説明

道路領域決定可能プログラム及び道路領域決定方法

【課題】 地理画像から道路の異なる部分道路領域を簡単に検出可能にする。
【解決手段】地表を撮影して得られる地理画像内のエッジを検出し、地理画像を複数のメッシュに分割し、各メッシュについてそのメッシュを通過するいずれかの道路が存在する場合に、その道路のそのメッシュ内に位置する部分道路に関して、当該部分道路に平行で、かつ、そこからの距離が制限値以下である、複数の直線状のエッジ部分を、当該部分道路の境界直線に関する部分道路境界直線候補として、道路ベクトルデータに基づいて検出し、それらの候補から、その部分道路が当該メッシュ内で占有する領域に関する複数の部分道路領域候補を検出し、それらの部分道路領域候補を評価してその一つを当該メッシュ内の部分道路領域として決定し、異なるメッシュに対して決定された複数の部分道路領域を接続して上記道路ベクトルに対する道路存在領域を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星あるいは航空機から地表を撮影して得られる地理画像を表す地理画像データから当該地表に含まれる複数の道路の存在領域を、上記地表に存在する道路に関する道路ベクトルデータを併用して検出する、道路領域決定可能プログラム及び道路領域決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地表上の道路を表す道路地図を、人工衛星あるいは航空機から地表を撮影して得られる画像から自動的に作成することができれば、当該地図を人力で作成する場合に比べて必要な労力が大幅に減り、更に、道路がその後変化した場合も、その変化を地図に迅速に反映することが可能になる。本明細書では、上記画像を地理画像と呼ぶ場合がある。このような利点を考慮して、上記地理画像から地表の地図を作成する研究が盛んに行われている。非特許文献1、2、3には、過去のいくつかの研究の概要が紹介されている。非特許文献3には、更に、ダイナミックプログラミングを用いて道路を表すエッジの追跡を行う独自の研究成果も紹介されている。
【0003】
非特許文献1と2によれば、地理画像の解像度が低い(例えば、画素当たり2m以上である)ときには、道路は一本の線として検出されるが、地理画像の解像度が高いときには、道路は平行な境界線を有する幅のある画像として検出される。したがって、両方の画像に対しては異なる技術が必要であることが記載されている。非特許文献1によれば、解像度が高い、住宅地の航空写真から直線部分を検出し、平行な線分をグループ化することにより、家や道路を抽出する研究もなされている。
【0004】
非特許文献2によれば、衛星画像から道路を抽出するための処理は、大きくは、前処理、エッジ検出、道路追跡、グルーピングからなる。なお、高解像度の衛星画像を使用する場合には、前処理として上記エッジ検出を行う研究も紹介されている。高解像度の地理画像を使用する研究に関しては、道路追跡で平行なエッジの間の複数の直線を出発点として使用する研究として、非特許文献4から6を紹介している。
【0005】
非特許文献1から3によれば、地理画像からの道路の検出をより正確にするために、いろいろな補助情報を利用する研究もなされている。補助情報としては、例えば地理的データベースを利用している例がある。非特許文献2は、そのような研究の例として非特許文献7を紹介している。
【0006】
非特許文献2によれば、非特許文献4から6では、前処理として直線とエッジを検出した後、道路追跡段階では、平行なエッジの間の複数の直線を追跡の初期値として使用し、その後の道路追跡の実行は発見的手法により行っている。また、非特許文献2によれば、検出された道路要素をグルーピングする処理では、非特許文献4はリボン蛇(Ribbon Snakes)を使用し、非特許文献5と6では、コンテキストスケッチとして、道路と他の物体との関係を使用して道路要素として二つの平行な道路境界線を有する4辺形を決定し、決定されたそれらの4辺形を接続している。
【0007】
非特許文献2によれば、非特許文献7では、エッジ検出には、シルクハット変換(top hat transformation)を用い、道路追跡の初期値の決定に地理的データベースを使用し、道路以外のものを表す直線と道路を表す直線とを区別している。その後、道路追跡処理では、パターンマッチングと、相関と領域それぞれの一様性を利用している。
【非特許文献1】高木幹雄、下田陽久監修、「画像解析ハンドブック」、財団法人東京大学出版会、1991年1月17日、p.173−178
【非特許文献2】Demin Xiong,"White papers: Automated Road Network Extraction from High Resolution Images," [on line]、2002年11月、National Consortium on Remote Sensing in Transportation, University of New Mexico, [平成16年6月5日検索]、インターネット、<URL:riker.unm.edu/DASH_new/pdf/White%20Papers/ Automated%20Road%20Network%20Extraction.pdf>
【非特許文献3】MF Auclair Fortier, D. Ziou, C. Armenakis and S. Wang,"Survey of Work on Road Extraction in Aerial and Satellite Images," [on line], Technical Report N 247, Departement de mathematiques et informatique, Universite de Sherbrooke, Canada, [平成16年6月5日検索]、インターネット、<URL:http://www-l2ti.univ-paris13.fr/~auclair/ Publi/Auclair-TR247.pdf>
【非特許文献4】H. Mayer, I. Laptev, A. Baumgartner, and C. Steger,"Automatic Road Extraction Based on Multi-Scale Modeling, Context, and Snakes," International Archives of Photogrammetry and Remote Sensing, volume XXXII, Part3-2W3, pages 106-113, 9-11 September 1997
【非特許文献5】A. Baumgartner, C. T. Steger, H. Mayer, and W. Eckstein," Semantic Objects and context for Finding Roads," Integrating photogrametric Techniques with Scene Analysis and Machine Vision III, Proc. SPIE 3072, pages 98-109, April 1997
【非特許文献6】A. Baumgartner, C. T. Steger, H. Mayer, and W. Eckstein,"Multi-Resolution, Semantic Objects and Context for Road Extraction," Semantic Modeling for the Acquition of Topographic Information from Images and Maps, pages 140-156, Basel Switzerland, 1997, Birkhauser Verlag
【非特許文献7】G. Bordes, G. Giraudon, and O. Jamet,"Road Modeling Based on a Cartogrphic Database for Aerial Image Interpretation," Semantic Modeling for the Acquition of Topographic Information from Images and Maps, pages 123-139, Basel Switzerland, 1997, Birkhauser Verlag
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高解像度の地理画像から道路として幅のある領域(道路領域)を検出する研究は既になされている。非特許文献4から6では、道路の追跡処理には発見的方法が使用されている。非特許文献7では、道路の追跡処理にはパターンマッチングが主に使用されている。非特許文献7では、地理的データベースを使用しているが、道路探索の初期値の決定においてである。ここに列挙した非特許文献4から7では、道路を構成する複数の部分道路の検出のためのデータ処理量が多く、道路の検出に時間が掛かる。道路検出の高速化のためには、より簡単に部分道路を検出できることが望ましい。
【0009】
したがって、本発明の目的は、地理画像から道路を構成する複数の部分道路の存在領域をより簡単に検出可能にする道路領域決定可能プログラム及び道路領域決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、地理画像から道路を構成する複数の部分道路の検出時に地理的データを使用する。地理的データとして、道路の中心線を近似的に直線で表す複数の道路ベクトルのそれぞれの始点と終点の位置情報を含む道路ベクトルデータという簡単な地理的なデータを使用する。より具体的には、請求項1に記載の本発明に係る道路領域決定可能プログラムは、エッジ検出手段と、領域分割手段と、部分道路境界直線候補検出手段と、部分道路領域候補検出手段と、部分道路領域決定手段と、道路領域決定手段、としてコンピュータを機能させるものである。
ここで、前記エッジ検出手段は、地表を上空から撮影して得られ、あらかじめ地理画像記憶手段に記憶された地理画像から複数のエッジを検出して当該複数のエッジを表すエッジ画像を生成する。前記領域分割手段は、前記地理画像の存在領域を複数のメッシュに分割するものである。
前記部分道路境界直線候補検出手段は、いずれかの道路が通過する複数のメッシュの各々に関して、当該道路の当該メッシュ内に位置する部分道路に対して所定の位置条件を満たす、当該メッシュ内に位置する複数の直線状のエッジ部分を、当該部分道路に対する複数の部分道路境界直線候補として、前記エッジ画像から、かつ、前記道路の中心線を近似的に直線で表す連結された複数の道路ベクトルを指定する、あらかじめ道路ベクトルデータ記憶手段に記憶された道路ベクトルデータに基づいて検出するものである。
