説明

道路用標示体

【課題】ベース部に立設される可撓性を有する柱体の、破損を抑制する構造を提供する。
【解決手段】ベース部5の上面に、大環状溝51と小環状溝53とを同心円状に配置させてそれぞれ形成し、本体筒21の下端と補強筒3の下端とをそれぞれ大環状溝51と小環状溝53とに挿入させて固定させると共に、大環状溝51の外側側壁をこの大環状溝51と小環状溝53との間に形成させた環状壁部52より高く形成し、環状壁部52を小環状溝53の内側側壁より高く形成する。これにより、大環状溝51の外側側壁、環状壁部52、小環状溝53の内側側壁のそれぞれの上端の間に横方向のみならず上下方向の隙間が形成され、その隙間の中で折り曲げられるようになされる本体筒21や補強筒3への衝撃や荷重が伝達されにくし、その破損を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路における車線のセンターライン標示、車線誘導標示あるいは交通規制誘導標示などを目的として、道路に立設して設置される道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センターライン等に立置される柱状の道路用標示体には、車両が衝突などしたときに弾性的に撓み、その後元の状態に復元する可撓性を有するものが多く用いられており、早い速度の車両の衝突や、繰り返し衝突されても破損しないような高い耐久性が求められるため、これに関する種々の提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、ベース部と、前記ベース部とは別体で形成された円筒形の中空柱状体よりなる本体筒および本体筒の内径より小さい外径の円筒形である補強筒とを備え、本体筒の下端部および補強筒の下端部がベース部に形成された本体筒挿入用の環状溝および補強筒挿入用の環状溝にそれぞれ挿入融着されて一体化されると共に、前記本体筒挿入用の環状溝における外側側壁の高さが、前記本体筒挿入用の環状溝における内側側壁並びに補強筒挿入用の環状溝における内側側壁および外側側壁のいずれよりも高く形成されていることを特徴とする道路用標示体、が本件出願人により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−121148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示す道路用標示体は、ベース部の形状を工夫して、これに固定された本体筒や補強筒の破損を抑制させたものであるが、本件は上記の構成を更に改良して、本体筒や補強筒の破損を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、ベース部と、該ベース部とは別体に形成された円筒形の中空柱状体よりなる本体筒と、該本体筒の内径より小さい外径の円筒形に形成された補強筒とを備え、前記本体筒及び補強筒は車両の接触などによって弾性的に撓む可撓性を有し、
前記ベース部の上面には、下方へ窪む大環状溝と小環状溝とが同心円状に配置されてそれぞれ形成され、
前記本体筒の下端と前記補強筒の下端とがそれぞれ前記大環状溝と小環状溝とに挿入されて固定されると共に、
前記大環状溝の外側側壁が該大環状溝と前記小環状溝との間に形成された環状壁部より高く形成され、前記環状壁部が前記小環状溝の内側側壁より高く形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る道路用標示体によれば、ベース部の上面に、下方へ窪む大環状溝と小環状溝とを同心円状に配置させてそれぞれ形成させ、本体筒の下端と補強筒の下端とをそれぞれ前記大環状溝と小環状溝とに挿入させて固定させると共に、前記大環状溝の外側側壁を該大環状溝と前記小環状溝との間に形成させた環状壁部より高く形成させ、前記環状壁部を前記小環状溝の内側側壁より高く形成させるので、車両などが衝突して前記本体筒を踏み倒して、その車輪が道路用標示体の上に乗り上げるとき、この車輪が本体筒の折り曲げ部分に直接接触しにくくなされ、その衝撃や荷重による本体筒の折り曲げ部分における破損が抑制される。
また、前記大環状溝の外側側壁を該大環状溝と前記小環状溝との間に形成させた環状壁部より高く形成させ、前記環状壁部を前記小環状溝の内側側壁より高く形成させるので、大環状溝の外側側壁、環状壁部、小環状溝の内側側壁のそれぞれの上端の間に横方向のみならず上下方向の隙間が形成され、その隙間の中で折り曲げられるようになされる前記本体筒や補強筒への衝撃や荷重が伝達されにくくなされて、その破損が抑制される。
