説明

遠隔入力装置

【課題】メニュー画面上に複数配列された各アイコン間を、少ないユーザ操作負荷でポインタ移動を可能にした遠隔入力装置の提供。
【解決手段】アイコンベースのメニューが表示される表示部300と、入力スイッチ190、位置検出部としてのX軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175、および2次元駆動部としてのX軸モータ150とY軸モータ155を備え、表示部300上へポインタを表示して遠隔入力操作する遠隔操作部100と、メニュー表示の座標に対応した力覚パターンに基づいてポインタの位置座標に応じた反力を遠隔操作部100に力覚として付与する駆動部201を有する操作制御部としての制御ECU200とで構成される遠隔入力装置。ここで、力覚パターンは、アイコンの外枠部から偏心した中心部に向って反力が作用するように設定されたアイコンの力覚パターンを含むように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔入力装置に関し、特に、表示画面と連携した操作感覚を有する遠隔操作スイッチによる遠隔入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔入力装置において、操作者によって操作される操作部に操作感を付与するものとして、力覚付与型の遠隔入力装置がある(例えば、特許文献1参照)。この遠隔入力装置は、操作者によって操作される操作部と、操作状態を検出するストローク検出部と、操作部に力覚を付与する力覚発生部と、外部装置と、ストローク検出部より出力されるストローク情報及び外部装置より送信される部品データに基づいて力覚発生部の駆動を制御し、操作部にその操作状態に応じた所定の力覚を付与する制御部とを有して構成されている。
【0003】
この遠隔入力装置によれば、操作者が操作部を操作するときに力覚発生部から操作部に反力が作用するので、その操作状態に応じた操作感が得られる。そして、反力を操作部に付与するための力覚パターンを何段階にも切替えて調整することで操作性の向上を行なう構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示す遠隔入力装置は、表示画面上に遠隔入力操作される機器の機能に対応した選択ボタンが配置されていても、その選択ボタンに対応する表示画面上のアイコンが多数配列されている場合には、各アイコン間をポインタで移動する距離が大きい場合があり、操作ノブの操作負担が増加する場合があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、メニュー画面上に複数配列されている各アイコン間をユーザの操作負荷が少なくポインタ移動が可能な、操作性に優れた遠隔入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は上記目的を達成するため、メニュー表示が複数のアイコンにより表示される表示部と、入力スイッチ、位置検出部、および、2次元駆動部を備え、前記表示部上へポインタを表示して遠隔入力操作する遠隔操作部と、前記メニュー表示の複数のアイコンに対応した力覚パターン及び前記ポインタの位置座標に基づく反力を前記遠隔操作部に力覚として付与する駆動部を有する操作制御部と、を有し、前記力覚パターンは、前記アイコンにおいて、前記アイコンの外枠部から偏心した中心部に向って反力が作用するように設定されたアイコンの力覚パターンを含むことを特徴とする遠隔入力装置を提供する。
【0008】
[2]前記複数のアイコンが複数列に配置されている場合に、前記複数列に配置された前記アイコンの最外列のアイコンが前記偏心した前記力覚パターンに設定されていることを特徴とする上記[1]に記載の遠隔入力装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記複数のアイコンが縦および/または横に複数列配置されている場合に、前記複数列に配置された前記アイコンの縦方向の最外列および/または横方向の最外列のアイコン列が前記偏心した前記力覚パターンに設定されていることを特徴とする上記[1]に記載の遠隔入力装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メニュー画面上に複数配列されている各アイコン間をユーザの操作負荷が少なくポインタ移動が可能な、操作性に優れた遠隔入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する表示部300、遠隔操作部100が車両のセンターコンソール6に装着された斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する遠隔操作部100を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の構成ブロック図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが縦、横に複数列配置されている場合のメニュー画面である。図4(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図であり、(c)は、表示メニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(d)は、表示メニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【図5】図5(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが縦、横に複数列配置されている場合のメニュー画面である。