説明

運転支援装置、車載運転支援装置及び運転支援システム

【課題】運転者にとって最適なタイミングで情報提供する運転支援装置及び運転支援システムを低コストで提供する。
【解決手段】
運転支援システム1は、車載運転支援装置3と複数の路側運転支援装置2(200、201)とを備え、上流地点A1の路側運転支援装置201が車載運転支援装置3へ提供タイミングを送信し、車載運転支援装置3が、運転者に情報提供するタイミングとその情報を基に実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングとを記録し、記録した提供タイミングと運転行動タイミングとを下流地点A2の路側運転支援装置200へ送信し、下流地点A2の路側運転支援装置200が受信した提供タイミング及び運転行動タイミングを上流地点A1の路側運転支援装置201へ送信することで、上流地点A1の路側運転支援装置201が適切な提供タイミングを学習することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置及び運転支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転を支援する装置として、運転者に対し運転支援情報を提供するタイミングを制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、自車両の走行速度と、走行環境に関する情報を用いて算出した目標速度とを用いて、運転支援情報を提供するタイミングを制御する。
【特許文献1】特開2005−149024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、情報を提供するタイミングが運転者にとって妥当であるか否かは、走行する道路情報や天候など様々な要因が影響するため、速度情報や走行環境情報から算出した情報提供のタイミングが適切でない場合がある。
【0004】
また、従来の運転支援装置にあっては、走行環境に関する情報、例えば地図データベースなどを用いて情報提供のタイミングを制御しているため、提供する情報の信頼性を保つための維持管理に必要なコストが大きくなる恐れがある。
【0005】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、運転者にとって最適なタイミングで情報提供する運転支援装置及び運転支援システムを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る運転支援装置は、運転支援情報を車両に提供して運転者の運転支援を行う運転支援装置であって、前記車両に対して前記運転支援情報の提供タイミングを送信する提供タイミング送信手段と、前記運転支援情報を提供する際に行った前記運転者の運転行動タイミングを取得する運転行動タイミング取得手段と、前記運転行動タイミング取得手段で取得した前記運転行動タイミングに基づいて前記提供タイミング送信手段で送信する前記提供タイミングを補正して学習する学習手段とを備えて構成される。
【0007】
このように構成することで、実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングを取得し、取得した運転行動タイミングに基づいて運転者に情報提供する提供タイミングを補正することができる。このため、提供タイミングを地図情報や環境情報等を考慮しなくても運転者にとって最適な提供タイミングに設定することができる。
【0008】
ここで、本発明に係る運転支援装置は、前記提供タイミング送信手段を備える第1の通信部と、前記第1の通信部の下流側に配置され、前記運転行動タイミング取得手段を備える第2の通信部とを有することが好適である。
【0009】
このように構成することで、上流側に配置された第1の通信部が、下流側に配置された第2の通信部から実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングを取得することができる。これにより、上流側に配置された第1の通信部は、運転行動タイミングに基づいて送信する提供タイミングを補正して学習することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る車載運転支援装置は、走行路に設置される路側運転支援装置と通信を行う通信手段と、前記路側運転支援装置から送信された運転支援情報を車両の運転者に提供する情報提供手段と、前記運転支援情報を提供する際に行った前記運転者の運転行動タイミングを、前記通信手段を通じて前記路側運転支援装置へ送信させる送信指示手段とを備えて構成される。
【0011】
このように構成することで、車載運転支援装置は、運転支援情報を提供する際に行った運転者の運転行動タイミングを検出し、検出した運転行動タイミングを路側運転支援装置へ送信することができる。このため、路側運転支援装置は、運転行動タイミングに基づいて提供タイミングを補正することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。