【0008】
また、前記大環状溝の内側側壁上端の隅部及び前記小環状溝の外側側壁上端の隅部を全周に亘ってアール形状に形成させ、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部の曲率半径の大きさを、前記環状壁部の厚さの二分の一の大きさを超えて形成させれば、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部がより緩やかなアール形状に形成されるため、車両などが衝突して前記補強筒が折り曲げられるときに、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部から与えられる負荷が低減して、補強筒の破損が抑制されるので好ましい。
【0009】
また、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部のアール形状の端を、前記環状壁部の厚み方向の中央位置を越えて外側へ至るように形成させれば、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部のアール形状部分がより大きく形成されるため、車両などが衝突して前記補強筒が折り曲げられるときに、前記小環状溝の外側側壁上端の隅部から与えられる負荷が低減して、補強筒の破損が抑制されるので、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る道路用標示体によれば、ベース部に立設される本体筒と補強筒の根本の折れ曲がり部分へ加えられる車輪からの荷重などの力が分散されて軽減され、破壊されにくくなされて道路用標示体の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】図1の道路用標示体に車両の車輪が乗り上げた状況を示すベース部付近の縦断面図である。
【図4】図3の道路用標示体を車両の車輪が乗り越えた状況を示すベース部付近の縦断面図である。
【図5】図4のベース部付近の拡大図である。
【図6】図2のベース部の環状壁部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は道路用標示体である。
本実施形態の道路用標示体1は、ベース部5と、このベース部5の上面に固定されて立設されるポール2とを備えている。
【0013】
ポール2は、円筒形の中空柱状体に形成された本体筒21を備え、その開口する上端を塞ぐようにキャップ22が固定されている。
また、本体筒21の外側面には照射された光を光源方向へ反射させる再帰反射性を有する反射シート23が貼着されている。反射シート23は本体筒21の外側面に巻回されて貼着されており、本実施形態の本体筒21には3枚の反射シートが上下に間隔をあけて並設されている。
【0014】
ポール2は、車両の接触などにより弾性的に曲がり、その後元の状態へ復元する可撓性を有するように、本体筒21を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限るものではなく、軟質ポリオレフィン、エラストマーなどを好適に用いることができる。
また、キャップ22も本体筒21と同じ熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成されており、本体筒21へ融着や接着などの方法によって固定されている。
【0015】
ベース部5は、円柱形状に形成され、その下面にはベース部5の成形時にアンカーボルト4が一体的に植設されている。ベース部5の材質は、成型の容易さおよび車両等の踏みつけに対する復元性、耐久性等を考慮すると、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどが好適であり、本実施形態のベース部5は熱可塑性ポリウレタンで形成されている。
そして、ベース部5の下面から下方へ突出する前記アンカーボルト4の雄ねじを、路面などの施工場所に埋設固定したアンカーナットへ螺結させて、ベース部5を施工場所へ設置固定できるようになされている。
【0016】
図2は図1の縦断面図である。
本体筒21の内部には、補強筒3が内装されており、その下端をベース部5の上面に固定されて立設されている。
補強筒3は、前記本体筒21 の内径より若干小さい外径を有する円筒状に成形されている。
