27のフローチャートに基づいて説明すると、ステップS1001では、昇格抽選に当選したか否かを判定する。例えば、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている昇格乱数カウンタC4の値が、昇格演出を行う乱数の値に該当するか否かを判定する。昇格抽選に当選していない場合、ステップS1002に進み、有効ライン上に停止表示させる大当たり図柄の組み合わせとして「特定図柄」の組み合わせを設定する。例えば、大当たり図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値に対応させて、停止表示させる「特定図柄」の組み合わせを設定する。
【0172】
ちなみに、大当たり図柄テーブルとは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせとの対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる場合に有効ラインに停止表示させる「特定図柄」又は「非特定図柄」との対応関係が定められたテーブルである。
【0173】
ステップS1003では、大当たり図柄の組み合わせとして設定した「特定図柄」の組み合わせを、左・中・右の各図柄列に対応させた停止図柄コマンドとして設定し、本処理を終了する。
【0174】
一方、ステップS1001にて、昇格抽選に当選したと判定された場合、ステップS1004に進み、昇格抽選に当選したことを示す昇格コマンドを、音声ランプ制御装置143に対して出力するために設定する。ステップS1005では、大当たり発生時に有効ライン上に停止させる大当たり図柄の組み合わせとして、「非特定図柄」の組み合わせを設定する。例えば、昇格図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値に対応させて、停止表示させる特定図柄の組み合わせを設定する。したがって、昇格抽選に当選した場合、特定大当たりに当選しているにもかかわらず、大当たり発生時には「非特定図柄」の組み合わせが有効ライン上に停止されることになる。
【0175】
なお、昇格図柄テーブルとは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせとの対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる場合に有効ラインに停止表示させる「非特定図柄」との対応関係が定められたテーブルである。また、詳細は後述するが、昇格抽選に当選した場合、有効ライン上に「特定図柄」が停止表示されるなどの特定大当たりに当選している旨を示す昇格演出が大当たり状態下で図柄表示装置91に表示される。故に、大当たり発生時において有効ライン上に「非特定図柄」が停止した場合であっても、大当たり状態下で昇格演出が表示される可能性があるため、遊技者に対して、特定大当たりに当選している期待感を持続して抱かせることが可能となる。
【0176】
ちなみに、昇格抽選に当選した場合、図柄表示装置91における有効ライン上に「特定図柄」が停止表示されるのではなく、図柄表示装置91に「昇格」などの文字等が表示されてもよい。
【0177】
ステップS1005の後、ステップS1003に進み、大当たり図柄の組み合わせとして設定した「非特定図柄」の組み合わせを、左・中・右の各図柄列に対応させた停止図柄コマンドとして設定し、本処理を終了する。
【0178】
大当たり図柄決定処理の後は、ステップS911にて、左・中・右の各図柄列の図柄が停止するまでの大当たり変動パターンを決定し、本処理を終了する。このとき、RAM313のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を確認し、その値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかなリーチ種別を決定する。なお、変動種別カウンタCSの値と変動パターンとの関係は、図示しないテーブルにより予め規定されている。
【0179】
ステップS912では、決定した変動パターンと、左・中・右の各図柄列の停止図柄とに基づいて変動表示時間を導出する。具体的には、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別及び最終停止図柄列たる中図柄列の上ラインL1に停止表示させる図柄と、変動表示時間と、の関係が規定された図示しないテーブルに基づいて変動表示時間を導出する。その後、ステップS913では、大当たり変動パターン、変動表示時間及び昇格演出の有無を示す大当たり変動パターンコマンドを、昇格フラグの有無に基づいて設定する。続くステップS914では、第1特定ランプ部93の切り替え表示時間を計測するためのタイマにステップS912にて導出した変動表示時間をセットし、本処理を終了する。
【0180】
ステップS902において、特定大当たり抽選に当選していないと判定された場合、ステップS907に進み、第1特定ランプ部93の最終表示色が緑色となるよう緑色表示フラグをセットし、ステップS908では、特定大当たり抽選に当選していないこと(非特定大当たりであること)を示す非特定コマンドを、音声ランプ制御装置143に対して出力するために設定する。
【0181】
ステップS909では、有効ライン上に停止表示させる大当たり図柄の組み合わせとして、「非特定図柄」の組み合わせを設定する。「特定図柄」の組み合わせの設定処理と同様に、大当たり図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値に対応させて、停止表示させる「非特定図柄」の組み合わせを設定する。ステップS910では、大当たり図柄の組み合わせとして設定した「非特定図柄」の組み合わせを、左・中・右の各図柄列に対応させた停止図柄コマンドとして設定する。続いて、ステップS911〜914の処理を実行し、本処理を終了する。
【0182】
ステップS901において、大当たり抽選に当選していないと判定された場合、ステップS915に進み、第1特定ランプ部93の最終表示色が青色となるよう青色表示フラグをセットする。ステップS916では、大当たり抽選に当選していないことを示す外れコマンドを、音声ランプ制御装置143に対して出力するために設定する。その後、ステップS917に進み、大当たり抽選に外れた場合の変動パターンを決定する変動パターン決定処理を実行し、本処理を終了する。
【0183】
図25の説明に戻り、ステップS802において、第1特定ランプ部93が切り替え表示中であると判定された場合、ステップS808に進み、切替表示時間が経過したか否かを判別する。上述したように、第1特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間は予め設定されており、この切替表示時間が経過した時にステップS808が肯定判別される。ステップS808において切替表示時間が経過していないと判別された場合には、ステップS809において表示色切替処理を実行する。この表示色切替処理により、各光源のスイッチがオンオフ制御され、第1特定ランプ部93に表示される色が切り替えられる。具体的には、切替開始処理においてリセットされたタイマが所定時間(例えば、1sec)経過したかどうかが判別され、所定時間経過していた場合には、現在オンとなっている光源のスイッチをオフ制御した上で、予め設定されているフラグを確認し、当該フラグに基づいて所定の光源をオン制御すると共に、フラグのセット及び消去処理を行う。このフラグは第1フラグ、第2フラグというように2種類設定されており、これら2種類のフラグの状態により次にオン制御する光源が決定される。例えば、第1フラグが0であり、第2フラグが1の場合には、緑色光源のスイッチをオン制御し、さらに第2フラグを消去する(両フラグが0の状態となる)。また、両フラグが0の場合には、青色光源のスイッチをオン制御し、さらに第1フラグをセットする(第1フラグが1、第2フラグが0の状態となる)。また、第1フラグが1であり、第2フラグが0の場合には、赤色光源のスイッチをオン制御し、さらに第1フラグを消去し、第2フラグをセットする(第1フラグが0、第2フラグが1の状態となる)。なお、変動開始処理においては、赤色光源のスイッチがオン制御された後に、第1フラグが0、第2フラグが1に設定される。これにより、赤色、緑色、青色の順序で第1特定ランプ部93に表示される色が変更され、前記順序の色の切り替えが繰り返し行われることとなる。一方、前記タイマが所定時間経過していなかった場合には、光源のスイッチのオンオフ制御を行うことなく本処理を終了する。
【0184】
ステップS808において切替表示時間が経過したと判別された場合には、ステップS810において切替終了処理を実行する。この切替終了処理は、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを最終的にどの色で停止するかを判別し、判別された色の光源をオン制御するための処理である。具体的には、まず現在オンとなっている光源のスイッチをオフ制御する。その後、RAM313のカウンタ用バッファに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を確認し、当該遊技回において確変状態となる大当たりが発生する場合には、赤色光源のスイッチをオン制御し、当該遊技回において通常状態となる大当たりが発生する場合には、緑色光源のスイッチをオン制御し、当該遊技回において大当たりが発生しない場合には、青色光源のスイッチをオン制御する。これにより、それぞれの遊技結果に応じた色が第1特定ランプ部93に表示されることとなる。なお。ここで設定された表示色は、次回の切替開始処理まで維持される。この切替終了処理が行われた後、S811において、変動表示中の図柄を最終停止表示させるために変動終了コマンドを設定し、その後本処理を終了する。
【0185】
なお、この第1特定ランプ部制御処理において設定された停止図柄コマンドや変動パターンコマンド、変動終了コマンドなどは、通常処理における外部出力処理において音声ランプ制御装置143に対して出力され、音声ランプ制御装置143は、これらのコマンドに基づいて図柄の変動態様やスピーカ部26から出力すべきメロディやリーチ音等の細かな表示内容や演出音の内容を決定し、図柄表示装置91を直接的に表示制御する。これにより、図柄表示装置91の表示画面において図柄の変動表示が行われる。
【0186】
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS507にて遊技状態移行処理を実行する。遊技状態移行処理について、図28のフローチャートを用いて説明する。
【0187】