【0012】
また、本実施形態に係る運転支援システムは、走行路に設置される路側運転支援装置が車載運転支援装置に対して運転支援情報の提供タイミングを送信し、前記提供タイミングに基づいて前記車載運転支援装置が運転者に対して運転支援情報を提供する運転支援システムであって、前記路側運転支援装置は、前記車載運転支援装置と通信を行う通信手段と、前記車載運転支援装置に対して前記運転支援情報の提供タイミングを送信する提供タイミング送信手段と、前記車載運転支援装置から取得した前記運転行動タイミングに基づいて前記提供タイミング送信手段で送信する前記提供タイミングを補正して学習する学習手段と、を備え、前記車載運転支援装置は、前記路側運転支援装置と通信を行う通信手段と、前記路側運転支援装置から送信された運転支援情報を車両の運転者に提供する情報提供手段と、前記運転支援情報を提供する際に行った運転者の運転行動タイミングを、前記通信手段を通じて前記路側運転支援装置へ送信させる送信指示手段とを備えて構成される。
【0013】
このように構成することで、運転支援システムは、車載運転支援装置と運転支援装置とを連携させて、運転支援装置の第1の通信部から車載運転支援装置へ提供タイミングを送信し、車載運転支援装置が提供タイミングと運転行動タイミングとを運転支援装置の第2の通信部へ送信することができる。これにより、運転支援システムは、運転行動タイミングに基づいて提供タイミングを補正することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者にとって最適なタイミングで情報提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は本実施形態に係る運転支援システムの概要図、図2は本実施形態に係る運転支援システムの構成図である。
【0017】
まず、本実施形態に係る運転支援システム1の概要について図1を用いて説明する。本実施形態に係る運転支援システム1は、例えば、注意喚起などの運転支援情報を運転者に提供することで、運転をより円滑、安全に行えるようにするものである。この運転支援システム1は、路側に設置された路側運転支援装置2と、車載された車載運転支援装置3との間で行われる路車間通信を用いた運転支援システムであって、例えば、曲率が大きい道路70を走行し、信号機60のある交差点72の停止線Hで停止予定の車両4に対して、ブレーキタイミングを提供する運転支援に好適に用いられるものである。
【0018】
運転支援システム1に備わる路側運転支援装置2は、走行路である道路上、道路の路側又はその周辺に配置され、道路70に沿って複数配置されている。例えば、車両4の進行方向上流側の地点A1(上流地点A1)、及び下流側の交差点付近の地点A2(下流地点A2)に配置されている。それぞれの路側運転支援装置2は、通過する車両4を検知する機能を有しており、車両4を検知すると、車両4から車両情報などを入力すると共に、運転を支援する運転支援情報を車両4に提供する。また、路側運転支援装置2は、他の路側運転支援装置2とネットワークを介して接続されており、相互に送受信することで、運転支援情報に関する情報を共有している。この通信として、例えば無線通信が用いられる。また、この路側運転支援装置2として、例えば光ビーコンが用いられる。
【0019】
車両4は車載運転支援装置3を搭載しており、この車載運転支援装置3が路側運転支援装置2から運転支援情報を受信して、車両4の運転者を支援する。車載運転支援装置3と路側運転支援装置2との通信方式は、例えば近赤外線を用いた無線通信であり、双方向の通信が可能に構成される。また、例えば、車両4が上流地点A1を通過して下流地点A2の交差点72の停止線Hで停止する予定の場合、車載運転支援装置3は上流地点A1に設置された路側運転支援装置2から運転支援情報及び提供タイミングを受信する。提供タイミングは、車両4の運転者に対して運転支援情報を提供するタイミングであり、例えば、U地点を通過する際に運転支援情報を出力するという情報である。
【0020】
次に、本実施形態に係る運転支援システム1の構成について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、複数の路側運転支援装置2と、車両4に搭載された車載運転支援装置3とを備えて構成される。
【0021】
車両4は、アクセルセンサ41、ブレーキセンサ42、車輪速センサ43及び車両情報DB44を備えて構成されている。
【0022】
アクセルセンサ41は、運転者が操作したアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサであり、例えば、踏み込み量に応じた電圧を出力する機能を有している。また、アクセルセンサ41は、入力した踏み込み量を車載運転支援装置3へ出力する機能を有している。
【0023】
ブレーキセンサ42は、運転者が操作したブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサであり、例えば、踏み込み量に応じた電圧を出力する機能を有している。また、ブレーキセンサ42は、入力した踏み込み量を車載運転支援装置3へ出力する機能を有している。
