説明

過熱蒸気循環型乾燥システム

【課題】 多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に早期に確実に置換させることができ、相当量発生するドレン水を回収して蒸気の循環回路に噴霧、環流して再利用でき、更に特定期間に多段乾燥機及び経路内の清掃を効率的に行って耐久性を向上させ、設備を焼却炉ではなく燃焼装置の分類とすることができる過熱蒸気循環型乾燥システムを提供する。
【解決手段】 多段乾燥機1と循環回路内に蒸気を送り込む補助ボイラ5と、相当量発生するドレン水を受け入れる排水回収タンク2と、回収したドレン水を外部に放出せず、循環回路に噴霧、環流すると共に、ある時に排水回収タンク2内に浄水を満たし、同様に噴霧、環流する噴霧器1aと蒸気循環ファン4と、熱ガス発生装置8の前段で余剰蒸気に含まれている臭気分やダスト類を完全に除去する脱臭装置6とを設けた過熱蒸気循環型乾燥システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜糞尿・汚泥等の高含水の廃棄物を乾燥させる乾燥システムに係り、特に、過熱蒸気を循環させて廃棄物を滅菌・減量化して良質の乾燥成品を生産する過熱蒸気循環型乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥から蒸発した水蒸気を再加熱して循環し、汚泥に接触させて加熱乾燥させる蒸気循環乾燥・焼却システムは、雑誌「いんだすと」VOL9 NO6 1994 p20-p24、寺井昭教投稿「新しい汚泥焼却技術」に記載されている(非特許文献1)。
【0003】
上記文献記載の汚泥焼却技術では、乾燥機の出口に設けられた送風機は、温度の下がった循環蒸気を吸い込んで加熱器に送り込み、加熱して高温蒸気とし、乾燥機に送り返すものであり、そして、汚泥は高温蒸気の充満した乾燥機内で蒸気に接触して熱を奪い、自らの水分を蒸発して乾燥するものである。
従って、送風機によって乾燥機内は結果的に弱負圧状態になるものである。
【0004】
更に、上記の技術において、汚泥から蒸発した水分に相当する蒸気量は余剰となり、乾燥系から出て炉の二次燃焼室に入り、高温の燃焼ガスは、二次燃焼室に入ってきた余剰蒸気と混合して加熱し脱臭するようになっている。
【0005】
尚、蒸気循環型乾燥システムに関する先行技術としては、当社の権利に係る特許第3502339号公報「廃棄物処理装置」(特許文献1)、また、他社の権利に係る特許第2984612号公報「ガス接触式乾燥装置」(特許文献2)がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3502339号公報
【特許文献2】特許第2984612号公報
【非特許文献1】雑誌「いんだすと」VOL9 NO6 1994 p20-p24、寺井昭教投稿「新しい汚泥焼却技術」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の設備は、下水処理場で使われているように、大掛かりで、数ヶ月連続で運転するというものであるが、より小型にし、連続運転の期間としては1週間ぐらいの設備を想定した場合、既存の設備をそのまま小型化して用いようとすると以下の点が危惧された。
【0008】
第1に、連続運転の期間が短いために、設備の立ち上げを短時間で確実に行うことが必要になり、そのために、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に早期に確実に置換する何らかの仕組みが必要である。
【0009】
第2に、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に確実に置換できたとしても、その過程で、特に多段乾燥機においては機内を蓄熱するために内側に大容量の耐火材を貼っており、過熱蒸気の凝縮伝熱によってその耐火材の温度が上がる過程、特に多段乾燥機内の温度が100℃になるまでは、相当量のドレン水が発生する。そのドレン水の受け入れ先を確保する必要があった。
【0010】
第3に、相当量発生したドレン水を単に排出してしまうのではなく、効率的な利用が望まれるところである。
また、上記従来の技術では、乾燥機及び経路内の汚れに対して特別な対応が為されておらず、運転を止めて定期的に清掃するようになっていたが、もっと効率的な清掃方法で耐久性を向上させることが望まれていた。
【0011】
第4に、上記従来の既存の設備は、乾燥汚泥を木材チップと共に熱源炉で焼却し、続く二次燃焼室で、汚泥から蒸発した水分に相当する、臭気等不純物を含んだ余剰な蒸気を混合・加熱して燃焼脱臭する仕組みになっており、設備としては焼却炉ということになっていた。