遊技状態移行処理において、ステップS1101では、現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合にはステップS1102に進み、大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示される大当たり変動が終了したか否かを判別する。具体的には、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値と、切り替え表示時間の経過とに基づいて判別する。大当たり変動が終了していない場合にはそのまま本処理を終了し、大当たり変動が終了した場合には、ステップS1103〜ステップS1105に示す大当たり状態開始処理を行う。大当たり状態開始処理では、ステップS1103において、RAM313に設けられたラウンドカウンタRCに15をセットする。ラウンドカウンタRCは、可変入賞装置83が開放された回数をカウントするためのカウンタである。その後、ステップS1104では可変入賞装置83を開閉させる開閉タイミングを計るためのタイマに5000(すなわち10秒)をセットし、続くステップS1105では状態移行コマンドを設定して本処理を終了する。ここで、状態移行コマンドとは音声ランプ制御装置143に対して送信されるものである。音声ランプ制御装置143は、当該コマンドを受信することにより、大当たり状態に移行したことを認識すると共に、大当たり状態に移行したことを示すオープニング動画を図柄表示装置91に表示させるべく表示制御装置325の制御を開始する。なお、セットされたタイマ値は、タイマ割込み処理の都度、すなわち2msec周期で1ずつ減算される。
【0188】
一方、ステップS1101において遊技状態が大当たり状態である場合には、ステップS1106に進み、可変入賞装置83を開放又は閉鎖するための可変入賞装置開閉処理を行う。
【0189】
可変入賞装置開閉処理では、図29のフローチャートに示す通り、先ずステップS1201にて可変入賞装置83が開放中であるか否かを判別する。具体的には、可変入賞装置83を開閉させるソレノイドの励磁状態に基づいてかかる判別を行う。可変入賞装置83が開放中でない場合には、ステップS1202にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別すると共に、ステップS1203にてタイマの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0である場合又はタイマの値が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRCの値が0でなく且つタイマの値が0である場合には、ステップS1204に進み、可変入賞装置83を開放すべくソレノイドを励磁状態とする。続くステップS1205では、可変入賞装置83に入賞した遊技球の数を記憶するための入賞カウンタPCに0をセットする。その後、ステップS1206ではタイマに14750(すなわち29.5秒)をセットすると共にステップS1207にて開放コマンドをセットし、本処理を終了する。この結果、可変入賞装置83が最大29.5秒間開放されることとなる。ここで、開放コマンドとは音声ランプ制御装置143に対して送信されるものである。音声ランプ制御装置143は、当該コマンドを受信することにより、可変入賞装置83が開放されたことを認識し、可変入賞装置83が開放されている間に表示すべき動画を図柄表示装置91に表示させるべく表示制御装置325の制御を開始する。
【0190】
また、ステップS1201にて可変入賞装置83が開放中である場合にはステップS1208に進み、タイマの値が0か否かを判別する。タイマの値が0でない場合、ステップS1209にて可変入賞装置83に遊技球が入賞したか否かを判別する。具体的には、可変入賞装置83に対応したカウントスイッチ153から遊技球入賞を意味する入賞検出信号を受信したか否かを判別する。そして、入賞検出信号を受信していない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、入賞検出信号を受信した場合には、ステップS1210にて入賞カウンタPCの値を1加算した後にステップS1211にて入賞カウンタPCの値が10か否かを判別し、10でない場合にはそのまま本処理を終了する。
【0191】
ステップS1208にてタイマの値が0の場合、又はステップS1211にて入賞カウンタPCの値が10の場合には、可変入賞装置83の閉鎖条件が成立したことを意味する。かかる場合にはステップS1212にて可変入賞装置83を閉鎖すべくソレノイドを非励磁状態とする。続くステップS1213ではラウンドカウンタRCの値を1減算し、ステップS1214にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0でない場合にはステップS1215にてタイマに1000(すなわち2秒)をセットし、ラウンドカウンタRCの値が0である場合にはステップS1216にてタイマに5000(すなわち10秒)をセットする。その後、ステップS1217にて閉鎖コマンドをセットし、本処理を終了する。ここで、閉鎖コマンドとは音声ランプ制御装置143に対して送信されるものである。音声ランプ制御装置143は、当該コマンドを受信することにより、1回のラウンドが終了したことを認識し、例えば次回のラウンド数等を教示する開放前動画や、大当たり状態が終了したことを示すエンディング動画を図柄表示装置91に表示させるべく表示制御装置325の制御を開始する。
【0192】
可変入賞装置開閉処理の後、ステップS1107ではラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別すると共に、ステップS1108にてタイマの値が0か否かを判別する。そして、ラウンドカウンタRC又はタイマの値の少なくとも一方が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRC及びタイマの値が0である場合には、ステップS1109に進み、大当たり状態を終了させる大当たり状態終了処理を行う。従って、大当たり状態下では、ラウンドカウンタRCにセットされた回数(すなわち15回)の可変入賞装置83の連続開放が許容される。
【0193】
大当たり状態終了処理を行った後、ステップS1110〜ステップS1112では状態移行処理を行う。すなわち、ステップS1110では、特定フラグがセットされているか否かを判別する。特定フラグがセットされている場合には特定大当たりが発生したことを意味するため、ステップS1111に進み、それ以降の遊技状態を高確率状態とする高確率状態移行処理を行い、特定フラグをクリアした後、本処理を終了する。また、特定フラグがセットされていない場合には非特定大当たりが発生したことを意味するため、ステップS1112にてそれ以降の遊技状態を通常状態とする通常状態移行処理を行って本処理を終了する。
【0194】
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS508にて、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、既に取得されている第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、作動口84に付随する電動役物が所定時間開放される。
【0195】
ステップS508の後は、ステップS509にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板321の発射制御部321bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、発射レール112上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。ちなみに、発射許可信号は、CPU311における入力ポートに入力されており、当該遊技球発射制御処理にてその入力ポートに発射許可信号があるか否かを確認する。
【0196】
ステップS509の後は、ステップS510にて信号出力処理を実行する。信号出力処理について図30のフローチャートを用いて説明する。
【0197】
信号出力処理では、ステップS1301において、カウント信号が払出装置224のカウントセンサ259から入力されているか否かを判定する。カウント信号が入力されている場合、ステップS1302に進み、管理用カウント信号を生成するとともに、その管理用カウント信号をホールコンピュータ315に対して出力する。この場合、ホールコンピュータ315では、管理用カウント信号が入力された回数や各入力時刻が記憶されることで、パチンコ機10における遊技球の払い出しに関する情報が管理されることになる。
【0198】
ステップS1303では、遊技状態が大当たり状態であるか否かの判定を行う。大当たり状態である場合、ステップS1304に進み、RAM313に設けられた大当たりフラグ格納エリアに大当たりフラグがセットされているか否かを判定する。大当たりフラグがセットされている場合、大当たり中としてそのまま本処理を終了し、大当たりフラグがセットされていない場合、ステップS1305に進み、大当たり格納エリアに大当たりフラグをセットする。ステップS1306では、大当たり開始信号を生成するとともに、その大当たり開始信号をホールコンピュータ315に対して出力する。
【0199】
遊技状態が大当たり状態でない場合、ステップS1307に進み、大当たりフラグがセットされているか否かを判定する。大当たりフラグがセットされていない場合、大当たりが終了しているとしてそのまま本処理を終了し、大当たりフラグがセットされている場合、ステップS1308に進み、発生していた大当たりが終了したとして大当たりフラグをクリアする。ステップS1309では、大当たり終了信号を生成するとともに、その大当たり終了信号を介してホールコンピュータ315に対して出力する。この場合、ホールコンピュータ315では、大当たり開始信号と大当たり終了信号とが入力された時刻が記憶されることで、パチンコ機10における大当たりの発生に関する情報が管理されることになる。
【0200】
信号出力処理の後、ステップS511では、RAM313内に設けられた停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS512にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS513では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS514では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するバッファ領域に格納する。
【0201】
