説明

遊技機

【課題】ドロワコネクタでスピーカと音声制御部とを接続する遊技機において、コネクタの分離によって過電流が発生した場合に音声制御部の損傷を防止することができる遊技機を提供する。
【解決手段】外枠に設けられたスピーカ10c、10dと、中枠に設けられ、スピーカ10c、10dに音声信号を出力する音声制御部300と、中枠に設けられ音声制御部300に電気的に接続された中枠側コネクタ301aと外枠に設けられスピーカ10c、10dに電気的に接続された外枠側コネクタ301bとを有し、中枠が外枠に対して開閉することで中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ301bとが電気的に分離および接続するドロワコネクタ301と、音声制御部300と中枠側コネクタ301aとを接続する配線に設けられた保護回路302、303とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を払い出すための払出装置を備えるパチンコ機やアレンジボール機な
どの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技の進行に伴ってスピーカから効果音を出力することが行われている。近
年、音声品質の向上や音量の増大のために、遊技機上部に加えて遊技機下部にもスピーカ
が設けられるようになっており、遊技機下部のスピーカは外枠の幕板に設けることが好適
である。音声制御部が設けられた中枠は外枠に対して開閉可能となっているため、比較的
長めのワイヤーハーネスを用いて音声制御部とスピーカとを接続し、さらに音声制御部側
とスピーカ側のワイヤーハーネス間にコネクタを介在させた遊技機が提案されている(特
許文献1参照)。このような構成により、中枠が外枠に対してワイヤーハーネスの長さを
超えて開放した場合には、コネクタが外れることでワイヤーハーネスの断線を避けること
ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構成では、中枠を閉じる際に中枠と外枠との間にワイヤーハー
ネスを挟み込む可能性があり、またコネクタを外した場合にはコネクタを再度接続する手
間が必要となる。このため、音声制御部とスピーカとの接続にドロワコネクタを用いるこ
とで、ワイヤーハーネスを排除するとともに、中枠の開閉に伴ってコネクタの分離と接続
を行うようにすることが考えられる。
【0005】
ところで、遊技中に球詰まり等の不具合が発生した場合には、電源をオンにした状態で
中枠を開放して不具合を解消し、その後中枠を閉じて遊技を続行するといったことがなさ
れている。このため、ドロワコネクタを採用した構成において、スピーカから大音量の出
力がなされているタイミングで中枠を開放した場合には、過電流となって音声制御部側に
逆流し、音声制御部等の電子部品が損傷するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は上記点に鑑み、ドロワコネクタでスピーカ側と音声制御部側とを接続
する遊技機において、コネクタの電気的分離によって過電圧が発生した場合に音声制御部
の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機では、
スピーカと、
前記スピーカに音声信号を出力する音声制御部と、
前記音声制御部に電気的に接続された第1コネクタと、前記スピーカに電気的に接続さ
れた第2コネクタとを含み、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが電気的に分離及び
接続可能とされるドロワコネクタと、
前記音声制御部と前記第1コネクタとの間に設けられた保護回路と、を備え、
前記保護回路は、遊技の進行に伴って前記音声制御部から出力される前記音声信号の周
波数帯において、前記音声信号の周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなる構成と
され、かつ、前記スピーカのインピーダンスより前記保護回路のインピーダンスの方が高
くなっていることを特徴としている。
【0008】
このように保護回路を設けることで、スピーカから大音量の音声出力がなされている状
態で第1コネクタと第2コネクタとの電気的接点が分離した場合であっても、第2コネク
タの接点で発生した逆起電圧による電流が音声制御部に流れることを防止でき、音声制御
部を保護することできる。保護回路は、本発明の遊技機で使用される音声信号の周波数帯
において、音声信号の周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなっており、かつ、本
発明の遊技機で使用される音声信号の周波数帯において、スピーカのインピーダンスの方
が保護回路のインピーダンスより小さくなっているので、中枠側コネクタと外枠側コネク
タとが接続された通常時(コネクタ接続状態)には、設計通りの正常な音声信号が出力さ
れれば、すなわち音声信号に係る音声制御部からの電流は、主に保護回路ではなくスピー
カ側に流れることになる。これにより、保護回路を設けた構成においても、正常な音声信
号の通常時における音声出力ロスを軽減することができ、高品質な音声出力を維持できる

【0009】
また、上記目的を達成するため、他の遊技機では、
島設備に固定される外枠と、
前記外枠に対して開閉可能に設けられた中枠と、
前記外枠に設けられたスピーカと、
前記中枠に設けられ、前記スピーカに音声信号を出力する音声制御部と、
前記中枠に設けられ前記音声制御部に電気的に接続された中枠側コネクタと前記外枠に
設けられ前記スピーカに電気的に接続された外枠側コネクタとを有し、前記中枠が前記外
枠に対して開閉することで前記中枠側コネクタと前記外枠側コネクタとが電気的に分離お
よび接続するドロワコネクタと、
前記音声制御部と前記中枠側コネクタとを接続する配線に設けられた保護回路と、を備
え、
前記保護回路は、遊技の進行に伴って前記音声制御部から出力される前記音声信号の周
波数帯において、前記音声信号の周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなる構成と
され、かつ、前記スピーカのインピーダンスより前記保護回路のインピーダンスの方が高
くなっていることを特徴とすることができる。
【0010】
