遊技機
【課題】複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】 可動装置401は、可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405とを備える。前記駆動手段により前記可撓性部材が変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢が変化されるように構成した。
【解決手段】 可動装置401は、可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405とを備える。前記駆動手段により前記可撓性部材が変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢が変化されるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機には、遊技内容に関連したデザインを有する装飾部材等を付すことにより、当該遊技機に演出効果を付与したものがある。さらに、このような装飾部材のうち、少なくとも一部を可動に構成し、当該装飾部材に動きを伴う演出を行わせるようにしたものもある。
【0003】
例えば、特許文献1には、図31に示すように、カヌーを模したカヌー部900が上下左右方向に動くともにこのカヌーに搭乗する競技者を模したキャラクタ部901が左右方向に動く構成とした可動部材616が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−34728
【0005】
上記特許文献1に開示された遊技機によれば、特定の遊技状態において可動部材616を動作させるようにし、これによって遊技の興趣を高める演出を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された遊技機の場合、可動部材616を動作させるために、モータの駆動をギア、動力伝達用円盤、摺動板等の多数の部材を介して伝達するようにしているので、この駆動伝達機構が複雑であるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る遊技機は、上記目的を達成するために、
遊技球が流下する遊技領域と、
該遊技領域に設けられる入球口と、
該入球口に入球した遊技球を検出する検出手段と、
該検出手段による検出を契機として遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
該抽選手段による抽選の結果に基づいて駆動手段を制御する駆動制御手段と、
該駆動制御手段の制御に基づいて動作する可動体とを備えた遊技機において、
前記可動体は、可撓性部材を備え、
前記可動体の一部に前記駆動手段の動力が付与されて前記可撓性部材が撓むことに基づき、該可撓性部材の位置が変更されて前記可動体の態様が変化するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ機の一例を示す正面図。
【図2】パチンコ機の一例を示す正面側の斜視図。
【図3】遊技盤の一例を示す正面図。
【図4】遊技盤の大入賞口付近の構成の一例を模式的に示す正面図。
【図5】パチンコ機の一例を示す背面図。
【図6】パチンコ機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図7】遊技盤の可変入賞装置を示す平面図。
【図8】遊技盤の可変入賞装置を示す正面図。
【図9】遊技盤の可変入賞装置を示す側面図。
【図10】遊技盤の可変入賞装置を示す背面図。
【図11】遊技盤の可変表示装置ユニットを示す正面図。
【図12】遊技盤の可変表示装置ユニットを示す斜視図。
【図13】遊技機の可動装置を示す斜視図。
【図14】可動装置から可動部材を取り外した状態の正面側を示す斜視図。
【図15】可動装置から可動部材を取り外した状態の背面側を示す斜視図。
【図16】遊技機の可動装置を示す分解斜視図。
【図17】遊技機の可動装置を示す平面図。
【図18】遊技機の可動装置を示す底面図。
【図19】可動装置から駆動源を取り外した状態を示す右側面図。
【図20】可動装置の可動部材、背板および駆動源を分離した状態の底面側を示す斜視図。
【図21】可動部材の動作を模式的に示す右側面図。
【図22】可動部材の動作を模式的に示す右側面図。
【図23】可動部材の低速動作を模式的に示す右側面図。
【図24】可動部材の低速動作を模式的に示す右側面図。
【図25】演出体の一例を示す部分右側面図。
【図26】演出体の構成の一例を模式的に示す部分側面図。
【図27】可撓性部材の一例を示す正面図。
【図28】可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法の一例を模式的に示す部分右側面図。
【図29】可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法の他の例を模式的に示す部分右側面図。
【図30】規制機構の一例を模式的に示す右側面図。
【図31】従来の可動部材の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る遊技機は、手段1として、
外部から視認し得る位置に装飾演出を行うための可動装置が設けられた遊技機であって、
前記可動装置が、
当該可動装置の表面の少なくとも一部を構成する演出体および当該演出体と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材を有する可動部材と、
前記可撓性部材を変形させる駆動力を付与する駆動手段と、
を備え、
前記駆動手段により前記可撓性部材が変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢が変化されるように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明において、「可撓性材料よりなる可撓性部材」とは、弾性材料よりなるもの以外にも、変形可能なものであればいずれも含意し、例えば、樹脂フィルム等の膜状部材や紐、ワイヤ等の線状部材、ゴム等よりなる丸棒、角棒等の棒状部材等が含まれ、チェーン、鎖等は含まれない。
【0013】
上記手段1に係る遊技機によれば、可動部材を、可動装置の表面の少なくとも一部を構成する演出体および当該演出体と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材を有する構成とし、駆動手段により可撓性部材を変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢を変化させるようにしたので、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。即ち、可撓性部材を樹脂フィルム等の可撓性材料よりなるものとし、この可撓性部材の一部を往復動させたり振動させたりする等の簡単な動力伝達を行うだけで可撓性部材を変形させ、これにより演出体の位置および/または姿勢を変化させることができる。換言すれば、駆動源からの動力を伝達する手段として可撓性部材の変形を利用することにより、簡略な機構によって動力を伝達して演出体の位置および/または姿勢の変化すなわち動きを伴う演出を容易かつ効果的に行うことができる。
【0014】
また、本発明にかかる遊技機は、手段2として、前記手段1の遊技機において、
前記可動部材が、上端部を保持されるようにして吊下され、上端部以外の少なくとも一点に駆動手段により動力が付与されることにより変形するものである。
【0015】
可動部材は、例えば左右両端部を保持し、可撓性部材を前後に変形させるようにすることも可能であるが、これに対し上記手段2におけるように上端部を保持するようにして吊下し、上端部以外の少なくとも一点に駆動手段により動力を付与することにより変形させるようにすることにより、可撓性部材の変形動作を重力を利用しながら、即ち演出体を振り子とする振り子運動を基本とするようにして行わせることができるため、波打つような動き等の所望の動作を容易かつ効果的に現出させることができる。また、可動部材を上端部で保持して吊下するだけの簡単な構造によってこの変形動作機構を構成することができる。
【0016】
また、本発明にかかる遊技機は、手段3として、前記手段2の遊技機において、
前記可動部材が、下端部の一点が回動自在に枢支され、下端部の他の一点に駆動手段により動力が付与されることにより変形するものである。
【0017】
上記手段3におけるように、可動部材の下端部の一点を回動自在に枢支し、下端部の他の一点に駆動手段により動力を付与することにより変形させる構成とすることによって、可撓性部材の変形する動きに、下端部の一点を中心とする回動が付加され、これにより可撓性部材に全体として捩れをともなった動きをさせることができるので、そのぶん可動部材の動きに変化を付与することができるとともに、簡略な駆動手段によって可撓性部材を効果的に変形させることができる。
【0018】
また、本発明にかかる遊技機は、手段4として、前記手段1ないし手段3の遊技機において、
前記演出体が、複数の部材からなり、該部材が互いに独立して前記可撓性部材に配置されているものである。
【0019】
演出体は、たとえば一塊の部材を可撓性部材の中央部に配置したもの等としてもよいが、これに対し上記手段4におけるように複数の部材を互いに独立して可撓性部材に配置してなるものとすることにより、可撓性部材の変形動作にともなって複数の部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、例えば、人面等を模したキャラクタを複数の部材に分割形成して個々の部材を互いに拘束されることなく自由に運動させることにより、表情の変化を模した動きを表現するようにすること等が可能である。
【0020】
また、本発明にかかる遊技機は、手段5として、前記手段4の遊技機において、
前記演出体が、複数の板状部材を列状に配置してなるものである。
【0021】
上記手段5におけるように複数の板状部材を列状に配置してなるものとすることにより、可撓性部材の変形動作にともなって複数の板状部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、例えば板状部材のそれぞれの突出端すなわち自由端が互いに寄ったり離れたりする動きを繰り返すこともできるので、演出体に波打つような動き等のある程度複雑な動きを効果的に表現させることができる。また、可撓性部材は変形を繰り返し行う部材であるため劣化を生じてそのぶん外観が損なわれるという事態が避けられないが、列状に配置された複数の板状部材によってこの可撓性部材の劣化部分がカバーされて目立ちにくくなり、さらに、板状部材のそれぞれの寸法を大きくしたり、あるいは複数の板状部材を密に配置したりして、外観上における演出体の占める割合を大とすることにより、可撓性部材の劣化を外観上より効果的にカバーすることもできる。
【0022】
また、本発明にかかる遊技機は、手段6として、前記手段5の遊技機において、
前記複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材により支持されているものである。
【0023】
上記手段6におけるように複数の板状部材のそれぞれを、横臥した体勢で中央部を可撓性部材により支持するようにすることにより、各板状部材がバランスよく支持されてその運動すなわち位置および/または姿勢の変化もより効果的にかつ安定してなされるようにすることができる。
【0024】
また、本発明にかかる遊技機は、手段7として、前記手段1ないし手段6の遊技機において、
前記可動部材とは別の構造物によって当該可動部材の動作が規制される規制機構を備えるものである。
【0025】
上記手段7におけるような規制機構により、例えば可動部材が変形する間にその一部に規制を加えて部分的に動作を停止させたりといったように、可動部材の動作を規制してその動きをさらに多彩にアレンジすることができる。
【0026】
また、本発明にかかる遊技機は、手段8として、前記手段7の遊技機において、
前記規制機構が、可動部材側および別の構造物側の少なくとも一方に、相手側に当接する突起状の当接部を設けることによって構成されたものである。
【0027】
上記手段8におけるように、規制機構を、可動部材側および別の構造物側の少なくとも一方に、相手側に当接する突起状の当接部を設けることによって構成することにより、簡略な構造によって可動部材の所望の部位でその動きを規制することができ、また、例えば当接部形成部位で可動部材を反対側に突出させるように動作を規制することもできるので、簡略な構造により動きをより多様にアレンジすることができる。
【0028】
また、本発明にかかる遊技機は、手段9として、前記手段8の遊技機において、
前記規制機構が、当接部を案内するための案内部をさらに備えるものである。
【0029】
上記手段9におけるように、規制機構を、当接部を案内するための案内部をさらに備えるものとすることにより、例えば突起状の当接部の先端部を嵌入させ得る溝状の案内部を設け、この案内部に当接部を嵌入させて案内させたり、あるいは所定の傾斜度の斜面を有する案内部を設け、この案内部の斜面に沿って当接部を案内させたりすることによって、当接部を所望の方向に案内するように規制することができ、したがって当接部が望外の動きをすることなく安定して動くようになり、また、可動部材の動きを所望の形態にアレンジすることがさらに容易となる。
【0030】
また、本発明にかかる遊技機は、手段10として、前記手段1ないし手段9の遊技機において、
前記可動部材の少なくとも一部に、光透過性の材料よりなる透光部を有し、前記透光部に透過させる光を発生する発光手段を備えるものである。
【0031】
上記手段10におけるような透光部および発光手段を設けることにより、単に一定の光を放射するだけでなく、光を透光部に透過させる途上で可動部材の動きを利用して光の反射方向を変化させるようにして発光を行うことができ、これによって可動部材の動きにさらに視覚上の変化を付与して演出効果を高めることができる。
【0032】
また、本発明にかかる遊技機は、手段11として、前記手段10の遊技機において、
前記透光部が演出体に形成され、該透光部に演出体の背面側から光を入射し得る位置に発光手段が設けられたものである。
【0033】
上記手段11におけるように、透光部を演出体に形成し、該透光部に演出体の背面側から光を入射し得る位置に発光手段を設けるようにすることにより、より効果的に発光を行うことができる。即ち、演出体は可動装置の表面の少なくとも一部を構成する部材であり、したがって可動装置の外観の少なくとも一部を構成する要素であるため、この演出体を通して発光を行うことにより、発光による効果をより直接的に外観に反映させることができる。また、演出体を通してその背面側から発光を行うことにより、光が直接的に遊技者にむかって投射されることなく演出体に緩衝されて視覚上適度な発光とすることができる。
【0034】
また、本発明にかかる遊技機は、手段12として、前記手段11の遊技機において、
前記透光部に透過させる光を拡散させる光拡散手段を備えるものである。
【0035】
上記手段12におけるような光拡散手段を設けることにより、発光手段からの発光を拡散させてより広範な発光を行うことができ、演出体に光を透過させるとともに、この光を拡散させることによって、演出体が配置されていない部位を通しても二次的に発光を行うことができるので、発光態様を多様化し、またより効果的なものとすることができる。また、光拡散手段を通して光を拡散させるようにすることで、光拡散手段を通さず直接的に発光を行う場合よりも視覚上適度な発光とすることができる。
【0036】
また、本発明にかかる遊技機は、手段13として、前記手段1ないし手段12の遊技機において、前記駆動手段が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御されるものである。
【0037】
上記手段13におけるように、駆動手段の作動を、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて開始させたり、あるいは例えば通常よりも可撓性部材を変形させる振幅を増大させたり、可撓性部材を変形させる周期を小さくしたりするなどのように種々の態様に制御することにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行うことができる。
【0038】
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1、2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
【0039】
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から
成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
【0040】
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0041】
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
【0042】
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
【0043】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
【0044】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
【0045】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0046】
次に、図3〜図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図であり、図4は、収容部の入口61付近を模式的に示す図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、図4に示すように一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、収容部の入口61が配置されている。収容部の入口61については、後に言及する。収容部の入口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
【0047】
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
【0048】
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
【0049】
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
【0050】
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
【0051】
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
【0052】
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0053】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0054】
内レール51の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図3の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。
【0055】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
【0056】
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
【0057】
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図5はパチンコ機10の背面図である。
【0058】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0059】
