説明

遠隔検針システム

【課題】 サーバへ電力量の計測データを送信する際に、欠測データの発生率を抑えることができる遠隔検針システムを提供する。
【解決手段】 子機2は、時刻を計時する計時手段を具備して、1分毎に電力計測装置3から取得した1分検針値を、当該1分検針値が正常であるか否かを示す情報とともに記憶しており、30分間隔で設定された検針時刻になったときに、検針時刻から規定時間前までの間に取得した1分検針値のうち、検針時刻に最も近い正常な1分検針値を30分検針値として記憶し、検針時刻から規定時間前までの間に取得した1分検針値に正常なデータがない場合は、検針時刻から規定時間後までの間に正常な1分検針値を取得した時点で、当該取得した1分検針値を30分検針値として記憶し、1分検針値をサーバ8へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として集合住宅やオフィスビル・商業ビルにおいて電力使用量を遠隔で検針する遠隔検針システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、集合住宅の各住戸やオフィスビル・商業ビルにおける各テナントが需要家である場合において、電力量計に付設した子機と集合住宅やオフィスビル・商業ビルの電気室などに配置された親機との間で電力線搬送通信による通信を行い、各需要家の電力量計で得られた検針データ(つまり、消費電力量)を親機が子機から取得し、親機において検針データを集約する遠隔検針システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、親機は、電話網のような通信網を介して電力会社の集計装置に接続されており、集計装置からの検針要求に応じて子機から検針データを取得して集計装置に送信したり、あらかじめ定める周期毎に子機から検針データを取得して集計装置に送信したりすることで遠隔での検針を可能にしている。
【特許文献1】特開2006−180021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような遠隔検針システムにおいて、子機は、電力計測装置から電力量の測定データを取得して、例えば30分毎の計測データを検針データとして親機へ送信しており、このときに子機に内蔵したRTC(Real Time Clock)等の計時手段によって検針データの取得タイミングが設定されている。しかし、通信路の状況等によって通信エラー等が発生して、検針データを正常に取得できない場合、この検針データは欠測データとして扱われる。この欠測データが増えると、正確な電力量の算定を行うことが困難になることから、欠測データの発生率を抑える必要がある。
【0004】
また、計時手段の時刻にずれが生じると、30分毎に取得した検針データとその取得時間との対応にずれが生じてしまい、正確な電力量の算定を行うことが困難になる。さらに、停電が発生した場合は、停電期間中における検針データの補完を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、サーバへ電力量の計測データを送信する際に、欠測データの発生率を抑えることができる遠隔検針システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、幹線から複数に分岐させた系統ごとにそれぞれ幹線の電圧を降圧して二次側に接続された電力線を通して負荷に給電する複数個の降圧トランスと、各降圧トランスの二次側の電力線に接続されて負荷での使用電力を監視する複数台の電力計測装置から電力量の計測データをそれぞれ取得する複数台の子機と、子機との間で電力線を含む通信路を通して電力線搬送通信による通信を行って子機から計測データを取得する親機と、親機との間で広域情報通信網を含む通信路を通して通信を行うことにより親機が取得した計測データを取得するサーバとを備え、子機は、時刻を計時するとともに、第1の所定時間、および第1の所定時間より長い第2の所定時間を計時する計時手段を具備しており、第1の所定時間毎に電力計測装置から取得した第1の計測データを記憶し、第2の所定時間間隔で設定された検針時刻になったときに、検針時刻から規定時間前までの間に取得した第1の計測データのうち、検針時刻に最も近い正常な第1の計測データを第2の計測データとして記憶し、検針時刻から規定時間前までの間に取得した第1の計測データに正常なデータがない場合は、検針時刻から規定時間後までの間に正常な第1の計測データを取得した時点で、当該取得した第1の計測データを第2の計測データとして記憶し、第2の計測データをサーバへ送信することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、通信路の状況等によって通信エラー等が発生して、第1の計測データが欠測データとなった場合でも、検針時刻に最も近い正常な第1の計測データを第2の計測データとして取得するので、第2の計測データが欠測データとなることを防止でき、サーバへ第2の計測データを送信する際に、欠測データの発生率を抑えることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記子機は、当該子機において発生した事象を記録するログを生成して記憶し、第2の計測データおよびログを記憶してから前記計時手段が計時する時刻を再設定する時刻補正が行われるまでは、当該記憶している第2の計測データおよびログに対して内容の変更を許可する未確定を示す情報を設定し、時刻補正後は、未確定を示す情報を設定されている第2の計測データおよびログに対して内容の変更を禁止する確定を示す情報に変更し、時刻補正時に規定時間以上の時刻ずれを検知した場合、時刻ずれが発生したことを示す情報を設定する情報設定手段を具備することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、第2の計測データの変更の可否、および時刻ずれの有無の各情報を設定しているので、これらの情報に基づいて、第2のデータの取得処理を適切に行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記子機は、時刻補正時に規定時間以上の時刻ずれを検知し、時刻補正前に前記計時手段が計時している時刻と時刻補正後に計時手段が計時している時刻との間に、第2の計測データをまだ記憶していない検針時刻が存在している場合、当該検針時刻における第2の計測データを欠測データとして記憶し、時刻補正前に計時手段が計時している時刻と時刻補正後に計時手段が計時している時刻との間に、既に第2の計測データを記憶している検針時刻、または既にログを生成した時刻が存在している場合、当該第2の計測データおよびログに対して未確定を示す情報が設定されておれば、当該第2の計測データおよびログを削除することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、時刻補正を行った後の第2の計測データおよびログは、「確定」であれば内容の上書きを行わず、「未確定」であれば重複データおよび重複ログを削除することで、欠測データの生成を最小限に抑えており、時刻補正によって時刻ずれが検知された場合でも、欠測データの発生率を抑えることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記子機は、停電および復電を検知する停復電検出手段を具備しており、停復電検出手段が停電を検知すると、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データを不揮発性メモリに格納し、停復電検出手段が復電を検知したときに前記計時手段が時刻喪失を生じることなく正常な時刻を計時していると判断すれば、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データと、復電時の時刻および当該復電時刻における第1の計測データとを停復電ログに記憶し、さらに停電時刻と復電時刻との間の停電期間中に検針時刻が存在している場合、不揮発性メモリに格納した停電時刻における第1の計測データを用いて停電期間中の検針時刻における第2の計測データの補完を行うことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、停電が発生した場合でも、停電時刻における第1の計測データを用いて停電期間中の検針時刻における第2の計測データの補完を行うので、停電期間中における欠測データの生成を防止できる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、前記子機は、停復電検出手段が復電を検知したときに前記計時手段が時刻喪失を生じて正常な時刻を計時していないと判断すれば、第2の計測データの前記記憶処理を停止して、第3の所定時間毎に最新の正常な第1の計測データを第3の計測データとして記憶し、復電後に前記計時手段が計時する時刻を再設定する時刻補正が行われた後、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データと、復電時の時刻および当該復電時刻における第1の計測データとを停復電ログに記憶するとともに、第3の計測データを用いて復電時から時刻補正が行われた時点までの検針時刻における第2の計測データの復元を行い、当該復元後は、第3の計測データの前記記憶処理を停止して、第2の計測データの前記記憶処理を開始し、さらに停電時刻と復電時刻との間の停電期間中に検針時刻が存在している場合、不揮発性メモリに格納した停電時刻における第1の計測データを用いて停電期間中の検針時刻における第2の計測データの補完を行うことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、停電中に時刻喪失を発生した場合でも、第3の計測データを用いて時刻喪失中の第2の計測データを復元できるので、欠測データの発生率をさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明では、サーバへ電力量の計測データを送信する際に、欠測データの発生率を抑えることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態)
本実施形態の遠隔検針システムは、集合住宅やオフィスビル・商業ビルのように1つの建物内に複数台の電力計測装置が配置されている場合を想定している。この種の建物では、図1に示すように、商用電源が供給されている幹線(6600Vの中高圧線)Ltから分岐した複数系統の電力線(100V/200Vの低圧線)Lbが配線される。幹線Ltと各電力線Lbとの分岐点にはそれぞれ降圧トランスTrが設けられる。降圧トランスTrは、幹線Ltの電圧を100V/200V(単相3線で電圧線間が200V)に降圧するものであり、たとえば20〜200kVA程度の容量のものが用いられる。図1では降圧トランスTrの二次側の電力線Lbを2線で記載しているが、実際には降圧トランスTrの二次側は単相3線になる。図1に示す2線は電力線Lbのうち電圧極の線路を示している。
【0019】
本実施形態では、集合住宅において各階ごとに降圧トランスTrを設け、降圧トランスTrの二次側に接続した電力線Lbから分岐して各住戸に給電している場合を例として説明する。各住戸には、住戸別に電気料金を課金するために電力計測装置3が設けられ、さらに、各降圧トランスTrの二次側の電力線Lbと各住戸内の負荷10(照明、空調等の電気機器)との間には、電力線Lbから負荷10への電路を導通・遮断するために開閉器4が設けられる。
【0020】
まず、電力計測装置3には、従来の積算電力計に代えて電子式電力量計を用いる。電力計測装置3は瞬時電力を計測し、瞬時電力を積算することによって時間帯別に電力量を計量する。したがって、たとえば昼間時間と夜間時間のように料金単価の異なる時間帯における使用電力量を個別に計量することができる。
【0021】
そして、遠隔検針システムは、各住戸における電力の使用量を遠隔で検針することを目的にしているから、電力計測装置3で計量した計量データを通信により伝送する必要がある。ここでは、電力計測装置3で得られる計測データを伝送する通信路の一部に電力線Lbを用いて電力線搬送通信(以下、「PLC」と略称する。PLC=Power Line Communication)による通信を行う。
【0022】
