説明

過酸化ベンゾイルを含む粉末を湿潤させるための方法

過酸化ベンゾイルを含む粉末は、前記粉末を、液体の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体と接触させることで直ちに湿潤される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化ベンゾイルの安定な分散および微粒分散を公式化する分野に関係するものである。
【背景技術】
【0002】
過酸化ベンゾイルは、皮膚病学的医薬組成物において広範囲に用いられている。尋常性座瘡および紅斑性座瘡の治療における多くの組成物は、例えば、2.5%〜10%の過酸化ベンゾイルを含む。これら及び他の皮膚病学的疾患の治療における過酸化ベンゾイルの効果は、角質溶解薬としてのその有用性であり、それによって皮膚の代謝回転を上げ、毛孔を洗浄する。加えて、過酸化ベンゾイルは同様に、直接的な抗菌活性を有する。
【0003】
水性流体における過酸化ベンゾイルの安定な分散を得ることにおける重大な困難は、過酸化ベンゾイルが非常に疎水性である有機化合物であること、および、水では直ちに湿潤されないことである。この課題は、1つ以上の方法の従来技術によって取り扱われた。
【0004】
過酸化ベンゾイルは、有機溶剤において溶解されることができ、したがって、皮膚疾患を治療するための局所投与における過酸化ベンゾイルの安定、均一、美容的に簡潔、及び効果的な分散を調製することの課題を回避する。局所使用のための溶液中の過酸化ベンゾイルを含む初期の製品は、アセトンまたはアルコールおよびアセトンの組合せのような有機溶剤に過酸化ベンゾイルが溶解されたゲルであった。これらの製品は、有効であることが証明されたが、引火性、皮膚の過度の乾燥、および、多くの座瘡の患者において明らかな皮膚刺激をおこすことを含むいくつかの不都合があった。より最近の開発は、過酸化ベンゾイルを可溶化するために他の有機溶媒を使用した。しかしながら、これらの組成物は、皮膚の毛包脂腺器内に可溶化された過酸化ベンゾイルのボーラス送達の課題による有意な数の患者における深刻な皮膚刺激の課題を解決しない。
【0005】
溶液によって発生する劣化製品の生産の増大を含むこれらの理由および他の理由のために、過酸化ベンゾイルの懸濁液は溶液よりも好適である。ミクロ懸濁液は、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液であり、以下の例示的な理由を含むいくつかの理由のため、過酸化ベンゾイルの標準または非ミクロ懸濁液に対して好適である。第一に、ミクロ懸濁液は毛包脂腺器の漏斗部内に過酸化ベンゾイルの微細粒子の効果的な送達を提供する。そして、それらは留まり、それから皮脂および毛包脂腺組織内に薬剤の非ボーラス送達を提供する。この送達は、皮膚刺激反応の最適効果および減少の適当なバランスを提供する。第二に、美容的に簡潔および患者の許容性は、懸濁化された過酸化ベンゾイルを含む滑らかで均一なゲル、クリーム、またはローションによって改善される。特に、座瘡または紅斑性座瘡のような顔の皮膚疾患治療において、美容的に簡潔であることは、治療指示への良好な患者コンプライアンスを得ることにおいて重要な要因である。進行中の局所薬剤処置による慢性疾患において、良好な患者コンプライスは全体的な治療の成功を得ることにおいて重要である。
【0006】
界面活性剤は、水性流体において過酸化ベンゾイルを分散させるのを助け、懸濁液において過酸化ベンゾイルを維持する湿潤剤としてしばしば利用される。しかしながら、界面活性剤は、損傷または病気の皮膚をしばしば刺激し、傷のない皮膚に繰り返し塗布されると、界面活性剤は、皮膚からのトランス表皮水分損失の増加によって証明されるように、通常の皮膚保護機能を崩壊させることは公知である。したがって、医薬組成物、特に、慢性的な皮膚状態を治療するために長期間にわたって日常的に使用される医薬組成物を処方するにあたって、界面活性剤は最小であるか、界面活性剤なしであることが望ましい。過酸化ベンゾイルの分散を促進するため、および、懸濁液での過酸化ベンゾイルのぶんさんを維持するため、過酸化ベンゾイルの微粒化は、しばしば、時には界面活性剤とともに利用される。
【0007】
Cox、米国特許第3,535,422号は、過酸化ベンゾイルを含む安定的なエマルジョンを開示している。Coxは懸濁液において過酸化ベンゾイルを含むエマルジョンを得るための2つの方法を開示している。第一の方法において、Coxは、水、界面活性剤、および、飽和有機化合物軟化薬を最大25%含むエマルジョンを形成する。乾燥した微粒化された過酸化ベンゾイルは、当該組成物を得るために、このエマルジョンに混合される。第二の方法においては、非微粒化過酸化ベンゾイルを利用し、水で湿潤された粉末パッケージの形態での過酸化ベンゾイルの粗結晶は、予め製造された界面活性剤および飽和有機化合物軟化薬を含む当該組成物の全ての構成要素を含むエマルジョンと結合される。結果として生じる組成物は、その後、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む組成物を得るために粉砕される。
【0008】
Young、米国特許第4,056,611号は、懸濁液において過酸化ベンゾイルを含む単一相組成物を開示する。Youngの組成物は、アルコール溶媒、水、および界面活性剤を必要な構成要素として含む。Coxのように、Youngは当該組成物が乾燥した微粒化された過酸化ベンゾイル結晶を利用することで製造できることを開示している。好適には、Youngは、Coxと同様に過酸化ベンゾイルの粗結晶の湿潤粉末パッケージを利用する。この粉末は、70%過酸化ベンゾイルおよび30%w/w水を含む。当該組成物の全ての構成要素は、一緒に混合され、その後、この混合物は、懸濁液において微粒化された過酸化ベンゾイルを含む組成物を得るために粉砕される。さらに、Youngは、当該組成物が、懸濁液において過酸化ベンゾイル粒子を維持する懸濁化剤と粘度ビルディング(ゲル化)剤を有利に含むことがえきることを開示している。
