説明

過剰遅延勾配を監視する地上システムおよび方法

【課題】衛星信号の水平遅延勾配を監視する処理機能部を提供すること。
【解決手段】処理機能部は、衛星差分モジュール、二重差分モジュール、および勾配推定器モジュールを含む。衛星差分モジュールは、互いに既知の幾何学的関係を有する少なくとも2つの基準受信機から、少なくとも2つの衛星の搬送波位相測定値を受け取る。衛星は、被監視衛星および少なくとも1つの他の衛星を含む。衛星差分モジュールは、被監視衛星からの信号と少なくとも1つの他の衛星からの信号との搬送波位相測定値の差分を決定する。二重差分モジュールは、少なくとも2つの基準受信機の対の間の二重差分を形成し、対の間の二重差分を基準受信機の既知の位置の差で補償し、二重差分を平均化する。勾配推定器モジュールは、被監視衛星に関する平均化された補償二重差分に基づいて水平遅延勾配の大きさを推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府実施許諾権
[0001]合衆国政府は、FAAにより与えられた政府契約書番号DTFAWA−03−D−03009の条項により与えられた本発明の一定の権利を有することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002]電離層の電子密度は、地理的位置および時間に応じて変化する。国際民間航空機関(ICAO)は、電離層異常、すなわち電離層の電子密度の極端な変化に由来する、航空機の航法および誘導システムに対する脅威に対処するための基準を開発している。基準の開発により、電離層異常による信号の遅延勾配に関する地上監視が、絶対的なものであり、過去の衛星測定値に対する相対的なものではないことが重要であることが示された。衛星が地上型GPS補強システムの視界内まで動くとき、衛星からの測定値の極めて初期の組から極端な勾配を検出することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]本出願は、衛星信号の水平遅延勾配を監視する処理機能部に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
処理機能部は、衛星差分モジュール、二重差分モジュール、および勾配推定器モジュールを含む。衛星差分モジュールは、少なくとも2つの基準受信機から少なくとも2つの衛星の搬送波位相測定値を受け取るように構成される。少なくとも2つの衛星は、被監視衛星および少なくとも1つの他の衛星を含む。少なくとも2つの基準受信機は、互いに既知の幾何学的関係を有する。衛星差分モジュールは、被監視衛星からの信号と少なくとも1つの他の衛星のうちの少なくとも1つからの信号との搬送波位相測定値の差分を決定する。二重差分モジュールは、搬送波位相測定値の差分に基づいて少なくとも2つの基準受信機の1つまたは複数の対の間の二重差分を形成し、対の間の二重差分を対における基準受信機の既知の位置の差で補償し、補償二重差分をマイナス1/2波長からプラス1/2波長の範囲に制限するためにモジュロ演算を実行し、少なくとも2つの衛星間で被監視衛星に関して他の衛星にわたって二重差分を平均化するように構成される。勾配推定器モジュールは、被監視衛星に関する平均化された補償二重差分に基づいて水平遅延勾配の大きさを推定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明による、衛星信号の過剰遅延勾配を監視する地上局の実施形態を示す図である。
【図2】本発明による処理機能部の実施形態を示す図である。
【図3A】本発明による、過剰遅延勾配を監視する方法の1つの実施形態を表すフローチャートである。
【図3B】本発明による、過剰遅延勾配を監視する方法の1つの実施形態を表すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態における、遅延勾配自由ノイズ誤差分布を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における、3つの基準受信機の勾配ノイズ誤差分布を示す図である。
【図6】本発明による、4つの基準受信機の実施形態の勾配ノイズ誤差分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0010]一般的な慣例に従って、示される様々な特徴部は、原寸に比例して示されておらず、本発明に関連する特徴部を強調するように描かれている。図および文章を通して、同様の参照文字は、同様の要素を示す。
【0007】
[0011]過剰遅延勾配モニタは、地上局内の最も要求の厳しいモニタのうちの1つである。過剰遅延勾配モニタは、搬送波精度をミリメートルレベルに保持することを必要とする。本明細書に述べる水平遅延勾配モニタは、水平面内に配置される3つの非同一直線上基準受信機における搬送波位相測定値を比較することによって、地上局で受信する信号に影響を及ぼす遅延勾配の水平成分を検出する。遅延勾配の水平成分は、3つの非同一直線上基準受信機が配置される平面内にある。水平遅延勾配モニタは、遅延勾配が過剰か否かも決定する。遅延勾配が過剰であるとき、被監視衛星から送信される信号の基準受信機の対における遅延量差は、他の衛星から送信され、同時に基準受信機の同じ対において受信する信号の平均遅延量差よりも(被選択閾値よりも大きい値だけ)大きい。
【0008】
[0012]一方向の勾配を測定するために、最低2つの基準受信機が必要とされる。この構成は、線に沿った遅延勾配の検出のみを必要とする地上局設備に有効である。たとえば、水平勾配モニタは、滑走路の方向に平行な線に沿って配置される2つの基準受信機を含むことができる。そのような水平勾配モニタは、「線勾配モニタ」である。最低3つの非同一直線上基準受信機は、3つの非同一直線上基準受信機の水平面内のいずれかの線に沿った勾配を測定するために、水平勾配モニタ内に必要とされる。
【0009】
