説明

遊技機

【課題】 リールユニットの組み立て時の作業効率を向上させながら、リールモジュールと収納ラックとのガタツキをなくし、リールの回転に伴う異音の発生を抑制する遊技機を提供する。
【解決手段】 リールユニット4は、リール41、モータ、及びこれらを支持するベース体42を少なくとも備えるリールモジュール40を複数有するとともに、リールモジュール40を挿入可能な開口部461を有し、複数のリールモジュール40を水平方向に積層させて収納可能な収納ラック46と、開口部461から挿入されたリールモジュール40を取り付け位置までガイドするガイド溝と、取り付け位置に至ったリールモジュール40を圧入によって仮固定する仮固定手段と、ネジ1を介してリールモジュール40を脱抜不能に固定する本固定手段と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機に関し、特に、リールの回転に伴う振動の発生を抑制する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン、パチンコ機などの遊技機には、外周面に図柄の表された複数のリールを備えるものがある。
例えば、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下操作することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止したリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出されるように構成され、このような複数のリールは、一体的にユニット化されたリールユニットに収納されている。
【0003】
リールユニットには、通常、上記のリール、リールを回転駆動させるモータ、及びリールを軸支するモータが取り付けられるベース体を有する複数のリールモジュールと、リールモジュールを挿入可能に前方が開口され、複数のリールモジュールを水平方向に積層させて収納可能な収納ラックと、を備えている。
【0004】
ところで、このようなリールユニットにおいて、リールの回転によって発生する振動が問題となっていた。
リールモジュールは、ベース体を収納ラックに直立させた状態で固定することで、収納されるようになっている。このベース体には、リールを軸支するモータが取り付けられているので、リールが回転するとベース体が振動することになり、これにより、ベース体と収納ラックとの間で異音が発生することがあった。このような異音は、ベース体と収納ラックとの間にある僅かなガタツキに起因するものである。
そこで、特許文献1には、収納ラックとの係合に際して圧接するバネ部をベース体に形成し、ベース体と収納ラックとの間のガタツキをなくす発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−236036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のリールユニットでは、取り付けの際にバネ部を弾性変形させるとともに、これを収納ラックに押し付けながらネジを取り付けなければならないことから、組み立て時の作業効率を悪化させていた。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために提案されたもので、リールモジュールをガイドに沿って収納ラックに押し込むだけで、リールモジュールがガタツキなく収納ラックに固定される遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機であって、前記リールユニットは、前記リール、前記リールを回転駆動させるモータ、及びこれらを支持するベース体を少なくとも備えるリールモジュールを複数有するとともに、前記リールモジュールを挿入可能に開口された開口部を有し、前記複数のリールモジュールを水平方向に積層させて収納可能な収納ラックと、前記開口部から挿入された前記リールモジュールをその取り付け位置までガイドするガイド手段と、前記取り付け位置に至った前記リールモジュールを脱抜可能としながら揺動不能に前記収納ラックに仮固定する仮固定手段と、前記仮固定された前記リールモジュールを脱抜不能に前記収納ラックに固定する本固定手段と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機によれば、リールユニットの組み立て時の作業効率を向上させながら、リールモジュールと収納ラックとのガタツキをなくすことにより、リールの回転に伴う振動や異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】遊技機の概略正面図である。
【図2】遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】リールユニットの外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図であり、(b)は、後方から見た斜視図である。
【図4】リールユニットの分解斜視図である。
【図5】リールモジュールの分解斜視図である。
【図6】収納ラックの外観斜視図を示し、(a)は、上方から見た斜視図であり、(b)は、下方から見た斜視図である。
【図7】収納ラックを示し、(a)は、正面図であり、(b)は、A−A断面矢視図である。
【図8】収納ラックを示し、(a)は、B−B断面矢視図であり、(b)は、C−C断面矢視図である。