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0060】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0061】
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
【0062】
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
【0063】
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
【0064】
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0065】
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0066】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0067】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0068】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
【0069】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0070】
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
【0071】
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
【0072】
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図6を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
【0073】
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0074】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0075】
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0076】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
【0077】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0078】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0079】
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0080】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
【0081】
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0082】
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
【0083】
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
【0084】
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
【0085】
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
【0086】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
【0087】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0088】
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0089】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
【0090】
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
【0091】
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
【0092】
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
【0093】
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
【0094】
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
【0095】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
【0096】
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
【0097】
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0098】
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
【0099】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
【0100】
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
【0101】
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0102】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
【0103】
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
【0104】
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0105】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
【0106】
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
【0107】
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
【0108】
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
【0109】
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
【0110】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0111】
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動口33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
【0112】
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、図7乃至図10に示すように、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。図7は、可変入賞装置32の平面図であり、図8は、その正面図であり、図9は、その側面図であり、図10は、その背面図である。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ収容部の入口61からの入球を収容部70に収容し、該収容部70に設けた排出部71から検出センサ72に至って検出するように構成されている。
【0113】
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動口33(33a及び33b:図3及び図4参照)が設けられ、前記始動口33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記収容部の入口61から収容部70に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサ72により検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
【0114】
(特徴構成)
本実施形態のパチンコ機10においては、図3に示すように、可変表示装置ユニット35に可動装置401が設けられている。図11は可変表示装置ユニット35の正面図、図12は可変表示装置ユニット35の斜視図、図13ないし図20は可動装置401を表す図である。
【0115】
可変表示装置ユニット35は、図3に示すように、遊技領域の中央部に配置され、電動役物ユニットあるいはセンター役物とも称されるものであり、図11および図12に示すように、装飾図柄表示装置42を中央に備え、該装飾図柄表示装置42の上辺部、下辺部、左辺部および右辺部をセンターフレーム43で包囲するようにして構成され、遊技領域内の大きな面積を占める大型の役物となっている。センターフレーム43は、装飾を施した上枠部43T、下枠部43B、左枠部43Lおよび右枠部43Rよりなる。センターフレーム43の外周にはネジ孔を有するフランジ43Fが設けられており、木ネジ等により遊技盤30上に固定されるようになっている。
【0116】
センターフレーム43の上枠部43Tは、中央付近が上方に隆起し、その上端縁が、頂上部から向かって右下方向へ概略円弧状の斜面371をなしながら延びて右枠部43Rの外側端縁に連続し、一方、頂上部から向かって左側へは、左下方向へ急勾配で傾斜する斜面372をなし、該斜面372の下端から左下方向へ緩い勾配で傾斜する概略円弧状の斜面373をなしながら延びて、左枠部43Lの外側端縁に連続する形状となっている。換言すれば、上枠部43Tの外郭は、概略して、右側の比較的上方へ大きく膨出した概略円弧状の斜面371と、左側の比較的上方へ小さく膨出した概略円弧状の斜面373とが、中央の斜面372を介し段差をなすようにして連続した形状となっている。センターフレーム43の上方へ飛来した遊技球は、上記右側の斜面371上を転動して右下へ流下するか、左側の斜面372上ないし斜面373上を転動して左下へ流下する。また、上記中央の斜面372には入球口(図示せず)が設けられており、この入球口には、上枠部43Tの内部で右下方向へ延びて右枠部43Rの内部を下方に延びる球誘導路(図示せず)が連
通するとともに、上枠部43Tの内部で左下方向へ延びて左枠部43Lの内部を下方に延びる球誘導路(図示せず)が連通している。
【0117】
下枠部43Bには、全体的に下方に凹むように湾曲する概略円弧状のステージ374が形成されている。該ステージ374の中央部すなわち下端部は上方に若干隆起し、その頂部に、内奥側へ向けて下傾する溝状誘導部374aが形成され、この隆起部分の左右両側部に、前面側へ向けて下傾する溝状誘導部374b、374bがそれぞれ形成されている。また、上記ステージ374中央部の溝状誘導部374aの内奥側端に当接する壁面(遊技盤30に平行な壁面)に、開口375が設けられるとともに、上記ステージ374中央部の溝状誘導部374aの直下部には排出口376が設けられ、該開口375と排出口376とは下枠部43Bの内部で連通している。
また、下枠部43Bの上端部すなわち装飾図柄表示装置42の下辺部に接する位置には、前記保留ランプ800aが配置されている。
【0118】
左枠部43Lの下端部には、図12に示すように、上記ステージ374へ向けて開口する袖開口377が設けられ、右枠部43Rの下端部にも同様の袖開口(図示せず)が設け
られている。
【0119】
上記上枠部43Tの入球口に入球した遊技球は、入球直後に左右に振り分けられ、上枠部43T内部から右枠部43R内部へ延びる球誘導路内を流下し、上記袖開口からステージ374へ案内される一方、上枠部43T内部から左枠部43L内部へ延びる球誘導路内を流下し、上記袖開口377からステージ374へ案内される。こうしてステージ374の両側(両袖)から出てきた遊技球は、ステージ374上を転動して左右に往復し、多くはその途上で前記溝状誘導部374b、374bに案内されてステージ374の前面側へ転落したり、あるいは稀に中央部でうまく溝状誘導部374aに案内されて開口375に入り、排出口376から前面側へ排出され、直下に位置する第1の始動口33に高確率で入球することとなる。
【0120】
上記センターフレーム43の上枠部43Tは、前述の通り遊技球を内外で左下方向又は右下方向に案内し流下させるように機能するものであるが、さらに、装飾演出を行う上でも大きな割合を占める部位となっている。以下、上記センターフレーム43の上枠部43Tの装飾演出について説明する。
上枠部43Tは前記したように中央付近が上方に隆起した形状を有しているが、その概略右半分部には固定された(即ち動作しない)装飾部41Rが配置され、この固定装飾部
41Rには、前記保留ランプ801aが配置されている。一方、上枠部43Tの概略左半分部には、可動に構成された可動装置401が設置されている。
【0121】
可動装置401は、図13ないし図20に示すように、当該可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および当該演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、前記可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405と、を備え、前記駆動手段405により前記可撓性部材403が変形することに応じて前記演出体402の位置および/または姿勢が変化されるように構成したものとなっている。
【0122】
可動部材404は、図16に示すように、演出体402と可撓性部材403とを連結して構成されている。可撓性部材403は、容易に弾性変形し得る樹脂フィルム(ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)よりなり、上方に隆起する概略山形状の外形を有し、その
上縁に沿って内側に延びる概略山形状の同一曲線上に位置するようにして多数の貫通孔403aが穿設されるとともに、中央部を縦断するように延びる同一曲線上に位置するようにして多数の貫通孔403bが穿設されている。
【0123】
演出体402は、複数の板状部材を列状に配置して構成されている。各板状部材は、ポリカーボネートをやや厚肉で一方向に長く延びる概略短冊状の平板に成形してなり、長さが段階的に異なる複数枚を、長尺のものから順に、互いに平行となるようにほぼ等間隔をおいて下から上に並置するようにして、全体として前記可撓性部材403の外形にほぼ対応する概略山形状をなすように配置されている。また、各板状部材は、幅方向に二分された分割体402F、402Rとして分割形成され、両分割体402F、402Rのそれぞれの対向面上に、両端付近の2点または両端付近・中央付近の3点にそれぞれ位置する突起402Pおよびこの突起402Pに対応する穴(図示せず)を設け、この突起402P
を前記可撓性部材403の貫通孔403a、403bに挿通して上記穴に嵌着し固定するようにし、これにより、前記可撓性部材403を間に挟持するようにして分割体402F、402Rが合一して1枚の板状部材となるように構成されている。これにより得られた演出体402は、複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材403により支持された構成となっている。
【0124】
演出体402を構成する各板状部材の平面形状は前記したように概略短冊状となっているが、さらに詳細には、4隅が丸状に角落ちした形状に成形され、前側端縁は前後になだらかに起伏する形状に成形されており、さらに、上下に隣接する板状部材の起伏が互いにずれるように、即ち、板状部材において前方に突出する箇所ではその上下に隣接する板状部材の対応する箇所が後退するというように、位相をずらして起伏が形成されている。これにより、演出体402の前面が静止状態においても全体として平面視、側面視とも前後に波状に起伏する外観を呈するものとなっている。
【0125】
演出体402の最上段部には、正面視山形状の短尺の三角柱状に成形されたブロック状部材402Tが配置され、演出体402の頂上部を構成している。このブロック状部材402Tは、後述するようにセンターフレーム43の上枠部43Tに保持される部材である。一方、演出体402の最下段部には、底板部材402Bが配置されている。この底板部材402Bは、これより1段上に配置された板状部材より僅かに長く、他の板状部材も含め演出体402を構成する全部材中でほぼ最長となる寸法を有し、各板状部材とほぼ同様の形状に成形されているが、正面視右端部に後方へ延出する延出部402Eが形成されて平面視概略L形状に成形されるとともに、図18および図20に示すように、正面視左端部の下面に、枢支軸402Aおよび該枢支軸402Aを中心とする円周に沿って前後に垂れ壁状に延びる案内突起402Cが、正面視右端部の下面に、 (上記枢支軸402Aを中心とする円周に沿って) 前後に垂れ壁状に延びる案内突条402Dが、正面視中央よりやや左寄りの後方側端縁に後方へ突出する円柱状の突起402Hがそれぞれ突設されている点で、これより上段に配置された各板状部材とは異なっている。図16、図18ないし図20に示すように、上記延出部402Eの先端部には、前記枢支軸402Aにむかう方向に長く延びる長孔状の案内孔402Gが穿設され、さらに該案内孔402Gの周縁に沿って上方に延出する周壁402Wが突設されている。
【0126】
図15および図20に示すように、上記底板部材402Bより1段上に配置された板状部材の正面視中央よりやや右寄りの後方側端縁、ならびに上記底板部材402Bより5段上(ブロック状部材402Tより2段下)に配置された板状部材の正面視右端部の後方側端縁には、後方へ突出する突起状の当接部402S、402Lがそれぞれ突設されている。これら上下の当接部402S、402Lは、それぞれ板状部材の後方側端縁から後方へ円柱状に突出し、その左右両側が三角プレート状のステーにより補強されるとともに、先端が半球状に成形された構成となっている。上位の当接部402Lの突出長さは下位の当接部402Sの突出長さより大となっており、また、図17に示すように、上位の当接部402Lは下位の当接部402Sよりも右寄りに位置している。
【0127】
上記可動部材404を構成する演出体402および可撓性部材403はいずれも透明樹脂よりなり、したがって可動部材404の全体が光透過性を有するものとなっている。
【0128】
図13ないし図16に示すように、可動部材404の後方には、背板406が立設されている。この背板406は、センターフレーム43の上枠部43Tのやや内奥部に固定され、後述する規制機構の一部を構成する構造物となっている。該背板406は、概略横長の長方形状の板材の左上端部がなだらかに左傾するように角落ちするとともに、右下端部に横長の長方形状の切欠406Cを有し、(右下端部を除き)全体として前記可動部材404の概略山形状の外形をほぼ包含する外郭形状を有するものとなっている。
【0129】
上記背板406の前面には、前記可動部材404の上下の当接部402S、402Lに対応する位置に、案内部46S、46Lがそれぞれ設けられている。上位の案内部46Lは、正面視概略やや縦長の長方形状の領域を全周縁に沿って包囲するようにして、前方に若干突出する突条461Lを突設した構成となっており、該突条461L内に形成される案内面462Lは、背板406の前面と同一平面をなす平面となっている。下位の案内部46Sは、正面視やや縦長の長方形状の領域の両側端縁に沿って、前方に若干突出する突条461Sを突設し、この両側の突条461Sの間に、下端から上端にかけて若干後方に傾斜する案内面462Sを形成した構成となっている。また、前記演出体402の底板部材402Bの円柱状突起402Hに対応する位置に、左右に延びる長孔状の案内孔406Aが穿設され、さらに該案内孔406Aの周縁に沿って前方に延出する周壁406Wが突設されている。この案内孔406Aおよび周壁406Wには前記底板部材402Bの円柱状突起402Hが挿通され案内される。
