説明

遊技機

【課題】大当たり処理前に、遊技者に実益のある遊技状態を構築する。
【解決手段】普通図柄抽選の遊技仕様の違いによって、通常遊技状態において、遊技者に対して実益の差がある複数種類の遊技モード(基本遊技モード、天国遊技モード)を設定することが可能であり、これにより、通常遊技状態であっても変化に富んだ遊技を構築することができる。また、本実施の形態では、特定遊技状態においても、複数種類の遊技ゾーン(チャンスゾーン、連荘ゾーン)を設定しているため、通常遊技状態と特定遊技状態との間の移行、通常遊技状態でのモード間の移行、特定遊技状態でのゾーン間の移行が複雑に絡み合い、比較的単調であったパチンコ遊技に奥深さを持たせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞口に遊技球が入賞することで実行される抽選の結果に基づいて、遊技状態を移行させることが可能な遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な遊技機、例えばパチンコ機は、通常遊技状態で予め定められた入賞口(特別図柄始動入賞口)に入賞することで特別図柄抽選(特図抽選という場合がある)が実行され、この特別図柄抽選の結果が当選の場合、前記通常遊技中は閉止されている入賞口(アタッカーという場合がある)を所定期間開放し、短期間で多くの入賞を期待できる大当たり処理が実行される特別遊技状態に移行する。すなわち、通常遊技では、閉塞状態であったアタッカー(大入賞口)を所定回数、所定時間開放することによって、短時間で多くの遊技球の入賞を期待できる特別遊技(大役遊技)に移行する遊技仕様がある。
【0003】
特許文献1には、前記大当たりの抽選演出において、ベースの異なる複数のモードを備え、大当たり処理の終了後、所定の確率で、複数のモードの何れかに移行するように制御することが開示されている。
【0004】
この特許文献1では、ベースの低いモード中における大当たり終了後は、ベースの高いモードに移行することも記載されている。
【0005】
なお、ベースとは、遊技球の発射数に対する賞球払出数の割合であり、例えば、100球発射して100球の賞球払い出しがあれば、「ベース100」、100球発射して20球の賞球払い出しがあれば、「ベース20」となる。通常遊技状態は、基本的に「ベース20」位が主流となっている。
【0006】
また、特許文献2には、複数種類の時短遊技状態を備え、大当たり処理の終了後に、当選時の図柄の種類によって異なる時短状態を設定し、時短状態への設定中に特定の図柄変動回数に達すると、時短状態を他の時短状態に変更可能とすることが開示されている。
【0007】
しかしながら、従来は、特図抽選に当選し、大当たり処理が終了した後に、何らかの特典(遊技者にとって実益のある状態)を付与するのが主流であり、それ以前(大当たり処理前)の遊技状態に変化をもたらす手段としては、演出(遊技者にとって実益のない状態)に頼るしかなかった。
【0008】
なお、参考として、通常遊技状態に遊技者に実益のある変化をもたらす技術として、以下の技術がある。
(1)普通図柄抽選(普図抽選という場合がある)
(2)突然確変(突確)
上記(1)について、普図抽選は、特図抽選とは別に実行されるものであり、通常遊技状態では、普図抽選は、遊技盤上に設けられたスルーチャッカー(通過口)を遊技球が通過することで実行され、当選すると特別図柄始動入賞口の開口度合いを変更(入賞率を変更)可能な電動チューリップが開放する。
【0009】
現状では、通常遊技状態での普図抽選の確率、開放期間(例えば、開放時間×開放回数)が一定となっており、大当たり処理後に付与される特典付与(特図の確変状態)の期間として、普図抽選の確率や開放期間を変更(例えば、開放期間の延長等)する場合がある。
【0010】
この普図抽選においても、通常遊技状態での電動チューリップの開放という、僅かに遊技者に実益があるものの、前述した通常遊技状態における前述したベースの設定許容範囲内であり、通常遊技状態の下での劇的な変化を期待することはできない。
【0011】
上記(2)は大当たり処理を所謂パンク状態として、遊技者の意識として、通常状態から突然に前記特典が付与されるものであり、「突然確変」という独立した遊技仕様として確立しているものの、複数種類の通常遊技状態を備えこれらの間を遷移するわけではなく、大当たり処理後に付与される特典のみを付与するものであり、実際に複数種類の通常遊技状態の間で変化するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−158580号公報
【特許文献2】特開2010−51489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事実を考慮し、大当たり処理前に、遊技者に実益のある遊技状態を構築することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、通常遊技状態の遊技形態として予め設定された複数種類の遊技モード間を移行する機会である遊技モード移行機会、或いは、少なくとも前記通常遊技状態では閉止されている入賞口を所定期間開放する大当たり処理が実行された後の遊技形態として予め設定された複数種類の大当たりゾーンへ移行する大当たりゾーン移行機会の何れかの機会が付与される権利を得るための第1の抽選手段と、前記第1の抽選手段の当選時に実行され、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記遊技モード移行機会の場合には前記遊技モードの種類を抽選し、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記大当たりゾーン移行機会の場合には前記大当たりゾーンの種類を抽選する第2の抽選手段とを有し、前記大当たりゾーンには、前記大当たり処理後、当該大当たりゾーンを維持する遊技回数がそれぞれ設定され、前記通常遊技状態の遊技モードには、前記第1の抽選手段に当選することで得られる第2の抽選において、前記大当たり処理後の遊技回数が異なる複数の大当たりゾーンへの移行の選択肢を備えた基本遊技モードと、前記大当たり処理後の遊技回数が最も多い大当たりゾーンへの移行が確定された特定遊技モードとを、少なくとも備えることを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、通常遊技状態の遊技形態として、複数種類の遊技モードが設定されており、大当たり処理が終了した後の遊技形態として、複数種類の大当たりゾーンが設定されており、何れかの遊技モード又は大当たりゾーンでの遊技状態で第1の抽選が実行される。
