説明

過酷環境センサシステム及び検出方法

【課題】過酷環境における物体の複数の作動パラメータを測定するためのシステムを提供すること。
【解決手段】システム30は、第1のエネルギー送受信システム31を含む。システム30はまた、第1のエネルギー送受信システム31に結合された送受信モジュラントを含む。システム30は、少なくとも一部が物体上に配置され、且つ第1のエネルギー送受信システム31により問い合わせることが可能な第2のエネルギー送受信システム33を含む。第2のエネルギー送受信システム33は、感知システムをさらに含む。感知システムはまた、第1のエネルギー送受信システム31に結合されたプロセッサ36を含む。プロセッサ36は、送受信モジュラントに基づいて、過酷環境における物体の複数の作動パラメータを決定するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、センサシステムに関し、より詳細には、過酷環境における物体の作動パラメータを測定するためのセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械中で動作する物体、例えば、航空機エンジン中のブレード、又は圧縮機中のブレードは、過酷環境で動作中に応力を受ける可能性がある。機械の静止物体、例えば、燃焼器ライナ、ノズル、又はシュラウドであっても、高熱ガス経路中、又は氷点下の温度条件など極端な動作条件により、応力又は歪みを受けることがある。物体中で発達したこのような応力又は歪みは、機械を損傷させるおそれがある。温度及び歪みなど、物体の作動パラメータの正確な測定は、機械で生ずる可能性のあるどんな損傷も補正又は阻止するために必要なものである。機械における作動パラメータを測定するための一手法は、配線式センサを使用することであり、これは、スリップリングを用いて、回転するコンポーネントと回転機械の静止部分との間で配線することを必要とする。しかし、配線式手法は、配線の電子的特性が、配線式センサの正確に動作できる温度範囲を制限する可能性があるので、一部には長期間の運転で機械の温度が高いことにより、複雑で、費用がかかり、且つ信頼性が低い可能性がある。
【0003】
配線式センサの上述の制限により、機械の作動パラメータ測定は、機械の試験中に行われるに過ぎない可能性がある。しかし、機械の寿命全体にわたって作動パラメータをモニタすることは、信頼性のある運転を保証するために望ましい。現場で行われる作動パラメータの測定は、機械の現場における動作を最適化するための制御パラメータと相関付けることができる。時間の経過と共に作動パラメータの測定中で観察される変化はまた、機械の物体又はコンポーネントの健全性を評価するために使用することもでき、適切な整備スケジューリングを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7368827号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、広範囲な温度及び条件に対して正確であり、且つ機械の寿命を通して使用することのできる過酷環境センサシステムが当技術分野で求められている。この過酷環境センサシステムが、従来の電子装置では非常に信頼性が低下する500°F(260℃)を超える高温で、無線で動作することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、過酷環境における物体の複数の作動パラメータを測定するためのシステムが提供される。システムは、エネルギー信号を送受信するように構成された第1のエネルギー送受信システムを含む。システムはまた、第1のエネルギー送受信システムに結合された送受信モジュラントを含む。システムは、少なくとも一部が物体上に配置され、且つ第1のエネルギー送受信システムにより問い合わせることが可能な第2のエネルギー送受信システムをさらに含む。第2のエネルギー送受信システムは、感知システムをさらに含む。システムはまた、第1のエネルギー送受信システムに結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、送受信モジュラントに基づいて、過酷環境における物体の複数の作動パラメータを測定するように構成される。
【0007】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、過酷環境における物体の作動パラメータを測定するための方法が提供される。本方法は、第1のエネルギー送受信システムを介してエネルギー信号を送受信することを含む。本方法はまた、物体上に少なくとも一部が配置される第2のエネルギー送受信システムとの無線結合を介して、第1のエネルギー送受信システム中に位置する送受信モジュラントを変調することを含む。さらに本方法は、送受信モジュラントに基づき、プロセッサを介して過酷環境における物体の1つ以上の作動パラメータを計算することを含む。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】タービンエンジンなどの回転機械の断面図であり、回転機械に結合された無線の過酷環境センサシステムの実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による過酷環境センサシステムを表す概略図である。