【0024】
車輪速センサ43は、車輪速パルスを検出するセンサであり、例えば、車輪の回転による磁束変化を検出することで車輪の回転を検出する。また、車輪速センサ43は、入力した車輪速パルスをECU37及び車両情報DB44へ出力する機能を有している。
【0025】
車両情報DB44は、車両4に関する車両情報、例えば、車輪速センサ43から入力した車輪速、車種及び全長などを含む情報を入力して格納するDBである。
【0026】
ここで、車両4に搭載される車載運転支援装置3は、車両側送信部(通信手段、送信指示手段)31、車両側受信部(通信手段)32、提供タイミング記録部33、運転行動記録部34、提供タイミング記録メモリ35、運転行動タイミング記録メモリ36、出力部(情報提供手段)38及びECU37を備えて構成される。
【0027】
車両側送信部31は、車両4側の情報を路側運転支援装置2へ送信する機能を有しており、提供タイミング記憶メモリ35から提供タイミングを、運転行動タイミング記憶メモリ36から運転行動タイミングをそれぞれ入力して路側運転支援装置2へ出力する。提供タイミング記憶メモリ35は、提供タイミングを格納したメモリである。また、運転行動タイミング記憶メモリ36は、運転者の運転行動タイミング、例えばブレーキタイミングやアクセルタイミング等が格納されたメモリである。提供タイミング記憶メモリ35及び運転行動タイミング記憶メモリ36は、例えばRAMが用いられる。また、車両側送信部31は、車両4の車輪速を含む車両情報を車両情報DB44から入力し、路側運転支援装置2へ出力する機能を有している。
【0028】
車両側受信部32は、進行方向上流地点A1に配置された路側運転支援装置2から運転支援情報及び提供タイミングを受信する機能を有している。また、車両側受信部32は、受信した運転支援情報及び提供タイミングを提供タイミング記録部33へ出力する機能を有している。
【0029】
提供タイミング記録部33は、車両側受信部32から入力した提供タイミングを提供タイミング記憶メモリ35へ記録すると共に、運転支援情報及び提供タイミングをECU37へ出力する機能を有している。
【0030】
運転行動記録部34は、アクセルセンサ41、ブレーキセンサ42から入力したアクセルタイミング、ブレーキタイミングを運転行動タイミング記録メモリに記録する機能を有している。
【0031】
ECU37は、運転者に情報提供するタイミングである提供タイミングを制御する機能を有している。ここで、ECU(Electronic Control Unit)とは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。ECU37は、提供タイミング記録部33、車輪速センサ43及び出力部38に接続され、車載運転支援装置3及び車輪速センサ43から入力した情報に基づいて、出力部38へ運転支援に関する情報を適切なタイミングで出力する機能を有している。また、ECU37は、図示しない車載カメラ等と接続され、目標となる停止位置に停止できたか否かを判断する機能を有している。
【0032】
出力部38は、運転者に情報提供する機能を有しており、例えば、ディスプレイやスピーカが用いられる。出力部38は、ECU37から入力した情報をディスプレイやスピーカを用いて運転者に情報提供する。
【0033】
一方、路側に配置された複数の路側運転支援装置2は、路側受信部(提供タイミング取得手段、運転行動タイミング取得手段)21、提供タイミング学習部(学習手段)22、送信制御部23、路側送信部24、提供タイミングDB25及び運転支援情報DB26を備えて構成される。
【0034】
ここで、路側運転支援装置2同士が通信するため、以下では説明理解の容易性を考慮して、車両4の進行方向上流側に配置された路側運転支援装置2を上流側の路側運転支援装置(第1の通信部)201、下流側に配置された路側運転支援装置2を下流側の路側運転支援装置(第2の通信部)200とする。また、上流側の路側運転支援装置201に備わる路側受信部21、提供タイミング学習部22、送信制御部23、路側送信部24、提供タイミングDB25及び運転支援情報DB26をそれぞれ、路側受信部211、提供タイミング学習部221、送信制御部231、路側送信部241、提供タイミングDB251及び運転支援情報DB261とする。また、下流側の路側運転支援装置200に備わる路側受信部21、提供タイミング学習部22、送信制御部23、路側送信部24、提供タイミングDB25及び運転支援情報DB26をそれぞれ、路側受信部210、提供タイミング学習部220、送信制御部230、路側送信部240、提供タイミングDB250及び運転支援情報DB260とする。
【0035】
