説明

遊星歯車式動力伝達装置

【課題】キャリアプレートによるスラスト荷重の支持剛性を安定して保ちながら、多板摩擦締結要素の摩擦プレートの隙間寸法を管理する際にコストや品質管理工数の軽減を図ること。
【解決手段】シングルピニオン式遊星歯車30のキャリアプレート36に、前進クラッチ31の締結荷重を受ける受圧部が形成された遊星歯車式動力伝達装置において、前進クラッチ31の摩擦プレートを、交互に配置される複数のドライブプレート31a,31a,31a,31aと複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bにより構成し、複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、1枚のドリブンプレートを、キャリアプレート36の受圧部と該受圧部に隣接するドライブプレート31aとの隙間寸法Lが所望の隙間寸法となるように選択される隙間調整用ドリブンプレート31Bに設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの動力伝達系に遊星歯車と多板摩擦要素が配置された遊星歯車式動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源からの動力伝達系に遊星歯車と多板摩擦クラッチが配置され、遊星歯車のピニオンを支持するキャリアを、多板摩擦クラッチのクラッチドラムに向かって延長し、その延長端部をスナップリングの取り付け位置に結合させたキャリアプレートとする。そして、キャリアプレートに、多板摩擦クラッチの締結荷重を受ける受圧部が形成された遊星歯車式動力伝達装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−63014号公報
【特許文献2】特開平9−89015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊星歯車式動力伝達装置は、多板摩擦クラッチの締結荷重を受けるリテーニングプレートの役割の一つとして、キャリアプレートに対し隙間調整用プレートの役割を持たせている。このため、板厚が異なる複数枚のキャリアプレートを用意し、複数枚のキャリアプレートの中から所望の隙間寸法となる板厚を持つ1枚のキャリアプレートを選択して組み付けることで、キャリアプレート(突き当て位置)とキャリアプレートに隣接するドライブプレート(クラッチ解放位置)の隙間寸法を管理している。したがって、大型部品による板厚の異なるキャリアプレートを複数枚用意し、この中から1枚のプレートを選択して組み付ける必要があり、コストや品質管理工数が増大する、という問題があった。
加えて、キャリアプレートが隙間調整用プレートとしての役割を持つ結果、それぞれの装置について板厚が異なるキャリアプレートが選択されることになり、キャリアプレートによるスラスト荷重の支持剛性を一定(安定)に保つことができない。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、キャリアプレートによるスラスト荷重の支持剛性を安定して保ちながら、多板摩擦締結要素の摩擦プレートの隙間寸法を管理する際にコストや品質管理工数の軽減を図ることができる遊星歯車式動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の遊星歯車式動力伝達装置は、駆動源からの動力伝達系に遊星歯車と多板摩擦要素が配置され、前記遊星歯車のピニオンを支持するキャリアを、前記多板摩擦要素の摩擦プレート支持部材に向かって延長し、その延長端部をスナップリングの取り付け位置に結合させたキャリアプレートとし、前記キャリアプレートに、前記多板摩擦要素の締結荷重を受ける受圧部が形成されている。
この遊星歯車式動力伝達装置において、前記多板摩擦要素の摩擦プレートを、交互に配置される複数のドライブプレートと複数のドリブンプレートにより構成する。そして、前記複数のドリブンプレートのうち、1枚のドリブンプレートを、前記キャリアプレートの受圧部と該受圧部に隣接するプレートとの隙間寸法が所望の隙間寸法となるように選択される隙間調整用ドリブンプレートに設定した。
【発明の効果】
【0007】
よって、隙間調整用プレートの役割を、キャリアプレートに代え、複数のドリブンプレートのうち、1枚のプレートに持たせている。このため、板厚が異なる複数枚のドリブンプレートを用意し、複数枚のドリブンプレートの中から所望の隙間寸法となる板厚を持つ1枚のドリブンプレートを選択して組み付けることで、キャリアプレートの受圧部と該受圧部に隣接するプレート(例えば、ドライブプレート)との隙間寸法を管理することになる。
したがって、キャリアプレートに比べ小型部品である板厚の異なるドリブンプレートを複数枚用意し、この中から1枚のプレートを選択して組み付けるだけでよく、コストや品質管理工数が軽減する。さらに、キャリアプレートには、隙間調整用プレートの役割がなく板厚の変更がないため、キャリアプレートによるスラスト荷重の支持剛性が安定して保たれる。