各住戸に設けた電力計測装置3の計測データは、たとえば建物を単位として親機1に集められる。親機1は、電力会社が管理するサーバ8との間でインターネットのような広域情報通信網NTを通して通信を行う。したがって、サーバ8では各住戸での電力の使用量を個別に取得することが可能になる。
【0023】
親機1を広域情報通信網NTに接続するために、親機1を含む構内情報通信網と広域情報通信網NTとの間に介在して親機1とサーバ8との間での通信を可能にする通信装置としてのモデム5を設けている。広域情報通信網NTは、光通信などによるブロードバンドの通信網であり、光通信を行う場合にはモデム5としてONU(Optical Network Unit)を用いる。
【0024】
モデム5は、電力線Lbから電源が供給されており、電力線Lbを用いて伝送される通信信号(たとえば、10〜450kHz)が減衰しないように、内部において電力線Lbからモデム5への給電経路には通信信号に対する入力インピーダンスを高めるインピーダンスアッパ(図示なし)を設けている。インピーダンスアッパは、電源周波数を通過させ通信信号に用いる高周波は阻止するローパスフィルタである。このようなインピーダンスアッパを設けることにより、モデム5内の通信回路への給電を行いながらも電力線Lbを用いて伝送される通信信号がモデム5に内蔵した電源回路に吸収されることがなく、電力線Lbを伝送される通信信号の品質を維持することができる。なお、インピーダンスアッパは、モデム5と別体に設けてよい。
【0025】
各住戸に設けた電力計測装置3の計測データを親機1に伝送するために、各電力計測装置3には親機1との間で通信を行う子機2がそれぞれ付設される。また、親機1では各住戸別に電力の使用量を把握する必要があるから、各子機2には個別の識別情報(アドレスや需要家番号)が設定されており、親機1では識別情報により各子機2を識別する。子機2は、電力計測装置3、開閉器4とは別個に設けることができるが、本実施形態では、子機2と電力計測装置3と開閉器4とを1個のハウジングC2内に収納している。
【0026】
子機2は各電力線Lbに接続されており、通常は1組(単相3線)の電力線Lbから複数の住戸に給電するから、1組の電力線Lbに複数台の子機2が接続されることになる。ここに、親機1が子機2から積算電力量を取得する際には、親機1が各子機2をポーリングすることにより各子機1が記憶している積算電力量を取得する。子機2が電力計測装置3から積算電力量を取得して記憶することについては後述する。
【0027】
本実施形態では、親機1において通信用の接続口を多数個設ける代わりに、3個の接続口6a〜6cを有したカプラ6を電力線Lbの系統数より1台だけ少なく設けている。カプラ6の1個の接続口6aは電力線Lbに接続され、残りの2個の接続口6b,6cは接続ケーブルLcを介して他のカプラ6に接続されるか親機1に接続される(以下では、電力線Lbに接続される接続口を充電側接続口6aと呼び、残りの2個の接続口を信号側接続口6b,6cと呼ぶ)。電力線Lbに接続する充電側接続口6aと2個の信号側接続口6b,6cとの間では、電力の通過を阻止し電力線搬送通信に用いる通信信号のみを通過可能としてある。また、両信号側接続口6b,6cの間は互いに直結してあり、両信号側接続口6b,6cの間での通信信号の伝送を可能にしている。
【0028】
したがって、カプラ6の充電側接続口6aを電力線Lbに接続するとともに、信号側接続口6b,6cを用いてカプラ6の間を接続すると、同じ電力線Lbの上で通信信号を伝送できるのはもちろんのこと、異なる電力線Lbの間でもカプラ6を介して通信信号の伝送が可能になる。つまり、いずれか1台のカプラ6を親機1に接続しておくことにより、親機1には1個の信号用の接続口1aを設けるだけで、カプラ6を接続したすべての電力線Lbに接続されている子機2との間で通信信号の授受が可能になる。
【0029】
さらに、親機1には信号用の接続口1aとは別に受電用の接続口1bも設けてある。受電用の接続口1bは、カプラ6を介さずにいずれか1組の電力線Lbに接続される。つまり、当該電力線Lbにはカプラ6は接続されない。受電用の接続口1bは、電力線Lbからの受電のために用いられるとともに、当該電力線Lbに接続された子機2との間で通信信号を授受するためにも用いられる。親機1においてカプラ6を接続している通信用の接続口1aは、カプラ6により電力の通過が阻止されているから、通信用の接続口1aに電源電圧が印加されることはない。また、子機2は電力線Lbから受電する。
【0030】
本実施形態では、上述したように、子機2との間で通信信号を伝送するために親機1に2個の接続口1a,1bを設けてあり、受電用の接続口1bには電力線Lbを接続して親機1の内部において受電電力と通信信号とを分離しているのに対して、信号用の接続口1aには通信信号を分離する機能を有したカプラ6を接続することにより接続口1aを通して通信信号のみを授受する。したがって、カプラ6の両端に電源電圧が印加されることはなく、カプラ6の両端に電源電圧が印加される場合に比較すると、カプラ6の設計が容易になる。
【0031】
ところで、本実施形態では、各電力線Lbと各カプラ6との間にそれぞれブレーカ7を挿入してある。同様に、親機1における受電用の接続口1bと電力線Lbとの間にもブレーカ7を挿入してある。ブレーカ7を各電力線Lbごとに設けていることによって、各住戸への給電を停止することなく親機1やカプラ6を個別に電力線Lbから切り離して保守や点検の作業を行うことが可能になる。また、ブレーカ7によって、親機1やカプラ6に異常電流が流れたときに異常電流の経路を遮断し、電源側に影響を及ぼさないようにすることができる。降圧トランスTrの容量をたとえば20kVAとすれば、ブレーカ7には遮断容量が1.5kA程度のものを用いる。
【0032】
上述したように、電力計測装置3は各住戸での電力の使用量を計測しており、子機2は各電力計測装置3から計測データ(積算電力量)を取得するから、子機2は建物内に分散して配置される。一方、親機1は各子機2が取得した計測データを集めるために、建物の1箇所に配置される。具体的には、親機1は、図1に示すように、モデム5、カプラ6、ブレーカ7とともに収納ボックスC1に収納され、この収納ボックスC1が、建物において幹線Ltおよび降圧トランスTrを収納している電気室としてのEPS(Electric Pipe Shaft)Eに配置される。