まず、上流地点A1の路側運転支援装置201を説明する。上流地点A1の路側運転支援装置201に備わる路側受信部211は、車両4と通信する機能と、下流地点A2の路側運転支援装置200と通信する機能とを有している。路側受信部211は、車両4の車両側送信部31から車両情報を入力し、送信制御部231へ出力する機能を有している。また、路側受信部211は、下流地点A2の路側運転支援装置200に備わる路側送信部240から提供タイミング、運転行動タイミング及び車輪速を含む情報を受信し、受信した情報を提供タイミング学習部221へ出力する機能を有している。
【0036】
提供タイミング学習部221は、運転支援情報を提供するタイミングを学習する機能を有している。提供タイミング学習部221は、路側受信部211から提供タイミング、運転行動タイミング及び車輪速を含む情報を入力し、提供タイミング及び運転行動タイミングを比較する機能を有している。また、提供タイミング学習部221は、提供タイミングと運転行動タイミングとの差を演算する機能を有している。また、提供タイミング学習部221は、算出した差分を用いて提供タイミングを学習し、車輪速に対応させて提供タイミングDB251に記録する機能を有している。さらに、提供タイミング学習部221は、所定の車輪速に対応する提供タイミングを提供タイミングDB251から入力して平均化し、平均化した提供タイミングを提供タイミングDB251にテーブルとして格納する機能を有している。提供タイミングDB251は、過去の提供タイミングが格納されたデータベースであり、車輪速別に平均化された提供タイミングのテーブルを含んでいる。
【0037】
送信制御部231は、車両4へ出力する提供タイミングを選択する機能を有している。例えば、路側受信部211から車輪速を含む車両情報を入力し、入力した車両4の車輪速と対応した提供タイミングを路側送信部241へ出力する機能を有している。入力した提供タイミングは、平均化された提供タイミングが用いられる。また、送信制御部231は、運転支援情報を運転支援情報DB261から入力し、路側送信部241へ出力する機能を有している。運転支援装置DB261は、気象情報や道路、交通情報を含む運転支援情報を格納したDBである。
【0038】
路側送信部241は、載運転支援装置3と通信する機能を有している。路側送信部241は、送信制御部231から提供タイミング及び運転支援情報を入力し、車両4の車両側受信部32へ送信する機能を有している。
【0039】
次に、下流地点A2の路側運転支援装置200を説明する。下流地点A2の路側運転支援装置200は、上流地点A1の路側運転支援装置201と同様に構成され、路側受信部210、送信制御部230、路側送信部240の機能が一部相違する。以下では相違点を中心に説明する。
【0040】
路側受信部210は、車両4と通信する機能を有している。例えば、車両4の車両側送信部31から提供タイミング、運転行動タイミング及び車輪速を入力する。また、入力した情報を送信制御部250へ出力する機能を有している。
【0041】
送信制御部230は、路側受信部210から入力した提供タイミング、運転行動タイミング及び車輪速を路側送信部240へ出力する機能を有している。
【0042】
路側送信部240は、送信制御部230から入力した提供タイミング、運転行動タイミング及び車輪速を上流地点A1の路側運転支援装置201へ送信する機能を有している。
【0043】
次に、本実施形態に係る運転支援システム1の動作について、図1、及び図3〜6を用いて説明する。図3は、上流地点A1に配置された運転支援装置201の動作を示すフローチャート、図4は、車載された運転支援装置3の動作を示すフローチャート、図5は下流地点A2に配置された運転支援装置200の動作を示すフローチャートである。尚、説明理解の容易性を考慮し、以下では、図1に示す車両4が交差点72の停止線Hで停止する場合における運転支援システム1の動作を説明する。
【0044】
まず、図3を用いて、上流地点A1に配置された路側運転支援装置201の動作を説明する。この制御処理は、図1に示す上流地点A1に配置された路側運転支援装置201が、電源ONされてから所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0045】
路側運転支援装置201は、車両4が通過したか否かを判断する処理から開始する(S10)。S10の処理は、例えば、路側運転支援装置201が所定の間隔で路面に投光することによって、車両4の通過を感知する。車両4が通過したと判断した場合は、車輪速入力処理へ移行する(S12)。
【0046】
S12の処理は、路側受信部211で実行され、車両4から車輪速を含む車両情報を入力する処理である。S12の処理が終了すると、提供タイミング送信処理へ移行する(S14)。
【0047】
S14の処理は、送信制御部231及び路側送信部241で実行され、車両4へ運転支援情報及び提供タイミングを車両4へ送信する処理である。送信制御部231は、提供タイミングDB251から、S12の処理で入力した車輪速に基づいた提供タイミングを入力し、運転支援情報DB261から運転支援情報を入力する。入力した情報を路側送信部241が車両側受信部32へ出力する。S14の処理が終了すると、図3の制御処理が終了する。
【0048】
一方、S10の処理において、車両4を検知しない場合には、図3の制御処理は終了する。
