説明

遠心ファン及びそれを用いた加熱調理器

【課題】低コストで性能ばらつきが小さく、小型で強度及び信頼性の高い遠心ファンを提供する。
【解決手段】放射状に配した複数の羽根83と羽根83を連結する環状の連結部84とを一体成形した樹脂製の羽根部82と、羽根部82の軸方向の一面を覆う金属製の円板81とを備え、円板81上が複数の係合孔81bを有するとともに、係合孔81bよりも径方向に小さい幅で係合孔81bに挿通して係合される係合爪83aを羽根82の軸方向の一端に突設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板上に複数の羽根を放射状に配した遠心ファンに関する。また本発明は遠心ファンを用いた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠心ファンは円板上に複数の羽根が放射状に立設され、円板と反対側から軸方向に吸気して遠心力によって気体を径方向外側に導いて排気する。この遠心ファンは円板と羽根とを一体成形した樹脂製で形成される。また、金属製の円板と羽根とをカシメ等により一体化した遠心ファンも知られている。
【0003】
特許文献1、2には樹脂製の複数の羽根を金属製の保持部材によって一体化した斜流ファンが開示される。この斜流ファンは金属製のスパイダー(腕部)が樹脂製の羽根とインサート成形により一体化される。スパイダーは金属製のリング状部材に放射状に溶接される。これにより、羽根を複雑な形状に形成できるとともに金属製のリング状部材及びスパイダーによってファンの強度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−195190号公報(第3頁−第6頁、第2図)
【特許文献2】特開2002−242886号公報(第4頁−第10頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の円板及び羽根を樹脂により一体に成形した遠心ファンはコストを削減できる。しかし、軸方向に流入する気体と衝突する円板の強度を確保するために円板の肉厚が大きくなり、遠心ファンが大型になる問題があった。また、円板及び羽根を金属により形成すると複雑な形状の羽根を形成することが困難となる。加えて、円板に複数の羽根を取り付ける作業を必要とするためコストが増大するとともに、組立て精度によって性能のばらつきが大きくなる問題がある。
【0006】
また、特許文献1、2と同様に金属の円板に樹脂製の各羽根を取り付けることも可能であるが、上記と同様に組立工数が大きくなり、組立て精度による性能のばらつきが大きくなる。加えて、加熱調理器等の高温の環境下で温度変化によって金属部分と樹脂部分との接合面で熱膨張の差によって脱離する場合があり、遠心ファンの信頼性が低下する問題もある。
【0007】
本発明は、低コストで性能ばらつきが小さく、小型で強度及び信頼性の高い遠心ファン及びそれを用いた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の遠心ファンは、放射状に配した複数の羽根と前記羽根を連結する環状の連結部とを一体成形した樹脂製の羽根部と、前記羽根部の軸方向の一面を覆う金属製の円板とを備え、前記円板上に複数の係合孔を有するとともに、前記係合孔よりも径方向に小さい幅で前記係合孔に挿通して係合される係合爪を前記羽根の軸方向の一端に突設したことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、複数の羽根を環状の連結部で一体化した樹脂製の羽根部は吸気側と反対の端面が金属製の円板で覆われる。円板には係合孔が設けられ、羽根部には係合孔に挿通して係合される係合爪が突設される。係合爪は径方向の幅が係合孔よりも小さく、径方向の遊びを有して係合孔に挿通される。遠心ファンが温度上昇した際に羽根部と円板との熱膨張の差は係合孔と係合爪との遊びによって吸収される。
【0010】
また本発明は、上記構成の遠心ファンにおいて、前記係合孔及び前記係合爪を前記羽根部の外周側と内周側とに設け、外周側の前記係合孔の径方向の幅を内周側よりも大きくしたことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の遠心ファンにおいて、前記羽根が回転方向に対して後向きに配されたターボファンから成ることを特徴としている。
【0012】