【0009】
CoxとYoungの方法および組成物は、過酸化ベンゾイルを含む組成物に関していくつかの不利益を含む。CoxおよびYoungは、両方とも、界面活性剤が利用され、損傷または病気の皮膚をしばしば刺激する。さらに、CoxおよびYoungは、混合物を形成するために、粗く、非微粒化過酸化ベンゾイルを含むそれらの組成物の全ての成分を一緒に結合すること、その後、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む組成物を得るために、この混合物を粉砕することを開示する。Youngは、ゲル化剤が当該組成物において結合されることがあると開示しているにもかかわらず、過酸化ベンゾイルを微粒化するために使用される機械的な粉砕力がゲル化剤として利用されるポリマーを崩壊させる傾向があることはよく知られている。したがって、粉砕過程は、望まれる粘度を提供するゲル化剤の能力の減少に結果としてなる。
【0010】
Klein、米国特許第4,387,107号は、過酸化ベンゾイルを含むゲル組成物を開示する。Kleinは、残渣成分と結合する前に予め微粒化された過酸化ベンゾイルを用いることで、過酸化ベンゾイルを含む組成物を粉砕することの問題を回避している。Kleinの組成物を製造するために、水は第一混合物を製造するためのゲル化剤と結合される。この混合物にアルコール賦形剤と香料およびサリチル酸メチルのような他の治療剤のような他の成分が任意に加えられる。最後に、当該組成物を得るために、微粒化された過酸化ベンゾイル、界面活性剤および水を含む第二混合物が第一混合物に加えられる。微粒化された過酸化ベンゾイルが用いられるため、当該組成物を機会的に粉砕する必要はない。したがって、重合ゲル化剤は崩壊しない。しかしながら、Kleinの方法は、予め微粒化された過酸化ベンゾイルの使用と界面活性剤の存在を必要とする。
【0011】
Kleinで開示されたような、微粒化された過酸化ベンゾイルの使用は、特に1若しくはそれ以上の重合ゲル化剤を含む半固体組成物の製剤において利点を提供する。非微粒化の過酸化ベンゾイルとは対照的に、微粒化過酸化ベンゾイルは親水性流体において直ちに懸濁され、このような懸濁液は非微粒化の過酸化ベンゾイルによってできた同じような懸濁液よりも物理的に安定である。しかしながら、微粒化された過酸化ベンゾイルは、特に製薬等級剤としては、しばしば得ることが困難であり、得ることができても微粒化された過酸化ベンゾイルは高価である。
【0012】
したがって、直ちに利用でき、微粒化された過酸化ベンゾイルよりそれほど高価でない非微粒化の過酸化ベンゾイルを購入できること、および、医薬製剤の製造における使用のために当該過酸化ベンゾイルを微粒化できることは、有利である。
【0013】
CoxおよびYoungの特許において開示されたように、結晶性固体における過酸化ベンゾイルは室温で安定であるが、粉砕に関連した温度に曝されると、可燃性であり、爆発することもある。したがって、過酸化ベンゾイルの乾燥粉砕は好適ではない。むしろ、微粒化された形で過酸化ベンゾイルを得るために過酸化ベンゾイルを湿式粉砕することは好適である。水の存在下での過酸化ベンゾイルは、好適な湿式粉砕方法において利用されるものであり、引火および爆発の危険が最小化される、非常に安全な方法である。
【0014】
過酸化ベンゾイルの湿潤製粉において直面する1つの困難は、上述したように、過酸化ベンゾイルが非常に疎水性であり、水で濡れることに抵抗することである。さらに、過酸化ベンゾイル粒子間の強い引力は、製造方法および最終医薬製剤の品質を危うくする凝集の問題を生じさせる。界面活性剤は、この目的および過酸化ベンゾイルの安定的な非凝集のミクロ懸濁液を維持するために、Cox、YoungおよびKleinの各特許で開示されたように利用されたが、界面活性剤は、損傷または病気の皮膚を刺激する傾向のために好適ではない。したがって、過酸化ベンゾイルが、直ちに湿潤されることができ、懸濁液、親水性または水性流体において好適に置かれ、好適には界面活性剤を使用しない方法は、大きな利点である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
過酸化ベンゾイルを、機械的撹拌ありまたは機械的撹拌なしで、湿潤流体、好適には水性基剤と結合させることで、過酸化ベンゾイル粉末が直ちに湿潤され、凝集が最小限または非凝集の過酸化ベンゾイル懸濁液が得られることは予想外に発見された。前記湿潤流体、好適には水性基剤は、表面張力を約64ダイン/cmまたはそれ以下に減少させるのに十分な濃度で、水を含む流体に溶かされた水溶性有機溶剤を含むものである。さらにこの湿潤が、界面活性剤のような湿潤剤を使用することなく得られることが発見された。
【0016】
本明細書で使用されるように、用語「過酸化ベンゾイル粉末」は過酸化ベンゾイルの任意の微粒子型を意味するものである。このような微粒子型の例としては、粗い、微細、またはナノ粒子粉末のように超微細であるにせよ、顆粒、結晶および非晶質粉末を含む。
【0017】
本明細書で使用されるように、「過酸化ベンゾイルを含む粉末」は、過酸化ベンゾイル粉末および過酸化ベンゾイル以外の1若しくはそれ以上の材料の任意の微粒子型を含む粉末を意味する。例えば、過酸化ベンゾイルを含む粉末は、過酸化ベンゾイルの粒子および1若しくはそれ以上の他の粒子を含むことができ、ここにおいて、粉末における過酸化ベンゾイル以外の粒子の濃度は、50% w/wまたはそれ以下である。過酸化ベンゾイルを含む粉末は、50%から100%の過酸化ベンゾイルの濃度であり、例えば、50%から60%であり、60%から70%であり、70%から80%であり、80%から90%であり、または90%から100%である。