【0016】
第1の抽選に当選すると、第2の抽選が実行される。第2の抽選では、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記遊技モード移行機会の場合には前記遊技モードの種類を抽選する。また、第2の抽選では、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記大当たりゾーン移行機会の場合には前記大当たりゾーンの種類を抽選する。
【0017】
言い換えれば、第1の抽選と第2の抽選が組み合わされることにより、所謂出玉のない遊技モード間の移行、或いは所謂出玉のある大当たりゾーンの何れかへの移行が確定する。
【0018】
大当たりゾーンには、前記大当たり処理後に、当該大当たりゾーンを維持する遊技回数が異なる複数種類の大当たりゾーンが設定されている。
【0019】
遊技モードには、少なくとも基本遊技モードと特定遊技モードがある。基本遊技モードは、遊技者から見て最も実益が低いモードであり、特定遊技モードは、遊技者から見て最も実益が高いモードである。この基本遊技モードと特定遊技モードとの間に、前記実益が最低から最高までの間に設定される幾つかの遊技モードを設定してもよい。
【0020】
例えば、遊技モードが、基本遊技モードと特定遊技モードとの2種類の場合において、遊技者から見た実益の差としては、基本遊技モードが大当たり処理後の遊技回数が異なる複数の大当たりゾーンへの移行の選択肢を備えるのに対して、特定遊技モードが大当たり処理後の遊技回数が最も多い大当たりゾーンへの移行が確定されている点にある。
【0021】
遊技仕様の一例として、各大当たりゾーンでは、設定された遊技回数の間に第1の抽選に当選した場合、全て大当たりゾーンへ移行する機会が付与され、第2の抽選では遊技回数の設定数が多い大当たりゾーンへ移行する。なお、この移行先は、前記特定遊技モードに特化してもよい。すなわち、大当たりゾーン中における設定された遊技回数の間に第1の抽選に当選すれば、大当たりゾーンが継続されることになる。
【0022】
一方、何れかの大当たりゾーンにおいて、設定された遊技回数の間に第1の抽選に当選しない場合、例えば、基本遊技モードに戻ることで、一連の継続状態が終了することになる。
【0023】
このように、通常遊技状態において、遊技者に実益の差をつけた遊技モードを設定することで、変化に富んだ遊技仕様を構築することができる。
【0024】
本発明において、前記複数種類の遊技モードが、前記第1の抽選、第2の抽選とは独立して実行される第3の抽選により選択される複数の遊技仕様に対応して設定されていることを特徴としている。
【0025】
複数種類の通常遊技状態の遊技モードを構築するにあたり、前記第1の抽選、第2の抽選とは独立して実行される第3の抽選により選択される複数の遊技仕様に対応して設定している。
【0026】
例えば、各遊技モードが、遊技者に対する実益に差がある場合、異なる条件の下で設定することが要求される場合がある。
【0027】
そこで、第1の抽選及び第2の抽選とは独立して、第3の抽選を可能として、当該第3の抽選により選択される複数の遊技仕様のそれぞれに遊技モードを割り当てることで、前記要求を実現することができる。
【0028】
また、本発明において、前記遊技モードを設定するための前記第3の抽選により選択される遊技仕様として、当選するときの条件が類似する、或いは、当選してからの動作が類似することを特徴としている。
【0029】
遊技モードを設定するための、第3の抽選により選択される遊技仕様に当選する条件が、ほぼ同一であるが好ましい。
【0030】
例えば、第3の抽選として普通図柄抽選が適用可能である。普通図柄抽選とは、第1の抽選及び第2の抽選の機会となる特定の入賞口に設けられた電動チューリップ等の役物を動作して入賞開口を拡縮する抽選である。
【0031】
この普通図柄抽選の当選確率を、例えば、1/1000〜1/100000等、ほとんど当選し得ない当選確率とし、役物による特定の入賞口を広げる時間間隔に差を設けておく。当選確率1/1000〜1/100000は、桁数が異なるが、いずれも殆ど当選し得ない確率であることで、「当選するときの条件が類似」するということができる。この場合、当選後の動作に違いがあってもよい。
【0032】
また、第3の抽選が当選し易くしてもよい。この場合は、電動チューリップの拡縮動作を類似させればよい(当選してからの動作が類似)。
【0033】
このように、遊技モードを設定するための前記第3の抽選により選択される遊技仕様として、当選するときの条件が類似する、或いは、当選してからの動作が類似するようにすれば、例えば、特定遊技モードとして、遊技者にとって実益のある真特定遊技モードと、遊技者にとって実益のない偽特定遊技モード(所謂ガセモード)とを設定することができ、さらに変化に富んだ遊技状態を構築することができる。
【0034】
また、例えば、基本遊技モードと特定遊技モードとの間で、ベースに関しての実益の差を持たせなくてもよいため、遊技仕様を複雑にする必要がない。