【0049】
以上のように、図3の制御処理を行うことで、路側運転支援装置201を通過する車両4へ運転支援情報及び提供タイミングを送信することができる。
【0050】
次に、図4を用いて、車載された車載運転支援装置3の動作を説明する。この制御処理は、例えば、車載運転支援装置3が図1に示す上流地点A1で路側運転支援装置201からデータを受け取ったタイミングで開始する。
【0051】
車載運転支援装置3は、提供タイミング受信処理及び記録処理から開始する(S20)。S20の処理は、車両側受信部32及び提供タイミング記録部33で実行され、運転支援情報及び提供タイミングを受信し、受信した提供タイミングを記録する処理である。車両側受信部32は、運転支援情報及び提供タイミングを上流地点A1の路側運転支援装置201から受信し、提供タイミング記録部33へ出力する。提供タイミング記録部33は、提供タイミングを提供タイミング記憶メモリ35へ格納すると共に、運転支援情報及び提供タイミングをECU37へ出力する。S20の処理が終了すると、情報提供処理へ移行する(S22)。
【0052】
S22の処理は、ECU37及び出力部38で実行され、車両4の運転者に対して情報提供する処理である。S20の処理において入力した提供タイミングで、出力部38へ運転支援情報を出力する(例えば、図1のUの地点)。S22の処理が終了すると、運転行動タイミング取得及び記録処理へ移行する(S24)。
【0053】
S24の処理は、運転行動記録部34で実行され、運転者が行動したタイミングを取得し、取得した運転行動タイミングを記録する処理である。例えば、運転行動記録部34は、ブレーキタイミングをブレーキセンサ42から取得し、運転行動タイミング記憶メモリ36へ記録する。S24の処理が終了すると、情報精度の確認処理へ移行する(S26)。
【0054】
S26の処理は、ECU37で実行され、車両4の目標となる停止位置に停止したか否か判断する処理である。ここでは、信号機60がある交差点72の停止線Hで停止したか否かを車載カメラ等で確認する。S26の処理で、目標位置に停止したと判断した場合には、送信処理へ移行する(S28)。
【0055】
S28の処理は、車両側送信部31で実行され、下流地点A2の路側運転支援装置200に情報を送信する処理である。車両側送信部31は、運転行動タイミング記憶メモリ36及び提供タイミング記憶メモリ35からそれぞれ運転行動タイミング及び提供タイミングを入力し、上流地点A2に設置された路側運転支援装置2に送信する。ここでは、送信する情報の中に、車両情報DB44から入力した車両情報が含まれている。S28の処理が終了すると、図4の制御処理は終了する。
【0056】
一方、S26の処理で、目標位置に停止していないと判断した場合には、運転行動タイミングが正確でない可能性が高いため、下流地点A2の路側運転支援措置200には運転行動タイミング及び提供タイミングを送信せずに図4の制御処理を終了する。
【0057】
以上のように、図4の制御処理を行うことで、車両4に搭載された車載運転支援装置3は、信頼性の高い情報のみを下流地点A2に配置された路側運転支援装置200へ送信することができる。
【0058】
次に、図5を用いて、下流地点A2に配置された路側運転支援装置200の動作を説明する。この制御処理は、例えば、車載運転支援装置3から下流地点A2に配置された路側運転支援装置200へ送信開始情報が送信されたタイミングで開始する。
【0059】
路側運転支援装置200は、情報入力処理から開始する(S50)。S50の処理は、路側受信部210で実行され、提供タイミング及び運転行動タイミングを含む情報を入力する処理である。路側受信部210は、車載運転支援装置3の車両側送信部31から提供タイミング及び運転行動タイミングを含む情報を入力する。S50の処理が終了すると、送信処理へ移行する(S52)。
【0060】
S52の処理は、送信処理部250で実行され、上流地点A1に配置された路側運転支援装置201へ提供タイミング及び運転行動タイミングを送信する処理である。S52の処理が終了すると、図5の制御処理が終了する。
【0061】
以上のように、図5の制御処理を行うことで、下流地点A2の路側運転支援装置200は、提供タイミング及び運転行動タイミングを上流地点A1に配置された路側運転支援装置201へ送信することができる。
【0062】
次に、図6を用いて、上流地点A1に配置された路側運転支援装置201の動作を説明する。この制御処理は、例えば、下流地点A2に配置された路側運転支援装置200から上流地点A1に配置された路側運転支援装置201へ送信開始情報が送信されたタイミングで開始する。
【0063】
まず、上流地点A1に配置された路側運転支援装置201は、情報入力処理から開始する(S30)。S30の処理は、路側受信部211で実行され、下流地点A2に配置された路側運転支援装置200の路側送信部240から情報を入力する処理である。路側受信部211が入力する情報は、運転行動タイミング及び提供タイミングを含む情報である。ここでは、入力する情報には、車両情報も含まれる。S30の処理が終了すると、提供タイミング確認処理へ移行する(S32)。