【0033】
以下、子機2が電力計測装置3から積算電力量を取得する処理について説明する。子機2は、図2に示すように、制御部2aと、PLC通信部2bと、計測装置通信部2cと、HT通信部2dと、開閉器通信部2eと、エラー報知部2oとを備え、制御部2aは、検針値取得部2fと、記憶部2gと、RTC部2hと、時刻補正部2iと、データ補正部2jと、情報設定部2kと、停復電検出部2mと、開閉器制御部2nとで構成される。PLC通信部2bは、電力線Lbに接続し、電力線Lbを介して親機1とPLC通信を行い、計測装置通信部2cは、電力計測装置3との間で有線通信または赤外線等の無線通信を用いて通信可能に構成され、HT通信部2dは、ユーザが携行する保守端末HTとの間で赤外線等の無線通信を用いて通信可能に構成され、開閉器通信部2eは、開閉器4との間で有線通信または赤外線等の無線通信を用いて通信可能に構成されており、各部の動作は制御部2aによって制御される。
【0034】
そして制御部2aにおいて、記憶部2gは、図3に示すRAM21、EEPROM22で構成されており、検針値取得部2fが、図4に示すように電力計測装置3からT秒(本実施形態では約3秒)毎に取得した電力量の計測データx[xa,xb,xc,...](以降、瞬時検針値xと称す)を、各電力計測装置3に個別に設定されている識別情報(以下、計器IDと称す)とともに、RAM21の瞬時検針値テーブルTB1(図5参照)に順次格納する。このとき、取得した瞬時検針値xがチェックコードエラーとなり、データ異常の場合は、瞬時検針値テーブルTB1の計器IDおよび検針値はエラー表示となる。
【0035】
次に、検針値取得部2fは、図4に示すように、T秒より長いT秒(第1の所定時間であり、本実施形態では1分)毎に、瞬時検針値テーブルTB1に格納された瞬時検針値のうち最新の正常な瞬時検針値x(すなわち、エラー表示でない瞬時検針値x)をT秒検針値x1(第1の計測データであり、以降、1分検針値x1と称す)としてRAM21に格納する。瞬時検針値テーブルTB1に正常な瞬時検針値xがない場合は、1分検針値x1が欠測であるとして、その旨を示すデータ(以降、欠測データと称す)を1分検針値x1としてRAM21に格納する。1分検針値x1は、図6に示すRAM21内の1分検針値テーブルTB2に、1分検針値を取得した時刻や、計器IDや、1分検針値の格納段階でのフラグレジスタの値に対応して格納される。本実施形態では、子機2が16ビットのフラグレジスタを備えており、5分以上の時刻ずれの有無、復電の有無等の各状態を示すフラグが各ビットに対応している。
【0036】
次に、検針値取得部2fは、図7に示すように、T秒より長いT秒(第2の所定時間であり、本実施形態では30分)間隔で設定された検針時刻t1になったときに、検針時刻t1から規定時間a1前(本実施形態では5分前)までの間に取得した1分検針値x1のうち、検針時刻t1に最も近い正常な1分検針値x1をT秒検針値x2(第2の計測データであり、以降、30分検針値x2と称す)としてEEPROM22に格納する。検針時刻t1から規定時間a1前までの間に正常な1分検針値x1がない場合は、検針時刻t1から規定時間a2後(本実施形態では5分後)までの間に正常な1分検針値x1を取得した時点で、当該取得した1分検針値x1を30分検針値x2としてEEPROM22に格納する。さらに、検針時刻t1から規定時間a2後までの間に正常な1分検針値x1がない場合は、欠測データを30分検針値x2としてEEPROM22に格納する。上述の検針値取得部2fによる各データの記憶部2gへの格納タイミングは、RTC部2hが計時する時刻に基づいて設定されている。
【0037】
したがって、通信路の状況等によって電力計測装置3との間で通信エラーが発生して、瞬時検針値xがデータ異常となったり、1分検針値x1が欠測データとなった場合でも、検針時刻t1の前後で検針時刻t1に最も近い正常な計測データを30分検針値として取得するので、30分検針値x2が欠測データとなることを抑制でき、サーバ8へ送信する30分検針値x2に対して欠測データの発生率を抑えることができる。
【0038】
そして、親機1は、一定周期(本実施形態では48分)毎に配下の全子機2に検針要求を送信することによって、全子機2から最新の30分検針値を後述の30分検針値テーブルTB3内の各情報とともに取得して、30分検針値ファイルを生成し、この30分検針値ファイルをサーバ8へ通知する。したがって、サーバ8を管理する電力会社では検針員による電力量計の確認を行うことなく、広域情報通信網NT経由で受け取った30分検針値に基づいて需要家別の使用電力量を知ることができ、さらには30分検針値は欠測データの発生率が抑えられているので、使用電力量の算出を精度よく行うことができる。
【0039】
また、30分検針値x2は、図8に示すEEPROM22内の30分検針値テーブルTB3に、30分検針値x2を取得した時刻(検針時刻t1)や、計器IDや、フラグレジスタの値や、30分検針値x2の確定または未確定を示す確定情報に対応して格納される。子機2の情報設定部2kは、確定情報を未確定または確定に設定する機能、フラグをセット・リセットする機能、後述のログを記録する機能を有しており、30分検針値x2をEEPROM22に格納してから、RTC部2hが計時する時刻を再設定する時刻補正が行われるまでは、30分検針値テーブルTB3内の当該30分検針値x2に対してデータ内容の変更を許可する「未確定」を示す情報を設定しておく。
【0040】
時刻補正部2iは、親機1から受信した検針要求メッセージ内の現在時刻や、親機1から受信した時刻設定要求メッセージや、保守端末HTから受信した時刻設定要求で指定された時刻に、RTC部2hの時刻を修正する。そして、情報設定部2kは、時刻補正部2iが時刻補正を行うと、時刻補正前にRTC部2hが計時している時刻と時刻補正後にRTC部2hが計時している時刻との差を時刻ずれとして検出し、時刻ずれが5分以内であれば「時刻ずれなし」と判断し、前回の時刻補正から今回の時刻補正までの間に30分検針値テーブルTB3に格納された30分検針値x2に対して「未確定」から「確定」を示す情報に切り替え、「確定」の30分検針値x2のデータ内容の変更を禁止する。