[0013]4つ以上の基準受信機が利用できるとき、水平遅延勾配に対する感度を改善するために、重複情報が使用される。「異常遅延勾配」、「遅延勾配」、「電離層遅延勾配」、および「水平遅延勾配」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0010】
[0014]図1は、本発明による、衛星信号における過剰遅延勾配を監視する地上局90の実施形態を示す。図1に示されるように、地上局90は、水平遅延勾配モニタ95および地上局ブロードキャスト部92を含む。地上局ブロードキャスト部92は、地上局90の近くの航空機に信号を送信する地上局90の一部分である。水平遅延勾配モニタ95は、被監視衛星200−1から送信される信号400−1に関して水平面内に存在する過剰遅延勾配を監視する。
【0011】
[0015]水平遅延勾配モニタ95は、互いに既知の幾何学的関係で配置される少なくとも2つの基準受信機、および処理機能部100を含む。図1に示される実施形態は、4つの基準受信機251〜254を含む。水平遅延勾配は、4つの基準受信機251〜254を含む平面内にある水平成分を有する。処理機能部100は、基準受信機251〜254の各々に伝達可能に結合される。水平遅延勾配モニタ95は、動作中、少なくとも2つの衛星200(1〜N)からの信号を受信する。基準受信機251〜254は、本明細書で「RR」とも示される地上基準受信機251〜254である。
【0012】
[0016]位相面として全体的に示される無線周波数信号400(1〜N)は、衛星200(1〜N)から、それぞれ(Nは、正の整数である)放たれる。無線周波数信号400(1〜N)は、20によって全体的に示される電離層を通って地上局90に伝播する。4つの基準受信機251〜254は、被監視衛星200−1および他の衛星200(2〜N)からの無線周波数信号400(1〜N)を受信する。理解されるように、各基準受信機251〜254は、基準受信機252上のアンテナ262などのアンテナを備える無線周波数受信機である。明確に示すために、1つのアンテナ262(第2の基準受信機252上に見られる)だけが示される。
【0013】
[0017]無線周波数信号の位相に影響を及ぼす、電離層20内の異常遅延勾配22が存在する可能性があり、それらの信号は、異常遅延勾配22を通って伝播する。異常遅延勾配22は、電離層20内の平行線模様の密度の増大によって示される。たとえば、図1に示されるように、被監視衛星200−1からの無線周波数信号400−1は、4つの基準受信機251〜254の方へ伝播するとき、異常遅延勾配22を通過する。遅延勾配22は、信号が地表面上で受信されるとき、水平勾配になる。これは、受信機が地表面上で動くとき、受信する信号の電離層遅延が変化することを意味する。
【0014】
[0018]それぞれの衛星200(1〜N)から送信される無線周波数信号400(1〜N)は、基準受信機251〜254においてほぼ同時刻にサンプリングされる。基準受信機251〜254内のレジスタ(図示せず)は、受信するn番目の衛星無線周波数信号400−nの瞬時搬送波位相角度を示す数を記憶するが、ここでnは正の整数である。レジスタは、基準受信機251〜254の各々の中で、n番目の衛星200−nから受信する無線周波数信号に関して連続的に更新される。n番目の衛星無線周波数信号400−nは、少なくとも2つの衛星のうちの1つからのものである。レジスタからの瞬時読込値は、本明細書では「搬送波位相測定値」または「瞬時搬送波位相測定値」と呼ばれる。基準受信機251〜254内の搬送波追跡ループ(図示せず)は、得られる位相およびドップラー誤差を推定し、基準受信機251〜254の視界内のN機の衛星200(1〜N)の各々に関するそのようなレジスタを更新する。各基準受信機に関するダウンコンバートは、N機の衛星200(1〜N)すべてに共通であり、したがって、レジスタに示される瞬時搬送波位相は、0°から360°の範囲内で、受信する衛星信号間の相対的な位相を決定するために使用することができる。相対的な位相とは、少なくとも2つの衛星から送信され、同時に基準受信機251〜254において受信する信号間の位相関係である。したがって、相対的な位相は、少なくとも2つの衛星から送信され、同時に基準受信機251〜254において受信する信号間の搬送波位相測定値の差である。
【0015】
[0019]少なくとも2つの基準受信機251〜254間の既知の幾何学的関係は、第1の基準受信機251から第2の基準受信機252へのベクトルa、第1の基準受信機251から第3の基準受信機253へのベクトルb、および第1の基準受信機251から第4の基準受信機254へのベクトルcによって示される。したがって、対における基準受信機は、すべての対270〜272に共通の基準受信機251に対する既知の位置の差を有する。たとえば、ベクトルaは、対270を形成する基準受信機251および252の既知の位置の差であり、ベクトルbは、対271を形成する基準受信機251および253の既知の位置の差であり、ベクトルcは、対272を形成する基準受信機251および254の既知の位置の差である。
【0016】
[0020]被監視衛星とは、水平電離層遅延勾配の大きさが被選択閾値に対して監視される衛星である。第1の衛星200−1は、本明細書では被監視衛星200−1と呼ばれているが、地上局90は、N機の衛星200(1〜N)のうちの2つ以上に対する電離層遅延勾配を監視することができることを理解されたい。したがって、処理機能部100内のソフトウェアモジュールは、N機の衛星200(1〜N)のうちの2つ以上を監視するために実行でき、衛星200(1〜N)のうちの2つ以上は、被監視衛星となる。複数の実施形態において、すべての衛星200(1〜N)は、被監視衛星100(1〜N)となる。
【0017】