【0064】
S32の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、S30の処理で入力した運転行動タイミングと提供タイミングとを比較し、運転支援情報を提供したタイミングで運転行動が行われたか否かを判定する処理である。提供タイミング学習部221が、提供タイミングと運転行動タイミングとが同一と判定した場合には、車両4へ送信した提供タイミングは適切であるとして、提供タイミング記録処理へ移行する(S34)。
【0065】
S34の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、提供タイミングを記録する処理である。提供タイミング学習部221は、S32、S38及びS40の処理で判定し、又は学習した提供タイミングを提供タイミングDB251へ格納する。ここでは、提供タイミングをS30で入力した車両情報に含まれる車輪速に対応させて提供タイミングDB251へ記録する。例えば、車輪速60km、提供タイミングt秒という1つのデータとして格納する。S34の処理が終了すると、データの平均化処理へ移行する(S36)。
【0066】
S36の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、車輪速ごとに提供タイミングの平均値を算出して記録する処理である。例えば、提供タイミング学習部221は、S34の処理で記録した提供タイミングと、過去に記録した提供タイミングを入力し、平均化データを作成する。作成した平均化データはテーブルとして提供タイミングDB251に格納する。ここでは、例えば、車輪速が60kmに対応した提供タイミングを抽出し平均化して提供タイミングDB251に格納する。平均化する母集団として、例えば所定の車輪速の範囲に含まれる提供タイミングを平均化してもよい。平均化された提供タイミングは、提供タイミングDB251に車輪速に対応して平均化データとして格納される。S36の処理が終了すると、図6の制御処理は終了する。
【0067】
一方、S32の処理において、提供タイミングと運転行動タイミングとが同一ではないと判定した場合には、提供タイミング確認処理へ移行する(S38)。
【0068】
S38の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、S30の処理で入力した運転行動タイミングと提供タイミングとを比較し、運転支援情報を提供したタイミングよりも前に運転行動が行われたか否かを判定する処理である。提供タイミング学習部221が、提供タイミングよりも運転行動タイミングの方が早いと判定した場合には、提供タイミング学習処理へ移行する(S40)。
【0069】
S40の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、提供タイミングを学習する処理である。運転支援情報の提供タイミングが遅く運転行動が情報提供よりも前に行われているため、提供タイミングを早くする。例えば、提供タイミング学習部221は、運転行動タイミングと提供タイミングとの差を算出し、算出した差に基づいて提供タイミングを早くする。例えば、図1のUの地点で運転支援が行われるように補正する。S40の処理が終了すると、提供タイミング記録処理へ移行する(S34)。
【0070】
一方、S38の処理において、提供タイミング学習部221が、提供タイミングよりも運転行動タイミングの方が早くないと判定した場合には、提供タイミング学習処理へ移行する(S42)。
【0071】
S42の処理は、提供タイミング学習部221で実行され、提供タイミングを学習する処理である。運転支援情報の提供タイミングが早く運転行動が情報提供よりも後に行われているため、提供タイミングを遅くする。例えば、提供タイミング学習部221は、運転行動タイミングと提供タイミングとの差を算出し、算出した差に基づいて提供タイミングを遅くする。例えば、図1のUの地点で運転支援が行われるように補正する。S42の処理が終了すると、提供タイミング記録処理へ移行する(S34)。
【0072】
以上のように、図6の制御処理を行うことで、上流地点A1の路側運転支援装置201は、下流地点A2の路側運転支援装置200から入力した情報に基づいてデータを学習することができる。
【0073】
次に、本実施形態に係る運転支援システム1の作用効果について、図6を用いて説明する。図6は、運転支援システム1の概要図である。
【0074】
まず、図7の(a)に示す直線状の道路形状の場合において、車両4が上流地点A1の路側運転支援装置201を通過すると、路側運転支援装置201は、地点Bにて情報提供する提供タイミングを車両4へ送信する。ここで、図7の(b)に示すように、見通しの悪い道路の場合には、図7の(a)に示す地点Bよりも早いタイミングで情報を提供する必要がある。
【0075】