【0130】
上記背板406は、透明樹脂よりなり、図15および図20に示すように、光拡散手段として拡散レンズ406Dが配設されている。該拡散レンズ406Dは、径が多様に異なる多数の拡散レンズで構成され、背板406の中央部を含む広範な領域にわたってランダムに分散するようにして配置されているが、これら拡散レンズは、前記可動部材404が設置された状態において、演出体402の板状部材のいずれかが配設された位置の直ぐ後方の位置(正面視または背面視でちょうど重なり合う位置)に、それぞれ中心が位置するようにして配置されており、演出体402の板状部材の厚さより大きい径を有する拡散レンズの場合、該板状部材に重なる部分と重ならない部分、即ち正面からみて演出体402の板状部材に隠れた部分と板状部材の間から露出した部分とが形成されている。
【0131】
上記背板406の後方には、上記拡散レンズ406Dのそれぞれに対応する位置に、LEDよりなる発光手段が設置されており、前方に位置する拡散レンズ406Dおよび演出体402の板状部材を通して光が投射されるようになっている(図示せず)。
【0132】
駆動手段405は、図13、図19および図20に示すように、駆動源405Gと前記演出体402の底板部材402Bとで構成されている。駆動源405Gは、前記背板406の後面側(裏面側)における正面視右端部に設置され、センターフレーム43の上枠部43Tの内奥部に支持固定されるようになっている。駆動源405Gにはカムピン405Pが下方にむけて突設され、このカムピン405Pがモータにより回転するようになっている。一方、前記底板部材402Bの正面視左端部は前記枢支軸402Aを中心として回動自在に支持され、延出部402Eは前記背板406の切欠406Cを通って背板406よりも後方に延出するようにして設置される。上記カムピン405Pは底板部材402Bの延出部402Eに穿設された案内孔402Gに上方から嵌入し、この状態でカムピン405Pが回転することにより案内孔402Gがカム溝として機能し、底板部材402Bの延出部402Eが図18中の矢印X1ないしX4に示すように枢支軸402Aを中心とする円周に沿って概略前後方向に往復動する。このように、駆動手段405は、駆動源405Gのモーターにより発生させた回転運動がカムピン405Pおよび案内孔402Gにより底板部材402Bの延出部402Eの往復運動(即ち底板部材402Bが枢支軸402A
を中心として一定角度範囲内で往復する回動)に変換される機構により構成されている。
【0133】
可動装置401は、前記したように、センターフレーム43の上枠部43Tに設置される。該上枠部43Tの外郭部は、図11および図12に示すように、装飾図柄表示装置42の上辺に沿って架設される横架材431と、上面に前記右側の斜面371を有し内部に球誘導路が設けられた右斜材432と、上面に前記左側の斜面373を有し内部に球誘導路が設けられた左斜材433とにより構成され、これら横架材431、右斜材432および左斜材433により包囲される内側の領域には、前記したように概略右半分部に固定装飾部41Rが配置されている。可動装置401は、横架材431、左斜材433および固定装飾部41Rにより包囲される内側の概略山形状のスペースに嵌入するようにして配置されている。前記可動装置401の外形は、この設置スペースの概略山形状の形状に合わせて設定されたものである。また、駆動手段405の駆動源405Gは、この概略山形状の設置スペースのなかで最も高さ寸法が大となっている部分(頂上部434を含む右端付
近の部分)を利用して設置されている。また、駆動源405Gおよび前記背板406はこの概略山形状の設置スペースの内奥部に支持固定されている。
【0134】
上記可動装置401の設置スペースの頂上部434においては、センターフレーム43の上枠部43Tの内部に、前記可動部材404の上端部を保持するための空洞部(図示せず)が設けられている。この空洞部の内部形状は、前記演出体402のブロック状部材402Tの外形にほぼ対応する正面視山形状の短尺の三角柱状とされ、ブロック状部材402Tの寸法よりもやや大きい寸法を有している。また、この空洞部の底面部には、前記可撓性部材403の厚さよりやや大きい幅を有するスリットが形成されている。このスリットに可撓性部材403を挿通するようにしてブロック状部材402Tが空洞部内に収容され、これにより、可動部材404が上端部を保持されるようにして吊下される。このとき、上記のように空洞部の寸法はブロック状部材402Tの寸法よりもやや大きいため、そのぶん空洞部内面とブロック状部材402Tとの間に遊びが形成され、これにより可動部材404の上端部が、固定されずに若干の自由度を有してその姿勢を僅かに変えることができるようになっている。
【0135】
上記センターフレーム43の上枠部43Tの横架材431の中央より若干左寄りの位置には、図12に示すように前後に長く延びる案内孔431Cが穿設され、前記底板部材402B下面の案内突条402Dが嵌入し前後方向に案内されるようになっており、一方、上枠部43Tの左端部のやや内奥には、軸受け及び案内溝(図示せず)が設けられており、前記底板部材402B下面の枢支軸402Aおよび案内突起402Cがそれぞれ軸支および嵌入されるようになっている。
【0136】
(作用)
以下、可動装置401の動作を説明する。
前記したように、駆動手段405により、駆動源405Gのモーターの回転運動による動力が、カムピン405Pおよび案内孔402Gにより、底板部材402Bの延出部402Eの概略前後方向(図18中の矢印X1ないしX4の方向)に沿った往復運動に変換されて伝達する。底板部材402Bがこのように概略前後方向に往復運動すると、これにともなって、該底板部材402Bに連結された可撓性部材403の下端が概略前後方向に揺動する。
【0137】
図21および図22は、可動部材404の動作を模式的に示す説明図である。以下、同図を参照しながら可動部材404の動作を順次説明する。なお同図においては、演出体402を構成する複数(本実施形態では6枚)の板状部材のうちの3枚を図示省略して残りの3枚の板状部材(以下、下から順に下板40L、中板40Mおよび上板40Hと称す)のみ図示するとともに、可動部材404の各構成部材の寸法・位置も若干変更することによって簡略化および明確化している。
【0138】
まず、図21(a)に示すように、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が、破線で示すような鉛直に吊下された初期状態を脱して、下端を前方に引っ張られ、全体として前方からみてなだらかな凹面をなして撓むように(湾曲するように)弾性変形する。このとき、可撓性部材403は下端に近いほど前後方向の移動距
離が大きく変形量も大であり、また変形は下端から上方へ漸次伝わっていくため、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進している間は、この可撓性部材403の変形度の差に応じて、下板40Lが前上方向(図中の左上方向)に大きい度合いで傾斜していき、中板40Mはこれより小さい度合いで、上板40Hはさらに小さい度合いでそれぞれ前上方向に傾斜していくように挙動する。また、可動部材404の上端部を構成するブロック状部材402Tは、センターフレーム43の上枠部43T内に設けられた空洞部434C内に、前記したように若干の遊びを有した状態で保持されているため、可撓性部材403が変形するだけでなく、ブロック状部材402Tが上記遊びの範囲内で微動する(姿勢を僅かに変える)ことで、可動部材404の上端部がより容易に前後に動くことができるようになっている。
【0139】
次いで、図21(b)に示すように、底板部材402Bが後方(X2方向)に後退して初期位置に戻ると、可撓性部材403の下端が後方に引っ張られるが、可撓性部材403の全体は、破線で示すように前方からみてなだらかな凹面をなして撓んだ従前の体勢とは逆に、慣性により前方に膨出した体勢で、即ち前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように(湾曲するように)弾性変形した状態で、下端から漸次後方へ後退していく。この
とき、前記のように前上方向に傾斜していた下板40L、中板40Mおよび上板40Hは、順次、傾斜を元に戻すように挙動するが、このように底板部材402Bが後方(X2方向)に後退する場合にも、可撓性部材403の変形度の差に応じて、下板40Lから順に大きい度合いで元の体勢(初期状態での水平な体勢)に戻る方向に動いていく。特に、可
撓性部材403が前方に膨出しているため、下板40Lは元の体勢よりさらにすすんで前下方向(図中の左下方向)に傾斜した体勢となっていく。
【0140】
次いで、図22(c)に示すように、底板部材402Bがさらに後方(X3方向)に後退すると、可撓性部材403の下端がさらに後方に引っ張られ、破線で示すような前方に膨出するように撓んだ体勢から、逆に後方に膨出するように撓んだ体勢へと変移していく。このとき、この可撓性部材403の動きにともなって、下板40Lは破線で示すような前下方向に傾斜した体勢から再び元の水平な体勢に戻っていく。
【0141】
ここで、可動部材404の動作は、規制機構により規制が加えられるようになっている。即ち、下板40Lおよび上板40Hには、前記したように後方へ突出する突起状の当接部402S、402Lがそれぞれ突設されるとともに、背板406の前面には、上記上下の当接部402S、402Lに対応する位置に、案内部46S、46Lがそれぞれ設けられており、これら当接部402S、402Lが案内部46S、46Lに当接し案内されることにより可動部材404の動作が規制される規制機構が構成されている。(なお図21および図22においては、上下の案内部46S、46Lの突条461S、461Lは図示省略している。)
図22(c)に示すように可撓性部材403が後方(X3方向)に後退する動作の途上において、前記したように上位の当接部402Lが下位の当接部402Sよりも大きく突出しているため、上位の当接部402Lが先に案内部46Lに当接する。このとき、前記したように該当接部402Lは先端が半球状となっており、また上板40Hは可撓性部材403の動きにともないやや前下方向に傾斜した体勢となっているため、該当接部402Lはやや下方から案内部46Lの案内面462Lに当接し、該案内面462Lに沿って垂直に上方へ摺動するようにして案内される。このように当接部402Lが案内部46Lに当接し案内されることにより、上板40Hはより大きく前下方向に傾斜し、これにともなって可撓性部材403の上端部もより大きく変形することとなる。即ち、可撓性部材403の上端部が後方(X3方向)に後退する動作が、上板40Hおよび可撓性部材403の上端部がより大きく変形する動作に変換されるように規制される。
上記上位の当接部402Lが案内部46Lに当接するよりも遅れて、下位の当接部402Sが案内部46Sに当接する。このとき、この下位の当接部402Sも同様に先端が半球状となっており、また下板40Lはまだ水平な体勢まで戻る途上であって若干前下方向に傾斜した体勢となっているため、該当接部402Sの場合も図22(c)に示すようにやや下方から案内部46Sの案内面462Sに当接し、さらにこのとき、該案内面462Sは前記したように下端から上端にかけて若干後方に傾斜しているため、該当接部402Sは案内面462Sの傾斜に沿って後上方向(図中の右上方向)へ摺動するようにして案内される。このように当接部402Sが案内部46Sに当接し案内されることにより、下板40Lは図22(c)に示すような水平な体勢に戻る途上の状態から、このあと再び前下方向に傾斜していくように転じ、しかもこのとき、従前より大きく前下方向に傾斜していくこととなり、これにともなって可撓性部材403の下端部もより大きく変形することとなる。即ち、可撓性部材403の下端部が後方(X3方向)に後退する動作が、下板40Lおよび可撓性部材403の下端部がより大きく変形する動作に変換されるように規制される。ただし、下位の当接部402Sの突出は上位の当接部402Lの突出よりも小さく、さらに上記案内面462Sが傾斜していることにより、下板40Lの前下方向への傾斜が上板40Hの場合よりも小幅なものにとどまることとなり、したがって可撓性部材403の下端部の動作が規制される度合いは上端部の動作が規制される度合ほど大きくはない。換言すれば、可撓性部材403の動作においては、元来、上端部の移動距離および変形量が下端部の移動距離および変形量よりも小さいが、この上端部における移動距離および変形量の不足が、上記のように上端部の動作をより大きく規制することによって補填され、この結果、可撓性部材403の全体にわたって大きな変形がなされるようになっている。
【0142】
この後、図22(d)に示すように、底板部材402Bが前方(X4方向)に前進して初期位置に戻ると、可撓性部材403が後方に膨出するように撓んだ体勢で下端から前方に引っ張られていく。このとき、破線で示すように上下の案内部46S、46Lに沿って後上方向および上方にそれぞれ案内されていた上下の当接部402S、402Lが、該案内部46S、46Lに沿って前下方向および下方にそれぞれ摺動し、下板40Lおよび上板40Hはそれぞれ前下方向へ傾斜した体勢から水平な体勢に戻る方向に挙動する。
【0143】
さらにこの後、底板部材402Bが再び前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が後方に膨出するように撓んだ体勢から、前方に膨出するように撓んだ体勢へと変移していく(図示せず)。このとき、可動部材404は初期位置よりも後方(X3方向)への後退動作から復帰してきた途上にあり、その全体が変形や慣性を有している状態にあるため、再び前方(X1方向)に前進する動作の途上においては、前述の図21(a)に示すような鉛直に吊下された初期状態から前方(X1方向)へ前進する動作の場合とはやや異なる挙動を示すこととなるが、再び後方(X2方向)に後退する動作を経るとともに、凡そ前述の挙動と同様の挙動となっていき、この後は底板部材402Bの往復動作にともなって周期的に同様の挙動を繰り返すこととなる。
【0144】
上記可動部材404は、底板部材402Bの往復動の周期を大として低速で動作させるようにすると、以下に順次示すように、上記とはやや異なる挙動を示す。
【0145】
即ち、まず、図23(a)に示すように、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が下端を前方に引っ張られ、全体として前方からみてなだらかな凹面をなして撓むように弾性変形する。この段階では、可動部材404は、前記図21(a)に示した挙動の場合に比して、低速であるためその変形の度合いは若干小さいものの、ほぼ同様の挙動を示す。
【0146】
次いで、図23(b)に示すように、底板部材402Bが後方(X2方向)に後退して初期位置に戻ると、可撓性部材403の下端が後方に引っ張られるが、このとき、底板部材402Bの動作が低速であるため慣性による影響は小さく、これよりはむしろ下板40L、中板40Mおよび上板40Hの重みによる影響のほうが大であるため、可撓性部材403の全体は前記図21(b)に示したように前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように弾性変形した状態とはならずに、前方からみてなだらかな凹面をなして撓んだ従前の体勢をほぼ保持したまま、漸次後方へ後退していき、初期位置に戻った時点では、図23(b)に示すように鉛直に吊下された初期状態に近い状態となる。
【0147】
次いで、図24(c)に示すように、底板部材402Bがさらに後方(X3方向)に後退すると、可撓性部材403の下端がさらに後方に引っ張られ、前記図23(a)に示すように前方に前進する場合とは対称をなすようにして、全体として前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように弾性変形しながら、後方に後退していく。こうして後退していく途上で、可動部材404の動作は規制機構により規制が加えられる。このとき、可撓性部材403の上端部および下端部の挙動は、前述の場合と同様にして規制機構により規制されるため、速度の違いには影響されることなく、前記図22(c)に示した挙動とほぼ同様の挙動を示すが、中央部は前述の場合とは異なり、図24(c)に示すように前方からみてやや凸面をなして撓むように弾性変形した状態、即ち中板40Mの重みによりやや前下方向に撓んだ状態で後方に後退していく。
【0148】
この後、図24(d)に示すように、底板部材402Bが前方(X4方向)に前進して初期位置に戻ると、可撓性部材403が前方に引っ張られていく。このときもまた、可撓性部材403の上端部および下端部の挙動は、前述の場合と同様にして規制機構により規制され、速度の違いには影響されずに前記図22(d)に示した挙動とほぼ同様の挙動を示し、一方、中央部は図24(c)に示すように中板40Mの重みによりやや前下方向に撓んだ状態で前方に引っ張られていく。
【0149】
上記のように、可動部材404が低速で動作する場合、特に図23(a)および(b)に示すような、規制機構により規制されない前方への往復動作(X1方向およびX2方向への往復動作)においては、その速度が低くなるほど、可撓性部材403の変形や下板40L、中板40Mおよび上板40Hの傾斜すなわち姿勢変化が小さくなり、可動部材404が全体として一定の姿勢を保持したまま前後に揺動するようになっていく。即ち、可動部材404の動作は、高速となるほど波打つような変化に富んだものとなっていくのに対し、低速となるほど単純な振り子運動のような変化に乏しいものとなっていく。ところが、上記のように規制機構により規制が加えられることによって、可動部材404の動作がいかに低速となっても、特に可撓性部材403の上端部および下端部における変形量が低減することがなく、ほぼ一定の大きな変形量が確保でき、波打つような変化に富んだ動きが維持される。したがって、可動部材404の動作が低速となるほど、規制機構による効果が大となる。
【0150】
上記のように可動部材404が動作するように動力を伝達する駆動手段405は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御されるようになっている。前記したように、始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、特別図柄や装飾図柄の変動表示が開始され、一定時間の経過後に停止して、大当たりであるか外れであるかの結果が表示されるが、上記駆動手段405は、この変動表示の開始および停止にともなって作動を開始および停止するように制御される。これにより、上記可動部材404の動作が、前記した興趣演出の一態様として行われ、変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させるように演出がなされる。
【0151】
前記した通り、本実施形態のパチンコ機10においては、可動装置401が、当該可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および当該演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、前記可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405と、を備え、前記駆動手段405により前記可撓性部材403が変形することに応じて前記演出体402の位置および/または姿勢が変化されるように構成したので、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。即ち、可撓性部材403を可撓性の樹脂フィルムよりなるものとし、この可撓性部材403の下端部を往復動させることによる簡単な動力伝達を行うだけで可撓性部材403を変形させ、これにより演出体402の位置および/または姿勢を変化させることができる。換言すれば、駆動源405Gからの動力を伝達する手段として可撓性部材403の変形を利用することにより、簡略な機構によって動力を伝達して演出体402の位置および/または姿勢の変化すなわち動きを伴う演出を容易かつ効果的に行うことができる。
【0152】