また本発明の加熱調理器は、上記各構成の遠心ファンと、調理物を収納する加熱室と、前記加熱室に開口する吸込口及び吹出口と、前記吸込口と前記吹出口とを連結するとともに前記遠心ファンが配される循環ダクトと、前記循環ダクトに設けられる加熱ヒータとを備え、前記遠心ファンによって加熱室内の気体を前記吸込口から前記循環ダクト取り入れ、前記加熱ヒータにより加熱して前記吹出口から吹き出す加熱調理器において、前記遠心ファンの吸込側が前記吸込口に対向配置されることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、遠心ファンの駆動によって加熱室内の空気または蒸気から成る気体が吸込口から循環ダクトに流入する。循環ダクトを流通する気体は加熱ヒータにより加熱され、吹出口から加熱室内に吹き出される。これにより、調理物が加熱調理される。遠心ファンは吸込側が吸込口に対向配置され、吸込口から遠心ファンの軸方向に流入する気体は吸込口に面した円板に衝突して径方向に導かれる。
【0014】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、前記円板が前記吸込口の開口よりも大きいことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の加熱調理器において、前記連結部が前記羽根の吸込側の端面を連結して前記吸込口の開口よりも外側に配されることを特徴としている。この構成によると、吸込口から遠心ファンに流入する気体と連結部との衝突が回避される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、遠心ファンは複数の羽根を連結部で連結して一体成形される樹脂製の羽根部と金属製の円板とを有し、円板に設けた複数の係合孔に係合爪を係合して羽根部が円板に取り付けられる。これにより、組み立て作業を簡単にしてコストを削減できるとともに組立て精度のばらつきを小さくできる。また、羽根が樹脂製のため複雑な形状を容易に形成できるとともに金属製の円板によって小型で軸方向の強度を確保することができる。
【0017】
加えて、係合爪が係合孔よりも径方向に小さい幅に形成されるため、加熱調理器等に搭載した遠心ファンが温度上昇しても円板と羽根部の熱膨張の差を吸収して係合状態を維持することができる。従って、熱膨張による円板と羽根部との脱離を防止できるとともに遠心ファンの変形を防止でき、遠心ファンの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の加熱調理器を示す正面断面図
【図2】本発明の実施形態の加熱調理器の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態の加熱調理器の循環ファンを示す平面図
【図4】本発明の実施形態の加熱調理器の循環ファンの円板を示す平面図
【図5】本発明の実施形態の加熱調理器の循環ファンの要部を示す断面図
【図6】本発明の実施形態の加熱調理器の循環ファンの要部を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の加熱調理器を示す正面断面図である。加熱調理器1は本体筐体部10内に調理物90を収納する加熱室20を備えている。加熱室20は扉(不図示)により開閉される前面を開口した箱状に形成される。加熱室20の周面には断熱材14が設けられ、加熱室20内の天井面には温度センサ76が設けられる。
【0020】
加熱室20の左側壁には突起部23、25が上下に設けられ、右側壁には突起部23、25とそれぞれ同じ高さに突起部24、26が設けられる。突起部23、24間や突起部25、26間に調理物90を載置する載置網22を有したトレイ21が橋架される。
【0021】
加熱室20の背後には循環ダクト27が設けられる。循環ダクト27には加熱室20の背面中央部に開口する吸込口20aと背面周部に開口する吹出口20b、20c、20d、20e、20f、20gとが設けられる。循環ダクト27内には循環ファン80(図2参照)及び加熱ヒータ29(図2参照)が設けられる。循環ファン80及び加熱ヒータ29の駆動によって加熱室20内の蒸気や空気が吸込口20aを介して循環ダクト27に流入し、加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。
【0022】
加熱室20の下方には冷却ファン53、導波管60、マグネトロン50を配した外気流入ダクト56が設けられる。外気流入ダクト56は外気流入口62を本体筐体10の下面に開口し、外気流入口62に面して冷却ファン53が配される。マグネトロン50は導波管60を介して加熱室20内にマイクロ波を供給する。これにより、調理物90をマイクロ波加熱することができる。導波管60にはアンテナモータ52により回転するアンテナ51が設けられ、加熱室20に供給されるマイクロ波を均一化する。
【0023】
加熱室20の右側壁には給気口57及び排気口58が設けられる。外気流入ダクト56内の給気口57に面した位置には給気ファン55が配される。尚、外気流入ダクト56は仕切板34によって加熱室20の右方上部と仕切られる。排気口58には本体筐体10の上面に開口部73を開口した排気ダクト72が導出される。排気ダクト72には湿度センサ75及び温度センサ74が設けられる。