この結果、キャリアプレートによるスラスト荷重の支持剛性を安定して保ちながら、多板摩擦締結要素の摩擦プレートの隙間寸法を管理する際にコストや品質管理工数の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置が適用されたベルト式無段変速機を搭載したエンジン車の駆動系を示す駆動系全体構成図である。
【図2】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置が適用されたベルト式無段変速機の前後進切替機構を示す断面図である。
【図3】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置においてシングルピニオン式遊星歯車と前進クラッチが配置された要部構成を示す拡大断面図である。
【図4】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置のブレーキ/クラッチドラムとリテーニングプレート部の詳細を示す図3のA方向矢視図である。
【図5】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置のブレーキ/クラッチドラムとリテーニングプレート部の詳細を示す図3のB方向矢視図である。
【図6】実施例1の遊星歯車式動力伝達装置において隙間寸法管理を含む前進クラッチの組み付け作用を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の遊星歯車式動力伝達装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の遊星歯車式動力伝達装置が適用されたベルト式無段変速機を搭載したエンジン車の駆動系を示す。以下、図1に基づき、駆動系全体構成を説明する。
【0011】
ベルト式無段変速機を搭載したエンジン車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、ベルト式無段変速機構4と、終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。
【0012】
前記エンジン1は、駆動源として設けられ、ドライバーのアクセル操作による出力トルクの制御以外に、外部からのエンジン制御信号によりエンジン回転数や燃料噴射量が制御可能である。
【0013】
前記トルクコンバータ2は、トルク増大機能を有する流体伝動装置であり、トルク増大機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結可能なロックアップクラッチ20を有する。トルクコンバータ2は、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結されたタービンランナ23と、トルクコンバータ出力軸21に連結されたポンプインペラ24と、ワンウェイクラッチ25を介して設けられたステータ26と、を構成要素とする。
【0014】
前記前後進切替機構3は、エンジン1からベルト式無段変速機構4へ入力される回転駆動力の入力回転方向を、前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える機構である。この前後進切替機構3は、シングルピニオン式遊星歯車30と、前進クラッチ31と、後退ブレーキ32と、を有する。実施例1では、この前後進切替機構3に遊星歯車式動力伝達装置を適用している。
【0015】
前記ベルト式無段変速機構4は、ベルト接触径の変化により変速機入力軸40の入力回転数と変速機出力軸41の出力回転数の比である変速比を無段階に変化させる無段変速機能を有する。このベルト式無段変速機構4は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、ベルト44と、を有する。前記プライマリプーリ42は、固定プーリ42aとスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bは、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧によりスライド動作する。前記セカンダリプーリ43は、固定プーリ43aとスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bは、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧によりスライド動作する。前記ベルト44は、プライマリプーリ42のV字形状をなす一対のシーブ面と、セカンダリプーリ43のV字形状をなす一対のシーブ面に巻き掛けられている。
【0016】
前記終減速機構5は、ベルト式無段変速機構4の変速機出力軸41からの変速機出力回転を減速すると共に差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、変速機出力軸41とアイドラ軸50と左右のドライブ軸51,51に介装され、減速機能を持つ第1ギヤ52と、第2ギヤ53と、第3ギヤ54と、第4ギヤ55と、差動機能を持つディファレンシャルギヤ56を有する。
【0017】