【図9】収納ラックを示し、(a)は、側面図であり、(b)は、D−D断面矢視図である。
【図10】ベース体の外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図であり、(b)は、後方から見た斜視図である。
【図11】リールユニットを示し、(a)は、正面図であり、(b)は、E−E断面矢視図と圧入構造を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
リールユニットを備える遊技機には、スロットマシンをはじめ、パチンコ機など様々な種類があるが、本実施形態では、スロットマシンを実施例に挙げて説明する。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる一般的な回胴式遊技機であるものの、リールユニットの組み立て時の作業効率を向上させながら、リールモジュールと収納ラックとのガタツキをなくすようになっている。
以下、このような作用効果を発揮する本実施形態に係るスロットマシン1の各部の構成について詳述する。
【0013】
[スロットマシン本体]
図1は、スロットマシンの外観を示す概略正面図、図2は、スロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0014】
スロットマシン1は、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部10、制御部10からの指令により、表示器8,スピーカ9,LED等のランプ類を制御する演出制御部20、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0015】
前扉1aは、図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作手段が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0016】
操作手段としては、メダルが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。また、前扉1a上部には、効果音等が出力されるスピーカ9が設けられている。
【0017】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41c備えるリールユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ2bにより検出されるとともに、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0018】
スロットマシン1では、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ2bからの信号に基づき、制御部10が、リールユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技が進行する。
【0019】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が制御部10に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その検出信号が制御部10に入力される。制御部10は、これらの検出信号の入力数からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、制御部10は、リールユニット4に対して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0020】
さらに、制御部10は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス役、小役、再遊技役、ハズレの複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選対象を抽選する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0021】
また、制御部10は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0022】
このように構成されたスロットマシン1において、各リール41a,41b,41cを個別に回転可能に軸支しながら収納する装置がリールユニット4であり、このリールユニット4には、リール41を含め、リール41を回転駆動させるモータ43、これらを支持するベース体42を備えるリールモジュール40と、複数のリールモジュール40を水平方向に積層させて収納可能な収納ラック46とが設けられている。
そして、このリールユニット4が、収納ラック46に挿入されたリールモジュール40をその取り付け位置までガイドするガイド手段と、取り付け位置に至ったリールモジュール40を収納ラック46に仮固定する仮固定手段と、仮固定されたリールモジュール40を本固定する本固定手段と、を備えることにより、リールユニット4の組み立て時の作業効率を向上させながら、リールモジュール40と収納ラック46とのガタツキをなくすことにより、リール41の回転に伴う振動や異音の発生が抑制されるようになっている。
以下、本実施形態に係るリールユニット4について詳述する。
【0023】
[リールユニット]