【0024】
加熱室20の右側の仕切板34の上方には着脱自在の水タンク30が配される。水タンク30の側方には貯水部31が設けられる。貯水部31は水タンク30の背面側に設けた止水弁(不図示)を介して連通路32によって水タンク30と連結され、水タンク30の装着によって水タンク30内の水が流入する。
【0025】
貯水部31には水タンク30から流入する水に浸漬して水位を検出する水位センサ36(図2参照)が設けられる。水位センサ36は複数の電極(不図示)を有し、各電極間の導通によって水位タンク30の水位を検知する。
【0026】
加熱室2の右側壁の上部には蒸気発生装置40が設けられる。蒸気発生装置40は金属製のハウジング41内に蒸気発生ヒータ42が設けられる。ハウジング41には貯水部31から導出される給水管33が接続され、加熱室2に臨む吐出口44が開口する。
【0027】
給水管33の経路中に設けられる給水ポンプ35の駆動によって貯水部31からハウジング41内に給水される。ハウジング41内の水は蒸気発生ヒータ42の加熱により蒸発し、吐出口44から加熱室2内に蒸気が吐出される。これにより、飽和蒸気または過熱蒸気によって調理物90を調理することができる。
【0028】
図2は加熱調理器1の構成を示すブロック図である。加熱調理器1は各部を制御する制御部2を有している。制御部2には循環ファン80、加熱ヒータ29、冷却ファン53、給気ファン55、マグネトロン50、アンテナモータ52、給水ポンプ35、蒸気発生ヒータ42、温度センサ76、74、湿度センサ75、水位センサ36、操作部3、表示部4、記憶部5が接続される。
【0029】
操作部3は本体筐体10の扉(不図示)に設けられ、調理メニューの選択操作等を行う。表示部4は本体筐体10の扉(不図示)に設けられた液晶パネル等から成り、操作部3による選択項目、調理の進行状況、使用者への報知内容等を表示する。記憶部5はROMやRAM等から成り、加熱調理器1の動作プログラムや調理メニューのデータベース等を記憶するとともに制御部2による演算の一時記憶を行う。
【0030】
図3は循環ファン80の平面図を示している。循環ファン80は遠心ファンから成り、吸込口20aから軸方向に吸気して径方向外側に気流を導く。循環ファン80はステンレス鋼等の金属製の円板81と樹脂成形品から成る羽根部82とを有している。羽根部82は放射状に配した複数の羽根83を環状の連結部84で連結して一体成形される。各羽根83は回転方向Aに対して後向きに配され、循環ファン80はターボファンになっている。
【0031】
連結部84は羽根83の吸込口20a側の端面を連結し、吸込口20aよりも大きい径で吸込口20aの外側に配される。これにより、吸込口20aから取り込まれる気流が連結部84に衝突することによる送風効率の低下を回避することができる。尚、連結部84を羽根83の軸方向の中間や根元に設けてもよいが、吸込口20a側の先端に設けるとより望ましい。これにより、羽根部82を容易に成形できるとともに、径方向に導かれる気流と連結部84との衝突を回避できる。
【0032】
円板81は羽根部82の軸方向の吸込口20aと反対側の一面を覆い、吸込口20aよりも大きい径に形成される。これにより、吸込口20aから軸方向に流入する気流が循環ファン80の背後に漏れることによる送風効率の低下を防止することができる。
【0033】
図4は円板81の平面図を示している。円板81の中央部には循環ファン81のモータ軸を挿通して取り付ける取付孔81aが設けられる。また、円板81には複数の同心円上にそれぞれ複数の係合孔81bが設けられる。
【0034】
図5は循環ファン80の羽根83部分の周方向の断面図を示している。羽根83の底面には断面L字型の係合爪83aが突設される。係合爪83aは係合孔81bに挿通され、羽根部82を循環ファン80の回転方向Aと逆方向に回動させることにより係合孔81bに係合する。これにより、円板81と羽根部82とが一体化される。
【0035】
また、係合爪83aは回転方向Aと反対方向に屈曲し、循環ファン80の駆動時にモータ軸が連結される円板81が回転方向Aに駆動される。これにより、係合孔81bと係合爪83aとの脱離が防止される。尚、循環ファン80のモータ軸が羽根部82に連結される場合は、係合爪83aを同図と左右反対に回転方向Aに屈曲して形成すればよい。
【0036】
図6は円板81の外側の係合孔81b部分の詳細を示す平面図である。係合爪83aの径方向の幅W2は係合孔81bの径方向の幅W1よりも小さく形成される。これにより、係合爪83aは径方向の遊びを有して係合孔81bに係合する。
【0037】