図2は、遊星歯車式動力伝達装置が適用されたベルト式無段変速機の前後進切替機構3を示す。以下、図2に基づき前後進切替機構3の構成を説明する。
【0018】
前記前後進切替機構3は、図2に示すように、シングルピニオン式遊星歯車30(遊星歯車)と、前進クラッチ31(多板摩擦要素)と、後退ブレーキ32と、ブレーキ/クラッチドラム33(摩擦プレート支持部材)と、クラッチハブ34と、変速機ケース35と、キャリアプレート36と、を備えている。
【0019】
前記シングルピニオン式遊星歯車30は、サンギヤ30aと、リングギヤ30bと、サンギヤ30aとリングギヤ30bに噛み合うピニオン30cと、複数のピニオン30cを支持するキャリア30dと、を有する。前記サンギヤ30aは、トルクコンバータ出力軸21に連結され、エンジン1およびトルクコンバータ2を経過した回転駆動力が入力される。前記リングギヤ30bは、プライマリプーリ42の固定プーリ42aに対しリングギヤプレート70を介して連結され、前後進切替機構3を経過した正転方向または逆転方向の回転駆動力をベルト式無段変速機構4のプライマリプーリ42へ出力する。なお、固定プーリ42aは、変速機ケース35に対しボールベアリング71により回転可能に支持されている。
【0020】
前記前進クラッチ31は、前進走行時、ブレーキ/クラッチドラム33とクラッチピストン72の間に形成されるクラッチ圧室73にクラッチ圧を導くことにより、クラッチピストン72が図2の左方向にストロークして締結する湿式多板クラッチである。この前進クラッチ31を締結すると、シングルピニオン式遊星歯車30のサンギヤ30aとキャリア30dを、前進クラッチ31の締結力に応じて連結する。前進クラッチ31は、クラッチハブ34に対し軸方向移動可能にスプライン嵌合されたドライブプレート31a(例えば、4枚)と、ブレーキ/クラッチドラム33に対し軸方向移動可能にスプライン嵌合されたドリブンプレート31b(例えば、4枚)と、を交互に配置することで構成される。なお、クラッチピストン72とスプリング支持プレート75との間には、前進クラッチ31の解放時、クラッチピストン72に対し図2の右方向に付勢力を与えるリターンスプリング76が介装されている。
【0021】
前記後退ブレーキ32は、後退走行時、変速機ケース35とブレーキピストン77の間に形成されるブレーキ圧室78にブレーキ圧を導くことにより、ブレーキピストン77が図2の右方向にストロークして締結する湿式多板ブレーキである。この後退ブレーキ32を締結すると、シングルピニオン式遊星歯車30のキャリア30dを、後退ブレーキ32の締結力に応じて変速機ケース36に固定する。この後退ブレーキ32は、ブレーキ/クラッチドラム33に対し軸方向移動可能にスプライン嵌合されたドライブプレート32a(例えば、5枚)と、変速機ケース35に対し軸方向移動可能にスプライン嵌合されたドリブンプレート32b(例えば、5枚)と、を交互に配置することで構成される。なお、ブレーキピストン77とスプリング支持プレート79との間には、後退ブレーキ32の解放時、ブレーキピストン77に対し図2の左方向に付勢力を与えるリターンスプリング80が介装されている。
【0022】
前記キャリアプレート36は、シングルピニオン式遊星歯車30のピニオン30cを支持するキャリアを、ブレーキ/クラッチドラム33に向かって外径方向に延長し、その延長端部をスナップリング81の取り付け位置にスプライン嵌合させたプレートである。つまり、キャリアプレート36に対し、ピニオン30cを支持するキャリアの役割と、前進クラッチ31の締結荷重を受ける受圧部が形成されたリテーニングプレートの役割と、を兼務させている。
【0023】
図3〜図5は、実施例1の遊星歯車式動力伝達装置においてシングルピニオン式遊星歯車30とスリップ締結される前進クラッチ31が配置された要部構成を示す。以下、図3〜図5に基づき、実施例1の遊星歯車式動力伝達装置の要部構成を詳しく説明する。
【0024】
前記シングルピニオン式遊星歯車30のサンギヤ30aは、図3の左側面とリングギヤプレート70との間に第1スラストベアリング82が介装され、図3の右側面位置にクラッチハブ34が固定される。サンギヤ内周面には、トルクコンバータ出力軸21に結合するスプライン部30eが形成される。
【0025】
前記シングルピニオン式遊星歯車30のリングギヤ30bは、図3の左側面位置にリングギヤプレート70が固定され、このリングギヤプレート70の内周面には、プライマリプーリ42の固定プーリ42aに結合するスプライン部70aが形成される。
【0026】
前記シングルピニオン式遊星歯車30のピニオン30cは、ピニオン軸74に対しニードルベアリング83を介して回転可能に支持され、図3の左側面位置に第1スラストワッシャ84が嵌装され、図3の右側面位置に第2スラストワッシャ85が嵌装される。そして、図3の左側面側では第1スラストワッシャ84を挟んでキャリア30dをピニオン軸74に固定し、図3の右側面側では第2スラストワッシャ85を挟んでキャリアプレート36をピニオン軸74に固定している。
【0027】