【0018】
本明細書で使用されるように、用語「非微粒化」は、過酸化ベンゾイル粉末に関して使用されるとき、平均的過酸化ベンゾイル粒子が50ミクロンまたはそれ以上のサイズである粉末を意味する。逆に、用語「微粒化」は、過酸化ベンゾイル粉末に関して使用されるとき、平均的過酸化ベンゾイル粒子は50ミクロン以下のサイズである。必ずしもではないが、好適には、実質上全ての非微粒化粉末における過酸化ベンゾイル粒子は、150ミクロンまたそれ以上である。
【0019】
本明細書で使用されるように、用語「湿潤」は粉末上および粉末に流体を散布すること、そして、それに対して吸着された空気を置換すること、それによって粉末の粒子が個々に、および別々に流体内に包まれることを意味する。当業者において知られているように、粉末は、例えば視覚検査および評価に基いて粒子の約80% +/− 10%のようにほぼ全ての粒子が流体内に包まれると、湿潤されたとみなされる。例えば、粉末と適当な湿潤流体との接触は、粒子の少数、典型的には粒子の約20% +/− 10%未満が湿潤されない場合であっても、完全な湿潤とみなされることに結果としてなる。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「機械的撹拌」は、液体中の粉末混合物の湿潤を容易にするため、液体と接触している粉末混合物に運動エネルギーを適用することを意味する。機械的撹拌の例は、これに限定されないが、混合、撹拌、剪断、振盪、または融合を含む。他の例は、超音波処理およびボルテックスにかけることを含む。
【0021】
本明細書で使用されるように、局所適用のための医薬剤形に関する用語「水性ゲル」は、ポリマーのような増粘剤とゲル化される担体または担体系を有する単相半固体医薬剤形を意味し、ここにおいて、大部分の担体または担体系は水、つまり、50% w/w以上である。
【0022】
本明細書で使用されるように、用語「凝集」は小さな固体粒子間の強い物理的な引力を意味し、それによって、多数の粒子が単一の粒子として現れる単一の大きな塊に凝集される。
【0023】
一実施形態において、本発明は過酸化ベンゾイルを含む湿潤粉末を得るための方法である。本発明の方法に従って、この粉末は、水と水溶性有機溶剤を含む液体と接触するように配置される。この溶剤は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体に溶かされる。好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を62ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。さらに好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を61ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。最も好適な実施形態において、溶剤は、表面張力を60ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。例えば、溶剤は、表面張力を55〜60ダイン/cmまたは50〜55ダイン/cmまたはそれ以下に減少させるのに十分な濃度で液体中に存在する。
【0024】
以下に記載したように、当該方法は表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることについて記載される。前の段落において開示したように、好適には、表面張力は64ダイン/cm未満、例えば50〜62ダイン/cmまたはそれ以下の値に減少される。
【0025】
非微粒化過酸化ベンゾイルは、時に「湿性」過酸化ベンゾイルと誤って呼ばれる含水過酸化ベンゾイル、USPとしてすぐに入手できる。含水過酸化ベンゾイルは引火性および衝撃感度を減少させるために、少なくとも65.0%および82.0%以下、平均で約74%の過酸化ベンゾイルと26%の水を含む。含水過酸化ベンゾイルにおける過酸化ベンゾイルは当業者で使用されている用語としての意味で湿潤されたものではない。含水過酸化ベンゾイルはペーストではなく、含水過酸化ベンゾイルにおける過酸化ベンゾイルは微結晶性状態であり、自由に流れる粉末として挙動する。水分子と過酸化ベンゾイル粉末間に化学的相互作用はなく、および、水は過酸化ベンゾイル粉末の核または内部を湿らせてはいない。このように、市販されている「湿性」過酸化ベンゾイルは湿潤されていない。
【0026】
粉末の過酸化ベンゾイルは微粒化または非微粒化されており、したがって、非微粒化粉末に関する本明細書の記載は、微粒化された粉末においても適用可能であると理解される。湿潤過酸化ベンゾイル粉末の例は、Benox(登録商標)(Syrgis Performance Initiators, Inc., アーカンソー州、Helena)の商標名のもとに販売されている。微粒化された過酸化ベンゾイルを含む粉末が既に湿潤されているので、このような粉末は、本発明の湿潤実施形態には不適用である。しかしながら、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む湿潤粉末の使用は、以下で論じられる他の実施形態には適用できる。
【0027】
湿潤過酸化ベンゾイル粉末を得るため本発明の方法に従うと、過酸化ベンゾイルを含む粉末は、適当な湿潤流体と接触して配置され、この湿潤流体は水と水の表面張力を所望のレベルまで減少させるのに十分な混合濃度を有する1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤とを含む。好適には、湿潤流体は界面活性剤を含まない。この粉末および湿潤流体は、湿潤流体によって湿潤される過酸化ベンゾイルにとって十分な時間における互いとの接触を維持されることができる。必要に応じて、または必要があれば、この粉末および湿潤流体は、湿潤を容易にするため、または加速させるため、または完全にするために機械的に撹拌されることがある。
