説明

運転支援装置

【課題】車両を後退させて駐車するときの視認性を向上させる、後輪が含まれる車両の後側方を撮影した画像に後退予測軌跡を重畳させて表示する運転支援装置を提供する。
【解決手段】少なくとも前記車両の後輪(61)が含まれる撮影視野を備えた前記車両の周辺を撮影する撮影手段(10)と、前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段(20)と、前記車両の走行状態(31〜36)を検出する走行状態検出手段と(30)、前記走行状態に応じて表示する画像を切り替える制御手段(40)と、を備え、前記制御手段は、前記車両が後退(R)するとき、前記後輪と前記後輪側の前記車両の後側方とが一つの画像に含まれるように撮影された元画像(15)を表示手段に表示させ、前記車両が所定の舵角(35)で後退する場合の前記後輪の後退予想軌跡(46,47)を前記元画像に重畳させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に係り、詳しくは、後輪が含まれる車両の後側方を撮影した画像に後退予測軌跡を重畳させて表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員は、安全な車両の走行のために、運転状況に応じて、前方はもとより後方や側方を車両に備えられたドアミラーやバックミラー等で目視確認する。
【0003】
特に車両を後退させて駐車させる場合には、乗員が直接視認できない範囲が多いため、複数のミラーによって頻繁に車両の周囲を確認する必要がある。
【0004】
そこで、乗員が視認できる範囲を極力拡大するために、運転状態の変化に応じて、たとえば変速装置をリバースに切り替えたときにドアミラーを機構的に下方に向け視野範囲を変更する「リバース連動ミラー」の技術が開示されている(たとえば、特許文献1)。
【0005】
しかし、ドアミラーやバックミラーだけでは、車両の後方もしくは後側方の視野範囲は限定される。さらに、乗員が車室内の中央前方かつ上方に配設されたバックミラーと左右のフロントドアに配設されたドアミラーを見るためには、視線の方向を大きく変えなければならず、慎重な行動が必要であった。
【0006】
そこで、乗員の視野範囲を広くし、かつ、乗員が視線を大きく動かさずにすむように、車両の周囲をカメラ等の撮影手段で撮影し、撮影した画像を車室内のディスプレイに表示させる技術が開発されている。
【0007】
これらの技術の中には、前記した車両を後退させて駐車させる際の視覚を支援するいわゆる「バックモニタ」の技術が開示されている(たとえば特許文献2)。
【0008】
バックモニタとは、車両の後方をカメラ等の撮影手段で撮影し、撮影した画像を車室内のディスプレイに表示させるものであり、広角レンズを適用して、水平視野角を広げた「広角バックモニタ」の技術も開発されている。
【特許文献1】特開2005−29150号公報
【特許文献2】特許第4061219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通常のカメラを使用したバックモニタは、カメラの取り付け位置の制限から、後退して駐車するときに最初にぶつけ易いリアバンパーの左右端コーナー部を撮影することが困難であった。そこで、通常のレンズを備えたカメラでは撮影困難な車両の部位に対して、たとえば、180度以上の超広角レンズを使用することよって、撮影視野範囲を広げる工夫が採られてきた。しかし、超広角レンズを使用して撮影した画像は、画像の歪み等を回避できず、視認が必要な車両の部位と周囲障害物との位置関係や距離感を把握することは非常に困難であった。
【0010】
また、バックモニタには、車両後退時の後輪の後退予測軌跡を表示するものも開発されている。しかし、前記したカメラの取り付け位置では、車両の後輪の実像を撮影できず、実際の後輪と後退予測軌跡を同時に映すことができない。
【0011】
たとえば、マンションやデパート等の立体パレット駐車場などで後退して駐車する場合は、実際の後輪およびリアバンパーの左右端コーナー部と周辺障害物の見切りを同時に行いながら後退する必要がある。しかし、バックモニタの表示領域だけでは視野範囲が不足するおそれがあった。
【0012】
ここで、後退予測軌跡は、画面に重畳した虚像の情報であるため、実際の後輪の位置を視認することが必要となる。そのため、バックモニタとあわせてドアミラーを使用して実際の後輪を視認する必要があった。しかし、通常位置のドアミラーの視認範囲だけでは、ほとんどの車種では後輪を見ることが困難であり、これを解決するために、前記した特許文献1のような技術も開発されている。
【0013】
ところが、乗員は、バックモニタを視認し、視線を変えて、ドアミラーを視認するという行為は依然として必要となるため、煩わしさを解消するには至っていない。
【0014】
本発明は、特に車両を後退させて駐車するときの視認性を向上させる、後輪が含まれる車両の後側方を撮影した画像に後退予測軌跡を重畳させて表示する運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記問題を解決するため、本発明の一の実施形態は、車両の周辺を撮影した画像を運転者に視認可能に表示する運転支援装置であって、少なくとも前記車両の後輪が含まれる撮影視野を備えた前記車両の周辺を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記走行状態に応じて表示する画像を切り替える制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後輪と前記後輪側の前記車両の後側方とが一つの画像に含まれるように撮影された画像を表示手段に表示させ、前記車両が所定の舵角で後退する場合の前記後輪の後退予想軌跡を前記撮影された画像に重畳させることを特徴としている。