図5(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図であり、(c)は、表示メニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(d)は、表示メニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【図6】図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが環状に配置されている場合のメニュー画面である。図6(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1は、メニュー表示が表示される表示部300と、入力スイッチ190、位置検出部としてのX軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175、および、2次元駆動部としてのX軸モータ150とY軸モータ155を備え、表示部300上へポインタを表示して遠隔入力操作する遠隔操作部100と、メニュー表示の座標に対応した力覚パターン及びポインタの位置座標に基づく反力を遠隔操作部100に力覚として付与する駆動部201を有する操作制御部としての制御ECU200と、を有して構成されている。ここで、力覚パターンは、アイコン311〜316において、アイコン311〜316の外枠部323から偏心した中心部324に向って反力が作用するように設定されたアイコンの力覚パターンを含むように設定されたものである。
【0013】
ポインタによる選択、決定で特定の機能を実行するメニュー表示上の特定範囲を反力エリアという。例えば、特定の機能を実行するアイコン、また、そのアイコンの周辺領域で一定の機能が割り当てられた領域である。力覚パターンは、この反力エリアがメニュー表示に対応して形成された2次元データプロファイルである。具体的には、メニュー表示に対応して、X方向、Y方向距離Sと反力レベルFとの関係(F−S特性)が規定され、力覚パターンとして定義されている。このF−S特性は、記憶部に数値データ、テーブルとして格納され、所定の処理時に適宜参照される。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する遠隔操作部100が車両のセンターコンソール6に装着された場合の斜視図である。運転席5の左方で車両の中央付近に遠隔操作部100が設けられたセンターコンソール6が配置され、インスツルメントパネル8でステアリング7の左方、運転者から視認できる位置に表示部300が設けられている。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1を構成する遠隔操作部100を示す斜視図である。遠隔操作部100には、ベース110およびベース110を覆うカバー111と、運転者が操作できるようにこのカバー111から突出して取付けられた操作ノブ120が設けられている。この操作ノブ120は、ベース110に取付けられたXY球面軸受124に一端が支持されたノブシャフト125に取り付けられている。
【0016】
X方向にはノブシャフト125と当接しY方向にはノブシャフト125と摺動するX方向へスライド移動可能なXキャリッジ140と、Xキャリッジ140と直交しY方向にはノブシャフト125と当接しX方向にはノブシャフト125と摺動するY方向へスライド移動可能なYキャリッジ145により、2次元スライド機構が構成されている。操作ノブ120のXY操作により、ノブシャフト125はこの2次元スライド機構をX方向およびY方向に移動させる。
【0017】
一方、Xキャリッジ140、Yキャリッジ145は、それぞれの両端がX軸スライドガイド180とY軸スライドガイド185にそれぞれ支持されている。それぞれの一端側にはX軸ラックギア130、Y軸ラックギア135が取付けられており、このラックギアはベース110側に装着されたX軸モータ150、Y軸モータ155と歯合して、各モータから力覚パターンに基づいた反力を受ける。
【0018】
上記の反力は、2次元スライド機構およびノブシャフト125を介してX軸モータ150、Y軸モータ155からの力を操作ノブ120に作用させて反力を呈示する。すなわち、遠隔操作部100に対して力覚制御を行い、操作者が操作ノブ120を操作する際に適度な操作感覚を付与する。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の構成ブロック図である。遠隔操作部100は、入力スイッチ190、位置検出部としてのX軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175、および、2次元駆動部としてのX軸モータ150とY軸モータ155を備える。入力スイッチ190、X軸エンコーダ170、Y軸エンコーダ175、および、X軸モータ150、Y軸モータ155は、いずれも制御ECU200と接続されている。
【0020】
入力スイッチ190は、操作ノブ120の押圧操作によりスイッチONされて、制御ECU200にスイッチ信号を出力する。また、X軸エンコーダ170とY軸エンコーダ175は、操作ノブ120のXY操作によるX方向移動信号およびY方向移動信号を制御ECU200に出力する。一方、X軸モータ150、Y軸モータ155には、制御ECU200から力覚制御のための駆動電流が駆動部201を介して供給される。
【0021】
制御ECU200は、主に判断処理を行なうマイコン(CPU)、処理演算プログラム、メニュー画面の位置データ、力覚付与のための力覚パターン等を記憶しておく記憶部、演算処理の作業領域としてのRAM等から構成される。また、X軸モータ150とY軸モータ155をドライブするための駆動部201を備えている。この制御ECU200は表示部300に接続され、メニュー画面の位置データに基づいて表示部300にメニュー表示を行なうと共に、操作ノブ120のXY操作によるポインタを表示部300に表示する。