一方、ステップS511にて、停電フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS515以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS515では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS516にて電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板に対して出力する。そして、ステップS517にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS518にてRAM313のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板321のデータ記憶保持用コンデンサ321cからデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
【0202】
次に、払出制御基板322のCPU331により実行される各制御処理を図31〜図37のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU331の処理としては大別して、主制御回路302のCPU311からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理を説明し、その後、メイン処理、タイマ割込み処理の順で説明する。
【0203】
入力時割込み処理は、主制御回路302のCPU311からコマンドを入力した場合に後述する他の処理を中断して実行される。入力時割込み処理では、図31のフローチャートに示すように、ステップS1401にて主制御回路302のCPU311からのコマンドをRAM333のコマンド格納バッファに記憶し、その後、ステップS1402にてRAM333に設けられたコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグを格納し、本処理を終了する。
【0204】
次に、払出制御基板322のCPU331に実行されるメイン処理を、図32のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0205】
まず、ステップS1501では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS1502に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1503で外部割込みベクタの設定を行う。
【0206】
その後、ステップS1504では、RAM333の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1505ではRAM判定値を算出し、続くステップS1506では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM333の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM333の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
【0207】
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM333の初期化処理(ステップS1511〜S1513)に移行する。つまり、ステップS1511ではRAM333の全領域を0にクリアし、続くステップS1512ではRAM333の初期化処理を実行する。また、ステップS1513ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
【0208】
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1507にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS1508にて遊技球の払い出しを許可する払出許可フラグをクリアする。払出許可フラグは、RAM333に設けられた払出許可フラグ格納エリアにセットされるフラグであり、払出許可フラグがセットされていない場合は遊技球の払い出しが許可されない。また、ステップS1509ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM333の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
【0209】
ステップS1509又はステップS1513の処理の後は、ステップS1510にて割込みを許可し、ステップS1514にてRAM333の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定し、停電フラグが格納されていなければ、停電フラグが格納されるまで待機する。
【0210】
一方、停電フラグが格納されている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS1515移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS1515にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS1516にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS1517にてRAM333のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板321からRAM333のデータ記憶保持用電力が供給されるため、電源遮断前にRAM333に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
【0211】
ここで、本メイン処理では、ステップS1501〜ステップS1513の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグが格納されているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。これにより、電源遮断発生時においてRAM333に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板322の処理の負担を軽減することができる。
【0212】
次に、払出制御基板322のCPU331により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図33のフローチャートを用いて説明する。
【0213】
先ずステップS1601では、主制御回路302のCPU311から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図34に示すように、ステップS1701にて、RAM333のコマンド入力フラグ格納バッファにコマンド入力フラグが格納されているか否かを判定する。コマンド入力フラグが格納されていない場合は、新たなコマンドが主制御回路302のCPU311から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグが格納されていた場合は、ステップS1702にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM333のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
【0214】
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS1703、ステップS1705、ステップS1710及びステップS1713の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS1703では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1704にてRAM333の停電フラグ格納バッファに停電フラグを格納して、本処理を終了する。
【0215】
ステップS1705では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路302のCPU311からRAM333の初期化が指示されていることになるので、ステップS1706〜ステップS1709の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS1706では、払出許可フラグ格納エリアに払出許可フラグがセットされているか否かを判定し、当該フラグがセットされていない場合は、ステップS1707にてRAM333の作業領域を0にクリアし、さらにステップS1708にてRAM333の初期値を設定する。その後、ステップS1709にて払出許可フラグをセットすることで、遊技球の払い出しが許可される。
【0216】
なお、ステップS1706において払出許可フラグが格納されている場合は、ステップS1707及びステップS1708の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ247が押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、例えばその際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
【0217】
ステップS1710では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合、払出制御基板322が停電等による電源遮断の前の状態に復帰することを意味する。また、この場合、ステップS1711に進み、RAM333に設けられた満杯状態フラグ格納エリアに満杯状態フラグがセットされているか否かを判定する。満杯状態フラグは、主制御装置162から下皿満杯コマンドが出力されることで、満杯状態フラグ格納エリアにセットされるフラグであり、満杯状態フラグがセットされている場合は下皿34が満杯状態にあることを意味する。満杯状態フラグがセットされていない場合、ステップS1709に進み、払出許可フラグをセットした後、そのまま本処理を終了する。これにより、パチンコ機10の電源が遮断される前に払い出されなかった賞球が残っていたとしても、その賞球が電源投入後に速やかに払い出されることになる。
【0218】
一方、満杯状態フラグがセットされている場合、そのまま本処理を終了する。すなわち、この場合は払出許可フラグをセットしないことになる。これにより、パチンコ機10の電源が遮断される前に払い出されなかった賞球が残っていたとしても、電源投入後に下皿34が満杯状態にある場合には残りの賞球が払い出されない。故に、パチンコ機10の電源が遮断されることで、下皿34が満杯状態であるにもかかわらず遊技球が払い出されてしまうといった不都合の発生が抑制される。