[0021]本明細書に述べる実施形態において、ベクトルa、b、およびcの長さは、同じ位相関係の周期的繰返しによって生じる搬送波位相不定性を回避するのに十分に小さい。基準受信機間の許容可能な幾何学的関係は、受信する信号の波長および許容可能な遅延勾配の範囲に関係する。例示的な場合において、衛星200(1〜N)によって送信される無線周波数信号の波長λは、19cmである。検出される遅延勾配は、−400mm/kmから+400mm/kmの範囲(すなわち800mm/kmの合計範囲)内にある。ベクトルa、b、およびcの長さは、50mから200mの範囲内にある。この例示的な場合において、最大搬送波位相誤差δXc=800mm/kmx0.2km=16cmであり、それは、19cmの波長未満である。したがって、基準受信機251〜254のこの例示的な構成において、(δXc+19cmの同じ位相関係の繰返しによって生じる)搬送波位相不定性は、回避される。
【0018】
[0022]基準受信機251〜254は、同じクロックによって駆動されず、その結果、受信機内で生成される基準位相は、同期しない。基準受信機251〜254が単一のクロックに同期するものとした場合、基準位相は同一となり、異常勾配は、第1の基準受信機における第1の衛星用のレジスタと、第2の基準受信機における第1の衛星用のレジスタとを比較することによって検出することができるであろう。本明細書に述べる方法およびシステムの実施形態は、少なくとも2つの非同期基準受信機が、同じ衛星の少なくとも2つからの信号を受信するとき、異常勾配を検出する。非同期基準受信機内の信号を同時にサンプリングするのに、外部基準が必要とされる。GPSなどの全地球的航法衛星システムにおいて、(GPS時間などの)衛星システム時間は、外部基準として使用することができる。本明細書での定義によれば、非同期基準受信機において同時に(または、ほぼ同時に)サンプリングされる信号は、非同期基準受信機において「同時に受信される」または「ほぼ同時に受信される」。
【0019】
[0023]1つの実施形態において、地上局90は、GBAS地上局90である。本明細書に述べる地上局90は航空機着陸システム用であるが、本発明は、全地球的測位システム衛星からの正確な入力値を要求するシステムにおいて実施することができ、航空機および/または航空機用の地上局と共に使用することに限定されない。
【0020】
[0024]図2は、本発明による処理機能部100の実施形態を示す。処理機能部100は、衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、勾配推定器モジュール130、メモリ150、および少なくとも1つのプロセッサ160を含む。衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、および勾配推定器モジュール130は、記憶媒体170内に記憶されるソフトウェアモジュールである。衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、および勾配推定器モジュール130は、本明細書に述べる機能を実行するためのコンピュータ命令でエンコードされるコンピュータ読取可能媒体を含む。この実施形態の1つの実装形態において、衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、および勾配推定器モジュール130のうちの1つまたは複数は、同じモジュールである。
【0021】
[0025]衛星差分モジュール110は、二重差分モジュール120に入力値を提供するために伝達可能に結合される。二重差分モジュール120は、勾配推定器モジュール130に入力値を提供するために伝達可能に結合される。プロセッサ160は、衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、および勾配推定器モジュール130内のソフトウェアを実行するために伝達可能に結合される。メモリ150は、本明細書に述べる機能を実行するのに要求されるように、衛星差分モジュール110、二重差分モジュール120、および勾配推定器モジュール130を互いに仲介するために伝達可能に結合される。
【0022】
[0026]メモリ150は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性メモリ、リードオンリメモリ(ROM)、および/またはプロセッサ160内のレジスタなどの現在既知の、または後に開発されるいずれかの適切なメモリを含む。記憶媒体170は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、リードオンリメモリ(ROM)などの現在既知の、または後に開発されるいずれかの記憶装置を含む。1つの実装形態において、プロセッサ160は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む。さらに、プロセッサ160およびメモリ150は、図1では別個の要素として示されるが、1つの実装形態においては、プロセッサ160およびメモリ150は、単一のデバイス(たとえば単一の集積回路デバイス)内に実装される。1つの実装形態において、プロセッサ160は、特定用途向け集積回路(ASIC)などのプロセッササポートチップおよび/またはシステムサポートチップを含む。
【0023】
[0027]処理機能部100の実装形態を、ここで図3Aおよび3Bを参照して詳細に述べる。被監視衛星200−1と比較するための衛星200(2〜K)(KはN以下の整数)の部分集合を使用する4つの基準受信機251〜254に関する方法300を述べる。衛星200(1〜N)は、基準受信機251〜254の視界内にある。本明細書での定義によれば、衛星から送信される無線周波数信号が、基準受信機内で追跡されるのに十分な出力でアンテナに受信されるとき、衛星は、基準受信機の視界内にあるとする。
【0024】