【発明の効果】
【0035】
以上説明した如く本発明では、大当たり処理前に、遊技者に実益のある遊技状態を構築することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係る制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る主制御部における、遊技仕様の遷移を実行するための制御に特化した機能ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係る遊技仕様の下での、遊技状態演出遷移制御のためのフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートの流れによって遷移する、遊技状態演出遷移図である。
【図7】図6の遊技状態演出遷移図を一般化した遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0038】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0039】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0040】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0041】
上皿部28の周縁壁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0042】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0043】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0044】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0045】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0046】
この結果、上部演出部52と下部演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0047】
この演出部56は、上部演出部52及び下部演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0048】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0049】
また、前記上部演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0050】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0051】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0052】
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。
【0053】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ演出」という。
【0054】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0055】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0056】
図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0057】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0058】
特別図柄始動入賞口(A)129が常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、特別図柄始動入賞口(A)129によって通常は閉塞されている。
【0059】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0060】
電動チューリップ136は、前記普通図柄抽選に当選したときに開放するようになっている。
【0061】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部への遊技球PBの受け入れが可能となり、遊技球PBの入賞が可能となる。
【0062】
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0063】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0064】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0065】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、図2に向かって左側に2個の一般入賞口120A、120B、右側に1個の一般入賞口120Cとする。)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個に限られるものではなく、例えば、ベース値や入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0066】
遊技盤18の裏面側におけるセンター役物105の下部には、球案内パネル200が取り付けられている。この球案内パネル200は、図2に鎖線で示されるように、センター役物105の下部に集中している入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)に対応するように取り付けられている。