前記部分道路領域候補検出手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出手段により検出された前記複数の部分道路境界直線候補から選択された任意の二つからなる複数の組合わせにより定まる複数の領域を、当該道路の当該メッシュ内に位置する前記部分道路の存在領域に対する複数の部分道路領域候補として検出するものである。
前記部分道路領域決定手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出手段により検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、当該部分道路領域候補が当該メッシュ内の前記部分道路の存在領域である妥当性を所定の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて前記複数の部分道路領域候補の一つを当該部分道路の当該メッシュ内の存在領域として決定するものである。
前記道路領域決定手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路領域決定手段で決定された複数の部分道路領域を接続して当該道路の存在領域を決定するものである。
【0011】
これにより、地理画像を分割して得られる複数のメッシュの各々毎に、そこを通過する道路がある場合に、その道路のうち当該メッシュ内に位置する部分道路の存在領域を、そのメッシュ内に位置する直線状エッジ部分から、上記道路ベクトルデータに基づいて決定することができ、道路の異なる部分道路の存在領域を比較的簡単に決定することができる。しかも、各メッシュを通過する道路部分に対する複数の部分道路領域候補を、他のメッシュ内の部分道路領域候補とは独立に決定するので、部分道路領域候補の決定処理が簡単に行える。更に、いずれかの道路が通過する複数のメッシュの各々毎に複数の部分道路領域候補を決定した後に、当該道路のうち当該複数のメッシュ内に位置する複数の道路部分に対する複数の部分道路領域を、それぞれのメッシュに対して検出された複数の部分道路領域候補から決定するので、複数の部分道路領域の決定が比較的容易になる。複数の部分道路領域を決定した後で、道路全体に対する道路領域をそれらの部分道路領域から決定するので、道路全体に対する道路領域の決定も比較的容易となる。
【0012】
請求項2に記載の道路領域決定可能プログラムは、請求項1において、前記部分道路境界直線候補検出手段が前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対する前記複数の部分道路境界直線候補が満たすべき前記所定の位置条件は、部分道路境界直線候補は、当該部分道路の近傍にあり、かつ、当該部分道路に対してほぼ平行に位置することである。これにより、各メッシュを通過する道路のうち当該メッシュ内に位置する部分道路に対する部分道路境界直線候補を、直線状のエッジ部分を使用して決定することができ、メッシュ内に位置する部分道路に対する部分道路境界直線候補を非常に簡単に決定することができる。
【0013】
請求項3に記載の道路領域決定可能プログラムは、請求項1又は2において、前期部分道路領域決定手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュのそれぞれに対して検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、部分道路領域である妥当性を、それぞれの部分道路領域候補ごとに個別に所定の第1の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて、前記複数の部分道路領域候補の一つを、当該メッシュ内の当該道路の前記部分道路に対する暫定部分道路領域を決定する暫定部分道路領域決定手段と、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して決定された前記複数の暫定部分道路領域のそれぞれについて、前記複数の暫定部分道路領域の相互の位置関係に関係する第2の評価基準に基づいて、部分道路領域としての妥当性を評価し、前記複数の暫定部分道路領域に対する評価結果に基づいて、前記複数の暫定部分道路領域の各々について、当該暫定部分道路領域を当該暫定部分道路領域が属するメッシュに対して使用すべき部分道路領域として決定するか又は当該暫定部分道路領域の代わりに当該メッシュに対して使用すべき他の部分道路領域を決定する道路領域決定手段と、を備えるものである。
【0014】
これにより、メッシュ毎にそのメッシュを通過する道路の当該メッシュ内部分に対する暫定部分道路領域を決定した後、複数のメッシュに対して決定された複数の暫定部分道路領域の位置関係に基づいて、各暫定部分道路領域を、そのまま当該暫定部分道路領域が属するメッシュに対して使用すべき部分道路領域として決定するか又は当該暫定部分道路領域の代わりに当該メッシュに対して使用すべき他の部分道路領域を決定するので、道路に対する道路領域の決定が、当該道路が通過する複数のメッシュの各々に対する複数の部分道路領域候補の検出、各メッシュに対する暫定部分道路領域の決定、複数のメッシュを通過する道路全体に対する道路領域の決定というように、段階的に進めることができるので、最終的な道路領域の決定が容易となる。
【0015】
請求項4に記載の道路領域決定可能プログラムは、請求項3において、前記第1の評価基準は、各部分道路領域候補に属する、前記地理画像内の画素の画像値に依存する評価基準と、各部分道路領域候補の幾何学的な特徴量に依存する評価基準との両方を含むものである。これにより、各メッシュに対して検出された複数の部分道路領域候補からの暫定部分道路領域の決定が、適切に行いやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地理画像から道路を構成する複数の部分道路の存在領域をより簡単に検出可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る道路領域検出可能プログラム及び道路領域検出方法の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る、道路領域検出可能装置の一つの実施形態の概略ブロック図である。符号1は、上記装置の一つの実施の形態の全体を指す。本装置1は、処理装置10と、記憶装置20と、入出力装置30とを備えている。処理装置10は、例えばパソコン又はワークステーションにより実現される。記憶装置20は、メインメモリとして使用されるRAM(ランダムアクセスメモリ)(図示せず)及び磁気ディスク記憶装置のような補助記憶装置(図示せず)とを含む。入出力装置30は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む入力装置31と、CRTディスプレイ装置等の表示装置32又はプリンタ33などの出力装置を備えている。入力装置31はパラメータの入力やコマンドの起動などに使われる。表示装置32又はプリンタ33は、地理画像又は検出された道路領域を示す画像などの表示又は印刷に使われる。なお、記憶装置20内にデータが記憶されるときに、当該データが図示しないRAMと図示しない補助記憶装置のいずれに記憶されるかは、あらかじめ当該データに対して決められている。
【0018】
道路領域検出可能プログラムは、記憶装置20に記憶され処理装置10に組み込まれて実行されるが、図では分かりやすさのために、道路領域検出可能プログラム40とそれを構成する複数のモジュールを、処理装置10を示すブロックの内部に記載している。道路領域検出可能プログラム40は、エッジ検出部100と、領域分割部200と、部分道路境界直線候補検出部300と、部分道路領域候補検出部400と、部分道路領域決定部500と、道路領域決定部600というモジュールを含む。
【0019】
処理装置10は、道路領域検出可能プログラム40内のそれぞれのモジュールが実行されたときに、エッジを検出する機能ブロックと、地理画像の存在領域を分割する機能ブロックと、部分道路の境界直線候補を検出する機能ブロックと、部分道路の存在領域の候補を検出する機能ブロックと、部分道路の存在領域を決定する機能ブロックと、道路が存在する領域を決定する機能ブロックという複数の機能ブロックとしてコンピュータを動作させる。したがって、処理装置10と道路領域検出可能プログラム40のこれらのモジュールにより、それぞれのモジュールに対応する複数の機能ブロックが実現されることになる。したがって、処理装置10と、記憶装置20と、入出力装置30と、エッジ検出部100、領域分割部200、部分道路境界直線候補検出部300と、部分道路領域候補検出部400と、部分道路領域決定部500と、道路領域決定部600は、本発明に係る。道路領域検出可能装置の一つの実施の形態を実現することになる。
【0020】
道路領域検出可能プログラム40は、本発明に係る道路領域検出可能プログラムの一つの実施の形態を実現するものであり、記録媒体に記録してあるいはネットワークを介して記憶装置20に記憶され、処理装置10で実行される。道路領域検出可能プログラム40は、記録媒体に記録されて又はネットワークを介して販売可能である。処理装置10が道路領域検出可能プログラム40を実行して道路の存在領域を検出する手順は、本発明に係る道路領域検出方法の一つの実施の形態を実現する。
【0021】
記憶装置20には、人工衛星あるいは航空機から地表を撮影して得られる地理画像を表す地理画像データ21と、道路ベクトルデータ22とがあらかじめ記憶される。道路ベクトルデータ22は、当該地表に存在する複数の道路の各々に関して、当該道路の中心線を近似的に直線で表す連結された複数の折れ線部分のそれぞれに対する始点と終点の位置情報を含むデータである。上記道路のうち、一つの折れ線状部分を道路ベクトルと呼ぶことがある。一つの道路は一つの道路ベクトルからなる場合もあり、連結された複数の道路ベクトルからなる場合もある。したがって、道路ベクトルデータは、一つの道路を一つ又は複数の道路ベクトルで表していると言うこともできる。
【0022】
地理画像データ21と道路ベクトルデータ22を処理して、エッジ画像データ23、部分道路境界直線候補データ24、部分道路領域候補データ25、部分道路領域データ26、道路領域データ27が生成され、記憶装置20に格納される。以下では断らない限り、本実施の形態では、地理画像データ21は、カラーの多値画像のデータであると仮定するが、本発明は、地理画像データ21が白黒濃淡画像である場合にも適用可能である。以下では、地理画像データ21のことを簡単化のために単に地理画像21と呼ぶことがある。他の画像データについても同様である。また、画像データが生成又は処理されること又は記憶装置20に記憶されることに言及するときに、簡単化のために画像データのデータという単語には言及しないで、単に画像が生成又は処理されるあるいは画像が記憶装置20に記憶されるということがある。
【0023】
図1に戻り、道路領域検出可能プログラム40は、まず、エッジ検出部100を実行する。