このように保護回路を設けることで、スピーカから大音量の音声出力がなされている状
態で中枠が開放され中枠側コネクタと外枠側コネクタが分離した場合であっても、中枠側
コネクタの接点で発生した逆起電圧による電流が音声制御部に流れることを防止でき、音
声制御部を保護することできる。保護回路は、本発明の遊技機で使用される音声信号の周
波数帯において、音声信号の周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなっており、か
つ、本発明の遊技機で使用される音声信号の周波数帯において、スピーカのインピーダン
スの方が保護回路のインピーダンスより小さくなっているので、中枠側コネクタと外枠側
コネクタとが接続された通常時(コネクタ接続状態)には、設計通りの正常な音声信号が
出力されれば、すなわち音声信号に係る音声制御部からの電流は、主に保護回路ではなく
スピーカ側に流れることになる。これにより、保護回路を設けた構成においても、正常な
音声信号の通常時における音声出力ロスを軽減することができ、高品質な音声出力を維持
できる。
また、コネクタ接続状態において、正常な音声信号の周波数帯を超える高周波ノイズ(
単に「ノイズ」ともいう)が発生した場合には、当該高周波ノイズに係る電流は、インピ
ーダンスの高い保護回路側に吸収される(流れる)割合が増加し、これにより、ノイズを
除去することができる。すなわち、正常な音声信号の出力ロスを極力軽減するとともに、
高周波ノイズが発生した場合には、当該ノイズを極力除去することができる。
【0011】
また、周波数が高いほど、保護回路のインピーダンスが小さくなる構成とすることで、
逆起電圧等の過電圧(高周波数で発生し易い)が発生した場合に、保護回路のインピーダ
ンスが音声制御部のインピーダンスより高くなることを防ぐことができる。そして、中枠
を開放する際に(コネクタ開放状態)、中枠側コネクタの接点等で逆起電圧が発生した場
合には、当該逆起電圧により発生した電流を確実に保護回路側に流れるようにすることが
できる。
また、他の遊技機では、前記保護回路は、抵抗とコンデンサとを備えて構成され、
前記中枠側コネクタと前記外枠側コネクタとが電気的に接続した状態で前記スピーカに対
して並列接続されていることを特徴とすることができる。
【0012】
このような構成の保護回路によれば、中枠側コネクタの接点で逆起電圧が発生した場合
であっても、逆起電圧を熱エネルギとして消費し、急激な電圧上昇を抑えることができる

【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、ドロワコネクタでスピーカ側と音声制御部側とを接続する遊技
機において、コネクタの電気的分離によって過電圧が発生した場合に音声制御部の損傷を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施例に係る遊技機の正面図である。
【図2】電子制御装置の概略装置を示すブロック図である。
【図3】アンプ回路とスピーカとの関係を示す回路図である。
【図4】コネクタの斜視図である。
【図5】中枠を外枠に対して開放した状態を示す斜視図である。
【図6】下部スピーカと保護回路の周波数とインピーダンスとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をパチンコ機に適用した実施例について図面を用いて説明する。図1は、
本実施例の遊技機1(パチンコ機)の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面
部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を
備えている。なお、遊技盤20には、遊技球が通過可能なゲートや、遊技球が入球可能な
入球口(始動口、大入賞口、一般入賞口など)や、特定の入球口への遊技球の入球を契機
として図柄変動演出表示を行う図柄表示装置や、多数の障害釘などが配置されているが、
図1では、遊技盤20の盤面構成の詳細について図示を省略している。また、中枠3は前
面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
【0016】
本体枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものであり、遊技機1の外枠を構
成している。外枠2は、複数の遊技機1が並んで配置される島設備に固定される。中枠3
はプラスチック製であり、本体枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対し
て開閉可能に左端で軸支されている。中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1
/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠
4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられ
ている。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に表面側に着脱可能に取
り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。下板
部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)
、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
【0017】
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。
前面枠4はプラスチック製であり、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にする
ために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応
したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前
面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている
。これらのランプ類は、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは
点滅する。
【0018】
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。
上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと
、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5
aの上面には、演出ボタン5dや貸球ボタン5e等が設けられている。
【0019】
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内
部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端
には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略
)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触
れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面
には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置さ
れている。
【0020】
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施
錠するためのものである。
【0021】
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜
10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部
スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとか
らなる。上部スピーカ10a、10bは中枠3に固定された前面枠4に配置され、下部ス
ピーカ10c、10dは外枠2の前面側に固定された幕板に設けられている。このため、
中枠3を外枠2に対して開放する場合には、上部スピーカ10a、10bは、中枠3とと
もに移動するのに対して、下部スピーカ10c、10bは移動しない。さらに、遊技機1
の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。なお、
本発明の「外枠」は、外枠2本体およびこれに固定された幕板も含んで構成されている。
【0022】
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図2に基づいて説明する。図2は
、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示す電子制御装置は、中枠3
に設けられた裏機構盤(図示略)に配置されている。図示を省略するが、裏機構盤には遊
技球を貯留する賞球タンクや賞球タンクに貯留された遊技球を遊技球払出装置に供給する
ためのタンクレールが設けられている。なお、本発明の「中枠」は、中枠3本体のみなら
ず、中枠3を外枠2に対して開閉することで中枠3とともに移動する裏機構盤も含んで構
成されている。
【0023】
図2に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続さ
れた副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御
部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。
主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺
制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板28
0aをそれぞれ備えている。
【0024】
主制御部200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御部2
30、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部2
30、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0025】
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵
RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備
えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技
機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。なお、本実施例の主制御基板200
aのCPU200bの制御周期は2msに設定されている。
【0026】
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御基板200aのCPU2
00bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射
制御部250、CRユニット13等が接続されている。
【0027】
遊技盤20に設けられた種々の入球口(始動口、大入賞口など)に遊技球が入球すると
、主制御部200から払出制御部230に対して賞球払出を指示する賞球払出要求信号(
賞球払出コマンド)が出力され、これに応じて払出制御部230の制御下で賞球の払い出
しが行われる。また、遊技者によって貸球ボタン5eが操作されると、その操作に基づき
CRユニット13から払出制御部230に対して貸球払出を指示する貸球払出要求信号が
出力され、これに応じて払出制御部230の制御下で貸球の払い出しが行われる。
【0028】
発射制御部250は、遊技盤上への遊技球の発射を制御する発射制御手段を構成してお
り、発射制御基板250aは、発射モータ(図示略)、タッチスイッチ8a、発射停止ス
イッチ8b等が接続されている。
【0029】
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段
を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM
、音源IC(サウンドジェネレータ)、音源ROM、入出力ポート等を有する演算回路構
成要素が設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ
制御部260のCPU260bは、主制御部200から送信される制御コマンドに基づい
て音源ICを制御するように構成されており、音源ICは音源ROMに記憶されている音
声データから特定の音声データを読み出して再生するように構成されている。音源ICに
より再生される音声データ(音声信号)はスピーカ10a〜10dから出力される。サブ
制御部260は、スピーカ10a〜10dから出力される効果音の再生に加え、各種ラン
プ類による装飾表示、演出表示装置25による図柄表示等を用いた演出制御を司るように
構成されている。
【0030】
サブ制御部260には、演出表示制御部280が接続されている。演出表示制御基板2
80aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプ
レイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにお
いてサブ制御基板260aに接続されている。演出表示制御部280には演出表示装置2
5が接続されている。演出表示制御部280は、CPU280bがROMに格納された制
御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして演出表示装置25の表示制御を行うよ
うに構成されている。
【0031】
サブ制御基板260aには、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が
接続されている。各種LED・ランプ262は、遊技効果を高めるためのものであり、こ
れらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている
。また、サブ制御部260には、後述のアンプ回路300が設けられたアンプ基板263
が接続されている。アンプ基板263には、スピーカ10a〜10dが接続されており、
サブ制御部260からの音声信号を増幅してスピーカ10a〜10dに出力するように構
成されている。スピーカ10a〜10dからは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音
声等が出力される。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出
ボタン5dが接続されている。なお、サブ制御部260およびアンプ回路300が本発明
の「音声制御部」に相当している。
【0032】
図3は、アンプ基板263に設けられたアンプ回路300とスピーカ10a〜10dと
の関係を示す回路図である。アンプ回路300と上部スピーカ10a、10bは中枠3側
に設けられており、下部スピーカ10c、10dは外枠2側に設けられている。アンプ回
路300と上部スピーカ10a、10bは、配線によって接続されており、前面枠4や中
枠3を開放した場合にも、電気的に接続状態が保持される構成となっている。一方、アン
プ回路300と下部スピーカ10c、10dは、コネクタ301を介して配線によって接
続されており、中枠4を外枠2に対して開放した場合には、当該コネクタ301が分離す
ることによって、アンプ回路300と下部スピーカ10c、10dとの電気的接続が解除
される構成となっている。コネクタ301は、中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ
301bから構成されている。アンプ回路300側の配線は中枠側コネクタ301aに接
続され、下部スピーカ10c、10d側の配線は外枠側コネクタ301bに接続されてい
る。
【0033】
図4は、コネクタ301の斜視図であり、図5は、中枠3を外枠2に対して開放した状
態を示す遊技機1を背面側から見た斜視図である。本実施例では、コネクタ301として
ドロワコネクタを用いている。図4に示すように、本実施例では、中枠側コネクタ301
がオス側コネクタとして構成され、外枠側コネクタ301bがメス側コネクタとして構成
されている。
【0034】
図5に示すように、中枠側コネクタ301a(オス側コネクタ)は中枠3側に設けられ
、外枠側コネクタ301b(メス側コネクタ)は外枠2側に設けられている。そして、中
枠3を外枠2に対して開放することで、中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ301
bが分離し(アンプ回路300と下部スピーカ10c、10dとの電気的接続が解除(切
断)される)、中枠3を外枠2に対して閉鎖することで、中枠側コネクタ301aと外枠
側コネクタ301bが接続するようになっている(アンプ回路300と下部スピーカ10
c、10dとが電気的に接続される)。
【0035】
遊技機1では、遊技中に球詰まり等の不具合が発生した場合には、電源をオンにした状
態で中枠3を開放してタンクレール等のメンテナンスを行い、不具合が解消された後、中
枠3を閉じて遊技を続行するといったことがなされている。本実施例のようにドロワコネ
クタ301を用いる場合には、中枠3を開放することで中枠側コネクタ301aと外枠側
コネクタ301bが分離するため、電源オンの状態で中枠3が開放された場合には、中枠
側コネクタ301aの接点で逆起電力(逆起電圧)が発生する場合がある。このため、下
部スピーカ10c、10dから大音量の出力がなされている状態で中枠3が開放され中枠
側コネクタ301aと外枠側コネクタ301bが分離した場合には、アンプ回路300か
らの出力がスピーカ側への行き場を失い、過電流となってアンプ回路300に逆流し、ア
ンプ回路300やサブ制御部260等の電子部品が損傷するおそれがある。
【0036】
このため、本実施例では、図3に示すように、アンプ回路300と中枠側コネクタ30
1aとの間に保護回路302、303を設けている。保護回路302、303は、抵抗と
コンデンサとが直列接続されたRC回路であり、各保護回路302、303は、各スピー
カ10c、10dに並列接続されている。これにより、遊技機の動作中(特に音声出力中
)に、中枠3が開放され、中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ301bが分離した