図3は、リールユニットの外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図、(b)は、後方から見た斜視図であり、図4は、リールユニットの分解斜視図である。また、図5は、リールモジュールの分解斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係るリールユニット4は、それぞれ一つずつリール41を有する三つのリールモジュール40(40a,40b,40c)と、これらを収納する収納ラック46と、基板ユニット47とを備え、各リール41をそれぞれ独立して回転制御可能に構成されている。
【0024】
本実施形態のリールモジュール40は、収納ラック46の左端に収納される左リールモジュール40aと、中央に収納される中リールモジュール40bと、右端に収納される右リールモジュール40cと、からなる三つのリールモジュールからなり、収納ラック46の開口部461から挿着されるようになっている。
リールモジュール40は、図5に示すように、リール41と、ベース体42と、モータ43(パルスモータ)と、光センサ44(フォトインタラプタ)と、照明ユニット45とから構成されている。
【0025】
リール41は、複数種類の図柄が表された帯状シート411と、帯状シート411を円筒状に保形する環状のリングフレーム412と、モータ43に軸支されつつその縁端で帯状シート411を円筒状に保形するホイールフレーム413とから構成されている。
リール41は、ネジ3を介して軸432に軸止されるホイールフレーム413がモータ43によって駆動されて回転するとともに、ホイールフレーム413に形成された遮光板が光センサ44の光路を遮ることで、その回転位置を検出できるようになっている。
【0026】
照明ユニット45は、帯状シート411と軸432との間に配置され、帯状シート411の後方から図柄を照らす発光装置であり、光源としてのLEDの実装されたLED基板452と、これを支持する基板ホルダー451から構成されている。
【0027】
ベース体42は、略板状に成形された合成樹脂(例えば、ABS樹脂)からなり、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45の取り付け部となっている。
具体的には、図5に示すように、ベース体42には、その後方から挿入されるモータ43がネジ2を介して固定されるとともに、同じく後方から挿入される光センサ44が所定の凹部に嵌挿されて固定されるようになっている。さらに、前方から照明ユニット45がネジ4を介して固定されるようになっている。つまり、ベース体42には、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45が固定されているので、モータ43に軸支されたリール41もベース体42が支えるようになっている。
このようにベース体42にはすべての部品が取り付けられることから、後述するように、ベース体42を、ネジ1を介して収納ラック46に固定可能に構成することで、リールモジュール40が収納ラック46に脱抜不能に収納されることになる。
【0028】
また、ベース体42には、モータ43と、光センサ44と、照明ユニット45が固定されているので、モータ43からのモータ配線431と、光センサ44からのセンサ配線441と、LED基板452からのLED配線4521がベース体42に集結することになる。
そこで、ベース体42は、これらの配線をリールモジュール40ごとに配線ケーブルK(Ka,Kb,Kc)として一つに束ねて、基板ユニット47に向けて引き出すようなっている。
本実施形態では、収納ラック46の上面に基板ユニット47を配置したことから、配線ケーブルK(Ka,Kb,Kc)は、ベース体42の上方へ引き出されるとともに、各リール41に絡まないように、リール41の配置された面の反対側の面に沿って引き出されるようになっている。
【0029】
基板ユニット47は、図示しない中継基板と基板カバーとから構成されている。
中継基板は、所定の配線ケーブルを介して制御部10と演出制御部20と接続されるとともに、さらに、モータ配線431と、センサ配線441と、LED配線4521が接続されるようになっている。
【0030】
このような構成からなるリールユニット4において、ベース体42を介してリールモジュール40を収納ラック46に固定することで、リールモジュール40と収納ラック46とのガタツキをなくすことができるとともに、リール41の回転に伴う振動や異音の発生が抑制されるようになっている。
以下、収納ラック46とベース体42について詳述する。
【0031】
図6は、収納ラックの外観斜視図を示し、(a)は、上方から見た斜視図、(b)は、下方から見た斜視図であり、図7は、収納ラックを示し、(a)は、正面図、(b)は、A−A断面矢視図であり、図8は、(a)は、B−B断面矢視図、(b)は、C−C断面矢視図であり、図9は、同じく収納ラックを示し、(a)は、側面図、(b)は、D−D断面矢視図である。
また、図10は、ベース体の外観斜視図を示し、(a)は、前方から見た斜視図、(b)は、後方から見た斜視図であり、図11は、リールユニットを示し、(a)は、正面図、(b)はE−E断面矢視図と圧入構造を示す要部拡大図である。
【0032】
本発明に係るガイド手段と、仮固定手段と、本固定手段は、それぞれベース体42と収納ラック46に分散して配置され、ベース体42と収納ラック46との物理的な相互の係り合いにより、その機能が実現されるようになっている。
【0033】
[収納ラック]