そのため、既存の設備は、行政上の多くの規制を受けるものとなっていた。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、運転準備を短時間にするために、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に確実に置換する貫流ボイラ(補助ボイラ)を設け、相当量発生するドレン水を受け入れる排水回収タンクを設け、回収したドレン水を外部に放出せず、蒸気の循環回路に噴霧、環流することで効果的に消費し、更に運転停止時は排水回収タンク内に浄水を満たし、同様に噴霧、環流させることで、多段乾燥機及び経路内の清掃を効率的に行って耐久性を向上させ、熱ガス発生装置に供給される前段で余剰蒸気に含まれている臭気分やダスト類を完全に除去する脱臭装置を設けて設備を焼却炉ではなく燃焼装置の分類とすることを可能ならしめた過熱蒸気循環型乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、廃棄物の原料を循環する過熱蒸気によって乾燥させる過熱蒸気循環型乾燥システムであって、原料を乾燥させる多段乾燥機と、多段乾燥機に過熱蒸気を循環させる循環回路と、循環回路内で蒸気を循環させる蒸気循環ファンと、循環回路の途中で、蒸気循環ファンからの蒸気を加熱し、過熱蒸気を再生する過熱蒸気再生用熱交換器と、過熱蒸気再生用熱交換器に熱ガスを供給する熱ガス発生装置と、循環回路における余剰蒸気を脱臭して熱ガス発生装置内に供給する脱臭装置と、循環回路の途中に蒸気を送り込む補助ボイラとを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、補助ボイラから発生した蒸気を循環回路の途中に供給し、若しくは、供給を停止する第1のバルブを設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を回収する排水回収タンクと、排水回収タンク内のドレン水を第2のバルブ開によって多段乾燥機内で噴霧する噴霧器とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、多段乾燥機内に噴霧されるドレン水は、熱ガス発生装置の排熱によって加熱器で加熱されたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに流し込む第3のバルブと、多段乾燥機内の温度が特定温度になるまでは、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに回収するよう該第3のバルブを開にする制御部とを設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、原料投入前に、多段乾燥機内の温度が特定温度になると、第3のバルブを閉にし、以降は多段乾燥機の出口側蒸気温度が設定値を超えた場合に限り、排水回収タンク内のドレン水を、加熱器を通さずに噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧する制御を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、脱臭装置に導入する余剰蒸気量を制御する調節バルブと、循環回路内の過熱蒸気の流量を予め規定する流量制御部とを設け、流量制御部と連動した調節バルブにより脱臭装置を介して熱ガス発生装置に供給する余剰蒸気量の制御を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記過熱蒸気循環型乾燥システムにおいて、原料投入停止後に、第1のバルブを開にして、補助ボイラからの蒸気を循環回路に供給し、合わせて第2のバルブを開にして、排水回収タンクの水を、加熱器を通した後、噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧できるようならしめたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、原料を乾燥させる多段乾燥機と、多段乾燥機に過熱蒸気を循環させる循環回路と、循環回路内で蒸気を循環させる蒸気循環ファンと、循環回路の途中で、蒸気循環ファンからの蒸気を加熱し、過熱蒸気を再生する過熱蒸気再生用熱交換器と、過熱蒸気再生用熱交換器に熱ガスを供給する熱ガス発生装置と、循環回路における余剰蒸気を脱臭して熱ガス発生装置内に供給する脱臭装置と、循環回路の途中に蒸気を送り込む補助ボイラとを備える過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に短時間で確実に置換することで、運転準備を短時間にすることができ、更に、脱臭装置により余剰蒸気の臭気分及びダスト類を除去するので、設備を焼却炉ではなく燃焼装置の分類とすることができる効果がある。
【0022】
本発明によれば、補助ボイラから発生した蒸気を循環回路の途中に供給し、若しくは、供給を停止する第1のバルブを設けた上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、補助ボイラからの蒸気を循環回路内へに供給することを調整できる効果がある。
【0023】
本発明によれば、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を回収する排水回収タンクと、排水回収タンク内のドレン水を第2のバルブ開によって多段乾燥機内で噴霧する噴霧器とを備える上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、ドレン水を回収できると共に、そのドレン水を別の機会で消費できる効果がある。
【0024】