【0016】
前記構成によれば、たとえば、駐車場に後退して駐車するときに、後輪の実像とその後退予想軌跡が重畳された画像を表示させることができるため、車両の周囲にある障害物と車両との位置関係や距離感を容易に把握できる。また、ミラー等によって実際の後輪を視認する手間が最小限にすることができ、煩わしさを減少させる。
【0017】
本発明によれば、特に車両を後退させて駐車するときの視認性を向上させる、後輪が含まれる車両の後側方を撮影した画像に後退予測軌跡を重畳させて表示する運転支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態にかかる運転支援装置の構成を示すブロック図であり、図2は車両が後退するときの運転支援装置の作用説明図であり、(a)は上空から俯瞰した平面図、(b)は表示画面の一実施例の説明図であり、(c)は後退予想軌跡算出の一例を示す説明である。
【0019】
本実施形態は、図1に示すように、車両の後方、後側方を撮影するカメラ(撮影手段)10(11,12,13)と、カメラ10が撮影した画像15を表示するディスプレイ(表示手段)20と、ヨー角やヨーレート等の車両の走行状態を検出する走行状態検出装置(走行状態検出手段)30と、画像15に後退予想軌跡46,47を重畳させてディスプレイ20に表示するECU(制御手段)40と、表示された画像を手動で切り替える切り替えSW(切り替え手段)50と、を備えている。
【0020】
撮影装置10は、例えば、ドアミラー(図示せず)の下部およびリア側に配設されたカメラ10であり、本実施例では、図2(a)に示すように、車両の先頭方向の左側にカメラ11、リア側にカメラ12、右側にカメラ13の3つのカメラ10が配設されている。
【0021】
カメラ10は、通常の可視光用のカメラを使用することができ、たとえば、CMOSカメラおよびCCDカメラを適用することができる。
【0022】
カメラ10が車両の後方もしくは後側方を撮影した画像15は、一旦ECU40に送られ、ディスプレイ20によって表示される。
【0023】
ディスプレイ20は、画像を表示できれば特に限定されず、カーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」という)のディスプレイや、オーディオやエアコンなどの車内装備された機器のモニタ用ディスプレイ等を適用することができる。
【0024】
走行状態検出装置30は、走行状態を検出する。走行状態には、ヨー角31、ヨーレート32、シフトポジション(変速装置の状態)33、ヘッドライトの点灯または消灯、ワイパーの作動およびデフロスタの作動等の機器操作34、舵角35、走行軌跡36等が含まれ、センサやGPS等によって検出される。なお、これらは一例であり、後記する実施例に応じて、走行状態は適宜組み合わせが行われるため、必須の構成としてすべてを備える必要はないし、その他の走行状態を取得することも可能である。
【0025】
本実施形態におけるECU40は、少なくとも、メモリ(記憶手段)41と、後退予想軌跡算出装置42と、走行状態判定部43と、駐車終了判定部(駐車終了判定手段)44と、駐車スペース推定装置(駐車スペース推定手段)45と、を備えた構成としている。なお、これらは一例であり、後記する実施例に応じて、適宜組み合わせが行われるため、必須の構成としてすべてを備える必要はない。たとえば、カーナビを搭載している車両において、カーナビにそれぞれの装置の機能の一部を担わせることができれば、不足する機能を補う装置を付加する構成としてもよい。
【0026】
メモリ41は、走行状態検出装置30の検出結果を一定周期で記憶する。走行状態検出装置30は常に車両の走行状態を検出しており、メモリ41は所定の時間間隔もしくは車両の走行に当たっては所定の距離間隔(一定周期)分の走行状態を記憶する。その後、新たな走行状態が継続して検出され、再び一定周期が経過したとき、メモリ41は前の周期に検出された走行状態を削除し、現在の周期に検出された走行状態を記憶する。このことは、車両が後退駐車をする場合、たとえば、図2(a)の上側に示す位置に車両60を停止させるのが一般的であり、当該位置および当該位置に到達する前の車両の姿勢(ヨー角31、ヨーレート32)や舵角35等の走行状態の情報は、後退予想軌跡の精度を向上させるからである。
【0027】
後退予想軌跡算出装置42は、図2(a)に示すように、車両60の側面にある駐車スペースPに、車両を後退させて駐車させるときの後車輪が辿ると予想される軌跡を算出する。
【0028】
駐車する場合、乗員はステアリング(図示せず)を操作し、車両を転舵させる。乗員は、ステアリングの操作量を微調整させながら、車両の周辺を視認しつつ、車両60を矢印R方向へ後退させる。そこで、本実施形態では、図2に示すように、ステアリングの操作量である現在の舵角と連動させた舵角連動予想軌跡46と、さらなる転舵が可能な量の余裕を表すフル転舵時の予想軌跡47の二つの後退予想軌跡を算出するものとしている。算出された後退予想軌跡46,47は、画像15と重畳されディスプレイ20に表示される。図2(b)は、重畳された画像の表示例である。
【0029】