【0022】
また、制御ECU200は、CAN通信等の車載LANの車両通信バス400を介して制御対象機器、例えば、カーナビ装置401、エアコン装置402等と接続されている。これにより、表示部300に表示されたメニュー表示に対する遠隔操作部100の操作に基づいて、車両通信バス400を介して制御対象機器、例えば、カーナビ装置401、エアコン装置402等が遠隔制御される。
【0023】
図4(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが縦、横に複数列配置されている場合のメニュー画面である。図4(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図であり、(c)は、表示メニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(d)は、表示メニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【0024】
図4(a)において、左上に原点Oをとり、右方向にX軸、下方向にY軸とする。表示メニュー310には、エアコン装置402の風量調節用のアイコン311、312、313、また、温度調節用のアイコン314,315、316がそれぞれ縦に配置されて表示されている。反力エリアは、アイコン311〜316、および、アイコンを取り巻く周辺領域317に区画されたエリアである。
【0025】
アイコン311〜313は、ポインタによる選択、決定によってエアコン装置402の3段階の風量調節が行なわれ、アイコン314〜316は、ポインタによる選択、決定によってエアコン装置402の3段階の温度調節が行なわれる。周辺領域317は、ポインタ320による選択、決定によって特定の機能が実行される設定とはされていない。
【0026】
図4(b)に示すように、各アイコン、すなわち、各反力エリア(311、312、317、318)には、それぞれのパターンにより反力が作用する。アイコン311、312、313の反力エリアでは、それぞれのアイコンの外枠部323から中心部324に向って操作ノブ120を引き込むような反力が作用する。但し、図4(b)に示すように、アイコン311〜313の引き込み中心部324は、隣接するアイコン314〜316の方向に偏心したX方向引き込み中心325となっており、同様に、アイコン314〜316の引き込み中心部324は隣接するアイコン311〜313の方向に偏心したX方向引き込み中心325となっている。従って、X方向に隣接するアイコン同士は、それぞれのアイコン表示の中心よりも互いに接近したX方向位置に引き込み中心が設定され、アイコンの外枠部から偏心した中心部に向って反力が作用する。
【0027】
これを図4(c)の力覚パターンで示す。X方向について、各々のアイコン311、312、313の左側エッジ領域X2、X5では、左側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、右側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fxmに力覚パターン設定されている。一方、各々のアイコン311、312の右側エッジ領域X4、X7では、右側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、左側へ引込むために反力レベルはプラス値Fxpに力覚パターン設定されている。そして、X3の位置は、左側エッジ領域X2と右側エッジ領域X4の中間ではなく、隣接するアイコン314〜316側に所定の距離だけ偏心(偏位)して設定されている。また、X6の位置は、左側エッジ領域X5と右側エッジ領域X7の中間ではなく、隣接するアイコン311〜313側に所定の距離だけ偏心(偏位)して設定されている。これにより、互いのアイコンのX方向引き込み中心325の間隔は、表示メニュー310上のアイコン中心間のピッチPxよりも狭く設定されることになる。尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、矩形状でもよく、また、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。
【0028】
Y方向についての力覚パターンは以下のように設定されている。図4(d)に示すように、各々のアイコン311、314の上側エッジ領域Y1では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。また、アイコン312、315の上側エッジ領域Y4では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。同様に、アイコン313、316の上側エッジ領域Y7では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。
【0029】
一方、各々のアイコン311、314の下側エッジ領域Y3では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。また、アイコン312、315の下側エッジ領域Y6では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。同様に、アイコン313、316の下側エッジ領域Y9では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。
【0030】
