説明

道路舗装機械のスクリード加熱装置

【課題】点火プラグの高温によるプラグキャップとプラグコードの焼損を防止する。
【解決手段】燃焼装置カバー20内で燃料ガスを点火プラグ18で着火燃焼して熱気を発生する燃焼装置11と、該燃焼装置11に送風ダクト13を介して接続されたブロアモータ14とを備え、ブロアモータ14からの送風によりスクリードプレート22に熱気を送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、燃焼装置カバー20内には、点火プラグ18に装着されたプラグキャップ19と、プラグキャップ19に接続されたプラグコード21が配設されている。依って、プラグキャップ19とプラグコード21は燃焼装置カバー20により囲繞されているため、ブロアモータ14からの送風により冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路舗装機械のスクリード加熱装置に関するものであり、特に、点火装置を備えた道路舗装機械のブロア式のスクリード加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトフィニッシャ等の道路舗装機械は、道路舗装面上にアスファルト合材を平坦に敷き均すためのスクリード装置を具備し、アスファルト合材を路面に直接押圧するスクリード装置の下面部はスクリードプレートが設けられている。該スクリードプレートはアスファルト合材の付着を防止するために、スクリード加熱装置によって所定温度に加熱される。該スクリード加熱装置としては、燃料ガス(LPガス)を熱源とするブロア式のスクリード加熱装置が多く採択されている。
【0003】
図5に示すように、ブロア式のスクリード加熱装置1は、熱気を発生させる燃焼装置2と、該燃焼装置2に送風ダクト3を介して接続されたブロアモータ4とを備え、燃焼装置2の下部側は熱風ダクトDを介して前記スクリードプレート5に熱風が供給されるように構成されている。なお、熱風ダクトDは、スクリードプレート5の上に一体に取り付けられた箱状のものであって、この中に多数の開口孔を下面に開穿して成るダクトが設けられている(2重構造)。
【0004】
又、燃焼装置2にはLPガスが供給されるバーナ部6と、燃料ガスを着火燃焼させる点火プラグ7と、該点火プラグ7に取り付けたプラグキャップ8とを有し、該プラグキャップ8は、バーナ部6と点火プラグ7とを包囲する燃焼装置カバー9の外面部に設置されている。
【0005】
上記スクリード加熱装置1は、バーナ部6において燃料ガスを点火プラグ7で着火燃焼させることで、燃焼装置カバー9内に熱気を発生させる。そして、燃焼装置カバー9内の熱気は、ブロアモータ4から燃焼装置カバー9内に送風することにより、熱風となって熱風ダクトDを介してスクリードプレート5を加熱するように構成されている。
【0006】
このように、ブロア式のスクリード加熱装置1は、スクリードプレート5を熱風で加熱することで、スクリードプレート5全体をアスファルト合材と適合した温度に均一に設定する(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−196129号公報。
【特許文献2】特開平11−124814号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のブロア式スクリード加熱装置は、燃焼装置カバー内で熱気を発生するため、この熱気により燃焼装置カバー内に設置した点火プラグが高温に達する。その結果、点火プラグから燃焼装置カバーの外側に設けたプラグキャップに高熱が伝導して、プラグキャップが焼損を起こすという問題があった。更に、前記熱気の温度によっては、該プラグキャップのみならず、プラグキャップに接続したプラグコードが焼損することもあった。
【0009】
ここで、プラグキャップ及びプラグコードの焼損を防止するには、プラグキャップ及び
プラグコードを耐熱性の材料により形成又は被覆することが考えられる。しかし、この場合には耐熱性の材料が高価であるため、プラグキャップ及びプラグコードの製作費が高騰する。
【0010】
そこで、点火プラグの高温によるプラグキャップ及びプラグコードの焼損を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、燃料ガスを点火プラグで着火燃焼させて熱気を発生させる燃焼装置と、該燃焼装置に接続されたブロアモータとを備え、該燃焼装置で発生した熱気を、前記ブロアモータからの送風によりスクリードプレートへ送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、前記点火プラグ装着にされたプラグキャップは燃焼装置カバーにより囲繞され、該プラグキャップを前記ブロアモータからの送風により冷却できるように構成したことを特徴とする道路舗装機械のスクリード加熱装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、燃料ガスを点火プラグで着火燃焼して発生した熱気は、ブロアモータからの送風によってスクリードプレートへ送られて、該スクリードプレートを所定温度に加熱する。この場合、点火プラグに装着したプラグキャップは、燃焼装置カバーにより囲繞されているので、ブロアモータからの送風によりプラグキャップが冷却される。
【0013】
請求項2記載の発明は、上記プラグキャップにはプラグコードが接続され、該プラグコードは上記燃焼装置カバーにより囲繞されていることを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械のスクリード加熱装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、点火プラグに接続されたプラグコードは燃焼装置カバーにより囲繞されているので、プラグキャップに加えてプラグコードも、ブロアモータからの送風により冷却される。
【0015】