図2は、エッジ検出部100の処理の概略フローチャートである。エッジ検出部100は、地理画像内の道路を抽出する前段階として、地理画像21内の道路の境界線や、建築物の輪郭を示すエッジ画像を検出する。本実施の形態では、後に説明するように、エッジ検出部100によって検出されたエッジ画像に基づいて道路境界線位置を推測するので、検出されるエッジの量は適当であることが要求される。エッジが少なすぎると道路境界線を再現しにくくなり、多すぎるとノイズ分が多くなって道路境界線の決定が困難になるためである。
【0024】
地理画像21は、ここではRGB3原色を含むカラー画像とする。エッジ検出の前に、ステップS101において、地理画像21の各画素のRGBデータに対してHSI変換を施して、色相H、彩度S、明度Iの組に変換して、明度Iの画像を示す明度画像を生成する。この変換自体は周知である。つぎに、ステップS102において、生成された明度画像に対してヒストグラム均等化処理を行う。ヒストグラム均等化とは、画像全体又は適当な区画ごとに明度の分布を調べ、その平均値が中間値になるように、明度を一次変換して明度の分布範囲を拡大するフィルタ処理であり、それにより、全体的に明度の分布範囲が狭い画像からもエッジが検出できるようになる。
【0025】
つぎに、ステップS103において、ヒストグラム均等化処理後の明度画像に対して、エッジ検出を実行する。この処理によって、上記明度画像内の道路や建築物の輪郭等、明度の変化が大きい部分をエッジとして抽出し、検出されたエッジを表すエッジ画像を生成する。エッジ検出方法としては、キャニー法や、ソーベルフィルタを用いたフィルタ処理などが使用できる。キャニー法に関しては、例えば、J. Canny,“A Computational Approach to Edge Detection,”IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, 1986, vol. PAMI-8, No. 6, pp. 679〜698参照。ソーベルフィルタに関しては、例えば、尾上守夫他編集、「画像処理ハンドブック」、株式会社昭晃堂、昭和62年6月8日、p.280−281参照。
【0026】
つぎに、ステップS104において、エッジ画像に対して2値化処理を行う。エッジ画像に対する2値化は、各画素の明度値と閾値の大小関係を調べ、閾値より大きい画素の値は、例えば「1」に、小さい画素の値は例えば「0」に変換する一般的なフィルタ処理である。これにより、エッジ画像の各画素はエッジを表す画素と、そうでない画素に2分され、2値化されたエッジ画像が得られる。閾値はあらかじめ決定されているか、2値化前のエッジ画像又はその一部分の統計情報からそれ自体公知の方法により決定することができる。つぎにステップS105において、2値化後のエッジ画像に対して小エッジの除去処理を行う。小エッジの除去とは、2値化後のエッジ画像内のエッジの中で、周囲のエッジとつながっていない、ノイズと判断できる小さなエッジを除去することを指す。以上の一連の処理で得られたエッジ画像のデータを、エッジ画像データ23として記憶装置20に格納して、エッジ検出部100の処理は終了する。
【0027】
図3は、地理画像データ21(図1)が示す地理画像の一例を示す図である。図にはいくつかの道路が含まれていることが分かる。
図4は、道路ベクトルデータ22(図1)を説明するための図である。同図(a)は、図3の地理画像21に対応する道路ベクトルデータ22が表す道路を図示したものである。図において、道路R1は、二つの折れ線部分(道路ベクトル)R11とR12を含む道路であり、道路R2については、図では一つの道路ベクトルのみが示されている。図において、黒丸は、道路の通過点を示し、道路R1の通過点として点P0、P1、P2が示され、道路R2の通過点として点P3、P4が示されている。道路R1、R2等は、図3に示された地理画像の道路の中心線の位置を表すものとして別にあらかじめ決定されたものであり、図4(a)において、道路R1等の位置には誤差が存在するのが普通であり、道路の中心線を正確に表すものではない。なお、本明細書では、一つの道路R1に含まれた複数の道路ベクトルの一つ、例えばR11を道路と呼ぶ場合もある。逆に、一つの道路ベクトルからなる道路を道路ベクトルと呼ぶこともある。
【0028】
図4(b)は、同図(a)に対する道路ベクトルデータ22の例を示す図である。道路ベクトルデータ22は、道路を構成する複数の道路ベクトルに割り当てられた道路ベクトルの識別情報221と、当該道路ベクトルの始点と終点に関する始点終点位置情報222とを含む。図では、道路R1の道路ベクトルR11に対する道路ベクトル識別情報221として記号R11が示され、始点終点位置情報222として点P0、P1の組が示されている。同様に、道路R1の道路ベクトルR12に対する道路ベクトル識別情報221として記号R12が示され、始点終点位置情報222として点P1、P2の組が示されている。道路R1には道路ベクトルR11、R12以外の他の道路ベクトルが含まれている場合には、それらの道路ベクトルに関するデータも道路ベクトルデータ22に含まれる。以上のデータが道路R1に関する道路ベクトルデータである。
【0029】
同様に、道路ベクトルデータ22には、道路R2に関して、道路ベクトル識別情報221として記号R2が示され、始点終点位置情報222として点P3、P4の組が示されている。このように、道路ベクトルデータ22には、複数の道路に関するデータを含むが、本明細書では、道路ベクトルデータ22のうち、複数の道路ベクトルで構成される一つの道路、例えばR1に関するデータを道路ベクトルデータと呼ぶこともある。また、道路ベクトルデータ22内の、一つの道路ベクトルに関するデータである、道路ベクトル識別情報221と始点終点位置情報222との組を道路ベクトルデータと呼ぶこともある。
【0030】
図5は、図3に示す地理画像21から得られたエッジ画像23の例を示す図である。エッジ画像23には、道路の境界線以外にも建物の輪郭線も含まれている。更に、道路の境界線もジグザグしたものであり、鮮明な直線あるいは滑らかな曲線にはなっていない部分も多い。
【0031】
図1に戻り、道路領域検出可能プログラム40は、領域分割部200を実行する。領域分割部200は、地理画像21及びエッジ画像23の各々が属する領域を、同じサイズを有する複数のメッシュに分割し、各メッシュの頂点位置を決定するものである。領域分割は、領域分割部200の後に実行される部分道路境界直線候補検出部300と、部分道路領域候補検出部400と、部分道路領域決定部500をメッシュ毎に行うことにより、部分道路の境界線の検出を容易にし、処理の速度と精度の向上を高めるために行われる。メッシュのサイズは、以下に述べるように、メッシュ内では、検出すべき道路が実質的に直線であり、その部分道路に対する境界線が直線であると見なすことができるという条件を少なくとも満たすように、更に、後述の処理が実行できるように、適度な値に定める。
【0032】
道路領域検出可能プログラム40は、領域分割部200の実行後に、部分道路境界直線候補検出部300を実行する。図6は、部分道路境界直線候補検出部300の処理の概略フローチャートである。部分道路境界直線候補検出部300は、各メッシュについて、当該メッシュを通過する道路ベクトルがある場合に、その道路の、当該メッシュ内にある部分(以下、部分道路と呼ぶことがある)の境界直線を表している可能性がある複数の直線状エッジ部分を、その部分道路の境界直線の候補としてエッジ画像23から検出する。
【0033】
まず、ステップS301において、前記複数のメッシュから、以下の処理を実行していない未処理のメッシュを一つ選ぶ。そのメッシュを選択メッシュと呼ぶ。ステップS302において、道路ベクトルデータ22により示される道路ベクトルのうち、選択メッシュを通っている道路ベクトルがあるか否かを判定し、そのような道路ベクトルがある場合に、そのような道路ベクトルの全てについて当該選択メッシュ内にある部分道路を検出して、その部分道路の両端の位置の組をリストL1に登録する。その選択メッシュを通過する道路ベクトルが複数ある場合には、それぞれの道路ベクトルのその選択メッシュ内の部分道路をリストL1に登録する。
【0034】
つぎにステップS303で、リストL1が空であるか否かが判定され、空の場合は、当該選択メッシュを道路ベクトルが通過していないときであるので、その選択メッシュについては以下の処理を行わず、ステップS301に戻り、次のメッシュを選択する。ステップS303での判定の結果、選択メッシュが空でないと判定された場合、ステップS304において、選択メッシュ内に位置する直線状エッジ部分を全てエッジ画像データ23から検出する。得られた直線状エッジ部分の始点と終点の組をリストL2に格納する。
【0035】
直線状エッジ部分の検出では、選択メッシュに含まれているエッジの中から、既に一つの直線としてつながっているエッジ部分を検出するだけでなく、複数のエッジ部分に分離されているが、つなげれば直線を形成する位置にある複数のエッジ部分の組を見つけ出し、それらの複数のエッジ部分の組を連結して一つの直線状エッジ部分に変換することも行う。なぜなら、部分道路の境界直線は、建物の影により、あるいは交差点の存在等により、複数の部分に分断された複数の直線状エッジ部分として検出される可能性があるからである。
【0036】
上記直線状エッジ部分の検出法としては、例えばハフ(Hough)変換が挙げられる。例えば、“Method and Means for recognizing complex patterns",米国特許第3,069,654号,1962参照。ハフ変換では、複数部分に切断された直線も一つの直線に復元することができる。したがって、上記のような、同じ道路の境界直線を構成するべきエッジが複数の直線状エッジ部分に分断されている場合でも、それらのエッジ部分を検出して一つの直線状エッジ部分として検出することに適している。直線状エッジ部分の検出処理は、検出対象範囲が大きいと処理時間が掛かるが、本実施の形態では、エッジ画像を複数のメッシュに分割して、メッシュ毎に直線状エッジ部分を検出するので、この問題は緩和される。逆に、各メッシュのサイズは、先に述べた条件の他に、直線状エッジ部分の検出のための時間が適度に小さい値となるという条件を満たすように定めてもよい。
【0037】
つぎにステップS305において、得られたリストL2から未チェックの直線状エッジ部分を1つ選択し、ステップS306において、その直線状エッジ部分が、リストL1に含まれるいずれかの部分道路に対する境界直線になるための条件を満たすか否かを判定する。この判定では、選択された直線状エッジ部分がリストL1内のいずれかの部分道路に対して所定の位置条件を満たすか否かが判定される。この判定では、選択された直線状エッジ部分がリストL1内のいずれかの部分道路に対して平行であるという第1の条件が満たされるか否かが判定され、その第1の条件が満たされた場合に、更に、選択された直線状エッジ部分がその部分道路から所定の距離以内にあるという第2の条件が満たされるか否かが判定される。このように、選択された直線状エッジ部分がいずれかの部分道路に対して部分道路領域境界直線候補となるための位置条件と、この位置条件を満たすか否かの判定は非常に簡単である。