前記ブレーキ/クラッチドラム33は、図4および図5に示すように、円筒状ドラムのうち、内面側に前進クラッチ31のドリブンプレート31bと嵌合するスプライン内歯33aを形成し、外面側に後退ブレーキ32のドライブプレート32aと嵌合するスプライン外歯33bを形成している。そして、図4および図5に示すように、スナップリング81を取り付ける内面位置に環状のスナップリング溝33cを形成すると共に、スナップリング81側の円周上4箇所程度に、端面位置から軸方向内側に切り込んだプレート突き当て溝33dを形成している。キャリアプレート36は、全周のスプライン歯のうち、プレート突き当て溝33dに対応する位置のスプライン歯の形成を省略している。すなわち、図5のハッチング領域Cにおいて、キャリアプレート36をプレート突き当て溝33dに突き当てることにより軸方向移動を規制している。このため、キャリアプレート36は、図3に示すように、スナップリング81への当接による軸方向移動規制位置から、プレート突き当て溝33dへの突き当てによる軸方向移動規制位置までの範囲が、軸方向への移動許容範囲として決められている。
【0028】
前記前進クラッチ31は、交互に配置される4枚のドライブプレート31a,31a,31a,31aと4枚のドリブンプレート31B,31b,31b,31bにより構成している。この4枚のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、1枚のドリブンプレートを、隙間調整用ドリブンプレート31Bに設定している。隙間調整用ドリブンプレート31Bとは、板厚が異なる複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の中から、キャリアプレート36の受圧部と、該受圧部に隣接するドライブプレート31aとの隙間寸法が、所望の隙間寸法Lとなるように選択される1枚のプレートをいう。そして、4枚のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、キャリアプレート36に最も近い端部位置のドリブンプレートを、隙間調整用ドリブンプレート31Bとしている。
ここで、隙間調整用ドリブンプレート31Bとして用意した板厚が異なる複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…は、最小板厚を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚よりも厚く設定している。さらに、隙間調整用ドリブンプレート31Bは、素材選択や加工等により、熱を伝達する熱伝導率を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの熱伝導率よりも低く設定している。
【0029】
次に、作用を説明する。
実施例1の遊星歯車式動力伝達装置における作用を、「前後進切り替え作用」、「前進クラッチの組み付け作用」、「前進クラッチの締結作用」に分けて説明する。
【0030】
[前後進切り替え作用]
実施例1の遊星歯車式動力伝達装置が適用された前後進切替機構3にて行われる、前進クラッチ31の締結による前進走行と、後退ブレーキ32の締結による後退走行と、の前後進切り替え作用を説明する。
【0031】
N→Dセレクト操作による前進走行時には、クラッチ圧室73にクラッチ圧を導くことによりクラッチピストン72が、図2の左方向にストロークし、解放されている前進クラッチ31が、クラッチ圧室73へのクラッチ圧の大きさに応じて締結される。
この前進クラッチ31を締結すると、シングルピニオン式遊星歯車30のサンギヤ30aとキャリア30dが、クラッチハブ34→前進クラッチ31→ブレーキ/クラッチドラム33→キャリアプレート36→ピニオン軸74を介し、前進クラッチ31の締結力に応じて連結される。
このため、前進クラッチ31を完全締結状態にすると、シングルピニオン式遊星歯車30の3つの回転メンバ(サンギヤ30a、リングギヤ30b、キャリア30d)が一体となって同一回転する。つまり、プライマリプーリ42へ回転駆動力を伝達するリングギヤ30bへの出力回転が、エンジン1とトルクコンバータ2を介してサンギヤ30aへ入力される入力回転と同一方向で同一回転数による正回転とされる。
【0032】
N→Rセレクト操作による後退走行時には、ブレーキ圧室78にブレーキ圧を導くことによりブレーキピストン77が、図2の右方向にストロークし、解放されている後退ブレーキ32が、ブレーキ圧室78へのブレーキ圧の大きさに応じて締結される。
この後退ブレーキ32を締結すると、シングルピニオン式遊星歯車30のキャリア30dが、ピニオン軸74→キャリアプレート36→ブレーキ/クラッチドラム33→後退ブレーキ32を介し、後退ブレーキ32の締結力に応じて変速機ケース36に固定される。
このため、後退ブレーキ32を完全締結状態にすると、シングルピニオン式遊星歯車30の3つの回転メンバ(サンギヤ30a、リングギヤ30b、キャリア30d)のうち、キャリア30dを固定することで、サンギヤ30aとリングギヤ30bの回転方向を異ならせる。つまり、プライマリプーリ42へ回転駆動力を伝達するリングギヤ30bへの出力回転が、エンジン1とトルクコンバータ2を介してサンギヤ30aへ入力される入力回転と逆方向で異なる回転数による逆回転とされる。
【0033】