[0028]図3Aおよび3Bは、本発明による、異常電離層遅延勾配によって生じる水平遅延勾配を地上基準受信機から衛星までの見通し線に沿って監視する、方法300の1つの実施形態を表すフローチャートを示す。本発明300は、図1に示される電離層遅延勾配を監視する地上局90、および図2に示される処理機能部100を参照して述べるが、方法300は、本明細書を読む当業者に理解可能なシステムの他の実施形態を使用して実装することができることを理解されたい。
【0025】
[0029]ブロック302において、少なくとも2つの基準受信機251〜254が、互いに既知の幾何学的関係で配置される。この実施形態の1つの実装形態において、4つの基準受信機251〜254が、互いに既知の幾何学的関係で配置される。この実施形態の別の実装形態において、4つの基準受信機251〜254が、処理機能部100に近接して配置される。ブロック304において、無線周波数信号400−1および400−2は、少なくとも2つの基準受信機251〜253において、被監視衛星200−1および少なくとも1つの他の衛星200−2から同時に受信する。この実施形態の1つの実装形態では、無線周波数信号400(1〜K)は、4つの基準受信機251〜254において、それぞれ被監視衛星200−1およびK−1機の他の衛星200(2〜K)から同時に受信するが、ここでKは、N以下の整数である。基準受信機は、各衛星に特有の疑似乱数コード、または衛星を特定するために使用される衛星から受信する他のデータによって、どの信号がどの衛星から来たのかを決定することができる。
【0026】
[0030]ブロック306において、基準受信機251〜253は、被監視衛星200−1から受信する無線周波数信号400−1および別の衛星200−2から同時に受信する無線周波数信号に関する搬送波位相測定値を生成する。4つの基準受信機251〜254が存在し、K−1機の他の衛星200(2〜K)が被監視衛星200−1に加えて使用されているとき、基準受信機251〜254は、被監視衛星200−1から受信する無線周波数信号400−1およびK−1機の他の衛星200(2〜K)から同時に受信する無線周波数信号400(2〜K)に関する搬送波位相測定値を生成する。1つの実施形態において、他の衛星200(2〜N)のすべては、被監視衛星200−1を監視するのに使用される。基準受信機251〜254は、無線または有線のリンク105(図1)を介して、生成された搬送波位相測定値を示す情報を処理機能部100に送る。
【0027】
[0031]ブロック308において、処理機能部100の衛星差分モジュール110は、少なくとも2つの基準受信機251〜254から生成された搬送波位相測定値を受け取る。
[0032]ブロック310において、衛星差分モジュール110は、被監視衛星からの信号と少なくとも1つの他の衛星からの信号との搬送波位相測定値の差分を決定する。少なくとも2つの基準受信機からの搬送波位相測定値は、衛星差分モジュール110において受け取られる。衛星差分モジュール110は、基準受信機251〜254において被監視衛星200−1から受信する無線周波数信号400−1と、基準受信機251〜254において他の衛星の少なくとも部分集合200(2〜K)から受信する無線周波数信号400(2〜K)との搬送波位相測定値の差分を決定する。
【0028】
[0033]たとえば、衛星差分モジュール110は、第1の基準受信機251における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第1の基準受信機251における第2の衛星200−2の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。衛星差分モジュール110は、第2の基準受信機252における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第2の基準受信機252における第2の衛星200−2の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。衛星差分モジュール110は、第3の基準受信機253における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第3の基準受信機253における第2の衛星200−2の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。
【0029】
[0034]他の衛星の部分集合内に3つの衛星200(2〜3)が存在するとき、衛星差分モジュール110は、第1の基準受信機251における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第1の基準受信機251における第3の衛星200−3の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。衛星差分モジュール110は、第2の基準受信機252における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第2の基準受信機252における第3の衛星200−3の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。衛星差分モジュール110は、第3の基準受信機253における第1の衛星200−1の瞬時搬送波位相測定値と、第3の基準受信機253における第3の衛星200−3の瞬時搬送波位相測定値との差を取得する。
【0030】
[0035]このように、衛星差分モジュール110は、各基準受信機に関する(K−1)個の差分δΦn,kを確立するが、ここで、「m」はm番目の基準受信機に関する正の整数であり、「n」はn番目の共通に評価される衛星(被監視衛星)に関する正の整数であり、「k」はk番目の他の衛星に関する正の整数である。
【0031】
[0036]衛星差分モジュール110は、行列形式で示すことができる差分を決定する。(被監視衛星を含む)4つの衛星が存在するとき、第1の基準受信機251に関する差分行列は、以下の形式を有する。
【0032】
【数1】