【図3】過酷環境センサシステムの他の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に従って構成された過酷環境センサシステムを表す概略図である。
【図5】本発明の実施形態による第2のエネルギー送受信システムを表す概略図である。
【図6】過酷環境における物体の作動パラメータを測定するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で詳細に述べるように、本発明の実施形態は、過酷環境センサシステム、及び過酷環境における物体の作動パラメータを測定するための方法を対象とする。本明細書で使用する場合、用語「過酷環境」とは、ガスタービン環境を指す。例えば、「過酷環境」中で、温度は、約800°F(426.7℃)から2500°F(1371.1℃)まで変化しうる。
【0011】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。作動パラメータ及び/又は環境条件の例は、開示した実施形態以外のパラメータ/条件を除外するものではない。
【0012】
図1は、タービンエンジンなどの回転機械10の断面図を示しており、回転機械10に結合された過酷環境センサシステムの実施形態を示している。図示された例は、タービンエンジン用途を対象としているが、本発明は、任意の回転機械のコンポーネントの作動パラメータを無線で測定することに対してより広く適用可能であり、その非限定的な例としては、風力タービン、及び電動機を含むことに留意されたい。さらに、本発明はまた、例えば、高熱ガス経路、又は氷点下の温度条件など極端な動作条件に曝される燃焼器ライナ、ノズル、又はシュラウドなど、機械の静止コンポーネントにも適用することができる。タービンエンジン10の横断面図は、シュラウド12及びブレード16の上に、それぞれ配置された過酷環境センサシステムの2つ以上の部分を部分的に示している。ブレード16が1つだけ示されているが、エンジン10は、軸14の周りを回転する複数のブレードを備えることができる。図1で示される過酷環境センサシステムの部分は、シュラウド上に配置された第1のエネルギーインターフェース要素18と、タービンエンジン10の回転ブレード16上に配置された第2のエネルギーインターフェース要素20である。一実施形態では、エネルギーインターフェース要素は共に、エネルギー信号を感知するために、エンジン10上に配置されたアンテナとすることができる。非限定的な例では、エネルギー信号は電磁波を含むことができる。エネルギー信号は、例えば、回転機械の動作物体の作動パラメータなど、回転機械における過酷環境パラメータを表す。エネルギーインターフェース要素の非限定的な例は、誘導コイル、アンテナ構造、絶縁体上の金属、又はセラミック基板上に描かれた導体などのコイルを含むことができる。
【0013】
さらに、問合せチャネル22は、第1のエネルギーインターフェース要素18と、第2のエネルギーインターフェース要素20とを接続する。問合せチャネル22は、インターフェース要素間で、感知した信号のための無線通信経路である。それにより、第2のインターフェース要素20は、高温、圧力、又は歪みなど、ブレードの様々な動作条件を、問合せチャネル22を介して第1のインターフェース要素18に伝えることができる。作動パラメータの非限定的な例は、温度、歪み、圧力、隙間、及び変位を含むことができる。
【0014】
図2は、問合せチャネル28により結合された第1のエネルギー送受信システム26及び第2のエネルギー送受信システム27を含む過酷環境センサシステム24を表す概略図である。第1のエネルギー送受信システム26は、回転機械の静止部分に隣接して、又はその上に配置されることが好ましい。一方、第2のエネルギー送受信システム27は、回転機械の動作物体上に設置されるのが好ましい。しかし、第2のエネルギー送受信システム27は、高熱ガス経路、又は氷点下の温度条件など、極端な条件に常に曝される機械の静止コンポーネント上に設置することもできる。第2のエネルギー送受信システム27は、物体の複数の作動パラメータを連続的に感知し、その情報を問合せチャネル28を介して送受信する。それにより、第2のエネルギー送受信システム27は、第1のエネルギー送受信システム26によって連続的に問い合わせされるように構成される。一実施形態では、問合せチャネル28は磁気的なチャネルである。いくつかの実施形態では、問合せチャネル28は、近接場などの磁気的結合、相互誘導結合、又は遠方場電界結合とすることができる。
【0015】
図3は、本発明の一実施形態による過酷環境センサシステム30の無線で結合されたセンサ回路を示す。図示のように、センサシステム30は、センサ回路34中に、第1のインターフェース要素32、プロセッサ36、及びエネルギー源38を備える第1のエネルギー送受信システム31を含む。アンテナなどの第1のインターフェース要素32は、問合せチャネル44を介して、第2のエネルギー送受信システム33との間で、エネルギー信号を送信し且つ受信する。一実施形態では、回路34中のエネルギー源38は、電池などの電圧源とすることができる。