循環ダクト27(図1参照)を流通する気体は高温となるため、樹脂製の羽根部82は金属製の円板81よりも熱膨張が大きくなる。この時、係合爪83aと係合孔81bとの係合状態が維持され、遊びによって係合爪83aが係合孔81bの径方向端面に当接することによる循環ファン80の変形を防止することができる。これにより、循環ファン80が安定した送風状態を維持することができる。尚、係合孔81bはL字状の係合爪83aが挿通されるため、係合爪83aは周方向にも遊びを有して係合孔81bに係合する。
【0038】
また、外周側の係合孔81bの径方向の幅W1は内周側の係合孔81bの幅W1’(図4参照)よりも大きく形成される。昇温による羽根部82と円板81の熱膨張差は外周側よりも内周側の方が小さい。このため、内周側の係合孔81bの幅W1’を小さくして係合爪83aとの遊びが小さくなっても循環ファン80の変形を防止することができる。これにより、円板81の強度低下を防止することができる。
【0039】
上記構成の加熱調理器1において、マイクロ波による調理(レンジ調理)を開始すると、マグネトロン50及びアンテナモータ52が駆動される。また、冷却ファン53及び給気ファン55が駆動される。マグネトロン50によって導波管60を介して加熱室20内にマイクロ波が供給され、調理物90がマイクロ波加熱される。
【0040】
冷却ファン53により外気流入口62を介して外気流入ダクト56内に外気が流入する。外気流入ダクト56内に流入した外気はマグネトロン50を冷却して昇温され、給気ファン55によって給気口57から加熱室20に供給される。給気口57からの給気によって加熱室20内の空気は排気口58を介して排気ダクト72に流入し、天面の開口部73から外部に放出される。
【0041】
マイクロ波加熱によって調理物90から蒸気が発生し、加熱室20内が所定の湿度になると湿度センサ75の検知によって調理の終了時期が判断される。これにより、マイクロ波による調理が終了する。また、加熱室20内の異常高温を温度センサ74、76により検知した場合は調理を中断する。
【0042】
熱風による調理(オーブン調理)を開始すると、循環ファン80及び加熱ヒータ29が駆動される。加熱室20内の空気は吸込口20aから循環ダクト27内に流入する。この時、吸込口20aから循環ファン80に軸方向に流入した空気は円板81に衝突し、羽根83により径方向外側に導かれる。
【0043】
循環ダクト27内に流入した空気は加熱ヒータ29で加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。これにより、加熱室20内の空気が所定温度に維持されて循環し、調理物90が調理される。タイマー6により調理時間の経過を検知すると調理が終了する。また、加熱室20内の異常高温を温度センサ76により検知した場合は調理を中断する。
【0044】
蒸気による調理(蒸気調理)を開始すると、水タンク30の水位が水位センサ36で検知される。水タンク30の水量が調理に対して不足していない場合は蒸気発生ヒータ42及び給水ポンプ35が駆動される。これにより、貯水部31の水が所定の流量で蒸気発生装置40のハウジング41内に供給され、蒸気発生ヒータ42の加熱により発生した蒸気が加熱室20に供給される。
【0045】
加熱室20内に蒸気が充填されると循環ファン80及び加熱ヒータ29が駆動される。加熱室20内の蒸気は吸込口20aから循環ダクト27内に流入する。この時、吸込口20aから循環ファン80に軸方向に流入した蒸気は円板81に衝突し、羽根83により径方向外側に導かれる。
【0046】
循環ダクト27内に流入した蒸気は加熱ヒータ29で加熱されて吹出口20b〜20gから吹き出される。これにより、加熱室20内の蒸気が所定温度に維持されて循環し、飽和蒸気または過熱蒸気によって調理物90が調理される。そして、調理時間が経過すると循環ファン80、加熱ヒータ29、給水ポンプ35及び蒸気発生ヒータ42が停止される。
【0047】
本実施形態によると、循環ファン80は複数の羽根83を連結部84で連結して一体成形される樹脂製の羽根部82と金属製の円板81とを有し、円板81に設けた複数の係合孔81bに係合爪83aを係合して羽根部82が円板81に取り付けられる。これにより、組み立て作業を簡単にしてコストを削減できるとともに組立て精度のばらつきを小さくできる。また、羽根83が樹脂製のため複雑な形状を容易に形成できるとともに金属製の円板81によって小型で軸方向の強度を確保することができる。
【0048】
加えて、係合爪83aの径方向の幅W2が係合孔81bの径方向の幅W1よりも小さく形成されるため、加熱調理器1に搭載した循環ファン80が温度上昇しても円板81と羽根部82の熱膨張の差を吸収して係合状態を維持することができる。従って、熱膨張による円板81と羽根部82の脱離を防止できるとともに循環ファン80の変形を防止でき、循環ファン80の信頼性を向上することができる。