収納ラック46は、図6〜図9に示すように、リールモジュール40を挿入可能に開口された開口部461と、その開口部461内側に、底面462と、上面463と、背面464と、下側傾斜面465と、上側傾斜面466とを有する、有底筒状に形成された合成樹脂(例えば、ABS樹脂)からなり、複数のリールモジュール40を水平方向に積層させて収納可能に構成されている。
本実施形態では、リールモジュール40の収納は、ベース体42を介して行われ、収納ラック46がベース体42を支持(挟持)することにより、各リール41が回転可能な状態で取り付けられるようになっている。
【0034】
このような取り付けを実現するために、収納ラック46には、底面462に形成された底面側ガイド溝4621(a〜c)と、上面463に形成された上面側ガイド溝4631(a〜c)と、下側傾斜面465に形成された下側取り付け溝4651(a〜c)と、上側傾斜面466に形成された上側取り付け溝4661(a〜c)とが、それぞれ開口部461側から背面464側に向かって凹設(延設)されている。
底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631は、それぞれ開口部461側に形成され、背面464側に形成された下側取り付け溝4651と上側取り付け溝4661に連続して繋がるようになっている。
これらのガイド溝(4621,4631)と取り付け溝(4651,4661)は、各リールモジュール40a〜40cのベース体42に対応して複数設けられるとともに、これらの溝幅は、ベース体42の縁端部が嵌り込み可能に、ベース体42の板厚より広く、かつ、開口部461側から背面464側に向かうに従って狭くなるように形成されている(例えば、図8(a)、(b)参照)。
【0035】
下側取り付け溝4651と上側取り付け溝4661は、後述するベース体42の傾斜部423,424を支持(挟持)する部分であり、開口部461側からの押し込み操作されたベース体42(リールモジュール40)が最終的に到達して取り付けられる取り付け位置となっている。
つまり、下側取り付け溝4651と上側取り付け溝4661は、それぞれ底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631の終端部となっており、本発明に係るガイド部(ガイド溝)の一部として形成されている。
【0036】
底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631は、本発明に係るガイド部(ガイド溝)として機能し、ベース体42に形成された被ガイド部として機能する上端部及び下端部との係合(凹凸嵌合)によって、開口部461側からの押し込み操作により、ベース体42を直立させた状態のままその取り付け位置(下側取り付け溝4651、上側取り付け溝4661)までリールモジュール40をガイドするようになっている。
すなわち、底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631は、溝状のガイドレールとして機能し、ベース体42の上端部及び下端部が溝に嵌り込むことにより、取り付け位置までリールモジュール40が案内されるようになっている。
さらに、底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631の始まりを、開口部461からとしてあるため、開口部461から挿入されるベース体42の溝への嵌り込みが容易になる。
また、底面側ガイド溝4621と上面側ガイド溝4631は、ガイド部(ガイド溝)としてのみならず、ベース体42の上端部及び下端部を支持(挟持)する取り付け溝としても機能するようになっている。
【0037】
さらに、収納ラック46には、図7に示すように、ネジ1の螺入されるネジ穴となる、底面側ネジ固定部4622(a〜c)と、上面側ネジ固定部4632(a〜c)とが穿設されている。
これらのネジ固定部(4622,4632)は、後述するベース体42のネジ孔(4211a,4221a)を貫通させたネジ1が螺入されることにより、ベース体42を介してリールモジュール40を開口部461から引き出し(脱抜)不能に収納ラック46に本固定する本固定手段として機能するようになっている。
【0038】
[ベース体]
一方のベース体42には、このような溝形状を有するガイド溝及び取り付け溝に嵌り込み可能な縁端部が形成されている。
具体的には、ベース体42には、図10に示すように、上面側ガイド溝4631に嵌る上端部421と、底面側ガイド溝4621に嵌る下端部422と、上側取り付け溝4661に嵌る上端傾斜部423と、下側取り付け溝4651に嵌る下端傾斜部424とが形成され、収納ラック46の開口部461側に配置される前端部425、及び背面464側に配置(当接)される後端部426を除いたベース体42のすべての縁端部がガイド溝(4621,4631)及び取り付け溝(4651,4661)に嵌り込むようになっている。
【0039】
上端部421と下端部422は、本発明に係る被ガイド部として機能し、ガイド部として機能する上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621とにそれぞれが嵌り込むことで、開口部461側からの押し込み操作により、ベース体42を直立させた状態のまま取り付け位置までリールモジュール40がガイドされることになる。