【0016】
第2のエネルギー送受信システム33は、他のセンサ回路41中に、第2のインターフェース要素40及びセンサコンポーネント42をさらに備え、そのセンサ回路41は、タービンエンジンのブレードなどの動作物体上に配置される受動回路とすることができる。一実施形態では、センサコンポーネント42は、動作条件を感知するために動作物体上に配置された誘電性要素を有するキャパシタを含む。動作物体は、高温、圧力、又は歪みを受ける可能性があり、それにより、誘電性要素の誘電率に変化を生ずることになる。これは、キャパシタの静電容量を変化させ、さらに、回路41中のインピーダンスの変化を生ずる。回路41のインピーダンスの変調は、第1のエネルギーインターフェース要素32と第2のエネルギーインターフェース要素40の間の問合せチャネル44を実質的に変調する。変調された問合せチャネル44により、さらに第1の送受信システム31のセンサ回路34のインピーダンスに変化を生ずる。回路34中のこのインピーダンス変調が、プロセッサ36により測定及び計算されて、機械の物体の動作条件が決定される。
【0017】
本発明の実施形態は、本発明の処理タスクを実施するためのどんな特定のプロセッサにも限定されないことに留意されたい。用語「プロセッサ」は、その用語が本明細書で使用される場合、本発明のタスクを実施するために必要な計算、すなわち、コンピュータ計算を実施できる任意のマシンを示すことが意図される。用語「プロセッサ」は、構造化された入力を受け入れることができ、且つその入力を、規定されたルールに従って処理して出力を生成できる任意のマシンを示すことが意図される。本明細書で使用される場合、「〜するように構成される」というフレーズは、当業者であれば理解されるように、プロセッサが、本発明のタスクを実施するためのハードウェア及びソフトウェアの組合せを備えることを意味することにも留意すべきである。
【0018】
図4は、本発明の異なる要素間の機能的な関係を示す過酷環境センサシステム50を表す概略図である。システム50は、エネルギー信号を、送信及び受信するための第1のエネルギー送受信システム52を含む。第1のエネルギー送受信システム52は、共通の回路を有する送信器及び受信器の組合せを含むことができる。第1のエネルギー送受信システム52の回路インピーダンスの何らかの変調は、送受信モジュラント54により表される。それにより、送受信モジュラント54は、エネルギー信号の変調に応答する。図示のようにシステム50は、過酷環境58中に位置し、且つ過酷環境58に曝された物体上に配置された第2のエネルギー送受信システム56を含む。第2のエネルギー送受信システム56は、過酷環境58中に位置する物体の複数の作動パラメータを感知する。
【0019】
一実施形態では、第2のエネルギー送受信システム56は、共通の回路を有する送信器及び受信器の組合せを含むことができる。第2のエネルギー送受信システム56はさらに、センサ回路及び共振回路を含むことができる。第2のエネルギー送受信システム56の共振回路のインピーダンスにおける何らかの変調は、感知モジュラント62により表される。第2のエネルギー送受信システム56はまた、エネルギーインターフェース要素64を含む。感知チャネル66はさらに、感知モジュラント62とエネルギーインターフェース要素64とを共に接続する。感知チャネル66は、感知モジュラント62とエネルギーインターフェース要素64との間で感知した情報を送信及び受信するための無線通信チャネルである。インターフェース要素64は、センサ回路又は共振回路におけるアンテナとすることができ、第1のエネルギー送受信器52と第2のエネルギー送受信器56の両方に対する共通のインターフェースを提供する。これは、過酷環境中の物体から、第1のエネルギー送受信システム52への情報の送信を可能にする。
【0020】
また、問合せチャネル60が図4の概略図で示されており、この問合せチャネル60は、第1のエネルギー送受信システム52と第2のエネルギー送受信システム56の間の無線通信経路である。前に論じたように、送受信モジュラント54は、問合せ信号に従って変化する。特定の実施形態では、送受信モジュラント54は、感知モジュラント62と共に変化する。問合せ信号は、過酷環境58における物体の複数の作動パラメータの情報を運ぶ。問合せチャネル60が磁気的結合を含む実施形態では、第1のエネルギー送受信システム54と第2のエネルギー送受信システム56の間の結合の有効な結合定数(k)は、問合せチャネル60の磁場(B)の変化率に関係しており、例えば、k≒d/dt(B)である。問合せチャネル60は、物体上に配置される感知モジュラント62により変調される。過酷環境における作動パラメータは、物体に変形を引き起こすことがあり(例えば、ブレードが伸びる可能性がある)、それにより、感知モジュラント62が変調され、さらに問合せチャネル60の変調を生ずることになる。従って、問合せチャネルの変調(d(B)/dt)は、感知モジュラント62の変位の関数である。物体の作動パラメータは、実質的に感知モジュラント62の変調の関数であるので、作動パラメータは、第1のエネルギー送受信システム52と第2のエネルギー送受信システム56の間の結合定数(k)の関数として決定することができる。これは、能動的な電子装置、又は任意のp/n接合を使用しない受動的手法である。