さらに、上記のように可撓性部材403の下端部を往復動させるだけでよいため、駆動手段405が、駆動源405Gのモーターにより発生させた回転運動をカムピン405Pおよび案内孔402Gにより底板部材402Bの延出部402Eの往復運動に変換するだけの簡略な機構から構成されており、したがって可動装置401がそのぶん簡略な構成となっている。
【0153】
また、前記図21ないし図24を参照して説明した通り、可撓性部材403の下端部を前後方向(X1方向ないしX4方向)に往復動させることによる簡単な動力伝達によって、可撓性部材403の下端から、側面視概略蛇行形状をなして前後に撓むような弾性変形が上方に伝播していき、これにともなって、例示の下板40L、中板40Mおよび上板40Hに代表される、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ運動子として機能し、前後に移動すなわち位置変化するとともに、前上方向に傾斜した姿勢と前下方向に傾斜した姿勢との間を上下に振動するように姿勢を変化させることとなる。これによって、可動部材404の全体が波打つように揺動する動きが効果的に表出される。
【0154】
また、可動部材404が、上端部のブロック状部材402Tを保持するようにして吊下され、下端部を構成する底板部材402Bの正面視右端部、即ち可動部材404の上端部以外の一点に駆動手段405により動力を付与することにより変形させるようにすることにより、可撓性部材403の変形動作を重力を利用しながら、即ち演出体402を振り子とする振り子運動を基本とするようにして行わせることができるため、波打つような動きを容易かつ効果的に現出させることができる。また、可動部材404を上端部で保持して吊下するだけの簡単な構造によってこの変形動作機構が構成されている。
【0155】
また、可動部材404が、底板部材402Bの正面視左端部に設けられた枢支軸402A、即ち可動部材404の下端部の一点が回動自在に枢支され、底板部材402Bの正面視右端部、即ち可動部材404の下端部における他の一点に駆動手段405により動力が付与されることにより変形する構成としたことにより、可撓性部材403の変形する動きに、枢支軸402Aすなわち下端部の一点を中心とする回動が付加され、これにより可撓性部材403が全体として捩れをともなった動きをするようになっており、そのぶん可動部材404の動きに変化が付与されているとともに、簡略な駆動手段405によって可撓性部材403が効果的に変形するようになっている。即ち、可撓性部材403が、前記したように側面視概略蛇行形状をなして前後に撓むような弾性変形が下端から上方に伝播していくような変形動作と、正面視左端部の枢支軸402Aを中心として水平面上で回動することにより前後に振動する動作とが複合されて、全体として、上端のブロック状部材402Tから正面視左下端部の枢支軸402Aにかけて延びる左上辺部を中心として前後に捩れる(反る)変形を含むような変形動作を表出するようになっている。
【0156】
また、演出体402が、複数の部材からなり、該部材が互いに独立して前記可撓性部材403に配置されている構成としたことにより、可撓性部材403の変形動作にともなって複数の部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、これにより演出体402の動きに変化が付与されている。
【0157】
また、演出体402が、複数の板状部材を列状に配置してなる構成としたことにより、可撓性部材403の変形動作にともなって複数の板状部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動し、例えば板状部材のそれぞれの突出端すなわち自由端が互いに寄ったり離れたりする動きを繰り返すことができ、演出体402が波打つような動き等のある程度複雑な動きを効果的に表現し得るものとなっている。また、可撓性部材403は変形を繰り返し行う部材であるため劣化を生じてそのぶん外観が損なわれるという事態が避けられないが、列状に配置された複数の板状部材によってこの可撓性部材403の劣化部分がカバーされて目立ちにくくなり、さらに、板状部材のそれぞれの寸法を大きくしたり、あるいは複数の板状部材を密に配置したりして、外観上における演出体402の占める割合を大とすることにより、可撓性部材403の劣化を外観上より効果的にカバーすることもできる。
【0158】
さらに、上記複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材403により支持される構成としたことにより、各板状部材がバランスよく支持されてその運動すなわち位置および/または姿勢の変化もより効果的にかつ安定してなされるようになっている。即ち、図21ないし図24に明示されているように、例示の下板40L、中板40Mおよび上板40Hに代表される板状部材が、それぞれ、可撓性部材403を挟持する中央部を支点として上下に揺動するような運動をするようになっている。
【0159】
また、可動部材404とは別の構造物である背板406によって当該可動部材404の動作が規制される規制機構を備える構成としたことにより、可動部材404が前後に湾曲しながら揺動変形する間にその一部すなわち上端部および下端部に規制を加えて部分的に可動部材404の動作を規制することによってその動きがさらに多彩にアレンジされたものとなっている。
【0160】
さらに、規制機構が、可動部材404側に、相手側すなわち別の構造物である背板406に当接する突起状の当接部402S、402Lを設けることによって構成されるものとしたことにより、簡略な構造によって可動部材404の所望の部位でその動きを規制することができ、また、当接部402S、402L形成部位である下端部および上端部で可動部材404が反対側すなわち前方に突出するように動作が規制され、簡略な構造により動きがより多様にアレンジされるようになっており、また前記したように、特に可動部材404の上端部における動作が増幅され、可動部材404の全体にわたって動作が強調されるようになっている。
【0161】
さらに、規制機構が、当接部402S、402Lを案内するための案内部46S、46Lをさらに備える構成としたので、この案内部46S、46Lの案内面462S、462Lに沿って当接部402S、402Lを案内させることによって、当接部402S、402Lを所望の方向すなわち後上方向や直上方向に案内するように規制がなされ、したがって当接部402S、402Lが望外の動きをすることなく安定して動くものとなっており、また、可動部材404の動きが所望の形態にアレンジされたものとなっている。
【0162】
また、可動部材404を構成する演出体402および可撓性部材403がいずれも透明樹脂よりなり、したがって可動部材404の全体が光透過性の材料よりなる透光部となっているとともに、該透光部に透過させる光を発生する発光手段を備える構成としたことにより、単に一定の光を放射するだけでなく、光を透光部に透過させる途上で可動部材404の動きを利用して光の反射方向を変化させるようにして発光を行うことができ、これにより発光態様が多様化して可動部材404の動きにさらに視覚上の変化が付与され、より高い演出効果が得られるようになっている。また、可撓性部材403が変形動作の繰り返しにより劣化を生じた場合でも、光を透過させることによって劣化を目立たないようにすることができる。
【0163】
さらに、上記のように演出体402が透光部となっているとともに、該透光部に演出体402の背面側から光を入射し得る位置に発光手段が設けられた構成としたことにより、より効果的に発光を行うことができるようになっている。即ち、演出体402は可動装置401の表面(前面)の一部を構成し、したがって可動装置401の外観の一部を構成する要素であるため、この演出体402を通して発光を行うことにより、発光による効果をより直接的に外観に反映させることができる。また、演出体402を通してその背面側から発光を行うことにより、光が直接的に遊技者にむかって投射されることなく演出体402に緩衝されて視覚上適度な発光とすることができる。また、演出体402は前記したように、板状部材がそれぞれ前後に移動するとともに上下に振動するように構成されているので、演出体402を通して発光を行うことにより、演出体402の動きを利用して視覚上の変化がより効果的に得られるようになっている。また、発光手段は演出体402の直ぐ後方の位置に設置されているため、演出体402が上記のように動いても発光が演出体402により緩衝されるようになっている。
【0164】
さらに、透光部に透過させる光を拡散させる光拡散手段を備える構成としたことにより、発光手段からの発光を拡散させてより広範な発光を行うことができ、演出体402に光を透過させるとともに、この光を拡散させることによって、演出体402が配置されていない部位すなわち板状部材の間の部位を通しても二次的に発光を行うことができるので、発光態様が多様化し、またより効果的なものとなっている。また、光拡散手段を通して光を拡散させるようにすることで、光拡散手段を通さず直接的に発光を行う場合よりも視覚上適度な発光とすることができる。また、本実施形態においては、光拡散手段として拡散レンズが用いられており、演出体402の板状部材の厚さより大きい径を有する拡散レンズの場合、正面からみて演出体402の板状部材に隠れた部分と板状部材の間から露出した部分とが形成されているので、そのぶん発光態様が多様化されている。
【0165】
また、駆動手段405が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御される構成としたことにより、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる興趣演出を効果的に行うことができる。駆動手段405の作動をこのように制御せず、例えば、入賞口への遊技球の入球には無関係に、一定時間継続して、あるいは所定間隔をおいて間欠的に駆動手段405を作動させるようにする、といった稼動態様も可能であり、これによれば駆動手段405を作動させるための制御機構を省略できるといった利点もあるが、上記のように興趣演出として遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御するようにすることにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行って遊技性をさらに向上させることができ、また、駆動手段405の作動が無制限的になされるのではなく入賞口へ遊技球が入球した場合に制限されるため、そのぶん可撓性部材403の変形の繰り返しによる劣化が抑制されるという利点もある。
【0166】
(変更態様)
前記実施形態のパチンコ機10には、各種の変更を加えることが可能である。
例えば、演出体としては、前記実施形態では複数の板状部材を横臥させるように配置して構成された演出体402としているが、これにかえて、例えば複数の板状部材や円柱状部材を立てて左右に適宜間隔をおいて配置して構成されたもの(図示せず)としてもよい。さらには、例えば図25に示すように、可撓性部材403の表面に樹脂板、金属板等の適宜な板材を貼付する等の方法により層状に形成された演出体402aとし、この層状の演出体402aを例えばキャラクタや紋様などの任意の形状に形成するようにしたもの等も可能である。この場合、演出体402aは一箇所に一塊のものとして形成してもよいが、図25に示すように複数に分割形成するようにすると、各分割体をそれぞれある程度、互いに拘束されずに自由に運動させ、相対位置も変化させるようにすることができる。
【0167】
また、前記実施形態においては、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ前後に位置変化するとともに、上下に振動するように姿勢を変化させる構成となっていたが、例えば図26に示すように、板状部材40Sの左右両側端縁が前後に延びるレール40Rに沿ってスライド自在に保持され、可撓性部材403の動作にともなって、各板状部材40Sが同一の姿勢(水平に横臥した姿勢)を保持したまま前後の位置変化のみを行うように
運動する構成とするといったように、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ位置変化および姿勢の変化のいずれか一方のみを行うように運動する構成としてもよい。
【0168】
また、可撓性部材としては、前記実施形態に例示した樹脂フィルムよりなる膜状の可撓性部材403以外にも、例えば図27に示すように、ゴム等の可撓性の材料よりなる丸棒、角棒等の棒状部材を立てた状態で左右に複数並置するようにして構成した可撓性部材403aとしてもよく、さらにこれ以外にも、例えば紐、ワイヤ等の線状部材等を用いるようにしてもよい。
【0169】
また、可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法としては、前記実施形態では、可動部材404を上端部を保持するようにして吊下し、可動部材404の右下端部(上端部以外の一点)に駆動手段405により動力を付与することにより変形させるようにしているが、これ以外にも、例えば可動部材404の上端部または上下両端部を保持するようにして吊下し、中央部の一点に動力を付与するようにしてもよく、あるいは、左右両端部もしくは例えば図28に模式的に示すように上下両端部に動力を付与するようにしてもよい。同図に示す例においては、可動部材404aの上端部および下端部にそれぞれ後方に延びる延出部44T、44Bを設け、これら延出部44T、44Bのそれぞれを前後方向(X5方向およびX6方向)に往復動させることにより可動部材404aに動力を付与
するようにし、さらに、上下の延出部44T、44Bの往復動を、異なる周期で、あるいは、同一周期でかつ位相をずらすようにして、即ち例えば同図に示すように上位の延出部44Tが前進から後退へ折り返した時点では下位の延出部44Bはまだ前進の途上にあるというようにして行い、これにより、変形が一方端から他方端へ伝播して波打つような動きがより効果的に表出される構成となっている。
【0170】
さらに、可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法として、例えば図29に示すように、可撓性部材403の下端部を、左右方向の軸42Pを中心として回動自在に枢支された振動部材42Sで保持し、この振動部材42Sを前後方向(X7方向)に振動させるようにして動力を伝達するようにしてもよい。さらにこの場合、可撓性部材403の上端部も同様の振動部材で保持して前後方向に振動させるようにしてもよく、あるいは、可撓性部材403の上端部を前記実施形態の場合と同様に前後に往復動させるようにするといったように、軸を中心とする回動による振動動作と前進および後退による往復動作とを適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0171】
また、規制機構としては、前記実施形態では、可動部材404側に、別の構造物である背板406に当接する突起状の当接部402S、402Lを設けた構成となっていたが、例えば背板406側に前方に突起する適宜形状の当接部を設け、この当接部を可動部材に当接させる構成としてもよく、さらには、例えば背板406にかえて、センターフレーム43の上枠部43Tの内奥部に、前方に突起する適宜形状の構造物を設け、この構造物を可動部材に当接させる構成としてもよい(図示せず)。また、以上に例示した規制機構では、可動部材の後方への動きが規制されるようになっていたが、例えば図30に示すように、可動部材の前方または前後への動きが規制されるようにした規制機構とすることも可能である。同図に示す例においては、演出体を構成する板状部材40Nの後端近傍に、前後に延びる係合孔40aが設けられるとともに、背板406bに、上方に鉤状に湾曲する形状の鉤部406hが突設されており、前記板状部材40Nが、係合孔40aを鉤部406hに係合させた状態で、前後方向に一定距離すなわち係合孔40aの長さだけ移動可能に保持されている。この規制機構によれば、可撓性部材403の前方への動きにともなう板状部材40Nの前方(X8方向)への移動が係合孔40aと鉤部406hとの係合により
規制される。さらにこの場合、係合孔40aおよび鉤部406hの寸法および位置を適宜設定することにより、板状部材40Nの後方への動きもあわせて規制することができる。
【0172】
また、発光手段は、前記実施形態におけるように背板406の後方に設置する以外にも、例えば背板の前面や、演出体を構成する板状部材の内部に設け、またこれにともなって光拡散手段を上記発光手段より前方の適宜位置に設置するようにしてもよい。
【0173】
また、光拡散手段としては、例えば拡散フィルム、拡散板等を用いるようにしてもよい。ただし、前記実施形態におけるように拡散レンズを用いることにより、視覚上より好適な発光とすることができる。
【0174】
また、駆動手段の作動は、前記実施形態では、変動表示の開始および停止にともなって可動部材404が動作の開始および停止をするように制御されるようになっていたが、これ以外にも様々な態様に制御することが可能である。パチンコ機10における遊技状態は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に基づいて、数種に異なる状態に変移する。即ち、変動表示開始前の「初期状態」、変動表示開始後であってリーチ状態も大当たり状態も発生していない「通常状態」、「リーチ状態」、「大当たり状態」等に変移するが、このように遊技状態が変化する幾度かのタイミングのうちのいずれかのタイミングを任意に選択し、この選択したタイミングに応じて駆動手段を作動させるようにすることができる。例えば、リーチ状態の開始および終了にともなって可動部材404が動作の開始および停止をするように制御したりするようにしてもよい。また、例えば、初期状態または通常状態で可動部材404の動作を通常運転として開始しておき、リーチ状態の開始にともなって、上記通常運転よりも可撓性部材403を変形させる振幅を増大させたり、可撓性部材403を変形させる周期を小さくしたりするなどのように異なる態様で駆動手段405を作動させ、リーチ状態の終了にともなって通常運転に復帰するように制御するようにしてもよく、あるいはこれに加えて、大当たり状態の開始にともなって、上記可撓性部材403の変形の振幅や変形速度をさらに増大ないし減少させるといったように、遊技状態の変移に応じて作動態様を多段階に変化させるように制御するようにし、これにより興趣演出にさらに変化を付与するようにしてもよい。さらには、例えば、ノーマルリーチ(大当たりとなる確率が低確率であるリーチ状態)、スーパーリーチ(大当たりとなる確率が中確率であるリーチ状態)、プレミアムリーチ(大当たりとなる確率が略100%の高確率であるリーチ状態)等のリーチの種別によって、可撓性部材403の変形の振幅や周期を段階的に変えるように制御するようにしてもよい。
【0175】
また、駆動手段としては、前記実施形態では、専ら可撓性部材403を変形させるために設けられた駆動手段405としていたが、例えば、他の役物を駆動させるための駆動手段と兼用するようにしてもよい。
【0176】
また、前記実施形態においては、可動装置401がセンターフレーム43の上枠部43Tに設置されており、この配置によって、視覚的効果も大でありまた駆動源405Gの設置スペースも好適に確保し得るようになっているが、可動装置は外部から視認し得る位置であれば任意の位置に設置することができ、例えば図1および図2に示す窓部101の上方の適宜位置等に設置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0177】
以上のように、本発明は、簡略な構成によって動きを伴う興趣演出を容易かつ効果的に行うことができるもので、遊技機の機種を問わずに広範囲に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0178】
401:可動装置
402:演出体
403:可撓性部材
404:可動部材
405:駆動手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機には、遊技内容に関連したデザインを有する装飾部材等を付すことにより、当該遊技機に演出効果を付与したものがある。さらに、このような装飾部材のうち、少なくとも一部を可動に構成し、当該装飾部材に動きを伴う演出を行わせるようにしたものもある。
【0003】