【0033】
[0037]同様に、衛星差分モジュール110は、第2の基準受信機252に関する差分行列を生成し、その行列は、以下の形式を有する。
【0034】
【数2】

【0035】
[0038]同様に、衛星差分モジュール110は、第3の基準受信機253に関する差分行列を生成し、その行列は、以下の形式を有する。
【0036】
【数3】

【0037】
[0039]同様に、衛星差分モジュール110は、第4の基準受信機254に関する差分行列を生成し、その行列は、以下の形式を有する。
【0038】
【数4】

【0039】
[0040]したがって、衛星差分モジュールは、入力値を衛星差分モジュール110に提供する各基準受信機に関する(K−1)個の差分δΦを計算するが、ここでKは部分集合内の衛星の数である。これらの差分は、第1の衛星200−1および部分集合200(2〜K)内の他の衛星から送信される無線周波数信号400(1〜K)の間で、0°から360°内の相対的な位相を反映する。これらの差分の変化率は、ドップラー変動に関係し、その変化率は、−4000m/sから+4000m/sの範囲内にある。この変化率によって生じる差分δΦの誤差は、異なる基準受信機251〜254間のタイミング精度に関する制限を設ける。衛星差分モジュール110は、二重差分モジュール120に差分δΦn,kを送る。二重差分モジュール120は、衛星差分モジュール110から差分δΦn,kを受け取る。
【0040】
[0041]ブロック312において、二重差分モジュール120は、基準受信機の対270、271、および272間の二重差分(dn,k)を形成する。第1の対270に関する二重差分は、第1の基準受信機251と第2の基準受信機252とのδΦn,kの差分であり、その値は、
n,k[RR1,RR2]=δΦn,k−δΦn,k (5)
と数学的に表される。
【0041】
[0042]4つの基準受信機および被監視衛星に対する他の3つの衛星が存在するとき、第1の対270の間の二重差分は、式(2)から式(1)を差し引くことによって得られ、dn,k[RR1,RR2]=δΦn,k−δΦn,kを得て、第2の対271の間の二重差分は、式(3)から式(1)を差し引くことによって得られ、dn,k[RR1,RR3]=δΦn,k−δΦn,kを得て、第3の対272の間の二重差分は、式(4)から式(1)を差し引くことによって得られ、dn,k[RR1,RR4]=δΦn,k−δΦn,kを得る。
【0042】
[0043]方法300のフローは、図3Aのブロック312から図3Bのブロック314に進む。ブロック314において、二重差分モジュール120は、二重差分を対における基準受信機の既知の位置の差で補償する。この補償は、位置の差が衛星までの見通し線上に射影される幾何学的補償プロセスである。共通の基準受信機251と他の基準受信機252〜254との(対270〜272における)既知の幾何学的関係および見通し線を規定する単位ベクトルは、プロセスのこのステップにおいて使用される。上述のように、既知の幾何学的関係は、第1の基準受信機251から第2の基準受信機252へのベクトルa、第1の基準受信機251から第3の基準受信機253へのベクトルb、および第1の基準受信機251から第4の基準受信機254へのベクトルcによって示される。
【0043】
[0044]ブロック316において、二重差分モジュール120は、少なくとも2つのそれぞれの基準受信機251〜254に関連するアンテナの仰角および方位角に依存するアンテナ変動を補償する。この実施形態の1つの実装形態において、二重差分モジュール120は、アンテナの仰角および方位角に依存するアンテナ変動を補償するために、(球面調和関数などの)関数級数を使用する。この実施形態の別の実装形態において、二重差分モジュール120は、アンテナの仰角および方位角に依存するアンテナ変動を補償するために、表中の数および補間を使用する。ブロック316は任意選択であり、いくつかの実施形態では、それぞれの基準受信機に関連するアンテナの仰角および方位角に依存するアンテナ変動を補償しない。
【0044】
[0045]ブロック318において、二重差分モジュール120は、補償二重差分に関してモジュロ演算を実行する。モジュロ演算は、整数波長を差し引くことによってマイナス1/2波長からプラス1/2波長の範囲(±λ/2)に位相を制限する。
【0045】
[0046]ブロック320において、二重差分モジュール120は、対270、271、および272の形成された二重差分に関して、他の衛星にわたって二重差分を平均化する。基準受信機251および252の第1の対270における第1の(被監視)衛星200−1の平均化された二重差分は、
[d[RR1,RR2]=1/(K−1){d1,2[RR1,RR2]+...+d1,K[RR1,RR2]} (6)
となる。
【0046】
[0047]基準受信機251および253の第2の対271における第1の(被監視)衛星200−1の平均化された二重差分は、
[d[RR1,RR3]=1/(K−1){d1,2[RR1,RR3]+...+d1,K[RR1,RR3]} (7)
となる。
【0047】
[0048]同様に、基準受信機251および254の第3の対272における第1の(被監視)衛星200−1の平均化された二重差分は、
[d[RR1,RR4]=1/(K−1){d1,2[RR1,RR4]+...+d1,K[RR1,RR4]} (8)
となる。
【0048】
[0049]1つよりも多い衛星200(1〜N)が監視されているとき、基準受信機251および252の第1の対270における(衛星200−2などの)第2の被監視衛星の平均化された二重差分は、
[d[RR1,RR2]=1/(K−1){d2,1[RR1,RR2]+d2,3[RR1,RR2]+...+d2,K[RR1,RR2]}(9)
などとなり、本明細書を読んで理解すれば当業者にはわかる。他のN−1機すべての衛星にわたって平均化が行われると、項(1−N)が式(6)〜(9)の分母の(1−K)に置き換わり、Nが合計のKに置き換わる。
【0049】
[0050]この実施形態の1つの実装形態において、式(6)〜(9)内の合計の成分は、位相ノイズ1σによって重み付けされ、すべてのノイズ成分が、式(6)〜(9)に示される同じ重みを有するわけではない。無線周波数信号400(1〜N)の大部分のノイズ誤差は、マルチパスおよび熱ノイズの標準的モデルに基づいて予測することができる。
【0050】
[0051]1つの実施形態において、さらに、二重差分モジュール120は、ノイズ成分を低減するのに二重差分をフィルタリングする。別の実施形態において、さらに、二重差分モジュールは、補償二重差分を経時的に平均化するように構成される。さらに別の実施形態において、二重差分モジュールは、補償二重差分を経時的に平均化し、ノイズ成分を低減するのに二重差分をフィルタリングするように構成される。
【0051】
[0052]二重差分モジュール120は、勾配推定器モジュール130に入力値を提供するために伝達可能に結合される。勾配推定器モジュール130に提供される入力値は、平均化された(モジュロ演算を含む)補償二重差分である。平均化された補償二重差分は、勾配推定器モジュール130において受け取られる。ブロック322において、勾配推定器モジュール130は、被監視衛星200−1と基準受信機251〜254の対170〜172との間の電離層20内の勾配22から生じる水平遅延勾配の大きさを推定する。水平遅延勾配は、他の異常信号条件から生じる可能性もある。
【0052】
[0053]基準受信機251〜254における(すなわち3つの基準受信機のみにおける)水平遅延勾配を推定するために使用される、地上局90の処理機能部100内の少なくとも1つのプロセッサ160によって実行されるアルゴリズムの実施形態をここで述べる。3つの基準受信機251〜253の部分集合は、本明細書では数学的に{RR1,RR2,RR3}と表される。座標系(x,y)は、地上システムが配置され、本明細書で水平面とも呼ばれる、地上局の表面の接平面内にある。第1の基準受信機RR1は、(x,y)座標系の原点にある。第1の基準受信機RR1に対して、第2の基準受信機RR2は、
【0053】
【数5】