走行状態判定部43は、左後側方のカメラ11、後方のカメラ12、右後側方のカメラ13のいずれのカメラ10によって撮影された画像を表示するかを判定する。本実施形態では、後記するように、判定に当たってヨー角(走行車両の方位角)31の計測値とヨーレート(車両の旋回方向への回転角の変化する速度)32の積算値を採用している。
【0030】
前記したように、メモリ41には周期的に走行状態のデータが記憶されているため、車両が図2(a)の位置に至るまでの走行軌跡を基準として、計測された角度をヨー角31とすることができる。また、ヨーレート32についても駐車のために後退を開始する前から積算している。かかる構成によって、いずれのカメラ10(11,12,13)が撮影した画像を選択することが好適であるかを判定する上での精度を向上させることができる。
【0031】
駐車終了判定部44は、走行状態を検出しもしくはメモリ41から過去の走行状態を参照する。ここで、少なくとも、イグニッションスイッチのOFF、シフトポジション33のパーキング状態、所定時間を超える停車、現在から所定時間前までの間にシフトポジション33のリバース状態の検出記録無、車両の現在地への走行軌跡36上で現在地から所定距離までの間にシフトポジション33のリバース状態の検出記録無、および、前進状態で所定速度を超過、のいずれか1つ、または、2以上の走行状態が検出された場合は、前記車両の駐車が終了したと判定する。
【0032】
駐車スペース推定装置45は、一定の領域が区切られている駐車スペースにおいて、車両がこの駐車スペースに駐車したときに走行方向と略平行となる一の枠線を認識して駐車スペースを推定する。詳細は後記するが、この領域は路上に引かれた実際の枠線によって区切られている場合はもとより、駐車スペースに他の車両が駐車しているとき、この他の車両の側面が撮像された画像から、他の車両の側面上の複数の点に基づいて仮想枠線を推定し、この仮想枠線を枠線と認識することによって駐車スペースを推定することもできる。
【0033】
切り替えSW50は、たとえば、乗員がディスプレイ20に表示されている画像以外の画像や地図情報などを見たいときに、手動で画像を切り替えるためのものである。
【0034】
前記した内容と多少重複する部分もあるが、図2を参照して、本実施形態にかかる運転支援装置の作用を説明する。以後の説明において、(a)の車両60の先頭、後端を結ぶ中心線CLの方向をX方向とし、Xと直交する方向をY方向とする。
【0035】
図2(a)は、車両60が路上に描かれた枠線71,72L,72Rによって区切られた駐車スペースPへ後退して駐車するために、駐車スペースPの一方のコーナーRC側からXのマイナス方向へ走行し、コーナーLCを超えた位置に停車している状況を俯瞰した平面図である。そして、図では駐車スペースPの左(Xのマイナス方向)側には、他の車両65がすでに駐車している。
【0036】
略X方向に延在する中心線CLは、駐車スペースPに駐車したとき略Y方向となるため、乗員は車両60を矢印R方向へのカーブを描きながら、後退させる必要がある。図示していないが、駐車スペースPの右隣にある駐車スペースにも他の車両が駐車している場合や、駐車スペースPが壁等に囲まれている場合もあり、このとき乗員は車両60を枠線71上のコーナーLCとコーナーRCとの間から駐車スペースPへ後退させる必要がある。
【0037】
車両60には、Xのマイナス方向(先頭方向)に対して左側のドアミラー下部にカメラ11、リア側にカメラ12、右側のドアミラー下部にカメラ13の3つのカメラ10が配設されている。図では一例としてカメラ11の視野範囲VAを示している。図2(b)もあわせて参照すると分かるように、視野範囲VA内には、車両60の左後側方の状況とともに、左側後輪61を含む車両60の側面が含まれている。
【0038】
後退予想軌跡算出装置42は、車両60が駐車スペースPに駐車するときに後退予想軌跡を算出する。前記したように、本実施形態ではステアリングの操作量である現在の舵角と連動させた舵角連動予想軌跡46と、舵角調整の余裕を表すフル転舵時の予想軌跡47の二つの後退予想軌跡を算出するものとしている。算出された舵角連動の後退予想軌跡46は図2(a)の実線で表され、フル転舵時の後退予想軌跡47は破線で表されている。そして、後退予想軌跡46,47は、画像15と重畳されディスプレイ20に表示される。図2(b)は、重畳された画像の表示例である。
【0039】
図2(b)に示すように、ディスプレイ20に表示された画像15には後輪61が含まれており、後退予想軌跡46,47は、この後輪61から延在する曲線として重畳して表示される。
【0040】
図2(c)を参照して後退予想軌跡算出の一実施例を説明する。なお、図2(c)においても、(a)と同じXとYの座標軸を用いて説明し、たとえば(c)の右下の点P00は座標(X00,Y00)に位置するものとしている。ここで、点P00は、(b)に示す後退しようとして停車している車両60の後輪61の位置を示している。
【0041】
破線線分L47は、点P00から点P147,P247を経由して点P347へ引かれた複数の直線を結合した線分である。フル転舵時の予想軌跡47は、この破線線分L47をスムージングして曲線表示することによって得られる。
【0042】
次に破線線分L48は、点P00から点P148,P248を経由して点P348へ引かれた複数の直線を結合した線分である。この破線線分L48は、スムージングして曲線表示されることによって、フル転舵と直進との間の任意の舵角における後退予想軌跡が取得される。
【0043】
破線線分L47とL48を構成するそれぞれの点の座標は予め取得されており、ECU40のメモリ41もしくは後退予想軌跡算出装置42自身の記憶装置に記憶している。この記憶される破線線分の座標の数は、後記する舵角連動後退予想軌跡46の算出精度または記憶装置の容量等によって設定されている。