[前進クラッチの組み付け作用]
前進走行時に締結される前進クラッチ31は、構成部品のバラツキを原因とし組み付け状態における隙間寸法Lのバラツキを避けることができない。このため、前進クラッチ31を組み付ける際、隙間寸法Lのバラツキを解消しておくことが必要である。以下、これを反映する前進クラッチ31の組み付け作用を、図6に基づいて説明する。
【0034】
前進クラッチ31は、(a)クラッチドラム33とクラッチハブ34の組み付け手順、(b)ドライブプレート31aとドリブンプレート31bの組み付け手順、(c)隙間寸法の調整手順、(d)キャリアプレート36の組み付け手順、により組み付けられる。以下、各手順を説明する。
【0035】
(a) クラッチドラム33とクラッチハブ34の組み付け手順
クラッチドラム33に、クラッチピストン72とスプリング支持プレート75とリターンスプリング76を組み付ける。そして、サンギヤ30aを一体に固定したクラッチハブ34を、クラッチドラム33の内側位置に組み付ける。このクラッチドラム33とクラッチハブ34の組み付けにより、環状のスプライン内歯33aとスプライン外歯34aが対向し、ドライブプレート31aとドリブンプレート31bを組み付け可能な状態とされる。
【0036】
(b) ドライブプレート31aとドリブンプレート31bの組み付け手順
上記のように、クラッチドラム33とクラッチハブ34を組み付けた後、まず、ドリブンプレート31bをスプライン内歯33aに対しスプライン結合させ、クラッチピストン72に接する位置まで差し込む。次に、ドライブプレート31aをスプライン外歯34aに対しスプライン結合させ、既に組み付けているドリブンプレート31bに接する位置まで差し込む。次に、ドリブンプレート31bをスプライン内歯33aに対しスプライン結合させ、既に組み付けているドライブプレート31aに接する位置まで差し込む。
続いて、ドライブプレート31aと、ドリブンプレート31bと、ドライブプレート31aを、同様の組み付け方により、順に組み付ける。そして、隙間調整用ドリブンプレート31Bをスプライン外歯34aに対しスプライン結合させ、既に組み付けているドライブプレート31aに接する位置まで差し込む。
【0037】
(c) 隙間寸法の調整手順
上記のように、3枚のドライブプレート31aと、3枚のドリブンプレート31bと、1枚の隙間調整用ドリブンプレート31Bを組み付けた後、ブレーキ/クラッチドラム33のプレート突き当て溝33dの位置(=キャリアプレート36の突き当て位置)から、隙間調整用ドリブンプレート31Bのプレート面の位置による隙間寸法L’を測定する。
なお、管理する必要がある隙間寸法Lは、図3に示すように、キャリアプレート36の受圧部と、該受圧部に隣接するドライブプレート31aの隙間寸法である。しかし、キャリアプレート36とドライブプレート31aの組み付け前の段階において、隙間寸法測定を容易にするため、キャリアプレート36の突き当て位置から隙間調整用ドリブンプレート31Bのプレート面の位置までの隙間寸法L’により管理するようにしている。
この測定した隙間寸法L’が、予め決められている組み付け時の設計寸法Lsに一致する場合、あるいは、設計寸法Lsの許容範囲内にある場合は、既に組み付けている隙間調整用ドリブンプレート31Bを交換することなく、隙間寸法L’の調整を終了する。
一方、測定した隙間寸法L’が、予め決められている設計寸法Lsの許容範囲から外れている場合は、設計寸法Lsから測定した隙間寸法L’を差し引くことで寸法誤差ΔLを計算する。この寸法誤差ΔLが分かったら、複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の中から設計寸法Lsの許容範囲内になる板厚を持つ1枚のプレートを選択する。そして、既に組み付けている隙間調整用ドリブンプレート31Bを外し、新たに選択した隙間調整用ドリブンプレート31Bを組み付けるというプレート交換作業を行うことで、隙間寸法L’の調整を終了する。
【0038】
(d) キャリアプレート36の組み付け手順
上記のように、隙間寸法L’を設計寸法Lsの許容範囲内とする隙間寸法調整手順を終了すると、まず、最後の1枚となるドライブプレート31aをスプライン外歯34aに対しスプライン結合させ、既に組み付けている隙間調整用ドリブンプレート31Bに接する位置まで差し込む。
次に、キャリアプレート36を有するピニオン組立体を、サンギヤ30aとピニオン30cをギヤ噛み合いさせながら、スプライン内歯33aに対しスプライン結合させる。
次に、キャリアプレート36を有するピニオン組立体が抜けないように、スナップリング81をスナップリング溝33cに嵌め込むことで、キャリアプレート36の組み付けを完了する。なお、リングギヤ30bを有するリングギヤプレート70は、ピニオン30cに対してギヤ噛み合いさせながら組み付けられる。
【0039】
上記のように、実施例1では、4枚のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、1枚のドリブンプレートを、キャリアプレート36の受圧部と、該受圧部に隣接するドライブプレート31aの隙間寸法Lが所望の隙間寸法となるように選択される隙間調整用ドリブンプレート31Bに設定する構成を採用した。