本発明によれば、多段乾燥機内に噴霧されるドレン水は、熱ガス発生装置の排熱によって加熱器で加熱されたものである上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、蒸気生成に寄与でき、運転準備を短時間にすることができる効果がある。
【0025】
本発明によれば、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに流し込む第3のバルブと、多段乾燥機内の温度が特定温度になるまでは、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに回収するよう該第3のバルブを開にする制御部とを設けた上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、多段乾燥機内及び循環回路が特定温度になるまでは、発生するドレン水を回収できる効果がある。
【0026】
本発明によれば、制御部が、原料投入前に、多段乾燥機内の温度が特定温度になると、第3のバルブを閉にし、以降は多段乾燥機の出口側蒸気温度が設定値を超えた場合に限り、排水回収タンク内のドレン水を、加熱器を通さずに噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧する制御を行う上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、特定温度になり、多段乾燥機の出口側蒸気温度が設定値を超えると加熱器を通さないドレン水を噴霧でき、多段乾燥機内及び循環回路内を適正温度に調整できる効果がある。
【0027】
本発明によれば、脱臭装置に導入する余剰蒸気量を制御する調節バルブと、循環回路内の過熱蒸気の流量を予め規定する流量制御部とを設け、流量制御部と連動した調節バルブにより脱臭装置を介して熱ガス発生装置に供給する余剰蒸気量の制御を行う上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、循環回路内の流量によって余剰蒸気を熱ガスに変換できる効果がある。
【0028】
本発明によれば、原料投入停止後に、第1のバルブを開にして、補助ボイラからの蒸気を循環回路に供給し、合わせて第2のバルブを開にして、排水回収タンクの水を、加熱器を通した後、噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧できるようならしめた上記過熱蒸気循環型乾燥システムとしているので、多段乾燥機及び循環回路内を効率的に清掃できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[本発明の実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システムは、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に早期に確実に置換する貫流ボイラ(補助ボイラ)と、相当量発生するドレン水を受け入れる排水回収タンクと、回収したドレン水を外部に放出せず、蒸気の循環回路に噴霧、環流すると共に、運転停止時に排水回収タンク内に浄水を満たし、同様に噴霧、環流する噴霧器及び蒸気循環ファンと、熱ガス発生装置に供給される前段で余剰蒸気に含まれている臭気分やダスト類を完全に除去する脱臭装置とを設けたものである。
これにより、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に早期に確実に置換させることができ、相当量発生するドレンを回収して蒸気の循環回路に噴霧、環流して再利用でき、更に運転停止時に多段乾燥機及び経路内の清掃を効率的に行って耐久性を向上させ、設備を焼却炉ではなく燃焼装置の分類とすることができるものである。
【0030】
[過熱蒸気乾燥]
本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システムでは、過熱蒸気を用いて被乾燥物を乾燥させるものである。
過熱蒸気とは、飽和蒸気(飽和圧力・温度で蒸発又は沸騰によって発生した蒸気)に熱を加えた蒸気で大気圧では100℃より高い温度の蒸気である。
過熱蒸気は、熱風空気又は飽和蒸気より熱量を持っており、乾燥能力に優れ、更に過熱蒸気は再循環が可能で、熱効率が高く、省エネルギーとなる。これは、被乾燥物から発生した蒸気のみを余剰蒸気として熱ガス発生装置で燃焼させればよいことになる。
また、過熱蒸気で乾燥させることは、低酸素雰囲気で乾燥させることになるので、火災の恐れが殆どないものである。
【0031】
[システムの概要]
本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システムの概略構成図である。
本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システム(本システム)は、図1に示すように、多段乾燥機1と、排水回収タンク2と、集じん器3と、蒸気循環ファン4と、補助ボイラ5と、脱臭装置6と、燃料化装置7と、熱ガス発生装置8と、過熱蒸気再生用熱交換器9と、冷却塔10と、排ガス浄化装置11と、排気ファン12と、排気筒13と、第5のバルブ14と、第1のバルブ18と、第2のバルブ20と、第4のバルブ21とを基本的に有している。