また、上端傾斜部423と下端傾斜部424は、それぞれ上端部421と下端部422に連続して形成されていることから、上端部421と下端部422の一部となっている。
【0040】
また、ベース体42は、前端部425から後端部426に向かうに従ってその板厚が薄くなる断面クサビ状を有している。すなわち、ベース体42は、上端部421から上端傾斜部423に向かうに従って、また、下端部422から下端傾斜部424に向かうに従って板厚が薄くなるように形成されている。
前述したように、ガイド溝(4621,4631)と取り付け溝(4651,4661)の溝幅は、開口部461側から背面464側に向かうに従って次第に狭くなるように形成されている。このような形成は、ベース体42の有するクサビ形状に合わせるためである。
【0041】
これにより、ベース体42の縁端部をガイド溝と取り付け溝に嵌め込むにあたって、開口部461側では板厚の薄い後端部426が最初に嵌ることになるため、リールモジュール40の収納ラック46への挿入が容易になるとともに、ベース体42はこの溝幅に合わせた断面クサビ状に形成されていることから、最終的な取り付け位置(下側取り付け溝4651、上側取り付け溝4661)では、ほぼ隙間の生じないベース体42とガイド溝及び取り付け溝との嵌め合いが実現される。
【0042】
すなわち、取り付け位置(下側取り付け溝4651、上側取り付け溝4661)に達したベース体42は、上端部421が上面側ガイド溝4631に挟持されるとともに、下端部が底面側ガイド溝4621に挟持される。さらに、上端傾斜部423が上側取り付け溝4661に挟持されるとともに、下端傾斜部424が下側取り付け溝4651に挟持されることになり、前端部425及び後端部426を除いたベース体42のすべての縁端部がガイド溝(4621,4631)及び取り付け溝(4651,4661)に挟持されることになる。
【0043】
このような最終的な取り付け位置での嵌め合いに加えて、さらに、ベース体42が取り付け位置に到達したときに初めて作用する圧入構造が設けられている。
この圧入構造は、ベース体42の板厚を局所的に厚くするための凸部を縁端部に形成し、この凸部の部分をガイド溝及び取り付け溝に圧入させて強固に挟持させるように構成したものである。
【0044】
具体的には、ベース体42は、開口部461(前端部425)側に、開口側上凸部4212(a,b)と、開口側下凸部4222(a,b)とを有し、背面464(後端部426)側に、背面側上凸部4231(a,b)と、背面側下凸部4241(a,b)とを有する。
各凸部は、左右(a,b)両面に形成され、それぞれの形成位置で、ベース体42の板厚を局所的に厚くする機能を有している。
【0045】
詳細には、開口側上凸部4212と開口側下凸部4222では、それぞれの左右凸部(a,b)の頂面間の距離は、ガイド溝(4621,4631)の溝幅より大きな値(例えば、+0.5mm)となっており、背面側上凸部4231と背面側下凸部4241では、それぞれの左右凸部(a,b)の頂面間の距離は、取り付け溝(4651,4661)の溝幅より大きな値(例えば、+0.5mm)となっている。
【0046】
そして、これらの凸部は、開口部461側からの押し込み操作により、ベース体42が取り付け位置に到達したときに初めてその効果を発揮する。
具体的には、背面側上凸部4231と背面側下凸部4241は、上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621にガイドされることなく、すなわち、これらに干渉することなく、上側取り付け溝4661と下側取り付け溝4651に到達することができる。
また、開口側上凸部4212と開口側下凸部4222は、開口部461側に形成されていることから、ベース体42が取り付け位置に到達したときに初めて、上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621との係りが生じるようになっている。
【0047】
このような形状の大小関係及び配置関係から、ベース体42が取り付け位置に達する手前で、ベース体42を背面464側に押し込む力をさらに加えることで、背面側上凸部4231と背面側下凸部4241が、上側取り付け溝4661と下側取り付け溝4651に圧入されて挟持されるとともに、開口側上凸部4212と開口側下凸部4222が、上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621に圧入されて挟持されることになる。
【0048】
図11((b)の要部拡大図参照)は、開口側上凸部4212(a,b)が上面側ガイド溝4631に圧入されて挟持された様子を示したもので、特に、凸部が溝に圧入され易いように、開口側上凸部4212(a,b)は、その後端部426側と上端部421(側面)とが滑らかに繋がるテーパー構造を有していることが分かる(その他の凸部も同形状)。
【0049】
このようなベース体42のガイド溝及び取り付け溝への圧入により、取り付け位置に至ったリールモジュール40は、開口部461側に引き出し(脱抜)可能としながら揺動不能に収納ラック46に仮固定されることになる。特に、このような圧入構造を、上端部421側と下端部422側に加え、開口部461側と背面464側の合計四箇所となる四隅に設けたことから、ベース体42は収納ラック46にガタツキなく挟持されることになる。これにより、リールモジュール40と収納ラック46とのガタツキがなくなり、リール41の回転に伴う異音(振動)の発生を抑制することができる。
【0050】