【0028】
本発明の方法に適した有機溶剤は、表1に示したU.S.P. 23rd Ed.において定義されているように、水に対して「極めて溶けやすい」、「溶けやすい」、または「可溶性」のものである。
【表1】

【0029】
必ずしもではないが、好適には、有機溶剤は水において混和性である。水において混和性であり、本発明の方法に適した例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノールのようなC1−6アルカノール;ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドのような線形アミド;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコールのようなケトンおよびケトンアルコール、テトラヒドロフランおよびジオキサンのような水混和性のエーテル;ジオール、例えばペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびチオジグリコール、およびジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのようなオリゴアルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール;グリセロールおよび1,2,6−ヘキサントリオールのようなトリオール;2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)−エトキシ]エタノールおよびエチレングリコールモノアリルエーテルのような2〜12の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4アルキルエーテル;環状アミド、好適には2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび1,3−ジメチルイミダゾリドン;ジメチルイソソルバイドのような糖エステル;カプロラクトンのような環状エステル;およびジメチルスルホキシドおよびスルホランのようなスルホキシドを含む。
【0030】
加えて、本発明の方法において適した溶剤は、表面張力を室温で約64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度で水に溶解されることができる。水の表面張力は、表2に示したように温度変化によってわずかに変化する。
【表2】

【0031】
好適には、過酸化ベンゾイル粉末を湿潤させるための本発明の方法は、大体室温、つまり20℃〜30℃で実行される。あまり好適ではないが、本発明の方法は、室温以下の温度、つまり、0℃〜20℃で実行される。また好適ではないが、室温を上回る温度、つまり30℃〜50℃で実行される。さらに好適ではないが、本発明の方法は50℃〜100℃の高温で実行されることがある。本発明の優位性の1つは、熱を加える必要性がないことにあるので、本発明の方法を室温またはそれ以下で実行することは望ましい。しかしながら、熱が加えられる場合、および、温度が前記温度に上昇される場合、湿潤における最適表面張力は64ダイン/cmよりもわずかに高くなることがある。
【0032】
湿潤流体は、1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤に加えて、付加的な溶剤と成り得る付加的成分を含むことがある。このような付加的成分は、好適には湿潤手順が行われる温度において液体であり、好適には利用される水溶性有機溶剤に可溶性である。随意にこの湿潤流体は、付加的な湿潤剤、塗膜形成剤、または脱凝集剤として液体状態の溶質を含むことがある。
【0033】
水と上述したような1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体である湿潤流体が過酸化ベンゾイルを湿潤させることができることは驚くべきことに発見された。湿潤流体における水和性有機溶剤の濃度は、例えば使用される特定の溶剤のような要因、および使用される過酸化ベンゾイル粉末と湿潤流体の相対体積によって変化する。一般的に、湿潤流体における水溶性有機溶剤の濃度は1%〜100% w/wである。好適には、当該濃度は約5%以上であり、さらに好適には約10%以上であり、最も好適には少なくとも約15%である。前文における用語「約」は、述べられた量に四捨五入される量を意味することを意図する。したがって、約5%は4.5%以上を意味し、約10%は9.5%以上を意味し、および約15%は14.5%以上を意味する。粉末および湿潤流体は、湿潤を容易にし、加速し、または完全にするために機械的に撹拌されることがある。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、水と上述した1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイル粉末である。ここにおいて、液体における水溶性有機溶剤の濃度は、上述したように、室温での表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分なものである。
【0035】
他の実施形態において、本発明は1つまたはそれ以上の上述したような水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイルであり、そこにおいて液体における前記有機溶剤または溶媒の濃度は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に十分に減少させるものである。