図1に示すバルブ以外にも多くのバルブを本システムは備えており、更に必要なバルブについては図3において説明する。
【0032】
[各部]
以下、本システムの各部について具体的に説明する。
[多段乾燥機]
多段乾燥機1は、上部に汚泥等の被乾燥物の供給部が設けられ、内部室内には複数段の乾燥床面が設けられ、当該乾燥床面には被乾燥物を移送する複数のレーキが設けられている。
つまり、供給部から搬入された被乾燥物は、レーキに沿って回転され、送出されて移送され、乾燥床面の他端側の搬出端から下方に落下され、最下段の排出口部から乾燥された原料が排出されるようになっている。
【0033】
更に、多段乾燥機1の内側に、機内を蓄熱するために大容量の耐火材を貼っている。その耐火材は、過熱蒸気の凝縮伝熱によって温度が上がる過程で、特に多段乾燥機内の温度が100℃になるまでは、相当量のドレン水が発生するものである。
【0034】
また、多段乾燥機1には、内部に複数の噴霧機1aを備えている。
噴霧器1aは、排水回数タンク2内の水を特定の制御によって多段乾燥機1内に噴霧するものである。特定の制御については後述する。
【0035】
また、多段乾燥機1には、室内に過熱蒸気を導入する導入部が形成され、室内から過熱蒸気を導出する導出部が形成されている。
上記導入部から導入された過熱蒸気は、乾燥床面の搬入側から搬出側に流動して上記導出部から外部に流出されるもので、被乾燥物の移送方向に沿って蒸発蒸気の循環流路が形成されるものである。
【0036】
[排水回収タンク]
排水回収タンク2は、多段乾燥機1内及び経路内が100℃に上昇するまでに発生する相当量のドレン水を回収するためのタンクであり、更に多段乾燥機1内及び経路内が100℃を越えて高温の過熱蒸気雰囲気になるまでの過程で、多段乾燥機1内に噴霧機1aでタンク内のドレン水を噴霧して消費するものである。
尚、図1では、排水回収タンク2のドレン水は、過熱蒸気再生用交換器9と冷却塔10の間に設けられた加熱器で加熱した上で、多段乾燥機1内に噴霧器1aで噴霧するようになっており、多段乾燥機1内で、蒸気生成を促進できる。
尚、加熱器では、ドレン水を流すパイプが設けられ、排熱で当該パイプを加熱することで、間接的にドレン水を加熱するようになっている。
【0037】
また、排水回収タンク2は、常に一定量の水位を保つよう制御されており、連続運転時には浄水が貯水されている。
更に、原料の供給を停止した後のアイドル運転時に排水回収タンク2内の浄水を加熱器で加熱した後に、多段乾燥機1内に噴霧機1aで噴霧して多段乾燥機1及び経路内の清掃を行うものである。
ドレン水の噴霧制御については後述する。
【0038】
[集じん器]
集じん器3は、閉鎖循環路中に飛散したダスト類を密閉状態で集塵する装置である。
具体的には、集じん器3は、多段乾燥機1の導出部から導出された循環蒸気を導入する導入部を備え、蒸気循環ファン4に導出する導出部を備えている。
【0039】
[蒸気循環ファン]
蒸気循環ファン4は、管内において蒸気を一定方向に循環させるファンである。
具体的には、蒸気循環ファン4は、集じん器3から導出された蒸気を過熱蒸気再生用熱交換器9に移送するようになっている。
尚、過熱蒸気再生用熱交換器9に移送される蒸気の一部が余剰蒸気として第5のバルブ14を介して脱臭装置6に導入されるようになっている。
よって、蒸気循環ファン4の動作により、多段乾燥機1内は、結果として負圧状態になるものである。
【0040】
[補助ボイラ]
補助ボイラ(貫流ボイラ)5は、多段乾燥機1から過熱蒸気再生用熱交換器9に送り込まれる低温側の蒸気の一部に配管を通して過熱蒸気循環経路に新たに蒸気を供給するものである。
特に、補助ボイラ5は、運転開始時において、多段乾燥機1内の空気を蒸気に置換して早期に過熱蒸気雰囲気の状態を実現するのに寄与している。
尚、補助ボイラ5の排気は、排気筒13を介して排出されるようになっている。
【0041】
[脱臭装置]
多段乾燥機1から過熱蒸気再生用熱交換器9に送り込まれる低温側の蒸気の一部は余剰蒸気として熱ガス発生装置8に排出されるが、その熱ガス発生装置8の前段に脱臭装置6が設けられている。
【0042】
脱臭装置6は、例えば、酸化触媒によって、余剰蒸気に含まれる不純物並びに硫化水素(H2S)やアンモニア(NH3)等の臭気成分を分解・除去するものとなっている。
脱臭装置6の具体的構成については後述する。
【0043】
[燃料化装置]
燃料化装置7は、多段乾燥機1から排出された乾燥成品を安定化させて木材チップと混合して主燃料にする等してから、熱ガス発生装置8に供給するものである。
【0044】
[熱ガス発生装置]
熱ガス発生装置8は、燃料化装置7から供給される主燃料を完全燃焼させて、熱ガスを発生させるものである。
尚、立ち上げ、停止時に限って補助燃料として重油等を用いるようにしている。
更に、熱ガス発生装置8は、脱臭装置6から脱臭された余剰蒸気を導入して燃焼させ、熱ガスに変換するものである。
【0045】
[過熱蒸気再生用熱交換器]
過熱蒸気再生用熱交換器9は、熱ガス発生装置8で発生した熱ガスを熱源として循環蒸気を加熱するものである。
【0046】
[冷却塔]
冷却塔10は、過熱蒸気再生用交換器9から放出される排ガスを冷却するための冷却装置である。