さらに、ベース体42には、収納ラック46の上面463にネジ固定される上端固定部4211と、底面462にネジ固定される下端固定部4221とが形成されている。
上端固定部4211と下端固定部4221には、それぞれネジ孔4211a,4221aが形成され、これらのネジ孔を貫通したネジ1を上面側ネジ固定部4632と、底面側ネジ固定部4622に螺入させることで、ベース体42を収納ラック46に螺着することができる。
これにより、圧入構造によって仮固定されたリールモジュール40が、引き出し(脱抜)不能に収納ラック46に本固定されることになる。
【0051】
[リールモジュールの取り付け方法]
以上のように構成されたベース体42と収納ラック46により、リールモジュール40は、収納ラック46に以下のように取り付けられる。
まず、リールモジュール40を、ベース体42の後端部426側が先頭となるように、収納ラック46の開口部461から挿入する。
挿入あたり、ベース体42を直立させるとともに、ベース体42の上端部421と下端部422とがそれぞれ上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621に嵌るように挿入する。このときには、ベース体42のクサビ形状がガイド溝への挿入を助けるように作用するので、組み立て作業が容易になる。
【0052】
そして、そのままリールモジュール40を収納ラック46内に押し込む。実際の押し込み操作は、ベース体42の前端部425を指で軽く押すことにより行うことができる。
この押し込み操作では、ベース体42の上端部421と下端部422がそれぞれ上面側ガイド溝4631と底面側ガイド溝4621にガイドされているので、ベース体42が左右に倒れ込むことなく、リールモジュール40をその取り付け位置まで容易に到達させることができるので、作業効率の向上が図られる。
また、ベース体42と収納ラック46はともに合成樹脂製(例えば、ABS樹脂など)の成形品であることから、接触面での摺動性に優れているので円滑な挿入が実現されるとともに、金属製(板金)に比べて抜き工程や、曲げ工程などの製造工程を削除できることから、生産効率が良く、製造コストを削減することができる。また、金属製よりも重量を軽くすることができるので組み立て時の作業効率が向上する。
【0053】
ところが、取り付け位置に達する直前で、ベース体42に形成した凸部(4212,4222,4231,4241)が、取り付け位置へのリールモジュール40の到達を妨げるように作用する。
そこで、さらに、ベース体42の前端部425を親指等で押し、リールモジュール40を収納ラック46内に押し込む。
これにより、ベース体42の凸部(4212,4222,4231,4241)が、ガイド溝及び取り付け溝に圧入され、上端部421が上面側ガイド溝4631に、下端部422が底面側ガイド溝4621に、さらに、上端傾斜部423が上側取り付け溝4661に、下端傾斜部424が下側取り付け溝4651に強固に挟持されることとなり、前端部425及び後端部426を除いたベース体42のすべての縁端部がガイド溝及び取り付け溝にガタツキなく挟持され、リールモジュール40は収納ラック46に揺動不能に仮固定されることになる。
【0054】
次いで、ネジ1をネジ孔(4211a,4221a)に貫通させるとともにネジ固定部(4632,4622)に螺入させることで、ベース体42が収納ラック46にネジ固定され、これにより、リールモジュール40は収納ラック46に本固定されることになる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、リールユニット4の組み立て時の作業効率を向上させながら、リールモジュール40と収納ラック46とのガタツキをなくすことができるので、リール41の回転に伴う異音(振動)の発生を抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、ガイド溝(4621,4631)の始まりを開口部461からとしたが、開口部461から取り付け溝(4651,4661)に至るまでの間の何れの位置から始まるように形成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、凸部(4212,4222,4231,4241)を、開口部側と背面側の両方に設けたが、背面側のみに設けることもできる。また、凸部を、左右両側に設けたが、片側だけでもよい。
また、本実施形態では、ベース体42に凸部を形成して、これをガイド溝及び取り付け溝に圧入するように構成したが、ガイド溝及び取り付け溝に凸部を形成してもよい。
なお、ベース体42、ガイド溝及び取り付け溝の何れにも凸部を設けない構成とすることもできる。これにより、ベース体42と、ガイド溝及び取り付け溝との間に僅かな隙間が生じるものの、振動や異音は従来に比べて格段に低減できる。
【0058】
また、凸部を設けずに、クサビ状に形成されたベース体42と、ガイド溝及び取り付け溝との嵌め合いをさらに強固な嵌め合いとすることにより、本発明に係る仮固定手段とすることもできる。この仮固定手段は、例えば、ベース体42の板厚を、ガイド溝及び取り付け溝の溝幅より僅かに厚くすることにより、ベース体42全体がガイド溝及び取り付け溝に圧入されるように構成することで実現できる。この場合、ベース体42の板厚を、全体的に厚くすることもできるが、前端部425側のみ厚くしてもクサビ効果が発揮される。
【0059】