【0038】
本実施の形態では、道路ベクトルデータ22に含まれた道路ベクトルの始点と終点の位置には誤差があると仮定しているので、リストL2から選択された直線状エッジ部分の位置とリストL1に登録されたいずれかの部分道路の位置が所定の許容位置ずれ範囲内で一致していなくても、当該直線状エッジ部分は、当該部分道路に対する境界直線である場合もあると考えている。
【0039】
しかし、リストL2から選択された直線状エッジ部分の方向は、リストL1に登録されたいずれかの部分道路の方向と所定の角度差の限界内で一致しないと、当該直線状エッジ部分は、当該部分道路の境界直線とはなり得ないと判断する。すなわち、道路ベクトルデータ22で示す部分道路の位置には誤差があっても、道路ベクトルデータ22が示す部分道路の方向には大きな誤差はないと仮定している。したがって、ステップS306での判定では、選択された直線状エッジ部分の方向と、道路ベクトルデータが示す部分道路の方向は、所定の許容角度ずれ範囲内で一致しているかがまず判断される。この許容角度ずれ範囲は、例えば、2度あるいは5度程度とすることができる。このように比較的大きな許容角度ずれ範囲を使用するのは、実際の道路ベクトルの方向も、メッシュ内という限定された範囲内では、道路ベクトルデータ22が示す道路ベクトルの方向からずれている可能性があるので、そのような大きな角度ずれ範囲を許容してもよいとの考えに基づく。
【0040】
ステップS306での判定では、選択された直線状エッジ部分の方向と道路ベクトルデータ22が示す部分道路の方向とが、所定の許容角度ずれ範囲内で平行であるときには、両者の間の距離が所定の制限距離以内であるか否かを次に判定し、両者がこの距離よりも大きく隔たっているときには、当該直線状エッジ部分は、メッシュ内の部分道路の境界直線とは見なさない。ここで、所定の制限距離とは、選択された直線状エッジ部分が、画像内に含まれる可能性のある道路が通常持ち得る道路幅の最大値程度に等しい距離を言う。選択された直線状エッジ部分が、道路が通常持ち得る道路幅の最大値程度の距離よりもかなり大きくずれているときには、当該直線状エッジ部分は、部分道路の境界直線とは見なさない。この判定は、当該直線状エッジ部分と、道路ベクトルデータ22が示す部分道路の位置との一致を判定するものではない。なお、選択された直線状エッジ部分と道路ベクトルデータ22が示す部分道路との間の距離には、両者の間の最も近い部分間の距離を使用すればよい。
【0041】
ステップS306での判定において、選択された直線状エッジ部分が上記第1、第2の条件の両方を満すと判定されたときには、ステップS307において、選択された直線状エッジ部分は、リストL1内の、上記第1、第2の条件に関する判定対象とされたいずれかの部分道路に対する部分道路境界直線候補の一つと見なされ、当該部分道路と当該選択された直線状エッジ部分との組を部分道路境界直線候補データ24の一部として、記憶装置20に記憶し、その後ステップS308において、選択された直線状エッジ部分をリストL2から削除し、処理はステップS309に進む。
【0042】
ステップS306での判定において、選択された直線状エッジ部分が上記第1、第2の条件の少なくとも一方を満さないと判定されたときには、処理はステップS308に進み、選択された直線状エッジ部分をリストL2から削除し、処理はステップS309に進む。ステップS309においては、リストL2内の全ての直線状エッジ部分のチェックが終了したか否かが判断され、終了していないときには、ステップS305以降の処理が繰り返される。ステップS309での判定の結果、選択メッシュに関して全ての直線状エッジ部分のチェックが終了したと判断されたときには、ステップS310において、全てのメッシュでの処理が終了しているか否かを判定し、終了していないときには、ステップS301以降の処理が未処理のメッシュに関して繰り返される。
【0043】
図7は、エッジ画像23を分割して得られる複数のメッシュとそれらのメッシュに対して抽出された複数の部分道路境界直線候補を模式的に示す図である。図においては、一点鎖線R11、R12、R3は、図4(a)に示されたように、それぞれ道路ベクトルデータ22で示される複数の道路ベクトルの例を示す。道路ベクトルR11とR12は、いずれも道路R1(図4(a))に属する道路ベクトルである。道路ベクトルR11は始点P0と終点P1を有し、道路ベクトルR12は、道路ベクトルR11の終点P1を始点とし終点P2を有する。道路ベクトルR3は、道路ベクトルR1に交叉する道路ベクトルの例であり、始点P3と終点P4とを有する。図ではエッジ画像23は3×3個のメッシュM0〜M8のみを含んでいるが、これは図の簡単化のためであり、エッジ画像データ23に含まれる実際のメッシュ数はもっと多いのが普通である。道路ベクトルR11、R12、R3は、複数のメッシュを通過している。例えば、道路ベクトルR11は、メッシュM0内に位置する部分道路、メッシュM1内に位置する部分道路、メッシュM4内に位置する部分道路、メッシュM5内に位置する部分道路に区分されることが分かる。
【0044】
図には、道路ベクトルR1に対して部分道路境界直線候補検出部300(図6)のステップS304において検出される複数の直線状エッジ部分が模式的に示されている。メッシュM0に関しては、直線状エッジ部分E0、E1、E5が検出されている。メッシュM1に関しては、直線状エッジ部分E2、E6、E9、E11が検出されている。メッシュM2に関しては、直線状エッジ部分E12が検出されている。メッシュM4に関しては、直線状エッジ部分E3、E7が検出されている。メッシュM5に関しては、直線状エッジ部分E4、E8、E10、E13が検出されている。なお、図では、直線状エッジ部分E0、E1のように、他の直線状エッジ部分に接続されていないものもある。図の例では、直線状エッジ部分E2からE4、E5からE8、E9からE10、E11からE13はそれぞれ連結されているが、これらの直線状エッジ部分は、直線状エッジ部分E0、E1と同様に、他の直線状エッジ部分から分離されていてもよいことは言うまでもない。
【0045】
メッシュM0に関して検出された直線状エッジ部分E0は、部分道路境界直線候補検出部300(図6)のステップS306の判定では、道路ベクトルR11からの距離が大きいために、道路ベクトルR11のうちのメッシュM0に属する部分道路に対する部分道路境界直線候補とは判定されないと仮定する。図においては、直線状エッジ部分E1からE13は、いずれも、道路ベクトルR1のうちのそれぞれが属するメッシュ内の部分道路に対する部分道路境界直線候補であると判定されると仮定する。
【0046】
図8は、部分道路境界直線候補データ24の例を示す図である。部分道路境界直線候補データ24には、道路ベクトル識別情報(以下、識別情報を単にIDと呼ぶことがある)241、メッシュ識別情報242、部分道路位置情報243、境界直線候補位置情報244とを含む。図では、道路ベクトル識別情報241には、簡単化のために、R11等の、道路ベクトルに付した記号を識別情報として示している。メッシュ識別情報242には、簡単化のために、M0等の、メッシュに付した記号を識別情報として示している。メッシュ識別情報242には、注目する道路ベクトルR11が通過するメッシュの識別情報が格納され、その道路ベクトルが通過しないメッシュの識別情報は格納されない。部分道路位置情報243には、メッシュ内の部分道路の始点位置と終点位置との組が記憶されるが、図では、簡単化のために、図7に示した記号P0、U1等の、メッシュ内の部分道路の始点と終点の記号の組を示している。境界直線候補位置情報244には、メッシュ内の直線状エッジ部分の始点と終点の座標を格納すればよいが、図では分かりやすさのためにE1等の図7に示した直線状エッジ部分の記号と、F1、G1等のその直線状エッジ部分の始点と終点の記号の組とを示している。
【0047】
図7の例では、図8に示すように、道路ベクトルR11に関しては、メッシュM0に対しては直線状エッジ部分E1、E5が部分道路境界直線候補として記憶され、メッシュM1に対しては直線状エッジ部分E2、E6が部分道路境界直線候補として記憶され、メッシュM4に対しては直線状エッジ部分E3、E7が部分道路境界直線候補として記憶され、メッシュM5に対しては直線状エッジ部分E4、E8、E10、E13が部分道路境界直線候補として記憶される。なお、部分道路境界直線候補データ24には、他の道路に関しても同様なデータが記憶されるが、簡単化のためにそれらのデータは図示していない。
【0048】
図1に戻り、道路領域検出可能プログラム40は、部分道路領域候補検出部400を実行する。図9は、部分道路領域候補検出部400の処理の概略フローチャートである。部分道路領域候補検出部400は、地理画像21中の道路について、その道路が通過するメッシュ内のその道路が存在する可能性がある領域の複数の候補(部分道路領域候補)を部分道路境界直線候補データ24と道路ベクトルデータ22とから検出して、部分道路領域候補データ25内に格納する。
【0049】
部分道路領域候補検出部400は、道路ベクトルデータ22に含まれる複数の道路ベクトルのそれぞれに対して実行される。そのため、まず、ステップS401で、いずれかの未処理の道路を道路ベクトルデータ22から選択し、ステップS402において、その選択道路に含まれるいずれかの未処理の道路ベクトルを選択し、道路ベクトルデータ22からその選択道路ベクトルに関するデータを読み出す。具体的には、図4(b)に示す道路ベクトルデータ22の場合、一つの道路ベクトル識別情報221と対応する始点終点位置情報222との組からなる一つの道路ベクトルデータを選択し、読み出す。例えば、図4(a)の道路ベクトルR11を選択し、道路ベクトルデータ22からその道路ベクトルR11に関する道路ベクトル識別情報221としてのR11と、始点終点位置情報222としての点P0、P1とを読み出す。以下では、選択された上記一つの道路ベクトル(今の例ではR11)を以下では選択道路ベクトルと呼ぶことがある。
【0050】
つぎに、ステップS403において、選択道路ベクトル(例えばR11)が通過する複数のメッシュのうち未処理のメッシュを一つ選択する。上記選択道路ベクトルが通過する複数のメッシュの識別情報は、部分道路境界直線候補データ24(図8)内に、上記選択道路ベクトルの道路ベクトル識別情報221であるR11と同じ道路ベクトル識別情報241に対応して記憶されている。例えば選択道路ベクトルR11が通過するメッシュはメッシュM0、M1、M4、M5である。したがって、上記ステップS403での未処理のメッシュの検出は、部分道路境界直線候補データ24内に、上記選択された道路ベクトルの道路ベクトル識別情報221であるR11と同じ道路ベクトル識別情報241に対応して記憶されている複数のメッシュ識別情報242のうち、以下の処理を行っていない一つの未処理のメッシュ識別情報242を選択することにより行える。例えば、メッシュM0が選択される。上記選択されたメッシュを以下では選択メッシュと呼ぶことがある。