また、補強筒3 の材質は、成型の容易さおよび車両等の踏みつけに対する復元性、耐久性等を考慮すると、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどが好適であり、本実施形態の補強筒3は熱可塑性ポリウレタンにより形成されている。
【0017】
円柱形状に形成されたベース部5の上面には、下方へ窪む環状溝が同心円状に2個配置されて形成されている。
2個の環状溝の内、大径に形成された大環状溝51は、前記本体筒21の筒壁に対応する径と幅の大きさに形成されており、前記本体筒21の下端を挿入可能に形成されている。
また、2個の環状溝の内、小径に形成されて大環状溝51の内側に形成された小環状溝53は、前記補強筒3の筒壁に対応する径と幅の大きさに形成されており、前記補強筒3の下端を挿入可能に形成されている。
尚、それぞれの環状溝について、ベース部5の中央に近い側面を内側側壁とし、外側に近い側面を外側側壁とする。
【0018】
前記大環状溝51と小環状溝53との間には、環状壁部52が同心円状に形成されるように設けられている。
この環状筒壁52は、上端が小環状溝53の内側側壁よりも高くなるように形成されており、大環状溝51の外側側壁よりも低くなるように形成されている。
【0019】
大環状溝51及び小環状溝53のそれぞれの内側側壁と外側側壁とにおいて、その上端の隅部は全周に亘ってアール形状に形成されている。
詳細には、小環状溝53の外側側壁上端の隅部は大環状溝51の内側側壁上端の隅部より曲率半径の大きなアール形状に形成されている。即ち、環状壁部52の上端において、その内側の隅部が外側の隅部より曲率半径の大きなアール形状に形成されている。
【0020】
本体筒21および補強筒3は、それぞれ大環状溝51および小環状溝53に挿入され融着されている。本体筒21、補強筒3およびベース部5の材料には、融着がより強固になるようにそれぞれ融点が近い材質のものを用いるのが好ましく、同じ材質のものを用いるのがより好ましい。また、本体筒21および補強筒3とベース部5の固定において、接着剤を用いるなど融着以外の方法を用いてもよい。
【0021】
本体筒21とともに補強筒3をベース部5に固定させることで、道路用標示体1の上を車両が通過するなどしてポール2が折れ曲がる場合に、本体筒21の根本部分にかかる応力を補強筒3に分散させることができ、本体筒21の疲労による損傷を低減させることができる。
また、折れ曲がったポール2が復元する際に、補強筒3が本体筒21を内側から支え、元の状態へより強力に復元するようになされる。
【0022】
補強筒3は、変形後の復元するときに本体筒21を内側から支えるために、その外側面が本体筒21の内側面により近く設けられるのが好ましく、より大径の円筒形に形成されるのが好ましい。
しかし、補強筒3を本体筒21の内側に密着するほど大径に形成すると、両者の間に大きな摩擦力が生じるため、この摩擦力がポール2の変形や復元を阻害する恐れがある。
このため補強筒3の外側面と、本体筒21の内側面との間にある程度の隙間が生じるように、ベース部5の環状壁部52の厚みを設けるのが好ましく、具体的には、ベース部5の環状壁部52の厚みは、本体筒21の厚みの1倍以上4倍以下に形成させるのが好ましく、1倍以上2倍以下に形成させるのがより好ましい。
本実施形態の道路用標示体1は、本体筒21の厚みを3.2mmに形成させ、ベース部5の環状壁部52の壁の厚みを4mmに形成させている。
【0023】
図3は図1の道路用標示体1に車両の車輪Tが乗り上げた状況を示すベース部5付近の縦断面図である。
図3は、後方R側から前方F側へ向かって走行する車両の車輪Tが、路面G上に立設された道路用標示体1のポール2を前方F方向へ踏み倒してベース部5上に乗り上げた状況のモデルを表している。
車輪Tがベース部5上に乗り上げたとき、本体筒21と補強筒3の後方R側の筒壁は、それぞれ根本で折り曲げられ、上下に重ねられた状態でベース部5の上面へ押しつけられるように変形する。
即ち、前方F方向へ折り曲げられた本体筒21と補強筒3の、折り曲げ方向と逆側である後方R側の筒壁は、上方へ立設された状態から前方F方向へ向けて略垂直に折り曲げられるようになされる。
本体筒21の後方R側の筒壁は、環状壁部52の上端に押しつけられて折り曲げられるようになされるが、本体筒21より外側に位置する大環状溝51の外側側壁がこの環状筒壁52よりも高くなるように形成されているため、車輪Tはまずベース部5の大環状溝51の外側部分に接触してその衝撃や荷重が伝わる。このため、本体筒21の折り曲げ部分へ与えられる車輪Tからの衝撃や荷重がベース部5に分散されて、本体筒21の破損が抑制される。