【0044】
実線線分L46は、点P00から点P146,P246を経由して点P346へ引かれた複数の直線を結合した線分であり、スムージングして曲線表示されることによって舵角連動後退予想軌跡46となる。実線線分L46の点P146,246,346の座標は、前記した破線線分L47とL48を構成する点から補間算出される。
【0045】
次に、点P346を例として、座標の補間算出方法を説明する。車両60が後退しようとする際の舵角がθ346であるとき、θ346は破線線分L47の舵角θ347と破線線分L48の舵角θ348の間の角度となる。ここでは、説明を簡単にするため舵角θ346は、舵角θ347と舵角θ348の中間、すなわち(θ347+θ348)/2の角度とする。
【0046】
点347と点348の座標は予め取得されており、また、これらの座標は共通した任意のY座標Y03に対してX座標、X47,X48が得られている。
【0047】
点346の座標(X46,Y03)のX46は、次のように補間算出される。
X46=(X47+X48)/2
【0048】
同様に点P146,246の座標が補間算出され実線線分L46が得られ、スムージングして曲線表示されることによって舵角連動後退予想軌跡46となる。
【0049】
なお、前記した後退予想軌跡の算出方法は一実施例であり、この方法に限定されないことは言うまでもない。すなわち、Y座標を固定した場合のX座標を取得しない場合であっても、通常の幾何計算を適用することで補間は可能であり、算出すべき舵角が、予め取得された舵角の中間ではない場合であっても、比例的に按分することで補間算出することができる。
【0050】
かかる画像の構成により、後輪の実像とその後退予想軌跡が重畳された画像を表示させることができるため、車両の周囲にある障害物と車両との位置関係や距離感を容易に把握することができる。また、後退予想軌跡46,47の表示により、ステアリングを操作することによって車両60の位置を調整できる範囲を容易に把握することができる。
【0051】
[実施例1]
次に図を参照して、ヨー角31の情報から後側方のカメラ11,13が撮影した画像(後側方モニタ)と後方のカメラ12が撮影した画像(バックモニタ)を切り替える一実施例について説明する。
【0052】
図3は車両のヨー角31の情報から後側方モニタとバックモニタを切り替えるフロー図であり、図4はヨー角と後側方モニタまたはバックモニタとの対応を表す図であり、図5はモニタ切り替えにかかる車両の姿勢もしくは挙動を表した説明平面図である。
【0053】
図3に示すように、走行状態検出装置30はヨーレート32を検出し、検出結果はたとえばメモリ41が備えるリングバッファに一旦記憶される(ステップS01)。なお、前記したように記憶された検出結果は周期的に書き換えられる。この動作は、たとえば図5の車両60の位置P1、P2において常に実行されている。ここで、一点鎖線は、車両60の左前輪の走行軌跡FTを表している。走行軌跡FTを含め、車両60の走行軌跡は前記したように周期的に記憶される。なお、以降の図においても走行軌跡FTを使用し、車両60の走行の変化を表している。
【0054】
車両60が、図5の位置P2に到達し、一旦停止し、シフトポジション33がリバース状態(R)となったとき(ステップS02:YES)、走行状態判定部43は、ヨーレート32の積算もしくはヨー角31の計測を開始する(ステップS03)。この積算および計測は、リングバッファに記憶された検出結果が参照され、シフトポジション33がリバース状態に切り替えられる所定時間前または所定距離前の状態から現時点、そして以後に対して連続的に実行される。本実施例は、かかる構成を適用することにより、後退して駐車する動作に移行する以前の走行状態検出結果をも参照することができ、ヨーレート32の積算もしくはヨー角31の計測結果の精度を向上させることができる。
【0055】
ヨーレート32の積算もしくはヨー角31の計測の開始の例としては、シフトポジション33がリバース状態に切り替えられる5秒前に設定することができる。また、シフトポジション33がリバース状態に切り替えられる前直近の、一定舵角もしくはヨーレートが0の状態が一定距離または一定時間継続した状態からの変化地点としてもよい。
【0056】
車両60が既に図5の位置P3からさらに後退して停車した場合は、駐車が終了しているため、モニタの切り替えも終了する(ステップS04:YES)。このとき駐車が終了しているか、否かは、駐車終了判定部44が、走行状態を検出しもしくはメモリ41から過去の走行状態を参照し、少なくとも、イグニッションスイッチのOFFを検出、シフトポジション33のパーキング状態(P)を検出、所定時間を超える停車を検出、現在から所定時間前までの間にシフトポジション33のリバース状態(R)の検出記録が無いことを検出、車両の現在地への走行軌跡36上で現在地から所定距離までの間にシフトポジション33のリバース状態(R)の検出記録が無いことを検出、および、前進状態で所定速度を超過したことを検出、のいずれか1つ、または、2以上の走行状態が検出された場合は、車両の駐車が終了したと判定している(ステップS04)。
【0057】
駐車が終了していない場合は(ステップS04:NO)、検出されたヨー角31に応じて後側方モニタまたはバックモニタが選択され、画像が切り替えられる。
【0058】