請求項3記載の発明は、燃料ガスを点火プラグで着火燃焼させて熱気を発生させる燃焼装置と、該燃焼装置に接続されたブロアモータとを備え、該燃焼装置で発生した熱気を、前記ブロアモータからの送風によりスクリードプレートへ送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、上記燃焼装置は、燃料ガスが供給されるバーナ部と、一端側(上流側)に該バーナ部が臨むように挿入され、且つ、他端側(下流側)が前記スクリードプレートの熱風ダクトに接続される燃焼ダクトと、該燃焼ダクトの一端側に前記バーナ部の燃料ガスを着火燃焼させる点火プラグと、該点火プラグに取り付けたプラグキャップとで構成されると共に、前記プラグキャップと点火プラグとバーナ部と燃焼ダクトとを包囲する燃焼装置カバーにより囲繞されて成り、該燃焼装置カバーに接続された前記ブロアモータからの送風により前記燃焼装置乃至熱風ダクトを介して前記スクリードプレートを加熱するようにしたことを特徴とする道路舗装機械のスクリード加熱装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、プラグキャップと点火プラグとバーナ部と燃焼ダクトとは燃焼装置カバーにより包囲され、且つ、該燃焼装置カバーに接続されたブロアモータからの送風により前記燃焼装置乃至熱風ダクトを介してスクリードプレートを加熱するように構成されている。従って、ブロアモータからの送風により、プラグキャップのみならずプラグコードも効率良く冷却される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明は、ブロアモータからの送風によりプラグキャップを冷却できるの
で、点火プラグの高温によるプラグキャップの焼損を防止することができる。又、プラグキャップを高価な耐熱性材料により形成する必要がないので、プラグキャップの製作コスト面で有利になる。
【0018】
請求項2記載の発明は、ブロアモータからの送風によりプラグコードを冷却できるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、点火プラグの高温に起因するプラグコードの焼損も未然に防止することができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、ブロアモータからの送風により、プラグキャップのみならずプラグコードも効率良く冷却できるので、点火プラグが所定値よりも高い温度に達した場合でも、プラグコードの焼損を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る道路舗装機械のスクリード加熱装置の概略構成図。
【図2】図1のE−E線断面図。
【図3】図1のスクリード加熱装置に係る燃焼装置の要部Fを拡大して説明する部分断面詳細図。
【図4】図3のG−G線断面図。
【図5】従来例のスクリード加熱装置の要部を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、点火プラグの高温によるプラグキャップ及びプラグコードの焼損を防止するという目的を達成すべく、燃料ガスを点火プラグで着火燃焼させて熱気を発生させる燃焼装置と、該燃焼装置に接続されたブロアモータとを備え、該燃焼装置で発生した熱気を、前記ブロアモータからの送風によりスクリードプレートへ送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、前記点火プラグに装着されたプラグキャップは燃焼装置カバーにより囲繞され、該プラグキャップを前記ブロアモータからの送風により冷却することにより実現した。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図4に従って説明する。尚、本実施例に係る道路舗装機械の機体後端部の左右両側に設けたスクリードプレートに夫々スクリード加熱装置が設置されているが、左右の各スクリード加熱装置は互いに略同一の構成を有するので、説明の都合上、左側のスクリード加熱装置のみについて説明し、右側のスクリード加熱装置の構成についての説明を省略するものとする。
【0023】
図1において、符号10は、道路舗装機械の機体後端部に設置されたブロア式のスクリード加熱装置であり、該スクリード加熱装置10は、スクリード装置の下面部であるスクリードプレート22を熱風Hにより所定温度に加熱する。該スクリード加熱装置10は、点火装置付きの燃焼装置11を備え、該燃焼装置11はLPガスを熱源として熱気を発生させる。
【0024】
図2に示すように、燃焼装置11はその上面部に吸気口12を有し、該吸気口12には送風ダクト13の下端部が接続され、該送風ダクト13の上端部はブロアモータ14の排風口15に接続されている。尚、前記送風ダクト13の内部にはフラップ(図示せず)が開閉自在に設けられ、該フラップによって送風ダクト13内の通風量が可変制御される。
【0025】
又、燃焼装置11は、LPガスが燃料配管16から供給されるバーナ部17と、前記LPガスを着火燃焼させる点火プラグ18と、該点火プラグ18の端部に装着されたプラグキャップ19とを有している。そして、該プラグキャップ19は従来例の構造と異なり、
バーナ部17を包囲する燃焼装置カバー20の内側に配設されている。
【0026】
図3は、前記バーナ部17及びその周辺部分を示す詳細図である。同図に示すように、バーナ部17は所定角度にて傾斜した状態で配置されている。又、該バーナ部17の下側には燃焼ダクト23が配設され、該燃焼ダクト23とバーナ部17は互いに平行に配置されている。この燃焼ダクト23の一端側(上流側)にはバーナ部17が臨むように挿入され、且つ、該燃焼ダクト23の他端側(下流側)は、図2に示すスクリードプレート22の前記熱風ダクトDに接続されている。
【0027】
図4に示すように、燃焼ダクト23の上端部における上側外周面には、前記プラグキャップ19が設けられていると共に、該プラグキャップ19の下端部には前記点火プラグ18が取り付けられている。又、プラグキャップ19の上端部には、点火プラグ18に印加電圧を供給するためのプラグコード21の一端部が接続されている。