【0041】
一方、情報設定部2kは、時刻ずれが5分以上であれば「時刻ずれあり」と判断し、前回の時刻補正から今回の時刻補正までの間に30分検針値テーブルTB3に格納された30分検針値x2に対して、時刻ずれフラグをセットして、「未確定」から「確定」に切り替え、エラー報知部2oのLED素子を点滅または点灯させて時刻ずれの発生を報知する。そして、時刻ずれフラグをセットされた30分検針値x2は、参考データとして扱われ、例えばサーバ8を管理する電力会社では、電気料金の算定に用いない等の処置を行う。なお、図8に示す30分検針値テーブルTB3において、フラグ欄は16ビットのフラグレジスタの値であり、「0x0000」はセットされたフラグがない状態を示し、「0x0080」は時刻ずれフラグがセットされた状態を示す。
【0042】
さらに情報設定部2kは、子機2で発生した事象についてログ記録を行ってEEPROM22に格納しており、親機1からの検針要求や状態取得要求によって、これらのログを親機1へ送信し、親機1では取得したログに基づいて、子機2での状態管理や、使用電力量の修正を行う。ログには、時刻ずれが発生した際に生成される時刻ずれログ、停復電が発生した際に生成される停復電ログ、開閉器4の状態変化(オン・オフ状態の変化、開閉器の有無等)時に生成される開閉器状態変換ログ、子機2で各種エラーが発生したときに当該エラーの発生を記録するエラーログ等がある。ログは、一般にEEPROM22に格納されてから時刻補正が為されるまでは、ログ内容の変更を許可する「未確定」を示す情報が情報設定部2kによって設定され、時刻補正部2iが時刻補正を行うと、ログ内容の変更を禁止する「確定」を示す情報が情報設定部2kによって設定される(但し、エラーログのように「確定」、「未確定」の概念がないものや、時刻ずれログのように時刻補正時に生成されるので、EEPROM22に格納された時点で「確定」となるものがある)。
【0043】
時刻ずれが発生した場合、情報設定部2kは、時刻ずれの発生を記録するエラーログを生成してEEPROM22に格納し、さらには補正前時刻および補正後時刻を記録する時刻ずれログを生成してEEPROM22に格納する。エラーログには、「確定」、「未確定」の概念はなく、エラー発生時にEEPROM22に格納される。時刻ずれログは、時刻補正時に生成されるので、EEPROM22に格納された時点で「確定」となり、当該記録したログ内容の変更を禁止して、ログ内容が確定する。
【0044】
例えば図9,図10に示すように、0時30分〜2時00分に取得した30分検針値x21〜x24は、前回の時刻補正によって「確定」となり、2時30分〜4時00分に取得した30分検針値x25〜x28はまだ「未確定」である状態で、RTC部2hの計時時刻が、4時5分から4時20分に変更された場合(5分以上の時刻遅れであり、且つ検針時刻t1のスキップが発生しない場合)、時刻ずれが5分以上であるため、図10に示すように時刻補正後の30分検針値x25〜x28に対しては、時刻ずれフラグをセットし、「未確定」から「確定」に切り替えるとともに、エラーログに時刻ずれを記録し、さらに時刻ずれログには補正前時刻および補正後時刻を記録して、時刻ずれログを「確定」に設定する。
【0045】
次に、図11、図12に示すように、0時30分〜2時00分に取得した30分検針値x21〜x24は、前回の時刻補正によって「確定」となり、2時30分〜4時00分に取得した30分検針値x25〜x28はまだ「未確定」である状態で、RTC部2hの計時時刻が、4時5分から5時20分に変更された場合(5分以上の時刻遅れであり、且つ検針時刻t1のスキップが発生する場合)、時刻ずれが5分以上であるため、図12に示すように時刻補正後の30分検針値x25〜x28に対しては、時刻ずれフラグをセットし、「未確定」から「確定」に切り替えるとともに、エラーログに時刻ずれを記録し、さらに時刻ずれログには補正前時刻および補正後時刻を記録して、時刻ずれログを「確定」に設定する。さらに、本来、4時30分、5時00分に取得されるはずであった30分検針値x29a,x29bに対しては、取得タイミングがスキップされるため、データ補正部2jが検針値に欠測データを設定した後に、時刻ずれフラグをセットし、「未確定」から「確定」に切り替える。
【0046】
次に、図13,図14に示すように、0時30分〜2時00分に取得した30分検針値x21〜x24は、前回の時刻補正によって「確定」となり、2時30分〜4時00分に取得した30分検針値x25〜x28はまだ「未確定」である状態で、RTC部2hの計時時刻が、4時5分から3時10分に変更された場合(5分以上の時刻進みであり、且つ前回の確定データに影響を及ぼさない場合)、時刻ずれが5分以上であるため、図14に示すように時刻補正後の30分検針値x25,x26に対しては、時刻ずれフラグをセットし、「未確定」から「確定」に切り替えるとともに、エラーログに時刻ずれを記録し、さらに時刻ずれログには補正前時刻および補正後時刻を記録して、時刻ずれログを「確定」に設定する。そして、今回の時刻補正で現在時刻が3時10分に設定されたので、時刻補正前の3時30分、4時00分に取得して「未確定」が設定されている30分検針値x27,x28は、時刻補正後にデータ補正部2jによって削除され、時刻補正後の現在時刻が3時30分、4時00分になったときに、検針値取得部2fが30分検針値x25,x26を再取得する。さらに、前回の時刻補正以降に生成されて「未確定」が設定されているログのうち、補正前時刻と補正後時刻との間に生成されたログは削除される。
【0047】