本実施形態の運転支援システム1は、走行する車両4が、上流地点A1の路側運転支援装置201と通信し、例えば車速に応じた提供タイミングを受信する。この提供タイミングは、例えば、図7の(b)の地点Cで情報提供を行うタイミングである。車両4が走行し、地点Cで運転支援を行った後、車載運転支援装置3は、下流地点A2の路側運転支援装置200に対して、提供タイミングと運転行動タイミングとを送信する。下流地点A2の路側運転支援装置200は、受け取った情報を上流地点A1の路側運転支援装置201へ送信する。上流地点A1の路側運転支援装置201は、受け取った情報に基づいて提供タイミングを学習するため、道路情報を入力することなく提供タイミングの最適化を行うことができる。例えば、提供タイミングは、図7の(b)の地点C1で情報提供を行うタイミングに変更される。
【0076】
また、雨天や凍結など気象情報によって視界や路面状況が変化した場合であっても、上流地点A1の路側運転支援装置201が、下流地点A2の路側運転支援装置200から情報を受信して提供タイミングを学習するため、気象情報や路面情報を入力することなく、提供タイミングの最適化を行うことができる。例えば、提供タイミングは、図7の(b)の地点C2で情報提供を行うタイミングに変更される。
【0077】
以上のように、本発明に係る路側運転支援装置2によれば、実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングを取得し、取得した運転行動タイミングに基づいて運転者に情報提供する提供タイミングを補正することができる。このため、提供タイミングを地図情報や環境情報等を考慮しなくても運転者にとって最適な提供タイミングに設定することができる。
【0078】
また、本発明に係る路側運転支援装置2によれば、実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングを下流地点A2に配置された路側運転支援装置200が取得して、上流地点A1に配置された路側運転支援装置201へフィードバックすることができる。これにより、上流地点A1の路側運転支援装置201は、運転行動タイミングに基づいて送信する提供タイミングを補正して学習することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。
【0079】
また、本発明に係る車載運転支援装置3によれば、運転支援情報を提供する際に行った運転者の運転行動タイミングを検出し、運転行動タイミングを走行方向の下流地点A2の路側運転支援装置200へ送信することで、運転者にとって最適なタイミングを知るために必要な情報取得をすることができる。このため、路側運転支援装置2は、運転行動タイミングに基づいて提供タイミングを補正することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。
【0080】
また、本発明に係る運転支援システム1は、車載運転支援装置3と路側運転支援装置2とを連携させて、運転者に情報提供するタイミングと、その情報を基に実際に運転者が運転行動を起こしたタイミングとを記録し、記録した提供タイミングと運転行動タイミングとを下流地点A2の路側運転支援装置200で取得し、運転行動タイミングに基づいて提供タイミングを補正することができるため、より最適な提供タイミングにすることができる。このため、地図情報や環境情報等を使う事無く、提供タイミングを運転者にとって最適なタイミングに学習することができる。
【0081】
さらに、本発明に係る運転支援システム1は、学習する処理を分散させることができるため、一つの路側運転支援装置2に処理が集中することを回避することができる。
【0082】
なお、上述した各実施形態は本発明に係る路側運転支援装置、車載運転支援装置及び運転支援システムの一例を示すものである。本発明に係る路側運転支援装置、車載運転支援装置及び運転支援システムは、このようなものに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る路側運転支援装置、車載運転支援装置及び運転支援システムを変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0083】
例えば、実施形態において、2つの路側運転支援装置2と車載運転支援装置3からなる運転支援システム1について説明したが、運転支援システム1は、路側運転支援装置2が3以上あってもよいし、車載運転支援装置3を備えた車両4が複数台存在していても良い。すなわち、下流地点A2の路側運転支援装置200は、さらに下流側に配置された路側運転支援装置2に対しては上流地点A1の路側運転支援装置201と同じ動作を行う。
【0084】
また、実施形態において、下流地点A2の路側運転支援装置200は、提供タイミング及び運転行動タイミングを車両4から受信し、その結果を上流地点A1の路側運転支援装置201へ送信する例を示したが、下流地点A2の路側運転支援装置200が上流側の路側運転支援装置201の動作と同じ動作をしない場合には、提供タイミング学習部210、提供タイミングDB250及び運転支援情報DB260は必ずしも必要ではなく、状況に応じて適宜備えればよい。