【0067】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
【0068】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「大役処理」等と言う場合がある)。
【0069】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され(遊技演出画像)、この図柄変動表示演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0070】
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)129及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0071】
保留球数は、主として特別図柄表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109(図2に示すセンター役物105を正面視したときの右下に配置)の一部である特別図柄記憶表示部によって報知される他、LCD表示部106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0072】
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、図3に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0073】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0074】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞球を検出する特図A始動口センサ129S、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、大当たり処理の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0075】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報や遊技状態をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0076】
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。
【0077】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0078】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0079】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0080】
(本実施の形態に係る遊技仕様)
ここで、本実施の形態では、前述したように、前記通過ゲート118を遊技球PBが通過すると、普通図柄抽選(第3の抽選)が実行されるようになっている。
【0081】
普通図柄抽選は、当選確率、電動チューリップ136の開放時間(回数を含む)が設定されて実行されるが、本実施の形態では、通常遊技状態で適用される設定種類を2種類とし、それぞれの種類に対応する通常遊技状態のモードとして、「基本遊技モード演出」、「天国遊技モード演出(特定遊技モード演出)」を設定した。
【0082】
基本遊技モード演出、天国遊技モード演出は、LCD表示部106での表示形態を異ならせることで、遊技者に見分けることを可能としている。
【0083】
この場合、従来のモード演出は、通常遊技状態であれば、単にLCD表示部106に表示する画像の演出の違いであり、遊技者にとって実益に差異がない(賞球が増減がない)演出であった。なお、特典として、突然に確変が付与されたかのように見せかける場合(突然確変を付与する場合)、確変状態が潜伏しているか否かを示唆させるような演出は存在していた。
【0084】
これに対して本実施の形態では、突然確変等の特典を付与することなく(遊技仕様が変化することなく)、相互に遊技者に対して実益に差がある2種類の通常遊技状態を構築した。
【0085】
また、本実施の形態では、電源投入時等、初期の基本となる遊技状態を「通常遊技状態」とし、所謂出玉のある大当たり処理が実行された後の遊技状態を「特定遊技状態」と定義し、「特定遊技状態」が終了し、「通常遊技状態」に戻るための条件を遊技回数としている(以下、「特定遊技終了条件付機能」、或いは、「特定遊技終了条件付」を示す略語として「ST」を用い、「ST機」という場合がある)。
【0086】
表1は、本実施の形態に係る遊技仕様の基本仕様を示している。なお、以下に示す数値に一例であり、当該数値に限定されるものではない。
【0087】
特別図柄抽選は、後述する第1の抽選と第2の抽選に相当し、この内、第1の抽選に相当する当選確率は、通常遊技状態も特定遊技状態もほぼ同一の当選確率としている(1/99.9〜1/99.0)。また、ST、すなわち、特定遊技状態を制限する遊技回数(始動入賞に伴う特別図柄抽選の抽選回数)は、20〜250回(本実施の形態では、20、40、60、250回の4種類)が設定可能であり、250回を最大値(max値)としている。
【0088】
前記特別図柄抽選である第1の抽選及び第2の抽選の内、第2の抽選は、第1の抽選で当選した後に実行される。なお、第1の抽選と第2の抽選を分けて抽選する必要はなく、例えば、単一の乱数表に第1の抽選と第2の抽選の結果を振り分けておき、同時に行ってもよい。
【0089】