次に、図15,図16に示すように、0時30分〜2時00分に取得した30分検針値x2、2時30分〜4時00分に取得した30分検針値x21〜x24は、前回までの時刻補正によって「確定」となり、4時30分〜6時00分に取得した30分検針値x25〜x28はまだ「未確定」である状態で、RTC部2hの計時時刻が、6時5分から3時10分に変更された場合(5分以上の時刻進みであり、且つ前回までの確定データに影響を及ぼす場合)、既に「確定」となっている30分検針値x21〜x24の取得時刻に現在時刻が重なる。しかし、図16に示すように、30分検針値x21〜x24は既に「確定」となっているので、データ内容の変更は禁止されており、「確定」「未確定」のいずれが設定されているかに関わらず、データ内容の上書きは行わない。さらに、今回の時刻補正で現在時刻が3時10分に設定されたので、時刻補正前の4時30分〜6時00分に取得して「未確定」が設定されている30分検針値x25〜x28は、時刻補正後にデータ補正部2jによって削除され、時刻補正後の現在時刻が4時30分、5時00分、5時30分、6時00分になったときに、検針値取得部2fが30分検針値x25〜x28を再取得する。また、エラーログには時刻ずれを記録し、さらに時刻ずれログには補正前時刻および補正後時刻を記録して、時刻ずれログを「確定」に設定しておく。さらに、前回の時刻補正以降に生成されて「未確定」が設定されているログのうち、補正前時刻と補正後時刻との間に生成されたログは削除される。
【0048】
このように、時刻補正を行った後の30分検針値x2は、「確定」であればデータ内容の上書きを行わず、「未確定」であれば重複データを削除することで、欠測データの生成を最小限に抑えており、時刻補正によって時刻ずれが検知された場合でも、欠測データの発生率を抑えることができる。
【0049】
次に、停復電時における積算電力量の取得処理について、図17を用いて説明する。まず、停復電検出部2mは、電力線Lbから供給される電力の状態を監視しており、停電検出および復電検出を行う。時刻t11において停電が検出されると、検針値取得部2fは、RAM21内の1分検針値x1の最終レコードx11をEEPROM22に格納して停電時検針値(欠測データでも可)として保持し(または、RAM21内の瞬時検針値xの最終レコードをEEPROM22に格納して停電時検針値(欠測データでも可)として保持してもよい)、さらには停電時刻もEEPROM22に保持しておく。停電期間Taにおいて、RTC部2hは、子機2に内蔵された図示しないバックアップ電源によって計時動作を継続し、図17ではRTC部2hのバックアップ電源による計時期間Trが停電期間Taの全期間をカバーしており、RTC部2hは、停電期間Taにおいても時刻喪失を生じることなく正常な時刻を計時している。
【0050】
そして、停復電検出部2mが時刻t12で復電を検出すると、検針値取得部2fは、RTC部2hが正常であって時刻喪失を発生していないことを確認した後に、1分検針値x1、30分検針値x2の取得を開始し、記憶部2gへ検針値を格納する。復電後において1分検針値x1、30分検針値x2の最初の格納時には、情報設定部2kが、各検針値に対して復電フラグをセットする。さらに情報設定部2kは、EEPROM22を参照して停電時刻および停電時検針値を認識するとともに、復電時刻、および復電後に最初に取得される1分検針値x12(復電時検針値(欠測データでも可))を認識しており(または、復電後に最初に取得される瞬時検針値xを復電時検針値としてもよい)、停電時刻および停電時検針値、復電時刻および復電時検針値を停復電ログに記録してEEPROM22に格納する。なお、この格納時点では、停復電ログは「未確定」が設定されてログ内容の変更が許可されており、次回の時刻補正時に「確定」が設定されて当該記録したログ内容の変更を禁止し、ログ内容を確定させる。また、検針値取得部2fは、停電期間Ta中に検針時刻t1がある場合、そのときの30分検針値x2は停電時検針値(x11)と同じ値に設定して補完し、その計器IDは停電前の最後の30分検針値x21の計器IDを使用する。
【0051】
次に、RTC部2hが停電期間中に時刻喪失を発生し、復電以降にRTC部2hが計時する時刻が正常でない場合の処理について図18を用いて説明する。まず、停復電検出部2mが、時刻t11において停電を検出すると、検針値取得部2fは、RAM21内の1分検針値x1の最終レコードx11をEEPROM22に格納して停電時検針値(欠測データでも可)として保持し(または、RAM21内の瞬時検針値xの最終レコードをEEPROM22に格納して停電時検針値(欠測データでも可)として保持してもよい)、さらには停電時刻もEEPROM22に保持しておく。停電期間Taにおいて、RTC部2hは、子機2に内蔵された図示しないバックアップ電源によって計時動作を継続し、図18では停電期間Taの途中でバックアップ電源の供給能力が低下し、RTC部2hのバックアップ電源による計時期間Trが停電期間Taの後半をカバーしておらず、RTC部2hは、停電期間Taにおいて時刻喪失を生じて正常な時刻を計時することができなくなっている。
【0052】
そして、停復電検出部2mが時刻t12で復電を検出すると、検針値取得部2fは、RTC部2hが正常でなく、時刻喪失を発生していることを確認した後に、30分検針値x2の取得を停止し、5分検針値x3の取得を開始し、さらにはRTC部2hでは、復電を検出した時点を特定の初期時刻(例えば、2008年1月1日0時0分0秒)に設定して、以降の計時を開始する。5分検針値x3としては、図4に示すT秒(第3の所定時間であり、本実施形態では5分)毎に、過去1分間に取得した1分検針値x1のうち、最新の正常な1分検針値x1が取得されて、EEPROM22に格納される。過去1分間に取得した1分検針値x1に正常なデータがない場合は、5分検針値x3の検針時刻から1分後までに正常な1分検針値x1を取得した時点で、当該取得した1分検針値x1を5分検針値x3としてEEPROM22に格納する。さらに、検針時刻から1分後までの間に正常な1分検針値x1がない場合は、欠測データを5分検針値x3としてEEPROM22に格納する。
【0053】
この5分検針値x3は、図19に示すEEPROM22内の5分検針値テーブルTB4に、検針値の格納順序を示すためのindexや、フラグレジスタの値に対応して格納される。また、indexの代わりに検針値の取得時刻を格納してもよい。ここで、5分検針値x3は、後述の30分検針値x2の復元時に許容される時刻ずれ誤差の許容範囲(5分)と、EEPROM22の書込保証回数(例えば、1分毎に取得してもよいが、EEPROM22への書き込み回数が増えて、EEPROM22の寿命が子機2の動作保証年数(例えば10年)を満足しない虞がある)とを考慮して、5分毎の取得に設定されている。
【0054】