【0219】
ステップS1713では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1714にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後、ステップS1711に進み、満杯状態フラグがセットされているか否かを判定する。満杯状態フラグがセットされていない場合、ステップS1709に進み、払出許可フラグをセットした後、そのまま本処理を終了する。これにより、下皿34が満杯状態でなければ賞球が払い出されることになる。
【0220】
一方、満杯状態フラグがセットされている場合、そのまま本処理を終了する。すなわち、この場合は払出許可フラグをセットしないことになる。これにより、下皿34が満杯状態にある場合には、賞球コマンドが入力されてもその賞球に関する情報が記憶されるだけで、賞球は払い出されない。すなわち、下皿34が満杯状態であっても遊技者は遊技を継続することが可能となっており、その間に遊技者に付与されるはずの賞球は、下皿34の満杯状態が解消した後に払い出されることになる。
【0221】
入力されたコマンドが停電コマンド、払出初期化コマンド、復電コマンド及び賞球コマンドのいずれにも該当しない場合は、ステップS1715に進み、フラグ処理を実行する。フラグ処理について図35を用いて説明する。
【0222】
フラグ処理において、ステップS1801では、入力されたコマンドが下皿満杯コマンドであるか否かを判定する。下皿満杯コマンドである場合、ステップS1802にて満杯状態フラグを満杯状態フラグ格納エリアにセットした後、ステップS1803にて払出許可フラグをクリアする。これにより、下皿34が満杯状態にある場合には遊技球の払い出しが許可されないことになる。
【0223】
ステップS1804では、入力されたコマンドが下皿満杯解消コマンドであるか否かを判定する。下皿満杯解消コマンドである場合、ステップS1805にて満杯状態フラグをクリアした後、ステップS1806にて払出許可フラグをセットし、本処理を終了する。これにより、下皿34の満杯状態が解消された場合には遊技球の払い出しが許可されることになる。
【0224】
タイマ割込み処理(図33)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS1602にて払出許可フラグがセットされているか否かを判定する。払出許可フラグがセットされていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS1603にて状態復帰スイッチ245をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
【0225】
また、ステップS1604では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検知信号によりタンク球無し状態を判定し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
【0226】
その後、ステップS1605では、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置242に設けた7セグメントLEDにより報知するとともに、払出報知信号を主制御装置162に対して出力する。
【0227】
ステップS1606〜S1608では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS901のコマンド判定処理で記憶した総賞球個数が「0」でなければ(ステップS1606,S1607が共にNO)、ステップS1608に進み、図36に示した後述する賞球制御処理を開始する。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が「0」であれば(ステップS1606,S1607の何れかがYES)、ステップS1609〜S1611の貸球払出の処理に移行する。
【0228】
貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS1609がNO、S1610がYES)、ステップS1611に進み、図37に示した後述する貸球制御処理を開始する。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS1609がYES又はS1610がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
【0229】
ステップS1612では、状態復帰スイッチ245をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出装置224を駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1613では、球詰まり状態であることを条件にタンク221に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
【0230】
ここで、図36に示す賞球制御処理において、ステップS1901では、払出モータ256を駆動させて賞球の払出を実行する。但し、既に払出モータ256が駆動されている場合には、その駆動状態をそのまま継続する。続くステップS1902では、払出モータ256の回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定する。払出モータ256の回転が正常でなければ、ステップS1903に進み、払出モータ256を駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。ここで、かかるリトライ処理にてリトライを所定回数(例えば、3回)実行したにも関わらず払出モータ256の回転が正常でない場合に、主制御装置162に対して異常信号を出力する。
【0231】
また、払出モータ256の回転が正常であれば、ステップS1904に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1905に進み、払出モータ256を駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。ここで、かかるリトライ処理にてリトライを所定回数(例えば、3回)実行したにも関わらず遊技球のカウントが正常でない場合に、主制御装置162に対して異常信号を出力する。
【0232】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1906に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判定する。払出が完了していれば、ステップS1907で払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。
【0233】
また、図37に示す貸球制御処理において、ステップS2001では、払出モータ256を駆動させて貸球の払出を実行する。但し、既に払出モータ256が駆動されている場合には、その駆動状態をそのまま継続する。続くステップS2002では、払出モータ256の回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定する。払出モータ256の回転が正常でなければ、ステップS2003に進み、払出モータ256を駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。ここで、かかるリトライ処理にてリトライを所定回数(例えば、3回)実行したにも関わらず払出モータ256の回転が正常でない場合に、主制御装置162に対して異常信号を出力する。
【0234】
また、払出モータ256の回転が正常であれば、ステップS2004に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS2005に進み、払出モータ256を駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。ここで、かかるリトライ処理にてリトライを所定回数(例えば、3回)実行したにも関わらず遊技球のカウントが正常でない場合に、主制御装置162に対して異常信号を出力する。
【0235】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS2006に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判定する。払出が完了していれば、ステップS2007で払出モータ256の停止処理を実行し、その後、図33のタイマ割込み処理に戻る。
【0236】
次に、音声ランプ制御装置143のCPU341により実行される各制御処理について図38〜図42のフローチャートを用いて説明する。各制御処理は定期的(例えば2msec周期で)実行される。
【0237】
まず、各種センサから出力される信号を読み込む下皿満杯判定処理について、図38のフローチャートを用いて説明する。
【0238】
下皿満杯判定処理において、ステップS2101では、主制御装置162から下皿満杯コマンドを受信したか否かを判定する。下皿満杯コマンドを受信している場合、ステップS2102に進み、RAM343に設けられた下皿満杯フラグ格納エリアに下皿満杯フラグをセットする。ステップS2103では、下皿レバー信号が下皿レバーセンサ37から入力されているか否かを判定する。下皿レバー信号が入力されていない場合、そのまま本処理を終了し、下皿レバー信号が入力されている場合、ステップS2104に進み、RAM343に設けられた下皿レバーフラグ格納エリアに下皿レバーフラグをセットする。ステップS2105では、下皿レバー信号が継続して入力されている時間を計測するために、継続タイマを0にしてセットする。下皿レバー用タイマは、例えば下皿満杯判定処理の都度そのタイマ値を1インクリメントするものである。
【0239】
ステップS2106では、継続タイマをセットしてから所定時間(例えば5秒)が経過したか否かを判定する。例えば、継続タイマのタイマ値が所定値より大きくなったか否かを判定する。所定時間が経過していない場合は、そのまま本処理を終了することで下皿レバー用タイマによる時間計測を継続し、所定時間が経過している場合は、ステップS2107に進む。ステップS2107では、RAM343に設けられた下皿レバー継続フラグ格納エリアに下皿レバー継続フラグをセットする。下皿レバー継続フラグは、下皿レバー信号が所定時間だけ継続して入力されていることを示すフラグであり、換言すれば、下皿レバー36に対する球抜き継続操作が実行されていることを示すフラグである。したがって、下皿レバー継続フラグがセットされている場合、満杯状態となっていた下皿34における遊技機を貯留する貯留能力が再生されていることになる。ステップS2108では、下皿レバーフラグをクリアし、本処理を終了する。これにより、下皿レバー信号が所定時間を越えて継続して入力されていても、信号入力の継続時間の計測が停止される。