前記第1の抽選に当選した後の第2の抽選の結果により当選移行先が決まるが、基本遊技モードでは全ての移行先への移行(選択)が有効となっている。従って、第1の抽選に当選して、開閉扉116は開放するが、遊技球PBの入賞が困難な開放状態のため、所謂出玉が無く、通常遊技状態が維持される場合と(基本遊技モードに据え置き、天国遊技モードへ移行)、第1の抽選に当選して、開閉扉116が多数の遊技球PBの入賞を可能として賞球を獲得可能な開放状態のため、所謂出玉が有り、特定遊技状態へ移行する場合と(チャンスゾーン、連荘ゾーン)があり、それぞれ、第2の抽選の結果に基づいて振り分けられるようになっている(表2〜表9参照)。
(基本仕様)
【0090】
【表1】

表2及び表3は、通常遊技状態における基本遊技モード演出に関する遊技仕様を示している。
【0091】
表2は、普通図柄抽選の遊技仕様であり、表3の基本遊技モード演出が起動状態となっている場合に、普通図柄抽選の遊技仕様が表2の状態を起動することになる。
【0092】
この基本遊技モードでは、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞を主体として遊技が進行する。普通図柄抽選の当選確率が、1/10000なので、特別図柄始動入賞口(B)134は、ほとんど閉塞状態となるからである。
【0093】
この基本遊技モードでは、第2の抽選の結果に基づいて、全ての移行先への移行(選択)が可能となっている。
(通常遊技状態/基本遊技モード演出)
【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

表4及び表5は、通常遊技状態における天国遊技モード演出に関する遊技仕様を示している。
【0096】
表4は、普通図柄抽選の遊技仕様であり、表5の天国遊技モード演出が起動状態となっている場合に、普通図柄抽選の遊技仕様が表4の状態を起動することになる。
【0097】
この天国遊技モードでは、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞を主体として遊技が進行する。普通図柄抽選の当選確率が、1/10000なので、特別図柄始動入賞口(B)134は、ほとんど閉塞状態となるからである。
【0098】
この天国遊技モードでは、第2の抽選の結果に基づいて、出玉有りの場合に、必ずST値が250回の連荘ゾーンへ移行する(チャンスゾーンは選択されない)点で、前記基本遊技モードとは異なり、遊技者からみて、遊技自体は基本遊技モードとほぼ同一であり、始動入賞(主として特別図柄始動入賞口(A)129への入賞)を目的とする通常遊技状態のままであるが、基本遊技モードよりも、第2の抽選での移行(選択)先に関して実益が高い遊技仕様となっている。
(通常遊技状態/天国遊技モード演出)
【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

表6及び表7は、特定遊技状態におけるチャンスゾーン演出に関する遊技仕様を示している。
【0101】
表6は、普通図柄抽選の遊技仕様であり、前記通常遊技状態の基本遊技モードにおける第2の抽選おいて、所謂出玉有り、かつST値が250回以外に当選した場合に移行(選択)される特定遊技状態であり、普通図柄抽選の遊技仕様が表6の状態となっている場合に、表7のチャンスゾーン演出が起動状態となっている場合に、普通図柄抽選の遊技仕様が表6の状態を起動することになる。
【0102】
このチャンスゾーン演出では、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞を主体として遊技が進行する。普通図柄抽選の当選確率が、1/1なので、特別図柄始動入賞口(B)134は、ほとんど開放状態(5.7秒間の開閉が頻繁に実行)となるからである。
【0103】
このチャンスゾーン演出では、第1の抽選に当選すると、第2の抽選の結果に関わらず、必ず、ST値が250回の連荘ゾーンへ移行する。しかし、設定されているST値(遊技回数、特別図柄抽選の抽選回数)の範囲内で第1の抽選に当選しない場合は、特定遊技状態は終了して、通常遊技状態の基本遊技モードへ移行することになる。
(特定遊技状態/チャンスゾーン演出)
【0104】
【表6】

【0105】
【表7】

表8及び表9は、特定遊技状態における連荘ゾーン演出に関する遊技仕様を示している。
【0106】
表8は、普通図柄抽選の遊技仕様であり、前記通常遊技状態の基本遊技モードにおける第2の抽選おいて、所謂出玉有り、かつST値が250回に当選した場合、或いは、前記通常遊技状態の天国遊技モードにおける第2の抽選おいて、所謂出玉有り(ST値が250回)に当選した場合、或いは、特定遊技状態のチャンスゾーンにおける第1の抽選で当選した場合の何れかによって移行(選択)される特定遊技状態であり、表9のチャンスゾーン演出が起動状態となっている場合に、普通図柄抽選の遊技仕様が表8の状態を起動することになる。
【0107】
この連荘ゾーン演出では、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞を主体として遊技が進行する。普通図柄抽選の当選確率が、1/1なので、特別図柄始動入賞口(B)134は、ほとんど開放状態(5.7秒間の開閉が頻繁に実行)となるからである。
【0108】
この連荘ゾーン演出では、第1の抽選に当選すると、第2の抽選の結果に関わらず、必ず、ST値が250回の連荘ゾーンへ移行する。しかし、設定されているST値(250回の遊技回数)の範囲内で第1の抽選に当選しない場合は、特定遊技状態は終了して、通常遊技状態の基本遊技モードへ移行することになる。
【0109】
なお、この連荘ゾーン演出の遊技仕様は、前記チャンスゾーン演出の遊技仕様と同一であるため、普通図柄抽選の遊技仕様も同一となっている(表6と表8が同一)。すなわち、連荘ゾーン演出と、チャンスゾーン演出とは、ST値の違いのみである。
【0110】