[排ガス浄化装置]
排ガス浄化装置11は、排ガスの浄化を行うための装置である。
[排気ファン]
排気ファン12は、熱ガス発生装置8内において、適切な負圧を確保するものであり、排ガス浄化装置11からの排気を吸い込んで排気筒13に排出するものである。
[排気筒]
排気筒13は、排気ファン12及び補助ボイラ5からの排気を排出する筒である。
【0047】
[第5のバルブ(CV-05)]
第5のバルブ(CV-05)14は、蒸気循環ファン4から過熱蒸気再生用熱交換器9の配管に移送される蒸気の一部を余剰蒸気として脱臭装置6に流入させる蒸気の量を調整する調節弁である。
第5のバルブ(CV-05)14の制御については後述する。
【0048】
[脱臭装置の具体的構成]
次に、脱臭装置6の具体的構成について図2を参照しながら説明する。図2は、脱臭装置の概略構成図である。
脱臭装置6は、図2に示すように、装置本体60の上部に、吸気口61が設けられ、本体60の下部にはファン66に接続する排出口が設けられ、本体60内部には多段にろ材(例えば、焼結ポーラスろ材等)が配置され、当該ろ材に対して脱臭液を噴霧するノズル62が設置されている。
【0049】
ノズル62には、ポンプ65が接続され、タンク64内の脱臭液をノズル62に供給している。
また、本体60の排出口に設けられたファン66は、本体60内の空気を排気口67から排出するものである。
【0050】
[脱臭装置の動作]
脱臭装置6の吸気口61には第5のバルブ(CV-05)14を介して臭気を帯びた空気が流入し、ろ材にはノズルから脱臭液が散布され、流入された空気は、ろ材を通過して脱臭される。
そして、脱臭された空気は、ファン66により排気口から排出されるものである。
尚、脱臭液の濃度、散布時間は、臭気濃度により調整する。
【0051】
脱臭装置における脱臭の基本的仕組みは、酸化分解であり、酸化還元反応や強力なイオン交換作用により悪臭物質を瞬時に分解して脱臭するものである。
【0052】
[制御機構]
次に、本システムにおける制御機構について図3を参照しながら説明する。図3は、制御機構の構成ブロック図である。
制御機構は、図3に示すように、図示はしていないが、全体の制御を行う制御部と、第1のバルブ(V-01)18と、第2のバルブ(CV-02)20と、第4のバルブ(CV-04)21と、第5のバルブ(CV-05)14と、第6のバルブ(V-06)15と、第1の温度測定部(TE-1)23と、第2の温度測定部(TE-2)24と、第3の温度測定部(TE-3)19と、第4の温度測定部(TE-4)17と、圧力測定部(PX-1)16と、流量測定部(FX-1)25と、排水ポンプ22と、その他、蒸気循環ファン4と、排気ファン12等を備えている。
【0053】
[制御部]
制御部は、各測定部での測定値によって各部を動作・制御するもので、排水ポンプ22を動作・停止させたり、蒸気循環ファン4、排気ファン12を動作させ、その回転数を制御したりするものであり、例えば、第1〜4の温度測定部で測定された温度の値を入力し、圧力測定部(PX-1)16と流量測定部(FX-1)25で測定された圧力又は流量の値を入力し、それら値に応じて第1〜6のバルブの開閉を制御するものである。
また、制御部は、複数の時間を設定(記憶)可能であり、当該時間を測定するタイマーを備えている。
【0054】
具体的には、制御部は、コンピュータ処理によって実現されるものであり、記憶部に記憶された処理プログラムを主メモリにロードして制御の処理を実行するものである。
尚、循環回路内の過熱蒸気の流量を制御する部分については、制御部とは別個に流量制御部を設け、その流量制御部が、予め規定した流量に従って第5のバルブ(CV-05)14を動作させ、脱臭装置6を介して熱ガス発生装置8に供給する余剰蒸気量を制御するようにしてもよい。
制御部における原料投入前の処理及び原料投入停止後の処理についての詳細は後述する。
【0055】
[第1のバルブ(V-01)]
第1のバルブ(V-01)18は、排水回収タンク2から排水ポンプ22によって供給される水を、熱ガス排気経路(加熱器)を経由させて多段乾燥機1内に噴霧するために制御されるバルブとなっている。
特に、水分が熱ガス排気経路を経由することで、多段乾燥機1内に噴霧される水は加熱され、温度が高くなっている。よって、蒸気生成に寄与でき、運転準備期間を短時間にすることができるものである。
【0056】
[第2のバルブ(CV-02)]
第2のバルブ(CV-02)20は、排水回収タンク2から排水ポンプ22で移送された水を、直接多段乾燥機1内に噴霧するためのバルブである。
第2のバルブ(CV-02)20を開くことで、多段乾燥機1内の温度が高くなり過ぎた場合に、冷却することができる。
【0057】
[第4のバルブ(CV-04)]
第4のバルブ(CV-04)21は、多段乾燥機1の底面に設けられた排出口と排水回収タンク2の流入口とを接続するパイプの途中に設けられたバルブである。
第4のバルブ(CV-04)21は、多段乾燥機1内にドレン水が発生した場合には、開としてドレン水を排水回収タンク2に回収するものであり、過熱蒸気が循環している場合は閉となるものである。
【0058】
[第5のバルブ(CV-05)]