例えば、特許文献1には、図31に示すように、カヌーを模したカヌー部900が上下左右方向に動くともにこのカヌーに搭乗する競技者を模したキャラクタ部901が左右方向に動く構成とした可動部材616が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−34728
【0005】
上記特許文献1に開示された遊技機によれば、特定の遊技状態において可動部材616を動作させるようにし、これによって遊技の興趣を高める演出を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された遊技機の場合、可動部材616を動作させるために、モータの駆動をギア、動力伝達用円盤、摺動板等の多数の部材を介して伝達するようにしているので、この駆動伝達機構が複雑であるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る遊技機は、上記目的を達成するために、
遊技球が流下する遊技領域と、
該遊技領域に設けられる入球口と、
該入球口に入球した遊技球を検出する検出手段と、
該検出手段による検出を契機として遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
該抽選手段による抽選の結果に基づいて駆動手段を制御する駆動制御手段と、
該駆動制御手段の制御に基づいて動作する可動体とを備えた遊技機において、
前記可動体は、可撓性部材を備え、
前記可動体の一部に前記駆動手段の動力が付与されて前記可撓性部材が撓むことに基づき、該可撓性部材の位置が変更されて前記可動体の態様が変化するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ機の一例を示す正面図。
【図2】パチンコ機の一例を示す正面側の斜視図。
【図3】遊技盤の一例を示す正面図。
【図4】遊技盤の大入賞口付近の構成の一例を模式的に示す正面図。
【図5】パチンコ機の一例を示す背面図。
【図6】パチンコ機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図7】遊技盤の可変入賞装置を示す平面図。
【図8】遊技盤の可変入賞装置を示す正面図。
【図9】遊技盤の可変入賞装置を示す側面図。
【図10】遊技盤の可変入賞装置を示す背面図。
【図11】遊技盤の可変表示装置ユニットを示す正面図。
【図12】遊技盤の可変表示装置ユニットを示す斜視図。
【図13】遊技機の可動装置を示す斜視図。
【図14】可動装置から可動部材を取り外した状態の正面側を示す斜視図。
【図15】可動装置から可動部材を取り外した状態の背面側を示す斜視図。
【図16】遊技機の可動装置を示す分解斜視図。
【図17】遊技機の可動装置を示す平面図。
【図18】遊技機の可動装置を示す底面図。
【図19】可動装置から駆動源を取り外した状態を示す右側面図。
【図20】可動装置の可動部材、背板および駆動源を分離した状態の底面側を示す斜視図。
【図21】可動部材の動作を模式的に示す右側面図。
【図22】可動部材の動作を模式的に示す右側面図。
【図23】可動部材の低速動作を模式的に示す右側面図。
【図24】可動部材の低速動作を模式的に示す右側面図。
【図25】演出体の一例を示す部分右側面図。
【図26】演出体の構成の一例を模式的に示す部分側面図。
【図27】可撓性部材の一例を示す正面図。
【図28】可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法の一例を模式的に示す部分右側面図。
【図29】可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法の他の例を模式的に示す部分右側面図。
【図30】規制機構の一例を模式的に示す右側面図。
【図31】従来の可動部材の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る遊技機は、手段1として、
外部から視認し得る位置に装飾演出を行うための可動装置が設けられた遊技機であって、
前記可動装置が、
当該可動装置の表面の少なくとも一部を構成する演出体および当該演出体と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材を有する可動部材と、
前記可撓性部材を変形させる駆動力を付与する駆動手段と、
を備え、
前記駆動手段により前記可撓性部材が変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢が変化されるように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明において、「可撓性材料よりなる可撓性部材」とは、弾性材料よりなるもの以外にも、変形可能なものであればいずれも含意し、例えば、樹脂フィルム等の膜状部材や紐、ワイヤ等の線状部材、ゴム等よりなる丸棒、角棒等の棒状部材等が含まれ、チェーン、鎖等は含まれない。
【0013】
上記手段1に係る遊技機によれば、可動部材を、可動装置の表面の少なくとも一部を構成する演出体および当該演出体と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材を有する構成とし、駆動手段により可撓性部材を変形することに応じて前記演出体の位置および/または姿勢を変化させるようにしたので、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。即ち、可撓性部材を樹脂フィルム等の可撓性材料よりなるものとし、この可撓性部材の一部を往復動させたり振動させたりする等の簡単な動力伝達を行うだけで可撓性部材を変形させ、これにより演出体の位置および/または姿勢を変化させることができる。換言すれば、駆動源からの動力を伝達する手段として可撓性部材の変形を利用することにより、簡略な機構によって動力を伝達して演出体の位置および/または姿勢の変化すなわち動きを伴う演出を容易かつ効果的に行うことができる。
【0014】
また、本発明にかかる遊技機は、手段2として、前記手段1の遊技機において、
前記可動部材が、上端部を保持されるようにして吊下され、上端部以外の少なくとも一点に駆動手段により動力が付与されることにより変形するものである。
【0015】
可動部材は、例えば左右両端部を保持し、可撓性部材を前後に変形させるようにすることも可能であるが、これに対し上記手段2におけるように上端部を保持するようにして吊下し、上端部以外の少なくとも一点に駆動手段により動力を付与することにより変形させるようにすることにより、可撓性部材の変形動作を重力を利用しながら、即ち演出体を振り子とする振り子運動を基本とするようにして行わせることができるため、波打つような動き等の所望の動作を容易かつ効果的に現出させることができる。また、可動部材を上端部で保持して吊下するだけの簡単な構造によってこの変形動作機構を構成することができる。
【0016】
また、本発明にかかる遊技機は、手段3として、前記手段2の遊技機において、
前記可動部材が、下端部の一点が回動自在に枢支され、下端部の他の一点に駆動手段により動力が付与されることにより変形するものである。
【0017】
上記手段3におけるように、可動部材の下端部の一点を回動自在に枢支し、下端部の他の一点に駆動手段により動力を付与することにより変形させる構成とすることによって、可撓性部材の変形する動きに、下端部の一点を中心とする回動が付加され、これにより可撓性部材に全体として捩れをともなった動きをさせることができるので、そのぶん可動部材の動きに変化を付与することができるとともに、簡略な駆動手段によって可撓性部材を効果的に変形させることができる。
【0018】
また、本発明にかかる遊技機は、手段4として、前記手段1ないし手段3の遊技機において、
前記演出体が、複数の部材からなり、該部材が互いに独立して前記可撓性部材に配置されているものである。
【0019】
演出体は、たとえば一塊の部材を可撓性部材の中央部に配置したもの等としてもよいが、これに対し上記手段4におけるように複数の部材を互いに独立して可撓性部材に配置してなるものとすることにより、可撓性部材の変形動作にともなって複数の部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、例えば、人面等を模したキャラクタを複数の部材に分割形成して個々の部材を互いに拘束されることなく自由に運動させることにより、表情の変化を模した動きを表現するようにすること等が可能である。
【0020】
また、本発明にかかる遊技機は、手段5として、前記手段4の遊技機において、
前記演出体が、複数の板状部材を列状に配置してなるものである。
【0021】
上記手段5におけるように複数の板状部材を列状に配置してなるものとすることにより、可撓性部材の変形動作にともなって複数の板状部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、例えば板状部材のそれぞれの突出端すなわち自由端が互いに寄ったり離れたりする動きを繰り返すこともできるので、演出体に波打つような動き等のある程度複雑な動きを効果的に表現させることができる。また、可撓性部材は変形を繰り返し行う部材であるため劣化を生じてそのぶん外観が損なわれるという事態が避けられないが、列状に配置された複数の板状部材によってこの可撓性部材の劣化部分がカバーされて目立ちにくくなり、さらに、板状部材のそれぞれの寸法を大きくしたり、あるいは複数の板状部材を密に配置したりして、外観上における演出体の占める割合を大とすることにより、可撓性部材の劣化を外観上より効果的にカバーすることもできる。
【0022】
また、本発明にかかる遊技機は、手段6として、前記手段5の遊技機において、
前記複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材により支持されているものである。
【0023】
上記手段6におけるように複数の板状部材のそれぞれを、横臥した体勢で中央部を可撓性部材により支持するようにすることにより、各板状部材がバランスよく支持されてその運動すなわち位置および/または姿勢の変化もより効果的にかつ安定してなされるようにすることができる。
【0024】
また、本発明にかかる遊技機は、手段7として、前記手段1ないし手段6の遊技機において、
前記可動部材とは別の構造物によって当該可動部材の動作が規制される規制機構を備えるものである。
【0025】
上記手段7におけるような規制機構により、例えば可動部材が変形する間にその一部に規制を加えて部分的に動作を停止させたりといったように、可動部材の動作を規制してその動きをさらに多彩にアレンジすることができる。
【0026】
また、本発明にかかる遊技機は、手段8として、前記手段7の遊技機において、
前記規制機構が、可動部材側および別の構造物側の少なくとも一方に、相手側に当接する突起状の当接部を設けることによって構成されたものである。
【0027】
上記手段8におけるように、規制機構を、可動部材側および別の構造物側の少なくとも一方に、相手側に当接する突起状の当接部を設けることによって構成することにより、簡略な構造によって可動部材の所望の部位でその動きを規制することができ、また、例えば当接部形成部位で可動部材を反対側に突出させるように動作を規制することもできるので、簡略な構造により動きをより多様にアレンジすることができる。
【0028】
また、本発明にかかる遊技機は、手段9として、前記手段8の遊技機において、
前記規制機構が、当接部を案内するための案内部をさらに備えるものである。
【0029】
上記手段9におけるように、規制機構を、当接部を案内するための案内部をさらに備えるものとすることにより、例えば突起状の当接部の先端部を嵌入させ得る溝状の案内部を設け、この案内部に当接部を嵌入させて案内させたり、あるいは所定の傾斜度の斜面を有する案内部を設け、この案内部の斜面に沿って当接部を案内させたりすることによって、当接部を所望の方向に案内するように規制することができ、したがって当接部が望外の動きをすることなく安定して動くようになり、また、可動部材の動きを所望の形態にアレンジすることがさらに容易となる。
【0030】
また、本発明にかかる遊技機は、手段10として、前記手段1ないし手段9の遊技機において、
前記可動部材の少なくとも一部に、光透過性の材料よりなる透光部を有し、前記透光部に透過させる光を発生する発光手段を備えるものである。
【0031】
上記手段10におけるような透光部および発光手段を設けることにより、単に一定の光を放射するだけでなく、光を透光部に透過させる途上で可動部材の動きを利用して光の反射方向を変化させるようにして発光を行うことができ、これによって可動部材の動きにさらに視覚上の変化を付与して演出効果を高めることができる。
【0032】
また、本発明にかかる遊技機は、手段11として、前記手段10の遊技機において、
前記透光部が演出体に形成され、該透光部に演出体の背面側から光を入射し得る位置に発光手段が設けられたものである。
【0033】
上記手段11におけるように、透光部を演出体に形成し、該透光部に演出体の背面側から光を入射し得る位置に発光手段を設けるようにすることにより、より効果的に発光を行うことができる。即ち、演出体は可動装置の表面の少なくとも一部を構成する部材であり、したがって可動装置の外観の少なくとも一部を構成する要素であるため、この演出体を通して発光を行うことにより、発光による効果をより直接的に外観に反映させることができる。また、演出体を通してその背面側から発光を行うことにより、光が直接的に遊技者にむかって投射されることなく演出体に緩衝されて視覚上適度な発光とすることができる。
【0034】
また、本発明にかかる遊技機は、手段12として、前記手段11の遊技機において、
前記透光部に透過させる光を拡散させる光拡散手段を備えるものである。
【0035】
上記手段12におけるような光拡散手段を設けることにより、発光手段からの発光を拡散させてより広範な発光を行うことができ、演出体に光を透過させるとともに、この光を拡散させることによって、演出体が配置されていない部位を通しても二次的に発光を行うことができるので、発光態様を多様化し、またより効果的なものとすることができる。また、光拡散手段を通して光を拡散させるようにすることで、光拡散手段を通さず直接的に発光を行う場合よりも視覚上適度な発光とすることができる。
【0036】
また、本発明にかかる遊技機は、手段13として、前記手段1ないし手段12の遊技機において、前記駆動手段が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御されるものである。
【0037】
上記手段13におけるように、駆動手段の作動を、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて開始させたり、あるいは例えば通常よりも可撓性部材を変形させる振幅を増大させたり、可撓性部材を変形させる周期を小さくしたりするなどのように種々の態様に制御することにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行うことができる。
【0038】
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1、2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
【0039】
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から
成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
【0040】
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0041】
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
【0042】
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
【0043】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
【0044】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
【0045】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0046】
次に、図3〜図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図であり、図4は、収容部の入口61付近を模式的に示す図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、図4に示すように一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、収容部の入口61が配置されている。収容部の入口61については、後に言及する。収容部の入口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
【0047】
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
【0048】
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
【0049】
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
【0050】
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
【0051】
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
【0052】
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0053】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0054】
内レール51の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図3の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。
【0055】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
【0056】
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
【0057】
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図5はパチンコ機10の背面図である。
【0058】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0059】
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0060】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0061】
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
【0062】
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
【0063】
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
【0064】
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0065】
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0066】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0067】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0068】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
【0069】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0070】