【0051】
つぎにステップS404において、上記選択道路ベクトル(例えばR11)の、上記選択メッシュ内の部分道路に対する部分道路境界直線候補を部分道路境界直線候補データ24(図8)から読み出し、リストMに登録する。今の例では、選択道路ベクトルR11に対しては、メッシュM0に含まれる部分道路境界直線候補E1(F1,G1)とE5(F5,G5)が、リストMに登録される。部分道路境界直線候補E1とE5は、図7に示されたように、メッシュM0内にあり、選択道路ベクトルR11に平行で、かつ、距離がある一定値以内にあり、選択道路ベクトルR11のうちメッシュM0内にある部分道路が存在する領域の境界直線となる可能性がある直線である。
【0052】
つぎにステップS405において、リストMに登録された部分道路境界直線候補の数が2以上であるか否かを判定する。今の例では、その数は2である。このようにリストMに登録された部分道路境界直線候補の数が2以上である場合は、ステップS406において、リストMに登録された複数の部分道路境界直線候補のうちの任意の二つを組み合わせて、その組と選択道路ベクトルR11に関する道路ベクトルデータとに基づいて選択メッシュM0内で選択道路ベクトルR11が存在する可能性がある4辺形領域を決定し、当該4辺形領域を、選択道路ベクトルR11に対する選択メッシュM0内の部分道路領域候補として、部分道路領域候補データ25内に格納する。上記4辺形領域の決定方法は後に述べる。
【0053】
ステップS406の終了後に、ステップS408において、選択道路ベクトル(R11)が通過するメッシュの全てを選択したか否かが判定され、まだ選択されていないメッシュがあるときには、処理はステップS403に戻り、以上の処理が繰り返される。本実施の形態では、選択道路ベクトルR11が通過する他のメッシュは、図8に示した部分道路境界直線候補データ24から分かるように、メッシュM1、M4、M5である。したがって、これらのメッシュに関して以上の処理が繰り返される。
【0054】
なお、ステップS405において、リストMに登録された部分道路境界直線候補の数が1であると判定されたときには、ステップS407においてリストM内の部分道路境界直線候補を削除し、その後処理はステップS408に移る。なお、ステップS405において、リストMに登録された部分道路境界直線候補の数が0であると判定される場合は生じない。部分道路境界直線候補の数が0であるようなメッシュは、ステップS403において選択されないからである。
【0055】
以上のような処理の繰り返しにより、ステップS408において、選択道路ベクトルが通過する全てのメッシュの選択が終了したと判断されたときには、ステップS409において、選択道路ベクトル(今の例ではR11)が属する道路に含まれる道路ベクトルの全てが処理されたか否かが判定される。もし未処理の他の道路ベクトル(例えばR12)があるときには、処理はステップS402に移り、例えば、上記選択道路ベクトルR11につながった他の道路ベクトルR12について、ステップS402以降の処理が繰り返される。その後、ステップS409において、選択道路ベクトル(今の例ではR12)が属する道路に含まれる道路ベクトルの全てが処理されたと判定されときには、ステップS410において、処理された複数の道路ベクトルを含む道路と異なる、他の道路ベクトルを含む未処理の他の道路があるか否かが判定され、そのような未処理の他の道路があるときには、処理はステップS401に戻り、当該他の道路に含まれた複数の道路ベクトルに関してステップS401以降の処理が繰り返される。その後、ステップS410において、他の道路ベクトルを含む未処理の他の道路がないと判定されたときに、部分道路領域候補検出部400の処理が終了する。
【0056】
部分道路領域候補検出部400の処理のうち、ステップS405での処理の詳細を説明する。図10は、道路ベクトルR11に対して検出される部分道路領域候補の例を示す図である。メッシュM0に関しては、図9のステップS404では、部分道路境界直線候補E1、E5がリストMに登録されている。一方、選択道路ベクトルR11のうちのメッシュM0内の部分道路は点P1から点U1までである。以下この部分道路を両端の点を並べてP0U1でもって表す。部分道路境界直線候補E1、E5と部分道路P0U1のうちでは、部分道路P0U1が一番短い。図9のステップS405では、リストMに登録された二つの部分道路境界直線候補E1、E5上にある、部分道路P0U1を越えない長さ(今の例ではそれと同じ長さ)を有し、選択道路ベクトルR11に平行でともにメッシュM0内に位置する2辺と、選択道路ベクトルR11に垂直でともにメッシュM0内に位置する2辺とを有するという部分道路領域候補条件を満たす4辺形J11J12J52J51が、部分道路P0U1に対する部分道路領域候補として検出される。
【0057】
図11は、部分道路領域候補データ25の例を示す図である。部分道路領域候補データ25には、部分道路領域候補検出部400により検出された部分道路領域候補に関して、道路ベクトル識別情報251と、メッシュ識別情報252と、4辺形情報253とが格納される。図10に示した4辺形J11J12J51J52に関しては、例えば道路ベクトル識別情報251として選択道路ベクトルの道路ベクトル識別情報R11が格納され、メッシュ識別情報252には、メッシュM0の識別情報M0が格納され、4辺形情報253には検出された4辺形を構成する二つの部分道路境界線候補の記号E1、E5と、両候補のそれぞれ上の2頂点J11とJ12及びJ51とJ52とが格納される。
【0058】
図10に戻り、メッシュM0にある部分道路境界直線候補は上記のE1、E5のみであり、上記部分道路領域候補条件を満たす他の部分道路領域候補はメッシュM0からは検出されない。メッシュM1に関しては、図9のステップS404では、部分道路境界直線候補E2、E6がリストMに登録されている。一方、選択道路ベクトルR11のうちのメッシュM1内の部分道路は点U1から点U2までである。図9のステップS405では、リストMに登録された二つの部分道路境界直線候補E2、E6と部分道路U1U2とから、部分道路U1U2に対する部分道路領域候補が、既に述べた部分道路領域候補条件を満すように決定される。この際、部分道路境界直線候補E6は、点G5からG6までである。一方、部分道路境界直線候補E2は点F2からG2までであり、部分道路U1U2及び部分道路境界直線候補E6より短いが、部分道路U1U2が存在する範囲と平行で、メッシュM1内に位置する範囲内にある線分J21G2まで延長可能な直線として扱われる。こうして、上記部分道路領域候補条件を満す4辺形として、部分道路境界直線候補E2上の点J21から点G2までの線分と、部分道路境界直線候補E6上の点J61から点J62までの線分とにより規定される4辺形J21G2J62J61が検出される。
【0059】
同様に、メッシュM4に関しては、図9のステップS404では、部分道路境界直線候補E3、E7がリストMに登録されている。一方、選択道路ベクトルR11のうちのメッシュM4内の部分道路は点U2から点U3までである。図9のステップS405では、リストMに登録された二つの部分道路境界直線候補E3、E7と部分道路U2U3とから、部分道路U2U3に対する部分道路領域候補が、既に述べた部分道路領域候補条件を満すように決定される。この際、部分道路U1U2は、部分道路境界直線候補E3、E6よりも短いので、メッシュM0の場合と同様にして、図に示すように、上記部分道路領域候補条件を満す4辺形として、部分道路境界直線候補E3上の点J31から点J32までの線分と、部分道路境界直線候補E7上の点J71から点J72までの線分とにより規定される4辺形J31J32J72J71が検出される。
【0060】
同様に、メッシュM5に関しては、図9のステップS404では、部分道路境界直線候補E4、E8がリストMに登録されている。一方、選択道路ベクトルR11のうちのメッシュM5内の部分道路は点U3から点P1までである。図9のステップS405では、リストMに登録された二つの部分道路境界直線候補E4、E8と部分道路U3P1とから、部分道路U3P1に対する部分道路領域候補が、既に述べた部分道路領域候補条件を満すように決定される。この際、部分道路境界直線候補E4は、点G3からG4までであり、部分道路U3P1より短いが、部分道路U3P1が存在する範囲と平行で、メッシュM4内に位置する範囲内にある線分G3J41まで延長可能な直線として扱われる。同様に、部分道路境界直線候補E8は、点G7からG8までであり、部分道路U3P1より短いが、部分道路U3P1が存在する範囲と平行で、メッシュM4内に位置する範囲内にある線分G7J81まで延長可能な直線として扱われる。こうして、上記部分道路領域候補条件を満す4辺形として、部分道路境界直線候補E4上の点G3から点J41までの線分と、部分道路境界直線候補E8上の点G8から点J81までの線分とにより規定される4辺形G3J41J81G8が検出される。
以上のようにメッシュM1、M4、M5に対して検出された4辺形の情報も、部分道路領域候補として、図11に示したように部分道路領域候補データ25内に格納される。
【0061】
図12は、道路ベクトルR11に対して検出される他の部分道路領域候補の例を示す図である。図では、メッシュM1に対して、部分道路境界直線候補E2上の点J21から点G2までの線分と部分道路境界直線候補E9上の点J91から点J92までの線分とにより規定される4辺形J21G2J92J91が検出される。メッシュM5に対して、部分道路境界直線候補E4上の点G3から点J41までの線分と部分道路境界直線候補E10上の点J101から点J102までの線分とにより規定される4辺形G3J41J102J101が検出される。
【0062】
図13は、道路ベクトルR11に対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。図では、メッシュM1に対して、部分道路境界直線候補E2上の点J21から点G2までの線分と部分道路境界直線候補E11上の点J111から点J112までの線分とにより規定される4辺形J21G2J112J111が検出される。メッシュM5に対して、部分道路境界直線候補E4上の点G3から点J41までの線分と部分道路境界直線候補E13上の点J131から点J132までの線分とにより規定される4辺形G3J41J132J131が検出される。
【0063】