第5のバルブ(CV-05)14は、循環経路における余剰蒸気を、脱臭装置6を介して熱ガス発生装置8に供給するためのバルブである。
第5のバルブ(CV-05)14は、流量測定部(FX-1)25で測定された流量の値に応じて開閉の程度が調整される。
【0059】
[第6のバルブ(V-06)]
第6のバルブ(V-06)15は、補助ボイラ5からの蒸気を循環経路に供給するためのバルブとなっている。
第6のバルブ(V-06)15は、補助ボイラ5が起動すれば開となり、補助ボイラ5が停止すれば閉となるものである。
【0060】
[第1の温度測定部(TE-1)]
第1の温度測定部(TE-1)23は、多段乾燥機1内の温度を測定するための測定器である。
尚、第1の温度測定部(TE-1)23は、第2、3の温度測定部との関係から多段乾燥機1内の平均的温度が測定される場所に設定するのが望ましい。
【0061】
[第2の温度測定部(TE-2)]
第2の温度測定部(TE-2)24は、循環経路において多段乾燥機1の入口側に設けられた温度測定器であり、高温側の過熱蒸気の温度を測定するために用いられる。
【0062】
[第3の温度測定部(TE-3)]
第3の温度測定部(TE-3)19は、循環経路において多段乾燥機1の出口側に設けられた温度測定器であり、低温側の過熱蒸気の温度を測定するために用いられる。
【0063】
[第4の温度測定部(TE-4)]
第4の温度測定部(TE-4)17は、熱ガス発生装置8の出口側の温度を測定する温度測定器である。熱ガス発生装置8の出口側の温度は700〜800℃の高温となるため、第4の温度測定部(TE-4)17は、高温を測定できる温度測定器である必要がある。
【0064】
[圧力測定部(PX-1)]
圧力測定部(PX-1)16は、多段乾燥機1内の圧力を測定するためのものであり、特に、多段乾燥機1内が負圧であるか否かを測定するものである。
[流量測定部(FX-1)]
流量測定部(FX-1)25は、循環経路内の流量を測定するものである。
【0065】
[排水ポンプ]
排水ポンプ22は、排水回収タンク2内の水を押し上げて、第1のバルブ(V-01)18又は第2のバルブ(CV-02)20を介して多段乾燥機1内の噴霧器1aに供給するものである。
また、排水回収タンク2には、水量を一定に保つ機構が設けられており、水量が一定以下になると、浄水が補給されるようになっている。
【0066】
[原料投入までの処理]
次に、原料が多段乾燥機1に投入されるまでの処理について図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、制御部における原料投入までの前半の処理を示すフローチャートであり、図5は、制御部における原料投入までの後半の処理を示すフローチャートである。尚、図4における(A)は図5における(A)に接続するものである。
【0067】
制御部は、図4に示すように、本システムを始動すると、まず、多段乾燥機1で発生するドレン水を排水回収タンク2に供給する第4のバルブ(CV-04)21を開にする(S1)。そして、補助ボイラ5を起動し(S2)、第6のバルブ(V-06)15を開にする(S3)。続いて、蒸気循環ファン4を起動する(S4)。
【0068】
その後、2系統の処理が為されるが、一方の処理は、多段乾燥機1内の第1の圧力測定部(PX-1)16で測定された圧力の値を制御部が入力し(S5)、次に、その入力された値により多段乾燥機1内が負圧になっているか否かを判定する(S6)。
多段乾燥機1内が負圧であれば(Yesの場合)、判定処理S6を繰り返す。多段乾燥機1内が負圧でなければ(Noの場合)、蒸気循環ファン4の回転数を上げて(S7)、多段乾燥機1内を負圧にするようにし、判定処理S6に戻る。
【0069】
また、処理S4に続く他方の処理は、排気ファン12を起動し(S8)、続いて、熱ガス発生装置8を起動し(S9)、制御部は第4の温度測定部(TE-4)17で測定された熱ガス発生装置8の出口における温度の値を入力する(S10)。
入力された熱ガス発生装置8の出口温度の値が、780℃以上である(熱ガス発生装置の出口温度≧780℃)のか否かを判定する(S11)。
【0070】
熱ガス発生装置の出口温度が780℃未満であれば(Noの場合)、判定処理S11を繰り返す。熱ガス発生装置の出口温度が780℃以上であれば(Yesの場合)、排水ポンプ22を起動して(S12)、排水回収タンク2内の水を移送する。そして、第1のバルブ(V-01)1を開き(S13)、排熱で加熱した水を多段乾燥機1内に供給可能とするものである。
【0071】
次に、制御部は、図5に示すように、多段乾燥機1内の温度を測定する第1の温度測定部(TE-1)23で測定された温度の値を入力し(S14)、多段乾燥機1内の温度が100℃以上になったか(多段乾燥機内部温度≧100℃)否かを判定し(S15)、多段乾燥機1内の温度が100℃未満であれば(Noの場合)、判定処理S15を繰り返す。
【0072】
また、判定処理S15で、多段乾燥機1の内部温度が100℃以上になれば(Yesの場合)、タイマーを特定時間動作させ(S16)、その特定時間経過後に、第4のバルブ(CV-04)21を閉にする(S17)。上記特定時間は、約30分程度を予定している。
【0073】