【0036】
他の実施形態において、本発明は1つまたはそれ以上の上述したような水溶性有機溶剤を含む液体と結合した湿潤過酸化ベンゾイル粉末であり、そこにおいて、液体における前記有機溶剤または溶媒の濃度は、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に十分に減少させるものである。そして、結果として過酸化ベンゾイル粉末が湿潤され、それによって、過酸化ベンゾイルの粒子が微粒化されていてもいなくても、局所製剤またはそれらの組成物の製造工程の間、過酸化ベンゾイルの粒子の凝集を減少および制御する。
【0037】
他の実施形態において、本発明は、例えば有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製剤の製造における使用のための、微粒化された過酸化ベンゾイルを調製するための方法である。本発明のこの実施形態に従うと、水と表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の水溶性有機溶剤を含む湿潤流体は、非微粒化過酸化ベンゾイルを含む粉末と結合される。湿潤流体は、粉末中の過酸化ベンゾイル粒子の大部分を湿潤させることができる。その後、湿潤過酸化ベンゾイルは、微粒化された過酸化ベンゾイルを得るために適当な微粒化の処置を受ける。
【0038】
他の実施形態において、本発明は過酸化ベンゾイルの懸濁液である。この実施形態に従うと、懸濁液は、1%〜30% w/w、好適には10%以下、最も好適には5%以下の濃度で過酸化ベンゾイルを含む単相組成物である。過酸化ベンゾイルは、室温で表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む懸濁流体中で懸濁される。懸濁流体は、1若しくはそれ以上の有機溶剤のみを含むこともある。代わりに、懸濁流体は、表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させることのできる水溶性有機溶剤以外の1若しくはそれ以上の賦形剤を含むことができる。
【0039】
懸濁流体が水に加えて1若しくはそれ以上の上述した水溶性有機溶剤のみを含むことは好適である。室温で水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることのできる水溶性有機溶剤以外の賦形流体が使用されている場合、このような賦形流体は薬学的に許容可能であるべきであり、使用される1若しくはそれ以上の水溶性溶剤と混和性であるべきである。さらに、表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させることのできる1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤の懸濁流体における濃度は、このような水溶性有機溶剤以外の賦形流体の非存在下において、そのすぐ後に結合される過酸化ベンゾイル粉末を湿潤させるために十分でなければならない。
【0040】
懸濁液における過酸化ベンゾイルは、微粒化されている、または非微粒化されていることがある。過酸化ベンゾイルが非微粒化である場合、懸濁液は懸濁液における過酸化ベンゾイルが微粒化されるように処理されることができる。適当な微粒化処理は、懸濁液の粉砕、研磨、破砕、切断、衝突、キャビテーティング、および剪断を含む。
【0041】
本発明の方法に従って湿潤および懸濁化される場合、非微粒化過酸化ベンゾイルが液面で凝集する傾向は非常に低く、したがって、ゴーリンミル(Delavan, WI)のような微粒化器具の小さな開口部に固着する過酸化ベンゾイル粒子の問題はごくわずか、または問題ない。本発明の方法に従って湿潤され、その後微粒化された過酸化ベンゾイルは安定的な懸濁液において維持され、および、ゲル、クリーム、またはローションのような医薬製剤内に組み込まれる前に顕著な度合いで液体表面に凝集しない。本発明に従って得られた安定したミクロ懸濁液はこのように結果として良好な医薬均質性および皮膚内、特に毛包脂腺器への最適な非ボーラス送達になり、結果として、効果を損なうことなく皮膚刺激を最小限にする。
【0042】
本発明の他の実施形態において、本発明は、有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製剤を製造することにおける使用のためのような、微粒化された過酸化ベンゾイルを調製するための方法である。この方法に従って過酸化ベンゾイル粉末は湿潤され、上述したような懸濁液となり、その後、過酸化ベンゾイル懸濁液は、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液を得るため、適切な微粒化処理にかけられる。
【0043】
他の実施形態において、本発明は微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液であり、過酸化ベンゾイルは上述した方法に従って微粒化された。本発明の過酸化ベンゾイルの微粒化処理および懸濁液は、有効成分として過酸化ベンゾイルを含む局所医薬製品、特に半固体剤形である局所製品の製造において有用である。本発明の方法は、ローションおよび他の注ぐことのできる局所剤形において「使用前によく振ってください」とのラベルなしの最適な医薬許容性のため、および、最適な薬物送達のために、非凝集状態の分散した微粒化過酸化ベンゾイルを維持する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、室温で水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることができる1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む懸濁液において、または結合において過酸化ベンゾイルを含む医薬製剤である。そこにおいて、医薬製剤における水と水溶性有機溶剤の濃度は、製剤の他の全ての液体成分がない場合に、製剤に存在する過酸化ベンゾイルの濃度で過酸化ベンゾイルを含む粉末を湿潤させるのに十分である。好適には、過酸化ベンゾイルは微粒化されている。好適には、過酸化ベンゾイルは、本発明にしたがって微粒化された。必要に応じて、上述したように、1若しくはそれ以上の付加的な賦形流体を含むことができる。医薬製剤はさらに、湿潤剤、緩和剤、pH安定剤、キレート剤、塗膜形成剤、防腐剤および酸化防止剤のような医薬製剤において共通に使用される賦形剤を含むことができる。