【0240】
ステップS2101において、下皿満杯コマンドを受信していないと判定された場合、ステップS2109にて、下皿満杯フラグがセットされているか否かを判定し、ステップS2110にて、下皿レバーフラグがセットされているか否かを判定する。下皿満杯フラグ及び下皿レバーフラグのいずれもセットされていない場合、そのまま本処理を終了し、下皿満杯フラグ及び下皿レバーフラグの一方がセットされている場合、すなわち下皿満杯コマンドを受信した後に下皿レバー信号が継続して入力されている場合、ステップS2111に進む。
【0241】
ステップS2111では、主制御装置162から下皿満杯解消コマンドを受信したか否かを判定する。下皿満杯解消コマンドを受信していない場合、ステップS2106に進み、ステップS2106〜S2108の処理を実行する。一方、下皿満杯解消コマンドを受信している場合、ステップS2112にて下皿満杯フラグをクリアした後、本処理を終了する。これにより、次に下皿満杯コマンドを受信した場合に、下皿満杯フラグをセットすることが可能となる。
【0242】
次に、遊技状態が大当たり状態に移行した後に実行される表示処理について、図39のフローチャートを用いて説明する。音声ランプ制御装置143のCPU341は、図39に示す手順に従って主制御装置162から送信される各種コマンドを処理しつつ、表示制御装置325を制御することで図柄表示装置91の表示内容を制御する。
【0243】
大当たり表示処理において、ステップS2201では、遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合、ステップS2202にて状態移行コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。ステップS2202にて状態移行コマンドを受信した場合、遊技状態が大当たり状態に移行したことを意味する。かかる場合には、ステップS2203にてRAM343に設けられた表示ラウンドカウンタHRCに15をセットすると共に、ステップS2204にて、大当たり状態に移行したことや15ラウンドまで可変入賞装置83の開閉が行われること等を教示するオープニング動画を図柄表示装置91に表示させるべくオープニング処理を開始して本処理を終了する。
【0244】
なお、主制御装置162から特定コマンド及び昇格コマンドを受信している場合は、オープニング処理において、非特定大当たりに当選している旨を示すオープニング動画等を図柄表示装置91に表示させる。一方、特定コマンドを受信していても昇格コマンドを受信していない場合、及び非特定コマンドを受信している場合は、オープニング処理において、特定大当たりに当選している旨を示すオープニング動画等を図柄表示装置91に表示させる。
【0245】
ステップS2201にて遊技状態が大当たり状態であると判別した場合には、ステップS2205にて開放コマンドを受信したか否かを判別する。開放コマンドを受信した場合には、可変入賞装置83が開放されたことを意味する。そこで、開放コマンドを受信した場合には、ステップS2206にて開放時処理を行い、本処理を終了する。なお、開放時処理については後述することとする。
【0246】
ステップS2205にて開放コマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS2210にて閉鎖コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。一方、閉鎖コマンドを受信した場合には、開放状態にあった可変入賞装置83が閉鎖状態に切り換えられた、すなわち1回のラウンドが終了したことを意味する。かかる場合には、ステップS2211にて表示ラウンドカウンタHRCの値を1減算し、ステップS2212では表示ラウンドカウンタHRCの値が0か否かを判別する。
【0247】
表示ラウンドカウンタHRCの値が0でない場合には、15ラウンドが終了していないことを意味するため、ステップS2213に進み、次回のラウンド数等を遊技者に教示する開放前動画を図柄表示装置91に表示させるべく開放前処理を開始して本処理を終了する。また、表示ラウンドカウンタHRCの値が0である場合には15ラウンドが終了したことを意味するため、ステップS2214にて大当たり状態が終了することを教示するエンディング動画を図柄表示装置91に表示させるべくエンディング処理を開始する。ステップS2215では、エンディング処理の終了後に、RAM343に設けられたエンディングフラグ格納エリアにエンディングフラグをセットして本処理を終了する。
【0248】
ここで、可変入賞装置83が開放されている状況下にて行う開放時処理について、図40のフローチャートを用いて説明する。
【0249】
開放時処理において、ステップS2301では、主制御装置162から昇格コマンドを受信したか否かを判定する。昇格コマンドを受信していない場合、ステップS2313に進み、RAM343に設けられた昇格フラグ格納エリアに昇格フラグがセットされているか否かを判定する。昇格フラグは昇格コマンドを受信した後にセットされるフラグであり、昇格フラグがセットされていない場合、ステップS2314に進み、現在のラウンド数や、ラウンド中に可変入賞装置83に入賞した遊技球数等を図柄表示装置91に表示させるべく、開放中処理を開始して本処理を終了する。
【0250】
なお、主制御装置162から非特定コマンドを受信している場合は、非特定大当たりに当選している旨を示す非特定大当たり演出を図柄表示装置91に表示させる。また、特定コマンドを受信していて昇格報知フラグがセットされている場合(昇格コマンドを受信して昇格演出が既に行われた場合)も非特定大当たり演出を表示させる。一方、特定コマンドを受信していて昇格フラグがセットされていない場合(昇格コマンドを受信しなかった場合、及び昇格コマンドを受信してもまだ昇格演出が行われていない場合)は、特定大当たりに当選している旨を示す特定大当たり演出を図柄表示装置91に表示させる。
【0251】
昇格コマンドを受信した場合、ステップS2302に進み、昇格フラグ格納エリアに昇格フラグをセットする。昇格フラグは、主制御装置162の昇格報知抽選に当選し、特定大当たりの状況下で非特定図柄の組み合わせを有効ラインに最終停止表示させたことを示すフラグである。ステップS2302の後、又はステップS2313にて昇格フラグがセットされていると判定された場合、ステップS2303に進み、表示ラウンドカウンタHRCが抽選値であるか否かを判定する。例えば、抽選値を6,3,1に設定し、表示ラウンドカウンタHRCが6,3,1のいずれかに該当するか否かを判定する。ここで、表示ラウンドカウンタHRCが6の場合、現在のラウンドが10ラウンドであることを意味する。同様に、表示ラウンドカウンタHRCが3の場合は13ラウンド、1の場合は15ラウンドであることを意味する。
【0252】
表示ラウンドカウンタHRCが抽選値でない場合、昇格演出の表示を実行しないとして、ステップS2314にて開放中処理を実行し、表示ラウンドカウンタHRCが抽選値である場合、ステップS2304にて昇格報知抽選を行う。ここで、抽選値を6,3,1に設定している場合、昇格報知抽選に当選する確率は、例えば表示ラウンドカウンタHRCが6である場合に25%、3である場合に25%、1である場合に50%となっている。換言すれば、昇格報知抽選に当選する確率は、現在のラウンドが10ラウンドである場合に25%、13ラウンドである場合に25%、15ラウンドである場合に50%となっている。
【0253】
ステップS2305では、昇格報知抽選に当選したか否かを判定する。昇格報知抽選に当選しなかった場合、ステップS2314にて開放中処理を実行し、昇格報知抽選に当選した場合、ステップS2306にて下皿満杯フラグがセットされているか否かを判定する。下皿満杯フラグがセットされていない場合、ステップS2307にて、下皿レバー信号が下皿レバーセンサ37から入力されているか否かを判定し、ステップS2308にて、選択スイッチ信号が選択スイッチセンサ39から入力されているか否かを判定する。
【0254】
下皿レバー信号及び選択スイッチ信号のいずれも入力されていない場合、ステップS2314にて開放中処理を実行する。したがって、昇格報知抽選に当選していて下皿34が満杯状態ではなくでも、下皿レバー36に対する球抜き操作及び選択スイッチ38に対する選択操作のいずれも実行されていない場合は昇格演出が行われないことになる。この場合、遊技者にとっては、大当たり状態に移行した理由が非特定大当たりの発生ではなく特定大当たりの発生であることを察知しにくくなっている。
【0255】
一方、下皿レバー信号又は選択スイッチ信号が入力されている場合、すなわち、昇格報知抽選に当選していて下皿34が満杯状態ではない状態で、下皿レバー36に対する球抜き操作又は選択スイッチ38に対する選択操作が実行された場合、ステップS2309に進み、特定大当たりであることを報知する昇格演出を図柄表示装置91に表示させる昇格報知処理を実行する。そして、ステップS2310にて、RAM343に設けられた昇格報知フラグ格納エリアに昇格報知フラグをセットした後、本処理を終了する。
【0256】
これに対して、下皿満杯フラグがセットされている場合、ステップS2311に進み、下皿レバー継続フラグがセットされているか否かを判定する。下皿レバー継続フラグがセットされていない場合、下皿34が満杯状態になった後における下皿レバー36に対する球抜き操作の継続時間が所定時間に達していないとして、ステップS2314にて開放中処理を実行する。一方、下皿レバー継続フラグがセットされている場合、ステップS2312に進み、下皿レバー36に対する球抜き継続操作が実行されているとして、下皿レバー継続フラグをクリアした後、ステップS2309,S2310の処理を実行する。この場合、下皿満杯フラグがセットされていても、下皿レバー36に対する球抜き継続操作が所定時間だけ継続して実行された場合に限って昇格演出を図柄表示装置91に表示させる。また、下皿34が満杯状態になった後は、選択スイッチ38が操作されても昇格演出を行わないことになっている。
【0257】