場合に、中枠側コネクタ301aの接点で逆起電圧が発生した場合には、当該逆起電圧に
より発生した電流は、保護回路302、303に流れる。保護回路302、303では、
逆起電圧を熱エネルギとして消費し、急激な電圧上昇を抑えることができる。これにより
、下部スピーカ10c、10dから大音量の出力がなされている状態で中枠3が開放され
中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ301bが分離した場合であっても、中枠側コ
ネクタ301aの接点で発生した逆起電圧による電流がアンプ回路300に流れることを
防止でき、アンプ回路300やサブ制御部260を保護することできる。
【0037】
図6は、下部スピーカ10c、10dと保護回路302、303の周波数とインピーダ
ンスとの関係を示している。図6に示すように、下部スピーカ10c、10dは、音声信
号の周波数が高くなるほどインピーダンスが高くなる特性を有している。一方、保護回路
302、303は、音声信号の周波数が高いほどインピーダンスが低くなる特性を有して
いる。遊技の進行に伴ってアンプ回路300から通常出力される音声信号の周波数帯(1
00Hz〜10000Hz)では、下部スピーカ10c、10dのインピーダンスの方が
保護回路302、303のインピーダンスより小さくなっている。このため、本実施例の
遊技機で使用される音声信号の周波数帯(100Hz〜10000Hz)では(この周波
数帯の外の帯域の音は通常人間には聞き取れない)、アンプ回路300からの電流は、主
に、保護回路302、303ではなく下部スピーカ10c、10d側に流れることになる
。これにより、設計どおりの音声信号が出力される場合には、当該音声信号の音声出力ロ
スを極力軽減することができ、高品質な音声出力を維持できる。尚、このとき保護回路3
02、303側にも音声信号に係る電流が流れるが、保護回路側のインピーダンスを下部
スピーカ側のインピーダンスよりも十分に高くすることで、保護回路側に流れる電流量を
極力少なくすることができる。
【0038】
また、保護回路302、303のインピーダンスよりアンプ回路300のインピーダン
スが低くなる場合には、中枠4開放時に中枠側コネクタ301aの接点で発生した逆起電
圧による電流がアンプ回路300に流れるおそれがある。これに対し、逆起電圧は、高周
波で発生し易いものであるところ、本実施例では、保護回路302、303は音声信号の
周波数が高いほどインピーダンスが低くなる特性を有しているので、逆起電圧発生時の保
護回路のインピーダンスを、アンプ回路のインピーダンスよりも十分に低くすることがで
きる。このため、中枠3が開放され中枠側コネクタ301aと外枠側コネクタ301bが
分離した場合に、中枠側コネクタ301aの接点で発生した逆起電圧による電流が保護回
路302、303に流れる。これにより、中枠側コネクタ301aの接点で発生した逆起
電圧による電流がアンプ回路300に流れることを防止でき、アンプ回路300やサブ制
御部260を保護することできる。
【0039】
また、保護回路302、303は音声信号の周波数が高いほどインピーダンスが低くな
り、高周波数帯(およそ40000Hz以上)では下部スピーカ10c、10dのインピ
ーダンスより低くなっている。このため、高周波数帯では、主に保護回路302、303
に電流が流れることになる。これにより、高周波音(ノイズ)が保護回路302、303
で吸収されることになり、保護回路302、303によって高周波ノイズを除去できると
いう効果が得られる。
【0040】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者が
それらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく
改良を適宜付加することができる。
【0041】
例えば、上記実施例では、保護回路302、303として抵抗とコンデンサからなるR
C回路を用いているが、この構成に限定されるものではなく、保護回路は音声信号の周波
数が高いほどインピーダンスが低くなる特性を有し、遊技機1で通常使用する音声の周波
数帯(100Hz〜10000Hz)で下部スピーカ10c、10dのインピーダンスの
方が保護回路302、303のインピーダンスより小さくなっていればよい。また、本実
施例では、当該周波数帯(100Hz〜10000Hz)を超える周波数帯(10000
Hz以上)では、保護回路302、303のインピーダンスがアンプ回路300及びサブ
制御部260のインピーダンスよりも低くなっている。
【符号の説明】
【0042】
1…遊技機、2…外枠、3…中枠、10a、10b…上部スピーカ、10c、10d…
下部スピーカ、260…サブ制御部、300…アンプ回路、301…コネクタ、302、
303…保護回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカと、
前記スピーカに音声信号を出力する音声制御部と、
前記音声制御部に電気的に接続された第1コネクタと、前記スピーカに電気的に接続さ
れた第2コネクタとを含み、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが電気的に分離及び
接続可能とされるドロワコネクタと、
前記音声制御部と前記第1コネクタとの間に設けられた保護回路と、を備え、
前記保護回路は、遊技の進行に伴って前記音声制御部から出力される前記音声信号の周
波数帯において、前記音声信号の周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなる構成と
され、かつ、前記スピーカのインピーダンスより前記保護回路のインピーダンスの方が高
くなっていることを特徴とする遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−66757(P2013−66757A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272303(P2012−272303)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2011−1355(P2011−1355)の分割
【原出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】