復電後において1分検針値x1、5分検針値x3の最初の格納時には、情報設定部2kが、各検針値に対して復電フラグをセットする。さらに情報設定部2kは、EEPROM22を参照して停電時刻および停電時検針値を認識するとともに、復電後の最初の補正時刻t13に補正されたRTC部2hの計時時刻から時刻未設定期間Tb(この期間Tbは、復電後のRTC部2hによって計時されている)を引いた時刻を復電時刻t12とし、さらに復電後に最初に取得される1分検針値x12を復電時検針値(欠測データでも可)として認識する(または、復電後に最初に取得される瞬時検針値xを復電時検針値としてもよい)。そして情報設定部2kは、復電後の最初の補正時刻t13にて、停電時刻および停電時検針値、復電時刻および復電時検針値を停復電ログに記録してEEPROM22に格納するとともに、停復電ログに「確定」を設定して、当該記録したログ内容の変更を禁止し、ログ内容を確定させる。
【0055】
5分検針値x3の取得処理は、復電検出時刻t12から復電後の最初の時刻補正を行う補正時刻t13までの時刻未設定期間Tbは継続し、この5分検針値x3を用いて時刻未設定期間Tbにおける30分検針値x2の復元を行う。この復元処理は、5分検針値テーブルTB4に格納した全ての5分検針値x3のうち、時刻未設定期間Tb内で最初の検針時刻t1に近い5分検針値x3を検索し、この5分検針値x3を時刻未設定期間Tb内で最初の検針時刻t1における30分検針値x2に設定する。次に、5分検針値テーブルTB4において、当該設定された5分検針値x3から6レコード分だけ時間が進む方向(すなわち、30分進んだ方向)に格納された5分検針値x3を、時刻未設定期間Tb内で次の検針時刻t1における30分検針値x2に設定する。以降は、上記処理を繰り返すことで、時刻未設定期間Tbにおける30分検針値x2が復元される。このように、停電中に時刻喪失を発生した場合でも、5分検針値x3を用いて時刻未設定期間tb中の30分検針値x2を復元できるので、欠測データの発生率をさらに抑えることができる。
【0056】
また、検針値取得部2fは、停電期間Ta中に検針時刻t1がある場合、そのときの30分検針値x2は停電時検針値(x11)と同じ値に設定して補完し、その計器IDは停電前の最後の30分検針値x21の計器IDを使用する。したがって、停電が発生した場合でも、停電時刻における30分検針値x2を用いて停電期間中の検針時刻t1における30分検針値x2の補完を行うので、停電期間Ta中における欠測データの発生を防止できる。
【0057】
また、上記5分検針値x3を用いた30分検針値x2の復元処理は、子機2の初回起動時にも行われ、図18における復電時刻t12が、子機2の初回電源投入時刻に相当し、初回電源投入時刻t12から、最初の補正時刻t13までの時刻未設定期間Tbにおける30分検針値x2が、上記同様に復元される。したがって、子機2の初回起動後の欠測データの発生率を抑えることができる。
【0058】
次に、電力線Lbから負荷10への電路を導通・遮断するために設けた開閉器4のオン・オフ動作について説明する。まず、子機2は、サーバ8から親機1を介して、オン要求コマンドまたはオフ要求コマンドを受信すると、要求コマンドに応じて開閉器4をオン・オフ制御する。また、子機2は、ユーザが保守端末HTを操作して、オン要求コマンドまたはオフ要求コマンドの無線信号を送信した場合も、要求コマンドに応じて開閉器4をオン・オフ制御する。
【0059】
しかし、電力線Lbから開閉器4を介して負荷10へ負荷電流が供給されている状態で、開閉器4をオフすると、負荷電流が大きい場合には接点溶着等が生じて、開閉器4が故障する虞がある。そこで本実施形態では、子機2が、瞬時検針値テーブルTB1に格納された瞬時検針値xに基づいて負荷電流を算出し、負荷電流が閾値未満であれば開閉器4のオフ制御を実行し、負荷電流が閾値以上であれば開閉器4のオフ制御を実行しない。
【0060】
したがって、子機2は、開閉器4を流れる負荷電流が大きく、負荷電流が閾値以上の場合、開閉器4のオフ制御を行わないので、開閉器4の接点溶着等の不具合を防止でき、システムの信頼性が向上する。また、開閉器4の状態変化は子機2からサーバ8にも通知され、サーバ8を管理する電力会社において各需要家(住戸)への給電の開始と停止とを管理することが可能になる。また、サーバ8を管理する電力会社が、サーバ8からオン要求コマンド、オフ要求コマンドを子機2へ送信することで、各需要家(住戸)への給電の開始と停止とを制御することも可能である。
【0061】
上述の実施形態では、親機1を1台用いた構成を例示しているが、複数台の親機1を用いて、複数台の親機1が、配下の子機2の30分検針値ファイルをサーバ8へ各々通知する構成でもよく、複数台の親機1を同一のPLC伝送路に接続する場合には、配下の全子機2へ検針要求を送信する周期を、1台の親機1を用いる場合よりも長く設定することで、親機1同士の通信の衝突を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態の遠隔検針システムの構成を示す図である。
【図2】同上の子機のブロック構成を示す図である。
【図3】同上の子機の記憶部の構成を示す図である。
【図4】同上の子機による計測データの取得処理を示す図である。
【図5】同上の瞬時検針値テーブルの構造を示す図である。
【図6】同上の1分検針値テーブルの構造を示す図である。
【図7】同上の30分検針値の取得処理を示す図である。
【図8】同上の30分検針値テーブルの構造を示す図である。
【図9】同上の時刻遅れ発生時の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図10】同上の時刻遅れ発生時の30分検針値テーブルのデータを示す図である。
【図11】同上の時刻遅れ発生時の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図12】同上の時刻遅れ発生時の30分検針値テーブルのデータを示す図である。
【図13】同上の時刻進み発生時の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図14】同上の時刻進み発生時の30分検針値テーブルのデータを示す図である。