【0040】
すなわち、隙間調整用プレートの役割を、キャリアプレート36に代え、複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、1枚のプレートに持たせている。このため、板厚が異なる複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…を用意し、複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の中から隙間寸法Lが所望の隙間寸法となる板厚を持つ1枚のドリブンプレート(=隙間調整用ドリブンプレート31B)を選択して組み付ける。このように、隙間調整用ドリブンプレート31Bの選択を含めた組み付け作業を行うことにより、キャリアプレート36の受圧部と、該受圧部に隣接するドライブプレート31aとの隙間寸法Lが所望の隙間寸法に収まる。言い換えると、製品化される多数の前進クラッチ31のクラッチ解放時におけるプレート隙間を、構成部品のバラツキにかかわらず一定に保つ品質管理が行われることになる。
【0041】
したがって、キャリアプレート36に比べ小型部品である板厚の異なるドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…を複数枚用意しておく。そして、この用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の中から1枚のプレートを選択して組み付けるだけで隙間寸法Lが一定に管理される。この結果、隙間調整用プレートの役割をキャリアプレート36に持たせる場合に比べ、コストや品質管理工数が軽減する。
【0042】
さらに、キャリアプレート36には、隙間調整用プレートの役割がなく、キャリアプレート36の板厚が変更されることはない。このため、前進クラッチ31の締結時には、キャリアプレート36に対し大きなスラスト荷重が作用するが、キャリアプレート36によるスラスト荷重の支持剛性が一定に安定して保たれる。
【0043】
実施例1では、4枚のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、キャリアプレート36に最も近い端部位置のドリブンプレートを、隙間調整用ドリブンプレート31Bとする構成を採用している。
【0044】
例えば、キャリアプレート36から離れた位置の1枚のドリブンプレートを、隙間調整用ドリブンプレート31Bとする。この場合、最初に組み付けた隙間調整用ドリブンプレート31Bを、新たに選択した隙間調整用ドリブンプレート31Bに交換する際、既に組み付けが完了しているドライブプレート31aとドリブンプレート31bも同時に交換する必要があり、交換作業に手間を要する。
【0045】
これに対し、実施例1では、最初に組み付けた隙間調整用ドリブンプレート31Bを、新たに選択した隙間調整用ドリブンプレート31Bに交換する際、既に組み付けが完了している3枚のドライブプレート31aと3枚のドリブンプレート31bをそのままで、隙間調整用ドリブンプレート31Bを交換するだけでよい。つまり、隙間調整用ドリブンプレート31Bの交換作業の手間が省かれる。
【0046】
[前進クラッチの締結作用]
上記のように、前進クラッチ31を構成する複数のドリブンプレートのうち、1枚のプレートを隙間調整用ドリブンプレート31Bとした。このため、隙間調整用ドリブンプレート31Bを加えたことによる影響を排除することが必要である。以下、これを反映する前進クラッチ31の締結作用を説明する。
【0047】
実施例1では、隙間調整用ドリブンプレート31Bとして用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の最小板厚を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚よりも厚く設定する構成を採用した。
【0048】
例えば、隙間調整用ドリブンプレート31Bとして用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の板厚平均値を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚に設定する。この場合、隙間寸法Lが所望の隙間寸法となるように1枚の隙間調整用ドリブンプレート31Bを選択する際、他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚より薄い板厚の隙間調整用ドリブンプレート31Bが選択される可能性がある。このように、薄い板厚の隙間調整用ドリブンプレート31Bが選択されると、前進クラッチ31の摩擦プレート剛性が所望の剛性よりも低下してしまう。
【0049】