【0045】
医薬製剤における過酸化ベンゾイルの濃度は好適には1%〜10% w/wであり、好適な濃度は2%〜5%である。必要に応じて、尋常性座瘡または紅斑性座瘡のような皮膚疾患の治療において有用な付加的な薬剤は製剤において含まれることができる。好適には、付加的な抗座瘡化合物は溶剤または多数の溶剤に溶解し、したがって、製剤において溶解される。
【0046】
そのような好適な抗座瘡化合物は抗生物質である。好適な抗生物質は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、チルミコシンおよびチロシンのようなマクロライド系抗生物質、および、クリンダマイシンおよびリンコマイシンのようなリンコマイシン系抗生物質を含む。本発明の製剤において過酸化ベンゾイルと結合して用いられる特に好適な抗生物質は、塩酸クリンダマイシンまたはリン酸クリンダマイシンのようなクリンダマイシンである。本発明の製剤に含まれることができる付加的な局所抗座瘡活性成分は、抗生物質を含んでも含まなくても、サリチル酸、アゼライン酸、硫黄、スルファセタミド、レゾルシノール、グリコール酸のようなアルファ−ヒドロキシ酸、ナイアシンアミド、尿素、および、トレチノイン、アダパレンおよびタザロテンのようなレチノイドを含む。
【0047】
本発明の製剤に存在する場合、付加的な抗座瘡化合物は、好適には、過酸化ベンゾイルがない場合に明白な抗座瘡効果がでる濃度で存在する。例えば、クリンダマイシンが本発明の製剤に存在する場合、クリンダマイシンの濃度は少なくとも0.5%、例えば1%が好適である。0.5%よりも低い濃度、または1%よりも高い濃度、例えば2.5%から5.0%またはそれ以上の濃度が製剤に利用されることもある。
【0048】
必要というわけではないが、製剤がゲル形態、好適には水性ゲルで存在することは好適である。したがって、本発明の製剤は、ゲル化剤または増粘剤を含むことができる。水に分散可能な任意のゲル化剤は、皮膚のような上皮組織における使用に適しており、実質的に同一の硬さの水性ゲルを形成し、本発明の組成物における使用に適している。1つの好適なゲル化剤はヒドロキシプロピルセルロースであり、例えば、KLUCEL(登録商標)(Hercules Incorporated,米国デラウェア州,Wilmington)の商標名のもとで販売されている。他の好適なゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロースであり、例えば、NATROSOL(登録商標)(Hercules Incorporated)の商標名のもとで販売されている。他の適当なゲル化剤は、カルボマーとして知られているカルボキシビニルポリマーを含み、例えば、CARBOPOL(登録商標)934,940,941,980および981(B.F. Goodrich Co.,米国オハイオ州,Akron),ETD 2020(商標),およびULTREZ(登録商標)(Noveon,Inc.,米国オハイオ州,Cleveland)の商標名のもとで販売されている。さらなる適当なゲル化剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、アルギン酸プロピレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および、キサンタンおよびカラゲナンのような天然高分子ガムである。組成物におけるゲル化剤の濃度は、ゲル組成物の所望の粘度を含む複数の要因によって変化されることができる。例えば、ゲルは注ぐことができ、プラスチックスクイーズボトルのようなボトルから分配されることができる、または、好適にはコラプシブルチューブまたは広口瓶から分配されるようなより粘性であることもある。
【0049】
必要に応じて、本発明の製剤は、製剤において局所的に使用され、当業者において公知である付加的な薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含むことができる。このような賦形剤は、例えば、湿潤剤、緩和剤、pH安定剤、キレート剤、被膜形成剤、透過促進剤、防腐剤および酸化防止剤を含む。
【0050】
本発明の医薬製剤の半固体剤形は、クリームやローションのようなエマルジョンの形態であることもある。好適には、界面活性剤は皮膚を刺激し、または皮膚保護機能を損なう傾向があることから、低分子量の界面活性剤なしでこのようなクリームまたはローションは処方される。したがって、本発明のクリームまたはローション製剤は、Dow,米国特許第7,368,122号で開示されたような、皮膚に有害な作用を示さない高分子量ポリマー乳化剤、または、ポロキサマーのような穏やかな乳化剤の低レベルと製造される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明はさらに以下の非限定的な実施例において記載される。以下の実施例において、本発明は主に水と混和性である有機溶剤によって例示されている。しかしながら、実施例は例示的なものであり、前述したように本発明は水と混和性でない水溶性溶剤によって実行されることもあることは理解されている。