以下の説明では、図4もあわせて参照する。図4における車両60の姿勢AT4のヨー角が0度とは、図5の位置P0から位置P1へ車両60が直進している場合が相当する。そして、図4は姿勢AT4の車両60が矢印RD方向にある駐車スペース(図示せず)もしくは矢印LD方向にある駐車スペース(図示せず)へ後退して駐車する場合に対応するそれぞれの姿勢を示している。
【0059】
0≦ヨー角<70 または ヨー角≦−110のときは(ステップS05:YES)、車両60の姿勢は図4に示すように姿勢AT1または姿勢AT5となる。車両60を後退して駐車させるときは、隣車両などの障害物との見切りを考慮する必要があるため、姿勢AT1,AT5の場合、右後側方のカメラ13によって撮影された画像(右後側方モニタ)がディスプレイ20に表示される(ステップS06)。
【0060】
−70<ヨー角<0 または 110≦ヨー角のときは(ステップS07:YES)、車両60の姿勢は図4に示すように姿勢AT3または姿勢AT7となる。車両60を後退して駐車させるときは、隣車両などの障害物との見切りを考慮する必要があるため、姿勢AT3,AT7の場合、左後側方のカメラ11によって撮影された画像(左後側方モニタ)がディスプレイ20に表示される(ステップS08)。
【0061】
ステップS05、S07がいずれもNOの場合は、車両60の姿勢は図4に示すように姿勢AT2または姿勢AT6となる。姿勢AT2,AT6の場合、車両60を大きく操舵して後退することはないため後方のカメラ12によって撮影された画像(バックモニタ)がディスプレイ20に表示される(ステップS09)。
【0062】
図5における車両60は、図4の姿勢AT3から姿勢AT2への移行に相当するものであり、位置P2において左後側方モニタが表示され、ヨー角が−70度を超えたあたりから位置P3あたりで、表示はバックモニタに切り替えられる。
【0063】
なお、後退させて駐車しているときに切り返しを行い、車両60を前進させる場合がある。このときは、継続して左後側方モニタ、右後側方モニタもしくはバックモニタを表示する構成としてもよい。駐車終了条件に合致しない場合、ヨーレート積算値またはヨー角計測値を引き継ぐ構成としてもよい。かかる構成とすることにより、乗員は余裕をもって駐車をさせることができる。
【0064】
また、雨の日や夜間の暗い状況では、安全確認に時間が掛かるので、ヘッドライト、ワイパー、デフロスタなどの作動状況に応じて、駐車終了条件の判定時間を長くするように構成してもよい。
【0065】
次にヨー角の算出例について図を参照して説明する。図6は舵角と移動距離とを用いてヨー角を算出する説明図であり、図7は車両が前進もしくは後退の途中で舵角が変化した場合のヨー角を算出する説明図である。
【0066】
[ヨー角算出例1]
図6(a)に示すように、駐車スペースPに駐車しようとする車両60は枠線71に平行して位置P0から位置P1へ走行し、乗員は駐車スペースPを決定する。駐車スペースPが決定され、車両60を後退させて駐車スペースPに入れる場合には、位置P1から位置P2へ、大きく操舵角を右にとり、駐車スペースPにできるだけ進入しやすい姿勢にしながら車両60を前進させる。このときの姿勢は、周囲の障害物や駐車場内の通行路の幅等によって異なってくる。
【0067】
位置P2に到達した車両60は、シフトポジション33がリバース状態に変更され、駐車スペースPの両側の枠線72L,72Rの間に入れるように後退して、位置P3を経由し、駐車スペースPに駐車する。
【0068】
なお、本実施例では、車両60が前進中もしくは後退中に舵角は変化しないものとしている。
【0069】
図6(b)は、(a)の位置P1,P2,P3における車両60の姿勢の運動軌跡と位置関係を図式的に表している。ここで、対象となる車両60の走行は、駐車という低速域での運動軌跡であるため、説明を分かりやすくする上で、(b)では、二輪車両モデルとして説明している。二輪車両モデルは、(a)の位置P1,P2,P3の車両60の内部に先頭から後端へ引かれた線分を車両60の姿勢とし、線分の前後に備えた矩形は前車輪62と後車輪61とを示している。各参照番号は(b)も同様である。
【0070】
本実施形態は、前記したように、ヨー角31の計測を、シフトポジション33がリバース状態に変更される所定距離手前から開始することができる。図6(b)では、位置P1から、ヨー角の計測を開始し、車両60が位置P3の姿勢になったときのヨー角、すなわち前進から後退を経た合計のヨー角を算出する。
【0071】
図6(b)の各記号は以下の通りである。
w:ホイールベース 固定された値
σ:舵角 計測される値(f:前進、r:後退)
L:車両移動距離 計測される値(f:前進、r:後退)
R:車両旋回半径 算出される値(f:前進、r:後退)
θ:車両ヨー角 算出される値(f:前進、r:後退)
【0072】
車両60が位置P1から位置P2へ前進するときのヨー角θfは以下の通りである。
Rf=w/tanσf
θf=Lf/Rf=Lf/(w/tanσf)
【0073】
車両60が位置P2から位置P3へ後退するときのヨー角θrは以下の通りである。
Rr=w/tanσr
θr=Lr/Rr=Lr/(w/tanσr)
【0074】
従って、下記のように、前進のヨー角θfに後退のヨー角θrを加えることによって合計のヨー角θが算出される。
θ=θf+θr=Lf/(w/tanσf)+Lr/(w/tanσr)
【0075】
算出されたヨー角θと図4に示した後側方モニタまたはバックモニタとの対応に基づき、いずれかのカメラ10(11,12,13)で撮影された画像が選択される。
【0076】
[ヨー角算出例2]