ここで、大当たり表示処理について説明すると、本実施の形態では、昇格フラグがセットされていない場合、すなわち特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合と、非特定大当たりであって非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合とには、1ラウンドから15ラウンドまで図柄表示装置91の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に可変入賞装置83に入賞した遊技球数等が表示される。
【0258】
一方、昇格フラグがセットされている場合、すなわち特定大当たりであって非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合には、1ラウンドから15ラウンドで昇格報知抽選に当選しないラウンドでは、図柄表示装置91の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に可変入賞装置83に入賞した遊技球数等が表示される。また、この場合、10,13,15ラウンドのうち昇格報知抽選に当選したラウンドでは、下皿レバー36に対する球抜き操作又は選択スイッチ38に対する選択操作の実行を条件として、図柄表示装置91の表示画面に特定大当たりであることを報知する昇格演出の表示が可能となる。
【0259】
したがって、非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となった場合であっても、10,13,15ラウンドのうちいずれかのラウンドで昇格演出が行われることを期待させながら大当たり状態下の遊技を行わせることが可能となり、大当たり状態下の遊技が単調化することを抑制することが可能となる。この場合、遊技者は、大当たり状態下で行われる昇格演出を楽しむために下皿レバー36に対する球抜き操作又は選択スイッチ38に対する選択操作を実行すると考えられる。特に、大当たり状態下で下皿34が満杯状態になった場合には、下皿レバー36に対する球抜き継続操作が実行されていることを条件として昇格演出が行われるため、遊技者が昇格演出を楽しむために下皿レバー36に対する球抜き継続操作を行っていることが、結果として下皿34の満杯状態の解消につながることになる。
【0260】
なお、大当たり状態下において、昇格演出の実行が可能となるタイミングは下皿34が満杯状態になった後が好ましい。これは、下皿34が満杯状態になる前に昇格演出が実行されると、遊技者は昇格演出を楽しむことを目的として下皿レバー36に対する球抜き継続操作を行うことがなくなってしまうからである。そして、昇格演出の実行が可能となるタイミングが下皿34の満杯状態移行後となるように、現在のラウンドが10,13,15ラウンドのいずれかにある場合に昇格演出の実行が可能となっている。
【0261】
具体的に説明すると、例えば、可変入賞装置83に1個の遊技球が入賞することで15個の賞球が払出装置224から払い出され、可変入賞装置83に10個の遊技球が入賞することで1のラウンドが終了すれば、9ラウンドが終了するまでには1350個の遊技球が払出装置から払い出される。そして、1のラウンド毎に遊技球発射機構110から30個の遊技球が発射され、且つ下皿34から遊技球が排出されていなければ、10ラウンドが終了するまでに上皿33や下皿34には1080個の遊技球が貯留される必要がある。この場合、上皿33や下皿34が最大で(遊技球が貯留されていない状態で)1000個の遊技球を貯留することが可能であっても、10ラウンドの開始時には下皿34が満杯状態となっていることになる。したがって、昇格演出が実行されるラウンドは早くても10ラウンドであるため、下皿34が満杯状態となった後に昇格演出が実行されることになり、遊技者は、昇格演出を楽しむために下皿レバー36に対する球抜き操作を実行することになる。
【0262】
次いで、特定大当たり状態が終了した後に音声ランプ制御装置143が行う高確率状態処理について、図41のフローチャートを用いて説明する。なお、特定大当たり状態の終了後における遊技状態は高確率状態となっている。
【0263】
高確率状態処理において、ステップS2401では、昇格フラグがセットされているか否かを判定し、ステップS2402では、エンディングフラグがセットされているか否かを判定する。昇格フラグ及びエンディングフラグのいずれもセットされていない場合、そのまま本処理を終了し、昇格フラグ又はエンディングフラグがセットされている場合、すなわち主制御装置162から昇格コマンドを受信した状態で大当たり状態が終了した場合、ステップS2403に進み、昇格報知フラグがセットされているか否かを判定する。
【0264】
昇格報知フラグがセットされている場合、ステップS2404に進み、遊技状態が高確率状態であることを報知する高確率状態演出を図柄表示装置91に表示させる。すなわち、昇格演出が実行された場合には高確率状態演出が行われることになる。なお、高確率状態演出として、例えば背景画像を通常状態の背景画像とは異なる色に設定して演出を表示する。一方、昇格フラグがセットされていない場合、ステップS2405に進み、遊技状態が高確率状態であるにもかかわらず、通常状態演出を図柄表示装置91に表示させる。すなわち、下皿レバー36に対する球抜き操作又は選択スイッチ38に対する選択操作が行われなかった場合や下皿34の満杯状態が解消されなかった場合には、高確率状態演出ではなく通常状態演出が行われることになる。したがって、遊技者にとっては、特定大当たりが発生したことも、大当たり状態の終了後に遊技状態が高確率状態にあることも察知することが困難になっている。
【0265】
なお、本実施の形態では、主制御装置162から非特定コマンドを受信していた場合、大当たり状態の終了後に時短モードへの移行が可能となっており、時短モードが終了した後に通常状態に移行する。一方、特定コマンドを受信していた場合、大当たり状態の終了後に確変モードへの移行が可能となっており、確変モードが終了した後に更に時短モードに移行してから通常状態に移行する。時短モードは、通常状態であって図柄表示装置91の図柄の変動時間が短縮されたモードであり、確変モードは、高確率状態であって図柄表示装置91の図柄の変動時間が短縮されたモードである。
【0266】
そして、ステップS2404では高確率状態演出として確変モード演出が実行され、ステップS2405では通常状態演出として時短モード演出が実行される。したがって、昇格フラグがセットされていない場合、大当たり状態の終了後に、確変モードに移行しているにもかかわらず時短モード演出が実行されるため、遊技者にとっては、確変モードにあることを察知することが困難になっている。
【0267】
ステップS2404又はステップS2405の後は、ステップS2406に進み、昇格フラグをクリアする。そして、ステップS2407にてエンディングフラグをクリアし、ステップS2408にて昇格報知フラグをクリアした後、本処理を終了する。
【0268】
ここで、スピーカ部26を駆動させることで下皿34が満杯状態にあることを報知する報知音制御処理について、図42のフローチャートを用いて説明する。
【0269】
報知音制御処理において、ステップS2501では、下皿満杯フラグがセットされているか否かを判定する。下皿満杯フラグがセットされていない場合、下皿34は満杯状態ではないため、スピーカ部26を駆動しないとしてそのまま本処理を終了する。一方、下皿満杯フラグがセットされている場合、下皿34が満杯状態にあるとしてステップS2502に進み、下皿レバー信号が入力されているか否かを判定する。下皿レバー信号が入力されている場合、すなわち下皿34は満杯状態にあるが下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されている場合、スピーカ部26を駆動しないとしてそのまま本処理を終了する。一方、下皿レバー信号が入力されていない場合、すなわち下皿34が満杯状態にあるにもかかわらず下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていない場合、ステップS2503に進む。
【0270】
ステップS2503では、遊技状態が大当たり状態にあるか否かを判定し、遊技状態が大当たり状態にない場合、すなわち遊技状態が通常状態にある場合、ステップS2504に進み、通常状態報知処理を行う。具体的には、スピーカ部26から出力させる報知音を例えば「球を抜いてください」など、通常状態に対応した内容に設定し、スピーカ部26を駆動させる。一方、遊技状態が大当たり状態である場合、ステップS2505に進み、大当たり状態報知処理を行う。具体的には、前記報知音を例えば「球を溜めると演出を見ることができません」など、大当たり状態に対応して下皿レバー36に対する球抜き操作をより一層促す内容に設定し、スピーカ部26を駆動させる。
【0271】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0272】
下皿レバー36が開位置に移動していることを検出する下皿レバーセンサ37が下皿34に設けられているため、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行された場合に、その旨を下皿レバーセンサ37により検出することが可能となる。また、主制御装置162において下皿満杯判定処理が実行されるため、下皿34が満杯状態にあることを発見することが可能となる。したがって、下皿34が満杯状態にあるにもかかわらず下皿レバー36に対して球抜き操作が実行されていない場合に、球抜き操作を実行するように遊技者に対して促すことが可能となる。すなわち、下皿34からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0273】
下皿レバーセンサ37が音声ランプ制御装置143に接続されており、その下皿レバーセンサ37から音声ランプ制御装置143に対して下皿レバー信号が出力されるため、仮に下皿レバーセンサ37に代えて不正基板が接続されても主制御装置162への不正信号の入力を抑制することができる。この場合、不正信号により主制御装置162が制御されて不正行為者に対して特典が不正に付与されるといった不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0274】
また、下皿レバーセンサ37から音声ランプ制御装置143に対して下皿レバー信号が出力され、下皿レバー信号が入力されているか否かの判定が音声ランプ制御装置143にて行われるため、その判定が主制御装置162にて行われる構成に比べて、主制御装置162での処理負荷の増加を抑制することが可能となる。
【0275】