続いて、多段乾燥機1の出口側の循環経路での温度を測定する第3の温度測定器(TE-3)19で測定された温度を制御部が入力し、循環過熱蒸気の出口温度が150℃以上であるか(循環過熱蒸気の出口温度≧150℃)否かを判定し(S19)、循環過熱蒸気の出口温度が150℃未満であれば(Noの場合)、判定処理S19を繰り返す。
【0074】
循環過熱蒸気の出口温度が150℃以上になれば(Yesの場合)、以下の2つの処理を行う。その一方の処理は、第3の温度測定部(TE-3)19が150℃の一定温度になるよう第2のバルブ(CV-02)20の開閉を調整する(S20)。第2のバルブ(CV-02)20が開になると、排水回収タンク2内の水が噴霧器1aで噴霧されるため、多段乾燥機1及び循環回路の出口側を冷却することができる。
【0075】
また、他方の処理は、多段乾燥機1の入口側の循環経路での温度を測定する第2の温度測定器(TE-2)24で測定された温度を制御部が入力し、循環過熱蒸気の入口温度が400℃以上であるか(循環過熱蒸気の入口温度≧400℃)否かを判定し(S21)、循環過熱蒸気の入口温度が400℃未満であれば(Noの場合)、判定処理S21を繰り返す。
【0076】
循環過熱蒸気の入口温度が400℃以上になれば(Yesの場合)、第1のバルブ(V-01)18を閉じ(S23)、補助ボイラ5を停止し(S24)、第6のバルブ(V-06)15を閉じる(S25)。
以上の処理を行うことで、原料投入開始が可能となるものである。
【0077】
次に、原料投入停止後の処理について図6を参照しながら説明する。図6は、原料投入停止後の処理を示すフローチャートである。
制御部は、図6に示すように、原料投入を停止すると、タイマーを特定時間動作させ(S31)、その特定時間経過後に、補助ボイラ5を起動する(S32)。上記特定時間は、2〜3時間程度である。
【0078】
次に、第6のバルブ(V-06)15を開き(S33)、タイマーを特定時間動作させ(S34)、特定時間経過後に、多段乾燥機1を停止する(S35)。そして、排水ポンプ22を起動し、第1のバルブ(V-01)18を開く(S37)。
【0079】
そして、タイマーを特定時間動作させ(S38)、特定時間経過後に、第1のバルブ(V-01)18を閉じ(S39)、排水ポンプを停止し(S40)、補助ボイラ5を停止し(S41)、第6のバルブ(V-06)15を閉じる(S42)。上記特定時間は、排水回収タンク2に蓄えられた浄水を多段乾燥機1内に噴霧してクリーニングを行う時間である。
【0080】
次に、熱ガス発生装置8を停止し(S43)、タイマーを特定時間動作させ(S44)、その特定時間経過後に、排気ファン12を停止し(S45)、続いて、蒸気循環ファン4を停止する(S46)。上記特定時間は、熱ガス発生装置8を停止した後で排気管等に残った熱ガスを排気するための時間である。
以上のようにして、原料投入停止後の処理が為される。
【0081】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、余剰蒸気が熱ガス発生装置8に送り込まれる前段階に酸化触媒を利用した脱臭装置6を設けたことにより、余剰蒸気に含まれる不純物並びに臭気成分を分解・除去し、熱ガス発生装置8内ではピュアな蒸気を燃焼させることができる効果がある。従って、熱ガス発生装置8は、H2O分のみが含まれた余剰過熱蒸気が送り込まれ、この蒸気は固形燃料の燃焼によって生成された熱ガスと混合すると空気と同じように反応して温度降下と合わせてガス量増大という結果をもたらすだけであるので、焼却ということにならず、焼却炉には相当しないものである。
【0082】
本システムによれば、補助ボイラ5を設け、過熱蒸気循環経路に補助ボイラ5で発生させた蒸気を供給するようにしているので、過熱蒸気循環経路内の空気を蒸気に置換して、循環させ、熱ガス発生装置8を稼働し、過熱蒸気再生用熱交換器9で蒸気を加熱することで、短時間で過熱蒸気循環経路内を所定の過熱蒸気雰囲気にならしめ、運転準備を短時間に終了させることができる効果がある。
【0083】
本システムによれば、排水回収タンク2及び多段乾燥機1内に噴霧機1aを設けたことにより、多段乾燥機1内で発生したドレン水を回収し、経路内で100℃を越えて高温の過熱蒸気雰囲気に到達する過程で多段乾燥機1内に噴霧機1aでドレン水を供給して消費でき、また、循環経路内で多段乾燥機1の出口側の温度が高くなり過ぎる場合には、ドレン水を供給して冷却して温度を一定に保つことができ、更に、原料供給を停止した後のアイドル運転時に多段乾燥機1内に浄水を噴霧機1aで噴霧・供給するようにしているので、多段乾燥機1及び経路内を清掃でき、設備の寿命を延命できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、多段乾燥機と循環回路内を過熱蒸気に早期に確実に置換させることができ、相当量発生するドレンを回収して蒸気の循環回路に噴霧、環流して再利用でき、更に特定期間に多段乾燥機及び経路内の清掃を効率的に行って耐久性を向上させ、設備を焼却炉ではなく燃焼装置の分類とすることができる過熱蒸気循環型乾燥システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に係る過熱蒸気循環型乾燥システムの概略構成図である。
【図2】脱臭装置の概略構成図である。