【0052】
実施例1 様々な水溶性有機溶剤を利用する過酸化ベンゾイル粉末の湿潤
過酸化ベンゾイルの湿潤性の研究は以下の様に行われた。過酸化ベンゾイル粉末の1.5グラムは約5cmの直径を有するガラスビーカーに含まれる4つのテスト流体の表面に広げられた。4つのテスト流体は、72.0ダイン/cmの表面張力を有する精製水30ml(試料A)、7.5%エタノールおよび51.4ダイン/cmの表面張力を有する95%精製水からなる流体30ml(試料B)、20%ポリエチレングリコール(PEG200)および51.9ダイン/cmの表面張力を有する80%精製水からなる流体30ml(試料C)、および、20%ジメチルイソソルバイド(DMI)および50.1ダイン/cmの表面張力を有する80%精製水からなる流体30ml(試料D)である。それぞれのビーカーの底に12mm×8mmの磁気攪拌棒をおいた。各流体は、表面に過酸化ベンゾイル粉末を有し、1200rpmで撹拌された。室温での撹拌の5〜10分後、試料は過酸化ベンゾイルの湿潤度合いにおいて視覚的に調べられた。試料Aにおける湿潤の視覚的証拠はごくわずかであるか、ないかであり、過酸化ベンゾイルの湿潤は不十分であった。試料B、CおよびDのそれぞれにおける過酸化ベンゾイルの湿潤は、過酸化ベンゾイル粉末の少なくとも90%の湿潤の視覚的証拠により、良好であると決定された。
【0053】
実施例2 水の表面張力における様々な溶剤の効果
水を含む流体の表面張力は、水において様々な水溶性有機溶剤の濃度と混合する前後で決定された。本研究は室温で実行され、その結果は表3に示されている。表面張力における値はダイン/cmである。
【表3】

【0054】

【0055】
表3に示されているように、テストされた各有機溶剤は、グリセリンを除いて、流体を含む水の表面張力を室温で64ダイン/cm未満に減少させた。エタノール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール400、およびジメチルイソソルバイドはそれぞれ、例えば1%〜5%の任意の濃度のような5% w/w未満およびそれ以上の濃度での本発明の方法における使用において適している。プロピレングリコールは約7.5%以上の濃度で適していると表3のデータに示されている。グリセリンは、単独では、本方法において適当ではないことが表3のデータより示されている。
【0056】
実施例3 3.13%過酸化ベンゾイル局所ゲルの製造における使用のために安定的な微粒化懸濁液の調製を容易にするためのプロピレングリコールおよび水を有する流体による過酸化ベンゾイル粉末の湿潤
懸濁液は、9.4% w/wプロピレングリコールおよび90.6% w/wの水を含む分散流体を利用する24.8% w/w含水過酸化ベンゾイルを含んで調製される。ステンレススチールタンク内で、36kgの精製水と3.75kgのプロピレングリコールが結合される。結合は、混合物を形成するためにプロペラミキサーによって撹拌された。混合の間、13.12kgの含水過酸化ベンゾイル(74.5%過酸化ベンゾイル)が加えられた。室温で過酸化ベンゾイル粉末を湿潤および分散させるため、および、過酸化ベンゾイル懸濁液を得るため、1450rpmで約10分間、混合は続けられた。
【0057】
視覚的検査によると、懸濁液は一様に湿潤された過酸化ベンゾイルを有し、なめらかで、塊がないように見えた。この懸濁液は、湿式粉砕法を使用する微粒化のためゴーリンミルに通される。粉砕処理は問題なく(つまり粉砕がつまることなく)能率的に進行し、およびミクロ懸濁液が製造された。この懸濁液は、最終局所剤形、界面活性剤を使用しない安定なミクロ懸濁液として存在する活性過酸化ベンゾイル製剤原料を有する、3.13%過酸化ベンゾイルゲルに組み込まれる前に短い時間取っておかれた。
【0058】
この実施例は、水中で約9%のプロピレングリコールの濃度が過酸化ベンゾイル粉末の湿潤を提供するのに十分であることを示している。
【0059】
上記実施例は、含水過酸化ベンゾイル粉末が、水性流体の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させることのできる水溶性有機溶剤を含む水において容易に湿潤されることを示している。過酸化ベンゾイル粉末の湿潤性は、有機溶剤の濃度の増加によって増加し、さらに、機械的撹拌によって容易化される。必要に応じて、本発明の方法に従って湿潤された過酸化ベンゾイル粉末は、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む医薬製剤を製造するために、湿潤製粉または他の方法によって効果的および安全に微粒化されることができる。
【0060】
上記に記載された発明の様々な態様変更は当業者において明らかにされる。このような態様変更は以下の請求項の範囲内に含まれるものであると意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化ベンゾイル粉末を湿潤させるための方法であって、前記粉末に、水と、水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤とを含む湿潤流体を接触させる工程を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記粉末の過酸化ベンゾイルは微粒化されていないものである、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記粉末は含水過酸化ベンゾイル、USPである、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記溶剤は水と混和性である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記粉末との接触において前記湿潤流体を機械的に撹拌する工程を有するものである、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記湿潤流体は界面活性剤を含まないものである、方法。