また、大環状溝51の外側側壁がこの環状筒壁52よりも高くなるように形成されているため、大環状溝51の外側側壁の上端と、環状筒壁52の上端との間に横方向のみならず上下方向の隙間が形成され、本体筒21の後方R側の筒壁は、この隙間の中で折り曲げられるようになされるので、この折り曲げ部分に車輪Tからの衝撃や荷重が直接的に与えられにくくなされ、本体筒21の破損が抑制される。
即ち、環状壁部52の上端を大環状溝51の外側側壁より低く形成させることで、前方へ向かって走行する車両の車輪Tが、本体筒21の後方R側の折り曲げ部分に直接接触しにくくなされるように設けている。
【0024】
また、図3において、車輪Tがベース部5上に乗り上げたとき、補強筒3の後方R側の筒壁は、小環状溝53の内側側面の上端に押しつけられて折り曲げられるようになされるが、補強筒3より外側に位置する大環状溝51の外側側壁と、環状筒壁52の上端が、それぞれ小環状溝53の内側側面の上端よりも高くなるように形成されているため、大環状溝51の外側側壁や環状筒壁52の上端に車輪Tからの衝撃や荷重が伝えられて分散され、補強筒3の折り曲げ部分への衝撃や荷重が緩和される。
また、大環状溝51の外側側壁と、環状筒壁52の上端が、それぞれ小環状溝53の内側側面の上端よりも高くなるように形成されているため、小環状溝53の内側側面の上端と、大環状溝51の外側側壁や環状筒壁52の上端との間に横方向のみならず上下方向の隙間が形成され、補強筒3の後方R側の筒壁は、この隙間の中で折り曲げられるようになされるので、この折り曲げ部分に衝撃や荷重が直接的に与えられにくくなされ、補強筒3の破損が抑制される。
尚、本実施形態のベース部5は、上面において、小環状溝53の内側部分を全て環状筒壁52の上端よりも低く形成させている。
【0025】
図4は図3の道路用標示体1を車両の車輪Tが乗り越えた状況を示すベース部5付近の縦断面図である。
車輪Tがベース部5を乗り越えたとき、本体筒21と補強筒3の前方F側の筒壁は、ぞれぞれ根本で折り曲げられ、上下に重ねられた状態で路面Gへ押しつけられるように変形する。
即ち、前方F方向へ折り曲げられた本体筒21と補強筒3の、折り曲げ方向側である前方F側の筒壁は、ベース部5の前方F側の上縁から路面Gへ向けて、斜め下方向へ垂直以上の角度で折り曲げられるため、略垂直に折り曲げられる後方R側の筒壁よりも大きな角度で折り曲げられるようになされ、より大きな負荷が与えられる破損しやすい場所となっている。
【0026】
図5は図4のベース部5付近の拡大図である。
折れ曲がり方向である前方F側の補強筒3の筒壁は、環状筒壁52の上端と、大環状溝51の外側側壁の上端で折れ曲がる本体筒21の筒壁との上に、乗り上げるようにして折れ曲がる。
本実施形態のベース部5は、大環状溝51の外側側壁の上端が、環状筒壁52の上端より高くなるように形成されている。これにより、補強筒3の筒壁は環状筒壁52の上端に乗り上げ、更にその外側の高い位置で本体筒21の筒壁に乗り上げるようになされるため、その根本がより緩やかなアールで折れ曲がるようになされている。
即ち、ベース部5においてより外側に位置する大環状溝51の外側側壁の上端を、環状筒壁52より高く設けることで、補強筒3の折れ曲がり角度を緩やかにして筒壁にかかる力を緩和し、その破損を抑制させている。
【0027】
補強筒3と本体筒21の筒壁は、折れ曲がるときに、大環状溝51や小環状溝53の内側側壁や外側側壁のそれぞれの上端へ押しつけられるようにして折れ曲がる。
本実施形態のベース部5は、大環状溝51及び小環状溝53のそれぞれの内側側壁と外側側壁とにおいて、その上端の隅部は全周に亘ってアール形状に設けられているため、補強筒3と本体筒21の筒壁が押しつけられたときにかかる力が集中せずに分散され、これらの筒壁の破損を抑制させている。
【0028】
そして図5に示すように、折れ曲がり方向である前方F側の補強筒3の筒壁は、環状筒壁52の上端に、乗り上げるようにして折れ曲がり、詳細には、環状壁部52の上端の内側の隅部へ押しつけられて折れ曲がる。
本実施形態のベース部5は、環状壁部52の上端において、その内側の隅部が外側の隅部より曲率半径の大きなアール形状に形成されているため、これへ押しつけられる補強筒3の筒壁にかかる力がより分散されるようになされる。
即ち、小環状溝の外側側壁上端の隅部を大環状溝の内側側壁上端の隅部より曲率半径の大きなアール形状に形成させることで、補強筒3の筒壁への力の集中を緩和し、その破損を抑制させている。