例えば、連荘ゾーン演出に、特別ST値(例えば、500回)を設ける等、チャンスゾーンと異ならせる場合には、普通図柄抽選の遊技仕様を、例えば、当選確率が1/1、開放秒数が4.0秒等のように、チャンスゾーンの普通図柄抽選の遊技仕様とは異ならせることが好ましい。
(特定遊技状態/連荘ゾーン演出)
【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

図4は、主制御部150における、上記した遊技仕様の遷移を実行するための制御に特化した機能ブロック図を示す。なお、この機能ブロック図は、主制御部150のハード構成を限定するものではない。
【0113】
主制御部150は、遊技実行制御部210を備え、当該遊技実行制御部210が主体となって、センサ等の入力デバイスからの信号を受け付け、ソレノイド等の各出力デバイスへ信号を出力することで、遊技の進行を制御する。
【0114】
前記遊技実行制御部210には、抽選権利有無判定部212が接続されており、遊技実行制御部210から抽選権利有無判定部212へ、特別図柄始動入賞口入賞情報、遊技情報(通常遊技中か大役処理中か、図柄変動パターン演出中か否か)、保留情報(保留数)が入力され、これらの情報に基づいて、抽選の権利を得たか否か(抽選の権利の有無)が判定される。
【0115】
抽選権利有無判定部212は、第1の抽選部214に接続されており、抽選の権利を得たと判定した場合、当該第1の抽選部214へ有効始動入賞信号を出力する。なお、この有効始動入賞信号は、前記遊技実行制御部210へフィードバックされる。
【0116】
第1の抽選部214には、第1の抽選用当選乱数値格納部216が接続されている。第1の抽選部214では、有効始動入賞信号に基づいて乱数を取得すると共に、第1の抽選用当選乱数値格納部216に格納されている当選乱数値と比較し、当/落を抽選する。
【0117】
前記第1の抽選部214での抽選結果は、第2の抽選部218に送出されるようになっており、第2の抽選部218では、前記第1の抽選が当選したときに第2の抽選が実行されるようになっている。
【0118】
第2の抽選部218には、振分テーブル一時格納部220が接続されている。第2の抽選部218では、第1の抽選部214での抽選結果情報に基づいて乱数を取得すると共に、振分テーブル一時格納部220に格納されている振分テーブル(表3、表5、表7、表9の何れか)から移行先を抽選する。
【0119】
前記第2の抽選部218は抽選結果判定部222に接続されており、この抽選結果判定部222には、第1の抽選部214の抽選結果情報及び第2の抽選部218の抽選結果情報が送出されるようになっている。例えば、第1の抽選部214の抽選結果が落選の場合は、第2の抽選結果情報が無い場合がある。
【0120】
抽選結果判定部222では、第1の抽選、第2の抽選の総合的な判定を行い、所謂出玉のある当選の場合は、起動信号を大当たり処理実行指示部224へ出力し、決定したST値情報をST値格納部226へ出力し、決定した移行先情報を通常/特定遊技状態移行指示部228へ出力する。
【0121】
大当たり処理実行指示部224は、起動信号を受け付けると、前記遊技実行制御部210へ、大当たり処理の実行を指示する。
【0122】
また、ST値格納部226は、遊技回数カウント部230に接続されている。遊技回数カウント部230は、遊技実行制御部210から遊技信号(特別図柄抽選結果報知毎に出力)を受けるようになっており、この遊技信号をカウントし、ST値格納部226に格納されているST値と比較する。この比較で、遊技回数カウント値がST値に達すると、前記通常/特定遊技状態移行指示部228へ、ST値到達信号を出力する。
【0123】
通常/特定遊技状態移行指示部228は、遊技の進行に伴って、遊技状態を判定する役目を有し、前記移行先情報、ST値到達情報に基づいて移行先を決定し、当該移行先への移行指示情報を振分テーブル更新部232へ送出する。なお、移行指示情報は、遊技実行制御部210にも送出される。
【0124】
振分テーブル更新部232には、通常遊技状態モードテーブルメモリ234と、特定遊技状態ゾーンテーブルメモリ236とが接続されており、移行先情報に基づいて、通常遊技状態モードテーブルメモリ234から基本遊技モードテーブル(表3参照)、天国遊技モードテーブル(表5参照)、特定遊技状態ゾーンテーブルメモリ236からチャンスゾーンテーブル(表7参照)、連荘ゾーンテーブル(表9参照)の何れかが読み出され、振分テーブル一時格納部220へ更新格納する。
【0125】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0126】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0127】
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に入賞したり、通過ゲート118を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、抽選等)が実行されると共に、LCD表示部106への画像表示演出、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、一般入賞口120に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0128】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。なお、本実施の形態における遊技仕様は、所謂ST機と称され、大当たり処理後に付与される特典の有効期間を遊技回数で制限している(詳細後述)。
【0129】