図14は、道路ベクトルR11に対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。図では、メッシュM1に対して、部分道路境界直線候補E6上の点G5から点G6までの線分と部分道路境界直線候補E9上の点J93から点J94までの線分とにより規定される4辺形G5G6J92J91が検出される。メッシュM5に対して、部分道路境界直線候補E8上の点G7から点J81までの線分と部分道路境界直線候補E10上の点J103から点J102までの線分とにより規定される4辺形G7J81J102J103が検出される。
【0064】
図15は、道路ベクトルR11に対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。図では、メッシュM1に対して、部分道路境界直線候補E6上の点G5から点G6までの線分と部分道路境界直線候補E11上の点J111から点J112までの線分とにより規定される4辺形G5G6J112J111が検出される。メッシュM5に対して、部分道路境界直線候補E8上の点G7から点J81までの線分と部分道路境界直線候補E13上の点J133から点J132までの線分とにより規定される4辺形G7J81J132J133が検出される。
【0065】
図16は、道路ベクトルR11に対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。図では、メッシュM1に対して、部分道路境界直線候補E9上の点J95から点J96までの線分と部分道路境界直線候補E11上の点F11から点G11までの線分とにより規定される4辺形J91J92G11F11が検出される。メッシュM5に対して、部分道路境界直線候補E10上の点J104から点J102までの線分と部分道路境界直線候補E13上の点G12から点J132までの線分とにより規定される4辺形J104J102J132G12が検出される。
【0066】
図12から図16を用いて説明したように、メッシュM1、M4、M5に対して検出されたいろいろな4辺形の情報は、図11に示したように、部分道路領域候補データ25内に部分道路領域候補として追加して格納される。
なお、以上の処理では、例えば図7から分かるように、一つの道路ベクトルのうち、一つのメッシュに属する部分道路の全長に対応して部分道路境界直線候補が存在していても、そのメッシュにおいて検出される部分道路領域候補は、当該部分道路の全長の一部に対するものであり、当該部分道路の残りの部分に対しては部分道路領域候補は検出されない場合が生じているが、検出されない部分道路領域は、後に説明するように補間により決定される。
また、図7等では、説明のために検出される部分道路境界直線候補の数は少なくしているが、一つの道路ベクトル、例えばR11に関して、一つのメッシュに対して実際に検出される部分道路境界直線候補の数は10数本になることがあり、このため、同じ一つの道路ベクトルR11に関して一つのメッシュに対して検出される部分道路領域候補の数は数十〜百数十になると考えられる。
【0067】
図1に戻り、道路領域検出可能プログラム40は、部分道路領域候補検出部400の実行後に部分道路領域決定部500を実行する。
図17は、部分道路領域決定部500の処理の概略フローチャートである。部分道路領域決定部500は、部分道路領域候補検出部400で検出された複数の部分道路領域候補の中から実際の道路の存在領域を表す可能性が最も高い部分道路領域を決定する。
【0068】
まず、ステップS501において、いずれかの道路に含まれたいずれかの道路ベクトルを選択する。ステップS502において、当該選択道路ベクトルが通過するメッシュであって、当該メッシュに対して当該選択道路ベクトルに対する部分道路領域候補が少なくとも一つ部分道路領域候補データ25に含まれているメッシュを選択する。つぎにステップS503においてメッシュの選択が成功か否かを判定し、不成功の場合には、ステップS504において、当該選択道路ベクトルは廃止された道路であると判断し、部分道路領域データ26内に、当該選択道路ベクトルに対応して廃止を示す情報を格納する。その後処理はステップS509に移動する。
【0069】
一方、ステップS503においてメッシュ選択が成功と判断されたときには、ステップS505において、部分道路領域候補データ25(図11)から、当該選択道路ベクトルのうち当該選択メッシュに属する部分道路に対する部分道路領域候補を、それらが複数ある場合には、全て読み出す。具体的には、その選択メッシュに対する4辺形情報253(図11)を読み出す。
【0070】
ステップS506とS507において、それらの部分道路領域候補の各々について、部分道路領域である可能性を個別に評価する。本実施の態様では、個別評価は、各部分道路領域候補に属する、前記地理画像内の画素の画像値に依存する評価基準に基づく評価と各部分道路領域候補の幾何学的な特徴量に依存する評価基準に基づく評価の両方を行う。これにより、各メッシュに対して検出された複数の部分道路領域候補に対する評価がより適切に行いやすくなる。
【0071】
まずステップS506では、各部分道路領域候補を地理画像21の画像値に基づいて評価する。例えば、部分道路領域候補内の画素の色によって、例えば色の分布状態によって、その領域が道路である可能性が高いか否かを評価する。例えば、部分道路領域候補について、当該候補領域内の画素の3原色成分(R、G、B)に対応する色相Hの標準偏差を計算する。既に述べたように、エッジ検出部100(図2)では、ステップS101において、地理画像21のRGB成分を色相H、彩度S、明度Iの成分に変換している。したがって上記ステップS506において色相の標準偏差を求めるときに、エッジ検出部100により生成された色相データを利用すればよい。一般に道路は、灰色等の一様な色であるので、色相の分散が小さい部分道路領域候補は、道路領域を表す可能性が高い。例えば、コンクリート道路では標準分散は30度位である。したがって、部分道路領域候補内の画素の色の標準分散を第1の評価値とする。したがって、部分道路領域候補の第1の評価値が小さいほど、道路領域を表す可能性が高いことになる。もちろん、色の分布に関して他の物理量を評価値としてもよい。
【0072】
つぎに、ステップS507において、各部分道路領域候補を各部分道路領域候補の幾何学的な特徴量に基づいて評価する。例えば、各部分道路領域候補が表す部分道路領域の幅により評価する。これは、複数の車線を含む道路の特徴を利用して、部分道路領域候補を評価することである。具体的には、部分道路領域候補が示す道路幅が、1車線の道路の標準的な道路幅(通常の2.75m〜3.5mのうちからあらかじめ定めた値)又はその複数倍に一致する場合に、最小の評価値(部分道路領域である可能性が高いことを示す評価値)を決定し、部分道路領域候補が示す道路幅が、上記標準的な道路幅又はその倍数からずれるにしたがって高い評価値を決定するように、部分道路領域候補に対して、当該部分道路領域候補が示す道路幅に依存した第2の評価値を決定する。図18は、道路幅と第2の評価値との関係の例を示す図である。図では、1車線の標準の道路幅は3.5mとし、部分道路領域候補の道路幅がこの標準値の整数倍であるときに、第2の評価値を0とし、それらの値の丁度中間のときに、第2の評価値を1としている。
【0073】
部分道路領域候補に対する最終的な評価値は、上記第1、第2の評価値を重みを付けて加算して、例えば下記の式1により決定することができる。
最終評価値=第1の評価値+20×第2の評価値 (1)
【0074】
ステップS508では、各部分道路領域候補に対して上記最終評価値を計算し、その値が最も小さい部分道路領域候補を、前記選択道路のうち選択メッシュ内に位置する部分道路が存在する道路領域である可能性が最も高い暫定部分道路領域として決定する。決定された暫定部分道路領域に関するデータを、部分道路領域データ26内に暫定部分道路領域として格納する。
その後、ステップS509において、前記選択道路ベクトルが通過する他のメッシュであって、部分道路領域候補が部分道路領域候補データ25に格納されているメッシュがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、処理はステップS502に戻り、ステップS502以降の処理が、前記選択道路が通過する他のメッシュであって、部分道路領域候補が部分道路領域候補データ25に格納されているメッシュが存在しないと判定されるまで繰り返される。
【0075】
図19は、部分道路領域決定部500により決定される暫定部分道路領域の例を示す図である。図では、道路ベクトルR11に対して、メッシュM1内では4辺形J21G2J112J111が暫定部分道路領域として決定され、メッシュM5内では4辺形G3J41J132J131が暫定部分道路領域として決定されている。
【0076】
図20は、部分道路領域データ26の例と、上記二つの暫定部分道路領域が決定されたときのその部分道路領域データ26の値の例を示す図である。部分道路領域データ26は、処理中の道路ベクトル(今の例ではR11)の道路ベクトル識別情報261、部分道路領域が決定されたメッシュの識別情報262、4辺形情報263、確定フラグ264とを含む。図の例では、道路ベクトル識別情報261には道路ベクトルの記号R11が格納され、メッシュ識別情報262には、メッシュ番号M1又はM5が格納され、4辺形情報263には、決定された4辺形の頂点J21,G2,J112,J111又はG3,J41,J131,J132が格納されている。確定フラグ264には、4辺形情報263が示す部分道路領域が暫定部分道路領域であることを示す値0が格納されている。後に暫定部分道路領域が最終的に部分道路領域として決定されたときには、確定フラグ264には4辺形情報263が示す部分道路領域が確定された部分道路領域であることを示す値1が設定されるようになっている。
【0077】
以上の処理では、選択道路ベクトルに関して複数のメッシュに対して決定された複数の部分道路領域候補を個別に評価して、当該選択道路ベクトルに対する複数の暫定部分道路領域を決定した。部分道路領域決定部500では、選択道路ベクトルに対して決定された複数の暫定部分道路領域の相互のつながりを考慮するために、更に以下の処理を実行し、決定された複数の暫定部分道路領域候補の相互の位置関係が所望の位置関係にあるか否かを判断し、最終的な部分道路領域を決定する。このために、図17に戻り、部分道路領域決定部500では、選択道路に対するステップS502以降の処理の繰り返しの後に、ステップS509において、前記選択道路が通過する他のメッシュであって、部分道路領域候補が部分道路領域候補データ25に格納されているメッシュが存在しないと判定されたときに、処理はステップS510に移る。
【0078】