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
【0071】
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
【0072】
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図6を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
【0073】
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0074】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0075】
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0076】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
【0077】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0078】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0079】
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0080】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
【0081】
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0082】
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
【0083】
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
【0084】
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
【0085】
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
【0086】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
【0087】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0088】
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0089】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
【0090】
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
【0091】
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
【0092】
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
【0093】
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
【0094】
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
【0095】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
【0096】
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
【0097】
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0098】
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
【0099】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
【0100】
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
【0101】
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0102】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
【0103】
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
【0104】
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0105】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
【0106】
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
【0107】
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
【0108】
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
【0109】
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
【0110】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0111】
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動口33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
【0112】
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、図7乃至図10に示すように、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。図7は、可変入賞装置32の平面図であり、図8は、その正面図であり、図9は、その側面図であり、図10は、その背面図である。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ収容部の入口61からの入球を収容部70に収容し、該収容部70に設けた排出部71から検出センサ72に至って検出するように構成されている。
【0113】
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動口33(33a及び33b:図3及び図4参照)が設けられ、前記始動口33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記収容部の入口61から収容部70に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサ72により検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
【0114】
(特徴構成)
本実施形態のパチンコ機10においては、図3に示すように、可変表示装置ユニット35に可動装置401が設けられている。図11は可変表示装置ユニット35の正面図、図12は可変表示装置ユニット35の斜視図、図13ないし図20は可動装置401を表す図である。
【0115】
可変表示装置ユニット35は、図3に示すように、遊技領域の中央部に配置され、電動役物ユニットあるいはセンター役物とも称されるものであり、図11および図12に示すように、装飾図柄表示装置42を中央に備え、該装飾図柄表示装置42の上辺部、下辺部、左辺部および右辺部をセンターフレーム43で包囲するようにして構成され、遊技領域内の大きな面積を占める大型の役物となっている。センターフレーム43は、装飾を施した上枠部43T、下枠部43B、左枠部43Lおよび右枠部43Rよりなる。センターフレーム43の外周にはネジ孔を有するフランジ43Fが設けられており、木ネジ等により遊技盤30上に固定されるようになっている。
【0116】
センターフレーム43の上枠部43Tは、中央付近が上方に隆起し、その上端縁が、頂上部から向かって右下方向へ概略円弧状の斜面371をなしながら延びて右枠部43Rの外側端縁に連続し、一方、頂上部から向かって左側へは、左下方向へ急勾配で傾斜する斜面372をなし、該斜面372の下端から左下方向へ緩い勾配で傾斜する概略円弧状の斜面373をなしながら延びて、左枠部43Lの外側端縁に連続する形状となっている。換言すれば、上枠部43Tの外郭は、概略して、右側の比較的上方へ大きく膨出した概略円弧状の斜面371と、左側の比較的上方へ小さく膨出した概略円弧状の斜面373とが、中央の斜面372を介し段差をなすようにして連続した形状となっている。センターフレーム43の上方へ飛来した遊技球は、上記右側の斜面371上を転動して右下へ流下するか、左側の斜面372上ないし斜面373上を転動して左下へ流下する。また、上記中央の斜面372には入球口(図示せず)が設けられており、この入球口には、上枠部43Tの内部で右下方向へ延びて右枠部43Rの内部を下方に延びる球誘導路(図示せず)が連
通するとともに、上枠部43Tの内部で左下方向へ延びて左枠部43Lの内部を下方に延びる球誘導路(図示せず)が連通している。
【0117】
下枠部43Bには、全体的に下方に凹むように湾曲する概略円弧状のステージ374が形成されている。該ステージ374の中央部すなわち下端部は上方に若干隆起し、その頂部に、内奥側へ向けて下傾する溝状誘導部374aが形成され、この隆起部分の左右両側部に、前面側へ向けて下傾する溝状誘導部374b、374bがそれぞれ形成されている。また、上記ステージ374中央部の溝状誘導部374aの内奥側端に当接する壁面(遊技盤30に平行な壁面)に、開口375が設けられるとともに、上記ステージ374中央部の溝状誘導部374aの直下部には排出口376が設けられ、該開口375と排出口376とは下枠部43Bの内部で連通している。
また、下枠部43Bの上端部すなわち装飾図柄表示装置42の下辺部に接する位置には、前記保留ランプ800aが配置されている。
【0118】
左枠部43Lの下端部には、図12に示すように、上記ステージ374へ向けて開口する袖開口377が設けられ、右枠部43Rの下端部にも同様の袖開口(図示せず)が設け
られている。
【0119】
上記上枠部43Tの入球口に入球した遊技球は、入球直後に左右に振り分けられ、上枠部43T内部から右枠部43R内部へ延びる球誘導路内を流下し、上記袖開口からステージ374へ案内される一方、上枠部43T内部から左枠部43L内部へ延びる球誘導路内を流下し、上記袖開口377からステージ374へ案内される。こうしてステージ374の両側(両袖)から出てきた遊技球は、ステージ374上を転動して左右に往復し、多くはその途上で前記溝状誘導部374b、374bに案内されてステージ374の前面側へ転落したり、あるいは稀に中央部でうまく溝状誘導部374aに案内されて開口375に入り、排出口376から前面側へ排出され、直下に位置する第1の始動口33に高確率で入球することとなる。
【0120】
上記センターフレーム43の上枠部43Tは、前述の通り遊技球を内外で左下方向又は右下方向に案内し流下させるように機能するものであるが、さらに、装飾演出を行う上でも大きな割合を占める部位となっている。以下、上記センターフレーム43の上枠部43Tの装飾演出について説明する。
上枠部43Tは前記したように中央付近が上方に隆起した形状を有しているが、その概略右半分部には固定された(即ち動作しない)装飾部41Rが配置され、この固定装飾部
41Rには、前記保留ランプ801aが配置されている。一方、上枠部43Tの概略左半分部には、可動に構成された可動装置401が設置されている。
【0121】
可動装置401は、図13ないし図20に示すように、当該可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および当該演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、前記可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405と、を備え、前記駆動手段405により前記可撓性部材403が変形することに応じて前記演出体402の位置および/または姿勢が変化されるように構成したものとなっている。
【0122】
可動部材404は、図16に示すように、演出体402と可撓性部材403とを連結して構成されている。可撓性部材403は、容易に弾性変形し得る樹脂フィルム(ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)よりなり、上方に隆起する概略山形状の外形を有し、その
上縁に沿って内側に延びる概略山形状の同一曲線上に位置するようにして多数の貫通孔403aが穿設されるとともに、中央部を縦断するように延びる同一曲線上に位置するようにして多数の貫通孔403bが穿設されている。
【0123】
演出体402は、複数の板状部材を列状に配置して構成されている。各板状部材は、ポリカーボネートをやや厚肉で一方向に長く延びる概略短冊状の平板に成形してなり、長さが段階的に異なる複数枚を、長尺のものから順に、互いに平行となるようにほぼ等間隔をおいて下から上に並置するようにして、全体として前記可撓性部材403の外形にほぼ対応する概略山形状をなすように配置されている。また、各板状部材は、幅方向に二分された分割体402F、402Rとして分割形成され、両分割体402F、402Rのそれぞれの対向面上に、両端付近の2点または両端付近・中央付近の3点にそれぞれ位置する突起402Pおよびこの突起402Pに対応する穴(図示せず)を設け、この突起402P
を前記可撓性部材403の貫通孔403a、403bに挿通して上記穴に嵌着し固定するようにし、これにより、前記可撓性部材403を間に挟持するようにして分割体402F、402Rが合一して1枚の板状部材となるように構成されている。これにより得られた演出体402は、複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材403により支持された構成となっている。
【0124】
演出体402を構成する各板状部材の平面形状は前記したように概略短冊状となっているが、さらに詳細には、4隅が丸状に角落ちした形状に成形され、前側端縁は前後になだらかに起伏する形状に成形されており、さらに、上下に隣接する板状部材の起伏が互いにずれるように、即ち、板状部材において前方に突出する箇所ではその上下に隣接する板状部材の対応する箇所が後退するというように、位相をずらして起伏が形成されている。これにより、演出体402の前面が静止状態においても全体として平面視、側面視とも前後に波状に起伏する外観を呈するものとなっている。
【0125】
演出体402の最上段部には、正面視山形状の短尺の三角柱状に成形されたブロック状部材402Tが配置され、演出体402の頂上部を構成している。このブロック状部材402Tは、後述するようにセンターフレーム43の上枠部43Tに保持される部材である。一方、演出体402の最下段部には、底板部材402Bが配置されている。この底板部材402Bは、これより1段上に配置された板状部材より僅かに長く、他の板状部材も含め演出体402を構成する全部材中でほぼ最長となる寸法を有し、各板状部材とほぼ同様の形状に成形されているが、正面視右端部に後方へ延出する延出部402Eが形成されて平面視概略L形状に成形されるとともに、図18および図20に示すように、正面視左端部の下面に、枢支軸402Aおよび該枢支軸402Aを中心とする円周に沿って前後に垂れ壁状に延びる案内突起402Cが、正面視右端部の下面に、 (上記枢支軸402Aを中心とする円周に沿って) 前後に垂れ壁状に延びる案内突条402Dが、正面視中央よりやや左寄りの後方側端縁に後方へ突出する円柱状の突起402Hがそれぞれ突設されている点で、これより上段に配置された各板状部材とは異なっている。図16、図18ないし図20に示すように、上記延出部402Eの先端部には、前記枢支軸402Aにむかう方向に長く延びる長孔状の案内孔402Gが穿設され、さらに該案内孔402Gの周縁に沿って上方に延出する周壁402Wが突設されている。
【0126】
図15および図20に示すように、上記底板部材402Bより1段上に配置された板状部材の正面視中央よりやや右寄りの後方側端縁、ならびに上記底板部材402Bより5段上(ブロック状部材402Tより2段下)に配置された板状部材の正面視右端部の後方側端縁には、後方へ突出する突起状の当接部402S、402Lがそれぞれ突設されている。これら上下の当接部402S、402Lは、それぞれ板状部材の後方側端縁から後方へ円柱状に突出し、その左右両側が三角プレート状のステーにより補強されるとともに、先端が半球状に成形された構成となっている。上位の当接部402Lの突出長さは下位の当接部402Sの突出長さより大となっており、また、図17に示すように、上位の当接部402Lは下位の当接部402Sよりも右寄りに位置している。
【0127】
上記可動部材404を構成する演出体402および可撓性部材403はいずれも透明樹脂よりなり、したがって可動部材404の全体が光透過性を有するものとなっている。
【0128】
図13ないし図16に示すように、可動部材404の後方には、背板406が立設されている。この背板406は、センターフレーム43の上枠部43Tのやや内奥部に固定され、後述する規制機構の一部を構成する構造物となっている。該背板406は、概略横長の長方形状の板材の左上端部がなだらかに左傾するように角落ちするとともに、右下端部に横長の長方形状の切欠406Cを有し、(右下端部を除き)全体として前記可動部材404の概略山形状の外形をほぼ包含する外郭形状を有するものとなっている。
【0129】
上記背板406の前面には、前記可動部材404の上下の当接部402S、402Lに対応する位置に、案内部46S、46Lがそれぞれ設けられている。上位の案内部46Lは、正面視概略やや縦長の長方形状の領域を全周縁に沿って包囲するようにして、前方に若干突出する突条461Lを突設した構成となっており、該突条461L内に形成される案内面462Lは、背板406の前面と同一平面をなす平面となっている。下位の案内部46Sは、正面視やや縦長の長方形状の領域の両側端縁に沿って、前方に若干突出する突条461Sを突設し、この両側の突条461Sの間に、下端から上端にかけて若干後方に傾斜する案内面462Sを形成した構成となっている。また、前記演出体402の底板部材402Bの円柱状突起402Hに対応する位置に、左右に延びる長孔状の案内孔406Aが穿設され、さらに該案内孔406Aの周縁に沿って前方に延出する周壁406Wが突設されている。この案内孔406Aおよび周壁406Wには前記底板部材402Bの円柱状突起402Hが挿通され案内される。
【0130】
上記背板406は、透明樹脂よりなり、図15および図20に示すように、光拡散手段として拡散レンズ406Dが配設されている。該拡散レンズ406Dは、径が多様に異なる多数の拡散レンズで構成され、背板406の中央部を含む広範な領域にわたってランダムに分散するようにして配置されているが、これら拡散レンズは、前記可動部材404が設置された状態において、演出体402の板状部材のいずれかが配設された位置の直ぐ後方の位置(正面視または背面視でちょうど重なり合う位置)に、それぞれ中心が位置するようにして配置されており、演出体402の板状部材の厚さより大きい径を有する拡散レンズの場合、該板状部材に重なる部分と重ならない部分、即ち正面からみて演出体402の板状部材に隠れた部分と板状部材の間から露出した部分とが形成されている。
【0131】
上記背板406の後方には、上記拡散レンズ406Dのそれぞれに対応する位置に、LEDよりなる発光手段が設置されており、前方に位置する拡散レンズ406Dおよび演出体402の板状部材を通して光が投射されるようになっている(図示せず)。
【0132】