これに対し、用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…の最小板厚を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚よりも厚く設定すると、仮に最小板厚のプレートが、隙間調整用ドリブンプレート31Bとして選択されたとしても前進クラッチ31の摩擦プレート剛性が所望の剛性よりも高くなる。そして、最小板厚以外のプレートが、隙間調整用ドリブンプレート31Bとして選択されると、前進クラッチ31の摩擦プレート剛性が所望の剛性よりもさらに高くなる。つまり、用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…のうち、いずれのプレートが隙間調整用ドリブンプレート31Bとして選択されても、前進クラッチ31を締結したときの所望の摩擦プレート剛性が確保される。
【0050】
実施例1では、隙間調整用ドリブンプレート31Bの熱を伝達する熱伝導率を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの熱伝導率よりも低く設定する構成を採用した。
【0051】
例えば、前進クラッチ31が、スリップ締結を多用するようなクラッチである場合、スリップ締結が継続されると、摩擦熱により前進クラッチ31が発熱する。この前進クラッチ31で発生した熱は、端部位置の隙間調整用ドリブンプレート31Bから、ドライブプレート31a→キャリアプレート36→ピニオン軸74→ニードルベアリング83へと伝達され、ピニオン組立体を高温にする。このため、ピニオン組立体の寿命が短くなる等、シングルピニオン式遊星歯車30の耐久信頼性が低下する。
【0052】
これに対し、隙間調整用ドリブンプレート31Bの熱伝導率を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの熱伝導率よりも低く設定することで、前進クラッチ31で発生した熱が、端部位置の隙間調整用ドリブンプレート31Bからドライブプレート31aを経由してキャリアプレート36へ伝達される際、熱伝達量が低く抑えられることになる。つまり、前進クラッチ31の発熱に対するシングルピニオン式遊星歯車30の耐久信頼性が向上する。
【0053】
次に、効果を説明する。
実施例1の遊星歯車式動力伝達装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0054】
(1) 駆動源(エンジン1)からの動力伝達系に遊星歯車(シングルピニオン式遊星歯車30)と多板摩擦要素(前進クラッチ31)が配置され、前記遊星歯車のピニオン30cを支持するキャリア30dを、前記多板摩擦要素の摩擦プレート支持部材(ブレーキ/クラッチドラム33)に向かって延長し、その延長端部をスナップリング81の取り付け位置に結合させたキャリアプレート36とし、前記キャリアプレート36に、前記多板摩擦要素の締結荷重を受ける受圧部が形成された遊星歯車式動力伝達装置において、
前記多板摩擦要素(前進クラッチ31)の摩擦プレートを、交互に配置される複数のドライブプレート31a,31a,31a,31aと複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bにより構成し、前記複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、1枚のドリブンプレートを、前記キャリアプレート36の受圧部と該受圧部に隣接するプレート(ドライブプレート31a)との隙間寸法Lが所望の隙間寸法となるように選択される隙間調整用ドリブンプレート31Bに設定した。
このため、キャリアプレート36によるスラスト荷重の支持剛性を安定して保ちながら、多板摩擦締結要素(前進クラッチ31)の摩擦プレート(ドライブプレート31a,31a,31a,31a、ドリブンプレート31B,31b,31b,31b)の隙間寸法Lを管理する際にコストや品質管理工数の軽減を図ることができる。
【0055】
(2) 前記隙間調整用ドリブンプレート31Bは、前記複数のドリブンプレート31B,31b,31b,31bのうち、前記キャリアプレート36に最も近い端部位置のドリブンプレートとした。
このため、(1)の効果に加え、隙間調整用ドリブンプレート31Bを交換する際、既に組み付けが完了しているドライブプレート31a,31a,31aとドリブンプレート31b,31b,31bをそのままで、隙間調整用ドリブンプレート31Bを交換するだけでよく、交換作業の手間を省くことができる。
【0056】
(3) 前記隙間調整用ドリブンプレート31Bは、選択される板厚のうち、最小板厚を他のドリブンプレート31b,31b,31bの板厚よりも厚く設定した。
このため、(1)または(2)の効果に加え、用意した複数枚のドリブンプレート31B1,31B2,31B3,31B4,…のうち、いずれのプレートを隙間調整用ドリブンプレート31Bとして選択しても、多板摩擦要素(前進クラッチ31)を締結したときの所望の摩擦プレート剛性を確保することができる。
【0057】
(4) 前記隙間調整用ドリブンプレート31Bは、熱を伝達する熱伝導率を、他のドリブンプレート31b,31b,31bの熱伝導率よりも低く設定した。