【0049】
また、外周側の係合孔81bの径方向の幅W1を内周側の幅W1’よりも大きくしたので、熱膨張による循環ファン80の変形を防止できるとともに円板81の強度低下を防止することができる。
【0050】
また、循環ファン80がターボファンから成るので、羽根83を少ない枚数にして所定の風量を確保することができる。これにより、係合孔81bの数を少なくすることができるため、円板81の強度低下を防止することができる。
【0051】
また、加熱調理器1の加熱室20に開口する吸込口20aに循環ファン80の吸込側が対向配置されるため、吸込口20から循環ファン80に流入する高温の気体による信頼性低下を防止することができる。
【0052】
また、円板81が吸込口20aの開口よりも大きい径に形成されるので、吸込口20aから軸方向に流入する気流が循環ファン80の背後に漏れることによる送風効率の低下を防止することができる。
【0053】
また、連結部84が羽根83の吸込側の端面を連結して吸込口20aの開口よりも外側に配されるので、吸込口20aから取り込まれる気流が連結部84に衝突することによる送風効率の低下を回避することができる。
【0054】
本実施形態において、遠心ファンから成る循環ファン80を加熱調理器1に搭載しているが他の機器に搭載してもよい。この時、高温となる機器に循環ファン80を搭載すると、より大きな効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によると、遠心ファン及びこれを用いた加熱調理器に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 加熱調理器
2 制御部
3 操作部
4 表示部
5 記憶部
10 本体筐体
20 加熱室
20a 吸込口
20b〜20g 吹出口
21 トレイ
27 循環ダクト
29 加熱ヒータ
30 水タンク
31 貯水部
35 給水ポンプ
36 水位センサ
40 蒸気発生装置
41 ハウジング
42 蒸気発生ヒータ
44 吐出口
50 マグネトロン
51 アンテナ
53 冷却ファン
55 給気ファン
56 外気流入ダクト
57 給気口
58 排気口
60 導波管
72 排気ダクト
74、76 温度センサ
75 湿度センサ
80 循環ファン
81 円板
81b 係合孔
82 羽根部
83 羽根
83a 係合爪
84 連結部
90 調理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に配した複数の羽根と前記羽根を連結する環状の連結部とを一体成形した樹脂製の羽根部と、前記羽根部の軸方向の一面を覆う金属製の円板とを備え、前記円板上に複数の係合孔を有するとともに、前記係合孔よりも径方向に小さい幅で前記係合孔に挿通して係合される係合爪を前記羽根の軸方向の一端に突設したことを特徴とする遠心ファン。
【請求項2】
前記係合孔及び前記係合爪を前記羽根部の外周側と内周側とに設け、外周側の前記係合孔の径方向の幅を内周側よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン。
【請求項3】
前記羽根が回転方向に対して後向きに配されたターボファンから成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遠心ファン。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の遠心ファンと、調理物を収納する加熱室と、前記加熱室に開口する吸込口及び吹出口と、前記吸込口と前記吹出口とを連結するとともに前記遠心ファンが配される循環ダクトと、前記循環ダクトに設けられる加熱ヒータとを備え、前記遠心ファンによって加熱室内の気体を前記吸込口から前記循環ダクト取り入れ、前記加熱ヒータにより加熱して前記吹出口から吹き出す加熱調理器において、前記遠心ファンの吸込側が前記吸込口に対向配置されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
前記円板が前記吸込口の開口よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記連結部が前記羽根の吸込側の端面を連結して前記吸込口の開口よりも外側に配されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−7080(P2011−7080A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149319(P2009−149319)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】