図7は、車両60が位置P1から位置P2へ前進する途中、位置Pmにおいて舵角が変更された場合のヨー角の算出例を示している。
【0077】
以下の説明では、ヨー角算出例1と異なる部分を中心に説明する。使用する記号はヨー角算出例1と同様であるが、位置P1から位置Pmまでの状態をf1とし、位置Pmから位置P2までの状態をf2としている。
【0078】
車両60が位置P1から位置Pmへ前進するときのヨー角θf1は以下の通りである。
Rf1=w/tanσf1
θf1=Lf1/Rf1=Lf1/(w/tanσf1)
【0079】
車両60が位置Pmから位置P2へ前進するときのヨー角θf2は以下の通りである。
Rf2=w/tanσf2
θf2=Lf2/Rf2=Lf2/(w/tanσf2)
【0080】
従って、下記のように、前進のヨー角θf1にヨー角θf2を加えることによって合計のヨー角θfが算出される。
θf=θf1+θf2=Lf1/(w/tanσf1)+Lf2/(w/tanσf2)
【0081】
算出されたヨー角θfは、前記したヨー角算出例1のθfとして使用することができる。
【0082】
[実施例2]
次に、本発明の第1実施形態の実施例2について図面を参照して説明する。なお、実施例1と重複する部分については省略し、差異のある部分を中心に説明する。図8は、車両の舵角35の情報から後側方モニタとバックモニタを切り替える例を示す説明平面図である。なお、以下の説明において、舵角35は、直進を0度として、左をプラス側、右をマイナス側としている。
【0083】
位置P1においてシフトポジション33がリバース状態に変更された後に、舵角35の計測が開始される。車両60は、進行方向に向かって左側の駐車スペースPに後退して駐車しようとしている。そのため舵角35は左に大きく操作される。乗員は、内輪差等を考慮しつつ枠線72Lと枠線72Rの間に車両60を収容するため、特に左後側方を視認する必要がある。運転支援装置は、左後側方を撮影するカメラ11の映像を選択し(左側後方モニタ)、ディスプレイ20に表示する。
【0084】
その後、後退が進んで、位置P2に車両60が到達すると、車両60は枠線72L,72Rの間から逸脱する可能性は低くなる。そのため、乗員は、さらに車両60を後退させるにあたって、後方の障害物の存在有無に注意する必要がある。そこで、運転支援装置は、後方を撮影するカメラ12の映像に画像(バックモニタ)を切り替える。
【0085】
駐車スペースPが、車両60の進行方向右側にあり、この駐車スペースPに後退して駐車する場合は、右側後方モニタからバックモニタに移行する。
【0086】
一例をあげれば、舵角35が20度以上のときは左側後方モニタ、20度未満であってマイナス20度以上のときはバックモニタ、マイナス20度未満のときは右後側方モニタとすることにより、後退駐車の際の視認に貢献することができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と重複する部分については省略し、差異のある部分を中心に説明する。図9は、車両が後退するときの運転支援装置の作用説明図であり、(a)は上空から俯瞰した平面図、(b)は表示画面の一実施例の説明図である。
【0088】
本実施形態は、駐車スペースの領域の推定に関するものであり、基本的な構成は、第1実施形態と同じである。
【0089】
駐車スペースに枠線がある場合、本実施形態にかかる運転支援装置は公知の技術等を利用して、後方もしくは後側方が撮影された画像によって枠線を認識することができる。
【0090】
また、枠線が引かれていない駐車スペースにおいても、既に駐車している他の車両の隣や、他の車両の間に駐車する場合は、視野範囲にある他の車両の側面の任意の2点、たとえば前輪と後輪のハブ、上端や下端同士を結んだ線を枠線と推定することもできるし、他の車両の側面近傍の道路への射影を枠線と推定することができる。本実施形態はこのように枠線を認識、もしくは、推定された仮想枠線を認識する。
【0091】
図9は車両60が駐車スペースPに後退して駐車する状況を示している。図9(a)には、枠線72L,72Rが描かれているが、これらの枠線72L,72Rは駐車スペースPに予め引かれた枠線であってもよいし、既に駐車している他の車両65の側面の画像等から推定された仮想枠線であってもよい。
【0092】
車両60の先頭と後端とを結んだ線を車両の姿勢ATとすると、姿勢ATと左側の枠線72Lとの角度αは、車両60と駐車スペースPとの平行度のズレを表す。本実施形態はこの角度αに応じてディスプレイ20に表示する画像を切り替える。なお、以下の説明において、角度αは、枠線72Lを0度として、車両60の先頭が枠線の左側を向くときをプラス側、右側を向くときをマイナス側としている。
【0093】
角度αは、後方のカメラ12によって撮影された画像に対して視点角度の変換を行うことによって算出されている。かかる方法は、公知技術であるが、簡単に説明する。最初に、カメラ12が装着されたときに、姿勢ATの線が車両進行方向と一致する方向を指示できるように較正する。この較正によって、図9(b)のような姿勢ATが得られる。次にこの姿勢ATと枠線72L,72Rを、図9(a)のような俯瞰座標系に変換する。この俯瞰座標系において姿勢ATと枠線72Lとがなす角度を算出し、角度αとしている。
【0094】
位置P1においてシフトポジション33がリバース状態に変更された後に、姿勢ATの計測が開始される。車両60は、進行方向に向かって左側の駐車スペースPに後退して駐車しようとしている。そのため角度αはプラス方向の大きい角度となる。乗員は、内輪差等を考慮しつつ枠線72Lと枠線72Rの間に車両60を収容するため、特に左後側方を視認する必要がある。運転支援装置は、左後側方を撮影するカメラ11の映像を選択し(左側後方モニタ)、ディスプレイ20に表示する。