特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0130】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合には、乱数を取得し、予め記憶されている当選乱数値を読み出し、双方を比較して、抽選が当りか外れかを判定する。
【0131】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して抽選処理が実行される。
【0132】
この抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、抽選結果、図柄変動時間を含むコマンドを演出制御部152へ送出する。
【0133】
演出制御部152では、抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。
【0134】
この報知後、抽選の結果が当たりの場合には、大当たり処理が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球(賞球)を受けることができる。なお、大当たり処理後は、予め定めた特典が付与される場合がある。
【0135】
ここで、本実施の形態に係るパチンコ機10では、普通図柄抽選(第3の抽選)により振り分けられ、かつ出玉の無い遊技仕様として、2種類の遊技仕様を設け、演出として、それぞれ基本遊技モードと、天国遊技モード(特定遊技モード)とに振り分けている。これらの演出は、所謂実益に差がない演出とは異なり、そもそも遊技仕様が異なっている。
【0136】
すなわち、第1の抽選が当選(出玉有りが条件)の場合に、一方(基本遊技モード)は、最大のST値以外が付与される場合があるチャンスゾーンに移行する場合があるのに対し、他方(天国遊技モード)は、必ず最大のST値が付与される連荘ゾーンへ移行する点において、それぞれの実益に差を設けることができる(表3、表5参照)。
【0137】
図5は、本実施の形態に係る遊技仕様の下での、遊技状態演出遷移制御のためのフローチャートが示されている。また、図6は、図5のフローチャートの流れによって遷移する、遊技状態演出遷移図である。
【0138】
ステップ300では、抽選実行時期か否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。また、ステップ300で肯定判定されると、ステップ302へ移行して、第1の抽選処理を実行し、次いで、ステップ304で第2の抽選処理を実行する。なお、第1の抽選と第2の抽選とは便宜上区別しているが、同時に抽選、或いは1回の抽選でそれぞれの抽選結果を特定するようにしてもよい。
【0139】
次のステップ306では、第1の抽選の結果が当選か否かが判断され、否定判定(落選)されると、ステップ308へ移行する。ステップ308では、現在の遊技状態が特定遊技状態か否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0140】
また、ステップ308で肯定判定されると、ステップ310へ移行して遊技回数を累積カウントし、ステップ312へ移行する。なお、累積値は、ST値が再設定される毎に0にリセットされる。
【0141】
ステップ312では、累積したカウント値がST値に到達したか否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ312で肯定判定されると、ステップ314へ移行して、遊技状態を基本遊技モード遊技仕様に移行するように指示し、次いでステップ316へ移行して、LCD表示部106での演出画像として、基本遊技モード演出を指示し、このルーチンは終了する。
【0142】
前記ステップ306で肯定判定(第1の抽選結果が当選)の場合は、ステップ318へ移行する。ステップ318では、第2の抽選の結果に基づき、遊技状態(通常遊技状態か、特定遊技状態か)を判定する。
【0143】
次のステップ320では、上記ステップ318での判定結果が通常遊技状態か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ322へ移行し、否定判定されるとステップ324へ移行する。
【0144】
なお、ステップ320での肯定判定の際、第1の抽選が当選していることを報知するため、アタッカー112を僅かな時間(例えば、0.1〜0.5秒程度)開放することを、数ラウンド(例えば、2〜5ラウンド)実行させることが好ましい。この動作は、アタッカー112への入賞は可能であるが、ほとんど入賞の可能性がない、所謂「出玉無し」の状態を構築するものであるので、開放時間は短く、かつ開放回数は少ないほど好ましい。
【0145】
ステップ322では、通常遊技状態における移行先を判別し、基本遊技モードであると判別された場合は、ステップ326へ移行して、遊技状態を基本遊技モード遊技仕様に移行するように指示し、次いでステップ328へ移行して、LCD表示部106での演出画像として、基本遊技モード演出を指示し、このルーチンは終了する。
【0146】
また、ステップ322で天国遊技モードであると判別された場合は、ステップ330へ移行して、遊技状態を天国遊技モード遊技仕様に移行するように指示し、次いでステップ332へ移行して、LCD表示部106での演出画像として、天国遊技モード演出を指示し、このルーチンは終了する。
【0147】
前記ステップ320で否定判定された場合に移行するステップ324では、大当たり処理が指示される。この大当たり処理の指示により遊技実行制御部210(図4参照)では、アタッカー112を所定期間開放することで、大当たり処理が実行される。
【0148】
次のステップ334では、大当たり処理が終了したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ336へ移行して、特定遊技状態における移行先を判別する。
【0149】
