説明

道路付帯設備

【課題】施工現場において、上記接着式、あるいはアンカー式の施工方法を状況に応じて選択できる道路付帯設備を提供すること、また、接着式を選択した場合にも、従来の道路付帯設備よりも路面等からの脱落の恐れが少ない道路付帯設備を提供すること。
【解決手段】路面等に当接して取り付けられる板状の固着部を底面部に備えた道路付帯設備であって、該固着部には、切取部が備えられ、該切取部は、固着部における他の部分よりも切取容易となされており、該切取部を切り取ると、アンカー孔が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路面や縁石上、歩道上等の路面に設置され、主に道路利用者の視線誘導を行う道路付帯設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所謂道路鋲や縁石鋲などの道路付帯設備を路面に固着するには、その利便性や施工の迅速さなどの理由により、硬化型の接着剤を用いて接着する方法が従来からとりわけ好適に用いられてきている。すなわち、道路付帯設備の筐体の底面部に接着剤を塗布し、この面を路面等に接着して、当該道路付帯設備の設置が行われることが多い(いわゆる接着式。下記特許文献1ほか多数)。
【0003】
また一方で、上記のような道路付帯設備はそのほとんどが屋外に設置されるため、寒暖や降雨、強風その他の過酷な自然環境に晒され、また車両の衝突や踏み付けなどによる大きな外力が加わることがある。それゆえ、接着剤による固着だけでは道路付帯設備が路面等から脱落してその機能を果たせなくなる恐れがある。そこで、かかる脱落を防止するために、他の固着方法も用いられている。
【0004】
その代表的なものは、アンカーボルトを利用して道路付帯設備を路面に設置する方法である。これは、道路付帯設備の筐体の底面部にアンカーボルトを装着し、また路面に穿設した空孔に接着剤を充填したのち、当該アンカーボルトを前記空孔内に挿入して、道路付帯設備を路面等に設置するものである。或いは、路面等に空孔を穿設したのち、当該空孔に接着剤を充填すると共にアンカーナットを挿入し、当該接着剤が硬化するのを待って、アンカーボルトを装着した道路付帯設備を前記アンカーナットに螺着する方法も用いられている(以上、いわゆるアンカー式下記特許文献2ほか多数)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−97182号公報
【特許文献2】登録実用新案第3031734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の各方法のいずれを選択するかは、実際に当該道路付帯設備を設置する路面等の場所、環境、状況によって任意に選択されるのが好ましい。しかしながら、施工現場において適宜最適な方法を選択しようとすれば、接着式用の部材と、アンカー式用の部材との両方を常に準備しておかなければならない。すなわち、アンカー穴のない接着式用の筐体と、道路付帯設備の筐体にアンカーを装着するためのアンカー穴を設けたアンカー式用の筐体とを常に用意しておく必要がある。
【0007】
このような状況だと、各部材の在庫管理が非常に煩雑となり、また、接着式、アンカー式のいずれかの部材しか備えていない場合には、施工現場での柔軟な対応(施工方法の選択)ができない。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであり、施工現場において、上記接着式、あるいはアンカー式の施工方法を状況に応じて選択できる道路付帯設備を提供することを目的とする。
【0009】
また、接着式を選択した場合にも、従来の道路付帯設備よりも路面等からの脱落の恐れが少ない道路付帯設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る道路付帯設備は、路面等に当接して取り付けられる板状の固着部を底面部に備えた道路付帯設備であって、該固着部には、切取部が備えられ、該切取部は、固着部における他の部分よりも切り取り容易となされており、該切取部を切り取ると、アンカー孔が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る道路付帯設備によれば、固着部に接着剤を塗布して接着式により道路付帯設備を路面等に固着することもできるし、あるいは、切取部を切り取ってアンカー孔を形成してアンカー式で取り付けることもできる。すなわち、切取部は、固着部の他の部分よりも切り取り容易となされているので、必要に応じて切取部を切り取り、アンカー式施工用のアンカー孔を形成することができる。それゆえ、道路付帯設備の施工現場において、当該現場の状況に応じ、接着式、或いはアンカー式の施工方法を適宜選択して施工することが可能となる。上記切り取り容易とする手段については、切取部の部分と固着部の他の部分とで材料を異ならせたり、形状を変えたり、その他任意の手段を採ることができる。