【請求項7】
湿潤過酸化ベンゾイル粉末であって、前記過酸化ベンゾイル粉末は、水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤を含む液体と組み合わされるものである、湿潤過酸化ベンゾイル粉末。
【請求項8】
請求項7記載の湿潤過酸化ベンゾイル粉末において、前記過酸化ベンゾイル粉末は微粒化されていないものである、湿潤過酸化ベンゾイル粉末。
【請求項9】
請求項8記載の湿潤過酸化ベンゾイル粉末において、前記粉末は含水過酸化ベンゾイル、USPである、湿潤過酸化ベンゾイル粉末。
【請求項10】
界面活性剤を含まないものである、請求項7記載の湿潤過酸化ベンゾイル粉末。
【請求項11】
請求項7記載の湿潤過酸化ベンゾイル粉末において、前記有機溶媒は水と混和性である、湿潤過酸化ベンゾイル粉末。
【請求項12】
過酸化ベンゾイルの懸濁液を製造するための方法であって、過酸化ベンゾイルを含む粉末を懸濁流体中で懸濁する工程を有し、前記懸濁流体は、水と、前記懸濁流体における水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤とを有するものである、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記過酸化ベンゾイル粉末は微粒化されていないものである、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記粉末は含水過酸化ベンゾイル、USPである、方法。
【請求項15】
請求項12記載の方法において、前記懸濁する工程は、前記懸濁流体および前記粉末を機械的に撹拌する工程を有するものである、方法。
【請求項16】
請求項12記載の方法において、前記懸濁液は界面活性剤を使用することなく製造されるものである、方法。
【請求項17】
請求項12記載の方法において、この方法は、さらに、
前記懸濁液を微粒化処理にかける工程と、微粒化された過酸化ベンゾイルを含む懸濁液を得る工程とを有するものである、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法によって得られた微粒化された過酸化ベンゾイルを有する懸濁液。
【請求項19】
1若しくはそれ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含むものである、請求項18記載の懸濁液。
【請求項20】
請求項19記載の懸濁液を有する局所医薬剤形であって、前記剤形における過酸化ベンゾイルの濃度が1%〜10% w/wである、局所医薬剤形。
【請求項21】
請求項20記載の局所剤形において、前記過酸化ベンゾイルの濃度は2%〜5%である、局所剤形。
【請求項22】
請求項20記載の局所剤形において、この剤形は、さらに、
皮膚疾患の治療において有用である付加的な薬剤を含むものである、局所剤形。
【請求項23】
請求項22記載の局所剤形において、前記皮膚疾患は尋常性座瘡または紅斑性座瘡である、局所剤形。
【請求項24】
請求項23記載の局所剤形において、前記薬剤は抗生物質である、局所剤形。
【請求項25】
請求項24記載の局所剤形において、前記抗生物質はクリンダマイシンである、局所剤形。
【請求項26】
半固体の形態である、請求項18記載の懸濁液。
【請求項27】
請求項26記載の懸濁液において、前記半固体は、クリーム、ローションおよびゲルからなる群から選択されるものである、懸濁液。
【請求項28】
微粒化された過酸化ベンゾイルを製造するための方法であって、過酸化ベンゾイルの懸濁液を得る工程であって、前記過酸化ベンゾイルは、水と、水の表面張力を64ダイン/cm未満に減少させるのに十分な濃度の1若しくはそれ以上の水溶性有機溶剤とを有する懸濁流体に懸濁されるものである、前記懸濁液を得る工程と、微粒化された過酸化ベンゾイルを得るために前記懸濁液を微粒化処理にかける工程とを有する、方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記懸濁流体は界面活性剤を含まないものである、方法。
【請求項30】
請求項28記載の方法において、この方法は、さらに、
局所医薬剤形を得るために、1若しくはそれ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を、微粒化された過酸化ベンゾイルの懸濁液に結合する工程を有し、前記剤形における過酸化ベンゾイルの濃度は1%〜10%である、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、前記剤形における前記過酸化ベンゾイルの濃度は2%〜5% w/wである、方法。

【公表番号】特表2013−508359(P2013−508359A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535173(P2012−535173)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/005732
【国際公開番号】WO2011/049547
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510061667)ドウ ファーマシューティカル サイエンシーズ、インク. (7)
【Fターム(参考)】