【0054】
に配置され、第3の基準受信機RR3は、
【0055】
【数6】

【0056】
に配置される。位置勾配測定値行列H(サイズ2x2)は、
【0057】
【数7】

【0058】
と記述される。
[0054]各受信機からのノイズは、{RR1,RR2,RR3}に対して{w,w,w}と定められる。測定値ノイズベクトルw_(w_の_はwの下に_を付した記号を表す:以下同様)(サイズ2x1)は、
【0059】
【数8】

【0060】
となる。
[0055]測定値ベクトルは、z_(z_の_はzの下に_を付した記号を表す:以下同様)(サイズ2x1)であり、
【0061】
【数9】

【0062】
となるようにし、ここで、G_(G_の_はGの下に_を付した記号を表す:以下同様)サイズ2x1)は、(勾配推定器モジュール130によって測定される)真の過剰勾配ベクトルであり、zの平均化された補償二重差分は、メートル単位で以下のようになる。
【0063】
【数10】

【0064】
ノイズプロセス{w,w,w}は、熱および広帯域ノイズ、マルチパスノイズ、(補償後の)残留アンテナ変動、ならびに通常の勾配を含む。接平面(x,y)における遅延勾配は、z_の平均化された補償二重差分に基づいて推定される。ノイズベクトルw_は、相関成分を有する。しかし、各受信機に特有のノイズは、他の基準受信機に対して相関がない。ノイズの共分散Rは、その場合、
【0065】
【数11】

【0066】
となり、ここでσは、m番目の基準受信機RRにおける1σのノイズ分散である。
[0056]4つの基準受信機を有する実施形態における過剰遅延勾配を監視する水平遅延勾配モニタ95に関する数学をここで述べる。4つの基準受信機251〜254の組は、上述の3つの基準受信機システムに加えられる付加的な第4の基準受信機254を含む。第4の基準受信機は、c=(c,c)に配置される。位置勾配測定値行列H(サイズ3x2)は、その場合、
【0067】
【数12】

【0068】
となる。2つの基準受信機を有する実施形態の場合に、数学は、スカラ量まで単純化する。
【0069】
【数13】

【0070】
[0057]G_を得るための標準最小二乗近似は、ノイズ成分に相関がないことを要求する。この条件は、この場合には満たされない。したがって、
【0071】
【数14】

【0072】
で示されるG_の推定値を得るために、ノイズ成分に相関があると仮定する一般化最小二乗法が使用され、ここで、
【0073】
【数15】

【0074】
である。
[0058]この式は、一般にそうであるが、Rが可逆的であることを要求する。ノイズ成分に相関がなく、それらが等しい(R=I)とき、この式は、よく知られた最小二乗解まで簡単になる。
【0075】
【数16】

【0076】
[0059]m番目の基準受信機RRからの搬送波測定値において、受信機クロック誤差が、衛星差分モジュール内で除去されるものと仮定される。1,...,Nの衛星の各々に対して、少なくとも1つの他の衛星からの搬送波測定値にわたる平均が差し引かれる。衛星指数がindx(k)に等しく、indx(k)≠nのK−1機の衛星を有する部分集合にわたって平均化する計算が示される。
【0077】
[0060]第1および第2の基準受信機251と252との間の衛星nの測定勾配は、その場合、
【0078】
【数17】

【0079】
となる。他の衛星200(2〜K)に影響を及ぼす勾配が存在するとき、第1および第2の基準受信機251と252との間の(ノイズを無視した)測定勾配は、
【0080】
【数18】