このため、(2)または(3)の効果に加え、キャリアプレート36へ伝達される熱伝達量が低く抑えられることで、多板摩擦要素(前進クラッチ31)のスリップ締結による摩擦発熱に対して遊星歯車(シングルピニオン式遊星歯車30)の耐久信頼性を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の遊星歯車式動力伝達装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0059】
実施例1では、多板摩擦要素を、多板構造による前進クラッチ31とする例を示した。しかし、多板摩擦要素としては、多板構造による後退ブレーキや変速用クラッチや変速用ブレーキ等であっても良い。
【0060】
実施例1では、摩擦プレート支持部材を、ブレーキドラムとクラッチドラムを兼用するブレーキ/クラッチドラム33とする例を示した。しかし、摩擦プレート支持部材としては、摩擦プレートを支持するクラッチドラムやブレーキドラムやクラッチハブ等であっても良い。
【0061】
実施例1では、1部品構成によるキャリアプレート36の例を示した。しかし、キャリアプレートとしては、2以上の複数の部品に分割し(例えば、リテーニングプレート部とピニオンキャリア部に2分割し)、各分割部分にて動力伝達可能にスプライン結合する等の例としても良い。
【0062】
実施例1では、本発明の遊星歯車式動力伝達装置をベルト式無段変速機の前後進切替機構に適用する例を示した。しかし、本発明の遊星歯車式動力伝達装置は、ベルト式無段変速機の副変速機や複数の変速段を有する自動変速機(ステップAT)のギヤトレーン等に適用することもできる。要するに、遊星歯車と多板摩擦要素が配置された駆動源からの動力伝達系に適用することができる。
【0063】
実施例1では、本発明の遊星歯車式動力伝達装置を駆動源にエンジンを備えたエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明の遊星歯車式動力伝達装置は、エンジン車に限らず、駆動源にエンジンとモータを備えたハイブリッド車や駆動源にモータを備えた電気自動車に対しても適用することができる。要するに、遊星歯車式動力伝達装置を備えた車両であれば適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 エンジン(駆動源)
2 トルクコンバータ
3 前後進切替機構
4 ベルト式無段変速機構
5 終減速機構
6,6 駆動輪
30 シングルピニオン式遊星歯車(遊星歯車)
30a サンギヤ
30b リングギヤ
30c ピニオン
30d キャリア
31 前進クラッチ(多板摩擦要素)
31a ドライブプレート(摩擦プレート)
31b ドリブンプレート(摩擦プレート)
31B 隙間調整用ドリブンプレート
31B1,31B2,31B3,31B4 複数枚のドリブンプレート
32 後退ブレーキ
33 ブレーキ/クラッチドラム(摩擦プレート支持部材)
34 クラッチハブ
35 変速機ケース
36 キャリアプレート
L 隙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力伝達系に遊星歯車と多板摩擦要素が配置され、前記遊星歯車のピニオンを支持するキャリアを、前記多板摩擦要素の摩擦プレート支持部材に向かって延長し、その延長端部をスナップリングの取り付け位置に結合させたキャリアプレートとし、前記キャリアプレートに、前記多板摩擦要素の締結荷重を受ける受圧部が形成された遊星歯車式動力伝達装置において、
前記多板摩擦要素の摩擦プレートを、交互に配置される複数のドライブプレートと複数のドリブンプレートにより構成し、前記複数のドリブンプレートのうち、1枚のドリブンプレートを、前記キャリアプレートの受圧部と該受圧部に隣接するプレートとの隙間寸法が所望の隙間寸法となるように選択される隙間調整用ドリブンプレートに設定した
ことを特徴とする遊星歯車式動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載された遊星歯車式動力伝達装置において、
前記隙間調整用ドリブンプレートは、前記複数のドリブンプレートのうち、前記キャリアプレートに最も近い端部位置のドリブンプレートとした
ことを特徴とする遊星歯車式動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された遊星歯車式動力伝達装置において、
前記隙間調整用ドリブンプレートは、選択される板厚のうち、最小板厚を他のドリブンプレートの板厚よりも厚く設定した
ことを特徴とする遊星歯車式動力伝達装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載された遊星歯車式動力伝達装置において、
前記隙間調整用ドリブンプレートは、熱を伝達する熱伝導率を、他のドリブンプレートの熱伝導率よりも低く設定した
ことを特徴とする遊星歯車式動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−202438(P2012−202438A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65434(P2011−65434)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】