上記示したように、Y方向には、アイコン中心と引き込み中心が一致している。尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、矩形状でもよく、また、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。
【0031】
(本発明の第2の実施の形態)
図5(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが縦、横に複数列配置されている場合のメニュー画面である。図5(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図であり、(c)は、表示メニュー画面に対応するX位置とX方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例であり、また、(d)は、表示メニュー画面に対応するY位置とY方向の反力レベルの関係を示す力覚パターン例である。
【0032】
第1の実施の形態では、縦に配列されたアイコン311〜313とアイコン314〜316の引き込み中心がアイコン表示の中心よりも互いに接近した力覚パターンに設定されていたが、第2の実施の形態では、横に3列に配列されたアイコン311、314、アイコン312、315、および、アイコン313、316のアイコン列のうち、最外列のアイコン311、314とアイコン313、316のY方向引き込み中心326を表示メニュー310上のアイコン中心間のピッチPyよりも狭く設定する。
【0033】
これを図5(d)のY方向の力覚パターンで示す。各々のアイコン311、314の上側エッジ領域Y1では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。また、アイコン312、315の上側エッジ領域Y4では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。同様に、アイコン313、316の上側エッジ領域Y7では、上側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、下側へ引込むために反力レベルはマイナス値Fymに力覚パターン設定されている。
【0034】
一方、各々のアイコン311、314の下側エッジ領域Y3では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。また、アイコン312、315の下側エッジ領域Y6では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。同様に、アイコン313、316の下側エッジ領域Y9では、下側からポインタ320をアイコン中心方向へ移動させる場合、上側へ引込むために反力レベルはプラス値Fypに力覚パターン設定されている。
【0035】
上記の力覚パターンにおいて、Y2の位置は、上側エッジ領域Y1と下側エッジ領域Y4の中間ではなく、中央に位置するアイコン312、315の方向に所定の距離だけ偏心(偏位)して設定されている。また、Y8の位置は、上側エッジ領域Y7と下側エッジ領域Y9の中間ではなく、中央に位置するアイコン312、315の方向に所定の距離だけ偏心(偏位)して設定されている。これにより、最外列のアイコンのY方向引き込み中心326間の距離は、表示メニュー310上のアイコン中心間のピッチPyよりも狭く設定されることになる。
【0036】
尚、急激な操作感の変化を緩和するために、上記の力覚パターンは図に示したように台形状に設定されているが、矩形状でもよく、角部を曲線状にした力覚パターン等でもよい。また、X方向には引き込み中心の偏心がなく、第1の実施の形態におけるY方向と同様であるので説明は省略する。
【0037】
(本発明の第3の実施の形態)
図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る遠隔入力装置1における表示部300に表示された表示メニュー例であり、複数のアイコンが環状に配置されている場合のメニュー画面である。図6(b)は、その表示メニュー上での反力エリアと反力が働く方向を矢印で示した図である。メインメニューを示すアイコン318の周囲に、アイコン311〜316が環状に配置されている。
【0038】
図6(b)に示すように、環状に配置されたアイコン311〜316の引き込み中心部324は、それぞれのアイコンの外枠部323の中心よりもメインメニューのアイコン318側へ偏心して設定されている。本実施の形態では、環状に配置されたすべてのアイコンの引き込み中心部324がメインメニューのアイコン318側へ偏心した力覚パターンに設定されている。尚、力覚パターンは、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様にX方向、Y方向の反力パターンにより定義できるので説明を省略する。また、本実施の形態のように、表示部300の画面中央に対して複数のアイコンが環状に配置される場合には極座標により反力パターンを定義してもよい。
【0039】
(本発明の実施の形態に係る遠隔入力装置1の動作)
第1〜3の実施の形態に係る遠隔入力装置1の動作について、代表して第1の実施の形態で説明する。
【0040】
図4(a)において、例えば、ポインタ320をアイコン311からアイコン314へ移動する場合を説明する。図4(b)に示すように、アイコン311内にあるポインタ320には、引き込み中心部324に引き込もうとする反力が作用する。従って、ポインタ320をアイコン311の引き込み中心部324からアイコン314へ移動させる場合には、図4(c)に示すように、X3〜X4の区間で同図左方向に反力が作用する。この反力に抗してポインタ320を右方向に移動させると、X4〜X5の区間では反力レベルが一旦ゼロとなり、さらにX5から右方向へ移動させるとポインタ320には右方向への反力が作用してアイコン314の引き込み中心部324へ引き込まれるような反力が作用する。従って、アイコン311からアイコン314へ移動する場合、最初にアイコン311の引き込み中心部324から右エッジであるX4まで反力に抗して移動させれば、容易に隣のアイコン312に移動させることができる。