【図3】制御機構の構成ブロック図である。
【図4】制御部における原料投入までの前半の処理を示すフローチャートである。
【図5】制御部における原料投入までの後半の処理を示すフローチャートである。
【図6】原料投入停止後の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1…多段乾燥機、 2…排水回収タンク、 3…集じん器、 4…蒸気循環ファン、 5…補助ボイラ、 6…脱臭装置、 7…燃料化装置、 8…熱ガス発生装置、 9…過熱蒸気再生用熱交換器、 10…冷却塔、 11…排ガス浄化装置、 12…排気ファン、 13…排気筒、 14…第5のバルブ(CV-05)、 15…第6のバルブ(V-06)、 16…圧力測定部(PX-1)、 17…第4の温度測定部(TE-4)、 18…第1のバルブ(V-01)、 19…第3の温度測定部(TE-3)、 20…第2のバルブ(CV-02)、 21…第4のバルブ(CV-04)、 22…排水ポンプ、 23…第1の温度測定部(TE-1)、 24…第2の温度測定部(TE-2)、 25…流量測定部(FX-1)、 60…本体、 61…吸気口、 62…ノズル、 63…ろ材、 64…タンク、 65…ポンプ、 66…ファン、 67…排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の原料を循環する過熱蒸気によって乾燥させる過熱蒸気循環型乾燥システムであって、
原料を乾燥させる多段乾燥機と、
多段乾燥機に過熱蒸気を循環させる循環回路と、
循環回路内で蒸気を循環させる蒸気循環ファンと、
循環回路の途中で、蒸気循環ファンからの蒸気を加熱し、過熱蒸気を再生する過熱蒸気再生用熱交換器と、
過熱蒸気再生用熱交換器に熱ガスを供給する熱ガス発生装置と、
循環回路における余剰蒸気を脱臭して熱ガス発生装置内に供給する脱臭装置と、
循環回路の途中に蒸気を送り込む補助ボイラと
を備えることを特徴とする過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項2】
補助ボイラから発生した蒸気を循環回路の途中に供給し、若しくは、供給を停止する第1のバルブを設けたことを特徴とする請求項1記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項3】
多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を回収する排水回収タンクと、
排水回収タンク内のドレン水を第2のバルブ開によって多段乾燥機内で噴霧する噴霧器と
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項4】
多段乾燥機内に噴霧されるドレン水は、熱ガス発生装置の排熱によって加熱器で加熱されたものであることを特徴とする請求項3記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項5】
多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに流し込む第3のバルブと、
多段乾燥機内の温度が特定温度になるまでは、多段乾燥機内又は/及び循環回路内に発生するドレン水を排水回収タンクに回収するよう該第3のバルブを開にする制御部と
を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項6】
原料投入前に、多段乾燥機内の温度が特定温度になると、第3のバルブを閉にし、以降は多段乾燥機の出口側蒸気温度が設定値を超えた場合に限り、排水回収タンク内のドレン水を、加熱器を通さずに噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧する制御を行うことを特徴とする請求項5記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項7】
脱臭装置に導入する余剰蒸気量を制御する調節バルブと、
循環回路内の過熱蒸気の流量を予め規定する流量制御部とを設け、
流量制御部と連動した調節バルブにより脱臭装置を介して熱ガス発生装置に供給する余剰蒸気量の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。
【請求項8】
原料投入停止後に、第1のバルブを開にして、補助ボイラからの蒸気を循環回路に供給し、合わせて第2のバルブを開にして、排水回収タンクの水を、加熱器を通した後、噴霧器を用いて多段乾燥機内に噴霧できるようならしめたことを特徴とする請求項4記載の過熱蒸気循環型乾燥システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−308162(P2006−308162A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129452(P2005−129452)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(300067723)アジアプラントサービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】