【0021】
さらに、第1のエネルギー送受信システム52に結合されたプロセッサ68は、問合せ信号を処理する。プロセッサ68は、送受信モジュラント54に基づいて、過酷環境58における物体の複数の作動パラメータを決定するように構成される。さらに、一実施形態では、第1のエネルギー送受信システム52に結合されたエネルギー源70は、電圧源とすることができる。
【0022】
図5は、回転機械の物体上に配置された第2のエネルギー送受信システム80を表す概略図を示す。図示のように、第2のエネルギー送受信システム80の感知システム82は、センサ回路を形成し、またインターフェース要素86に加えて、誘電性材料などのセンサ84を含む。非限定的な例では、センサ84は、物体上に配置される誘電性材料を有するキャパシタとすることができる。一実施形態では、第2のエネルギー送受信システム80は、動作物体上にその一部を配置することができ、その場合、センサ84は、航空機エンジンのブレード、又はガスタービンの動翼上などの動作物体上に配置することができる。第2のエネルギー送受信システム80の残りの機構は、物体の非動作部分に配置することができる。非動作部分は、過酷環境の外部とすることができる。第2のエネルギー送受信システム80はさらに、センサインターフェース要素90を含む参照番号94で表される共振回路を含む。一実施形態では、センサインターフェース要素90は、共振回路94におけるインダクタと並列のキャパシタである。共振回路94のインピーダンスのどんな変化も、感知モジュラント92により表される。それにより、センサ84の出力は、センサインターフェース要素90を介して感知モジュラント92に接続される。図4で示された様々なセンサ要素を接続するチャネルは、第2のエネルギー送受信システム80におけるエネルギー信号送信及び受信の様々な経路を表す。
【0023】
一実施形態では、センサ84は、キャパシタ、インダクタ、ナノスケールのNEMSデバイス、マイクロスケールのMEMSデバイス、及びメソスケールの直接書込みデバイスを含む群から選択することができる。直接書込みデバイスは、直接印刷されるデバイスであり、回路の金属被覆を含み、その被覆はさらに、導体、抵抗、キャパシタ、又はアンテナを含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェース要素86は、原子構造の再整列を生ずる可能性のある温度、歪み、又は結晶変形に応じて、透磁率を変化させる材料を含むことができる。
【0024】
インターフェース要素86の実施形態はまた、誘導性回路を変調するために選択された高透磁率材料、又はキャパシタ回路の静電容量を変調するために選択された比較的高い誘電率材料を含むことができる。透磁率材料の非限定的な例は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、及び金(Au)を含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェース要素86は、空気に対して比較的高い誘電率を有することができ、比較的小型のキャパシタを使用することができる。さらに、インターフェース要素86は、高いキュリー点を有するように選択できる作動パラメータ応答性材料である。本センサシステムは、それにより、最高約1200℃までの温度で、正確な結果を生成することができる。他の実施形態では、インターフェース要素86は、過酷環境における物体上に配置された誘電性要素を含む。誘電性要素はさらに、酸化物群から選択することができる。酸化物群の非限定的な例は、ガラス、硼珪酸ガラス、酸化ジルコニア、アルミナ、圧電材、強誘電性材、及びマグネシアを含むことができる。誘電性要素の誘電率は、物体の過酷な作動パラメータ88と共に直接変化する。物体の過酷な作動パラメータ88の非限定的な例は、温度、歪み、圧力、隙間、及び変位を含む。
【0025】
非限定的な一例では、センサ84は、タービンブレードの断熱被覆上に配置される高誘電性材料を有するキャパシタを含むことができる。高誘電性材料の非限定的な例は、珪酸ハフニウム、珪酸ジルコニウム、二酸化ハフニウム、アルミナ、マグネシア、及び二酸化ジルコニウムを含むことができる。誘電性材料の誘電率は、タービンブレードの温度又は歪みで直接変化することができる。誘電率のどんな変化も、センサ回路のセンサのキャパシタンスにおける変化を示す。これは、共振回路のインピーダンスの変調を誘起する。
【0026】