【図15】同上の時刻進み発生時の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図16】同上の時刻進み発生時の30分検針値テーブルのデータを示す図である。
【図17】同上の停復電時に時刻喪失がない場合の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図18】同上の停復電時に時刻喪失がある場合の検針値取得処理のデータの流れを示す図である。
【図19】同上の5分検針値テーブルの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 親機
2 子機
3 電力計測装置
4 開閉器
5 モデム
6 カプラ
7 ブレーカ
8 サーバ
10 負荷
Tr トランス
Lb 電力線
NT 広域情報通信網
HT 保守端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹線から複数に分岐させた系統ごとにそれぞれ幹線の電圧を降圧して二次側に接続された電力線を通して負荷に給電する複数個の降圧トランスと、各降圧トランスの二次側の電力線に接続されて負荷での使用電力を監視する複数台の電力計測装置から電力量の計測データをそれぞれ取得する複数台の子機と、子機との間で電力線を含む通信路を通して電力線搬送通信による通信を行って子機から計測データを取得する親機と、親機との間で広域情報通信網を含む通信路を通して通信を行うことにより親機が取得した計測データを取得するサーバとを備え、
子機は、時刻を計時するとともに、第1の所定時間、および第1の所定時間より長い第2の所定時間を計時する計時手段を具備しており、第1の所定時間毎に電力計測装置から取得した第1の計測データを記憶し、第2の所定時間間隔で設定された検針時刻になったときに、検針時刻から規定時間前までの間に取得した第1の計測データのうち、検針時刻に最も近い正常な第1の計測データを第2の計測データとして記憶し、検針時刻から規定時間前までの間に取得した第1の計測データに正常なデータがない場合は、検針時刻から規定時間後までの間に正常な第1の計測データを取得した時点で、当該取得した第1の計測データを第2の計測データとして記憶し、第2の計測データをサーバへ送信する
ことを特徴とする遠隔検針システム。
【請求項2】
前記子機は、当該子機において発生した事象を記録するログを生成して記憶し、第2の計測データおよびログを記憶してから前記計時手段が計時する時刻を再設定する時刻補正が行われるまでは、当該記憶している第2の計測データおよびログに対して内容の変更を許可する未確定を示す情報を設定し、時刻補正後は、未確定を示す情報を設定されている第2の計測データおよびログに対して内容の変更を禁止する確定を示す情報に変更し、時刻補正時に規定時間以上の時刻ずれを検知した場合、時刻ずれが発生したことを示す情報を設定する情報設定手段を具備することを特徴とする請求項1記載の遠隔検針システム。
【請求項3】
前記子機は、時刻補正時に規定時間以上の時刻ずれを検知し、時刻補正前に前記計時手段が計時している時刻と時刻補正後に計時手段が計時している時刻との間に、第2の計測データをまだ記憶していない検針時刻が存在している場合、当該検針時刻における第2の計測データを欠測データとして記憶し、時刻補正前に計時手段が計時している時刻と時刻補正後に計時手段が計時している時刻との間に、既に第2の計測データを記憶している検針時刻、または既にログを生成した時刻が存在している場合、当該第2の計測データおよびログに対して未確定を示す情報が設定されておれば、当該第2の計測データおよびログを削除することを特徴とする請求項2記載の遠隔検針システム。
【請求項4】
前記子機は、停電および復電を検知する停復電検出手段を具備しており、停復電検出手段が停電を検知すると、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データを不揮発性メモリに格納し、停復電検出手段が復電を検知したときに前記計時手段が時刻喪失を生じることなく正常な時刻を計時していると判断すれば、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データと、復電時の時刻および当該復電時刻における第1の計測データとを停復電ログに記憶し、さらに停電時刻と復電時刻との間の停電期間中に検針時刻が存在している場合、不揮発性メモリに格納した停電時刻における第1の計測データを用いて停電期間中の検針時刻における第2の計測データの補完を行うことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の遠隔検針システム。
【請求項5】
前記子機は、停復電検出手段が復電を検知したときに前記計時手段が時刻喪失を生じて正常な時刻を計時していないと判断すれば、第2の計測データの前記記憶処理を停止して、第3の所定時間毎に最新の正常な第1の計測データを第3の計測データとして記憶し、復電後に前記計時手段が計時する時刻を再設定する時刻補正が行われた後、停電時の時刻および当該停電時刻における第1の計測データと、復電時の時刻および当該復電時刻における第1の計測データとを停復電ログに記憶するとともに、第3の計測データを用いて復電時から時刻補正が行われた時点までの検針時刻における第2の計測データの復元を行い、当該復元後は、第3の計測データの前記記憶処理を停止して、第2の計測データの前記記憶処理を開始し、さらに停電時刻と復電時刻との間の停電期間中に検針時刻が存在している場合、不揮発性メモリに格納した停電時刻における第1の計測データを用いて停電期間中の検針時刻における第2の計測データの補完を行うことを特徴とする請求項4記載の遠隔検針システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−4264(P2010−4264A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160642(P2008−160642)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】