ステップS510では、同じ選択道路ベクトルに関して、異なるメッシュに対して個別に決定された上記複数の暫定部分道路領域の各々と、当該暫定部分道路領域に対して最も近い位置にある他の暫定部分道路領域とが隣接する部分道路領域となるための望ましい所定の位置関係を有するか否かを判定する。例えば、それらの暫定部分道路領域の幅が所定の誤差範囲内で一致し(すなわち、それらの暫定部分道路領域の幅の相違は上記所定の誤差範囲内であり)、かつ、それらの暫定部分道路領域の中心線の位置が所定の誤差範囲内で一致するという位置関係を満たしているか否かを判定する。例えば、図19に例示した二つの暫定部分道路領域の場合には、道路幅も中心線位置もほぼ一致しているので、上記位置関係が満たされている。このように、複数の暫定部分道路領域が上記位置関係を満たしている場合には、図17に戻り、ステップS511において、上記暫定部分道路領域を最終的に部分道路領域として決定する。すなわち、図20に示された部分道路領域データ26内のそれらの暫定部分道路領域に対する確定フラグ264の値を1に設定する。
【0079】
図21は、選択道路ベクトルR11に対して検出された他の暫定部分道路領域の例を示す図である。図では、暫定部分道路領域として、二つの4辺形J21G2J92J91とG3J41J132J131が決定されている。図の場合には、これら二つの暫定部分道路領域の道路幅と中心線の位置が一致していない。このような場合には、図17に戻り、ステップS512において、暫定部分道路領域を再決定し、最終的な部分道路領域を決定する。
【0080】
例えば、図21に示された左側の4辺形J21G2J92J91の左側に別の図示しない4辺形が暫定部分道路領域として更に検出されていて、上記左側の4辺形J21G2J92J91と当該別の図示しない4辺形が上記位置関係を満たすときには、図に示された右側の4辺形G3J41J132J131の代わりの暫定部分道路領域が検出される。例えば、図17のステップS508で暫定部分道路領域を決定するときに比較対象とされた他の複数の部分道路領域候補のうち、最終評価値が所定の上限値以下の評価値を持ち、図21の左側の4辺形J21G2J92J91に対して上記位置関係を満たすものがないかを判定する。もしそのような部分道路領域候補があるときには、図21の右側の4辺形に代えて当該部分道路領域候補を、暫定部分道路領域に決定したうえで、更に部分道路領域に決定する。しかし、そのような代わりの部分道路領域候補が存在しないときには、図21の右側の4辺形をそのまま部分道路領域として決定する。
【0081】
また、図21に示された左側の4辺形J21G2J92J91の左側に上記別の図示しない4辺形が暫定部分道路領域として検出されていて、上記左側の4辺形J21G2J92J91と当該別の図示しない4辺形も上記位置関係を満たさないときには、図21に図示されていない上記別の4辺形と、図示された左側の4辺形と、図示された右側の4辺形のそれぞれの代わり使用可能な部分道路領域候補であって、最終評価値が上記上限値以下であり、上記位置関係を満たすものがあるか否かを判定する。上記3つの4辺形のうちのいずれか一つ又は二つ又はその全てに対して代わりに使用可能な一つ又は複数の部分道路領域候補が見つかった場合には、その一つ又は複数の部分道路領域候補を、代わりの暫定部分道路領域に決定し、更に最終的な部分道路領域に決定する。
【0082】
図17に戻り、こうして、ステップS511又はS512により、選択道路ベクトル(例えばR11)に対する部分道路領域が決定されたことになる。その後ステップS513において、前記選択道路ベクトル以外に、未処理の他の道路ベクトルがあるか否かを判定し、当該他の未処理の道路ベクトルがあると判定されたときには、処理はステップS501に戻り、ステップS501以降の処理を当該他の道路ベクトルに関して実行する。その後ステップS513において、他の未処理の道路ベクトルがないと判定されたとき、部分道路領域決定部500の処理が終了する。
【0083】
図1に戻り、道路領域検出可能プログラム40は道路領域決定部600を実行する。道路領域決定部600では、まず、いずれかの道路の全ての道路ベクトルの複数の区間に関して決定された複数の部分道路領域を用いて、部分道路領域が決定されていない区間に対する部分道路領域を決定する。決定には、例えば、隣接する区間に対して決定された複数の部分道路領域を接続する方法を採ることができる。例えば、図19に示された二つの4辺形J21G2J112J111とG3J41J132J131との間を接続する部分道路領域を補間により決定する。このような接続する4辺形としては、例えば、左側の4辺形の頂点G2、J112と右側の4辺形の頂点G3J131を頂点とする4辺形を使用することができる。図19の点線は、このような接続用の4辺形の二つの辺を示している。あるいは図21に示された二つの4辺形J21G2J92J91とG2J41J132J131が、部分道路領域として決定された場合も、同様に、例えばそれらの二つの4辺形を結ぶ4辺形G2G3J131J92を接続する4辺形として使用することができる。図21の点線は、このような接続用の4辺形の二つの辺を示している。このようにしてそれぞれ道路を構成する複数の道路ベクトルの全てに対して、連続した領域を表すのに必要な数の部分道路領域が決定され、それらの部分道路領域により連続した一つの道路領域が決定される。
【0084】
道路領域決定部600は、その後、それぞれ異なる道路に属するが、互いに接続されるべき複数の道路ベクトルあるいは互いに交叉する複数の道路ベクトルに対して決定された道路領域を接続する処理を行う。
図22は、二つの隣接した道路ベクトルR11とR12に対して決定された二つの道路領域の接続を説明するための図である。図において、左側の4辺形J13G41J132F11は、道路ベクトルR11に対して決定された道路領域の例であり、右側の4辺形F14G14J151F15は、道路ベクトルR12に対して決定された道路領域の例であるとする。道路領域決定部600では、これらの二つの道路領域を接続するために、二つの領域の一方の上辺を延長して二つの領域の他方の上辺と接続させる。上記二つの領域のいずれかの下辺を延長して他方の領域の下辺と接続させる。いずれの領域の上辺を延長するかは、二つの領域の上辺の位置関係に依存する。二つの領域の上辺が道路領域として望ましい形になるように一方の領域の上辺が延長される。もちろん、両方の領域の上辺を延長させることが望ましい場合には、そのように行う。あるいは、一方の領域の上辺を延長とは反対の方向に後退させることが望ましい場合には、そのように行う。下辺についても同様である。図の例では、左側の4辺形J13G41J132F11の上側の辺F11J132を右方向に延長して点Caで右側の4辺形の上辺に接続させる。同様に、右側の4辺形F14G14J151GF15の下側の辺F14G14を左方向に延長して点Cbで左側の4辺形の下辺に接続させる。こうして、二つの道路ベクトルR11とR12に対する道路領域として、上側の一組の折れ線F11CaとCaJ151と、下側の一組の折れ線J13CbとCbG14とを境界線とする連続した道路領域が決定される。
【0085】
図23は、交叉する道路ベクトルR11とR3に対して決定された2つの道路領域の接続を説明するための図である。図において、折れ線J13CbG14とF11CaJ151は、道路ベクトルR11とR12に対して決定された、図22に既に示した道路領域を規定する境界線である。一方、直線J161G16と直線F17J171は、道路ベクトルR3に対して決定された一組の境界線とする。道路ベクトルR11とR3とが交叉するところでは、図に示すように4つの境界線の間の4つの交点Cc、Cd、Ce、Cfが決定され、これらの点が交差点の存在領域を示し、この交差点領域内では道路の境界線が存在しないように、道路ベクトルR11とR3に対する境界線が修正される。
【0086】
道路領域決定部600は、以上のようにして各道路ベクトルに対して道路領域を決定した後、各道路ベクトルに対する道路幅と車線数を判別する。車線数は、当該道路ベクトルに対して決定された道路領域の道路幅と、既に図18に関連して説明した標準的な道路幅との比で推定することができる。道路幅又は車線数の一方が場所により異なるときには、道路幅又は車線数の一方が異なる場所毎に、道路領域を区分し、それぞれの区分された道路領域毎に道路幅と車線数を決定する。
【0087】
道路領域決定部600は、決定された道路領域とその領域に関する道路幅と車線数等のデータを当該道路ベクトルに対応して道路領域データ27内に記憶する。図24は、道路領域データ27の例を示す図である。道路領域データ27は道路ベクトル識別情報271と、道路存在領域を示す一対の境界線を構成する点列の位置を示す境界線情報272と、道路幅273、車線数274、備考情報275とを含んでいる。図22の場合、道路ベクトルR11に対しては、道路ベクトル識別情報271には、例えばその記号R11が記憶され、境界線情報272には、図23の場合には、下側の境界線上の点列J13−Cd,Ce−Cb−G14と、上記点列に対応する、上側の境界線上の点列F11−Cc,Cf−Ca−J151とが記憶される。道路幅273には、決定された道路領域の同じ道路幅の領域に対応して道路幅が記憶される。車線数274に関しても同じである。備考情報275には、例えば廃止と判断された道路ベクトルに対して廃止を示す情報が記憶される。
以上のような処理を全ての道路に対して実行することにより、地理画像21と道路ベクトルデータ22とから、地理画像21内に含まれた道路の存在領域を比較的簡単に決定できることが分かる。
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、修正あるいは変更をしてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る、道路領域検出可能装置の一つの実施形態の概略ブロック図である。
【図2】エッジ検出部の処理の概略フローチャートである。
【図3】地表を撮影して得られる画像の一例を示す図である。
【図4】道路ベクトルデータを説明するための図である。
【図5】図3の画像から得られたエッジ画像の例を示す図である。
【図6】部分道路境界直線候補検出部の処理の概略フローチャートである。
【図7】エッジ画像を分割して得られる複数のメッシュとそれらのメッシュに対して抽出された複数の部分道路境界直線候補を模式的に示す図である。
【図8】部分道路境界直線候補データの例を示す図である。
【図9】部分道路領域候補検出部の処理の概略フローチャートである。
【図10】道路ベクトルに対して検出される部分道路領域候補の例を示す図である。
【図11】部分道路領域候補データの例を示す図である。
【図12】道路ベクトルに対して検出される他の部分道路領域候補の例を示す図である。
【図13】道路ベクトルに対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。
【図14】道路ベクトルに対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。