また、本実施形態では、収納ラック46に溝を形成し、これにベース体42の縁端部を嵌め込む構成としたが、ベース体42の縁端部(上端部、下端部、傾斜部)周縁に一条の溝(凹部)を形成するとともに、収納ラック46に開口部から背面まで延設された一条のリブ(凸部)を形成し、これらの凹凸嵌合により、ガイド手段とすることもできる。
また、この場合には、ベース体42の溝(凹部)が、収納ラック46のリブ(凸部)を挟持することになる。さらに、リブ(凸部)の一部又は溝(凹部)の一部を局所的に厚肉形成して、一方を他方に圧入させる圧入構造とすることもできる。
【0060】
また、本実施形態では、多様な製品形状の実現可能性や優れた摺動性を追求するためにベース体42と収納ラック46をともに合成樹脂製としたが、一方又は双方を金属製(鋼など)とすることもできる。
また、各リールモジュール40において、本実施形態では、ベース体42の左側にリール41を配置したが、ベース体42の右側にリール41を配置することもできる。
また、本実施形態では、スロットマシンを例に挙げて説明したが、リールユニット(リールモジュール)を備えるパチンコ機やその他の遊技機にも適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ベース体を介してリールモジュールを収納ラックに取り付けるリールユニットを備える遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 スタートレバー
4 リールユニット
40(40a,40b,40c) リールモジュール
41(41a,41b,41c) リール
411 帯状シート
412 リングフレーム
413 ホイールフレーム
42 ベース体
421 上端部(被ガイド部)
4212 開口側上凸部(圧入構造)
422 下端部(被ガイド部)
4222 開口側下凸部(圧入構造)
423 上端傾斜部
4231 背面側上凸部(圧入構造)
424 下端傾斜部
4241 背面側下凸部(圧入構造)
43 モータ
44 光センサ
45 照明ユニット
451 基板ホルダー
452 LED基板
46 収納ラック
4621 底面側ガイド溝(ガイド部,圧入構造)
4631 上面側ガイド溝(ガイド部,圧入構造)
4651 下側取り付け溝(圧入構造)
4661 上側取り付け溝(圧入構造)
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 表示器
9 スピーカ
10 制御部
20 演出制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に図柄の表された複数のリールを収納するリールユニットを備える遊技機であって、
前記リールユニットは、
前記リール、前記リールを回転駆動させるモータ、及びこれらを支持するベース体を少なくとも備えるリールモジュールを複数有するとともに、
前記リールモジュールを挿入可能に開口された開口部を有し、前記複数のリールモジュールを水平方向に積層させて収納可能な収納ラックと、
前記開口部から挿入された前記リールモジュールをその取り付け位置までガイドするガイド手段と、
前記取り付け位置に至った前記リールモジュールを脱抜可能としながら前記収納ラックに仮固定する仮固定手段と、
前記仮固定された前記リールモジュールを脱抜不能に前記収納ラックに固定する本固定手段と、を備える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ガイド手段は、
前記収納ラックに形成されたガイド部と、前記ベース体に形成された被ガイド部とからなり、
前記ガイド部と前記被ガイド部との係合によって、前記開口部からの押し込み操作により、前記ベース体を直立させた状態のまま前記取り付け位置まで前記リールモジュールがガイドされる
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記仮固定手段は、
前記ガイド手段によりガイドされながらの前記取り付け位置の手前からの押し込み操作によって、前記ベース体又は前記収納ラックのいずれか一方が他方を揺動不能に挟持する圧入構造からなる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記収納ラック内の底面及び上面に形成され、開口部側から背面側まで延設されたガイド溝からなり、
前記被ガイド部は、前記ガイド溝に嵌る前記ベース体の上端部及び下端部からなり、
前記圧入構造は、
前記取り付け位置において前記上端部及び下端部が前記ガイド溝に圧入されて挟持される構成からなるとともに、前記底面及び前記上面ともに前記開口部側と前記背面側にそれぞれ設けられた
ことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記ベース体及び前記収納ラックを所定の合成樹脂で成形したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−22046(P2013−22046A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156368(P2011−156368)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【特許番号】特許第4928003号(P4928003)
【特許公報発行日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】