【0012】
また、本発明に係る道路付帯設備において、切取部は、板状の固着部の厚みに比して薄肉化され、これにより前記切取部の上面に凹部が形成されるようになされるとともに、当該切取部の表裏面に挿通する貫通孔が形成されているようにしてもよい。このようにすれば、切取部の切り取りが容易になるので、アンカー式での施工への対応が迅速かつ容易にできる。また、接着式によって施工する場合、固着部の裏面に塗布した接着剤の一部が貫通孔を通って凹部に溜まる。その後、この接着剤が硬化すると、凹部に溜まった接着剤および各貫通孔に充填された接着剤が切取部を覆うようにしてしっかりと保持するので、アンカー式で施工した場合と同様、道路付帯設備をより強固に路面等へ固着でき、脱落の恐れが少なくなる。
【0013】
さらに、本発明に係る道路付帯設備において、切取部の外周縁に沿って所定間隔を空けて複数の貫通孔を形成することにより切取線を構成し、これによって容易に切取可能な切取部を形成するようにしてもよい。このようにすれば、当該切取線に沿って切取部を切り取るだけで、簡単にアンカー孔を形成できる。
【0014】
また、本発明に係る道路付帯設備は、道路鋲又は縁石鋲であるようにしてもよい。このようにすれば、道路鋲又は縁石鋲を、施工現場の状況に応じてアンカー式でも接着式でも、任意に選択して施工することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明に係る道路付帯設備によれば、固着部に接着剤を塗布して接着式により道路付帯設備を路面等に固着することもできるし、あるいは、切取部を切り取ってアンカー孔を形成してアンカー式で取り付けることもできる。それゆえ、道路付帯設備の施工現場において、当該現場の状況に応じ、接着式、或いはアンカー式の施工方法を適宜選択して施工することが可能となる。
【0016】
また、上述のように、切取部の上面に凹部が形成すると共に、当該切取部の表裏面に挿通する貫通孔を形成すれば、切取部の切り取りが容易となってアンカー式での施工への対応が迅速かつ容易にでき、また、接着式によって施工する場合には、固着部の裏面に塗布した接着剤の一部が貫通孔を通って凹部に溜まり、その後、この接着剤が硬化すると、凹部に溜まった接着剤および各貫通孔に充填された接着剤が切取部を覆うようにしてしっかりと保持するので、アンカー式で施工した場合と同様、道路付帯設備をより強固に路面等へ固着でき、脱落の恐れが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る道路付帯設備の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示す道路付帯設備の右側面図である。
【図3】図1に示す道路付帯設備の(a)は平面図であり、(b)は(a)においてPで示した部分の拡大図である。
【図4】図3のA−A線間における側断面図である。
【図5】図4においてQで示した部分の拡大図である。
【図6】図4に示す側断面図において、切取部を切り取った状態を示す説明図である。
【図7】図6においてRで示した部部の拡大図である。
【図8】図5の拡大図において、道路付帯設備を接着式の施工方法により縁石上に固着した状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る道路付帯設備の一実施形態を示すものであって、この道路付帯設備は、縁石上に設置される所謂縁石鋲である。
【0020】
図1〜図3の各図面および図4の断面図に示すように、この縁石鋲1は、筐体2の前面に反射板31を取り付けて構成されている。筐体2は、縁石ENに固着される底面部分である板状の固着部21と、固着部と一体に成形され、固着部21の前面端近傍において垂直に立ち上がる同じく板状の表示部22とからなる。この表示部22の正面側は、正面視で表示部部22の周縁部221を残した中央部に広く凹み部222が形成され、当該凹み部222に、プリズム反射体である反射板31が取り付けられている。尚、反射板31は、表示部22の背面側から留めネジ32によって、筐体2の表示部22に固着され、取り付けられている。