【0081】
となる。
[0061]他の衛星200(2〜K)に勾配が存在するとき、処理機能部100は、K−1の減少係数と共に、これら他の衛星200(2〜K)を見る。たとえば、衛星nおよびn’に影響を及ぼす勾配が存在するとき、
【0082】
【数19】

【0083】
となり、これは、影響を受けた衛星の除外を助けるのに使用することができる関係である。
[0062]測定勾配のノイズは、
【0084】
【数20】

【0085】
となる。
[0063]ここで、
【0086】
【数21】

【0087】
[0064]式(26)は、搬送波ノイズであり、対応する搬送波ノイズシグマσは、
【0088】
【数22】

【0089】
によって与えられる。
[0065]この式において、
【0090】
【数23】

【0091】
は、m番目の基準受信機RRにおける衛星nの測定ノイズである。
[0066]このようにして、勾配推定器モジュール130は、遅延勾配
【0092】
【数24】

【0093】
を推定する。次に、この原理は、水平面(x,y)内の勾配に一般化される。
【0094】
【数25】

【0095】
のノイズに関する共分散行列Pは、その特性、
【0096】
【数26】

【0097】
を規定する。
[0067]ノイズ部分は、
【0098】
【数27】

【0099】
である。
[0068]図4は、本発明の実施形態における異常遅延勾配自由誤差分布を示す。行列Pの固有値λmaxおよびλminは、2次元勾配空間(Gx’,Gy’)内に最大および最小の分散をもたらす。基準受信機の可能な各構成に関して、座標系(x’,y’)は、長軸および短軸と一致するために変換される。この変換された座標系において、
【0100】
【数28】

【0101】
となる。
[0069]図5は、本発明の実施形態における、3つの基準受信機の勾配ノイズ誤差分布を示す。図6は、本発明による、4つの基準受信機の実施形態の勾配ノイズ誤差分布を示す。
【0102】
[0070]大きさ識別子Dを形成するために、勾配推定値は、σに基づいて縮尺され、σが分散1を有するようにする。
【0103】
【数29】

【0104】
[0071]この識別子は、2自由度のχ分布をし、誤検出の固有の確率pfdに基づいて閾値Tを設定することができる。大きさ識別子Dが被選択閾値Tよりも大きい(すなわちD>T)とき、検出が始まる。
【0105】
[0072]ブロック324において、勾配推定器モジュール130は、勾配推定値
【0106】
【数30】

【0107】
の少なくとも1つが、被選択閾値Tを上回るか否かを決定する。被選択閾値は、メモリ150または記憶媒体170内に記憶される。被選択閾値は、ノイズのみがその閾値を上回らないように、十分高く設定される。ノイズは、様々な方向で異なる可能性があり、このことは、閾値を設定するときに考慮される。勾配異常が存在するとき、検出失敗の確率pmdは、非心χ分布を使用することによって計算することができる。
【0108】
[0073]ブロック326において、水平遅延勾配の推定大きさが、被選択閾値を上回るとき、勾配推定器モジュール130は、警報を発する。警報は、警報信号および/または除外命令とすることができる。1つの実施形態において、除外命令が、水平遅延勾配モニタ95から地上局ブロードキャスト部92に送られる。別の実施形態において、警報信号が、水平遅延勾配モニタ95から地上局ブロードキャスト部92に送られる。別の実施形態において、警報信号が、さらに水平遅延勾配モニタ95から地上局90に送られ、地上局90は、警報の発出によって航空交通量管制官に警報を出すために、ディスプレイに伝達可能に結合される。
【0109】
[0074]ブロック328において、地上局90は、被監視衛星の少なくとも1つが閾値を上回る勾配推定値を有するとき、ブロードキャストを中止する、または、影響を受けた被監視衛星を、航法システムデータを航空機(図示せず)に提供しないように除外するステップを実行する。たとえば、地上局ブロードキャスト部92は、勾配推定器モジュール130から除外命令出力を受け取り、領域内の航空機へのブロードキャストメッセージを変更し、航空機が勾配異常を受けている被監視衛星からの情報を使用することを中止する。必要があれば、被監視衛星の少なくとも1つが閾値を上回る勾配推定値を有するとき、地上局90は、地上局ブロードキャスト部92からのブロードキャストを中止するステップを実行する。
【0110】
[0075]先に示した数学の単純化が存在し、そのうちのいくつかは、以下のようにして得られる。
[0076]1)最大固有値に基づいて固定閾値を設定する。
【0111】
[0077]2)2つの固有値の大きさが異なるとき、分布のガウス近似を使用する。
[0078]3)2つの固有値の大きさが等しいとき、χ分布に基づいて固定閾値を設定する。
【0112】
[0079]識別子Dは、
【0113】
【数31】