【図15】道路ベクトルに対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。
【図16】道路ベクトルに対して検出される更に他の部分道路領域候補の例を示す図である。
【図17】部分道路領域決定部の処理の概略フローチャートである。
【図18】道路幅と第2の評価値との関係の例を示す図である。
【図19】部分道路領域決定部により決定される暫定部分道路領域の例を示す図である。
【図20】部分道路領域データの例を示す図である。
【図21】選択道路ベクトルに対して検出された他の暫定部分道路領域の例を示す図である。
【図22】二つの隣接した道路ベクトルに対して決定された2つの道路領域の接続を説明するための図である。
【図23】交叉する道路ベクトルに対して決定された2つの道路領域の接続を説明するための図である。
【図24】道路領域データの例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
E0からE13…直線状エッジ部分、M0〜M8…メッシュ、R1、R2、R3…道路、R11、R12…道路ベクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、エッジ検出手段と、領域分割手段と、部分道路境界直線候補検出手段と、部分道路領域候補検出手段と、部分道路領域決定手段と、道路領域決定手段、として機能させる道路領域決定可能プログラムであって、
前記エッジ検出手段は、地表を上空から撮影して得られ、あらかじめ地理画像記憶手段に記憶された地理画像から複数のエッジを検出して当該複数のエッジを表すエッジ画像を生成し、
前記領域分割手段は、前記地理画像の存在領域を複数のメッシュに分割し、
前記部分道路境界直線候補検出手段は、いずれかの道路が通過する複数のメッシュの各々に関して、当該道路の当該メッシュ内に位置する部分道路に対して所定の位置条件を満たす、当該メッシュ内に位置する複数の直線状のエッジ部分を、当該部分道路に対する複数の部分道路境界直線候補として、前記エッジ画像から、かつ、前記道路の中心線を近似的に直線で表す連結された複数の道路ベクトルを指定する、あらかじめ道路ベクトルデータ記憶手段に記憶された道路ベクトルデータに基づいて検出し、
前記部分道路領域候補検出手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出手段により検出された前記複数の部分道路境界直線候補から選択された任意の二つからなる複数の組合わせにより定まる複数の領域を、当該道路の当該メッシュ内に位置する前記部分道路の存在領域に対する複数の部分道路領域候補として検出し、
前記部分道路領域決定手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出手段により検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、当該部分道路領域候補が当該メッシュ内の前記部分道路の存在領域である妥当性を所定の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて前記複数の部分道路領域候補の一つを当該部分道路の当該メッシュ内の存在領域として決定し、
前記道路領域決定手段は、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路領域決定手段で決定された複数の部分道路領域を接続して当該道路の存在領域を決定する、
ことを特徴とする道路領域決定可能プログラム。
【請求項2】
前記部分道路境界直線候補検出手段が前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対する前記複数の部分道路境界直線候補が満たすべき前記所定の位置条件は、部分道路境界直線候補は、当該部分道路の近傍にあり、かつ、当該部分道路に対してほぼ平行に位置することである、
ことを特徴とする請求項1に記載の道路領域決定可能プログラム。
【請求項3】
前期部分道路領域決定手段は、
前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュのそれぞれに対して検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、部分道路領域である妥当性を、それぞれの部分道路領域候補ごとに個別に所定の第1の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて、前記複数の部分道路領域候補の一つを、当該メッシュ内の当該道路の前記部分道路に対する暫定部分道路領域として決定する暫定部分道路領域決定手段と、
前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュのそれぞれに対して決定された前記複数の暫定部分道路領域の各々について、前記複数の暫定部分道路領域の相互の位置関係に関係する第2の評価基準に基づいて、部分道路領域としての妥当性を評価し、前記複数の暫定部分道路領域に対する評価結果に基づいて、前記複数の暫定部分道路領域の各々について、当該暫定部分道路領域を当該暫定部分道路領域が属するメッシュに対して使用すべき部分道路領域として決定するか又は当該暫定部分道路領域の代わりに当該メッシュに対して使用すべき他の部分道路領域を決定する道路領域決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路領域決定可能プログラム。
【請求項4】
前記第1の評価基準は、各部分道路領域候補に属する、前記地理画像内の画素の画像値に依存する評価基準と、各部分道路領域候補の幾何学的な特徴量に依存する評価基準との両方を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の道路領域決定可能プログラム。
【請求項5】
処理装置により実行される道路領域決定方法であって、
エッジ検出ステップと、領域分割ステップと、部分道路境界直線候補検出ステップと、部分道路領域候補検出ステップと、部分道路領域決定ステップと、道路領域決定ステップ、とを含み、
前記エッジ検出ステップは、地表を上空から撮影して得られ、あらかじめ地理画像記憶手段に記憶された地理画像から複数のエッジを検出して当該複数のエッジを表すエッジ画像を生成し、
前記領域分割ステップは、前記地理画像の存在領域を複数のメッシュに分割し、
前記部分道路境界直線候補検出ステップは、いずれかの道路が通過する複数のメッシュの各々に関して、当該道路の当該メッシュ内に位置する部分道路に対して所定の位置条件を満たす、当該メッシュ内に位置する複数の直線状のエッジ部分を、当該部分道路に対する複数の部分道路境界直線候補として、前記エッジ画像から、かつ、前記道路の中心線を近似的に直線で表す連結された複数の道路ベクトルを指定する、あらかじめ道路ベクトルデータ記憶手段に記憶された道路ベクトルデータに基づいて検出し、
前記部分道路領域候補検出ステップは、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出ステップにより検出された前記複数の部分道路境界直線候補から選択された任意の二つからなる複数の組合わせにより定まる複数の領域を、当該道路の当該メッシュ内に位置する前記部分道路の存在領域に対する複数の部分道路領域候補として検出し、
前記部分道路領域決定ステップは、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路境界直線候補検出ステップにより検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、当該部分道路領域候補が当該メッシュ内の前記部分道路の存在領域である妥当性を所定の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて前記複数の部分道路領域候補の一つを当該部分道路の当該メッシュ内の存在領域として決定し、
前記道路領域決定ステップは、前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対して前記部分道路領域決定ステップで決定された複数の部分道路領域を接続して当該道路の存在領域を決定する、
ことを特徴とする道路領域決定方法。
【請求項6】
前記部分道路境界直線候補検出手段が前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュの各々に対する前記複数の部分道路境界直線候補が満たすべき前記所定の位置条件は、部分道路境界直線候補は、当該部分道路の近傍にあり、かつ、当該部分道路に対してほぼ平行に位置することである、
ことを特徴とする請求項5に記載の道路領域決定方法。
【請求項7】
前期部分道路領域決定ステップは、
前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュのそれぞれに対して検出された前記複数の部分道路領域候補の各々について、部分道路領域である妥当性を、それぞれの部分道路領域候補ごとに個別に所定の第1の評価基準に基づいて評価し、前記複数の部分道路領域候補に対する評価結果に基づいて、前記複数の部分道路領域候補の一つを、当該メッシュ内の当該道路の前記部分道路に対する暫定部分道路領域として決定する暫定部分道路領域決定ステップと、
前記いずれかの道路が通過する前記複数のメッシュのそれぞれに対して決定された前記複数の暫定部分道路領域の各々について、前記複数の暫定部分道路領域の相互の位置関係に関係する第2の評価基準に基づいて、部分道路領域としての妥当性を評価し、前記複数の暫定部分道路領域に対する評価結果に基づいて、前記複数の暫定部分道路領域の各々について、当該暫定部分道路領域を当該暫定部分道路領域が属するメッシュに対して使用すべき部分道路領域として決定するか又は当該暫定部分道路領域の代わりに当該メッシュに対して使用すべき他の部分道路領域を決定する道路領域決定ステップと、
を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の道路領域決定方法。
【請求項8】
前記第1の評価基準は、各部分道路領域候補に属する、前記地理画像内の画素の画像値に依存する評価基準と、各部分道路領域候補の幾何学的な特徴量に依存する評価基準との両方を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の道路領域決定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−23958(P2006−23958A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201078(P2004−201078)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】