このステップ336で、チャンスゾーンであると判別された場合は、ステップ338へ移行して、遊技状態をチャンスゾーン遊技仕様に移行するように指示し、次いでステップ340へ移行して、LCD表示部106での演出画像として、チャンスゾーン演出を指示し、このルーチンは終了する。
【0150】
また、ステップ336で連荘ゾーンであると判別された場合は、ステップ342へ移行して、遊技状態を連荘ゾーン遊技仕様に移行するように指示し、次いでステップ344へ移行して、LCD表示部106での演出画像として、連荘ゾーン演出を指示し、このルーチンは終了する。
【0151】
以上説明したように、普通図柄抽選の遊技仕様の違いによって、通常遊技状態において、遊技者に対して実益の差がある複数種類の遊技モード(基本遊技モード、天国遊技モード)を設定することが可能であり、これにより、通常遊技状態であっても変化に富んだ遊技を構築することができる。また、本実施の形態では、特定遊技状態においても、複数種類の遊技ゾーン(チャンスゾーン、連荘ゾーン)を設定しているため、通常遊技状態と特定遊技状態との間の移行、通常遊技状態でのモード間の移行、特定遊技状態でのゾーン間の移行が複雑に絡み合い、比較的単調であったパチンコ遊技に奥深さを持たせることができる。
[遊技仕様の一般化]
以下に本実施の形態で説明した遊技仕様における当選確率等を一般化した場合の条件を示す(図7参照)。
【0152】
遊技仕様の前提条件は以下の通りである。
(前提条件1) 所謂ST(遊技回数が制限された)を前提としている。
(前提条件2) 遊技モードが基本遊技モードと特定遊技モードの2種類
(前提条件3) 大当たりゾーンが、遊技回数が異なるn−1種類のチャンスゾーンと、遊技回数が最大の連荘ゾーンのn種類
上記の前提条件に従い、第1の抽選、第2の抽選の確率等は以下の通りとなる。
(a) 第1の抽選の当選確率がα、
(b) 第2の抽選による抽選比率
通常遊技状態の場合
・基本遊技モードへの移行機会β1
・特定遊技モードへの移行機会β2
・遊技回数の異なる大当たりゾーンへの移行機会γ1、γ2、・・・γn
(β1+β2+Σγn=100%)
特定遊技状態の場合
・大当たりゾーンを維持(β1、β2が「0%」)
・現状よりも遊技回数が多い大当たりゾーンへの移行機会γ1、γ2、・・・γn
(β1+β2+Σγn=Σγn=100%)
(c) 特定遊技状態から通常遊技状態への移行
・それぞれの大当たりゾーンで設定された遊技回数を第1の抽選が不当選で消化したとき
なお、特図抽選の当選確率αを通常時と確変時とで一定としている。通常時をα、確変時を通常時よりも高確率のα’としてもよい。
【0153】
また、特定遊技状態では、第1の抽選で通常遊技には移行しないようしたが、特定遊技状態でもβ1、β2を設定してもよい。
【符号の説明】
【0154】
10 パチンコ機(遊技機)
18 遊技盤
50 操作ボタン
60(60L、60C、60R、60U) スピーカ
105 センター役物
106 LCD表示部(表示部)
112 アタッカー
112S アタッカーセンサ
129 特別図柄始動入賞口(A)
129S 特図A始動口センサ
138 電チューソレノイド
148 アタッカーソレノイド
150 主制御部
152 演出制御部
154 払出制御部
210 遊技実行制御部
212 抽選権利有無判定部
214 第1の抽選部(第1の抽選手段)
216 第1の抽選用当選乱数値格納部
218 第2の抽選部(第2の抽選手段)
220 振分テーブル一時格納部
222 抽選結果判定部
224 大当たり処理実行指示部
226 ST値格納部
228 通常/特定遊技状態移行指示部
230 遊技回数カウント部
232 振分テーブル更新部
234 通常遊技モードテーブルメモリ
236 特定遊技状態ゾーンテーブルメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常遊技状態の遊技形態として予め設定された複数種類の遊技モード間を移行する機会である遊技モード移行機会、或いは、少なくとも前記通常遊技状態では閉止されている入賞口を所定期間開放する大当たり処理が実行された後の遊技形態として予め設定された複数種類の大当たりゾーンへ移行する大当たりゾーン移行機会の何れかの機会が付与される権利を得るための第1の抽選手段と、
前記第1の抽選手段の当選時に実行され、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記遊技モード移行機会の場合には前記遊技モードの種類を抽選し、前記第1の抽選手段で付与される機会が前記大当たりゾーン移行機会の場合には前記大当たりゾーンの種類を抽選する第2の抽選手段とを有し、
前記大当たりゾーンには、前記大当たり処理後、当該大当たりゾーンを維持する遊技回数がそれぞれ設定され、
前記通常遊技状態の遊技モードには、前記第1の抽選手段に当選することで得られる第2の抽選において、前記大当たり処理後の遊技回数が異なる複数の大当たりゾーンへの移行の選択肢を備えた基本遊技モードと、前記大当たり処理後の遊技回数が最も多い大当たりゾーンへの移行が確定された特定遊技モードとを、少なくとも備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数種類の遊技モードが、前記第1の抽選、第2の抽選とは独立して実行される第3の抽選により選択される複数の遊技仕様に対応して設定されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技モードを設定するための前記第3の抽選により選択される遊技仕様として、当選するときの条件が類似する、或いは、当選してからの動作が類似することを特徴とする請求項2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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