【0021】
図3に示すように、筐体2の固着部21の中央付近には、切取部211が2箇所形成されている。切取部211は平面視略円形であり、図4及び図5の側断面図に示すように、周辺の固着部21よりも厚みが薄くなるように形成されている。より詳しくは、切取部211の上面は、周辺の固着部21の上面よりも低くなるように構成されており、これによって、当該切取部211の上面において凹部7が形成されている。
【0022】
また、図3〜図5に示すように、切取部211の周縁に沿って一定間隔を置いて複数の貫通孔212が形成されている。貫通孔212は、図4に示すとおり、切取部211の表裏面を挿通するように形成されており、当該複数の貫通孔212が切取部211を切り取るための切り取り線を構成する。そして、この複数の貫通孔212に沿って切取部211を切り取ることによって、図6及び図7に示すように、アンカー孔5が形成される。
【0023】
筐体2は、ゴムやエラストマー、或いはウレタンや低密度ポリエチレンなどの比較的柔らかい樹脂で作製されるのが好ましい。また、前記に限らず、この筐体2を作製する材料は、施工作業者が切取部211を手の指で押さえたり、或いはカッターナイフ等により複数の貫通孔212に沿って切断することによって切取部211を切り取ることができるものであって、かつ、縁石上に長期間設置するのに十分な耐久性、耐候性を備えていれば、どのような材料でも適宜選択して用いることができる。
【0024】
以上のような構成を備えたこの縁石鋲1によれば、例えば施工現場の状況からアンカー式で設置することが好ましいと判断された場合には、切取部211を切り取ってアンカー孔5を形成し、これにアンカーを装着して施工することができる。
【0025】
また、接着式での施工が好ましいと判断された場合には、固着部21の底面に接着剤ADを塗布して、縁石EN上に接着すればよい。このとき、少しだけ多めに接着剤ADを塗布するようにすれば、当該接着剤ADの一部が各貫通孔212を通って凹部7に溜まる(図8に示すような状態となる)。その後、接着剤ADが硬化すると、凹部7に溜まった接着剤ADおよび貫通孔212に充填された接着剤ADが、縁石鋲1の切取部211を覆うようにしてしっかりと保持する。それゆえ、従来の接着式の道路鋲に比してより強固に縁石上に固着することが可能となる。
【0026】
以上、上記は本発明に係る道路付帯設備の一実施形態を例示して説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。
【符号の説明】
【0027】
1 道路付帯設備(縁石鋲)
2 筐体
21 固着部
211 切取部
212 貫通孔
22 表示部
31 反射板
5 アンカー孔
7 凹部
AD 接着剤
EN 路面(縁石)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面等に当接して取り付けられる板状の固着部を底面部に備えた道路付帯設備であって、
該固着部には、切取部が備えられ、
該切取部は、固着部における他の部分よりも切り取り容易となされており、
該切取部を切り取ると、アンカー孔が形成されるようにしたことを特徴とする道路付帯設備。
【請求項2】
切取部は、板状の固着部の厚みに比して薄肉化され、これにより前記切取部の上面に凹部が形成されるようになされるとともに、当該切取部の表裏面に挿通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の道路付帯設備。
【請求項3】
切取部の外周縁に沿って所定間隔を空けて複数の貫通孔を形成することにより切取線を構成し、これによって容易に切取可能な切取部を形成するようにしたことを特徴とする請求項2記載の道路付帯設備。
【請求項4】
道路付帯設備は、道路鋲又は縁石鋲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の道路付帯設備。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−179207(P2011−179207A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43606(P2010−43606)
【出願日】平成22年2月27日(2010.2.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】