【0095】
その後、後退が進んで、位置P2に車両60が到達すると、車両60は枠線72L,72Rの間から逸脱する可能性は低くなる。そのため、乗員は、さらに車両60を後退させるにあたって、後方の障害物の存在有無に注意する必要がある。そこで、運転支援装置は、後方を撮影するカメラ12の映像に画像(バックモニタ)を切り替える。
【0096】
駐車スペースPが、車両60の進行方向右側にあり、この駐車スペースPに後退して駐車する場合は、右側後方モニタからバックモニタに移行する。
【0097】
一例をあげれば、角度αが20度以上のときは左側後方モニタ、20度未満であってマイナス20度以上のときはバックモニタ、マイナス20度未満のときは右後側方モニタとすることにより、後退駐車の際の視認に貢献することができる。
【0098】
図9(b)は、表示されたバックモニタの一例である。図に示すように、認識された枠線72L,72Rが表示されるとともに、後退予想軌跡46が重畳して表示される。このように、本実施形態は、駐車場の枠線の有無にかかわらず、駐車のための視覚支援をすることができる。なお、姿勢ATの線は、通常は表示されない。
【0099】
以上、本発明について好適な実施形態を説明した。本発明は、図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1実施形態にかかる運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】車両が後退するときの運転支援装置の作用説明図であり、(a)は上空から俯瞰した平面図、(b)は表示画面の一実施例の説明図であり、(c)は後退予想軌跡算出の一例を示す説明図である。
【図3】車両のヨー角31の情報から後側方モニタとバックモニタを切り替えるフロー図である。
【図4】ヨー角と後側方モニタまたはバックモニタとの対応を表す図である。
【図5】モニタ切り替えにかかる車両の姿勢もしくは挙動を表した説明平面図である。
【図6】舵角と移動距離とを用いてヨー角を算出する説明図である。
【図7】車両が前進もしくは後退の途中で舵角が変化した場合のヨー角を算出する説明図である。
【図8】車両の舵角の情報から後側方モニタとバックモニタを切り替える例を示す説明平面図である。
【図9】第3実施形態にかかる車両が後退するときの運転支援装置の作用説明図であり、(a)は上空から俯瞰した平面図、(b)は表示画面の一実施例の説明図である。
【符号の説明】
【0101】
10,11,12,13 カメラ
15 画像
20 ディスプレイ
30 走行状態検出装置
31 ヨー角
32 ヨーレート
33 シフトポジション
34 機器操作
35 舵角
36 走行軌跡
40 ECU
41 メモリ
42 後退予想軌跡算出装置
43 走行状態判定部
44 駐車終了判定部
45 駐車スペース推定装置
46,47 後退予想軌跡
50 切り替えSW
60 車両
61 後輪
62 前輪
65 他の車両
71,72L,72R 枠線
P 駐車スペース
θ ヨー角(算出)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影した画像を運転者に視認可能に表示する運転支援装置であって、
少なくとも前記車両の後輪が含まれる撮影視野を備えた前記車両の周辺を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像を表示する表示手段と、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態に応じて表示する画像を切り替える制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後輪と前記後輪側の前記車両の後側方とが一つの画像に含まれるように撮影された画像を表示手段に表示させ、
前記車両が所定の舵角で後退する場合の前記後輪の後退予想軌跡を前記撮影された画像に重畳させる、運転支援装置。
【請求項2】
前記撮影手段は、前記車両の後方の撮影視野を備え、
前記走行状態は、少なくともヨー角を含み、
前記制御手段は、前記ヨー角に応じて前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの画像を表示手段に表示させる、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記車両の後方の撮影視野を備え、
前記走行状態は、少なくともヨーレートを含み、
前記制御手段は、前記ヨーレートに応じて前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの画像を表示手段に表示させる、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記車両が走行している間、検出された前記走行状態を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後退が開始される所定距離前の前記記憶手段に記憶されたヨーレートまたはヨー角から、ヨーレートの積算を開始する、もしくは、ヨー角の計測を開始する、請求項2または請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両が走行している間、検出された前記走行状態を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後退が開始される所定時間前の前記記憶手段に記憶されたヨーレートまたはヨー角から、ヨーレートの積算を開始する、もしくは、ヨー角の計測を開始する、請求項2または請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御手段は、変速装置のリバース状態が検出されたときに前記車両が後退すると判定する、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記走行状態は、前記車両の機器操作を含み、