駆動手段405は、図13、図19および図20に示すように、駆動源405Gと前記演出体402の底板部材402Bとで構成されている。駆動源405Gは、前記背板406の後面側(裏面側)における正面視右端部に設置され、センターフレーム43の上枠部43Tの内奥部に支持固定されるようになっている。駆動源405Gにはカムピン405Pが下方にむけて突設され、このカムピン405Pがモータにより回転するようになっている。一方、前記底板部材402Bの正面視左端部は前記枢支軸402Aを中心として回動自在に支持され、延出部402Eは前記背板406の切欠406Cを通って背板406よりも後方に延出するようにして設置される。上記カムピン405Pは底板部材402Bの延出部402Eに穿設された案内孔402Gに上方から嵌入し、この状態でカムピン405Pが回転することにより案内孔402Gがカム溝として機能し、底板部材402Bの延出部402Eが図18中の矢印X1ないしX4に示すように枢支軸402Aを中心とする円周に沿って概略前後方向に往復動する。このように、駆動手段405は、駆動源405Gのモーターにより発生させた回転運動がカムピン405Pおよび案内孔402Gにより底板部材402Bの延出部402Eの往復運動(即ち底板部材402Bが枢支軸402A
を中心として一定角度範囲内で往復する回動)に変換される機構により構成されている。
【0133】
可動装置401は、前記したように、センターフレーム43の上枠部43Tに設置される。該上枠部43Tの外郭部は、図11および図12に示すように、装飾図柄表示装置42の上辺に沿って架設される横架材431と、上面に前記右側の斜面371を有し内部に球誘導路が設けられた右斜材432と、上面に前記左側の斜面373を有し内部に球誘導路が設けられた左斜材433とにより構成され、これら横架材431、右斜材432および左斜材433により包囲される内側の領域には、前記したように概略右半分部に固定装飾部41Rが配置されている。可動装置401は、横架材431、左斜材433および固定装飾部41Rにより包囲される内側の概略山形状のスペースに嵌入するようにして配置されている。前記可動装置401の外形は、この設置スペースの概略山形状の形状に合わせて設定されたものである。また、駆動手段405の駆動源405Gは、この概略山形状の設置スペースのなかで最も高さ寸法が大となっている部分(頂上部434を含む右端付
近の部分)を利用して設置されている。また、駆動源405Gおよび前記背板406はこの概略山形状の設置スペースの内奥部に支持固定されている。
【0134】
上記可動装置401の設置スペースの頂上部434においては、センターフレーム43の上枠部43Tの内部に、前記可動部材404の上端部を保持するための空洞部(図示せず)が設けられている。この空洞部の内部形状は、前記演出体402のブロック状部材402Tの外形にほぼ対応する正面視山形状の短尺の三角柱状とされ、ブロック状部材402Tの寸法よりもやや大きい寸法を有している。また、この空洞部の底面部には、前記可撓性部材403の厚さよりやや大きい幅を有するスリットが形成されている。このスリットに可撓性部材403を挿通するようにしてブロック状部材402Tが空洞部内に収容され、これにより、可動部材404が上端部を保持されるようにして吊下される。このとき、上記のように空洞部の寸法はブロック状部材402Tの寸法よりもやや大きいため、そのぶん空洞部内面とブロック状部材402Tとの間に遊びが形成され、これにより可動部材404の上端部が、固定されずに若干の自由度を有してその姿勢を僅かに変えることができるようになっている。
【0135】
上記センターフレーム43の上枠部43Tの横架材431の中央より若干左寄りの位置には、図12に示すように前後に長く延びる案内孔431Cが穿設され、前記底板部材402B下面の案内突条402Dが嵌入し前後方向に案内されるようになっており、一方、上枠部43Tの左端部のやや内奥には、軸受け及び案内溝(図示せず)が設けられており、前記底板部材402B下面の枢支軸402Aおよび案内突起402Cがそれぞれ軸支および嵌入されるようになっている。
【0136】
(作用)
以下、可動装置401の動作を説明する。
前記したように、駆動手段405により、駆動源405Gのモーターの回転運動による動力が、カムピン405Pおよび案内孔402Gにより、底板部材402Bの延出部402Eの概略前後方向(図18中の矢印X1ないしX4の方向)に沿った往復運動に変換されて伝達する。底板部材402Bがこのように概略前後方向に往復運動すると、これにともなって、該底板部材402Bに連結された可撓性部材403の下端が概略前後方向に揺動する。
【0137】
図21および図22は、可動部材404の動作を模式的に示す説明図である。以下、同図を参照しながら可動部材404の動作を順次説明する。なお同図においては、演出体402を構成する複数(本実施形態では6枚)の板状部材のうちの3枚を図示省略して残りの3枚の板状部材(以下、下から順に下板40L、中板40Mおよび上板40Hと称す)のみ図示するとともに、可動部材404の各構成部材の寸法・位置も若干変更することによって簡略化および明確化している。
【0138】
まず、図21(a)に示すように、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が、破線で示すような鉛直に吊下された初期状態を脱して、下端を前方に引っ張られ、全体として前方からみてなだらかな凹面をなして撓むように(湾曲するように)弾性変形する。このとき、可撓性部材403は下端に近いほど前後方向の移動距
離が大きく変形量も大であり、また変形は下端から上方へ漸次伝わっていくため、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進している間は、この可撓性部材403の変形度の差に応じて、下板40Lが前上方向(図中の左上方向)に大きい度合いで傾斜していき、中板40Mはこれより小さい度合いで、上板40Hはさらに小さい度合いでそれぞれ前上方向に傾斜していくように挙動する。また、可動部材404の上端部を構成するブロック状部材402Tは、センターフレーム43の上枠部43T内に設けられた空洞部434C内に、前記したように若干の遊びを有した状態で保持されているため、可撓性部材403が変形するだけでなく、ブロック状部材402Tが上記遊びの範囲内で微動する(姿勢を僅かに変える)ことで、可動部材404の上端部がより容易に前後に動くことができるようになっている。
【0139】
次いで、図21(b)に示すように、底板部材402Bが後方(X2方向)に後退して初期位置に戻ると、可撓性部材403の下端が後方に引っ張られるが、可撓性部材403の全体は、破線で示すように前方からみてなだらかな凹面をなして撓んだ従前の体勢とは逆に、慣性により前方に膨出した体勢で、即ち前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように(湾曲するように)弾性変形した状態で、下端から漸次後方へ後退していく。この
とき、前記のように前上方向に傾斜していた下板40L、中板40Mおよび上板40Hは、順次、傾斜を元に戻すように挙動するが、このように底板部材402Bが後方(X2方向)に後退する場合にも、可撓性部材403の変形度の差に応じて、下板40Lから順に大きい度合いで元の体勢(初期状態での水平な体勢)に戻る方向に動いていく。特に、可
撓性部材403が前方に膨出しているため、下板40Lは元の体勢よりさらにすすんで前下方向(図中の左下方向)に傾斜した体勢となっていく。
【0140】
次いで、図22(c)に示すように、底板部材402Bがさらに後方(X3方向)に後退すると、可撓性部材403の下端がさらに後方に引っ張られ、破線で示すような前方に膨出するように撓んだ体勢から、逆に後方に膨出するように撓んだ体勢へと変移していく。このとき、この可撓性部材403の動きにともなって、下板40Lは破線で示すような前下方向に傾斜した体勢から再び元の水平な体勢に戻っていく。
【0141】
ここで、可動部材404の動作は、規制機構により規制が加えられるようになっている。即ち、下板40Lおよび上板40Hには、前記したように後方へ突出する突起状の当接部402S、402Lがそれぞれ突設されるとともに、背板406の前面には、上記上下の当接部402S、402Lに対応する位置に、案内部46S、46Lがそれぞれ設けられており、これら当接部402S、402Lが案内部46S、46Lに当接し案内されることにより可動部材404の動作が規制される規制機構が構成されている。(なお図21および図22においては、上下の案内部46S、46Lの突条461S、461Lは図示省略している。)
図22(c)に示すように可撓性部材403が後方(X3方向)に後退する動作の途上において、前記したように上位の当接部402Lが下位の当接部402Sよりも大きく突出しているため、上位の当接部402Lが先に案内部46Lに当接する。このとき、前記したように該当接部402Lは先端が半球状となっており、また上板40Hは可撓性部材403の動きにともないやや前下方向に傾斜した体勢となっているため、該当接部402Lはやや下方から案内部46Lの案内面462Lに当接し、該案内面462Lに沿って垂直に上方へ摺動するようにして案内される。このように当接部402Lが案内部46Lに当接し案内されることにより、上板40Hはより大きく前下方向に傾斜し、これにともなって可撓性部材403の上端部もより大きく変形することとなる。即ち、可撓性部材403の上端部が後方(X3方向)に後退する動作が、上板40Hおよび可撓性部材403の上端部がより大きく変形する動作に変換されるように規制される。
上記上位の当接部402Lが案内部46Lに当接するよりも遅れて、下位の当接部402Sが案内部46Sに当接する。このとき、この下位の当接部402Sも同様に先端が半球状となっており、また下板40Lはまだ水平な体勢まで戻る途上であって若干前下方向に傾斜した体勢となっているため、該当接部402Sの場合も図22(c)に示すようにやや下方から案内部46Sの案内面462Sに当接し、さらにこのとき、該案内面462Sは前記したように下端から上端にかけて若干後方に傾斜しているため、該当接部402Sは案内面462Sの傾斜に沿って後上方向(図中の右上方向)へ摺動するようにして案内される。このように当接部402Sが案内部46Sに当接し案内されることにより、下板40Lは図22(c)に示すような水平な体勢に戻る途上の状態から、このあと再び前下方向に傾斜していくように転じ、しかもこのとき、従前より大きく前下方向に傾斜していくこととなり、これにともなって可撓性部材403の下端部もより大きく変形することとなる。即ち、可撓性部材403の下端部が後方(X3方向)に後退する動作が、下板40Lおよび可撓性部材403の下端部がより大きく変形する動作に変換されるように規制される。ただし、下位の当接部402Sの突出は上位の当接部402Lの突出よりも小さく、さらに上記案内面462Sが傾斜していることにより、下板40Lの前下方向への傾斜が上板40Hの場合よりも小幅なものにとどまることとなり、したがって可撓性部材403の下端部の動作が規制される度合いは上端部の動作が規制される度合ほど大きくはない。換言すれば、可撓性部材403の動作においては、元来、上端部の移動距離および変形量が下端部の移動距離および変形量よりも小さいが、この上端部における移動距離および変形量の不足が、上記のように上端部の動作をより大きく規制することによって補填され、この結果、可撓性部材403の全体にわたって大きな変形がなされるようになっている。
【0142】
この後、図22(d)に示すように、底板部材402Bが前方(X4方向)に前進して初期位置に戻ると、可撓性部材403が後方に膨出するように撓んだ体勢で下端から前方に引っ張られていく。このとき、破線で示すように上下の案内部46S、46Lに沿って後上方向および上方にそれぞれ案内されていた上下の当接部402S、402Lが、該案内部46S、46Lに沿って前下方向および下方にそれぞれ摺動し、下板40Lおよび上板40Hはそれぞれ前下方向へ傾斜した体勢から水平な体勢に戻る方向に挙動する。
【0143】
さらにこの後、底板部材402Bが再び前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が後方に膨出するように撓んだ体勢から、前方に膨出するように撓んだ体勢へと変移していく(図示せず)。このとき、可動部材404は初期位置よりも後方(X3方向)への後退動作から復帰してきた途上にあり、その全体が変形や慣性を有している状態にあるため、再び前方(X1方向)に前進する動作の途上においては、前述の図21(a)に示すような鉛直に吊下された初期状態から前方(X1方向)へ前進する動作の場合とはやや異なる挙動を示すこととなるが、再び後方(X2方向)に後退する動作を経るとともに、凡そ前述の挙動と同様の挙動となっていき、この後は底板部材402Bの往復動作にともなって周期的に同様の挙動を繰り返すこととなる。
【0144】
上記可動部材404は、底板部材402Bの往復動の周期を大として低速で動作させるようにすると、以下に順次示すように、上記とはやや異なる挙動を示す。
【0145】
即ち、まず、図23(a)に示すように、底板部材402Bが前方(X1方向)に前進すると、可撓性部材403が下端を前方に引っ張られ、全体として前方からみてなだらかな凹面をなして撓むように弾性変形する。この段階では、可動部材404は、前記図21(a)に示した挙動の場合に比して、低速であるためその変形の度合いは若干小さいものの、ほぼ同様の挙動を示す。
【0146】
次いで、図23(b)に示すように、底板部材402Bが後方(X2方向)に後退して初期位置に戻ると、可撓性部材403の下端が後方に引っ張られるが、このとき、底板部材402Bの動作が低速であるため慣性による影響は小さく、これよりはむしろ下板40L、中板40Mおよび上板40Hの重みによる影響のほうが大であるため、可撓性部材403の全体は前記図21(b)に示したように前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように弾性変形した状態とはならずに、前方からみてなだらかな凹面をなして撓んだ従前の体勢をほぼ保持したまま、漸次後方へ後退していき、初期位置に戻った時点では、図23(b)に示すように鉛直に吊下された初期状態に近い状態となる。
【0147】
次いで、図24(c)に示すように、底板部材402Bがさらに後方(X3方向)に後退すると、可撓性部材403の下端がさらに後方に引っ張られ、前記図23(a)に示すように前方に前進する場合とは対称をなすようにして、全体として前方からみてなだらかな凸面をなして撓むように弾性変形しながら、後方に後退していく。こうして後退していく途上で、可動部材404の動作は規制機構により規制が加えられる。このとき、可撓性部材403の上端部および下端部の挙動は、前述の場合と同様にして規制機構により規制されるため、速度の違いには影響されることなく、前記図22(c)に示した挙動とほぼ同様の挙動を示すが、中央部は前述の場合とは異なり、図24(c)に示すように前方からみてやや凸面をなして撓むように弾性変形した状態、即ち中板40Mの重みによりやや前下方向に撓んだ状態で後方に後退していく。
【0148】
この後、図24(d)に示すように、底板部材402Bが前方(X4方向)に前進して初期位置に戻ると、可撓性部材403が前方に引っ張られていく。このときもまた、可撓性部材403の上端部および下端部の挙動は、前述の場合と同様にして規制機構により規制され、速度の違いには影響されずに前記図22(d)に示した挙動とほぼ同様の挙動を示し、一方、中央部は図24(c)に示すように中板40Mの重みによりやや前下方向に撓んだ状態で前方に引っ張られていく。
【0149】
上記のように、可動部材404が低速で動作する場合、特に図23(a)および(b)に示すような、規制機構により規制されない前方への往復動作(X1方向およびX2方向への往復動作)においては、その速度が低くなるほど、可撓性部材403の変形や下板40L、中板40Mおよび上板40Hの傾斜すなわち姿勢変化が小さくなり、可動部材404が全体として一定の姿勢を保持したまま前後に揺動するようになっていく。即ち、可動部材404の動作は、高速となるほど波打つような変化に富んだものとなっていくのに対し、低速となるほど単純な振り子運動のような変化に乏しいものとなっていく。ところが、上記のように規制機構により規制が加えられることによって、可動部材404の動作がいかに低速となっても、特に可撓性部材403の上端部および下端部における変形量が低減することがなく、ほぼ一定の大きな変形量が確保でき、波打つような変化に富んだ動きが維持される。したがって、可動部材404の動作が低速となるほど、規制機構による効果が大となる。
【0150】
上記のように可動部材404が動作するように動力を伝達する駆動手段405は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御されるようになっている。前記したように、始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、特別図柄や装飾図柄の変動表示が開始され、一定時間の経過後に停止して、大当たりであるか外れであるかの結果が表示されるが、上記駆動手段405は、この変動表示の開始および停止にともなって作動を開始および停止するように制御される。これにより、上記可動部材404の動作が、前記した興趣演出の一態様として行われ、変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させるように演出がなされる。
【0151】
前記した通り、本実施形態のパチンコ機10においては、可動装置401が、当該可動装置401の表面の少なくとも一部を構成する演出体402および当該演出体402と連結され可撓性材料よりなる可撓性部材403を有する可動部材404と、前記可撓性部材403を変形させる駆動力を付与する駆動手段405と、を備え、前記駆動手段405により前記可撓性部材403が変形することに応じて前記演出体402の位置および/または姿勢が変化されるように構成したので、複雑な動力伝達機構を要することなく簡略な構成によって動きを伴う演出を行うことができる。即ち、可撓性部材403を可撓性の樹脂フィルムよりなるものとし、この可撓性部材403の下端部を往復動させることによる簡単な動力伝達を行うだけで可撓性部材403を変形させ、これにより演出体402の位置および/または姿勢を変化させることができる。換言すれば、駆動源405Gからの動力を伝達する手段として可撓性部材403の変形を利用することにより、簡略な機構によって動力を伝達して演出体402の位置および/または姿勢の変化すなわち動きを伴う演出を容易かつ効果的に行うことができる。
【0152】
さらに、上記のように可撓性部材403の下端部を往復動させるだけでよいため、駆動手段405が、駆動源405Gのモーターにより発生させた回転運動をカムピン405Pおよび案内孔402Gにより底板部材402Bの延出部402Eの往復運動に変換するだけの簡略な機構から構成されており、したがって可動装置401がそのぶん簡略な構成となっている。
【0153】
また、前記図21ないし図24を参照して説明した通り、可撓性部材403の下端部を前後方向(X1方向ないしX4方向)に往復動させることによる簡単な動力伝達によって、可撓性部材403の下端から、側面視概略蛇行形状をなして前後に撓むような弾性変形が上方に伝播していき、これにともなって、例示の下板40L、中板40Mおよび上板40Hに代表される、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ運動子として機能し、前後に移動すなわち位置変化するとともに、前上方向に傾斜した姿勢と前下方向に傾斜した姿勢との間を上下に振動するように姿勢を変化させることとなる。これによって、可動部材404の全体が波打つように揺動する動きが効果的に表出される。
【0154】
また、可動部材404が、上端部のブロック状部材402Tを保持するようにして吊下され、下端部を構成する底板部材402Bの正面視右端部、即ち可動部材404の上端部以外の一点に駆動手段405により動力を付与することにより変形させるようにすることにより、可撓性部材403の変形動作を重力を利用しながら、即ち演出体402を振り子とする振り子運動を基本とするようにして行わせることができるため、波打つような動きを容易かつ効果的に現出させることができる。また、可動部材404を上端部で保持して吊下するだけの簡単な構造によってこの変形動作機構が構成されている。
【0155】