【0028】
図2に示す上記スクリード加熱装置10は、プラグコード21を介して点火プラグ18に所定の印加電圧を供給することで、バーナ部17に供給された燃料ガスが着火燃焼して、燃焼ダクト23内に熱気を発生させる。そして、燃焼ダクト23内に発生した熱気は、前記ブロアモータ14からの送風Bにより、熱風となって熱風ダクトDを介して燃焼ダクト23の下端側のスクリードプレート22へ送給して加熱するように構成されている。
【0029】
叙上の如く本発明によると、燃焼装置カバー20内でLPガスを点火プラグ18で着火燃焼して熱気を発生させ、この熱気をブロアモータ14からの送風Bによってスクリードプレート22に熱風Hとして送給することで、該スクリードプレート22全体が最適温度まで均一に上昇して、スクリードプレート22への上記アスファルト合材の付着を阻止する。
【0030】
この場合、燃焼装置カバー20内にはプラグキャップ19が配設されているので、ブロアモータ14からの送風Bによりプラグキャップ19が随時冷却される。斯くして、点火プラグ18が熱気により高温に達しても、該高温よるプラグキャップ19の温度上昇が抑制される。
【0031】
従って、点火プラグ18の高温に起因するプラグキャップ19の焼損を効率良く防止することができる。又、プラグキャップ19は、高価な耐熱性の材料により形成する必要がないので、プラグキャップ19の製作費が高騰することもなく、コスト的に有利になる。
【0032】
また、請求項3に係る燃焼装置11は、燃料ガスが供給されるバーナ部17と、一端側(上流側)にバーナ部17が臨むように挿入され他端側(下流側)がスクリードプレート22の熱風ダクトDに接続される燃焼ダクト23と、燃焼ダクト23の一端側にバーナ部17の燃料ガスを着火燃焼させる点火プラグ18と、点火プラグ18に取り付けたプラグキャップ19とで構成され、更に、プラグキャップ19と点火プラグ18とバーナ部17と燃焼ダクト23とを包囲する燃焼装置カバー20により囲繞されて成り、燃焼装置カバー20に接続されたブロアモータ14からの送風Bにより、燃焼装置11乃至熱風ダクトDを介してスクリードプレート22を加熱するように構成されている。
従って、プラグキャップ19に加えてプラグコード21も燃焼装置カバー20により囲繞されているので、ブロアモータ14からの送風Bにより、プラグキャップ19のみならずプラグコード21も効率良く冷却される。その結果、点火プラグ18が所定値よりも高い温度に達した場合でも、プラグコード21の焼損が未然に防止される。
【0033】
なお、本発明は、左右両側に設けたスクリードプレートについて説明したが、中央部に設けたスクリードプレートであっても良く、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を
為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、燃焼装置カバー内で燃料ガスに点火プラグで着火燃焼して熱気を発生させ、該熱気をブロアモータからの送風によりスクリードプレートに送って加熱できるスクリード加熱装置であれば、型式や種類などを問わず全て適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 スクリード加熱装置
11 燃焼装置
13 送風ダクト
14 ブロアモータ
17 バーナ部
18 点火プラグ
19 プラグキャップ
20 燃焼装置カバー
21 プラグコード(電源コード)
22 スクリードプレート
23 燃焼ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを点火プラグで着火燃焼させて熱気を発生させる燃焼装置と、該燃焼装置に接続されたブロアモータとを備え、該燃焼装置で発生した熱気を、前記ブロアモータからの送風によりスクリードプレートへ送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、
前記点火プラグに装着されたプラグキャップは燃焼装置カバーにより囲繞され、該プラグキャップを前記ブロアモータからの送風により冷却できるように構成したことを特徴とする道路舗装機械のスクリード加熱装置。
【請求項2】
上記プラグキャップにはプラグコードが接続され、該プラグコードは上記燃焼装置カバーにより囲繞されていることを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械のスクリード加熱装置。
【請求項3】
燃料ガスを点火プラグで着火燃焼させて熱気を発生させる燃焼装置と、該燃焼装置に接続されたブロアモータとを備え、該燃焼装置で発生した熱気を、前記ブロアモータからの送風によりスクリードプレートへ送って加熱する道路舗装機械のスクリード加熱装置において、
上記燃焼装置は、燃料ガスが供給されるバーナ部と、一端側(上流側)に該バーナ部が臨むように挿入され、且つ、他端側(下流側)が前記スクリードプレートの熱風ダクトに接続される燃焼ダクトと、該燃焼ダクトの一端側に前記バーナ部の燃料ガスを着火燃焼させる点火プラグと、該点火プラグに取り付けたプラグキャップとで構成されると共に、前記プラグキャップと点火プラグとバーナ部と燃焼ダクトとを包囲する燃焼装置カバーにより囲繞されて成り、
該燃焼装置カバーに接続された前記ブロアモータからの送風により前記燃焼装置乃至熱風ダクトを介して前記スクリードプレートを加熱するようにしたことを特徴とする道路舗装機械のスクリード加熱装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−242359(P2010−242359A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91624(P2009−91624)
【出願日】平成21年4月4日(2009.4.4)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】