下皿34における遊技球の貯留状態が遊技機前方から視認可能となっているため、遊技者は、下皿34の貯留状態を視認しつつ、遊技球の排出が必要なタイミングなど適正なタイミングで下皿レバー36に対する球抜き操作を実行することが可能となる。また、下皿レバー36が下皿34の前面側に設けられているため、遊技者は、下皿34における遊技球の貯留状態と下皿レバー36とを同時に視認することが可能となる。これにより、下皿34が満杯状態となった場合に、下皿34に貯留されている遊技球の貯留量を確認しながら下皿レバー36に対する球抜き操作の継続期間を調節することが可能となる。故に、遊技者は、下皿レバー36の操作に気を取られ過ぎることなく遊技に集中することが可能となる。
【0276】
上皿33には遊技球発射機構110に遊技球を導くための機構が設けられ、その上皿33にて余剰となった遊技球が下皿34に貯留されるため、上皿ボタンが押圧操作されていなければ、上皿33には遊技に使用する遊技球が十分に貯留されていると考えられる。したがって、遊技者は、下皿レバー36に対する球抜き操作を実行する場合、下皿34に貯留さえている遊技球の全てを排出してもよく、下皿34に残っている遊技球の量を調節する必要がない。故に、上皿33に貯留されている遊技球が不足するといった不都合の発生を抑制しつつ、下皿34からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0277】
下皿34が満杯状態にある場合、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていなければスピーカ部26から報知音が出力され、球抜き操作が実行されていればスピーカ部26から報知音が出力されない。このため、球抜き操作が実行されているにもかかわらずスピーカ部26から報知音が出力されることで遊技者に対して違和感を与えるといった不都合の発生を抑制することが可能となる。また、下皿34が満杯状態になった場合に、球抜き操作を実行することで報知音の出力が速やかに停止するため、遊技者は遊技に集中することが可能となる。
【0278】
下皿34が満杯状態であって現在の遊技状態が大当たり状態にある場合、スピーカ部26から出力させる報知音が、通常状態にある場合に比べて下皿レバー36に対する球抜き操作をより一層促す内容に設定されているため、大当たり中において下皿34が満杯状態のまま放置されるといった不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0279】
主制御装置162からホールコンピュータ430に対して、払出装置224から払い出された遊技球の数をカウントするための遊技球カウント信号が出力されるため、ホールコンピュータ430では、実際に払い出された遊技球の払出数を特定の時間帯毎に集計することが可能となっている。さらに、主制御装置162からホールコンピュータ430に対して、大当たり開始信号及び大当たり終了信号が出力されるため、ホールコンピュータ430では、遊技状態が大当たり状態にある期間中の払出数や、遊技状態が通常状態にある期間中の払出数を払出情報として集計することが可能となっている。
【0280】
下皿34が満杯状態にある場合、払出装置224からの遊技球の払い出しが不許可とされ、満杯状態の解消に伴って遊技球の払い出しが許可される。また、賞球コマンドに対応した賞球個数が総賞球個数に加算されるため、遊技球の払い出しの実行中に下皿34が満杯状態となり賞球の払い出しが不許可とされても、満杯状態が解消されて再び払い出しが許可されることで総賞球個数の遊技球を不許可期間の前後に分けて払い出すことができる。また、下皿34からの遊技球の排出が促進される構成であるため、賞球コマンドに体操した賞球を速やかに払い出すことが可能となり、結果として、ホールコンピュータ430にて集計される払出情報を適正な内容の情報とすることができる。
【0281】
例えば、下皿34からの遊技球の排出が遅滞していることに起因して、大当たり状態にある期間中に払い出されるはずの遊技球が通常状態にある期間中に払い出された場合、ホールコンピュータ430での払出情報では、他のパチンコ機10に比べて大当たり状態の期間中での払出数が少なくなって通常状態の期間中での払出数が多くなる。この場合、払出情報は適正ではない内容となり、その払出情報に基づいてホール管理者などにより行われるパチンコ機10の設定は適正ではないと考えられる。これに対して、前記払出情報が適正な内容の情報である場合、パチンコ機10の設定は適正であると考えられる。
【0282】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0283】
(1)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態にある場合、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていればスピーカ部26を駆動させない構成としたが、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていてもスピーカ部26を駆動させる構成としてもよい。例えば、図43のフローチャートに示すように、音声ランプ制御装置143のCPU341により実行される報知音制御処理において、下皿レバー36に対する球抜き操作が所定時間に亘って継続されているか否かを判定する継続判定処理を行う。
【0284】
報知音制御処理において、ステップS2601〜ステップS2605の処理は、上記実施の形態におけるステップS2501〜ステップS2505と同一の処理となっている。但し、ステップS2602にて下皿レバー信号が入力されていると判定された場合、すなわち下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されている場合、ステップS2606に進み、下皿レバー信号が継続して入力されている時間を計測するために、タイマを0にしてセットする。ステップS2607では、タイマをセットしてから所定時間(例えば2秒)が経過したか否かを判定する。ここで、所定時間を、下皿レバー36に対する球抜き操作が開始されてから下皿34の満杯状態が解消されるはずの時間である満杯解消時間より長い時間に設定する。所定時間が経過していない場合、異常が発生することなく下皿34の満杯状態が解消されたとして、ステップS2603〜S2605にて現在の遊技状態に応じた報知処理を実行する。
【0285】
一方、所定時間が経過している場合、ステップS2608に進み、異常発生報知処理を行う。具体的には、スピーカ部26から出力させる報知音を例えば「店員を呼んでください」「下皿満杯中」などの内容に設定し、スピーカ部26を駆動させる。所定時間を経過してもステップS2608の処理が行われるということは、満杯解消時間を経過しても下皿34の満杯状態が解消されていない(下皿満杯フラグがセットされているとステップS2601にて判定されている)ことを意味する。この場合、前扉側下皿通路52や下皿34に遊技球が詰まるなどの異常が発生して下皿レバー36に対する球抜き操作が行われても下皿34の満杯状態が解消されないとして、異常発生を報知する内容の報知音をスピーカ部26から出力させる。これにより、球詰まりなどの異常発生を発見することが可能になるとともに、その異常発生を遊技者やホール管理者などに察知させることができる。
【0286】
また、ステップS2607にて実行される判定処理を、継続判定処理ではなく、下皿レバー36に対する球抜き操作が所定時間内に所定回数だけ実行されたか否かを判定する回数判定処理としてもよい。この場合でも、球詰まりなどの異常発生を発見することが可能になるとともに、その異常発生を遊技者やホール管理者などに察知させることができる。
【0287】
(2)上記実施の形態では、下皿レバーセンサ37により、下皿レバー36が開位置にあることが検出される構成としたが、下皿レバー36が閉位置にあることが検出される構成としてもよい。この場合でも、例えば、下皿レバー36に対する球抜き操作が行われない場合に、その旨を示す信号が音声ランプ制御装置に入力される構成とすれば、下皿34からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0288】
(3)上記実施の形態では、下皿レバーセンサ37が音声ランプ制御装置143に接続されている構成としたが、主制御装置162に接続されている構成としてもよい。この場合、例えば、下皿レバーセンサ37から主制御装置162に対して下皿レバー信号が出力され、下皿レバー36に対して球抜き操作が行われているか否かの判定が主制御装置162にて行われる構成とすることで、下皿34からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。但し、この場合、下皿レバーセンサ37と主制御装置162とを接続している経路を介して下皿レバー信号ではなく不正信号が主制御装置162に入力されるおそれがあるため、上記実施の形態で説明したように、下皿レバーセンサ37が音声ランプ制御装置143に接続されている構成とすることが好ましい。
【0289】
また、下皿レバーセンサ37が表示制御装置325に接続されている構成としてもよい。この場合、例えば、下皿レバーセンサ37から表示制御装置325に対して下皿レバー信号が出力され、下皿レバー36に対して球抜き操作が行われているか否かの判定が主制御装置162にて行われる構成とすることで、下皿34からの遊技球の排出を促進させることが可能となる。
【0290】
(4)上記実施の形態では、下皿レバー36が下側膨出部32の前面側に設けられている構成としたが、遊技者による操作が可能であれば下側膨出部32の前面側に設けられていなくてもよい。但し、下皿34と下皿レバー36とが離間して配置されていると、遊技者は、下皿34における遊技球の貯留状態と下皿レバー36とを同時に視認することが困難になり、下皿レバー36に対する球抜き操作の容易性が低下するおそれがある。このため、上記実施の形態で説明したように、下皿レバー36が下側膨出部32の前面側に設けられている構成とすることが好ましい。
【0291】
(5)上記実施の形態では、主制御装置162の下皿満杯判定処理により、下皿34が満杯状態にあるか否かの判定が行われる構成としたが、下皿34に遊技球が所定量だけ貯留されているか否かの判定が行われる構成としてもよい。例えば、遊技球検知センサ57が前扉側下皿通路52ではなく下皿34に設けられている構成とし、下皿満杯判定処理により、下皿34に遊技球が所定量だけ貯留されているか否かを判定する。但し、この場合、下皿34における遊技球の貯留量が所定量に達した場合に遊技球の排出を遊技者に促す構成とすると、下皿レバー36に対する球抜き操作が行われる頻度が高くなると考えられ、遊技者が遊技に集中できなくなるおそれがある。したがって、上記実施の形態で説明したように、主制御装置162の下皿満杯判定処理により、下皿34が満杯状態にあるか否かの判定が行われる構成とすることが好ましい。
【0292】