第2のエネルギー送受信システム80はまた、エネルギーインターフェース要素96を含む。一実施形態では、エネルギーインターフェース要素96は、エネルギー信号を、問合せチャネル98を介して(図3の)第1のエネルギー送受信システム52へと送受信するための送受信アンテナである。第2のエネルギー送受信システム80はさらに、補償コンポーネント100を含む。一実施形態では、補償コンポーネント100は、ノイズパラメータ102だけで変化し、第2のエネルギー送受信システム80の感知システム82により感知された作動パラメータ88では変化しないモジュラントである。ノイズパラメータ102は、温度変動及び送信電力変動を含むことができる。感知システム82は、電力、ギャップ、及びノイズパラメータ102などの変動を受けやすいはずである。補償コンポーネント100は、それにより、ノイズパラメータ102によるエラーを判定するように構成される。第2のエネルギー送受信システム80は、実質的に、補償コンポーネント100により判定されたエラーに従ってエネルギー信号を調整し、次いで、さらにエネルギー信号を送受信する。従って、補償コンポーネント100は、過酷環境センサシステムによる補正された作動パラメータ測定を保証する。
【0027】
さらに、第2のエネルギー送受信システム80は、エネルギー変換要素104を含む。一実施形態では、このエネルギー変換要素104は、受信したエネルギーを、感知モジュラント92及び感知インターフェース要素90により送信でき、且つ変化させることができる形に変換する。他の実施形態では、第2のエネルギー送受信システム80は、エネルギー変換器を含むことができる。エネルギー変換器は、エネルギーインターフェース96、及び感知システム82におけるセンサコンポーネントを含めて、共振回路94の動作周波数範囲をより適切な範囲へとシフトし、図3で示す第1のエネルギーインターフェース要素32で検出される得られた周波数シフトを増幅するように構成することができる。
【0028】
図6は、過酷環境における物体の作動パラメータを測定するための方法200の実施形態を示す。方法200は、ブロック202で示されるように、第1のエネルギー送受信システムを介してエネルギー信号を送受信することを含む。ブロック204で、方法200は、物体上に少なくとも一部が配置される第2のエネルギー送受信システムとの無線結合を介して、第1のエネルギー送受信システム中に位置する送受信モジュラントを変調することを含む。さらに、ブロック206で、方法200は、送受信モジュラントに基づき、プロセッサを介して過酷環境における物体の1つ以上の作動パラメータを計算することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、変調する要素は、過酷環境センサシステムの誘導性実施形態における高透磁率材料、又は静電容量性実施形態における高誘電率材料を含むことができる。過酷環境センサの実施形態で使用できる高透磁率材料のいくつかの例は、これだけに限らないが、鉄合金、ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、クロム、又は他の強磁性体合金を含む。高誘電率材料の例は、これだけに限らないが、酸化物、セラミックス、アルミナ、珪酸バリウム、並びにNPO及びX7Rなどの従来のキャパシタ用セラミック材料、又はLiNbO3を含むことができる。適切な材料は、過酷環境コンポーネントに基づいて、また測定されるマシンのパラメータに基づいて選択することができるが、それは、異なる材料は、作動パラメータに対して異なる磁気的応答を有する可能性があるからである。過酷環境センサシステムの諸実施形態は、これだけに限らないが、航空機エンジンにおける圧縮機若しくはタービン、ガス若しくは蒸気タービンなどの発電用タービン、又は発電機を含む、回転コンポーネント又は静止コンポーネントを備える任意の機械における様々な作動パラメータを検出するために使用することができる。
【0030】
有利には、過酷環境センサシステムは、回転機械の動作物体並びに静止物体の様々な作動パラメータの測定を提供する。この知識は、機械の全体的な健全性及び信頼性を判定するのを助ける。さらに、過酷環境センサシステムは、過酷環境中で動作する機械の計装の統合された部分を有効に形成する。こうすることにより、改善された正確さ、感度、及び特異性で機械から作動パラメータデータの測定値が得られる。機械の計装に過酷環境センサシステムを適用することにより、整備時間とコストを低減することに成功する。
【0031】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、その要素を様々に変化させることができ、均等物で置換することができることは当業者には明らかであろう。さらに、特定の状況又は材料に適応させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【0032】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0033】
10 回転機械、タービンエンジン
12 シュラウド
14 軸
16 ブレード
18 第1のエネルギーインターフェース要素
20 第2のエネルギーインターフェース要素
22 問合せチャネル
24 過酷環境センサシステム
26 第1のエネルギー送受信システム
27 第2のエネルギー送受信システム