【0114】
として均等に定式化される。
[0080]この実施形態の1つの実装形態において、すべての二重差分は、基準受信機251〜254の視界内のすべての有効な衛星200(1〜N)に関して、第1の基準受信機251と他のすべての有効な基準受信機252〜254との間で形成される。この実施形態の別の実装形態において、二重差分は、有効な衛星200(1〜N)の部分集合200(1〜K)(ここでK<N)に関して、第1の基準受信機251と他のすべての有効な基準受信機252〜254との間で形成される。別の実施形態において、基準受信機251〜254に送信しているすべての衛星200(1〜N)は、被監視衛星であり、他の衛星の部分集合は、被監視衛星の各々からの衛星信号の水平遅延勾配を決定するために、本明細書に述べるように使用される。さらに別の実施形態において、基準受信機251〜254に送信しているすべての衛星200(1〜N)は、被監視衛星であり、他の衛星のすべては、被監視衛星の各々からの衛星信号の水平遅延勾配を決定するために、本明細書に述べるように使用される。
【0115】
[0081]1つの実施形態において、xの2乗成分とyの2乗成分との重み付きの組合せが、形成され、第2の閾値と比較される。1つの衛星において閾値を上回る(たとえば、n番目の衛星は第2の閾値を上回るが、他の衛星はそれらの第2の閾値を上回らない)とき、異常はn番目の衛星で検出されており、n番目の衛星は、航法データを航空機に提供しないように除外される。
【0116】
[0082]本明細書に述べたシステムおよび方法の実施形態は、電離層の電子密度の異常勾配による航空機内の航法システムへの脅威を低減するために使用することができる。
[0083]本明細書において特定の実施形態を例示し、かつ述べてきたが、同じ目的を達成するために計算されるいずれの構成も、示された特定の実施形態と置き換えることができることを当業者は理解されたい。本出願は、本発明のあらゆる適合形態または変更形態を包含するものとする。したがって、明らかに、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものとする。
【符号の説明】
【0117】
20 電離層
22 異常遅延勾配
90 地上局
92 地上局ブロードキャスト部
95 水平遅延勾配モニタ
100 処理機能部
105 リンク
110 衛星差分モジュール
120 二重差分モジュール
130 勾配推定器モジュール
150 メモリ
160 プロセッサ
170 記憶媒体
200−1 被監視衛星
200−2 衛星
200−3 衛星
200−N 衛星
251 基準受信機
252 基準受信機
253 基準受信機
254 基準受信機
262 アンテナ
270 基準受信機の対
271 基準受信機の対
272 基準受信機の対
400−1 無線周波数信号
400−2 無線周波数信号
400−3 無線周波数信号
400−N 無線周波数信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星信号(400(1〜N))の水平遅延勾配を監視する処理機能部(100)において、
少なくとも2つの基準受信機(251)から少なくとも2つの衛星(200(1〜2))の搬送波位相測定値を受け取るように構成された衛星差分モジュール(110)であって、前記少なくとも2つの衛星は、被監視衛星(200−1)および少なくとも1つの他の衛星(200−1)を含み、前記少なくとも2つの基準受信機は、互いに既知の幾何学的関係を有し、前記衛星差分モジュールは、前記被監視衛星からの信号と前記少なくとも1つの他の衛星のうちの少なくとも1つからの信号との間の搬送波位相測定値の差分を決定する、前記衛星差分モジュール(110)と、
前記搬送波位相測定値の前記差分に基づいて前記少なくとも2つの基準受信機の1または複数の対(270)の間で二重差分を形成し、
前記対の間の前記二重差分を前記対における前記基準受信機の既知の位置の差で補償し、
前記補償二重差分をマイナス1/2波長からプラス1/2波長の範囲に制限するためにモジュロ演算を実行し、
前記少なくとも2つの衛星間で前記被監視衛星に関して前記他の衛星にわたって前記二重差分を平均化するように構成された、二重差分モジュール(120)と、
前記被監視衛星に関する前記平均化された補償二重差分に基づいて前記水平遅延勾配の大きさを推定し、前記遅延勾配の前記推定大きさを被選択閾値と比較するように構成された、勾配推定器モジュール(130)とを含む、処理機能部(100)。
【請求項2】
前記二重差分モジュール(120)が、前記少なくとも2つの基準受信機(252)にそれぞれが関連するアンテナ(262)の仰角および方位角に依存するアンテナ変動を補償するようにさらに構成されている、請求項1に記載の処理機能部(100)。
【請求項3】
被監視衛星(200−1)に対する遅延勾配を監視する方法において、
少なくとも2つの基準受信機(252)から搬送波位相測定値を受け取るステップであって、前記少なくとも2つの基準受信機は、前記被監視衛星および少なくとも1つの他の衛星(200−2)から無線周波数信号(400(1〜K))をほぼ同時に受け取る、ステップと、
前記少なくとも2つの基準受信機について前記被監視衛星からの信号と少なくとも1つの他の衛星からの信号との前記搬送波位相測定値の差分を決定するステップと、
前記少なくとも2つの基準受信機の対(270)の間で二重差分を形成するステップと、
前記二重差分を前記対における前記基準受信機の既知の位置の差で補償するステップと、
前記補償二重差分をマイナス1/2波長からプラス1/2波長の範囲に制限するために、前記補償二重差分に関してモジュロ演算を実行するステップと、
前記少なくとも1つの他の衛星にわたって前記補償二重差分を平均化するステップと、
前記平均化された補償二重差分に基づいて水平遅延勾配の大きさを推定するステップと、
前記水平遅延勾配の前記推定大きさが被選択閾値を上回るか否かを決定するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185919(P2011−185919A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−286035(P2010−286035)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】