【0041】
一方、ポインタ320をアイコン311の中心から下方向(Y方向)へ移動させる場合には、図4(d)に示すように、Y2〜Y3の区間で同図上方向に反力が作用する。この反力に抗してポインタ320を下方向に移動させると、Y3〜Y4の区間では反力レベルが一旦ゼロとなる。さらにY4から下方向へ移動させるとポインタ320には下方向への反力が作用してアイコン312の中心へ引き込まれるような反力が作用する。このような繰り返しにより、ポインタ320を複数のアイコン間で移動できる。
【0042】
上記示したX方向のポインタ移動では、X3およびX6の位置がそれぞれ隣接するアイコン側へ偏心(偏位)して設定されているので、ポインタ320を操作ノブ120により移動させる距離が短くなる。一方、Y方向のポインタ移動では、各アイコン間の引き込み中心は偏心(偏位)していないので、ポインタ320の移動距離は各アイコン間のピッチと同じである。
【0043】
第2の実施の形態では、Y方向のポインタ移動においてポインタ320の移動距離が短くなり、X方向においてポインタ移動距離は変わらない。また、第3の実施の形態では、各アイコン(311〜316)の引き込み中心部324がメインメニューのアイコン318側へ偏心して設定されているので、各アイコン(311〜316)間でのポインタ移動距離が短くなると共に、メインメニューのアイコン318へポインタ移動させる場合の距離も短くなる。
【0044】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、
表示画面上に遠隔入力操作される機器の機能に対応した選択ボタンが複数のアイコンとして配置されている場合に、ユーザのポインタ移動距離が短くできるので、操作ノブ120の操作負荷が低減される。特に、多数のアイコンが選択ボタンとして表示画面上に配列されている場合には、必要あるいは関連のあるアイコン間の引き込み中心をアイコン中心間よりも狭く設定できるので、遠隔操作部100によるアイコン選択性が向上する。これにより操作性に優れた遠隔入力装置が可能となる。
【0045】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは調整しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合せて縦と横のどちらもアイコンの引き込み中心を偏心させた力覚パターンとしてもよい。また、メニュー表示されるアイコンの任意のアイコンについてのみ引き込み中心を偏心させた力覚パターンとすることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…遠隔入力装置、、5…運転席、6…センターコンソール、7…ステアリング、8…インスツルメントパネル、100…遠隔操作部、110…ベース、111…カバー、120…操作ノブ、124…球面軸受、125…ノブシャフト、130…X軸ラックギア、135…Y軸ラックギア、140…Xキャリッジ、145…Yキャリッジ、150…X軸モータ、155…Y軸モータ、170…X軸エンコーダ、175…Y軸エンコーダ、180…X軸スライドガイド、185…Y軸スライドガイド、190…入力スイッチ、200…制御ECU、201…駆動部、300…表示部、310…表示メニュー、311〜316…アイコン、317…周辺領域、320…ポインタ、323…外枠部、324…引き込み中心部、325…X方向引き込み中心、326…Y方向引き込み中心、400…車両通信バス、401…カーナビ装置、402…エアコン装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メニュー表示が複数のアイコンにより表示される表示部と、
入力スイッチ、位置検出部、および、2次元駆動部を備え、前記表示部上へポインタを表示して遠隔入力操作する遠隔操作部と、
前記メニュー表示の複数のアイコンに対応した力覚パターン及び前記ポインタの位置座標に基づく反力を前記遠隔操作部に力覚として付与する駆動部を有する操作制御部と、を有し、
前記力覚パターンは、前記アイコンにおいて、前記アイコンの外枠部から偏心した中心部に向って反力が作用するように設定されたアイコンの力覚パターンを含むことを特徴とする遠隔入力装置。
【請求項2】
前記複数のアイコンが複数列に配置されている場合に、前記複数列に配置された前記アイコンの最外列のアイコンが前記偏心した前記力覚パターンに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遠隔入力装置。
【請求項3】
前記複数のアイコンが縦および/または横に複数列配置されている場合に、前記複数列に配置された前記アイコンの縦方向の最外列および/または横方向の最外列のアイコン列が前記偏心した前記力覚パターンに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遠隔入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−164911(P2011−164911A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26685(P2010−26685)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】