(6)上記実施の形態では、下皿満杯判定処理(ステップS504)が主制御装置162にて行われる構成としたが、払出制御装置242にて行われる構成としてもよい。例えば、払出制御装置242に遊技球検知センサ57が接続され、前扉側下皿通路52にて遊技球が検知された場合には遊技球検知信号が遊技球検知センサ57から払出制御装置242に入力される構成とする。この場合、主制御装置162の処理負荷を低減させることが可能となる。
【0293】
(7)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態となった場合に、スピーカ部26から報知音が出力される構成としたが、環状電飾部23,エラー表示ランプ部24,賞球ランプ部25などが点灯する構成としてもよく、下皿34が満杯状態にあることが図柄表示装置91に表示される構成としてもよい。これにより、下皿34が満杯状態にあることをより確実に遊技者やホール管理者に察知させることが可能となる。
【0294】
(8)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態にある場合、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていればスピーカ部26による報知を停止させる構成としたが、下皿34の満杯状態が解消された後にスピーカ部26による報知を停止させる構成としてもよい。これにより、下皿レバー36に対する球抜き操作が実行されていても下皿34の満杯状態が解消されない場合に、その旨を遊技者やホール管理者に察知させることが可能となる。さらには、前扉側下皿通路52や下皿34にて異常が発生している場合にその異常発生を発見することが可能となる。
【0295】
(9)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態にある場合にスピーカ部26から出力させる報知情報としての報知音が現在の遊技状態に応じて異なる内容に設定される構成としたが、遊技状態にかかわらず同一の内容に設定される構成としてもよい。但し、この場合、遊技状態が大当たり状態にある場合、下皿レバー36に対する球抜き操作をより一層促すことができないため、下皿34からの遊技球の排出を促進する効果が低下するおそれがある。したがって、上記実施の形態で説明したように、下皿34が満杯状態にある場合にスピーカ部26から出力させる報知情報としての報知音が現在の遊技状態に応じて異なる内容に設定される構成とすることが好ましい。
【0296】
(10)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態にある場合、スピーカ部26から報知音が出力される構成としたが、スピーカ部26から報知音が出力されない構成としてもよい。但し、この場合、下皿34が満杯状態にあることを遊技者に察知させにくくなる可能性があるため、上記実施の形態で説明したように、下皿34が満杯状態にある場合はスピーカ部26から報知音が出力される構成とすることが好ましい。
【0297】
(11)上記実施の形態では、下皿34が満杯状態にある場合に払出装置224からの遊技球の払い出しを行わない構成としたが、下皿34が満杯状態にあるばあいでも払出装置224からの遊技球の払い出しを行わない構成としてもよい。但し、下皿34が満杯状態にある場合にさらに払出装置224から遊技球が払い出されると、前扉側下皿通路52などにおいて遊技球が滞留し、さらにはその滞留した遊技球が払出装置224にまで達するおそれがある。この場合、払出装置224の遊技球通路254に遊技球が詰まり、回転体257の回転が停止することで払出モータ256に異常が発生するなどの不都合が発生する可能性がある。したがって、上記実施の形態で説明したように、下皿34が満杯状態にある場合に払出装置224からの遊技球の払い出しを行わない構成とすることが好ましい。
【0298】
(12)上記実施の形態では、主制御装置162からホールコンピュータ430に対して、管理用カウント信号,大当たり開始信号,大当たり終了信号などが出力される構成としたが、これらの信号が出力されない構成としてもよい。但し、この場合、ホールコンピュータ430によるパチンコ機10の管理が行われなくなるため、上記実施の形態で説明したように、主制御装置162からホールコンピュータ430に対して、管理用カウント信号,大当たり開始信号,大当たり終了信号などが出力される構成とすることが好ましい。
【0299】
(13)上記実施の形態では、遊技球を貯留する球受け皿として上皿33及び下皿34が設けられている構成としたが、一の球受け皿が設けられている構成としてもよい。この場合でも、球抜き操作が実行されることで球受け皿から遊技球を排出させる一体皿球抜きレバーと、一体皿球抜きレバーセンサとが設けられている構成とすれば、球受け皿からの遊技球の排出を促進することが可能となる。ここで、一体皿球抜きレバーは、上記実施の形態における下皿レバー36に相当し、一体皿球抜きレバーセンサは下皿レバーセンサ37に相当するものである。
【0300】
また、上皿33が遊技球を貯留する機能を有していない構成としてもよい。この場合でも、下皿34と、下皿レバー36と、下皿レバーセンサ37とが設けられている構成とすれば、球受け皿からの遊技球の排出を促進することが可能となる。なお、上皿33が遊技球を貯留する機能を有していない構成とは、例えば、上皿33が上記実施の形態よりも小さく形成されており、球貸し装置から遊技球を受ける機能のみしか備えていない構成をいう。
【0301】
(14)上記実施の形態では、主制御装置162から音声ランプ制御装置143に対して、大当たり図柄の組み合わせを設定した停止図柄コマンドが出力される構成としたが、大当たりの種別を設定した種別コマンドが出力される構成としてもよい。例えば、特定大当たり抽選に当選した旨を示す種別コマンドが主制御装置162から音声ランプ制御装置143に対して出力された場合に、有効ライン上に停止表示させる図柄を奇数番号(1,3,5,7,9)付きの「特定図柄」のいずれかに設定する処理が音声ランプ制御装置143にて行われるようにしたり、昇格抽選が音声ランプ制御装置143にて行われるようにしたりする。すなわち、主制御装置162から音声ランプ制御装置143に対して種別コマンドが出力された場合に、図柄表示装置91での表示内容を設定する処理が音声ランプ制御装置143にて行われるようにする。これにより、主制御装置162の処理負荷を低減させることが可能となる。
【0302】
(15)上記実施の形態では、主制御装置162に音声ランプ制御装置143が中継端子板323を介して接続され、音声ランプ制御装置143に表示制御装置325が接続されている構成としたが、主制御装置162に表示制御装置325が接続され、表示制御装置325に音声ランプ制御装置143が接続されている構成としてもよい。この場合、例えば、主制御装置162から表示制御装置325に対してコマンドが出力された際に、そのコマンドに相当するコマンドが表示制御装置325から音声ランプ制御装置143に対して出力される構成にする。
【0303】
また、主制御装置162に表示制御装置325及び音声ランプ制御装置143が接続される構成としてもよく、表示制御装置325と音声ランプ制御装置143とが1つのサブ制御装置として主制御装置162に接続される構成としてもよい。これらの場合、主制御装置162からは、表示制御装置325、音声ランプ制御装置143、サブ制御装置に対して各種コマンドがそれぞれ出力されるようにするとよい。
【0304】
(16)上記実施の形態における構成をパチンコ機以外の遊技機に適用してもよい。例えば、パチンコ機とスロットマシンとが融合した球使用スロットマシン式遊技機に対して適用してもよい。かかる遊技機は、複数のリールを有するリール装置を備えており、各リールの周方向には複数種の図柄が付されている。そして、遊技機前面部に設けられた表示窓を介して各リールに付された図柄の一部が視認可能となっている。また、上記実施の形態と同様に遊技球を貯留するための上皿が設けられており、該上皿に貯留されている遊技球は取込装置により取り込まれる。かかる取込装置における遊技球の取り込みは、取込開始スイッチが遊技者により操作されることで開始される。そして、取込装置により所定数の遊技球が取り込まれた後にスタートレバーが操作されることで全リールが回転を開始し、各リール毎に設けられたストップスイッチが押圧操作されるか、回転開始から所定時間が経過することにより、リールの回転が停止する。リールの回転が停止した場合に、予め設定された有効ライン上にリールに付された図柄によって所定図柄又は所定図柄の組合せが停止すると、遊技球が払い出される。
【0305】
また、球使用スロットマシン式遊技機にも下皿が設けられており、上皿から排出された遊技球又は上皿にて余剰となった遊技球が下皿に貯留される。そして、下皿が満杯状態にある場合には、停止図柄により決まる成立役に関する報知が行われなかったり、遊技球払出役に当選する確率が高いボーナスゲームへの移行に伴う報知が行われなかったりする。これら報知を行わせるには下皿から遊技球を排出させる必要があり、これにより、下皿からの遊技球の排出を促進させることができる。
【符号の説明】
【0306】
10…遊技機としてのパチンコ機、14…遊技機前面体としての前扉枠、26…報知手段としてのスピーカ部、33…球受け皿としての上皿、34…球受け皿としての下皿、36…排出操作手段としての下皿レバー、37…操作状態検出手段としての下皿レバーセンサ、52…案内通路としての前扉側下皿通路、57…遊技球検出手段としての遊技球検知センサ、131…主制御手段としての主制御装置、143…副制御手段としての音声ランプ制御装置、224…払出手段としての払出装置、259…遊技球検出手段としてのカウントセンサ、430…管理装置としてのホールコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技結果に応じて遊技球を払い出す払出手段と、
前記払出手段から払い出された遊技球を貯留する球受け皿と、
前記球受け皿における前記遊技球の貯留状態を検出可能な貯留状態検出手段と、
前記球受け皿に貯留されている遊技球を該球受け皿から排出させるべく遊技者により排出操作が行なわれる排出操作手段と、
前記排出操作手段の操作状態を検出する操作状態検出手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−245396(P2012−245396A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205740(P2012−205740)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【分割の表示】特願2007−207163(P2007−207163)の分割
【原出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】