【0085】
また、実施形態において、上流地点A1の路側運転支援装置201が学習する例を示したが、下流地点A2の路側運転支援装置200が提供タイミングと運転行動タイミングから最適な提供タイミングを学習し、学習結果を上流地点A1の路側運転支援装置に送信する構成にしてもよい。このような場合には、下流地点A2の動作は、実施形態に示す上流地点A2の学習する動作と同様の動作を行う。また、上流地点A1の路側運転支援装置201は、受け取った学習結果を提供タイミングDB251へ格納する。このように動作した場合であっても実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、実施形態において、運転行動タイミングとしてブレーキタイミングを用いた例を示したが、運転行動タイミングはアクセルタイミングやハンドルの舵角などを用いてもよいもよい。
【0087】
さらに、実施形態において、路側運転支援装置2の例として光ビーコンを挙げたが、電波ビーコンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施形態に係る運転支援システム1の概要図である。
【図2】図1の運転支援システム1の構成図である。
【図3】図1の上流地点A1に配置された路側運転支援装置201の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の車載運転支援装置3の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の下流地点A2に配置された路側運転支援装置200の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の上流地点A1に配置された路側運転支援装置201の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の運転支援システム1の作用効果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1…運転支援システム、2,200,201…路側運転支援装置(運転支援装置、第1の通信部、第2の通信部)、3…車載運転支援装置、4…車両、21,210,211…路側受信部(提供タイミング取得手段、運転行動タイミング取得手段)、22,220,221…提供タイミング学習部(学習手段)、31…車両側送信部(通信手段、送信指示手段)、32…車両側受信部(通信手段)、38…出力部(情報提供手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援情報を車両に提供して運転者の運転支援を行う運転支援装置であって、
前記車両に対して前記運転支援情報の提供タイミングを送信する提供タイミング送信手段と、
前記運転支援情報を提供する際に行った前記運転者の運転行動タイミングを取得する運転行動タイミング取得手段と、
前記運転行動タイミング取得手段で取得した前記運転行動タイミングに基づいて前記提供タイミング送信手段で送信する前記提供タイミングを補正して学習する学習手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記提供タイミング送信手段を備える第1の通信部と、
前記第1の通信部の下流側に配置され、前記運転行動タイミング取得手段を備える第2の通信部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
走行路に設置される路側運転支援装置と通信を行う通信手段と、
前記路側運転支援装置から送信された運転支援情報を車両の運転者に提供する情報提供手段と、
前記運転支援情報を提供する際に行った前記運転者の運転行動タイミングを、前記通信手段を通じて前記路側運転支援装置へ送信させる送信指示手段と、
を備える車載運転支援装置。
【請求項4】
走行路に設置される路側運転支援装置が車載運転支援装置に対して運転支援情報の提供タイミングを送信し、前記提供タイミングに基づいて前記車載運転支援装置が運転者に対して運転支援情報を提供する運転支援システムであって、
前記路側運転支援装置は、前記車載運転支援装置と通信を行う通信手段と、前記車載運転支援装置に対して前記運転支援情報の提供タイミングを送信する提供タイミング送信手段と、前記車載運転支援装置から取得した前記運転行動タイミングに基づいて前記提供タイミング送信手段で送信する前記提供タイミングを補正して学習する学習手段と、を備え、
前記車載運転支援装置は、前記路側運転支援装置と通信を行う通信手段と、前記路側運転支援装置から送信された運転支援情報を車両の運転者に提供する情報提供手段と、前記運転支援情報を提供する際に行った運転者の運転行動タイミングを、前記通信手段を通じて前記路側運転支援装置へ送信させる送信指示手段と、
を備えることを特徴とする運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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