【0029】
図6は図2のベース部5の環状壁部52を示す拡大図である。
本実施形態の環状壁部52において、上端の内側の隅部52aは、横方向の大きさが環状壁部52の厚さtの二分の一を越える大きさに形成されている。即ち、隅部52aはそのアール形状の一方の端が環状壁部52の内側側面に至り、他方の端が環状壁部52の厚み方向の中央位置Cを越えてその外側へ至るように設けられている。
そして、隅部52aの曲率半径R1の大きさは、環状壁部52の厚さtの二分の一を越える大きさに形成されている。即ち、隅部52aは、曲率半径R1>0.5tとなされており、詳細には、本実施形態の環状壁部52は、厚さt=4mmの大きさに形成され、隅部52aは、曲率半径R1=3mmに形成されている。
上記のように形成させることで、隅部52aをより大きな曲率半径に形成させることができるので、補強筒3の筒壁への力の集中をより緩和させることができる。
【0030】
また、環状壁部52上端の外側の隅部52bは、横方向の大きさが環状壁部52の厚さtの二分の一未満の大きさに形成されている。即ち、隅部52aはその一方の端が環状壁部52の外側側面に至り、他方の端が環状壁部52の厚み方向の中央位置Cより外側に位置するように形成されており、具体的には、前記他方の端は隅部52aの端に至るように形成されている。
そして、隅部52bの曲率半径R2の大きさは、環状壁部52の厚さtの二分の一未満の大きさに形成されている。即ち、隅部52bは、曲率半径R2<0.5tとなされており、詳細には、曲率半径R2=1mmに形成されている。
本実施形態の環状壁部52は、「厚さt=隅部52aの曲率半径R1 + 隅部52bの曲率半径R2」となされて、隅部52aと隅部52bとのそれぞれの端が接する位置に新たな角部分が形成されず、環状壁部52の上端全体が丸みをおびるように設けている。これにより、補強筒3の筒壁に負荷を与える角部分が環状壁部52の上端に形成されない。
【0031】
図1〜6に示す道路用標示体1は、ベース5の下面を路面に設置固定させているが、これに限るものではない。例えば、ポールを固定させたベース部を着脱自在に取り付け可能な台座部材を別体に形成させ、この台座部材を路面に設置固定させて、これに前記ベース部を取り付けて形成させてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 道路用標示体
2 ポール
21 本体筒
22 キャップ
23 反射シート
3 補強筒
4 アンカーボルト
5 ベース部
51 大環状溝
52 環状壁部
53 小環状溝
G 路面
T 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、該ベース部とは別体に形成された円筒形の中空柱状体よりなる本体筒と、該本体筒の内径より小さい外径の円筒形に形成された補強筒とを備え、前記本体筒及び補強筒は車両の接触などによって弾性的に撓む可撓性を有し、
前記ベース部の上面には、下方へ窪む大環状溝と小環状溝とが同心円状に配置されてそれぞれ形成され、
前記本体筒の下端と前記補強筒の下端とがそれぞれ前記大環状溝と小環状溝とに挿入されて固定されると共に、
前記大環状溝の外側側壁が該大環状溝と前記小環状溝との間に形成された環状壁部より高く形成され、前記環状壁部が前記小環状溝の内側側壁より高く形成されていることを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記大環状溝の内側側壁上端の隅部及び前記小環状溝の外側側壁上端の隅部が全周に亘ってアール形状に形成され、
前記小環状溝の外側側壁上端の隅部の曲率半径の大きさが、前記環状壁部の厚さの二分の一の大きさを超えて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項3】
前記小環状溝の外側側壁上端の隅部のアール形状の端が、前記環状壁部の厚み方向の中央位置を越えて外側へ至るように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の道路用標示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2124(P2013−2124A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133807(P2011−133807)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】