また、可動部材404が、底板部材402Bの正面視左端部に設けられた枢支軸402A、即ち可動部材404の下端部の一点が回動自在に枢支され、底板部材402Bの正面視右端部、即ち可動部材404の下端部における他の一点に駆動手段405により動力が付与されることにより変形する構成としたことにより、可撓性部材403の変形する動きに、枢支軸402Aすなわち下端部の一点を中心とする回動が付加され、これにより可撓性部材403が全体として捩れをともなった動きをするようになっており、そのぶん可動部材404の動きに変化が付与されているとともに、簡略な駆動手段405によって可撓性部材403が効果的に変形するようになっている。即ち、可撓性部材403が、前記したように側面視概略蛇行形状をなして前後に撓むような弾性変形が下端から上方に伝播していくような変形動作と、正面視左端部の枢支軸402Aを中心として水平面上で回動することにより前後に振動する動作とが複合されて、全体として、上端のブロック状部材402Tから正面視左下端部の枢支軸402Aにかけて延びる左上辺部を中心として前後に捩れる(反る)変形を含むような変形動作を表出するようになっている。
【0156】
また、演出体402が、複数の部材からなり、該部材が互いに独立して前記可撓性部材403に配置されている構成としたことにより、可撓性部材403の変形動作にともなって複数の部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動して相対位置も変化し、これにより演出体402の動きに変化が付与されている。
【0157】
また、演出体402が、複数の板状部材を列状に配置してなる構成としたことにより、可撓性部材403の変形動作にともなって複数の板状部材のそれぞれがある程度、互いに拘束されることなく自由に運動し、例えば板状部材のそれぞれの突出端すなわち自由端が互いに寄ったり離れたりする動きを繰り返すことができ、演出体402が波打つような動き等のある程度複雑な動きを効果的に表現し得るものとなっている。また、可撓性部材403は変形を繰り返し行う部材であるため劣化を生じてそのぶん外観が損なわれるという事態が避けられないが、列状に配置された複数の板状部材によってこの可撓性部材403の劣化部分がカバーされて目立ちにくくなり、さらに、板状部材のそれぞれの寸法を大きくしたり、あるいは複数の板状部材を密に配置したりして、外観上における演出体402の占める割合を大とすることにより、可撓性部材403の劣化を外観上より効果的にカバーすることもできる。
【0158】
さらに、上記複数の板状部材のそれぞれが、横臥した体勢で中央部を可撓性部材403により支持される構成としたことにより、各板状部材がバランスよく支持されてその運動すなわち位置および/または姿勢の変化もより効果的にかつ安定してなされるようになっている。即ち、図21ないし図24に明示されているように、例示の下板40L、中板40Mおよび上板40Hに代表される板状部材が、それぞれ、可撓性部材403を挟持する中央部を支点として上下に揺動するような運動をするようになっている。
【0159】
また、可動部材404とは別の構造物である背板406によって当該可動部材404の動作が規制される規制機構を備える構成としたことにより、可動部材404が前後に湾曲しながら揺動変形する間にその一部すなわち上端部および下端部に規制を加えて部分的に可動部材404の動作を規制することによってその動きがさらに多彩にアレンジされたものとなっている。
【0160】
さらに、規制機構が、可動部材404側に、相手側すなわち別の構造物である背板406に当接する突起状の当接部402S、402Lを設けることによって構成されるものとしたことにより、簡略な構造によって可動部材404の所望の部位でその動きを規制することができ、また、当接部402S、402L形成部位である下端部および上端部で可動部材404が反対側すなわち前方に突出するように動作が規制され、簡略な構造により動きがより多様にアレンジされるようになっており、また前記したように、特に可動部材404の上端部における動作が増幅され、可動部材404の全体にわたって動作が強調されるようになっている。
【0161】
さらに、規制機構が、当接部402S、402Lを案内するための案内部46S、46Lをさらに備える構成としたので、この案内部46S、46Lの案内面462S、462Lに沿って当接部402S、402Lを案内させることによって、当接部402S、402Lを所望の方向すなわち後上方向や直上方向に案内するように規制がなされ、したがって当接部402S、402Lが望外の動きをすることなく安定して動くものとなっており、また、可動部材404の動きが所望の形態にアレンジされたものとなっている。
【0162】
また、可動部材404を構成する演出体402および可撓性部材403がいずれも透明樹脂よりなり、したがって可動部材404の全体が光透過性の材料よりなる透光部となっているとともに、該透光部に透過させる光を発生する発光手段を備える構成としたことにより、単に一定の光を放射するだけでなく、光を透光部に透過させる途上で可動部材404の動きを利用して光の反射方向を変化させるようにして発光を行うことができ、これにより発光態様が多様化して可動部材404の動きにさらに視覚上の変化が付与され、より高い演出効果が得られるようになっている。また、可撓性部材403が変形動作の繰り返しにより劣化を生じた場合でも、光を透過させることによって劣化を目立たないようにすることができる。
【0163】
さらに、上記のように演出体402が透光部となっているとともに、該透光部に演出体402の背面側から光を入射し得る位置に発光手段が設けられた構成としたことにより、より効果的に発光を行うことができるようになっている。即ち、演出体402は可動装置401の表面(前面)の一部を構成し、したがって可動装置401の外観の一部を構成する要素であるため、この演出体402を通して発光を行うことにより、発光による効果をより直接的に外観に反映させることができる。また、演出体402を通してその背面側から発光を行うことにより、光が直接的に遊技者にむかって投射されることなく演出体402に緩衝されて視覚上適度な発光とすることができる。また、演出体402は前記したように、板状部材がそれぞれ前後に移動するとともに上下に振動するように構成されているので、演出体402を通して発光を行うことにより、演出体402の動きを利用して視覚上の変化がより効果的に得られるようになっている。また、発光手段は演出体402の直ぐ後方の位置に設置されているため、演出体402が上記のように動いても発光が演出体402により緩衝されるようになっている。
【0164】
さらに、透光部に透過させる光を拡散させる光拡散手段を備える構成としたことにより、発光手段からの発光を拡散させてより広範な発光を行うことができ、演出体402に光を透過させるとともに、この光を拡散させることによって、演出体402が配置されていない部位すなわち板状部材の間の部位を通しても二次的に発光を行うことができるので、発光態様が多様化し、またより効果的なものとなっている。また、光拡散手段を通して光を拡散させるようにすることで、光拡散手段を通さず直接的に発光を行う場合よりも視覚上適度な発光とすることができる。また、本実施形態においては、光拡散手段として拡散レンズが用いられており、演出体402の板状部材の厚さより大きい径を有する拡散レンズの場合、正面からみて演出体402の板状部材に隠れた部分と板状部材の間から露出した部分とが形成されているので、そのぶん発光態様が多様化されている。
【0165】
また、駆動手段405が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御される構成としたことにより、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる興趣演出を効果的に行うことができる。駆動手段405の作動をこのように制御せず、例えば、入賞口への遊技球の入球には無関係に、一定時間継続して、あるいは所定間隔をおいて間欠的に駆動手段405を作動させるようにする、といった稼動態様も可能であり、これによれば駆動手段405を作動させるための制御機構を省略できるといった利点もあるが、上記のように興趣演出として遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御するようにすることにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行って遊技性をさらに向上させることができ、また、駆動手段405の作動が無制限的になされるのではなく入賞口へ遊技球が入球した場合に制限されるため、そのぶん可撓性部材403の変形の繰り返しによる劣化が抑制されるという利点もある。
【0166】
(変更態様)
前記実施形態のパチンコ機10には、各種の変更を加えることが可能である。
例えば、演出体としては、前記実施形態では複数の板状部材を横臥させるように配置して構成された演出体402としているが、これにかえて、例えば複数の板状部材や円柱状部材を立てて左右に適宜間隔をおいて配置して構成されたもの(図示せず)としてもよい。さらには、例えば図25に示すように、可撓性部材403の表面に樹脂板、金属板等の適宜な板材を貼付する等の方法により層状に形成された演出体402aとし、この層状の演出体402aを例えばキャラクタや紋様などの任意の形状に形成するようにしたもの等も可能である。この場合、演出体402aは一箇所に一塊のものとして形成してもよいが、図25に示すように複数に分割形成するようにすると、各分割体をそれぞれある程度、互いに拘束されずに自由に運動させ、相対位置も変化させるようにすることができる。
【0167】
また、前記実施形態においては、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ前後に位置変化するとともに、上下に振動するように姿勢を変化させる構成となっていたが、例えば図26に示すように、板状部材40Sの左右両側端縁が前後に延びるレール40Rに沿ってスライド自在に保持され、可撓性部材403の動作にともなって、各板状部材40Sが同一の姿勢(水平に横臥した姿勢)を保持したまま前後の位置変化のみを行うように
運動する構成とするといったように、演出体402を構成する板状部材が、それぞれ位置変化および姿勢の変化のいずれか一方のみを行うように運動する構成としてもよい。
【0168】
また、可撓性部材としては、前記実施形態に例示した樹脂フィルムよりなる膜状の可撓性部材403以外にも、例えば図27に示すように、ゴム等の可撓性の材料よりなる丸棒、角棒等の棒状部材を立てた状態で左右に複数並置するようにして構成した可撓性部材403aとしてもよく、さらにこれ以外にも、例えば紐、ワイヤ等の線状部材等を用いるようにしてもよい。
【0169】
また、可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法としては、前記実施形態では、可動部材404を上端部を保持するようにして吊下し、可動部材404の右下端部(上端部以外の一点)に駆動手段405により動力を付与することにより変形させるようにしているが、これ以外にも、例えば可動部材404の上端部または上下両端部を保持するようにして吊下し、中央部の一点に動力を付与するようにしてもよく、あるいは、左右両端部もしくは例えば図28に模式的に示すように上下両端部に動力を付与するようにしてもよい。同図に示す例においては、可動部材404aの上端部および下端部にそれぞれ後方に延びる延出部44T、44Bを設け、これら延出部44T、44Bのそれぞれを前後方向(X5方向およびX6方向)に往復動させることにより可動部材404aに動力を付与
するようにし、さらに、上下の延出部44T、44Bの往復動を、異なる周期で、あるいは、同一周期でかつ位相をずらすようにして、即ち例えば同図に示すように上位の延出部44Tが前進から後退へ折り返した時点では下位の延出部44Bはまだ前進の途上にあるというようにして行い、これにより、変形が一方端から他方端へ伝播して波打つような動きがより効果的に表出される構成となっている。
【0170】
さらに、可撓性部材を変形させるように動力を伝達する方法として、例えば図29に示すように、可撓性部材403の下端部を、左右方向の軸42Pを中心として回動自在に枢支された振動部材42Sで保持し、この振動部材42Sを前後方向(X7方向)に振動させるようにして動力を伝達するようにしてもよい。さらにこの場合、可撓性部材403の上端部も同様の振動部材で保持して前後方向に振動させるようにしてもよく、あるいは、可撓性部材403の上端部を前記実施形態の場合と同様に前後に往復動させるようにするといったように、軸を中心とする回動による振動動作と前進および後退による往復動作とを適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0171】
また、規制機構としては、前記実施形態では、可動部材404側に、別の構造物である背板406に当接する突起状の当接部402S、402Lを設けた構成となっていたが、例えば背板406側に前方に突起する適宜形状の当接部を設け、この当接部を可動部材に当接させる構成としてもよく、さらには、例えば背板406にかえて、センターフレーム43の上枠部43Tの内奥部に、前方に突起する適宜形状の構造物を設け、この構造物を可動部材に当接させる構成としてもよい(図示せず)。また、以上に例示した規制機構では、可動部材の後方への動きが規制されるようになっていたが、例えば図30に示すように、可動部材の前方または前後への動きが規制されるようにした規制機構とすることも可能である。同図に示す例においては、演出体を構成する板状部材40Nの後端近傍に、前後に延びる係合孔40aが設けられるとともに、背板406bに、上方に鉤状に湾曲する形状の鉤部406hが突設されており、前記板状部材40Nが、係合孔40aを鉤部406hに係合させた状態で、前後方向に一定距離すなわち係合孔40aの長さだけ移動可能に保持されている。この規制機構によれば、可撓性部材403の前方への動きにともなう板状部材40Nの前方(X8方向)への移動が係合孔40aと鉤部406hとの係合により
規制される。さらにこの場合、係合孔40aおよび鉤部406hの寸法および位置を適宜設定することにより、板状部材40Nの後方への動きもあわせて規制することができる。
【0172】
また、発光手段は、前記実施形態におけるように背板406の後方に設置する以外にも、例えば背板の前面や、演出体を構成する板状部材の内部に設け、またこれにともなって光拡散手段を上記発光手段より前方の適宜位置に設置するようにしてもよい。
【0173】
また、光拡散手段としては、例えば拡散フィルム、拡散板等を用いるようにしてもよい。ただし、前記実施形態におけるように拡散レンズを用いることにより、視覚上より好適な発光とすることができる。
【0174】
また、駆動手段の作動は、前記実施形態では、変動表示の開始および停止にともなって可動部材404が動作の開始および停止をするように制御されるようになっていたが、これ以外にも様々な態様に制御することが可能である。パチンコ機10における遊技状態は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に基づいて、数種に異なる状態に変移する。即ち、変動表示開始前の「初期状態」、変動表示開始後であってリーチ状態も大当たり状態も発生していない「通常状態」、「リーチ状態」、「大当たり状態」等に変移するが、このように遊技状態が変化する幾度かのタイミングのうちのいずれかのタイミングを任意に選択し、この選択したタイミングに応じて駆動手段を作動させるようにすることができる。例えば、リーチ状態の開始および終了にともなって可動部材404が動作の開始および停止をするように制御したりするようにしてもよい。また、例えば、初期状態または通常状態で可動部材404の動作を通常運転として開始しておき、リーチ状態の開始にともなって、上記通常運転よりも可撓性部材403を変形させる振幅を増大させたり、可撓性部材403を変形させる周期を小さくしたりするなどのように異なる態様で駆動手段405を作動させ、リーチ状態の終了にともなって通常運転に復帰するように制御するようにしてもよく、あるいはこれに加えて、大当たり状態の開始にともなって、上記可撓性部材403の変形の振幅や変形速度をさらに増大ないし減少させるといったように、遊技状態の変移に応じて作動態様を多段階に変化させるように制御するようにし、これにより興趣演出にさらに変化を付与するようにしてもよい。さらには、例えば、ノーマルリーチ(大当たりとなる確率が低確率であるリーチ状態)、スーパーリーチ(大当たりとなる確率が中確率であるリーチ状態)、プレミアムリーチ(大当たりとなる確率が略100%の高確率であるリーチ状態)等のリーチの種別によって、可撓性部材403の変形の振幅や周期を段階的に変えるように制御するようにしてもよい。
【0175】
また、駆動手段としては、前記実施形態では、専ら可撓性部材403を変形させるために設けられた駆動手段405としていたが、例えば、他の役物を駆動させるための駆動手段と兼用するようにしてもよい。
【0176】
また、前記実施形態においては、可動装置401がセンターフレーム43の上枠部43Tに設置されており、この配置によって、視覚的効果も大でありまた駆動源405Gの設置スペースも好適に確保し得るようになっているが、可動装置は外部から視認し得る位置であれば任意の位置に設置することができ、例えば図1および図2に示す窓部101の上方の適宜位置等に設置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0177】
以上のように、本発明は、簡略な構成によって動きを伴う興趣演出を容易かつ効果的に行うことができるもので、遊技機の機種を問わずに広範囲に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0178】
401:可動装置
402:演出体
403:可撓性部材
404:可動部材
405:駆動手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域と、
該遊技領域に設けられる入球口と、
該入球口に入球した遊技球を検出する検出手段と、
該検出手段による検出を契機として遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
該抽選手段による抽選の結果に基づいて駆動手段を制御する駆動制御手段と、
該駆動制御手段の制御に基づいて動作する可動体とを備えた遊技機において、
前記可動体は、可撓性部材を備え、
前記可動体の一部に前記駆動手段の動力が付与されて前記可撓性部材が撓むことに基づき、該可撓性部材の位置が変更されて前記可動体の態様が変化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域と、
該遊技領域に設けられる入球口と、
該入球口に入球した遊技球を検出する検出手段と、
該検出手段による検出を契機として遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを抽選する抽選手段と、
該抽選手段による抽選の結果に基づいて駆動手段を制御する駆動制御手段と、
該駆動制御手段の制御に基づいて動作する可動体とを備えた遊技機において、
前記可動体は、可撓性部材を備え、
前記可動体の一部に前記駆動手段の動力が付与されて前記可撓性部材が撓むことに基づき、該可撓性部材の位置が変更されて前記可動体の態様が変化するように構成されていることを特徴とする遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−13821(P2013−13821A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236319(P2012−236319)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2007−74891(P2007−74891)の分割
【原出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2007−74891(P2007−74891)の分割
【原出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
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