前記制御手段は、前記機器操作が検出されたとき、前記車両のいずれかの後側方もしくは後方の画像を表示手段に表示させる、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の運転支援装置
【請求項8】
前記機器操作は、少なくともヘッドライトの点灯または消灯、ワイパーの作動およびデフロスタの作動を含む、請求項7に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記走行状態は、前記車両の舵角を含み、
前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後退が開始される手前であって、前記車両が一定の舵角を所定時間または所定距離継続した後の舵角が変化した地点から、ヨーレートの積算を開始する、もしくは、ヨー角の計測を開始する、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記舵角に応じて前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの画像を表示手段に表示させる、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記車両が後退するとき、前記後退が開始される手前であって、前記車両のヨーレートが所定時間または所定距離の間ゼロを維持し、その後変化した地点からヨーレートの積算を開始する、もしくは、ヨー角の計測を開始する、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項12】
所定の駐車終了条件に基づいて駐車終了の判定を行う駐車終了判定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記駐車終了の判定がされるまで、前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの画像を表示手段に表示させる、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記駐車終了の判定がされるまで、ヨーレートの積算を継続する、もしくは、ヨー角の計測を継続する、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項14】
前記駐車終了判定手段は、前記走行状態を検出しもしくは前記記憶手段から過去の前記走行状態を参照し、少なくとも、イグニッションスイッチのOFF、変速装置のパーキング状態、所定時間を超える停車、現在から所定時間前までの間に変速装置のリバース状態の検出記録無、前記車両の現在地への走行軌跡上で現在地から所定距離までの間に変速装置のリバース状態の検出記録無、および、前進状態で所定速度を超過、のいずれか1つ、または、2以上の前記走行状態が検出された場合は、前記車両の駐車が終了したと判定する請求項12または請求項13に記載の運転支援装置。
【請求項15】
前記表示手段に表示された前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの一の画像を他の画像に手動で切り替える切り替え手段をさらに備えた、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項16】
一定の領域が区切られている駐車スペースにおいて、前記車両がこの駐車スペースに駐車したときに走行方向と略平行となる一の枠線を認識して前記駐車スペースを推定する駐車スペース推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車両が後退して前記駐車スペースに駐車するとき、前記一の枠線に対する前記車両の走行方向の平行度に応じて、前記車両の後側方もしくは後方のいずれかの画像を表示手段に表示させる、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項17】
前記駐車スペース推定手段は、前記駐車スペースが路上に引かれた実枠線によって一定の領域が区切られているとき、この実枠線を前記一の枠線と認識する、請求項16に記載の運転支援装置。
【請求項18】
前記駐車スペース推定手段は、前記駐車スペースに他の車両が駐車しているとき、この他の車両の側面が撮像された画像から、前記側面上の複数の点に基づいて仮想枠線を推定し、この仮想枠線を前記一の枠線と認識する、請求項16に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−47105(P2010−47105A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212762(P2008−212762)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】