28 問合せチャネル
30 過酷環境センサシステム
32 第1のインターフェース要素
33 第2のエネルギー送受信システム
34 センサ回路
36 プロセッサ
38 エネルギー源
40 第2のインターフェース要素
41 他のセンサ回路
42 センサコンポーネント
44 変調される問合せチャネル
50 過酷環境センサシステム
52 第1のエネルギー送受信システム
54 送受信モジュラント
56 第2のエネルギー送受信システム
58 過酷環境
60 問合せチャネル
62 感知モジュラント
64 エネルギーインターフェース要素
66 感知チャネル
68 プロセッサ
70 エネルギー源
80 第2のエネルギー送受信システム
82 感知システム
84 センサ
86 インターフェース要素
90 センサインターフェース要素
92 感知モジュラント
94 共振回路
96 エネルギーインターフェース要素
100 補償コンポーネント
102 ノイズパラメータ
104 エネルギー変換要素
200 過酷環境における物体の作動パラメータを測定するための方法
202 第1のエネルギー送受信システムを介してエネルギー信号を送受信する方法段階
204 少なくとも一部が物体上に配置される第2のエネルギー送受信システムとの無線結合を介して、第1のエネルギー送受信システム中に位置する送受信モジュラントを変調する方法段階
206 送受信モジュラントに基づき、プロセッサを介して過酷環境における物体の1つ以上の作動パラメータを計算する方法段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酷環境(58、88)における物体の複数の作動パラメータを測定するためのシステム(30、50)において、
エネルギー信号を送受信するように構成された第1のエネルギー送受信システム(31、52)と、
前記第1の送受信システム(31、52)に結合された送受信モジュラント(54)と、
少なくとも一部が前記物体上に配置され、且つ前記第1の送受信システム(31、52)により問い合わせを行うことができる第2のエネルギー送受信システム(33、56、80)であって、感知システム(82)を備えた第2のエネルギー送受信システム(33、56、80)と、
前記第1の送受信システム(31、52)に結合され、前記送受信モジュラント(54)に基づいて、前記過酷環境(58、88)における前記物体の前記複数の作動パラメータを決定するように構成されたプロセッサ(36、68)と
を備えるシステム(30、50)。
【請求項2】
前記感知システム(82)が、インターフェース要素(86)及びセンサ(84)を備える、請求項1記載のシステム(30、50)。
【請求項3】
前記インターフェース要素(86)が誘電性要素を含む、請求項2記載のシステム(30、50)。
【請求項4】
前記センサ(84)が、キャパシタ、インダクタ、ナノスケールNEMSデバイス、マイクロスケールMEMSデバイス、メソスケール直接印刷デバイスを備える、請求項2記載のシステム(30、50)。
【請求項5】
前記第2のエネルギー送受信システム(33、56、80)が、センサ回路をさらに備える、請求項1記載のシステム(30、50)。
【請求項6】
前記第2のエネルギー送受信システム(33、56、80)が、センサインターフェース要素(90)、感知モジュラント(92)、エネルギー変換コンポーネント(104)、エネルギー変換器、補償コンポーネント(100)、及びエネルギーインターフェース要素(96)をさらに備える、請求項1記載のシステム(30、50)。
【請求項7】
前記センサインターフェース要素(90)が、共振回路を形成するために、インダクタと並列にキャパシタを備える、請求項6記載のシステム(30、50)。
【請求項8】
前記第2のエネルギー送受信システム(33、56、80)の前記感知モジュラント(92)が、前記共振回路のインピーダンスである、請求項7記載のシステム(30、50)。
【請求項9】
前記感知システム(82)が、高透磁率材料、高誘電性材料、高キュリー点材料、高誘電率材料を含む作動パラメータ応答性材料を含む、請求項1記載のシステム(30、50)。
【請求項10】
過酷環境(58、88)における物体の作動パラメータを測定する方法(200)であって、
第1のエネルギー送受信システムを介して電磁信号を送受信し(202)、
少なくとも一部が前記物体上に配置される第2のエネルギー送受信システムとの無線結合を介して、前記第1のエネルギー送受信システム中に位置する送受信モジュラントを変調し(204)、
前記送受信モジュラントに基づいて、プロセッサを介して、前記過酷環境における前記物体の1つ以上の作動パラメータを計算する(206)
ことを含む方法(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−28750(P2011−28750A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164415(P2010−164415)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】